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真面目で勉強はできるタイプだけどサッカーの理解が遅い子。説明に耳を傾けているのにいざやってみるとその子だけポジショニングやスペースの使い方がわかってない......。難しい伝え方をしているつもりはないけど、その子がイメージできるようにするにはどんなアプローチをしたらいい?とのご相談をいただきました。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、指示を理解してもらうためのアプローチを伝授します。(取材・文島沢優子)サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<小学校入学と同時にサッカーを始める新一年生、未経験の子たちを指導するときは何 から教えればいい?<お父さんコーチからの質問>はじめまして。担当しているのはU-10です。理解が遅い子への対応について教えてください。おとなしい子で、真面目です。私を含め、コーチたちの話にもしっかり耳を傾けています。が、レクチャーしたことができないのです。ポジショニングや空いたスペースの使い方、どこに動けばいいのか、などを説明してからトレーニングしても、その子だけキョトンとしています。強豪チームでも何でもない、普通の少年団ですが、ほかの子は割とすぐに出来るので、そんなに難解な内容でもないと思いますし、伝え方も難しい言い方はしてないつもりです。親御さんも「何事も真面目でコツコツやるタイプ」と言っていて、学校の成績は良いみたいなのですが、イメージする力が弱いのでしょうか。医学的な相談をしたいわけではないのですが、ほかの子より理解が遅い子への良いアプローチをご存じだったら教えていただきたく思います。やんちゃで話を聞かない子ならまだ納得ですが、真面目で話も聞いている、自主練もコツコツするタイプと自認してるため本人の落ち込みも見えてしまい......(話を聞いてない子たちのほうが練習の意図や本質を理解するのが早かったりするのがまた......)<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。5つほどアドバイスします。■頭の中で咀嚼できていない可能性がある、内容を理解しているか確認しよう1つめ。指導者はできない子を責めてはいけません。ご相談文の最後のほうに「本人が落ち込んでいる」と書いてあります。落ち込んでいるのなら尚更「みんなができるのにどうしてお前はできないのか」と責めるような言動はやめてください。2つめは、その子に問いかけること。できないことをこの子は自覚しています。どう理解するか、例えばこれもその子に質問する必要があるでしょう。「こういうふうな説明したけど、理解できたかな?」と。どう理解できたか言ってもらってその理解度を指導者側がまずは把握するのが重要です。よくあるのが「多分わかってないだろう」みたいに憶測だけで止まってしまうケース。これからどうするかを一緒に考えよう、という姿勢をコーチがまず見せましょう。すごく真面目でよく聞いているけれども、ひょっとすると単に聞いてるだけで、自分の頭の中でもう一度それを咀嚼する、つまり理解する作業ができていないかもしれません。したがって、ぜひ「理解してますか?」といった問いかけをしてみてください。例えば「これはどうしたらいいのかな?」と尋ねて、一度その子の言葉で表現してもらいます。それはみんなが見ている前で言うのではなく、その子ができないときに、そのときもしくはその後で話をするほうがいいでしょう。他の子たちがすでに練習を進めているのなら「ちょっと練習やっといて」と告げ、その子をつかまえて対話してください。サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■実際の動きを見せて「こういうことをしてほしい」と伝える3つめ。みんなの動きを一緒に見てもいいでしょう。例えば「さっき説明したことってさ、ほらあの子こんなふうにしたでしょう?こういうことをしてほしいんだよね」と伝えましょう。それは一回だけでなく繰り返し行うこと。コーチは根負けせずに付き合ってあげる必要があります。私が過去に教えたなかにも、私が言った説明を聞いて「はい」と返事をしてすぐやろうとするのにできない子どもはたくさんいました。ほかの子どもたちにはそのまま練習を続けさせて、その子に話を聞いて、これはこういうことで、こうしていかないといけないんだと一度頭の中で考えてごらんよという話をしました。頭の中が整理できたらプレーしてみる。そうすると、動き出しは遅いのですができるようになりました。ちょっと待ってあげて、考える時間を与えます。並ぶ順番を後ろにして、他の子がやっているのを見せてからやってもらいました。そういった工夫をしてほしいのですが、どうしても子どもにベクトルが向く指導者は少なくありません。あいつはダメだ、みたいになりがちです。そうならずに丁寧に教えて行けば、ひとり一人が上手くなっていくのでチームの底上げになるのでぜひ理解してほしいところです。■理解度に合わせてグループ分けをするのも1つの方法4つめ。なかなか理解できない子がいたとしたら、グループ分けをしてもいいでしょう。その子たちは理解できるようなことから始めてあげる。つまりメニューを少しだけ簡単にします。複雑すぎて、考えなきゃいけないことがいっぱいあって、その中から何を選びますか?というのは難しいけれど、いくつかの選択肢の中から何を選びますか?といったものからスタートします。練習のすべてではなく、そのように習熟度別で行う時間帯があってもいいと思います。■成長には個体差がある各個人の進化、変化を見るようにしよう5つ目は、基本的な教育観を持つこと。すべての子どもが楽しめて成長できるようにすることを心がけてください。子どもたちには違いがあります。例えば4月生まれと早生まれでは理解する力や身体的な発達が異なります。そういった個体差がある。認めることが大切です。理解が遅いというのは、他の子と比べるから遅いだけ。そのような考え方です。この教育観を持てれば「最初はこうだったけど、今はこうなったね」と子どもの進化、変化をきちんと見てあげられます。その変化をしっかり見ることができ、なおかつ指導者としてそれを楽しめるようになってほしい。よくいわれる「スモール・ステップ」を待てる、気づける、楽しめる指導者を目指してください。それとは逆に「他の子はできているのに、この子は遅い」「全体の練習が進まない」とイライラすることがあってはいけません。トレーニングをスムーズに続けるために「この子をどうするか」という受け止め方ではなく、こういう子がいることこそ他の子にとってもすごくいい経験になることを知ってほしいです。誰かが何かを出来ないことをほかの子どもたちが受容して、カバーする。そんなチーム、いいと思いませんか?サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■理解できているか個別に確認することが大事(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)最後に少しまとめましょう。その選手に個別に質問をし、どのように理解したかを確認することが重要です。他の選手と比較するのではなく、その子自身の成長に焦点を当て、丁寧に付き合ってください。個別の声かけや、その子のペースに合わせた指導が重要です。指導者は、他の選手との比較ではなく、その選手自身の成長に焦点を当てること。子どもたちの自然な運動欲求を活かしながら、楽しくサッカーを学べる環境作りを目指してほしいと思います。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2025年01月31日プレーヤーの少なさが課題だと言われて久しい女子サッカー。育成年代にスポットを当ててみると、女子は小学生年代は約1万9400人と男子の1/10の割合、中学生は約1万1100人とさらに減ります。(2023年3月末の女子登録者数)2022年にサッカーとフットサルを活動する女子チームを立ち上げ、女子の育成にも力を注ぐ垣本右近さんに女子サッカーを取り巻く環境について、お話をうかがいました。(取材・文木村芽久美)(2024年12月に開催された第2回ラプスカップに出場した女子選手たち)サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■なかなか整理されない女子サッカー界の底辺(写真は女子サッカーのイメージ)垣本さんが代表を務めるカフリンガ東久留米の女子のトップチームは全国大会に行くような実力がありますが、その一方で、下のカテゴリーの女子チームも指導しています。そのような状況の中、男子のサッカー環境は整理されてきているけれども、女子はまだまだ整理されていないと感じているのだそうです。「女子中学生リーグの3部や4部になると指導者も不足していて、選手も少なくなってしまい解散するチームが多くなっている状況です。数年前は女子の小学校チームもたくさんあったんですが、ここ5年ぐらいで一気に減って、半分ぐらいになっているんです」競技人口も多い男子は、同カテゴリーでも人数が揃っているし、それなりの強度でサッカーをしていて、モチベーションも高い場合が多いのですが、女子の場合は楽しくサッカーをすることが一番の目的だったりする中で、男子と同じ規則やシステムの中では同様にはならず、最終的にやめてしまう子もいるのだそうです。小学生年代の女子チームが少ない為、男子チームの中でサッカーをする傾向があり、女子だけでサッカーをする機会が少ない状況です。■女子だけで試合をしよう!と始めた「ラピスプロジェクト」とは男子の中でしかサッカーをしたことがないという子は、地方にもいます。そういった子に女子だけの試合を提供することを目的に開始された「ラピスプロジェクト」。垣本さんは伊豆諸島でサッカーをしている女子小学生を集めて、女子だけの試合「ラピスカップ」を開催しました。第1回目は神津島で伊豆大島、新島、式根島、神津島、御蔵島の女子たちに、カフリンガの中学生女子チームも加わり総勢約40人、2024年12月に開催した第2回目では西東京市の岩倉高校で近隣チームも加わり、約70人が集まりました。「毎年カフリンガでは伊豆大島に合宿に行ってるんですよ。神津島はサッカー文化が根強く、女子プレイヤーも結構いるんですけど、男子の中でしかやったことがないから、女子だけで試合やってみたいよねって神津島や伊豆大島の方たちから相談があって」元なでしこジャパンの原菜摘子さん、小林弥生さんがゲスト講師として参加し、楽しい雰囲気でイベントは盛りあがったのだそうです。■イベントを通じて感じる感謝の気持ちや楽しい体験先日の第2回開催では、1日目に悪天候で船が欠航になってしまうトラブルがあり、島からの参加者にとっては移動が大変だったそうですが「普段、年間数試合しかできない状況にいる島の子たちにとって、試合ができるというだけで本当に幸せを感じている」と、参加された監督さんは話されていたそうです。島の子どもたちにとっては試合だけでなく、島にはないコンビニに行くことや、家族のお土産にマクドナルドやミスタードーナッツに行くことを楽しみにしているのだと言います。東京の参加者にとっても普段当たり前に試合ができる環境が、当たり前ではないことを実感でき、サッカーができること、協力してくれる周囲への感謝の気持ちを持つ良い機会になります。また最近は家族で海に行く機会も少なくなっているそうで、参加したカフリンガの女子の保護者は「子どもたちだけで船に乗って島に行くという経験は、とてもありがたい」と話していたそうです。サッカーに関することはもちろんのこと、サッカーを通じ、貴重な体験ができるのも、周りの大人の見守りやサポートがあってのこと。垣本さんも「島のたくさんの人が協力してくれています」と感謝を示し、次回の伊豆大島での開催についても意欲を見せています。■女子選手はガサツで洒落っ気が無いというイメージを変えたい!日本でもオシャレでサッカーが上手い選手の育成環境を「プロや上のレベルを目指す中で、強い強度の中でできたり、早い判断力も身につくので男子チームでサッカーをするのもメリットは多いと思います。ただ女の子の中でやることで男子にはないキャッキャ楽しい雰囲気があったり、女子だけの感性や悩みを相談できたりします」垣本さんはスペインに毎年女子の選抜チームを連れて試合に出場するのだそうですが、初めて行った時、多くはスカートを履いていたり、綺麗なロングヘアーが多かったり、日本との違いに驚いたと言います。ガールズスクールも担当している元なでしこの原菜摘子さんはネイルをしたり、オシャレを楽しんでいますが、2005年のアジア最優秀選手にも選ばれたこともあるレベルで、サッカーが上手くてオシャレな先輩ということで、子どもたちからは憧れの的なのだそうです。必ずしも女子が誰しもスカートを履きたいわけではないし、ロングヘアーに憧れているわけではありませんが、男子チームに所属している場合、女子特有の感性やマインドが表現しづらいかもしれません。垣本さんは原さんと「日本の女の子もスカート履きたい子は履いたり、オシャレしたり。でもサッカーも上手いよねっていう中で育成していかなきゃダメだよね」と話しているのだそうです。■着替えについては周囲の大人が目を配ってほしいまた、サッカー先進国であるスペインでは、スポーツの文化がしっかりしていて、グラウンドには必ずロッカールームがあります。試合前は必ずここに案内され着替えやミーテイングを行うことができます。日本の場合、例えば河川敷のグラウンドなど、更衣室どころかトイレも整備されていない場合があり、着替えもその場で行うことがしばしばあります。最近は低学年であっても「プライベートゾーン」についての説明があったり、体をほかの人に見せないように注意喚起されているので、男女一緒の着替えに抵抗がある子もいるでしょう。ましてや高学年になれば、同じ場所での着替えを躊躇する子も出てくるもの。プレー以外の要素でサッカーが嫌になるきっかけになりかねません。子どもの着替え環境に関しては、日本におけるスポーツの考え方が古く、競技レベルが高くになっているにも関わらず環境が整備されない実情があります。特に女子の更衣の問題は、日本のスポーツ文化の発展のために早く良い環境にしていく必要があると思います。■女子は男子チームと女子チーム、どちらでサッカーをした方が良い?(写真は女子サッカーのイメージ)男子チームに入れたほうが、強度が高い練習ができて上手くなれると期待して男子チームに入れる保護者も多いですが、垣本さんは、サッカーが上手い子が、男子チームに所属することについて、理想としては女子チームでサッカーをすることを勧めています。「女子サッカー界全体のレベルを上げるためには小学生年代から女子チームでやることも大切だと思います。レベルの高い小学生女子が男子の中でプレーすることもいいとは思いますが、カテゴリーを越えて女子中学生や女子高校生に混ざってプレーすることで自分のレベルを知ることと共に、強度も保つことができます。そして女子全体のレベルがアップすると思います」以前は日本サッカー協会で「女子部」が存在していたそうですが、数年前から女子は男子の第3種に所属され、種別での女子の縦関係が繋がっていない状況なのだそうです。「女子部」として一括した組織化ができれば、例えば、普段は男子チームに所属していたとしても、学年の垣根を超えて中学生の女子の試合に出場できるような環境を作ってあげることもできるのでは、と垣本さんは言います。自分が女子の中でどの位のレベルにいるかが理解できること、また原菜摘子さんの例のように、先輩が身近にいる環境にいる方が、先々の自分のイメージができ、サッカーを続けやすい環境につながるのではないかと話しています。(後編に続く)垣本右近NPO法人東久留米スポーツクラブ代表理事/株式会社KELNCHU代表取締役カフリンガ東久留米/カフリンガBOYS東久留米/FCフエンテ東久留米など8つのクラブを持ちそれぞれの年代でサッカーを楽しめる環境作りをしている指導者・選手としても活動中サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>
2025年01月27日小規模で細やかに指導してもらえると思って入ったチーム。最初は実力差がなかったはずなのに、いつの間にか補欠が続き、スタメンになれない姿を見るのがつらい。夫婦ともにサッカー経験がないし、コーチに子どものアピールをしてこなかったのも原因かもしれないが、実力差を作ったコーチに不信感。所属し続けるのは私がしんどいから、辞めることも考えるが......。というご相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの知見をもとに、お母さんがどうすべきかアドバイスします。(構成・文:島沢優子)※文中に、柴崎岳選手、松井大輔さんの発言紹介もあります(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<サッカー経験者でコーチでもある父親に「気持ちがない」と責められる息子。同じチームにいさせていいのか問題サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>><サッカーママからのご相談>10歳の息子がいます。今年から所属チームに入りました。小規模で細やかに厳しく指導してもらえると思い、セレクション後入団して選手登録もして、平日週3回、頑張って練習を続けています。入団してしばらくはそこまで実力の差が見えず、チーム内で上手い方ではないが、親の目にはなんとなくついて行けているようでした。(実際はすでに実力の差は出ていたのに、親として気づいていなかったと思います)夏ぐらいから実力差が顕著に出始めて、11月の公式戦では補欠がとても多くなりました。もともと人数が少ないチームなのに、スタメンになれない姿を見て親としてかなり辛いです。我が家は夫婦ともサッカーの経験がなく、家庭で子どもに的確なアドバイスもできません。また、コーチに対しても子どものアピールも全くしてきませんでした。親としてできていない事もあったなと反省もしています。現状、そこまで実力差を作ってしまったコーチに対して、少し不信感を持ってしまって、親としても素直な気持ちでコーチに接する事が出来ないです。子どもは何の不信感もなく、割と楽しく通っています。チーム内でなんとなくポジションも固まり出して、我が子の居場所がない気もします。このような状態で現チームに所属し続けるのは、親としては、精神的にしんどいです。子どもは少し気にしているが、練習は楽しく、辞めようとは思っていないようです。今すぐに辞めるという事はないですが、今後どのように対応していけば良いでしょうか。期限をつけて子どもに課題(次回公式試合でスタメンなければ、やめる)などを与えようかなとも考えています。出来ればまだチームに残って頑張りたいのですが、残る意味があるのかどうか迷っています。アドバイス宜しくお願いします。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。お母さん、あのね、私はいまお母さんに感謝しています。よくぞメールを書いてくれた、と。息子さんのために、これはどうにかしなくてはというのが私の偽らざる気持ちです。そこでいくつかアドバイスさせてください。■「子どもの気持ち」が大事試合に出られなくて辛いのは親?子ども自身?子育ては、親の感情よりも、「子どもの気持ち」が大切だと心得ましょう。お母さんは「スタメンになれない姿を見て親としてかなり辛い」「このような状態で現チームに所属し続けるのは、親としては、精神的にしんどい」とご自分の気持ちを正直に書いてくださっています。私も子どもがサッカーをしていたころ試合に出られない時間もあったので、少なからずお気持ちを想像できます。しかしながら、試合に出られなくて一番辛いのは息子さんではありませんか?まずはそこを理解してください。■活躍できないわが子が情けなく、「明日の試合でゴールできなければ辞めろ」と言った父子どもに期待して、裏切られたら逆上する。そんな保護者の姿を私もたくさん見てきました。補欠でスタメンでない息子に「明日の試合でゴールできなかったらサッカーはやめなさい」と命じたお父さんがいました。レギュラーでゴールする友達の親御さんがうらやましく、活躍できない息子が情けなくなり、チームにかかわらなくなれば自分が楽になると思ったそうです。幸いにも子どもがそのことを周囲に告げたため、コーチの方がお父さんと話をしました(お父さんは高校まで部活動でサッカーをしていました)。以下の4つを主に話されたと聞きました。①息子さんはディフェンダーなので公式戦でゴールをする機会はあまりないけれど、練習ではシュートを決めて喜んでいること。②子どものスポーツは心身の発達の違いもあって、どこで伸びるかわからないので目の前の結果に一喜一憂しないでほしい。長い目で見て欲しい。③小学生の間は、サッカーを好きになってくれることが一番なのでそこを第一に考えて指導している。公式戦でプレー時間に差はあっても、Bチームの試合を組むなど、プレー時間をなるべく均一にしている。④サッカーのことはコーチと子どもでやっていくので、保護者はプレーについてあれこれ言わないでほしい。特にサッカー経験がある親御さんはご自分の経験則でアドバイスをしたり、試合や練習を分析して口を出してしまうが、多くの場合子どもにマイナスになっている。保護者は食事や睡眠など基本的な生活を支えることに集中してほしい。最後に、コーチ(クラブの代表)は「子どもを真ん中にして、クラブと親御さんで子どもを支え合いましょう」とお願いしました。その結果、お父さんは納得され、その子どもはサッカーを続けることが出来ました。中学になっても部活動でサッカーを続け、高校ではハンドボールに転向。大学にも進学し今は教員をしています。■実力差はコーチが作ったものではない、発達進度が異なる年代ということを理解しようこの話からわかることが2つあります。お母さんは「実力差を作ってしまったコーチに対して、少し不信感を持ってしまった」と書かれていますが、これはお門違いです。実力差はコーチが作ったのではありません。そもそも、個体差があります。子どもの発達や上達の進度は異なるのです。上記のコーチが言ったように長い目で見てあげましょう。■親がサッカー経験あるかどうかは関係ない2つめは、親がサッカー経験者であろうがなかろうが関係ないということです。むしろ経験者のほうが余計な口出しをしたくなったり、自身の物差しで「今後は伸びてもこんな感じかな?」と見限ってしまいがちです。サッカー経験者も別の意味でわが子のサッカーに葛藤を抱えているのです。例えば、サカイクに柴崎岳さんのインタビューがあります。「親がサッカー経験者じゃないと上手くならない?柴崎岳選手の回答」彼はそこで「母はいわゆる、ママ友応援団という感じで応援に来ていました。ピッチの外からワーキャー言っていましたね。○○しなさいとかではなく、単純に子どもたちのプレーに対して『惜しい~』などとリアクションする程度でした。母は僕のサッカーに対しては何も言わなかったです」と述懐しています。松井大輔さんが親のサポートについて述べたインタビューもあります。「親はサッカー経験者ではなかったが、寄り添い、自分の決定を支えてくれた」「熱心に取り組むのはいいことです。ただ、親がやらせすぎて、子どもがサッカーを嫌いになってしまうケースを見てきました。何より大切なのは、子どもが楽しいと感じること。『サッカーをやりたい』『もっと上手くなりたい』という気持ちが、子ども自身から湧いてくることが重要です。子どもの思いを第一に考えることが、サッカーを楽しみ、長く続ける秘訣だと思います」いかがですか?お母さんがおっしゃった「コーチに対しての子どものアピール」なんて、誰もしていません。親が何かを言えば、コーチもわが子も影響を受けるなんて思わないでください。教育やスポーツの育成は、もっと純粋で崇高なものです。■あなたの考える「課題提示」は子どもを脅す発言になりかねないこの点からもうひとつ。お母さんは「次の試合でスタメンがとれなかったらチームをやめなさい」と脅せば、息子さんが望み通りにスタメンになれると考えているのでしょうか?こう言えば、恐らくお母さんは「いや、脅すなんてそんなつまり滅相もありません」とおっしゃるでしょう。ご相談文には「期限をつけて子どもに課題(次回公式試合でスタメンなければ、やめる)などを与えようか」と柔らかい表現で書かれていますが、これは「課題」と呼べるでしょうか。もしかしたら「スタメンとれないならやめることも考えようか」といった提案型にするつもりだったのかもしれませんが、いずれにせよ息子さんにとっては威嚇に感じることでしょう。子ども時代に最も大事な自己肯定感がつぶされてしまいます。■わが子が理想通り育たないとダメ?どうしてサッカーさせているか、原点に立ち返ろう(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)そこで、「何のために子どもにサッカーをさせているのか?」をご自分で考えてみましょう。月謝だってかかる。送迎とかもろもろサポートする側の保護者は大変です。それでも、少年サッカーをさせている。そこには、息子さんにサッカーを通じてどうなってもらいたいのか、希望があるはずです。ぜひ自分の胸に手を当て、湧き出てくる言葉を思い浮かべてください。何が何でもプロ?違いますよね?息子さんは練習も休まず通っている。楽しくサッカーをしている。そこを親として「腐らずに練習も試合も行って偉いね」とまずは評価してあげて欲しいです。そのうえで、例えば「でも、もっと試合に出られるチームに替わりたいなって思ったら一緒に考えようか」と提案してもいいでしょう。どうか子どもの意思を大切にしてください。わが子が望み通りの姿でなくては我慢できないお母さんがいる限り、息子さんの自己肯定感は育まれません。今なら間に合います。どうか違うお母さんに変わってください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2025年01月22日小学校入学とともに入団してくる新一年生。全員サッカー未経験だけど、一番最初はどんなことを教えたらいい?というご相談。学生時代サッカーをしていた親御さんでも、いざ教える立場になると何から始めればいいのか迷ってしまいますよね。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、ご自身の主宰するチームのお話などを踏まえ、おすすめの練習を紹介します。(取材・文島沢優子)サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<低学年あるある「パスをしない」を解消したい。どんなタイミングでパスを出せばいいか、気づかせる方法を教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。学校のチーム(カテゴリーとしてはスポ少だと思います)で、U-8年代の保護者兼コーチをしております。サッカー経験は高校までで、特に強豪でもない部活でやっていました。相談内容は、来年度迎える新一年生の指導です。全員サッカーは全くの初めてなのですが、サッカーを一番初めに教えるときにどんなことをしたら良いのか教えてほしい。という相談です。サッカー経験者ではありますが、改めて今の時代に合った指導を知りたいと思いまして。4月から新一年生が入ってきます。学童のように放課後を過ごす場としてサッカーさせてるような感じであり、全員が同じ状態からスタートです。田舎で保育園時代にサッカーする場はないので。運動能力については、都会の子より低めだと思います。最近は地方でもボール遊びができない公園なども増えてきており、田舎の子たちも外遊びする子などあまり見かけません。野山を駆け回るなど皆無です。まして、コンビニにすら車で20分とかザラにある地域なので、子どもたちはどこかに行くときは親の車で移動するのが当たり前、体育以外の運動をしている子は少ないです。(スポーツも文化的なものも、クラブやスクールは車で30分とかなので)こんな感じの子どもたちへの「初めてのサッカー」で、どんなことを体験させればいいのかアドバイスをいただけると助かります。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。今の時代に合った新1年生の指導はどうすればよいか?という質問ですね。これから春になり1年生がクラブに加入する時期を迎えるので、指導で心がけていただきたいことをお話しします。■まずは楽しくボールを追って、簡単にゴールが決まるような経験をさせてあげるまずは試合をさせることが重要です。5対5や8対8など少人数で設定します。最初はみんなボールになかなかさわれないけれど、ワイワイと楽しく追いかける。それで十分です。ただし、自分から行けない子も出てきます。そこで「この人数だとボールをさわれない子もいるから、ちょっと分けてやってみましょう」と言って、そういう子たちとひとりで行ける子でグループ分けをします。さらに人数も減らして、2対2とか3対3で試合をしてもらいます。あくまでも楽しくやることを目指します。例えば得点が入ったときにみんなで喜ぼう、といったルールにします。そういうことを最初に経験させてあげると、子どもはもっとサッカーをやりたくなります。サッカーを始める入口では、いかにモチベーションを上げるかが大事です。それはこちらがどんな練習を提供するかで変わってきます。子どもはゴールできるとうれしいので、点が入らないような試合だったらコーチがそこに一緒に入ってうまくパスをしてゴールさせてあげるお膳立てをしてもいいでしょう。サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■体を動かしたい、という欲求を満たしてあげる「田舎でも子どもたちが外遊びをしなくなった」ということですが、日本全体の体力テストを見ても地方の子どものほうが数値が低いようです。親御さんたちの時代は何キロも歩いて通学したのに、今はスクールバスが出る。外出も習い事に行くのも電車はあまり使わず自宅から親の車で移動する。そのように地方は車社会なので歩く機会が減っています。ほぼご相談者様の見立て通りだと思います。だからこそ、最初に試合にしてあげてボールを追いかけることが楽しい、体を動かすことが嬉しいという感覚を味わってもらいます。やっているのはサッカーなのですが、そういった子どもたちが本来持っている「常に体を動かしたい」という欲求を満たしてあげることを念頭においてください。■子どもは本当に苦しくなると自分から休む子どもは本当に苦しくなると、必ず自分で休みます。自分から足を止めるとか「コーチ、もう走れない!」と言ってくれます。そのため、やりすぎるということがありません。運動不足の子たちはすぐにあきらめてしまいがちですが、休めばまた動き出します。全員が本当に動きが悪くなったら、ちょっと1回休もうかと休憩を入れます。そうやって、なるべくゲームをする時間を長く取ってください。最初の1か月くらいはゲームしかしないぐらいのつもりで練習を組み立てましょう。私が地元で主宰しているスクールも、練習に来たらまず30分以上は試合をします。1年生は最初のころは途中「のどが渇いた」などと言いに来るのですが、1~2か月もすれば30分試合を続けられるようになります。■スポーツ障害の予防ではウォーミングアップよりクーリングダウンが重要加えて、低学年の練習については「ウォーミングアップは必要ですか?」という質問を受けます。けがの防止という観点から必要だとの意見が多いのですが、いろいろ研究されている中で、アップの量でけがの発生頻度が変わることはありません。つまり、影響しません。スポーツ障害の予防についても、ウォーミングアップよりも、クーリングダウンを重要視したほうがよいという研究結果が出ています。1年生くらいであれば、例えば鬼ごっこをするとか勝ち負けのあるゲーム的なものがお勧めです。■キッズ年代の動きづくりは、体を動かす楽しさを覚えてサッカーを好きになってもらうこと日本サッカー協会が「キッズ年代の動き作り」(サッカー協会のページに飛びます)という言い方でメニューを紹介しています。スキップ、ジャンプ、ターン、ジグザグに走るといったものがあります。そういったことを競争にしてやると楽しめるでしょう。ただし5分か10分で十分で十分なので、すぐ試合をやります。私が所属する京都府サッカー協会で「キッズコーチ」というライセンスを作っています。ゲーム後にジグザグドリブルを、ではなく、最初から2対1に入ります。仲間と一緒に協力して何かができたら嬉しい。2人でプレーして喜んでもらうのが目的です。うまく攻めるとか、うまく守るではなく、失敗してもいいから楽しくやるということに注目します。日本サッカー協会のキッズリーダーのような、まさしくサッカーの入口に立つ子どもへの指導を学んでもらいます。初めてやる子たちが体を動かすことが楽しくなって、それでサッカーを好きになってもらう。そんな考え方です。■常に「見て、判断」しないといけない練習を試合やってみんな楽しくなってきた。次はどうしよう?と考えたとき、やはり技術の向上をと考えます。ただ、ドリブルをするにしても、試合では必ず守備をしてくる相手がいる。自分のボールを取りに来る相手がいます。その都度、右か左か前か後ろかどの方向を選んでドリブルに行きますか?と判断を問われます。したがって、子どもたちが常に「見て、判断」しないといけないような練習を考え出してほしいのです。サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■「味方がそこにいる意味」を理解させるような練習を(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)例えば、団子サッカーにならないよう最初に「団子になったらだめだよ」と言うのではなく、最初は団子のままやらせてください。誰かひとりがドリブルしてみんなが団子になっているときに「はい、そこでストップして」とフリーズさせて、「みんな、どう?今、何が起きてますか?」と問いかけてください。広がったほうがいいとか、パスをしたほうがいいとかそういった答えが出てくるでしょう。そこで「じゃあ、広がれるように練習しましょう」と2対1などの練習に移ります。そこで味方がいる意味などを理解するよう練習をしてください。「すぐに試合したい!」と言ってくるような、そういう子どもたちを育ててもらえるといいなと思います。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2025年01月17日子どものサッカーを見ていて、「もっと走れ!」「そこ空いてる」「周りよく見て」なんてピッチサイドから声を上げる親御さん、いませんか?グラウンドの外からだと、動きがよく見えますよね。相手のスペースや味方の位置も理解できます。ですが、ピッチの中ではどうでしょう?子どものサッカーをきっかけに自身もサッカーを始めたら、「思ったより走れないし、顔を上げる難しさもわかった」というお父さん2人に、サッカーを始めてから子どもへのかかわり方がどう変化したのか聞いてみました。(取材・文木村芽久美)サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>関連記事:うるさいから来ないで!息子の一言で正しい応援の仕方に気づいたお母さんの話■サッカー未経験のお父さんたちが、サッカースクールに通い始めた理由とは?ブラジルの国内トップリーグで、育成においても定評があるクラブチーム「クルゼイロ」。そのクルゼイロのスクールを運営する小林ヒロノリさんが主宰する大人のためのサッカー教室に通う、ナカノさんとフジイさん。ナカノさんもフジイさんもサッカー未経験のお父さんでしたが、息子さんたちと一緒にサッカースクールに通い、ご自身もサッカーを楽しんでいます。ナカノさんは息子さんが卒園時期にサッカーをやり始めたことをきっかけに、ご自身も運動不足解消にと、大人のサッカースクールに通い始めたそうです。フジイさんは、今まで運動経験がほとんどなく、所謂「文化系」だったと言います。息子さんが1年生の夏休みにスクールに通い始め、一緒にスクールでサッカーをするだけでなく、コーチや審判のライセンスを取るまでになったのだとか。「自分がサッカーをしてみて、そのコミュニケーションツールとしての素晴らしさみたいなものに気づいて、世界中の人ができるってよくわかったんです。それで子どもにもサッカーを勧めているうちに自分も楽しくなって、一緒に上達したい、『一緒にうまくなろうぜ!』っていう想いで続けてきて」当初息子さんはスクール通いだけだったそうですが、学校のクラスの友だちを集めてチームを作り、区の大会に出場。結果はボロ負けだったのだそうですが、息子さんの向上心に火がつき「 俺、もっとうまくなりたい!」と、本格的にチームに所属し、サッカーをやり始めたのだといいます。■自分のプレーはさておき、練習や自主練にもつい口出ししてしまった経験息子さんたちのサッカーが本格的になるにつれ、つい口出ししたくなる時もあったと話してくれたナカノさん。「やっぱり息子にはチームで頑張ってほしいなっていう思いがあって、 Youtubeを見ながら一緒に練習したり、公園で一緒にボール蹴ったり、ついつい『もっとちゃんと練習やんなきゃダメだよ』って言っちゃうこともありました」フジイさんも普段代表戦やJリーグを見ていることもあり、子どもの試合や練習を見ていて、つい口出ししそうな時があったと言います。「『なんでそこ走んないの』『なんでそのポジションにいるの』とか、色々言いたくなってくるんですよね。でも同じように自分もサッカーをやっているから、自分ができないこともわかるんですよ、自分の動画なんかを見てもできていないですし(笑)」■「子どもたちはよく走っている」、プレーする子どもの立場になって考えられるようにナカノさんはプレイヤーとして同じ立場になってみると、子どもたちがよく走っていることに気付かされたと言います。またサカイク10か条やスクールコーチの声かけや発信物などから、様々な経験を積んだ大人とは、気持ちの持ち方も違うということを理解したり、子どもがやる気がないように見える時があるけれども、実はそうではないということも学べたのだそうです。「大人のサッカー教室だと、コーチの接し方って優しいじゃないですか。そうするとあまりプレッシャーを感じずにサッカーができるんで、サッカーがやりやすい。そういうところは見習って声かけをしています」フジイさんは自身のサッカー経験から、子どもの視点にたち、言い方にも気をつけるようになったのだそうです。「大人でも『お前何やってんだよ』とか言う人がいるんですよ。そう言われると萎縮して余計いいプレーができなくなったり、とにかくうまい人にパスしなくちゃいけないみたいな気持ちになっちゃうんですよ。でもそれってサッカーが楽しくないし、うまくもならないし、何もいいことはない。だからそういう言い方はしないようにしていますね」■ボール一つあれば、世界中どこでもサッカーができる。コミュニケーションツールとしてのサッカーの魅力ナカノさんもフジイさんも、息子さんたちにサッカーを勧めた理由の一つとして、グローバル社会を見据え、サッカーがコミュニケーションツールとして優れている点があるのだと言います。ナカノさんは息子さんにサッカーを勧めた理由に「ヨーロッパを旅行している時に、公園でみんながサッカーをしていたら、国の違いなど関係なく、そこに入って一緒にサッカーしている光景をよく見たんです。知らない人同士がサッカーを通じて一瞬で仲間になる、そういうことができたら楽しいだろうなと思って」と言います。フジイさんは外国人とサッカーをしていて、その国の人たちの性格や特性がプレーに出るという面白い発見があったそうです。「様々な国の人がそれぞれの個性を持ちながら、でもボール1個あれば誰でもサッカーができるっていうのが、コミュニケーションツールとしては非常に優れているなっていう気がしていて。だからサッカーがうまくなるとか、プロを目指すようなモチベーションでやることだけが全てじゃなくて、そこまでではなく、例え遊びでやっていたとしても、 すごくたくさんの人と友だちを作れるツールみたいなのを、サッカーに感じたんですよね。最近妻が英語をやり始めたんですけれども、いや、英語やるよりサッカーの方が外国人とコミュニケーション取れるぞ(笑)。みたいなことを話したりもしています」■子育てを無理なくでき、サッカーをしていて家族が幸せになれることの大切さライセンスを持ち、指導者としての観点も持つフジイさんは、保護者が子どものサッカーに前のめりになり、「レギュラーになれない」とか「試合に出られない」など、親の方が気にしていることが多い気がすると話します。「習い事とかって親も負担があるし、特にサッカーなんて土日全部取られるし、 ものすごい負担感があるじゃないですか。でも自分の場合は、サッカーが好きで一緒にできるから、息子のサッカーのサポートに関して負担を感じずにやれています。だから親自身も楽しいって思える環境が、家族にとっても大事なことなんだと思っています。親が子育てを無理しちゃうと続かないんですよ。だから親も楽しくてサポートできるっていうような親子の関係性を作ることが、家族の幸せに繋がっているって、すごく感じますね」ご自身もサッカーライフを楽しみながら、サッカーを通じて子どもの幸せな将来を見据えているお二人。ついついお子さんのサッカーに口出ししてしまう保護者は、実際にサッカーをしてみると、今までとは違う視点で、お子さんのサッカーを見られるようになるのかもしれません。サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>
2025年01月15日2月15日(土)サカイクが保護者セミナーを開催します。(オンライン/無料)テーマは「自分で考える力」がどうしてサッカーに必要なのか、考える力を身につける方法です。いい選手が必ず持っている「自分で考える力」。シンキングサッカースクールやサカイクキャンプへのリピート参加者で、強豪高に進んだ選手や、Jリーガーになった選手たちの事例なども踏まえ、「自分で考える力」が選手として成長するために必要な理由をお話しします。【目次】1.開催概要2.サッカー選手として「自分で考える力」が必要な理由3.講師について4.詳細・お申込み=======================<開催概要>日時2月15日(土)19:30~20:30形式オンライン(無料)定員50名参加費 無料※後日オンライン(Zoom)のURLをお送りいたします※質問はセミナー中にチャットでお送りください。※セミナーのテーマに沿っていないご質問にはお答えいたしかねますのでご了承ください。>>>お申込はこちら※お申込はLINEアプリを使用してのお申込みとなります。LINE登録画面が表示されて応募フォームに行けない方は、画像右上の×印を押してください。=======================■今なぜ「自分で考える力」が必要なのかサッカーで瞬時の判断を下す際にも「考えて決める力」がベースになります。また、正解が1つではない、もしくは正解がないこれからの社会を生きるためにも必要な力ともいわれている「後天的に身につけられるスキル」です。家庭で「考える力」をつけるのが難しいなと感じている保護者の皆さん、ぜひこの機会にご参加ください。■講師紹介講師を務めるのは、サカイクキャンプのヘッドコーチでシンキングサッカースクールのコーチも務める、指導歴20年超で4児の父・4人中3人のお子さんが本気でサッカーをしている菊池健太コーチと、同じくサカイクキャンプとシンキングサッカースクールのコーチで指導者歴10年、大学では教員過程を専攻し、小学校教諭の資格を持つ柏瀬翔太コーチ。菊池健太(きくちけんた)<資格>日本サッカー協会C級JFA公認キッズリーダーキッズコーディネーショントレーナー佐倉市立井野中学校サッカー部外部指導員<経歴>VERDY花巻ユース 日本クラブユース選手権出場(全国大会)中央学院大学 千葉県選手権 優勝千葉県1部リーグ 優勝柏瀬翔太(かしわせしょうた)<資格>日本サッカー協会公認C級コーチ小学校教諭一種免許公益財団法人日本体育協会公認スポーツリーダースポーツ少年団認定員■コーチも情報をアップデートしています昨年末には、サカイクキャンプで提唱する「ライフスキル」を監修する慶応義塾大学・東海林祐子先生のもと、ライフスキル指導について研修を行い、情報をアップデートしております。<研修の様子>
2025年01月09日小学校から社会人までサッカーをしていてガツガツ行けるタイプだった夫とは正反対で、身体も小さくおっとりしている息子。トレセンにも選ばれたこともあるし、下手じゃないはずだけど、夫には息子のやる気が伝わらず「勝つ気持ちが見えない」「ほかの子を出したほうがよかった」と言う。息子は夫の目を気にしてプレーしてるし、このまま同じチームにいて良いの?というお母さんのご相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの知見をもとに、今後どうすべきかをアドバイスします。(構成・文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<やる気が見えない息子に「ダメ人間」などと暴言を吐く夫を何とかしたいです問題期間中登録で、あなたの過干渉タイプがわかる過干渉チェックシートプレゼント>><サッカーママからのご相談>はじめまして。小学4年生(11歳)の息子が1年生の後半からサッカーをやっていますが、夫がそのサッカークラブのコーチをしています。夫自身も小、中、高、社会人、とサッカーをしており、小学生時代は自分は上手くて韓国遠征にも行ったと自分の事をよく話しています。4年生の息子は背も身体も小さめでおっとりした性格、プレーも「俺が絶対点をとる!」というようなガツガツ当たっていく感じではないそうです。かといって、本人はやる気がない訳でもないし、勝ちたい気持ちもある、と言ってます。夫は自身がガツガツ行くタイプだったようで、「息子のプレーには勝つ気持ちが見えない」「あいつ今日もダメダメだった」「A君(他の子)はすごい伸びてるし、プレーも強気だし息子よりA君出した方が全然いい」などよく言います。息子自身もトレセンメンバーに一応選ばれた事もあり、周りからもコーチの息子だしトレセンメンバーに選ばれた事もあるからうまいと思われているプレッシャーがあるのではないかと思うのですが、なにより夫であるコーチの目を気にして練習や試合をやっているのではないかと......。練習や試合会場までの送迎も一緒なので、うまくできなかったときは帰りの車内の雰囲気もよくないそうです。帰宅後も庭で自主練をやらずゲームをやっていると「気持ちがないよな」と言われた事があり、そう言われるから練習しないと、という流れになってしまっています。このまま親子同じチームでやらせていいのか、母として悩ましい日々です。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。結論から言うと、すぐにでも今いるチームを辞めさせましょう。そして、他の場所でサッカーができるよう、息子さんのプレー環境を整えてあげてください。理由は、このままでは息子さんのこころのバランスが大きく崩れてしまうことが目に見えているからです。お父さんは、自身と異なる性格の息子を認められないようです。勝つ気が見えないと自身の主観だけで息子を非難し、否定し、あろうことか他の選手と比較までしています。やる気が見えないと言いながら、子どもの自己肯定感を下げるような言動しかしていません。■あなたの夫のやっていることは、わが子に対する言葉の暴力この連載でも何度か説明しましたが、「やる気」は叱られると湧いてきません。脳科学的には、ある行動をとろうとするときに、その行動の先に快感(良い気分)が予測されることを「やる気」と言います。この「行動」と「快感」を結びつける働きをするのが、左右の大脳半球の奥にある「線条体」という神経核です。この線条体、認められたり、褒められたりすると、活発に動いてくれてやる気が出ます。ところが、ネガティブな言葉をかけられると活動しません。縮こまって停滞してしまいます。お父さんはもしかしたら、強い言葉で言えばやる気を出すと考えているのかもしれませんが、実は逆効果なのです。もしもやる気を出してほしいと思って他の子と比べているわけでもない、自分がむしゃくしゃして言ってしまったのなら、ただの意地悪だし、言葉の暴力です。いずれにせよ、過去の言動を息子さんに謝るべきです。■母であるあなた自身がどう動けばいいか加えて、お母さんが2人の間に入ってどう対応されているのか気になります。お父さんが意地悪で理不尽なことを言っても、それをお母さんがたしなめて息子さんをかばっているのなら、まだ救いがあります。日本の家庭文化はまだまだ男性優位ですが、現時点ではお母さんのほうが本質をとらえているし、息子さんの気持ちに寄り添おうとしているようです。ここがお母さんの踏ん張りどころです。息子さんのために一番良い選択は何なのか。そこをぜひ考えてみてください。私としては、息子さんに「お父さんと離れて、違うチームでサッカーをしよう」と提案してみてほしいです。そこで彼が同意したのなら、お父さんに「このままではこころが壊れてしまうし、サッカーを嫌いになってしまう。チームを替えさせたい」と伝えましょう。■両親のパターン別、子どもをつぶすリスクサッカー少年の親御さんには、今の時代の子育て観を学んでほしいと私は思っています。気をつけないと子どもをつぶすリスクがあるからです。育成年代を20年以上取材してきたなかで、両親がいる場合のリスク順に簡単に説明すると以下のようなパターンが見られました。★子どもをつぶすリスク【大】=両親ともに子どもを追い詰めるタイプ★リスク【中】=父親が子どもを暴言や理不尽な言動で追い詰め、それに狼狽する母親が手を打てないうちに、子どものこころが折れてしまう(うつ病、不登校、サッカーをやめてしまう)★リスク【小】=父親か母親のどちらかが熱血でも、片方が冷静で包容力、判断力、行動力があれば、時間の長短の違いはあるものの子育てを軌道修正できる★ノーリスク・ハイリターン=両親ともに子どもを尊重できるタイプ。主体性のある子どもが育つ■スパルタ的な指導を肯定する意見を見て、自分は間違ってないと思っているのではしかしながら、日本の育成は欧州などのサッカー大国に比べると遅れています。ネットで報じられるサッカーの育成に関する記事やSNSでも、いまだに子どもに対し威圧的に振る舞う指導者を称えたり、スパルタ的な子育てを肯定するものが目立ちます。そういった情報を、お父さんが見てしまって「自分はこのやり方でいい」と思い込んでいるかも知れません。人は「育てられたように育てる」動物ですから、長年そのように指導されてきて、韓国遠征をするような選手だったのであれば「俺は厳しい指導のお陰で成長した」と考えてもおかしくないでしょう。■子育ても指導も今の時代に合わせてアップデートが必要その一方で、厳しい指導を奨励し、S級をとってプロの指導者になった元Jリーガーたちが過去に何人もパワーハラスメントで訴えられたり、ライセンスをはく奪されたり、監督を辞めさせられたりしています。これに対し、選手として長く海外でのプレーを経験したり、指導を学ばれている指導者はそういったことがありません。彼らはずっと先を歩いています。つまり、お父さんには新たな学びが必要なのです。今回は自分の息子でしたが、今後ほかの子どもに対して不適切な指導をするかもしれません。ぜひともお父さんを啓もうできそうな本を買ったり、記事を見せるなどして夫婦で話し合ってみてください。■父親が厳しく指導したのち不登校、サッカーをやめたケースも(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)私が取材したなかで、息子さんが中学生に入ってサッカーをやめたケースがあります。父は少年サッカーのコーチ、息子は選手。そのいびつな関係性が続いた結果、父親に激しく叱られた後、息子さんは不登校になりそのままサッカーもやめてしまいました。その家庭は、父親が常に強権をもって、母親がハラハラしつつもそれを止められないままでした。お母さんは私を頼ってくださいました。できればのちのち後悔しないよう、夫との関係性を見直し、これから少しでも対等に話し合って家庭を運営できるようにしてください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2025年01月08日冬休み、サッカーと子育てについて考えることも増える時期ではないですか?本日は、少年サッカーの保護者向け情報サイト「サカイク」で2024年8月から12月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった、もっとも読まれたコラム・連載記事をランキングでご紹介します。公開当時に見逃した記事もあると思いますので、この機会にぜひご覧ください。期間中登録で、あなたの過干渉タイプがわかる過干渉チェックシートプレゼント>>第3位朝練も自主練もなし、練習時間も断然短いのにスペインで「上手い選手」が育つ理由第3位は、小澤一郎さんの書籍から抜粋したスペインの育成に関する記事でした。スペイン代表といえば、足元がうまく華麗なパスサッカーで魅了する、サッカーIQが高いといったイメージもあり、保護者の方も「海外サッカー」の中でもその育成に関心が高い人が多いですよね。実際にスペインで指導したこともある小澤一郎さんの書籍には、練習時間が日本より短いのに上手い選手が育つ理由が紹介されています。その一部をご覧ください。記事を読む>>第2位保護者とのコミュニケーションが希薄で、些細な諍いが絶えなかった大所帯チームを変えた、保護者と指導者の「10の心得」とは第2位は、保護者とチームの関係性が改善されたWingsのインタビュー記事。千葉県の強豪チームWingsが、関連4団体も含めサカイク10か条を保護者に配布した理由をお伺いしました。大所帯だとどうしても些細な問題が大ごとになりがちですが、配布後は保護者とのコミュニケーションも改善されるなど、すぐにいい影響が出たとのこと。Wingsの変化をご覧いただき、自チームでもぜひ、という方は記事内のリンクよりお申し込みください。記事を読む>>第1位最後の試合も上手な下級生優先でわが子ひとりだけほぼ出場なし。これまでしてきたチームへの手伝いは間違っていたのか問題第一位は、6年生最後の公式戦での出場機会についてのご相談記事でした。我が子の出場機会でがっかりしたり、つらい思いをした経験がある親御さんに共感されました。6年生最後の大会で、学年で我が子だけ出場機会ほぼ無し。少ない同級生と頑張ってきたのにそういった状況になったらガッカリするのは当然ですよね。怒りに震えるお父さんから、「これまでのチームへの手伝いは間違っていたと分かった」とのご投稿でしたが、チームへの手伝いは我が子のポイントを上げるためにするものでしょうか。ご自身も子どもが試合に出れず辛い思いをした経験がある島沢優子さんが、悔しい気持ちの消化の仕方をアドバイス。お子さんが5年生以下の方もぜひご覧ください。記事を読む>>いかがでしたでしょうか。これからも親御さんご自身が子どものサポートについて考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、2025年もご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
2024年12月30日冬休み、サッカーと子育てについて考えることも増える時期ではないですか?本日は、少年サッカーの保護者向け情報サイト「サカイク」で2024年8月から12月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった、親からのお悩み相談記事をランキングでご紹介します。公開当時に見逃した記事もあると思いますので、この機会にぜひご覧ください。サカイクLINE登録で過干渉にならない方法が学べる>>第3位暴言で受けた脳ダメージはリカバリーできる!傷ついた子どもに親ができること&すべきこと第3位は、脳研究の大学教授に聞いた「暴言と脳委縮」のテーマの後編でした。「暴言で脳が委縮する」というのは事実です。チーム指導者の暴言だけでなく、親からのひどい言葉でも一緒です。脳は委縮したら戻らないもの?という疑問に、東北大学教授の瀧靖之教授が脳科学の観点から回答してくれました。暴言が脳に与える影響、委縮した脳(海馬)のリカバリーについて、ぜひ大人が知っておいてほしいことです。記事を読む>>第2位子どものサッカーで親が燃え尽き症候群に?毎週末のサッカーが無くなって「喪失感」を抱かないための3つの準備第2位は、親の燃え尽き症候群について過去記事を再配信したもの。11月もしくは12月に最後の公式戦が終わり、小学生年代のサッカーに一段落。というチームもありますよね。毎週のように練習や試合に帯同していたのがなくなり、子どもより親のほうが燃え尽き症候群になってしまうこともあるのだとか。そうならないためにどうしたらいいかメンタルトレーナーからのアドバイスです。記事を読む>>第1位早い子は3年生から。高学年になったら親同士腹の探り合い子どものサッカーの進路、決めるタイミング第一位は、サッカーの進路についてサカイクアンバサダーのお母さんに聞いた記事。12月に配信したのに下半期の保護者の悩み系記事トップになるほど関心を集めました。子どものサッカーの進路、いつぐらいから意識し始め、どう動いているか。気になるけど周りになかなか聞けない、ほかの家庭もどこかに移籍を考えているみたいでセレクション情報とか調べてるみたいだけど、絶対口外しない。そんな保護者のリアルな関心事に、すでにそれらを経験済みのサカイクアンバサダーが答えてくれました。地域や所属チームによりますが、一つの参考例としてご覧ください。記事を読む>>いかがでしたでしょうか。これからも親御さんご自身が子どものサポートについて考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
2024年12月27日サッカーの試合を円滑に進めるために欠かせない審判。その役割と重要性を深く理解するためのDVD『審判』シリーズ四部作の最終章『国際審判員 カルテットのレフェリング』が発売されました。DVD『国際審判員』は、国際試合でのレフェリングがテーマではありますが、四級審判員や三級審判員でも意識する事の出来る審判員の動作について語られています。たとえば、荒木友輔レフェリーは速攻時に意識する事。聳城巧ARは『やべっちスタジアム』のSTOP解説のように、ARのポジショニングや見方、協力について教えてくれています。さらに、西橋勲ARは、反復横跳びからダッシュに移行する足の運びを。他にも、国際審判員ではないが、林大地選手や田中駿汰選手や村上昌謙選手が伸びるきっかけとなった接触技術を用いる大阪体育大学出身の御厨貴文レフェリーは、レフェリーの動作について明かしています。そんなDVD審判シリーズ四部作の完結編となるDVDを、抽選で2名様にプレゼントします。下記をご確認の上、ご応募ください。<DVD『国際審判員(主審・副審) カルテットのレフェリング』ダイジェスト映像>DVDのポイント■CHAPTER.1Jリーグインターナショナルシリーズ2024横浜F・マリノス vs ニューカッスル ユナイテッドレフェリングレビューインタビュー:「国際試合でのレフェリングについて」荒木友輔・聳城巧■CHAPTER.2Jリーグインターナショナルシリーズ2024浦和レッズ vs ニューカッスル ユナイテッドの舞台裏・スタジアム入り・審判団控室の様子とウォーミングアップ・試合前から選手だまりの様子・試合中(レフェリーCAMと中継映像の二画面にボケイロ音声)・試合後飯田淳平、淺田武士、平間亮、川俣秀※国際親善試合ですので、ボケイロ音声で日本語同様に英語も多用されています。英語テロップはありますが、日本語訳はありません。■CHAPTER.32024Jリーグアウォーズ独自映像の舞台裏と独占インタビュー御厨貴文、西橋勲、松尾一、高山啓義協力:公益財団法人日本サッカー協会 審判委員会制作:公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)など今回は抽選で、2名様にプレゼントします!▼応募はコチラから審判DVD「国際審判員(主審・副審) カルテットのレフェリング」DVDプレゼントに応募する>>応募期間:2024年12月27日(金)~2025年1月5日(月)■ご連絡事項※当選は発送をもって代えさせていただきます。※応募時に記載いただく個人情報は、株式会社イースリーが管理し、頂いた個人情報をプレゼントの発送とそのご連絡の場合に限り利用することとし、他の目的に利用する場合は別途お客様の承認に基づき利用するものとします。※賞品のお届け先は、日本国内に限らせていただきます。※本キャンペーンは、WEBからのご応募に限ります。
2024年12月27日サッカーにおいて、「球離れ」は非常に重要な要素です。「球離れ」とは、ボールを持っている選手が、適切なタイミングで、周りの状況を判断し、最も効果的な方法でボールを仲間に渡す、あるいはシュートを打つなど、ボールを手放すことを指します。 つまり、単にボールをキープすることではなく、状況判断と技術、そして戦術眼が求められるのです。サカイクLINE登録で過干渉にならない方法が学べる>><目次>1.サッカーの基本技術としての「球離れ」2.「球離れ」が良い選手と悪い選手の違い3.「球離れ」が悪いとパスミスやボールロストの原因にサッカーの基本技術としての「球離れ」「球離れ」は、ドリブル、パス、シュートと並ぶサッカーにおける基本技術の一つと言えるでしょう。なぜなら、「球離れ」一つで、チーム全体の攻撃のリズムや流れが大きく変わるからです。「球離れ」が良い選手は、常に周りの状況を把握し、最適なタイミングでパスやシュートを選択することができます。例えば、ドリブルで相手を引きつけておいて、フリーになった仲間にパスを出したり、相手の意表を突くタイミングでシュートを打つなど、「球離れ」の技術によって、様々な攻撃パターンを生み出すことができるのです。「球離れ」が良い選手と悪い選手の違い「球離れ」が良い選手は、常に周囲の状況を把握し、最適なタイミングでパスやシュートを選択できるため、チームにリズムとテンポをもたらし、効果的な攻撃を展開することができます。一方、「球離れ」が悪い選手は、ボールを持ちすぎてしまい、相手のプレッシャーを受けやすくなるだけでなく、パスコースを限定してしまい、攻撃のチャンスを逃してしまうことにもつながります。「球離れ」が悪いとパスミスやボールロストの原因に「球離れ」が悪いと、試合中に様々な問題が発生します。まず、ボールを持ちすぎることで相手のプレッシャーを受けやすくなり、パスミスやボールロストに繋がりやすくなります。サッカーは攻守の入れ替えが目まぐるしいので、効率的に攻撃するためには素早く正確なパス回しが必要不可欠です。「球離れ」の悪さは、チーム全体の攻撃のリズムを崩し、相手に主導権を握られる原因にもなりかねません。「球離れ」が悪い選手は、自分のプレーに固執してしまう傾向があり、チームメイトとの連携が不足しがちです。サッカーはチームスポーツであり、個人プレーだけでは限界があります。チーム全体でボールを動かし、連動した動きを見せることが、勝利への鍵となるのです。「球離れ」は、サッカーにおいて非常に重要な要素です。日々の練習を通して意識することで、自身のプレースタイルを大きく向上させることができるでしょう。
2024年12月26日川崎フロンターレやFC東京など、Jクラブ48チームにも導入実績のあるアルファゴール。プロからジュニアチームまで幅広く利用されており、毎年卒団記念品としても多くのチームに選ばれているミニゴールの定番商品です。そんなアルファゴールですが、折りたたみ式で利便性も高いことから個人の自主練習で使っているユーザーも多く、最近では公園などでも見かける機会が増えてきました。今回は、自主練習でアルファゴールを利用されている、菅野さん親子のコメントをご紹介します。■多様な使い方ができる ― (圭さん、父親)コースに打ち分ける練習だったり、低めのシュートの練習やヘディングを叩きつけて入れる練習。そしてセットプレーから飛び込んでいく等、多様なことが出来ますので、休みの日には欠かせないゴールになっています。本当は全サイズ欲しいのですが笑シュート練習以外にも様々な使い方ができるアルファゴールですが、それを支えているのが抜群の耐久性です。頑丈なフレームにより、プロの強いシュートでも倒れにくい耐久性を実現しています。簡易的なミニゴ―ルの場合、風で動いたり子どもが強いシュートを打つと吹き飛んでしまい、その都度立て直す手間もかかりますが、アルファゴールならその心配も無く、思い切りシュートを打つことができます。使う道具によって、練習の質とモチベーションは大きく変化しますが、アルファゴールは常にゴールを意識した練習ができるため、自然と集中力やモチベーションも高まります。 ■設置・片付けも簡単―(海人くん、小学4年生)1人で簡単に作れて、小さく折りたたみが出来るので置く場所も困らないです。ゴールが小さいのでシュートを決めるのが難しく、練習になるなと思いました。折りたたみ式であり、かつアルミ製なので軽いため、女性や子どもでも簡単に持ち運べます。そのため、近所の公園やグラウンドに気軽に持って行くことができ、そのような利便性もアルファゴールが選ばれている理由の一つです。さらに、設置したい場所に置いて広げるだけで、ワンタッチで設置・収納が可能。準備や片付けにも手間が掛からず、限られた練習時間を効率良く使えます。折りたたんで保管すればスペースにも困らず、個人宅でも無理なく保管頂けます。■こんな使い方も こちらは通常ゴールが設置されている場所に限られますが、通常ゴールの中にアルファゴール入れて使われるケースも少なくありません。例えば右下に置いたアルファゴールを狙って練習をすれば、低い弾道のシュートを打つ練習になり、精度も高まります。プロの試合でもチャンスの場面で力が入り、ゴールの上に外れてしまうシーンはよく見られますが、このような練習を繰り返したところ、低い弾道で力強いシュートを打てるようになったと言います。海人くんのコメントにもありますが、小さいゴールを狙って練習を繰り返すことは、精度を高めるための効果的な練習となるでしょう。アルファゴールは全部で4サイズをご用意。用途に合わせてお選び頂くことが可能です。丈夫な作りで長く使えるため、コストパフォーマンスも高いアルファゴール。ぜひ、この冬休みの自主練習にご利用ください。★年末キャンペーン実施中★ただいま開催中の年末キャンペーンに合わせて、「12月23日(月)正午まで」のご購入者には【専用バッグ(4,950円~相当)】をプレゼント中。アルミ製で軽量のため、子どもでも持ち運べますが、 付属の専用バッグがあるとさらに便利にお使い頂けます!その他にも、人気のトレーニングアイテムやリカバリー用品、学習アイテムなどが期間限定でお得に手に入るチャンス!ぜひ、この機会にイースリーショップをご利用ください。
2024年12月20日低学年あるある「パスをしない」問題。全員が自らドリブルでゴールまで行くようなタイプでもないのに、パスを出すタイミングがわかってないし、もらうほうも要求が遅い。どうしたら球離れが良くなる?と悩むコーチからご相談をいただきました。パスしない問題はよくあることですよね。皆さんはどうしてますか?ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、海外での方法や中学生にも実践している練習法を紹介します。(取材・文島沢優子)サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<誰かが抜かれた時のカバーリング、U-10年代だとチャレンジ&カバーを理解するのは難しい?指導のコツを教えて<お父さんコーチからの質問>池上さまはじめまして。スクールでサッカーコーチのアシスタントをしています(U-6~U-8)。学生アルバイトなので、小学生の保護者の年代ではないのですが、直接聞けるかもしれないと思い投稿しました。スクールといっても技術を教え込むような感じではなく、小さい子たちには遊びの要素を入れてサッカーの楽しさを伝えるような感じです。中・高学年になったらスクールと並行してチームに入る子たちもいるようです。自分は主に低学年、3年生ぐらいまでのクラスのアシスタントなのですが、この年代でよくあることとして「パスをしない」という課題があります。みんな、自分でボールを持ってゴールを目指すタイプではないのですが、どのタイミングでパスを出せばいいかわからず、球離れが悪いようです。味方もパスを要求するタイミングが遅いように思います。認知と判断が課題なのだと思いますが、何かおすすめの方法があればご教示くださいませ。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。団子サッカーで味方にパスをしない。日本の低学年ではよく見られます。脳から指令を出して体が動くのですが、指令が来てすぐ動くようにする必要があるのですが、今の子どもたちは自分から考えないので、なかなかボールが出せないようです。■ダイレクトパスの練習で、早く考えて行動する脳の回路を作るそこで、失敗してもいいのでダイレクトのパスの練習をするとよいです。2人で対面でパス交換するのではなく、3人くらいでやると右か左かどちらに出すかという判断を迫られます。そうすると、見て素早くプレーしないといけなくなるので、そのような脳に変わってきます。次に1人ディフェンスをつけて3対1にしたら、より判断、あるいは認知が必要になってきます。なおかつダイレクトでやってもらいます。恐らくうまくいかないはずです。それをコーチたちがいかに我慢して見ていられるか。そこがカギだと思います。できないけれど、やってみる。そうすることで認知しようとする脳が養われます。つまり、3対1でダイレクトにしても上手にボール回しをできるようになるのはもっと先でよいのです。上手にできなくてもいいので、早く考えて、行動するという脳の回路をつくることを目指してください。サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■認知能力を刺激することで、子どもたちはミスすることを怖がらなくなる指導者は過去の習慣から「どうしたらできるようになるか」を目指す指導をしてしまいがちです。そこを「できるようになる」ではなく、「認知能力を刺激する」ことが目標なのだと自分に言い聞かせてください。そして、刺激するようなメニューをたくさん考えられるといいでしょう。さらにいえば、このような認知能力を刺激する練習を重ねると、子どもたちはミスすることにタフになります。練習では、守備と攻撃をどんどん交代してくこと。パスがつながらなくても、そのことに言及せず、「はい、取られたら次ね」とどんどんやらせることです。子どもたちには「取られないようにするにはどうするか」ではなく、「ちゃんとボールを受けられるところに動く」ことを指導しましょう。ミスがあっても、ボールを出す人だけが悪いわけではありません。もらえるところに動いていたか。パスのタイミングはどうだったのか。そういったことを振り返りながらやれるよう、声掛けしましょう。指導者は練習中の失敗に対して寛容な姿勢を持ち、挑戦を促すことが重要です。■低学年からダイレクトパスの練習をしてないと、高学年以上でも持ちすぎてしまう低学年なので、2対1をやるなかでワンツーパスからシュートする練習をやってもいいでしょう。パスを出すと相手をうまく抜けるという感覚を養えますし、ダイレクトでパスをすることを習慣づける狙いもあります。常にダイレクトでパスをする場所を探すような習慣をつけておかないと、高学年以上になってやろうとしてもついついミスしないよう2タッチ、3タッチになって持ちすぎてしまうか、ついドリブルをしてしまうのです。■1人でもトライしたらその日の練習は成功トライする意思が見えたら褒めて中学生も指導していますが、彼らに「この練習はツータッチアンダー(ツータッチかワンタッチ)でやるよ」と伝えるとみんな嫌がります。なぜなら難しいからです。そこをチャレンジしてもらうために、例えば、バルセロナのトップや育成カテゴリーの選手がパス回しをしている映像を見せます。完成形を可視化させるのです。「すげー」とみんな目を輝かせるので「バルサみたいになればいいじゃない」と言うと「ええ!できない」と首を振ります。が、そんな彼らでも少しずつできるようになると、そこには達成感や喜びが生まれます。そのようなツータッチアンダーの練習をした後に、「じゃあ後半は試合しましょう」とミニゲームをさせると、誰かがどこかでダイレクトのパスを出すようになります。成功しなくても、トライする意思が見えたら褒めてあげてください。そのように、もし1人でもトライしてくれたら、その日の練習は成功だと考えてよいでしょう。■欧州でもジュニア年代からやっているダイレクトパスの意識づけ他にも3対3でゲームをします。両サイドのタッチライン、あるいはゴールラインでもいいです。そこに中でプレーする6人とは別にフリーマンを置きます。攻守関係なく全員フリーマンを使っていい。ただし、フリーマンはダイレクトでしかパスを出せません。そうすると、どこに出したらいいのかなと考えながら見なくてはなりません。それをやると、フリーマンはぼーっとしてはダメだし、周りもフリーマンにボールが行った瞬間に動かなければなりません。そんな練習を、スペインをはじめ欧州各国はジュニア年代からどんどんやっています。日本で夏休みなどに行われるバルサキャンプでも、そういった練習は必ず入っています。■設定を変えることで、試合での局面の変化に対応する力を伸ばすほかにも、3対3を4ゴールで行う練習もお勧めです。その際、年代に応じてシュートゾーンを作ります。つまり、相手を崩してゴール前まで行かなければシュートを打てない設定(オーガナイズ)にします。時にシュートゾーンをなくして遠くからでもシュートが打てるようにしてもよいです。そうするとチャンスを見つけたときにすぐシュートを打てます。オーガナイズを変えることは、試合の局面の変化に対応する力を伸ばす意味もあるのです。サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■決して全てを教えてしまわないこと問いかけて気づかせよう(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)このようにシュートゾーンを作ったり作らなかったりして、対応力を養います。シュートゾーンを外しているのに同じようにプレーすることもあるので、そういう時はプレーを止めて「いま、(オーガナイズは)どうなってるの?」と問いかけましょう。決して「おい、シュートできるぞ」などと教えてはいけません。参加できるコーチがいるならば、コーチが入ってシュートを打つと、子どもたちもわかってきてシュートを打ち始めたりします。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年12月20日サッカーがうまくなるには、何よりサッカーを楽しむことが大切。けれど、楽しく練習できる道具って意外と少ない...。そんな声にも応える練習アイテムが「テクダマ」です。いつもの練習でボールをテクダマに置き換えると、メニューは同じでも難易度が上がります。最初はうまく扱えないケースが多いですが、その難しさに夢中になり、自ら進んで練習するようになったとの声もよく聞かれます。今回はクリスマスプレゼントとして購入され、自主練習に使って技術向上に励む親子のコメントをご紹介します。■ドリブル上達のために購入。室内で使える点もポイント。今回コメントを頂いたのは、小学2年生の遥希くんとそのお父さんです。―(お父さん)昨年のクリスマスプレゼントに購入しました。自主練に使ってもらいドリブルを上達して欲しいと思いプレゼントしました。今でも自主練用に使っています。使い始めた頃は難しいと感じていたようですが、今はドリブル、パスの練習を楽しんで行なうようになりました。変則的な動きが子供には楽しいようです。室内でも使えるので重宝しています。過去にサカイクが実施したアンケートからも、ドリブルを向上・改善させたいと感じている選手が多いといった結果が出ています。ボールタッチの細かさや緩急の付け方など課題は様々ですが、自主練習においてドリブルに取り組む時間は比較的長いようです。また、テクダマは2号球サイズと小さめに作られているため、室内での練習にも最適です。室内であれば天候に左右されずに、好きなタイミングでトレーニング可能ではありますが、室内で使えるアイテムや練習メニューはそれほど多くはありません。テクダマは使うに当たって特別なメニューを用意する必要は無く、いつものドリブルやリフティングでボールをテクダマに置き換えるだけで良いため、室内練習にも取り入れやすいアイテムとなっています。■やはり最初は難しい。けど、続けることが上達に繋がる。―(遥希くん)最初は難しいと思ったけど、今は慣れたから大丈夫。ドリブルがうまくなってきたと思う。頑張ってます!テクダマは高校生でも最初は苦戦する選手も多く、なかなか最初からうまく扱えることは少ないですが、その「適度な難しさ」が子どもの遊び心を刺激するため、自ら進んでテクダマを使って練習するようになったり、練習自体が楽しくなったという子どもも少なくありません。楽しいからこそ練習を続けられるようになり、結果として一層の技術向上にも繋がっていきます。また、テクダマを長く使い続けられる他の理由として、常に変化があることが挙げられます。普通のサッカーボールでドリブルやリフティングを行うと、同じ動作の繰り返しになりがちですが、テクダマは当たる場所によって様々な動きをするため、自然と集中力も高まります。テクダマの監修者である三木利章さんや、エコロジカル・アプローチを紹介されている植田文也さんも過去の対談の中で、「例えばリフティングがうまい選手は、変なところにボールが行っても、とっさにカバーができる対応力がある。そのような力は単純な反復練習ではなく、様々な変化や制約を設けることで身に付きやすくなり、動作のバリエーションを高めることが有効である」と話されています。そのような点においても、不規則に動くテクダマは技術の習得に適していると言えるでしょう。■子どもの自信にも繋がる初めのうちは難しいかもしれませんが、練習を続けていくうちに徐々に扱えるようになり、技術向上を実感することができるでしょう。特に、テクダマを使った後に普通のボールに戻すと、扱いが簡単になったという声は非常に多く聞かれます。このような「できた」という体験は子どもの自信に繋がり、さらに上を目指すきっかけにもなりそうです。いつもの練習に取り入れるだけで、通常の練習では得られない効果が生まれるテクダマ。ぜひ、この冬休みの自主練習に使ってみてはいかがでしょうか。★年末キャンペーン実施中★イースリーショップでは、12月23日(月)正午までキャンペーンを開催中。テクダマが送料無料など、人気のトレーニングアイテムやリカバリー用品、学習アイテムなどが期間限定でお得に手に入るチャンス!ぜひ、この機会にイースリーショップをご利用ください。
2024年12月19日千葉県で活動する「Wings」は、伝統ある強豪チームとして知られています。この秋Wingsとグループ4チームの保護者に対して「サカイク10か条」を配布しました。サカイク10か条とは、「サッカーと教育」をテーマに保護者に向けて情報を発信する「サカイク」が、子どもが心からサッカーを楽しむために、「勝たせたい」「上手くしたい」の前に大事にしてほしい親の心得をまとめた内容です。Wingsがサカイク10か条をチームで配布しようと思った理由、配布してどんな変化があったのかを高橋慎一コーチにお伺いしました。サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>Wingsの選手たち■配布してすぐに、いい影響が出たサカイク10か条は、子どものサッカー歴やサッカーのレベル、チームの強弱にかかわらず、すべての子がサッカーを本気で楽しみ、成長していくための大人のスタンス、行動指針を提示したものです。以前よりサカイク10か条に賛同いただいていたクラブの代表・久保巳郎さんが、Wings及びグループ4団体にも配布を希望されたのが、チラシ配布のきっかけでした。配布から約1か月後、保護者の反応やチームの変化をうかがってみると「すぐに変化が出た」と教えてくれました。サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■コーチと保護者のコミュニケーションが不足していたWingsは所属選手が200人ほどいるため、指導者も複数の学年を担当していたり、1つの指導現場が終われば次の子たちの指導に移動するなど、時間に追われ、保護者とじっくり話をする機会自体が少なかったそう。関係性が希薄ゆえに、コミュニケーションが取れていればすぐに解決できるような問題が大事(おおごと)に発展しやすい状況にあったのだとか。チームとしても、もっと保護者とコミュニケーションを取る必要性を感じており、サカイク10か条を配布し、「自分たちもここに書いてあるようなことを大事にして指導している」と、チームの理念を伝える機会を設けたのだと教えてくれました。クラブの理念と同じことをサッカーメディアも発信している、とチラシを見せることで、背中を押されている気分になり、伝えやすくなったようです。サカイク10か条をこのように活用する一つの例として参考になるのではないでしょうか。■保護者だけでなく指導者も変わった多くの保護者からは特別な感想などはなかったそうですが、それまでと比べて保護者のほうから話しかけてくれる機会が増えたそうです。これは、サカイク10か条の第5条「コーチやクラブの考えを聞いてみよう」を見て「話しかけていいんだ」と思えたからかもしれません。もともと「サッカーの指導はクラブに任せましょう」というスタンスだったこともあったため、保護者との距離がほかのチームより出来やすかったのかもしれない、と高橋コーチは振り返ります。今でもその姿勢は変わりませんが、10か条配布以降保護者とのサッカーのことだけでなく日常会話も増え、意思の伝達がしやすくなったそう。高橋コーチ自身の話だけではなく、ほかのコーチたちも同様に保護者との会話が増えたそうです。■ピッチ外での親から子へのダメだしが減ったほかにも、試合の時に我が子にダメ出しをする親御さんが、我慢してくれるようになった例もあると教えてくれました。ピッチサイドで見ていてミスや不甲斐ないプレーを目にすると、「何やってんだ!」と怒鳴る保護者もいますよね。指導者から見ても我が子に対してそこまで言わなくてもいいのではないか、と感じるぐらい厳しいダメ出しをする親御さんもまだまだいるようです。ですが、10か条配布後にはそういった保護者の方が声を出さないようにしている場面が増えたそうです。10か条チラシ配布からほんの1か月もたたないうちに、目に見えて良い影響が出たと嬉しそうに教えてくれました。■「勝ちたい」も大事だけど、小学生年代では何より「楽しい」が大事高橋コーチは、小学生年代は楽しむことを大事にしてほしいと語ります(写真提供:Wings)Wingsは東京ヴェルディの準支部でもあり、強豪ひしめく千葉県で好成績を残しているチームでもあります。そういったクラブの立場として、勝つことを目指してはいますが、小学生年代ではサッカーが楽しいと思えること、楽しいから練習に行くというのをないがしろにしたくないと高橋コーチは言います。勝ちを目指すことは悪いことではありません。子どもたち自身、サッカーに真剣になるほど「勝ちたい」と思うのは自然なことです。勝負にこだわることも大切だと指導しているけれども、ただ勝つことが優先されるのではなく、楽しいから上手くなって、強くなった。だから、勝てた。そんな順序を理想的だと考えていたそうで、コーチ自身もサカイク10か条が指導者にとっても大事な心得だと感じている、と語ってくれました。■コーチ自身がサカイクの情報をピックアップして共有するようになった今では高橋コーチ自身が良いと思ったサカイクの記事をピックアップして、保護者にメールなどで共有したり、積極的に保護者に向けて情報をお伝えしているそうです。保護者と意思疎通が円滑になり、チームの指導方針を共有することで、チームに一体感が生まれます。そうすることで、子どもたちの指導環境もより良くなっていくのです。今後、時間がたてば今の気持ち、10か条の記憶が薄れて行くかもしれないけれど、断続的に保護者に伝えて行きたいと高橋コーチは語ります。これから10か条の考えがより浸透して更なる変化がでるのか、楽しみにしたいものです。近年、インターネットやSNSの普及で保護者も様々な情報を得ているがゆえに、子どもをもっと上手くしよう、選手として高いレベルにしたいと親のほうが熱くなってあれこれさせていることがありますが、そんな保護者たちに「ちょっと待って。上手くすること、勝つことの前に大事なことは何?」と気づかせてくれるサカイク10か条。あなたのチームでも配布しませんか。チームでのサカイク10か条配布を希望の方はこちら(配布は無料です)>>サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>
2024年12月19日身体能力も高くサッカーの才能もあるのにやる気が見えない息子。そんな息子に夫は毎日イライラ。息子も試合当日の朝練で上手くいかないと夫に当たり、空気が悪いまま試合に行くという......。試合に勝ってもひどい言葉を浴びせるし、言うのを辞めてほしいと伝えれば「もう知らない」と見捨てる発言。最近ではサッカー辞めさせようとしてる。どうしたらいいの?というご相談。スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、お母さんにアドバイスを送ります。(構成・文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<最後の試合も上手な下級生優先でわが子ひとりだけほぼ出場なし。これまでしてきたチームへの手伝いは間違っていたのか問題サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>><サッカーママからのご相談>こんにちは。やる気の無い息子(11歳・小5)と温度差のある父(夫)について相談させてください。息子は年長からサッカーを始めております。本人がしたいと言った訳ではなく、引っ越しした事もあり、まずは友だち作りの為にはじめました。1年生になる頃には夫との自主練で泣いたりする様になり、お互いイライラしながらの自主練になっていました。息子は正直、身体能力も高く才能はあると思います。なのに、イマイチやる気が見られないんですよね。そんな姿に夫はイライラする毎日......。試合の朝など、自主練をしても出来ないとイライラしだし、夫に当たる事が毎回。それに対して夫もイライラして帰宅し、空気が悪い中、試合に行くと言う日々です。夫のほうも、試合に勝っても「弱い相手に勝って喜んで何が嬉しいんだ」「こんなやる気ないなら今すぐ辞めてほしい」「ダメ人間」など、聞いていて私でも嫌になる言葉を浴びせます。「そんな事言われたらそりゃ、やる気出ないでしょ」と私が言っても、そうだなと思う事も無く「じゃあもう知らない」と見捨てる様な発言。最近はもう、年内の公式戦を最後に休会か辞めると夫が決めています。私もどうして良いかわかりません。サッカーを続けてくれたらと思う気持ちもありますが、そんな事(夫からのひどい言葉)を何年も言われ続けたら何もかもできない人間になるのではと心配です。夫や息子が前向きになれる様にするにはどうすれば良いのでしょうか。サッカーを通じた子育て、ではなく家族間の問題を相談するような形ですみませんが、何か助言をいただけると幸いです。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。わずか6歳か7歳の小学校1年生に自主練を(恐らく)やらせて泣かせる。「今すぐ(サッカーを)やめろ」「ダメ人間」などと言ってしまう。そのうえ、年内の公式戦を最後に休会、もしくはサッカーをやめさせることを夫が決めていると書かれています。このような子どもの人権を無視した拒絶的な態度や暴言は、子どもに心理的外傷を与えます。エスカレートすれば子どもへの心理的虐待になります。私は息子さんがかわいそうでなりません。■あなたのとらえ方がズレている「将来」じゃなく「今」のつらさに目を向けてそれなのに、お母さんはとらえ方がかなりズレているように私には見えます。例えば「そんな事(夫からのひどい言葉)を何年も言われ続けたら何もかもできない人間になるのではと心配です」と、今現在の彼のつらい気持ちよりも、何もできない人間になったらどうしようと将来を案じています。さらには「夫や息子が前向きになれる様にするにはどうすれば良いのでしょうか」と私に質問しておられます。大人の夫と、わずか11歳の息子を同等に置いてはいけません。夫は前向きになる前に、猛省しなくてはなりません。お母さんには失礼な言い方ですが、あまりに能天気すぎるのではないでしょうか。■わが子が期待通りでないと、自分の子に嫌悪感を抱く父親がいるまず、一般論を言います。父親が心理的虐待をしてしまうケースは、少年サッカーでは少なくありません。期待が大きければ大きいほど、目の前のわが子の姿が自分の期待通りでなければ、父親はわが子に対し強い「嫌悪感」を抱く傾向があります。嫌悪は憎悪に姿を変え、心理的虐待に及ぶまで時間はかかりません。そうなったとき、子どもを救うのが母親の役割です。■息子の味方であってほしい母親のあなたも「やる気のない息子」を悪いと結論付けている次にこの相談について。父親から虐待まがいの扱いを受けている息子さんが唯一の味方であってほしいはずのお母さんは、彼の気持ちに寄り添っているように見えません。なぜそうなるのか。それは、お母さんもお父さん同様に「やる気のない息子」を嫌悪しているからです。相談文の冒頭に「やる気の無い息子と温度差のある父」と表現されています。他にも「イマイチやる気が見られないんですよね」と書かれています。お母さんはお父さんの態度は良くないと断じつつ、こころのどこかで「でも、やる気のない息子も悪いんだよね」と結論づけていませんか?■息子さんのやる気を奪っているのは両親ともになのでは?やる気がなくて何が悪いのよ?と私は思います。私なんてしょっちゅう仕事にやる気をなくします。しかも息子さんはまだ11歳の子どもです。もっと言えば、そもそも息子さんの意欲を奪っているのはご両親ではありませんか?私は親向けのセミナーも行っていますが、保護者から「やる気スイッチはいつ押せばいいか」と相談されるたびに、「そんなものはありませんよ」と言って、脳科学のエビデンス伝えています。拙書『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』を執筆する際、諏訪東京理科大学共通教育センター教授で脳科学者である篠原菊紀先生に取材しました。それまでも何度もお話を聞いてきた、教育をベースに脳科学を研究されてきた方です。先生によると、ある行動をとろうとするときに、その行動の先に快感(良い気分)が予測されることを「やる気」というそうです。この行動と快感を結びつける働きをするのが、左右の大脳半球の下側にある「線条体」という神経核になります。スポーツであれば、こうやって練習したら上手くなるに違いないと思うと意欲的になれますね。■暴言や過度な指示命令は「恐怖学習」抑圧するほど子どものやる気は出ないところがこの線条体は、誰かに否定されたり、怒られると動きが鈍くなります。つまり、大人が暴言や過度な指示命令で抑圧すればするほど、子どものやる気は出ません。脳が意欲的にならないからです。それなのに、大人たちは発奮させようと「渇を入れる」などとガツンと怒ったりします。この方法は「一発学習」別名「恐怖学習」とも言われ、子どもの記憶に強く残るため、一時的にパフォーマンスが上がります。つまり、即効性が高いのです。よって、学校現場やスポーツ指導、それこそ子育ての場面でも、手っ取り早い一発学習が長く採用されてきました。ところが、恐怖学習が繰り返されると、子どもはそれがトラウマになりバーンアウトしやすいという副作用が生じます。怒鳴られたり、たたかれるような強い刺激を受けてしまうと、それなしでは物事に取り組めなくなります。小学1年生から自主練で泣かされて、こんな心理的虐待まがいの扱いをされれば、意欲を失います。ミスしたらお父さんに怒られる。試合に勝っても「弱い相手に勝って何が嬉しいんだ」と叱られる。何も認められず、励まされもしない。線条体は鈍いままです。■希望を感じる二つのこと1つ目は「親に抗う力が残っている」こと、もう1つは......(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)それでも、二つほど希望を感じます。息子さん、試合の朝に自主練をして、何かが出来ないとイライラしてお父さんに当たったのですね。親に抗う力が残っているのが救いです。そして、もうひとつの救いは、お母さんが私に相談してくださったことです。「最近はもう、年内の公式戦を最後に休会か辞めると夫が決めています。私もどうして良いかわかりません」と書かれているところをみると、お母さんは夫であるお父さんにある意味支配されていないでしょうか?夫婦は対等でしょうか?家庭内のすべてのことはお父さんが決めてしまうことになっていませんか?パワハラ夫のことで私に相談してくる女性たちの多くが、夫と渡り合う言葉を持ちません。彼女たちは「言い負かされて何も言えない」と頭を垂れます。そこで、私は「説明なんてしなくていいんだよ」と言います。どちらが正義か。論点はそれだけでもいいと思います。お母さんも夫に対し長々と説明する必要はありません。「この子には人権がある。自分で決めなさい。自分の好きなことをしなさい」と息子さんに言ってあげましょう。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年12月18日2019年の誕生から、累計販売数17,000球を突破したテクダマ。発売当初から話題を呼び、現在はジュニア世代を中心に、プロも含めた幅広いユーザーに愛用されています。テクダマはドリブルやリフティングなどの自主練で使用する選手が多いですが、ゴールキーパー練習やゲーム練習に取り入れるチームも最近では増えており、活躍の場が広がっています。今回はテクダマの企画・開発に携わった、竹原和雄取締役(株式会社イースリー)に、開発の経緯やこだわりについて聞きました。テクダマはどのようなきっかけから生まれ、そしてどんな想いが込められたボールなのでしょうか?■まず、テクダマとはどのようなものでしょうか?見た目は普通のボールと同じですが、バウンドさせると不規則に変化する特別な構造によりサッカーの技術向上に必要な「自分の身体を思い通り動かす力」が身につくトレーニングボールです。ドリブル、リフティング、トラップなど普段の練習をテクダマに変えるだけで、そうした力を自然と身につけることができます。特別なメニューや指導は必要なく、使っているうちに予測不能な動きに対しても自然と身体や足が動くようになります。■どうしてそのような力がサッカーで必要なのですか?サッカーというスポーツでは、ボールの軌道やピッチの状態など様々な状況に合わせてボールタッチを変えるといった、動きのバリエーションが重要になります。上手な選手ほど、動きが安定しているだけでなく、状況に合わせて「とっさに動く」「動きを調整する」能力が高いと言われています。またそうした能力は単調な反復トレーニングでは身につきにくいという研究結果もあり、そうした力を身につけるためにもテクダマのように予想不可能なボールは非常に適しているのです。■テクダマはどのようなきっかけから開発されたのでしょうか?子どもたちの自主練を変えたいと思ったのがきっかけです。多くの子どもたちがリフティングの練習を行なっていますが、回数を稼ぐことが目的になり、つま先でチョンチョンと同じ動作を何度も反復する様子を見てきました。先ほどお話したとおり、反復練習が悪いわけではありませんが、サッカーに必要な力を身につける上で、もっと効果的なトレーニングはないか?と考えたのがきっかけでした。そこで、出会ったのが「動きづくり」のスペシャリストとしても知られる三木利章さんです。■監修者の三木さんとは、どのような出会いだったのですか?サカイクの取材がきっかけで三木さんと出会いました。三木さんは、「身体を上手く動かせないとサッカーは上手くならない」という考えのもと、様々な動きを組み合わせた独自のリフティングやドリブルメニューで "サッカーで活きる"身体の動きづくりを行っていました。その結果、練習は1日2時間の週2回だけ。しかもグラウンドはフットサルコート1面のみ。そんな限られた時間と環境の中でセレクションもしないのに、小学校時代無名だった子たちを育て次々と全国の強豪校に輩出していたんです。この三木さんの考えを道具で表現したらどうなるんだろう。三木さんと目指したのは「蹴っているだけで、身体を動かせざるを得ないボール」でした。■開発を進める中で、苦労したことや工夫したことは、どのようなところでしょうか?難しすぎても練習になりませんから、予測できない動きと"最適な難しさ"を実現するために、いろいろなバランスのボールを試作し、開発には1年近くかかりました。また、その中で工夫した点は、ボールの大きさと重さ、そして見た目です。テクダマは、重さや感触は普段子どもたちが使っている4号球と同じですが、大きさは2号球サイズです。それは小さくすることで難易度を高めつつ、ボールの蹴った感触や反発など普段のサッカーボールのリアリティを残しています。そして、デザインにもこだわりがあります。ボールの回転も見やすいよう白い線が入っており、また小さいボールなので子どもが無くさないように蛍光カラーのカラーリングに仕立てました。実はそういう細かいこだわりもあったりします。■テクダマはどんな方に使ってもらいたいですか?サッカーをうまくなりたい!と思っている子どもたちはもちろんですが、サッカー経験のないコーチの方や、お父さん、お母さんにもオススメしています。経験がない場合、プレーの見本やポイントを伝えるのは難しいですが、テクダマは普段のボールに置き換えるだけでOKなので、「教えなくてもうまくなるボール」なんです。また、親子で一緒に使ってみても面白いと思います。テクダマの独特な動きは子どもの遊び心を刺激しますが、遊び感覚で使うだけでも技術力が身に付きます。そのため、親子で楽しみながら蹴るだけでもトレーニングになるでしょう。そして、テクダマには三木さんが監修してくださったトレーニング動画も付いてますので、簡単なトレーニングから真似してみるのもよいと思います。ぜひ、大人も一緒に楽しみながらトレーニングしてもらいたいですね。★年末キャンペーン実施中★イースリーショップでは、12月23日(月)正午までキャンペーンを開催中。テクダマが送料無料など、人気のトレーニングアイテムやリカバリー用品、学習アイテムなどが期間限定でお得に手に入るチャンス!ぜひ、この機会にイースリーショップをご利用ください。
2024年12月18日子どものサッカーの進路、いつぐらいから意識していますか?今回は、中学生以上のサッカー少年少女を持つサカイクアンバサダーにご協力いただき、いつごろから情報収集を始めたか、どんな準備をしたのか、保護者としてどんなことに気を付けたのか。を伺いました。地域や所属チームの保有組織(ジュニアユースがあるか)などにもよりますが、一つの参考例としてご覧ください。サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>写真は少年サッカーのイメージ■中・高学年になると親同士、腹の探り合いが始まる年々加熱するクラブチームへの入団希望。教員の過重労働改革のために部活動を学校から切り離す動きもあり、中学以降はクラブチームでサッカーを続ける子が増えています。多くの保護者がいつごろから情報収集を始めているのか、何を使って情報収集しているのか、周りに嫌味を言われずにスムーズにセレクションを受けるにはどうしたらいいか......。など気になっている方は多いですが、多くの場合、保護者間でもわが子がどこを受けるか、という情報は中々オープンにしませんよね。子どもが4、5年生ぐらいになると親たちの腹の探り合いが始まるチームもあると聞きます。なので、現状はチームの中で聞ける空気がなければ、個人戦となり、インターネットや口コミを駆使して情報を仕入れ、スケジュールを調整しなければならず、親も疲弊します。サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■現在中学1年生のお子さんがいるSさん(仮名)の場合情報収集は小3からSさん(仮名)の地域では、中学でのサッカーは以下の3つの選択肢があるそう。・Jクラブの育成組織・街クラブ・部活動上記の通り、部活動の地域移行が進んでいることもあり、また、今のところお子さん自身が勉強があまり好きではないこともあって勉強は勉強、サッカーはサッカーで別々に頑張る(部活動だと進路に影響する可能性があるため)ことにしたので、部活動の選択肢は低かったといいます。当時所属していたチームには、引っ越しをきっかけに3年生の終わりごろに所属したそうですが、そのときすでにお子さん自身が所属したいクラブ(ジュニアユース)が決まっていたそうで、スムーズな移籍をするためにどうしようか、というのは頭の片隅にあったと言います。今いるチームに不満があるわけでなく、チームに感謝しているけど行きたいチームがあるから辞めるとき揉めたくない、というシチュエーションも多いですよね。Sさんのお宅もまさにその状況で、周りの保護者ともコミュニケーションをとりながら、将来的な移籍について、チームのルールを教えてもらうなど情報を収集していったそうです。■4年生ぐらいから各種セレクションを受けに動き出す子もSさんのご家庭では、3年生、4年生の時にいくつものセレクションを受けたそうです。「サッカー指導者をしている夫と子どもで、表を作って『ココに行くとこんなメリットがあり、デメリットは......』『将来どうなりたいか』などを話し合ってセレクション申し込みの計画を立てていました」そして、Jクラブのアカデミーを受験したそうですがそちらは残念ながら合格ならず。本命は他にあったので、Jクラブへの挑戦はその時のみだったそうです。最近は、早い子は4年生ぐらいからセレクションを受けだしたり、移籍に向けた行動を起こし始めることが多いようです。同時に、4年生ぐらいから公式戦が始まることもあり、チームの中で波風を立てたくないご家庭は移籍に向けても慎重に事を運ぶほうがよさそうだと教えてくれました。■移籍情報入手は個人戦学年が進むにつれ情報共有が減る写真は少年サッカーのイメージ高学年になると進路を意識しだしますが、保護者間でどのチームが、いつ・どこでセレクションをするかなどの情報を教えあうことはなく、周辺の「行きたいと思えるチーム」の過去のセレクション情報を見て、大体の日程を予測し、小まめにサイトを見に行き応募する、という個人戦が繰り広げられていたそう。「3、4年生まではどこのセレクションが始まったとか色々共有していたけれど、5年生のときは無かったです。お互いにどこを受けるのか探り合いのような感じの会話はありましたが......」とのこと。Sさんのお子さんはチームのほかに、Jクラブのスクールにも入っていたそうで、スクール生向けの告知でいち早く情報を入手することもできたそうです。(練習会も優先的に参加できたそう)日々必死にセレクション情報をチェックしながら、チームでは協力的な姿勢を見せ怪しまれないように......、というご家庭も多いですよね。親も子どものために情報を見逃さないように、と焦りもあるかと思います。「スクール生だから必ずしも受かるわけではありませんが、情報が早く入手できるという点では良かった」とSさんは言います。このあたりはチームにもよると思うので、あくまで一例として参考にしてください。■5年生の時にコーチに相談そして5年生の時、移籍を考えていることをコーチに相談したと教えてくれました。実はチームに入団してすぐに、ほかの保護者から「中学以降は自クラブのジュニアユースに所属することになっている」と聞いていたそうですが、Sさんがお子さんの入団にあたって誓約書を書いた際にはそのような慣習を明確に記載していなかったそうです。そういった事情もあり、揉めることなくスムーズに移籍に向けて動けたようです。■重要視したのは「本人のレベルに合う」「試合出場機会」あくまで決めるのはサッカーをしている本人。納得して入団するのが一番ですが、親目線でチーム選びの際に重視したのは、本人のレベルにあっているかどうか、と試合出場機会がありそうか。という点だったそうです。そして、これから進路を考える人たちに向けて、こんなアドバイスをくれました。「名前だけで決めてしまうと、有名強豪クラブだと試合に出れないこともありますよね。レベルの高い環境で練習することは価値があると思いますが、やはり試合に出て経験を積むことが大事だと思うんです」Sさんのお子さんは、最終的に意中のチームに合格できて現在チームメイトと切磋琢磨しながらサッカーを楽しんでいるそうです。親としては子どもが仲間とサッカーを楽しんでいる姿を見られることが何よりの幸せですよね。進路を考え出す時期や動く時期など、各家庭によって価値観が違うと思いますが、一つの参考にしてみてください。サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>
2024年12月17日味方が抜かれた時のカバーリング、どう動くのかわかってない。抜かれるかもしれないという想定、パスコース限定のためにどこに動くか。それらの判断が難しいもよう。U-10年代にチャレンジ&カバーを理解させるには、どんなふうに教えたらいいの?というお父さんコーチ。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、U-10までに身につけさせたい守備の意識とおすすめのトレーニングを伝えます。(取材・文島沢優子)サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<GKの真正面にシュートしてしまう子どもたち、ゴールの空いているスペースに蹴れるようになるにはどうしたらいい?<お父さんコーチからの質問>はじめまして。地域のクラブで見守り保護者兼コーチをしています。(U-10担当)最近は途方でも少年団が少なく、クラブチームが増えていることを実感します。私のような立場の方が多く、指導を学んだ専門のコーチがいるわけではありません。(公式戦に出場するのでライセンス保有者は数名いますが、D級とかです)ご相談内容は「チャレンジ&カバー」についてです。とくにカバーリングについて、どんなタイミングでどう動けばいいかを伝えるのにおススメの練習法はありますか?チャレンジした選手が抜かれるかもしれない可能性、パスコースを狭めるためには何を見てどう判断するのか、がまだまだ分かっていないみたいで。練習の積み重ねとは思うのですが、いいアドバイスがあれば教えていただきたいです。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。チャレンジ&カバーは昨今、育成年代にも指導する要素として挙げられています。ただ、ご相談者様が指導されている子どもたちは10歳以下です。そのくらいの年齢では、基本的に自分がマークした選手をしっかり守ること、つまり目の前で起こっていることにまずは注意を払うことを伝えたほうが良いでしょう。■チャレンジ&カバーの概念が独り歩きしていないかそもそも論になりますが「チャレンジ&カバー」という概念が独り歩きしているような気もします。ボールマンにチャレンジに行く選手が、抜かれるのが前提のような感覚になっていないでしょうか。マンマークをしっかりしなくてもカバーしてもらえるからOKだと思っているような節があるのです。例えば、抜かれた選手が他の選手に「カバーしてよ」といった態度を見せることがあります。小学生の年代では特に、抜かれた選手はすぐさま追いかけてボールを取り返す習慣をつけたほうがいいはずです。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>■自分が抜かれたら他の人が守るのが正解だから走らなくていい?ところが、抜かれるともう追いません。チャレンジ&カバーなので、他の人が守るのが正解だから自分は走らなくていいと考えてしまいます。コーチもカバーさせることに一生懸命になって、抜かれた子どもの動きを見ていません。そうならないよう、抜かれてはいけないというマンマークの意識を中学1年生くらいまでに養いましょう。マンツーマンでゲームするような練習をしてください。そのなかでも誰かが抜かれることはあります。例えば抜かれてシュートまで持ち込もうとしたら、そこに近い人が守る。それがゾーンディフェンスの始まりなので、それを教えましょう。■10歳ぐらいまでは、まずは自分が抜かれないようにするのを徹底させるゾーンディフェンスだと、ボールサイドに寄れば寄るほどの1人のゾーンが狭くなり、ボールから離れれば離れる1人の守像範囲は広くなります。そういったことを10歳くらいで理解するのは難しいので、まずはちゃんと自分のマークを守りなさい、抜かれないようにするためにはどうしますか?ということを徹底させてください。そして高学年になってきたら「自分のマークだけでなく、周りとボールを見ながら守れるようになろう」という意識を持たせましょう。■カバーのタイミングを学ぶのにおすすめの練習メニューそのようにマンツーマンでの守備を徹底的にやったあと、その先に行くとしたら3対2の練習をします。オフェンスでは数的優位の状況でどう攻めるかを会得するメニューですが、守備側の2人はカバーする感覚やタイミングを学ぶ練習になります。ゴールをつけずにライン通過してフィニッシュするかたちのトレーニングをお勧めします。3人を2人でどう守るか。局面によってどのような距離感で守るかを考えさせましょう。オーガナイズする際は、横は試合や練習をするコートの幅でよいのですが、縦の幅を狭めに設定してください。つまり、横長の長方形のようなコートを作ります。なぜならば、縦が長い場合、相手の3人のうちの1人が通過するライン近くまで入ってきてしまうと、2人で守っているので到底間に合わなくなる。そうなると攻防が成立しないし、楽しくありません。オフェンス側にも「横をどう使いますか?」みたいなテーマにしておくと、ディフェンスも早く横にずれることがわかってきます。それはオフェンス側の理解を深めることにも役立ちます。日本の子どもたちは特にですが、ボールを持ったら前にしか行かない傾向があります。縦に長いと練習にならないのです。■練習の意図を理解して設定を考えないと、子どもたちが獲得するものも変わってしまう実際に私の講習会でこの練習をしたことがあります。指導者に説明だけして、さあやりましょうとコートを見たら、コートを縦長に作っていました。私が「これはこういう意図があるので、縦長じゃないやり方にしましょう」と伝えました。大人のほうが、どんな意図でやる練習かをくみ取って自分で考えて設定を考えなくてはいけません。そうしなくては、目的は達成されないし、子どもたちが獲得するものも変わってしまいます。よく言われる「練習のオーガナイズが重要である」というのは、そういうことなのです。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>■チャレンジ&カバーという言葉を使う必要はない、大事なのは......(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)加えて、3対2で練習するときに「チャレンジ&カバー」と言う必要はありません。ボールマンにひとりがガッツリ詰めて抜かれてしまうと、もう1人が相手3人を守らなければいけなくなります。最初のほうは「2人で守るにはどうするか?」という意識になってもらうことが重要です。自分が絶対に抜かれてはいけないということがわかってくると、次はボールがどこかにパスされたとき、どちらが行ったほうが得かといったことを先に覚えたほうがいいでしょう。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年12月13日エンジョイを標榜しているのに、6年生最後の公式戦でまさかの1人だけ「出してもらえない」。選ばれたのは上手な下級生。同級生と頑張ってきたのにそんな仕打ちある?自分自身もクラブの手伝いや遠征同行してきたけど、それは間違ってたのだと気づいた。と心の整理がつかないままのお父さんからご相談をいただきました。出場機会について悔しい思いをした親御さんはたくさんいるのでは。今回、スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、悔しい気持ちの消化させ方について3つのアドバイスを送ります。(構成・文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<上手くなりたいと言うのに自主練しない。アドバイスも嫌がる息子に頭を悩ませている問題サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>><サッカーパパからのご相談>初めて相談させていただきます。12歳の子どもをもつ父です。息子は、小4から地元のサッカークラブに入り、3年間頑張ってできるだけ休まず頑張って続けてきています。あまり運動が得意ではないのと、団体競技で社会性を学ばせたいという私の考えで入部させました。勝つためではなく楽しく高校までサッカーを続けてくれたら、との考えで勝つより負けの試合の方が多いチームです。各学年の人数が少なく、試合も6、5、4年生の合同チームみたいな感じでした。息子が4年生のときはもちろん試合に出れず、「まだ上の年代が主役だから」と伝え5年生の時も「来年が主役だからね」と言っていたのですが、6年になり、ようやく息子がフルで試合に出れると思っていたら、まさかの「出してもらえない」事態に。今までは5、6年生で公式戦に参加させていたのに、今年は人数が少ないので4、5、6年生で参加することになり、さすがに6年の最後の公式試合はメンバーに選ばれるかと思っていましたのに、6年生でただ一人選ばれませんでした。選ばれたのは、6年生3人中2人(うちは補欠)、5年生7人中5人、4年生は5人中1人。確かにうちの子は上手くありませんが、そこまでする必要があるのかと怒りと疑問を持ちました。それでも本番はきっと出れるよって説明して送り出しましたが、1試合目出番なし2試合目は4点差が付きもう負け確定となったラスト10分お情けで出場。本人も辛かったのに他の子の前では楽しそうにしていて、帰りの車の中では泣きながら「練習に付き合ってくれ」と言ってきました。確かに出場した下級生は私の子より上手です。クラブに通いながら他のスクールに通う子もいたりと、うちの子に比べると多く練習していたと思います。ただ、そこまでして3年間頑張ってきた息子に思い出を経験をさせてあげないクラブはどうなのかと疑問に思います。3人しかいない同学年の子と頑張ってきたのに。今まで私がしてきたクラブのお手伝いや遠征の同行、子どものクラブのためしてきたことは間違っていたんだと思いました。なかなか心の整理がつかずご相談させていただきました。アドバイスお願いいたします。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。試合に出られないわが子を見守るのは親にとっても難しい時間ですね。私も経験があるのでお気持ちお察しいたします。■エンジョイを掲げていても、先発メンバーを出し続けるチームはまだ多い最後の試合で3人しかいない6年生でひとりだけ出られなかったことは、息子さんにとって大きなこころの傷になっていることでしょう。今はまだお父さんも頭に血がのぼっていて、息子さんを2試合で10分しか出さなかったコーチたちを許せない気持ちでいっぱいかと思います。しかしながら、小学生カテゴリーは全員出場を掲げるチームが増えてきたとはいえ、まだまだ少数派。ずっと補欠で試合に出られない子どもが大勢存在するのが現実です。エンジョイをチームのスローガンに掲げているのに、先発メンバーを交替させることなく出場させるチームはとても多いです。例えばこのようなケースであれば「公式戦なのだから勝とうとして何が悪いのか。最後に10分間出してやったじゃないか」と考える指導者も存在します。お父さんから見れば「お情け」に見えますが、コーチ陣からすれば「きちんと試合時間を確保した」と考えているのかもしれません。そもそも少年サッカー指導者が、勝利にこだわってしまうのは自分たちの子ども時代もそのような文化だったので、実力順に子どもを試合に出すことに何ら疑いを持ちません。彼らに悪気はないし、お子さんが傷ついているとも思っていない可能性が高いです。そのように保護者とコーチとでは受け止め方が違うため、子どもを試合に出してもらえなかった親御さんとコーチの方とのトラブルは絶えません。■最後の試合に出してもらえなかった悔しさを、どう消化していくかつまり、いま日本の少年サッカーは過渡期だということです。よって一部の親御さんたちは、指導の質や、子どもの人権に対するコーチらの意識の高さなどをみてクラブを選ぶようになってきました。その点からすると、お父さんが考える理想のチームではなかったのかもしれません。ただし、息子さんは6年生なのであと数か月でこのチームを卒団するわけです。試合に出してもらえない状況をいかにして修正するかという相談ではありませんよね。ご相談文の最後に「なかなか心の整理がつかず相談した」とあるので、今回のことをお父さんと息子さんがそれぞれでどう消化していくか。そこがポイントかと思います。その点から3つほどアドバイスさせてください。■アドバイス①小学生年代ではベンチでも、中学以降中心選手に成長する選手もいる1つめ。まずは、傷ついた息子さんのこころの回復を考えましょう。仲間の前では涙を見せず、親御さんとともに車に乗ってから泣き出した、とあります。しかも、練習に付き合ってとお父さんに言えた息子さんを誇りに思ってください。そのように負けん気を出して前向きな姿勢でいることを、褒めてあげてください。一番身近にいる親から認められることで、自己肯定感を取り戻すことができるはずです。試合に出られなかったことは残念でした。けれど、これで彼のサッカーキャリアが終わるわけではありません。小学生で試合に出られなければ中高でも出られないわけでもありません。もっといえば、小学生時代はベンチスタートだったけれど、中学や高校で中心選手に成長する選手はたくさんいます。■アドバイス②スポーツは「習い事」ではない、本人の意思に任せて2つめ。中学校でのサッカーについては、息子さんの意思を最大限尊重してください。あまり運動は得意ではないのに、お父さんが「団体競技で社会性を学ばせたい」との理由で入部させたとあります。そのことを否定するつもりはありませんが、スポーツは習い事ではありません。息子さんが本当にサッカーが好きで、中学でもやりたければ続ければいいし、やめたいといえばそこは尊重してください。もしサッカーを続けるのであれば、自分の力に見合った環境を探してプレーできるといいなと思います。■アドバイス③出場機会がないと分かっていればチームの手伝いをしなかったのか?(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)3つめ。相談文の最後、「今まで私がしてきたクラブのお手伝いや遠征の同行、子どものクラブのためしてきたことは間違っていたんだと思いました」と書かれています。これは、試合に出してもらえないことがわかっていれば、手伝わなかった、ということでしょうか。お父さんは息子さんを試合に出してもらうために、コーチに良い印象を与えようとチームに協力してきたのでしょうか。恐らくどちらも違いますよね。そんなつもりでお手伝いをしてきたわけではないでしょう。よって、そこを「間違っていた」としてしまうのは、息子さんがサッカーを頑張った3年間を否定することになります。冒頭でも伝えましたが、今は怒りが収まらないことでしょう。しかし、いま息子さん以上に腹を立てていないでしょうか。一番悔しいのは息子さんです。その悔しさに共感してあげるのは、親の務めに違いありません。「悔しいよな。そうだよな」と、共感はぜひしてほしい。しかしながら、息子さんと「同化」してしまっては道を見失います。この悔しさをこれからどう活かすのか、どんなふうに成長の糧にしていくのか。そんなことを息子さんと話し合えたらと思います。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年12月11日「スポーツ価値創造Company」を目指し、20年以上にわたりスポーツを通した社会課題解決に携わってきた株式会社イースリーは、2024年9月17日に株式会社コチキャリを設立。収入面やキャリア形成に課題を抱えるスポーツ指導者に特化した人材紹介サービス「コチキャリ()」を12月2日よりスタートしました。■スポーツ指導者向け「短時間正社員」人材紹介サービス「コチキャリ」多くの指導者は夕方以降に指導にあたるため、それまでの時間を企業の短時間正社員として就労し、夕方以降をスポーツクラブなどで指導。収入面などに課題を持つスポーツ指導者のデュアルキャリアをサポートします。■不安定な経済環境で若い指導者の成り手不足・離職が課題民間のスポーツクラブにおいても、指導者が正社員雇用されるケースは少なく、アルバイトなどで両立するケースが多くあります。そのため、結婚などを機に離職するケースが多く。若い指導者の成り手不足や離職が課題になっています。また指導者にあった就業支援サービスや情報がほとんどないのが現状です。1.指導専門スタッフの正社員雇用割合は3割以下2.チーム運営者の7割以上が20代の指導者が不足していると回答3.就業支援サービスなどの活用経験なしが7割以上※自社調べ日本の行政機関であるスポーツ庁のスポーツ基本計画でも「地域スポーツの普及・発展」が掲げられ、学校部活の地域移行や総合型地域スポーツクラブへの移行が検討される中、育成年代のスポーツ指導者の人材確保・指導者養成は今後課題となってくるでしょう。■スポーツ指導者に「デュアルキャリア」という新しい選択肢をそこで我々は、厚生労働省も導入を推奨し拡大傾向にある「短時間正社員制度」に着目し、指導以外の時間を企業で短時間正社員として働きながら指導者を継続していくことで、安定的な収入とキャリア形成を目指せる環境を作っていきたいと考えています。■全国8万人の指導者ネットワークで求職者を募集2014年から運営しているサッカーの指導者向けサービス「COACH UNITED」など、指導者とのネットワークを活かして人材を確保していきます。【指導者(求職者)のリーチ】●COACH UNITED月間利用者数:約5万人●COACH UNITED公式LINE:約2万人●COACH UNITED ACADEMY登録会員:約1万人●全国約1,500クラブの代表者■指導者を目指す大学生、専門学校の新卒人材も確保スポーツ指導者を養成する専門学校、大学と連携。また大学生コーチを抱えるクラブとも連携し指導者志望の新卒人材のマッチングも行っていく予定です。■スポーツ指導者が持つスキルを企業の力に変化が激しく先行きが見えないVUCA時代において、どのような仕事でも転用・応用できるスキルである「トランスファラブルスキル」の高い人材が求められています。スポーツの指導で培った指導者のスキルは、まさに現代の企業が求める人材の能力そのものです。雇用機会の提供だけでなく、スポーツ人材の新しい価値創造を行っていくことで、我々が「スポーツ価値創造Company」として掲げる「スポーツに関わる誰もが幸せ(ウェルネス)になる社会を作る」というビジョンの達成につなげていきたいと考えています。【スポーツ指導者が備えるトランスファラブルスキル】①コミュニケーション力②問題解決力③リーダーシップとチームマネジメント④協調性⑤傾聴力とフィードバック力■次世代の子ども支援、地域貢献にもつなげるコチキャリは指導者、企業の課題解決はもちろん、地域、クラブ、選手(子ども)など「社会」にとっても大きなメリットがあります。今後、学校部活の地域移行が進めば、その受け皿となる地域のスポーツクラブにはより多くの指導者が必要になります。デュアルキャリアを実現した指導者が増えれば、クラブも雇用しやすくなり、地域の子どもたちは、より質の高い指導を受けられるようになります。こういった人材を活用していくことは企業においても地域貢献など様々なメリットを享受していけるでしょう。
2024年12月11日10代の頃から年代別代表で数多くの海外遠征を経験し、ポルトガル、カタール、UAE、トルコの4か国のクラブでプレーしてきた中島翔哉選手(浦和レッズ)。それだけ多種多様な異国生活をしていれば、食事面の難しさに直面したこともあったのではないでしょうか。サッカー選手を夢見ている子どもたち、そして保護者にとってアドバイスをいただきました。(取材・文:元川悦子写真:兼子愼一郎)<<前編:海外4か国を渡り歩いたテクニシャン・中島翔哉選手は、なぜ小柄でも活躍できるのか?サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>中島翔哉選手がサッカー少年少女の保護者にお願いしたいこと(兼子愼一郎)■好き嫌いは無いほうが良い。何を食べるかだけでなく、嬉しい、楽しい、幸せな感情も重要今では日本代表の海外遠征時に料理人が帯同したり、海外組の選手が独自に料理人を雇って食事を作ってもらうなど、栄養面のサポート体制が強化されています。しかしながら、中島選手が10~20代の頃はまだまだ環境が整っていませんでした。「僕の場合は好き嫌いがなかったので、どこへ行っても何でも食べられたのはよかったですね。正直、虫とかは食べたくないし、実際、食べる機会もなかったですけど(苦笑)、海外で食べられないものがなかったのは助かりました。代表の遠征に行ったりするとお腹を壊したりする選手もいましたけど、僕はそういうこともほとんどなかったです。食事に関しては、『バランスを考えて』とよく言われますけど、その人に合った食事が大事かなと思います。体の所作や動きのこともそうですけど、やっぱり自分自身との対話をしっかりして、何を欲しているかをきちんと理解することが大事かなと。好き嫌いはあっていいと思うし、素直に食べられるものは必ずある。それでいいんじゃないですかね。結婚してからは妻がおいしいご飯を作ってくれるので、それが一番いいですね。食事って単に物質を摂取するだけではないので、嬉しかったり、楽しかったり、幸せだったりすることがすごく重要ですね」と家族第一の彼らしい言い回しで、食事のポイントを語っていました。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>■子どもは自分に必要だと思えば食べる、食生活も押し付けにならない方がいい昨今は好きなものしか食べられなかったり、過度な偏食という子どもも少なくないようです。保護者も頭を痛めるケースも増えているといいます。親としては「子どもの健全な発育発達を考えると好き嫌いは改善しないといけない」「偏食しないように仕向けないとダメ」と危機感を覚えるものでしょうが、中島選手は「子どもファースト」で考えてほしいと願っています。「親は『子どもが喜んでくれる食事を作っている』と考えていても、子どもにとっては『食べさせられている』と感じることもありますよね。子どもは必要だと思えば絶対に食べるし、子ども自身が分かっていることもあると思います。だから、親は自分のことじゃなくて、子どものことを第一に考えればいい。大人の都合を押し付けることなく、心からの愛情を持って食生活を考えてほしいですね」■それって本当に子どものため?親は選択肢を与えるぐらいがいいその考え方は、サッカーにおいても同様です。子どもたちの試合に応援に来る保護者が必要以上にプレッシャーをかけたり、熱くなったりする姿が目につきますが、中島選手はそれも好みません。「小学校のサッカーで、親が横でギャーギャー言っているのをよく見かけましたけど、僕はあれが嫌いで、なくしてほしいと思っていました。ウチの母はサッカー経験者でも何でもなかったですけど、少しうるさかったので、静かにしてほしかったですね」と以前別のインタビューでも語っていたことがありましたが、その気持ちは30代になった今も変わらないと言います。「親が『頑張れ』『しっかりやれ』みたいなことを大声で言っているのを見ると、『誰のために応援しているのかな』と疑問を感じます。それってほとんど自分自身のためじゃないのかなという気がするんです。やっぱり子どもにとって一番いいのは選択肢を与えるくらいの接し方ですね。愛情を持って接していれば、自然とそういう振る舞いになるはずです。親御さんは自分の行動がどういう思いから出ているのかを一度、立ち止まって考えてみるのもいいかもしれないですね」と自身も子を持つ親の1人として、静かに話していました。■サッカーをしている時は心から楽しんでほしい、という中島選手の願い中島選手がそういった発言をするのも、「子どもたちはサッカーをしている時だけは心から楽しんでほしい」という願いがあるからです。人間は成長し、社会に出て、さまざまなタスクを課されるたびに、自由にならないことが増えていきます。サッカーを仕事にしている彼自身も苦手な役割やポジションを課されたり、思うように試合に使ってもらえなかったり、ケガで長期離脱を強いられるなど、思い通りに物事が進まない状況に直面することが少なくありません。だからこそ、子ども時代は純粋にサッカー小僧としての時間を思い切り過ごしてほしい......。そんな切なる願いがあるのでしょう。■プラスの感情や日常生活がプレーに出るそして、アドバイスできる立場ではないけど......、と謙遜しつつもサッカー少年少女の保護者に向けてアドバイスをくれました。「自分はサッカーしかやってこなかった人間だし、何かをアドバイスできる立場じゃないですけど、子どもたちがサッカーをやっている時は、好きにやりたいことをやってもらいたいと思っています。僕自身は周りに恵まれたので、幼い頃からずっとサッカー小僧でいられた。自分にとって居心地がいい人と一緒にいられたら、それは幸せなことですし、そういうプラスの感情や日常生活がプレーにも出るんじゃないかなという気がします。やっぱり楽しかったり、ワクワクしている時の方が体も健康ですし、長生きもできるはず。ただ勝利することに喜びを感じることはないですね。チームや自分がどれだけ上達したかを含めて勝ちたいんです。いつまでサッカー選手を続けられるか分かりませんけど、選手としての時間が終わった時、自分が死んだときに後悔しないような行動をしたい。ずっと生き続けられるのも限らないので、言葉にすると薄っぺらにはなりますけど、今の一瞬一瞬を大事にしたい。そう考えています」サッカーという1つの道をストイックに突き詰めてきた中島だからこそ、言葉には特別な重みがあるし、1つ1つが胸にに響いてきます。サッカーをする子を持つ保護者の皆さんはは今一度、それをしっかりと受け止めつつ、今後の一挙手一投足を考えてみるべきなのかもしれません。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>20
2024年12月10日Jリーグで活躍するプロサッカー選手、柏好文選手は、37歳という年齢にも関わらず、アジリティ(敏捷性)を武器に、攻守に関わり続けるプレースタイルで、多くのファン・サポーターを魅了しています。そんな柏選手に「アジリティの重要性」について、話をうかがいました。体の小さな選手、子どもたちにとって、上達のヒントになる話が目白押しです!(取材・文鈴木智之)■若いときにアジリティを染み込ませたサッカー選手にとって、アジリティ(敏捷性)は、パフォーマンスを左右する重要な要素です。特に攻守の切り替わりや球際の場面で、その真価は問われます。柏好文選手は、アジリティが必要な局面について、次のように語ります。「サッカーにおいてアジリティが必要な場面は、球際の競り合いや、攻守が切り替わる時です。アクションというよりはリアクションの時の方が、アジリティが重要になると感じています」柏選手はヴァンフォーレ甲府でプロキャリアをスタートさせたときから、谷真一郎コーチのもと、アジリティトレーニングを積み重ねてきたそうです。「若い時に体に染み込ませたトレーニングがあったから、この年齢(37歳)までできていると思います。これまで大きな怪我をしたことがありません。もともとの資質が良かったのかもしれませんが、親からもらった素質に加えて、しっかりとトレーニングを積んできたことで、怪我をしない体の使い方や足の運び方が身についたのだと思います」柏選手が取り組んできたのが、ラダーを中心としたトレーニングです。「プロになってから、毎日のようにラダーを踏んでいました。様々な種類のステップや、試合を想定した足の運び方、相手が動いた時に、最も接地時間を短くして、次の動きに移行できるようなステップなど、緻密な動きを体に染み込ませる練習を毎日のようにしていました」■体の無理が利くようになったその効果は比較的早く実感できたそうで、「一年経たずに、足の運びはかなり変わってきました」と振り返ります。「足の運びが速くなったと感じましたし、体の無理が利くようになりました。相手の動きに対するリアクションや、届かないと思ったボールに対して足が出せるようになるといった面でも、大きな変化を感じました。毎日トレーニングすることで、新たな発見があるので楽しかったです」特に印象に残っているのが「接地面についての指導」だと言います。「地面の反動を使って進むことや、足を地面に着くときの歩幅によって、グラウンド状態が悪いと滑ってしまうといった部分は、かなり敏感に指導してもらいました。足の運び方、体の使い方、反転の仕方など、若い時代に毎日のように練習したので、体に染み込んでいます」さらに「谷さんは筑波大学出身で、科学的で理論的な説明をしてくれました。わかりやすいフィードバックをしてくれて、『いまはどこの体の使い方がよくなかったのか』『こうした方が早くなる』といったアドバイスをくれました」と懐かしそうに話します。■小柄な体格がストロングポイントにアジリティトレーニングは、体の小さな選手にとって、特に重要な意味を持ちます。柏選手は言います。「僕自身、体が小さいというウィークポイントを、アジリティによってストロングポイントに変えることができました。僕以外にも、若い時期にアジリティにフォーカスしてトレーニングをしていた選手は、長く現役でプレーしています。そういう意味で、アジリティの重要性はかなり高いと感じています」育成年代の選手たちにとっても、アジリティトレーニングは将来を左右する重要な要素になりそうです。「幼少期に身につけるのと、大人になってから身につけるのとでは、大きな差が出ると思います。足の運びを常に意識しながら頭と体の回路を作ることによって、怪我の予防だけでなく、一歩二歩先のプレーを読むところにもつながると思うので、非常に効果的な練習だと思います」■4マスを集中して取り組むトレーニングには4マスの「タニラダー」が最適だと言います。「4マスは程よい長さですよね。体の使い方のポイントが、わかりやすいと思います。ダラダラと長く続けるよりも、4マスであれば、集中して姿勢や動きの質を意識することができます」アジリティトレーニングは、単なる体づくりを超えて、選手としてのキャリアを大きく左右する重要な要素です。怪我の予防にもなり、体格的なハンデを強みに変える可能性も秘めています。子どもたちにとっては、動きの回路を作る年代に取り組むことで、今後の伸びしろアップに良い影響がありそうです。柏選手は「僕は体が大きい方ではないので、プロになってアジリティを鍛えて、そこで勝負してきました。アジリティを含めたクイックネス、モビリティに意識を向けることで、プロとして長くプレーすることができているので、その重要性は子どもたちに伝えたいですね」とメッセージをくれました。37歳を迎えてもなお、アジリティを武器にピッチを駆ける柏選手。そのプレーに、今後も大いに注目です!
2024年12月10日Jクラブの育成組織、行きたかった街クラブ、トレセンなど、小学生年代でもサッカーで「選考」を経験することがあります。ですが、必ずしも受かるとは限りません。行きたかったチームのセレクションに受からなくて子どもが落ち込む姿を見て、どう慰めればいいのか迷ってしまった経験を持つ親御さんもいるのではないでしょうか。今回は、お子さんがセレクション不合格を経験したことがあるサカイクアンバサダーのKさん(仮名)に、親としてどのような声をかけてお子さんを前向きにさせたのか伺いました。サッカーだけではなく、学校生活や何かに挑戦して失敗したときの声かけのヒントにもなると思いますので、これからセレクションを考えている親御さんも、ひとつの例として参考にしてみてください。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>写真は少年サッカーのイメージ■必ずしも希望したチームに行けるわけではない都市部やJクラブ、有名強豪街クラブがあるような地域だと、セレクションを受けられる年齢になるとこぞって受けだす親子も多くいます。熱心な親御さんだと低学年から情報収集に余念がありません。ですが、多くのチームは指導者がみられる人数に限りがあるため、必ずしも選考結果が希望に沿うわけではありません。Kさん(仮名)のお子さんは、低学年からJクラブのスクールと並行して地元のチームに所属しており、みんなでワイワイ楽しんでいたそうですが、高学年になり本人の「もっと高みを目指したい」」という気持ちから、チームを退団し、憧れのチームのセレクションに挑戦しました。スクールでも上手いほうで、コーチたちにも認められており、期待をもってセレクションに挑みましたが、一度目はいわば補欠として「再選考枠」に。チームに所属できるわけではありませんが、練習に参加させてもらうと共に次回のセレクション参加の権利を得ました。正式な所属選手ではないものの、トレーニングマッチなどにも呼んでもらっていたこともあり、自信をつけて挑んだ2度目のセレクションを受けるも、またしても「再選考枠」。練習やトレーニングマッチに呼んでもらって、指導者にも賞賛の言葉をかけてもらっていたという自負もあり、受けたショックは相当なものだったようです。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>■初めてのセレクション落選で親がかけた言葉最初にセレクションに落ちた時は、何が足りなかったのか自分が一番わかっているだろうという気持ちや、お子さん本人が親に同情してほしいという感じでもなかったそうで「下手に慰めるのもよくないかな」と考え、過剰に声掛けすることはなかったと言います。セレクションがあったのは長期休暇の時だったので、「休みを楽しもうか」「1回切り替えよう。もう一度自分のやりたいサッカーを探してみたら」など前向きな言葉をかけ、それ以降あえてサッカーの話題に触れないようにしていたそう。すると何日か経ってから、お子さんのほうから「自分のやりたいサッカーはさ......」と、やりたいサッカーについて話してきたので、それをじっくり聞いてあげたとのこと。お子さんの性格や年齢にもよると思いますが、わが子が一緒に悲しんでほしいのかどうかをよく見て対応する、という点は一番大事にしたいことではないでしょうか。■2度目のセレクション不合格は大きな挫折に上記のように、お子さんは2度目のセレクションでも希望が叶いませんでした。親であるKさんは、「雰囲気にも飲まれちゃっていたし、即戦力というわけでもなかったので」と振り返りますが、お子さんにとっては2度目の落選に対する落胆は大きく、Kさんはその時のお子さんの姿を「一気に挫折の沼に入っていったという感じでした」と教えてくれました。「チームへの憧れが強くて、2度目のセレクションのために頑張ってきたのにダメだったので『もう、自分はダメなんだ』となってしまって......」(Kさん)これまでずっと「上手い」と評価され、初回で合格はできなかったけれど「再選考」という評価をいただき、練習やトレーニングマッチに呼んでもらえていた事からも、本人が2度目のセレクションにかける期待は相当に大きかったのがわかります。大きなショックを受けた我が子をなぐさめるためにKさんは、「憧れのチームをネタにさせていただきました」と言います。「本当はとても素晴らしいチームなのですが、その時は子どもの力不足には触れずに『あのチームじゃなくてもよくない?あなたの志向するスタイルとちがうんじゃない?』『普段助っ人で入っているチームのほうが見てて楽しいけどな』など、懸命に伝えましたね」チームの悪口を言う必要はありませんが、子どもを慰めるために言い方を工夫する、というのも一つの選択肢かもしれません。■心に受けたダメージで、体にも異変がじつは、憧れのクラブのセレクション合格に向けて努力を重ねたのに叶わなかった、という経験は大きな挫折となり、お子さんの体にも異変が。セレクション後しばらくすると、チック症状が現れたとそう。助っ人参加しているチームの遠征に行った際に、プレーの反応がいつもより遅く、コーチの話を聞いているときに瞼がピクッと動くのに気付いたそう。その場では深く考えていなかったKさんですが、遠征の最終日にはお腹を下してしまい、自分のプレーができず、迎えに来たKさんの前でワッと涙があふれたと言います。「これまでサッカーを知らない私に『どうしたらいい?』なんて聞いてこなかったのに、その時は聞かれて。その後別のキャンプでも瞼がピクピクする症状が出て、これはおかしいなと病院に連れて行きました」(Kさん)■今のチームに入ったら初日でチック症状が消えた写真は少年サッカーのイメージ病院でチック症状と診断され、その後は少しサッカーから離れたそうですが、この秋から知り合いのコーチが指導するチームに所属したところ、初日でチックの症状が消えたそうです。セレクションのためにチームを辞めてから、練習参加や助っ人での試合出場はあったものの、どこにも所属していない不安定さも不安だったのかもしれない。とKさんは言います。これまでは助っ人で入っていたチームも含め、スタメンが当たり前だったお子さんですが、今のチームは上級生がスタメン。お子さんにとっては初めての体験ですが、「見て学ぶ」ことも楽しめているそうです。本当はもう一度憧れのチームのセレクションを受けることもできたそうですが、お子さん自身が『小学生年代ではこれ以上セレクションを受けない』と決めたのだそう。そうした決意と、居場所ができたことで安心感が得られたのかもしれません。「まだ完璧に乗り越えたとは言えないかもしれませんが、チームの中に居場所があるし、サッカーへのモチベーションが戻ってきた気がします」と、再びサッカーを楽しめるようになったお子さんのことを嬉しそうに語ります。そして、「これからも迷うかもしれないけど」と前置きしながら、「子どもの人生だし、自分で決めさせたい。小さい時からそれは実践しているけど、結局は子どもがどう思うかだと思うから」と改めて子育ての軸を確認していました。小学生年代でもチームに所属留守ためにセレクションという選考を経験する子が増えていますが、全員が入りたいチームに入れるわけではありません。落選したとき、落ち込む子どもへの接し方の例として、一つの参考にしてみて下さい。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>
2024年12月10日大阪のJグリーン堺を拠点に活動する「AC.gloria girls U15(グローリアガールズ)」は『テクダマ』の監修者としても知られる、三木利章さんが監督を務めるクラブ。創部7年で4度の全国大会出場を誇っています。セレクションなし、平日練習は2回、練習場はフットサルコートという環境ながら、OGは全国の強豪校へ進み、今年度の全国高校選手権出場チームに、多くの選手が名を連ねました。その秘訣と取り組みについて、話をうかがいました。(取材・文鈴木智之)■OGが全国の高校で活躍セレクションなしの街クラブながら、2年連続で全国大会に出場し、OGが毎年サッカー強豪校に特待生やスポーツ推薦で進学する、グローリアガールズU-15。チームを率いる三木利章さんは「小学生時代に全国大会と縁のなかった選手たちが、グローリアを経て、高校年代で大きな舞台でプレーする機会を得ていることが成果です」と述べます。中学生は小学生と高校生の間に位置する、橋渡しの時期です。三木さんは長年にわたって取り組む『個の育成』について、次のように語ります。「私の役割は、上の年代に進んだ時のベースとなる考え方、概念、技術を植え付け、伸びしろを作って送り出すこと。どのスタイルの高校に行っても対応できるよう、基礎となる土台を広く作ることを心がけています。これには選手の考え方、感性、技術、身体操作、そしてやり切る力が含まれます」グローリアガールズのOGは聖和学園や大商学園を始めとする、全国トップレベルの高校で主力として活躍しています。その根底にあるのが、徹底した個人の強化です。■個の育成にこだわった指導三木さんが掲げるのが『自由自在に動く身体創り』と『自由自在なボール扱い』です。そのためにダンスや体操、リフティング・ボールコーディネーション・コーンドリブルを通じてアプローチしていきます。毎回の練習はダンスや体操から始まり、ブリッジ、横転など、様々な種類の動きを取り入れています。基礎練習ではボールタッチ、コーンドリブル、リフティングといった要素を重視しています。「コーンドリブルでは、アウサイドでボールを押し出す際は、重心移動を意識させたり、スピードを上げること、軸足の使い方を工夫することなど、細部にまでこだわりを持って指導しています」さらに、こう続けます。「その後、1対1、2対2、3対3といった対人の練習に移ります。ここではドリブルの技術や駆け引き、コンタクトプレー、球際の競り合いなどを習得します。これらの練習では勝ち負けがはっきりと分かるため、選手たちの競争意識も自然と高まります」フットサルコートを2面使った試合形式の練習では、あえて大人用のゴールを使って、ミドルシュートの意識を高めたり、守備の素早い寄せにアプローチ。ほかにもタッチ数を制限したり、様々なルール制限をかけて臨機応変さ・柔軟な思考・各ルールの最適解を求めていく脳力を磨いています。レギュラー組の守備陣とサブ組の攻撃陣を組み合わせて紅白戦を実施したり、様々なシステムやポジションでプレーさせる機会を意図的に設けて感じる力・感性を高めていきます。「エコロジカル・アプローチに通じるところがあると思いますが、練習の設定を工夫することで、選手たちは自然と感じたり、考えたり、状況を判断する力を身につけていきます」■2年連続4度目の全国大会出場2024年11月、関西大会で3位に入り、2年連続4度目の全国大会出場を決めた、グローリアガールズ。その道程は平坦なものではありませんでした。三木さんは振り返ります。「私自身、女子チームの指導者として7年目を迎え、新たなアプローチを試みました。これまで全国大会に出場してきましたが、全国では個人の能力差で上回られることも多く、チームとしての対応にも限界を感じていました」そこで今年は4月から全国大会出場が決まるまでの半年間、従来行っていたパスやコンビネーションのトレーニングを行わず、個人の基礎技術を含む『個のチカラ』を高めることに専念したそうです。「1対1、2対2、3対3のドリブルゲームを中心に個人で攻める・個人で守る能力の向上に半年間取り組みました。目標の『全国大会ベスト8以上』を目指すためには、もっと個の力を伸ばさなければいけないと感じたからです」その成果もあり、今年度も3年生全員が希望する高校にサッカー進学が内定やナショナルトレセンに選出されるなど、個の育成面では成果が出ました。一方、パス練習やコンビネーションのトレーニングは行わないため、チームとしての連携は向上せず。関西中学女子サッカーの最高峰である関西リーグ(8チーム総当たり2周りの14試合)では、11節まで1勝しか挙げられず、7位と苦戦を強いられたそうです。「ただ、これは想定の範囲内でした。例年は6:4の割合で個人練習とチーム練習をしていたのが、今年は個人8、チーム2の割合に振り切ったわけですから」そして迎えた9月。個の力が熟してきたチームはリーグ戦で3連勝。勢いそのままに関西大会に乗り込むと、準決勝でINAC神戸に2対3で敗れたものの、3位決定戦に勝ち、全国大会出場を決めました。「チーム対チームの戦いでは、個人の能力差で上回られることも多い」という現実を踏まえ、「個人の局面での成功率・勝率を上げていく」という地道な取り組みが実を結びました。■小学生のアカデミーを開設今年からは小学生対象のアカデミー活動を開始し、毎回30人ほどの選手が集まるなど、盛況の様子。「将来的にはグローリアガールズU-15の選手の7、8割が、アカデミー出身者になることを目指しています」と期待を寄せています。 「なかにはテクダマを使用している選手たちも来てくれているんです。テクダマはあくまでツールですが、身体操作やボール扱いなど、個の能力を高めることの重要性や私の考えに共感してくれている人が集まってくれるのが、非常にうれしいです」特筆すべきは、テクダマの背景にある育成哲学への共感です。単なる商品としてではなく、育成理念に賛同した人たちが購入し、トレーニングに役立てているとのこと。「テクダマを単なる商品ではなく、その背景にある考え方に共感してくれる人が増えているのを感じています。私の考えや発信を知って購入してくれる方も多く、サカイクの記事などを通じて、この考え方が広まれば、自主練に最適のツールとして、テクダマを選んでくれる人も増えていくと思います」 エリート選手ではなく、小学生時代に全国大会に出たことがない、トレセンに選ばれたこともない、決してエリートではない普通の選手たちが「より良くなるために可能性を引き上げる手助けをしたい」と話す三木さん。これからも、彼のもとを巣立つ「普通だった」選手たちが成長し全国各地で活躍することでしょう!
2024年12月06日2023年7月に浦和入りした中島翔哉選手。東京ヴェルディのアカデミーで育ち、中学時代からブラジル留学に赴くなど、早いうちから国際感覚を養う機会に恵まれました。U-17W杯、リオ五輪でも活躍。日本代表でも10番を背負うなど、異彩を放ってきました。所属クラブに目を向けても、ポルトガルのポルティモネンセとFCポルト、カタールのアルドゥハイル、UAEのアルアイン、トルコのアンタルヤスポルと4か国を渡り歩き、異国での数多くの経験値を積み重ねてきました。国内外での経験豊富な中島選手に、それぞれの環境で活躍するために大事なことをうかがってみたのでご覧ください。(取材・文:元川悦子写真:兼子愼一郎)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>中島翔哉選手が語る国内外で活躍するために大事なこと(兼子愼一郎)■大きい選手を「相手にしない」「僕は最初から最後まで海外には適応していません(笑)。ただ、国によって人々の性格やサッカースタイルは違うので、そういうのを理解するのは大事かもしれませんね。中学生でブラジルに行った時は、大きくて強くて速い選手が沢山いました。年上と試合をしたというのもありますけど、それは強く感じました。自分が小さいことも分かっていましたけど、『自分が小さい』とはあまり思っていなかったかな。僕の話は参考にはならないかもしれないけど、大事なのは『相手にしないこと』じゃないですかね」と中島選手は独特の言い回しでフィジカル差を克服する術を語りました。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■「なぜ」を考えて探求するのがおもしろいとりわけ、アルアインに在籍した2021年に足首の大ケガを負ってからは、体の使い方や日常の所作などを見つめ直しているといいます。「相手と同じことをやっていたらダメで、不安定を受け入れるというのかな......。自分の体のいい状態というのを探るために、今はチームメートの牲川(歩見)に手伝ってもらって、実験しています。牲川は身長が195センチ、体重も90キロもあって、世界でもそこまでデカい人は滅多にいない。そういう選手に負けないためには、まずムダな動きをなくして速くするという感じですかね。やっぱり"日常の所作"が一番大事なんです。僕自身も以前は、細かく速く動いて俊敏性を生かしてプレーしようとしていました。それって年齢を重ねたらできなくなるじゃないですか。ですけど、現実にはベテランになっても速い人はいる。それがなぜなのかなと考えて、探求するのが、すごく面白いんです」と中島選手は嬉しそうに話します。■ピッチ外の日常の所作が大事自分の体がどう動くか知るとサッカーの動きも変わる彼が注目する"日常の所作"というのは、立ち方や立ち上がり方、歩き方など、誰もが当たり前に行っている動作。その人にとってのいい姿勢や動作が取れれば、優れたパフォーマンスにつながっていくということなのでしょう。「トイレに座る姿勢を例に取ると、背筋をピンと伸ばして真っ直ぐ座っているわけではないですよね。学校で授業を受けていたり、朝礼で話を聞いているときもそう。その人の日常の動きが自然に出るのが一番だと思うんです。それを知るために鏡を見ることもあります。僕が好きな江戸時代の侍は鏡を見て戦わないから、普段はやりませんけど、自分を客観的に見ることも大事なんで、ごくたまにはやりますね。自分の体がどう動くかを知るだけで、サッカーの動きも変わってくるし、俊敏性も出てくる。若ければ若いほど癖は取りやすいでしょうから、自分なりに感覚を磨いていけばいいんじゃないかと思います」と中島選手はジュニア年代の選手に向けて、彼らしいアドバイスを送っていました。「自分は小柄だから大柄な選手には太刀打ちできない」「頑張ってもダメ」と諦めがちな子どもたちもいるかもしれませんが、164センチの中島選手が大男たちを巧みにかわして、数多くのゴールチャンスを演出する姿を目の当たりにすれば、勇気や希望が湧いてくるはず。だからこそ、彼の言葉は大いに参考になるのです。■ドリブルがうまくなりたいなら「中島選手のようにドリブルがうまくなりたい」「自分もフィジカルに恵まれた選手をきりきり舞いさせたい」と願う選手も少なくないでしょう。野心溢れる子供たちに対し、彼はこんな助言も送っていました。「ドリブルがうまくなりたいと思うなら、やっぱり身を任せることじゃないですかね。あとはなるべく最短距離で行くことかな。目の前のスペースが空いているなら思い切って行った方がいい。余計なものを入れないで、自分がやりたいようにやればいいんです。いろんな選手のプレーを見ることもヒントになるんじゃないですかね」■自分の感性を大事にしてこう話す中島選手自身も、ヴェルディジュニアに通っていた頃は元ブラジル代表のロナウジーニョが大好きで、当時の永田雅一監督からバルセロナの映像を見せてもらっていたそうです。「ロナウジーニョが家でもボールをよく触っていた」という話を聞いて、彼自身もボールを抱いて寝ていたというほどの徹底ぶりだったといいます。「ロナウジーニョの試合やフェイント集なんかはよく見ましたし、真似もしました。本当は何も見ないで自分の思う通りにやるのが一番いいとは思いますけど、『うまい選手のプレーを見て練習したい』という気持ちがあるならやればいい。自分の感性を大事にしてほしいですね」中島選手は幼い頃から30歳になった現在に至るまで"サッカー小僧"のまま、ボールを追いかけてきました。そういったアグレッシブかつ貪欲な姿勢を持ち続けられるか否かが、成長への最重要ポイントなのです。彼の言葉から学べることは少なくないと言えるでしょう。(後編に続く)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年12月05日サッカーを通じて子どもの成長を後押ししたい保護者のみなさんへ向けて、不定期に行っているサカイクのオンラインセミナーが11月に開催されました。これまでのべ7000人が参加したサカイクキャンプをはじめ、シンキングサッカースクールで日々子どもたちと接している指導者がこれまで得た知見を提供する場です。今回のテーマは「非認知能力」。最近よく聞く言葉ですが、この非認知能力がサッカーでも必要な理由、サッカーで伸ばせる理由について説明。サカイクが大切にしている非認知能力=ライフスキルも掛け合わせ、わかりやすく解説しました。(構成・文:小林博子)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>非日常の中でサッカーを楽しみながら人間的にも成長するサカイクキャンプ<<わが子の良いところを見つけられない、という保護者におすすめの方法■サカイクコーチによる保護者セミナー今回のセミナーには、菊池健太コーチと柏瀬翔太コーチが参加。二人ともシンキングサッカースクールやサカイクキャンプで活躍しています。菊池コーチはサッカーをする子の父としても、子育ての実体験を踏まえつつ、どうして非認知能力がサッカーでも必要なのか、家庭ではどう伸ばすのかをお伝えしました。質問コーナーでは、小学校の教員免許を持つ柏瀬コーチも参加。今までの知見も踏まえ、アドバイスをしてくれました。これからの社会を生きるために必要な能力、と紹介されているのは知っていますが、実際「非認知能力」とはどんな能力なのか、どう育てればいいのか。同じような悩みや疑問をお持ちの方はきっと多いはず。セミナー中にいただいた質問と回答を記事の最後に紹介するので、最後までご覧ください。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■非認知能力とは?子育てをしているとたびたび耳にする「非認知能力」というワード。これからを生きる子どもたちにとって大切な能力だとぼんやりと知りつつ、それがどんなことなのかや、具体的にどうするとその能力を伸ばすことができるのかなどはあまり理解されていないかもしれません。まずは、セミナーの冒頭に非認知能力を2つの概念でご紹介しました。・生きる土台となる力・テストなどの数値で測れない能力テストの点数やスポーツのタイムなどで測ることができるのは「認知能力」です。その反対の非認知能力は、ひとことで言うならば「生きる土台となる力」。社会性や自分の心の働きを高める能力のことで、子どもの成長にとってとても大切なものであると近年は言われています。■非認知能力=ライフスキル!サッカーで能力を伸ばせる非認知能力は数字で測れない分、力のあるなしを目に見える形で評価することはできません。また、非認知能力には正解がなく、大人にとってもつかみどころが難しいかもしれません。そこで提案するのが、サカイクが子どもたちにサッカーを通して身につけて欲しいと考えている「5つのライフスキル」について知ってもらうこと。サカイクが提唱するライフスキルはと、非認知能力の中から、小学生年代で身に着けてほしい要素を抽出したものです。セミナーで使用したスライドより試合も練習も、チームメイトと協力して動き、常に細かな判断が必要なサッカー。仲間と共に「勝つ」という目標達成に向かって協力し、努力することは非認知能力を伸ばす絶好の場とも言えます。ライフスキルは、「サッカーで勝つ」だけでなく「人としての成長」を重要視しています。この能力があれば、サッカー選手としても社会に出ても、協調性や主体性をもった人間になれ、結果もおのずとついてくることでしょう。■5つのライフスキルをそれぞれ解説サカイクが提唱する5つのライフスキルセミナーで使用したスライドよりサカイクキャンプでは5つのライフスキル身につけてもらうべく、スタッフ全員が常に意識して子どもたちに接します。セミナーでは詳しくご説明しましたが本記事では指導者がどのような接し方や声がけをしているかを簡単にご紹介します。①考える力大切にしているのは「考える機会を大人が奪わない」こと。大人は離れて見守ります。自分で考えてうまくいったことは強烈な成功体験として記憶に残り、さらなる「考える力」につながります。②リーダーシップライフスキルのリーダーシップは、「相手の立場に立って行動すること」です。キャンプ中ピッチの中だけではなく、ピッチ外や部屋でもたくさんみられます。自分が周りのためにやるべきことができたことは大きな自信につながります。③感謝の心「サッカーができることは当たり前ではない」と気づいて楽しんでサッカーをしてほしいです。楽しんでサッカーをすることに関しては、「自分が楽しんでサッカーをする姿を見ることが、保護者や周りの大人は一番嬉しいこと」と子どもたちに伝えています。④チャレンジミスしないようにするのではなく、ミスを怖れずにチャレンジする気持ちに価値があると伝えることから始めます。ただし、「ミスをしてもいい」というわけではありません。キャンプでは「ミスのレベルをあげること」も伝え、常に高い目線でのチャレンジを促します。⑤コミュニケーションサッカーは試合での目標達成(勝利)のために仲間とのコミュニケーションは不可欠です。サカイクが大切にしているコミュニケーションは「プラス」のもの。常にポジティブな言葉を選び、チームの士気が上がる雰囲気作りを重視します。■非日常の中では「非認知能力」が伸びやすいコロナの時期を経て、宿泊を伴う合宿や修学旅行などが中止になってしまい、初めて親元を離れて子どもたちだけで過ごす場となった子も多かったここ数年のサカイクキャンプ。日常から離れ、当たり前が当たり前でなくなる3日間で、参加者はたくましく成長し、その中でライフスキル=非認知能力がぐんぐん伸びます。キャンプに参加するスタッフはその伸びを最大限にすべくサカイク10か条の中で3つ目の項目である「信じて見守る」ことを特に徹底しています。サカイク10か条参加者の保護者のみなさんからも、「参加してから子どもの意識が変わった」「キリッとした顔つきで返ってきた」などのお声があり、サッカーのスキル上達以外の部分で、効果を感じてくださる方が多いようです。■保護者の悩みや疑問にアドバイスセミナー後、ご参加いただいた保護者のみなさんから、家庭での子どもとの接し方に関してたくさんの質問が寄せられました。それらを紹介します。皆さんの抱えていた悩みを解決するヒントになるかもしれません。<参加者からの質問と回答>質問:つい口を出しすぎてしまいます。どう関わったら子どもの成長に繋がりますか?回答:口を出してもいいんです!ただし、本人が苦労することで成長が見込めるような場面では「目をかけて手を貸さず」を意識してぐっとこらえてみてください。質問:「感情でモノを言うな」と言われますが、愛があるゆえに感情が沸き上がるものだと思います。感情的になってしまうのは悪いことでしょうか。回答:大切なお子さんへの愛があるゆえに感情的になってしまうのは自然なこと。悪いことではありません。ただ、発した言葉を受けた子どもの表情は見逃さないで。ただ怒るだけなど一方通行にならないようにするだけで違うと思います。後から客観的に振り返って、言い過ぎたと思ったら次はそうしないようにしてくださいね。質問:小学1年生の子どもに挨拶やお礼をしっかりさせるにはどう促したらいいですか?ちなみに子どもは我が強くあまり親の言うことを聞かない性格です。回答:お子さんも挨拶しなきゃとは思っているはず。まずは大人からいい挨拶をしてあげて良いお手本になってください。キャンプやスクールでもコーチたちから率先して挨拶をするようにしています。元気に挨拶をすると、元気な挨拶が子どもたちから返ってきます。それを続けることで、挨拶の大切さがだんだんとわかってくると思います。質問:親の言うことは聞かないのに、コーチが言うことは素直に聞きます。言い方の問題なのか、親への甘えなのか悩んでいます。回答:それは親子の関係がすごく良く信頼関係があるからこその状況です。成長過程において自然なことです。サッカーが大好きな子どもにとって、コーチは大人の中で"最上位"ですから。だから子どもにとって親の言葉より響くことがある、ってだけなので深刻に悩まなくて大丈夫です。質問:我が子は「友達がやらないなら自分もやりたくない」とサッカーや他の習い事での行動がすべて友達ベースで困っています。回答:素敵なお友達がいて、コミュニケーション力があり仲間を大事にするお子さんなんだと思います。ずっとそのままということはないはずなので、将来自分の意思で友達とは別の何かをやりたいと言うまで寄り添いながら見守ってあげてください。質問:サッカーは自由なものだから、まずはやりたいことにチャレンジをしてたくさんミスをしてもいいと伝えていますが、あまり運動が得意な子ではないので、ミスした分を取り戻せない機会が多く、だんだんチャレンジをしなくなってしまいました。ミスを恐れないようにしてほしいのですが、どう接したらよいでしょうか。回答:うまくいかないことの方が多くて向上心が高まらないのはよくあることです。ライフスキルの「チャレンジ」の項目でもお話ししましたが、「結果としてボールを奪われちゃったけど、その前にここは運べたから良かったよね」とかミスの前後に何があったかも合わせて話をしてみてください。ミスと同じぐらい良かったところを探して伝えてあげることが非常に大事です。また、運動能力の高い低いにかかわらず、子どもは日々成長しています。その成長や変化を認めて伝えてあげることも大切です。質問:主体性のある子になってもらいたいです。親としての心構えを知りたいです。回答:興味のあることに、とことんチャレンジさせてあげることが主体性を育むのに有効です。できれば一緒にその興味のあることに伴走して、子どもができたことを盛大に褒めて成功体験にしてください。どんな些細なことでも、子どもにはキラリと光る何かが必ずあります。その部分に共感してあげましょう。数字などわかりやすい結果では出てこないため、非認知能力が伸びたかどうかはすぐには感じないかもしれません。家庭だけ伸ばすのはなかなか難しい力でもあります。そこで、サカイクキャンプへの参加を選択肢の1つにしていただけたら嬉しいです。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年12月02日ゴールに迫るほど視線がGKにフォーカスしてしまうのか、真正面に蹴ってキャッチされてしまう。焦って強いシュートを蹴るよりも、空いているほうにシュートしたほうがゴールできるよ、と伝えているが中々難しい......。というご相談。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、オシムさんが実践していた方法も交えアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<公式戦が終わってから中学入学までの指導、何をすればいい?中学に向けて11人制の準備をしたほうがいいのか教えて<お父さんコーチからの質問>子どもが通っている小学校のクラブで保護者兼コーチをしています(担当はU-10)。隣に保育園があって、未就学児も一緒に練習しています。高校までサッカーをしていたのでわが子をきっかけにサッカーに携われて嬉しいです。でも自分がプレーするのと教えるのは難しさが違いますね。相談したいのは、シュートするときにキーパーがいないところ(空いているところ)に蹴ることを意識させることです。キーパーとの距離が近づくほど、視線がキーパーにフォーカスしてしまうのか、真正面に蹴ってキャッチされる子が多いです。焦って強いボールを蹴らなくてもゴールはできるから、空いてるところ(取られないところ)に蹴ろうね、とは言っているのですが......。中学年ぐらいだと、脳や体の発達的にも無理はないのかもしれませんが、視線と足元の動きを別にする、というか広い視野をもって判断できるようになるにはどうしたらいいでしょうか。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。キーパーの正面に蹴ってくる子どもは多いです。おっしゃるとおりです。■空いているところに蹴ればゴールになる、という感覚を養うのが大事コーチから「(ゴールの)空いているところに蹴ろう」といったアドバイスはして良いと思います。強いボールを蹴らなくても、空いているところに蹴ればゴールになるよ、と。その感覚を養うことが大切です。子どもたちは、決めたいのでシュートを打つ瞬間、どうしても力んでしまいますから。そのことも考慮して、4年生くらいであれば「あわてずに最後までよく見てごらん」と言ってあげてください。シュート練習でコーチがキーパー役を務めてあげてもいいでしょう。来たボールを単にセーブするのではなく、例えば蹴る瞬間に左右のどちらかに動いてあげてください。コーチが動いたほうと逆の、大きく空いたほうに蹴るよう指導します。その場合、年齢が低ければなるべく大きく動く。高学年なら打つ瞬間に小さく動く。そうやって難易度を調節してあげてください。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■オシムさんも実践していた、関節視野でボールをとらえる練習法似たような練習、といってもプロなのでより高度ですが、オシムさんもジェフの選手たちにさせていました。ギャラリーが多いとさまざまな試みを見せてくれるのですが、ある日ポストシュートの練習を始めました。オシムさんがゴール裏に立ち、選手に「私が指さしたところにシュートを打ち込みなさい」と命じました。そして、選手がシュート動作に入る瞬間、人差し指を上下左右に振って、シュートを突き刺す場所を指示するのです。すると、当時ジェフのエースFWだった崔竜洙(チェ・ヨンス)ら外国人選手たちは全員間違いなく、ノッキングを起こさずなめらかなシュート動作を見せました。ノッキングとは、走ってきて合図が出て蹴るまでに、一瞬躊躇して止まることを指します。外国人選手と違って、当時の日本人選手たちはノッキングしてしまう。動作がぎくしゃくするのです。つまり、外国人選手たちはオシムさんを見ながら、間接視野でボールを見ていましたが、日本人はそれができませんでした。■ゴールを2つ置いて判断させる練習法もうひとつ、子どもにわかりやすいメニューを紹介しましょう。子ども用の小さなゴールを2つ置きます。その真ん中にキーパーがひとり立ちます。子どもたちに「さあ、どっちのゴールにシュートを打ち込みますか?」と言って順番に蹴っていきます。4年生くらいなら、ゴールとゴールの間を1メートル弱ほど空けるといいでしょう。そのくらいならキーパーも守れるかもしれません。ゴールが左右2つあるので、子どもたちにとって判断しやすくなります。真ん中に蹴らずにすみます。キーパーだけが守らなくてもいい。みんなで交代にキーパーをやってどんどんシュートすればいいでしょう。■日常ではしない動きで神経機能を高め、眠っている能力を活性化加えて、ご相談文にある「視線と足元の動きを別にする」という視点は、神経系が発達する小学生にはとても重要です。この神経系の機能を高めるには「ライフキネティック」が有効です。ライフキネティックは世界最先端の脳トレと言われ、ドイツ人のホルスト・ルッツが独自に開発した「運動、知覚、認知を組み合わせたエクササイズ」です。ライフキネティックの運動メニューは、例えば右手と左手で違う動きをさせるなど、年齢や体力に関係なく、誰でも楽しくできるのが特長です。日常ではやらないような動きをすることで、神経細胞間に新しいつながりを作り出す。つまり、眠っている能力を活性化します。そうやってシナプスを増やすことで、情報処理の速度が高まると考えられています。■鬼ごっこなど昔の遊びも神経系の機能を高めるのに効果的神経系の発達を促すメニューは専門書などで入手できますが、いわゆる「昔遊び」をいっぱいしている子どもたちは神経系が優れています。代表的なものが「鬼ごっこ」でしょう。鬼として追いかけるとき、鬼から逃げるとき。相手の動きを予測して反応したり、相手を騙したり、そんなことを私たちや親世代の方々は子どものころからしてきたはずです。しかも、地面がでこぼこしていたり、雑草が生えている原っぱだったり、田んぼだったりしました。そういった経験そのものが、ライフキネティックと同様の効果を生んでいたわけです。フランスでは、小学校にクライミングウォールを設置し、子どもたちが遊んでいます。が、そこには遊びの中で自然に子どもたちの神経系を高め、体のバランスを整えようという狙いもありそうです。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■ユルゲン・クロップ監督も実践!神経系はある程度大きくなってからも鍛えられる(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)前述したように神経系は子どもや若年層で鍛えるものという考え方がありましたが、ユルゲン・クロップ監督がライフキネティックを導入して成功させました。ブンデスリーガで、成人のプロ選手たちのトレーニングにこのメニューを取り入れたのです。大人でも訓練すれば鍛えられるのです。日本でもライフキネティックのトレーナーが育っているようですし、取り入れているクラブも増えています。そんなことも参考にして、子どもの力を伸ばしてあげてください。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年11月29日感情に任せて怒るのはよくない、暴力暴言など言語道断。という意識は学校やスポーツ、各種習い事の現場でもだいぶ浸透しています。理不尽に怒るのはダメだとわかっているけど、親である自分自身も「怒る」「叱る」の違いを教えてもらったこともないし分からない、でもほめて甘やかすだけでは社会でやっていく力がつくと思えない......。学校やスポーツの場でも甘やかすだけでなく、ダメなことをしたときはきちんと叱ってほしい、という声も。サカイクアンバサダーにご参加いただき、サカイクキャンプやスクールで大勢の子どもの指導にかかわっている、柏瀬翔太コーチに「怒る」と「叱る」、「褒める」について相談してみました。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>少年サッカーのイメージ<<わが子の良いところを見つけられない、という保護者におすすめの方法■もともと「怒る」指導はしないよう気を付けているが......サツマさん(仮名)は、未就学児から高校生までの指導を行うスクールの運営者であり、以前よりサカイクの理念に賛同いただいていたそうです。ゆえに、スクールで理不尽に怒ることはしないそうですが、小学生年代だとどうしても些細なことで言い合いが起こり、そのなかで相手の人格を否定するような場面も多々あるそうです。そんな時にはきちんと叱って理解させているつもりだけれども、子どもたちが「どうして叱られたか」を理解してほしいので、改めてサカイクコーチと話して自信を深めたいという思いでご参加いただきました。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■怒ることは相手の判断や思考を奪うこと「怒る」と「叱る」の違いについて見解をうかがうと、柏瀬コーチはこのように回答しました。「怒るというのは、子ども自身が振り返って判断し考える回数を少なくする行為だと思っています。怒ってしまうと、相手は『これをしなきゃいけない』と考えや判断をかなり狭めてしまうと思っています。叱るというのは、振り返り考え判断することが『怒る』よりも多く発生する行為だと思うので、そこを基準にしています」悪いことをしてしまった、友達に暴言を吐いてしまった。そんな時に「どうして言ってしまったのか」「この後どうしたらいいのか」を自分で考えて導きやすくさせることが「叱る」という行為ではないかと考えている、とご自身の見解を示しました。■「叱る」とともに原因の「振り返り」をすることで未来に目が向けられるスクールやキャンプなど、最初はおとなしくても仲が良くなると子ども同士の言い合いなど諍いが起こることは珍しくありません。子どもたちのトラブルの時は、きちんと叱って諭すこともあるそうですが、叱ると同時に大切なのは原因の振り返りだと柏瀬コーチは言います。例えば、ファウルがあったか無かったかがキッカケで暴言を吐いた子がいたとして、「どうしてそういう事を言いたくなったのか。何が原因でいま怒っているのか」を本人に振り返らせると、「こういうプレーが嫌だったから」などその子の感情が見えてきます。それに対して「じゃあ、さっきはお互いそのプレーで言い合いになったけど、どうしたらもっと良いプレーができただろうね?」と未来に目を向けさせることを意識しているのだそうです。それを聞いてサツマさんは、「僕もしょっちゅう感情的にはなってしまうんですが、そこは『怒り』を出すのではなく、理解させることを意識するようにしています」と、自身のスタンスに自信を深めた様子でした。■自分たちで発信できる時代、いい指導を広めていく少年サッカーのイメージ聞くと、サツマさんの周辺クラブにはまだまだ怒鳴ったり、「今の時代そんな言葉で指導するのはダメでしょう」と言いたくなるような指導者もいるそう。「運営しているスクールにはいろんなチームの子が通っているので、保護者からも相談を受けるし、スクール生のチームの試合を見に行くと、未だにオラオラ系の指導者もいます。第三者からしても『えっ!?』と驚くような罵声も......」と明かしてくれました。それでも、現代はSNSの普及もあり、良いことをしているチームの情報も伝わりやすくなっています。旧態依然の指導者を変えることは難しくても、自分たちの理念を発信して共感してもらうことができる時代です。指導者自身が情報を発信することで、そこに気づいて賛同してくれる同業者や保護者が増えることによって、子どもたちのサッカー環境を良くする活動を続けていく、とご自身の行動に自信を深め、決意を新たにしていました。■いいプレーは具体的に褒め、人として良くない言動はしっかり叱るサカイクキャンプ今冬も開催が決まっているサカイクキャンプでは、いいプレーは具体的にどこが良かったか褒めます。そして、フェアじゃないプレーや人に危害を加えたり傷つけるような言動が見られたらコーチたちがしっかり叱ります。サッカーを楽しみ、技術が向上するだけでなく、親元を離れ、一人で考える経験をたくさん積む3日間の中で、人間としても成長するキャンプです。サッカー歴、現在のレベル関係なく小1~6年生までどの学年も楽しめるプログラム、選手として伸びるきっかけとなるキャンプとなっていますので、お子さんを参加させてみませんか。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年11月25日感情に任せて怒るのはよくない、という意識は学校やスポーツ、各種習い事の現場でもだいぶ浸透しています。理不尽に怒るのはダメだとわかっているけど、親である自分自身も「怒る」「叱る」の違いを教えてもらったこともないし分からない、でもほめて甘やかすだけでは社会でやっていく力がつくと思えない......。という不安の声もありますよね、サカイクアンバサダーにご参加いただき、サカイクキャンプやスクールで大勢の子どもの指導にかかわっている、柏瀬翔太コーチに「怒る」と「叱る」、「褒める」について相談してみました。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>少年サッカーのイメージ<<サッカー経験もないのに監督目線で子どものサッカーに口出しするのをやめさせる方法■「サッカーでつらい思いをする子が出てほしくない」と参加サイトウさん(仮名)は、中1のお子さんを持つお母さんで「夫がサッカー経験者で、今も少年団のコーチをしています」とのこと。サッカー経験者の父親というと、子どものサッカー上達に熱心なタイプと、チームに任せているからと口を出さないタイプがいらっしゃいますが、サイトウさんのご家庭では、父子で「今のプレーの意図は?」など対話をしながらコミュニケーションを図るタイプだったので、ご自身のお子さんに関して「怒る」「叱る」の悩みは抱えていないとのこと。わが子に関しては悩んでいないけれど、チームの中に親が熱心すぎて子どもにあれこれ言ってしまい、練習場に行けなくなるほど精神的に追い込まれた子がいて、身近にいる大人として何かできることはないか、と参加を決めたと教えてくれました。幸いその子は現在回復してサッカーを再開しているそうですが、親の接し方によって大好きなサッカーができなくなる、そんな悲しい子がでてほしくないという切実な思いを抱えての参加でした。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■子どもは大人の思う通りには動かないサイトウさんの悩みに対して柏瀬コーチは、チームの子のために参加いただいた姿勢を称賛し、自身の指導スタンスを教えてくれました。「子どもだって一人の人間であり、自分の思うように動いてくれるものではありません。スクールやキャンプでは、一人ひとり自分と違う考えがあって当然だと心にとめて指導に当たっています」そして、以前スクールで対応したエピソードを教えてくれました。スクール活動中、ピッチサイドから子どもにダメ出しをするお父さんがいたそうで、練習中ずっと「もっと下がらなきゃダメだろう」「もっと上がらないと」「もっと守備を~」など、大声で叫び、子どももお父さんの声を聞き、緊張した面持ちでプレーしていたそうです。その際コーチがとった対応は、保護者に「止めてください」と注意するのではなく、挨拶し少し会話をしたあと「お子さんの良いところってどこですか?」と語りかけること。相手は唐突な質問に戸惑ったそうですが、「家では下の子に優しいんです」「食後に食器の片付けもしてくれたり、いい子なんですよ」など、うれしそうな表情で我が子の良いところがどんどん口をついて出てきたそうです。そのタイミングで「ではプレー中もたくさん良いところがあるので同じように伝えてあげてください」と冗談っぽくお伝えしたら、相手の方にも意図がやんわりと伝わったのか「言い方がよくなかったのかな」と反省されたようで、その日以降ピッチサイドからダメ出しをすることはなくなったのだそう。直接的な言葉で伝えると、相手が機嫌を損ねたり態度を硬化させることもあります。一方、我が子のいいところをコーチも認めてくれると親も嬉しくなりますよね。保護者と指導者の関係性をよくすることも、子どもたちを守ることにつながるとコーチは教えてくれました。これを聞いて、サイトウさんも「なるほど。そういったアプローチがあるんですね」と納得の表情を見せていました。■どうしても我が子の良いところをを見つけられない人は......親御さんたち自身、褒められて育った人が少ない年代ということもあり、人を褒めること自体に苦手意識を持っていたり、自分の子を褒めるのが恥ずかしいとか、くすぐったい感覚を持つ人もいますよね。わが子の欠点や良くないところばかり目についてしまう、どこを褒めたら良いの?と悩んでしまう方も多いもの。そんな方へのアドバイスとして柏瀬コーチは、「他の子を褒めてみる」というアプローチがあると言います。これはもちろん、他の子と自分の子どもを比較するということではありません。自分の子どもばかりに目を向けるのではなくほかの子の良いところに目を向けてみましょう,、という意味です。さらに自分の子には言えなかった「ナイスプレー」などのポジティブな言葉を他の子にかけてみてほしいとのこと。自分の子どもの良いところを見つけられない人でも他の子の良いプレー・行動は比較的見つけやすく伝えやすいですよね。まずは試合や練習などで他の子どもたちの良いところをたくさんみつけ伝える。そういった習慣がついてくることで我が子のプレーを見た時にも「お、今のプレー良いじゃない」「いいディフェンス」など、自然とポジティブな見方になるのだと教えてくれました。そうしていくと自分の子どもに対して褒めるという行動・表現がしやすくなっていくそうです。わが子じゃなく他の子を褒める、つまりは人の良いところを見つけ伝え、表現していくことに慣れていくことが自分の子どもを見る目を変え前向きな言葉かけのきっかけになるのだそうです。初めて耳にしたアプローチ方法に、サイトウさん始め参加者たちは、目から鱗が落ちたような表情で聞き入っていました。■「褒め方」にもポイントがある何でもかんでも褒めるのはダメ少年サッカーのイメージいいプレーは褒める、人に危害を加えたりよくない行動は叱って考えさせる。スクールやキャンプでずっと徹底していることですが、褒めることにも注意点があると柏瀬コーチは言います。それは、何でもかんでも褒めすぎないこと。褒めるときは具体的に言うこと。指導者を始めたばかりのころ、すべてのプレーを褒めていた柏瀬コーチ。ボールコントロール、パス、シュート。一つひとつに「ナイスプレー」と言っていたら、ある時選手に「今、何がナイスプレーだったの⁉」と怒りながら言われたのだそう。全部に「ナイス」と言われても、子どもにとってはどのプレー、どの判断が「ナイス」だったのか伝わっていなかったのです。そこでハッと気づいた経験から、褒めるときも叱るときも具体的に言葉にするようになったのだそうです。具体的にどのプレーがよかったか言ってもらえると、自信もつくもの。この冬も、そんなコーチたちが指導に当たるサカイクキャンプを開催します。サカイクキャンプでお子さんに自信をつけさせてあげませんか。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年11月22日