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ASD(自閉スペクトラム症)の特性?複数の指示が伝わらない娘わが家の長女リン(8歳)は小さい時から人見知りをせず、活発な性格の女の子です。3歳半健診の時に指摘を受け、療育センターにて発達検査を受けました。その後、ASD(自閉スペクトラム症)と診断されましたが、当時通っていた幼稚園では特に配慮を受けなくても、ほとんど支障なく過ごせているようでした。ただ少しだけ、これがASD(自閉スペクトラム症)の特性なのかな?と思う出来事もありました。リンが年中の頃のことです。担任の先生との面談で、一斉指示の通りにくさを指摘されました。指示が1つや2つだと問題なくみんなと同じように行動することができるのですが、指示が3つ以上になると、途中で分からなくなってしまう様子が見られるということでした。指示が3つ以上とは、例えば、机の上に出ているハサミとノリを片付けて、ゴミを捨て、お道具箱から粘土を取り出して、粘土と粘土板を持って待ちましょう……のようなものです。みんなが一斉に動き出す中、リンは何からしたらいいのか分からない様子でじっとしていたり、自分で動き出したとしても、やるべきことが抜けていたりなどしていたそうです。3つ以上の指示が通らないことが年齢相応ではないのかどうか、私には分かりませんでしたが、そのような状態になっているのは、クラスの中でもリンを含め2〜3人だけとのことでした。Upload By メイその時に、家での様子はどうかと聞かれましたが、私は全く気になっていなかったので少し困惑しました。幼稚園の先生からは「練習のために家でも、3つ以上の指示を出してみてください」と言われましたが、家であえて一度にたくさんの指示を出すという状況をつくるのは難しくもあり、練習はなかなかできませんでした。思い通りにいかないと泣く、勝ち負けへのこだわりもまた、遊びの場面でも気になることがあると指摘されました。幼稚園でみんなと揃って遊ぶとき、リンは自分の思った通りにいかないと、1人で立ち止まってしくしく泣くことがよくあるということでした。例えば鬼ごっこなどで1回もタッチされなかったとか、そういうことです。先生が「人数がたくさんいるからほかにもタッチされていない人もいるんだよ」と話をしても、気持ちを切り替えるのに時間がかかっていたそうです。Upload By メイまた、勝ち負けにもこだわりが強い面があるとのことでした。リンの勝ち負けへのこだわりは、家でもよくみられました。ゲームなどで負けると怒って泣いて、なかなか収まらないのです。あんまり怒るので、家族も本人もストレスになるだろうと思い、わざと負けてあげたほうがいいのかと考えたこともありました。でも、かかりつけの医師に相談したところ、お友達同士だとわざと負けてくれるなどということはないので、家族内でもしないほうがいいとの回答でした。ゲームは勝つこともあれば負けることもある、それも含めて楽しむものなんだと、少しずつ理解していってくれたらいいなと思い、家でもわざと負けることはしないようにしていました。Upload By メイ特別支援学級に就学する?検討した結果小学校の入学が近づくにつれ、リンの就学先について考えるようになりました。長男が通常学級に就学したのち、特別支援学級に転籍したという事情もあり、リンは初めから特別支援学級へ就学するべきかどうか悩みました。幼稚園の先生からは、「指示が通りにくく、周りの子よりゆっくりなことも多いけれど、分からないことがあれば自分から先生に聞いたり、周囲に助けを求めることができるお子さんなので、通常学級に進学しても良いのではないか」と言われました。また、小学校の特別支援学級の先生にも話を聞いてもらい、検討した結果、事前にリンのことを学校に伝えたうえで、まずは通常学級で様子を見ていくことに決めました。現在リンは小学3年生で、入学時と変わらず通常学級に在籍しています。今まで3人の先生に担任をしていただきましたが、面談の時などに学校でのリンの様子を聞いても、どの先生からも特に問題なく日常生活を送れていると言っていただいています。ただ、やはり幼稚園の頃と同じで、生活面でも勉強面でも、周りの子より少しゆっくりな部分があるようです。それでも、リンは何にでも一生懸命取り組むことや仲の良いお友達も多いこと、また前向きな性格だということもあり、今のところ通常学級での生活に心配は感じていません。Upload By メイ苦手な部分もあるリンですが、分からないことは先生に聞いたり、周りの人に助けを求めることができるのは、リンの長所でもあると思っています。これからも長所を活かして、苦手な部分をカバーしながら生活していってくれたらと願っています。執筆/メイ(監修:新美先生より)娘さんの幼稚園の頃の様子について聞かせていただきありがとうございます。診断名に限らず、一度に複数の指示があると混乱するお子さんがいます。年中だったらそういうお子さんはクラスに何人もいるはずです。一度に頭の引き出しに保持できる記憶量は人によって異なりますが、ちょっと練習して急に増えるようなものでもありません。幼稚園の先生は「家で練習して下さい」なんて言わずに、全体の指示もユニバーサルデザインで一つずつ指示するように心がけたり、一度に複数の指示を出した後に、一つずつゆっくりおさらいしながら指示を出したり、戸惑っている子を見かけたら個別に声をかけたり、手順をイラストで示したりしてくれればいいのになと思いました。勝ち負けのこだわりが強いお子さんもいますよね。お子さんの気質や段階によって、勝ち負けのある遊びに参加しないとか、負けたときの対応を練習するとかいろいろな対策はあります。あまり目くじらを立てすぎず、温かく成長を見守るというのも大事ですよね。気になることがあって、特に身近な人が特別支援学級に在籍していると、特別支援学級のメリットもたくさんあるので、在籍の希望を出そうかどうするか迷いますね。地域柄もあって、どうするとよいというのは難しいですが、見学・体験をしたり、いろんな人の意見も聞きながら、本人と保護者がよいと思う選択をされるのがいいと思います。そして状況によってまた軌道修正・方向転換することもありとして、柔軟に考えるのがよいのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月18日DQ(発達指数)が境界域の息子は何につけても「ママがいい!」。パパは……?わが家には特別支援学級に通っている小学校1年生の息子がいます。息子は全領域DQ(発達指数)が境界域で、医療機関での診断はまだ受けていませんが、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)の特性があると感じています。もうすぐ7歳になりますが、何につけても「ママがいい!」と言いがちです。そして夫は、それをいいことに、息子と積極的に関わりたがらない傾向があります。こういうことは子どもの発達に関係なく多いだろうとは思いますが、わが家の場合は、そこに息子のこだわりの強さも加わり、夫、私、息子のそれぞれの関係性や役割が固定化されてしまっているのが悩みです。関心がないわけじゃないけれど……夫は息子との絡み方が絶望的に下手夫は息子に関心がないわけではなく、「お風呂に入れてやって」「宿題をみてあげて」など、こちらが頼んだことはやってくれます。特別支援学級の先生と私とのやり取りが書かれた連絡帳を読んでいたり、私が息子の様子について話すと真面目に耳を傾けてくれていたりもします。ただ、残念ながら、息子との絡み方が絶望的に苦手なんです。息子が機嫌良くしゃべっている時に、小さな子どもには分かりづらい皮肉っぽい言い回しでコメントしたり、息子の言い間違いのあげ足を取ったり……。息子がごっこ遊びをしているとき、夫がクスクス笑いながらその様子をのぞき見していることがあるのですが、息子はそれを非常に嫌がり、「ごっこ遊びは絶対にママとしかしない!」と決めてしまっています。Upload By ユーザー体験談「笑われる=バカにされている」と思ってしまう息子息子は、非言語コミュニケーションが苦手なので、「笑い」を誤解しがちな傾向があります。彼の中では「笑われる=バカにされている」という図式が強固なので、こちらが息子の発想のユニークさに笑ったり、息子の行動がほほえましくて笑ったりしたとき「今、僕のことバカにしたでしょ」と言って怒ることもしばしば。私は、「違うよ、○○くんが面白いことを上手に言ったから、思わず笑っちゃったんだよ」「その踊りがかわいくて、すてきだなぁと思って、ニコニコせずにはいられなかったの!」などと、人が笑うのはバカにしているときだけじゃないことを、そのつど説明していますが、夫との距離は開くばかり……。Upload By ユーザー体験談もっと息子に寄り添った接し方をできないの?批判に弱い夫にどう言えばいいか……夫に対して「もっと息子に寄り添った接し方はできないのかな~」と思いはしますが、そこを突くとまずい予感がして、何も言えていません。夫は物腰が柔らかく、一見聞く耳を持っているようにみえるのですが、実はプライドが高く、批判にかなり弱いタイプだからです。会話が弾まないなら弾まないで、一緒にどこかに出かけたり、外遊びをしたりしながら仲良くできればいいのですが、息子はかなりの外出嫌い。知らない所へ行くことや、長時間の移動が苦手です。なので、外出先は近場の公園やショッピングモールに限定されがちです。また、夫は休日の仕事が多く、息子はじいじ(私の実父)に遊んでもらうこともよくあるのですが、じいじは根っからの子ども好きなので、結果、息子はじいじになつき、夫とはさらに距離が生まれている感もあります。Upload By ユーザー体験談今はこれでいいのですが、本当は私ももっと仕事がしたいので、夫にも積極的に息子への関り方を学んでほしいです。それに、父も私も今は健康ですが、人生、先のことはわかりません。夫だけになったら、息子はどうなるのか……。こうしたことを考えると、夫と息子の心の距離がもっと近づいていてくれると助かるのになぁと思わずにはいられません。夫へどのように声がけをしていくか……これが今の課題です。Upload By ユーザー体験談イラスト/keikoエピソード参考/苗(監修:井上先生より)お父さんは育児にまったく無関心なわけではなく、連絡帳を読んだり、頼まれたことに協力などはしているので、ご自分では「できることは頑張っている」という認識なのかなと思います。それだけにお子さんへの接し方についてはプライドを傷つけないように伝えてみてはどうでしょうか。例えば「最近、友達や先生に皮肉っぽく言われたことをすごく気にしているから、ストレートにいいところを褒めてあげてほしい」のように「最近〇〇な感じだから××のようにしてくれると助かる」といった言い方などです。また、子育ての方針について違いがある場合には、主治医や専門機関に相談するときに夫婦で一緒に行って話を聞いたりするとお父さんも納得しやすいかと思います。心の距離についても今はもどかしい気持ちもあると思いますが、子どもも日々成長し、どこかのタイミングでお父さんと共通の趣味ができ、急に距離が縮まる場合もありますので、育児に協力してもらいながら長い目で見守っていきましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月17日特別支援学級に就学し、順調だった小学校1年生の生活わが家の娘は2歳の時にASD(自閉スペクトラム症)と診断され、小学校は特別支援学級に就学しました。1年生の頃は、初めての学校生活で慣れないこともありましたが、担任の先生などの助けをかりながら、無事1年間通うことができました。そして2年生。事前に特別支援学級の担任の先生が3月で休職することが決定していました。娘は担任の先生が大好きだったので、新学期に先生が学校にいないということに不安を感じていました。2年生で激変!?迫力満点のベテラン教師、約束と違う給食指導……たくさんの「嫌」が積み重なってUpload By マミヤ2年生に進級した新学期、娘の特別支援学級の担任は優しそうな先生で、これには親子共々ほっとしました。そして、交流学級の担任は学年主任の先生。ベテランの先生でしたが、残念ながら娘はこの先生と合いませんでした。厳しめの指導をされる先生で、娘は突然大きな声で注意されることをとても怖がっており、先生がほかの子を怒る声にも過敏になっていました。交流学級の担任の先生と合わなくても、メインは特別支援学級だし……と思っていたのですが、国語と算数以外の授業は交流学級で受けていたため、影響は想像していたより大きいものでした。娘はどんどん学校へ行く元気がなくなっていきました。特別支援学級の担任の先生にも相談していましたが、交流学級への付き添いは娘にではなくほかのお子さんについていたので、人手が足りないようでした。また、娘が学校と約束していた「給食のルール」と違う指導をされる先生がいらっしゃり(食べられないおかずなどは減らして全部完食するという約束だったが、いざ減らしてほしいとお願いすると減らしてくれない。牛乳はまず初めに3分の1飲むように言われるなど)、何度も学校に指導を統一してほしいとお願いしましたが改善されませんでした。娘にとっていろんな「嫌」が重なったことで、2学期の途中で学校へ行けなくなってしまいました。学校への反感も……「学校へ行かないこと」を選択した私たちUpload By マミヤこの頃から娘は「学校の先生は約束しても守ってくれない」「先生の言った通りにしてるのに、違う先生にそうじゃないと注意される」「こう思って言ったのに理由も聞いてくれないし混乱する。また間違えてしまうかも」と言っていました。また、学校への反感も示すようになりました。不安やこだわりが強く、感覚過敏などの特性もある娘には、学校という環境はシンドイだろう……と療育の先生や主治医にずっと言われていましたが、「こういうところなんだな」と感じました。そして、先生との相性でこんなにも変わるものなのか……と驚きました。娘はひとたび「この人は無理」と感じると心のシャッターをピシャリと閉ざしてしまうので、今は無理強いせずゆっくりさせようと、しばらく学校へ行かないことを決めました。ホームスクーリングに気持ちを切り替えた私は、娘と新しい生活をはじめました。結果として、この時は1週間後に再登校することになったのですが、再登校の時期はまた違った大変さがありました。そのことについてはまた別の機会に書かせていただきます。Upload By マミヤ執筆/マミヤ(監修:井上先生より)特別支援学級の担任の先生が変わっただけでなく、交流学級の先生も変わり、そして指導方針まで変わったことで、お子さんにとって大きなストレスになり、登校自体が嫌になってしまったのでしょうね。また、保護者にとっても、意見が取り上げてもらえないのは、非常につらい状況だったと思います。学校の内外で第三者的な立場から意見を述べてもらえる専門機関や連携先があると、保護者にとっても学校にとっても、そして本人にとっても助けになるかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月16日娘が両親(私たち)に借りた生活費の返済は『無利息の出世払い』発達障害がある娘は高等特別支援学校後、特例子会社に勤めていましたが、4年たった頃メンタル面の不調から休職。休職中、収入がないにもかかわらず、娘は買い物や携帯電話の課金でひと月に数十万円使ってしまいました。それまでの貯蓄も使い果たしてしまったので、グループホームへの支払いや生活費はしばらくの間は私たち親が立て替えることになりました。その際、パソコン作業が得意な娘自身に『返済は利息なし。収入が安定したら返す』という、いわゆる出世払いの借用書をつくってもらいました。娘の転職と就活その後も復職の兆しが見えず、彼女は昨年の春に6年間勤務した特例子会社を退職しました。高等特別支援学校在学中の就職活動には学校の先生や親が関わりましたが、現在はグループホームに入居し世帯分離しています。そのため、娘の退職・転職は、これまでチームで彼女を支えてきた相談支援センター相談員やハローワーク、ジョブコーチなどの支援者の方々がサポートしてくださいました(親はノータッチ)。『障害特性に合った職種』のイメージ面接と一週間の職場体験を経て、娘は就労継続支援A型事業所に通うことが決まりました。仕事内容はパソコンを使った事務業務や動画編集業務、通販商品の検品梱包作業など多岐にわたります。どうやらそれが娘には魅力的だったようです。「ASD(自閉スペクトラム症)にはルーチンが落ち着く・臨機応変が苦手という特性があるため、一日中同じ作業を繰り返す仕事が合っている」とイメージしがちですが、娘の場合は違っていました。思い返すと、高等特別支援学校在学中の職場実習で、パソコン検定の資格を持つ娘が企業のパソコンでの文字入力業務を行った際「一日中ずっとパソコンでの入力作業をし続けるのは嫌だ」と言っていたことがありました。娘のパソコンの知識や技術は、優れていると思います。でも「コミュニケーションは苦手だけど、人が好きで常に人と関わりたい」と思っている娘にとって、一日のほとんどの時間を一人でパソコンに向かうような職場は合わないようです。パソコン作業中心の職場でも文字入力だけでなく動画編集や、通販の検品梱包作業なども行う就労継続支援A型事業所に通えることになり、娘は「人気がある事業所だから、採用されて良かった」と言っていました。今回は、自身が働きたいと願った職場ということもあり、娘はその後休むこともなく仕事を続けています。これは娘の意思だけではなく・数年の付き合いの間に支援者の方が娘の性格や特性、好きなことや得意なことを十分に理解したうえで、娘に合いそうな業務内容の事業所を選んでくれた・事業所の方も娘の課題点を把握し、それも含めた支援してくれているおかげだと私は思っています。両親への返済スタート転職から一年が過ぎた今年の春、グループホームで生活する娘から連絡が来ました。Upload By 荒木まち子そして月に一度の『自宅への外泊』のタイミングで一万円ずつの返済が始まりました。高等特別支援学校を卒業した同級生の中でグループホームで生活しているのは娘一人だけです。友達の中には車を買ったり、趣味に自分の収入を充てている人もいます。そんな実家暮らしの友達に比べると、娘が自由に使えるお金は少ないかもしれません。私自身、親子の間で“返済”だなんて冷たいかな?と思うこともあります。でも今までの経験があったからこそ、娘はお金の大切さやお金を稼ぐ大変さを本当に理解できたのだろうと私は思っています。そして、現時点で親以外の『相談できる支援者』がいることは、今後の彼女の人生にプラスとなっていくだろうと——。先見の明以前発達ナビのコラムで娘のことを書いた時、コラム監修の渡部先生が『必ずしも企業就労にこだわらず、就労継続支援A型やB型といった福祉的就労も選択肢になるかもしれません。大切なのは、本人が安心できる居場所であることだと思います。』とコメントされていました。その時の私たち親子は復職に向けて模索していた最中で、福祉的就労については考えていませんでした。でも娘はその後、渡部先生がおっしゃった通りの選択をし、現在、満足のいく職場で日々を過ごし、充実した余暇を過ごしています。娘に会ったことがないのに、娘の未来をズバリ言い当てた渡部先生の先見の明に脱帽です!!執筆/荒木まち子(監修:渡部先生より)娘さんが自分から返済したいと申し出たとのこと、素晴らしいです!休職中に課金で失敗した経験をしたことで、お金の大切さをご本人が理解できたのですね。前回のコメントが少しでもお役に立てたのなら、私としても大変うれしいです。娘さんには、相談支援センターの支援員さんや、現在通われている就労継続支援A型事業所の職員さんなど、特性を理解して適切なアドバイスをしてくださる支援者の方がいらっしゃるとのこと、とてもありがたいですね。将来、もしかしたら違う形で壁にぶつかることがあるかもしれません。そのときには親御さんもいらっしゃらないかもしれません。でも、理解のある支援者の方がいることで、その壁を乗り越えていけるのではないかと想像します。荒木さんも書かれている通り、娘さんと支援者のみなさんとのつながり、これからも大切にしてください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月15日小4「学習の壁」の苦悩…『マンガ発達障害の子どもと私たち』みき編がスタート!そのほか不登校や登下校トラブルエピソードなど【2024年8月】発達ナビでは発達ナビ読者から寄せられた「困った経験」「こうしたら良かったといった経験」などを読者体験談としてお届けしています。今月も、読者の皆さんからさまざまなエピソードが集まりました。そのエピソードをもとに漫画コラム化!8月は大反響のあった『マンガ発達障害の子どもと私たち』はるき編に続き、小4の「学習の壁」で悩む【みき編】がスタートしました。そのほか「不登校」や「登下校トラブル」の体験談なども紹介いたします。小学4年生のみきさんは5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。就学相談では通常学級判定となり、通級指導教室に通いながら楽しく学校へ行っていました。ですが、小学校3年生から勉強につまずきが見られるようになり……。専門家による「勉強の苦手さの背景にある書字困難」についての解説もぜひご覧ください。「学習の壁」にぶつかり、終わらない宿題に涙を流すようになったみきさん。「学校へ行きたくない」という娘の姿に母は苦悩しますが、学校公開でのみきさんの様子を見てある思いが芽生えます。専門家による解説「心理面の支援と通常学級の中での特性にあわせた支援」では担任・特別支援教育コーディネーター・通級指導教室の先生との連携についてなど参考にしたいアイデアも詰め込まれています。小4から不登校になりASD(自閉スペクトラム症)、反抗挑戦性障害(反抗挑発症)の診断を受けた現在中学1年生の息子さん。完全不登校となってからは家庭内での他害といったトラブルも多く、どうしたら外へ気持ちを向けてくれるか、中学校はどこへ進めばいいか悩みは尽きずで……。小学1年生の3学期にADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた14歳の息子さん。小学1年生の運動会前から、登校班での登校渋りが始まり、なんとか登校するようにさせていたのですが、ある朝、担任の先生から「学校に通報があった」と連絡があり……!?ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月14日発達障害グレーゾーンの息子。通常学級への就学を決意したけれど……しのくんは発達障害グレーゾーンの6歳の男の子です。現在小学1年生で、通常学級に籍を置いています。小学校へ入学するにあたっては、いろいろな不安がありました。2歳まで発語がなく、身辺自立や運動面の発達もゆっくりだったしのくん。保育園での集団生活も苦手で、教室から脱走したり、行事に参加できなかったりすることもありました。保育園の年長からは、加配の先生が付かなくても過ごせるようになっていましたが、発達検査を受けたところ「総合指数は通常といえる範囲内だけれど、言語・社会性の面で発達に遅れが見られるので、声かけなどの支援は必要になりそう」と言われました。しのくんに長年関わってくださっている療育の先生方でさえ悩むような状態だったので、就学先を通常学級にするか、それとも特別支援学級にするか、とても迷いました。最終的に、保育園の先生方の「しのくんは通常学級がいいと思います」との意見と、夫の希望が一致して通常学級を選びましたが、特別支援学級に就学しないことで、「支援が必要ない子」と思われてしまうのでは……という不安がありました。特にしのくんは、人の話を聞いていなかったり、うまく人としゃべれなかったりすることがあるので、学校生活で困りごとが出てくるのではないかと心配でした。そのため、就学前の2月、学校の先生と就学コーディネーターの先生に個別面談をしてもらうことになりました。Upload By keiko就学前の個別面談で、これまでの経緯などを小学校の先生方に説明個別面談では、今までの経緯 (2歳まで発語がなくことばの教室に通っていたこと、保育園で集団行動ができないと言われて3歳から療育センターに行っていること)や、しのくんの特性について先生方に説明しました。また、生まれつき目の病気があるので前の席にしてほしいとも伝えました。2人の先生は、しのくんが生まれた時の状況から、現在の様子までを最後まで真剣に聞いてくださり、しのくんが楽しく学校生活を送れるよう一緒に頑張りましょうと言ってくださったので、とても安心したのを覚えています。 入学前に先生と話すことができて良かった……と心から思いました。いざ小学校入学、出だし順調でひと安心!しかし初めての授業参観で見た光景は……そして4月になり、しのくんは小学校に入学しました。保育園では行き渋りしていた時期もあったので心配していましたが、いざ学校が始まってみると行き渋りもなく、元気に通えている様子でひと安心。ところが5月、入学して初めての授業参観の時のことです。教室に行ってみると、席替えがまだ済んでいないようで、しのくんの席は前のほうではありませんでした。クラスの人数が多いこともあり、先生の目があまり届いていない様子……。Upload By keiko授業参観が始まって、しのくんの様子を見ていると……。教科書のページを開く、教材を出すなど、すべてにおいて周りの子からワンテンポ遅れているしのくん。最終的には何をすればいいのか分からなくなってしまったようで、不安そうに後ろを振り返り、「ママー」と助けを求めてきました。Upload By keiko最初はママと呼ばれても「がんばれー」と見守っていたのですが、見かねたパパが、しの君のヘルプに入っていきました。初めての参観日で、とにかくしのくんは「先生の話を聞いていない」ということが分かったのでした……。後日、先生との面談で今後のことを相談。2学期からは通級の利用も授業参観でのしのくんの様子が不安になったので、後日、担任の先生と面談をお願いしました。先生の話によると、最初の1ヶ月ほどは支援員さんが付いてくれていたが、いなくなった後に困りが出てきてしまったようでした。現在は 一番前の席にしてもらえたので、先生も こまめに声かけをしてくださっているようです。ですが、やはり一斉指示についていけないなどの困りが目立つようになってきたので、2学期から学校内に設置されている通級指導教室に通うことになりました。いろいろと不安もあるため、月に一度は面談を希望し、授業の様子や学校での様子を教えてもらうことにしました。まだまだ試行錯誤しているところですが、しのくんが楽しく学校生活を送れるように、先生方とも連携しながらひきつづきサポートしていきたいと思います。Upload By keiko執筆/keiko(監修:鈴木先生より)恐らく療育センターで医師の診察は受けているものと思われますが、学校だけではなくかかりつけ医との相談も必要です。発達検査はIQテストだと思いますが、あくまでも参考値ととらえるべきです。言葉の遅れだけでなく、先天的な目の病気もあるので、サポートが必要なお子さんだと感じました。また、2歳まで発語がなかったことから聴覚検査も必要かと思われます。先生の話を聞いていないのではなく、聞こえづらい可能性もあるからです。私の外来でも4歳で難聴が見つかり、補聴器で言語が改善した例を経験しています。教育だけでなく医療とも連携しながら、お子さんの学校生活をサポートしていけるとよいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年09月13日自閉症・情緒障害特別支援学級へ転学を希望するも判定委員会の結果は『不可』。「もう学校へ行けない」と泣きじゃくる娘ASD(自閉スペクトラム症)のある小学4年生のみきさん。学校の勉強についていけず、登校渋りが始まってしまいました。保護者とみきさんは少人数で見てもらえる自閉症・情緒障害特別支援学級への転学を希望したのですが、判定委員会の結果はなんと「不可」。転学できないと知ったみきさんは、「今のクラスだったらもう学校に行けない!」とパニックに……。果たしてみきさんはつらい思いを抱えたまま、学校へ行かなければいけないのでしょうか。以下からマンガ「発達障害の子どもと私たち」みき編 第4話(最終話)をお届けします。マンガ「発達障害の子どもと私たち」みき編 第4話(最終話)Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談教育委員会へ直接申請。判定は……?Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談担任の先生の言葉。くやしさ、悲しみで涙が止まらない……!Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談知的障害特別支援学級へ転籍がかなったみき発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたストーリー「発達障害の子どもと私たち」みき編第4話(最終回)をお届けします。みきさんは、5歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受け、小学校では通級指導教室へ通いながら通常学級に所属していました。ですが、学校の集団授業についていけなくなった小学4年生から登校渋りが始まり、特別支援学級への転籍を考えるように。しかし、希望した自閉症・情緒障害特別支援学級への判定は不可となってしまい、「クラスが変わればきっと楽になる」と思っていたみきさんは、その結果を聞いて取り乱してしまい――。知的障害特別支援学級への入級が許可されたみきさん。IQが境界領域でも通常学級判定になる場合もありますので、みきさんの場合はIQだけでなく得意不得意の差が大きいなど面接でのど総合的に判断されたのだと考えられます。「子どもに笑顔になってほしい」と諦めずにお子さんへの最適な環境を求め続けたご家族、そしてみきさんの願いが叶いました。少人数で対応してもらえるようになり、理解のある担任の先生のもと笑顔が増え、現在は生き生きと学校に通えているそうです。次回は「発達障害の子どもと私たち」のエピローグをお届けします。はるきとみきのその後をぜひご覧ください。自閉症・情緒、知的障害などの特別支援学級の種類について【専門家解説】一般的に自閉症・情緒障害特別支援学級では、通常の学年と同じように学習内容は進行していきますが、知的障害特別支援学級については、学習の進度は学年相応というよりは本人の発達や学力に合わせて行われます。ただし、みきさんのように自閉症・情緒障害特別支援学級の条件にも当てはまり、知的障害特別支援学級の申請条件にも当てはまる場合は、クラスの人数やメンバーとの相性なども考慮してより適切な環境で学習できるように相談していくことが大切です。Upload By ユーザー体験談特別支援学級についての他の体験談は以下をご覧ください。【マンガ発達障害の子どもと私たち】(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月12日ASD(自閉スペクトラム症)の娘は小学2年生から放課後等デイサービスを利用しています小学2年生から放課後等デイサービスを利用している娘。中学生になってから、勉強や部活で忙しくなり、長い休み期間(夏休み)などに、数日しか通えなくなりましたが、娘は今も放課後等デイサービスで過ごす時間が大好きです。娘は、ここで多くのことを学びました。放課後等デイサービスには、いろいろな子がいます。学校で、強いこだわりやパニックを起こし、周りに合わせてもらい、特別扱いが多い娘ですが、放課後等デイサービスでは、娘のような個性を持った子たちがたくさんいるため、誰も特別ではありません。自分に譲れないこだわりがあるように、周りにもこだわりを持った子がいます。Upload By SAKURAみんな、こだわる行動には理由があるということを周りの子から学び、周りの子を見て、自分のことを客観的に見ることができるようになりました。Upload By SAKURAUpload By SAKURA中学生になった娘の放課後等デイサービスでの過ごし方は……中学生になってからは、すっかりお姉さんポジションになり、小さい子たちに合わせることが多くなった娘。小学生の子たちと一緒に遊ぶのは、楽しいのですが、長時間だと疲れてしまうそうです。Upload By SAKURAそんな時は、先生方が考慮してくれ、離れた部屋や1人になれる場所を用意してくれ、静かに過ごせるようにしてくれます。Upload By SAKURA娘が小学2年生の時からずっと同じ先生が見てくれているため、娘のことはよく理解してもらっています。どう声をかけたらいいか、どう接したらいいか、どんなことが好きか……中学生になって、こだわりやパニックがある程度落ち着いても、配慮は変わらず温かいです。今の娘があるのも、放課後等デイサービスで過ごした時間があるからだと思っています。親の私では、教えることができなかったことを、周りの先生や友達から学ぶことができた娘。あの時、放課後等デイサービスに通うという判断をして、本当に良かったと思っています。執筆/SAKURA(監修:藤井先生より)放課後等デイサービスを利用することで、先生がSST(ソーシャルスキルトレーニング)を行ってくれていた様子が伝わってきました。放課後等デイサービスでは何をしているのか、利用したほうが良いのかと、相談を受けることがあります。利用者が多く、空きがない現状もありますが、学校や家とは違った場所で、お子さんのペースを大切に必要なスキルを少しずつ身につけられる場所があるのはとても大切かと思います。パニックやこだわりがあっても、対処法を一緒に考えてくれる場所があるという安心感が娘さんの成長につながったのだと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月11日初めての参観日二学期が始まり、子どもたちも新しい環境に少しずつ慣れてきました。これからの季節は、学校行事も目白押しで忙しくなりそうですね。今回は、そんな行事の一つである参観日のエピソードについてお話ししたいと思います。ハジュが3歳のとき、家の近くの幼稚園に入園しました。すでにASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けていたため、入園当初から加配の先生がサポートをしてくれていました。二学期に入り、ハジュも少しずつ園生活に慣れてきました。そんな中、初めての参観日がやってきました。私は「お母さんが来た!」と喜んでくれるかな?それとも、お友達と遊んでいるかな?と、期待を胸に幼稚園へ向かいました。しかし、ハジュはいつもとは違う参観日の雰囲気に少し興奮してしまったようでした。独り言をつぶやいたり、落ち着かない様子で、教室の中を行ったり来たりしていました。Upload By スパ山ハジュのこだわり参観中も教室の中にほとんどいないハジュを追いかけて、園内を駆け回る、なんともアクティブな参観日となりました。給食の時間になってもハジュは廊下に飛び出してしまい、私はもう追いかけるのに疲れ果てていました。「どうしてこの子は、こんなに言うことが聞けないんだろう……」と、涙が出そうになりました。そのとき、クラスメイトの子が「ハジュくんはいつもこの時計が鳴るのを聞いてるんだよ」と教えてくれました。私はハジュが一体何をしたいのか分からず、ただ追いかけていただけだったことに気づかされ、ハッとしました。Upload By スパ山ハジュのルールと成長ハジュはただ自分のルールに沿って行動していただけなのかもしれません。思い返してみると、駐車場の園バスの位置が違ったり、いつも閉まっている玄関が開いていたりと、参観日ならではの「いつもと違うこと」がたくさん起こっていました。ハジュはそれを元の状態に戻そうとしていたのではないかと感じました。この気づきを先生方と共有し、振り返りや懇談を通して、ハジュもクラスのみんなも楽しく幼稚園生活を送れるようにたくさん考えました。例えば、園の一日の流れが分かる絵カードをホワイトボードの見えるところに貼るようにして、同じ絵カードを持つ加配の先生からハジュへ、見通しが持てるように活動の前に声かけをしてもらいました。また、ハジュは時計が読めたのと、決まったことに沿うのが好きだったので、「何分になったら外に行けるよ」と時間を明確にした声かけをしてもらいました。家でもカレンダーや絵カードで視覚的にアプローチするようにしました。Upload By スパ山そして、年長になって迎えた何度目かの参観日。ハジュは相変わらず走り回ったり、いつもと違う雰囲気に興奮していましたが、なんとその日、最初から最後まで教室で過ごすことができたのです!レクリエーションには参加しなかったものの、「今は教室にいる時間」ということをしっかり理解して、楽しそうに過ごしていました。ハジュの成長を目の当たりにして、私は涙が止まりませんでした。Upload By スパ山現在、小学4年生のハジュ。先日の参観日では、マイクを持って堂々と自己紹介をし、とても立派な姿を見せてくれました。あの頃、不安で悩んでいた私に「大丈夫だよ」と言ってあげたいです。Upload By スパ山執筆/スパ山(監修:鈴木先生より)教室にいられたり、自己紹介ができたりしたら「できたよ カード」(家庭版&学校版)にシールを貼ってあげましょう。家庭でできたら保護者の方が、学校でできたら担任がシールを貼って褒めてあげると自尊心が上がっていきます。こういったトークン法で自分のやったことがいいことだと気づき今後も継続してできるようになるはずです。できて当たり前だと思われがちなことも、発達が気になる子どもは努力して取り組んでいます。だからポイントが必要なのです。一つクリアしたらさらなる目標を掲げてスモールステップアップを試みていきましょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月11日通信制高校のオープンキャンパスASD(自閉スペクトラム症)の太郎は、中学3年生。特別支援学級に在籍している。私は太郎の中学卒業後の進路について、担任の先生、放課後等デイサービスのスタッフの方、主治医に話を聞いたり、Webサイトで高校の情報を得たりした。そして、太郎の特性を考慮し、2つの高校に絞った。家から通学時間が30分圏内の普通科高校と、通信制高校である。太郎に「高校」「オープンキャンパス」の話をすると、実際に目の前にしていないため、なんのことやらという表情になり口数が減る。それでも私は、家からの交通手段、通学時間、学校の特色、合わせて太郎になぜこの高校がいいと思ったかを説明した。そのうえで、7月半ばに初めてのオープンキャンパスに参加した。通信制高校であるが、月曜から金曜まで登校が可能な高校である。一学年が30人と少人数ということに加え、通常のクラスに入れないと感じたり苦手とする授業を受けたりする時には個別に指導していただける教室があるところが魅力だと考えていた。また、授業の開始時間が普通科高校と比べて1時間ほど遅いため、満員電車も避けられる。乗り物酔いをしやすい太郎にとっては、好条件だと考えていた。Upload By まゆん校舎に入る前から太郎は緊張していて、口数が減っていた。校舎に入ってからは在校生の実体験や先生からの学校説明があった。太郎はその時点ですでにガチガチに固まっていて、私が話しかけても首を縦に振るか横に振るかで声を出せなくなっていた。「緊張している?」と小声で声をかけると、こくんと縦に首を振った。「少し水分摂る?」と再度声かけをした。太郎は首を横に振った。1時間超の説明が終わるまで太郎はずっと声を出すことなく、緊張が伝わってきた。説明のあとには、高校の先生と簡単な三者面談が設けられていた。高校の先生との三者面談Upload By まゆんそこでも太郎の緘黙、緊張状態は変わることなく……というより、さらに強く表れた。先生が太郎に話しかけても視線も合わせることなく、下を向いたままで頷くこともやっとの状態になっていた。先生も異変に気づいた表情をされた。私はすぐに、ASD(自閉スペクトラム症)の太郎の特性を説明した。先生は「なるほど、その特性を伝えてくださっていたら、面接時にこちらも配慮いたしますので」と返事が返ってきた。そして、先生は三者面談の間で何度か太郎とコンタクトを取ろうと、さり気ない声かけに挑んでくださっている様子だった。太郎は緊張のあまりに返事をすることはできなかったが、私は先生の対応を見て少し安心した。この高校のオープンキャンパスは1度だけではなく、数回開催される。2回目は実際に体験授業を行う内容だった。三者面談の最後に、先生から「2回目のオープンキャンパスに参加したいか」という質問があった。オープンキャンパス開催の日付けや説明が書かれてある用紙が机の上にあったのだが、太郎は指さした。「数学の体験授業」だった。先生は反応した。「お、そうかそうか。数学を体験したいんだ。得意?」太郎は首を横に振った。「苦手かな?」太郎は縦に首を振った。「うん。そうか。実際体験してみよう」と先生は言った。Upload By まゆん太郎自ら2回目のオープンキャンパスの日付けを選び、体験授業の学科も選んだ。緊張している中で何も考えることができていない訳ではなかった。意思表示を少しでもできたことに、私は安心した。ただ、この状態での受験や高校生活に不安を覚えた私だった。体験授業では…そして、2回目のオープンキャンパスにも参加してきた。慣れない場所、初めて出会う人たちとのグループワーク、数学……すべてが太郎には苦手なことだった。保護者はそのグループワークを見守る形だったのだが、私は気が気でなかった。太郎は、問題が分からず固まってしまった。そこで助けてくれたのは、学校の先生とグループワークに参加していた高校生だった。ほかの生徒と比べることは良くないかもしれないが、学校の学力レベルと太郎が合っているのかを見極めることは、この先の高校生活に重要になってくると思っている。今回の授業体験では……太郎が一人浮いているようにも見えた。私の不安は募った。オープンキャンパスの帰り道、太郎は少し暗い表情をしていた。私はしばらく太郎の様子を見守り知らぬふりをして声かけもしなかったが、あまりにも声を発さなかったため、たまらず声をかけた。「ちょっとグループワークが難しかった?」太郎はこう答えた。「うん」そのひとことだけが返ってきた。ひとことに重みがあり、私も不安がまた募った。「どうしても参加が難しい時は、別のクラスに行けるって説明していたから、そうしたらいいね」その場しのぎのようなフォローの声かけに太郎はまた、「うん」それだけだった。執筆/まゆん(監修:初川先生より)太郎くん初めての高校オープンキャンパスへの参加エピソードをありがとうございます。高校という存在自体が未知で、入るには試験や面接など何らかの関門があるということは多くの子どもたちが知っているので、ただでさえ新奇の場所に苦手さを感じやすい特性がある中で、より一層不安緊張が高まってしまったことと思います。太郎くん本人の意思もあり、2回目にも参加できたのはよかったですね。場や人に慣れてきてようやく見えてくるその学校の特徴というものがあるでしょうから、複数回参加できる場合にはしてみるといいと思います。また、まゆんさんが書かれていたように、まわりの中3生がどんな感じのお子さんかということも見ておけるといいと思います。体験授業や部活体験などがあるとそのあたりが感じ取りやすくなりますね。発達障害や不登校歴のあるお子さんの場合、高校が行う説明会で説明を聞くことだけではなく、その後に開催されることの多い「個別相談会」にも参加できるとよいでしょう。まゆんさん、太郎くんははじめから参加されていて何よりです。学校生活について気になることを聞いてみることだけでなく、お子さんの特性についてや高校生活でつまずくかもしれない点について簡単に高校側に伝え、学校側の反応を見ることは大事です。今回、通信制高校を見学され、また普通科高校も検討されているとのこと。通信制と全日制普通科だと、この両者の違いは大きくは単位認定の方法です。通信制高校の場合、単位制であることが多いため、仮に何らかの単位をその学年で取得できなくとも、翌年度以降に取得すればよいということになります。全日制普通科の場合、その学年で取得する単位を1つでも落としてしまうと留年か退学になります(※全日制単位制の学校もあります)。また、単位取得にあたっても、定期試験以外にどのような評価項目があるのか(予習復習が必須、高頻度な小テストがあったり、レポートや、あるいはグループワーク、グループ研究のようなものが入っていたり、ディスカッションなどに重点を置く場合などもあり、学校ごとの特色が出やすいところです)について確認しておくことも大事です。何校か見ると、保護者の側もどんなところをよく確認したらいいかが分かりやすくなりますので、はじめから1校と決めるのではなく、複数校見てみることをおすすめします。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月10日気になる様子は特になかった小1の頃。けれど小2の2者面談で……入学してから1年、コチ丸は特にこれといった問題もなく小学校に通っていました。唯一、気になっていたのは通学の班が2人だけで、班長の女の子はよくお母さんに車で送ってもらっていることでした。小1のコチ丸を1人で学校に行かせるわけにはいかないので、必然的に私が送ることになります。週に1・2回はそんなことがあり、通勤前にちょっと大変だな……と思っていました。後々、その送り癖がコチ丸の自由登校を促すきっかけの1つにもなるのですが……。それ以外は友達の家に遊びに行ったり、友達が遊びにきたり、楽しい小学生ライフを過ごしているようで私も安心していました。また児童クラブにも通っていて、基本的には放課後はそこで過ごしていたので特に悪事を働くこともなく(笑)私も安心して仕事を続けておりました。小2の夏頃のことです。担任の先生と2者面談があった際に「コチ丸くんが座って授業を受けられないときがあります」という話をされました。幸いなことに、その担任の先生は特別支援学校で働いていた経験があり、とても熱心で、コチ丸の様子をしっかりみてくれていました。座れないときや落ち着けないときがあると、段ボールで机の下を暗くして、そこにコチ丸の落ち着けるクールダウンスペースをつくるなどして、対応をしてくれていました。当時はそのような対応をしてくれていた先生に感謝と同時に、「私とコチ丸はこれからどうしたらいいのか?」という不安は日に日に募りました。Upload By あき担任の先生の勧めで児童精神科を受診することに担任の先生から、児童精神科の受診を勧められたのをきっかけに、私はコチ丸に合った病院を探し始めました。コチ丸にどんな診断が出されるのか、どんな治療をしていくのかなど全く分かりませんでしたが、私自身が若いときに鬱で精神科にかかっていたこともあり、「できるだけ薬は飲ませたくない」「カウンセリングや普段の行動から変われる方法を見つけたい」という、治療方法もまだ分からない中でも自分なりの希望がありました。しかし、児童精神科は初診まで数ヶ月待ちというところが多く、さらに自分が納得のいく病院を見つけるのにも時間がかかりました。初めてかかったのは隣町にある小児科の傍らで児童精神科を行っている病院でした。そこでコチ丸の幼少期についての聞き取りや、診察室で先生と会話する様子の観察などをしていただき、ADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。診断を受けた後に起きた心境の変化当時の記憶で一番残っているのは、診断書を書いていただいた時に「あぁ、やっぱり発達障害だったんだな」というこれまでのコチ丸の様子が腑に落ちた思いと同時に、これでコチ丸も私も悪くないんだという許されたような気持ちを持ったことです。というのも、学校では担任の先生の配慮もあり、順調に過ごしているように見えたコチ丸ですが、家での様子は全く違っていたのです。宿題はやらない、片付けはできない、相変わらず気になるものがあるとすぐに手を出してしまう、外出すると姿を見失う……など、保育園の頃から変わっていない……というより、さらにパワーアップしていました。大きな声で怒鳴ったり、じっとしていられないコチ丸を宥めたりするのに疲れていた私でしたが、「自分の育て方のせいでは?」と日頃からずっと心のどこかで思い続けていました。不謹慎かもしれないですが、それらを「発達障害のせい」にできたことで、心は随分と楽になりました。また、自分自身やコチ丸に対しても、徐々に「まぁいいか」という気持ちが持てるようにもなってきました。コチ丸に、毎日寝る前には必ずするように言っていた部屋の片付けも、週1回すれば良いことにしました(自分も仕事していると週1回の掃除しかできないから)。スーパーでコチ丸が自分の好きなところに走って行ってしまっても、あえて追いかけ回すことはせず、戻ってくるまで私も好きなところを見るようにしました(もし迷子になったらどうしたらいいか、自分で考える経験も必要だと思ったので……)。特性で仕方ない部分もあるのだから、コチ丸の発達にあったレベルでできることをすれば良いやと思い、過度に焦らず、余裕をもって接することができるようになりました。Upload By あき発達障害に関する本を読み漁り、対処法を試す日々同時に、私は発達障害に関する本を買い漁り、たくさん勉強もしました。本に書いてあるさまざまな特性の中から、コチ丸に当てはまるものとその対処法を試しては失敗して……の繰り返しでした。私自身にはそれが意外にハマり、うまくいくと次はこうしてみようと考えることが楽しくなってきて、「壮大な子育て実証プロジェクト」が始まったような感じでした。コチ丸の通う小学校には診断のことは伝えたものの、小さな学校だったこともあり、通級指導教室はもちろん、特別支援学級もまだなかったので、当時はみんなと同じ授業を受けるしかありませんでした。小2の時は担任の先生がいろいろと試してくれたり、逐一報告をくれたりしていたので、学校に通うこともそこまでハードルは高いものではありませんでした。が、あんなに「イージーモード(笑)と思っていた学校」と「地獄絵図のようだった家」での生活が逆転するとは……まだ知る由もない私とコチ丸でした。わが家の「壮大な子育て実証プロジェクト」のその後「壮大な子育て実証プロジェクト」ですが、高2の現在も相変わらず続いております(離れて暮らしているので、予定していたよりはちょっとイレギュラーな環境ではありますが……)。「こう育てたらこうなるのかな?」という予測を立てながら育てていって、伏線回収のように忘れた頃に「あの時のこれが今効いてきたのか」みたいなことが多々あって面白いです。その中の1つで、「やりたいと思ったことは全てやる」をコチ丸が子どもの頃から実践し続けてきたわが家。最近、高校卒業後の進路を決める時期になって、馬の勉強をしに北海道に来たのに、「ちょっと海の勉強もいいな」と海洋学部を受けようかと相談された時にはさすがに唖然としましたが……。Upload By あき好きなことを好きなだけやらせた結果、「なんでもやれる気がする自信満々な子」が育ちつつあります(笑)。それもまた面白いな、と息子の成長を楽しんでいる母です。Upload By あき執筆/あき(監修:藤井先生より)対処法を試す日々が積み重なって「なんでもやれる気がする自信満々な子」にコチ丸さんが成長されたんですね。成長を楽しんでいるあきさんの経験が、子育て中の親御さんの励ましになりますね。私自身も読みながらとても温かい気持ちになりました。ありがとうございました。発達障害に関する本には、さまざまな対処法が載っていますが、必ずしも全ての方に効果があるとは限りません。そのため、学校などと連携しながら、少しでも効果がありそうな方法を試されるのは良いですね。受診したことで診断を受けられたのが大きな一歩だったと思います。今、お子さんが学校や園などの集団生活でうまくいかないことなどがあり、対処法が分からない場合には、受診することをお勧めします。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月09日練習をせず、ずっと参加できなかった運動会ASD(自閉スペクトラム症)の疑いがあると言われているわが家の長男。現在は特別支援学級に通う小学1年生です。長男は、年少で入園した幼稚園が合わず、途中で退園し、別の保育園に転園しました。転園したのが年中の12月だったので、その年に予定されていた行事は全て終わっていました。そのため、長男は年長になってから初めて保育園の運動会に参加しました。Upload By プクティ幼稚園に通っていた時の運動会では、練習に参加できないからと団体競技には一切参加させてもらえませんでした。運動会の本番で、みんなに背を向けて寂しそうに座っている長男の姿を目にして、非常に残念な気持ちになったため、保育園ではそのことを説明して、ぜひ参加させてほしいとお願いをしていました。そういった経緯もあり、保育園の運動会では、きっと長男も団体競技に参加できるはず……と楽しみにしていました!Upload By プクティしかし運動会当日、団体競技には参加させてもらえず、一人体育館の隅で座っている長男の姿があり本当にショックでした……。後々先生になぜ参加させてもらえなかったのか確認したら、やはり練習に参加できなかったからとの回答があり、もっと前から先生に確認していれば良かったと心から後悔しました。保育園最後の行事は参加させてあげたい!始まった特訓運動会の次の行事は発表会。その年に保育園で行われる行事は、卒園式を除けばそれが最後となります。運動会で一人で座っていた長男の姿が目に浮かび「今度こそ絶対に全部参加させてあげたい!」と思った私は、発表会の練習が始まる頃に先生にお願いをしに行きました。Upload By プクティ発表会で発表する予定の演目、内容、楽器を全て教えてもらい「家でも練習するので、発表会では全ての演目への参加を目指していきたい」と先生に気持ちを伝えました。Upload By プクティそれからは毎日家で特訓!楽器の練習から歌の練習、劇の練習を本人が自信をもってできるようになるまで一緒に頑張り、保育園での練習にも嫌がらず参加してほしいということを長男にたくさん言い聞かせました。また、先生からのご厚意で特別に保育園での練習を見学させてもらったり、お迎えの時などに練習にどのように参加できているか確認したり、意識的に保育園の先生とのコミュニケーションを増やすようにしました。そして迎えた発表会当日……Upload By プクティそして迎えた発表会当日。そこには自信をもって発表会の演目全てに参加する長男の姿が!最後まで嫌がっていた演劇にも楽しそうに参加していて心から感動しました……!本人も発表会後、全てに参加できたことが本当にうれしかったのか、何度も発表会の話をしたり、撮影したビデオを何度も観たりしていました。今まで行事にはきちんと参加できていなかった長男が初めて全て参加できたことにより、忘れられない貴重な成功体験となりました。執筆/プクティ(監修:新美先生より)園での行事参加について、詳しく教えていただきありがとうございます。園や学校の行事は、一般の多くのお子さんがそれなりに楽しんで参加されますが、自閉特性、ADHD特性、不器用さなどのあるお子さんにとっては、いつもと違って見通しが持てない、練習が大変、興味が持てない、注目されるのが苦手、人が多いのがつらい、放送や音響の音がうるさい、などなど、書ききれないほどのトラップがあってなかなか参加できないことはしばしばあります。ただ、お子さんによっては練習には参加できなくても当日ぶっつけ本番でやってのける子もいる中で、練習に参加していないから当日の集団演技に参加させてもらえないなんて、切ない対応ですよね。めげずに、最後の発表会は準備をしっかりして臨んだプクティさんの親としての思いに心を打たれました。まだ習得していない、運動・ダンスや楽器演奏、劇のセリフなどは、集団で練習するよりも個別で練習したほうが安心して練習に専念できるので身につけやすいです。個別に練習してだいたいできるようになってから、園での集団の練習に加わるというのは、とてもよいやり方だと思います。小学校での行事でも応用できますね。身につけるのに時間がかかりそうな場合、少し早めに内容を教えてもらって、余裕をもって家で練習を始めるというのもよいかもしれませんね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月07日保護者にとってもつらい……。癇癪への対応Upload By 発達ナビPLUSお子さんの癇癪や「こだわり」にお悩みを抱えているご家庭も多いのではないでしょうか。例えば、・数字や食材など、特定のものに強いこだわりがある・自分の思い通りにいかないないと激しく怒る・見通しが崩れるとパニックになり、なかなか落ち着けないなどお子さんによって、さまざまな困りごとがあるかと思います。癇癪や「こだわり」への対応は、保護者にとってもエネルギーを削られるものです。特に「こだわり」によってなかなか日々の生活が前に進まない、外出先でも癇癪がある、といった場合は、家族への影響も大きいかもしれません。今回、お子さんの癇癪に対する悩みが軽減したとお話ししてくださったAさんも、以前は深く悩んでいた一人。Aさんがどのようなサポートをしたのか、ストーリー仕立てでご紹介します。ワンオペで限界のなか、相談して見えてきた「子どもなりの癇癪の理由」●Aさん(仮名)<お子さん>・3歳・ASD(自閉スペクトラム症)の疑いあり<Aさんのお悩み>・お子さんの強いこだわり・お子さんが思い通りにいかないと泣き叫ぶことがつらい・夫に相談しても理解を得られないうちの子はこだわりが強く、幼稚園から帰ると、おやつを食べる→ブロックで遊ぶ→17時に好きなテレビアニメを見る、というルーティンを守らないと気が済みません。少しでも予定が崩れると激しく怒り、特にアニメの放送がお休みになったときなどは、2時間ほど泣き叫ぶこともありました……。加えて、負けや失敗を受け入れることができず、ゲームで負けそうになると「もうやらない!」と怒ったり、工作でうまくできないとぐちゃぐちゃにしたりすることも多く、園生活は大丈夫なのかと心配になるほどでした。Upload By 発達ナビPLUSしかし、園ではとても大人しいらしく、先生から見て対応に困るような場面はないようです。また、夫は普段は深夜に帰宅し、出張も多いので癇癪を目の当たりにすることが少なく「子どもってそんなものじゃない?」と取り合わない態度でした。小児科で相談してみたこともありましたが、医師からは「ASD(自閉スペクトラム症)かもしれませんが、一旦年長さんになるまで様子をみましょう」という言葉のみでした。診断も確定せず、家族に頼れる人もおらず、一人で子どもの癇癪と向き合わざるを得ない毎日で、途方に暮れていました。Upload By 発達ナビPLUSそんな時に、専門家に自分の子どものことを相談できる「発達ナビPLUS」を知りました。こだわりと癇癪を何とかしたい一心で「専門家への相談」サービスで相談を送ったところ、・うちの子ならではの癇癪の理由の分析・家で私ができそうな手立てと改善の見通し・園との連携のコツなどが詳しく盛り込まれた回答が届いて驚きました。私は「どうにかして癇癪をやめさせたい」とばかり考えてしまっていたのですが、 「なぜこだわるのか?」理由を探ることが大事という指摘に、なるほど!と思いました。ほかにも、・聴覚と触覚の感覚過敏の可能性があるので、園での負担が大人の想像以上に大きい可能性がある・園でとても頑張っているので、家では求めるハードルを下げるほうが良いという見立てや、子どもの興味・関心を活かした目からウロコな切り替え方法も複数記載されていました。Upload By 発達ナビPLUS何度か相談を続けるうちに、癇癪・こだわりのなかにもいろいろな理由があることを知りました。回答を読み返しながら「私一人ではこんなところまで気づけなかったな」「一緒に子どものことを考えてくれるってありがたいな」と感じました。また、何かと叱ってしまうことが多く、子どもの自己肯定感の低さが心配だったので、「自己肯定感を育む関わり方」のライブ配信にも参加しました。事前質問や当日もチャットで質問できるので、他の参加者の悩みも聞くことができ「一人ではないんだ」と思え、また参考になることも多かったです。子どもも、癇癪が全てなくなったわけではありませんが、少しずつ活動を切り替えられることや、状況に応じて相手の言うことを受け入れられる場面が出てきたように感じます。遊び方もバリエーションが広がってきて、先日「ブロックでこんなの作れるかな?」とさりげなくリクエストしたら、応えてくれました。幼稚園から帰ってからのルーティンも、アドバイスの実践でだいぶ楽になってきています。発達ナビPLUSを利用することで少しずつ見通しが立ってきて、気持ちがちょっとラクになりました。今後は小学校に向けた準備や、入学後に出てくるであろう困りごとを引き続き相談させてもらいたいと思います。Upload By 発達ナビPLUS発達支援の専門家に相談できる「発達ナビPLUS」ここまで、発達ナビPLUSを利用するAさんの体験談を、ストーリー仕立てでご紹介しました。子育ては、ご家庭だけで抱え込まず、第三者に相談することがとても大切です。周囲には言いにくいことや理解してもらいにくいことでも、発達の専門家に相談することで、対応の見通しが立つことや心の負担がぐっと軽くなることもあります。発達ナビPLUSは、お子さまのサポートだけでなく、保護者の子育てに関するストレスについても寄り添います。「どう対応したらいいか?」「子どもの将来の不安を吐き出したい」といったお悩みや、子どもの理解を深めてより良い関わり方をしたい方にもおすすめです。今なら月額3,300円(税込)が初月0円になるクーポンをプレゼント中です。ぜひ、お得なこの機会に発達ナビPLUSをのぞいてみてください。クーポンコード:plus240920有効期限:2024年9月20日23時59分※サイト内で取得できるクーポンコードと異なりますのでご注意ください。こちらに記載の特典をご利用いただくには、入会手続きページにて上記クーポンコードをご入力ください。※入会初月は月額利用料3,300円(税込)が0円 、2か月目以降は月額利用料3,300円(税込)で発達ナビPLUSをご利用いただけます。※本サービスは1年プランです。12か月以内の解約の場合には、契約解除料として残存期間の利用料金の20%が発生いたします。※お問合せはinfo_plus@h-navi.jpまで(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月06日マユユの食べられるものと悩みわが家は私・長女・次女・夫の4人家族で、長女マユユは2歳の時に発達障害の診断を受けています(ASD/自閉スペクトラム症・軽度知的発達症/知的障害)。離乳食はけっきょくあまり食べられないまま終わり、次にはじまったマユユの幼児食。しばらくは目新しいものも口に運んでいましたが、次第に”見慣れないものは口に入れない”ようになっていきました。こだわりや警戒心が強いタイプなので、そこからはなかなか食べられるものは増えず……悩みは増えていきました。Upload By サチコ現在まで安定して食べてきたものは、白ご飯・肉や魚を焼いたもの・果物複数・トマト・スープ2種類など。どろっとした歯応えのないものは総じて苦手な様子なのと、食べ慣れたメニューを繰り返し食べたがります。麺類や粉物などほかにも食べられるものがあるのですが、好んで食べる時期もあれば、まったく食べない時期もあり……こだわりの強さによる波なのかな?と思っています。私自身も今は、苦手なものを克服させたい!という気持ちはあまりなく、その時に食べられるものから栄養がある程度取れればというスタンスではあります。しかし、肝心の「その日食べてくれるもの」が分からないのも大きな悩みです。食べられるものが増えた瞬間そんな食べられるものが増えにくいマユユですが、これまでに何度か「突然食べるようになった瞬間」がありました。Upload By サチコ3歳の頃マユユは、あるアニメを気に入って観るようになったのですが、その中で生野菜を美味しそうに食べるシーンがありました。そしてある日、私がキッチンで野菜を切ろうとしているとそれをちょうだいとマユユが要求してきたのです。(まさかね)と思いながらも少し期待して野菜を渡すと、マユユはパクリと食べてしまいました。初めは「キャラクターの真似をしたい」といった雰囲気でしたが、次第に「食べられるもの」の一つになりました。さらに同じような経緯で、ある日今まで食べなかったハンバーガーにかぶりつき完食。具材とパンが一緒になっているようなものを食べられないと思っていたので驚きました(サンドイッチやホットドッグは、パンだけちぎる、具材だけ食べる感じでまだかぶりつけません)。それからは、ハンバーガーを食べられるようになりました。ハンバーガーについては食べ物の歌でとても気に入っているものがあり、それでとても強い興味を抱いている様子がありました。Upload By サチコ食事が進んでいなかった理由これまで、料理を見た時や料理名を伝えた時はうれしそうなのになぜかあまり食べないな……ということが割とありました。「好きなはずなのにどうして食べないの?」とモヤモヤしながらも、試行錯誤しているうちに分かったことがありました。それは、”手や口が汚れるのを嫌がる”という点でした。マユユは同年齢の子に比べ食具を扱うのが苦手です。焦れてよく手が出てしまうのですが、手が汚れたままでは次にどうして良いか分からず、困ってフリーズしているようでした。Upload By サチコしばらくすると、汚れたらすぐそばのティッシュをとり拭く→食べる→拭く→食べる……と自分で行うようになり、食べ進みが良くなりました。以前は”食具を使えるのになぜ手で食べるのか?”など疑問に感じて、時には叱ってしまうこともありました。しかし今思えば、使えるように見えていてもスムーズに食事ができておらず、本人にとってはストレスだったのだと思います。不器用さを理解してからは”叱っても解決しない”と思い直し、”フォークでぶす!ってしてみる?”のような声かけにして、叱らない、手だろうと食べていること自体をたくさん褒めることに意識を向けました。そうしていると、不思議とマユユが頑張って食具を使ってみる様子や、”最後にもう一口”を頑張ってみたり、反発せずこちらの声かけに耳を傾けてくれることが増えました。成長にともない、褒められてうれしいという感覚も出てきたのかなと思います。最近の様子についてUpload By サチコ現在もまだ外食や給食では”白飯のみ・お肉やポテトのみ”のような具合ではありますが、自宅では見慣れない食材をすすめてみた際に少しかじってみることができる時も。以前であれば「絶対に口に入れない!」という強い意思を感じましたが、本人の内面や人との関わりの面の成長で、ちょっとやってみようかなの気持ちが芽生えたように思います。口にできたからとすぐに食べられるものが増えるわけではありませんが、大きな進歩だと思います。次は、いかに楽しく食具の練習をするか、興味を持ってもらうかを考えているところです。食べること自体は好きな様子なので、マユユにあったやり方で、私も本人もラクな方法で、ご飯を楽しめる道をゆっくり見つけていきたいです。執筆/サチコ(監修:新美先生より)娘さんの偏食問題について詳しく聞かせていただきありがとうございます。サチコさんが本文で説明していただいたように、偏食についてはさまざまな要因が絡んできますね。その一つひとつに丁寧にアプローチして、無理しすぎず食べられるものが増えてきた過程がとてもよく伝わってきました。食事自体を嫌いになったり、警戒モードにしないように、無理強いしすぎず、あきらめずアプローチされる様子が素晴らしいと思いました。しつけ的に厳しく食べさせようとすると、警戒心が増して、かえって拒否が強くなったり、食のこだわりが悪化することもあります。焦らずゆっくり、本人の興味やモチベーションを引き出して、だんだん食べられるものが増えていくというのがよいと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月06日勉強についていけない娘。特別支援学級への転学を考えるようになるも……5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けている小学4年生のみき。小学校へ入学する際は、就学相談で知的障害特別支援学級に入るか相談しましたが、IQが入級基準以上だったため通常学級に通っていました。しかし学校の勉強についていけなくなったみきの自己肯定感は下がるばかりで、追い詰められたみきは「学校へ行きたくない」というように。一方母は、学校公開でのみきの様子を見て、少人数で見てもらえる特別支援学級のほうがいいのではと考えるようになったのですが――。マンガ「発達障害の子どもと私たち」みき編第3話Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談教育委員会へ転学希望申請を提出。判定委員会の結果は?Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談ASD(自閉スペクトラム症)小4のみき。希望するも自閉症・情緒障害特別支援学級には入れなくて……発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたストーリー「発達障害の子どもと私たち」みき編第3話をお届けします。ASD(自閉スペクトラム症)のあるみきは、通級指導教室へ通いながら通常学級に所属しています。ですが、小学4年生になり学校の集団授業についていけず、登校渋りが出るようになりました。保護者は少人数で見てもらえる特別支援学級を考え、自閉症・情緒障害特別支援学級を希望したのですが、判定は不可。「クラスが変わればきっと楽になる」と思っていたみきは、その結果を聞いて大泣きしてしまいました。「今のクラスだったらもう学校に行けない」というみき、果たしてこのままみきはつらい思いのまま学校へ行かなければいけないのでしょうか。次回は第4話(最終話)「特別支援学級への転学は白紙に、娘は号泣…しかし「あること」に望みを繋げ教育委員会へ【マンガ発達障害の子どもと私たち/みき編第4話】」ぜひご覧ください。特別支援学級へ転籍するときの留意点は【専門家解説】在学中に通常学級から特別支援学級へ転籍するときには、実際に見学に行き体験してみることが大切になってきます。また、本人の希望や保護者の意見が分かれてしまうのはよくないので、どうしたいか考えを一致させていくことが大切です。通級指導教室は特別支援学級に行くと受けられませんので注意が必要です。一般的には学級を変えるチャンスは年度の始めしかないので、早めに相談を始めておくほうがいいと思います。特別支援学級へ途中で転籍するときには、本人の希望、実際に体験してみることが必要になってきます。もう一つ大事なことは、みきさんの事例のように、特別支援学級の種類に関するところです。一般的に自閉症・情緒の特別支援学級では、通常の学年と同じように学習内容は進行していきますが、知的障害の特別支援学級については、学習の進度は学年相応というようりは本人の発達や学力に合わせて行われます。ただし、みきさんのように自閉症・情緒の学級の条件にも当てはまり、知的の申請条件にも当てはまる場合は、クラスの人数やメンバーとの相性なども考慮してより適切な環境で学習できるように相談していくことが大切です。一般的には学級を変えるチャンスは年度の始めしかないので、早めに相談を始めておくほうがいいと思います。Upload By ユーザー体験談発達が気になるお子さんの就学先、所属クラスなどについて詳しくは以下をご覧ください。【マンガ発達障害の子どもと私たち】ぜひご覧ください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月05日最近の財布事情…Upload By SAKURAUpload By SAKURA中学生になって、自分でお金の管理をしている、ASD(自閉スペクトラム症)の娘。最初は会計の時、金額に合わせて硬貨を選ぶことが苦手で、レジでパニックを起こしていましたが、今は安心して見ていられるようになりました。しかし、財布からお金を出す際……なかなか財布の中の硬貨が何枚あるか、把握できなかったり、さらに指でうまく取り出せなかったりすることが多く、混んでいるレジで時間をかけすぎてしまい、見ていてハラハラすることがあります。『中身が見えて取り出しやすい』のモニターをしてみた!(開発中)Upload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURA今回、LITALICO発達ナビ×フェリシモC.C.Pのコラボ企画で開発中の『中身が見えて取り出しやすいネックウォレット』試作サンプルを使わせていただきました。紐がついていて、首からかけられたり、肩に斜めにかけられるので、ポシェットのような感じ。見た目も可愛いので、ファッションに辛口な娘の評価は◎でした。中の小銭入れやカードケースはスケルトンになっていて、外からでも硬貨がいくらぐらい入っているか分かりやすく、支払い時に慌てなくて済みます。出し入れもやりやすく、紐の調整も簡単でした。また、紐は柔らかいので、小銭を多く入れて、ネックウォレットが重たくなってしまっても、首が痛くなりにくかったです。本が好きな娘は、人からプレゼントで図書カードをもらうことが多く、本屋さんに行く時に図書カードを入れて愛用しています。執筆/SAKURA発達ナビ×フェリシモC.C.Pの、発達が気になるお子さまやご家族が快適に過ごせるための商品づくり第6弾が進行中です。今回SAKURAさんにモニターいただいた『中身が見えて取り出しやすいネックウォレット』について簡単なアンケートを行っていますので、ぜひご協力をお願いします!お寄せいただいた回答を参考に、2025年2月リリースを予定しています。お楽しみに!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月04日秋冬は忘れ物の季節…こんにちは!ASD(自閉スペクトラム症)&ADHD(注意欠如多動症)の中1長男、ADHD小3次男、母である自分もADHDグレーゾーンのよいこです。さて、ADHDの特性が強めのわが子たち、そして私には、もうすぐ受難の季節がやってきます……。そう、秋冬は手袋、マフラー、帽子など、防寒のために身につけるものが多くなります。例えばここに座ろうか、ごはんは何にしようか、電車から降りようか……と意識をほかに向けたそのほんの一瞬で、手品のようにモノを失くしてしまうのです……!手袋が片方ない、帽子をどこで脱いだか忘れたなんてのは日常茶飯事。怒るのにも疲れて、失くしたら新しいものを買う、の繰り返しで増える片方の手袋たち……。ため息しか出ません(笑)。Upload By よいこ『忘れ物防止ゴムホルダー』をモニターしてみた!(開発中)そんな中、LITALICO発達ナビ×フェリシモC.C.Pのコラボ企画で開発中の『忘れ物防止ゴムホルダー』の試作サンプルを使わせていただきました。手提げカバンやリュックなどにキーホルダーのように取り付けて1.帽子やマフラーなどを挟んで2.ベルトを引っ張って固定して使用するたった2ステップ、しかも工程がとても簡単なので、手先が不器用な小3次男でもすぐに使いこなすことができました。おかげさまで、注意力散漫でモノを失くしやすい一家が、モノを失くさず秋冬を乗り越えられそうな予感です!Upload By よいこ執筆/よいこ発達ナビ×フェリシモC.C.Pの、発達が気になるお子さまやご家族が快適に過ごせるための商品づくり第6弾が進行中です。今回よいこさんにモニターいただいた『忘れ物防止ゴムホルダー』について簡単なアンケートを行っていますので、ぜひご協力をお願いします!お寄せいただいた回答を参考に、2025年2月リリースを予定しています。お楽しみに!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月04日個と環境の相互作用とは「個と環境の相互作用」とは、個人の特性と、場所や人、物といった環境が相互に影響することで、障害や困りごとが現れるという考え方です。また、この考え方のもとでは、それら両方向の視点で働きかけることで、障害や困りごとの軽減を目指していきます。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO発達特性検査※でも、この考え方を大切にしています。お子さまの生きづらさや困りごとが「お子さま」と「環境」の相互作用で生まれると考え、監修を担当した検査結果のレポートでも、その立場から環境を調整する方法や、本人のスキルを獲得する方法といったサポートの方法を提案しています。※LITALICO発達特性検査は、お子さまと保護者さまが感じている困りごとに対して、その特性の現れ方や背景、具体的なサポート方法が分かる検査です。オンラインで検査に回答するとすぐに結果が得られ、検査結果によって、お子さまの特性の現れ方の傾向や困っている事柄への対応方法のヒントが得られます。「個と環境の相互作用」の視点で困りごとを捉え、軽減する手段について、いくつか具体例をご紹介します。課題への対応は環境調整や個人のスキルを獲得するなどの方法が考えられます。【個】視力が弱い【困りごと】裸眼で周りのものがよく見えない【環境調整】メガネをかける/文字を大きくする/黒板から近い席にするなど裸眼だと視力が弱くて見えにくい状態でも、メガネをかけて視力矯正したり、見えやすくなる工夫をすることで、困りごとや障害を軽減できます。発達特性に関しても同様の考え方ができます。【個】聴覚過敏があり、ざわざわした音が苦手【困りごと】授業中の周りの音が気になって、教室を飛び出してしまう【環境調整】音が気にならない位置に座席を変える/ノイズキャンセリングイヤホンやイヤーマフを使って苦手な音を軽減する/苦手な音が多い授業では休憩を入れるなど【個人のスキル獲得】苦手な音源から距離を取る/好きなことや集中できることをするなど、苦手な音から気を紛らわす方法を見つけるなど「医学モデル」・「社会モデル」と「個と環境の相互作用」いわゆる障害についてのアプローチには、大きく2つの立場があると言われています。その一つが、本人への治療や働きかけによって困りごとをなくそうという考え方で、これを「医学モデル」と言っています。一方で、障害が周囲の環境によって作り上げられるものと捉え、社会の環境を変えることが障害をなくすことにつながるというのが障害の社会モデルの考え方です。「個と環境の相互作用」は、医学モデルと社会モデルを統合したもので、個人の問題と社会の問題、どちらかだけではないという立場の考え方です。つまり、障害を個人と周囲の環境双方から捉え、状況を全体的に理解することで困りごとや生きづらさを軽減していくということです。これは2001年に世界保健機関(WHO)によって採択されたICF(国際生活機能分類)での主な考え方でもあります。「個と環境の相互作用」を具体的に活かすポイント家庭や園・学校でのお子さまの困りごとに対しても「個と環境の相互作用」の考え方を使って工夫できる場合があります。まずは、個人の特性と環境それぞれを知り、それらの両面から、対応方法を検討します。困りごととなって生じている具体的な行動をピックアップすると、どのように対応するとよいかを考えやすくなります。課題が複数ある場合でも、ある特定の場面の具体的な行動に絞って一つずつ取り組むことをおすすめします。その際のポイントとしては、本人のスキル獲得も合わせて検討することです。前述の聴覚過敏の例のように、環境調整だけでは難しい場合もあるので、双方から考えるといいでしょう。お子さまの特性や状況について、洗い出したり保護者の方が自分で判断したりするのが難しい場合や、対応方法が分からない場合もあるかもしれません。そのような時にはLITALICO発達特性検査を活用すると、理解しやすい情報がまとまって提示されます。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO発達特性検査の検査結果レポートを使って、「個と環境の相互作用」の視点で対応を考える方法を具体的にご紹介します。LITALICO発達特性検査では、検査結果の回答から、お子さま一人ひとりに合わせたレポートが出されます。そのレポートも「個と環境の相互作用」の考え方でフィードバックされるものが多くあります。例えば、以下のようなお子さまの困りごとを例に考えてみましょう。・いつもと違うことがあると、パニックになりやすい・スケジュールの変更を受け入れられずに癇癪を起こすなど生活する上では、思い通りにならないことや、予定などの変更が必要になることもあるので、うまく受け入れられるようになってほしい、パニックや癇癪を起こす場面を減らしたいというお悩みのある保護者の方も多いと思います。上記のような困りに対して、LITALICO発達特性検査で表示されるレポートの一例をご紹介します。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部このように、まず、お子さまの特性や、困りごとの現れやすい背景要因が提示されます。ここでは、個の特性と、環境や条件などの相互作用によって困りごとが起きやすいことが分かりやすく紹介されています。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部検査結果レポートでは、単にお子さまの支援目標が提示されるだけでなく、その困りごとが「個と環境の相互作用」によって生じるという基本的な考え方に沿って、お子さま個人のスキルへの働きかけだけでなく、環境調整も視野に入れた対応方法も提案されます。上記のように、環境を調整することで困りごとが起きにくくなる方法など、特性に合わせ、うまくいきやすい対応方法に取り組むヒントが得られます。環境と個の双方向の視点で、お子さまの行動にアプローチ「個と環境の相互作用」の視点で捉えると、お子さまの特性を「いい・悪い」で評価したり、周りの環境を責めたりすることなく、どうしたら困りごとが生じにくくなるかという点に集中して考えやすくなるのではないでしょうか。それが本人と周囲の人、みんなで前向きに考え、困りごとが軽減できるヒントにつながります。お子さまの困りごとについて、実際の場面で具体的に対処法を考える場合、特性と環境のどちらかだけに原因があるかを追及することはあまり意味がないとも言えます。「なぜできないのか?」と責められているように感じたり、お子さま自身も否定されたと感じてやる気や自信を失ったり、逆に頑張りすぎたりして、問題の解決から遠ざかることもあります。それよりも、お子さまにどのような特性があるかを把握し、困っている行動の一つひとつについて、それらの特性と、どのような環境が相互に作用して困りごととして現れるかを考えていくことが、日々の取り組みでは有効です。その際には、環境をお子さまに合うように整えていくことと、お子さまがうまくできるような「個」に働きかけるサポートの両面からのアプローチが大切です。保護者の方が自分で分析するのが難しい場合もありますが、その場合にはLITALICO発達特性検査や専門家への相談などを活用し、できそうなところから少しずつ取り組んでみてはいかがでしょうか。
2024年09月03日一生懸命甘えさせても、自己肯定感が育ってくれない娘わが家は姉・弟・弟の3人姉弟、3人共にそれぞれ診断が出ています。一番上の娘は現在中学3年生、11歳直前でADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けました。授業中折り紙など別のことに熱中し、気付くとほかの人は別のことをやっていてる……ということが多かった娘。不注意の傾向が強いため、苦手な「ー(マイナス)」がある数学の式は大体間違えます。私が解き方を教えたりして対応しています。私に対してや、信頼している先生にはすごく甘えますが、私が一生懸命甘えさせてもなかなか自己肯定感が育ってくれません。先生たちには「娘はほかの人より愛情で満たしたい器が大きすぎて、いくら頑張ってもいっぱいにならないように感じています」と説明しています。そんな娘は、中学校の一時期学校へ行けなくなる事がありましたが、ある出来事がきっかけで登校できるようになりました。その経験をお話したいと思います。少しずつ積みあがった小学校時代の友だちトラブル。そして娘はストレスで髪を食いちぎるように……娘は、2学年上の近所のお姉さんと一緒に登校していました。こちらは送り出したら一安心でしたが、娘は途中の草花などにいちいち立ち止まるそうで、お姉さんが何度も声をかけて学校に連れて行ってくれたようです。ですので一人で帰る時は寄り道ばかりになり、大人の足で16分の距離を1時間以上かけて帰ってくることもありました。小学1年生の頃、幼稚園の時仲が良かった男の子と一緒に帰るところをほかの男の子たちから「カップルだ」とからかわれ、それ以来男の子が苦手になりました。また休み時間「外で一緒に遊ぼう」と女の子から声をかけてもらった時、「今、本を読んでいるから」と断った娘。それから「女子たちから陰口を言われている気がする」と感じるようになり、クラスで孤立していったようです。仲がいい特定の女友だちの存在が救いでしたが、彼女とは途中でクラスが別れることとなりました。Upload By ユーザー体験談このように、友だち関係でのトラブルが増えて行った娘。小学4年生の時、一緒に学校に行っていたお姉さんが卒業、続いて小学5年生の始めにコロナ禍で休校になった時、限界を迎えました。休校中のある日、末の弟が家のあちこちに髪の毛の束が落ちていることに気づきました。娘がストレスで髪を食いちぎっていたのです。「これはまずい」と思った私は、娘にゆっくりとなにか苦しいことがあるのか話を聞きました。そこでそれまでの友だちトラブル、「もう私、ぼっち確定だ」と嘆くに至った背景を知ることができました。Upload By ユーザー体験談そして、娘は弟が通っていた児童精神科でADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断。そこから小学校に相談をして、スクールカウンセラーの先生に話を聞いてもらったり、教頭先生やほかのコーディネーターの先生などにも様子を見てもらいながら、休校開けはどうにか学校へ通うことができました。担任の先生が優しい女性だったのが幸運だったと思います。そこからは仲のいい友だちと同じクラスにしてもらうなどの配慮を受けながら、学校へ通い続けることができました。中学校へ進学。巡回相談、放課後等デイサービスを利用し環境を整え学校へは通えていたけれど……中学校では通常学級へ在籍することになりました。学校との協力、巡回相談、放課後等デイサービスを利用しながら、娘が苦しくない方法を模索し続けました。放課後等デイサービスには中学1年4月から通い始め、学習面のサポートや居場所を作ってもらえました。他校の友だちができたり、料理や裁縫、小物づくりなどで先生に褒めてもらったり、そこにいくと楽しすぎて120%のエネルギーが出るそうです。放課後等デイサービスに行き始めて半年ほどで驚いたことは、爪が伸び始めたことでした。ストレスで爪を嚙むことがある娘は常に深爪で、きれいに爪が伸びた姿を見ることはないと思っていた私。足、手としっかり伸びた美しい爪を見たときは、とても嬉しく、感動しました。担任の先生は巡回相談以外の時間にも細かく娘の状況を教えてくださいました。1年、2年と仲がいい友だちと同じクラスにしてもらえたおかげで、学校にも安心して行けていました。ですが、中学2年生の10月頃から2ヶ月程、急に不登校になりました。中学2年生の秋、突然学校へ行けなくなった娘原因はこれと言い切ることはできませんが、おそらく体育祭を欠席したことだったのかもしれません。体育は苦手ですが頑張って練習をしていた娘。ですが、当日体温が37度になり、喉頭痛もあったことから「新型コロナウイルスかもしれない」と体育祭には行くことができませんでした。それから朝になるとうつっぽくなったり、微熱が出ることが増えました。コロナは陰性だったにも関わらずです。部屋にこもった娘はこのように話していました。・なぜか気分が上がらない。やる気がおきない。自分がだめだと思ってしまう。・友だちがいる学校に行きたいけれど、勉強が全然分からない。・ママに言われて頑張って苦手な数学の通信教育を頑張っても全部バツになってしまう。頑張っても頑張ってもバツになるからとても悲しい。・パパやおばあちゃんにいろいろ言われている。「やらないならもったいないから通信教育をやめろ」「あの子は学校行かないで大丈夫なのか」「また学校休んでる」など1階で話しているのが聞こえる。部屋で動画を見て聞かないようにしている。少しでも娘の気持ちが楽になるようにと、私の姉二人と姉の息子でグループチャットを作り、なにかやったら写真に載せてみんなから褒めてもらったり、AIとおしゃべりできるアプリを利用したりしました。病院でさまざまな検査をしましたが、身体的な病気はありませんでした。心の問題かもしれないということで、かかりつけの精神科と相談し投薬を調整、12月から朝行けそうな様子であれば、1時間や2時間ほどの短い時間、学校に行くようになりました。私が学校まで送り、帰りは自力で帰り、できたら褒めるを繰り返しました。初めて学校へ復帰した日は、仲良しの友だちと休み時間に抱き合って再会を喜んでいたと、当時の担任先生から教えてもらいました。学校へ行きたいのに、さまざまな苦しみを抱えて行けない娘。やっと友だちに会えてよかった……と感無量でした。Upload By ユーザー体験談「学校へ戻らないと」スイッチが入った娘が始めた「あること」中学3年生に進級する前の3月のことです。娘より年上の従兄は高校に進学を控えていました。従兄は雑談の中で娘に「高校に行くには遅刻も欠席もしちゃだめなんだよ」と言ったそうで、これを聞いた娘は「自分で学校へ戻らないと」と、スイッチが入ったようでした。ある日娘は「春休み中、ママのお弁当を作るね」と言い出しました。インターネットでお父さんのお弁当を作る娘の動画を見て、自分もやってみようと思ったそうです。「今まで7時に起きられなかったけど、もっと早く起きることになるよ?」と言うと「やってみる」と娘。朝6時に起きてお弁当を作る日々が始まりました。パパが「いいな~。ママだけ」と言うので、「じゃあパパの分もおまけで作ってあげる」と夫の分も作ってくれる事になりました。そして4月、学校が始まってからも6時になると自分で起きて野菜を切ったり、炒めたりしてしっかりしたお弁当を作り続けてくれています。中学1年になった弟の弁当も加わりました。娘はお弁当の残りを自分の朝ごはんにして、身支度をして7時40分に家を出発。遅刻することなく登校する生活ができるようになりました。「今のところ無遅刻無欠席だからこれからも頑張る!」と言って……。Upload By ユーザー体験談自分で決めて一歩踏み出した娘なにがきっかけになるか分からないですが、本当に嬉しいです。これがさまざまなやる気につながるように、よく褒めて見守っていきたいと思います。ただ、頑張りすぎて疲れてしまうことも当然あると思います。そんなとき、娘の安全基地でいられるよう、娘の様子には目を配っています。これからどんどん大人になっていく娘。自分の力で自分のやりたいこと、なりたいことに真摯に向き合って、夢をかなえて幸せになってほしいです。自分に自信をもってチャレンジする力を持ってほしいです。その一歩に今、立ち合えている気がします。娘のお弁当に私は毎日幸せと元気をもらっています。イラスト/ネコ山エピソード参考/まんまゆうまま(監修:鈴木先生より)ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんはこだわりが強い傾向にあります。そのルーティンをやらないと気が済まないのです。そのために、からかいやいじめのターゲットになりやすいという面があります。今回は従兄との雑談が功を奏したようですね。ちょっとした一言にこだわり、結果登校できたのならばそれで良しとしましょう。そして、お弁当作りもたまたまインターネットを見て自分でやってみようと考えたのは立派なことですね。なお、お弁当作りや無遅刻無欠席もこだわりがあれば継続できますが、ちょっとでも寝坊したり、遅刻したりした場合はその法則が崩れてしまう可能性も秘めています。ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんはほかの子同様、自分の思った通りに事が運み、その結果親から褒めてもらうと機嫌よく過ごすことができます。それが継続できるようにお母様は日々娘さんを見守ってあげてくださいね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年09月03日学校に何をどこまでお願いできるの?学校生活や授業でわが子が困っていて学校にお願いしたいことがあるけれど、忙しい先生にどこまでお願いできるのか、どうやって伝えたらよいか悩むこともあるかもしれません。発達ナビのQ&Aコーナーでも、学校での支援や合理的配慮についての質問が複数寄せられています。小学校へ合理的配慮をされた方の学校・担任・校長へのアプローチの仕方等経験談を聞かせていただきたく投稿させて頂きました。うちの息子は、小4男子で、授業中机の上に教科書・ノートは出さない、成績は低い、九九は言えない、テストは受けない、割り算のやり方が時々わからなくなり、勉強の遅れが心配です。公立中学での合理的配慮、どんなことをしてもらっていますか?(略)これから話し合いが行われますが、学校には「前例がない」と何度も言われており、前例がないなら作りましょう、と言っても呆れられている状況です。小学校の先生に、席変えについて配慮をお願いすることは非常識でしょうか?正直、あまり期待できそうにもなくて、、、辛い気持ちです。2年生の男の子で、高機能自閉症の診断済みです。※以前は、自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などいろいろな名称で呼ばれていましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において自閉的特徴を持つ疾患が統合され、2022年(日本版は2023年)発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症(ASD)」という診断名になりました。小学校に入学すると、これまでの園生活に比べて担任の先生と直接お話しする機会がぐんと減ったという方も多いのではないでしょうか。小学校、中学校、高等学校と学年が上がるにつれて、保護者と学校との直接の接点は少なくなりやすいものです。そんな中で、学校へ支援や配慮のお願いをするというのは、保護者にとっても勇気が要ることかもしれません。今回は、学校との連携がうまくいくコツについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。学校へお願いしたいことがあるとき、どうしたらいい?A:学校との連携は、保護者から先生に相談するところから始まることが多いと思います。最初に相談する相手は、基本的には担任の先生になるでしょう。ただ担任の先生だけでなく、各学校に配置されている特別支援教育コーディネーターという役割の先生に相談してもよいかもしれません。特別支援教育コーディネーターは、校内の特別支援教育の推進のため、主に以下の役割を担っています。・校内委員会の企画・運営・関係諸機関・学校内関係者との連絡・調整・保護者からの相談窓口学校へ相談をする際には、初めにどんなことに困っているのかをお伝えしつつ「どうすればいいか悩んでいる」旨を率直にお話するとよいかもしれません。そこから話し合いがスタートして、お子さん本人や保護者の願いと、その学校での人的・物的環境において実行可能なこととをすり合わせていく作業になると思います。例えば「国語のノートをとることが難しい」という場合、ユニバーサルな支援として、クラス全体に・穴埋め式プリントを配る・黒板を書き写す量を減らすなどの対応がとられることもあります。また合理的配慮として、「ノートテイカーを置くことは難しいけれど、タブレットで写真を撮るのはどうか」などのように、いくつかの案から学校としても持続可能でお子さんにとってもよい対応に調整していきます。学校での支援や配慮を検討していく際に、最も大切なポイントは、お子さん本人の意志を尊重し、取り入れていくことです。例えば、「国語のノートは、タブレット端末を使う」と学校と保護者の間で合意していても、お子さん本人が「クラスの中で、自分だけタブレットで写真を撮りに行くのは嫌だな」と思うかもしれません。そういった場合には、まずは他の目立ちにくい場面で使ってみて、お子さん自身が良さを体感し「国語のときも使いたい!」と感じてから、国語の場面でも使ってみる、というプロセスもあるかもしれませんね。支援や配慮は「一度決めたらOK」ではなく、[Plan-Do-See(計画、実行、見直し)]の観点で調整していくことも大切です。まず試してみて、あまりうまく行かなかったら次の手を考えていきます。お子さんも成長しますし、周囲も変化する中で、困りごとの内容や深刻度も変わってくるかと思います。その意味でも、定期的に見直し、お互いにより良い形になるよう調整していけるとよいでしょう。学校との話し合いの際に、次回の話し合いをいつにするかを決めておけると、定期的な見直しの機会を持ちやすくなります。Upload By 発達障害のキホンなかなか支援の話が進まないときには?A: 支援や配慮の内容によっては、担任の先生だけでは判断しにくいこともあります。他の先生にも知っておいてもらうほうがよかったり、学年や学校全体で取り組んだりすることもあるでしょう。そのような場合は担任の先生だけでなく、特別支援教育コーディネーターや、学年主任、管理職の先生などと共に話し合いをすることもあります。教室外でのサポートがあるとよい場合には、養護教諭や特別支援学級の先生などと連携していくこともいいと思います。学校外での支援機関を利用している場合には、そのような支援機関のスタッフに入ってもらってもいいかもしれません。保護者側も一人ではなく複数人で出席する場合もあります。保護者と学校側で「一対複数」となると、やはり保護者側の負担が大きく感じられることもあるので、可能であればご両親やご家族で参加されるとよいかと思います。お子さまの祖父母の方が一緒に来られる場合もあります。ほかにも各校を巡回しているスクールカウンセラーや、自治体によっては学校内での支援体制について独自の制度を設けている場合もあります。例えば横浜市では、「児童支援専任」「生徒指導専任」という役割の先生を全校に配置しています。お子さんが学校で困ったときに、安心して話せる先生が複数いると心強いと思います。お子さん・保護者共に、学校で頼れる相手を見つけていけるとよいでしょう。Upload By 発達障害のキホンまとめ学校へ支援や配慮のお願いをするというのは、保護者にとっても心理的負担があるかもしれません。しかし「お子さんがより学びやすく・過ごしやすくなるように」という願いは、きっと保護者と学校で共通の部分だと思います。「保護者が要求する→学校がYES/NOを判断する」というものではなく、あくまで「すりあわせる作業」になるので、保護者からは「何をやってほしいか」だけでなく「何に困っているか」を具体的にお話していくことがポイントです。また個人に対する合理的配慮というよりは、クラス全体へのユニバーサルな支援で解決する場合もあります。お子さん本人の気持ちや意志を大事にしながら、お互いに無理なく継続可能な方法を見つけていけるとよいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月02日夏休み前、幼稚園の面談。ASD(自閉スペクトラム症)の息子には、心配なことがたくさん……!担任の先生との面談を控えていた私は、相談することや質問することをまとめていました。幼稚園の年中に進級したたーちゃんですが、いくつか心配なことがあったからです。・進級してから登園渋りがしばらく続いたこと・友達が遊んでくれないと漏らしていたこと・クラスの活動が難しくなってもついていけているのか・自宅ではわがまま放題だが幼稚園では大丈夫かなどなど……。Upload By みかみかんたーちゃんがASD(自閉スペクトラム症)だということは、年少の頃から幼稚園に伝えていました。診断書を提出したあとも加配はありませんでしたが、年少では大きなトラブルはありませんでした。いよいよ、面談の時間。想像していたより、幼稚園では頑張っているみたいでひと安心……?和やかな雰囲気で始まった面談。担任はベテランの先生です。面談の間は、たーちゃんは幼稚園の体操クラブに行っていたので、本人の前では話題にしづらいことも質問できました。・登園渋りについては、クラスに入って少ししたら泣き止んで、その後は楽しく活動できている・友達が遊んでくれないと言っていたが、最近は仲良しのMくん以外のお友達と遊ぶこともある・クラスの活動も、ワンテンポ遅れることはあるが、気になるほどではない・幼稚園ではしっかりしていて、自分でお支度もできている……とのことで、たーちゃんなりに頑張って適応しているのだなと知ることができました。先生からの質問に、戸惑う。私の叱り方が悪い……?私が心配していたことはとりあえず様子見で大丈夫そうだ、とホッとしたのもつかの間。最後に先生から私への質問が。「ご家庭ではどういうふうに叱ったり注意したりしていますか?」Upload By みかみかん私は質問の意図がすぐには分からず、答えに詰まってしまいました。「強い言葉で叱ってしまったから、お友達に悪い言葉遣いをしている?」「私の叱り方が悪いから、何かトラブルがあったのかも?」と、内心焦ります。「あまりにも言うことを聞いてくれないと、本当は脅しみたいでダメだと思うんですけど、『先にお風呂に入らないと遊べないよ』とか、『嫌なことをする子とは遊びたくありません』とか言ってしまいますね」質問の答えになっているか不安でしたが、嘘偽りなく伝えました。注意されているのが分からない?叱られているのが分からない?「クラスでちょっとしたトラブルがあって、たーちゃんを注意した時なのですが……」と、先生は続けて話してくれます。「注意されているのが分からない、叱られているのが分からないみたいで」「どうやってたーちゃんに伝えたらいいのか、相談させてほしいんです」確かに、自宅でもたーちゃんは注意がなかなか入っていかないことがほとんどでした。叱られている時もへらへら笑ってふざけて、なぜ叱られているのか理解できていない態度をとるのです。怒られていたり、叱られていたり、嫌がられていることが、本人にはあまり伝わっていなさそうだな、と私も気づいていました。それは、特性のせいで、相手の表情や雰囲気を読み取ることが苦手だからかもしれません。それでも、幼稚園で頑張りすぎているから自宅では甘えているだけだと私は思っていました。自宅ではできてないことも外ではできていることが多かったので、この「注意が響かない」ことも、外ではできているものだと、深く考えていませんでした。Upload By みかみかん「そうなんです。なかなか謝れないし、悪いことをしたと自覚できていないみたいで」「自分のデメリットになることではないと、謝れないみたいなんですよね」「だから、『嫌なことをする子とは遊びたくありません』みたいに脅しになってしまって……」と、私は先生に注意の仕方について自宅でもどうしたらいいか悩んでいることを話しました。そして、「短い言葉で分かりやすく、その場で注意することを心がけています。対処法が合っているかは分かりませんが……」「今度発達外来で相談してみるので、アドバイスをいただけたら共有します」と先生に伝え、幼稚園の面談は終わりました。悪いことをしたと自覚できない……?どうやって注意したらいいの?発達外来で教わった対処法。Upload By みかみかんその後発達外来でこの件について相談したところ、・注意されたことについて、本人がどう思っているのか聞いてみる・自分がもし注意されたことをやられたらどう思うのか聞く・どうしてそれが悪いことなのかを教える・人付き合いの方法を本や動画で知識として学ぶという方法もあると教わりました。一朝一夕では解決しない問題かと思いますが、たーちゃんを含め周りの人が嫌な思いをしないためにも、夫や担任の先生、療育の支援員さんにも共有して、じっくり向き合おうと取り組んでいます。執筆/みかみかん(監修:初川先生より)たーちゃんの「なかなか謝れない」エピソードの共有をありがとうございます。まず、幼稚園の先生との面談にあたって、聞きたいことをまとめられ、限られた時間を有効活用できるようご準備されているのがさすがですね。気になっていることを先生に聞いてみると、今回のように園ではうまくやれていたり、すでに解決済であったりします。子どもが日々成長している、先生方もお子さんの様子に対応できているからこそと思います。園の先生から質問されると、どうしても構えてしまうものですね。家庭での対応が間違っているのではと一瞬にして頭をかけめぐる感じ、多くの方が心当たりがあると思います。ただ、実際には、今回のエピソードのように、家庭での様子・対応を聞きながら園や学校での対応に活かしていきたいという主旨で聞かれることが多いと思います。まさに「一緒に考える」ということ。面談でそこがなされるのは何よりです。さて、「注意されているのが分からない」ように見える件ですが、これはさまざまな状態があるように感じました。たーちゃんが状況を正しく認識できていないこと。特性由来で相手の表情や雰囲気が捉えづらいのもありそうですし、そもそも年中さんなので状況の認識自体がまだ未熟な面もあるかもしれません。また、注意されているのが分かっていたとしても、その場に応じた表情や言動、態度を取ることができるかどうかということもあります。困ったときに泣いたり、困った表情、申し訳なさそうな表情をしてくれたりすれば周囲はきっとこの注意は届いているんだなと感じますが、そうとは限らない面もあると感じます。怒られて居心地が悪いけれど、どんな表情をしていいか分からないからへらへらしてしまう、そもそも自分の表情まで意識が向いていないなどあるだろうと感じます。発達外来の先生のご助言のように、まずはたーちゃんの認識や思いを聞いてみることは大事です。ただ、その際に適応的な答えとはずれたものが出てくる可能性があります。よくあるものだと、「ぼくは(同じことをされても)嫌じゃない」のように、自分は嫌だと思わないから、相手が嫌な思いをしていることがよく分からないといったものです。強がりで言っている場合もありますが、本当に「相手の立場に立って考える」のが苦手であったり、本当に「自分にとっては平気」な場合もあったりします。そういうときには、周囲の大人はそれを叱ったり注意したりするのではなく、「相手の子は○○されて嫌な気持ちになったんだよ」「○○されると悲しい気持ちになるんだよ」と教えてあげるといいでしょう。そして、相手が嫌な気持ちになったというときは、「ごめんなさい」と言うんだよということも教えてあげるといいと思います。そうしたことが誰に教わるでもなく、自然と状況を見ながら学び取り身につけていく子もいますが、そうでない場合には一つひとつ教えてあげましょう。そしてそのように行動できたときには、「うまくできたね」「いいね!」と承認します。状況の認識の仕方、状況に応じた言動など、子どもがまだ「知らない」(未学習)ゆえにつまずいている場合には、叱る・怒る必要はなく、教えてあげることが最初の一歩になります。まずはお子さんがどの段階まで至っているのか(状況の認識ができているか、相手の気持ちを想定できているか、注意されたときに自分がどんな言動を取ったらいいか知っているか、謝り方を知っているか、謝ることができるかなど)の確認からぜひ、と思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月02日科学への憧れ身も心もボロボロになるほど受験勉強に明け暮れた私ですが、受験のための勉強以外で、大好きだったものがあります。それが理系の分野の学びです。思い返せば、小学生の頃から科学の本が好きでした。母が毎月とってくれていた学習雑誌の科学編を3学年上の兄のぶんまで奪って読むほど、科学に夢中。科学分野かどうか明記のない学習雑誌でも、より熱心に読んだのは物語よりも科学の分野のものだったように思います。身の回りのちょっとした自然現象にも強い興味を持ち、いつも「なぜだろう」と考えていました。中学校の理科で湿度について学んだ時、「なぜ冷たい飲み物を入れたグラスの表面に水滴がつくのか」「なぜ冬の寒い日、窓に結露が浮かぶのか」について初めて納得のいく答えを得て、ものすごく興奮したことを今でも覚えています。鼻血が出るほど科学が好き科学は、一見バラバラに見える世界が、整然とした、そして途方もなく大きな時間的空間的スパンの法則のもとに動いていることを教えてくれます。ASD(自閉スペクトラム症)の少女だった私にとって世界は、いろいろなことがランダムな脅威に感じられる、怖いところでした。自分のことも、まるで「世界からぽっかり浮いた正体不明の宇宙人※」のようで、とても怖かった。※宇宙人という感覚はASD(自閉スペクトラム症)の人がよく抱くといわれていますが、「世界からぽっかり浮いた」というのは、私の二次障害である解離の傾向と関わっていたのかもしれません。その恐怖から逃れたくて、理解可能な規則に基づく安心や納得感、見通し、コントロール感を強く求めていました。そんな私にとって、科学は救いに近いものだったのです。中学に入って最初の理科の授業で先生がしてくれた、位置エネルギーについての話は今でも強烈に心身に残っていて、思い出すと身体中がゾクゾクします。先生が語ってくれたのは、こんな感じの話でした。(私に物理の専門知識はないですし、細かいところは忘れているので、誤った内容が含まれるかもしれません)今、あなたたちはそこに存在して座っているだけで、大きなエネルギーを抱えているのよ。たとえば、私達は今2階の教室にいるけれど、ここの床が急に抜けたらどうなると思う?あなたたちは1階の床に落ちるわね。床に落ちた瞬間、ドーンと大きな音もするかもしれない。落ちた衝撃で1階の床に傷がつくかもしれない。あなたたちがもし、何トンもある重たい物体だったらどうかしら。クレーターができるかもしれない。衝撃波が出て周りのものが吹っ飛ぶかもしれない。落ちたときの強い摩擦で煙や火が出るかもしれない。これが位置エネルギー。あなたたちがそこに静止していられるのは、床があなたたちの体重を支え続けているからにすぎないのよ。私は、周りからぽっかり浮いた存在だと思っていた自分が、宇宙を貫く大きな大きな物理法則に「縛られて」ここに存在しているのであり、まったくもって「世界と無関係」などではなかったのだ、と思い、たいへんに感激しました。そして、「あなたたちはそこに存在して座っているだけで大きなエネルギーを抱えている」という表現は、単に物理的な話としてだけではなく、比喩的な、詩的な話としても響きました。「私は存在しているだけで大きなエネルギーを抱えているんだ、良くも悪くも世の中に影響しているんだ」と思うと、自己否定感の強かった私は、何か強烈に鼓舞されるような感覚を覚えるのでした。マッドサイエンティストになりたかった学校では理科の実験用にお揃いで白衣を買うことになっていたのですが、私はこの白衣が大好きでした。高校の頃、用もないのにそれを羽織ってノシノシと校内を練り歩き、何をするともなく理科室に入り浸っていました。クラスメートが「異常に似合う!」とか言ってくれて、それで気をよくしていた思い出があります。言い伝えられている強烈なキャラクターも合わせて、相対性理論のアインシュタインが憧れの人。理系雑誌を愛読し、実験器具をインテリアとして集め……そんな自分にある種のアイデンティティを感じていて、いつかマッドサイエンティストになりたいと思っていました。あるとき、愛読していた科学雑誌で「誰でも分かる!特殊相対性理論特集」みたいな記事があり、それを血眼になって読んで特殊相対性理論の概要を理解しました。面白すぎていてもたってもいられなくなって、特に仲がいいわけでもないクラスメートをつかまえて30分間かけて一方的に講義したことがあります。もうこの特殊相対性理論の一方的な講義については、何度思い返しても本当に、ASD(自閉スペクトラム症)の私らしい言動だったなと思います(笑)。当時は「クラスメートは面白いと言ってくれた!よいことをした!」とご満悦でしたが、よく思い返せば彼女は断りきれずに我慢して聞いてくれたんだと思います……。泣く泣く文系へそんな私でしたが、高2の時の文理選択ではなんと文系に進み、大学も文系を選びました。だって、絶望的に数学ができなかったんです。物理、化学、生物……誰よりも前のめりで、目をギラギラさせて、鼻血が出そうなほど興奮して授業を聴いているのに、あまりに数学ができないため、テストでは点がとれない。数学、泣きながら必死で勉強して13点をとったことがあります。こんなことでは、仮になんとか受験では受かっても、その後ついてまわる数学に苦労したり、挫折したりするに違いない。悩んだ末、国語や英語は成績がよかったため、文系に進むことに決めました。進んだのは文学作家になるコースでしたが、授業が始まった瞬間、自分には文学に全く興味がない、ということに気づいてしまって愕然としました。同時に二次障害が悪化したのと、家庭環境の悪化も顕著になったのとで、結局勉強にはほとんど集中できないまま4年間の大学生活を終えてしまいました。私は「どの有名4年制大学に行くか」みたいな話しか出てこないような進学校にいたので、高等専門学校というものを知らなかったのですが、30代になって自分の発達障害を自覚したあと、初めて知ることになりました。文系の大学に進まず、理系の高等専門学校に進むなどしていたら、もしかするともっと社会適応できていたかもしれない、と思うことがあります。それでも、今はこれでいいけれど、人生は効率ばかりではありません。私は理系に進まずに人生を「遠回り」したことで、人生をより深めることができたのではないかと思っています。たまたまですが、結果的に今、文章を書くにしろ日本語を教えるにしろ、「言葉を扱う」という人文的なことを仕事にしていることもあり、私の人生はこれでよかったのかもしれないな、と思っています。理系の世界への憧れは、化学の構造式をモチーフにしたアクセサリーを身に着けてニヤニヤするとか、変わった温度計をしげしげと眺めてしきりに感心する、生成AIの活用に没頭する、化学の知識を家事に活かす、などといったことに残っています。文/宇樹義子(監修鈴木先生より)一般的にASD(自閉スペクトラム症)の方は理系に進む方が多いのが現状です。小学校の時は国語が苦手で算数が得意だというのがASD(自閉スペクトラム症)のお子さんにはよく見られる傾向です。例外は限局性学習症(算数不全を伴う)の計算障がいです。国語が苦手なお子さんは算数の文章題が苦手になりやすいですが、算数が苦手なお子さんは計算自体が苦手なので算数の成績だけが悪くなります。そういうお子さんがIQテストを受けると、知覚推理のところだけ数値が低く出るかもしれません。数学が不要な理系もないこともないのですが、科学が好きなら、科学に関した言葉を扱うような文系の仕事が向いているのかもしれません。大学入試も理系から文転する人も多いですが、その逆は理数系教科の影響のため難しいことが多いです。理系っぽい文系がいても悪くはありません。むしろそういう人だからこそできる仕事もあるのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年09月01日中学校のギャップについていけず、少し落ち込むハルわが家の長男ハルは、小4の時にASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断されています。中学生になったハルが最初に戸惑ったのは「制服」でした。制服がダボダボで重いこと、暑い日でも衣替え前は校則上学ランを着ていかなければならないことへの不快感を、私に訴えていました。また、中学生になって初めて着けたベルトの感覚にも慣れないようでした。重い鞄をロープで荷台にくくりつけての自転車登校も「校則」だったのですが、慣れるのに時間がかかり、よく転んでいました。Upload By 安田ふくこさらに、「部活動」でも戸惑いがありました。スポーツが苦手だったハルですが、わが家が暮らす地域の中学は必ず運動部に入らねばならず、バスケットボール部に入部しました。バリバリ「体育会系」の顧問の先生と相性が良くなく、よく怒られていたようです。・先輩よりも先に水を飲まない・自分が受け持ったノルマや、部活後の掃除が終了してもそのまま終わりにせず、周囲を見渡してほかにやることがないか探すなど、『暗黙の了解』として特に言われなくともほかの部員たちがやっていることが、ハルには分からないことが多かったです。Upload By 安田ふくここれは「どうして良いか分からない」状態なのですが、周囲からは「やる気がない」と捉えられてしまい、本人は苦しんでいました。さらに、「定期テスト」も大きなハードルでした。中学校では一度に全教科、広範囲の内容が出題されます。初めての定期テストで思いのほか点数が低かったことに、少しショックを受けていました。小学校では範囲も単元ごとだし、記憶力だけでそれなりの点数がとれていたので、初めての定期テスト後は自分のできなさに驚きを隠せない様子でした。さらに中学では『順位』という、分かりやすい数字で自分の立ち位置が分かります。中学校生活が始まって早々、数々のギャップに落ち込んでいるようでした。中学生、親はどこまでサポートすべき?迷いつつも私がとった行動は……そんなハルの様子を見ていた親の私は、とりあえず、部活の先生にアポイントを取りつけ、本人の特性について話をすることにしました。すると、入学前にも教頭先生や養護教諭に面談をお願いして話をしておいたのですが、先生内で周知されていなかったことが分かりました(あとから周りの話を聞くと、そのようなケースは多かったようです)。そのため、特に接触の多い部活の顧問や、担任の先生には、改めて入学後にも親から個別面談を申し込むなりしたほうが良かったのだな……と思い知りました。Upload By 安田ふくこ学習面では、中学生になってまで……との考えも頭をかすめましたが、その気持ちは横に置いておいて、日頃の勉強やテスト対策に、最初から「中1の2学期までは」と決めて付き合いました。期限を決めることでこちらも心に余裕ができますし、ハル本人には「あとはなるべく自分で!」という気持ちが持てると思ったからです。一問一答形式を繰り返すことで、記憶力が必要な歴史や地理、国語の漢字などは成績がアップすると、本人も分かってきたようでした。英語はまず親しむことから……と、ポップスで英語のみの歌詞を良く聞くようになりました(コレはそのとき英語に興味があった弟からの提案でした)。親しむ、楽しむという点において、それは大正解でした。数学は元々好きな教科だったので、ノータッチでも自分で勉強を進めていました。そんなふうに、自分の特性や得意と苦手のバランスを見て、いろいろ親子で試行錯誤した結果、主要5教科の成績に関しては学年の中でも上位の成績になり、ハルのやる気もぐんとアップしました(不器用ボーイなので、美術や技術・家庭科など実技4教科の成績は、相変わらず底辺のあたりをさまよっていました……)。中学生になる直前、分かった目の特性ハルが中学校に入学する以前から、よく光を異様に眩しがることがあり、私は気になっていました。本人もつらいと訴えるようになったので病院を受診してみると、これは光過敏という症状で、目で光を感じやすい敏感な体質だということが分かりました。受診結果を持って担任の先生や部活の顧問と相談した上で、帽子をかぶらせてもらう、座席を光の影響が受けづらい場所にしてもらう、屋外練習などで光に当たりすぎてつらくなったら、一時的に休憩をさせてもらう、などの配慮を学校で受けられるようになりました。高校受験の際にも、学校に願い出て校長から話をしてもらい、合理的配慮を受けるための書類を提出して、窓際ではない席で受験させてもらうなどができました。Upload By 安田ふくこ本人に聞くと、「小さな頃は『眩しいのが当たり前』だと思ってずっと我慢していたけれど、周囲と比べてもどうしてもおかしいと思った。中学生になって、やっとどれだけツラいかを言葉で伝えられるようになった」とのことでした。障害というほどではないけれど、人より敏感な部分があり日常的に困っている……そんな言葉で伝えるのが難しかった自分の症状を、12、3歳になってやっと言語化できるようになったのでした。高校に合格し進学した後も、校則上の服装にはない、帽子やサングラスなどを使うため『異装届』を学校側に提出して許可をもらうなど、特性からくる困りごとへの対策は今も続いています。そんなハルですが、困りごとを自分の力で克服したこともあります。中1までは足がとても遅く、協調運動も苦手なことがコンプレックスでしたが、「そんな自分を変えたい!」と中1の秋からランニングを始めました。Upload By 安田ふくこそれからは毎日4キロ走るようになり、中2から駅伝選手にも選ばれるようになりました。これは、「一度決めたら曲げられない、ルーティンにこだわる」というASD(自閉スペクトラム症)の特性が、良いほうへ作用したのかもしれない、と見ていて感じました。特性を理解して自ら強みに変えたり、どうしても困ったときは周囲に助けを求めたりできることも、人としての成長の一つなのかなと、私は感じています。今現在、あくまで見た目ではふつうの高校生。身長は私よりもずっと高くなってとても大人っぽく見えるけれど、コミュニケーションスキルに関しては、やはり周囲の同年代よりもずっと苦手です。「好きなこと」や「趣味」も、まぁほかの子どもと同じような部分もありますが、特定のものにこだわりが強いのは相変わらずです。Upload By 安田ふくこ親の私も忘れがちですが……どうしても譲りたくない自分のこだわりや、ルーティンを大事にするからこその「初めてのこと」への柔軟性のなさ、適応力の乏しさなど、まだハル自身の課題は多くあるのだなと感じます。それをハルが自ら認めて受け入れたり、周囲に理解してもらうためにも、自分もまた周囲を理解しようと努力する……大人になるまでに少しずつでもそうなっていけるよう、今後も見守っていこうと思っています。執筆/安田ふくこ(監修:室伏先生より)ふくこさん、ハルくんの中学生生活における困りごとと、それに対する工夫や支援、その結果について詳しく共有くださり、ありがとうございます。小学生、中学生、高校生と年齢が上がるにつれて、どの程度家族が関わっていくのが望ましいのか、お悩みの親御さんも多くいらっしゃることと思います。ふくこさんが書いてくださった、「特性を理解して自ら強みに変えたり、どうしても困ったときは周囲に助けを求めたりできることも、人としての成長の一つ」というお言葉、多くの親御さんに届いて欲しいと思いました。「自立」という言葉には、「周りからの助けを受けずに自力で生きていくこと」の意味もありますが、福祉の分野では、「自己決定に基づいて主体的な生活を営むこと」「自分の能力を活用して社会活動に参加すること」と定義づけられています。自分の苦手なこと・不快なことを知ること、自分の得意なこと・好きなことを知ること、そしてそれを周りに向けて表現して必要な支援を求めたり、自分に合ったやり方を模索したりすることは、とても大切な自立への歩みです。全てをこっそりとやってあげてしまうのではなく、どんなことになぜ困っているのかについて話し合うことや、生活しやすくなる方法や支援の求め方を本人にも知ってもらうことは、自立に向けての手助けになるかもしれません。ハルくんは、ご自身の気づき、そして努力と、ご家族のサポートによって、自立への道を着実に歩かれていますね!これからのハルくんを、私も応援しております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年08月31日北海道児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報Lii sports studio札幌北4条は、2024年9月1日にオープン予定の児童発達支援施設です。大きく体を動かすことで、動きの「多様化」×「洗練化」を目指し、さらに「脳」「神経系」「体幹」「言語」「ソーシャルスキル」「ボディコントロール」などの発達を促しています。できたことはもちろん「挑戦したこと」をたくさん褒めながら運動すること、そして自分のことを大好きになってもらえるようアプローチしています。ただいま、見学・内覧会も開催しているそうです。にかく明るく楽しいコーチがお待ちしております!北海道の児童発達支援をもっとみる大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ヒトツナ河内山本教室は、2024年8月にオープンしました。「人との繋がりを大切に」「人との繋がりをもっと楽しく」豊かな感受性と表現力を育てます。他者とのポジティブな関わりのなかで生まれる「こうなりたい!」「これがやりたい!」というお子さんの気持ちを大切に、成長を一緒に伴走する教室です。スタッフは、みんなで考え、意見を交わしながら質の高い支援者になるための研修を行っています。お子さんが発する思いや、行動の背景に隠れた願いに目を向け、その子の感情表出、自己決定の手助けができるよう関わっているそうです。大阪府の放課後等デイサービスをもっとみる大阪府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報蒲生四丁目にこにこツリーハウスは、地下鉄 蒲生四丁目駅から徒歩5分のところにあります。発達支援の目標に掲げているのは、1.安心する居場所となる 2.達成する喜びを保護者・子ども・職員と一緒に感じられるように支援する 3.大人になった時に豊かな生活に繋げていけるように社会性を育む です。子どもたちが社会で生きていくための「力」を身につけられるよう発達のサポートを行っています。無理なくお子さんのペースで発達支援を行い、「自分にはできる!」「1人で、できた!」を増やして、自主的に「やりたい」気持ちを育てていきます。大阪府の児童発達支援をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、Webからお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2024年08月30日子育てアイデアが満載!『子どもが発達障がいだとわかったときパパがやること全部』Upload By 発達ナビBOOKガイド著者の橋謙太さんの娘さんは、3歳のときに発達障害があることが分かりました。本書は、現在22歳になった娘さんを育て上げた橋さんご自身の経験から、父親が主体的に子育てするための「仕事・家事・育児」のアイデアをたっぷり盛り込んだ、発達障害児の父親による育児本です。娘さんの障害が分かった時から就職するまでを振り返りながら、家計のやりくり、保育園・幼稚園・地域との関わり方、母親や祖父母とのコミュニケーションのコツ、小学校選びのポイントまで、具体的に解説しています。橋家の子育ての様子がマンガで紹介されているほか、6つの家庭の体験談も掲載。リアルな子育ての情報を参考にすることができます。園や学校とのやり取り、療育や病院の利用など、まだまだ母親の出番が多くなりがちな発達障害児の子育て。仕事が忙しい父親の育児参加はあきらめている……というご家庭もあるかと思います。しかし、本書をきっかけに、一度立ち止まって「なんのために働くのか?」を考えてみることで、生き方や家族のあり方まで変わるかもしれません。「親なきあと」の課題に向き合う渡部伸先生の新著『Q&Aと事例でわかる障害のある子・引きこもりの子の将来のお金と生活』Upload By 発達ナビBOOKガイド発達ナビでも多くの記事をご執筆・ご監修くださっている渡部伸先生は、行政書士や社会保険労務士などの資格を持つ専門家として、障害のある方やそのご家族を支える”「親なきあと」相談室”を主宰されています。渡部先生のもとには年間100件以上の相談が寄せられると言います。相談者は障害のある子どもを持つ親だけでなく、きょうだいや親族、本人である場合もあるそうです。そんな渡部先生のご経験をもとに書かれた本書は、障害のある子や引きこもりの子の将来を支える制度や仕組みに関するギモン、本人の年代別に取り組んでほしい対策、具体的な親なきあとの相談事例とアドバイスなどを紹介しています。わが子の将来に漠然とした不安を抱えているけれど、どのように動いていったらいいのか分からない……と悩んでいらっしゃる方も多いと思います。そんな不安を和らげる道しるべのような本書を通じて、まずはどんな準備が必要なのか知ることから始めてみてはいかがでしょうか?主役は全員!個性バラバラの7人組が事件に挑むミステリー小説『転ぶ。凸凹探偵チーム』Upload By 発達ナビBOOKガイド個性バラバラの7人組が、それぞれの得意を活かしながら事件を解決していく「凸凹探偵チーム」シリーズの第2作です。ASD(自閉スペクトラム症)のアルトと、朝が弱い理人は同じ中学校に通う、同い年のいとこ同士。アルトには「理人といつも一緒にいる」「毎日同じルーティンで行動する」など、いろいろなルールがあります。そんなアルトのこだわりに困ってしまうこともあるけれど、アルトの記憶力は抜群で、事件を解決に導いてくれることもあるのです。アルトと理人と共に活動する「虹中新聞チーム」の7人のメンバー達も、苦手なことや得意なことはバラバラ。お互いの違いを自然に認め合いながら、力を合わせて身の回りに次々に起こる事件に立ち向かっていきます。個性的で魅力いっぱいの登場人物に自分自身を重ねたり、スリリングな展開にハラハラしたりと、親子で一緒に楽しむことができる作品です。また、本書は『歩く。凸凹探偵チーム』の続編となっています。登場人物たちの成長がより感じられるので、ぜひ合わせてご覧になってみてくださいね。豊富な図解で分かりやすい!『発達障害や身体障害のある子どもへの摂食嚥下サポート 「食べる喜び」を支える!! 園や学校でできる!!』Upload By 発達ナビBOOKガイド私たちが生きるために欠かせない「食べる」という行為。当たり前のことのように考えがちですが、子どもにこだわりや感覚過敏があってなかなか食べてくれない、スプーンやフォークをうまく使えない……などのお悩みがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。長年障害のある子どもたちの「食」をサポートしてきた島田療育センターの中村由紀子先生と稲田穣先生が書かれた本書には、障害のある子どもの摂食嚥下にまつわるさまざまな課題に関する解説と、実践的なサポート方法が随所に盛り込まれています。摂食嚥下や発達に関する医学的知識のみならず、食事の姿勢や食具の使い方のサポート、栄養のこと、医療的ケアから口腔ケアまで、豊富な図解で分かりやすく解説されている本書。あらゆる方向から障害のある子の「食べる喜び」をサポートするヒントが満載です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年08月29日勉強についていけず自己肯定感は下がるばかり。ついに「学校へ行きたくない」と言い出した娘発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたマンガ「発達障害の子どもと私たち」。今回はみき編 第2話をお届けします。5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた小学4年生のみきさん。小学3年生から勉強に困難さを感じるようになり、「学校へ行きたくない」というほどに苦しむようになりました。そんなみきさんを見守る保護者は、どうすればいいのか迷っていて――。マンガ「発達障害の子どもと私たち」みき編第2話Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談「授業についていけないのは私だけ」という娘に母は――Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談勉強についていけなくなったASD(自閉スペクトラム症)小4のみき発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたストーリー「発達障害の子どもと私たち」みき編第2話をお届けします。5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けているみきは、就学相談で知的障害特別支援学級に入るか相談しましたが、IQが入級基準以上だったため通常学級と判定されました。今は通級指導教室へ通っています。小学4年生になったみきは学校の勉強にだんだんとついていけなくなり、自己肯定感は下がるばかり。頑張っているのに上手くいかない状況に追い詰められていきます。一方母は、みきの様子を見て、集団授業についていけないなら少人数で見てもらえる特別支援学級を考えるように。次回、第3話では学校との転籍への話し合いが始まります。第3話「「学校がつらい」娘の心が壊れそう…!特別支援学級へ転学希望も、担任は反対で…」ぜひご覧ください。心理面の支援と通常学級の中での特性にあわせた支援【専門家解説】小学校中学年になって学習内容も複雑になり、一部の授業での理解が困難になってしまうことに加え、そのことが大きなストレスや不安につながり、みきさんはとても苦しんでおられます。お母さんは、みきさんの自己肯定感を上げようと社会や理科は頑張れているという話をされていますが、本人はできないところに注目してしまっているようです。お母さんや通級の先生だけでなく、通常学級の担任の先生が普段の授業の中でみきさんの頑張りを認めていくことが重要になっていきます。通常学級の授業の中で、例えば「主人公の気持ちを理解する」という課題は、ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもにとって難しい課題だと思いますし、グループの話し合いに積極的に参加することはなおさらです。こうした特性を担任の先生が理解し、適切なヒントや援助を出せるかどうかが通常学級の中での本人の学びに大きく影響します。担任の先生だけで困難な場合は、特別支援教育コーディネーターや通級指導教室の先生に親や本人の間に入ってもらうことも考えられると思います。通級指導教室の先生に通常学級での授業を見学してもらったり、担任の先生と情報交換をしてもらうことも一つのアイデアです。Upload By ユーザー体験談発達障害のあるお子さんの学習を含めたサポート方法について詳しくは以下をご覧ください。【マンガ発達障害の子どもと私たち】ぜひご覧ください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年08月29日再登校にチャレンジ!…だけどまた行けなくなった中学3年生の春特別支援学校中等部に進学した息子は1年生、2年生と登校できない日々が長く続きました。しかし、3年生の新学期、突然「学校へ行く!」と宣言し登校し始めたのです。2年間、息子の成長を見守ってきてくださった先生方も、この変化に驚きつつもすぐに万全のサポート体制を整えてくれました。久しぶりの学校生活を全力で楽しむ息子の姿は、私たち家族にとっても大きな喜びでした。クラス写真では、恥ずかしがる他の生徒を気遣って自ら中央に立ち、係の仕事にも率先して取り組み、クラス委員に立候補するなど、これまでからは考えられない新たな一歩を踏み出し始めました。きっと3年生は、これまでと違う1年になるかもしれないと誰もが淡い期待を抱きましたが、やはり無理があったようでしばらくすると再び布団から起き上がれなくなりました。Upload By 花森はな息子にとって、体の不調以上につらいものがありました。それは、スクールバスでした。当初は我慢して乗っていましたが、次第に「バスの匂いがキツくて吐きそう」「逃げ場がないからパニックになる」と訴えるようになり、乗ることができなくなってしまいました。スクールバスに乗れない時はタクシーを利用していましたが、こちらも同様の理由で利用を断念せざるを得ませんでした。わが家は普段から車に乗る機会が少ないため、息子は車に慣れていないということもありますが、車が苦手な子どもというのは一定数いるはずです。こういった状況を担任の先生に相談したところ、「車酔いをする子は毎年いるけれど、大抵は1ヶ月ほどで慣れてしまうんですよ」との回答でした。しかし、息子のように長期間にわたって車に強い拒否反応を示す子は、先生の経験上これまでいなかったようです。いっそ就職!?再び立ちはだかる進路選択の壁特別支援学校は高等部まで設置されており、息子も当然のように内部進学を予定していました。しかし、スクールバスへの強い抵抗感から、高等部での学校生活が送れるのかという不安が頭をよぎり始めたのです。そんなある日、息子は思わぬ言葉を口にしました。「高等部に行っても高卒の資格取られへんのやったら、就職したらあかんのかなぁ?」特別支援学校の高等部を卒業した場合、学歴は「高卒」ではなく「特別支援学校高等部卒」となり、制度上は大学入学資格は得られますが(実際に希望する大学の受験が可能かどうかは履修単位などの確認が必要)、一般企業への就職活動など他のことでこの先不利になることがあるのではないかと、息子は入学時からずっと気になっていたようです。そこで夏休みに、特別支援学校内で開催される「福祉事業所合同説明会」に参加してみることにしました。Upload By 花森はな就労継続支援って?福祉事業所合同説明会当日を迎えました。どのような感じか全く想像がつかなかったのですが、体育館のような大きな会場で行われるのではなく、地域別で教室が区切られており、事業所ごとのブースが設けられていました。あらかじめ人が多いことが予想されていたので、混雑しているところではパニックが起きやすい息子の参加は難しいだろうと判断し、今回は私一人で参加することにしました。まず自分が住んでいる地域の教室に行きました。各ブースを回る前に、受付で説明会全体の概要や、就労継続支援A型とB型の違いについて教えていただきました。就労継続支援A型とは、障害のある方が一般企業などでの就職が困難な場合に、一定の支援がある職場で雇用契約を結んだうえで働くことができる障害福祉サービスのことです。働く時間は事業所によりさまざまなパターンがあります。基本的に4時間以上〜6時間未満の事業所が多くなっています。働く日数は「週3~5日程度」という事業所がほとんどで、週の出勤日数を相談しながら決められる事業所もあります。就労継続支援B型とは、障害のある方が一般企業などでの就職、また雇用契約に基づく就労が困難である場合に、雇用契約を結ばずに働くことができる障害福祉サービスです。就労継続支援B型では、福祉的就労の中で障害や体調にあわせて自分のペースで働きながら、就労に必要なスキルなどを習得することも可能です。説明が一通り終わった後、早速、一番近くの事業所のブースへと向かいました。どの事業所の方も、質問に丁寧に答えてくださり、それぞれの事業所の特色や魅力について丁寧に教えてくださいました。グループホーム一体型の事業所では、グループホームで暮らしながらそのまま事業所に通えるというシステムで、母子家庭であるわが家がもしもの時に息子を安心して任せられる手段の一つとして、教えていただいてありがたく思いました。また、別の事業所では、現在心の拠り所に困っている息子に、まず居場所として18歳以上65歳未満の方が利用できる就労移行支援を提案してくださり、将来自立した生活を送るためのサポートについて話をしてくれました。就労移行支援ってなんだろう?障害のある方の社会参加をサポートする、国の支援制度で障害者総合支援法という法律があります。就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく就労支援サービスのひとつです。一般企業への就職を目指す障害のある方(65歳未満)を対象に就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートをおこないます。歳に達する前5年間障害福祉サービスを利用された方で、65歳に達する前日において就労移行支援を利用されていた方は引き続き利用することは可能です。また18歳未満の方でも、児童相談所長や自治体の判断によっては利用と認められる場合もあります。 By 花森はなこんなにあるんだ!?多種多様な事業内容地域の事業所は参加されている数が少なく、別の地域のブースも回ってみることにしました。同じ市内でも場所によって事業所の数が全然違います。こちらの会場内は活気にあふれ、通路を歩いているだけでも「チラシだけでもどうぞ!」「SNSあるんでよかったら見てくださーい!」とたくさん声をかけられました。その中でパソコン関係の事業所があったので、説明を聞いてみることにしました。パソコンの修理や解体、組み立てなど、実際に手を動かしながらパソコンの仕組みを学べるというところが、パソコン好きな息子に合いそうだなぁと感じました。「いつでも見学に来てくださいね!」と事業所の方もとても親切でした。ほかにもさまざまな事業所がありました。カブトムシや熱帯魚のお世話を自宅で行うという事業所では「温度管理やルーティンワークが得意な方に向いているんですよ」と、具体的な仕事内容について説明がありました。カフェを運営する事業所では、実際に販売されているメニューや店内の写真を見せてもらい、カフェ運営を通しての地域の人との交流を伺いました。さらに、野菜栽培、ネイルチップ制作、グラフィックデザインなど、多岐にわたる分野の事業所があり、就労支援の幅の広さに本当に驚きました。特に、野菜栽培の事業所のSNSでは、丁寧に野菜を育てる様子が写真や動画で細かく紹介されており、笑顔で楽しそうに仕事に取り組んでいる様子が伝わってきました。Upload By 花森はな福祉事業所合同説明会で開けた未来への扉説明会にいざ参加してみると、高校2年生や3年生の保護者ばかりで、中等部からの参加は少数派でした。特別支援学校高等部では、在学中は就労に向けた実習を積極的に行っているため、高等部を卒業してから就労支援を利用するのが一般的です。就労支援の利用はA型B型共に原則は18歳以上の成人なので、相談支援の方からも、「残念ながら中等部卒業直後の就労支援の事例は聞いたことがないです」と言われてしまいました。このまま高等部に進んで就労支援を目指すのか、この先も就職への道を模索するのか、私たちはもう一度進路についてよく考えてみることになりました。しかし、今回の説明会を通して、就労支援に対する認識が大きく変わりました。就労支援というと軽作業のイメージがありましたが、自分に合った仕事を見つけて「社会参加」できると感じました。自分の子どもが不登校になって、精神障害福祉手帳を取得し、この先どういった未来が待っているんだろうと不透明だったところに、こんな仕事もあるんだ!あんな仕事もあるんだ!とたくさんの可能性を見せていただき、希望の光が見えた気がしました。執筆/花森はな(監修:初川先生より)特別支援学校中等部に適応できず、中3になり進路を考える中で中等部卒業直後に就労する(あるいは就労支援を受ける)選択肢について考えるために福祉事業所合同説明会に参加されたエピソードをありがとうございます。特別支援学校にうまく適応することができなかったり、あるいは障害の種別にうまく合致していなかったり(知的に低くない場合など)すると、中学(中等部)卒業後の進路選択は一筋縄ではいかない面がでてきます。学校の先生や主治医の先生、地域の支援者などと相談しながら検討していかれると良いでしょう。さて、地域の福祉事業所の合同説明会に参加されたとのことですが、就労継続支援A型、B型など地域にある福祉事業所はさまざまな業種、作業を担っています。その地域に長く住んでいても、どの事業所が何をしているのかということはあまり知る機会がないのが実情かもしれません。このように事業所が集まって説明会をしてくださるのはとても素敵で貴重な機会だと感じました。その地域に根差して活発に活動している事業所さんは結構あるというのが私の印象です。息子さんが車やバス移動が苦手となると居住地域に近い事業所がゆくゆくは就労支援をお願いする事業所になるかもしれません。説明会や地域の福祉祭りなど、さまざまな機会に知ることから始めたいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年08月28日少しずつ増えたり減ったり?コウのお手伝いのこれまでUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある息子のコウは、現在中学生です。彼には『家事は基本的にみんなで分担するものだ』と伝えています。そのため、「これちょっと手伝って~!」と単発の手伝いをコウに依頼することはありますが、特別にお手伝いとしてお願いしている家事というものはありません。大人になって1人暮らしをするのであれば、その時は『家事』と呼ばれるものを概ね自分で行うことになります。外注したりサポートを受けたりする場合も、それを依頼したり、支援者などの『サービスとの中継をしてくれる人』に助けてもらったりする必要があります。年齢に応じて急に役割が変化することに戸惑うときがあるコウの場合は、子どもの内から『家事は生活の中に当たり前にあるもの』と思っておくと、あとが楽なのではないかと考えました。とはいえ、いきなりコウに家事の分担を任せたわけではありません。保育園から小学校低学年にかけて、コウにはお手伝いの形で少しずつ家事に慣れていってもらいました。その頃は、『私から受け取ったタオルをカゴにしまう』『カーテンを開ける』のように難易度が低く、かつ「これができた」とコウが感じられるような作業をお願いしていました。Upload By 丸山さとこ難易度が低いとはいっても、カーテンを開けるには、レールを傷めないように丁度いい力でカーテンを横に引く必要がありますし、『レースのカーテンは閉めたまま遮光カーテンのみを開ける』という条件を理解する必要があります。タオルをカゴに入れるにしても、カゴの中にキレイに入れるには、ある程度の器用さが必要です。畳んだタオルが崩れないように持ち上げる必要もあります。最初は畳んだタオルが積みあがったところから欲しいタオルだけをとることも難しかったため、私が一つひとつタオルをコウに手渡してカゴに入れてもらっていました。「お手伝い」から「家事の分担」へそうして少しずつお手伝いの幅を広げていったコウが小学校高学年に入る頃、改めて家事の重要性を伝えた上で、「大人になった時に『できて当たり前』とされるのと、今の内から少しずつ練習しておくのと、どっちがいい?」とコウの意見を聞いてみました。「必要に迫られて身が入ることもあるし、今の内からしておいたほうが楽だとも言えるし、どっちもアリだと思う」と伝えると、コウは「僕は今の内から練習したほうが楽なタイプだな」と答えたので、将来の暮らしを視野に入れた家事を少しずつ教えていくことになりました。Upload By 丸山さとこ洗濯物干しも、それまで行っていた『タオルと靴下を干す』というお手伝いの範囲からできることを少しずつ広げて、洗濯から取り込みまで全てを1人でできるようにしていきました。・自分の服を干す(小さいので干しやすい)・大人の服を干す(大きいので少し難しい)・洗濯物をベランダに干す(地面につかないようにするなど気をつけることが多い)・乾いたら取り込む(忘れないようにリマインダーを利用する)このように少しずつできる家事が広がっていく中で、次第にコウは私が家事をしているところに興味を持つようになっていきました。視覚情報の差異によく気がつくコウなので、私とコウの家事の違いに一度興味を持つと、いろいろなことが気になったようです。「僕が干した洗濯物、お母さんが干したときとなんか違う……もちゃっとしてる」「洗濯物全体に風が当たりやすいように干すのか!」「卵を溶くときは、菜箸を少し開いて持つのはどうして?」「お母さんは、卵液をフライパンに流した後にボウルのフチを菜箸でサッと撫でて卵液を切ってる。だから垂れないんだね」などなど……私の作業風景を観察しては何かしらコメントするコウに、「そんな細かいところまで見てるの!?」と驚くことが増えました。Upload By 丸山さとこできないことや苦手なことに気づくことも大切だからこうして少しずつできる家事が増えていくと、たまにしかしないのに上達が早い家事もあれば、「コツコツ続けているけれど、どうも苦手なのかな?」と感じる家事もあります。中学生になった今でも、できるけれど時間がかかる家事や負担を感じやすい家事はあるようです。私からすれば面倒そうに思える水筒洗いに関しては「だんだんと水筒を洗うのが早くなってきた!」と余裕を見せたりするのに、脱いだ衣服をカゴに入れるのはなかなか定着しにくく、向き不向きは本当に人それぞれなのだなと思います。Upload By 丸山さとこまた、家事には時間制限のあるものがたくさんあります。『夕飯までにご飯が炊きあがるようにする』『日が落ちる前に洗濯物を取り込む』など、コウなりにリマインダーを使って時間を意識しているようですが、うっかり忘れてしまうこともしばしばです。苦手はずっと残るかもしれませんが、苦手な作業に対しては『乾燥機能のある洗濯機を使う』『パックご飯を使う』などの対応策をとれることもたくさんあります。できるようになることをコツコツ積み上げていくなかで、コウが「ここは苦手だな」と思うことも見つけていけるといいなと思っています。そして、苦手なことに対しては『対応策はいっぱいあるんだな』と思えるようになれたらいいなと願っています。執筆/丸山さとこ(監修:森先生より)丸山さん、お子さんと家事との関わり方についての貴重な体験談をありがとうございます。年齢に応じて徐々に役割が変わっていくことになかなか順応できないお子さんは少なくありません。そのまま大人になってしまうと、一人暮らしをしてから健康を損なったり、結婚して家庭を持ってから配偶者に負担がかかってしまうことにもなりかねません。幼いうちから家事を自分事として考えられるような教育は、大変素晴らしいですね。さて、一般に、特性がある方は家事があまり得意ではないことがあります。家事には「正解」や「終わり」がないので、「完成図」が分かりにくいのです。また、家事には複雑な作業の同時進行が求められます。発達の特性があると、脳の実行機能に偏りがあるため、家事に苦労することが多いのです。たとえばお料理であれば、作るものをイメージして、材料を買って、野菜を切りながらお鍋を煮込む、といった作業になりますよね。発達の偏りがある方は、重要な食材を買い忘れたりお鍋を焦がしてしまったり、というような失敗をしやすいのです。丸山さんのように、早いうちから家事の大切さを教えて、できることを少しずつ増やして達成感を得られるようにすると、楽しく家事を身に付けていけるのではないでしょうか。これからもお子さんが自立に向かって前向きに取り組んでいけるように願っております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年08月28日何の疑いもなく迎えた入学式。なぜうちの子に補助の先生が?Upload By もっつんタクは振り返ってみると、幼少期から発達障害の多動や衝動性が強く表れている子でした。しかし3歳児健診での担当医師の言葉、家庭環境、園の先生から指摘を受けたことがなかったなど……いろいろな要因が重なって発達障害の可能性を考えずに、小学校入学を迎えました。就学先は通常学級でした。そして入学式の当日、落ち着きがないタクは補助の先生に手を引かれて入場してきたのです。今まで先生方には、タクの発達や進級について何も言われたことがなかったので、正に青天の霹靂でした。通常の名前順の並びとは違って、明らかに違う列で先生と共に入場する姿を見て……あれ?やっぱりウチの子って何かある?と不安になったのを覚えています。入学式の間は、ずっと先生が横についてくれていて、着席して楽しそうに手遊びをしているようでした。後日、先生に聞いてみると、ほかの子に付いていた支援員の方からタクが離れようとせず付いてくださっていたとの事でした。教室で座っていられない!何でこんなことするんだろう??Upload By もっつん通常学級で学んでいたタクは、入学してしばらくすると、少しずつトラブルが表面化してきました。授業中に何度も教室を脱走したり、放課後の学童でも同じように脱走してしまいました。朝の登校班では「疲れた」と言ってその場に座り込んでしまったり、ランドセルを道端に置いていこうとしたり……。私がそばにいられたら声をかけられますが、四六時中一緒にいることはできません。学校からトラブル報告の電話を受ける度に、精神疲労がどんどん蓄積されていきました。教室から出ていくなんて、当時の私には考えられない事でした。私の小学校時代の記憶では教室から出ていく同級生はおらず、先生に叱られないように「規律は必ず守るもの」と思っていました。なので、まさかわが子が授業中に立ち歩いて教室から出て行っているなんて想像もできなかったのです。「何で立ってしまうの?皆と同じようにできないの?」と当時の私には知識も余裕もなくて、つい質問責めにしてしまっていました。スクールカウンセラーとの出会いで支援の道へUpload By もっつんタクの問題行動の連絡を受けるたびに、私はタクに注意したり怒ったり話をきいたり気分転換させたり……試行錯誤をしました。しかし繰り返される教室脱走。教室内でトラブルを起こす日々が続いて、別の子に付いていたはずの支援員の方に負担をかけることが増えていきました。私は、先生やクラスメイトに対して申し訳ない気持ちが大きくなっていくけど、行動改善ができずに日々焦りと苛立ちが積もっていきました。そんなある日、担任の先生から「スクールカウンセリング」について教えてもらいました。学校に配置された公認心理師などの資格を持つスクールカウンセラーの方のカウンセリングを受けたり、アドバイスをもらえたりするというものです。私がお世話になったスクールカウンセラーの先生は月に2回ほど学校に来てくれて、子どもだけ・親だけ・子どもと親などさまざまな形でお話してくれました。物腰が柔らかく、とても優しい先生でした。当時の私は子育てだけではなく、仕事や義実家同居のストレスがとても大きくて……!それを踏まえて私のメンタルが安定するように親身になってたくさんの話を聞いてもらえました。タクだけではなく、私も救ってくれた恩人であり、今でも感謝しています。特別支援学級という選択Upload By もっつん面談を重ねていくうちに、私もタクと落ち着いて話せるようになっていきました。そして、「なんで教室を出ていきたくなるの?」と聞いてみると、タクには聴覚過敏の傾向があり、「教室がうるさい」と感じて出ていきたくなるのだと分かりました。今までずっとワガママで出ていきたくなっているんだと、ルールを破ることに罪悪感がないんだと思い込んでいた私。タクなりにきちんと理由があったことを知りました。それが分かった時はショックでしたが、より一層タクの学校生活に向き合っていかなくてはと思いました。そしてついに小1の秋ごろ、「次年度から特別支援学級への転籍を考えてみてください」とお話がありました。Upload By もっつん正直なところ、転籍を打診されてすぐはマイナス思考のほうが大きかったです。しかしWISC知能検査、小児神経科の受診を進めるうちにだんだんと私の心に変化がありました。教室にいるだけでストレスを感じてしまう通常学級よりも、タクの特性を把握してくれている支援の先生に見てもらうほうがタクにとって良いんじゃないのか……?と。読み取る力が弱いタクは、国語や算数の文章問題が苦手なようでした。でも、横に付いて問題を声に出して読んであげると理解できるのです。通常学級では横に付いてここまで細かく指導してもらうことはできないけど、特別支援学級であればそれが可能です。特別支援級を見学をして説明を受けるうちに、今のタクにとって必要な手厚い指導が受けられるありがたい場所なんだという意識が芽生えていきました。実際に発達障害の診断を受けるまでには、大変な思いやトラブルもありましたが、あの期間と向き合ったからこそタクにとって良いと思える選択ができたんだと思います。仕事を休んでスクールカウンセリングに向かうのは罪悪感もあって、時間的に負担を感じることもありましたが、何よりも大切な時間だったと思います。スクールカウンセラーの方が担任の先生と保護者の中間に立ってくれて、的確な助言をくださったおかげでうちの家族は支援に繋がれたのだと思います。こうしてタクは小2の進級のタイミングで特別支援学級に転籍することになり、中3の現在も特別支援学級で学んでいます。将来のことを考えると不安になる時もありますが、あの時に特別支援学級に転籍するという決断は正しかったと胸を張って言えます。これからもタクの良さが生きる環境で、輝いていってほしいと願います。執筆/もっつん(監修:初川先生より)タクくんが小学校入学後、教室から出てしまうことなどが続き、スクールカウンセリングを通して特別支援学級に転籍されたエピソードをありがとうございます。小学校に入学してみたら、できるだろうと思っていたのに集団生活や学習に困難さが表れ、どうしてと困惑されること、ありますね。それまでの家庭での様子、園での様子からはそこまで不適応になると思わなかったと語られる保護者の方は結構いらしゃいます。小学校という枠組み、例えば多ければ35人で一クラスで過ごすこと、45分間着席していることが基本であること、時間割が決まっていて気分が乗らなくともその時間に決められた学習に取り組むことなど、それまで経験してきたこととは多かれ少なかれ異なる環境への適応が求められます。だからこそ、「小学校に入ってから問題行動が」ということが起きる場合があるのです。お子さんが学校でうまく過ごせていないとなれば、保護者としては困惑や焦り、怒り、不安が湧き立つことがあるでしょう。学校からの電話や連絡帳が恐怖に感じられる方もいらっしゃいます。もっつんさんは当初「何で立ってしまうの?」と責めてしまったとのこと。ここに心当たりがある保護者の方は多いと思います。初期はそうして「なんで」と疑問と怒りとが入り混じることがあると思います。もっつんさんの場合には、担任の先生からスクールカウンセラー(以下SCと表記)に相談することを勧められたのですね。相談しようと思っていただけたのは、SCとしてとてもうれしく感じました。担任にSCへの相談を紹介されると、人によっては「担任に見放された」「うちの子は相当ひどいってことなんだ」と傷つかれる方もいらっしゃいますが、担任の先生方はお子さんが学校で健やかに学べることを願っていて、心理の立場からの助言があればもっとお子さんに良い支援や対応ができるかもしれないと考えられてSCへ繋ぐことをされています。校内のリソースとして、SCを気軽にご活用いただければと思います。SCとの相談では、保護者の混乱する思い、不安、怒りなどもうかがい、保護者の方がまずは落ち着いてお子さんの今のつまずきや苦戦を考えられるように整えたり、保護者の方からお子さんのこれまでの育ちや家庭での様子を聞き取りながら「何でつまずいているか」を一緒に考えたり、またSC自身がお子さんの様子を観察して見取り、どんなつまずきがありそうか、そしてどんな手立てがあると良さそうかとお伝えして一緒に考えていく。そんなことをやっていきます。担任の先生と相談することでも同じようなことは達成できますが、担任の先生は直接お子さんに対応されていて、保護者からすると担任の先生の疲れた様子や表情に自責的になってしまうこともあり、そういう意味でも違う立場のSCと話すことが、話しやすく感じられる場合もあります。SCとの相談の中で、タクくんが音に過敏な面があることに気がつくなど教室の環境につらさがあると見えてきたのは何よりです。また、今はお仕事をされている保護者の方も多いので、SCへの相談が保護者の勤務時間と重なることもあります。お仕事を休んでお越しいただくことは恐縮ではありますが、だからこそ有意義な時間、心の荷下ろしになる時間、さまざまな問題や状況を整理する時間、一緒に作戦会議する時間として機能できればと思います。タクくんは特別支援学級への転籍されたとのことですが、そこにあたってもっつんさんが検討されたポイントも書かれていますね。タクくんの苦手さとそれをふまえた対応ができる環境としての特別支援学級。特別支援学級の種別にもよりますが、知的発達の水準やお子さんの特性・苦手さとその学級で提供できるものとを合わせて考えてみることは大事です。その準備として発達検査の受検であったり、見学・体験であったりということもあるでしょう。そうした1つひとつの検討点にしても、そこにまつわる保護者の思いの逡巡にしても、SCは一緒に考えていく存在だと思っています。うまく活用していただければと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年08月27日療育ってどんなことをするの?ドキドキしながら見学へUpload By よいこASD(自閉スペクトラム症)の長男あー、3歳の夏。当時はまだ診断前ではありましたが、療育に通うことにしました。地元で有名な児童精神科には予約を入れたものの、診察まで半年待ち。そこにお世話になる予定ではあるけれど、はよ療育は受けたいよ!てなわけで、近所の小児科で意見書を書いてもらい、通所受給者証を申請し、お目当ての療育施設へ見学に行きました。療育というもの自体に無知で、若干緊張している母子を職員さんは温かく迎えてくれました。そして療育施設に一歩踏み入れて驚いたのが、その表示の多さです。文字が読めない小さな子どもでも分かりやすいように、一つひとつ丁寧に表示があるんですよね。例えば玄関一つとっても、ここで挨拶できるようにという足マーク。靴箱には一人ひとりの顔写真。荷物を入れるロッカーにはお手本の写真が掲示してあって、それに沿って片づけることができるようになっている……など。Upload By よいこあとで先生にお話を聞くと、あーのように発達に特性がある場合、耳から得られる情報よりも目から得られる情報のほうが入りやすい、「視覚優位」であることも多いそうで……!!そーなの!?あとは、パーテーションで区切られた個室とオープンスペースがあるのも印象的でした。余計な情報を遮断したほうがやるべきことに集中できるから……という理由でつくられた個室と、小集団で行う療育用のオープンスペース。そうかー、何かするとき絵本やテレビやおもちゃがあったら気が散るよね……!と言う根源的な気づき。たしかに大人だってそうだよね……と終始驚きの連続の療育見学。見学した一部の場所だけでも、至るところに発達に特性がある子の育児ヒントが散りばめられてる……!実際に療育へ通うことになった後も、こんなふうに初めて知ることや気づきを得ることがたくさんありました。無意識のうちに抱いていた「発達障害」へのネガティブなイメージを変えた、療育の先生の言葉Upload By よいこ療育に通い始める前に、療育の先生に聞かれたことがあります。「ご両親は発達障害についてどうお考えですか?」と。 私たちは答えられませんでした。そんなこと聞かれても、どう考えてるんだろう……どうとも考えていないような気がしました。しいて言えば、目の前にある取り払いたい、それが無理なら飛び越えたい大きな壁。強敵。ラスボス。そんな、よくないイメージ……。先生は言いました。「僕は、発達障害はその人の個性と捉えています。みんなと同じじゃなくていい、合わせなくていい。その子の良いところをもっと伸ばして、苦手なことのお手伝いをしていけたらなあと思っているんです」ハッ……と、目が覚めた思いでした。その当時の私にとって発達障害は「悪」で、取り除きたい何かでしかありませんでした。あーとコミュニケーションが取れないことに歯痒さを感じ、あーが友達の輪に入れずみんなと仲良く遊べないことに悲しみを抱き、アニメのあるセリフを延々と繰り返す様に苛立っていた私。個性……。そうか、そんな捉え方が……?思えば療育施設との出合いが、私の発達障害育児人生の扉が開いた瞬間だったように思います。執筆/よいこ(監修:室伏先生より)よいこさん、療育見学でのご感想や、療育での工夫の様子、発達障害へのイメージの変化の契機などについて共有してくださり、ありがとうございました。効果的な視覚情報の示し方、今すべきことに対して不要な情報のシャットアウトなどは、知識として知っているとご自宅での生活にも活かせる部分がありそうですね。療育施設への通所は、その施設での療育ももちろん重要ですが、その施設での工夫、スタッフの方々のお子さんへの関わり方とその時のお子さんの反応などから、親御さんに学んでいただくこともとても重要なことの一つと考えています。療育を受けたいけれど、通所受給者証の発行には医療機関での診断書や意見書が必要で(医療機関での発行が必要かどうかは地域によります)、でも専門の医療機関の受診はあと1年先で……なんて途方にくれていらっしゃる親御さんもいらっしゃることと思います。あーくんの場合は、小児科の先生が意見書を書いてくださったのですね。小児科のクリニックの先生で書いてくださる先生は多くはないかもしれないですが、かかりつけの先生に聞いてみていただくこともよいかもしれませんね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年08月26日