2022年7月にコロナウイルスの影響で延期となっていた高羽彩主宰タカハ劇団の公演『ヒトラーを画家にする話』が、9月28日(木) 東京芸術劇場シアターイーストにて開幕した。今作は、1908年のドイツへタイムスリップした現代の日本の美大生が、芸術家を目指す若かりし頃のアドルフ・ヒトラーと出会うストーリー。ヒトラーを画家にして過去を変えるべきか否か葛藤する学生の姿を描き、世間における芸術の価値を問う。才能の有無の残酷さを抉り出す痛快な社会派劇でありながら、若者たちが時間と国境を越えるひと夏の青春を体当たりで描く群像劇だ。美大生を演じるのは、舞台『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』(作・演出:蓬莱竜太)での好演が記憶に新しい名村辰、映画『法廷遊戯』(監督:深川栄洋)や数々のドラマ、CMに出演中の芳村宗治郎、ミュージカル『ダーウィン・ヤング』(潤色・演出:末満健一)で主演を務めた渡邉蒼、アドルフ・ヒトラーにはNHK連続テレビ小説『らんまん』に出演した犬飼直紀、実在したヒトラーの親友クビツェクに『王様戦隊キングオージャー』や話題のドラマに多数出演中の川野快晴、ヒトラーとともに美術アカデミー受験に挑むユダヤ人の青年に、舞台『ラビット・ホール』(演出:藤田俊太郎)出演の山﨑光、彼らが暮らす下宿の娘を、TikTokで人気を博し、女優・インフルエンサーとして幅広く活動する重松文が演じる。さらに、タイムスリップのきっかけを作る大学教授に異儀田夏葉、売れっ子モダンアーティストに砂田桃子、重松演じるシュテファニーの叔父に結城洋平、下宿の主人に柿丸美智恵、名村演じる僚太の父に金子清文、ウィーン美術アカデミーの教授に有馬自由と昨年出演予定だった実力派俳優たちが全員続投した。2021年『美談殺人』より取り組んでいる視覚・聴覚に対応する鑑賞サポートは今回も継続。舞台手話通訳のほか、字幕タブレット貸し出し、事前舞台説明会などを実施。また、25歳以下、高校生以下向けの割引チケットを販売し若年層の観劇の機会を後押ししている。■高羽彩 コメント一年越しの初日が明けました。感慨深いかといえば、今はその余裕もなく、とにかく千穐楽まで無事に駆け抜けられることを祈るばかりです。この一年で大いに成長した俳優たちのおかげで、昨年とは比べ物にならないくらいブラッシュアップすることができました。一年分の思いを客席で受け取っていただけると嬉しいです。<公演情報>タカハ劇団 『ヒトラーを画家にする話』脚本・演出:高羽彩出演:名村辰、芳村宗治郎、渡邉蒼、犬飼直紀、川野快晴、山﨑光、重松文、異儀田夏葉、砂田桃子、結城洋平、柿丸美智恵、金子清文、有馬自由日程:9月28日(木)~10月1日(日)会場:東京芸術劇場 シアターイースト公式HP:
2023年09月29日コロナ禍で2022年7月からの公演が延期になっていたタカハ劇団『ヒトラーを画家にする話』が、ついに9月28日(木)から東京芸術劇場シアターイーストにて上演される。キャストは、2022年の上演決定時に発表された名村辰、芳村宗治郎、渡邉蒼、犬飼直紀、川野快晴、山﨑光、重松文、異儀田夏葉、砂田桃子、結城洋平、柿丸美智恵、金子清文、有馬自由が全員続投となった。舞台『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』(作・演出:蓬莱竜太)での好演が記憶に新しい名村、映画『法廷遊戯』(監督:深川栄洋)や数々のドラマ・CMに出演中の芳村宗治郎、ミュージカル『ダーウィン・ヤング』(潤色・演出:末満健一)で主演を務めた渡邉蒼、NHK 連続テレビ小説『らんまん』に出演中の犬飼直紀、「王様戦隊キングオージャー」や話題のドラマに多数出演中の川野快晴、舞台『ラビット・ホール』(演出:藤田俊太郎)出演の山﨑光、TikTokで人気を博し女優・インフルエンサーとして幅広く活動する重松文をはじめ、注目の若手実力派俳優が延期期間を経てどのように作品を深めてきたのか注目せずにはいられない。タカハ劇団『ヒトラーを画家にする話』チラシ(裏面)タカハ劇団は、高羽彩が脚本・演出・主宰をつとめるプロデュースユニット。日常に普遍的に存在しているちいさな絶望や、どんな壮絶な状況でも変わることのない人間の些細なあり方、生き方を笑い飛ばしながらすくい取る、リリカルでクールな作風が特徴だ。2005年、早稲田大学にて自ら旗揚げし、大学内外より高い評価を得て以降、全ての主宰公演で高羽が脚本・演出をつとめている。舞台脚本以外にもアニメ・ドラマ・小説・ゲームなど執筆の場は多岐にわたり、タカハ劇団第12回公演『嘘より、甘い』(2016年)では主演の佐藤誓が紀伊國屋演劇賞を受賞するなど、話題を集めている。高羽彩今作は、1908年のドイツへタイムスリップした現代の日本の美大生が、芸術家を目指す若かりし頃のアドルフ・ヒトラーと出会うストーリー。ヒトラーを画家にして過去を変えるべきか否か葛藤する学生の姿を描き、世間における芸術の価値や、才能の有無の残酷さを抉り出す痛快な社会派劇となる。【あらすじ】進路に悩む美大生、僚太、朝利、板垣。三人はひょんなことから、1908年のウィーンにタイムスリップしてしまう。そこで彼らが出会ったのは、ウィーン美術アカデミーの受験を控えた青年、アドルフ・ヒトラー。彼らは未来を変えるため、ヒトラーの受験をサポートすることに。けれどヒトラーにはまったく絵の才能がなくて――果たして三人は、ヒトラーを独裁者でなく画家にすることができるのか?!人類の未来をかけた絵画レッスンが始まる。【高羽彩コメント】2022年の7月、『ヒトラーを画家にする話』は関係者にコロナ陽性者が確認されたことを理由に開幕直前に全公演中止となりました。整然と立つ空っぽの舞台美術。人類滅亡後の遺跡を見るような、不思議な美しさを感じたのを覚えています。あれから一年。世界は変わらず激流の只中にあります。主人公たちがタイムスリップした時代はまさに第一次大戦前夜ともいえる時期なのですが、劇中の空気と現在に不気味な符合を感じることも。だからこそ、歴史を変えようと奮闘する主人公たちの物語に共感していただけるのではないでしょうか。出演者たちにとっては実りある一年だったようで、表現者として大いに成長した姿に毎日目を見張っております。一年前にはできなかったことを今でこそ。贅沢な熟成期間を経た作品を、是非劇場でお楽しみください。タカハ劇団『ヒトラーを画家にする話』は2023年9月28日(木)から10月1日(日)まで東京芸術劇場シアターイーストにて上演。なお、2021年『美談殺人』より取り組んでいる視覚・聴覚に対応する鑑賞サポートとして舞台上手話通訳のほか字幕タブレットの貸し出し・事前舞台説明会などは今回も継続して予定。また、25歳以下・高校生以下向けの割引チケットを販売し、若年層の観劇の機会を後押しする。<公演情報>タカハ劇団『ヒトラーを画家にする話』脚本・演出:高羽彩出演:名村辰芳村宗治郎渡邉蒼犬飼直紀川野快晴山﨑光重松文異儀田夏葉砂田桃子結城洋平柿丸美智恵金子清文有馬自由2023年9月28日(木)〜10月1日(日)会場:東京芸術劇場シアターイーストチケット情報公式サイト
2023年09月21日映画『ヒトラーのための虐殺会議』が、2023年1月20日(金)より公開される。ユダヤ人絶滅政策を決定した“史上最悪”の会議映画『ヒトラーのための虐殺会議』は、絶滅収容所へのユダヤ人強制送還の始まりとなった“ヴァンゼー会議”の全貌に迫る映画。実際にヴァンゼー会議に出席していたアドルフ・アイヒマンによって記録された会議の議事録に基づいて作られた作品だ。ヴァンゼー会議は、1942年1月20日正午、ドイツ・ベルリンのヴァンゼー湖畔にある大邸宅にて、ナチス親衛隊と各事務次官が国家保安本部長官のラインハルト・ハイドリヒに招かれ、高官15名と秘書1名によって開催された。議題は「ユダヤ人問題の最終的解決」について。「最終的解決」はヨーロッパにおける1,100万人ものユダヤ人を計画的に駆除する、つまり抹殺することを意味するコード名。移送、強制収容と労働、計画的殺害など様々な方策を誰一人として異論を唱えることなく議決された。ユダヤ人絶滅政策を決定した、史上最悪の会議にかかった時間は、たったの90分だった……。劇中に映し出される会議では、書類を指でなぞって確認するまじめな者もいれば、発言者をじっと見つめる者も。まるでビジネス会議のような風景の中、国家元帥であるゲーリングの言葉を朗々と引用して会議の目的や力関係を明確にするラインハルト・ハイドリヒの、そこはかとない怖さに独特の緊張感が漂う。80年の時を経て明かされる、驚愕の真実に注目だ。フィリップ・ホフマイヤーらが出演国家保安本部長官であった、ラインハルト・ハイドリヒを演じるのは、フィリップ・ホフマイヤー。その他、ヨハネス・アルマイヤー、マキシミリアン・ブリュックナーらが出演する。監督はマッティ・ゲショネック監督は、ドイツ・ポツダム出身で、俳優エルヴィン・ゲショネックの息子である、マッティ・ゲショネックが務める。マッティ・ゲショネックは、日本での『ヒトラーのための虐殺会議』公開に向け、以下のようにコメントを寄せた。「今この映画が日本で上映されることは非常に重要なことだと思います。ご存知の通り、1940年にドイツと日本、イタリアの間で日独伊三国同盟も結ばれています。この映画では、産業的な大量殺戮の経緯を冷静かつ客観的に描いています。これがジェノサイドの事実なのです!かつてあった現在であり、少し前に起きた出来事であり、それがかつての今日だったことを私たちは知るべきなのです!」【詳細】映画『ヒトラーのための虐殺会議』原題:Die Wannseekonferenz英題:THE CONFERENCE公開日:2023年1月20日(金) 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、恵比寿ガーデンシネマ ほか監督:マッティ・ゲショネック出演:フィリップ・ホフマイヤー、ヨハネス・アルマイヤー、マキシミリアン・ブリュックナー配給:クロックワークス/G
2023年01月08日高羽彩が脚本・演出・主宰を務めるタカハ劇団による舞台『ヒトラーを画家にする話』が2022年7月20日(水)から東京芸術劇場のシアターイーストで開幕する。進路に悩む美大生、僚太、朝利、板垣の3人がひょんなことから1908年のウィーンにタイムスリップ。そこで彼らが出会ったのは、ウィーン美術アカデミーの受験を控えた青年。アドルフ・ヒトラー。彼らは未来を変えるため、ヒトラーの受験をサポートすることに。しかし、ヒトラーにはまったく絵の才能がない。3人はヒトラーを画家にすることはできるのか?人類の未来をかけた絵画レッスンが始まるーー。僚太役を演じる名村辰は「日本の美大生が1908年のウィーンにタイムスリップして、ヒトラーを画家にする......現実では絶対にできないことですが、とんでもなく面白い設定だなと思いました」と作品の第一印象を語る。一方、アドルフ・ヒトラー役の犬飼直紀は「立場が違う人物がたくさん出てくるのですが、一人の人物をとっても、同時に3つぐらいのことを心配したり考えたりしているんです。高羽さんはこの話を一人で考えて作られたのかと驚きます。難しそうですが、やりがいのある作品だなと思いました」。演じる役について、名村は「画家になりたい僚太は、将来に不安を抱えている役。僕も俳優をやっていて、自分の可能性を信じて、自分に期待をしている反面、3年後、5年後はどうなっているか分からないし、漠然とした不安もある。揺れている人物像が自分自身ともリンクするなと思っています」と話す。犬飼は「ヒトラーは自分が思っていることを正直に言わないで詭弁でカバーしたりする。そこで怒らないだろうというところで怒ったり、過剰に照れを隠そうとしたり通常の人間の感情の動かし方では太刀打ちできない部分に難しさを感じています」。役づくりの過程で、ヒトラーを題材にした映画や本などを下敷きにしている部分もあるが「この脚本から浮かび上がってくるヒトラー像を演じなくてはいけないと思っています。ヒトラーを擁護するつもりはありませんが、ひとりの人間としてのリアルな心理描写ができたら」とも。東京公演は24日まで。その他の出演者は芳村宗治郎、渡邉蒼、川野快晴、山崎光、重松文、異儀田夏葉、砂田桃子、結城洋平、柿丸美智恵、金子清文、有馬自由。取材・文:五月女菜穂
2022年07月15日世界的絵本作家ジュディス・カーが少女時代の体験をもとに書いた自伝的小説を映画化した『ヒトラーに盗られたうさぎ』より、思わず胸が締め付けられてしまう本編映像がシネマカフェに到着した。ナチス迫害から逃れるため、家族と共に様々な国へ渡る少女アンナ。到着した映像は、ドイツからスイスへ逃亡し、初めてできた友人・フレネリとのシーン。戦争の状況が刻々と変化する中、アンナら家族はまた次の国へ渡ることとなってしまい、「親友がいっちゃうのは寂しいよ」と言うフレネリに、「亡命者に別れはつきもの」と気丈に振る舞うアンナ。しかし、どうしても寂しさを隠しきれない。そんな少し暗くなってしまった空気を変えるように、フレネリは以前、アンナが教えてくれた側転を披露する。そして、小道や大きな石と、日常を支えてくれた風景やものたちひとつひとつに丁寧に別れの挨拶をする途中、彼女をずっとからかっていた少年とも別れを交わすのだ。そんな大人の都合で振り回される子どもたちだが、状況を受け入れながら、痛みや優しさを飲み込み、徐々に成長していく姿が本作では描かれていく。『ヒトラーに盗られたうさぎ』は11月27日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ヒトラーに盗られたうさぎ 2020年11月よりシネスイッチ銀座ほか全国にて公開©2019SOMMERHAUS FLIMPRODAKTION GMBH/LA SIALA ENTERTAINMENT GMBH / NEXTFILM FILMPRODAKTION GMBH&CO.KG/WARNER BROS.ENTERTAINMENT GMBH
2020年11月21日世界的絵本作家ジュディス・カーの少女時代の体験を基にした自伝的小説を、『名もなきアフリカの地で』のカロリーヌ・リンク監督が映画化した『ヒトラーに盗られたうさぎ』。この度、本作の公開日が11月27日(金)に決定。シーン写真も到着した。ナチス迫害を逃れるため、ドイツからスイス、フランス、そしてイギリスへ――9歳の少女アンナが、貧困や差別などの困難を乗り越えながら、家族との絆を深めていく本作。到着した写真では、言葉も友達もゼロからスタートするという辛い生活の中、出会った当初は言葉が理解できなかった友人と仲良くなってふざけて遊ぶようになったり、ドイツで暮らしている大好きなお手伝いさんと電話で久々に話せることになり、家族で電話口に集まったり。また、落ち着いたと思ったらすぐまた別の国へ船で渡ることになったアンナがしっかり前を見据える様子、ドイツから逃亡する前日に“一つだけ”おもちゃを持って行けることになったアンナが、大好きなピンクのうさぎを手にして悩むシーンなど、過酷な状況でも前を向き、明るく生活を送る瞬間が切り取られている。『ヒトラーに盗られたうさぎ』は11月27日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ヒトラーに盗られたうさぎ 2020年11月よりシネスイッチ銀座ほか全国にて公開©2019SOMMERHAUS FLIMPRODAKTION GMBH/LA SIALA ENTERTAINMENT GMBH / NEXTFILM FILMPRODAKTION GMBH&CO.KG/WARNER BROS.ENTERTAINMENT GMBH
2020年10月21日世界的絵本作家ジュディス・カーの自伝的小説「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」を映画化した『ヒトラーに盗られたうさぎ』より、ポスタービジュアルとシーン写真が到着した。1933年、ヒトラーの台頭によってナチスが政権を握る直前にその迫害から逃れるため、家族と共に故郷ドイツを出国。スイス、フランスを経て1936年にイギリスへと渡ったジュディス自身の少女時代の過酷な逃亡生活の体験をもとに、“9歳の少女アンナ”が貧困や差別などの困難を乗り越えながら、家族との絆を深めていく様子を描く。主役のアンナ役は、1000人ものスカウトから見出された新人リーヴァ・クリマロフスキ。どんなに過酷な状況に出会ってもまっすぐに前を向く少女を瑞々しい感性で演じた。今回到着したシーン写真では、どんなときも“うさぎのぬいぐるみ”を手放さなかったアンナの様子や、逃亡先の国で新しいクラスメイトと一緒に授業を受ける様子、家族全員で列車に乗り込むショットなど、第二次大戦前、世界に翻弄されながらもたくましく生き抜く少女の姿が切り取られている。ほかにも、アンナの父は『帰ってきたヒトラー』のオリヴァー・マスッチ、母は『ブレードランナー 2049』のカーラ・ジュリ。アンナとその家族を常に気に掛ける心優しいユリウスおじさんは『ヒトラー ~最期の12日間~』のユストゥス・フォン・ドホナーニ。そして、アンナの兄マックスは『はじめてのおもてなし』に出演したマリヌス・ホーマンが演じている。なお、監督は『名もなきアフリカの地で』で第75回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したカロリーヌ・リンクが務めた。併せて到着したポスタービジュアルは、逃亡生活を始める直前、“持ち物は一つだけ”と母に言われたアンナが、ピンクのうさぎのぬいぐるみを抱きしめて眠りにつく写真が使用されている。『ヒトラーに盗られたうさぎ』は11月、シネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:ヒトラーに盗られたうさぎ 2020年11月よりシネスイッチ銀座ほか全国にて公開©2019SOMMERHAUS FLIMPRODAKTION GMBH/LA SIALA ENTERTAINMENT GMBH / NEXTFILM FILMPRODAKTION GMBH&CO.KG/WARNER BROS.ENTERTAINMENT GMBH
2020年10月06日まもなく生まれる子どもの名前を、あの独裁者と同じ“アドルフ”にすると言ったことから始まる家族のドタバタ劇を描いた映画『お名前はアドルフ?』。この度、予告編とポスタービジュアルが解禁された。本作の舞台は、ライン川のほとりに佇む優雅な一軒家。この度解禁された予告編では、ディナーに揃った5人が繰り広げる騒動がコミカルに、そしてテンポよく描かれていく。ベルガー夫妻が主催したディナーで、弟トーマスが赤ちゃんのエコー写真を初披露。名前当てゲームが始まり、「Aで始まる」というヒントが出される。しかし、トーマスから「アドルフだ」と衝撃の告白をされたことから事態は一変!「あの悪名高きアドルフ・ヒトラー!?」さらに妊娠中の恋人が登場すると「その名前には深い意味があるのよ」とトーマスに加勢し、議論はさらにヒートアップ。そして舌戦は違う話題へと飛び火していき…。観ながらハラハラドキドキする予告編が完成した。また、ポスタービジュアルでは、ドイツを代表する役者陣たち5人全員が怪訝な顔をしている1枚写真があり、「今夜は、“真実”を召し上がれ」というコピーが躍る。ディナーの席で、これから繰り広げられる様々なバトルを想像をめぐらせずにはいられないビジュアルとなっている。『お名前はアドルフ?』は6月6日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:お名前はアドルフ? 2020年6月よりシネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開© 2018 Constantin Film Produktion GmbH
2020年04月02日『シン・レッド・ライン』『ツリー・オブ・ライフ』などの巨匠テレンス・マリック監督最新作となるサーチライト・ピクチャーズ作品『名もなき生涯』。この度、ヒトラーへの忠誠を拒絶し、自らの信念を貫いた主人公フランツの妻役を務めたオーストリア出身の女優ヴァレリー・パフナーのロングインタビュー映像が、シネマカフェに到着した。ヴァレリー・パフナーといえば、『エゴン・シーレ死と乙女』(’17)ではプレイボーイで非情、野心的な画家エゴン・シーレの美のミューズを演じたことで知られ、名作「死と乙女」のモデルとなった女性を体当たりで熱演し、オーストリア映画賞で最優秀女優賞を受賞した。そんなヴァレリーは本作『名もなき生涯』で、第二次世界大戦時のオーストリアに実在した、ヒトラーへの忠誠を拒絶し自らの信念に殉じた農夫フランツ(アウグスト・ディール)の妻、ファニことフランチスカ・シュワニンガーを演じた。山と谷に囲まれた美しい村で農夫として働くフランツのもとにも、やがて召集令状が届くが、彼はヒトラーへの忠誠を誓う署名を頑なに拒み、直ちに収監されてしまうのだ。ヴァレリーは役に惹かれた経緯について、「脚本よりも前に“手紙”が送られてきて、読んでみたら最初の3分の1で涙が出てきました。それから最後まで泣きどおしでした」と語る。“手紙”とは、フランツが収監されている時にファニと交わした実際の書簡のことで、英訳版として出版されているもの。「彼らは最後まで本当に通じ合っていたし、互いに力を与え合っていたんです。ただの農民なのに、あんなにも強い。知識人でもなんでもなくても、心に強い気持ちを持っている。とても感動的な話だと思いました」と明かす。実際のフランチスカが94歳くらいの時のインタビューを見たことがあるそうで、「近所の人が2人のことを語るシーンもあって『本当に愛し合っていた』と言っていました。『愛し合っているのが見て分かる』と。当時の農民にとって、恋愛結婚は珍しいはずです。でも2人はしたんです」。そんな彼女の役作りについて、独特な手法で撮影をすることで知られる監督テレンス・マリックに対し、「テレンスは常に本物の瞬間を追い求めています。だからこそ、出演する女優としては何かをしようとしては絶対にいけない。その瞬間を生きなきゃいけない。それがとても難しい時もあります。ただそこにいて吐き出すしかないのです」とふり返る。時に1テイク28分もの長回しで、即興や想像力が尽きるまで演じることを求められたというが、その撮影法を通じて「キャラクターには幾つもの層があって、1つに絞れるものじゃないことを学びました」とも語った。神の存在すら身近に感じさせる、あまりにも美しい光と風景のなか、愛に満ちた胸を震わす書簡を紐解きながら、人間の真実と尊厳に迫る本作。ひたむきな瞳でナチスに立ち向かった男の妻を、「監督を信頼しているから、安心して手を離せます」と監督に全面的な信頼を寄せながら、スクリーンの中で生きたヴァレリーの姿に注目してみてほしい。『名もなき生涯』は2月21日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:名もなき生涯 2020年2月21日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開©2019 Twentieth Century Fox
2020年02月08日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。10連休はいかがお過ごしですか?面白いアートや映画に触れて五感をリフレッシュするのもいいですね!【シネマの時間】第64回は、“ヒトラーの秘宝、闇の美術史” 名画ミステリー映画『ヒトラーVS.ピカソ奪われた名画のゆくえ』をお送りします。アドルフ・ヒトラー(1889年4月20日〜1945年4月30日)が若い頃、画家を志していた逸話はよく知られていますが(ウィーン美術アカデミーを2度受験するが不合格)、政権掌握後も美術に関心の強かったヒトラーは、右腕的存在のゲーリング国家元帥や息のかかった画商を通じて、ユダヤ人富裕層が所有する美術品の略奪に躍起になります。なぜ、ナチス・ドイツは、いやヒトラーは、これほどまでに美術品略奪に執着したのでしょうか?ナチス・ドイツがヨーロッパ各地で略奪した芸術品の総数は約60万点にのぼり、戦後70年以上経った今でも10万点が行方不明と言われます。彼らは、ピカソ、ゴッホ、フェルメール、マティス、ルノワール、ブリューゲル、モネらの傑作に「退廃芸術」の烙印を押し、一方で純粋なアーリア人による写実的で古典主義な作品を擁護。同時に故郷近くのオーストリア・リンツに“総統美術館”を建設する野望を抱きました。本作は、欧米で活躍する歴史家、美術研究家をはじめ、略奪された美術品の相続人や奪還運動に携わる関係者の証言を元に、ヒトラーの思想の背景と略奪された美術品が辿った闇の美術史に迫ります。ちなみにフランスの皇帝ナポレオン(1769年8月15日 〜1821年5月5日)もヨーロッパを制覇する過程で各地の城や邸宅から膨大な数の美術品を略奪したのだとか。それらには、資産価値があり政治的にも権威を高める影響力の大きさを知っていたからでした。「壁を飾るために絵を描くのではない。絵は敵に対する盾にも矛にもなる、戦うための手段だ」―パブロ・ピカソナチスに弾圧され奪われた美術品と、それに関わる人々の数奇な運命に迫る名画ミステリー!ぜひこの機会にお楽しみいただければ幸いです。■映画『ヒトラーVS.ピカソ奪われた名画のゆくえ』あらすじーナチスに弾圧され奪われた美術品とそれに関わる人々の運命を追った名画ミステリー!ナチス・ドイツはふたつの手段で芸術を支配しました。ひとつはピカソ、ゴッホ、ゴーギャン、シャガール、クレーらの傑作に「退廃芸術」の烙印を押しそれらを貶め、一方で、純粋なアーリア人による写実的で古典主義的な作品を擁護。同時に、青年時代に画家志望だったヒトラーは、故郷近くのリンツに“総統美術館”を建設する野望を抱き、右腕的存在のゲーリング国家元帥や息のかかった画商を通じてユダヤ人富裕層が所有する古典美術の名品を次々と没収。オランダ、フランスなど周辺国を占領するとその勢いと大胆さは加速し、かのルーブル美術館やパリ在住のユダヤ人美術収集家から問答無用で憧れの名品や価値ある退廃美術の略奪を繰り返しました。権力は芸術をも支配できると妄信するナチスが行った歴史上最悪の美術品強奪と破壊。今なお続く奪還をめぐる戦いを、歴史家や美術研究家、関係者らの証言をもとに描き、ヒトラーの思想の背景と略奪品が辿った闇の美術史を浮かび上がらせていきます。ヒトラーの秘宝たちが語る知られざる真実とは……?■『グレート・ビューティー追憶のローマ』などで知られるイタリアの名優トニ・セルビッロが案内人!ナチス・ドイツによる美術史上最悪の美術品略奪やそれらのヒトラーの秘宝が辿った知られざる真実を案内するのは、『グレート・ビューティー/追憶のローマ』(14)や『修道士は沈黙する』(18)など、イタリア映画界が誇る名優トニ・セルヴィッロ。監督は、ヴェネチア・ビエンナーレやイタリア国立21世紀美術館などのドキュメンタリーを手掛けた新鋭クラウディオ・ポリが務めています。ベストセラー「怖い絵」シリーズの著者・中野京子が、日本語字幕監修を担当。作中では、約100点にも及ぶ退廃芸術やヒトラーが偏愛した名品が紹介されます。■映画『ヒトラーVS.ピカソ奪われた名画のゆくえ』作品紹介映画『ヒトラーVS.ピカソ奪われた名画のゆくえ』2019年4月19日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー!公式サイト:hitlervspicasso-movie.com原題Hitler contro Picasso e gli altri監督:クラウディオ・ポリ製作総指揮:ベロニカ・ボッタネッリ原案脚本:ディディ・ニョッキ編集:クラウディオ・ポリ音楽:レモ・アンツォビーノ字幕監修:中野京子(作家/『怖い絵シリーズ』)日本語字幕:吉川美奈子製作年:2018年製作国:イタリア・フランス・ドイツ合作配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム上映時間:97分映倫区分:G©︎2018 - 3D Produzioni and Nexo Digital - All rights reserved案内人:トニ・セルヴィッロ(『グレート・ビューティー/追憶のローマ』『修道士は沈黙する』)【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2019年04月29日ナチスに弾圧され奪われた美術品と、それに関わる人々の運命に迫る名画ミステリー『ヒトラーVS.ピカソ奪われた名画のゆくえ』から、ゴッホの名画がナチス・ドイツによって没収され、売り飛ばされていた衝撃の事実を紹介する本編映像が到着した。ピカソ、ゴッホ、フェルメール、マティス、ムンク、モネ…いまもなお多くの名画たちが行方不明――。1933年から45年にかけて、ナチス・ドイツがヨーロッパ各地で略奪した芸術品の総数は約60万点にのぼり、戦後70年以上経った現在でもなんと10万点が行方不明と言われる。彼らはピカソ、ゴッホ、ゴーギャン、シャガール、クレーらの傑作に“退廃芸術”の烙印を押し、それらを貶め、一方で純粋なアーリア人による写実的で古典主義的な作品を擁護。同時に、ヒトラーは故郷リンツに“総統美術館”設立の野望を抱き、右腕的存在のゲーリング国家元帥と張り合うかのうように、ユダヤ人富裕層やルーブル美術館からも問答無用で美術品の略奪を繰り返したという。フィンセント・ファン・ゴッホの誕生日である3月30日、今回解禁された本編映像では、晩年ゴッホが診察を受けていたパリ・近郊に住む医師ガシェがモデルで、ゴッホが死の1か月余り前に描いたと言われている彼の傑作「医師ガシェの肖像」(1890)が、ナチス・ドイツから堕落とみなされ、ゲーリングの命でフランクフルトの美術館から没収されていた事実を紹介。また、ゴッホの自画像「Self-Portrait Dedicated to Paul Gauguin」もスイスのオークションにかけられていたと説明している。権力は芸術をも支配できると妄信するナチスが行った歴史上最悪の美術品強奪によって、不遇な運命を辿っていた名画たち。本作を観れば、今後、きっと美術鑑賞でも見方が変わってくることだろう。『ヒトラーVS.ピカソ奪われた名画のゆくえ』は4月19日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2019年03月30日©YUMIMOROTOこんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。ファッション店や花屋の店頭では、春の装いや花々が並び始め、春めいてきましたね。読者の皆さまの中には、会社やさまざまな場面でリーダーとして活躍されている方や人生の転機を迎え輝く未来に向けて気持ちを新たにされている方も多いと思います。今回【シネマの時間】にておすすめする映画は、「世界のCEOが選ぶ、最も尊敬するリーダー」(2013年PwCJAPAN調べ)に、スティーブ・ジョブズやガンジーを抑えて選ばれ、今なお世界中の人々に影響を与え続ける伝説の政治家ウィンストン・チャーチルの真実の物語『ウィンストン・チャーチルヒトラーから世界を救った男』です。1940年、第二次世界大戦初期。ナチス・ドイツの勢力が拡大し、フランスは陥落間近、イギリスにも侵略の脅威が迫っていました。連合軍がダンケルクの海岸で窮地に追い込まれるなか、ヨーロッパの運命は、新たに就任したばかりの英国首相ウィンストン・チャーチルの手に委ねらます。ヒトラーに屈するのか、闘うのか?最大の国難に直面したその時、いかにして判断し人びとに勇気と希望を与えたのか?政敵に追い詰められながら究極の選択を迫られるのですが、民衆の声なき声に耳を澄ませ首相としての葛藤と苦悩を抱えながら言葉で人々を奮い立たせたウィンストン・チャーチル。のちにノーベル文学賞を受賞した”言葉の魔術師”ウィンストン・チャーチルが、約4分間にも渡る演説を披露するラストシーンは圧巻で、名優ゲイリー・オールドマンが彼になりきりその魅力を余すところなく演じており話題です。見事、第90回アカデミー賞主演男優賞受賞!第75回ゴールデン・グローブ賞主演男優賞(ゲイリー・オールドマン)受賞!「英国一型破りな男が、歴史を変えた」実話を基にチャーチルの首相就任からダンケルクの戦いまでの知られざる27日間を描く、感動の歴史エンターテインメントをどうぞお楽しみください!■映画『ウィンストン・チャーチルヒトラーから世界を救った男』 あらすじーー英元首相ウィンストン・チャーチルの歴史的決断描く伝記映画!1940年5月、第二次世界大戦初期。ヒトラー率いるナチス・ドイツの勢力が拡大し、北欧諸国を制圧、フランスは陥落間近となり、イギリスにも侵略の脅威が迫っていました。内閣不信任決議が出されたチェンバレン首相の後任として、連立政府を組閣できる強いリーダーを求めて外相のハリファックスが最適任者だという声があがるが、本人はこれを固辞。そこで、国民からの人気は高いが、たび重なる失策から政党内の “嫌われ者”であったウィンストン・チャーチルに白羽の矢が立つことになったのです。朝から酒をたしなむ(朝食にスコッチ、昼食にシャンパン1本、夕食にも1本。夜はブランデーにボートワインとお酒が好きだった)変わり者のチャーチルを叱咤激励する愛妻のクレメンティーン。気難しくもウィットとユーモアに富んだチャーチルの言葉をタイピングする秘書エリザベス。周りの人々のサポートを受けながら、国難に陥ったイギリスの新首相に就任したチャーチルは、ドイツとの和平交渉を進めます。政敵チェンバレンやハリファックスらに陰口を叩かれながらも、「ヒトラーには決して屈しない。我々はどんな犠牲を払っても国を守るべきだ」と徹底抗戦を誓うのです。そんななか、ドイツ軍に追い込まれた英国軍は、フランス・ダンケルクの海岸まで撤退し孤立状態となっていました。30万人もの兵士が包囲され、救出するすべがありません。ならば彼ら兵士を救うべく大型船はもちろん、ボートや小型船など民間の船もすべて召集して 船をダンケルクへ向かわせよう。地図を凝視しながらチャーチルは作戦を思いつきます。「兵士たちを故郷に戻さねば」こうしてダイナモ作戦が実行されました。日に日にナチス・ドイツの勢いは増す一方で、英国にも上陸の危機が迫ります。ヒトラーに屈するのか、それとも戦うのか。ヨーロッパのみならず世界の運命がチャーチルの手に委ねらました。日々悩み、葛藤するチャーチル。そんな彼の姿に、就任当初はチャーチルに対して懐疑的だった英国王ジョージ6世も心を開き、ふたりは絆を育み真の友となります。「私は君を支持する。君の首相就任を誰よりも恐れたのはヒトラーだ。あのケダモノを怯えさせる男を私は信頼する。戦おう」また「党の信任がなければ戦えない」というチャーチルに、国王は街に出て国民の声を聞くことを勧めます。そしてついに、英国は歴史的決断の瞬間を迎えるのでした……!■最高のキャスト、スタッフ陣と共に再現した”歴史を変えた27日間”メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した現代美術家・特殊メーキャップアーティストの辻一弘 氏ウィンストン・チャーチルを演じるのは、『裏切りのサーカス」『レオン』など多くのハリウッド大作で活躍、俳優仲間からも尊敬を集める名優ゲイリー・オールドマン。本作では、姿形、声、話し方に加え、まとう空気までもチャーチルになりきった抜群の演技力で、第75回ゴールデン・グローブ賞主演男優賞受賞に輝き、見事念願の第90回アカデミー賞主演男優賞受賞も成し遂げました。チャーチルを支える妻クレメンティーンには、『イングリッシュ・ペイシェント』のクリスティン・スコット・トーマス。そのほか秘書エリザベス役に『シンデレラ』『ベイビー・ドライバー』のリリー・ジェームズ、英国王ジョージ6世に『ローグ・ワンスター・ウォーズ・ストーリー』のベン・メンデルソーンが扮するなど、演技派たちが脇を固め見事なアンサンブルを奏でており見どころです。監督は、『プライドと偏見』『つぐない』が高く評価されたジョー・ライト。脚本は、『博士と彼女のセオリー』のアンソニー・マクカーテンが手がけ、現存する膨大な史料を基に、チャーチルの知られざる人間的魅力を描いています。また、アカデミー賞に2度ノミネートされながらも、2012年に現代美術家に転向してハリウッドから引退していた日本人の辻一弘が、ゲイリー・オールドマン直々のオファーにより数年ぶりに特殊メーキャップアーティストとして参加し、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を初受賞。オールドマンの演技力もさることながら、合計200時間以上もかけて作り上げられた“変身”ぶりに注目です!■心に響くウィンストン・チャーチルの名言「夢を捨てるとき、この世は存在しなくなる」「成功とは、失敗に失敗を重ねても、情熱を失わない能力のことだ」「行動することは少しも恐れはしない。恐れるのは、ただ無為に時を過ごすことだけだ」「私が感と信念に基づいて行動している限り、いくら悪口を言われようと何ともない」「力や知性ではなく、地道な努力こそが能力を解き放つ鍵である」「私は楽観主義者だ。それ以外のものであることは、あまり役に立たないようだ」「いらぬ取り越し苦労をするよりも、前もって考えたり計画するほうが大事だ」「悲観主義者はあらゆる機会の中に問題を見いだす。楽観主義者はあらゆる問題の中に機会を見出す」「誠実でなければ、人を動かすことはできない。人を感動させるには自分が心の底から感動しなければならない。自分が涙を流さなければ人の涙を誘うことはできない。自分が信じなければ、人を信じさせることはできない」「変転する状況のただ中で、ひとりの人間が終始一貫性を保つただひとつの可能性は、すべてを支配する不変の目標に忠実でありながら、状況に応じて変化することにある」■映画『ウィンストン・チャーチルヒトラーから世界を救った男』作品紹介2018年3月30日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー!公式サイト:原題・英題:Darkest Hour監督:ジョー・ライト脚本・製作:アンソニー・マッカーテンプロデューサー:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、リサ・ブルース、ダグラス・アーバンスキー撮影:ブリュノ・デルボネル美術:サラ・グリーンウッド衣装:ジャクリーン・デュラン編集:バレリオ・ボネッリ音楽:ダリオ・マリアネッリ特殊:メイク/ヘア&メイクデザイン(ゲイリー・オールドマン)辻一弘制作年:2017年制作国:イギリス上映時間:125分/カラー/ビスタユニバーサル作品配給:ビターズ・エンド/パルコ©2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.■映画『ウィンストン・チャーチルヒトラーから世界を救った男』 キャストゲイリー・オールドマン=ウィンストン・チャーチルクリスティン・スコット・トーマス=クレメンティーン・チャーチルリリー・ジェームズ=エリザベス・レイトンスティーブン・ディレイン=ハリファックス子爵ロナルド・ピックアップ=ネビル・チェンバレンベン・メンデルソーン=国王ジョージ6世絵・文=諸戸佑美(アートディレクター・編集ライター・イラストレーター)
2018年03月07日映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』が、2018年3月30日(金)に全国で公開。トロント国際映画祭で絶賛を集め、アカデミー賞では主演男優賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した。名優ゲイリー・オールドマンがチャーチルに主演は、クリストファー・ノーランによるバットマンシリーズでもお馴染みの、名優ゲイリー・オールドマンだ。ストーリーは、実話を元にしており、チャーチルの首相就任からダンケルクの戦いまでの知られざる4週間を描いていく。ノーラン監督の映画『ダンケルク』とセットで見るとより楽しめるかもしれない。ゲイリー・オールドマンは、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』での演技が認められ、ゴールデン・グローブ賞のドラマ部門の主演男優賞を受賞し、次のようにコメントした。「ウィンストン・チャーチルは"自分の好みはとても簡単だ。最高のものさえあててくれれば満足する"と言いましたが、クリスティン・スコット・トーマス、リリー・ジェームズ、ベン・メンデルソーンをはじめ、私は最高な人々に囲まれました。素晴らしいメイクアップチームにも感謝します。あなたの芸術は誰にも真似するができません」なお、ゲイリー・オールドマンは、アカデミーで主演男優賞を受賞した。30年以上にわたってハリウッドの一線で活躍し名優と言われてきたが、アカデミー賞の受賞は初めてとなった。アカデミー賞では6部門にノミネート第90回アカデミー賞では、ゲーリー・オールドマンの主演男優賞、メイクアップ賞、作品賞、美術賞、撮影賞と計6部門にノミネートされ、主演男優賞、メイクアップ賞を受賞した。チャーチルそっくりの特殊メイク - 立役者は辻一弘『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』では、ゲーリー・オールドマンが、特殊メイクでチャーチル首相に変身。本人そっくりに見えると話題になっている。特殊メイクでチャーチル首相に変身させたのは辻一弘だ。彼は、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』『メン・イン・ブラック』などの人気作品のメイクを手掛けてきたほか、アダム・サンドラーの『もしも昨日が選べたら』、エディ・マーフィーの『マッド・ファット・ワイフ』ではアカデミー賞にノミネートされている特殊メイクの実力者。なお、本作では、3度目のノミネートにして初めて、アカデミーメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した。メイクアップ賞を受賞したのは日本人初のこと。脇を固める豪華キャストチャーチルを支える妻クレメンティーンはクリスティン・スコット・トーマス。『イングリッシュ・ペイシェント』『フォー・ウェディング』が代表作で、演技派女優だ。秘書エリザベス役は、『ベイビー・ドライバー』『シンデレラ』と話題作に出続けるリリー・ジェームズ。国王ジョージ6世にベン・メンデルスゾーン(『名もなき塀の中の王』)を配役。監督はジョー・ライト監督は、若くして手掛けたした『プライドと偏見』で一躍脚光を浴びその後、『つぐない』『アンナ・カレーニナ』などでメガホンをとったイギリスの秀才ジョー・ライト。脚本は、『博士と彼女のセオリー』でアカデミー賞候補となったアンソニー・マクカーテンが担当した。あらすじ第二次世界大戦の初期。ナチスドイツの勢力は拡大し、フランスは陥落するのではないかという状況になっていた。イギリスにも侵略の脅威が徐々に迫る。連合軍がダンケルクの海岸で窮地に追い込まれる中、ヨーロッパの運命は新たに就任したばかりのイギリス首相のウィンストン・チャーチルの手にゆだねられた。ヒトラーとの和平交渉か、あるいは徹底抗戦か?この時、チャーチルは究極の選択を迫られる。議会の嫌われものだったチャーチルは、どう選択したのか?いかに世界の歴史を変えたのか?作品詳細『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』公開日:2018年3月30日(金)原題:Darkest Hour監督:ジョー・ライト出演:ゲイリー・オールドマン、クリスティン・スコット・トーマス、リリー・ジェームズ、スティーヴン・ディレイン、ロナルド・ピックアップ、ベン・メンデルソーン2017年/イギリス/125分配給:ビターズ・エンド/パルコ(C)2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
2017年12月03日映画『ヒトラーに屈しなかった国王』が2017年12月16日(土)に公開される。本作は1940年の第二次大戦中、ナチス・ドイツに最後まで抵抗し続けたノルウェー国王・ホーコン7世の実話を描いたドラマ。歴史に残る重大な決断を下すまでの“運命の3日間”にスポットライトを当てる。本国ノルウェーでは、国民の7人に1人が鑑賞するという社会現象的大ヒットを記録した作品。8月19日(土)に発表されたノルウェー・アマンダ賞では、作品賞・助演男優賞含む8部門を受賞した。実在した主人公のホーコン7世を演じきったのは、「007」シリーズのミスター・ホワイト役で知られるイェスパー・クリステンセン。彼は今回プロデューサーとしてもクレジットされている。また息子のオーラヴは「コン・ティキ」のアンドレス・バースモ・クリスティアンセン、ノルウェーに降伏を迫るドイツ公使は「ヒトラーの贋札」のカール・マルコヴィクスが演じる。メガホンを握るのは「おやすみなさいを言いたくて」のエリック・ポッペだ。■ストーリー1940年4月9日、ナチス・ドイツ軍がノルウェーの首都オスロに侵攻。ドイツ軍の攻撃に交戦するノルウェー軍だったが、圧倒的な軍事力によって、主要な都市は相次いで占領される。降伏を求めてくるドイツ軍に対しノルウェー政府はそれを拒否し、ノルウェー国王のホーコン7世は、政府閣僚とともにオスロを離れる。一方、ドイツ公使は再度の降伏要求のため、ノルウェー政府に国王との謁見の場を設けることをつきつける。翌日、ドイツ公使と対峙した国王は、ナチスに従うか、国を離れて抵抗を続けるか、家族のため、国民のため、国の運命を左右する究極の選択を迫られるー。【詳細】『ヒトラーに屈しなかった国王』公開日:2017年12月16日(土) シネスッチ銀座ほか全国順次公開出演:イェスパー・クリステンセン、アンドレス・バースモ・クリスティアンセン、カール・マルコヴィクス監督:エリック・ポッペ製作:ピーター・ガーデン(C)2016 Paradox/Nordisk Film Production/Film Väst/Zentropa Sweden/Copenhagen Film Fund/Newgrange Pictures
2017年07月13日キリアン・マーフィとジェイミー・ドーナンを主演に迎え、アドルフ・ヒトラーやその側近ハインリヒ・ヒムラーに次ぐ、“ナチス第3の男”といわれる高官ラインハルト・ハイドリヒ暗殺を遂行した男たちの過酷な運命を描いた『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』。この度、本作の予告編が到着した。第二次世界大戦中期、ナチスがヨーロッパのほぼ全土を制圧していた頃。イギリス政府とチェコスロバキアの亡命政は、協力して極秘計画を練り、バラシュートを使って2人の軍人、ヨゼフ(キリアン・マーフィ)とヤン(ジェイミー・ドーナン)をチェコ領内に送り込んだ。彼らのミッションは、ナチスNo.3と言われたラインハルト・ハイドリヒの暗殺。チェコの統治者で、ホロコースト計画を推し進めていたハイドリヒの暴走を止めるため、1942年5月、彼らはプラハでハイドリヒを襲撃するのだが…。本作は、「観客から熱狂的に受け入れられた!」(「NEWYORKOBSERVER」)、「第二次世界大戦を描く新たな傑作!」(「Indiewire」)と高く評価された、ナチス高官ハイドリヒ暗殺の史実を基に描いた緊迫のサスペンス。フリッツ・ラング監督作『死刑執行人もまた死す』やルイス・ギルバード監督作『暁の七人』でも描かれた暗殺作戦の、壮絶な逃走劇と衝撃的な報復の全貌を新たに描き、当時から75年の時を迎える今年、ついに日本で公開。主演には、『ダークナイト』『インセプション』でその確かな演技力が評価されているキリアンと、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』でブレイクし、2014年にアメリカの情報サイトが公表した「世界で最もハンサムな顔100人」ランキングで、ブラッド・ピットやジョージ・クルーニーを押さえ、見事1位を獲得したジェイミーといった実力・人気と共に高い2人が、ハイドリヒ暗殺を実行する兵士役で今回初共演を果たしている。公開された予告編では、時代に翻弄される青年たちの鬼気迫る表情に加え、当時のハイドリヒの姿も。レジスタンスたちがナチスからの報復を受ける激しい銃撃戦や、教会の地下に逃げ込んだものの水攻めに遭う姿など、壮絶な攻防戦が映し出される。またアクションシーンだけでなく、「危険な任務だと伝えるべきだった」と婚約者の手を握る場面や、抵抗組織のメンバーが暗殺作戦に困惑する場面など、緊迫した状況の中で苦悩する青年たちの繊細な一面も捉えられ、ハイドリヒに対峙するヨゼフや震える手で拳銃を構えるヤンの張り詰めた表情など、ドラマチックな場面も収められ、本作の見どころがグッと詰まった映像となっている。『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』は8月12日(土)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦 2017年8月12日より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開(C) 2016 Project Anth LLC All Rights Reserved
2017年06月06日エマ・トンプソンとブレンダン・グリーソンというベテランの英国俳優2人が、ペンでナチス政権に抵抗した実在の労働者夫婦を演じる『ヒトラーへの285枚の葉書』。本作で、夫婦を追い詰めるナチス・ドイツの秘密警察(ゲシュタポ)の警部を熱演する、ダニエル・ブリュールのインタビュー映像がシネマカフェに到着した。フランスがドイツに降伏した1940年6月、ベルリンに暮らすオットー(ブレンダン・グリーソン)とアンナ(エマ・トンプソン)のクヴァンゲル夫妻のもとに1通の封書が届く。それは最愛のひとり息子ハンスが戦死したという残酷な知らせだった。心のよりどころを失った夫婦は悲しみのどん底に沈むが、ペンを握り締めたオットーは「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」とポストカードに記し、アンナとともにそれを街中にこっそりと置く、というささやかな活動を繰り返すようになる。だが、それを嗅ぎつけたエッシェリヒ警部(ダニエル・ブリュール)の捜査がクヴァンゲル夫妻に迫りつつあった――。父親がドイツ人、母親がスペイン人で、ドイツ・ケルンで育ちというブリュール。本作で演じたエッシェリヒ警部は、「昔気質の刑事で 真面目で博識の知的な男だ」と説明する。「(彼は)ナチスの賛同者ではなかったが、事件解決が難航し、圧力をかけられ恐怖心から自分の信念や価値観を捨て去ってしまう。彼の存在は当時のドイツの典型的な市民の姿だ」。そんな警部を演じるにあたり、「ナチスとのわが闘争―あるドイツ人の回想:1914~1933」(セバスチャン・ハフナー著)を参考にしたと明かすブリュール。彼が10代のとき、介護施設でボランティアをしていた際、当時のことを年配者に尋ねるとみな、異口同音に「知らなかった」「従うしかなかった」と答えていたそうだが、「本を読むと、当時の人も知る手段があったし、どのように変化していったかが克明に記されていて興味深い」「少数だが 抵抗運動をした勇敢な市民もいた」と語っている。また、共演したエマについては「あまりの素晴らしさに圧倒されたよ」と大絶賛、ブレンダンとは「毎日、脚本やシーンについて議論した」ことを明かすブリュール。ヴァンサン・ペレーズ監督についても、「この映画について熟知しており、素晴らしい経験だった。この作品に出られたことを誇りに思う」と、言葉に力を込めている。『ヒトラーへの285枚の葉書』は7月8日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年05月28日イギリスを代表する名優、エマ・トンプソンとブレンダン・グリーソンの2人が、ナチス政権に抵抗した平凡な労働者夫婦を演じる『ヒトラーへの285枚の葉書』。この度、本作の緊迫感あふれる予告編が到着した。フランスがドイツに降伏した1940年6月、ベルリンの古めかしいアパートで暮らすオットー(ブレンダン・グリーソン)とアンナ(エマ・トンプソン)のクヴァンゲル夫妻のもとに、一通の封書が届く。それは最愛のひとり息子ハンスが戦死したという残酷な知らせだった…。心のよりどころを失った夫婦は悲しみのどん底に沈むが、ペンを握り締めたオットーは「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」とヒトラーへの怒りをポストカードに記し、アンナとともにそれを街中にこっそりと置くというささやかな活動を繰り返すようになる。だが、それを嗅ぎ付けたゲシュタポのエッシェリヒ警部(ダニエル・ブリュール)の猛捜査が、クヴァンゲル夫妻に迫りつつあった――。出演は、エマとブレンダンがヒトラー政権に挑んだ平凡な夫婦役を演じるほか、追い詰める秘密国家警察(ゲシュタポ)の警部をダニエル・ブリュール。そのほか、ミカエル・パーシュブラント、モニーク・ショメットらが参加。そして、監督は『インドシナ』『王妃マルゴ』に出演したフランス映画界きってのフェロモン俳優だったヴァンサン・ペレーズが務める。原作は、600ページを越す大著をわずか4週間足らずで書き上げた、ハンス・ファラダの集大成とも言うべき著書「ベルリンに一人死す」。本書がドイツで出版されたのは戦後すぐの1947年だが、ペレーズ監督は、2007年にフランス語版が出版された際に初めて読み、その内容に感動し映画化を試みるが資金繰りに難航。その後2010年にアメリカ、イギリスで英語版が発売されるやベストセラーとなり状況が好転し、英語での映画製作が進み始めたのだ。このほど到着した予告編では、「真実を書いてる、人に読ませたい」という夫・オットーが、“自分を信じろ ヒトラーを信じるな”と記したカードを、妻・アンナと共に街中にこっそりと置くというささやかな活動が映し出される。ヒトラー政権時代の不穏な空気の中、戦争、政府に異議を唱えることがどれだけ危険な行為だったのかを想像させる緊迫感あふれるサスペンスタッチから、お互いへの愛情と敬意を再確認する切ない夫婦愛のドラマも盛り込まれ、思わず引き込まれてしまう映像となっている。『ヒトラーへの285枚の葉書』は7月8日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年05月16日『美女と野獣』のエマ・トンプソンと、『未来を花束にして』のブレンダン・グリーソンが、ペンと葉書だけを武器にヒトラー政権に抵抗した実在の夫婦を演じる『ヒトラーへの285枚の葉書』。このほど、その夫婦をとらえたポスタービジュアルが解禁、さらに彼らを追い詰める秘密国家警察(ゲシュタポ)の警部を演じた、ドイツを代表する実力派イケメン俳優ダニエル・ブリュールの場面写真も解禁となった。フランスがドイツに降伏した1940年6月、ベルリンの古めかしいアパートで暮らすオットー(ブレンダン・グリーソン)とアンナ(エマ・トンプソン)のクヴァンゲル夫妻のもとに1通の封書が届く。それは最愛のひとり息子ハンスが戦死したという残酷な知らせだった。心のよりどころを失った夫婦は悲しみのどん底に沈むが、ペンを握り締めたオットーは「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」とヒトラーへの怒りをポストカードに記し、アンナとともにそれを街中にこっそりと置く、というささやかな活動を繰り返すようになる。だが、それをかぎつけたゲシュタポのエッシェリヒ警部(ダニエル・ブリュール)の捜査が夫婦に迫りつつあった――。イギリスを代表する名優2人が、ナチス政権に抵抗した平凡な労働者夫婦を演じる本作。監督を務めるのは、『インドシナ』(’92)で大女優カトリーヌ・ドヌーヴ、『王妃マルゴ』(’94)ではイザベル・アジャーニの相手役を務め、カルラ・ブルーニ(サルコジ前仏大統領の妻)らと浮名を流した90年代フランス映画界きってのフェロモン俳優、ヴァンサン・ペレーズ。フランスの美男俳優として知られたペレーズ監督の長編3作目となる。原作は、ドイツの小説家ハンス・ファラダが、わずか4週間足らずで書き上げたという600ページを越す大著「ベルリンに一人死す」。ドイツでは戦後すぐの1947年に出版されたが、ペレーズ監督は2007年に出版されたフランス語版で初めて読み、その内容に感銘を受けた。やがて映画化へと動き出すが、資金繰りに難航。その後、2010年にアメリカ、イギリスで英語版が発売されるやベストセラーとなり、状況が好転し、英語での映画製作が進みはじめる。本作が英語映画になったことに対し、ペレーズ監督は「どこの国、いつの時代でも極端な人間が急に現れる可能性がある、大切なのは、あらゆる場所に住む人たちにこの話を伝えることだ。そして、誰でも闘うことができる、そして闘うには勇気が必要になると示すことが大切だった。だったら、英語の作品にするほうがよいだろうと感じた。そうすることでみんなの計画が進むし、この話はいろいろな人に知ってもらうべきだからね」と、前向きな姿勢を語る。しかも、母親がドイツ人であるペレーズ監督は本作の製作過程で、本作の主人公クヴァンゲル夫妻との共通点を知ることになった。クヴァンゲル夫妻は、まだ若いひとり息子をロシア戦線で失ったことで、戦争とヒトラーの政策に疑問を持ち、葉書にメッセージを書いて世間の人々へと訴え始める。ペレーズ監督の叔父も、同じくロシア戦線で当時17歳で亡くなったという。そして、もう1人の叔父は戦時中、精神病院に収容されており、後にガス室に送られて亡くなったそうだ。また、監督の父親はスペイン人であり、祖父は25歳のときに、右翼政党党員に射殺されている。それらのことが重なり、本作の映画製作に使命を感じた監督は、長い年月をかけ完成を実現させた。さらに注目は、『グッバイ、レーニン!』で一躍注目され、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』などハリウッド作品にも出演しているドイツの美男俳優ダニエル・ブリュールの出演だ。ブリュールが演じるのは、夫妻を追い詰めていく頭脳明晰なエッシェリヒ警部役。彼は父親がドイツ人、母親がスペイン人でバルセロナ生まれだが、生後すぐに移ったドイツのケルンで育っている。『イングロリアス・バスターズ』ではナチスの兵士を演じていたブリュールは、本作でも渾身の演技で魅せてくれそうだ。『ヒトラーへの285枚の葉書』は7月8日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年04月04日近年注目のジャンルであるアウトサイダー・アートを代表する伝説的芸術家のアドルフ・ヴェルフリによる日本初の大規模な個展「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」が、17年1月11日から2月26日まで兵庫県立美術館にて開催される。アドルフ・ヴェルフリは、スイスの首都であるベルン近郊の貧しい家庭に生まれ、その約30年後にヴァルダウ精神病院に収容された芸術家。病院内でドローイング作品を描き始めると、『ゆりかごから墓場まで』、『地理と代数のノート』、『葬送行進曲』など多くの物語を生み出した。そうした作品は全45冊、2万5,000ページにものぼり、類を見ない驚異的な表現で描き出される奇想天外な物語で人々を圧倒した。アドルフ・ヴェルフリ財団の全面的な協力のもとに開催される同展では、ヴェルフリの中でも最大級の4メートルを超える作品をはじめとした全74点の作品を展示。新聞用紙に鉛筆で描いた初期の作品から、全9冊・2,970ページに及ぶ初の叙事詩、ヴェルフリが自らに向けたレクイエムとも言われる「葬送行進曲」、日銭稼ぎのためにクレヨンで一枚ずつ独立したシートに描いたという「ブロード・クンスト」まで、門外不出とされてきた第一級のヴェルフリ作品が来日する貴重な機会となっている。なお、同展は兵庫県立美術館での開催後、名古屋、東京でも開催される予定だ。【イベント情報】「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」会場:兵庫県立美術館住所:兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1会期:17年1月11日~2月26日時間:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)料金:一般1,400円(1,200円)、大学生1,000円(800円)、高校生・65歳以上700円(600円)、中学生以下無料※()内は前売・団体料金休館日:月曜日
2016年11月04日笑うに笑えない“危険な笑い”で世界中を沸かした、“超問題アリ”のベストセラーの映画化『帰ってきたヒトラー』。6月17日(金)に迫った本作の公開に先駆け、現代にやってきたヒトラーがテーブルマナーの講師に悩みを打ち明けるという、何ともかわいらしい(?)本編映像が解禁となった。原作は、誰もが知る歴史上の“絶対悪”ヒトラーが現代に甦り、モノマネ芸人と誤解されて引っ張り出されたテレビの世界で大スターになるという大胆不敵な小説。2012年にドイツで発売されるや、絶賛と非難の爆風をくぐり抜け、国内で250万部を突破、世界42か国で翻訳出版され、ここ日本でも累計17万部を超える売り上げを記録している。主役を演じるのは、リアリティを追求するために選ばれた無名の実力派舞台俳優オリヴァー・マスッチ。ヒトラーに扮した彼がドイツの街に飛び込み、実在の政治家や有名人、果てはネオナチと顔を合わせるというアドリブまで盛り込んだセンセーショナルな展開と、原作とは違う予測不能な結末は、本国でも一大ブームを巻き起こした。そんな本作から届いたのは、“そっくり”なオリヴァー・マスッチ演じるヒトラーが、自身のお悩みを打ち明ける場面の本編映像。「現代のドイツ人が私に敬礼をしてくれない」というヒトラーのお悩みに、「なぜ僕が?」と言わんばかりのたどたどしさでマナー講師は対応する。また、つい熱くなって講師の顔に唾を飛ばしてしまったヒトラーが、講師の顔を拭いてあげようとする様は、あの絶対的悪の象徴である姿からは想像もできないほど愛らしい…?本作はフィクションとドキュメンタリーを融合させたセンセーショナルな展開が見どころとなっているが、この映像はドキュメンタリー部分なのか、はたまた台本通りなのか…。思わずクスッと笑わされてしまうところが危険すぎる(?)ヒトラーの“策略”を、まずはこちらからご覧あれ。『帰ってきたヒトラー』は6月17日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年06月15日ヒトラ―を怒らせた最強の陸上選手、ジェシー・オーエンスを描いた勇気の実話「RACE」(原題)。この度、本作の邦題を『栄光のランナー/1936ベルリン』とし、今夏、日本でも公開されることが決定。併せて特報映像も到着した。1936年、のちの「ヒトラーのオリンピック」とも呼ばれたベルリンオリンピック。ナチス独裁政権のもと開催されたこの大会で、ヒトラーを怒らせ、歴史に名を残した陸上競技選手がいた。その名はジェシー・オーエンス。史上初の四冠を達成した彼の輝かしい活躍は、80年後の今でも多くの人に影響を与え、オリンピックの英雄のひとりとして語り継がれている。本作は、アメリカ国内の人種差別の歴史やヒトラー政権による抑圧を打ち砕くオーエンスの勇気と決意と忍耐、そして、彼を厳しくも心から支え続けた名コーチや仲間との友情、家族の絆を描いた感動の物語。監督には、『プレデター2』や「24 -TWENTY FOUR-」第1シーズンなどを手掛けるスティーヴン・ホプキンスが務めた。伝説のジェシーを演じるのは、『グローリー/明日への行進』で公民権運動の活動家ジョン・ルイスを演じたステファン・ジェームス。そして、オーエンスのコーチのラリー・スナイダー役には、『モンスター上司』のジェイソン・サダイキス。そのほか、オリンピック参加への鍵を握るUSOC(アメリカオリンピック委員会)の委員役に、オスカー俳優のジェレミー・アイアンズとウィリアム・ハートが脇を固めている。このほど公開された特報には、人種や政治、様々な問題が渦巻く中、オリンピックに人生を賭けた一人のアスリートの熱い人生が映し出されている。未だに多くのものに分け隔てがある現代にも通ずる、ジェシーの闘いの物語を垣間見ることができる映像となっている。ベルリンオリンピックでヒトラーの鼻を明かし、歴史を変えた“四冠メダリスト”ジェシー・オーエンスの勇気の実話を描く本作は、リオデジャネイロオリンピックが開幕するこの夏、大注目の1本となりそう。『栄光のランナー/1936ベルリン』は2016年夏、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2016年05月11日あの世界一有名な独裁者ヒトラーが現代に甦り、“モノマネ芸人”と誤解されてテレビの世界で大スターになる…という大胆不敵なベストセラー小説を原作にした映画『帰ってきたヒトラー』が、6月より全国公開されることが決定。ドイツではディズニー/ピクサーの『インサイド・ヘッド』を抑えて第1位を獲得した本作からポスタービジュアルも解禁となり、まさに“そっくり”な主演俳優オリヴァー・マスッチが来日することも明らかとなった。リストラされたテレビマンに発掘され、彼の復帰の足がかりにテレビ出演させられた男は、長い沈黙の後、とんでもない演説を繰り出し、視聴者のド肝を抜く。自信に満ちた演説は、かつてのヒトラーを模した完成度の高い芸として評価を集め、その過激な毒演はユーモラスで真理をついていると話題になり、やがて大衆の心を掴み始める。しかし、誰もがその男の“真実”に気づいていなかった。彼が70年前からタイムスリップしてきた“ホンモノ”であり、天才的な扇動者(アジテーター)である彼にとって、現代のネット社会は願ってもない環境であることを…。2012年にドイツで発売されるや、絶賛と非難の爆風をくぐり抜け、国内で200万部を売り上げ、世界41か国で翻訳。権威ある「タイムズ」のベストセラーリストでも堂々NO.1に輝いた問題小説が、まさかの映画化!第二次世界大戦から70年。全てが変わった現代社会で、あのころと変わらぬ思想とともに生きる男が繰り出すギャップに爆笑し、誰よりも愛国心に富んだまっすぐな情熱に惹かれてしまい、正気と狂気の一線を見失う現代の民衆の危険さを、本作はモラルと背徳の間ギリギリのユーモアで描き出していく。主人公を演じるのは、リアリティを追求するために選ばれた無名の実力派舞台俳優オリヴァー・マスッチ。ヒトラーに扮した彼が街に飛び込み、実在の政治家や有名人、果てはネオナチと顔を合わせるというアドリブシーンを盛り込んだセンセーショナルな展開と、原作とは異なる予測不能な結末は、本国では『インサイド・ヘッド』越えで第1位を記録するなど、一大ブームを巻き起こした。今回解禁されたポスターは、トレードマークの大きな七三ヘアと、そのすぐ横に立つヒトラーを見比べれば、思わずクスッとしてしまい、チョビヒゲスペースに置かれた「笑うな危険」の文字にもブラックなユーモアが利いているビジュアルとなっている。「21世紀の諸君、お待たせしました。」というヒトラーから私たちへのメッセージにも、ドキリとすること間違いなし。しかも、このヒトラーことオリヴァー・マスッチが日本にやってくるのだから、街角で遭遇することもあるかもしれない!?『帰ってきたヒトラー』は6月よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年03月22日戦後70年の今年、ドイツ国家が封印した真実に迫る衝撃の実話『ヒトラー暗殺、13分の誤算』が、ついに日本でも公開となった。このほど、ヒトラー暗殺まであと1歩に迫ったごく普通の男、主人公のゲオルク・エルザーが暗殺を企てた理由が垣間見られる緊張感あふれる本編シーンと共に、演じたクリスティアン・フリーデルの貴重なインタビューが到着した。1939年11月8日、ミュンヘンのビアホールで恒例の記念演説を行っていたヒトラーは、いつもより早く切り上げた。その直後、ホールに仕掛けられていた時限爆弾が爆発、ヒトラーが退席してから、わずか13分後のことだった。その日のヒトラーの予定を徹底的に調べあげた計画は緻密かつ大胆、時限装置付の爆弾は精密かつ確実だった。ゲシュタポ(秘密警察)の推理では単独犯はありえない、イギリスの諜報員の仕業だと睨んだが、逮捕されたのは、36歳の平凡な家具職人、ゲオルク・エルザー。スパイどころか、所属政党もなく、たった1人で実行したと主張する。にわかには信じられない供述の数々。その事実を知ったヒトラーは、決行日までの彼の人生を徹底的に調べるよう命じる…。『ヒトラー ~最期の12日間~』で“人間、ヒトラー”を描き、アカデミー賞「外国語映画賞」にノミネートされた名匠オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督が、『白いリボン』のクリスティアン・フリーデルを主演に、ドイツ国家が封印していた衝撃の事実に迫る本作。クリスティアンは、監督から「彼のようにエルザ―を演じられる人間はいないだろう」と絶賛されるほど、繊細かつ鬼気迫る存在感で“暗殺犯”の心情を体現して見せた。そして今回、解禁となったのは、単独犯での暗殺実行を主張するエルザ―が、黒幕の存在を執拗に問い詰める警察長官に対し、「自由を失ったら死ぬ」と彼の信念を初めて語る重要な本編シーン。まず、クリスティアンは「恥ずかしいことにゲオルク・エルザーについては知らなかった」と率直に語り、「脚本を読んで初めて知った。そして彼のやったことについて凄く興味が沸いた」という。そのうえで役作りに関して、「彼の伝記を読んだり、彼の家族についての映像をユーチューブで見たり、当時の目撃者へのインタビューを読んだり、写真を見たりした。また事実も重要だったが、自分なりの解釈や創作も役づくりには大切だと感じた。そして監督の視点を踏まえつつ、自分なりの視点でこの役を演じたかったので、あるシーンによっては、事実を詳しく知らずに、その場の成り行きに任せて演じることを大切にした」と明かす。さらに、演じたエルザ―については、「女性を愛し、音楽を愛し、自由を愛する静かな男だった。重要な点は、そんな彼が政治的な行動をとったという点だ。政治に関心のない男が、行動をとらなければならないと気が付き、変わったと言う点だ」という。さらに自らもドイツ人であるクリスティアンは「当時、自分があの時代に生きていたら、どんな行動に出ただろうかは分からない。巧みなプロパガンダに操られたかもしれない。多くの人はそのプロパガンダに心奪われ、真実を見失った。ところがエルザーの目は真実をしっかりと見据えていた。故郷に帰ってきて、自由を略奪された家族の生活を目の前にしたエルザーの気持ちには共感した」と、覚悟を決めるまでに至った彼の信念を代弁する。多くのドイツ国民がヒトラーに心酔していた時代に、周りに流されることなく、正しいことを自分の眼で確かめ、頭で考え、心に問うた男、ゲオルク・エルザー。その知られざる真実に、魂が震える本作をスクリーンでも確かめてみて。『ヒトラー暗殺、13分の誤算』はTOHOシネマズ シャンテ、シネマライズほか全国にて順次公開中。(text:cinemacafe.net)
2015年10月19日ハードコアチョコレートは、手塚プロダクションと、手塚治虫の漫画作品、アドルフという名前を持つ3人の男がたどった数奇な運命を描く不朽の名作『アドルフに告ぐ』(1983年~1985年)のコラボレーションTシャツを発売する。日本漫画界の巨匠・手塚治虫が描くアドルフの物語。第二次世界大戦前後のナチス・ドイツ、そして激動の日本を舞台に「ヒトラーがユダヤ人の血を引く」という機密文書を巡る壮絶な長編人間ドラマである本作では、アドルフ・ヒットラー、アドルフ・カウフマン、アドルフ・カミルという3人の「アドルフ」の運命が交錯し、哀しい未来へと進んでゆく。手塚治虫が描いた、ひときわシリアスでハードな社会派ドラマであり、手塚治虫晩年の最高傑作として高い人気を誇る『アドルフに告ぐ』がハードコアチョコレートよってTシャツ化。ストーリー終盤である、パレスチナ解放人民戦線で活躍するアドルフ・カウフマンの姿がデザイン化されている。Tシャツの価格は3,800円(税込)。「ハードコアチョコレート 東中野ヘッドショップ」や「ハードコアチョコレート オンラインストア」ほかにて販売されている。なお、ハードコアチョコレートでは、「手塚治虫×ハードコアチョコレート」シリーズとして、「ブラック・ジャック」「どろろ」「七色いんこ」「ドン・ドラキュラ」Tシャツも展開されているので、こちらもチェックしておきたい。
2015年10月07日アドルフ・ヒトラーとナチスにスポットを当てたシリーズ『ヒトラーの帝国』が、15日にドキュメンタリーチャンネル「ディスカバリーチャンネル」で放送される。同シリーズは、第一次世界大戦後にヒトラーとナチスがドイツ国内で台頭していく様子を追う『ナチス黎明期』(13:00~14:00)、第二次世界大戦前のドイツにおけるナチスの躍進や独裁政権が築かれるまでを解説する『独裁政権の確立』(14:00~15:00)、国民の絶対的な支持を得たナチスの戦い方とヒトラー最期の日々に迫る『終焉への道』(15:00~16:00)の3部構成の「ヒトラー盛衰史」。第二次世界大戦終結から70年を迎え、ここでは彼が秀でたとされる演説術や『わが闘争』秘話などを振り返る。プロパガンダの天才と称されたヒトラー。映画や宣伝を通して人心を操作していったヨーゼフ・ゲッベルス、恐怖で人々を支配する技術を持ち、大量虐殺を促進したハインリヒ・ヒムラー、貴族的で華美な生活を好んだ軍人のヘルマン・ゲーリングら側近たちの協力を得て、国民の人気を獲得しながら強力な権力を握った。ヒトラーは、1889年4月20日にオーストリア・ブラウナウで生まれる。両親はオーストリア人。手当たり次第に本を読みあさる熱心な読書家で、頭脳明晰だったが集中することが苦手だったことから、学校での評価はあまり高くなかった。1907年に画家を目指してウィーンに赴くも、造形美術大学の入学試験は不合格。ヒトラーにとっては挫折だったが、後に「ドイツへの愛ゆえ、絵筆を折った」と言い残している。父が厳格な一方、母は息子に甘く、小遣いを与え続けた。中にはヒトラーを「怠け者」と評する伝記作家もいるが、彼はウィーンで気ままに遊んでいたわけでなく、カフェに通って文化人たちと親交を深めることで、さまざまな着想を得ていく。この時のことをヒトラーは著書『わが闘争』で「あれが私の思想の土台となった」と述べている。家族の遺産と絵を描いて稼いだ金で経済的な余裕ができたヒトラーは1913年、ドイツ・ミュンヘンに移る。彼の故郷であるオーストリア・ハンガリー帝国は広い領地を有する強国だったが、民主主義の台頭で議会が紛糾。二重国家としての均衡は失われ、両国議会は常に民族間の怒鳴り合いに発展した。ヒトラーはその状況を知って議会を見限り、「強烈な統率力を持つ独裁的な指導者にしか国家の混乱は治められない」と考えるようになった。その後、ヒトラーはドイツ軍に入隊。極めて優秀な兵士として兵長にまで昇進し、戦死者が多数出る中で生き延びた。戦闘員として戦った期間は短く、最前線で伝令兵として奮闘。鉛の雨をかいくぐる危険な任務だが、戦闘兵より楽だと見られることが多く、統率力も欠けていたことから士官にはなれなかった。仲間からの人望は薄く、「変わり者」と見られていたという。ドイツは第一次世界大戦で敗戦国となり、ヒトラー自身も完全に打ちのめされた。右翼勢力が唱えたように、敗戦した理由を「悪いのは社会主義者とユダヤ人」と結論付けた。国内で変化と不安が続く中、大勢が軍から去ったが、ヒトラーは残ることを決意。政治思想を啓発し、指導者を育てる教育を軍で受ける。その後、兵士を啓発する講師に任じられ、扇情的な思想教育で著しい成果を上げた。その過程で磨かれたのが、後に彼の武器となる演説術だった。1919年に結党されたドイツ労働党の調査を命じられたヒトラーは、集会で弁舌の才能を発揮すると同時に過激な反ユダヤ的思想も受け入れ、この調査期間中に政治活動にのめり込んでいく。やがて、巧みな演説により党で重要な役割を担うようになり、プロパガンダの責任者に任じられた。政治活動のスタートは、指導者ではなく「宣伝マン」。ヒトラーは極めて刺激的で扇動的なポスターを作製し、大規模な集会を開いては党員を増やしていった。そして1920年、ヒトラーは訴求力を高めるために党名の変更を決断。国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)はこうして誕生した。翌年、一度は離党しながらも復帰して党首となったヒトラーは、忠実で賢く、残忍な側近を身辺に集めはじめる。彼らを強固に結び付けたのは、敗戦による喪失感、失望、怒り。さらに猛烈なインフレや失業問題などによって国民の政治不信は高まり、ヒトラーの演説は聴衆に啓示を与え続けた。1923年、ヒトラーらナチス党員が参加したドイツ闘争連盟はクーデターを起こすも、わずか半日あまりで鎮圧。このミュンヘン一揆でヒトラーは収監されるも、その獄中で執筆したのが"ナチス必読の書"だった。それまでは自分の特別な人間だと思っていなかったヒトラーは、収監中に初めて自らを選ばれた存在と認識し、独裁者への道を歩みはじめる。今の立場に至った過程と自分の信念をつづり、その半生を振り返った。もとの原稿に使われていたタイトルは「虚偽 愚鈍 臆病に対する4年半のわが闘争」だったが、出版社から「もっと大衆受けしそうな題名に」と勧められ、『わが闘争』となった。発行部数は瞬く間に何十万部にも達した。判決は禁固5年だったが、所内では特別待遇を受けた。ほどなく釈放されるも、ヒトラーは演説が禁止されていることを「弾圧」と主張。後に完全に解かれると表舞台に再登場し、まるで人気スターのように大衆を魅了した。演説が解禁された後の議会選挙で、ナチスは議席数を伸ばした。芝居がかった演説は催眠術のように聴衆を引きつけたが、内容的には空疎だったという。このように「ヒトラー盛衰史」を振り返る今回のシリーズ。『終焉への道』の最後はこのようなナレーションで締めくくられている。「いつの時代でもナチス風の行動様式に魅力を感じる若者はいるでしょう。ナチスの宣伝は実像ではなく理想像に過ぎません。驚くべき事実です。他国出身の目立たない男が恐るべき野望に駆られてドイツの独裁者になったのです。そして史上最大の戦争と犯罪を引き起こした。戦後70年経った今も歴史的な興味は尽きません。ドイツは再統合されました。マーシャルプランのおかげで西ドイツが奇跡の復興を遂げ、経済的・政治的安定がもたらされたのです。しかし真の奇跡は、ドイツの人々です。自国の野蛮な過去を直視し。歴史の教訓として世界に示してくれました。今も世界では迫害や紛争が絶えません。 しかし、同じ過ちは繰り返してはならないと歴史は訴えます」(C)2015 Discovery Communications, LLC.
2015年08月14日「ヒットラーにはユダヤ人の血が流れている」――アドルフ・ヒットラーの出生の秘密が記された機密文書を巡り、歴史の大きなうねりの中で翻弄されていく人々を描いた手塚治虫の歴史漫画『アドルフに告ぐ』。この手塚の代表作が演出家・栗山民也の手により今夏舞台化される。5月某日、神奈川にある稽古場を訪ねた。舞台『アドルフに告ぐ』チケット情報栗山は過去にも手塚作品『火の鳥』『ブッダ』の演出を手掛けた経験があり、『アドルフ~』は3作品目にあたる。物語は、第二次世界大戦前後の日本とドイツで展開される出来事が中心だが、時間軸は1938年から現代までと非常に長い。また次々と場面が変わる構成のため、セットはシンプルな作りになっている。この日行われていた稽古では1シーンやるごとに俳優を集め、栗山がひとつ一つのセリフに「ここは厳粛になりすぎないように」「あまりリアルにしない方がいい」と細かく指示を与えていた。その姿に迷いは感じられない。すでに明確なビジョンが出来上がっているようだ。主人公のアドルフ・カウフマンを演じるのは成河。同じ“アドルフ”の名を持つユダヤ人のカミル(松下洸平)そしてヒットラー(高橋洋)と出会ったことから、数奇な人生をたどることになる。日本人の母とドイツ人でナチス党員の父を持つカウフマンは親友のカミルを庇った為ユーゲント(ナチス党員養成所)に入れられてしまう。やがてヒットラーに傾倒していき、命令とあらば簡単に人を殺す男に変貌していく。成河は「カウフマンは自分が何者かもよくわからず、どこに属していいのかもわからない。彼のもつアイデンティティの曖昧さは共感できます。この物語は決して純粋で善良な市民が悪に手を染めていく話じゃない、“正義と正義の戦い”の話なんです」と語る。本作を舞台化したいと思った理由を栗山に尋ねると「今の時代、過去があるから現在がある、当たり前のことなのにそこから遠ざかってしまっているでしょ」と言う。ホロコーストという苦い歴史もまた過去の事実だ。栗山は「国境を渡れば、民族、宗教、言葉、食べ物だって違う。それをひとつにまとめることはできない。世の中には多様な価値観があるんだと認め合うことが健康な世界のあり方なんです。この作品を通して一番伝えたいことです」と力を込めて語った。現代史への無関心が広がりつつある昨今、アドルフたちが生きた時代を知ることで、現在のわたしたちがいる世界を改めて見つめ直す作品となりそうだ。公演は6月3日(水)から14日(日)までKAAT神奈川芸術劇場<ホール>にて。宮崎、京都、愛知公演あり。
2015年05月22日手塚治虫の『アドルフに告ぐ』が舞台化される。描かれるのは、「アドルフ」というファーストネームを持つ3人の男たちが、第二次世界大戦を背景に、イスラエル建国などの歴史的な事件にも関わりながら数奇な運命を辿る物語。日本に住むふたりのアドルフ少年には、成河、松下洸平、そして、アドルフ・ヒットラーに高橋洋が抜擢された。演出の栗山民也とともに、この手塚の代表作にどう向き合うのか。3人のアドルフに話を聞いた。舞台『アドルフに告ぐ』チケット情報ナチス党党員のドイツ人外交官の父と日本人の母を持つ少年、アドルフ・カウフマンを演じる成河。松下扮するユダヤ人のアドルフ・カミルと、親友の絆を結びながらやがて憎み合うことになる。「チラシにこんな手塚さんの言葉がありました。“この話は本当は、恋愛ものじゃないかと思うんです”と。愛が憎しみに変わるという意味では、カウフマンとカミルも恋愛のように感じますし、ナチス党員にとってはヒットラーはまさに恋愛対象。その根っこにある人間的な感情をしっかり表現すれば、カウフマンのことも理解していただけるのではないかと思っています」。一方、ナチスに迫害される側を演じる松下。「苦しみながらもまっすぐ誠実に生きるカミルには、教わることがたくさんあるなと感じています。家族や愛する人など、命をかけて守るものがある人間の強さには、単純に憧れますね」。また、ヒットラー役を務める高橋も、「負の部分を含め、自分をはるかに越える大きさを持つ人間を演じるのはハードルが高い」と言いながらも、「愛するとか怒るとか、直接的な人と人との関わりがきちんと描かれている作品。バックグラウンドがわからなくても、感じるものはあると思います」と意気込む。物語の背景には、戦争、民族、宗教といったものが入り組んでいる。が、「こういう作品に携わって、過去を学び伝えていけるのが、役者をやっててよかったと思える瞬間。お客様にとってもいろんなことを考えるきっかけになれば嬉しい」と松下が言えば、高橋も、「自分でどうすることもできない大きな何かによって時代が動いているのは今も同じ」と、今に通じるものがあると訴える。さらには、「決して人ごとにはできない作品だなと感じます。栗山さんの緻密な演出は、気づいたら物語に入り込ませてくれると思いますし。何か考えるきっかけになる作品になれば、と思っています」と成河。見せたいのは歴史ではなく人間。3人のその思いは、力強い舞台を誕生させるだろう。舞台は6月3日(水)から14日(日)までKAAT 神奈川芸術劇場 ホールで上演後、京都、愛知で公演。神奈川公演のチケット一般発売は3月28日(土)午前10時より。チケットぴあではインターネット先行も実施中。3月23日(月)午後11時59分まで受付。取材・文:大内弓子
2015年03月20日