LITALICO発達ナビがお届けする新着記事一覧 (5/131)
2024年8月8日に宮崎・日南市で震度6弱の地震…南海トラフ地震臨時情報も…もしもの時に障害のある子どもをどのように守ればいい?2024年8月8日に宮崎・日南市で震度6弱の地震があり、専門家は「1週間程度、同程度の揺れが発生する可能性がある」と注意を呼びかけています。また、南海トラフ地震の想定震源域では大規模地震が発生する可能性が普段と比べ相対的に高まっているとして、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)を発表しました。もし大地震や津波などの災害に直面したとき、避難勧告が出されたとき、障害のある子どもをどのように守ればいいのか……不安を感じている方も多いと思います。今回はそんな「いざ」という時に読んでおきたい防災についてのコラムをまとめてご紹介します。南海トラフ地震臨時情報が発表されたら!|内閣府発達ナビにて発達が気になる子どもの避難や防災に関してのアンケートを実施。今回はご回答の中から「子どもが家族と離れた場所で被災したらどうすればいいの?」「避難先で処方薬がなくなったときの対応は?」「障害者手帳は取得しておいたほうがいいの?」などの質問に専門家にご回答いただきました。発達障害のある子どもの避難生活やサポート、避難所での配慮のポイント、被害の大きい地域での福祉避難所の設置状況、やむをえず車中泊となった際の注意点についてを専門家の解説とともにご紹介します。いざと言うときに知っておくと安心な情報が満載です。気になるけれどなかなか聞くことのできない障害のあるお子さんのいるご家庭の「防災対策」。読者の方の災害ノウハウの紹介をはじめ、災害が起きる前にあらかじめ子どもに伝えておきたいこと、実際に被災してしまったときはどうする?などを専門家にお聞きしました。避難所には、一般避難所のほかに支援や配慮を必要とする方のための「福祉避難所」があります。いざというときのため、対象者や避難の流れ、さらに事前に準備すべきことなど、知っておきたい情報をまとめました!「みんなのアンケート」によせられた発達ナビ読者の声やアイデアをご紹介!とりいれられる工夫はないか、家族を守るため必要な防災の備えは何か、もし災害が起きたらどう行動すればよいかなどの工夫が満載です。ご自身やご家族の中に、避難するときに支援が必要な人はいませんか?困ったときに「避難行動要支援者名簿」の制度が、大切な命を守ってくれるかもしれません。制度の内容や登録までの流れを紹介します。もし災害支援の際に避難所で困っている発達障害のある方やそのご家族を見かけたら?見た目からは困りごとが分かりにくい発達障害。支援にあたられる方や、地域の方の理解がお子さまのスムーズな行動・安心に繋がっていきます。参考になるコラムがたくさん!防災がテーマの連載コラム(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年08月09日好奇心旺盛?先生から注意されることが増えてきた年中時代コチ丸が保育園の頃、私は遠方の会社にフルタイムで勤務していました。コチ丸は保育園の預かり時間を目一杯に使い、平日は開園から閉園まで保育園にいるという“保育園の主”のような生活を送っていました。そういう事情もあり、保育園の先生方にもコチ丸のことは日頃からよく見ていただいていました。コチ丸が年中になる頃、先生とやりとりする保育園の連絡帳には「⚪︎⚪︎が気になったのか、触ろうとして突然走り出した」とか「お昼寝の時間に一人だけ興奮して眠れなかった」という言葉がちらほら目立つようになってきました。また、年長に上がる際に行った担任の先生との面談の際には、「少しほかの子に比べて落ち着きがないのかもしれないですね」と言われました。先生なりに気を遣った遠回しな言い方ではありましたが、私も仕事で子どもの発達に関わる仕事をしていたので先生の言いたいことにはピンときました。たくさんの子ども達を見てきている保育園の先生があえて言うくらいなのだから、コチ丸はやっぱりちょっと発達が気になる子なのかもしれないな……と思いましたが、当時は病院に連れて行くとか療育を始めるという、具体的な方法をとるということはしませんでした。周りを見ると、コチ丸以外にも手がかかりそうな子はまだたくさんいましたし、どこかで、私があまり一緒にいる時間がないから、こうやって人の気を引こうとしているんじゃないのかな?という自分を責める思いも強かったからです。Upload By あきオムツはいつはずれるの?生活のなかで「できること」の遅れにも悩まされ……。保育園の頃の悩みといえば、もう一つ、コチ丸のオムツがなかなかはずれないのも私の悩みの種でした。年中頃になるとオムツがはずれる子も多い中、コチ丸は年長に上がる頃でもまだオムツが必要でした。保育園に頼りきりで、日頃トイレトレーニングにしっかり付き添えないことが原因かなと考えたり、小学校に入ってもオムツだったらどうしようという焦りも出てきたりしました。思い切ってパンツに変えてしまえば、漏らした時に気持ちが悪いのが嫌でトイレに行けるようになると聞き、思い切ってパンツに変えてみたのですが、漏らしても気にならないのか、コチ丸には効果がありませんでした。なんだかんだとそれからもオムツがはずれるまでは苦戦しましたが、年長の秋が終わる頃にはオムツもなんとかはずれました。Upload By あき落ち着いた性格になるために習い事で情緒を育てられる?いろいろ試した2年間この頃、落ち着きのないコチ丸も何か習い事を始めれば変わるかもしれない!と思い、いくつか習い事を始めることを検討するようになりました。私が幼稚園の頃からピアノを習っていたこともあり、「音楽をやれば情緒が安定するかも?」とリトミックを始めたり、「武道をやれば少しは落ち着いて座っていられるようになるかも」と思い、空手を始めたり……。が。どちらも何回通ってもコチ丸は私の横から離れることはなく……。空手に至っては2ヶ月ほど通って、コチ丸がお稽古に参加したのは1回だけ、それも数分。それ以外はずっと泣き続けるだけという毎週地獄絵図のような状態が続いたので諦めました(笑)。情緒が落ち着く以前に、息子は新しい環境に馴染むのに時間がかかるのだということも発覚しました。逆に科学館や美術館などで行われるワークショップなど単発のイベントは、コチ丸も集中することができたので、よく参加しました。運転が苦手な私でしたが、とにかくコチ丸に何か夢中になれるものが見つかれば……という思いからいろいろなところに出かけました。また、寝る前の絵本の読み聞かせも毎晩欠かさず行っていました。読み聞かせは情緒が安定すると聞き、コチ丸に知識がつけば一石二鳥だなという思いから、小学校の高学年になる頃まで続けた習慣でした。その甲斐あってか、コチ丸は高校進学で家を出るまでたくさんの本を読みました。今でも何か気になることがあればすぐに調べたり、知識が豊富だったりするのは読み聞かせの賜物かなと思っています。なにより、忙しかった私にとって、寝る前の1時間ほど、コチ丸といろんな本を読むのが一番落ち着く幸せな時間でした。Upload By あき感受性豊かなコチ丸、ギャン泣きの卒園式いろいろと落ち着かないところはあったものの、無事に卒園式を迎えることができたコチ丸。私たち親子は、コチ丸の小学校入学を機に、私の実家に戻ることになりました。引っ越すこともあり、先生方やお友達とはこれで一旦お別れ。まだ幼いコチ丸がその別れの意味をちゃんと理解できていたのかは分かりませんが、卒園式では誰よりもギャン泣きしていました。顔を真っ赤にして大粒の涙をポロポロ流している写真を見ると、今でもあの日のことをリアルに思い出せます(笑)。当時は、なんでこんなに泣くのかと呆れるほどでしたが……今思うと感受性が豊かというか、人目を気にするという感覚も少ない幼少期は、感情の昂りが制御されることなくしっかり出てしまったのかもしれません。Upload By あき高校生となった今でも、私のスマートフォンへセンチメンタルなメッセージを唐突に送ってくるコチ丸(←きっと自覚なし)。とはいえ、今は人並みに気持ちの制御ができ、冷静に自分と向き合えているのかなと思います。そう思うと、なんでも気づけばちょっとずつ、のんびりではあるけれど成長しているのかもしれません。ちなみに、コチ丸のじっとしていない感じはいつまで続くのかと不安になった時期もありましたが、中学に入った頃にはすっかり落ち着き、今となっては悩まされていたのが嘘のように穏やかな性格をしています。なんなら私のほうが慌ただしいのをコチ丸からたしなめられるくらいです……(汗)。Upload By あき執筆/あき(監修:室伏先生より)あきさん、保育園の頃のコチ丸くんのご様子を共有くださり、ありがとうございました。フルタイム勤務をされながら、習い事を試してみたり、じっくりと読み聞かせをする時間をつくられたり、コチ丸くんと向き合ってこられたのですね。現在のご様子も共有いただいたことで、発達障害のあるお子さんを育てられている親御さんにとって、この記事がとても心強く感じられたのではないかと思います。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)のお子さんに、いつまでこんな状態が続くのだろうか、と将来への強い不安を感じられる親御さんも少なくないと思います。しかし、子どもは大きく成長します。ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんで幼児期に周りの人への興味が広がらなくても、年中、年長、学童期と年を経るごとにお友達が大好きになったり、ADHD(注意欠如多動症)のお子さんで、幼児期には落ち着きがなくて親御さんがいつも走って追いかけているような状況でも、学童期になると学校で座って授業を受けていらっしゃったり、と状況は変わっていきます。一方、以前困っていたことは成長とともに困らなくなったけれど、年齢が上がるにつれて課題が変わってくることもあります。とはいえ、同じ診断を受けていても、知的能力や性格、得意なこと、苦手なことはその子によって異なります。経過もそれぞれで予想が難しいことも多いので、見通しが立たないことで不安が募ってしまいますよね。将来を見通すことは難しいことかもしれませんが、このような経験談を共有していただくことで、ほかの親御さんの不安や焦りが少しでも軽減されることを願います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年08月09日息子の中学進学で、家族の生活が大変革!中学校に通うようになって、まず困ったのは「学校が家から遠い」ということでした。毎朝4時に起きて車で駅まで送り、そこから電車とスクールバスを乗り継いでもらうのですが、何しろ最寄駅からの電車が1時間に1本しかないので、ちょっと私か息子が寝過ごすともう遅刻です。Upload By 寺島ヒロ動かない体に鞭打って起きる息子も大変ですが、弁当を用意しなければいけない私はさらにその1時間前に起きなければなりません。購買部でパンでも買えと言えれば少しは楽なのですが、なにしろ、タケルはまだ買い物をすることができないのです。この頃、娘のいっちゃん(ASD・当時10歳)は、非24時間性睡眠覚醒症候群の診断前でしたが、不眠と過眠を繰り返していたので、私は1週間に2日は徹夜、眠れた日でも4時間ほどという過酷な日が続きました。片道2時間の登下校よりつらいこととは…それでも、朝晩の通学のことはまだ良いのです。駅までの送迎は夫に代わってもらうこともできます。お弁当だって、いざとなれば駅で買って持たせてもいいのです。まあ息子は嫌がるので、本当に1学期に1回ぐらいしか使えない手ですが……。私にとって一番の問題は……そうやって、やっと登校しても「迎えに来て」と電話がかかってくるときがある!それも結構頻繁に!……ということなのです。昔から音に敏感な息子タケルは小さな頃から音に敏感で、不快な音に遭遇するとパニックを起こしたり、突然の大きな音に驚いて倒れてしまうようなこともあります。また、一般的にはあまり問題にならないと思われるような小さな気温や、気圧の変化によって、「そんなに?」というほど体調を崩すこともしばしばでした。中学生になってもその点は変わらず、授業中にパニックを起こして机に倒れ伏したり、急に「頭がイライラして音が大きく聞こえる!体調不良です!」と言って、勝手に教室から出ようとしたりということがありました。学校の保健室は、タケルの通う中学棟ではなく高校棟にあったので、「中学生は行ってはならない」と思い込んでいたようで、何度先生や私が言っても絶対に行こうとはしませんでした。そのため、タケルからSOSの電話がかかってくると、学校まで車で迎えに行くしかありません。高速なら30分なんですよね。ええ、もちろんタダではありません……。Upload By 寺島ヒロ踊るように…学校を回遊するタケルある日、学校に用事があり、夫とタケルと一緒に職員室に向かって校舎の脇の道を歩いていた時のことです。いつもフワフワと歩いているタケルですが、その時はいつもよりご機嫌だったようで、くるりくるりとステップを踏み踊るように歩いていました。夫「何で踊るの?」タケル「なんでもないけど踊りたい」夫は「目のじゃまだ」とやめるように促しましたが、私は「まあまあ、今は人目がないからいいじゃない」「踊りたいときもあるよ」と言いました。すると、タケルは「え?わたしいつもこんな感じよ?」と、心底意外だという顔で言うではありませんか。こちらこそ意外過ぎて笑ってしまいました。ウキウキ♪タケルのスクールライフ家ではタケルはいろいろな面白いネタを披露して見せてくれていましたが、小学校ではそのようなおふざけは一切見せませんでした。しかし、中学校では動画サイトなどで仕入れたネタを披露したり、おもしろ実験のようなことをやって友達に見せたりしていたようです。いつしか中学校はタケルにとって心を許せる場所になっていたのかもしれません。Upload By 寺島ヒロ自分の体調の変化に振り回されることがありつつも、学校で楽しく過ごすことができたタケル。当時の息子を支えてくれた学校の皆さんには本当に足を向けて寝られません。私の時間と健康は音を立ててゴリゴリと削れていきましたが、小学校の時のように行き渋りをすることもなく、私が家で勉強を教えることもなくなった(何しろタケルの求めるレベルは高いので予習必須)ので、精神的には楽にはなりました。差し引きでも「楽」がちょっと勝っていたように思います。思考する余裕もでき、娘が生まれて以来断っていた漫画の仕事を少しずつ再開するようにもなりました。執筆/寺島ヒロ(監修:初川先生より)タケルくんの中学校生活にまつわるエピソードをありがとうございます。毎朝4時起きでないと遅刻になる生活……本人のみならず家族も含めて負担はかなり大きいと感じましたが、それでも行きたい中学校、受験してまで勝ち取った中学校なんだなということを、その背景を知ることで改めて感じました。特性ゆえの過敏性やうまくヘルプが出せないことなどから登校できても早退するなど、コンディション調整に苦戦することもあったのですね。ただ、その一方で、同級生の前で“ネタ”を披露するなど、のびのび振舞えて、受け入れてもらえる環境もあったというのが何よりだなと感じます。タケルくんの場合ほどではなくとも、お子さんが中学高校となるとお弁当必須の学校に進学することも多く、保護者のサポートはそうした面にもおよびますね(長距離通学だと何もかも早くなるので大変ですね。ヒロさんは「時間と健康」が「ゴリゴリ音を立てて削られて」いったとのこと……本当にお疲れ様でした!)。学習については保護者がサポートしきれなくなることも増えますし、そのほかのことも中学高校だと保護者が支えきれない面も多くあります。だからこそ、同級生や仲間、先生方とうまくやっていける環境というものがお子さん本人にとってとても支えになるだろうと感じます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年08月08日夏休み、お疲れさまです!夏休みに入って、24時間体制で大忙しの保護者の皆さま、本当にお疲れさまです。わが家の3人は、夏休みになって喜んでいるけど、「宿題がなかったらもっと最高なのに」という気持ちもあるようです(笑)。外が暑すぎるので、お家で過ごす時間も多くなりますよね。そこで今回は、「スパ山家流」夏休みのお家での過ごし方を書いていきたいと思います。Upload By スパ山長期休みは生活リズムが崩れるわが家の子どもたちは放課後等デイサービスに通っていないので、夏休みの生活リズムを学校がある時と同じように整えるのが難しかったです。そこで、お家の時間割を作りました。まず、みんなゴロゴロするのが大好きなので起床時間はいつもより1時間遅くしました。お母さんも朝寝坊したい(笑)。朝の会で、今日の予定を確認します。おやつやゲームなどの「楽しい時間」を間に盛り込みながら作り、見えるところに貼りました。うちの子たちは、「何をするか分からない時間」が苦手なので、見通しの立つ時間割作戦がとても合っていたようです。Upload By スパ山家の中で夢中になってくれる遊び?わが家は転勤族です。実家に預けることもできず、帰省も飛行機の距離があるので、簡単にはできません。先ほども述べた通り、放課後等デイサービスにも通っておらず、習い事もしていません。イベントのような人が大勢集まる場所も苦手ですし、児童館にも馴染めず、ほとんど家の中で過ごしています。そんな中で、夢中になってくれた遊び第一位が水遊びです!ただ、家には庭がなく、マンションのベランダも危ないので、お風呂で遊びます。シャボン玉を楽しんだり、洗面器に氷を入れて溶ける様子を観察したり、電気を消して光るおもちゃを浮かべてナイトプール気分にしたり(笑)。そのついでに、お風呂掃除も手伝ってもらって一石二鳥です。Upload By スパ山たぶんこれが一番大変……夏休み中、食事の準備が本当に大変です。特にお昼ごはんが大変です。給食のありがたみを感じています。そこで、曜日ごとに献立を決めてしまうことにしました。例えば、月曜日は納豆、火曜日はうどんといった感じです。忘れがちな曜日の感覚も保てますし、昼ごはんの献立を考える手間も省けるので、とても助かります。Upload By スパ山チートデイ(のようなもの)を設けます工夫して過ごしていても、子どもたちに付き合って遊んだり、宿題の丸付けをしたり……と、正直なところ大人もかなり疲れます。そのため、時々「今日1日、好きなことを好きなだけやっていい日」という、ダイエットのチートデイのような日を設けることにしています。この日は食事もデリバリーを利用することがあります。規則正しく過ごしたい長女はあまり参加しませんが、長男や次女はここぞとばかりに長編の映画を見たり、好きなだけゴロゴロしたり、大好きな絵や工作に没頭してリフレッシュすることもあります。Upload By スパ山いかがだったでしょうか。これはスパ山家流の過ごし方ですが、少しでもお役に立てれば幸いです。残りの夏休みも無理なく、楽しく、ぼちぼち過ごしていきたいですね。執筆/スパ山(監修:初川先生より)スパ山家の夏休みの過ごし方のシェアをありがとうございます。とても具体的で、参考にしたくなる方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。夏休み、暑いし長いし、昼ご飯問題もあって、保護者にとっては全然“休み”じゃない時期ですね。スパ山さんのお子さん方は、予定に沿うのが好きなお子さんが2人いらして、「お家の時間割」がとても有効だったとのこと、特性を活かした工夫として素晴らしいですね。ゆるめに時間割を組んでそこに縛られないようにするとか、チートデイを設定するなど、ストレスになりづらい工夫も通底していてとても参考になります。夏休みとなると、何か子どもにいい経験をさせたいとか、長い期間あるからこそだらだら過ごしているだけではダメだと決意される保護者の方は多いと思います。だからこそ、うまくいかない日が続くとイライラしたり、がっくりきたりすることもあるのではと感じます。特別なことももちろん大事ですが、淡々とした日常を刻み続けることも大切なことだと感じます。そういう意味で肩に力の入りすぎない「お家の時間割」は参考にしたいと感じました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年08月08日健診でも、園・学校からも一度も指摘がなかった息子が、小4のGW明けから完全不登校に息子は1歳半健診、3歳児健診といった健診、また先生たちからも発達についての指摘は受けたことはありませんでした。人見知りで少し頑固なところがありましたが、小さい頃はイヤイヤ期なんだなという認識で、小学校に入学すると『お兄さん』になった自覚からか癇癪も減りましたので、こうやって成長していくのだなと感じていました。しかし今思うと、イヤイヤ期だと認識していたあの泣き叫びはこだわりであり、特性によるものだったのでしょう。お兄さんになった自覚も、完璧主義からの過剰適応だったと推察します。息子は小学3年生の後半から行ったり休んだりの『まだら登校』になり、4年生のゴールデンウィーク明けから完全不登校になりました。不登校になってから分かった発達障害息子が学校へ行けなくなったきっかけは、ハッキリとは分かりませんでした。しかし、少しずつ勉強についていけなくなったのが大きいのではと私は思っています。息子は完璧主義なため、少しの間違いも受け入れられないような雰囲気がありました。私は「誰でも間違えることはあるし、直せば良いじゃない。機械じゃないんだから。……あ、機械でもエラーは起こすね!」などなるべく明るく声をかけていましたが、息子は間違えたことを受け入れられず、不登校になってからは家庭での癇癪・暴言・他害がどんどんひどくなっていきました。きょうだいへ八つ当たりすることもあったため、私は登校できるできないより、まずは家族が安全に暮らせるようにしたいという気持ちでいっぱいでした。Upload By ユーザー体験談私は息子に適した対策を専門家に問うべく受診、息子は小学校4年生でASD(自閉スペクトラム症)、反抗挑戦性障害(反抗挑発症)と診断されました。その後は専門家のアドバイスを聞いたり自分で勉強をして息子に合った対応をするようになり、暴言は続きましたが、幸いにも他害はだんだんと減っていきました。候補は学区外の特別支援学級。情緒級?知的級?迷った進路そんな中、私は息子の進学先をどうすればいいか悩んでいました。学区内の中学は特別支援学級がなかったので、学区外で探す必要がありました。息子には知的障害(知的発達症)はないため適応は特別支援学級の自閉症・情緒障害クラスなのですが、3年間不登校、家庭での学習は皆無でしたので、現時点での本人の学力を考えると、特別支援学級の知的障害クラスが合っているのではないかと感じました。自閉症・情緒障害クラスに入っても、中学1年生の勉強から始められたら到底ついていけません。学習についていけないことがきっかけで不登校になったという背景もあり、また息子がつらい思いをし、不登校になるのは避けたかったのです。息子は、自己責任と感じることを避けるためか、何でも私に聞いたり決めてもらおうとするところがあります。当時の私はそれに応じてしまっていました。癇癪や他害がつらく、息子の機嫌を損ねないことばかり気を取られていたと思います。中学について息子に聞いてみても「〇〇中へ行きたい」といった声は本人からは聞かれず、「僕はどこの中学校へ行くの?」「どうしたら良いの?」と聞かれたため、夫婦で考えて学区外の中学校の特別支援学級の知的障害クラスを希望しようと思っていると伝えたところ、「分かった」と本人の受け入れは早かったのですが、「勉強は僕に合わせてくれるのかな?」と聞いてきたので、やはり勉強への心配はあるようでした。Upload By ユーザー体験談完全引きこもり状態の息子を就学支援委員会のための面談へ希望を決めたあとは、就学支援委員会のための面談がありました。息子は、病院受診やカウンセリング、支援センターなど全てに対して拒否感が強かったので、この面談に行くこともとても嫌がりました。自分の事であっても、必要性や自分にとってのメリットを見いだせなければ外出しようとしないのです。でも、とにかくこの面談には出てほしいと説得をして、なんとか連れていきました。現場に着いてからも私から離れることや、長く待たされることにイライラしている様子が見て取れました。今にも「帰る!」と言い出さないかヒヤヒヤしましたが、なんとか終了まで座っていられ、面談は終了。無事学区外の特別支援学級の知的障害クラスに進学できることになりました。Upload By ユーザー体験談毎日登校し「学校どう?」と聞くと「楽しい」と答えるように現在中学生になった息子は、なんと毎日学校へ通うことができています。その様子を見てやっと分かったのですが、息子の不登校の理由の一つとして、小学校の同級生からの視線があったようでした。あくまでも私の推察ですが、かつて休まず登校していた自分を知っている同級生から「変だと思われているんじゃないか」という気持ちもあったのでしょう。知った顔のいない、学区外の中学へ進学したことは結果的に大正解でした。「学校どう?」と聞くと「楽しい」と答えるようになった息子。本当は小学校でも〝学校へ行ける自分〟になりたかったのだと思います。そして、今それができている安心感から、「学校が楽しい」と発言しているのかもしれません。息子の居場所を見つけられたことを嬉しく思います。Upload By ユーザー体験談同時に、家庭内での過ごし方はまだ問題を抱えています。家族への強い依存、構ってほしい気持ちからくる自己中心的な行動がありますので、外の世界との関わりが増えることで、気持ちが外に向かい、家庭内での問題が少しでも良くなれば……。そして家族も安心して家で過ごせるようになると良いなと思って、中学生になった息子を毎朝見送っています。イラスト/SAKURA※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:森先生より)大変な時期が続く中、ご家族みんなが安心して暮らせるように努力されましたね……。「反抗挑戦性障害(反抗挑発症)」があると、カッとなりやすかったり、口論が多かったり、自分のミスを人のせいにしたりといったことから、トラブルとなることも多いのです。支えるご家族としてはとても苦労されることと思いますが、他者との正しいコミュニケーションの取り方を教えていくことで改善していくといわれています。お子さんが不安で癇癪を起こすときには、お子さんの気持ちをまずは受け止めて、その上で冷静に保護者の方の考えを伝え、お子さん本人にとってどうするのが良いかを一緒に考える、ということを繰り返していくといいでしょう。保護者がお子さんの感情に巻き込まれてしまうと良い結果になりませんので、「暴れたら一旦部屋を移動する」など、安全に配慮して物理的に距離を置くことも検討しましょう。外出や登校に抵抗感を持つケースでは、「完璧主義」、「白黒思考」がベースにあることは少なくありません。外での振る舞いでほんの少しでも失敗してしまうことを極端に恐れて、外出が怖くなってしまうのです。今回のケースのように、「完璧じゃなくてもいいんだよ、そんなに完璧な人なんていないよ」と、その都度その都度伝えていけるといいですね。一度で伝わるものではないので、根気強く寄り添っていく必要があります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年08月07日自分らしい働き方を探せる「LITALICO仕事ナビ」LITALICO発達ナビの姉妹サイト「LITALICO仕事ナビ」は、働くことに障害のある人とその支援者をつなぐことを目的としたWebサイトです。「働くことに障害のある誰もが自分らしく働ける社会をつくる」をビジョンに、就労事業支援のサポートのほか、障害者雇用の求人情報や専門家監修の基礎知識記事、障害当事者の体験エッセイなどの情報を発信しています。※クリックすると発達ナビのWebサイトから仕事ナビのWebサイトに遷移します今回は、仕事ナビのお役立ちガイドの中から、仕事ナビライター陣の体験エッセイをご紹介します。発達障害、睡眠障害、精神疾患……大人ならではの困りごともUpload By 発達ナビ編集部子どもの発達障害が分かり、自分自身も似た特性があると感じたという経験がある方もいらっしゃるかもしれません。ゆたかちひろさんもその一人。思い返せば、高校卒業後からのアルバイトでは特性が活かされていたようです。大人になり、苦手を克服するより大切だと思ったことは……。もしかして発達障害?特性を把握すれば苦手も克服できた!フリーター、派遣社員、パート…私に合ってた仕事歴※クリックすると発達ナビWebサイトから仕事ナビWebサイトに遷移しますUpload By 発達ナビ編集部発達ナビでもお馴染みの寺島ヒロさんもASD(自閉スペクトラム症)のお子さんを育てている中で、自分にも同じ傾向があることに気がつきます。睡眠障害もある寺島さんの一日は「始まる前から怠さとの戦い」と言います。子育て、家事、仕事……寺島さんは、日々どんな工夫をしているのでしょうか。大人になって分かった自閉症傾向。睡眠障害当事者の在宅仕事術。起床から1日の組み立て方は?※クリックすると発達ナビWebサイトから仕事ナビWebサイトに遷移します出典 : くらげさんのお悩みは学び直しをしたいけれども、「勉強ができない」ということ。聴覚障害があっても学びやすい教材や教室の少なさ、ADHD(注意欠如多動症)による困りなど、くらげさんの考察は……聴覚障害・ADHDの重複障害の40代が挑む「学び直し」!まずは勉強の仕方から分からない!?試行錯誤の日々※クリックすると発達ナビWebサイトから仕事ナビWebサイトに遷移します出典 : 宇樹義子さんは、32歳のときにASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。二次障害の苦悩を抱えている中、転機が訪れます。診断前の家庭での困りごとや社会に出てからの困りごとを振り返っていただきました。いじめ、母との確執…二次障害での苦悩。32歳でのASD診断、夫との出会いが転機に※クリックすると発達ナビWebサイトから仕事ナビWebサイトに遷移しますLITALICO仕事ナビは、仕事にまつわる情報満載!LITALICO仕事ナビでは、障害当事者の体験エッセイだけでなく、専門家監修のお役立ち記事、就労支援に関する情報や地域の事業所情報、障害者雇用の求人情報もご紹介しています。障害のある成人の方だけでなく、今後成人するお子さんや保護者の方が知りたい情報も掲載しています。ぜひアクセスしてみてください!※クリックすると発達ナビWebサイトから仕事ナビWebサイトに遷移します(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年08月06日実は難しい、毎日の学校の準備学校への持ち物は、毎日の教科書やノートだけでなく、給食用マスクや宿題プリント、保護者から先生に渡す書類、時には水泳道具、習字道具など、その日によってさまざまです。これらを子どもが自分で把握し毎日忘れずに準備していくことは、決して簡単なことではありません。持ち物管理が苦手で、学校の準備に時間がかかることや、そもそも準備の仕方自体が分からない場合もあるでしょう。今回はそのような持ち物管理や忘れもののお悩みについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。学校への持ち物を忘れてしまう……物の管理はどうサポートすればいい?A:よくあるのは、登校時間ぎりぎりになってお子さんが「〇〇がない」と気付いて慌ててしまうパターンかと思います。探し回っていると遅刻しそうになって、お子さん本人も保護者もイライラしてしまう、なんてこともあるかもしれませんね。朝一番に叱られてから登校というのは、なるべく避けたいところですよね。忘れものを防ぐためには、やはり学校の準備を前倒して行うことがポイントです。理想は、前日の寝る前に次の日の持ち物を揃えて点検することです。これを習慣化させていくためには、初めは保護者が少し丁寧に関わっていくことが必要でしょう。まだ習慣化できていない段階では、お子さんに「やっておいてね」と声かけをするだけでは難しいものです。習慣化するまでは、保護者が一緒に取り組みながら「準備できたね」という体験を重ねていくことが大切です。そのために「準備の時間」を親子で確保することも大事だと思います。あらかじめ時間を決めるなどして準備の時間を確保しておかないと、どうしても忙しい毎日の中で行動を起こすことは難しいのではないでしょうか。毎日の夕方や夜に「準備の時間」を決めておくとよいと思います。持ち物管理や準備が苦手という場合には、この時間を少し長めに確保しておくとよいでしょう。視覚支援として、持ち物チェック表を作って貼りだすなどもよいと思いますが、それだけではなくて、やはり初めは「一緒にチェックする」ということも必要だと思います。また、持ち物がどこにあるか分からない、探すことに時間がかかる場合もあるかもしれません。そういう場合は、大まかに「毎日持っていくもの」「曜日によって持っていくもの」「基本は持っていかないもの」の置き場所を分けてしまうのもひとつかと思います。そうすることで、「きっとここにあるだろう」という予測を立てやすくなります。「必要なものを探し出す」というのも練習が必要なときもあります。「どこにありそうか?」を予測することが苦手な場合は、例えば保護者が選択肢を出してお子さんに探してもらうという方法もひとつです。保護者がすべて探してしまうと、本人が見つける練習にならないので、『自分で探す練習』としてヒントを出しながら探してもらうとよいと思います。Upload By 発達障害のキホンイレギュラーな持ち物を忘れてしまうとき、どうする?A:イレギュラーな持ち物についても、基本的には前日の確認や、保護者が少し丁寧に関わっていくことは有効だと思います。忘れものをしてしまうことで、学校の活動ができないというのは、本人もつらいですよね。忘れものを先生に言えずに一人で困ってしまっている、という場合もあるかもしれません。しかし、忘れものをしたときにも、先生に言う、先生にどうすればよいか聞いてみる、友達に言って貸してもらうなど、いくつかリカバリーする方法があるかと思います。学校に予備を置いておく、親しい友達の方から声をかけてもらうなどの工夫をされている方もいらっしゃいます。「忘れないための工夫」とあわせて「忘れたときに対応できる」という点もポイントです。忘れたことを黙っていたり、思わずごまかそうとしたりするのではなく、「先生に言う」「友達に助けを求める」など行動できることは大切なスキルです。「忘れたときに誰に言いに行けばよいか」など、忘れたときの対応についても折に触れて伝えていくとよいでしょう。Upload By 発達障害のキホンまとめ忘れものをしないよう、学校の準備を習慣化させていくためには、どうしても最初は保護者がある程度手間をかけてサポートする必要があるかもしれません。そのための時間を確保するというのは、保護者の方にとっても大変かと思います。しかし「明日の予定や必要な持ち物を確認する」「必要な物を部屋の中から探して持ってくる」「そろっているか点検する」などを、お子さんが一つずつ学んでいく機会が必要だと思います。ただ、誰でも忘れものをしてしまうことはあります。その際に適切に援助を求められることは、大人になっても大事なコミュニケーションスキルの一つです。子ども時代の忘れものは、そういった「困ったときに対応する練習の機会」と捉えていく視点もあるかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年08月06日就学相談の後、特別支援学級の見学へわが家の長男は4歳の時、軽度の知的障害(知的発達症)と診断されました。小学校での就学先を検討するにあたり、知能検査を再度受けることになりました。その結果IQが100あったため、就学相談では通常学級への就学を勧められました。しかし長男は、集団生活の中では指示を聞けなかったり、活動に参加できなかったりすることがほとんどだったため、通常学級への就学には大きな不安がありました。通っていた療育の先生に「長男くんに合っていると思います」と勧められたこともあり、自閉症・情緒障害特別支援学級が気になっていたわが家。就学相談で聞いてみましたが、私たちの住む自治体では、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けているお子さんしか対象にならないことが判明しました。取り急ぎ、再度診察してもらうためにかかりつけの病院へ予約を入れましたが、予約できたのは数か月後。診察を待つ間に、特別支援学級の見学に行かせてもらえることになりました。Upload By プクティいざ見学に行ってみると、学校内はとても綺麗で、特別支援学級の子どもたちのために、小人数用のクラスが何部屋か設けられていました。教室には、一人ひとりが集中できるように机と机の間にパーテーションが設置されているなど、環境に配慮がなされていました。また、特別支援学級の生徒専用の立派な体育館やプールがあり、設備も充実していました。特別支援学級の先生たちもとても優しく丁寧で、長男を特別支援学級に就学させたいという気持ちがより一層強くなりました。なんと診断書提出の締め切りは2週間後!?このままでは間に合わない事態に学校見学の後、再び就学相談員さんと面談し、改めて自閉症・情緒障害特別支援学級への就学を希望したいというお話をしたのですが……Upload By プクティなんと特別支援学級への就学希望の書類提出日は2週間後に迫っていることをこの時初めて伝えられました。提出書類にはASD(自閉スペクトラム症)の診断書も必要ですが、かかりつけの病院の予約はまだ先のことで、このままでは診断書が間に合わず申し込みできない可能性が出てきました。病院は予約がいっぱいで診察日を早めることはできず、すぐに診てもらえる病院を改めて探すことになりました。何とか受診にこぎつけたけれど……診断書はすぐに出してもらえるもの?Upload By プクティ療育の先生にも心当たりの病院がないか聞いて、すぐに診てもらえる病院を見つけることができました。初めて行く病院でASD(自閉スペクトラム症)の診断をしてもらえるのか……不安を抱えながらも長男を連れて病院へ。Upload By プクティいよいよ診察が始まり、療育の先生の意見書を見せたうえで、どんなことで普段困っているかなどの話を懸命に伝えたところ、初回の診察で診断書を書いていただけるか心配していたのですが「ASD(自閉スペクトラム症)の疑いあり」で診断書を書いていただくことができました。診断書を手に入れ、申請へ!ついに就学先決定そのまま診断書を受け取って提出にいきたかったのですが、診断書はすぐに書けないのででき上がり次第就学相談所へ郵送するとのことでした。締め切り日も近づいていて間に合うか不安だったのですが、医師にも必ず間に合うように郵送してほしいと念を押し、無事に書類提出日に間に合わせていただきました。後日、自宅に就学先決定の通知が届き、おそるおそる中身を見てみると……自閉症・情緒障害特別支援学級へ就学できるとのことでした!Upload By プクティ相談員さんからは通常学級への就学をずっと勧められていたこともあり、自閉症・情緒障害特別支援学級へ進路を決めるまで時間がかかってしまいました。最後まで不安で落ち着かない日々を過ごしましたが、療育の先生の後押しもあって、自閉症・情緒障害特別支援学級への就学が決定し、心から安心しました。執筆/プクティ(監修:新美先生より)就学相談の紆余曲折エピソードを聞かせて下さりありがとうございます。就学相談や、学びの場(通常学級、通級指導教室、特別支援学級、特別支援学校など)の決定プロセスや基準は、地域(自治体)による差が非常に大きく、また年度によってがらりと変わることもあります。そうしたことを踏まえて、プクティさんのエピソードを読んでいただけたらと思います。本来は、この診断名じゃないと特別支援学級に入級できないとか、診断書が必須とかいう決まりはなくて、児童一人ひとりの教育支援ニーズに基づいて、関係者と保護者で合意形成していくことになっているはずなのですが、実際には地域ごとのローカル基準がありますね。病院はなかなか予約が取れないし、診断までにかかる時間もまちまちで、締め切りもあって、プクティさん、振り回されてしまい、本当にお疲れ様でしたというよりほか、言葉が出ませんでした。プクティさんは、療育の先生の後押しもあり、見学に行かれて特別支援学級がいいという保護者の方の明確な意思があったので、このような無理な日程でも必要な診断書を入手して、入級の希望を出すということが迅速にできたのは、すごくよかったと思います。保護者自身が迷っている場合にこのプロセスで学びの場を決定するのであれば、お子さんにとって適切な判断ができるのかという点で不安に思ってしまいました。お子さんの様子をトータルにみて考えられる地域システムの整備が望まれます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年08月05日2歳友達から逃げる、一人で遊びたがる。いつになったら友達に興味を持つのだろう?わが家の息子・たーちゃんは、2歳半の時に知的障害(知的発達症)のないASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。2歳頃は一人遊びや私と遊ぶことが好きで、友達への興味は薄いように見えました。むしろ、公園や児童館などでほかのお子さんがいると離れたところで遊びたがり、私がずっと付きっきりだったことを覚えています。同じくらいの年のお子さん同士で遊んでいる姿を見ると、「いいなぁ」と羨ましく思ったり、「どうしてたーちゃんは友達と遊ばないのだろう」と疑問に思ったりすることもありました。Upload By みかみかんたーちゃんは赤ちゃんの頃から人見知りがかなり強かったので、同年代のお友達に対しても、緊張してしまうのかな、と思いました。なので、「一緒に遊んでみたら?」と声かけはしましたが、無理に友達と遊ばせようとはしませんでした。また、お兄さんお姉さんが公園にいるさまざまな年齢の子を誘って「おにごっこをしよう」「かけっこをしよう」と声をかけていても、たーちゃんは無視して一人で遊んでいることが多かったです。ほかのお子さんが仲間に加わって楽しそうに遊んでいるのを横目に、「いつになったら友達と遊んでくれるのかな?」とかすかに不安に思っていました。3歳まだ平行遊び?マイペースな息子に、少し不安……年少の頃は幼稚園にも少しずつ慣れてきて、一人で遊ぶか、たまに特定の子2~3人と遊んでいるようでした。友達とのやりとりも増えてきたかな?と思う反面、やはり、友達への興味はほかのお子さんと比べて薄いように思え、少し心配でした。よく公園で会う友達には少しずつ心を開いていったのか、近くで同じ遊びをしている、いわゆる平行遊びをする様子も見られるようになってきました。また、ペダルのないトレーニングバイク(キックバイク)に乗ることが好きだった頃は、同じようなバイクに乗った友達と一緒に公園内を走って遊ぶ姿も見られました。しかし、ひととおり遊んだ後、友達がみんな別の遊びに移行しても、たーちゃんはまだ一人でバイクに乗って遊び続けていたのです。それを見て、たまたま同じ遊びがしたい時が重なれば一緒に遊べるのかな、これも平行遊びなのかな、たーちゃんは友達と遊ぶよりも一人でマイペースに遊ぶことが好きなのだろうな、と思っていました。Upload By みかみかん4歳息子が初めてぶつかった、友達付き合いの壁年中になってから、たーちゃんが登園前にぐずることが多くなりました。理由を聞いてみると、「友達が遊んでくれない」と言うのです。Upload By みかみかん友達が遊んでくれないという事実が悲しくもありましたが、たーちゃんにも「友達と遊びたい」という気持ちがあるのだと初めて知り、驚いてしまいました。よくよく話を聞いてみると、新しい組で仲が良いお友達はMくん一人だけ。Mくんがほかの子と遊んだり、別の遊びをしていたりすると一緒に遊べないから嫌だということでした。「Mくんと遊べない時、たーちゃんは何してるの?」と質問すると、「一人で遊んでる」とたーちゃんは答えました。私はてっきり、たーちゃんは一人で遊ぶことが好きで、自分から一人で遊ぶことを選んでいるのだと思っていましたから、頭をガツンと殴られたような衝撃を受けました。Upload By みかみかんUpload By みかみかん自分の気持ちを表すことが苦手なたーちゃん。お友達を遊びに誘うことも、すごく勇気がいるのだと思います。長い間一人遊びが多かったたーちゃんにとって、友達付き合いはこれからじっくり学んでいくものなのだな、と感じました。ほかのお子さんたちが2歳、3歳で学んでいくようなことを、1年遅れ、2年遅れで気づき、それでも、どうにかしたいと葛藤する気持ちはほかのお子さんと変わらないのだな、と……。情緒面での成長がゆっくりな分、幼稚園の担任の先生、市の心理士さん、発達外来の先生、そしてもちろん私と夫と連携して、たーちゃんの友達付き合いのサポートをしていきたいと思っています。幼稚園以外の友達の存在。その大切さに気がつくUpload By みかみかんそして、今現在もまだ幼稚園ではMくんにべったりですが、たーちゃんにはもう一人大事な友達がいるのです。私自身の友人の子どもであるPくんは、赤ちゃんの頃からよく泊まりがけで一緒に遊ぶ友達です。どんな子なのかお互いによく知っているPくんの存在は、たーちゃんにとってはとても大きいようで、Pくんとビデオ通話をしたい、おうちにPくんを呼びたい、Pくんと遊びたい……と最近よくねだるようになりました。環境の変化に敏感なたーちゃんにとって、幼稚園以外の友達付き合いは心の安定に繋がるのではないかな、と思いました。たーちゃんが、MくんやPくん、そしてこれから出会う友達と温かな友情を育んでいけるように、ゆっくり見守っていきたいです。執筆/みかみかん(監修:室伏先生より)みかみかんさん、たーちゃんのお友達との関わりについて詳しく共有してくださり、ありがとうございました。たーちゃん、2歳頃にはお友達との関わりが少なくてご家族とのコミュニケーションが主体だったけれど、3歳、4歳と年齢を経るにつれて、お友達への関心が強くなり、一緒に遊びたいという気持ちがどんどん強くなったのですね。このような発達過程をもつお子さんは少なくないと思います。ASD(自閉スペクトラム症)は、周りの人への興味関心が薄いということが特徴の一つに挙げられますが、これは全てのASD(自閉スペクトラム症)の方にみられるわけではなく(興味関心がとても強く、見知らぬ人にも抱きついたりと、むしろ距離が近すぎるというお子さんもいらっしゃいます)、また発達段階によっても変わってきます。お友達への関心が薄いと感じられて、とても心配されている親御さんもいらっしゃると思います。このようなお子さんへの療育の基本は、無理にお友達の輪の中に入れようとするのではなく、安心できる家族や支援者との遊びを通して、コミュニケーションが楽しいということを感じてもらうことです。言葉が発達してくる前の段階では、言葉でのやりとりは難しいこともありますので、追いかけっこやかくれんぼ、キャッチボールなど相手を意識できる遊びや、たかいたかいやくすぐり遊びなどのふれあい遊びなどが有効なコミュニケーションの一つとされています。ご本人が楽しめることを見つけられるとよいですね。また、ひとり遊びをしている時に、お子さんの視野の中に入る場所で、お子さんに話しかけることも人への興味を引き出すことにつながります。何を話しかけたらいいか分からない時には、擬態語を交えながら、お子さんがしていることを実況中継してあげるのもよいでしょう(例:「◯◯くん、電車を走らせてるんだねー!ガタンゴトン!はやいねー!」)。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年08月04日熱中症、宿題、旅行、過ごし方、休み明けの不登校……発達障害や特性のあるわが子と過ごす夏休み、乗り切るコツは?夏休みに入り、熱中症、宿題、旅行やイベント、長期休みの過ごし方などに悩む保護者の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。また、長期休み明けの行き渋りや不登校についても気になりますよね。 今回は、専門家監修の記事やインタビュー、対談、発達ナビ連載ライター陣のエピソードコラムなど「夏休みの困りごと」をテーマにご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。発達障害や特性のある子どもと熱中症「酷暑」とも呼ばれる気温の続く夏休み、気を付けたいのが「熱中症」ですよね。熱中症の予防や対処法をまとめた医師監修のコラムや、感覚過敏・鈍麻からくる熱中症についての連載コラムをご紹介します。熱中症は気温や湿度が高い日などに、さまざまな不調が表れる状態のことです。熱中症について、症状や原因、予防、対策、救急車を呼ぶ目安、発達障害のある子どもに関するQ&Aを紹介します。発達障害のあるコウさんはなかなか水分をとらず、母親の丸山さとこさんは熱中症の危険性にハラハラしていたそう。しかし、ある日学校から帰ってきたコウさんが言った言葉にさとこさんは……。ADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)のリュウ太さん。小学校低学年のとき、山でのキャンプ中に熱中症になってしまいました。母親のかなしろにゃんこ。さんがそこで初めて気づいたリュウ太さんの「特性」とは?計画的にできない!?発達障害や特性のある子どもと夏休みの宿題計画的に進めるのが苦手、あと回し癖でなかなか宿題に手をつけられない……保護者がサポートすることもできるけれど、自主的にやってほしい!発達障害や特性のあるお子さんの夏休みの宿題問題で悩んでいる方は特に多いのではないでしょうか。皆さんどんな工夫で乗り越えているのでしょうか……?夏休みの宿題、うまくいかずに悩んでいる親子も多いのではないでしょうか?一人ひとりの特性ごとに、その困りごともいろいろ。フォローする親のストレスもたまりがちですよね。このコラムではよくある夏休みの宿題トラブルと解決のヒントを発達ナビがご紹介します!夏休みは期間が長いだけに出される宿題の量も多くなりがち。毎年「今年こそダメかもしれない……」と思いながら宿題を進めているという丸山さとこさんと息子のコウさんの奮闘・工夫を参考にしてみてはいかがでしょうか。ASD(自閉スペクトラム症)のあーさん。今までは母親のSAKURAさんのいうとおりに宿題をこなしていたのに、小学2年生の夏休みは、一味違っていて…!?反抗ばかりでなかなか宿題に取り組まないあーさんに、SAKURAさんがつくったものとは……?トラブルにどう対応する?発達障害や特性のある子どもとの旅行やプール、イベントを楽しむコツは……夏休みの楽しみと言えば……旅行や夏ならではのイベント!でも普段と違う場所でのトラブルやパニックなども悩みの種ですよね。旅行先や移動中の対処方法、キャンプでの過ごし方、プールでクールダウン、夏祭りトラブルなど、発達障害や特性のあるお子さんと過ごすコツが満載です。ASD(自閉スペクトラム症)の小学2年生のミミさん。1年生のときと比べて夏休みの宿題が増え、母のtaekoさんは混乱。ですが、たくさんの宿題と学童と家族旅行での自然体験から、ミミさん急成長の夏休みになりました。小学4年生の夏休みに、地元の福祉支援グループの方々が企画したキャンプに参加することになったASD(自閉スペクトラム症)のタケルさん。全く知らない子どもたちと、家族と離れて一人でイベントに参加するのは初めての経験で……。夏休みにキャンプに行く方も多いのではないでしょうか。ですが、発達障害のある子どもを連れてのアウトドアはさまざまな問題点や大変なことがあると思います。このコラムではみんさんにASD(自閉スペクトラム症)の次男Pくんとのキャンプでのさまざまな工夫を紹介していただきました。夏休み、旅行や帰省などで交通機関を利用することもあるかと思いますが、子連れの移動は本当に大変ですよね。ただでさえ大変なのだから、移動時はできる限りパニックを防いで速やかに行動したい!というわけで、今回初めて飛行機に乗ることになったASD(自閉スペクトラム症)のむっくんのために「旅のしおり」を作成し、旅行に臨むことにした母親のウチノコさんでしたが……。親が計画してくれる家族旅行。ですが、感覚過敏があると旅先でも苦労が多いかもしれません。このコラムでは「感覚過敏の子どもと行く家族旅行」について実際に感覚過敏の特性がある加藤路瑛さんに当事者目線でお話をしていただきました。ASD(自閉スペクトラム症)のあーさんが小さい頃は旅行によく行っていたというSAKURAさん一家。今回、4人家族になって初めての旅行を決行!しかし、「いつもと違う状況」であーさんに異変が……!?発達障害のあるむっくんは些細なことで興奮しやすく、嫌なことはもちろん楽しいことでも自分のコントロールが難しくなるときがあります。しかし、そんなむっくんを落ち着ける「夏ならでは」のいい方法があるとのことで……?夏と言えば虫取り、ひまわり、かき氷……いろいろありますが、寺島ヒロさんにとって忘れられないのが「地域のお祭りでの出来事」だそう。ほとんど接点のない子どもたちと大人がたくさんいると夏祭りに一人で参加することになったASD(自閉スペクトラム症)のタケルさん。母親の寺島さんは不安いっぱいで……。発達障害や特性のある子どもと過ごす長期休み……みんなどんな風に過ごしてる?夏休みのトラブルなども発達障害や特性のあるお子さんとの夏休み、毎日どんな風に過ごしたらいいのか、いろいろなことを経験させてあげたいけど仕事もあるし……そんな日々の過ごし方のヒントになるコラムをご紹介します。夏にありがちなトラブルについて書かれたコラムなど、お友達と出かけることも多い思春期のお子さんのいらっしゃるご家庭の参考になりそうです。子どもにとってはワクワクの夏休みも、「宿題が計画的にできない」「だんだん寝る時間が遅くなる」など、生活リズムや体調、学習など、何かとお悩みが出てくる保護者の方も多いと思われます。この記事では夏休みの生活に関する困りごとや計画立てのポイントをご紹介します!車が大好きなASD(自閉スペクトラム症)のスバルくん。冷房の効いた部屋でひたすらミニカーを並べ、大人向けの車のカタログを読み漁る夏休みを過ごしていましたが、母親の星あかりさんは「さすがに別のこともさせないと……」と焦る一方で……。子どもは夏休みでも、働く保護者の皆さんはいつも通り毎日仕事がある訳で……。夏休みは学校がなく放課後等デイサービスの預かり時間も短い!どうしたものかと悩んだシュウママさんはデイサービスの先生に相談してみました。今はもう成人している息子さんが中学2年生の時のエピソードです。幼児期の頃から我慢することが苦手な息子さん。夏休みに、警察から電話がかかってきてヒヤリ!理由は……不正乗車で補導!?夏休み明けに増える登校渋り、不登校……どう対応したらいい?長期休み明けの悩みで多い「行き渋り」「不登校」問題。もしお子さんが休み明けに「学校に行きたくない」と言ったら……精神科医・田中康雄先生の行き渋りや不登校についての対応方法や、不登校新聞編集長・石井志昂さんと考える自殺予防や「TALK」の原則、連載ライターさんの体験エピソードを読んでおくことで、夏休み明けの対応のヒントが見つかりそうです。夏休み明けの9月は、子どもの心身に影響がでやすい時期でもあります。今回は、子どもがどのようにSOSを出すのかや、学校に行きたくないというときの対応などについて精神科医・田中康雄先生にお聞きしました。日本で唯一の不登校専門紙「不登校新聞」。年々、夏休み明けに増え続けている子どもの自殺を止めるために、私たち親は何ができるのか、石井志昂編集長(不登校新聞)と牟田編集長(LITALICO発達ナビ)とともに考えました。寺島ヒロさんの娘さん、いっちゃんは小学5年生から不登校になりました。今までコラム内では「小学校、中学校では話し合って、学校のほうにもご理解いただき、いっちゃんの無理のない範囲で通えるようにしてもらいました」と、書いていましたが、実は!この話し合い、結構大変だったんです……。発達障害のあるリュウ太さんは、夏休み明けは毎年行き渋りがあったそう。気持ちは分かりますが、「行きたくない」「お腹痛い」と毎日朝から言われ母親のかなしろにゃんこ。さんも悩みの種でした。しかし、予想外の出来事で事態が好転して……!?ASD(自閉スペクトラム症)と構音障害の長男けんとさんは、現在小学2年生。入学時から特別支援学級に在籍しています。昨年、1年生の夏休み明け、2学期に入ると特別支援学級の生徒数が急に増えていて……。先生の人員不足…そしてクラスは毎日大賑わいでけんとさんにもよくない変化が……。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年08月03日みんな、僕の話を聞いてくれない……?Upload By かなしろにゃんこ。発達障害がある息子のリュウ太は、保育園でも小学校でも人付き合いがうまくいかず、人間関係で悩んできました。学童期には、周りと衝突してケンカになってしまうこともしばしば……。自分の好きな話ではなく、みんなに合わせた話をしたほうがいいの?Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太は、小さい頃から電車や車が好きで、自分の好きな話題ではペラペラおしゃべり上手でした。しかし、自分の好きな話題ばかりしていたら、話が終わっていないのに「その話もういい」と目の前の人が離れていくのです。小学4年生のときに「あれ?みんなオレの話を聞いてくれないな」ということに気がついたそうです。話題を周りに合わせたのに、失敗?Upload By かなしろにゃんこ。その気づきから、リュウ太は「みんなに合わせた会話をしたほうがいいのかも?」とチャレンジし始めました。その頃特撮ヒーローアニメが好きな子たちと仲が良かったので、普段は自分の好きな電車や車の話しかしなかったリュウ太ですが、特撮ヒーローの話をしてみました。すると「見てないくせに噓ついて話を合わせてくるなよ!」と言われてしまいました。リュウ太は、毎週その特撮ヒーローアニメを見ていたので「見てるよ」と言い返しましたが、相手は納得してくれませんでした。Upload By かなしろにゃんこ。そのときリュウ太は「せっかく話を合わせたのに……」とイヤな気持ちになったそうですが、しばらく経ってから「何で相手が納得しなかったのか」を考えてみたそうです。そのとき、これまで電車か車の話しかしてこなかった人が突然、特撮ヒーローアニメの話をすると「急にどうした??」と不信がられるのかもしれないと思ったそうです。小学生時代の教訓を経て、中学生になったリュウ太は……Upload By かなしろにゃんこ。中学生になるとリュウ太は、小学生のときから仲が良い友逹の影響で深夜に放送しているアニメや海外ゲームを知り、「おもしろいものがあるんだな」とポップカルチャーにはまっていきました。そのときに「友逹の趣味に合わせて会話をしてみると発見がある!」と気がつき、また無理に相手の話に乗っかるのではなく、友逹が好きな話題に少しずつ合わせているといろいろ教えてもらえることにも気がついていきました。リュウ太は「小学生のとき自分の趣味を周りから『変なの』とか言われてイヤな思いをしたことがあるけど、オレは人の趣味は絶対に悪く言わないようにしている」とも私に教えてくれました。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太は、友逹と付き合う上で3つのルールをこう決めていたそうです。「友達の趣味を悪く言わない」「友逹の趣味にのっかって自分も好きになれるものを探す」「友逹の趣味で分からないものは質問してみる」この3つを気をつけて守っていたら、中学校に入学して数ヶ月でリュウ太には友達が増えていったそうです。学校の帰りに仲良しグループの5人で一緒に下校して、わが家に来てはゲームをして帰っていくようになりました。この人付き合いの『自分ルール』を息子が私に教えてくれたのは中学2年生の時でした。学童期にいじめられたり、嫌がらせを受けたりしてきたリュウ太でしたが、人嫌いにならずに周りと積極的に関わっていこうという変化が生まれたのだとうれしかったことを覚えています。人付き合いのコツはさまざまあると思いますが、この3つだけなら簡単にできそうだなと思いました。Upload By かなしろにゃんこ。現在成人したリュウ太は、年齢を越えて多くの人と交流していけるようになりました。そして、「人の趣味を悪く言わない、このことは自分の信念としていて、相手の趣味の話をするというのは相手へのリスペクトの意志表示になるから仲良くなりやすいんだよ」と教えてもらいました。中学生の時にここまで考えていたとは思いませんが、学童期に散々失敗して導き出したリュウ太なりの答えだったのだなと母は思いました。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:室伏先生より)にゃんこさん、リュウ太さんの友達付き合いのコツ、3つのルールについて共有してくださり、ありがとうございました。リュウ太さん、悲しい気持ち、悔しい気持ちになったこともたくさん経験されたことと思いますが、試行錯誤される中でお友達との関わり方を学んでいかれたのですね!今後の人生でもとても大切なルール、教訓は、リュウ太さんの貴重な財産ですね。どんな人付き合いが向いているかは、人によりまちまちです。同じような特性をお持ちでも、リュウ太さんのように付き合い方のコツをつかんで友達付き合いを深めることを楽しむ方もいれば、最低限のコミュニケーションにとどめてストレスがかからないように上手にコントロールしている方もいます。お子さんの友達付き合いの難しさに直面され、不安なお気持ちを抱えられている親御さんもいらっしゃると思います。お子さんにとって苦く、つらいご経験もあると思います。それらのご経験も、お子さんの成長に繋がることを信じながら、私も一緒にサポートしていけたらと思っています。前のコラムはこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年08月03日反抗期?自信のなさ?親子で進路についての相談ができないもどかしさUpload By 発達ナビPLUS学校見学なども始まり、進路について話し始めるご家庭も多い時期かと思います。しかし、なかなかお子さんが話し合えないというご家庭もあるかもしれません。お子さんの態度の背景には、反抗期や勉強がうまくいっていない自信のなさや、あるいは登校のリズムが整っていないお子さんの場合、将来について考えることへの不安が関係していることもあります。いずれにしても、進路を考えるうえで大切なのは「お子さんと一緒に決めること」です。どれだけ周囲が「子どものために」と思っても、通い続けるのはお子さん本人であるため、本人の納得なしには通い続けることが難しくなる心配があります。では、なかなかわが子が話し合いに応じてくれない場合はどうすればいいのでしょうか?今回は、実際にお子さんとの進路の話し合いに悩まれたという、発達ナビPLUS会員の保護者Aさんのサポート方法をご紹介します。進路の話しを拒むわが子に募る不安。「今すべきこと」の整理で、確かな一歩を踏み出せた●Aさん(仮名)<お子さん>・中学3年生・SDL(限局性学習症)グレーゾーン※SLD(限局性学習症)は、学習における技能に困難さがみられる発達障害の一つです。読むことやその内容を理解することの困難さ、書くことの困難さ、数の理解や計算をすることの困難さなど大きく3つの分類があります。<お悩み>・書くことに時間がかかり成績悪化・思春期に入ってからコミュニケーションがとりづらくなった・進路についての話し合いを拒否今年中学3年生になる娘は、進路の話題を出すと部屋にこもったり「うるさい!」と反抗し、全く話し合いをしてくれませんでした。本人は医療機関で「SDL(限局性学習症)グレーゾーン」を指摘されており、書くことに特に時間がかかるため、中学1年生あたりから成績も下降気味。勉強に自信がないからか、もしくは進路について不安があるからか……受験の話題を持ち出すとすぐに機嫌が悪くなります。夫に相談しても「本人が困ったらやるようになるんじゃない?」と我関せずの対応。私だけが焦ってばかりで、当の本人には取り付く島もなく、夫も頼りにならない。娘を放っておくわけにもいきませんが、とはいえどのように本人と話したらいいか全く分かりませんでした。Upload By 発達ナビPLUSそんな時に、「専門家に直接子育て相談できる」という発達ナビPLUSのサービスを知り、藁をもすがる気持ちで相談。厳しい回答が来たらどうしようとドキドキしていたのですが、私の不安に寄り添いつつ、とても現実的なアドバイスをいただきました。・進路を話し合う際のポイント・子どもの気持ちを聞くコツ・合理的配慮の求め方など、正直こんなにいろいろ書いてくれるのかと驚いたほどです。なかでも、「進路を話し合う際は、お子さん自身の将来の目標から逆算することが大切」というアドバイスはとても勉強になりました。目の前の受験をどう乗り切るか?だけを考えていて、「娘が将来どうしたいか」「高校で何を学びたいと思っているのか」の視点が抜けていることに気づき、これから何をしたらいいか状況が整理できました。また、肝心の娘との話し合いの方法については、「思春期だからこそ保護者とやり取りすることでうまくいかないこともある。保護者以外の人との相談先を広げることが大切」というアドバイスもありました。家庭だけで何とかするのではなく、外部の人と連携する方法は自分だけでは思いつかなかったと思うので、相談して本当によかったと感じました。Upload By 発達ナビPLUSその後、スクールカウンセラーと娘が面談し、「行きたい高校はあるけど合格できる自信がない」と娘が打ち明けたことから、受験勉強に不安があることが分かりました(やはり、娘は親にはなかなか言い出しにくかったようでした)。全く話し合いができない状況だったので、ここで初めて娘の気持ちを知ることができ、一気に肩の力が抜けたのを覚えています。同時に、アドバイス通りに、学校の先生にも学習についての合理的配慮をお願いしました。先生からは、「これらの配慮が娘さんに合うようであれば、志望校の高校にも、受験や入学後の合理的配慮として求めるよう連携しましょう」と心強い言葉もいただきました。Upload By 発達ナビPLUSそれから、私が学校にいろいろと掛け合っているのを知り、娘もだんだん心を開いてくれるようになって、今では勉強についての不安や愚痴などを吐き出してくれるようになりました。やはり、支援の専門家の先生に相談することで、自分では思いつきもしない解決方法を教えてくれるので、一人で悩んでいないで早めに相談するのが一番いいなと思いました。わが家専用の具体的なアドバイスをいただける機会はそうないので、本当に貴重な機会だと思います。また、心理士や作業療法士(OT)、理学療法士(ST)、大学の教授など、さまざまな専門家の先生が在籍しているので、相談内容に適した専門家が回答をくれるのも魅力です。一般的には、悩みごとにいろいろなカウンセリングを渡り歩くことになると思います。今は受験勉強に向けて頑張っているところですが、今後の高校生活での困りも、発達ナビPLUSや外部機関と一緒に乗り切っていきたいと思います。すきま時間に解説動画を見れる!発達支援の専門家に相談もできる「発達ナビPLUS」発達ナビPLUSは、ご家庭での子育ての「どう対応すればいいのかな?」「誰かに相談したい」といった悩みをオンラインでサポートするサービスです。心理士や学校現場にも詳しい発達支援の専門家が、解説動画やテキスト相談で保護者の子育ての悩みに寄り添います。今、子育てに悩みごとがある方、お子さんの理解を深めてより良い関わり方をしたい方は、ぜひ発達ナビPLUSのサイトをご覧になってみてください。今なら初月3,300円(税込)が0円になるクーポンをプレゼント中!クーポンコード:plus240816有効期限:2024年8月16日23時59分お得な今が試すチャンス!※サイト内で取得できるクーポンコードと異なりますのでご注意ください。こちらに記載の特典をご利用いただくには、入会手続きページにて上記クーポンコードをご入力ください。※入会初月は月額利用料3,300円(税込)が0円 、2か月目以降は月額利用料3,300円(税込)で発達ナビPLUSをご利用いただけます。※本サービスは1年プランです。12か月以内の解約の場合には、契約解除料として残存期間の利用料金の20%が発生いたします。※お問合せはinfo_plus@h-navi.jpまで(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年08月02日精神医療の世界を描くヒューマンドラマ!NHK土曜ドラマ 「Shrink(シュリンク)―精神科医ヨワイ―」8月31日(土)より放送Upload By 発達ナビニュース中村倫也さん、土屋太鳳さんらが出演するNHK土曜ドラマ 「Shrink(シュリンク)―精神科医ヨワイ―」が、8月31日(土)よりスタートします(全3回)。新宿の住宅街にひっそりとたたずむ“精神科・ひだまりクリニック”を舞台に、のんびり屋だけど優秀な精神科開業医・弱井幸之助(中村倫也)と、共に働く看護師・雨宮有里(土屋太鳳)が、心の悩みを抱えた人たち一人ひとりに向き合い、声に耳を傾け診療していく日々を描きます。学校や職場で悩みを抱え、誰にも相談できず苦しい思いをしている方、今まさに精神疾患と向き合っている患者や家族の方もいらっしゃると思います。“精神科は特別なところ”ではなく、もっと気軽にかかる場所であってほしいーーそんな熱い思いが込められた本作は、実力派キャストや豪華ゲストの出演もあり、原作ファンにとっても楽しみなドラマになるのではないでしょうか。この夏の終わり、精神医療の世界を通じて紡がれるヒューマンドラマをぜひご覧ください。【詳細】放送予定:2024年8月31日(土)スタート<全3回>毎週土曜 22:00-22:49 [総合]毎週土曜9:25-10:14 [BSプレミアム4K]原作:『Shrink~精神科医ヨワイ~』原作/七海仁 漫画/月子脚本:大山淳子演出:中江和仁(「きのう何食べた?」「大豆田とわ子と三人の元夫」 ほか)出演:中村倫也 土屋太鳳井桁弘恵 三浦貴大竹財輝之助酒井若菜(第1話ゲスト)夏帆 余貴美子 ほか※クリックすると、発達ナビのサイトからNHKのWebサイト内ドラマ情報 「Shrink(シュリンク)―精神科医ヨワイ―」ページに遷移します。レゴランドⓇ・ジャパン、日本のテーマパークとして初めて認定自閉症センター™(CAC)に認定Upload By 発達ナビニュースレゴランド・ジャパン合同会社が運営する「レゴランド®・ジャパン」は、ASD(自閉スペクトラム症)のゲストに対し適切な対応に取り組んでいる施設として、米国のIBCCES(国際資格認定・生涯教育基準委員会)より日本のテーマパークとして初めて「認定自閉症センター™(CAC)」に認定されました。「認定自閉症センター(Certified Autism Center)」とは、ASD(自閉スペクトラム症)のゲストとその家族がサポートを受けられ、過ごしやすい場所であると認定されることで付与される認証資格です。「レゴランド®・ジャパン」では、ゲストに接する従業員が特別なトレーニングを受講し、93%(815人)が基準をクリアしたことで認定へと至りました。テーマパーク内では、アトラクション待機列に長時間並ぶことが困難な方には、待ち時間分を列から離れて過ごせる「アシスト・アクセス・パス」を発行したり、各アトラクションから受ける刺激の目安を表す「感覚ガイド」を設置するなどの取り組みを行っています。また、希望者にはイヤーマフの貸出しを行っており、刺激の少ない環境で過ごせる休憩スペースを設置するなどの配慮がなされています。子どもに楽しい思い出をつくってあげたいけれど、苦手な刺激もたくさんあるテーマパークへ行くことをためらってしまう方もいらっしゃると思います。すべての子どもたちとその家族が安心して楽しめる「レゴランド®・ジャパン」に、この夏おでかけになってみてはいかがでしょうか。※クリックすると、発達ナビのサイトからレゴランド®・ジャパンのWebサイト「プレスリリース」ページに遷移します。神戸ファッション美術館、特別展「日本中の子どもたちを笑顔にした絵本作家 かがくいひろしの世界展」を開催中(9月1日まで)シリーズ累計発行部数900万部を超える大人気の「だるまさん」シリーズ。絵本を読んだことがあるという方も多いのではないでしょうか?作者のかがくいひろしさん(1955~2009年)は特別支援学校の教員で、50歳で作家デビューし、病で急逝するわずか4年の間に16もの作品を世に残しました。かがくいひろしさんの没後初の大回顧展となる本展では、代表作『だるまさんが』『だるまさんの』『だるまさんと』をはじめとする、全16作品の絵本原画や、絵本制作時の資料、特別支援学校教員時代の貴重な記録や教材などが展示されています。子どもたちの生き生きとした反応や笑い声を引き出すその作風は、障がい児教育の現場で培われた知見や実感から生まれているといいます。日本中の子どもたちを笑顔にした作家、かがくいひろしさんとその絵本の世界の魅力を、深く味わうことのできる本展。ぜひお子さんと一緒に訪れてみてはいかがでしょうか。【詳細】開催期間:2024年9月1日(日)まで開館時間:10:00–18:00(最終入館は17:30まで)休館日:月曜日、8月13日(火)※ただし、8月12日(月・祝)は開館。入館料:一般1,000円(800円)大学生・神戸市外在住の65歳以上500円(400円)高校生以下無料神戸市内在住の65歳以上無料※()内は有料入館者30名以上の団体料金※神戸ゆかりの美術館、小磯記念美術館の当日入館券(半券)をお持ちの方は割引が受けられます※学生の方は、学生証、生徒手帳などをご提示ください※65歳以上の方は、年齢と住所が確認できるものをご提示ください※下記の方は無料でご入館いただけます身体障害者手帳(1・2級除く)ご本人身体障害者手帳1・2級ご本人と介護者1名精神障害者保健福祉手帳(1級除く)ご本人精神障害者保健福祉手帳1級ご本人と介護者1名療育手帳ご本人と介護者1名※免除情報は変更になる場合がございます。美術館でご確認ください※クリックすると、発達ナビのサイトから神戸ファッション美術館のWebサイト「展覧会のご案内」ページに遷移します。放課後等デイサービス選びのポイントが分かる!ぜんち共済オンラインセミナー8月10日(土)開催Upload By 発達ナビニュース6月の発達ナビニュースでもご紹介した、ぜんち共済主催の「放課後等デイサービス」についてのオンラインセミナー。その後編が8月10日(土)に開催されます。前回同様に障害者福祉の制度に詳しい「全日本手をつなぐ育成会連合会」の又村あおいさんが講師を務め、令和6年度の法改正・報酬改定をふまえたこれからの放課後等デイサービスのあり方について、事業者と保護者に向けて解説します。放課後等デイサービスを探している保護者の方にとっては、事業所ごとの「支援プログラム」作成ポイントを知ることで、放課後等デイサービスを選ぶ際、どんな観点で検討するとよいのか参考になるのではないでしょうか。【詳細】日時:2024年8月10日(土)10:00-11:45参加費:無料講師:又村 あおい視聴方法:YouTubeライブ申込方法:下記URLよりお申し込みください。※8月9日(金)までに申し込みをいただいた方は、アーカイブ配信(一部編集の可能性あり)をご視聴いただけます。主催:ぜんち共済株式会社【講師プロフィール】又村あおい全国手をつなぐ育成会連合会常務理事兼事務局長日本発達障害連盟『JLニュース』編集長日本発達障害連盟「発達障害白書」編集委員内閣府障がい者差別解消法アドバイザー※クリックすると、発達ナビのサイトからぜんち共済株式会社『8月10日(土)開催セミナー申し込みフォーム』Webサイトに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年08月02日「インクルーシブ教育システム」を推進するための指針を、教育リーダーズから学ぶ。2022年に国連から日本へと推進が通達されたこともあり、昨今大きな注目を集めている「インクルーシブ教育システム」。インクルーシブ教育システムとは、文部科学省で下記のように定義されています。「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、署名時仮訳:包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。障害のある子もそうでない子も、共に学ぶための仕組みづくり。しかし実際の市区町村、学校教育の現場では、対応のノウハウが欠如していたり、人員が足りなかったり、チームの目線が合わなかったりと、推進が難しい現状もあるという声も散見されています。そんな中でも、すでに全国でインクルーシブ教育システムを先駆けて推進している人たちがいます。彼らはインクルーシブ教育システムをどのように捉え、何を考え、推進を実現してきたのでしょうか?この連載では、そんな彼らを「教育リーダーズ」と位置付け、その言葉に耳を傾けることで推進のヒントとなる”指針のカケラ”を集めていきたいと思っています。第四回は、2023年にLITALICOと連携協定を結んだ宮城県教育委員会の、佐藤靖彦教育長と佐々木利佳子宮城教育大学副学長のお二人にお話を伺いました。Upload By 発達ナビ編集部佐藤靖彦教育長1988年、宮城県に入庁。人事課長、保健福祉部次長、経済商工観光部次長、会計管理者、環境生活部長を経て、2023年4月に宮城県教育委員会教育長に就任Upload By 発達ナビ編集部佐々木利佳子宮城教育大学理事・副学長2022年、宮城県教育庁義務教育課課長。2023年、宮城県教育庁副教育長。2024年、宮城教育大学副学長連携担当理事・副学長Upload By 発達ナビ編集部教育を開き、学校現場と悩みや感動を共有するーーまずは佐藤教育長にお話を伺います。宮城県が推進してきた教育がどこを目指しているのか、そして教育長としてその原点にあるものがどこにあるのか、教えていただけますでしょうか。宮城県ではこれまで、小・中・高等学校を通じて、人や社会と関わる中で社会性や勤労観を養い、社会の中で果たすべき役割を考えながら、将来の社会人としてのよりよい生き方を主体的に求めさせていく『志教育』を推進してまいりました。そんな『志教育』が始まった1年後に起きたのが、東日本大震災です。ーー2011年の震災のタイミングと重なった。子どもたちは内面的なストレスや、将来に対する不安を抱えながらの生活を余儀なくされました。その時に、ある方の言葉が心に残っているのですが、「子どもたちは復興の進まない荒れた地域で生活をして、その光景を見続けることでそれが『心の原風景』になるんだ」というようなものでした。その言葉に、心を動かされたんです。Upload By 発達ナビ編集部ーー震災後の風景が、子どもたちの原風景となった。だからこそ最優先に考えたのが、1日でも早く学校を再開するということでした。多くの方々のご支援のもと、当時の被災状況からは考えられないスピードで学校を再開することができて、子どもたちの居場所をつくることができました。停電することも多かったのですが、先生たちが蝋燭の火を灯してその中でテストの採点をしていたことをはっきりと覚えています。学校を再開して、学校に行けば友達に会えることが、一番の心のケアになったのではと感じています。地域の方々にとっては元気に学校に通う子どもたちの姿に、希望や未来を見ていたのではないでしょうか。その光景がずっと心に残っていて、それが私の教育における原点の一つになっています。ーーその原点が、『志教育』にも繋がっていると。『教育は明るい未来のためにある』と思っており、同時に教育は未来のための仕事だと信じています。学校は子どもたちの夢の実現のために、未来を創る場所だとも思っています。『志教育』の取り組みは子どもたちに将来への夢や希望を持たせ、復興や地域に貢献できる人材を育てる上で重要な役割を担ってきたものと考えています。ーー今後の推進に向けて、どのような絵を描かれているのでしょうか。そうですね。今後はこれまでの小・中・高等学校との縦の連携に加えて、地域の企業など横の連携にも力を入れ、学校で学ぶ知識と実社会との関連性を意識させながら、子どもたち一人ひとりがより具体的な将来の夢や希望を持って学べる教育環境をつくりたいと考えています。また、子どもたちが積極的に地域に出て、地域の方々と関わりながら活発に活動することで、人口減少が進む中にあっても、地域の人々の目に子どもたちの元気な姿がしっかりと映るような街にしていきたいです。Upload By 発達ナビ編集部ーー教育長が大切にしている考え方として、指針となるものはありますか?3つの指針を掲げています。1つ目が『教育を開く』ということです。今の教育が抱えている課題の多くは、例えば教育の範囲や学校の単位では、解決が難しくなっていると感じています。今後は、教育を地域社会の課題として、全体で考えていく必要があるのです。これまでは、学校という「家」を創ってそれぞれに守ってきたものを、これからは、教育という「街」を地域と一緒に創っていくようなイメージを持っており、そのことをみんなで共有しながら、取り組んでいます。2つ目が『考える、考える、考える』ということで、一度出した結論でもそこに立ち止まらず、常に考え続けることを大切にしています。状況が変われば結論も変わるので、そのことを恐れないであらゆる可能性を否定せずに、常に考え続けてしなやかに進みたいと思っています。最後は『学校現場と悩みや感動を共有する』ということなのですが、教育の本丸は学校での授業だと思っています。楽しい授業であること、子どもたちが行きたくなる学校づくり、学校現場で働く先生がやりがいを持って楽しく働ける学校づくりを目指していきます。前例が無いからこそやってみる精神で挑戦するーー「第2期宮城県教育振興基本計画(改訂版)」を策定される上で、特に大切にされたことを教えてください。何よりも子どもたちの計画となる必要があるということ、そしてこの計画を実現していくために学校現場の先生方が誇りとやりがいを持って働き続けられる環境をつくること、この二点を大切にして策定を進めてきました。施策展開の横断的な視点として、従来のものに加えて「教育DXの推進」と「持続可能な学校教育の推進」を新たに掲げ、ICTを活用した学力向上対策などさまざまな施策においてデジタルを積極的に活用していく姿勢を打ち出しています。子どもたちが主体的に学び、教員がやりがいを持って働ける環境づくりの視点を念頭に置きながら、持続可能な学校教育を推進していきます。ーーどのように策定を進められていったのでしょうか。とにかく、子どもたちの声を直接聞くことを大切にしました。県内5ヶ所で、中高生にも参加してもらって意見を伺い、どんな学校にしたいか、学校生活に何を期待するかなど、自分たちの思いを自分たちの言葉で話してもらいました。そんな子どもたちの声を聞いて、意見交換会に参加した職員たちも目がウルウルしてきて、開催して非常に良かったと思っています。ほかにも子どもたちへのアンケート調査を大規模に行いました。そこで見えてきた生の声が今の我々にとって宝物になっていて、しっかり噛み締めながら共に目指す教育の姿を必ず実現していきたいと思っています。Upload By 発達ナビ編集部ーー「第2期宮城県教育振興基本計画(改訂版)」の中で11の施策を掲げていらっしゃるとのことですが、その中でも自立と社会参加に繋げる、「共に学ぶ教育推進モデル事業」について伺わせてください。小中学校の通常の学級の中で、特別支援学級に在籍する子どもが障害のない子どもたちとどうやって共に学んでいくかを考えています。それは学校だけでなく、外部の専門家ですとか、地域の方々にも協力をいただきながら、障害のある児童生徒が集団の中で、自分を生かすことができる学習環境の整備を進めてきました。ユニバーサルデザインの考え方を授業に取り入れるということで、軸は障害のある子どもたちに対する支援なのですが、結果それがほかの子どもたちにもとっても分かりやすい授業になるという成果も出ています。ーーそんな宮城県は、弊社LITALICOと包括連携協定を結んでから約1年が経過しました。LITALICO教育ソフトを導入して、例えば生徒の実態を入力すると、適切な教材が紹介されるとか、一人ひとりに応じた教材を探すためのツールとして非常に有効だったという声があります。また若手教員も増えていて、特別支援教育に携わった経験のない教員もいるので、支援のスタートを切る上でこのツールが非常に役に立ったという声も聞いています。あとは家庭と学校で同じ教材を使って支援することができるということで、学校と家庭の両輪で支援を行えることも良い点ですね。ーー今後の取り組みについても教えてください。今年4月に開校した「秋保かがやき支援学校」には、従来の支援学校の高等部の普通科と、軽度の知的障害の生徒を対象とした高等部の産業技術科を同じ学校の中に設置しました。それぞれ教育課程は違うのですが、普通科と産業技術科が一緒に学べる機会をつくり、お互いの個性を認め合い、理解し合うインクルーシブな学校づくりを目指しています。先日高等部のスポーツフェスティバルが開催されて、普通科と産業技術科の混合チームで対抗戦を行いました。それぞれ協力しながら競技に取り組んで、大変盛り上がりました。お互いの良さを認め合いながら全員参加を目指す、これこそが共生社会の一つの形だと思っています。Upload By 発達ナビ編集部ーーとても興味深いインクルーシブ教育の取り組みです。また、この学校に地域開放型の実習施設とカフェをつくって、地域の方と交流できるようにしています。そこで生徒がつくった製品や食品の販売が行われ、接客もする形で地域の方と交流を活発に行い、触れ合いながら教育をしていく新しい形の学校です。ほかにも、全国的にも珍しい公立の小中一貫の学びの多様化学校、3つの異なる形態の学びの多様化学校、夜間中学など、学びの多様化を推進しています。ーー先日発表された、新しい学校のお話も伺わせてください。はい、インクルーシブやダイバーシティの視点を重視した、新しいタイプの学校「ideal(アイデアル)スクール」を令和9年度の開校を目指してつくっているところです。単位制で、時間割が8時間目まで幅広く用意されて自分のペースで学ぶことができ、登校できない生徒には県内の通信制高校の単位も認めています。定時制と通信制のいいところを両方持っている、これまでにない全日制の学校で、複数の大学と共同でカリキュラムの開発を進めています。教員が一人ひとりの生徒をきめ細かく対応するチューター制の導入、ICT学習支援ツールを活用した学び直しの授業、企業の長期インターンシップ、多様なキャリアのスタッフによる手厚いサポートなど、本当に理想的な学校になれば良いなと考えています。ーー最後に、教育長が大切にしているインクルーシブ教育を進める上での考え方を教えてください。『前例が無いからこそやってみよう』という風土があって、大変革の時代の中で自分たちが気づいて考えて挑戦するということが非常に大切だと思っています。市町村と一緒に汗をかきながら、課題も解決策も現場にあると思うので、現場に通って私たちの考えとミスマッチが起きていないかを検証し、常にアップデートしながら、一歩一歩努力を積み重ねていきたいと思っています。思わないと実現しないのでまず思うことが大事で、それが全ての第一歩かなと思いながらやっています。民間企業のサポートも取り入れるーーLITALICOは、開かれた教育を進められている宮城県と約1年前に連携を開始しました。その連携のきっかけとなった佐々木様(現宮城教育大学副学長、元宮城県教育委員会副教育長)にもお話をお伺いします。佐々木様の教育の原点にある考え方について教えてください。以前、海外で障害のあるお子さんのリハビリのお手伝いや、親がいない子どもたちが集まる乳児院でボランティアをした時期があります。その時に、ある8歳ぐらいの男の子と接する機会がありました。言葉も通じない中で、折り紙を教えながらやり取りをしていくうちに少しずつ笑顔も増えて気持ちが通じるようになったことがあって。この子たちを救うのは、「教育」だと思いました。子どもたちの幸せにつなげることが教育の役割だと思っていますが、その時改めて教育に携わりたいと強く感じたことが、今の私にとって一番のベースとなっています。Upload By 発達ナビ編集部ーーそんな経験が、今どのように教育に落とし込まれているのでしょうか。例えば宮城県では、「学び支援教室支援事業」というものを立ち上げています。学校に登校していない子どもたちが自分の意思で学校に戻って来たいと思ってもなかなか通常学級の教室はハードルが高いですよね。だから、別に教室を一室用意していつでも登校できるようにしたり、不登校を未然に防ぐために教室で居心地の悪さを感じている子どもたちの居場所をつくったりする取り組みです。不登校の子であろうと障害が有ろうと無かろうと学校は、子どもたちが幸せになるためのお手伝いができる場所でなければという思いがずっとあるので、この教室はとても大切にしています。ーーなるほど。学び支援教室支援事業を立ち上げられた際にどのような課題を感じられていたのでしょうか。先生たちが多忙のために、休みがちのお子さんが別室に登校してもプリントをやってもらうだけとか、それって子どもたちの成長を保証ってできているのかなって感じていました。そこにちゃんとした仕組みをつくることができれば、子どもたちにとってもう一つの教室になる。居場所をつくることができるのではというのはありましたね。Upload By 発達ナビ編集部ーー弊社との連携協定締結、および「特別な教育的支援を必要とする児童生徒の支援に係る実証事業」を立ち上げられた経緯を教えてください。まず、学校の先生たちにとっては特別な配慮が必要なお子さんの支援を考えた時に、どうしても第三者からのアセスメントの視点やサポートが必要だという声を受けていました。そのために、必要な支援が必要なタイミングで届いていないのでは、という懸念がありました。それに加えて、上述の休みがちだったり、教室で過ごすことに居心地の悪さを感じている子どもたちのためにつくった居場所には、特別な支援や配慮を必要としている子どもたちが多いという実感がありました。ですので、一人ひとりにあった適切な支援を、適切に行う必要性を感じていました。また、特別な支援が必要なお子さんの情報共有が、特に中学と高等学校で上手くできていなかった。特別な配慮を要するお子さんは、小学校から中学校、中学校から高等学校に進学する段階の、支援の継続に関して課題がありました。今後やはり高等学校まででもなく卒業後の社会生活まで見通した形の支援計画の作成や支援体制の整備など、さらに追求していく必要があると感じています。今困っているお子さんに必要な支援を届け、学校の間での情報共有を切れ目なくスムーズにしていくために、行政の力だけでは難しいと感じたため第三者としてのLITALICOさんの力を借りた形でしたね。そして、LITALICO教育ソフトのトライアル導入をスタートしました。現在は連携協定内で13の市町村、小中学校38校における特別支援教育の推進に活用しています。Upload By 発達ナビ編集部ーー客観的なサポートと、切れ目のない支援のために必要だった。はい。未就学から、小・中・高等学校までの切れ目のない支援を実現していくために活用しています。実際に現場の先生たちからは指導のサポートになっているという声をいただいていて、発達障害の知識の獲得はもちろん、一人ひとりに合った指導計画をつくったり、日々の指導に役立ててもらえたりしているようです。ーー現場の反響はいかがですか?実際に先生と話す中でも、1年の振り返りの中でLITALICO教育ソフトの導入がまずあがったりと、前年度の踏襲ではなくこのソフトを活かして新しく一人ひとりの生徒と向き合えたということで、現場でも浸透してきているのかなと感じます。とてもうれしかったですね。昨年の夏ぐらいから活用しているのですが、特にお子さん自身がアセスメントを取ったりもできるようになっているので、自分自身を見つめ直すためにも使っていただけるなと感じています。ーー現職の宮城教育大学では障害のある学校の先生方の育成もご担当されているそうですね?子どもたちと同様に、先生を志す学生の中にも発達障害特性を持つ方はいらっしゃいます。だから、まずは本学の教職員に対して障害に対する合理的配慮に関する研修を実施したりすることで、お互いに理解のある環境をつくっていこうとしています。学校って育てる場所であるし、同時に育てられる場所でもあると思うので、教員も一緒に成長できる場でありたいと常に思っているんです。子ども向けにインクルーシブ教育を伝えていくだけではなく、学校の先生方も同じ状況にならないと、本当の意味でのインクルーシブな学びの環境づくりは実現しないと考えているからです。Upload By 発達ナビ編集部ーーインクルーシブ教育を今まさに推進しようとする自治体の方に向けて、何かメッセージはありますか?以前、特別支援学級のお子さんに英語を教えたことがあります。その子はとても数字にこだわりがあり、先生たちの生年月日を全て記憶していました。あるきっかけで30年経って再会した時に、覚えてないだろうなと思っていたら旧姓で呼んでくれて、まだ生年月日を覚えていてくれて。先生が子どもたちに働きかけたこととか一緒に過ごした時間って、子どもたちの中にずっと残っていて。とても尊い仕事だと改めて思いますし、いい加減なことはできません。障害の有る無しに関係なく、子どもたちと先生が共に過ごす時間がより幸せなものになるように、私たちもインクルーシブ教育の推進を続けます。各自治体の皆さまにとっても、宮城県の取り組みが何かヒントになれば幸いです。この連載を重ねることで、インクルーシブ教育推進のためのヒントを集めていきます。佐藤様と佐々木様は、それぞれの別の原体験を持ちながら同じ志を持ち、ビジョンを共有しながらインクルーシブ教育の推進に奔走されていました。これから全国の教育リーダーズの話を取材し、皆さんにお伝えしていきます。インクルーシブ教育の取り組みを知ることで指針を集め、今まさに実践されている、実践しようとしている方のヒントになりますように。ここまで読んでいただきありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年08月01日小学生になった「ふー」。4月は平和に過ぎたけれど……次男のふーは、繊細で敏感な性格です。診断はありませんがASD(自閉スペクトラム症)の傾向があると言われており、4歳から療育に通っていました。就学相談の結果、通常学級に所属しながら特別支援教室に通うことになったふーは、入学前に特別支援教室の体験授業を受けることになりました。ぐずることなく、元気に楽しく受けられてホッとした私。そして、小学校の入学式もトラブルなくバッチリ! 4月は平和に過ぎました。5月から始まった宿題。ふーは音読を拒否……!?Upload By taekoふーが通う小学校では、5月の連休明けからプリント1枚と音読の宿題が始まりました。ずっと順調に行くはずはない……とある程度覚悟はしていましたが、ふーは音読を頑なに拒否!プリントはやってくれるのですが(むしろ楽しそうにやっている)、音読は、絶対にやらないのです。ページを開いて「このページだよ」と言っても揺るがない拒否……。どうして……。でも、ここで無理強いすると音読を嫌いになってしまうかもしれません。なんとか強要せず、でも少しでも読んでもらうにはどうしたらいいのか……。音読が難しい子どもへの対応策!そんな時、ふと思い出したことがありました。以前、長男のミミが発達障害だと分かった頃読んだ本に、音読が難しい子どもに「本人が読んで楽しめる文章を考えて、それを音読してもらう」という対応方法が書かれていたことを!いちからストーリーを考えるのはなかなか大変なので、私は家にある絵本の中から本人が読みたいと思う本を選んでもらい、1~2ページ読めたら音読の宿題をしたことにするという形なら読んでくれるのではないかと考えました。Upload By taeko担任の先生にメモで事情を説明したところ、ありがたいことに快くOKしてもらえました。そしてこの作戦は功を奏し、ふーは、車種などが書いてある電車の図鑑などをご機嫌で読んでくれるようになったのです。やはり、興味がある文章なら読んでくれるようでした(つまり、教科書の文章には興味がない……ということのようです)。これで音読カードに保護者の「音読を聞きました」ハンコを押して、提出すれば宿題は完了です。担任の先生と特別支援教室の先生との連携に感謝!Upload By taeko1ヶ月ほどあとに、担任の先生と面談する機会があり、そこで音読について柔軟な対応をしてくれたことについて感謝を伝えました。担任の先生は、「これから少しずつでいいので、教科書の文章に興味を持てるようになると良いですね」と、話してくれました。担任の先生と特別支援教室の先生は、連携ファイルなどでこの方向性を共有してくださっています。音読をいやがるふーに、特別支援教室でも適切な働きかけをしてくださるそうです。感謝しかありません!これからもふーのこと、どうぞよろしくお願いします!執筆/taeko(監修:鈴木先生より)ASDのお子さんは興味への限局性があり、授業でも本でも興味のあるものに対しては熱心になりますが、興味がないとやる気が起きづらい傾向があります。国語の読解のテストでも、たまたま興味のある内容だと点数はいいのですが、興味のない内容だと点数は悪くなりがちです。算数が好きで国語が苦手な傾向があるお子さんが多いように感じています。そういう場合、計算ドリルは一生懸命頑張るのですが、漢字ドリルはあまりやりたがらないことが多いでしょう。大人になっても、文章・説明書などをあまり読まない方も見受けられます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年08月01日二度目の不登校は「学校が怖い」から始まった小学校3年生の三学期から行き渋りが始まった息子は、5年生の時に再登校できるようになったものの、6年生で完全不登校になりました。不登校からの復活を果たしてからの再不登校は、これまでとは全く違うものでした。まず体が動かない、布団から起き上がることもできないのです。4年生の時なら抱き抱えることができましたが、体の大きな息子は6年生になるととっくに私の身長を超えていて、「学校もう無理や!怖い!怖い!」と布団で泣き叫び、為す術がありませんでした。きっと再登校後の無理もあったのでしょう。以前のような「それでも学校に行きたい」という気持ちは消え去り、コロナの感染不安もあいまって、学校はただただ恐怖の対象になってしまいました。Upload By 花森はなだけど進路は待ってくれない…2つの選択肢しかし小学校の最終学年、学校に行けなくても進路だけは何とか決めなければなりません。地元の公立中学校に通うか、特別支援学校に通うか、そのどちらかです。特別支援学校に関しては、不登校になる前に当時の特別支援学級の先生に「特別支援学校を視野に入れてみるのはいかがですか」とおっしゃっていただき、常に頭の片隅にはありました。しかし、息子の希望は「みんなと一緒にいたい」「みんなと同じ中学校に行きたい」で、私もなるべくその意思を尊重したいと思っていました。そして、夏休みに2つの学校に教育相談に行くことになったのです。教育相談とは、子ども、保護者、教員の悩みごとの解決に向けて行われる相談活動のことです。 By 花森はな行って見て分かった公立中学校の現実教育相談は学校を通して申し込みます。まず先に返信が来たのが公立中学校でした。本来は息子を連れて行きたかったのですが、本人の調子が悪く、私と支援担当の先生2人で伺いました。学校の会議室で、特別支援学級のことや授業ではどのような対応をしてくださるのか一通りお聞きしました。「大人の怒鳴る声がつらく、パニックを起こすのですが、その際対応はしていただけるのでしょうか?」「全て必要な指導ですので、怒鳴らないというのは無理です」「学校に登校できた日は教室に行けずに1日支援教室で過ごしているのですが、可能でしょうか?」「不可です。基本的にはそれでも授業に出ていただくか、別室対応になります」この時点でやはり中学校は厳しいと感じていたのですが……。「もし、中学に行くことができたらクラブに入りたいと思っているんですが……」「特別支援学級の子が入れるのは、特別支援学級のクラブだけです。バスケやサッカーなど普通の部活は加配の教員がつけられないため、入部できません。特別支援学級のクラブでは授業でできなかった勉強や課題をやります」中学校でも、小学校と同じように教員不足を肌で感じました。また、不登校担当の先生はいるけれども、できることは電話での登校刺激のみで、本来の業務の隙間にやっているので、期待はしないでほしいということを重ねて言われました。息子にはたぶん、合っていないのではないかなと思いました。Upload By 花森はなここが新しい居場所になってくれたら……2校目は特別支援学校です。今回は息子にもどうしても行ってほしかったので、なんとか連れていくことができました。特別支援学校はまず、入った瞬間から空気が違いました。先生方がみんな笑顔でウエルカムモード。保護者の私でさえ、地元の公立中学校に見学に行った時に感じた疎外感を全く感じず温かく接していただき、第一印象は「大きな特別支援学級みたいだな」と思いました。「クラスは基本的に5〜7人で教員が3人入ります。学習は習熟度に分けてグループを作ります」「もししんどくなった時はどうすれば……」「クールダウンスペースもありますし、休む場所はたくさんあります。教員もつきますので、一人になるようなことは絶対にありません。息子くんのペースで、一緒に考えながらやっていきましょう」先生のお言葉で、ここだ!と思いました。この学校が息子の新たな居場所になってくれたらいいなという気持ちが瞬時に湧き出ました。それは息子も同じだったようで、私や小学校の先生と離れて、別室で特別支援学校の先生と簡単なテストを受けた息子は「僕もここやったら行けるかな」と言ってくれました。ただ、特別支援学校への進学については、次のようなことから悩みました。 特別支援学校の高等部を卒業した場合、特別支援学校高等部卒となり、制度上は大学入学資格は得られます。ですが、実際に希望する大学の受験が可能かどうかは履修単位などの確認が必要になります。 また、息子が通っている小学校から特別支援学校に進学予定の児童はいませんでした。 通学方法も、スクールバス通学か自力通学という選択をしなければならず、クラブに入れるのは自力通学の子のみなので、一人で外に出ることのできない息子はおそらく無理です。それでも笑顔で迎えてくださったこと、拒絶されなかったのが私たちの中でものすごく大きなことでした。Upload By 花森はな最後は自分でしっかりと考えて結論を公立中学校で聞いた話と自分で実際に行ってみた特別支援学校と、自宅でゆっくりと比べてみることにしました。「友達と同じ中学校には行きたい。でも今の自分には無理やと思う。まず制服が着れない」と息子は言いました。ここ数年で感覚過敏がひどくなり、ボタンのある服が一切無理になり、長ズボンも息がしにくくなるという理由で履けなくなっていました。交渉すれば体操服で通うことも可能だったかもしれません。ですが、一つひとつを交渉して勝ち取っていく元気は、私たちにはありませんでした。今の息子を全て受け入れようという姿勢が感じられた特別支援学校に、入学を希望することになりました。こうして特別支援学校中等部に進学した息子でしたが、実際登校できた日数は3年間で1ヶ月くらいでした。ですが、この進路が間違っていたとは思いません。学校に通えなくても、先生方は定期的に家庭訪問をして、息子とたくさん話をし、信頼関係を築いてくれました。特別支援学校高等部には進まず、通信制高校進学を選択した息子のことを応援してくださり、手厚く受験対策までしていただきました。これは公立中学校に進学していたら得られない支援であったと思いますし、今でも深く深く感謝しています。学校に通えないのにこれからのことを考えなければならない、心がしんどい時に人生の大きな選択をしなければならないのは、とても大変なことです。それがたとえどんな進路でも、自分自身で答えを出せたことが一番重要ですし、後悔が残らないように思います。これからも息子の選択を応援し続ける親でありたいです。執筆/花森はな(監修:森先生より)花森さん、お子さんの進路で悩まれていた体験談をありがとうございます。実際、通常学級に通うべきか、特別支援学級・特別支援学校に行くべきかで悩まれる方は少なくありません。地域によって通いやすさにも差がありますし、お子さんの慣れている環境のほうがいいのか、支援体制の整った環境がいいのか、など、どちらが良いとは一概に言えない部分もあり難しい問題ですね。ただ、やはり特別支援学級・特別支援学校では、教職員に発達障害についての理解があり、お子さん一人ひとりの特性に寄り添ったきめ細やかな指導がしやすいというメリットがあります。結局のところ、お子さんが長い学校生活を送る場として大切なのは、お子さん自身が安心して過ごせるかどうかです。お子さんがのびのびと過ごせるかどうか、見学や相談に行って、実際の空気を知ることが一番ではないでしょうか。限られた時間、限られた情報の中で進路を決める必要がありますが、何が正解かは誰にも分かりません。どんな道を選んでも、よかったと思う点もあれば、残念に思う点もあるでしょう。それでも、進路を考える時に、保護者の方がお子さんの気持ちをしっかり考えてくれたこと、不安を受け止めてくれたことは、これからのお子さんの自信につながるのではないでしょうか。これからの人生も、お子さんが自分の気持ちを大切にしながら決断していけるよう、応援しております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月31日五月雨登校時の次女、不安も強くなり、依存的に小学5年生の時、初めての宿泊を伴う校外学習への参加後、しばらくの間学校に行けなくなった次女。受診した小児科の先生のポジティブな対応のおかげもあり、また学校に行き始めました。しかし、登校はできるようになったものの、休んだり、早退したり、遅刻したりしながらなんとか通っている状態でした。さらに、次女の疲れやすい状態やだるさは継続。次女がだるくてできないという入浴時の洗髪を手伝ったり、不安が強く夜ひとりで寝られないのに付き合ったり……。次女も「ママが良い」「ママがやって」と、今までより私に対して依存的になっていました。毎日付き添い登校や早退のお迎え、毎朝のやり取り…学校への付き添い登校や、遅刻・早退のお迎えなどの時間の工面。また、学校に行くかどうかは朝決まるので、そのための毎日のやり取りと、学校へのお休みの電話など……。学校に行けなくなった最初の頃は、つらそうな次女を見て「なんとかしなくちゃ!」と必死でやっていましたが、時間が経つにつれて、こういった毎日の積み重ねが、私にとってつらく感じるようになってきました。Upload By まりまり今まで少しずつ自立してきたのに、それが消えてしまうみたいでつらかったそれまでの次女は、場面緘黙はあって支援も必要だけれど、学校には休まず通っていました。ゆっくりではあるけれど自分自身で苦手なことにも挑戦し、次第にできることも増えて、次女なりのペースで成長していく姿をとても心強く思っていました。ただこの時に学校に行けなくなってからの次女を見ていると、そういった次女の今までの頑張りが消えてしまうような気持ちになって、私も焦りと不安を感じるようになっていました。Upload By まりまり焦って、自分の不安を押しつけてしまった次女が学校に行けなくなってから、怠さが強かったこともあり、宿題や勉強に取り組むことができない状態が続いていました。傍から見ていても、取り組めない状態であることは分かっていたけれど、学校で担任の先生に勉強の遅れを指摘されたことをきっかけに、私自身が焦ってしまいました。そのため、まだその状態ではないのに次女の無理に勉強させようとしたり、学校へ行かない次女を責めたりしてしまいました。Upload By まりまり次女から言われたこと私がそういう感じになってしまっていた時に、次女から「ママはどうしてそんなに私を学校に行かせたいの?」と聞かれました。Upload By まりまりその言葉を聞いて、ハッとしました。本当は学校に行きたいけれど行けない次女を応援していたはずだったのに、なぜ無理をさせようとしてしまっているのか……。私自身の焦りから、次女の気持ちをないがしろにしていたことに気づきました。学校に行けなくなった最初の頃は、次女がどうしたいのか、自分のペースで、自分自身で選択していくことを見守るつもりだったのに……と思い出して、少し客観的な視点を取り戻すことができたのでした。なるべく一定の気持ちで対応するように努めて、日々なんとかやり過ごしたその後ももちろん引き続き私の気持ちは不安定だったし、つらく感じることもありましたが、次女が学校へ行っても行かなくても、自分自身の気持ちをなるべく一定に保つように努め(できていたのかは分からないけれど……)、日々なんとかやり過ごすようにしました。Upload By まりまりそして長期休みへそして、そんな日々をなんとか過ごしていき、やっと夏休みが近づいてきました。いつもは長期休みとなると、ごはんや生活の心配があって面倒くさく感じることが多かったのですが、この時だけは、長期休みに心底ほっとしました……。休み中は私の気持ちは軽くなり、次女はダラダラの限りを尽くして、力をためることができたのでした。その後、夏休み明けには、また少し状況が変わっていくのでした。執筆/まりまり(監修:新美先生より)娘さんが学校に行けたり行けなかったりが続いた時期に、保護者として感じられていたことを聞かせて下さりありがとうございます。学校に行きづらくなって、明日は行けるのか、今日は行けるのか?行けないのか?という日々は、お子さんもとても葛藤してつらいのは当然ですが、それを支える保護者のほうとしても、気持ちも揺れるし、予定も定まらないし、ほかの用事や仕事の兼ね合い調整も大変、学校とのやり取り、配偶者とのやりとりなど……、本当に疲弊するものです。親として、何をしてあげたらいいのか、どう支えていくのがいいのか、迷いも悩みも尽きません。比べるものではないですが、完全不登校になってからのほうが腹が決まって楽になったという実感を持たれる方も多いぐらい、五月雨登校を支える保護者は本当に大変です。学校行けるか行けないかという葛藤の時期は、お子さんは相当にエネルギーを消耗していて余裕がなくなっています。イライラしたり、今まで当たり前にできていたことができなくなってしまったり、急に気持ちが変わったりするのは、無理ないことです。お子さんの言動に一喜一憂しすぎずおおらかに構えられたらよいのですが……実際に親としてはなかなか難しいものですね。親のちょっとした言動で、学校に行けたり行けなかったりするようにも見えるので、気を遣いすぎてしまうこともあるかもしれません。でも親の一言で不登校になるならないが変わることはそんなにないかと思います。気を遣いすぎるとかえって緊迫感や窮屈さにつながるかもしれません。不安と葛藤でいっぱいいっぱいになっているお子さんが、少しでもエネルギーを貯められるように、必要な情報(学校の予定、保護者の都合)は伝えて、あなたが学校に行く日も、行かない日も、お母さんはあなたの味方だよということを感じてもらえるようにすることが大切かなと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年07月31日東京都児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報発達支援チャレンジスタジオちゃれんじキッズ千代田は、2024年8月1日にオープン。個別と少人数集団で、トータル3時間の発達支援を行います。感覚統合、応用行動分析、ソーシャルスキルトレーニングの三位一体の支援を目的としたプログラムでお子さんの発達を促していきます。スタッフは、中学校・高等学校教諭免許資格、保育士、公認心理師などの資格を保有しており、お子さんにより良い発達支援ができるよう日々研修も重ねています。体験、見学も受付中ですので、お問合せしてみてはいかがでしょうか。東京都の児童発達支援をもっとみる埼玉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス鶴ヶ島教室は、東武東上線 鶴ヶ島駅から徒歩3分のところにある事業所です。コペルプラスでは、「子どもの可能性は無限大」を合言葉に瞳が輝くような楽しい発達支援を通して、自発的に取り組み、自ら能力を発揮していく姿をサポートします。2,000種類以上のオリジナル教材を用意しており、楽しく遊びながら学ぶ中でできることを増やし、園や学校、家庭で自分らしく過ごしていくためのスキルを身につけるサポートをしています。指導員の皆さんは明るく元気!お子さんの笑顔が絶えない楽しい発達支援を行っています。埼玉県の児童発達支援をもっとみる千葉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報児童発達支援事業所ponoponoは、JR下総中山駅から徒歩1分のところにある事業所です。お子さん一人ひとりの特性を理解し、工夫する方法を見つけることで、お子さん自身と周囲も「楽しい!」「できた!」の体験が増えてきます。そのために、ponoponoは応用行動分析を軸に、個別指導を大切にし、小集団指導も取り入れながら、ルールやコミュニケーションの練習をしています。スタッフは、さまざまな分野で活躍してきたベテランが揃っていますので、ご家庭での困りごとや対応についてなどもご相談いただけます。千葉県の児童発達支援をもっとみる大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報かみか企画は、2024年5月にオープンした事業所です。大阪メトロ今里筋線・中央線「緑橋」駅7番出口から徒歩で約1分の場所にあります。ご家族との面談やお子さんとの関わりなどを通じてアセスメントし、お子さん一人ひとりに合った発達支援を行っています。個々を大切にしつつ集団生活もできるように小集団指導も取り入れています。アセスメントに関しては、AIを活用したツールを導入しており、支援者とAIの分析により、プログラムを重ねるほどお子さんの特性に合わせた発達支援プログラムを提供できるようにしています。大阪府の放課後等デイサービスをもっとみる大阪府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報ウィズ・ユー×モンテツリー桜の宮では、モンテッソーリ教育をベースに、お子さんの「自立」の根幹となる「手や身体を自由に使いこなせること」に繋がる行動を心ゆくまで行うことができる環境、そしてステップアップしていける環境を整えています。全スタッフは、モンテッソーリの研修を受けており、また、モンテッソーリ教師による発達支援や鍼灸師による小児鍼の提供も行っています。個別指導や小集団指導をお子さんに応じてバランスよく計画し、「日常生活の練習のおしごと」や個別課題のほか、月替わりの活動プログラムを実施しています。Upload By 発達ナビ施設情報かみか企画は、2024年5月にオープンした、医療法人が行う個別指導中心の児童発達支援・放課後等デイサービスです。お子さんの特性は、個性や才能。お子さんの「好き」「得意」「できた」をいっぱい見つけて伸ばしていくことができるよう支援をしているそうです。プログラムの内容は、ご家族との面談やお子さんとの関わりなどを通じてアセスメントし、お子さん一人ひとりに合った支援を個別中心で行っています。楽しそうなイベントや支援内容をブログで発信していますので、ぜひご覧ください。大阪府の児童発達支援をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、Webからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2024年07月30日久しぶりの健診1歳を過ぎて歩きはじめたマユユ。毎日公園通いをしていたのですが、手を繋げず、声かけにもほぼ反応なし……私に構うことなく興味の湧いた方向へピューっと走り出すような子どもでした。「早くコミュニケーションしながら外出できたらな」そう思い描きながら、ふらふらと歩くマユユが危なくないようにガードして歩き回る日々。そしてある日、ついに「1歳半健診のお知らせ」が届きました。Upload By サチコ知らせを受け取ったとき、私は少しホッとしました。前回健診を受けたのは、9〜11ヶ月健診。久しぶりに成長を見てもらえる場ができたなと思ったのです。わが家は転勤も多く、実父母(マユユのじいじとばあば)も友人も遠方に居たため、この頃成長について身近な人に相談できる機会がほとんどありませんでした。そのため、この時はまだ「マユユは、どれくらい大きくなったかな?」と1歳半健診に対してプラスの感情のほうが大きかったです。健診会場に着いて健診会場は、子育て支援センターの中の仕切りのない広いスペースでした。身体測定・内科検診・歯科検診・最後に栄養士さんや保健師さんと話すコーナーがあり、順番に周っていくようなシステム。覚悟はしていたものの、これは大変だぞ……と思いました。Upload By サチコマユユは、順番待ちの時間は待てずにウロウロ、引き止めたら大泣き。身体測定・内科検診・歯科検診についてはスタッフの方にも抑えてもらいながらどうにか受けました。ちょっとドキリとしたのが”周りにマユユと同じような様子の子はおらず、ほかの子はみんなウロウロしたり暴れたりせず健診を受けていた”こと。普段の公園などでも周囲の親子との違いを感じていたので、慣れたつもりでした。しかし、(この大人数の中でも浮くのか……)と私はショックを受けていました。その後の栄養相談も暴れるマユユを抱っこしながらなので、正直頭も回らずそれどころではありませんでした。Upload By サチコそして運命の保健師さんのコーナーへ最後に保健師さんのところへ。私はすでに(もうすぐ終わる……!)と安心し始めていました。保健師さんから「最後に困ったことはないですか?相談ありますか?」などと聞かれて終わるのかなと思っていましたが、向かい合って始まったのは検査のようなものでした。私はこの時、積み木や指差しの確認があることを初めて知りました。Upload By サチコマユユは、指差しすることや単語を答えることはできませんでしたし、それ以前に何か聞かれているということすら分かっていない様子でした。私はマユユを抱っこしながら、(こんなやりとりできないです……)(もしかしてほかの子は、もうこんなことできるの?)と焦って思わず周りを見ました。何度か聞かれてもマユユは答えられそうになく、保健師さんは絵カードをおしまいにして代わりに積み木を取り出しました。この時もうすでに、保健師さんが「あれ……」という様子なのが私にも伝わり、少し不安になっていました。「積み木できるかな?」と保健師さんが言いました。わが家には積み木がありませんでしたが、保健師さんがお手本を見せてくれても、マユユは真似してやってみることもしませんでした。Upload By サチコそのあとは保健師さんから少し待つように言われ、この時初めて心理士相談を提案されました。“心理士”と聞いて私は「発達に遅れがあるってこと?」とびっくりしました。Upload By サチコ保健師さんたちは悪くないのに、この時は自分の子育てを否定されたような、絶望的な気持ちにもなっていました。私は心理士相談についての案内用紙を受け取り、なんとか「様子を見て連絡します」と伝え、逃げるように会場を去りました。もうずっと鼻の奥がツーンとしていたのですが、車へ戻ると大人になってから初めてくらいの大声でわんわん泣いてしまいました。心理士相談は”待ち”も多く数ヶ月後の予約になる……。そのことを知ったのはしばらく様子を見て、気持ちを少し整理できた頃に問い合わせてからでした。最後に指差しや言葉については、結果としてその日できなかった、というところだけでなくマユユの視線の合わない感じや興味を示さない様子も含めて引っかかったのだろうなと今となっては思います。とてもつらかった思い出なのですが、ここで指摘を受けたことで・マユユの様子が見過ごせないレベルでほかの子と違うこと(活発とか自我が強い、ではすまない)・心理士(発達)相談という存在について知ることができ、今では感謝しています。ただ知識も覚悟もなく行ってしまったためこの時は頭も気持ちもついて行かなかったです。そして気持ちがついていかない日々は、ここからスタートしました……。執筆/マユユ(監修:鈴木先生より)1歳半健診は、人生最初の正式な総合健診です。初めての経験は誰でも緊張し、不安がよぎり、ついつい悪いほうに考えがちです。保健師や心理士でもハードルが高いので医師ともなるとさらなる高いハードルがありますね。しかし、誰もが気軽に話せるような、ハードルの低い、優しい理解のあるかかりつけ医が理想です。だから、私の診察室はいわゆる診察室ではなく「チャットルーム」、つまり、雑談部屋という意味を持つ名称にしています。保護者の方の気持ちがついていけなくても、それを待ってくれるような心理士や医師が必要だと思っています。診察室であっても雑談できるような、緊張がほぐれて本音が言えるような雰囲気作りが大事なのです。私のチャットルームには、ソファーも用意されています。ご両親やきょうだいがくつろいで座れる工夫もしています。これからの日本の医療は、「診察室」の常識を覆していくことが大事ではないかと思っています。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月30日とにかくよく泣いて目が離せない!誤飲やボヤで大変だった乳児期Upload By もっつん乳児期はとてもよく泣く赤ちゃんだったと思います。そして、後追いをほとんどしませんでした。後追いが激しいお子さんを育てている親御さんの苦労はよく耳にしていましたが、「見えなくなると不安で泣いてしまう」「トイレにも行けない」などといった行動がなくて拍子抜けしたのを覚えています。ただ、後追いがない子育ても気が抜けず大変でした。具体的には、目を離すとすぐにどこかにいなくなってしまう。何でも口にしてしまう時期には、それはそれは大変で……私より早く目覚めたタクがほかの部屋へと一人で進んで行ってしまって、部屋中を冒険して誤飲の心配が絶えませんでした。一瞬の隙にボタン電池を飲み込んでしまって、肝を冷やしたこともあります。嫌な予感がしてすぐに病院を受診し、翌日には便と一緒に排出されました。目を離した隙にオーブンで遊んでボヤ騒ぎを起こしたこともありました。人との距離感が近すぎる。幼児期ってこんなもの?Upload By もっつん歩けるようになるとさらに目の届かないところに飛び出していくことが増えました。買い出しに行く時には、常に手を繋いでないと好奇心が向くまま飛び出していってしまいます。公園に遊びに行くと、大きなお兄ちゃんたちが遊んでいる中に突っ込んで行く。犬の散歩をしている人を見かけては走って触りに行ってしまう。警戒心がなく甘えん坊なタクは、優しそうな人を見るとグイグイ距離を詰めていきます。商店街を歩いている時に微笑みかけてくれたおじさんに対して、自ら手を繋いだ時もありました。私とタクと知らないおじさんが3人で手を繋ぎ歩いたのは、思い出しても苦笑してしまいます。ファーストフードで食事をしている時、隣のおばあさんが食べているナゲットをタクが欲しがって見ていた時がありました。おばあさんのご好意で1つ頂くことになり、一つまた一つと頂いてしまって5個中3個も食べてしまったことがあります。幼く甘えん坊なタクは可愛がってもらえましたが、私はこの距離感の近さに違和感を覚えていました。ちなみにそのあと、ナゲットは丸ごと買い直させていただきました。距離感が近いタクに対して、優しく接してくれる人もいればそうでない人もいました。タクの距離感の近さやヤンチャさ故に世間に対して肩身の狭い思いを抱きつつも、ずっと家で遊ばせているのも難しくて外出することへのジレンマがありました。2、3歳ごろの子育ては大変だと言いますが、一切気を抜く隙がなくて私はどんどん疲弊していきました。成長と共に、パーソナルスペースの近さに違和感……Upload By もっつん人との適切な距離感が分からないというのは、発達障害の特性の一つにも挙げられます。甘えん坊なタクはまさに当てはまっていて、パーソナルスペースが近すぎることが成長と共に目立ってきました。幼稚園では先生に対してもお友達に対しても、特に母親の私に対しては頬がつくような距離で接していることがありました。その都度「近すぎるよ」「大好きは、ギュ〜以外で伝えようね」と教えてもなかなか行動は変わりませんでした。それと共に、気持ちが昂った時には体が先に動き出してしまっていました。例えば絵本の読み聞かせをしている時には、読んでいる途中で先のページが見たくて勝手にめくろうとする。教室で配布物がある時は、離席して取りに行こうとしてしまう。注意しても何度も繰り返すので、徒労を感じてうんざりしてしまう日々でした。近すぎる距離をその都度注意するもののUpload By もっつんお友達との距離を近くしすぎて、嫌がられることも多々ありました。そこまで仲が良い訳ではないクラスメイトに急に抱きついて、びっくりさせてしまったり。私が気づいた時には注意して、一緒に謝ることを繰り返しました。それでも、一方的に注意をしないように気を付けていました。「お友達がびっくりして嫌な気持ちになってしまうよ」と説明しつつ親子で適切な接し方を何度もシミュレーションしてみたり、「仲良くしたい時には抱きつくのではなくて、言葉で伝えたほうがかっこいいんだよ」と根気強く伝えたり……いろいろ試す中で、タクに伝わっていると感じることもあれば、あまり伝わっていないこともありました。周りの目が厳しいと感じるが故に真っ先に注意や駄目出しをしてしまいがちですが、注意されて嫌な気分になるとそこしか記憶に残らなくなってしまうように思います。パーソナルスペースを教え込むのはとても大変なことですが、間違った距離感ばかりに目を向けずに、正しい距離感を分かりやすく伝えることができたら、きっと良い方向に成長してくれると信じていました。就学して落ち着く過ごし方を見つけたタクUpload By もっつん小学校に入学すると、男女別のグループができ始めたり同級生たちがよりパーソナルスペースを大切にするようになる中、空気感を読み取れないタクは苦労しているようでした。この調子で小学校でお友達と仲良くできているのかな?と私は毎日心配していました。ある日、「今日は誰と遊んだの?」という問いかけに対して「くうき君と遊んだ」と答えたことがありました。くうき君というのは、空気のことでした。誰とも遊べてないということを知った私はショックを受けてとても心配しました。「くうきくんは優しいし怒らないから好きなの」というタク。それを聞いた夜は私は、眠れないほど悩んでしまいました。しかし今になって振り返ってみると、友達と遊ぶということを最優先にする必要はなかったと思います。タクは大人数でルールのある遊びをするよりも、自分のペースで石を探したり昆虫観察をする事のほうが好きでした。その事実を優しく受け止めて「友達の輪に入ってほしい」という私の願望を切り離して考えられたら、感じなくて良いストレスも多かったのではないかと思います。型にはまった幸せというものを無意識に求めてしまいますが、その型がわが子と自分を苦しめることも多いものです。タクが成長して友達付き合いに関して、親の私が気にしたりストレスを感じてしまうこともあります。そんな時は、あの時の「くうき君」のことを思い出して自分の中にできてしまった型を取り払うように意識しています。型にはまりに行くことは、子育てにとって余計なストレスを増幅させてしまうのでこれからも気をつけようと思います。ちなみに適切な距離感を前よりもとれるようになったのは、社会的ルールを少しでも身につけさせてあげたいと願い、根気強く言い聞かせてきたことが少しずつ効いてきたのだと感じています。執筆/もっつん(監修:森先生より)もっつんさん、お子さんの幼少期の体験談をありがとうございます。タクくんは、後追い、人見知りがあまりないお子さんだったのですね。好奇心旺盛で人と近い距離で接することができるという良さもありますが、迷子になったり、相手によってはびっくりされてしまうこともあるので、保護者としては心配になりますよね……。これは大人にも言えることですが、「心地よい」と感じる他人との距離感は、お子さんそれぞれで違います。「心地よい」と感じる人との距離感に、「間違っている」とか「正しい」という決まりがあるわけではありません。一方的に注意するのではなく、もっつんさんのように「お友達がびっくりしない距離感」、「お友達と仲良くなれる方法」を根気強く伝えていけると良いのではないでしょうか。また、「人以外のもの」への関心や愛着の度合いも人によって違います。本だったり、音楽だったり、景色だったり、自分の好きなものに囲まれて過ごす時間は、友達と過ごす時間と同じく大切なのです。タクくんの場合は、「くうき君」や「石」「昆虫」などなど、大切なものがたくさんあったということですね。実際、大人だって毎日毎日誰かと会う予定が入っていたら疲れてしまいますよね。たまには一人で趣味の時間を楽しむ日もないと安まらないのではないでしょうか。お友達と遊びたい時間と自分の好きな世界にひたりたい時間のバランスは、人によって違います。親としてはついつい自分の考える幸せの型を求めてしまいがちですが、もっつんさんのように、お子さん自身の求める幸せを考えてあげられると良いですね。これからも、タクくんももっつんさん自身も、「こうあるべき」という型にこだわらず、のびのびと生活できるよう、応援しております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月29日大学での「合理的配慮」の広がりは?2021年5月に障害者差別解消法が改正・公布され、2024年4月1日より国公立、私立問わず、大学・短期大学・高等専門学校では以前から禁止されていた「障害者に対する不当な差別的取扱い」に加えて「合理的配慮の提供」も法的に義務付けられることとなりました。ある調査によると大学に在籍する障害のある学生は、2012年度:10,916人から2018年度:30,190人へと2.8倍増加をしているとのことでした。その中で発達障害のある学生数も年々と増加し、2012年度:1,573人から2018年度:5,063人へと3.2倍になっています。(※全学生に占める障害のある学生の割合は2012年度0.4%、2018年度は1.0%と0.6ポイントの上昇にとどまる)Upload By 発達ナビ編集部参考:障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第三次まとめ)|文部科学省参考:障害のある学生等に対する 大学の支援に関する調査|総務省オープンキャンパスの季節!発達障害のある子どもの大学進学のために今できることは?受けられる合理的配慮の具体例なども【専門家に聞きました!】Q:発達障害のある子どもがいます。夏休みに大学のオープンキャンパスに行く予定ですが、見ておくべき点や聞いておくべき点などあれば知りたいです。A:オープンキャンパスでも学生相談の担当の方が参加されていると思います。障害のある学生の支援に関して、専門の相談部門があるかどうか、保健管理センターなどの利用、合理的配慮の相談に関する窓口はどこかなど、確認しておくとよいと思います。また、実習などの卒業要件となっている科目について、その内容や合理的配慮によって基準がクリアできるかどうかなど各専攻やコースの教員に尋ねてみるのもよいと思います。Upload By 発達ナビ編集部Q:発達障害のある生徒は大学でどのような合理的配慮が受けられるのでしょうか?具体例が知りたいです。A:全ての要望に対しての合理的配慮が得られるわけではありませんが・提出物の期限の延長、リマインド・授業中の配布物や板書の撮影・別教室での試験や試験時間の延長・パソコンの使用など、本人の障害の種類や程度に合わせて考えていきます。これらの配慮については本人との話し合いの中で決定されます。Upload By 発達ナビ編集部発達障害の大学生のよくある困り、大学での合理的配慮の取り組み、通信制の大学について知りたい!発達障害の大学生、どんなことに困りやすい?「支援の厚い大学」の見分け方や合理的配慮の具体例、合理的配慮をすることで過保護な保護者に思われないか不安……などの質問、疑問に専門家が回答!中央大学の発達障害学生支援の新たな展開。支援に必要な「連携」をどうつくる?同研究チームの主査を務めた山科満教授に、学生支援の根底にある想いや、具体的な支援事例、支援者の方へのメッセージを伺いました。中央大学で発達の特性がある学生への支援体制の構築と支援のノウハウについての臨床研究を続けている山科満教授へのインタビュー。学生支援の現状や、発達による特性がある学生、保護者の方への願いについて伺いました。発達障害がある学生の相談は年々増加傾向に。障害のある学生の修学や大学生活の困りごとに寄り添い、教職員への支援も行う、東北大学の「学生相談・特別支援センター 特別支援室」の取り組みをインタビューしました。障害のある学生を支援するための教職員向けの研修事業や、各大学などにおける障害のある学生の修学支援に関する実態を把握するための調査などを行っている「日本学生支援機構」。発達障害がある学生への支援データや調査結果、実際の支援事例など気になる情報が満載です。発達障害のあるお子さんの大学選び、「通信制のほうがわが子に合うかもしれない」と思っている保護者の方も多いのではないでしょうか。8万人を超える学生が在籍する通信制の大学「放送大学」学びの特徴と障害学生支援についてお聞きしました。「大学選び」「オープンキャンパス」「合理的配慮」「大学生活」についての連載コラム連載ライターさんたちの「大学選び」「オープンキャンパス」「合理的配慮」「大学生活」などのコラムをまとめました。具体的なエピソードは大学探し、大学生活のヒントになるのではないでしょうか。まだお子さんが小さいご家庭も、将来の進路について考えるきっかけになりそうです。寺島ヒロさんの娘さん、いっちゃんは高校3年生。ASD(自閉スペクトラム症)に加え、非24時間性睡眠覚醒症候群と呼ばれる睡眠障害もあるため、日中登校することが難しく高校は通信制を選びました。大学に進学したいという希望のあるいっちゃんのオープンキャンパス参加エピソードです。発達特性のある次男、ウッシーヤさんは受験にあたり中学生の頃から通っている発達支援施設で助言を受け、県が作成しているテンプレートを活用して「合理的配慮申請書」を提出することに。実際の申請書の写しや合理的配慮の内容など参考になる内容満載です!通信制の高校に通っている寺島ヒロさんの娘さん、いっちゃん。大学進学のために学校外の試験や模試を継続的に受け、対策をするようすすめられたのですが、勉強以前の問題が……!?公立高校の普通科へ通う2年生の娘さん。小学校1年生のときADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。義務教育期間はスクールカウンセリングや担任との臨時の個別面談など、手厚い支援がありましたが、高校に入って支援が不足していると感じ……そんな娘さんの高校受験、そして大学を目指す、現在のエピソードです。高校1年生の2学期になって、いきなり学力がアップし、同級生たちに追いついた次男ウッシーヤさん。「高校を卒業したら保育科のある大学に進学したい」と目標を持ち大学受験にチャレンジしますがまさかの手続き失敗が起こり……!?私立の中高一貫校に通っていた、寺島ヒロさんの息子さんのタケルさん。今回は高校の進路指導を受けたときのことについて書いていただきました。ASD(自閉スペクトラム症)のある宇樹義子さん。大学に入ると、高校までと一転して自由なぶん、すべてのことを自分で考えて積極的に決めていかなければならず、とても戸惑ったとのことでした。宇樹さんが経験した「大学生活の自由さゆえの困難」とは……。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月29日言葉の遅れ(言語発達遅滞)とは?言葉の遅れ(言語発達遅滞)とは、生活年齢から予測される平均的な状態よりも発語や言葉の理解が大幅に遅れることをいいます。例えば、言葉に遅れがあることは以下のような状態をおおまかな基準として判断をします。・1歳半で、意味の伴った言葉が2つ以下である場合・3歳で、「ジュース のむ」など2つの単語による言葉である「2語文」が出ていない場合なお、子どもの言葉が出てこない原因には性格や環境などさまざまな要因による個人差が大きいので、必ずしも上記が当てはまるからといって言葉の遅れがあるとは限りません。参考:改訂版乳幼児健康診査身体診察マニュアル|国立成育医療研究センター言葉が出てこない原因は?発達障害が原因?言葉の遅れ(言語発達遅滞)について専門家が回答!Q:3歳ですが、言葉の遅れがあり、まだ単語しか出ていません。言葉が出ない原因などは何があるのでしょうか?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン参考:城野 明子, 久保田 功, 楠本 季佐子, 太田 文彦著「言語発達遅滞児の遅れの要因」『小児耳鼻咽喉科』13 巻(1992年) 1 号 P.34-37Q:2歳の子どもですが、まだ言葉が出ておらず言葉の発達が遅れているように感じます。家でできる働きかけなどあるのでしょうか。Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月28日放課後等デイサービスを利用したことがないコウですUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある息子のコウは、中学3年生の今まで放課後等デイサービスを利用したことがありません。小学生の間は探したり空きを待ったりしていたのですが、結局一度も利用することなく小学校を卒業しました。中学生になってからは部活が忙しく、放課後等デイサービスは選択肢から外れている状態です。今は主に発達外来とスクールカウンセリングにお世話になっています。未就学児の間も、支援施設に通っていたのは1年間だけです。3歳児健診の際に勧められた週5回のクラスは定員に達していたため、1年で卒園する規定のある週1回のコースを利用していたのですが、その後も週5クラスの空きは増えずに療育園を卒園しました。そのため、4歳と5歳は保育園のみ通い、支援とは一切繋がりがない状態で過ごしていました。そうして、療育園卒園以降は特にどの支援機関とも繋がりがないまま小学校入学が近づいた保育園年長のある時、ふと「あれ?小学校入学前の相談とかしなくていいのかな?」と気になりました。保育園では先生や同級生の助けを得て過ごすことができたため、大きな問題は目立ちにくくなっていましたが、3歳児健診で「発達障害の可能性あり」と指摘された箇所は卒園が近づいても大きく変わっていないように見えました。Upload By 丸山さとこどこに連絡をすればよいのか分からなかった私は、ひとまず市の保健センターに相談の電話をしました。すると、「小学校内のことはスクールカウンセラーが対応しやすいので、入学後の活動が心配であれば、スクールカウンセリングを受けるのが良いと思います」と教えていただけました。Upload By 丸山さとこ「スクールカウンセラーの先生は、クラスの様子を直接見に行くことができます。学校内でトラブルがあったり、それについての小学校の先生とのコミュニケーションがスムーズに運ばなかったりした場合は、専門家としての意見を踏まえた上で調整を助けて下さることもあります」……と詳しく教えていただき、私は学校に連絡をとりました。そのおかげで、小学校入学後から中学3年生の今に至るまでとても助っています。私は今までに数人のスクールカウンセラーの先生にお世話になっています。「やはり相性の合う合わないは大きいな~!」と実感したこともありましたが、それでもメリットのほうが大きかったと思います。早め早めに動くこと、選択肢を多く持っておくことの大切さこのようにしてスクールカウンセリングという情報を得て助かった反面、当時の電話相談の中では『放課後等デイサービス』の名前が出ることはありませんでした。放課後等デイサービスは2012年4月に児童福祉法に位置づけられた支援です。コウが小学校に入学する頃はまだ選択肢が少なかったのも、今振り返れば「それはそうだろうな」と思います。ですが、三歳児健診で「発達障害の可能性が高い」として療育園への通園を促され、その後支援との繋がりがプツンと切れてしまった私は、当時その状況に戸惑いを感じていました。参考: 放課後等デイサービスガイドライン|厚生労働省Upload By 丸山さとこよく、「子どもが対象の福祉は受け身でいると得られない。保護者の積極的な行動が必要」という体験談を聞くことがあります。それは、コウをこれまで育ててきた中で私も実感していることです。スクールカウンセリングや病院での診察の際に「コウが通える放課後等デイサービスはありますか?」と伺っては、選択肢の少なさと空きのなさに打ちのめされたことは数知れず……「放課後等デイサービスを利用するには、保育園に入る時と同じか、それ以上の『リサーチと行動と運』が必要だな!」としみじみ思いました。早め早めに動くこと、頼れる先を多く持っておくことの大切さそんな風にオロオロしたまま過ぎてしまった『コウが小学生だった頃』に比べると、今は選択肢が多くなったようです。市内を移動中に「あっ、ここにも新しくできたんだ!」と目にするほど支援施設が増えたことを実感しています。とはいえ、まだ順番待ちだったり、合うところを選べなかったりすることも多いだろうと思います。このたった10年ほどの間にもこれほど状況が変わっていったことを考えると、事前リサーチが空振りになることも、きっとあるのだろうなと思います。それでも、調べたことや行動したことは無駄にはならないのだろうということも、私はこの10年で実感しました。3歳児健診にて療育園の情報は貰えますが、連絡や入園手続きは保護者の私が行わなければなりません。スクールカウンセリングを利用しなければ、発達外来の受診や服薬についても様子見期間がもっと長くなっていた可能性があります。そうであれば、コウは今よりも学校生活に疲れ果てていたかもしれません。Upload By 丸山さとこ今回のコラム内では「時期によって状況や得られる情報は変わる」というお話をしましたが、時期だけでなく地域による差も大きなものです。地元に詳しい医師やカウンセラーなどの支援者を頼るほか、地域の親の会に参加するのも選択肢のひとつだと思います。それはそれとして、私は、本来であれば児童福祉に関する情報が得られるかどうかが保護者次第であってはならないと考えています。現状が結果的にその状態であったとしても、「ちゃんと情報を得ないのは親が動かないからだ」と他者から責められるいわれはないし、自分を責める必要もないと思っています。その上で、何とかして多くの家庭が支援に繋がれることを願っています。情報がなく頼れるところがない状況で子育てをするのは大変なことです。書籍やWebサイトの情報を足掛かりに放課後等デイサービスなどの支援に繋がり、多くの保護者と子どもが助けを得られるようになって欲しいと思っています。執筆/丸山さとこ(監修:室伏先生より)さとこさん、放課後等デイサービス探しの状況や、児童福祉に関する情報を得る方法などについて共有くださり、ありがとうございました。さとこさんのおっしゃる通り、現在は放課後等デイサービスは増えてきてはいるものの、情報が整備されていて、誰でも簡単に情報にアクセスできる状況かというと、まだ課題がある部分と思います。さとこさんには、学校外の活動である、放課後等デイサービスについてご紹介いただきましたが、それに加えて現在では学校での支援も少しずつ強化されてきています。就学にあたって、特別な配慮・教育を希望される場合や、発達に不安があり就学先について相談・検討をしたい場合には、各自治体で行われている就学相談を受けることができます。特別な配慮・教育を受けられる学校、教室としては、特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室などがあり、お子さんの知的能力や、お困りの内容や程度によって、どちらを利用するのが望ましいのかを、専門スタッフで検討します。就学相談を受けられると、その決定した場所に必ず通わなければならないのかと心配に思われる親御さんもいらっしゃるかと思いますが、この決定に強制力があるわけではなく、最終的な判断は親御さんにしていただけるようになっています。放課後等デイサービスを選ぶにしても、学校や教室を選ぶにしても、やはりリサーチは必要ですし、迷われることも多いと思います。このような時には、園の先生方、療育先のスタッフの方々、市区町村の相談先など、地域のプロフェッショナルの方々に相談してみるのもよいかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年07月28日新版K式発達検査とは?新版K式発達検査は、子どもの心身の発達の状態を観察し、支援に役立てるための検査です。課題への子どもの反応や回答から、発達の状態を多面的に評価します。検査の適用年齢、かかる時間、費用などは以下となります。・新版K式発達検査の適用年齢:0歳~成人まで・新版K式発達検査にかかる時間:生活年齢や検査を受ける子どもの発達によって検査内容が異なります。時間に余裕をもって受検しましょう。・新版K式発達検査の費用:受検の目的や実施機関によって費用が異なります。専門・相談機関でのアセスメントを目的の場合は無料の場合が多く、保護者や本人の希望により民間施設などで受検する場合はその施設が定める料金がかかりますので、受検の前に確認をしておくと安心です。知能検査は学習能力や知識などの認知機能を中心に評価します。検査結果は精神年齢(Mental Age:MA)や知能指数(Intelligence Quotient:IQ)で示されます。一方発達検査は、知能検査と一部重複する認知機能の評価も含みますが、それ以外にも姿勢・運動の発達や言語・社会性の発達など幅広い領域にわたって評価をします。検査結果は発達年齢(Developmental Age:DA)や発達指数(Developmental Quotient:DQ)で示されます。検査結果の見方や準備するもの、心構えなど新版K式発達検査のギモンを専門家が解説!Q:新版K式発達検査を受けるにあたって、準備するものや心構えなどはありますか?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンQ:新版K式発達検査を受けたのですが、検査結果の見方などが知りたいですUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年07月27日入学する前に常同行動について確認すると……長男は、同じ直線をお気に入りのものを持って行ったり来たりする常同行動を幼稚園でも頻繁にしていました。小学校でもするかもしれないと思った私は長男に、とんがったものや長いものを持って走らないこと、廊下や教室で走らないこと、休み時間に外で走ることなどを入学前に話しました。もともと幼稚園でも邪魔になるような場所でやったり、トラブルになったことはないのですが、小学校だとまた環境が違うので一応話しておこうと思いました。しかし、それを聞いた長男の反応は予想外でした。「知らない人ばかりで人の目も気になるし、変なやつだと思われたくないから常同行動はやらない」と言ったのです。長男なりにいろいろと考えているのだと驚きました。そして本当にやっていない様子でした。Upload By ねこじまいもみ 小学校も数日で登校渋りに 入学してから数日、順調に登校していましたがすぐに登校渋りになりました。理由は「楽しくない」と最初は漠然としていましたが、後々音がうるさいこと、友達ができないこと、窮屈であることなど少し具体的に教えてくれました。また、常同行動を自分の意思でやっていなかったのですが、やはりその衝動的な行動を無理やり抑えているのもあり、学校では思うように走れないことや常同行動の時に手に持っているお気に入りのものを学校へは持っていけないことも理由として話してくれました。入学したばかりだし幼稚園とのギャップもたくさんあるだろうし、こういったこともだんだん慣れていくことなのか、そういう問題ではないのか私は悩みました。どうしても無理な時は休ませていたのですが、その様子を見た夫も行かないとますますなじめなくなるんじゃないかと心配していました。しかし休めばまた次の日行ける様子だったので、しばらく休みを挟みながら様子を見ることにしました。Upload By ねこじまいもみ長女もかつて登校渋りだったが長男とは理由が違う休みたがる長男に比較的冷静に対応できたのは、2つ上の長女も1年生の時に登校渋りだった経験があったからです。長女の場合は母子分離不安で長男とは少し違いますが、月日と共に成長していく長女の様子を見ていたのもあり、1年生になったばかりは不安も多いのでできるだけ寄り添っていこうと長男に余裕が持てたのもその経験からでした。しかし長女の場合は母子登校すれば行ける様子だったのですが、長男は朝から泣いて暴れて登校を拒否していました。長女で登校渋りを経験しているとはいえ、一筋縄ではいかないまた違った長男の登校渋りは心構えがあってもなかなか大変でした。Upload By ねこじまいもみ体育の時間に「変な子」と言われて…そんな中長男がますます行きたくなくなる出来事がありました。体育の時にクラスの子に「変な子」と言われて砂をかけられたと泣きながら帰ってきた日がありました。長男はその子に何もした覚えはなく心当たりがない様子でした。長男の話をよくよく聞くと長男は体育の整列の時、普通に並んでいたつもりだったけどその場所が違っておりそれに気づいた女の子がそう言ってきたのではないかと私は予想しました。長男は、当時順番を覚えたり列にならぶことが苦手でした。保育園や幼稚園、習い事でもその様子を見たことがありました。並んでいても気づいたら列からはみ出ていたり全然違うところに行ってしまったり。その一件からますます学校を拒否するようになり、悩んだ末に担任の先生に相談しました。先生は、相手の子と話す機会を設けてくださり和解することができました。やはり原因はきちんと並んでいなかったことでした。先生は「こちらが簡単にできると思い込んでいることも、そうではない場合もあると大変勉強になりました」とおっしゃってくださり、体育の時ビブスを着て色と番号で並ぶ場所が分かりやすくなるように対策してくださいました。直接長男本人とも話してくださり、また長男は登校することができました。本当に当時の先生には感謝の気持ちでいっぱいです。Upload By ねこじまいもみほかにも、長男が休み時間1人で過ごしており机のまわりをずっとぐるぐるまわっていると長女から聞いたり、友達ができる気がしない、「友達って何?」と口にしたり、みんなの声で先生の話が聞き取れず先生が何を言っていたか覚えていない場面が多々あったり、本当に心配の尽きない日々でした。甘えなのかそうでないのか、どこまでが寄り添いなのか、時が経てば慣れて解決していくのか、本当に迷うことばかりで、少しでも何か向き合うヒントになればと発達検査の日を待っていました。執筆/ねこじまいもみ(監修:初川先生より)長男くんの小学校入学後の様子のエピソードをありがとうございます。長男くんは常同行動を学校ではしないと言い、実際にしなかったり、登校渋りを呈してからもその理由を家庭で話せていてすごいなと感じました。自分のことをある程度分かっているからこそ、うまくできないことはさぞつらかったろうと思いますし、集団の中にいるだけでさまざま緊張しているだろうにそこで同級生からの刺さる発言をされたこともとても悲しかっただろうと思います。いもみさんは長女さんでの渋りの経験もあり、慣れるのには時間がかかるだろうと登校渋りを大らかに捉えてくださいました。焦って無理に行かせてもいいことはないので、大らかに捉えてくださったことは長男君にとっても、よかったと思います。体育の一件を経て「悩んだ末に担任の先生に相談した」とのことですが、普段学校でスクールカウンセラーとして働く私からすると、もっと早くお知らせしてほしかったとも感じます。教室にいる子どもたちが、どんな思いでその場にいるのかということは集団生活の中だと見えにくいものです。登校をめぐって実は行きたくない気持ちが強い、教室の音がうるさく感じている。そうしたことはお子さん本人が担任の先生に言えれば伝わりますが、案外学校の中で先生とお子さんが個別に話す場面も少ないと思います。そうした場合、家庭からそのような様子や言動について、連絡帳や電話などで知らせていただいたり、面談を設定してお話できたりするとそういった面を担任側が知ることができ、さまざま手立てを講じたり、工夫や予防をしたりできることもあるだろうと感じます。基本的には、担任はじめ学校の職員はみな、子どもたちが学校で健やかに過ごし、学習や集団での活動を通して成長できることを願っています。学級の中でどこまでできるかはケースバイケースではありますが、お子さんがどんな思いで教室にいるのか、家庭でどんなふうに学校のことを話しているのか。そうした面を共有しながら、お子さんにとって過ごしやすい環境調整をすり合わせていけたらと思いました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月26日マンガ「発達障害の子どもと私たち」1章はるき編が完結!発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたストーリー・マンガ「発達障害の子どもと私たち」。この物語の主人公は、発達障害のある子ども、そして彼らを育てる保護者たちです。子どもたちと保護者は、幸せに暮らすことができる環境を迷いながら求め続けます。それを乗り越えるため、それぞれが選んだ道は――。プロローグはこちらからご覧いただけます。はるきは3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。小学2年生まで元気に学校へ通っていましたが、運動会が終わった5月の下旬頃から「学校を休みたい」というようになって……。母親は発達障害の勉強をしていて理解はあるのですが、完全な不登校となったらどうしようという気持ちもあるようです。なぜはるきは学校へ行けなくなってしまったのか。はるきの気持ち、そして保護者の決断は……?学校へ行くとさみしくて涙がでてしまう……。不登校トラブルに悩む「はるき編」を完結まで一気読みはるき編全4話は現在公開中です!以下関連記事からぜひご覧ください。そして2章みき編、8月中旬から連載スタートそしてもう一人主人公・みき編が8月中旬から連載スタートします。小学4年生のみきは、5歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。小学校では通常学級に在籍していたのですが、小学3年生から勉強が難しくなり、そして今4年生では――。また、みき編の完結後は、はるきのその後についてもお届けいたします。お楽しみに。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月25日発達障害グレーゾーンの次男、通常学級へ?わが家には、3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた長男けんと、そして、病院の先生に「ASD(自閉スペクトラム症)の診断がつくか、つかないかの境界付近」と言われたことがある発達障害グレーゾーンの次男ゆうきがいます。長男けんとは現在、小学3年生。特別支援学級の情緒クラスに在籍。次男ゆうきは現在、小学1年生。通常学級に在籍しています。次男ゆうきは発語が遅く、2歳から発達支援施設に通い出しました。3歳の誕生日頃に話したいスイッチがオン。言葉が出始めたら一気に出ました。1人遊びばかりでしたが、集団行動はできており、こども園での友達とのトラブルは特にありませんでした。ただ、負けることや、間違えることを極度に嫌がり、負けてパニックを起こすことがありました。発達障害グレーゾーンの次男ゆうきの就学について……なぜ通常学級にしたのか、どのように決定したのかを書いていこうと思います。次男ゆうきに合いそう?居住地域の特別支援学級次男ゆうきは、こども園の年中までは1人遊びばかり。コミュニケーション面が心配でした。月に1回受けていた言語訓練で、何か上手くいかないことがあると怒りだし、中断することも。Upload By ゆきみ私の住んでいる地域では、特別支援学級に在籍した場合、基本的な活動と国語、算数の時間は特別支援学級で過ごし、そのほかの教科(生活、図工、体育、音楽など)の時だけ通常学級の教室へ行き、勉強します。次男ゆうきがこの地域の特別支援学級に合っているのか?ということが心配だったので、2歳から通っている言語訓練のSTの先生や、こども園の放課後に通っていた発達支援施設の先生などに年中の頃から就学について相談させていただきました。いろいろなことを考慮し、年中の時点では特別支援学級か通級指導教室の利用、どちらかで考えようと思っていました。年長の夏、就学に向けて発達検査をすることにUpload By ゆきみ年長の夏。STの先生とのお話しの中で、就学に向けて発達検査をすることになりました。検査当日。間違えることを極度に嫌がる次男ゆうきは、問題の回答の仕方が理解できなかったり、決められた時間内でできない問題があったことへの不満が爆発。パニックになり、検査を中断。日を改めて、もう1度だけチャレンジすることになりました。2度目の挑戦で、何とか最後まで受けられたものの、先生には「発達検査の点数には出てこない、特性的な難しさがある」と指摘を受けました。そして検査結果で数値が高い項目と低い項目との間に大きな差があることが判明。特に、「耳からの情報を一時的に記憶する」というのが苦手とのこと。「言葉を聞いて、頭で内容をイメージすることが難しい可能性がある」と、教えていただきました。Upload By ゆきみ年長での変化そして就学相談で感じたことUpload By ゆきみ年長になってから、次男ゆうきの様子に変化が。お友達と楽しそうに遊ぶようになり、家でもお友達の名前が出てくるようになりました。言語訓練で上手くできず、怒って中断することも、ほぼなくなりました。年長の1年間で成長を感じる場面がとても多くなったのです。そして9月。発達検査の結果を持って、市が行っている就学相談に行きました。個人的な希望としては、次男ゆうきの場合は基本的な活動は通常学級で過ごし、何かパニックを起こしたり、静かな環境に身をおきたい時は特別支援学級で過ごせたらいいのにな……と思っていました。しかし、その子1人ずつの希望ピッタリの環境をつくることは、私の住んでいる地域の学校では難しいのだと就学相談の際に感じました。通級指導教室について伺うと、就学前は受け付けておらず、入学後に担任の先生と相談して通級指導教室を利用する希望を出してくださいとのこと。住んでいる地域では、入学時は特別支援学級か通常学級のどちらかを選択するということだったようです(地域によって違うようです)。兄弟で同じクラス?容易に想像できた姿は……わが家の場合、もう1つ大きな問題を抱えていました。とても小規模な小学校なので、次男ゆうきが特別支援学級を希望した場合、長男けんとと同じクラスになる可能性が極めて高いというところです(実際、今年度は特別支援学級の情緒クラスは全校で1クラスだけだったので、同じクラスになっていたはずです)。Upload By ゆきみ同じクラスになった場合、間違いなく2人で遊ぶ、気が散る、ケンカをするという姿が容易に想像できました。長男けんとにとっても集中しづらい環境になってしまいます。次男ゆうきが年長で友達と遊んだり、こども園や発達支援施設でも安定して過ごし、集団行動ができていたこと。長男けんとと同じクラスになる可能性の高さ……いろいろなことを考慮して、秋ごろにゆうきは通常学級に通うことを決めました。入学後は保育所等訪問支援とも連携し、学校での様子をうかがっているので、今後も引き続き見守っていきたいと思っています。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)次男ゆうきくんの就学先を決めるプロセスのシェアをありがとうございます。お子さんが年中さん頃から、小学校の就学形態を検討される方もいらっしゃいますね(年長になってから検討しても間に合いますのでご安心を)。年中、年長それぞれの1年間で子どもの発達はめざましいものがあります。ゆうきくんは一人遊びばかりで集団遊びが苦手だったとのことですが、できるようになったり。間違えることに強い拒否感を示すところが和らいできたり。お子さんの様子はどんどん変化します。そういう意味では、早めに決めきるのではなく、このままこの苦手さがあまり改善されなかったらこうしよう、でももう少し様子を見て年中の秋冬ごろに決めようというスタンスで良いかと思います。ただ、就学相談そのものには時期が決まっているので、締め切りの時期よりも早めにお申込みされることをおすすめします(締め切りごろだと混み合うことがあります)。通級指導教室に関しての運用は自治体によって異なります。入学時からの利用ができるところもありますので就学相談等でそのあたりもご確認ください。通常学級に入学した場合、発達的なつまずきや集団生活の苦手さが想定されるお子さんの場合、保護者の方は、「うちの子、うまくやれているかなぁ」と心配になることも多いと思います。ゆきみさんは保育所等訪問支援(保護者の依頼で、発達支援事業所や放課後等デイサービスの事業所が訪問し観察してくれる支援)を利用されているようですが、ほかにも担任やスクールカウンセラーに相談する、(全体を統括されている)特別支援コーディネーターの先生に相談する(自治体で活用できる心理職の申請等ができるかもしれません)など、お子さんの学校での様子を見ていただいた上で相談できる方はいらっしゃると思います。さまざまなリソースを活用しながらお子さんの学校生活を見守れると良いと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月24日「インクルーシブ教育」を推進するための指針を、教育リーダーズから学ぶ。2022(令和4)年に国連から日本へと推進が通達されたこともあり、昨今大きな注目を集めている「インクルーシブ教育」。インクルーシブ教育とは、文部科学省で下記のように定義されています。「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、署名時仮訳:包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。障害のある子もそうでない子も、共に学ぶための仕組みづくり。しかし実際の市区町村、学校教育の現場では、対応のノウハウが欠如していたり、人員が足りなかったり、チームの目線が合わなかったりと、推進が難しい現状もあるという声も散見されています。そのような中でも、すでに全国でインクルーシブ教育を先駆けて推進している人たちがいます。彼らはインクルーシブ教育をどのように捉え、何を考え、推進を実現してきたのでしょうか?この連載では、そのような彼らを「教育リーダーズ」と位置付け、その言葉に耳を傾けることで推進のヒントとなる“指針のカケラ”を集めていきたいと思っています。第三回は、東京都日野市教育委員会の教育長である、堀川拓郎氏にお話を伺いました。Upload By 発達ナビ編集部プロフィール堀川拓郎氏1987(昭和62)年生まれ。 東京大学法学部、米 コロンビア大学教育大学院卒業。 2010(平成22)年文部科学省入省。 初等中等教育局 教育課程課係長、幼児教育課専門官、 スポーツ庁オリパラ課専門官、初等中等教育企画課専門官、教育 DX推進室室長補佐等を経て2022(令和4)年から現職。Upload By 発達ナビ編集部全員が主体的に取り組むことができるよう対話を重ねるーー本日はよろしくお願いいたします。日野市の教育をリードする立場にある堀川さんですが、まずはご自身の教育に対してのお考えの原体験にあるものを教えていただけますでしょうか。原体験で言うと、あれは今からちょうど10年ほど前に、アメリカのコロンビア大学に留学して教育工学を学んでいた時の話です。学校の先生たちが日々実践していることを持ち寄って、自分たちで研修をつくるというプログラムに出合ったのですが、そこで大きな衝撃を受けました。というのも、先生たちがこんなに良い顔をするんだって驚くほど、そのプログラムにみんなワクワクしながら参加していたんです。Upload By 発達ナビ編集部ーー先生たちから能動的でポジティブなエネルギーを感じたと。そうなんです。研修が終わって帰るときには、明日から学校で実践するのが楽しみだとうれしそうに話していて。やらされるのではなくて、自分からこれをやりたいという人たちが集まってモチベートし合いながら学ぶことで、こんなにも希望が生まれるのかと感じました。挑戦する先生がどんどん増えていくこと、そして挑戦する先生が称賛される社会をつくっていくことが、教育にとって不可欠である。そのことに実感として気付いたんです。ーー今のご自身の教育観にもつながっていますか?はい、私自身強い意志を持って教育委員会という立場にいるつもりですが、一律に型にはめるということではなく、それぞれの学校と先生と子どもにとっての「やりたい」を尊重し応援することを大切にしたいと常に思っています。そしてその気持ちがしっかりと現場にも伝わって、現場に自身の挑戦を応援されていると心底感じてもらえる状態まで持っていきたいと考えています。ーー思い描くだけではなく、現場への浸透までがやはり大切であると。そうですね。今日も明日も学校に行きますが、教育委員会は先生たちの挑戦を常に応援しているというメッセージを伝え続けています。日野市の教育の大方針として、先生や子どもたち全員が関わって学校教育基本構想をつくり、2024(令和6)年4月に公表しました。第一に、市や学校を含め、みんながプロジェクトベースで学校教育を前に進めていくこと。第二に、構想の中に多くのプロジェクトが位置付けられている中で、それぞれの学校が取り組みたいものを主体的に選ぶ形をとっていることが特徴です。全部の取組を全部の学校でやろうとしても無理なので、学校ごとの文脈や問題意識を踏まえて、色とりどりの学校づくりを進めています。Upload By 発達ナビ編集部ーー具体的にはどのようなプロジェクト活動があるのでしょうか。例えば、「子どもたちがつくる学校プロジェクト」というものがあります。これは委員会活動や学年・学級の活動などを中心に「やらされる」ではなく、より良い学校に向けて自分たちが提案し、自分たちでつくっていくというものです。他にも、運動会や音楽会、学年の枠を超えた活動や修学旅行のプログラムを自分たちでつくったり、SDGsに関するプレゼン大会を企画したり、時に各教科での学びと絡めながら、主体的に取り組んでいます。教育委員会としても、各学校のプロジェクトを支援するために、特色ある学校づくりに対して手挙げ制で応募を募って審査をして予算をつけることもしています。私たちが各学校の挑戦を応援することで、各校の新しい挑戦へのモチベーションにつながり、良い循環を生み出す環境をつくっていきたいと考えています。教育の現場にある既存の枠を一つひとつ外していくーー教育委員長として、普段から特に意識していることはありますか?特別支援教育を含めた市の教育の根本的な考え方の一つが「一人ひとりに必要なアプローチをすべての子に」です。その本質は裏を返せば、「特別ではない支援教育」を全員に届けていくことだと思っています。特別ではない支援教育を届けていく上で、インクルーシブ教育として既存の「枠」を一つひとつ外していく、ということが極めて重要です。例えば日野市では「かしのきシート」という取り組みがあり、これは0歳から18歳までの子どもの成長の記録や受けたサポート内容(個別の支援計画)を、入園や入学・進学にあたり切れ間なく蓄積し、つないでいく日野市のシステムです。担任の先生や専門職が作成し、保護者の方に確認を取りながら1年ごとに1枚のシートにまとめ、独自の電子システムにより関係者が参照することができます。ーー「かしのきシート」はどのような意図でつくられた仕組みなのでしょうか?これは、障害者総合支援法体系に基づく個別の支援計画、そして学校教育法体系に基づく個別の教育支援計画、就学・進学にあたっての就学支援シートなど数あるシートの間に存在していた「枠」をとり除いて、カルテを一元化しようという取り組みです。学年や教育機関が変わっても、スムーズに一人の成長を見守ることができます。例えば小1の壁、中1ギャップの問題や、公立と私立、学校教育と放課後の分断という視点においても、「枠」を外すことで現場において適切な支援や判断がしやすくなるという意味合いを持っています。「特別支援教育」が必要だからシートを作成するのではなく、子どもの個性や特性について関係機関により良く理解してもらうためにシートをつくる。結果として、文部科学省の調査によれば、通常の学級に在籍する子どものうち、個別の教育支援計画を作成している割合は2022(令和4)年時点で1.6%とされていますが、日野市では小学校で14%、中学校で10%が計画を作成しています。Upload By 発達ナビ編集部ーーなるほど。特別支援学級で取り組まれていることについても教えてください。私自身は「特別支援学級」「通常の学級」という表現自体が変わっていくことが大切だと思っています。。「通常」という言葉を使うことで「通常」という枠をつくってしまわないか。例えば、少人数学級と一般学級でもよいのではないか。日野市では、特別支援学級かどうかにかかわらず、誰にとっても困りごとの少ない授業が実現できる学校環境をつくる、授業のユニバーサルデザイン(授業UD)に取り組んでいます。その理解を促進するために研修会を実施するのですが、現在では教育委員会が年間28回の特別支援教育に関する研修会を開催しています。昨年度から全ての先生を対象に希望者が誰でも参加できる形にして、開かれた形で困りごとの少ない授業の実現を目指しています。ーー日野市ではさまざまな形でインクルーシブ教育に取り組まれているのですね。これらのベースとして「ひのスタンダード」という取組の方向付けをしているんです。ごく簡単に言えば、チェックリストをつくり、学習面でのつまづきや、教室でじっとしていることが難しいなどの、子どもたちの日々の困りごとをできるだけ少なくする学習環境をつくろう、というものです。障害の有無に留まらず、多様性あふれる教室という場が、みんなにとって困りにくい環境であることはとても大切なことで、実現のために2つのアプローチで日野市では取り組みを進めています。ーーどのようなアプローチでしょうか?まずは共通の基盤となる環境を整えること、そしてその上で個別に必要なサポートの手立てを充実させていくことです。みんなが困りにくい環境をベースとすることで、先生や子どもたちがゆとりを持って個別の対応へと進んでいくことができます。場や時間の構造化を含めた授業UDがあり、校内委員会を含めた学校の環境があり、行政による複層的な支援策を含めた地域の環境がある。その全ての方向付けを、日野市の教育に関わる人がみんなで議論しながらつくってきたということがポイントだと思っています。日野の教職員全員が作成に関わった「ひのスタンダード」について、みんなが腹落ちをして取り組めることが、主体的な挑戦のための大切なポイントなのではないでしょうか。Upload By 発達ナビ編集部ーー「ひのスタンダード」はどのように浸透と改善をしているのでしょうか?この「ひのスタンダード」は300ページに及ぶ一冊の本としてまとめられていて、各学校に置いてあります。理解を浸透させるための研修会も必ず開催をし、各校で目線合わせをするようにしています。その上での課題として、時間が経つにつれて形骸化することはどうしても起こってしまいます。直近では、改めてチェックリスト項目の精査を行いました。教育委員会が決めたことをトップダウンで現場に下ろすのではなく、現場を含めた関係者みんなで考える、ということに日野市の特徴があるのではと考えています。ーー改善を繰り返す中でも、本質がぶれないようにするために大切なことはどのようなことですか?自治体の中だけでガラパゴス化しないよう、国全体の動きや学術的な視点も取り入れながら、開かれた視野を持って進めていくことを心掛けています。最終的に、現場にとってより価値のあるものになっているか、が何より大切だと思います。また日野市では、インクルーシブな教育環境の一環として、福祉と教育の「枠」を外すことにも取り組んでいます。日野市では発達・教育支援センター「エール」を設置しており、心理士やスクールソーシャルワーカー(SSW)だけでなく、保健師や保育士、ST、OT、看護師など、多様な専門職が1か所にいて、子どもの発達や育ちについて教育や福祉の垣根を超えて考えています。保護者の方にとって、学校と福祉の「枠」を感じることなく、ワンストップであらゆる相談ができ、適切な支援を得られるという環境づくりを進めています。Upload By 発達ナビ編集部最後はやっぱり、子どもたちがインクルーシブな学校づくりの主人公ーー多くの自治体でも課題としてフォーカスされている、不登校のお子さんについてはいかがですか?不登校については、すべての子どもに質の高い学びへのアクセスを保障する、という理念のもと、子どもの状況に合わせた複層的な選択肢を準備しています。日野市としても力を入れていて、予算で言えば前年度比で172%増となっています。特徴的な取組としては、全国で行われている教育支援センターや小中学校における校内登校支援教室の取組の充実に加え、中学校の中に、不登校の生徒を対象にした少人数学級である「チャレンジクラス」という学級を今年度から新たに開設しました。これは、東京都から6名の教員の追加配置を受け、教育課程に基づき日々授業を行う「校内分教室」であり、市と都がタッグを組んで取り組む新しい試みです。加えて、この5月には母子保健と子ども政策の担当部門を一元化した子ども包括支援センター「みらいく」がオープンし、施設内に中高生専用の居場所を開設しました。教育委員会だけでなく、子ども政策や福祉政策、民間の取組を含め、子どもたちの居場所の選択肢が街の中に増えてきています。オンラインの活用も含め、枠を一つずつ取り外しながら、その子にあった安心できる環境で、つながりを持ち、学びに向き合えるようにしていくことが重要です。Upload By 発達ナビ編集部ーーさまざま取り組まれているのですね。他にも新しい取り組みとして、経験豊富な元校長先生を今年度から「教育支援コーディネーター」として配置して、各学校の一人ひとりの出席状況を細やかに確認し状況をフォローし、スクールソーシャルワーカー(SSW)などのスタッフと連動した個別支援のサポートや、学校とフリースクールの連携促進の取組も始めました。挙げればキリがないのですが、他にもNPO法人と連携した不登校に関わるスタッフ研修の仕組みづくりや、保護者同士の繋がりを生む仕組みづくりなど、さまざまなアプローチで取組を進めているところです。ーー取り組みに対しての手応えはありますか?例えば、ある中学生の生徒が校門から中に入れないという状況から、1年経って学校に入ってきて給食を食べられるようになった、と。そんな話を先生方からたくさん聞いています。課題は大きいですが、同時にいかに学校現場が一人ひとりを大切に取り組んでいるかを感じています。ーーインクルーシブ教育が、言葉だけではなくて実践されている。現場の強い思いを感じます。教育委員会としても「インクルージョン」を学校教育基本構想の中で最上位の姿の一つとして位置付けていますが、インクルーシブな学びをつくるのは誰かと考えたときに、最後はやっぱり子どもたちなんだということが、非常に大きなポイントだと思っています。Upload By 発達ナビ編集部ーーなぜそう思われたのでしょうか?非常に印象的だったのが、市内の小学校と特別支援学校との交流および共同学習の中であった、3連フラフープという、小学生の子ども2人の間に特別支援学校の子ども1人が挟まって取り組むという競技での光景です。特別支援学校ではなく、ある市立小の子どもがどうしてもフラフープの輪に入ることができなかったのですが、みんなでサポートしながら最後にはゴールすることができました。その時に、歓声をあげたり拍手が起こったり、その子が達成できたことに対してみんなが称え合う姿、これこそがインクルーシブな学びが実現している姿だと感じたんです。やはり最後は、子どもたちがインクルーシブな環境をつくっていくんだと強く感じました。ーーLITALICOのソフトも導入していただいています。LITALICOの教育ソフトを導入したいと考えた意図としては、個別の教育支援計画や指導計画である「かしのきシート」の質を高めていく力になると考えたことです。もう一つは、さまざまな教材を子どもの特性や必要性に応じて選べるような環境をつくることで、先生の働き方改革につなげることや、アセスメントによって子どもたちの理解を深めていくことが狙いとしてありました。実際に活用してみた中では、教材をゼロから自分でつくるのではなくて選べることで、働き方の改善につながったという声や、保護者を含めたニーズの把握に生きているとの声も聞いています。Upload By 発達ナビ編集部ーー最後に、これから教育長が目指すインクルーシブ教育の理念について、教えてください。インクルーシブ教育の先には共生社会があって、その共生社会とは、多様性が輝く社会のことだと思います。そこに向かう道のりとしてインクルーシブ教育があるとすれば、それは多様な個性が輝く学びの場、それをつくる営みなんだろうと。そしてそれは、多様な個性が輝く教室をつくっていくということでもあるのだろうと思っています。その中で、全員がこの共生社会をつくっていく主体なんだということ、多様性が輝く場をつくることに貢献することは、全員に開かれた権利なんだということが、非常に大きなポイントです。これは先生たちだけが進めていくでもなく、教育委員会だけが進めていくでもなくて、全員が進めていくことなんだと。全員に対して開かれているということは、それはとても素敵な権利の一つなんじゃないかなとも思うんです。当然、教育委員会にしかできない仕事もあるし、先生にしかできない役割もあるし、子どもたちにしかできないこともある。全員で枠を一つずつ外しながら、インクルーシブに取り組んでいきたいです。Upload By 発達ナビ編集部この連載を重ねることで、インクルーシブ教育推進のためのヒントを集めていきます。堀川さんは明確なビジョンを示しつつ、現場の声を何よりも尊重し、双方の視点を持ってリーダーシップを発揮されています。その姿勢こそが、全員が主体的に関わる事例としての日野市をつくっているのだと感じます。これから全国の教育リーダーズの話を取材し、皆さんにお伝えしていきます。インクルーシブ教育の取り組みを知ることで指針を集め、今まさに実践されている、実践しようとしている方のヒントになりますように。ここまで読んでいただきありがとうございました。
2024年07月24日幼稚園入園後、気になった長男の様子3歳で発語なし、指差しもなし。泣く、怒る以外で唯一できる発信は「ちょうだい」のアクションのみの長男りーでしたが、無事に幼稚園へ入園しました。入園当初はさみしくて泣いてしまう子どもが多いという話をよく聞いていたので、りーもそんなふうになるのかなあと思っていたのですが、そういったことも一切なく、されるがまま、いつも通りのりーでした。母は少しさみしかったです……(笑)。Upload By かし りりあ幼稚園では加配の先生がつき、常にりーと一緒にいてくれました。りーが疲れた時には抱っこしてくれたり、りーがうれしそうにしている時には一緒に飛び跳ねてくれたりと、言葉で表現することができないりーの気持ちを受け止め、違う方法で表してくれました。親以外にはクールな表情が多かったりーでしたが、幼稚園に通ううちに、いろいろな人に明るい表情を見せるようになりました。幼稚園で制作をする時には、りーの状態を見て、場合によってはカンタンなもの(クレヨンで顔を描く→りーは顔を丸シールで貼るなど)に変えてくれました。また、お手製のパーテーションを用意してくれ、りーにじっくり伝えたい時にはそこへ誘導するなど、りーに応じた対応をしてくれました。幼稚園に通ううちに、困りごとが徐々に増えてきて……Upload By かし りりあこのように幼稚園ではとても丁寧な対応をしてくださったのですが、困ったこともありました。幼稚園では給食がありましたが、野菜嫌いのりーは残すことが多くありました。家でも野菜はほとんど手をつけないりー。食べさせようとすると寝転がって泣き、拒否するため、無理強いはせずに家へ帰ってからおやつを多めに食べさせる、野菜ジュースを飲ませるなどしていきました。Upload By かし りりあまたある時は、園からの電話で、りーが園庭から抜け出すということを聞きました。勢いよく飛び出るということではなく、ふらーっと出ていき、気づいたら園庭そばの駐車場にいたようです。先生は申し訳なさそうに伝えてくれましたが、こちらのほうが申し訳なく感じました。Upload By かし りりあそして、幼稚園の行事への参加も、私にとっては気が重いものでした。子どもたちが座っている中、りーは先生に抱っこされながらもぐにゃぐにゃとしていて、静かにする場面で声をあげてしまいます。心なしか、りーのクラスも次第ににぎやかになってしまっているような気がして、「これってうちの子がクラスの子たちへ良い影響を与えていないのではないか……」と思い悩むときもありました。幼稚園に通って一年。このままでいいのかと悩むように……幼稚園に通い始めて約1年がたち、幼稚園の先生との面談がありました。そこで、進級することで特別活動が始まること、りーには難しいと幼稚園が判断した時には一緒の活動ができなくなってしまうかもしれないこと、その時には下の年齢との活動をすることになるかもしれないことを伝えられました。りーは環境に慣れ、友達も優しく接してくれる。しかしりーにとって幼稚園で過ごすことは良いことなのか考えるようになりました。当時次男のかーの妊娠出産もあり、りーの育児や対応に専念できずに申し訳ない気持ちになっていました。そうして思い悩んでいた頃、児童発達支援施設での面談がありました。そこで私から話す前に先生からある提案を受けました。Upload By かし りりあそれは幼稚園から療育園への転園の提案でした。私たち家族にとって大きな変化となった療育園への転園については、また別の機会に書かせていただきます。執筆/かしりりあ(監修:鈴木先生より)お住まいの市町村で違いはありますが、3歳時点で発語がない場合、一般的には3歳児健診で難聴を否定するためにABR検査を勧めます。さらに、幼稚園ではなく療育園を勧める場合も多いと思います。今回のコラムでは、りーさんに専属で加配の先生がつきましたが、発語のないお子さんを幼稚園でみるのには人的な限界があるからです。そして、加配の方とどういうコミュニケーションツールを用いたかは記載されていませんが、発語のないお子さんに対するコミュニケーションツールの一つとして私は絵カードの利用をお勧めしています。これは日本語が分からない外国人のお子さんに対しても有効な手段です。これからは、幼稚園ー療育園ー小学校とどう連携していくかが重要になってきます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月23日LITALICOジュニアスタンダードコースってどんなところ?スタンダードコースは、通所受給者証を使って通うコースで、児童発達支援と放課後等デイサービスの2種類があります。児童発達支援は0歳から年長のお子さま、放課後等デイサービスは小学1年生から高校3年生のお子さまが対象です。スタンダードコースでは、約10人の子どもたちが集団で過ごす場と個別指導を組み合わせ、合計3時間程度の支援を行っています。(※)体験授業では、豊富な知識や経験に基づき、一人ひとりに合わせて楽しく学べるような工夫がされた授業を実際に体験できます。※お子さまの状況やニーズに応じて1.5時間などでの支援提供もしております。詳しくはお問い合せ時におたずねください体験授業を受けてくれるBくんのプロフィールUpload By 発達ナビ編集部今回体験授業を受けるのは、保育園に通う5歳の男の子Bくんです。保育園で友達に手を出してしまうことがあり、「友達と仲良く過ごせるようになってほしい」というご両親の願いから、LITALICOジュニアスタンダードコース・児童発達支援の体験に参加しました。事前にお母さまにお話を伺いました。「Bは手が出てしまうこと以外にも、眠くなると怒りっぽくなったり、落ち着きがないところもあるんです」LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業では具体的にどんなことを体験できるのか、Bくんの1日体験の様子をご紹介します。丁寧なヒアリングでお悩み相談しながら困りの整理ができる!体験授業を申し込むと教室から電話があり、体験授業の内容やその後の流れについて説明があります。その後、お子さまの困りごとを先生が丁寧にヒアリングします(教室やご状況によって、当日行われる場合もあります)。「好きなことがたくさんあって素敵ですね!注意が逸れやすいのは、興味の幅が広いということも関係してるかもしれませんね」「お母さまに手が出やすいのも、お母さまやお家が安心できる場だからこその行動なのかなと思いました。お母さまが汲み取ってくれるからBくんも安心できるんでしょうね」などお子さまのいい面をしっかり分析しているのも印象的でした。お母さまに事前の面談について、感想を聞いてみました。「先生がいろんな視点から質問してくださって、質問の内容もとても的確で、あ、そういえばそうだなと答えながら思うこともたくさんありました」「いろんなお子さまを見てきたから分かるんだろうなと、先生の専門性の高さを感じました。とにかく話していてとても安心感がありました」先生にも、事前の面談でどんなことをヒアリングされているのか聞いてみました。「困りごとは同じでも、その要因はお子さまによってそれぞれです。ですので、より細かくお話を聞きながら、考えられるたくさんの要因のうち、お子さまの困難さはどこにあるのか、困りごとの根底にある要因を見立てていきます」「お子さまはこういう様子がありそうなので、体験ではこういうところを見ていきましょう」というように体験授業で見るべきポイントを提示してもらえるので、お母さまも一緒の目線で体験授業を見られるところもいいですね。Upload By 発達ナビ編集部体験授業では、LITALICOジュニア川崎駅前教室を訪問しました。教室は明るくカラフルで、子どもたちの賑やかな声が聞こえてきます。お母さまと教室にやってきたBくん。数日前まで風邪をひいていたこともあり、体調が万全ではないとのこと。お母さまと離れるのが難しく、予定していた集団授業のお部屋に入ることができません。そこで、先生はタブレットで集団のお部屋の様子を見ることを提案。「ここでお友達がどんなことしてるか見られるんだよ」とタブレットを見せると興味津々のBくん。徐々に笑顔が見られました。先生とほかの教室を一緒に探検したり、好きなもののお話をしていくうちに、Bくんは先生とすっかり打ち解けていました。集団授業に入って体験を受けられる予定でしたが、予定を変更し、このまま個別で行われることに。最初お母さまと離れることが難しかったBくんも、先生と2人でお部屋で過ごすことができました!先生から好きなものを聞かれると答えたり、「これはどうかな?」「こうやってあそぼう!」と自分からもたくさんお話しする姿がみられました。Upload By 発達ナビ編集部このように、お子さまの状況に合わせて、体験できるのは安心ですね。最初はお母さまと離れるのも難しそうだったBくんがここまで楽しそうに過ごせたのはなぜなのか、先生に伺いました。「体験授業は、お子さまのご様子をみて、必要に応じて形を変えて行うこともあります。それは、まずはお子さまに楽しかったなと思ってもらうことを目的にしているからです。そのために、お子さまの興味がありそうなおもちゃを用意したり、お子さまが興味をもたれたものは積極的に共感したりしながら、まずは『楽しい場所だ!』『褒めてくれる人だ!』と思ってもらえるような関わりを意識しています」Upload By 発達ナビ編集部また、Bくんとあそびながらも、Bくんの得意不得意や事前の見立てがあっているかなどを見ながら授業をしていたという先生。先生は具体的にどんなことをされていたのでしょうか。「隣の部屋の音を気にしていたり、先生の持っているシートのにおいを気にしたりしている様子から、もしかしたら感覚の過敏さがあるのかもしれないなと思いました」「また、力いっぱいおもちゃを押す様子があったので、力のコントロールに苦手さがあるのかなと感じたので、『そっと押すとうまくできるよ』と声をかけると、上手に力をコントロールできていました。このように、お子さまの困りごとはどんなところにあるのか、どういう声かけをしたら解消できそうかを考えながら接していました」お子さまも楽しく過ごせている状態で、困りごとの根底にあるもの、どういう支援や関わり方でそれが解消できそうかを専門的な視点で見てもらえるのはうれしいですね。また、先生があそびの中でも、「教えてくれてありがとう」「先生のお話聞いてくれてありがとう」などBくんの一つひとつの行動を見逃さず褒めている姿が印象的でした。※クリックするとLITALICOジュニアのお問い合わせページに遷移しますお子さまの困りの要因や関わり方のアドバイスを教えてもらえる!Upload By 発達ナビ編集部体験中の様子はリアルタイムで視聴でき、体験後には授業中のお子さまの様子や課題の解決方法についてフィードバックがあります。Bくんの体験授業について、先生からは「人も場所もはじめてのところで見通しが立っていなかった中、2、30分でこれだけ慣れることができたので、事前に情報が分かるとBくんのいいところがたくさん発揮できるかもしれないですね」とお話が。的確なアドバイスをしてくれる先生に、お母さまから就学に向けての相談も。「園での様子があまり分からないんですが、手が出てしまうという話は聞いているので、小学校入学に向けて今のままで大丈夫か心配で……」先生からは「通う小学校を事前に見ておいたり、学校の先生と面談をしておくと、どんなことをするところかが分かって安心して通えるかもしれないですね」とアドバイス。また、「園の様子が分からないと不安ですよね。LITALICOジュニアでは保育所等訪問支援を行っているので、指導員が園を訪問してお子さまの様子を見てお母さまに共有したり、LITALICOジュニアでうまくいった方法を園の先生と共有したり、連携することもできるので、一緒に活用されるのもおすすめです」と、実際のサービスを使ったときのイメージがわくような説明も。体験授業のあとにどんなお話をされているのか先生からもお話を伺いました。「体験授業後は授業の振り返りとともに、どういうスキルを獲得すれば過ごしやすくなるかといった個の側面と、どんなふうに環境面を整えてあげれば過ごしやすくなるかといった環境の側面のそれぞれで、LITALICOジュニアではどんなアプローチができそうかといったことをお話ししています」Upload By 発達ナビ編集部体験授業後、お母さまにお話を伺いました。「とにかく褒めて、とにかく居心地のいい居場所をつくることに全力を尽くしてくれる先生がいるという安心感がありました。園で怒られて、家でもうまくいかなかった日も、ここでは絶対に褒めてもらえるということが、子どもの力になるんじゃないかと思いました。体験授業の1回だけでも、子どもが成功を実感して積み重ねていける『成功体験の場』だと実感できました!」「ほかにも、『感覚の過敏さはありますか?』という質問をされたのですが、まさに聴覚過敏気味なのが気になっていたので、『体験の時間だけで見抜くのがすごい!プロの目ってこういうことだ!』と実感しました」Bくんは体験が終わってからも、「次はいつ行く?」とお母さまにLITALICOジュニアのパンフレットを持ってきてくれるそうです。Bくんが楽しめた様子が伝わってきますね!「子どももとっても楽しかったみたいです。親としては子どもが楽しいというのであれば、じゃあ行こうか!という気持ちになりますね!」とお母さまもお話しされていました。LITALICOジュニアスタンダードコースは、お子さまが楽しみながら学べる場所。教室によってはすぐに体験授業を受けられる場所もあるそうなので、気になった方はまずは問い合わせてみてはいかがでしょうか。先生に聞く!体験授業を受けると何が分かる?Upload By 発達ナビ編集部LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業を受けるとどんなことが分かるのか改めて先生にお伺いしました。「LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業は、実際の集団指導を受けられるので通ってからの様子がイメージしやすいと思います。また、体験授業後には、指導員の視点から見たお子さまの様子をお伝えしているので、お子さまの新たな強みを知ることができるかもしれません」「そして、今後どうすればいいか手立てが分かるので、やるべきことの整理がしやすくなるのも体験をおすすめするポイントですね」Upload By 発達ナビ編集部何をするべきか、今どのステップにいるのかが分かるだけでも体験授業を受ける価値がありそうですね!保護者さまのお話を聞く先生のあたたかい雰囲気がとても印象的ですが、どんな気持ちでご家族を迎えられているのか聞いてみました。「保護者さまは、さまざまな困りごとやお悩みがあって相談してくださっていると思うので、まずはその気持ちをしっかり受け止めたいなと思っています。そして、違う側面から見るとお子さまの素敵な強みを知っていただき、お子さまと関わる時のヒントになればいいなと思っています 」「たとえば、園などの集団の中では『できていない』と判断されてしまっても、大人になって広い世界に出たときには、お子さまの強みが発揮されることもあります」「LITALICOジュニアでは、困りごとを解消するために必要なスキルの獲得をサポートしているのと同時に、お子さまの強みを伸ばすことも心がけています。お子さまには強みを伸ばしながら、いずれはお子さま自身が自分のもっている強みを理解して発信できるようになるといいなと思っていますし、保護者さまにもお子さまの強みにあらためて気づいてもらえたらいいなと思っています」お子さまが楽しみながら必要なスキルを獲得できるように、指導員みんなでご家族をサポートしてくれるスタンダードコース。気になった方はまずはお問い合わせしてみるのがおすすめです。LITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業のまとめ教室ではどんな授業を受けられるのか、利用したときの様子をイメージできるLITALICOジュニアスタンダードコースの体験授業。集団生活の中での困りごとや、学習でのつまずきなど、お子さま一人ひとりの課題に合わせて集団指導と個別指導を受けられるスタンダードコースの体験授業であれば、お子さまの困りごとの解決の糸口が見つかるかもしれません!体験授業では、利用するにあたっての疑問点や不安なことも相談することができるので、気になった方は問い合わせてみてはいかがでしょうか。※この記事は、LITALICOジュニアに掲載のコラムの一部を変更し、構成しています※クリックするとLITALICOジュニアのお問い合わせページに遷移します
2024年07月22日