お母さん、お子さんの自立を目指しましょう広汎性発達障害の息子を連れて、児童精神科に初診に行ったときの話です。色々と話を進める中で、医師から「お母さん、お子さんの自立を目指していきましょう」という話がありました。将来元気に働ける大人を目指し、「今からできることをしていこう」という方針で進めましょう、という事でした。私の子育ての目標も「自立」ということもあり、先生の考えに共感しました。そして、今すぐ実践できる3つのアドバイスを頂きました。1.きれいでゆっくりとした日本語を使うこと出典 : 例えば、絵本などの音読を親子で楽しみ、きれいな日本語に沢山ふれてください、とのお話でした。絵本にはコミュニケーションのやりとりが沢山書いてあるので、声に出して読むことでコミュニケーションの場面の練習になるそうです。友達の作りかた、いけないことをした時の謝りかた、など気がつかないうちに沢山の学びが絵本には記されているのです。例えば桃太郎。桃太郎と動物たちと鬼のコミュニュケーションを土台に物語が進んでいきますよね。普段の生活だと、急いでいたり乱暴な言葉遣いになってしまうこともありますが、絵本の中ならきれいな日本語で書いてあるので、私も積極的に息子と絵本読みを楽しんでいます。2.運動をすること出典 : とにかく歩く機会を増やしてください、というお話でした。理由は、将来週5日で仕事にいくとすれば、そのための体力づくりが必要ということ。休日は親子で沢山外で遊んだり、エレベーターを使わないで階段を使ったり、駐車場はできるだけお店から遠いところにとめるなど些細なことでも良いそうです。うちの息子は、エレベーター好きで駅などであまり歩こうとしないこともありましたが、野原に散歩にいったり、できるだけ歩く機会を増やすようにしています。3.発達障害に関する本を親が読むこと出典 : 発達障害のある子どもを育てるとき、親が発達障害に関する本を多く読むことがおすすめだそうです。「この本がおすすめ」!というよりは、自分にあったものを選んで下さいというお話でした。理由は、知識がないと、「どうして伝わらないんだろう」と親自身が辛くなってしまったり、叱ってばかりになってしまったり、親子にとって望ましくない関係性や教育に、気づかぬうちになってしまう事があるからだそうです。ちなみに、「3つ褒めて、1つ叱る」位がちょうどいい、との事でした。何百回、何千回と、子どもの良い行動をみつけたらすぐ褒める!気が遠くなりますが、地道に積み重ねるのが大事なんですね。私が、「当事者の方や、ママブログもよく読みます」伝えると、ブログは貴重な経験談が知れる一方で、個人の主観に基づく内容が多く、情報が偏っている事が多いと教えてくれました。生の声がリアルタイムで聞けるというメリットもありますが、個人の方が直接発信したものを読むときは、少し差し引いた目で、読む必要があるのかもしれませんね。医師も、親も、子も、人それぞれ。家族に合った方法で医師のなかにも色々な考えがあると思いますが、将来の自立ということを考えたときに、今から直ぐに生活に取り入れやすい方法だと思います。わが家も、お話を聞いてから直ぐに楽しく生活に取り入れています。発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ発達障害の子の育て方がわかる! ペアレント・トレーニング
2016年07月29日子どもに「ごめんなさい」と無理に言わせるのは、何か違う気がする出典 : 私の息子は、うっかり失敗したり、お友だちと喧嘩した時に、なかなか自分から謝ることができません。とはいえ、誰かに嫌な思いをさせてしまった場合は、きちんと謝るべきです。子どものうちから「ごめんなさい」を言う習慣を身につけておかないと、いつまでたっても言えるようにならない気もします。そんななか、息子から「ごめんなさい」を無理やり引き出しては険悪なムードのまま時間が流れてしまうことが多々ありました。息子は、「イヤだ!僕は悪くない!僕だって嫌な思いをしたんだ!」「ごめんなさいっ!!!でも、〇〇ちゃんだって悪い!」と怒りながら泣いていましたが、いつしか「知らない。僕はやってない。相手が嘘をついているだけだ。」とシラを切るようになり、パニックを起こし事態の収集がつかなくなることが増えていました。「ありがとう」は素直にいえるのに、どうして「ごめんなさい」は言えないんだろう?出典 : 息子に聞いてみると、「ごめんなさいと言ったら負けを認めることになる。」「ごめんなさいと謝っても、今度は『何が悪かったの!?』ってけっきょく怒られるから言いたくない。」と言うのです。確かに、言ってもどうせ怒られるんだったら、なんとか逃げたいと思う。先に謝って、悪いのは自分だけと思われるのは確かに心外。息子の気持ちはわかりましたが、「うちでは『ごめんなさい』を無理やり言わせない方針なんで失礼します」というわけにもいきません。「ごめんなさいの定義」について、息子と一緒に考えてみたところ出典 : さあ、どうすればいいだろう。少し考えて私は息子にこんな話をしてみました。私「ねぇ、朝会った人には何て声をかける?」息子「おはよう!」私「褒めてもらったり、プレゼントをもらった時は?」息子「ありがとう!」私「そうだよね。それって、いちいちすごく考えて言ってる?」息子「そんなことないよ。だって挨拶だもん。いちいち考えなくても自然に出てくるよ。」私「そうだよね。朝起きて会った人に、『今日はお空がとってもきれいな青色ですね。昨日の夜から今日は晴れるんじゃないかな~と思っていたんですよ。雲1つなくて本当に気持ちがいいし、予想通りで嬉しいです~!そんなこんなで、おはようございます!』なんて、言わないよね。」息子「言わない、言わな~い(笑)」私「プレゼントをもらったときに、『ありがとう』って言うのも、そんなに深く考えないよね。『私、実は前からこれが欲しいと思っていたんです!でも本当に欲しかったのは別の色なんですけど、まあこの色でも貰えるなら嬉しいなぁと思っています!ありがとう!』なんて、言わないよね~!!」息子「言わない、言わな~い(笑)」私「ママはね、『ごめんなさい』も『おはよう』とか『ありがとう』と同じだと思うの。」息子「えっ!?『ごめんなさい』も同じ!?」私「うん。君は謝るときにいろいろと言い訳したり泣き喚いたりするでしょ?でも、いい朝だね!を共有する『おはよう』とか、嬉しい!を伝える『ありがとう』と同じように、『ごめんなさい』は、『悪かったと思っています』を伝えるための挨拶みたいな言葉だと思うの。その言葉をまず伝えれば、相手に『悪いと思ってる』って一瞬で伝わるから、そのあとの話がしやすいと思うの。」息子「う~ん、確かに一瞬で伝わるけど、でも自分だけが悪い訳じゃない時はどうすればいいの?」私「だいたいの場合はケンカ両成敗といって、どっちも悪いんだよ。本当は自分相手もここがダメだったな~ってわかってると思うのね。そんな時に『私も悪かったって思ってるよ』が相手に伝われば、相手もこっちの言い分を聞きやすくなると思うの。こっちも悪かったって伝えずに、相手の悪いところだけを伝えたら、ケンカはますます大きくなるし、大人は『この子は分かっていない、反省もしていない』って思うんだ。」息子「そうかぁ。挨拶みたいに簡単に気持ちを伝える言葉だと思えばいいのか・・・」私「そうそう。ママも声をかけるから、今度からそれを試してみようよ。『ごめんね』は負けを認める言葉じゃないよ。私も悪かった、でもあなたのココが嫌だった。だから今度からどうする?を話し合うきっかけになる言葉だと思ってね。」息子が初めて、素直に「ごめんね」と言えた瞬間。出典 : そこから、素直に「ごめんね」と言う練習が始まりました。『ごめんなさい』を言えば怒られる!という呪縛から逃れることができない息子は、相変わらず言い訳がたくさん出てきてパニック。そんな時は、「今、君がやっているのは『おはよう!』って言うときに、『今日は雲が多いですね。こんなに雲が多いから僕はくもりだと思ったんですけど、空の9割以上を雲が覆い尽くさないと、くもりって言わないんですって。不思議ですね。おはようございます!』って言ってるのと同じだよ~!そんな挨拶ってある?」と、あの会話を元に声をかけるのです。すると「そんな挨拶、変だよ!面白いから、ママもう1回別の言い方で言ってみて~!」と気持ちを切り替えてケラケラ笑うのです。息子のリクエストに答え、何度か変な挨拶をくり返したら、再度チャレンジ。「やっぱりコレ変だよね~!君の『ごめんなさい』もちょっと変だよ~!さっぱり簡単に伝えてみよう!」と促せば、「そうだよね、ごめんなさい。」と素直に伝えられるようになって来ました。2週間ほど、そんな会話を繰り返した後、ついに息子に口からあっさりと、「あ、ごめんね!」という言葉が飛びだしたのです。なんのためらいもなく、怒られるかも…という恐怖もなく、息子がただただ素直に「ごめんなさい」が言えた瞬間でした。無理やり「ごめんなさい」と言わせていたのは、躾のつもりだったけれど…出典 : 無理やり「ごめんなさい」を言わせていたときは、なかなか謝らない息子に腹を立て必要以上にきつく怒っていたと思います。でもそれは、子どもを躾けているつもりで、息子のパニックを誘発していただけでした。我が家流の『ごめんなさいの定義』が出来てからは、息子は「ごめんなさい」と素直に言えば褒められる・嬉しいと前向きに謝れるようになりました。そして、泣かず怒らず平穏な状態で、何が悪かったのか、これからどうすれば良いのかを話し合えるようになっています。子ども達が素直に謝らない事で頭を悩ませているご家庭があったら、ぜひ「ごめんなさいの定義」をお子さんと一緒に考えてみてはどうでしょうか。
2016年07月28日発達障害の診断をきっかけに始まった、息子との信頼関係出典 : 私の息子は発達障害があります。診断が下りる前、私は息子の癇癪やパニックにいつも悩んでいました。「お願い、もう勘弁して」と私まで息子と一緒に泣いてしまったほどです。そんな私を救ったのが発達障害の診断です。息子の癇癪とパニックはこちらが適切に支援を行えば発動しないということを、そのとき初めて知ったのです。診断のおかげで、私は息子との接し方を工夫し、心地のよい時間を過ごすことができるようになりました。周囲の人に「本当に、息子さんはお母さんのことが大好きって感じだね」と言われると、密かに幸せな気持ちになりました。私は息子の安全基地になることができた!息子は私を信頼してくれている!そうです、私はとても満足していたのです。高熱を出して1週間もダウンした私。初めての「ママじゃない体験」に息子は出典 : 年、年が明けると同時に私は高熱を出して倒れました。一週間近くベッドから動けなくなってしまったのです。よくよく考えたら、息子が生まれてから、高熱で何日も寝込むようなことは一度もありませんでした。息子は生まれて初めて、私以外の人に世話をされることになったのです。その間、子どもたちの世話は夫がほとんどやってくれました。ところがその一週間は、息子にとってとても苦痛な時間となってしまいました。まず困ったのが食事。夫の作った食事に手をつけないのです。「パパのごはん嫌い。僕の嫌いな物を入れる」と言ってお弁当は手をつけなかったと聞きました。そうです、私は息子の嗜好や味覚過敏を把握していましたから、入れてはいけない具材が全部頭に入っています。でも夫にはそれが分からなかったのです。夫にしてみれば、「たかが小葱一つ」「たかが玉ねぎのみじん切り」を入れたぐらいで、息子は食事を全力で拒否します。息子は、私が作った食事でなければ何も食べられない状態になっていました。そして、お風呂、歯磨き、着替え…。何をするにつけても、息子の絶叫にも近い大泣きが聞こえてきます。普段、私は息子の触覚過敏に配慮して、息子が嫌がるような場所に触らなければならないときは、「今からここを触るけど、三秒で終わらせるよ」と言うように見通しをたてています。ところが夫は、息子が「嫌だ嫌だ」と言うのを、「じっとしていなさい」と押さえつけてしまいます。これが、息子のパニックを誘発しました。高熱のなか、息子が助けを求める声がずっと聞こえてきました。結局、一週間ずっと、息子の「ママがいいーーーーー!!!」「ママじゃなきゃダメーーー!!」という絶叫が止むことはありませんでした。息子は、私がいなければずっと癇癪やパニックを起こす状態のままだったのです。息子に必要なのは「ママ以外」との信頼関係。私が決意したこととは出典 : このとき私は初めて、息子のために頑張り続けてきたこと、息子と築いてきた強い絆は、信頼関係ではなく、依存関係だったと気づきました。当たり前の話ですが、子どもは母親がずっと側にいて支援できるわけではありません。学校に通うようになったり、社会に出て仕事をするようになったとき、息子は私以外のたくさんの人たちと関係を築いていく必要があります。その人たちが息子の特性を完璧に理解して、対応できるわけではないのです。この気づきを通して私は決意しました。「私以外にも信頼できる人がたくさんできるように働きかけよう。私が倒れたら誰にも頼れないような状況は良くない」と。今は、週末や長期休暇には、夫と息子で二人旅に行ったり、幼稚園の行事に夫が参加したり、親戚に何日か預けたりといったようなことを毎月のようにしています。「ママと違うやり方でも、なんとかなる」ということを、息子に体で覚えてもらうためです。また、上の娘と私が二人で旅行に行くこともあります。一人で頑張り過ぎているお父さんお母さんがいたら、ちょっと勇気を持って、もっと周囲に子どもを託してみませんか?
2016年07月28日女の子に話しかけられても何も話さない娘Upload By こころ娘の桃は自閉症スペクトラムで、お友だちと会話したり遊んだりすることがまだ難しいのですが、決して人に関心がない訳ではありません。スーパーの前の遊具で娘を遊ばせていた時の話です。1人の女の子が近づいてきて、いないいないばあをして娘と遊んでくれました。娘は恥ずかしそうに顔を隠していました。その子に話を聞くと、娘と同じ歳の妹がいるそうで今日はお母さんと買い物に来たのだそう。女の子は娘にたくさん話しかけています。妹がいるだけあって、小さい子のお世話に慣れているように思えました。でも桃は何も話しません。どれだけ話しかけても一言も言葉を発しない桃を見て、女の子は不思議そうな顔をして言いました。Upload By こころ昔から桃は話しかけられても無反応なことが多く、人と関わりたくないのかな?と思ったこともありました。でも私は知っていました。しらない人に「ばいばい」って話しかけられた時、知らんぷりをしてそっぽを向いているように見えて、実は誰も気づかないくらい小さく手を振っていることを。たくさん話しかけてくれた人がいなくなった後はいつも寂しそうにその人が居た場所を見つめていることを。Upload By こころだから私はこう言いました。Upload By こころ「でもね、たくさん話しかけてくれる人が大好きなんだよ。もし今度どっかで桃を見かけたら、その時もまだお返事はできないかもしれないけど…また遊んでね」丁度そう言い終わった時、女の子のお母さんが戻ってきました。「分かった!また遊ぼうね!桃ちゃんばいばーい」そう言って女の子は帰って行きました。娘はいつもみたいに女の子に背を向けたまま、小さく手を振っていました。そして、暫くしてから寂しそうに振り返ります。いつか娘の気持ちが届きますように本当は皆と遊びたいけれど、言葉のやりとりをすることができないので、どんな風に人と接したらいいのか分からないのかもしれません。いつも寂しそうにする桃の気持ちを考えると時々切なくなります。あの女の子が、私の言葉や桃のことをどんな風に受け取ったのかは分かりません。でも、どこかでまた会った時はきっと話しかけてくれる、そんな気がします。「あの子のこと、桃は気に入ってたんだね。また会えたらいいね」娘にそう伝えて、私達はその場を後にしました。
2016年07月28日作業療法士(OT)とは?出典 : 作業療法士(OT)とはOccupational-Therapistの略で、看護師、理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)などとともに活躍するコ・メディカルスタッフの一員です。作業療法士は、理学療法及び作業療法士法が制定された翌年の1966年に、国家資格として認可されました。主に作業を通じた人々の身体機能回復・獲得に加えて、学校や職場、地域活動といった社会参加のサポートや、いきいきと生活していくための精神面のサポートまで行う役割を担っています。作業とは、工芸、手芸、園芸、絵画、おもちゃの操作などの手作業から、食事や入浴などの日常生活にかかわる作業まで、すべての活動のことを指します。作業療法士は様々な機関で活動しているため、人生のあらゆるステージでかかわる可能性があります。特に発達障害に関しても、療育施設で作業療法士の作業療法を受ける人も多く、生活面の機能の発達をうながしてくれる心強いスタッフです。理学療法士及び作業療法士法作業療法士の役割出典 : 作業療法士の役割は、人々の基本動作能力、応用的動作能力、社会適応能力を維持・改善し、仕事、趣味、遊びなど元気な日常生活を送ってもらうための支援をすることです。基本動作能力とは、食事やトイレ、家事など、日常で必要となる活動をする能力のことを言います。また、応用的動作能力とは、より高度な運動や感覚・知覚、認知・精神などの心身機能のことを指します。一方社会適応能力とは、基本動作能力や応用的動作能力などの心身機能と違い、対人関係を構築し、社会性を身につける能力です。主に、地域活動への参加、就労、就学などが挙げられます。これらの能力を維持・改善するために「日常生活活動(ADL: Activities of Daily Living)」の治療や援助を行うことはもちろん、工芸、手芸、園芸、絵画、おもちゃの操作などを通して、人々が社会に適応できるように支援します。作業療法士とよく混同されやすいものに理学療法士というものがあります。両者とも国家資格をもつ専門家ですが、どのような違いがあるのでしょうか?理学療法士は、からだの基本的な機能回復・獲得をサポートします。基本的な機能回復とは、寝返る、起き上がる、立ち上がる、歩くなどの日常生活を行う上で基礎となる動作の改善のことを言います。例えば患者が脚を骨折したとき、理学療法士は運動療法や物理療法などを用いて、その部分を曲げたり、伸ばしたりできるよう、身体の基礎的機能の回復をサポートします。一方作業療法士はまず、その人がどのような生活をしたいのかを考え、障害のない日常生活を送るために必要な機能回復・獲得を考えます。その上で、着替える、入浴をする、散歩するなどの作業を通して脚の機能回復を支援します。作業療法士になるには?どんな人が向いているの?出典 : 作業療法士になるためには、毎年1回行われる国家試験を受験し、国家資格を取得する必要があります。試験の合格率は例年約80%であり、2015年実施の試験の合格率は77.5%でした。受験には高校卒業後、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成施設で3年以上学ぶことが必須です。養成施設として、4年制の大学、3年制の短大、3年制または4年制の専門学校があり、講義と実習を通じて学んでいきます。習得する内容は、解剖学、生理学、運動学、病理学、臨床心理学、リハビリテーション医学など多岐にわたります。作業療法士には主に2つの適性が求められます。1.コミュニケーション能力: 面談を通じて患者の心身の状態や気持ちをしっかりと把握し、最適なプログラムを考えるためにコミュニケーション能力が必要です。特に、相手の話をしっかりと聞き、ちょっとした反応から相手の感情を読み取ることが求められます。2.温厚な人柄: 作業療法を行う上で大切なのは、患者に安心してもらい心を開いてもらうことです。そのためには常に温厚な気持ちで患者に寄り添う姿勢が求められます。作業療法士の支援対象と、支援の対象期間出典 : 作業療法士はこころとからだの機能回復・獲得を担当し、年代を問わず、なんらかの障害や疾病によって生活に困りごとを抱えている人すべてをサポートします。主に4つのタイプに分類されます。・身体に障害がある人: 脳卒中/パーキンソン病/リウマチ/脊髄損傷/その他・こころに障害がある人: 統合失調症/躁うつ病/アルコール依存症/認知症/その他・発達期に障害がある子ども: 脳性麻痺/ADHD/精神発達遅滞/自閉症/知的障害/その他・高齢期に障害がある人: 認知症/脳卒中/骨折/その他急性期から、回復期、生活期まで通してずっとサポートしていきます。また、支援内容はその時期によって異なります。・急性期: 病気やけがの直後から将来の生活を見越したリハビリを開始し、初期段階の支援を行います。基本的なこころとからだの機能改善、新たな機能の低下の予防が目的です。病気やけがの直後は機能訓練や日常の基本的な動作の訓練を行います。サポート内容の例として、自分で食事ができる、自分で移動できる、自分でトイレを使えるようになる練習などが挙げられます。・回復期: より具体的な生活をイメージして機能や能力の改善をしていく支援を行います。急性期を経て病気やけがの状態が安定した後、患者が生活していくために必要な能力などを人それぞれに応じて提案していきます。主に服や靴を着脱する練習、調理や掃除などの家事、買い物など外に出る練習など、日常生活において応用的な動作ができるように支援します。・生活期: 一人一人が生きがいを持ち、豊かに生きるための生活を支援します。住み慣れた場所で、その人がありのままの姿でより良い生活を送るために、散歩など外に出る練習、地域コミュニティへの参加の援助、就労支援、趣味やレジャーを楽しむ支援などを行います。作業療法士のサービスを受けるには出典 : 作業療法を受けられる場所として大きく分けて、医療機関、福祉施設、教育・療育施設、企業・就労現場が挙げられます。病院やリハビリセンターなどの医療機関では、患者の回復状態に応じた作業療法をリハビリテーションチームの一員として行います。そこでは患者が新たな生活の第一歩を踏み出す手助けを担っています。福祉施設とは主に、保健所、福祉関連相談所、老人福祉施設、障害者福祉施設のような施設を指します。老人福祉施設では高齢者が新しい疾患を発症しないように予防したり、地域生活の質の向上をサポートしたりすることで、その人が日々の暮らしを健康に送れるように支援します。作業療法士は、障害のある子どもが通う特別支援学校などの教育・療育施設にも所属します。将来的に障害がある子どもが、地域の中で自立して生活できるように、医療や福祉教育の知識を生かして必要な学びの習得をサポートします。作業療法士はすべての企業ではありませんが、様々な企業や就労現場にも存在し、病気や障害があるが働きたいと思っている人の支援をします。状況に応じて企業の人事担当者や就労支援を担当するジョブコーチ、就労支援施設担当者と協働しながら、障害がある人が職場に適応し、継続して働くことができるように支援を行います。発達障害がある人への作業療法出典 : 発達障害のある人のなかには、協調運動障害のある人も多く、手先が不器用であったり、日常の動作の獲得を苦手とする場合があります。また、他人とコミュニケーションをとることに困難があり、人との距離感をうまくつかめない場合もあります。作業療法士はそのような人困りごとのある人に対しても支援を行います。発達障害における作業療法も子どもの成長ステージごとに分かれています。■乳児期(0~1歳): はいはいや歩くなどの運動発達を遊びを通して促します。保護者に対する子育て支援も行います。子どもがかんしゃくをおこす、抱っこを嫌がる、こだわりが強いなどの育てにくさがある場合。そして、保育所で集団活動ができずすぐに席を立ってしまう、寝つきが悪いなどの問題がある場合があります。そのような問題が起こる理由として、部屋が明るすぎる・暗すぎる、テレビや話し声、エアコンなどの気になる音が耳障りになるなどの、部屋の環境に問題がある場合があります。睡眠の問題に対しては寝具の肌ざわり・重さなどが合わなかったり、睡眠前にしっかり遊べていないため、元気があり余っていたりするときがあります。そこで作業療法士は、面談や調査を通じて問題を見つけ出し、問題に応じて部屋の環境調整や寝具の適合を行います。■幼児期、学童期、思春期(1~19歳): 主に発達障害がある子どもの園や学校でのサポートをします。学生生活で発達障害がある子どもが直面する問題は主に2つあります。席にずっと座ることができない、科目の得意・不得意の差が激しいなどの“授業面での問題”、そして、友達に自分の意見を言いすぎたり、全く言えなかったりするなどの“対人関係での問題”です。なぜこのような問題が起こるのでしょうか?授業面での問題が起こる理由として、姿勢が安定していないため座り続けることが難しいということや、文字を書くのが苦手、計画を立てることが苦手であるという可能性があります。対人関係での問題においては、子ども自身の認知した考えが行動と一致するように活動できない場合が多く、相手の発言を理解したとしても、相手に誤解を与えてしまうよう行動をとってしまうことがあります。すぐに席を立ってしまう場合には、いすに滑り止めシートをはる、机やいすの高さの調整をするなどの環境を整える支援をします。文字を書くのが苦手な場合、なぜ苦手なのか原因を探りながら書きやすい筆記具に変えたり、文字の形を覚えやすくするなどの工夫をします。計画を立てることができず作業をやり続けてしまう問題に対しては、スケジュールや活動の量を口頭ではなく、図や文字などの目に見える方法で掲示し、やるべきことを明確にします。また、考えと行動が一致しないときは、子どものケース別の適切な活動をサポートします。■成人期(20歳~): 主に発達障害がある人が健やかな社会生活を送るための支援を行います。多くの発達障害がある人は、明文化されたルール以外の決まりを理解することを苦手とし、相手の表情から感情を読み取ることを困難とする場合があります。こういった問題から、本人が就職することを難しいと感じたり、就職した場合でもうまくなじめないと感じてしまう場合があります。このような場合、作業療法士は対人交流スキルを向上させるプログラムの開発、メモ・レコーダーを使用した記憶の補強などを通じて、発達障害がある人のスキル改善を支援します。また、職場の人に障害がある人の苦手な部分を理解してもらい対応方法を共有するという、周囲の人のサポートを促すジョブコーチの役割も作業療法士は果たします。出典 : 発達障害における作業療法の流れは主に5つのステップにより構成されています。1.主訴・依頼: 現在の困っていることをもとに、病院や各施設に相談し、必要と判断された場合は作業療法が始まります。2.アセスメント(評価): 対象者・保護者との面談や、活動の中で行っていき、場合によっては検査を行うこともあります。作業療法士はアセスメントで得られた情報を整理し、困りごとが起こる理由を見つけます。評価する主な内容・はしる、あるく、すわる、などの、粗大な日常的な動き・スキップ、自転車、縄とびなどの、応用的な運動・食具、はさみ、鉛筆の利用などの、手先の器用さ・触覚過敏、偏食、感覚の処理能力・知覚 認知能力・育ってきた環境、自尊感情の度合いなどの心理社会的側面・コミュニケーション能力支援プログラムの立案と実施: 困りごとを解決するために必要な方法を考えます。大きく分けて3つの対応方法があります。■本人に対する介入本人に対する理解を深めることで、発達をサポートし、能力の改善・拡大を図ります。■周囲の人に対する工夫周囲の人が本人へよりよい言葉かけができるようになる方法、接し方のコツを教えることで、本人が過ごし易くなるように支援します。■環境調整家具を変えるなどの環境を変化させたり、道具の利用を図ったりすることで、本人が気持ちよく生活できるように支援します。4.再アセスメント: 本人・保護者への面談、活動の中での再調査から支援の結果を確認し、困りごとやつまずきの変化をとらえます。5.プログラムの変更: 再アセスメントの結果、支援プログラムの変更が必要なときは変更し、3に戻ります。もしくは、日常生活を送る上で必要な機能の回復・獲得ができたと評価された場合、状況に応じて作成されたプログラムを継続・終了します。作業療法の体験談出典 : では、実際の作業療法では具体的にどのようなプログラムが行われているのでしょうか?一人ひとりの個性、得意・不得意をみてプログラムを立案していくことが作業療法の特徴です。そのため全ての人に当てはまるものではありませんが、以下に一例として、お子さんやご自身が作業療法を受けた際の体験談をご紹介します。感覚過敏がある、我が子に出された宿題はぎゅっとたっちという遊びでした。ちょっと痛いくらいの力で腕や足を握り、スライドさせていくやり方です。ポイントは、静かに集中しているときを狙ってやり、にぎってるとこに注目させることと、一回3分を限度にやることです。3分以上やると親の方が疲れるからだそうです。逆に疲れないようだと、やり方が甘いんだそうです。うちは、これで、目がいくらか合うようになりました。あと、耳かきを嫌がるのを相談したら、布団です巻きにして、耳回りを圧迫する課題がだされました。楽しくやるのがポイントです。体幹をしっかりさせるために、バランスボールの上をとぶ課題もでました。部屋のすみにバランスボールをもっていき、親の足で固定し、歌に合わせて跳ばす。大きなたいこがおすすめですが、子どもが好きな歌なら何でもいいと思います。我が家ではバランスボールを椅子やソファで固定して、いつでも跳べる状況にしたら、体幹が鍛えられた気がします。このように遊びの中で作業療法を行うことで、子どもの興味を考慮しながら、応用動作ができるよう支援します。また、パパ・ママが作業療法に関わる場合は、お互いのストレスがかからないように楽しく行うことがポイントです。折り紙がキレイに折れるようになりました。力が弱い娘です。OTの先生が真ん中が穴のあいた分度器を100均で買ってきてプレゼントをしてくれました。分度器の丸い所を使ってキレイに折ります。作業療法士としてからだのサポートをするだけではありません。発達障害がある人が社会的に適応し、いきいきと生活していけるように相談できる身近な専門家として“こころのサポート”をすることも重要な仕事のひとつです。上肢に障害がある私は、お料理の便利グッズを紹介してもらったり、工夫の仕方を教えてもらいました。日常生活で困ったことを一緒に考えてくれる仲間という感じで、なんでも相談してました。発達の面では、人との距離感や、言葉の使い方、感覚統合をサポートしてもらいました。協調運動も苦手なので、ふとした行動や遊びから、手の使い方、体幹の使い方を教えてもらいました。作業療法士と他機関の連携出典 : 作業療法士はあらゆる場所で、障害のある人の暮らしやすい生活を取り戻すための支援をしています。そのため培ってきた高い専門性をもとに、様々な専門職と協力して働いています。医療現場では理学療法士や言語聴覚士などのリハビリ専門職、医師、看護師と一緒に働きます。保健・福祉現場では、介護職員、保健士や児童相談所の職員、ケースワーカー、介護福祉士、介護支援専門家などと協働します。そして教育現場では、保育士・教師、心理専門職などと連携しながら仕事を進めていきます。まとめ出典 : 作業療法士とは作業を通じて、障害のある人がその人らしい生活を送ることを支援する専門家です。作業とは、手芸や園芸などの手作業だけではなく、食べたり、トイレに行く、などの日常生活に欠かせない行為のことも指します。発達障害の場合、一人一人特性が違ったり、コミュニケーションが苦手だったりして、困りごとがあっても援助が難しいこともあります。そんなとき、本人の気持ちに寄り添って、その子に合った解決法を見つけてくれるスペシャリストが作業療法士です。子どもの作業療法士の方によって花開く姿を見たことがあります。2歳半。保育園ではヒモにお花のビーズを通す遊びが流行っていたけれど一切やらない。教室の隅で所在無げな視線でボーッとしていました。園の先生は、「全然やりたがらないとんですよねぇ」と。その話を作業療法士さんにすると、「やりたくない訳ではなくてやり方がわからないだけだよね !」と言って丁寧に指の使い方を説明しながら教えてもらうと、なんと出来ました。その瞬間、子どもが療法士さんを見て、出来た!ニコッとした表情をしたんです。いっぱい褒めてもらえました。その後、保育園で明るい表情になり紐通しを始めた姿に園の先生もびっくりして、「私達にも出来ることを教えて下さい」と。作業療法士の方によって園での生活から全てを変えることが出来ました。今でもあの方に出会ってなかったらどうなっていたか、と思います。その後、子どもはDQ70からウィスクで平均値となりました。子どもに、自信をつけてあげる事。親でもなかなか出来ません。むしろ、他人だから喜びがあったと思います。とても感謝しています。また、日頃何気なく生活していても、突然の怪我や病気などで、いつ、どのタイミングで作業療法士を必要とするかはわかりません。社会の作業療法に対する認知・理解が深まり、からだとこころに困りごとのある人が、いつでも適切なサポートを受けられるようになることを願っています。一般社団法人日本作業療法士協会
2016年07月28日その1ボタンの掛け違いは色で解決Upload By たっくんママパジャマのボタンを上下ずらさずにはめるのが苦手だった息子のため、ボタンが色違いのパジャマを見つけると、購入して家で練習に使っていました。ボタンとボタン穴が同じ色なのでこちらも説明がしやすく、色を組み合わせるだけでボタンの掛け違いを防げるのんで、息子も「掛け違いしないでできる!」という達成感を味わうことができたようです。小2の現在も、声かけをしないと、たまにずれることがありますが、「下からかけていこうね」と声かけすれば出来るようになってきました。余談ですが、トレーナーやズボンなど前後が分からない場合には、洋服に印をつけ、一目で「こっちが前だ」と分かるようにしました。私は、目立たないように糸でバッテン印を縫い付けましたが、他の方はワッペンをつけたりと色々工夫されていましたよその2左右がわからない時「間違いに気付かせる」工夫Upload By たっくんママ靴などを左右まちがえて履くと、足の形と合わずに違和感を感じる方も多いと思います。ですが、息子はその感覚が鈍いのか逆に履いても余り気にしていませんでした。そこで、左右を間違えないよう、上履きの内側に、左右を合わせると対になる目印に笑顔マークをマジックペンで書いてみました。「絵もいいね♪」と、息子もお気に入りです。ずぼらで不器用なわたしは簡単な絵を書くのが精一杯でしたが、目印としてはシールやワッペンなど色々な方法があるようです。 息子も絵を目印にして、左右を間違わなくなりました。上履きの外側にボタンをつけるその3見えなくて忘れるなら「見せて」解決Upload By たっくんママ小学校に入ると、忘れ物の多い息子は家へ持って帰るべきモノを学校に置き忘れることが増えました。特に困ったのが、筆箱の中身!鉛筆4本、赤鉛筆1本消しゴム1個というのが基本セットで、前日の夜に必ず持ち物を確認しているのですが、学校から帰っていざ筆箱を開けてみると、いつも何かが足りない状態でした。消しゴムがない、鉛筆が少ない、そしてなぜか息子自作の紙ふぶきが入っているなど色々ありましたが、中でも1番びっくりしたのは開けたら鉛筆1本だけという日もあったこと。息子に「帰りに忘れ物が無いか、持ち物のチェックをしてみて」と話しましたが、なかなかうまくいきませんでした。Upload By たっくんママそもそも、帰りの時間に持ち物をチェックするとき、わざわざ筆箱の蓋をあけないという事に気づき、自分でチェックできないならば筆箱の中が外から見えたほうが良いのでは?と考えました。外から見えやすい透明のケースを筆箱にしてみました。Upload By たっくんママ効果はテキメン!たまに鉛筆は学校に忘れてしまいますが、入っているものが一目で分かるのがよいのか、持って帰る回数が増えてきました。前はどうして持って帰れないのか、イライラして叱っていましたが、叱る回数も減って親の私も気持ちが楽になりました。ちょっとした支援で息子の自信につながる出典 : いかがでしたか?発達障害ゆえの、苦手なことはたくさんあります。そのなかで、視覚支援の力を借りて「できないをできるに変える」こともできます。できることが増えると自信につながるようで、息子の達成感や自己肯定感も高まったように感じます。1人でなんとかしなくちゃ!と悩んでも、いろいろな方法を見つけるのに限界があると思います。そういうときには、通われている医療機関や療育センター、保育園・幼稚園の先生方に相談して、プロの力をたくさん借りてみましょう。少しでも暮らしやすくなって、どうかママとお子さんの笑顔が増えますように!
2016年07月27日■1泣いてるよUpload By SAKURA■2お友達に会ったらUpload By SAKURA■3犬との会話Upload By SAKURA私たち夫婦は、娘のちょっとズレた発言にいつも笑わされています。子どもって本当にユニークですよね♪Upload By SAKURA
2016年07月27日発達性協調運動障害とは?出典 : 協調運動とは、手と手、手と目、足と手などの個別の動きを一緒に行う運動です。例えば、私たちがキャッチボールをする時、ボールを目で追いながら、ボールをキャッチするという動作を同時にしていますよね。他にも、縄跳びをする時、ジャンプする動作と、縄を回す動作を同時にしなくてはなりません。このような運動を協調運動と言います。発達性協調運動障害とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。別名、不器用症候群とも呼ばれていました。本人の運動能力が期待されるよりどのくらい離れているかは、通常「MABC-2」(Movement Assessment Battery for Children,2ndversion)や、「JPAN」(日本版感覚統合検査)と呼ばれる感覚処理行為機能テストなどのアセスメントテストによって評価されます。これらのテスト結果を参考に、医師が発達性協調運動障害かどうかを判断します。アメリカ精神医学会の診断基準である『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)では以下のような診断基準になっています。A.協調運動技能の獲得や遂行が、その人の生活年齢や技能の学習及び使用の機会に応じて期待されるよりも明らかに劣っている、その困難さは、不器用(例、物を落とす、またはぶつかる)、運動技能(例、物を掴む、はさみや刃物をつかう、書字、自転車に乗る、スポーツに参加する)の遂行における遅さと不正確さによって明らかになる。B.診断基準Aにおける運動技能の欠如は、生活年齢にふさわしい日常生活活動(例、自己管理、自己保全)を著明及び持続的に妨げており、学業または学校での生産性、就労前及び就労後の活動、余暇、および遊びに影響を与えている。C.この症状の始まりは発達障害早期である。D.この運動技能の欠如は、知的能力障害(知的発達症)や視力障害によってうまく説明されず、運動に影響を与える神経疾患(例、脳性麻痺、筋ジストロフィー、変性疾患)によるものではない。発達性協調運動障害と運動能力出典 : 人間の運動には大きく分けて、粗大運動と微細運動があります。人間は、さまざまな感覚器官から得られた情報をもとに、初めは姿勢を保つことや寝返りといった粗大運動を習得し、次第に段階を踏みながらより細かい微細運動ができるようになります。粗大運動とは、感覚器官からの情報をもとに行う、姿勢と移動に関する運動です。粗大運動には、先天的に人間に備わっている運動と、後天的に学ぶ運動があります。寝返り、這う、歩く、走るといった基本的な運動は人間が先天的に持っている粗大運動能力です。一方、泳ぐ、自転車に乗るなどの運動は、環境的な影響や学習によって身につけると言われています。微細運動とは、感覚器官や粗大運動で得られた情報をもとに、小さい筋肉(特に指先など)の調整が必要な運動です。モノをつまんだり、ひっぱったり、指先を使って細かな作業、例えば、絵を書く、ボタンをかける。字を書くなどの運動があります。成長とともに、粗大運動から、より細かい微細運動ができるようになります。発達性協調運動障害のある人は、粗大運動や微細運動、またはその両方における協調運動が同年代に比べぎこちなく、遅かったり、不正確になります。子どもによって、乳幼児期の粗大運動には全く遅れや苦手はなかったが、幼稚園や、小学校に行くようになり微細運動を必要とする場面が増え、微細運動が顕著に困難である場合もあります。発達性協調運動障害のある子どもの年齢別の困りごと出典 : 発達性協調運動障害かどうかの判断は、協調運動が本人の年齢や知能に応じて期待されるよりも著しく不正確であったり、困難であるかどうかが重要なポイントとなります。以下で年齢別によく見られる傾向を紹介します。とはいえ、年齢が低ければ低いほど、得意な運動と困難な運動は子どもによって大きく差があり、人それぞれです。ですので、以下の例に当てはまるからといって、必ずしも発達性協調運動障害であるということではありません。子どもの様子を見つつ、気になるときは専門家に相談してみましょう。乳児期は、そもそも基本的な粗大運動を学び、獲得していく段階です。また子ども一人ひとりの運動機能獲得のスピードは違いますし、できること、できないことも個人差が大きい時期です。ですので、苦手なことがあっても心配する必要がない場合も多いと言えます。ですが、発達性協調運動障害と診断される子どもは、乳児期に以下の様な特徴が共通して見られる傾向があります。例:母乳やミルクの飲みが悪い、離乳食を食べるとむせる、寝返りがうまくできない、はいはいがうまくできない幼児期は、特に5歳を過ぎると、運動能力の個人差が縮まってきます。そのためこの時期に発達性協調運動障害と診断される場合が比較的多いと言えます。発達性協調運動障害のある幼児は以下のことが不正確であったり、習得が遅れていたり、困難な場合があります。例:はいはい、歩行、お座り、靴ひもを結ぶ、ボタンをはめる、ファスナーを上げる、平坦な場所でも転ぶ(転んだ時に手がでない)、トイレで上手にお尻をふく小学校に上がると日常生活、学習生活でより複雑で繊細な動作を求められる場面が増えます。そのため微細運動での協調運動障害が顕著に表れます。発達性協調運動障害のある子どもは以下のことが不正確であったり、習得が遅れていたり、困難な場合があります。例:パズルを組み立てる、模型を作る、ボール遊びをする、活字をますの中に入れて書く、階段の上り降りがぎこちない、靴ひもが結べない、お箸をうまく使う、文房具作業が苦手(消しゴムで消すと紙が破れる、定規をおさえられずにずれるなど)発達性協調運動障害の原因出典 : 発達性協調運動障害のはっきりとした原因は、まだわかっていませんが、いくつかの原因が検討されています。まず妊娠中、母親のアルコールを摂取、またはそれによる早産、低体重で生まれた場合、発達性協調運動障害を発症する確率が高いという研究があります。次に、ADHD、学習障害、アスペルガー症候群を含む自閉スペクトラム症との併発が非常に多いため、なんらかの共通する遺伝的要因があるのではないかと言われています。また、上記のような障害のある子どもは定型発達の子どもより、発達性協調運動障害を発症する可能性が高いと言われています。5歳から11歳の子どもでは、5~6%が発症します。また、女児より男児のほうが発症率が高いことが分かっています。『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)発達性協調運動障害の診断と発達障害の関係は?出典 : 現在使われている精神疾患の診断基準は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』5版テキスト改訂版)と世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)による診断基準があります。現在、最新の診断基準である『DSM-5』が主流になりつつありますが、医師や医療機関によってどちらの診断基準に準拠しているかは異なります。発達性協調運動障害における診断基準の違いは、『ICD-10』と『DSM-5』で異なる点があります。『ICD-10』では発達性協調運動障害は心理発達の障害に分類されるため、精神遅滞と知能指数が重要になります。『ICD-10』の診断基準では、明らかな精神遅滞(知能指数70以下)の場合、運動の困難さ、不器用さはその精神遅滞が原因によるものと判断されます。一方で精神遅滞のない広汎性発達障害の場合、発達性協調運動障害と併発し、両方の診断が下りる場合があります。『DSM-5』の診断基準では、発達性協調運動障害は神経症群に入るため、精神遅滞や知能指数との関係ではなく、純粋に発達性協調運動障害の症状に当てはまるかどうかが重要になります。広汎性発達障害(アスペルガー症候群)と発達性協調運動障害を併発することは少なくありません。『ICD-10』の診断基準では、両方の診断基準を満たしている場合、両方の診断が下ります。対人関係において、認知されたものを統合する際に混乱が起きコミュニケーションがうまくとれないというアスペルガー症候群の特徴が、運動機能面においても現れているのではないかと検討されています。『ICD-10』の診断基準では、子どもが知的能力障害を持っている場合、その知的能力障害のため運動能力が損なわれているとの見なされる場合もあります。しかし、その運動が知的能力障害を考慮してもなお、不器用であったり、不正確である場合は、知的能力障害と発達性協調運動障害の両方の診断が下ります。ADHDのある子どもがよくころんだり、物にぶつかったりしてしまうのは、ADHDによる注意散漫や衝動性に原因があるのか、それとも発達性協調運動障害によってなのかを注意深く観察する必要があります。子どもの運動に対する困難さ、不器用さは必ずしも、ADHDだけが原因、発達性協調運動障害だけが原因というわけではなく、両方が原因となっていることもあります。特にADHDの場合、発達性協調運動障害との併存確率は50%と非常に高いです。発達性協調運動障害とADHDは併存しやすいため、二つを併発している場合は、DAMP症候群(deficits in attention, motor control and preception/注意・運動制御認知における複合的障害)と呼ばれることもあります。発達性協調運動障害について相談できる機関出典 : 子どもの運動や動作の不器用さが気になったら、まず以下の3つのどれかに相談に行きましょう。市区町村ごとに設置された、地域の健康づくりの場です。保健師さんが常駐しており、子どもの発達に関する悩みの相談を受けてくれます。場合によっては医療機関や療育施設の紹介をしてくれます。子育て家庭の支援に特化している機関です。自治体運営や医療機関に委託運営されており、保健師さんまたは看護師さんが相談に乗ってくれます。中には、療育指導を実施している子育て支援センターもあるので、お近くのセンターに問い合わせてみてください。都道府県ごとに設置されており、児童福祉を専門とした機関です。医師、児童心理士、児童福祉士がおり、相談に乗ってもらえます。必要に応じて発達検査を行ってくれる場合もあります。また、全国共通児童相談所ダイアルがあり、189番にかけると、24時間365日いつでも児童福祉に関する相談を受けてくれます。発達障害者支援全般を行っている機関であり、都道府県・政令指定都市やその他法人によって運営されており全国に設置されています。お近くの発達障害者支援センターは以下のリンクより検索できます。発達障害情報・支援センター相談窓口情報ここでは、相談支援と発達支援を行っています。相談支援では子どもの相談はもちろん、その様子に応じて医療機関、療育機関の紹介、行政サービスの利用方法を紹介してくれます。発達支援では、医療機関、療育機関との連携を図りながら、家庭での療育方法のアドバイス、発達検査、発達状態に応じた療育計画の作成や具体的な助言をしてくれます。発達性協調運動障害への支援を受けられる機関出典 : 上記の相談先で紹介してもらった医療機関を受診しましょう。小児専門や発達障害専門の医療機関では療育も行っているところがあります。上記の相談先で紹介してもらった療育機関で療育を受けましょう。療育機関では子どもの成長や自立支援のための、医療、治療、育成、保育、教育を総合的に行っています。民間の療育機関は保険が適用されないため、各施設により費用は様々です。内容や療育に当たる方との相性もあるので、あらかじめ見学に行くことをおすすめします。発達性協調運動障害の支援・治療方法出典 : 作業療法は、作業(子どもの場合、主に遊び)などをして、複合的な動作をできるようにしていくものです。運動、日常生活、学習などの動作をスムーズに行えるようにするために、基本的な動作に加え、動きと動きの統合が必要な協調運動への支援を行います。発達性協調運動障害のある子どもは、一つ一つの行動の統合が苦手であることが分かっているので、作業療法は障害の改善に効果があるといわれています。東京小児療育病院みどり愛育園広義には高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。特に運動による理学療法が発達性協調運動障害の改善に役立つとされています。別名運動療法ともいわれますが、理学療法に含まれない場合もあり、定義はあいまいです。理学療法士が行う運動を使った療育では、日常生活で必要な運動、行動を訓練し改善していきます。日本理学療法士協会家庭でもできること出典 : 家庭でもできることは多くあります。家庭で様々なサポートを行う場合は、まず、「こうするべき、こうあるべき」という先入観を捨て、子どもと一緒に楽しみながらやることが長続きの秘訣です。あくまで遊びの中で取り入れ、訓練、という位置づけにしないことも大切です。家庭で見られる困りごとの例としては、以下のような例が挙げられます。・手先がうまく使えていない・正しくお箸の使い方を何度も教えたけれど、なかなかお箸をうまく使いこなせない。・服のボタンをうまくはずしたり、かけたりすることができない。・文字を書くときに極端に筆圧が弱い、強い。上記のような困りごとに対して、考えられる不器用さの原因としては、・手の筋肉の動きをうまく制御できない・手元に注意が向いてない・手の動きと視覚の情報の連携が取れていないなどが挙げられます。これらを踏まえた上で、手で何かを握る経験や、握ったあとの状態を把握する機会を増やすことにより、手の筋肉に入れる力の制御を学ぶことができ、つまむ機能や握る機能が育っていきます。具体的に家庭で出来ることとしては、以下のような取り組みが考えられます。・ブランコやアスレチックで遊び、どのくらいの力で自分の体重を支えれれるようになるのかを学ぶ。・コイン遊びを通して、コインを握る、つまむ、入れるという動作を経験する。いろんな指でコインをつかむことで指の力の入れ加減を学ぶ。・粘土で遊び、粘土の形を変形させたり、細かい作業を行うことで、感覚の加減を学ぶ。ここで紹介した方法はあくまで一例であり、他にも様々な方法があります。また、家庭でできるこうした取り組みも、すぐに効果が表れるとは限りません。ゆっくり時間をかけて、楽しみながらやっていきましょう。 コラム粘土遊びは子どもの脳が活性化する!?楽しく創造力を伸ばす、3つの魅力とは?乳幼児期の感覚統合遊び発達障害の子の感覚遊び・運動遊び 感覚統合をいかし、適応力を育てよう1まとめ発達性協調運動障害は、一つ一つの運動を関連づけたり、統合することが困難な障害ですが、運動の得意不得意はどんな子どもにも見られるため、ただの「不器用な子」ですまされる場合も少なくありません。しかし、発達性協調運動障害のある子どもが見過ごされ、必要な支援を受けられないままでいると、その子どもが集団に適応することが困難になることもあります。たとえば、運動能力を中心とした遊びは、子どもたちの社会で周囲との関係を構築するために重要な役割を果たします。また授業での運動課題に取り組む場面では、その子ども自身の評価を著しく下げることがあるかもしれません。子どもが発達性協調運動障害かどうか心配な場合は、早めに相談機関に相談し、必要に応じて専門家の支援を受けながら、家庭でできる工夫を行っていきましょう。お子さんが楽しめるペースや方法で、出来ることを少しずつ増やしていけば、自信にもつながり、学校生活へも良い影響が出ることでしょう。
2016年07月27日アスペルガーの診断から10年。たくさんの医師との出会いを経て皆さんこんにちは、高校教師のゴトウサンパチです。ボクが36歳でアスペルガーと診断されてから、もうすぐ10年。今日までの間に、たくさんの医師や研究者と出会ってきました。診断の後すぐに周囲にカミングアウトし、自分のより良い生き方を見つけるために、動き回ったからです。Upload By ゴトウサンパチおかげさまで、今では講演や執筆の機会をいただくこともあり、発達障害に関する悩み相談に乗ることも増えてきました。そこで気になるのは、相談してくる方の多くは「診ていただけるお医者さんがいなかった」と言ってボクを訪ねてくることです。ボクは、どんな人でも、自分にぴったりの「同志」とも呼べるような医師と出会えると思っています。その過程で、自分にぴったりの「お気に入りの診断」を見つけることが出来るのだとも。今日は、そんなお話をします。医師と出会うたびに新しい診断をつけられる?Upload By ゴトウサンパチまずは参考までに、ボクが今までどんな診断を受けてきたか、その紆余曲折をお話しましょう。最初に書いた通り、36歳ではじめて発達障害診断を受けた際の主治医は、ボクをアスペルガー症候群だと診断しました。ですが、別のある医師にかかってみると「君はADHD だ。」と言うのです。また別の医師はボクを「少なくともアスペルガーではないだろう。」と言い、他の医師は、「ADHDでなはく、ADDですよ。」などと言い出します。不思議でしょう?医師がそれぞれ、ボクをあたかも違う人のように見るんです。また、ボクは幼い頃から文を読むことが苦手な上に暗算も苦手だったので、これはもしかしてLDかもしれないと思った時期もありました。しかし、実際にLDの方やディスレクシアの方とお話しするうちに、「どうやらボクはLDではなさそうだ」ということが分かってきます。「LDではないのに文が読みにくいのは、いったいどうしてなのか!」疑問は強くなるばかり。「自分はどんなことが、どんな状況だから苦手なのか」そうやって自分自身をより詳しく分析し、自分に当てはまる症状や診断探しに没頭するようになりました。その結果出会ったのは、光に対する感覚過敏を指す「アーレンシンドローム」という診断名でした。ボクはさっそくスクリーニングを申し込んで検査を受けました。そしてその場で自分に合うカラーレンズを見つけ、アメリカに発注していただき、ボク専用のレンズをゲットしたのです。おかげで今はずいぶんと読書の負担が軽減しました。また他にも、小児神経科の医師には、「ハイリーセンシティブパーソン」だと診断されました。医師はボクのことを「よく気がつく人だ」と褒めてくださったのです。またある人はボクに「君は地球を助けに来た宇宙人だ!そんな人をインディゴチルドレンというのです」と教えてくれました。医師と会うたびに新しい診断をつけられる日々。なんだか笑い話みたいでしょう?そうなんです。人によっていろんな見解があるため、診断は決して一つじゃないのです。色々な診断名がつくのは、ボクを多面的に見ている証拠Upload By ゴトウサンパチかかる医師によって診断名が変わるのは、医師のレベルが高い、低いということではありません。これは、ボクたち人間に無限の可能性が広がっているということなのです。出会いのタイミングが違うわけですし、医学や科学の進歩が影響していることも確かですが、それ以前に、ボクをどの角度から見るか、医師がどんなことに興味を持っているかが、診断の相違を招くのです。見方を変えれば、医師の診断、研究者の見立て、学校の先生の直観、家族や友達との関係性によって、ボクは「今までの自分」を抜け出して、違う自分にだってなれるということです。診断は医師にしかできません。昔はその医師が少なかった。でも、今は違います。 医師を選ぶ時代になったのです。医師を選ぶとは、診断名を選ぶ時代になったとも言えます。診断名を選ぶということは、自分の特性を自覚して生かすということです。それはまさに人生を楽しくするコツですよね。ポジティブな未来へと伴走してくれる医師を探そうUpload By ゴトウサンパチさまざまな医師、さまざまな診断名と出会ったボクが思うことは、どんな人でも、自分にぴったりの「同志」と呼べるような医師と出会えるのだ、ということです。どうかあきらめず、お子さんやあなたご自身の相性に合う医師を探してください。人のうわさ話に惑わされず、必ず直接会って、第一印象で感じたものを信じてください。合わなければ合う医師が見つかるまで探し続けてください。もし良い先生だと感じたなら、たとえその先生の評判が悪くても信頼してください。医師を選ぶ際ポイントは、その医師の言動です。特に、ネガティブな言葉がどれだけ少ないかをよく観察してください。それは、状況が好転してきた後、可能性をどこまで追いかけられるかが重要だからです。病気が治ったのに病院に行く人はいませんよね。通常の病気を治す医師であれば、そこでお別れです。しかし、発達障害は病気ではありません。医師にかかって、今の苦しみが好転することは当たり前。その後、あなたやお子さんの特性を活かす可能性を追求してこそ診断の意味があるのです。「あなたはこう言う特性を持っている。今まではそれを活かせない状況で大変だっただろうけど、これからは違う。その特性を活かしていく方法を一緒に探していこう」そう言ってくださる医師との出会いを積極的に求めてください。ちなみにボクは、今現在ハイリーセンシティブパーソン、インディゴチルドレンという見立てが一番気に入っています。医学的に確立された診断名ではありませんが、これらは、ボクの持っている特性を明るく照らしてくれる気がするからです。では、今回はこの辺で。読んでくださってありがとうございました。出典 :
2016年07月26日わが家の子ども達は、聴覚・視覚・臭覚が過敏で…出典 : 我が家の凸凹兄妹には、聴覚や視覚、嗅覚などにそれぞれ過敏があります。でも、それと同時に持ち合わせているのは「鈍麻」。刺激を欲し、自分で自分に刺激を与えることによって、集中を維持したりしているようです。これは兄の方が顕著で鉛筆や爪、何も噛むものがなければその辺にあった紙類をガムのように噛んでいたり、伸ばした髪の毛を絶えず口に入れていたりします。そして2人とも、大きな変化や絶叫マシンなどの大きな刺激は嫌うわりに、「目新しいもの」「単純ではない、ちょっとした刺激が持続するようなもの」「変化に富んだもの」を好む傾向があります。単調なものでは飽きて多動になりがちなのです。先日、子ども達の大好きな「山登り」へ出典 : 先日、兄を連れて山に登った時のことです。彼は山登りが好きで、これまでの登山ではけっこう高度なルートの山道を歩いてきました。今回のルートはほぼ舗装路で、傾斜は急ですが初心者が普通の靴で登れそうなルート。当然、私を置いてスタスタと登ってしまうのだろうと思っていました。しかし、歩き始めてすぐに「疲れた」と文句を言い始めた息子。その後ずっと文句を言い続け、私もなだめたり励ましたり、時には叱ったりでグッタリ。ドッと疲れた後半、山道の様子に変化が。すぐ脇が崖だったり、木の根や岩がむき出しだったりする未舗装の道にガラリと変わってきました。すると…それまでとは別人のように、息子はイキイキと歩き始めました。一見、多動や不注意もある彼を歩かせるには、危険のように思える険しい道です。そんな彼の様子を見て私は、「こんなところにも彼を満たす刺激があったのか!」と合点がいきました。運動音痴な息子。でも山登りは上手。なぜ?Upload By Chie彼は、基本的に近所を歩く時も「道なき道」を好んで歩くタイプ。歩道脇の草の生えているところや、植え込みのような所の中、1段高い場所や、除雪されていないところ、水たまりのど真ん中…そんなところを楽しんで歩き、山登りも大好きで上り下りもハイペースなのです。私が変なところに力を入れながら慎重に歩くような場所を、いとも簡単に歩いていきます。ですが、いわゆる「運動競技」となると全く様子が違い、走り方もなんだか変、球技も苦手、鉄棒も跳び箱も苦手、体も固く筋力もバランス感覚もどこへ行った?という状態です。「あんなに険しいところを上手に歩くのに、何で運動音痴なの?」なんて今まで思っていたのですが、運動能力も云々よりも、彼の場合「退屈か?刺激的か?」の影響が大きかったようなのです。注意力散漫の原因の1つは「退屈」だった!出典 : いつも刺激を求める兄妹にとって、単純に「ただ歩く」というのは退屈きわまりなく、集中力の置き場に困ってしまう。また、騒々しい街中は刺激でいっぱいですが、視覚や聴覚が刺激されるばかりで「歩く」ということがおざなりになってしまう。それらのことが原因なのか、・何もないところでコケる・普段みんなが避けて通るような障害物に簡単にぶつかる・楽な道なのに、すぐ疲れたと言うということがよくあります。その点、山歩きなどは刺激のほとんどは「歩く」ことに直結しています。余分な刺激がない環境下、自分の身体をしっかりと意識することもでき、目に入るものも適度に好奇心を刺激してくれるので、退屈すると多動になる子どもにとって山歩きはとてもいい遊びだと改めて思いました。もしお子さんが退屈に疲れ、刺激を求めているな…と感じたら、まずは近所の木々の間や公園の脇、歩いてみませんか?
2016年07月26日小学校の体育の授業って結構大変!?Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子腕の力がない!鉄棒の授業は1年生からありますが、我が子の学校では「逆上がり」の練習が始まるのは2年生からです。1年生の「前回り」や「豚の丸焼き」はクリアしたものの、腕の力が弱い我が子にとって「逆上がり」は難しく“補助板”や“くるりんベルト”が必須でした。放課後の校庭や近所の公園で必死に練習しましたが、補助具無しでは・足を真上に蹴り上げること、・腕の力で体を鉄棒に引き上げることがどうしてもできないのでした。出典 : 出典 : 「ま、出来なくてもいいか」で収めた私。でも娘は…そこで登場するのは、我が家で定番の「逆上がりは出来なくても生きていけるしね。」「逆上がりの単元が終われば次は比較的得意なマットの単元だし」「ま、いいか」でした。出典 : しかし4年生になったころ、娘は室内用のジャングルジムを見て「逆上がりができるようになりたいから、このジャンルジムを使って練習する」と言い出しました。2年生の時どれだけ練習しても出来なかったので、もうあきらめていたと思っていた私はビックリ。「実はずっと逆上がりできるようになりたいと思ってた。でも練習しているのを友達に見られるのだ嫌だったんだ。これなら家の中で練習できるから恥ずかしくない。」その時、娘は心の底では「ま、いいか」とは思っていなかったことに私は初めて気が付いたのでした。特訓開始その日から娘の逆上がりの練習がはじまりました。最初は鉄棒部分を壁に寄せ、壁を補助板代わりにし、私は勢いで鉄棒がずれないよう毎回押さえながらの練習です。毎日練習を続けるうちに娘の手にはマメができました。そのマメが潰れても、娘は練習をやめませんでした。2年越しの夢が叶う時そしてその日は突然やってきました。練習を初めて1ヶ月ほどしたある日…“くるん”娘は何の補助もなく、逆上がりができたのです。「諦めないで良かった!」と娘。「そうだね。時間がかかっても諦めなければ希望は現実になるんだね!おめでとう!!」ちょっと涙目の母なのでした。
2016年07月26日ハンチントン病とは?出典 : ハンチントン病とは、運動症状・精神症状などの症状がみられる遺伝性の神経変性疾患で、国の指定難病にされています。平均30歳~40歳頃に発症する方が多く、症状は本人が気づかないうちにいつの間にか始まっていることが大半で、約15年をかけてゆっくり進行していきます。アジアでの発症確率は10万人に0.4人と、比較的稀な疾患です。運動症状としては、不随意運動(舞踏運動)によって手足が自分の意思とは関係なく動く、精神症状としては苛立ちやうつ状態が続くことなどがあります。これらの症状は時間に伴って進行していきます。参考書籍:日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院/刊ハンチントン病の症状出典 : ハンチントン病の症状には運動症状と精神症状があり、初期・中期・後期と症状が進行していきます。しかし、人によって症状の程度には個人差があり、またすべての症状が発症するわけではありません。不随意運動(舞踏運動):自分の意思とは関係なく体が運動することを不随意運動と言います。ハンチントン病では、手足を勢いよく曲げたり伸ばしたりする動き、頭部を回したり伸ばしたりする動きや、舌を出したり、しかめ面をしたりなどの表情の動きなどがみられます。進行するにつれて、歩行・食事・着脱・排泄等も難しくなり、介護が必要になることがあります。短気・いらだち・うつ状態・不安・無気力状態等の症状がみられます。進行するにつれて症状は悪化していきます。認知能力が低下し無目的な言動が増えてきます。また、抑うつ状態が続くせいで、自殺を図ろうとすることもあります。精神症状も進行すれば介護が必要となることがあります。Upload By 発達障害のキホン症状の発症や程度には個人差があり、運動症状は初期症状でも、精神症状は中期症状等というように、症状のパターンは様々です。また上記の症状以外の症状も発症する場合があります。ハンチントン病の原因出典 : ハンチントン病は、第4染色体に局在する遺伝子(IT15 またはハンチンチンと呼ばれます)の繰り返し配列の異常によって引き起こされます。第4染色体の遺伝子の通常の繰り返し配列の長さは26回以下ですが、ハンチントン病の方は36回以上と染色体が伸長しています。この反復配列の数の長さによって発症年齢が決まり、伸長するほど若い時期に発症するといわれています。また、ハンチントン病の主な症状である不随意運動(舞踏運動)は、脳の一部で随意運動を司っている大脳基底核と大脳皮質が萎縮することで発症します。ハンチントン病は常染色体優位性遺伝といって、発病の原因となっている遺伝子が親から子に伝わる病気です。両親のうちのどちらか一方がハンチントン病の原因遺伝子を持っている場合、子どもには50%の確率で遺伝します。ただし、祖父母から孫に世代をまたいで原因遺伝子が遺伝することはありません。ハンチントン病の診断基準は?出典 : ハンチントン病の診断基準は問診や画像検査によって分かることがあります。また、受診機関もその時々の症状に合わせて横断的に受診し、専門医にも診てもらうことをおすすめします。ハンチントン病の診断は主に問診によって行われ、家族歴、臨床所見により臨床判断が可能です。しかし、確定診断は遺伝子検査により診断されます。■家族歴:近親にハンチントン病を患った方がいるか、または神経疾患や精神疾患がある方がいるかどうか。ハンチントン病の原因は親から子への遺伝によるものです。したがって、近親でハンチントン病になったことがある方がいるかどうかを問うことがあります。■特徴的な臨床所見:上記で述べたようなハンチントン病特有の運動症状(不随意運動)や精神症状を自覚または他覚できるかどうか。初期症状では日常生活中のふとした瞬間に手が震える等の軽い不随意運動が起こります。初期症状を他覚するのは難しいですが、自覚があるならば問診時に話してみることをおすすめします。神経内科や精神科を受診して、専門医に診てもらうことをおすすめします。近親にハンチントン病の方がいらっしゃる場合には、その旨を医師にお伝えください。■CT検査・MRI検査ハンチントン病の不随意運動(舞踏運動)は脳の一部の大脳基底核と大脳皮質の異常により生じるため、CT検査やMRI検査を行います。さらにこれらの検査は他の病気である可能性を否定するために行うものとされています。また、うつ病の方は共通して大脳基底核と大脳皮質の萎縮が見られますが、これらの特徴がうつ症状にどのように影響しているかはまだ分かっていません。■遺伝子検査確定診断のために遺伝子検査を行います。近親にハンチントン病の方がいて、ご自身にも自覚症状がある場合には遺伝子検査を受けることをおすすめします。近親にハンチントン病の方がいるが、ご自身に自覚症状がない場合は、遺伝カウンセリング等を受けることが一般的にすすめられています。ハンチントン病の治療法出典 : ハンチントン病の原因治療はなく、対症治療がメインになります。主に薬物療法を用いて運動症状・精神症状を和らげています。不随意運動(舞踏運動)の治療薬には2013年から使用が許可されたテトラベナジンがあり、精神症状には抗精神病薬を使用しています。参考サイト:テトラベンジン添付文書ハンチントン病と診断されたら…出典 : ハンチントン病が進行するにつれて、自分の意思を伝えることが困難になってきます。そのため、本人が自分の意思・希望を伝達するための方法を確保することが重要です。また、難病指定がされている疾患のため、医療費の助成支援を受けることもできます。以下では、診断を受けたらしておくと良い手続きなどをご紹介します。事前指示書とは本人が医療についての決断を下すことができなくなった場合に、医療についてのその人の希望を伝達するための文書です。以下の文書を作成し、手続きを行っておくと自分の意思や尊厳を優先することができます。■リビングウィル医療に関する患者の指示や希望をあからじめ表明した文書■医療判断代理委任状本人が決断を下すことができない状態に陥った場合に本人の代わりに決断を下す(代理人)を指定するための文書参考サイト:メルクマニュアル医学百科事前指示書(アドバンス・ディレクティブ)ハンチントン病は国の指定難病にされているため、医療費の助成を受けることができます。指定難病の医療費の自己負担割合は2割です。また、その他の制度による医療費がすでに1割負担となっている患者さんの場合、負担割合は1割のまま変わりません。難病医療費は世帯の所得に応じた医療費の自己負担上限額(月額)が設定されます。自己負担上限額は、受診した複数の医療機関などの自己負担をすべて合算したうえで適応されます。参考サイト:難病医療費助成制度の対象疾病についてまとめ出典 : ハンチントン病は、10万人に0.4人が発症するという極めてまれな病気です。人から人へ感染する病気ではなく、親から子へ遺伝によって原因遺伝子を引き継ぎ発症するため、生活習慣の悪化によって発症したり進行したりする病気ではありません。根本的な治療方法はまだ見つかっていませんが、不随意運動を和らげる薬や、精神症状を和らげる抗うつ薬や抗てんかん薬等があり症状を和らげることができます。症状を緩和するためにも早めに医療機関の受診をおすすめします。参考サイト:難病情報センター参考サイト:メイクマニュアル参考サイト:ハンチントン病と生きる参考サイト:メディカルノート
2016年07月25日チック症とは出典 : チック症とは、まばたきや首振りなど一見癖のように見える行為が現れる精神疾患です。2013年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版)においては、チック症群/チック障害群という疾患分類に位置づけられます。本記事では疾患の呼称をチック症と統一して説明していきたいと思います。『DSM-5』では、チックは以下のように定義されています。チックは, 突発的, 急速, 繰り返される不規則な運動もしくは発声(例:瞬目, 咳払い)である.(DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 日本精神神経学会医学書院p239)チック症は心の動きと関係があると考えられており、決して稀な疾患ではありません。一般には幼児期(3~4歳)から始まり、学童期(7~8歳)に特に多く症状がみられます。しかしこれは、大人になるにつれて自然に治癒する傾向があります。チック症の主な症状出典 : チック症の症状は、動作の種類と動作の持続時間により、4つのグループに分けることができます。まず、生じる動作の種類によって音声チック・運動チックに分けられ、さらに、その動作の持続時間によって単純性チック・複雑性チックと分類されます。チック症の症状分類方法と具体例を一覧表にまとめたのが、下の図になります。一つひとつ、具体例とともに見ていきましょう。Upload By 発達障害のキホン■音声チック音声チックの症状としては、咳払いがもっとも多くみられます。他には、単純な音声や複雑な発声、汚言、卑猥な言葉などがあります。咳払いは日常よくみられるものであるため、周囲の人もさほど気にかけないことが多いです。他方、「あー」といった甲高い奇声や汚言は、周囲の注目をより集めやすい症状となります。本人が周りの目を気にして登校を渋ったり、外出を控えることも少なくありません。■運動チック運動チックとは一見すると癖に見える、まばたきや肩すくめなどの身体の動きのことを言います。例えば、まばたきは日常動作でみられるものであり、多少まばたきが多くても周囲の人間はあまり気にしません。しかし顔や肩の動きといった目立ちやすいチックでは、周囲も本人も気にしやすいと言えるでしょう。また、手のチックなどでは、字を書くのが困難になるなど、日常生活に支障をきたすことがあります。■ 単純チック一般に瞬間的(1秒未満のことが多い)に発生し、明らかに無意味かつ突然起こるものです。■複雑チック単純チックに比べて動きが少し遅く、意味があったり周囲の環境に反応しておこるように見えるものです。チック症の4つの診断分類とその基準出典 : 年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版)の診断基準を参考にすると、チック症の診断は以下の4つに分けることができます。①トゥレット症群・トゥレット障害②持続性(慢性)運動または音声チック症・障害③暫定的チック症・障害④他の特定されるおよび特定不能のチック症群上記の診断分類によらず、4つすべてに共通する診断基準が3点あります。・発症が18歳以前であること・物質の生理学的作用(例:コカイン)または他の医学的疾患(例:ハンチントン病、ウイルス性脳炎)によるものではないこと・一度ある階層レベルのチック症と診断されると、それより下位の階層の診断がなされることはないこと続いて、診断分類ごとの症状と基準を見ていきましょう。以下の基準に当てはまる場合は、トゥレット症群・トゥレット障害と診断されます。・多様な運動チック、1つ以上の運動チックの両方が同時とは限りませんが、症状のある時期に存在する・チックの頻度は増減することがある・最初にチックが始まってから一年以上持続している以下の基準に当てはまる場合は、持続性(慢性)運動または音声チック症・障害と診断されます。・①にあてはまらない・1種類または多様な運動チック、または音声チックが同時に存在したことがある・運動チックと音声チックの両者がともにみられることはない・チックの頻度の増減することある・最初にチックが始まってから一年以上は持続している※該当する場合、運動チックのみ・音声チックのどちらかかを特定する必要がある以下の基準に当てはまる場合は、暫定的チック症・障害と診断されます。・①②にあてはまらない・1種類または多様な運動チック、または音声チックが病期に存在したことがある・運動チックと音声チェックの両者がともにみられることはない・チックの持続は最初にチックが始まってから一年未満であるチック症に特徴的な症状はありますが、チック症または精神発達症の診断分類の中で、どの疾患の基準にも当てはまらない場合はこちらに分類されます。・他の特定されるチック症:臨床家が、チック症または特定の神経発達症の基準を満たさないという特定の理由を伝えることを選択する場合・特定不能のチック症:臨床家が、チック症または特定の神経発達症の基準を満たさないとする理由を特定しない場合、およびより特定の診断を下すのに十分な情報がない場合以下の表は、チック症の診断分類とその基準を簡潔にまとめたものです。Upload By 発達障害のキホン 精神疾患の診断・統計マニュアル(日本精神神経学会医学書院)チック症を引き起こす要因出典 : チック症の要因は、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)によると以下のように推定されていますが、厳密には特定されていません。ただし少なくとも、身体的要因と環境的要因の両方が影響していることが分かっています。「病因に関しては、トゥレット症候群を中心とした研究から慢性チックは遺伝的要因と環境要因とが合わさって関与しているという理解が形成されてきた。遺伝的要因としては双生児研究や家族研究からトゥレット症候群に家族集積性が指摘された。また環境要因としては胎生期や周産期の障害の関与が関係されてきている。最近注目されているものとしては溶連菌感染症の自己免疫疾患(pediatric autoimmune neuropsychiatric disorders associated with streptococcal infections: PANDAS)という概念も存在するが、チック障害のすべてをそれだけで説明することは難しいようである。(『ICD-10精神科診断ガイドブック』中根允文・ 山内俊雄、医学書院)遺伝的要因と生理学的要因は、チック症の出現率と重症度に深くかかわっています。例えば、低出生体重、妊娠中の母親の喫煙などが挙げられます。不安や興奮、激しい疲労によりチック症は悪化し、落ち着いて集中しているような環境では症状が安定する傾向があります。そのためストレスがかかる条件下ではチック症が起こりやすいといえます。チック症によく見られる合併症出典 : チック症のある人は、他の障害も合併していることが少なくありません。代表的なものとして、ADHD(注意欠陥・多動性障害)と強迫性障害が挙げられます。チックに関連した疾患の中でも、多彩な運動性チックと音声チック、および特異な性格傾向を示すトゥレット症候群では、40%以上に注意欠陥・多動性障害(ADHD)を合併します。また学習障害を合併していることもあります。 鑑別診断としては意識がはっきりしていて、不随意運動をきたす様々な疾患が対象となります。すなわち舞踏(ぶとう)病、突発性ジスキネジア、部分てんかんなどです。チック症の治療出典 : チック症は、一般の小児科や心療内科で診察・治療を受けることができます。上述した、『DSM-5』(米国精神医学会編集による『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版)の基準をもとに診断が下されることが一般的です。診断の後は、一人ひとりの症状にあった治療をすることが重要となります。軽度の場合:できるだけ身体や心理的なストレスを減らす環境を整えましょう。遊戯(ゆうぎ)療法などの行動療法的なアプローチ・心理療法、親へのカウンセリングが重要となります。重度の場合:薬物療法が有効となります。主としてハロペリドールやリスペリドンなどの向精神薬が挙げられます。症状が長期・慢性化し、多発・激症化などする場合は、お近くの子ども専用の精神科を受診しましょう。ただし副作用として、ふらつきが生じる場合があります。年少者に使用するときにはとくに注意が必要です。初診の場合、かかりつけの小児科・神経内科・精神科の病院やクリニックが適しています。チック専門医の受診でなくても問題ありません。年齢・症状の程度によって受診する科が異なりますので、以下を参考に診療科に選ぶことをおすすめします。■小児期(0~15歳)の場合症状が軽度な場合はかかりつけの小児科を受診しましょう。重度の症状が出現している場合もしくは、かかりつけの小児科での受診が難しい場合は診療情報提供書(紹介状)を作成してもらい、専門の病院を受診することをおすすめします。■青年期(15~24歳)の場合軽度・重度ともに、神経内科もしくは精神科を受診しましょう。チック症の体験談出典 : 発達ナビでは、チック症について次のような質問がよせられました。弟はチック症でしょうか?弟は20歳なのですが、舌打ちを急にしたり、人の嫌がる言葉を話したりします。外でどのような態度かは分からないのですが、家の中では家族がいる目の前でも急に人が不快になるようなことを言ったりします。また、口から出す音もかなり不快でとてもイライラします。私から何か言うと全身をかきむしったりします。これらの症状が気になって調べたところ、「チック症」というものを見つけました。このような症状はチック症なのでしょうか?これに対して、投稿された回答の一つをご紹介します。「人の嫌がる言葉」「口から出す音」「年齢が20歳」から、もしかしたら息子と同じトゥレットの可能性があるのかな?と思いコメントしています。一般的に言われるチックはストレスや疲労により、一過性で出ます。だから出たり消えたりです。トゥレットなら手足や顔面が動く「動作チック」と口から意味不明な音を出す「音声チック」が様々な形で、出てきます。その中でも「人の嫌がる言葉」は「汚言症」とも言われています。「動作チック」は私自身が見なければ(視界に入らなければ)やりすごせるのですが、「音声チック」は嫌でも耳に入ってくるので、少々つらい時期もありました。幸い「汚言症」はそんなにひどくはならなかったのでよかったのですが、ひどくなったらタルトさんのように辛かったと思います。今でも「ぐんぐん!」「あ~は~」など言いますが慣れたので気にならないし、外ではかなり抑えているようです。どちらにせよ、ストレスや疲れは症状を増幅させるので、ゆったりリラックスできたらいいですね。ストレスを減らし、疲れを減らすことで症状を軽減することができるようです。本人がストレスを感じず快適に過ごせる環境を見つけることで、より安定した生活を送ることができるでしょう。子どものチックが気になるとき、保護者の方に意識してほしいこと出典 : チック症の症状は、まばたきや首振りなど一見癖のように見える行為も少なくありませんが、単なる癖ではない精神疾患であるため、無理やりおさえつけるのではなく、一人ひとりに合った治療や支援をおこなうことが重要です。お子さんに、「チック症かな?」と思われる、気になる症状がある場合は、以下のような点に注意してお子さんと関わってみてください。・症状の出現をやめるよう、いたずらに叱責して注意を促すことは避けましょう。・チック症をを引き起こす緊張状態や不安を軽減することで、症状を和らげることができます。- 全身発散など気を紛らわせることも有効です。- また長期的な取り組みとして、緊張や不安をもたらす場面に対する耐性や精神的抵抗力を高めることも有効です。・本人の意識、理解:本人がどのように症状を認識しているのか確認し、年齢に応じて説明することが大切です。・チック症かどうかが気になる場合は、ご家庭だけで判断せず早めに小児科や心療内科に相談しましょう。チック症には、周囲の理解とサポートが不可欠出典 : チック症の多くは一過性の精神疾患であり、成人期初めまでに症状が改善することが大半です。しかしごく稀に重症なチックが続いたり、成人後に再発したりすることがあります。チック症のある成人の方が日常生活を円滑に行えるようになるためには、なによりも周囲の協力が欠かせません。家族および周囲の人に症状を説明し、理解を求めましょう。また症状が長期化・悪化する場合には抱え込まず、小児科や精神科などの医療機関へ受診しましょう神経系疾患分野トゥレット症候群(平成22年度)(難病情報センター)チック(チック症)の症状や原因・診断と治療方法(goo ヘルスケア)チック症(医療法人社団雅会前田クリニック)チック症の症状・原因・治療(All About健康・医療)トゥレット障害を含むチック障害(発達障害者支援関係報告会金生由紀子) 精神疾患の診断・統計マニュアル(日本精神神経学会医学書院)精神科診断ガイドブック(中根允文・山内俊雄、中山書店)
2016年07月25日私は、子どもの支援ツールを作って、情報発信をしています私は子育てのかたわら、アイデア支援ツールを多数発明し「楽々かあさん」として、凸凹子育てや支援に役立つ情報の発信を続けています。最近、「どうしたらそんなにアイデアが出るんですか?」という質問を、取材等で頂く機会が増えました。子どもに合わせた支援ツールを作るコツは、・子どもの話を否定せずによく聴く・行動をよく観察し、困りや作業性に注目する・使用感を確かめながら調節する…ということになりますが、本当の理由は「体質的にアイデアが出やすい」から。そう、実は私「大人の凸凹さん」なんです。うちの子達と同じような凸凹傾向があり、得意なことがある反面、できないことや苦手なこともたくさんあるんです。楽々かあさんの活動「発達障害アイデア支援ツールと楽々工夫note」(Facebookページ)わが家は、片付けが得意な人が1人もいない!出典 : 我が家には、片付けの得意な人が1人もいません。家族5人+犬1匹、全て出しっぱなし、散らかしっぱなしです。最低限の工夫、ゴミだけは拾い、無くすと困るものには専用BOXやヒモをつけて管理する、という事だけはしています。そんな私は以前ネットで見た「天才は机が汚い?」といったまとめ記事を、とても励みにしています。スティーブ・ジョブズやアインシュタインなど、革新的なアイデアと創造性を持った著名人の多くは机の上が散らかっている、というのです。「片付けられない」のは必ずしもマイナス面ばかりではない、と、ものの見方を変えるきっかけになりました。実際の所、クリエイティブで革新的なアイデアのひらめきを得るには、モノが散らかっている状態は、理にかなっています。ハリウッドの脚本チームなどが用いる「ブレインストーミング」というアイデアを生み出す手法も、キーワードの書かれたカードをランダムに並べて、一見無関係な情報同士を結びつけ、斬新な発想を得ようとする試みです。「片付けられない」人たちは自分の頭の中だけで、いつでも実行できてしまうのだと思います。部屋の散らかりは、単にその特徴の表れに過ぎないのです。私は「片付けられない」のは、クリエイティブで発想力豊かな証拠だと思っています。Upload By 楽々かあさんまとめ「歴代の天才たちも…デキる人ほど机が散らかっていた」「情報が捨てられない」苦しさはあるけれど…出典 : そして、私自身の頭の中も、情報の選別が苦手です。視覚と聴覚両方に過敏性があり、長期記憶が得意なのであれこれと見聞きしたことは、大事なことも些細なことも、大量の情報を受け取ったまま、分別せずにストックし続けてしまいます。つまり、記憶の整理整頓も苦手なんです。これは、ちょっぴりしんどいことでもあります。何十年も前のイヤなこと、腹の立つこと、悲しいこと、あるいは自分の失敗体験なども忘れることができず、ちょっとしたきっかけで、芋づる式に次々と頭の中で再生されて、その度に、何度も同じ気持ちを味わうからです。そして、文字情報もまるごと受け取ってしまうので、大量の文字と一緒にそれを書いた人の苦しさなどの感情にも共鳴しやすく、文字の羅列に目が回ったり、一緒に胸が苦しくなってしまったりもします。大量の「ちょっとほろ苦い情報」も、冷蔵庫の奥のパック寿司のオマケのショウガやわさびの小袋と同様、なかなか捨てられないのです。でも、こういった膨大な情報のストックがあるからこそ、できることもあるんです。そして、いつも頭の中は臨月の妊婦のごとくパンパンで苦しいので、「なんとかそれを形にして産み出して早く楽になりたい!」という気持ちも強いのです。良い言い方だと、これは、「創作意欲」と呼ばれます。Upload By 楽々かあさん誰しも、凸と凹はセット。苦手克服だけに頑張らないつまり、私の「アイデアが出やすい」「創作意欲が強い」という長所は、「片付けができない」「モノが捨てられない」といった短所と、表裏一体なんです。凸と凹は、セットです。我が家の育児でも、苦手な凹の克服を頑張り過ぎてしまうと、せっかくの素敵な凸も消えてしまいます。ですので、最低限、本人や周りの人が日常生活に大きく困らない程度の工夫をして、自分と上手につき合う方法を身につければいい、と考えています。うちの子達が何かに困ったりつまずいたり、学校で何かやらかしたりすると、それをきっかけにアイデアを生み出すための「スイッチ」が入ります。トラブルがあるから、アイデアが出るんですね。ピンチはチャンス、とはよく言ったものです。そして、「どうしたら」ハードルが下がるのか、伝わり易いのか、自信になるのか、と具体的に考えます。そんな時に例えば、洗濯たたみなどの単純な動きの手作業をしながらぼんやり考えていると、過去の膨大な雑情報が次々と結びつき、ジグソーパズルのようにピタピタとアイデアのピースがはまっていきます。そして、「いいこと思いついた!」という瞬間がやってきます。でも短期記憶が弱く、すぐに大事なことを忘れてしまいがちな私は、その場でふせんにメモを書いて、A4の大きなスケジュール帳に、その都度貼っておくのです。そんなことを家事の合間にしていると、いつも「ついうっかり」こんなことになります。Upload By 楽々かあさん…同時処理の苦手な私は、うっかり者の長男のことを偉そうに注意できる立場ではないのです。苦手なことが多いから、できない人の気持ちが分かる。出典 : でも、そんな苦手なことや、短所・欠点・失敗も多い私だからこそ、子どもの凹の部分の「できない目線」に合わせることができます。うちの子が何につまずいているのかが手に取るように分かり、どんな子にも分かりやすい工夫のアイデアが次々と浮かびます。そして、アイデアが出やすいことを活かして「楽々かあさん」として、日々の発信や執筆活動を通し、多くのお子さん・お母さんの役に立つことができるのです。反面、対人関係の苦手さや集中力の偏りもあり、環境に左右されやすく、メンタルも決して強くはありません。だからこそ、「育児・療育を頑張り過ぎて疲れてしまう」「我が子が可愛いと思えない時がある」なんてお母さんのお悩みにも共感できるし、できない気持ちに寄り添うことができるのです。「お母さんはいつも笑顔で!」「イライラしてはダメ!」ではなく、育児を毎日頑張っていればつい怒ってしまうのも、イライラするのも当たり前。子ども同様、親にだって「頑張ってもできないこと」があるのを大前提にしながら、「どうしたら」怒らなくても子どもに伝わり易いだろうか、と日々考えています。その考えが「声かけ変換表」を作ったり絵や図で説明したり、道具を工夫し、子どもやお母さんたちのハードルを下げることにつながっています。育児を頑張りすぎて疲れてイライラしてしまう時、「どうしたら」コンディションを持ち直すことができるのか?他の人の力をどう借りていけばいいのか?という具体的な対処法も伝えることができます。言葉の選び方へのこだわりも強いので、デリケートな育児をしているお母さんたちに、思いやりのある表現で文章を書くことができます。このように、私は自分の凸の部分と同じくらい、凹の部分を財産のように思っています。凸も凹も、どっちも大事。両方あるからこそ、私の「アイデア支援ツール」が、次々と生まれて来るんです。関連ブログ「『今が100点』からスタートする。療育を頑張り過ぎて疲れているお母さんへ。」参考書籍・著書「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」
2016年07月25日女優を始めてから、東京での1人ぐらしを開始出典 : 編集部:女優を始めたときは、地元の奈良から通われていたんですか?津田:最初はそうですね。お仕事を始めてからは、できるだけ学校も頑張って行こうと思っていました。お仕事で学校を休む必要がある場合も、そもそも不登校だったのでむしろ「仕事」という明確な理由がある欠席はあまり気にならないというか…(笑)編集部:奈良から毎回東京まで通うの、大変そうですね…津田:いや、新幹線に座っているだけなので(笑)長期間講演する舞台が決まったときに本格的に上京しましたが、それからの方が大変でした。編集部:1人暮らしですか?津田:そう、1人ぐらし。21歳ごろかな。それまで親がやっていくれていた家事の大変さと、「1人じゃ何も出来ないんだ」ということを痛感しました。トイレから水が出てきちゃった時は、業者よりも先に父に電話して、「なんや、どしたん」と助けてもらい、指示されるがままトイレのタンクを開けて…と、初めてのことだらけでしたね。編集部:あはは(笑)津田:料理もしてこなかったから、唐揚げをつくったときに火災警報器がなってしまった事もありました!編集部:えっ…でも最初から揚げ物とは、難易度の高い挑戦ですね。津田:いや〜ホントですよね(笑)聞こえないのにわかったフリをしていた。それも、もう出来ない。津田:この1人暮らしのおかけで強くなれました。今も親とは離れて暮らしていますが、もし今近くに親がいたら、息子の市役所も保育園も「着いてきて」って甘えてしまうと思います。やっぱり大勢の中でのコミュニケーションが聞き取れないので…1対1なら「もう少しゆっくりお願いします」と言えるのですが、集団になるとどうしても言えずに「何言っているんだろう」という時間が続いてしまうんです。編集部:そんなときはどうしているんですか?津田:例えば保育園の保護者会とかは、終わって他のお母さん達が帰ったあとに先生に声をかけて、「すいません、もう1回お願いします」と言うようにしています。津田:昔はそれが出来なくて、いつも「わかったフリ」をしていました。アルバイトをしていたときも、店長がスタッフ2,3人に指示をだしたとき、隣の子が「はい」って言ったら、何を言われたのかわかっていなくても、とりあえず私も「はい!」と返事をする。後で「あれ、何注意されたんやっけ」と困ることもしょっちゅうありました。それは舞台の稽古でも同じで、監督に言われたことが聞こえてないのに質問できずに後で困る。小さい頃から、「わかったフリはしないで、ちゃんともう1回聞けばいいんだよ」と親には言われてきたけれど中々できず、社会に出てその大切さを痛感しました。編集部:そうなんですね。津田:「わかったフリ」が私の癖になっていたので、最初の頃は「もう1度教えて下さい」と聞き直すのはとても勇気が必要でした。でも、聞かないと自分が困るし周りにも迷惑かける。だからちょっと勇気を出して聞いておこう。そう思えるようになったのは、1人暮らしのおかげですね。聞こえないことを恥ずかしいと思ってた。変えてくれたのは友人の「手話ってかっこいいね」出典 : 編集部:「自分は聞こえにくいんだな」と気づいたタイミングなど聞いてもいいですか?津田:幼稚園くらいの時は、大人が話しているのが「喋っているんだろうけど、何言ってるのかわからない」という状況でした。でもそれを「聞こえないな」とは思っていなくて、「まだ子どもだから」だと考えていたんです。編集部:あ、なるほど。津田:はい、「大人になるとあんな感じで話すんかな」と思っていました。聞こえる人とのコミュニケーションが家だけだったので、自分が周囲と違うという事に気づいていませんでした。小学校に入り、聞こえる学校とろう学校を行き来する中で「自分は聞こえづらいんだ」と知り、中学に入ってからは「聞こえないことは恥ずかしい」に変わりました。補聴器も、人前で手話をするのも恥ずかしい。編集部:恥ずかしい、ですか。津田:そうですね、そう感じていました。人より聞こえないから補聴器をつける、人より出来ないから手話を使う。でも、少しずつ変わっていきました。学校を卒業して、コンビニや焼き鳥屋さんの店員など接客のアルバイトをしていた頃です。お店に聞こえない友達が来てくれて、自然と手話で接客をしていたら、バイト仲間が「手話ってかっこいいね」と言ってくれたんです。それから恥ずかしいとは思わなくなっていきました。編集部:確かに、私たちからすると「もう1つ言語を持っている」と感じるから、かっこいいなと思うときはありますね。津田:そうですか?嬉しいです。ろう学校のクラスメイトの中には、大学に行く子もいましたし、重複障害があって職業訓練校に進む子もいました。私のようにアルバイトをしていた子は、あまりいなかったと思いますね。
2016年07月25日苦手な「感情のコントロール」のために、イライラしたら読書をする息子出典 : 息子は小4のころ、感情のコントロールがとても苦手でした。ある日、家に1冊の本をランドセルに入れて学校へ持っていくようになりました。「番ネズミのやかちゃん」という本で、小さい時から読んでいたなじみのある本です。その理由はさっぱりわからずにいたのですが、しばらくして、息子の支援級の連絡帳を見て謎が解けました。先生からのコメントで、「凄いですね~。自分の感情をコントロールすることを覚えています。イライラしたり落ち着かなくなった時に、番ネズミのやかちゃんを読むとクールダウンするのだと教えてくれました。素晴らしいことです。」と書いてありました。本を見ていると落ち着くことを自分で発見したことに感心しました。私は、それなら「気持ちのコントロールが苦手な子どもに合った絵本はないかな?」と探し、1冊の本を見つけました。自閉症のお父さんが綴るブログで見つけた1冊は、「子ども主体に学ぶ本」Upload By なちゃりんこれは、息子と同じ自閉症スペクトラムのお子さんを持つお父さんのブログで発見しました。毎日子どもと向き合うお母さんやお父さんからのリアルな情報は、専門書を読むより、すごいですね!お子さんの「イライラ」に悪戦苦闘したお父さんが紹介していた、記入式のワークブック。これはきっと息子にも合うだろう、と思った私は早速購入!したものの…実際には全く目を通す暇がないまま放置していました。そんなある日、ふと思いたって「この本良いらしいから、クールダウンしたいときに読んでみて」と、息子のランドセルに本を突っ込みました。その日の連絡帳に「今日1日、『だいじょうぶ』の本をお借りしてもよろしいでしょうか」と先生からコメントがありました。いきなり突っ込んだあの本、息子が読まずに先生に見せたのだろうか?何があったのだろう…?その翌日、丁寧に封筒に入れて本は返却されました。「目からうろこでした。私、今まで対応を間違えていたかもしれません。この本は子ども主体に考えられていて、考えされられる内容でした。早速明日から、〇君と一緒にワークに取り組んでみたいと思っています。」と先生からのメッセージが書いてありました。「借りたい」というのは、そういう事だったんですね!その日から、毎日学校でちょっとした時間に息子と一緒にワークに取り組んでくださいました。そして、息子が持ち帰ったワークブックを開いてびっくり!いっぱい書き込まれていました。Upload By なちゃりんUpload By なちゃりん「本人のいない支援」「大人主体の支援」をなくしていけるように。発達に特性を持つ子どもを取り巻く環境を整えることは、言葉ほど簡単ではないことも痛感しています。「環境」には「人」も入ってくるのです。幸い、何より本人の思いを尊重し一緒に考えてくれる先生方に見守られ、息子は安心して学校生活を過ごせています。この先生は、いつも子ども自身と相談して決めてくれる方でした。学校行事の参加についてなど、大人が主体で考える事が多く、ともすれば本人の気持ちや感覚障害からくる辛さ・苦しさをも無視されてしまいがちです。ですが、行事に参加するときには、息子のどんな行動が予測され、どうすれば本人がつらくないのか?「できた。がんばれた。」と自信に変えていけるにはどんな工夫があるか、考えてくれるのです。Upload By なちゃりん支援が必要な子の親でいると、ついそこに「親が望む知識と理解と支援」を求めてしまい、ほんのわずかなズレを感じて学校や先生とのコミュニケーションが上手くいかなくなることもあるかと思います。それでも私は、「これはいいかも」「こんな方法はどうかな」と考えていることを、有りのままにお伝えし周囲の大人(先生方)に協力をお願いすると共に、子どもを蚊帳の外には絶対おかないよう心がけています。小学校6年になり思春期に突入した息子は、まだまだ感情・行動のコントロールが苦手な場面もありますが、現在でも時々このシリーズに目を通しています。自分の特性に向き合い、自己コントロールすることを覚えたのです。「だいじょうぶ!きみならきっとできるよ!」私も時々口にしては、親子で自己暗示をかけています。お子さんが障害を受容し、自己コントロールができそうな年齢になったらお勧めの本です。だいじょうぶ 自分でできる怒りの消火法ワークブック
2016年07月24日使いたくて仕方なかったベビースリング出典 : 子どもが生まれたら使ってみたいと思っていた赤ちゃんグッズには、何がありますか?私はベビースリングでした。現在小学1年生の息子がまだお腹にいたころ、出産のための里帰り直前まで仕事を続けていた私。それもあって母親学級には行かず、健診先の産科でもらったパンフレットを見ながら必要なものを購入、欲しい情報についてはインターネットで検索していました。そんな過程で知ったのがベビースリングという抱っこ紐の存在。詳しく調べてみたら、赤ちゃんは子宮の中にいるのと同じように背中を丸めて膝を曲げ、股関節を外側に向けた体勢でいると安心できる。それに最適なのがスリングであるとのことでした。お母さんのお腹の中にいるような安心感で、ぐっすりすやすや眠る赤ちゃんの姿を想像し、たいそうときめいたものです。生後2週間から2,3歳まで使えて持ち運びも便利!とても魅力的なものに感じられ、私はすぐに購入。使えるその日を楽しみにしていたのですが…。スリングの使い方まとめ。新生児に使うときの注意点は?どうしてスリングが使えないの?出典 : 生後2週間を過ぎ、息子を連れて産科へ行く日が訪れました。いよいよスリングが使えるチャンスです。前日に練習をしようと、購入したお店からもらったガイドに従い、息子を優しく抱き抱えスリングの中に入れたところ…息子、まさかのギャン泣き。「こんなところに俺を入れるな」とばかりに手足を伸ばし、顔を真っ赤にして怒るのです。様子を見ていた私の母は、「この子は単にこれ(スリング)が嫌いなんじゃない?」と声をかけてくれたのですが、「赤ちゃんはスリングの中で安心できる」とインプットされてしまったアスペルガーの私には、そんな言葉をにわかに受け止められるわけがありません。「スリング嫌がるなぜ」といった語句で検索すると、「股関節の異常」「母親のイライラが伝わっている」「コミュニケーション、スキンシップ不足」などなど、出るわ出るわネガティブな情報が!!!産後で気力も体力も低下していた私はこれらの情報で不安を煽られ、一気に落ち込みモード。「どっちみち明日病院に行くんだし、心配なら相談すればいいじゃないか」と両親になだめられながらも、めそめそと泣きながらその日を過ごし、翌日は別のベビーキャリーを使って息子を連れて行くことにしたのでした。不安はスリングのことだけじゃなかった…!出典 : 「うーん、どこも悪くないと思うよ。息子さん、足腰しっかりしてるし」スリングを嫌がる件について相談した私に向かって、産科の先生はニッコリと微笑んでそう言いました。「でも、スリングって初めてだと難しいかもしれない。ちょっと試しに息子さんを入れるの見せてもらってもいい?」先生に促されて前日同様スリングに入れると、やはり息子は手足を伸ばしてギャン泣き。「先生、私のやり方、おかしいですか…?」オロオロしながら問うと、「ううん、ちっとも」と再びニッコリ。「ノゾミさんのお母さんがおっしゃるとおり、息子さんは単にスリングが嫌いなのかもね。だって、正しい入れ方をしているし、股関節だって異常がない。もしインターネットの情報通り、イライラが伝わっているとしたら、スリングを使わなくても泣いてるんじゃない?」言われてみれば、確かに先生のお言葉どおり。「30代の女性がみんなノゾミさんと同じかといったら、そんなことは全くないでしょ?赤ちゃんだってそう。スリングが好きな子がいれば、どうしたって嫌いな子もいるんだよ」納得できると感じつつ、まだ不安が払拭できずにいる私を見て、先生はこう続けました。「あとね、“お母さんのイライラが伝わる”っていうの、確かにあるかもしれない。でもね、だからって大騒ぎするほど赤ちゃんはヤワじゃないよ。お母さんと一緒に頑張って、命懸けで生まれてきたんだから。息子さんの強さを信じてあげて!心配なことがあれば、私たちに相談してくれてもいいし、ご両親に聞いてもらってもいい。ただ、息子さんの強さだけは信じてあげて欲しいの」その言葉で私は気づきました。スリングのことだけじゃなく、たくさんの不安を抱えていたことに。初めての育児はわからないことだらけで、怖くて怖くてたまらなかったことに。こわばっていた何かが一気にほどけたような感覚がこみ上げ、私は無言で頷いたあと、ボロボロ落涙したことを今でもよく覚えています。息子のおかげで力づけられた出典 : その後スリングを使うことなく息子は成長、数年が経過して自閉症スペクトラムの可能性を指摘されました。発達障害に関して無知に等しかった私が情報収集していると、「自閉症スペクトラムの赤ちゃんは、抱っこを嫌がることがある」という記述に出くわし、ハッとしました。乳児だった息子がスリングを嫌がったのは、自閉症スペクトラムと併発する感覚過敏があったからなのかもしれません。とはいえ、「今更わかったところでなんなのよ」という話で…。当時を振り返ると不安だらけで落ち込むことも多かった乳児期ですが、スリングの一件で気付けたこともあったのです。それは、「息子さんの強さを信じてあげて!」という産科の先生の言葉に力づけられ、迷ったり悩んだりもしつつ「息子の強さを信じよう!」と私が思えたこと。これは息子がスリングを嫌がったからこそ。つまり、育児の不安で頭がいっぱいだった私を先生が力づけてくれたのは、息子のおかげでもあるのです。「そう考えると、やっぱりうちの息子は強いんだなあ」と妙なことに感心しながら、「でかした、アスペ息子」と思わずつぶやくアスペ母こと私なのでした。
2016年07月24日入学早々の「もう学校行かれへん」!一緒に学校に行ってわかった躓きの原因新しい環境に慣れるまで時間のかかる長男は、入学早々「学校行かれへん!」となりました。学校に慣れるために、私は付き添い登校を始めましたが、様子を観察するうちに長男には「通訳」役が必要だということが分かってきました。付き添って始めて見えた、学校生活の躓きを3つご紹介します。もし、今登校しぶりをしている子も、似た出来事で躓いているかもしれません。■1取り組むだけで精一杯、そのときに言われる「早くして」の一言出典 : 手洗い場を使っているとき、後ろに並んでいた女の子が「早くして」と言いました。その瞬間、ものすごい勢いで振り向き、怒った顔で私のほうを見た長男は、今にも暴れ出しそうでした。長男からすると、たくさんの子どもたちの前で手を洗うだけでも精一杯なのに、「早くして」という今以上に努力することを要求された、もうどうしていいかわからない!と、頭がいっぱいになってしまったのだと思います。「そういう時は『わかった』って言えばいいねん。『早くしてね』は『スピードアップしてね』という意味もあるけど、『待ってる人のことをちょっと気にしてね』という意味よ。『オッケー、あなたの気持ちは受け取った』という印に『わかった』って言えばいいねん。そしたら、相手もホッとするから。」すると、長男は落ち着きを取り戻し、手を洗うことができました。私たちは言葉を、文字上よりも広い意味合いで使っていることがあります。「そんなに騒ぐなら、もうお終いだよ」という言葉も「静かにしてね」と伝えたいだけ。定型発達の子どもたちなら、言葉に含まれるメッセージを自然に察することができるかもしれませんが、長男には戸惑ってしまう原因にもなるのです。■2「さあ始めよう」だけでは、何をしたらいいかわからなくなる出典 : 掃除の場面でも躓きがありました。「机ぞうきん係」の日、先生から「さあ、がんばろうね」と言われても何をしていいのかわからずイライラしていたのです。「机ぞうきん係の仕事は、ほうきが終わったころに、ぞうきんで床をふいて、だいたい全部ふき終わったころに、机を移動させることだったよね。先生の『さあ、がんばろうね』という言葉を聞いたら、ぞうきんを手に持つ、そして床ふきを始めること。じゃあ、まず、手に持ってみよう」と長男に伝えてみました。先生には、・「今からこの机を一緒に運ぼう」など、今やることを具体的に指示してほしい・「怒っている」「さぼっている」ように見える時でも、言葉の意味がわからなくてどうしていいかわからないときが多い・何をするかわかれば落ち着けること・粗大運動が苦手なので、できれば「できる仕事」を振り分けてもらえるとありがたいの4つを伝えました。「指示される」→「実行できる」→「助かったよ、ありがとうと言われる」という経験を重ねると、先生との信頼関係が増すように感じます。もし分からないことがでてきても「先生に質問する」という気持ちが新たに芽生え、教室で困っている時間が減るのでは、と考えています。■3友達に謝る場面、同級生からの注目で混乱してしまう出典 : 感覚が過敏な長男は、ちょっと肩がぶつかり合うだけで反射的に反応してしまい、強く払いのけてしまうことがよくあります。お互いに「あ、ごめんね」と言えば場が収まるのですが、長男はとっさに言葉で伝えるのがとても苦手。相手の子は、払いのけた手が当たり、痛みと驚きの表情で長男を見ています。そんなとき、周囲の子ども達は「かわいそう」「早く謝ってあげてよ」と注目するのです。こういう「出来ないことを要求される」「大勢の人に注目される」という長男がとても苦手な場面が学校生活には沢山あるのです。これではパニックを誘発するのは時間の問題です。思い切って間に入り、「ほら、○○ちゃん、痛かったって」と話しかけ、長男の注目を私に向けました。それから「混み合ったところが苦手なのはわかるけど、こういう時は『ごめんね』って言えるといいね」と伝えました。そして相手の子や周りの子ども達には「お話しするのがとても苦手で、『ごめん』って言うの、いま練習中やねん」と説明しました。「『ごめんね』って、ホントにすごく大事な言葉だね」と子どもたちに伝えることで、場の緊張が解けるのを肌で感じました。息子の成長、クラスの友達の見る目にも変化があった出典 : 付き添って「通訳」すると、落ち着いて取り組めることも増え、長男は成長していきました。そして先生やクラスメートの長男への見方も変わっていきました。少しずつ学校生活に慣れ、困ることも少なくなり、2年生から特別支援級に所属したところで、「通訳」を支援級の先生にバトンタッチしていきました。・明確、端的に伝えてもらえるとありがたい・時間があれば、前もって1対1で少し話しておいてもらえるとよりスムーズと、先生へ伝へています。先生方へ伝える事を「迷惑じゃないかな」と心配する保護者の方もいるとは思いますが、困っている本人だけでなく、支える周囲の人も「何をすればいいのか」具体的にわかれば、サポートできる事が増えると思いますし、お互いに気持ちよく過ごすヒントにもなっていくと、私は考えています。
2016年07月23日文字に全く興味を持たなかった息子長男は幼稚園の頃、文字の読み書きが非常に苦手でした。手紙のやり取りなどで自然に文字の読み書きが上達していく女の子に比べ、長男は一向に興味を持たず。その成長のしなさ加減ったら例えようがありません。しかし私は、これもADHDの特性の1つなのだろうなと思っていたので、好きなことを思う存分楽しんでくれたらそれで良し!文字の読み書きは小学校に入るまでになんとなくできるようになればいいだろう、と思っていました。長男の場合、興味のないことを無理強いさせてもストレスになるだけで逆効果。このため、私は「自然に興味を持ったらやらせる」というスタンスにしています。小学校に入り、現在はそうは言ってられない場面もありますが。一向に文字に興味を持たず迎えた年長の3学期。息子のなかで急に意識が変わってきた出来事がありました。それは…Upload By ラム*カナすごろくを作ることがマイブームになったのです。息子はもともと数字が大好きだったので、数字が大いに関係するすごろくゲームが大好きでした。自由な表現をすることが大好きなのも相まって、手作りすごろくに大ハマリしたのです。出来上がったすごろくを見てみると…字はふにゃふにゃ鏡文字もたくさん読めない字もたくさんでハテナゾーン満載!不完全な感じがとても愛おしいすごろくでした。そして息子はこんなことを言ったのです。「ぼく、字をかくのはすきじゃないんだけど、すごろくをつくるためにかかなきゃいけないから、そこで字をかくのをがんばるっていうことなの」うん。それでいい。興味のあるものから入ればいいんだよ。しかし問題が1つあった。親としては非常にカワイく思えるのだが…あまりの字の汚さに…Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナトラブルと隣り合わせなのでした(笑)
2016年07月23日発達障害の子は「切り替えが苦手」って、他の子と何が違うの?出典 : 発達障害児の特性として「切り替えが苦手」ということがよく言われます。たとえば、「好きなことに夢中になっていると、次の行動に移れない」といった例が挙げられますが、その程度なら「子どもは誰だってそんなものだよ」とも思いませんか?わが家の息子もそうでしたが、あらかじめ遊べる時間を予告し、タイマーをセットして終わりの合図がわかるようにしたら、克服できたように思います。では、発達障害の子における「切り替えが苦手」とは、他の子といったい何が違うのでしょうか。どうやら、息子が一番苦手で困っていたのは、活動ではなく気持ちの切り替えだったのです。気持ちの切り替えができないとき、息子の頭の中は出典 : 「友達に嫌なことを言われた、」、「先生に叱られた」そういったネガティブな経験は、誰にでもありますよね。でも、息子場合、それが頭の中にずーっと離れずに残ってしまうようなのです。嫌なことを言われてもお互い「ごめんね」と言って済ませれば良い場面でも、自分の頭の中でネガティブな気持ちがどんどん増幅してしまいます。その結果息子は、「あの子にあんなことを言われた」「どうして」「なんで」「僕は悪くない」「あ~もう腹立つ」「ああーー!」と、ブツブツブツブツと言い続けながら、体をどこかにガンガンぶつけるようになるのです。その時、周囲の人や友達が「おまえが悪いんだろ」などと言おうものなら火に油。一気にパニックに陥ります。こうなると、もう、活動も気持ちも、切り替えどころではなくなってしまうのです。以前、こんなたとえ話を聞いたことがあります。「発達障害の子どもの頭の中には、パソコンのようにいくつものウィンドウが立ち上がっている。その量に本体が悲鳴を上げているのに、×マークを押してウィンドウを消すには、ものすごい時間がかかる」息子の頭の中もまさにそんな状態なのでしょう。お友達に言われた不愉快なセリフを頭から消してしまいたい、けれども×マークを押しても押しても全然消えてくれないのです。そして、ウィンドウがいくつも立ち上がって熱くなり始めたパソコンを強制終了させようと、息子は体の一部をどこかにぶつけ始めるのです。これが子どもにとってどんなに苦痛なことか、想像に難くないでしょう。私の腕をつかみながら「助けて…」と言う息子に出典 : 切り替えができずに苦しいとき、息子は私の両腕を握りしめながら「ああもう!うぅっううううっ」と呻き続けます。息子自身も、切り替えなければならないことは理解しているのです。たまに、私の両腕を握りしめながら「助けて…」と言うことすらあります。こういうときに「納得いくまで話し合う」は、意味を成しません。子どもからすると、次々とたたみ掛けられるように感じ、頭の中で乱立するウィンドウは増えていってしまうだけです。そんな時は場所や話題を変えて、少しでも落ち着きを取り戻せるような環境をつくり、それから「大丈夫だよ」と言葉をかけ続けるようにしています。そのうちに、ふっと気持ちが変わることがあり、そこですかさず「あ、切り替えられたね。よくできたね」と伝えるのです。この経験を積み重ねながら、「気持ちを切り替える」という感覚を理解し、身体で覚えていったようでした。最近では、嫌な気持ちから解放されたとき「はあ、切り替えられた~!」と言って喜んでいます。大人が思っている以上に、「できないこと」に子ども本人が苦しんでいるから出典 : 「切り替えができるようにする」という言葉は、子どもにとってあまりにも漠然としています。こういう漠然としたものを習得させるには本人が「できた!」と実感を持てる経験を増やしていくことが大切です。切り替えが苦手という事は、私たち大人が思っている以上に子ども本人にとって苦痛なのです。うまく折り合いをつけていけるように、サポートしていけると良いですね。
2016年07月23日なんてダメな母親だろう…自己嫌悪がつづく子育てUpload By みくたくママ長男は、小さなころから多動や衝動性があり、外に連れ出せば手を振りほどいて走りだし、あっという間に姿が見えなくなってしまいます。「子どもができたら、いっぱいほめて可愛いがるんだ!」と夢見ていた私ですが、ほめる回数よりも増えるのは叱ってばかりの日々…。それが影響したのか、幼稚園に入り集団行動や工作などの活動についていけずに自信をなくした息子は、「どうせぼくなんかダメだもん…」「ぼくは最低だ~!!」とネガティブなことを言って、泣いたり怒ったりすることが増えました。「ほめてるつもりなのに…私がダメな親なの?こんなにいっしょうけんめいやってるのに!!」と、つのるイライラ…。「もういいよ、お母さん知らない!」「勝手にしなさい!」とキレてしまい、大泣きする長男を見て「私はなんてダメな母親なんだろう…」と親子2人で落ち込んでばかりいました。受講の決め手は「こんな私が変われるなら…」出典 : そんなとき、転機が訪れました。長男がお世話になっている通級学級の先生が「ペアレントトレーニング講座」を開いてくれることになったのです。ネガティブ思考な長男にイライラし、感情的に怒ってしまう日々に、ほとほと疲れ果てていた私。「子どもを変えたければ、まず親が変わってみましょう!」という先生の言葉に、「こんな私が変われるなら…」と受講してみることに。どうして私たち親子は変われたのか。いまでも、ペアトレで学んだこと全てを実行できているわけではありません。だけど、たった3つだけ、がんばって実践してきたことがあります。Upload By みくたくママほめる時は、①具体的に②ひとつひとつの行動に対して言うと教わりました。子どもが宿題を終えたら、「宿題、自分から始められたね!」「丁寧に書けてるね!」「遊ばないで最後までできたね!」という言い方に。このように、1つひとつの行動を具体的に褒められると、子どもは「自分を見ていてくれた」ことが嬉しく、それが自信につながるのだそうです。でも、「自分が褒められてこなかったから、なんて言って褒めたらいいのかわからない」「叱るところは山のようにあるけど、ほめるところなんて見つからない!」という意見の保護者は私だけではありませんでした。無理やり「えらいね~」と言っても、子どもの年齢によっては「何がえらいの?」「適当に言ってるんじゃないの?」と、心に届かない事もありますよね。そんなときは頑張って無理して褒めるよりも「ありがとう」と言うようにしています。Upload By みくたくママUpload By みくたくママ「ほめるのが大事!」とはいえ、子どもにはダメな事を伝える必要があります。その時に私はついカッとなって感情をぶつけがちでした。そんなときは①目を見て②短い言葉で、具体的に③声のトーンを抑えてきっぱりと言い切るがポイントです。「何やってるの!?ダメでしょう!前にもここでケガしたの忘れたの?あんたって子は…何回言えばわかるの?…(続く)」よりも「すぐに降りなさい。」(降りたら)「ありがとう、あなたがケガしたらお母さん悲しいからね」の方が伝わりやすいという事でした。伝えるだけでなく「反応しない」というのも1つの方法でした。ネガティブな事を言い続ける、という長男の困った行動が始まったら、私はその場を離れ読書でもするようにしました。すると、落ち着かせようとあれこれ話しかけていたときよりも、気づいたら自分から切り替えて遊び始めている事も増えてきたのです。Upload By みくたくママゲームをやめて宿題させたいとき、もう寝る時間というとき、子どもに指示する機会は毎日たくさんありますが、これが1度で言うことを聞かないと、イライラして「ドカーン!」となります①心の準備「予告する」「あと5分で夕食よ」「あと3回で終わろうね」と終わりを伝える②約束しても行動できないときは「選択させる」「あと何回したら終われる?」「お風呂と宿題、どっちを先にする?」と、決める権利を与え、気持ちよく行動してもらうただし、「あと100回!」など受け入れられないような提案の場合は、・「みんなお腹すいてるので、そんなに待てません」と親の事情を冷静に話す・どうしても良い選択ができなかったら、「あなたのためにお母さんが選びます」と冷静に宣言するの2つが重要です。③「ブロークンレコード(ぶっこわれレコード)テクニック」で伝える子どもが言うことを聞かなかったり、屁理屈を言って気をそらそうとするときに、シンプルにただ指示を繰り返す方法です。効果的にするためには、親は「穏やかに言い続ける」「言い方を変えない」の2つが重要でした。私も、ブロークンレコードテクニックを使ううちに、自分の気持ちを抑えられるようになってきました。ペアトレ4ヶ月間、辛いこともあったけど嬉しい変化が!Upload By みくたくママペアトレの受講期間は、2週間に1度、約4ヶ月続きましたが、正直あきらめたくなるときもありました。「変わりました!」と目を輝かせて報告する他のお母さんのエピソードを聞くたびに、「こんなの理想論だよ、うちの子には効かないんだよ…」といじけた気分になりました。ですが、受講を終えてしばらくたったころ、ふと気が付いたんです。最近、カッとなってどなりつけることがなくなった自分がいる。そして、私だけでなく、子ども本人にも変化がありました。通級の先生が、「最近、『ぼくなんか…』と後ろ向きな発言が減りましたね!それに、得意なこと、好きなことについて、うれしそうに話してくれるんですよ」と言ってくれたのです。まず始められるのは親自身が「自分を大事にすること」出典 : ペアトレで学んだ3つのコツは、たまたま私と息子との関係には良い結果となりました。ですが、子どものタイプも、親の性格や状況も千差万別。あてはまらない方もいると思います。大事なのは、「あなたが大事なんだよ」というメッセージを送り続けることだと思っています。そのためには、お母さんお父さんが、自分のことを大事にしてあげてください。余裕がないと、褒めることもできないし、怒るときも感情的になってしまいがちです。その子と自分に合った方法を探して、少しずつ、「あなたが大事なんだよ」というメッセージを伝えてみてください。ペアレントトレーニング学習塾&幼児教室のLeaf
2016年07月22日幼稚園からのおたより。そのプリントの数々は私の天敵で…Upload By モンズースー子どもが幼稚園や保育園へ通いだすと、園からよくプリントを受け取りますが、私はこれらの管理が大の苦手でした。元々整理整頓が苦手で手帳も持てなかった私。ADHDと自覚してからは、どうにか手帳を使うようになりましたが、細かい行事を毎回記入するのはやっぱり苦手。2人の息子の行事やプリントの多さに対応できず、ミスが続いてしまいました。家のカレンダーに書いたり、スマホのアプリを利用したり、アドバイスを頂いて色々実践してみたのですが私に合う方法が中々見つからず悪戦苦闘の日々…悩む私を救った100均の万能グッズ!Upload By モンズースー最近では100円均一などでもよく見るマスキングテープ、通称マステです。Upload By モンズースーUpload By モンズースープリントなどの配布物は、メモをとるよりその紙自体を貼るのが一番簡単でミスも少ないので、マステで手帳や壁にそのまま貼るようになりました。病院の予約券も同じ。手帳などにそのまま貼れば忘れません。テープなので綺麗にはがせない材質の紙もありますが、大体は綺麗にはがせるので、はがして学校や病院に提出も可能。予定やプリント管理が苦手な私でも、これで忘れ物を減らすことができました。…よし!
2016年07月22日1身体感覚を育てる「人間ジャングルジム」Upload By ヨーコ赤ちゃんの頃から母親にべったりで、すり寄ってくる事が多かった娘に、それが好きならそれを楽しめる遊びを!と考えたのが「人間ジャングルジム」です。身体を支えてあげて私の体をよじ登ったり、足を閉じたり開いたりしてその間を飛んだり、ジャングルジム代わりにして遊ばせます。だんだんバランスをとるのが上手になり、立っている私によじ登っておんぶしてもらうこともできるように。この人間ジャングルジムは難易度も自由に調節でき、なによりスキンシップになってよかったです。ママにはちょっと体力が要りますけどね。両手両足で支えて「飛行機ブーン」、脇を持ってくるくる回したり、ブランコを揺らすように体を揺らす遊びもよくしました。外でやっていたらよその子にもよくせがまれたものです。こういう遊びをしてあげると、子どもって本当によく笑うんですよね。怖がる子もいるので、表情をよく見ることは大切です。段ボールに新聞紙を何重にも貼り付け、最後に布を張って補強し、穴をあけて引っ張る紐をつけると乗り物の出来上がり。そこに入れて引っ張って運んであげるのも喜びました。あとシーツの四隅を持ってゆりかごのようにしてゆらゆら揺らすのも大喜びです。こういった遊びで平衡感覚や身体感覚が鍛えられたのではないかと思います。また、「この人は安全だ」という親子の信頼関係も育まれた気がします。2言葉のやり取りを覚えたおままごとあそびUpload By ヨーコおままごとで遊ぶ娘は、楽しそうに野菜を切って花はじきや布を組み合わせ料理を作り、ごにょごにょ独り言をいいながら、満面の笑顔で「ハイ、どーぞ」といっていました。ちゃんと食べて「ごちそうさまでした」を言わないと怒ったり、「おいしかった?」「つぎは○○を作るよー」など、言葉のやり取りの楽しさを知るのに役立ったと思います。ちなみに、最近ではワンコインショップなどでボウルやなべなどは本物を買ってくると嬉しそうに使っています。3形の認識を助けた知育パズル・ブロックUpload By ヨーコ長さや大きさの違う長方形、四角形、三角形、丸をマグネットにひっつけて遊ぶマグネットセットや、モザイクブロック。こういったおもちゃは図形を使って好きなように見立てて遊ぶことができますし、モザイクブロックになると見本通りに作って遊ぶタングラムもできます。娘はこれらのブロック遊びが功を奏したのか空間認知面では苦労をしていないようです。ジェンガのような積み木でもよく遊びました。塗装もなく、しっかりと詰める積木は子どもがいろいろなものに見立てて想像力を引き出し、自分の世界を広げるのに役立ちます。精密に積むことのできるブロックなら、手先の器用さも育ててくれます。キッズいわき ぱふ絵本と木のおもちゃ子どもの本とおもちゃ百町森公園で思いきり好きなように遊ばせるUpload By ヨーコ立ち歩きができるようになってからはよく公園で遊びました。娘は高いところが怖く、ロープを使った遊具では絶対に遊びませんでしたが、木の茂ったところで木の実で遊んだり、井戸水で水遊びをしたり、砂場で靴に砂を詰め込み、砂場の中に足を埋めたり。靴の中に砂を詰めるなんて、後始末を考えてしまい「やめなさい」とつい叱りそうになりますが、遊ぶ時くらい自由にさせてあげたかった私は「でも、面白い遊び方をする子だなぁ」と思いながら見守っていました。気の合った子と一緒に遊んだり、思いっきり走り回ったり、のびのび自由に遊ばせることができて良かったなと思っています。私はママ友と関わるのが苦手だったので、ずっと子どもたちと遊んでいました。子守り代わりにされたこともありますが、遊びの中で子どもたちの成長を見守ることができたのは貴重な体験でした。思いきり遊ばせたり一緒に遊んだりしたことは、あとから振り返ると娘の想像力や基礎体力などの底上げにつながったのではないかと思います。子どもは遊びの中から学ぶんですね。
2016年07月22日学校でのトラブルが続くと、子どももしんどい様子…出典 : 娘は、学校でお友だちに指摘したことが発端となり、長期間ケンカをしていた時期があります。その頃、チック症状が増え始めていました。今はでは仲直りをし、普段通りに笑って話せるようになっているものの、それでも1度出現したチック症状はなかなか治まらず、学校へ行くのがつらいと言うようになりました。学校から帰ると頭痛を訴えたり、娘が精神的に追い込まれているときよく出る右足の痛みも、頻繁になっていました。チック症|クラスメイトとのトラブルが原因?新たなチックが出現しました学校を休む基準は、しんどさの度合いで決めればいいのだろうか?Upload By GreenDays私たち家族は、学校を「どうしても行かなくてはならない場所」という位置づけで考えてはいません。熱が出れば休むのと同じように、心が苦しくなった時には積極的に学校を休んで心をほぐす時間に当てようと考えています。ですので、チックが発症して以来、娘は登校日の半分ぐらいの割合で学校を休んでいます。少しずつチックは治まってきましたが、1番症状が激しく出るのは「今日は学校を休むかどうか」を決める瞬間です。娘なりに色々な葛藤もあるのでしょう。行くと決めていたのに、朝食の途中で足が痛みはじめ、結局学校を休んだ日もあります。幼い娘に「学校を休む」という決断をさせるのは酷なようにも思いますが、「しんどい」の度合いは本人にしかわかりませんので、私が決めるというのもなかなか難しく、何か良い方法はないかなと考えていました。娘の「しんどい」を洗い出して可視化!私が娘と話し合うときにいつも困っていたのは、「しんどい」と訴えられても、その詳細な度合いまで共有できない事でした。「ちょっとしんどいけど、まあ頑張れる」レベルなのか、「これ以上頑張ったら苦しい」レベルなのか、「すごくしんどくて心が壊れる寸前」なのか。たくさん会話をしながら探っていきますが、本人も自分の状態をきちんと把握できていないので、私と娘の認識が大きくずれていることもあります。そこで、娘が「しんどい」と思う出来事を「1~10」にレベル分けしてみました。「レベル5」までは、なんとか頑張れる程度。「6~10」は、チックや頭痛・吐き気・足の痛みなどの身体症状が出始めるため、何らかのサポートが必要になってきます。Upload By GreenDaysこうして娘のストレスを数値化することで、「しんどい」と訴えられたときに「今、1~10で言うとどのぐらい?」と確かめ、そのレベルを推測することができるようになりました。しんどいレベルが「4」か「5」の時は、そっと背中を押してあげれば前に進む勇気が出ることもあります。「6」以上の時に背中を押してしまうと「ママの期待に応えなければ」という気持ちが芽生え、余計に娘を追いつめてしまうことになるので「まずは心を休めようね」と声をかけることにしています。この数値化のおかげで娘と私の認識は大きくずれることなく、その認識を前提に話ができるようになりました。出典 : 「しんどさ」がわかれば課題や手立ても見えてくる!また、娘のストレスを書き出してみることで、わかった事もたくさんありました。雨の日と晴れの日では同じ出来事でもストレスの度合いが違うこと、児童精神科への通院前には、娘にとんでもない負荷がかかっていたことお友だちとバイバイする時間になると激しく怒り、泣いて抵抗する娘にも、その瞬間はかなりのストレスがかかっていることも判明しました。わがままなのではなく、自分ではどうしようもない感情の揺れに振り回されていたのです。「お友だちと遊ぶときには、あらかじめ帰り際の対策をたてておく」という課題も見えてきました。こうして娘と一緒に「今はどんな状態だろうね」「こんな状態の時はどうしたらいいかな?」と話し合っていくことで、娘は安心してSOSを発することができるようになっていると思います。年齢が上がるにつれ、いろいろな感情やプライドが邪魔をして、本当のことを話してくれなくなる時期が来るかも知れません。それでも、「SOSを出せば一緒に解決策を考えてもらえる」という経験は、娘の今後の人生できっと役立ってくれることと思います。客観的に自分の状態を判断できるようにUpload By GreenDays「今、自分はどういう状態にあるのかを知る」ことは、とても大切なことだと思います。同じ出来事が起きても、なぜ今回は怒ってしまったのか、なぜ今回は平気だったのか。それを自分自身が少しずつ理解していくことで、自分自身の理解は少しずつ進んでいくと思います。理解が進めば対策が立てやすくなり、対策が立てられれば毎日穏やかに過ごせることも増えるのではないでしょうか。「己を知る」手立てを伝えることは、いずれ私の手を離れて巣立つ娘へ贈る大切なプレゼントです。焦らずゆっくりと。娘に合った方法を模索しながら、いつの日か客観的に自分の状態を判断できる力を身につけてあげたいと思います。
2016年07月21日「学校に行かなくても、自分の道はみつけられる」−吉開拓人(高校生エンジニア)現役高校生でありながら、エンジニアとして「株式会社ウィンクル」というIT企業に勤務、「Gatebox」というホログラム映像を使ったコミュニケーションロボットの開発に携わり、数々のコンテストでの受賞経歴もある吉開さん。株式会社ウィンクルそんな吉開さんには、3年半ほどの不登校経験があります。「当時の経験が今の自分をつくっている」と力強く語る吉開さん。不登校になってから、エンジニアとして活動するまでの道のりをうかがってきました。「学校に行く意味がわからない」―小さな疑問からはじまった不登校時代Upload By 発達ナビ編集部編集部: 現役高校生でありながら、エンジニアとしても活躍されている吉開さんですが、不登校の時期があったとお聞きしました。そのときのきっかけは何だったんでしょうか?吉開さん: 何か大きなきっかけがあったわけではないのですが、一番の理由は学校の空気に窮屈さを感じていたことでしょうか。中学に上がると急に受験に向けた詰めこみ教育がはじまって「何のために勉強してるのかわからないなぁ」と悩み始めたんです。勉強やスポーツが特別出来る方じゃなかったので、気づいたらドラえもんの「のび太くん」状態になってましたね。あとは、中学生特有の人間関係というか、学校の中に流れるギクシャクした雰囲気も苦手でどんどん嫌気がさし始めたんです。編集部: 大きなきっかけがあったわけじゃなかったんですね。吉開さん: そうなんです。特にいじめがあったとか家庭環境が悪かったというわけではなかったですね。だけど、中学生になって半年経ったところで「1日、ちょっとずる休みしてもいいかな」って気持ちがもたげてきて。そこで学校をサボってみたんです。一度「えいっ」と休んじゃうと心のハードルが下がるんですよね。そのまま1日、また1日と休む日が増えて、気付いたら中学1年の秋頃から不登校になってました。出典 : 編集部: そこから始まったんですね。吉開さん:はい。16歳まで、約3年半ほど続きました。だから中学は最初の半年だけしか行ってないです。編集部: どんなことをして過ごしていたんですか?吉開さん: 最初はゲームばかりして過ごしていましたね。別にゲーム好きじゃなかったんですが、何がしたいのか思い浮かばなくて暇つぶしでやってました。その時は家からぜんぜん外に出なかったので、親以外との交流もほとんどありませんでしたね。編集部: ちなみに、そのときご両親との関係は?吉開さん: 不登校になってから、仲が悪くなりましたね。母は「休んだらいいんじゃない?」と言ってくれていたのですが、父は早く学校に行かせたいという気持ちが強かったみたいで。それが原因でよく喧嘩をしてました。「父のおかげでとことん好きなことに向き合うことができた」Upload By 発達ナビ編集部編集部: そんな中から、エンジニアを目指すようになったんですよね?吉開さん: はい。実は、エンジニアになったキッカケは、父の一言だったんです。編集部: あ、そうなんですか!吉開さん: そう(笑)不登校になってからの1年間、ずーっとゲームをしてたら、父が「そんなにゲームをやるなら、自分でつくってみれば?」って言ったんです。“ゲームをつくる”っていう言葉にすごく惹かれて、それを境にプログラミングの世界にどっぷりはまりました。編集部: お父様の一言が今につながってるなんて、すごいですね。吉開さん: ほんとですよね。父には今でもとても感謝してます。プログラミングを始めると言ってから、勉強に必要なものは惜し気なく与えてくれました。今までに専門書は60冊くらい買ってもらいました。編集部: 60冊!?Upload By 発達ナビ編集部吉開さん: 「プログラミングを始めるぞ!」と決意してからは、父が買ってくれた本を片手にずっとひとりで勉強していましたね。編集部:独学で勉強していたんですか?吉開さん: はい。ずっと独学。自分のペースで勉強していました。編集部: ネットの掲示板やコミュニティで交流しながら勉強、という事も特になく?吉開さん: そうですね。情報収集のためにエンジニアのコミュニティを利用することはありましたが、他のプログラマーとの交流はしませんでした。僕の場合は、周りに左右されず自分のペースで勉強を進めるのが合っていたんだと思います。編集部: まっすぐ好きなことに向かえる環境にいられたということですね。吉開さん: そうですね。そういう点でいうと、僕は不登校という環境を選べてよかったと思っています。自分のやりたいことを自分に合ったペースで探求できたのは、不登校になったおかげだとおもっています。もし学校にそのまま通っていたらエンジニアも目指してなかったかもしれませんね。編集部: お父様からのサポートや、ひとりで勉強できる環境…いろいろなことが重なってエンジニアとしての道につながっていったんですね。吉開さん: はい、その中でも父のサポートは大きかったですね。学校にいかなくても自分なりの道がみつけられたのは、僕がプログラミングだけに集中して取り組めるように環境を整えてくれたおかげだと思います。自分にぴったりの高校に出会い、学校に通いながらエンジニアの道へ出典 : 編集部: そのあと高校に進学されましたよね。高校へ行こうと思ったのはいつごろからなのでしょうか?吉開さん: 実は、高校に行く年齢になっても、まだ学校には行きたくない気持ちの方が強くて1年ほどのんびりしていました。だから僕、みんなより1年遅れて高校に入学してるんです。そのときは行きたいと思える高校がなかったんですよね。編集部: という事は、逆に言うと今の高校は吉開さん自身が「行きたい!」と思えた…?吉開さん: はい。行くならこの学校しかない!と思ってすぐ願書を出しました。正直、この高校に入学してから人生が変わりましたね。今通っている学校は、「プログラミングの授業が必修」という謳い文句に惹かれて入学を決めました。それに、通信制高校なので自由に使える時間が多いんですよ。学校側も、外で自由に活動することを推奨していました。編集部: 自分のやりたいことにマッチした学びができるというのは、素敵ですね。Upload By 発達ナビ編集部吉開さん: うちの高校は面白い人が多くて、企業でインターンしている人、エンジニアとして働いている人や学生団体をたちあげる人…いろいろな人がいますよ。高校に入ってから活動的な人たちと交流することも増えていって、そこからどんどん外でやっているイベントに顔を出すようになりました。いま働いている会社に出会ったのも、この時期に参加したイベントがきっかけだったので、高校に入ったことは大きな転機だったなぁと思います。編集部: なるほど。高校に入ってからの出会いが転機だったんですね。吉開さん: 本当に、不登校の時代からは考えられないくらい毎日がガラリと変わりました。あの頃とは真逆で、家にいる時間はほとんどなくて、必ず外に出て何かをやってますね。学校や仕事を通じて、自分が成長している実感があることが楽しくて仕方がないんです。周りの人たちも自分のやりたいことに向かって目的を持って行動しているから、その環境の中に身を置けて良かったと思っています。学校法人信学会 コードアカデミー高等学校これからの社会に必要なのは、子ども達それぞれにあったサポート体制をつくること出典 : 編集部: これから大学進学が待っていますね。大学生になってから挑戦したいことはありますか?吉開さん: 僕には大きな目標が2つあるんです。ひとつは、コンピュータサイエンスの技術を活かした、モノづくりのサポーターになること。もうひとつは、不登校だったり学校での生きづらさを感じている子どもたちのための、教育支援の仕組みをつくること。これまでの仕事を通じて、自分の技術で人をサポートできるようになりたいと思ったんです。モノづくり自体が楽しくして仕方がないので、「誰かのアイデアをどう実現できるのか」を考えて実行できる人になれたらいいなと。そのためにもっと技術を身につけていきたいです。子ども達の支援も、自分と同じような境遇の人たちをサポートするにはどういう仕組みが最適なのかを考えたいと思います。学校教育を変えるとなると難しいかもしれないけれど勉強カフェのような溜まり場や塾みたいなものを作っていけばいいかもしれない…というようにアイデアを練っていきたいと思ってます。編集部: 素晴らしい目標ですね。そんな吉開さんがこれまでを振り返って、今、同じように不登校を経験している人に何を伝えたいですか?吉開さん: 一旦不登校になると、なかなか戻れないというイメージって強いと思うんです。でも不登校になってみてわかったんですが、出来ないことってそんなにないんですね。僕の他にも同じような環境から自分のやりたいことを見つけて活躍している人はたくさんいます。とくに今やりたいことがないという人には、少しでも興味のあることにはどんどんチャレンジしてほしいです。三日坊主になってもいいので、興味をもったらまずやってみることです。僕の場合は、色々と経験することで本当に自分に向いていることが見えてきたので、思い切ってチャレンジしてみるというのはいいのかもしれません。Upload By 発達ナビ編集部吉開さん: それと、お父さんお母さんには、その子が思いっきりチャレンジできる環境をつくってもらいたいです。父が一生懸命に取り組めるような環境を整えてくれたから今の僕があると思っています。だから、興味を持ったものを学ぶためのサポートをしてもらえれば、安心して自分の道を突き進むことができるんじゃないかなぁと思うんですよね。編集部: 最後に、吉開さんの考える「これからの学校や社会で必要だと思うもの・変えていきたいもの」を教えてください。吉開さん: 今ある学校に適応できなかったら失敗、という、ひとつのレールに子どもを乗せていくような教育観が変わっていけばいいなと思っています。好きな事には夢中になって取り組めますし、仕事にできるくらい極められるようになると思うんです。そういうふうに、型にはまった勉強以外にも子どもたちそれぞれの好奇心や意欲を活かせる場所をつくってあげれば、自立して社会で活躍する人材が育っていくんじゃないかと考えているんです。だから、学校の中に生きづらさを感じている人がいたら、その人たちの悩みに寄り添いながら、それぞれの「なりたい・やりたい」を実現できるような体制作りが必要だと思っています。出典 : 吉開さんは終始、物腰柔らかな受け答えをしつつも、自分のなかで育てた価値観を真正面から伝えてくれました。会話の中で印象的だったのは、お父様への感謝の言葉が何度も出てきていたところ。「本人にあった支援は何か」を考え続けられてきたからこそ今の活躍があるのだと思わずにはいられません。「学校に行かない」という選択から、不登校である時期を「自分にあった生き方を探す時間」として向き合ってきた吉開さんだからこそこれからの社会に必要なサービスを生みだしてくれそうだと、そう思わせてくれるほどに芯をもった方でした。
2016年07月21日ずっとこのままだったらどうしよう…Upload By こころ娘が自閉症かもしれないと疑い始めた頃、「私に障害児を育てられるの?」「これから先娘はどうなってしまうのだろう…?」と考えるととても不安になりました。外出すると、娘より小さな子がお話ししたり指を差したりして自己主張している姿につい目がいってしまい、他の子の成長を目の当たりにすると、素直に喜べない自分がいました。今まではただ可愛いと思って見ていたけれど、他の子たちと比べては辛くなる毎日。こんな風に自己主張する日が、娘にもくるのだろうか?前向きに考えられるようになったと思えばまたガクッと落ち込み、私の気持ちは上がったり下がったりの繰り返しでした。娘は少しずつ成長しているけれど、自閉症の特性はどんどん濃くなっているように感じました。娘を見てずっとこのままだったらどうしよう!と急に焦り、ずっと今の状態ではないと心で分かってはいても、いつ何ができるのか全く予測のつかない先の見えない育児は心配だらけでした。呼んでも振り返らない、あまり目も合わない、ママ友の子どもと一緒に遊べない…1日中独り言を言っている娘を見て孤独を感じ、そして悲しくなってしまう私なのでした。少しずつ成長が見え始めた娘Upload By こころずっと悲しんでいても、娘から障害は消えてはくれない。だったら悲しみながらでも娘ができることを見よう。好きなことはやらせてあげよう。得意なことがあれば伸ばしてあげたい。そしてたくさん褒めてあげるんだ。そう思いながら接していくうちに娘の好きなことや得意なことを発見しました。毎日の関わりの中で娘が徐々に私を意識するようになっていくのを感じ、私と娘に笑顔が増えました。少しの成長も、噛みしめていける!Upload By こころ悩むことが多い育児だけれど、成長をゆっくり感じる分、どんな小さなことでも何倍も嬉しいことを知りました。娘の発達障害を疑い始めてから1年と少し経ちます。本人のペースで確実に成長しているし、自閉症じゃない娘は娘ではない、そう思えるようなったことで人と比べて落ち込むことはなくなり、素直に他の子どもの成長を喜べるようになってきました。今では自閉症児ならではの行動や発想が可愛くて、私はいつも娘に笑顔にさせられています。
2016年07月21日特別支援学校とは出典 : 特別支援学校とは、心身に障害のある児童・生徒が通う学校で、幼稚部・小学部・中学部・高等部があります。基本的には幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準じた教育を行っていますが、それに加えて障害のある児童・生徒の自立を促すために必要な教育を受けることができるのが大きな特徴です。学校教育法第72条では、特別支援学校の目的は以下のように定められています。視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けること特別支援学校は、2007年までは「ろう学校」「盲学校」「養護学校」と区分されていました。ですが、2007年の法改正により、これらすべてが「特別支援学校」へと一本化されました。こうした経緯もあり、学校名の末尾が「ろう学校」「盲学校」「養護学校」となっている学校も多くありますが、これらは現在すべて特別支援学校に含まれます。この法改正は、特別支援学校が複数の障害がある子どもの教育ニーズに応えること、近隣の小・中学校に在籍する子どもの指導・支援にも積極的にかかわるセンター的機能を担うことを目的としてなされました。また、2015年の文部科学省の調査によると、特別支援学校の数は全国で1096校、在籍している幼児・児童・生徒の数は135,617人(幼児・児童・生徒全体に対する割合は0.9%)で、その数は増加傾向にあります。文部科学省特別支援教育資料(平成26年度)【第1部集計編】特別支援学校の対象出典 : 特別支援学校の支援対象となる障害の程度は以下の通りです。これは就学基準と呼ばれ、学校教育法によって定められているものです。以前までは子どもの障害の程度がこの就学基準に該当していれば、原則は特別支援学校に入学することとされていました。ですが現在は、就学基準に該当していても就学先が特別支援学校に限られることはなく、その他の進学先も検討することができます(後述する、「特別支援学校への入り方・相談方法」も参照してください。障害の程度が就学基準に達しない子どもについては、特別支援学級・通級による指導を受けるか、通常の学級に在籍して支援を受けることになります。両眼の視力がおおむね0.3未満の方、または視力以外の視機能障害が高度の方のうち、拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は著しく困難な程度の方両耳の聴力レベルがおおむね60デシベル以上の方のうち、補聴器等の使用によっても通常の話声を解することが不可能、または著しく困難な程度の方①知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度の方②知的発達の遅滞の程度が、①に掲げる程度に達しない方のうち、社会生活への適応が著しく困難な方①肢体不自由の状態が、補装具の使用によっても歩行、筆記などの日常生活における基本的な動作が不可能または困難な程度の方②肢体不自由の状態が、①に掲げる程度に達しない方のうち、常時の医的観察指導を必要とする程度の方①慢性の呼吸器疾患、腎臓疾患および神経疾患、悪性新生物その他の疾患の状態が、継続して医療または生活規制を必要とする程度の方②身体虚弱の状態が、継続して生活規制を必要とする程度の方文部科学省障害のある児童生徒の就学先決定について特別支援学校の教育環境出典 : 特別支援学校では、障害のある子どもたちが学習しやすいような環境やシステムが整えられています。また、通常学級の子どもたちと触れ合える機会が設けられるような配慮もされています。1クラス当たりの人数は平均で3人であり、少人数教育が行われています。特別支援学校の教員は、通常の教員免許に加えて特別支援学校の教員免許を持っています。様々な障害について基礎的な理解があり、また特定の障害について専門性を持った教員が子どもの指導にあたります。交流及び共同学習とは、障害のある人と障害のない人が互いに理解を深め、尊重し合える社会をつくるために、障害のある子どもたちと障害のない子どもたち、地域社会の人たちとがふれ合い、共に活動する機会を設ける活動をいいます。小・中学校、高等学校や特別支援学校の学習指導要領などにはこの交流及び共同学習を積極的に推進するよう示されています。例えば、小学校と特別支援学校の間での交流会が行われたり、特別支援学校の生徒が小学校の音楽・図画工作の授業や給食、昼休みや遠足などの学校行事に参加したりするなどの取り組みが行われています。また、地域社会の人たちとの間では、文化祭などの学校行事に地域の人たちを招いたり、地域での行事やボランティア活動に特別支援学校の子どもたちが参加したりするなど、地域や学校ごとに様々な工夫がされています。文部科学省交流及び共同学習ガイド障害の状態が重度であったり、もしくは重複していて特別支援学校に通学して教育を受けることが困難な子どもに対しては、特別支援学校の教員が家庭、児童福祉施設、医療機関等を訪問して教育を行っています。独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(4)訪問教育における指導特別支援学校には、日常的に医療的ケアを必要としている子どもが多く在籍しています。医療的ケアは看護師などが行うことが原則ではありますが、保護者の同意や医療関係者による適切な管理など、一定の条件が満たされていれば、特別支援学校において教員がたんの吸引、経管栄養(胃ろう・腸ろう)、自己導尿の補助を実施することができるようになりました。これによって、医療的ケアの必要性から特別支援学校に通うことができなかった子どもも、特別支援学校への通学が可能になりました。独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(3)医療的なケアを必要とする子どもへの対応具体的な教育内容出典 : 以上のような特別支援学校の特徴を踏まえて、具体的にどのような内容の教育が受けられるのかを詳しく見ていきましょう。特別支援学校では独自の学習指導要領が定められており、それに従った指導が行われます。特別支援学校の大きな魅力のひとつに、子どもの障害や発達の度合いに合わせたきめ細やかな指導がうけられることがあります。具体的な例として、「個別の指導計画」と「個別の教育支援計画」の立案・実行、自立活動、教科書についての配慮をご紹介します。■「個別の指導計画」と「個別の教育支援計画」の立案・実行「個別の指導計画」とは、障害のある子どもに指導を行うためのきめ細かい計画です。子どもの一人ひとりの教育的ニーズに対応して、指導目標や指導内容・方法を盛り込んであります。単元や学期、学年等ごとに作成され、それに基づいた指導が行われます。特に、後述する「自立活動」の指導は、この計画に基づいた内容になっています。「個別の教育支援計画」とは、他機関との連携を図るための計画をいいます。乳幼児期から学校卒業後までの一貫した長期的な計画である点が「個別の指導計画」との違いです。学校が中心となって作成しますが、教育・福祉・医療・労働などの関係機関と連携し、保護者の意見を聴くことなども求められています。独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(4)個別の指導計画と個別の教育支援計画■自立活動自立活動とは、障害による学習上または生活上の困難を改善・克服するための指導を行うための時間です。「個別の指導計画」に基づいて子ども一人ひとりにあった指導目標が設定され、その目標を達成するような指導が行われます。例えば、身体の動きに困難のある子どもに対してはそれを改善するための指導が、コミュニケーションに不安のある子どもに対してはそれを支援するための指導が自立活動の時間に行われます。具体的な内容は子ども一人ひとりに合わせたものになっています。文部科学省特別支援学校学習指導要領解説自立活動編■教科書についての配慮特別支援学校では、小学校、中学校、高等学校と同じ教科書のほか、子どもの障害の状態に合わせて作成された教科書などが使われています。文部科学省が作成している教科書には、視覚障害者用の点字教科書、聴覚障害者用の言語指導や音楽の教科書、知的障害者用の国語、算数、音楽の教科書があります。また、これらの教科書以外でも、必要であれば他の教科書で学習することができます。例えば、知的障害のある子どもが、下学年の教科書を使って学習することも可能です。独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(5)教科書子どもの障害や年齢によって、特別支援学校で行われる教育の内容は異なります。例えば、高等部では就職に向けての支援として、様々な職業訓練が行われているのが特徴的です。■視覚障害小・中学部では、小・中学校と同じ教科などを視覚障害に配慮しながら指導がされます。目が見えない子どもたちへは、よく触って物の形や大きさなどを理解したり、音やにおいなども手がかりとして周りの様子を予測したり確かめたりする学習や、点字の読み書きなどの学習をします。また、白杖を使って歩く力やコンピュータなどで様々な情報を得る力を身に付けるための学習も行っています。弱視の子どもたちには、ものの見える状態や程度に合わせて対象を拡大したり、白黒反転したりした教材を用意して学習します。高等部では、普通科での教育に加えて、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、理学療法士などの国家資格の取得を目指した職業教育を行っています。■聴覚障害小・中学部では、小・中学校に準じた教科学習を行うとともに、書き言葉の習得や抽象的な言葉の理解を目指します。さらに、発達段階に応じて指文字や手話を活用するなど、自立活動の指導にも力が注がれています。高等部では、普通科のほかに産業工芸や機械、印刷、被服、情報デザイン等の多様な職業学科が設置されています。最近では、聴覚障害者・視覚障害者の方を対象とした国立大学である筑波技術大学などへの進学を目指す生徒や、理容師、歯科技工士、調理師などの資格を取得して職業の自立を達成する生徒もいます。■知的障害一人ひとりの言語面、運動面、知識面などの発達の状態や社会性などを十分把握した上で、生活に役立つ内容を実際の体験を重視しながら、少人数の集団での学習を行います。小学部では、基本的な生活習慣や日常生活に必要な言葉の指導などが行われます。中学部ではそれらを発展させ、集団生活や円滑な対人関係、職業生活についての基礎的な事柄の指導などが行われています。高等部においては、家庭生活、職業生活、社会生活に必要な知識、技能、態度などについての学習が中心になります。それに加えて、木工、農園芸、食品加工、ビルクリーニングなどの作業学習を実施し、特に職業教育の充実が図られています。■肢体不自由子ども一人ひとりの障害の状態や、発達段階を十分に把握した上で、小学校、中学校、高等学校に準じた学習を行っています。それに加えて自立活動に力を入れており、身体の動きの改善を図ることやコミュニケーションの力を育てる指導などを行っています。また、病院で機能訓練を行う子どもやたんの吸引などの医療的ケアを必要とする子どもが多いことから、医療との連携を大切にした教育が進めてられています。高等部では、進路指導が重視しされています。企業や社会福祉施設と連携し、卒業後の生活を具体的に体験できるような実習が積極的に取り入れられています。最近は福祉施設への入所が多くなっていますが、企業に就職したり大学に進学したりする生徒もいます。■病弱小学校、中学校、高等学校とほぼ同じ教科学習が行われます。また、必要に応じて入院前の学校の教科書を使用して指導しています。また、自立活動の時間では、身体面の健康維持だけでなく、病気への不安感や自信の喪失などに対するメンタル面での健康維持のための学習を行っています。治療等で学習に空白がある場合は、グループ学習や個別指導による授業が行われます。病気との関係で長時間の学習が困難な子どもについては、学習時間を短くするなどして柔軟に学習できるような配慮がされています。文部科学省特別支援教育について(4)それぞれの障害に配慮した教育発達障害のある子は特別支援学校に入学できるの?出典 : 発達障害のある子どもに関してですが、知的障害の診断がなくても、就学相談の結果によっては特別支援学校への入学は可能です。秋田大学によるアンケート調査によると、回答のあった313校の特別支援学校のうち45.0%である141校に発達障害のある子どもが在籍していました。同研究によると、特別支援学校における発達障害のある子どもへの支援として、個別の対応による丁寧な対応や、ソーシャル・スキル・トレーニングを活用した支援などが行われています。一方で、特別支援学校での発達障害のある子どもに対する教育については、子どもの障害の特性に合わせた教育内容の編成の必要性や、教員の人員不足などが課題となっています。熊地需・佐藤圭吾・斎藤孝・武田篤「特別支援学校に在籍する知的発達に遅れのない発達障害児の現状と課題―全国知的障害特別支援学校のアンケート調査から―」特別支援学校と、特別支援学級・通級との違いは?出典 : 義務教育が始まる小学校入学の前に、お子さんをどの教育環境で育てるか迷う保護者の方は多いと思います。障害のある子どもの教育環境として、通常学級・通級・特別支援学級・特別支援学校の4つがあります。それぞれの対象となる障害の程度に明確な基準はありませんが、一般的に通級・特別支援学級・特別支援学校の順に障害への支援量は大きくなります。そのため、障害が軽度の場合は通級、より専門性の高い支援が必要な場合、特別支援学級や特別支援学校を検討する場合が多いと言えます。Upload By 発達障害のキホン通級とは、通常学級の学校に籍を置いて、通級指導の時間のみ通級指導教室に通って支援を受けるという制度です。子どもが在籍する学校に通級指導教室が無い場合は、通級指導教室がある他の学校に通って通級始動を受ける場合もあります。また、担任は通常学級の先生が受け持ちます。Upload By 発達障害のキホン特別支援学級に通う場合は、特別支援学級が設置されている学校に籍を置きます。基本的に特別支援学級で授業を受けますが、体育や図画工作、給食の時間は通常学級の子どもたちと過ごすこともあります。担任は特別支援学級の先生が受け持ちます。Upload By 発達障害のキホン特別支援学校に通う場合は、通学する特別支援学校に籍をおきます。また、通級・特別支援学級は通常の教員免許のみでも受け持つことができますが、特別支援学校の教員は通常の教員免許に加え、特別支援学校の教員免許を取得しています。通級・特別支援学級・特別支援学校のメリット・デメリット教育システムの違いから、通級・特別支援学級・特別支援学校それぞれにメリット・デメリットがあります。お子さんの学校選びの参考にしてみてください。■通級・通常学級での子どもとコミュニケーションをとる機会が比較的多い・学習面で通常学級の授業が受けられる・必要なフォローを受けられる・通常学級から離れる時間が気分転換になることもある■特別支援学級・給食の時間や昼休みなどは通常学級での子どもとのコミュニケーションなどの経験ができる・発達の程度に準じたカリキュラムで指導を受けられる・学校と相談しながら通常学級との行き来ができるようにもなる■特別支援学校・個々人の障害の程度に合わせたカリキュラムで、専門性を持った先生からきめ細かい指導が受けられる・高等部では職業教育が受けられる■通級・特別支援学級・在籍基準があいまい・すべての学校に通級指導教室や特別支援学級があるわけではない・高校では通級制度はまだ整えられておらず、特別支援学級も設置されていないのが現状(ただし、2018年度から高校でも通級指導を始めるよう文部科学省が準備を進めている)・学級数や受け入れ可能人数などに地域差が大きい・通常学級との行き来がお子さんのストレスになることもある■特別支援学校・通常学級の子ども、同世代の子どもと触れあう機会が少ない・転学・転校は可能だが手続きが必要・障害の程度によっては入学できない可能性がある・特別支援学校高等部を卒業しても、通常の高卒資格は得られない(ただし大学入学資格を得ることはできる)・地域差、学校差がある特別支援学校への入り方・相談方法出典 : 小学校へ入学するまでの流れは以下のようになっています(あくまで一例ですので、詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください)。■年中期~6月ごろ:情報収集お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせたり、ホームページを参照して、地域にある特別支援学校や、小学校の特別支援学級の有無などについて情報を集めましょう。また4月から6月ごろにかけて、教育委員会が幼稚園や保育園、発達支援センターや療育センターに「個人調査票」「就学に関する調査票」の作成を依頼します。通常の学級・学校に就学することに不安があると思われるお子さんについて、園やセンターは保護者の了承を得て調査票を作成します。そして該当のお子さんをもつ保護者向けに、教育委員会が就学についての説明会を行います。説明会では小学校全体および各種学級、特別支援学校ではどのような支援が行われているのか、就学指導・就学相談の流れ、手続きの方法などがアナウンスされます。ただし、私立や認可を受けていない保育園や幼稚園は教育委員会の管轄外なのでこういった情報が回ってこない可能性があります。その場合はご自身で市区町村の教育委員会に問い合わせをして、就学相談を受けることをおすすめします。■7~9月ごろ:就学相談園やセンターの調査票がなくても、市区町村の教育委員会へ連絡すれば就学相談を受けることができます。就学相談では、専門の就学相談員と保護者との面談(複数回のこともあります)を通して子どもにとって最適な就学先を決めます。子どもの状態を把握するための検査が行われたり、相談員がお子さんの在籍園・在籍校に赴いてお子さんの様子を確認することがあります。障害の状態、障害に基づく教育的ニーズ、保護者・専門家の意見、学校や地域の状況などを考慮して、就学指導委員会がお子さんにとって良いと思われる就学先を決定します。この決定に保護者の方が同意をすれば就学先が決定します。もし同意できない場合はその旨を教育委員会に申し立て、再度就学相談を受けることもできます。最終的には保護者の方の意向が尊重されます。就学相談では、子どもの状態を正確にしっかりと伝えることが大切です。医療機関で受けた診断書や療育手帳などがあれば持参することをおすすめします。臨床心理士による子育てのヒント|発達の気になるお子さんに発達障害就学指導・就学相談について■10~11月:就学時健康診断と小学校の選択就学時健康診断とは、小学校に入学する前に行われる健康診断のことであり、身体検査に加えて発達検査、知能検査等があります。お子さんの障害や発達の遅れについて、この健康診断によって初めて気づく場合があります。特別支援学校の対象で示した就学基準にお子さんが当てはまると思われる場合、就学相談・就学指導を受けることを教育委員会からすすめられます。就学基準に当てはまると必ず特別支援学校に入学しなければいけないわけではありません。就学基準に該当していても、学校教育法に定められている認定就学者(就学基準に該当する児童生徒で市町村の教育委員会が小・中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める者)として小・中学校に入学、通級や特別支援学級に在籍するという選択肢もあります。出典 : 小学校は通常の学校に通っていたお子さんのなかには、実際にはもっと専門性の高い支援が必要であった場合などもあり、中学校や高校からは特別支援学校に通うということもあります。小学校から特別支援学校や特別支援学級で教育を受けていたお子さんが、特別支援学校の中学部に進学する場合、同じ学区域内であれば、小学校と中学校の先生、特別支援教育コーディネーターを通して教育内容が引き継がれます(特別支援教育コーディネーターとは、保護者からの相談の対応や福祉機関などの関係機関との連携・調査を行う教職員のことです)。お子さんが不安なく充実した学校生活を送れるように、お子さん本人の意思も尊重しながらよく話し合うことが大切です。進路に迷った時は、スクールカウンセラーや学校の先生、特別支援教育コーディネーターやかかりつけのお医者さんに相談してみましょう。まとめ出典 : お子さんの教育環境に悩まれている保護者の方はたくさんいらっしゃいます。大切なのは、お子さんが不安なく、のびのびと学校生活を送ることです。お子さんの性格や障害・発達の度合いにもよりますが、特別支援学校の良い点・悪い点を把握したうえでひとつの選択肢として考えることは、十分価値のあることでしょう。学校によっては見学会や説明会を行っているところもあります。また、文化祭などのイベントに行くことでも雰囲気や様子をつかむことができます。うちは中学から支援学校でお世話になりました。学校見学会には何度も行きましたし、文化祭にも行きました。夫と見学会に参加した時、うちの息子と似たようなタイプのお子さんがいて、その子がニコニコ顔で作業をしているのを見ました。そのまま息子が重なり、息子が笑顔でいる姿がすぐに想像できました。カンでしかないですが、そのカンを信じて、我が子を入学を決めました。今でもそのことは良かった、と思います。中高6年間で伸ばしていただきました。特別支援学校か、地域の学校か、ではなく「我が子が笑顔でいられる場所はどこか」で考えてみてください。ひとりで悩まずに、お子さんと学校へ見学に行ったり、周りの学校の先生やお医者さんなどに相談しながら、お子さんにとって最善の教育環境を考えてみると良いのではないでしょうか。文部科学省特別支援教育について文部科学省特別支援教育の推進のための学校教育法等の一部改正について(通知)
2016年07月20日自己完結型の娘Upload By SAKURA娘は赤ちゃんの時から母親にべったりする子ではありませんでした。手がかからず、育児でよくある「他の人では泣きやまなかったのに、ママが抱っこしたら泣きやんだ!」「やっぱりママじゃないとダメ」ということがなかったのです。それどころか、周りの人にもあまり興味がないようで、いつも1人で遊び、1人を好んでいた娘。他の人と遊んで、楽しさを共有しようとか、「みてみて~」と人と楽しさを共有する様子がなく、すべてが自己完結していました。側で遊んでみるUpload By SAKURAUpload By SAKURA娘と一緒に遊びたかった私。しかし、1人で遊んでいるときに私が入っていくと、途中で遊びをやめてしまったり逃げてしまったり。1人の時間がとても楽しいのか、そういう子なのかなと思い、私はそれ以上気にしませんでした。え?これって普通じゃないの?Upload By SAKURAそれが問題であると初めて分かったのは娘が2歳半のとき、発達支援センターでのことでした。教室に入るなり、私のそばから離れて遊び始めた娘。その間、私は先生とお話していました。先生「お母さんの所に戻ってきませんね。いつもこうですか?」その通り。いつものことなので正直に「はい、呼んでも来ないくらいです。」と言うと…「お母さん気づいてないかもしれませんけど、これはけっこう問題です。」えっ、問題なの?!お母さんに興味が無い?!Upload By SAKURAこのことがそんなに重要な問題だと思っていなかった私は、衝撃を受けました。先生から「この子はお母さんに執着がない…興味がないんです」と言われた私。この時のショックは相当なものでした。それはまるで、今までそばにいて過ごしてきた時間のすべてを否定されたような衝撃でした。娘と遊ぶ時間を作ろう!Upload By SAKURA先生から「まずは一緒に遊ぶことが楽しいと思ってもらうことが大事です」と教えてもらい、支援センター行われている「みんなおで母さんと遊ぶ時間」という活動に、親子で体験させてもらうことになりました。この活動は、他の子ども達も母さんと一緒に遊んでいるという環境の中、娘と遊ぶもの。これを繰り返しながら「楽しい気持ち」を共有する時間を増やし、人との関わりを学んでいくのだそうです。最初は戸惑っていましたが、みんなと一緒なら遊べるようで、少しずつ…少しずつ…娘は変わっていきました。あの日々があったからこそUpload By SAKURA現在5歳になった娘。名前を呼んでも来ない、いつも1人で遊ぶ、あの静かだった日々が嘘のようです。最近では「ママ!みて!」「ママいっしょにあそぼう!」「ママえほんよんで!」の毎日。他の人に対しても、自分から近づいて行ったり、度が過ぎるほど話しかけるようになりました。時間はかかりましたが、発達支援センターでの活動は無駄ではなかったと感じます。
2016年07月20日忘れられない辛さ、みなさんは経験がありますか?過去の辛い記憶や苦い経験、みなさんはどれくらいの時間が経てば消化できますか?思い切り泣いたらスッキリする、一晩寝たら気持ちを切り替えられる、失敗したときと同じ状況になったとき初めて消化できる、など人それぞれだと思います。発達障害には、記憶に関する凸凹があると言われており、特に自閉症は忘れられない障害とも言われるそうです。その「忘れられない」という特性は、アスペルガー症候群の息子にも、色濃く出ています。何かのキッカケで、苦い記憶が、まるで5分前に起きた出来事かのように鮮明によみがえり、ストレスを感じます。忘れてはならない予定や持ち物などは、しょっちゅう忘れてしまうのに、苦い記憶や自分の中で消化できていない事は何年経っても覚えているのです。そのストレスが原因で、パニックを起こしてしまうこともありました。どうしたらこのフラッシュバックから解放されるのでしょうか?当たり前ですが、パニックが起きたときに一番辛いのは本人。息子だって、平穏な生活を望んでいます。息子のパニックを誘発したのは、1年前の出来事Upload By kaoru息子に「苦い記憶を忘れられない」という特性があると気づいたのは、学校からの1本の電話でした。「ある同級生を見かけた途端、飛びかかり、蹴った」との事でした。先生は「理由を聞いても、わからない」と言うのです。「同級生を見かけた途端、飛びかかった」という状況で、息子の言い分は「僕が先にやられたからやり返した!」という内容。息子が跳びかかったときの目撃者も多く、先生は息子の言い分に戸惑ったようでした。私が息子に話を聞くと、確かに相手が先に手を出したのは事実なのですが、それはなんと1年以上前、学校ではなく放課後デイでの出来事だったのです。「突然相手から椅子をぶつけられたから押し返した。そうしたらぼくだけ先生に怒られた。だから今度は僕が先にやった。やり返しただけだ!」これでは学校が対応に苦慮するのも、当然だと思いました。1年前にトラブルになった際、大人の仲裁に納得できず、モヤモヤを忘れられなかったらしいのです。かつてのトラブル相手を見つけた途端、モヤモヤした記憶が鮮明によみがえり、半ばパニック気味になっていたのでしょう。納得ができないことは、息子の中で未消化のまま終わらないのです。消化できないままの出来事は、何年経っても終わらない。そう気付いてから出典 : 今回の件を考えれば、理由があっても手を出すのはいけないことです。そして当時その同級生は椅子をわざとぶつけたわけではなかったのかもしれません。ですが、まずは子どもの気持ちに寄り添い、「口惜しかった」「納得がいかなかった」という気持ちを認めてあげる事に徹しました。1年前に、息子の言い分を聞いてから「わざとじゃなったかもしれないね」と伝え、それから「でも手を出すのはいけないと思う」と言っていたら、この1件は納得して息子の中できちんと消化できていたかもしれません。今回の1件で、息子は1年前のトラブルが頭から離れず、ストレスを感じ毎日のように私に口惜しい気持ちを話し続けるようになりました。Upload By kaoruなんとか、息子の苦い記憶を消化させてあげたいけれど、なかなか情報がありませんでした。ですが、打開策のヒントは息子自身が言った言葉にありました。「お母さん、僕は忘れたほうがいいのかな?」この言葉にピンときたのです。きっと、忘れたいけど忘れ方が分からないのではないだろうか?「そうだね、君のためには忘れたほうが良いかもしれない。納得できないかもしれないけど、忘れられたら楽になれると思う。口惜しかったよね?納得できなかったよね?その気持ちはお母さんが覚えておくから。」このやり取りを境に、息子はこのトラブルを口にしなくなりました。忘れる事が苦手なのは「忘れてもこの先大丈夫なのかどうか」がわからないからUpload By kaoruこれは私の考えですが、息子は「忘れていい」と言って欲しかったのだと思います。本当は思い出したくないし、パニックになって問題も起こしたくないのが本音でしょう。私が「お母さんが覚えておく」と言ったのは、息子が自閉症スペクトラムである以上、行き場のないネガティブ記憶の処分先を、明確にしたほうが良いのではないか?と思ったからです。その後、息子は忘れたいけど忘れられない記憶ができると、私に「忘れる許可」を求めに来ます。「忘れたい」とは言いませんが「忘れたほうが良いのか?」と聞いてくるのです。自閉症スペクトラムの子は、見通しを立てたり応用する事が苦手と言われますが、「忘れていい」と明確にわかり「忘れてもこの先問題ない」という見通しがないと、忘れることさえ不安なのかもしれません。親子で一歩ずつ、「苦い記憶」と上手に付き合っていけるように出典 : アスペルガー症候群である息子は、知的に遅れもなく言語も達者です。だからこそ「理解できるだろう」と安易に解決を求められ、消化できない苦い記憶が増えてしまうのかもしれません。こうやって積み重なった苦い記憶は、二次障害の原因のひとつにもなると私は感じています。私は、息子に関わる大人にいつもお願いしていることがあります。それは特別扱いをして欲しいとか息子の肩を持って欲しいとかではなく、「本人の言い分を聞いた上で、息子も相手も納得できる解決をして欲しい」ということです。こうした関わりが、消化できない苦い記憶ばかりを増やさない大切なプロセスだと思うからです。周囲の協力と、家でのコミュニケーションを重ね、息子は成長と共に「ある程度流せること」も増えてきました。私に気持ちを話し、共感してもらえると落ち着けるようにもなってきました。それでも、過去の苦い記憶を思い返してグズグズする事もあれば、私が十分に話を聞けない時はなかなか切り替えられない事もあります。ストレスが多いときほど、苦い記憶は忘れにくく、そして思い出しやすくなるように感じます。全ての要因を排除するのは無理だとしても、二次障害を誘引しない程度に、ネガティブな要因を避ける術を学ぶのが目標です。まだまだ「苦い記憶を忘れる」ハードルは高いけれど、親子で1歩ずつ飛び越えて行きたいと思います。
2016年07月20日Instagramで人気のこのTシャツ、見たことありますか?出典 : 出典 : 出典 : このTシャツは神戸にある「Seashore」というクラフトチームのオリジナルTシャツ。人気インスタグラマーたちがこのTシャツを紹介していることで注目されています。Seashoreは2013年、神戸で誕生したcraft teamです。“全てのお客様に海、ロハス、自然、癒しを感じてもらい気持ち良い空間を楽しんでもらいたい。”そんな思いをメンバー一同が共有しています。各アーティストが作るアイテムが皆様の日常の一瞬を素晴らしいものに変える事が出来たら嬉しく思います。福祉への気持ちがこもったTシャツ出典 : 実はこのSeashoreは「JOIN US活動」と称して、障害のある方の仕事づくりに積極的に取り組んでいるのです。このTシャツのタグ制作と取り付け、包装は福祉施設に業務委託されているのだとか。そのほかに販売されているグッズでも制作の過程を業務委託し、障害のある方々の自立を応援しています。福祉雇用などに積極的に参加し自身が作るアイテムの一部を業務委託しています。ハンディキャップを持っている方が笑顔で自立できるように共に歩んで行きたいと思い活動を続けます。(JOIN US活動)「オシャレ!」からはじまる支援があってもいいよね私がこのTシャツを知ったときに、日頃から障害者支援や福祉活動をしている方達だけでなく、InstagramをはじめとするSNSを使いオシャレなライフスタイルを提案している人たちが沢山参加している事にとても驚きました。これまで福祉に興味がなかった人たちも「オシャレなTシャツだな〜」という切り口から、福祉を知るキッカケになっているかもしれません。いくつかご紹介しますね。出典 : 出典 : 出典 : 出典 : 出典 : 出典 : 出典 : 福祉とファッション、手を取り合って大きなパワーにUpload By OKASURFER以前、いつもオシャレな私の友人が、「自分の見た目ばかり着飾っていないで子どものことをちゃんとしろ、と主治医に言われた…」と話してくれました。彼女はいつも子ども達のことを考え、日の出前から起きて一日中駆けずり回っているのに、オシャレ見えたからといって「子どものことをやっていない」と言われるのは心外だ、と怒りを覚えたそうです。私も、障害児の子育ては別に喪中でもなんでもないんだから、どうして無理に地味にして、大変そうに演出しなきゃいけないの?と疑問に思うこともあります。わざわざ派手に着飾る必要はないですが、ことさらに髪をふり乱す演出を求められることは、不自然ではないでしょうか。結局、相手の見た目で何かを判断するということが今の社会には残っていて、それは医療従事者や福祉業界にいる支援者の方にも少なからずある事なんだ、という現実にがっかりした経験でした。福祉の分野とファッションはこれまで距離があったからこそ、手を取り合えば、とっても大きなパワーになるんじゃないかと期待しています。福祉とファションの今後を担う活動を、これからも応援していきたいです! inc. 公式サイト inc. 通販サイト
2016年07月19日