2016年7月クール、実は密かに“胸アツ”(胸が熱くなる)な作品が多いと言われていることをご存知でしょうか。中でも注目なのが、お仕事ドラマです。会社勤めをしたことのある人なら誰しも“あるある”と共感、涙してしまうこと間違いなし!そこで今日は、取り分け“営業職”にスポットを当てた2作品をピックアップ。「営業部長吉良奈津子」VS「HOPE~期待ゼロの新入社員~」それぞれの見どころを分析していきましょう。■主人公なのに…斬新過ぎる“空回り”!?アラフォー世代共感の「営業部長吉良奈津子」松嶋菜々子さんが3年ぶりの連ドラ主演を務めることでも話題の本作。主人公・吉良奈津子は、大手広告代理店の元売れっ子クリエイティブディレクターという役どころです。このドラマ最大の特徴は、産休から復帰した後、クリエイティブ局でなく営業開発部に配属されてしまった奈津子が、まるで主人公らしからぬ“空回りぶり”を気持ち良く見せてくれるところ。「営業なんて、クリエイティブに比べたら簡単簡単!」と最初は鼻で笑っていた奈津子でしたが…些細なミスが莫大な損失に繋がり、気がつけばクビの危機に。たとえ配属先が不本意なフィールドであろうとも「投げやりな気持ちで働いては、何事もうまくいかない」そんな世の常を改めて痛感させられる、ビジネス指南ドラマと言えるでしょう。脚本を手掛けるのが「GOOD LUCK!!」や「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」などで知られる井上由美子さんということで、松田龍平さん演じる後輩ディレクター・高木啓介が抱く、奈津子への淡い恋心。加えて、仕事と家庭の両立に奮闘する妻を献身的に支えようとする奈津子の夫・浩太郎(原田泰造)にも、ベビーシッター・坂部(伊藤歩)に対し不思議な情が芽生え始め…。井上さんにとって、入り乱れる恋愛感情、四角関係はまさにお手の物だと思いますので、今後の展開に期待が高まりますね!時に見ていて思わず目を逸らしたくなるような現実も登場しますので、心してご覧くださいませ。■“営業あるある”がリアル過ぎる!20代必見の「HOPE~期待ゼロの新入社員~」2014年韓国のケーブルテレビ局で放送され、一躍社会現象を巻き起こしたドラマ「ミセン‐未生‐」。その舞台を日本に移し、ひたむきに企業で働く若者たちの姿を描いた「HOPE~期待ゼロの新入社員~」が今期、胸アツドラマとして話題になっています(同枠視聴率対決ではなかなか苦戦していますが…)。主演を務めるのは、「Hey! Say! JUMP」の中島裕翔さん。彼が演じる一ノ瀬歩は、幼い頃から抱いていた囲碁のプロ棋士になるという夢に挫折し、生活のため、知人の紹介で総合商社の営業として働く道を選びます。しかしながら学歴も社会人経験もなく、周囲からの期待はゼロ。「自分自身の居場所はココではないんだ」という言い訳…その後ろ向きな姿勢から、度々失敗をやらかしてしまう歩。そこに救いの手を差し伸べてくれたのが、配属先の上司・織田課長(遠藤憲一)でした。強面だけど、部下思いの上司。さらには、山内圭哉さん演じる優しい先輩社員・安芸の役に立ちたいという小さなきっかけから歩はみるみるうちにその才を発揮していきます。…と言っても、本作の魅力は、その“みるみる”具合が非常にリアルだという点。これまでの企業ドラマで扱われてきた買収や倒産など大きな事象ではなく、部署同士の対立や資料の紛失、出世への嫉妬心など本当に細かな“営業あるある”が散りばめられているから面白いんですよね~。あなたのすぐそばにいる「あの人に似ている」というキャラクターがきっと登場するはず!大人の皆さまは、「若い頃はこんな風に体当たりだったなぁ」と昔を懐かしみながら視聴してみてはいかがでしょうか。■実はちょっと似ているかも…?後半戦の要となる注目キャラクターはこの人ドラマの後半戦を視聴するに辺り、何となく“怪しい”“臭う”キャラクターっていますよね!今回ご紹介した2作品においても、前半戦は主人公の仲間として登場していたのにも関わらず、徐々に不穏な空気を醸し出している注目すべき登場人物たちがいます。「営業部長吉良奈津子」では、DAIGOさん演じる一条が一際プンプン。奈津子の部下として寡黙に働いていますが、他部員と必要以上にはつるまないクールな性格の上、合理主義で無駄嫌い。奈津子をクビにしたがっている斎藤常務(石丸幹二)と何やら密会を重ねている様子がちらほら描かれているので、今後彼の動きが最終回に向けて影響してくるのは明白です。一方「HOPE」でも、歩の同期であり、インターン時代彼を助けてくれたことのある桐明(瀬戸康史)に変化が。学歴もプライドも高く、上昇志向の強い性格が前述の一条とちょっぴり似ている気もするのですが、本配属の後、実力ではなく情熱で仕事を進める歩にイライラし始め…。山本美月さん演じる香月への恋心と絡めて、ジェラシーは日に日に高まっているように見受けられます。果たして、彼らの裏切りが物語にどう影響してくるのでしょう?主人公たちのアツイ思いは届くのか、是非注目してみてくださいね。早いもので、今クールも残りわずか1か月となりました。いずれも非常にリアルな切り口が魅力的な作品ですので、疲れた週末…お酒のお供に!家族や友達に愚痴を言う感覚でご覧になってみては?(text:Yuki Watanabe)
2016年08月28日名作『男と女』から50年。名匠クロード・ルルーシュが、もうひとつの恋愛映画の傑作を誕生させました。運命的な出会いを経験した在インド・フランス大使夫人アンナと、映画音楽家アントワーヌが奏でる大人の男女の恋愛模様を描く新作『アンナとアントワーヌ愛の前奏曲』です。共にパートナーがいながらも、出会ってしまったふたり。アンナが、とある理由でニューデリー~ムンバイ~ケーララへの2日間の列車旅行に出ることを知ったアントワーヌが、ともにインドを旅するところから物語は大きく動き出します。アンナが旅する理由とは、夫の間に子どもができず悩んでいたため、聖者に会いたいとインド南部への巡礼を望んでいたから。アントワーヌも原因不明の頭痛に悩んでいたことから、彼女に同行することになったのです。物語の鍵を握っているのが、抱擁によって世界の人々を癒し続けているインドの聖者シュリー・マーター・アムリターナンダマイー・デーヴィ。実は、本作に特別出演している“抱きしめる聖者”が7月18日から20日まで、来日していました。そこで、“アンマ(お母さん)”と世界中の人々に慕われている彼女に会いに行ってきました。1953年、南インドの貧しい漁村に産まれたアンマは、幼い頃、周囲にいる貧しい人々の苦しみを目の当たりにし、思わず隣人たちを抱きしめたそう。そこから、自然に人々を抱擁する“ダルシャン”という行為が始まりました。彼女の抱擁を求めインドを訪れる人は多数。45年間にわたって世界中を訪れ、延べ3,600万人以上の人を抱きしめてきました。国内外で国際的災害支援・自立支援活動を展開する慈善活動家としても知られています。劇中、アンナとアントワーヌがダルシャンを受けるシーンは、本作のハイライト。そこで、私も体験してきました。実は9年ぶり2回目のダルシャン。来日は27年目26回目というアンマが2007年に来日した際、取材に伺ったのです。その時と全く変わらない、あたたかい笑顔で迎えられ、ぎゅっと抱きしめられ、まるで母親が幼子の不安を取り去るかのようにあやされます。ただそれだけですが、大地に抱かれるような安心感と、耳元で囁かれる「愛しい娘」という快い響きは、心にじんわりしみわたるよう。あっという間の出来事だった前回に比べ、落ち着いていられた今回でしたが、肉体的接触が少ない文化の中で暮らす私には、今回もとても親密で特別な経験でした。世界を抱きしめ続けるというシンプルな行為。だからこそ、アンマの中にある慈悲深さを実感できるのかもしれません。肉体的接触は身体の痛みを軽減するという研究もあるだけに、抱きしめられることで軽くなる心の痛みもあるはず。見ず知らずの人を抱きしめ続けるのは時に苦しくもあるでしょう。それでもダルシャンを続けるアンマに、直接話を伺う貴重な機会をいただいたので、全文をご紹介します。そこには、価値観の違う者たちがいがみ合うことなく、共存するための大いなるヒントが。ご興味がある方はぜひ。――抱擁を通して、来た人、また来たいけれど来られない人に伝えたいことは?アンマ「愛は、全宇宙を結びつけている根本的な要素です。愛は、わたしたちの力の源でもあり、純粋さの源でもあり、調和の源でもあり、一体性の源でもあります。わたしたちは本来、愛の中に生まれ、愛の中で生き、愛の中で肉体を去るはずの存在です。でも実際には、ほとんどの人がそうできていません。人々は、純粋な愛を経験することなく生き、死んで行ってしまいます。わたしたちがこの世界でしているあらゆることは、霊性修行であれ、俗世での活動であれ、日々の義務であれ、すべて愛が原動力になっています。わたしたちはそれを、責任とか、情熱とか、決心とか、様々な名前で呼んでいますが、どのような名前で呼ぼうとも、それは愛なのです。その背後にある力は、愛なのです。その愛こそ、わたしたちが目覚めさせなくてはいけないものです。人々の内に、ほんの少しでも愛を灯すことができれば、多くの問題を簡単に解決できます。愛には障壁がありません。愛は、この世界のあらゆる人間や生き物が理解できる、唯一の普遍的な言語です。愛を通せば、何でも伝えることができます。愛は、最古の旅人であり、最高のコミュニケ―ション言語です。アドレスを書くと電子メールが届きますが、愛は、人と繋がるための、最も理想的で力のあるアドレスです。愛は、ラジオの電波にも似ています。ラジオ局の近くに住んでいても、自分のラジオの周波数を合わせないと、番組を受信できません。愛はわたしたちの本質です。本質ですから、全く変えることができません。でもわたしたちは、そのことを知らず、その愛が見えなくなっています。それは、ホコリで覆い隠された鏡に似ています。鏡はずっと鏡のままですから、ホコリを取り除けば、光を反射するという鏡の本質を取り戻すことができます。それと同じように、愛は常に、わたしたちの内にあるのです。太陽から遠く離れていても、地上の蓮は、花開きます。愛に距離は関係ありません。電話を使うと、遠く離れた人と繋がることができます。そのとき電話番号が役に立つように、愛によって、アンマの愛やエネルギーが、人々のハートに届くのです。手紙を出すことを相手が知らなくても、相手の住所を書けば届きます。手紙を送るその決意と同じように、アンマは、会場に来た人に対しても、来られなかった人に対しても、同じようにサンカルパ(決意)を持っています。ですから、会場に来られなかった人にも、愛は平等に届きます」。――国籍、宗教、人種を問わず、日々多くの方が救いを求めてアンマの元に訪れますが、彼らとの出会いから、人間の幸せとは何だと考えていますか?アンマ「真の幸せとは、完全に満ち足りることです。お腹がすいたときに、たくさん食べてお腹がいっぱいになる、といった満足感は、一時的で、肉体的なものです。しかし、本当の意味で内的に満ち足りると、環境や状況が良くても悪くても、内面がそれに影響されなくなります。例えば、お腹が空いても、内面はそれに影響されず、体が疲れても、活動の意志が影響されなくなります。どんな状況でも、心が完全に制御されていて、静かなままでいるようになります。心が完全に静かなその状態が、本当に満ち足りた状態です。それは完全に、永遠に確立された、至福に満ちた意識状態で、そこから後戻りすることはありません。その完全に満ち足りた状態に至るまでには、様々な段階があります。それは、愛に様々なレベルがあるのと同じです。人によって、その梯子の一番下にいたり、二段目、三段目、四段目にいたり、一番上の段にいたりします。完全に満ち足りた至福の意識状態に達すると、あらゆる状況を楽しむことができます。外界の状況ではなく、楽しむこと自体が、中心になるのです。例えば、今日は豪華な宮殿に住んでいて、召使が大勢いて、一日に三度、豪華な食事を持ってきてくれて、あらゆる設備がそろっていて、贅沢な暮らしをしているとします。そして次の日には、自分が召使になって、粗末な小屋に住んでいるとします。宮殿に住んでいる時には、美しいシャンデリアやイタリア産の大理石や、エアコンや美しく柔らかいベッドなど、その宮殿のすべてを楽しみます。そして次の日に粗末な小屋に住むことになって、一日中何も食べられなくても、その小屋での暮らしを本当に楽しみます。そのように、外界ではなく、至福の中ですべてを楽しむことが、人生の中心になるのです。それは、熟睡中の状態に似ているところがあります。ただし、熟睡中は意識がありませんが、真に満ち足りている至福の意識は、完全に目覚めている、という違いがあります」。時代や文化が違っても、人間が心から望むもの、本当に満たされるために必要なものとは、何も変わりはない。どんなに物質的に満たされていても、人は愛なしに生きるとき、虚しさを感じる。映画『アンナとアントワーヌ愛の前奏曲』が伝えるメッセージと、アンマが抱擁で伝え続ける願いは、見事にシンクロしていると感じられる体験でした。アンマによる回答/特定非営利活動法人 国際チャリティ協会アムリタハート(text:June Makiguchi)
2016年08月27日今更ではあるが、人気漫画の実写化企画が相次ぐ日本映画界。最近だけでも『銀魂』(空知英秋原作、小栗旬主演、2017年公開)、『BLEACH』(久保帯人原作、福士蒼汰主演、2018年公開)の製作が発表され、ファンの間で大きな話題になったばかりだ。なぜ、漫画の実写化が多いのか?…という疑問については、「映画離れしている若い世代の関心を引くため」「製作委員会方式が定着しているから」「映像技術の進歩」など、すでに語り尽くされた感があり、そのどれもが正論に聞こえるし、仕組みとしては以前であれば「まずはアニメ化で盛り上げる」、近年は「雑誌連載との連動」を経て、満を持しての劇場公開という流れが存在している。批判もあるだろうが、ビジネスモデルとして優良だ。一方で、『るろうに剣心 京都大火編』『伝説の最期編』が2部作合わせて興収95億円を記録したのを最後に、『寄生獣』『進撃の巨人』(ともに2部作)といった肝いりの実写化作品が爆発的な大ヒットにつながっていない現状がある。最近の例外は、興収40億円を優に超えた『信長協奏曲』で、こちらは原作やアニメ人気に加えて、実写ドラマの好評ぶりが動員に結びついた(そう考えると『ルパン三世』も成功させた小栗旬ってやっぱりすごい)。今年もGW、夏休みと主演級のスターが勢ぞろいした大型プロジェクトが相次いで、低迷している。その一因は「原作と映画は別物」という発想から、大胆なアレンジを加えた結果、ファンから総スカンを食らったから。安易な改悪は論外だが、たとえ映画の作り手が新たなビジョンを提示したつもりでも、それが“逃げ”に見えてしまえば、負け戦だ。成否の分かれ道は、いかに原作に宿るテーマや精神性を、慎重に見極めるかにかかっている。さらにこの夏は東宝が単独製作した『シン・ゴジラ』が社会現象を巻き起こし、漫画実写化の地位を大きく揺さぶっている。胸キュン案件はさておき、この先、漫画実写化の未来を占う上で注目すべきは『デスノート Light up the NEW world』(10月29日公開)、『3月のライオン』2部作(2017年春公開)、『鋼の錬金術師』(2017年冬公開)の3本。どれも原作の知名度、豪華なキャスト、実力派監督と「コケるわけにはいかない」勝負作だ。(text:Ryo Uchida)
2016年08月27日ここ数年は水着を着ることもなく、もちろん今年も水着どころかビーチに近づくこともなく、地味な、地味すぎる夏を過ごしていました。何処にもバカンスに行っていないのに「旅行?何焼け?」と聞かれてがっくりしたことを思い出し、今年は飲む日焼け止めでシミ対策。出掛ける少し前にカプセルを1つ飲んでおくだけで、移動中に浴びる程度の紫外線はブロック。サングラスと日傘をプラスすれば、首、腕、足…全身に日焼け止めを塗る手間が省けるんです。はい、年々ズボラになって、恋までズボラになっていく四十路、古山エリーです。今宵もたわごとお付き合いくださいませ。夏らしいことを何ひとつしないまま8月が終わってしまいそうななか、唯一の楽しみは、街が静かになりかけた頃に1杯だけお酒を飲みに行くこと(文字にするとなかなか切ない…)。そのバーを訪れるのは3度目だったと思うんですが、その日、お隣にいたのは20代の男性2人。私の隣にいた男性が一生懸命にもひとつお隣の男性を口説いていて、目が合ったので「頑張って」と小さな声でささやくと、軽くウィンク&ガッツポーズ。そして、なんと!2人一緒に帰って行きました。微笑ましいなぁ、羨ましいなぁと思いつつ、気づけばカウンターにひとり残され、哀愁100%です。「お前も頑張れよぉ」「何やってんだよぉ」と、自分に小さく喝を入れました。いいなぁと思った相手を口説くときって、会った瞬間に何か強烈に感じるものがあるから口説く、この出会いを無駄にしたくないから口説くわけですが、最近はそんな“何か”を感じることもめっきり減り、どんどん鈍感になっていっているような…(“ような”じゃなくてなってるんだって、危険だって!)。そう言えば、恋愛映画を観て泣く頻度も少なくなっている気が…。と、鈍感女から脱出するためにもってこいなラブストーリー、観ました。ニコラス・スパークス原作の『きみがくれた物語』です。『きみに読む物語』をはじめ、『メッセージ・イン・ア・ボトル』『親愛なるきみへ』『かけがえのない人』など、彼の恋愛小説は10作ほど映画化されていますが、私、そのすべてを観ております。そんなにいい恋愛映画を観ているのに、なぜに自分の恋愛はうまくいかないのか、踏んだり蹴ったりなのか…と思いますよ、思います。でも、今さらジタバタしても仕方ないので、せめて遠ざかっていく恋愛感情を取り戻すべく、ロマンチックな世界で潤いをチャージしようと思ったわけです(別名、現実逃避)。物語は――第一印象はサイアクだったトラヴィス(ベンジャミン・ウォーカー)とギャビー(テリーサ・パーマー)が恋に落ち、結婚をして、そして“ある事件”によってトラヴィスは“ある選択”を迫られます。愛する人のことをどれだけ理解しているのか、愛しているからこそどういう選択をすればいいのか、愛の選択のお話です。ニコラス・スパークスが綴る愛の物語には、もしかしたらこんな運命的な出会いがあるかもしれない、永遠の愛もあるかもしれないと信じさせてくれる力がある。枯れかけていた我が身、しっかり潤いました。この潤いがあるうちに、あるうちに…頑張れよ、自分!と、もう一度、喝!あ、水着を着る予定はないですが、夏→水着→むだ毛→「SATC」でお馴染みのブラジリアンワックスを思い出すという流れで、只今いいサロンがないか探し中です(いったい何の告白?)。今宵はここまで、また次回。(text:Elie Furuyama)
2016年08月21日現在ハリウッド映画界ではコミックの女性ヒロインたちがアツい。人気キャラクターのバロメータにもなるコスプレが有名な7月開催のサンディエゴ・コミコンでは『スターウォーズ/フォースの覚醒』ですっかり人気者となったレイや、『スーサイド・スクワッド』で人気沸騰中のアナーキー女子ハーレイ・クイン、そして2017年6月2日全米公開予定の『ワンダーウーマン』などのヒロイン・コスプレが目立ち、「スーパー・ヒロイン分析」などの女性ヒーロー系パネルディスカッションも目に付いた。ハーレイ・クインが人気の映画『スーサイド・スクワッド』は、日本の9月公開予定に先駆け全米で一足早くオープンしたのだが、批評家たちの間で前評判がイケておらず、デビュー週の興行成績が懸念されていた。結局は全米ナンバーワンの座に輝き、映画の関係者たちは胸をなでおろしたのだが、この結果はスクワッドメンバーで紅一点のハーレイ・クインに負うところが大きかったのでは、というのが界隈の噂だ。筆者の知り合いにも、本作を観に行くきっかけとなった理由を尋ねると、「ハーレイ・クインに興味があったから」と答えた人が多かった。ジャレッド・レト演じるジョーカーも話題の的だったが、ハーレイ・クインの重要さはキャラ商品などでの扱われ方を見ても明らかで、彼女の存在は本作を窮地から救い出したと言っても過言ではないと思う。その昔、TVでリンダ・カーター主演の「ワンダーウーマン」が人気を博していた。人間が窮地に陥ると普通の人間の姿からワンダーウーマンに変身して悪者をやっつける。頭にはティアラ、アメリカ国旗をモチーフにしたセクシーなコスチュームを身につけ、ビシバシ悪い奴らをなぎ倒していくワンダーウーマンの姿は超カッコ良く、子どもながらに憧れたものだ。だがワンダーウーマンは、やがて女性の首相が誕生するような時代になっても大スクリーンに登場しなかった。最先端であるはずのハリウッドは、女性のスーパーヒーローを主人公に据えた映画を製作することはビジネス上のリスクだと感じていたのである。しかし、今年に入り生誕75周年を迎えるワンダーウーマンの映画撮影がついに開始された。気が遠くなるような待ち時間を経ての映画化がついに始動したのである。先日どこかで読んだのだが、現在マーベルとDCコミックの男性と女性コミックヒーローの割合を比較するとヒーロー3対ヒロイン1なのだという。これはコミックが生まれた当時から、男性をターゲットにして描かれた作品が殆どで、コミックに出てくる女性といえば、胸がやたらとデカくセックスアピールむんむんで、一歩間違えば夜の街角で仕事をする女性のような格好をしたキャラが多く、これでは女性リーダーが引いてしまうのは当たり前といった描写が多かった。女性の指示なしに強力なスーパーヒロインは成り立たないのだ。そんな状況が大きく好転し始めたのが去年から今年にかけてのことだ。例えばマーベル・コミックの女性ヒーロー「ミス・マーベル」には、これまで胸がこぼれんばかりのコスチュームを着せていた。しかし、そのコスチュームを2014年から新装して、身体に密着しない長袖のミニ・ドレスという、スーパーヒロインにしてはいたって保守的で、女性も好感を抱けるようなルックスに描き変えた。そして女子パワー全開に向けての最大の改革は、もっと数多くの女性コミックアーティストを起用したことだ。女性の立ち位置から描いたスーパーヒロインは、男性の描くそれとはかなり違うものになり、女性も共感しやすくなることは容易に想像がつく。ちなみに映画『ワンダーウーマン』は、TV時代のティアラ(=お姫さま“冠”)ではなくゴールドのヘッドバンドを着けている。現代の女性たちにとってティアラに象徴されるお姫さま願望はバカげているのだ。セクシーだが品が良く、美しいがカッコいい。これが新ワンダーウーマンである。ハリウッドでいま女性スーパーヒーローがホットだというのは、一時的な流行などではない。これからますます本格化していくハリウッド映画界「女子革命」は、まだ始まったばかりなのである。(text:Akemi Tosto)
2016年08月20日日本各地でお祭りが開催されている8月、都心の六本木でもお祭り気分が味わえる「六本木ヒルズ盆踊り 2016」が8月26日(金)~28日(日)に開催される。26日は前夜祭で「楽劇 六本木楽」や縁日屋台が賑わいを見せ、27日・28日は六本木ヒルズアリーナ中央に立てられたやぐらを中心に「六本木ヒルズ盆踊り」が開催される。今月は、昼は映画を観て、夜はお祭り気分で盛り上がる六本木デートに出かけてみて。今月ピックアップする映画は、清水玲子によるミステリーコミックを映画化した作品『秘密 THE TOP SECRET』。キャストには、生田斗真を主演に、岡田将生、松坂桃李ら人気の俳優陣が集結した注目作。ストーリーは、被害者の“脳に残った記憶”を映像化し、迷宮入りした事件を捜査する警察庁の特別機関「第九」を舞台に、室長を天才・薪剛(生田斗真)のもとに、新人捜査官の青木一行(岡田将生)が配属されてきたところから始まる。「犯人の脳の記憶を見て、行方不明の少女を探す単純捜査」をきっかけに、「第九」が脳内捜査を進めると、事件を根底から覆す“驚愕の真犯人”が現れる。さらに、事件は次々と連鎖し、決して触れてはならないとされる「第九」の闇、貝沼事件へとつながっていく――というミステリアスな物語。完成度の高い作品世界にぐいぐいと引き込まれていきそうだ。二人で夏のサスペンスを楽しんで。TOHOシネマズ六本木で映画を楽しんだら、早速「六本木ヒルズ盆踊り 2016」の会場となる六本木ヒルズアリーナへ向かってみて。「六本木ヒルズ盆踊り」は今年で14回目を迎える六本木ヒルズの夏の風物詩。六本木ヒルズから誕生した歌手・六本木じろうが歌う六本木ヒルズオリジナル盆踊り曲「六本人音頭」に合わせて踊る、一般参加型のイベントだ。ぜひ二人で浴衣で訪れて会場を埋め尽くす浴衣に身を包んだ人々と一緒に盛り上がりたい。26日に行われる「楽劇 六本木楽」は、六本木ヒルズオリジナルの芸能演目で、日本各地にある大田楽のプロ集団“わざおぎ”と六本木ヒルズの住民や六本木ヒルズで働く方々、近隣エリアに住む一般参加者、総勢約150名が披露する圧巻のパフォーマンスだ。翌日の27 日(土)は岩手県盛岡市の「山岸さんさ踊り」、28 日(日)は青森県黒石市の「津軽民謡手踊り」が同じく披露される。会場には、六本木ヒルズ内のレストラン&ショップが、この時限りのオリジナルメニューを提供するオリジナル屋台16店舗とオリジナルキッチンカー6店舗が登場する。屋台では「バルバッコア (シュラスコ)」、「ベトナムごはん ロータスパレス イートアンドデリ (ベトナム料理)」、「トラヤカフェ (スウィーツ&カフェ)」など多彩なジャンルの名店が揃い、さまざまな串メニューが提供される。キッチンカーには、「ミシュランガイド東京 2016」にて昨年に続き1つ星を獲得した「ジャン・ジョルジュ 東京」をはじめ、けやき坂の名店や「グランド ハイアット 東京」も出店しており、リーズナブルな価格で各店自慢のメニューを味わうことができるので、お見逃しなく!そのほか、昔懐かしい夏祭りを体験できる輪投げや射的、お面などの遊戯屋台が並び、ワークショップ、ドラえもんとドラミのバルーンパレードなどがイベントを盛り上げる。また、浴衣で訪れれば六本木ヒルズ森タワー屋上「スカイデッキ」の入場料(通常大人500 円、子供300 円)が無料になるので、ぜひトライしてみてはいかが?夏の終わりを締めくくる一晩を過ごしてみて。『秘密 THE TOP SECRET』は全国にて公開中。(text:Miwa Ogata)
2016年08月20日菅田将暉と早見あかりが浴衣姿で花火見物をしながら、それぞれの想いを歌に乗せる「グランブルーファンタジー」のCMが注目を集めている。2人はこれまでの同CMシリーズで少しずつその“距離感”を縮めてきたものの、あともう一歩が縮まらない。そんな、ちょっぴりほろ苦い切なさとドキドキが詰まった“夏のカップル”を描くCMに迫った。■最旬男子&女子のその先が気になる!「グラぶってる?」を合い言葉に、菅田さん、早見さんほか、松重豊、富田靖子らが登場し、さまざまなシチュエーションのCMが製作されてきた「グランブルーファンタジー」。『デスノート Light up the NEW world』 『溺れるナイフ』など、話題作が途切れない菅田さんと、朝ドラ「マッサン」や人気ドラマ「ウレロ☆シリーズ」、映画『忘れないと誓ったぼくがいた』などに出演する早見さんは、同じ高校のクラスメイトという設定だ。最初の「屋上」篇で、「おまえ、あいつとグラぶってるの?」と菅田さんがジェラシー(?)を見せるところから始まった2人。菅田さんは続く「図書室」篇でも探りを入れつつ、6月の「教室でのひととき」篇ではさらに距離を縮め、ついに「グラぶらない?」と告白。実はこのCMには2パターンあり、1本は早見さんが「やだ」と冷静に突き放すも、もう1本では照れ気味に「いいよ」と答え、逆に菅田さんがちょっぴり戸惑う姿が映し出されている。そんな経緯をへて、夏の夜の浴衣デートが実現した最新CM「聞けない男子+言えない女子」篇。菅田さんはスマホにメッセージが届いても隠す彼女に、「誰から?」と聞くこともできない男子を、早見さんはそのメッセージが友人からの“告白確認”であることも、そして肝心の告白も言えずにいる女子を、甘酸っぱさいっぱいに自らの歌で表現。あの“鬼ちゃん”とはまた違うイメージの菅田さん、クールで“Sッ気”ある早見さん扮する2人のこれからが、気になるCMとなっている。また、『ちはやふる』「その『おこだわり』、私にも くれよ!!」、大河ドラマ「真田丸」などでさらに飛躍を遂げ、CM出演が急増中の松岡茉優は、ロッテアイス「爽」のCMで「時をかける少女」『青空エール』などの“ブレイク男子”竹内涼真、『ライチ☆光クラブ』などのイケメン個性派・柾木玲弥と共演。これまでの「丘」篇、「プール」篇での3人は、何かと世知辛い世の中をアイスを食べて乗り切ろう(?)という友だち同士の爽やかな距離感だったが、「バス停」篇ではドキッとするような出来事が!バスが定刻から遅れていることが気になる竹内さん。その185cmある長身の肩につかまり、背伸びをしながら引き寄せた松岡さんは、そっと耳打ちするが、その言葉にふいに顔を向けた竹内さんと“キス寸前”の近さに!よく見ると、背後では柾木さんがあくびをしており、2人のこの“事件”には気づいていない…?その後に竹内さんが見せる、ホッとした笑顔にも注目だ。カップルといえば、「ゼクシィ」の9代目CMガール・吉岡里帆と、その相手役・戸塚純貴の初々しい2人も見逃せない。吉岡さんは波瑠主演の朝ドラ「あさが来た」で一躍脚光を浴び、「ゆとりですがなにか」にも出演するなど今後も要注目の若手女優。また、「ゼクシィ」CM初、“相方”として登場する戸塚さんも『ライチ☆光クラブ』などに出演、「痛快TVスカッとジャパン」では“ウザい先輩or彼氏キャラ”を好演していることでも知られている。今回は、結婚するふたりだけがわかり合える「ふたりの法則」がテーマとなっており、「踊りだしたら」篇、「なあなあネコ」篇のキュートさはぜひ一度チェックしてみてほしい。■女性芸人×イケメン俳優のその先が気になる!結婚といえば、NTTドコモのCMでまさかの結婚式を挙げ、衝撃と驚きを届けてくれたのが、綾野剛と「ハリセンボン」の近藤春菜。しかも出会いは、綾野さん扮する新聞記者が、春菜さんと“父”・角野卓造に取材したことがきっかけ。メイキング映像を見ると、まるで実際の結婚式のように本格的で大がかりな撮影だった様子で、新婦姿の春菜さんもニヤニヤが止まらない!?ところが、最新の「ひかりって、誰?」篇では、綾野さんの寝言をとがめる春菜さんのひと言で、新婚の食卓が不穏な空気に包まれる。「仕事だ」と必死で弁明する綾野さんに、聞く耳を持たず、涙を見せる春菜さん。角野さんにもすっかり誤解されてしまった、夫婦の今後が気になる。さらに、アフラックの新CMで夫婦役となるのは、ぽっちゃり系芸人として大人気の渡辺直美と、CM界でも良き夫・良きパパを演じることの多い西島秀俊。突然入院することになった夫の病室を目指し、息子の手を引いて駆けつける渡辺さん。「あなた」「直美」と無事を確認して呼び合う姿は実に微笑ましく、メイキングでは、イケメン夫を前にセリフを噛んでしまったり、カットがかかってもしばらく手を握ったままだったり、ドギマギする渡辺さんの姿もチェックできる。なお、WEB限定で、渡辺さんが夫・西島さんではなく「トレンディエンジェル」の斎藤さんがいる病室に間違えて入ってしまうバージョンも登場。現在、引っ張りだこの斎藤さんはNTTドコモのCMにも出演しており、もしや、2組の夫婦のキーマンとなるのかもしれない!?(text:cinemacafe.net)
2016年08月15日今年1月に復活した人気ロックバンド「ザ・イエロー・モンキー」のドキュメンタリー映画が2017年に公開される。横浜アリーナで開催された全国ツアーの追加公演「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016 -YOKOHAMA SPECIAL-」の2日目にあたる8月3日(水)、同会場で発表され、情報解禁となった。現在、バンドは5月に始まった全国アリーナツアーを敢行中。8月には横アリでの追加公演や夏フェスへの参戦、さらに復興支援を目的とした福島での特別公演を行い、9月10日(土)、11日(日)の北海道公演でファイナルを迎える。本ツアー中、ボーカルの吉井和哉が何度となく活動の継続を宣言。その言葉通り、11月からは全国ホールツアーが決定し、長い眠りから覚めたバンドは、さらなる興奮と熱狂、希望と祝福を各地にもたらすはずだ。さる8月2日(火)、「YOKOHAMA SPECIAL」1日目の公演をセンター3列目で堪能する幸運を得た。彼らのライブを観るのは、解散前の実質的なラスト公演となった2001年1月の東京ドーム以来。「15年ぶりにライブを観る」なんて、日本のアーティストでは初の経験で、公演当日から早1週間経ったいまも、余韻から抜け出せず、味わった感動をうまく言葉で表現できないほどだ。ただ、少し不思議に思っていた疑問の答えは知ることができた。なぜ“再結成”ではなく、“再集結”なのか?バンド復活の第一報から、雑誌のインタビューやTV出演でのコメントなど、メンバーは“再集結”という言葉にこだわっているように見えた。そして、バンドを間近で目撃し感じたのは「ザ・イエロー・モンキーを再結成するために、4人が顔を揃えた」のではなく、「4人が再集結した結果、ザ・イエロー・モンキーが再生した」という確かな事実。この違いはファンにとっても、大きな意味がある。かつての栄光をコピペする再結成ツアーも悪くはないが、吉井をはじめ、菊地英昭、廣瀬洋一、菊地英二(ツアーにはサポートメンバーとして鶴谷崇が参加)という解散後も心のどこかで「ザ・イエロー・モンキーであり続けた」彼らが再集結することで、バンドは未知なる領域へ踏み出す決意を示した。だからこそ、ツアータイトルに“SUPER”の文字が刻まれ、サイヤ人のごとく彼らは「THE YELLOW MONKEY SUPER」への羽根を広げる。そのドラマティックな過程に迫る媒体として、ドキュメンタリー映画ほどふさわしいものはない。メガホンをとる松永大司監督は、気鋭の現代アーティストであるピュ~ぴるのドキュメンタリー映画『ピュ~ぴる』や、「RADWIMPS」の野田洋次郎を主演に迎えた長編劇映画『トイレのピエタ』などで高い評価を得ており、本作にうってつけのクリエーターだ。バンドにどう切り込み、いかに刺激的な化学反応を生み出してくれるか期待したい。(text:Ryo Uchida)
2016年08月13日人と人は、こんなにも思い合えるのだろうか。連れ添って、寄り添って76年。98歳のおじいちゃんと89歳のおばあちゃんは、今でも顔を近づけあってはたわいもない会話をし、付き合いはじめの恋人のように初々しく笑い、おどけ、そしてはしゃぐ。「生まれ変わっても世界で一番あなたが好きよ」とおばあちゃんは言い、「足が痛い」という彼女の膝におじいちゃんはフーフーと息をふきかける。愛し、愛されるということが、なんだかとても「奇跡的で特別なこと」のように感じてしまう現代の中で、いとも自然に「愛する」行為を繰り返すふたり――。――と、なんだか真面目くさったテキストを書き綴りながら、ただただ現在公開中の『あなた、その川を渡らないで』のふたりが羨ましい!!「理想の夫婦」、「憧れの夫婦」と誰もが思うであろうこのふたりを、一番近くで見続け、撮り続けてきたチン・モヨン監督はどのように感じたのか。当時のふたりのこと、作品についてお聞きしました。――監督が本作を撮ろうと思った最初のきっかけは、おじいちゃんとおばあちゃんが紹介されているTV番組を見たことだったそうですね。監督:このふたりをテレビで初めて見た時、「あまりにも凄い夫婦だ」と思ったのです。「色鮮やかなお揃いの民族衣装を着て町に出る老夫婦」ということで注目され、テレビで紹介されていたのですが、実際おふたりは本当に仲睦まじく、私はそんなふたりにストーリー性を見出したのです。テレビで一瞬だけ紹介されて終ってしまうにはあまりにも残念だと思い、世界中の人たちに見てもらう方法として映画で撮ってみたいと思うようになりました。――「あまりにも凄い夫婦」とはどのような点からそう思われたのですか?監督:最近の人たちを例に取って言いますと、若い方々はイベントを行ったりして愛情を表現し、確かめあったりしますよね。そういう一過性のものは誰でもできると思うんです。この夫婦は、日常のとても些細なことに愛情を込めて、それを何十年もの間ずっと続けてきた、お互いに対する愛情を常に持ち続けてきているんです。これって簡単なことではないと思います。どうしたら長い年月変わることなく、愛情を持って接することが可能なのか、というふうに考えた時に、ふたりがどのような暮らしをしてきたか、ふたりの生活ぶりの中に何かヒントがあるのではないか、そう思いふたりに密着させてもらうことにしたのです。――ふたりの生活の中に特別変わったことは本当に描かれていないですよね。ふたりで食事をし、掃除をし、買い物に出かけたり。そんな誰もが日常的に行っている行為が、なぜだかまったく別世界のように光輝いて見えます。監督:学識のある立派な方たちが言葉で表現するよりも「百聞は一見にしかず」で、とにかくおふたりの暮らしぶりを見てもらえれば、私が「凄い夫婦だ」と思ったことも伝わると思います(笑)。愛情を長く持続するための鍵が何なのかが、見るだけで伝わると思います。――おふたりに密着して撮影するにあたり、印象的なことはありましたか?監督:韓国では特別問題がない限りだいたいの方は撮影をOKしてくださるのですが、おふたりは「一日だけ時間を下さい」とおっしゃいました。撮影をすることで、子どもたちがどう思うかを知りたかったそうです。お子さんたちは、ご夫婦が高齢だということが心配だったそうですが、最終的には、「おふたりの良い記念の映像になる」ということで撮影を許可してくれました。――監督からおふたりや家族の方に何かお願いしたことなどはあったのでしょうか?監督:私からはひとつだけご家族にお願いをしました。おふたりともご高齢なので、「もしかしたら撮影中に病気になるかもしれないし、最悪の場合亡くなるかもしれない。それでも最後まで記録を撮らせて欲しい、最後まで撮影をさせて欲しい」といったことです。お子さんたちもご本人たちも同意をしてくださって、本来、おじいさんが亡くなるということは予測していなかったのですが、最終的に亡くなるところまでを撮ることになりました。――約15か月もの間、ほぼ3人で過ごしていらっしゃったのですものね。それだけ長い間密着していれば、本当の家族のような関係になったのではないですか?監督:家族という表現はあまりふさわしくないかもしれません。私としては「映画を創る人間」という立場で存在していたつもりです。ただですね、ご夫婦だけで住まわれていたので、私がおじいさんの最期の瞬間まで、最も至近距離で、最も長くおふたりを見ていたということで、互いにかなり情が湧いて、仲良くなったのは事実です。お子さんたちにも話したことがないような話をひとつずつ話してくれることもあり、映画を観たお子さんたちが「こんな話は初めて聞いた」と非常に驚かれていました。――作品の中のおばあちゃんはなんだかとてもお茶目で、おじいさんはそんなおばあちゃんを優しく見守っているという構図がとても素敵です。監督:これは笑い話なんですど、撮影が終了して最後に「私を末の息子にして下さい」とおばあさんに言ったところ、「息子はダメ。息子はあまり親孝行をしないから」と言われました(笑)。その代わり、私の妻をすごく気に入ってくれて、「彼女を私の娘にするから、あなたは娘婿になりなさい」と言ってくれました。おばあさんもおじいさんも撮影期間中、本当の息子のように優しく接してくれました。今も久しぶりにおばあさんと再会すると、抱きしめてくれます。そして泣かれるほど喜んでくれます。――それだけ密な関係を作ってこられたからこそ、おじいさんとおばあさんは監督の前で本当に日常の姿を見せられているのでしょうね。監督:私自身は監督なのでカメラを持っている限り、一個人としてふたりを見ることは出来ませんでした。ただ、私がカメラを持っていない時に見た夫婦の姿と、カメラを通して見る夫婦の姿はまったく同じでした。常にふたりはいつもと同じ様子で、カメラがあろうがなかろうが同じだったということです。――おじいさんの看病をしながら眠ってしまったおばあちゃんの頭を、おじいさんがそっとなでる、というシーンで完全に涙腺が崩壊してしまったのですが、監督自身は、おふたりから何を得られましたか?監督:私自身も、彼らの人生を通じて「愛というものに関するヒントを得たい」という気持ちがあったので、撮影しながらもふたりの様子をつぶさに観察していました。ご夫婦はそれをひとつひとつ余さず私に見せてくれました。そしてわかったのは、「愛はすごい」、とかそういったものではなく、この老夫婦にとっては日常のとても些細なこと。その些細なことひとつひとつに真心が込められていたということでした。それがある意味ではこのふたりの凄かったところだと思います。――「美的アジア」の読者は結婚を考える年代でもあります。観客にどのようにこの作品を見て欲しいと思われますか?監督:私は愛の専門家ではないですが…(笑)、最近は100歳時代とよく言われていますけど、人間は生まれてから死ぬまでひとりで人生を過ごす時間よりも、誰かと一緒に過ごす時間の方が非常に長いというふうに思います。この老夫婦の場合は76年間をひとりではなくふたりで暮らしてきたのですが、どうせ一緒に長く暮らすなら、長ければ長いほど幸せでなくては暮らせないというふうに思います。おふたりの間でも色々なことがかつてはあったんでしょうけれども、やはり愛の中で、愛するという行為の中でふたりが生きていたということを感じていただければと思います。もし愛がない中でふたりが生きていたとしたら、ふたりで暮らしていたとしたら、それは非常に不幸なことになってしまうと思います。――「愛」ってなにげない光の中に、実は大きく存在するものなのかもしれないですね。監督:よく「私はこの人にこれだけ愛されて幸せ」というような言い方をされる方がいますが、本当の幸せというのは「愛されたから幸せというのではなく、自分が愛したことによって幸せになるもの」じゃないかとおふたりを見て改めて感じました。人を愛するということは、自分自身を尊重するということにもなってくると思います。お互いが愛し合っていい関係を作るためには、愛することによって自分自身を尊重し、お互いの思いやりを維持する、これが本当の「愛するという行為」なのだと思います。なんだか哲学的になってきましたよね(笑)。私が好きな詩の中で、「我々は偉大なことを成し遂げるのではなくて、小さなことを最後まで続けていく、それが人生というものなのだ」というような趣旨の詩があるんですけども、このふたりがまさにそうで、熱烈な愛を貫き通したのではなく、日々の小さな愛の積み重ねが結局は長い愛に繋がったというふうに思います。――この作品を観ることで結婚していない人もすごくいいヒントをもらえそうですね。監督:ぜひ、どんどん結婚してお子さんが生まれるようになるといいですね(笑)。――ちなみに、この作品では、自分の祖父母のことを重ねて観てしまったりもしたのですが、監督はおじいさんやおばあさんとの思い出はありますか。監督:実はですね、母方の祖父が唯一私が10歳の時まで生きていたんですけど、他の方は私が生まれる前に亡くなっているんです。私にとっての祖父との思い出はよく私の家に遊びに来て手土産に必ず同じキャンディを持ってきていたことです。キャンディの中にピーナッツが入っているもの。それが鮮明に記憶に残っています。しかもこの作品のおじいさんのように昔の韓国の伝統衣装を着ていたんです。この映画も、夫婦の愛を描いているわけですけど、結局いまおっしゃられたように、家族に対する想いというものを改めて思い起こさせるような作品だとも思っています。おじいさん、おばあさん、もしくは年老いた両親を思い出す人もいるでしょうし、結婚した子供を持つ親御さんが観れば「あなた達もこの夫婦のように末永く幸せになって欲しい」と思う方もいらっしゃるでしょう。実際に結婚したお子さんたちにこの映画を勧めてくださった観客の方もいらっしゃったそうです。あらめて家族について考えさせる、そういった作品にもなったのではと思います。(text:Tomomi Kimura)
2016年08月07日2004年、米国の大統領選の最中に、勃発したブッシュ政権を揺るがすスクープと、それに翻弄された人々の姿を描いた映画『ニュースの真相』。当時、再選を狙っていた現職大統領ジョージ・W・ブッシュの軍歴詐称疑惑を追ったCBSニュースの看板番組「60ミニッツII」のスタッフたちが、大スクープを手にした後、捏造疑惑をかけられた騒動の裏側が描かれている。原作は、「60ミニッツII」の元プロデューサーで本作の主人公でもあるメアリー・メイプスによる自伝「Truth and Duty: The Press, the President, and the Privilege of Power」。真実のために、人生、キャリア、名声のすべてを懸けるジャーナリストたちの真の姿に迫ったストーリーは、騒動の顛末を知る彼女の“肉声”とも呼べるものであり、観る者の心を強く揺さぶる。監督は、『アメイジング・スパイダーマン』『ホワイトハウス・ダウン』『インディペンデンス・デイ:リサージェンス』など、数多くのヒット作に脚本家として参加してきたジェームス・ヴァンダービルト。本作で監督デビューを果たした彼に、作品に込めた想いを聞いた。――この事件に興味を持った理由は何だったのでしょう。「私はライターになりたいと思って育ったんですが、長年、ジャーナリズムなのか映画なのか、どちらがいいのかと考えながら育ちました。というわけで、ジャーナリズムには非常に魅了されていて、ニュースの作り方とかその舞台裏についての映画が大好きだったんです。なので、自分もそういうものが作れたらいいなと思っていたことがひとつ。もうひとつは、メアリー・メイプスさんの本にとても感動したからなんです。テキサスに行き、彼女の家族に会って、かなりの長い時間を過ごし、いろいろな話をしました。彼女は非常に強い女性で、世界のいわば頂点に居て、そこから引きずり降ろされた。その間、彼女がいかにして耐えたかということは、とてもエモーショナルな話だと思いました。そんな物語性と、自分の興味のあるニュースの舞台裏と、その両方が描けると思い、この題材を選んだんです」。――映画はジャーナリズムではないですが、本作からは、犠牲を払ってでも伝えるべきことがあるという信念に基づいた “ジャーナリズムの本質”、つまりは最近なかなか感じることのできない“報道の良心”のようなものを感じることができました。伝える者の気持ちをダイレクトに語るということは、報道番組ではできないこと。映画ならではの表現ですね。監督が目指したものもそれだったのでしょうか。「まさにそうです!まず、最初に私が目指したゴールは、メアリーとダンのストーリーをなるべく正直に、誠実に正確に伝えるということ。彼らの旅路というものをしっかり伝えるということでした。私自身、ジャーナリズムというのは非常に気高い仕事だと思っているんです。非常にハードワークで、あまりお給料も良くない。特に最近はあらゆるものが大企業化していったり、政府が圧力を加えたりすることによって、ジャーナリストが何かを伝えるということがどんどん危険になっていると思うんです。だから、尚のこと彼らに尊敬の念を抱いているんです。真実を伝えるということこそ本当の偉大なジャーナリズム。ジャーナリストは、真実を伝えるために危険をいとわない、非常に高貴な仕事をしている人たちだと思っています」。――今も、リスクを承知で真実を追おうとする健全なジャーナリズムは、アメリカに存在すると思いますか?「そう信じています。ただ、ストーリーを、ニュースを伝えるのは難しくなっているし、真実を伝えようとするレポーターたちが、ネットワークや周囲のサポートを得にくくなっているとは思います。まさに『60ミニッツ』が健全なジャーナリズムだったと思うけれど、そういう調査報道番組はどんどん減ってきていて、もっとエンターテインメント性のあるニュース番組もどきが増えてきて、いわゆるハードなジャーナリズムは減ってきていると思います。それは、だんだんネットワークが企業化してきているというのが理由だと思いますね」。――今回映画で描かれた騒動が会った後、メアリーはTV業界を、ダンは「60ミニッツII」を去りました。その後、TVジャーナリズムに変化はあったと感じますか?「あったと思います。だからこそこの話を描きたいと思ったんです。多分ダン・ラザーが番組を降板するきっかけになったこの騒動が、インターネットが有名な人を引きずり下ろした最初の出来事だと思うんです。彼は30年以上番組を続けていて、人々に信頼されてきた人ですが、2週間足らずのあいだにいろんなことが起こって、ネットワークの支持が受けられなくなり、降板に至った。この事件によってインターネットで誰かが騒げば、有名な人でも引きずり降ろされてしまうということ、それによってもともとのニュースの趣旨が曖昧になるということが起きるようになった。現在の主流はツイッターですよね。10何年前のメアリーやダンがやっていた時代とは全く変わったと思います」。アメリカのジャーナリズムを変えたスクープ騒動を、意欲的に描いたジェームス・ヴァンダービルト監督。デビュー作とは思えない、完成度の高い心理描写はもちろん、大物俳優たちの競演を見事に演出したその才能に、ぜひ注目して欲しい。(text:June Makiguchi)
2016年08月07日6月27日から7月10日まで、今年も2週間にわたって開催されたテニスのウィンブルドン選手権。試合観戦を目的にセレブたちも来場するのは、もはや例年通り。その中には海外ドラマ界のスターも多く、「シャーロック/SHERLOCK」の新シーズンが待たれるベネディクト・カンバーバッチをはじめ、「ゲーム・オブ・スローンズ」からはソフィー・ターナー、メイジー・ウィリアムズ、アルフィー・アレン、チャールズ・ダンス、「ダウントン・アビー」からはマギー・スミス、リリー・ジェームズ、アレン・リーチ、「風の勇士 ポルダーク」のエイダン・ターナーなどの姿がありました。そんな中、注目したいのは、スーツにショルダーバッグでの来場姿が妙に初々しかったドミニク・クーパー。現在、彼は「ウォーキング・デッド」や「ブレイキング・バッド」の米ケーブル局AMCが新たに放った「プリーチャー」の主演俳優として人気を集めています。今年5月から全米放送が始まり、日本でもAmazonプライム・ビデオで配信中の「プリーチャー」は、ガース・エニス&スティーヴ・ディロンの同名コミックをドラマ化したもの。企画・製作総指揮にはセス・ローゲンと相棒のエヴァン・ゴールドバーグ、そして「ブレイキング・バッド」の脚本家サム・キャトリンが名を連ねています。主人公は、ドミニク・クーパー演じるテキサス州の牧師ジェシー・カスター。教会に来る人々の心を説教で動かすこともできない落ちこぼれ牧師のジェシーは、ある日謎の存在に憑依され、言葉で人を操る力を身につけます。そんな彼の前に、ファンキーな吸血鬼キャシディ(ジョセフ・ギルガン)やジェシーの悪党時代を知る元恋人のチューリップ(ルース・ネッガ)が登場。ジェシーは謎の力に翻弄されつつ、彼らや街の人々と運命を交錯させていきますが…。ジェシーに宿った力は何なのか?ジェシーと彼を取り巻く人々はどうなってしまうのか?そんな謎を追いながら、ダークでユーモラスに物語が展開。設定はファンタスティックですが、バイオレンス描写あり、スパイシー過ぎるジョークありの大人向けドラマになっています。なかでもやはり注目すべきはドミニク・クーパーの存在感で、力を身につけたことでダメ神父から良くも悪くも変化していくジェシーがとにかくカッコいいです。また、「『ビッグ・リボウスキ』は過大評価された映画だ!」と主張し、ジャスティン・ビーバーを密かに愛する吸血鬼キャシディとほんのりバディ状態にあるのが可笑しく、会話の1つ1つや登場人物たちの一挙一動にクスッとさせられるのもシリーズの魅力です。今オススメの新ドラマは?と聞かれたら、間違いなく真っ先に挙げたい「プリーチャー」。ハマリ役を得たドミニク・クーパーに痺れるもよし、セス・ローゲンの敏腕クリエイターぶりにひれ伏すもよし。ぜひ楽しんでいただきたいシリーズです。(text:Hikaru Watanabe)
2016年08月06日大好きなロバート・レッドフォードが出ているから――という理由で観た『ロング・トレイル!』ですが、とんでもなく“旅”ごころをくすぐる映画でした。セミリタイアに近い生活を送っていたノンフィクション紀行作家のビル・ブライソン(ロバート・レッドフォード)と旧友スティーヴン・カッツ(ニック・ノルティ)が、人生の刺激を求めてロングトレイルの旅に出るお話です。歩く旅ものといえば、リース・ウィザースプーン主演の『わたしに会うまでの1600キロ』や、エミール・ハーシュ主演の『イントゥ・ザ・ワイルド』もそうですが、この『ロング・トレイル!』の旅人は老境のど真ん中の2人。人生の挫折から立ち直りたくて…とか、人生の意味を見出したくて…とか、若者の旅の目的と異なる。それも面白さのひとつです。ビルの場合は、もう一度“冒険”してみたいというワクワク感に近い。退屈な日々だなぁと思っていたある日、家の近くを散歩していたらアパラチアン・トレイルを見つけて、旅に出たくなってしまったのです。妻が心配するので1人旅はあきらめて旅の友を探すものの、なにせ“いいお年”なので3500キロを歩く体力と気力のある友人は簡単には見つからず…。連絡を取ってきたのは40年前にケンカ別れをしたままのトラブルメーカー、カッツひとり。性格も生き方も正反対の2人が一緒に旅をする、というのだから面白くないわけがない!もう、珍道中です。若くない2人だからこそ醸し出せるユーモア、人生を知っているからこそ心に染みるセリフ。そして教えてもらったのは、ベストを尽くせばそれでいい――ということ。ロングといかなくてもショートトレイルの旅に出たくなる、元気をもらえる映画です。(text:Rie Shintani)
2016年08月05日夏と言えば、恋の季節!テレビドラマのなかでも、この時期は恋愛ものへの注目度が格段にアップする印象があります。そこで今日は、毎クール全作品をチェックしているドラマニアな筆者がおすすめのラブストーリーをまとめてご紹介。2016年夏、胸キュン必須の3作品はコレだっ!■この夏、あなたも恋がしたくなる三者三様の胸キュンが詰まった「好きな人がいること」女子高生を中心としたティーン世代から大きな注目を集めているドラマ「好きな人がいること」。「主人公のもどかしい気持ちに共感する」「夏向のツンデレがたまらん!」と、毎週Twitterのタイムラインが激しく更新される月9枠。正直なところ、最初はあのキラキラ感にどこまでついていけるか…とても心配だったのですが、物語全体がポップな会話を中心に展開していくため、とても見やすい仕上がりとなっていて一安心。同じく“夏”“イケメン”をテーマとした「ビーチボーイズ」ともまた一味違う、現実と理想の割合が程よく五分五分な(笑)2016年らしいお話となっていますよ~。食わず嫌いならぬ、見ず嫌いはちょっぴりもったいないと言えるかも!?なかでも特におすすめなのが、まるで恋愛シミュレーションゲームをプレイしているかのようなイケメン三兄弟と主人公の会話。山崎賢人さん演じる夏向のドSぶりにハマってしまったという方も、少なくないのでは…?心のどこかに「好きな人色に染まりたい」M心を秘めている世の女性達にとって、彼の言動はどうにも心惹かれるものがあるはず。笑顔で話しかけても、イヤホンで完全遮断。しまいには海に突き落とされるという主人公らしからぬ仕打ち展開があるからこそ、その後の“デレ”対応にノックアウトされてしまうので要注意が必要です。加えてもし「私はそういうツンデレちょっと苦手…」という方には、兄・千秋を演じる三浦翔平さんの甘々紳士対応、そして弟・冬真を演じる野村周平さんのイケイケ慣れ男対応がおすすめ。三者三様のイケメン達に翻弄されまくる主人公・桐谷美玲さん演じる美咲の冷や汗顔にも注目してご覧くださいませ。■見どころは、タッキーの乱れた姿!?危険な恋から目が離せない「せいせいするほど、愛してる」昨年よりして人気の高い不倫ドラマが、夏クールでも乱れまくっています!武井咲さん演じる未亜が、知らず知らずのうちに危険な恋に身を染めてしまうラブストーリー「せいせいするほど、愛してる」。実際に人気の高いジュエリーブランド、ティファニージャパンが全面協力している作品とあって、ザ・大人女子を演じる武井さんのファッションやアクセサリーがとにかく可愛いのが特徴的。ストレス発散に1人カラオケで熱唱している辺りも、絶妙なリアリティを感じますよね~。またインターネット上では、イケメン副社長を演じる滝沢秀明さんのストレス発散法に世間が沸いているのをご存知でしょうか。家中の電気をつけて、ボリュームガンガンでエアギターを弾き荒れるその姿に、ダイノジ・大地さん(世界大会優勝経験あり)も大絶賛!いまのところ2話に1度くらいは登場している定番シーンなので、是非探してみてくださいね。さてドラマは早くも後半戦に向け、折り返し地点に突入しています。タッキー演じる副社長と愛人契約を結んだ未亜は、彼の背後に潜む衝撃の真実を受け止め切ることができるのか!?原作が、「東京ジュリエット」「罪に濡れたふたり」などの名作でお馴染みの人気漫画家・北川みゆきさんということもあり、最終回まで何度も繰り返されるであろう“裏切り”と“安堵”の連鎖を存分にお楽しみいただきたいと思います。ほっと一息つく暇のない、真夏にぴったりのジェットコースタードラマと言えるでしょう。■気になる三角関係の行方は…?原作と違う展開にハラハラドキドキ「時をかける少女」そして最後がこちら。放送開始前から大きな話題を呼んでいた、リバイバル作品「時をかける少女」です。原作ファンの皆さんはきっと心のどこかで、「あのアニメを超える実写化は難しいだろう」と思っていたことでしょう。私も少なからずそう考えていたのですが…、実際放送を見てみると、ドラマオリジナルの展開が非常に魅力的に描かれていましたよ。初のドラマ化に際し、趣向を凝らした展開に惹きこまれる出来となっていますので1度試してみる価値がありそうです。なかでも、主人公・未羽(黒島結菜)×親友・吾朗(竹内涼真)×未来人・翔平(菊池風磨)の三角関係が切なくて切なくて…胸が痛い!アニメ版にはなかった“未来人視点”というネタバレからのスタートがとても斬新で、「未来には恋心が存在しないって本当!?」「自分が幸せを感じているその裏で、傷ついている誰かがいるのかも?」と、ついつい一緒に手に汗握らされてしまいます。本作には翔平の他にも、遠い未来から2016年へ一緒に飛んできてしまった後輩・ゾーイ(吉本実憂)、翔平とはまた違う未来からやってきて未羽の世界に永住することを決めた謎の男(高橋克実)という二人の未来人が登場。彼らが一体どのような道を選び生きていくのか、その動向が主人公達の恋路にも大きく影響してくるので、着目して見てみてはいかがでしょうか。本ドラマは全5回という珍しい枠組みなので、今週放送の最終回をお見逃しなきようご注意くださいませ。以上、いかがでしたか?いまからでもまだ間に合います。この夏はテレビドラマで、様々な愛の形をご堪能あれ~!(text:Yuki Watanabe)
2016年08月04日12年ぶりの“国産ゴジラ”映画として、全国公開された『シン・ゴジラ』が快進撃を続けている。スマホ片手に小さなモンスターを捜し歩く人々が街にあふれる一方で、多くの日本人がスクリーンで大暴れする伝説の巨大怪獣にクギづけになっているのだ。さる7月29日(金)から全国で封切られ、公開3日間で興収8.47億円、動員56.5万人を記録。興行通信社が週末動員ランキングを開始した2000年以来、初めて日本版「ゴジラ」シリーズがランキングで1位に輝いた。すでに興収10億円を突破しており、1954年の第1作から本作を含めたシリーズ29作品の累計動員数が1億人を突破するビッグニュースが飛び込んだばかり。アニメ優勢と思われた夏休み映画シーズンに、大きな足跡を刻みつけている。この快進撃の理由として、まず挙げられるのが徹底した秘密主義。「エヴァンゲリオン」シリーズの庵野秀明総監督×豪華キャスト328名という一大プロジェクトでありながら、題名や公開日、全身ビジュアルや予告編を除くとほとんど事前情報が明らかにならず、報道陣に向けた試写もわずかしか行われなかった。新作が待たれる『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』同様、「まっさらな気持ちで見てほしい」という庵野氏の思いが強く打ち出された結果だ。そんな飢餓感が高まるなか、公開の10日前にあたる7月19日(火)に都内で行われた完成報告会見を機に、テレビやウェブなどを中心にしたプロモーションを大展開。ゴジラを迎え撃つ日本政府のごとく、「短期決戦」の様相でお茶の間から、ポケモンを探すスマホにまで情報が「集中砲火」された。公開日には、329人目のキャストとして狂言師の野村萬斎が、モーションキャプチャでゴジラを演じたことも明らかになり、大きな話題を集めた。改めて“庵野人気”の高さも証明された。気づけば『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』公開から早4年。昨年4月に『シン・ゴジラ』製作が発表されると、「そんなことより『シン・エヴァ』は?」とイラ立ちにも似た声もあがったが、いまでは『シン・ゴジラ』と「エヴァ」の共通点を見出すファンも多いようで、作り手とファンの幸福な愛憎関係は健在だ。庵野氏本人も『シン・ゴジラ』完成に「救われた」と発言しており、今後の動向が注目される。『シン・ゴジラ』は全国東宝系にて公開中。(text:Ryo Uchida)
2016年08月04日痛い。とにかく、痛いのです。これまでも、『ブリジット・ジョーンズの日記』とか『セックス・アンド・ザ・シティ』とか、同年代の女性たちの素顔が赤裸々に描かれていた映画やドラマはいっぱいありました。でも、自分とは少し違っていたのか、共感しつつもどこか他人事で、大笑いする余裕があったのでした。そんな私の痛点は、ここにあったのかという感じの、映画『ヤング・アダルト・ニューヨーク』。もはや、痛みを紛らわすために笑うしかないという状況。自分を取り巻く環境を客観視できたという意味でも、とても貴重な体験となりました。主人公は、“子どもはつくらない”と決めた40代のカップル。夫のジョシュはドキュメンタリー監督で、大評判だった前作以降、8年間もひとつの新作を撮り続けています。新作完成のめどがたたず、現在はアートスクールの講師としても働いている彼。妻のコーネリアは有名な映画監督の娘で映画プロデューサー。満たされているけれど、どこか単調な毎日に飛び込んできたのは、ジョシュを尊敬しているというジェイミーでした。映画監督を目指す彼はドキュメンタリーの処女作を撮る計画を立てているのです。ジェイミーの妻ダービーは、手作りアイス職人。デジタル時代の真っただ中にありながら、レトロ志向の彼らはレコードやタイプライター、手作り家具などを好み、ちょっとボヘミアンで、クリエイティビティ溢れる生活を送っていました。深く知るにつれ、その自由で軽やかなライフスタイルと価値観に惹かれていくジョシュとコーネリア。いつしか彼らと共にする時間が増えていくのです。20代の若者と同化できるほど若いとは思っていないけれど、共有できる感覚を見つけてはどこか浮かれる40代カップル。うっかり、「自分だってまだまだ捨てたもんじゃない…」と思ってしまったりして。無理に自転車移動にトライして腰をいためるジョシュ、ヒップホップダンスでどこか調子はずれなコーネリア、不思議なスピリチュアルイベントに参加しさえする彼らは、やはり無理しているようにしか見えません。本当に好きならいいのですが…。彼らの行動が多少デフォルメされているとはいえ、似たような状況に身を置いちゃっている大人たちもいるのではないでしょうか?なまじ外見が、年齢の割に若く見える今の40代。演じるベン・スティラーにしたって、ナオミ・ワッツにしたって、確かにまだまだイケる。実はそこが落とし穴なのかもしれません。昔に比べれば、今の30、40、50、そして60代の外見的そして肉体的若々しさは奇跡的のはず。だからでしょうか、つい“若かったあの頃”と決別できなくて。若さを保とうとすることはいいことですが、ファッション、ヘア、メイクなど、“若かったあの頃”と決別できずにいると、とんでもないことになることをちゃんと自覚しなければならない、40代というお年頃の難しさを、しみじみ感じる作品でした。歳を経ても外見がかつてほど急速に劣化しないなら、世代間の違いを物語るのは価値観ということになるのかもしれません。実際に、上手く付き合っていた二組のカップルにズレが生じ始めたのは、その違いが露わになり始めてから。世代間に横たわる大きなギャップ、つまり育った時代や環境で育まれたモラル、価値観の違いは確かにその二組のカップルの間に存在していたのです。違いとは面白さを生むもの。今ある価値観に疑問を持つことで、新時代の新しい価値が生まれてきたことを考えれば、若者たちの無謀さも無くてはならないもの。この作品が描く、“ヤング”と“アダルト”のバトルを見ていると、無謀な若者たちよりも、大人になりきれない“若いつもり”の40代のほうが、よほど“こじらせている”ように見えて切なくなるのです。20代のカップルの言い分に納得できるとしたら、きっと若者。痛みが強いようなら大人。ちょっと踏絵のような映画ではあるけれど、現代を見事に描写したコメディという意味でも、自分を客観視できる映画という意味でも、秀作と呼べるこの作品。「大人になるってどういうこと?」と疑問を持ち続ける方に、ぜひおすすめしたい一作です。(text:June Makiguchi)
2016年07月31日【ママからのご相談】保育園に通う娘がいます。夏になると出てくるゴキブリに困っています。ムシは苦手で、特にゴキブリは怖くてたまりません。掃除はしっかりやっている方だと思います。他に対策はありませんか?●A. ゴキブリはレモンやハッカが大嫌い!こんにちは。整理収納アドバイザーの澤田真美子です。2013年に『オウチーノ』が首都圏を対象に、“住居内の「虫トラブル」実態調査!”というアンケート調査を行いました。その結果、1年間でゴキブリとの平均遭遇回数が一戸建てで約5回、集合住宅が約3回 ということがわかりました。このことから、一戸建てと集合住宅で差がみられたものの、多くのお家でゴキブリが出没しているということがわかります。●ゴキブリの苦手な香りでゴキブリ対策をしましょうゴキブリ対策には、お家を清潔に保つことと風通しを良くすることが必須です。お掃除をこまめにされているということなので、身近にある、夏らしい香りを使ってゴキブリ対策をしていきましょう。身体にある安全なモノばかりなので、小さなお子さんがいても安心です。●(1)レモンを使って対策ゴキブリはレモンが嫌いだと言われています。レモンだけでなく、かんきつ類のニオイを嫌います。レモンはスーパーなどでも手に入りますし、レモン果汁も販売されています。100円ショップなどでも購入できますので、ぜひ探してみてください。レモン汁をゴキブリが通りそうなところやゴミ箱などに吹き付けておく だけです。しかし、レモン汁には樹脂を溶かしてしまう成分が含まれています。フローリングの床や家具にはふきつけない ようにしましょう。●(2)ハッカを使って対策ゴキブリはハーブの香りが嫌いだと言われています。特にハッカが嫌いなので、ハッカの香りでゴキブリを予防しましょう。ハッカ油が薬局で販売されています。ガーゼに少量しみこませ、部屋の隅に置いておく だけです。ゴキブリ以外の虫にも効果があります。ただし、もしもペット がいたり、ハッカの香りが苦手だったりする場合はこの方法は使わないようにしてください。----------カンタンに手に入る身近な香りを使ってゴキブリ対策をする方法をご紹介いたしました。夏の暑い季節、レモンやハッカのさわやかな香りを楽しみながら、ゴキブリ対策をすることができます。ぜひお試しください。【参考リンク】・住居内の「虫トラブル」実態調査! | 株式会社オウチーノ(PDF)()●ライター/澤田真美子(整理収納アドバイザー)
2016年07月31日先頃のエミー賞ノミネート発表で作品賞など最多23ノミネートを獲得し、放送終了後も盛り上がりを見せ続ける「ゲーム・オブ・スローンズ第六章:冬の狂風」。昨年に続いての作品賞受賞が期待されるほか、ジョン・スノウ役のキット・ハリントンと来日したアリア役メイジー・ウィリアムズがそれぞれ助演男女優賞に初ノミネートされるなど、今年も注目ポイントが盛りだくさん!キャストも勢揃いする授賞式では、ドラマの興奮が再びこみ上げてくることになりそうです。そんなエミー賞授賞式を楽しみに待ちつつ、今回も前回に続き、“「ゲーム・オブ・スローンズ」的観劇旅行のススメ”をお送りします。ジョン・スノウ役のキット・ハリントンが出演していた「ドクター・フォースタス」、ロブ・スターク役のリチャード・マッデンが出演する「ロミオ&ジュリエット」に続き、足を運んだのは「ザ・スポイルズ」。こちらには、シオン・グレイジョイ役のアルフィー・アレンが出演しています。「ザ・スポイルズ」は、『ソーシャル・ネットワーク』などで知られるジェシー・アイゼンバーグが自ら脚本を手掛け、主演も務める舞台。昨年の初夏にオフブロードウェイで初演を迎え、話題となった人気の舞台がロンドンでも観られることになりました。ジェシー演じる映像作家志望のベンは、甘ったれで横柄なひねくれ者。ルームメイトのカルヤン(「ビッグバン☆セオリー」のラージことクナル・ネイヤー)は、皮肉屋の彼に振り回されがちです。そんな中、ベンの初恋の相手サラが結婚することに。それを知ったベンはカルヤンを巻き込みながら、彼女の奪還作戦を練り始めるのですが…。ベンとカルヤンが同居するアパートの一室を舞台にしたワンシチュエーションの物語は、会話の応酬と登場人物それぞれの一挙一動にクスクスと笑わされるもの。なかでもやはり、よく喋り、よく怒り、よく悩み、そしてカルヤンによく甘えるベンの面倒臭い困ったちゃんぶりがキュートです。そして、ベンの憎き恋敵テッドを演じるのが、アルフィー・アレン。サラとの結婚を控えたテッドは、ベンの幼馴染みでもあります。ベンとは対照的に人柄もよく、安定した職業に就いているテッドは、傲慢で薄情だったシオン・グレイジョイとはもちろん全く異なるキャラクター。シオンも過酷な運命をたどることで徐々に成長し、頼もしさを見せ始めているとは言え、『ジョン・ウィック』でもマフィアのダメ息子を演じて印象を放っているアルフィーだけに、人のよいテッドを好演する彼の姿は少々意外でした。「ゲーム・オブ・スローンズ」とのギャップを味わう!という意味でも、「ザ・スポイルズ」は大いに楽しめる作品です。「ザ・スポイルズ」はトラファルガースタジオで8月13日まで上演。この夏、“「ゲーム・オブ・スローンズ」的観劇旅行”をしてみませんか?(text:Hikaru Watanabe)■関連作品:ゲーム・オブ・スローンズ[海外TVドラマ](C) 2012 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related programs are the property of Home Box Office, Inc.
2016年07月31日“おひとりさま”で飲むときは、だいたいグラスワインを1~2杯が定番ですが、夏の季節はモヒート率が高くなります。数日前も帰りに一杯!と思い、最近見つけたバー(イケメンが揃っていて、軽い食事もできて、かなりお気に入り!)に寄ったものの、考えることはみんな一緒なんですね…フレッシュミントが品切れで、ああ、残念。代わりに選んだのは“ブルームーン”。すみれのリキュールを使ったカクテルですが、あの香り、好きなんですよね。カクテルのブルームーンの名前は、青い月=ブルームーンの色に似ているからだそうです。3年に1度、ひと月に2回満月を見られる月の名称で、ブルームーンを見ると幸せになれるとも言われています。その一方で“叶わぬ恋”という意味もあるらしいんですね。ひとり飲みしながらネット検索して出てきたワードが“叶わぬ恋”って…。そんなこんなで相変わらず寂しさと切なさ全開…じゃなかった、悠々自適な生活を送っております(そう思わないとやってられない…)古山エリーです。今宵もたわごとおつきあいくださいませ。せっかくなので、ブルームーンきっかけで叶わぬ恋について考えてみようと思ったのは『ボヴァリー夫人』を観たばかりだったからかもしれません。世界文学史に燦然と輝く“不倫小説”の名作の映画化です。主人公はエマ(ミア・ワシコウスカ)。華やかな結婚生活に憧れて年上の医師と結婚しますが、現実は――田舎町は退屈で、夫も実は退屈な人で、自分自身も何をするわけでもない退屈な日々で…。そんなある日、エマは若く美しい青年と出会い恋に落ちちゃうんですね。でもって、いろいろあってその彼が去ると悲しみを埋めるために別の男性との情事に溺れる…。そう、何をしても埋まらない寂しさを夫以外の別の愛で埋めようとしたわけです。危険すぎます。仕事熱心で、多少退屈な人かもしれないですが、はたから見たら夫はとても素敵な人。でも、エマが求めていたのはロマンチックな“恋愛”だった。夫が不憫でならない…(ですが、そういう女性を選んだのは彼ですから、まあ、どっこいどっこい?)。自由奔放に愛を求めすぎた女性が、どんな転落をするのかが残酷なまでに描かれます。叶わぬ恋についてしっとり考えごとをするはずが、ホラー並みにぞっとしてしまいました。思ったのは、恋愛体質の女性が恋愛に溺れないために必要なのは、やりがいのある“何か”を持っていること。仕事でもいい、趣味でもいい、人生が退屈にならないための何かです。その“何か”を探すのが大変であって、エマにとっては恋愛だったのでしょうけれど…。というわけで、エマのような恋愛は決して真似したくないですが、恋愛から毎日一歩ずつ遠のいている四十路には(自分自身に喝!)、エマの性欲、恋愛力、私を愛して攻撃はかなり刺激的でした。そして、次のブルームーンを見れらるのは2018年。その頃までには、その頃までには…と願いつつ、今宵はここまで。また次回。(text:Elie Furuyama)
2016年07月30日今月の映画ではじめるデートプランは、品川駅にフォーカスして届け。品川駅周辺は、充実したエキナカをはじめ、ショッピングモールや飲食店、映画館や水族館などのエンターテインメント施設が集結している。駅周辺で手っ取り早くデートができるので、暑い夏のデートにはぴったりだし、会社帰りのデートスポットとしてもおすすめ。さらに今月、新たにNYスタイルのフードホール・マーケット「SHINAGAWA DINING TERRACE」が誕生!映画と合わせて話題のグルメスポットへ立ち寄ってみよう。今月ピックアップする映画は、『エヴァンゲリオン』シリーズの庵野秀明監督が、脚本・編集・総監督を務める12年ぶりの“国産ゴジラ”映画 『シン・ゴジラ』。キャストは、長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ。そして、庵野監督が「日本のCGに対する印象が変わるはず。この映画で日本映画の何かが変われば」と強い自信をみせたフルCGのゴジラが登場する。本作は、過去の『ゴジラ』シリーズとして最大規模となる世界100の国と地域での配給決定が発表されている。既存のゴジラ作品のイメージを覆す話題作を二人で楽しんで!『シン・ゴジラ』は、「SHINAGAWA DINING TERRACE」と同じ品川駅高輪口にある品川プリンスホテルアネックスタワーにある映画館「T・ジョイPRINCE品川」にて公開中。この映画館は、駅前徒歩2分の好立地でデートに便利。迫力満点の『シン・ゴジラ』をたっぷり鑑賞したら、同じ品川駅高輪口にある「シナガワグース」内にオープンした「SHINAGAWA DINING TERRACE」へ行ってみよう。「SHINAGAWA DINING TERRACE」は、4つの異なる店舗が1フロアに集い、フード、デリ、カフェ、ベーカリー、ショップが融合した、今NYで流行している“フードホール・マーケット”だ。日本でいうこれまでのフードコートとはイメージが異なり、それぞれの店舗が素材とクオリティにこだわった美味しい料理を提供し、レストランに行くよりもカジュアルで、オープンな空間でリラックスしながら食事を楽しめる新感覚のフードエリア。デザートバーの屋台や、ハンモックにキャンプアイテムなどのディスプレイで、まるでグランピングを楽しんでいるかのようなこだわりの内装にも注目を。今回オープンした4店舗は個性豊かなラインナップだ。デリ&カジュアルダイニング「PIZZA & TAPAS cibo(ピザ&タパス チーボ)」は、コンビーフとザワークラフトをピザ生地でサンドした、ここでしか食べることができない進化系ピザや樽生ワインが楽しめると話題。りんご3個分をまるごとオーブンでローストし、シナモンが香る、まるでタルトタタンのようなアップルピザ(2,400円)など斬新なメニューにも出会える。氷温熟成で約2週間熟成したドライエイジングビーフが楽しめるステーキハウス「CASUAL STEAK HOUSE RIB(カジュアルステーキハウス リブ)」は、肉好き注目の一軒。熟成肉と相性抜群のグリルドコーンや、三浦野菜をグリルしたホットサラダ、グリルした熟成肉を添えたブラッディメアリーなど、肉の美味しさを堪能できるサイドメニューも豊富。各国ワインと共に熟成肉の美味しさを堪能して。コーヒースタンド「September roast coffee」は、世界各国から買い付けた豆を焙煎したコーヒーと店内厨房で焼き上げたパンを楽しめるスペシャリティコーヒーストア。コーヒーの味にうるさい彼氏彼女にもおすすめ。テイクアウトしてもいいし、映画を観る前に軽く腹ごなし的に利用しても良さそう。「KANDOU NIPPON real store」は、世界各国から取り寄せたワインやチーズなどトレンドの食品を扱うセレクトショップ。お土産や贈り物にもぴったりの珍しい商品を取り揃えていたり、自宅で楽しめるこだわりのアイテムが見つかるので、二人でいろんなアイテムを見て回るだけでも楽しいかも。映画館の帰りに立ち寄って、家ごはんや家飲みのおつまみを選んでみて。「SHINAGAWA DINING TERRACE」ではオープンから7月末まで、「PIZZA & TAPAS cibo」では女性限定での、ワインの飲み放題を、「CASUAL STEAK HOUSE RIB」では限定メニューを提供中。そして、同フロアではオープン後に、ミュージックやライブペイントなどのワークショップや、ワインやチーズについて学ぶことのできるセミナーといった体験型コンテンツを実施していく予定とのこと。訪れる前にチェックしてはいかが?『シン・ゴジラ』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年07月30日ほとんどの日本人がその存在を知っているゴジラ。でもキャラクターとして知ってはいても「実は、映画は1本も見たことがない」という若い人や女性も多いのではないでしょうか。最新作『シン・ゴジラ』の公開を前にしても「そもそもゴジラのこと詳しく知らないし」、「ハリウッドのSF大作は見るけど日本の怪獣映画は…」とイマイチ気分が盛り上がらずスルーしてしまおうとしているあなたへ、『シン・ゴジラ』はいま、日本人が見るべき作品であり、重厚なサスペンスでもあり、あろうことか働く者の胸を熱くさせてしまうお仕事映画の傑作でもあります! 何がそんなにすごいのか? ゴジラ初心者でも心をわしづかみにされる『シン・ゴジラ』の見どころをご紹介します。■「3.11」を思わせる大災厄! もしもゴジラが現実に東京に現れたら…?「エヴァンゲリオン」シリーズで知られる庵野秀明が脚本・総監督を務めている本作ですが、そもそも『シン・ゴジラ』の“シン”って何なのか? 新? 真? 神? はたまた英語で“罪”を意味する「sin」ではないか? なんて意見も見られます。映画の中でも決して正解が示されるわけではなく、映画を見た人がそれぞれに考えるものなのでしょう。少なくとも本作は、過去に日本国内で製作されてきた28作のシリーズとは物語の上では全くつながりのない完全新作であり、舞台は現代。つまり、人々が怪獣など現実に存在するとは考えていない日本に文字通り、突然、謎の巨大不明生物としてゴジラが現れます。そして、本作の大きな特徴と言えるのが、明らかに東日本大震災とその後の原発事故を想起させる描写や設定を用いていることと、ゴジラに対処する政治家を主人公とし、彼らの目線で物語が展開していくこと。ゴジラによってビルや家屋が崩壊した光景やあふれた河川の水が津波のように人々に迫りくる描写は、5年前に何度もニュースなどを通じて見たあの光景を思い起こさせます。ちなみに、1954年に誕生した第1作の『ゴジラ』では、当時、ビキニ環礁で行われ大きな問題となっていた水爆実験に着想を得る形で、ゴジラは核実験により人類が生み出した存在として描かれていましたが、本作においてもそうした“元祖”『ゴジラ』の思いを汲んだ上で、現実の社会がしっかりと反映されています。広島・長崎への原爆投下から東日本大震災に至るまで、我々が映画の中のフィクションではなく、実際の歴史の中で遭遇してしまった現実の重みを、映画の中で随所に否応なく意識させられます。そして、主人公の内閣官房副長官の矢口蘭堂(長谷川博己)をはじめ、この事態に対処する登場人物たちの設定も、内閣から自衛隊、消防に至るまで全て現実のシステムや法律、社会制度に則したもの。もしも…もしも、本当に超巨大不明生物が現れたら、政府は、自治体は、自衛隊はどのような法律に則し、どのような命令系統で動き、どう対処するのか? 映画では、延々と続く閣議や仰々しく長ったらしい名前の非生産的な会議の模様が描かれます。話し合いは遅々として進まず、各省庁がそれぞれに責任をなすりつけ合うさまや、安全性ではなく経済を優先する思考、消去法による事なかれ主義、責任者がなかなか決断できない現実など、日本社会のお役所体質の弊害がこれでもかと繰り広げられます。■アメコミ映画の対極? 日本の日本人による日本的ヒーロー映画!一方で、主人公の矢口をはじめ、国民の命を第一に考え、この国の未来を真剣に案じる者たちの姿も描かれます。不眠不休で身を粉にして事態に立ち向かう政治家や官僚、研究者ら対策チームの面々、そして彼らが立案した作戦に文字通り命がけで従事する自衛隊や消防関係者などの姿は、絶望的な事態の中のひと筋の“光”であり、庵野監督が本来あるべき為政者の姿として物語の中に込めた希望、祈りと言えるでしょう。そして、いい意味でこの映画が“日本的”であるのが、主人公らが決して飛び抜けた大天才ではないというところ(もちろん、国家を動かす代議士、官僚、そしてその道の第一人者である研究者である以上、ひとりひとりが優秀であることは間違いないのでしょうが…)。矢口も、会議の席で突飛な発言をして煙たがられるなど政治家としてやや異端の雰囲気を持ってはいますが、あくまでも若手の一政治家であり、基本的に上司の顔を立て、部下を気遣い、実に日本的な根気のいる交渉と根回しでことを進めていきます。対策チームのメンバーたち(石原さとみ、高良健吾、市川実日子、高橋一生 etc…)も個性派で魅力的な面々ですが、あくまでもチームとして知恵を出し合います。その姿は「プロジェクトX」そのもの!スティーブ・ジョブズや“アイアンマン”トニー・スタークスのような一人の天才の存在や超人的なパワーに頼るのではなくチームワークの勝利を目指す――アメリカンドリームやアメコミヒーローとはある意味で対極にある、日本の日本人によるヒーロー映画といえるのかもしれません。先ほど、“お役所体質”と批判的に書きましたが、非常事態にあっても倫理と秩序を保とうとする姿勢は、一方で日本社会の美徳とも言えます。ある登場人物のセリフとして「役所のすること」という言葉が出てきますが、実に味わい深いセリフとして胸に響きます。長くなりましたが、最後にもうひとつ。東京湾に出現し、首都を蹂躙するゴジラをどうすべきか? という会議の中で「駆除するのか?」「捕獲するのか?」それとも「静観する(海に還っていくのを待つ)のか?」といった解決の選択肢が掲げられます。外の世界からやってきた異種の存在、招かれざるスーパーパワーを持った存在、人類が自ら生み出してしまったのかもしれない手に負えない存在――ゴジラをどう解釈するのかにもよりますが、そうした存在とどう付き合うべきか? ここでもまた現実の世界を反映しつつ、選択が突き付けられます。ここ10年ほどハリウッドでは、長くアメリカで親しまれてきたヒーローを最新の映像技術で現代版として映画化したアメコミヒーローシリーズが人気を博していますが、アメリカにおけるアメコミヒーローに日本で相当する存在がゴジラなどの怪獣なのかもしれません。バットマンという、アメリカ人が慣れ親しんだヒーローの物語をクリストファー・ノーラン監督が新たな解釈を加えて大ヒットに導いた『ダークナイト』三部作には、9.11の影響が多く見られると言われます。『シン・ゴジラ』はその意味で、約60年にわたって日本人が愛し続けてきた怪獣を用いて3.11以降の日本、現在の世界を改めて解釈した作品といえるかも知れません。ゴジラについての知識の有無や怪獣映画への理解の深さに関係なく、現代を生きるひとりの日本人として、まっさらな気持ちで、もしいま、ゴジラが現れたら…? という体験を味わってみてはいかがでしょうか?『シン・ゴジラ』は7月29日(金)より公開。(text:Naoki Kurozu)
2016年07月26日2016年は、兄弟そろって人気、実力ともに兼ね備えた俳優たちの活躍が際立っている。その筆頭株ともいえるのが、松田龍平&翔太だろう。兄・龍平さんは、“ミズタク萌え”なる現象を生み出した「あまちゃん」以来、約3年ぶりに連続ドラマに出演中。弟・翔太さんは、auの「三太郎」CMシリーズの飄々とした桃太郎で人気だ。今年はとりわけアツい、彼らに代表される“兄弟俳優”たちに迫った。■国内編ドラマ「営業部長 吉良奈津子」では、松嶋菜々子が演じる産休&育休明けの主人公に、複雑な感情を抱えながら何かと厳しく当たるという役どころの松田龍平さん。スマッシュヒットとなった『殿、利息でござる!』では、阿部サダヲや瑛太ら“庶民”のみならず、観客も引くほどの冷徹ぶりを見せつけただけに、今回のドラマも実に楽しみ。また、沖田修一監督と組み、柄本明と親子を演じた主演作『モヒカン故郷に帰る』は、イタリアのウディネ・ファーイースト映画祭で2冠を達成するなど高評価を受けており、北杜夫原作の児童文学を山下敦弘監督で映画化する『ぼくのおじさん』では、21世紀版の“寅さん”を目指す(?)というから見逃せない。山下監督といえば、翔太さんも、オダギリジョー&蒼井優共演の『オーバー・フェンス』でタッグを組む。オダギリさん演じる主人公と同じ職業訓練校に通う友人役で、蒼井さん演じるホステスを引き合わせる役柄となるようだが…。かと思えば、人気漫画をTVドラマに続いて映画化する『ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-』では、異邦警察「ディアスポリス」ただひとりの警察官を、これまでになくワイルドかつクールに演じる。ドラマでお馴染みとなった、“バディ”浜野謙太との良いコンビぶりにも注目しておきたい。バディといえば、かつて龍平さんと『まほろ駅前』シリーズでコンビを組んでいた瑛太。今年は、『殿、利息でござる!』では宿場町を救う起死回生のアイディアを打ち出した町一番の切れ者に、『64 -ロクヨン』では佐藤浩市と対峙する記者クラブのリーダーとなり、江戸から昭和まで(!?)大活躍。主演・生田斗真×監督・三池崇史×脚本・宮藤官九郎による問題作の続編『土竜の唄 香港狂騒曲』への参戦も決まったばかりだ。弟の永山絢斗とは、直接的な役のつながりはないものの、『アンフェア the end』で篠原涼子の相手役という“シンクロ”共演が話題に。永山さんは、先の黒木華主演のドラマ「重版出来!」で、荒削りだがピュアな新人漫画家を好演したことも記憶に新しく、山田孝之のハマリ役「闇金ウシジマくん」シリーズの完結編となる映画『闇金ウシジマくん ファイナル』では、ウシジマの過去を知るキーパーソンを演じるという。さらに、柄本佑&時生も、味のある名バイプレイヤーとしてお馴染み。この夏は奇しくも、それぞれ伊原剛志主演「ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~」、生瀬勝久主演「侠飯~おとこめし~」と一風変わったグルメドラマに出演している。■海外編一方、ハリウッドに目を向けると、今年の注目はクリス&リアム・ヘムズワース兄弟だ。まず、弟のリアムは20年ぶりの新作『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』の“地球を救う”主要キャストのひとりとして大活躍!先日はローランド・エメリッヒ監督やジェフ・ゴールドブラム、マイカ・モンローとともに来日を果たし、ファンを楽しませてくれた。プライベートでもマイリー・サイラスとの復縁が明らかになり、再び「婚約か!?」と話題を呼んでいる。そして兄・クリスは、雷神ソーとして『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』への参戦はなかったものの、こちらもおよそ30年ぶりの『ゴーストバスターズ』が8月に控えている。全員女性のメンバー4人がいずれも崖っぷちのオタクというバスターズは、今回も、あのつなぎ姿でゴースト捕獲装置を手にしてニューヨークの街で大奮闘。クリスは、そんな彼女たちの会社の受付係だが、黒縁のメガネ男子姿ながら実はかなりのおバカキャラ。それをアドリブ連発で喜々として演じていたそうで、コメディ畑のポール・フェイグ監督や共演女優たちも太鼓判を押したというから、期待して待ちたいところ。また、ベン&ケーシーのアフレック兄弟も有名だ。ベン・アフレックは、バットマンとして『バットマン vs スーパーマンジャスティスの誕生』に続き、『スーサイド・スクワッド』にも出演。今後、新たなバットマン映画で主演と監督を兼任することも分かっている。弟のケーシーも、クリス・パイン主演『ザ・ブリザード』では真っ二つに割れたタンカー側のリーダーを熱演、海ドラファン&洋画ファン垂涎の豪華競演『トリプル9 裏切りのコード』にも主演した。『ターザン:REBORN』のアレクサンダー・スカルスガルドも、父はスウェーデンの名優ステラン・スカルスガルドだが、弟のグスタフやビルも俳優として活動する。そのほかにも、歌舞伎界の中村勘九郎&七之助、広瀬アリス&すずや満島ひかり&真之介ら、枚挙にはいとまがない兄弟姉妹で活躍する俳優たち。同じ遺伝子を持ちながら、それぞれ異なる魅力を放ち続ける彼らに、今年は魅了されそうだ。(text:cinemacafe.net)
2016年07月24日せっかく断捨離をして、クローゼットの中はお気に入りの洋服だけ。快適な環境を作ったというのに、季節はもうすっかり夏だったんですね…。街を歩けば、至るところで“夏のバーゲン&セール”開催中、もう誘惑だらけです。セールだからといって無駄に買わない!気に入ったものしか買わない!よく考えてから買う!と、心にかたく、かたく誓っても、欲しいと思っていたモノに“50%OFF”のシールが貼ってあると、あっさり心は揺れ「まぁいっか、夏だし」とか「この前、頑張ったご褒美」とか、ぜんぜん根拠のない理由をつけてレジに並ぶアラフォー、古山エリーです。今宵もたわごとお付き合いくださいませ。洋服を買うより、我が身の売り出し方を考えなければならないんだよなぁ…、どのくらいOFF=妥協したら買い手が現れるのかなぁ…そんなイタい妄想をしながら、これ面白そう!と選んだ映画は『ウソはホントの恋のはじまり』。うだつのあがらない小説家のサム(ジャスティン・ロング)が、行きつけのカフェで働くバーディー(エヴァン・レイチェル・ウッド)に恋をして、なんとか自分のことを好きになってほしくて、彼女のSNSを細かくチェックして彼女の好みを分析。それをヒントに理想の男性になろうとする、なんともキュートなラブコメディです。歌の歌詞だったか、トレンディドラマのセリフだったか「あなた色に染められて~」みたいな、一気に周りの温度が下がる、冷んやりする言葉を思い出しましたが、人って、好きになると相手のことを何でも知りたいと思うのは当然ですし、相手が好きなものを積極的に取り入れたくなるものです。そう言えば、遠い昔、遥か銀河の彼方で…(スター・ウォーズのオープニング風)、私もサムみたいな行動していたことがフラッシュバック!柄でもないのにヘビメタ聴いたり、ビリヤード練習したり、料理は苦手なのに頑張っちゃったり。そう、人を好きになるとウソをついたり、ウソを演じたりしちゃうんですよね。まあ、最近はあまりに正直になりすぎて独り身の説もありますが…。というわけで、好きな人に好きになって欲しくてウソをついたことがある人、SNSで好きな人の趣味を調べまくったことがある人、確実にこの映画に共感します。もちろん私も共感しまくりでした。そして、若い頃の自分ほどじゃなくても、少しくらい“かわいいウソ”をついて、めげずに婚活を続けようと。ええ、密かに婚活していますとも。でも、二度目のお誘いがないってことはそういうこと。悲しいかな、連敗中です。サムを見習って、料理教室に行こうかなーと思ってみるものの、我が家のキッチンでバーミキュラ鍋が飾りになっている時点でアウトです。今宵はこの辺で、また次回。(text:Elie Furuyama)
2016年07月23日7月は、偶然にもニューヨーク、それもブルックリンを舞台にした映画がアメリカから届いています。そこで、勝手に“ブルックリン特集”をすることに。第1回目は、高度経済成長時、1950年代以降にアメリカの基礎作りに携わったアイルランド移民の物語を描いた『ブルックリン』です。人生は選択の連続。もしこの道ではなく、あの道を選んでいたら人生は違っていたかも。それは、重大なチョイスばかりではなく、昼食に何を食べるのか、そしてどこで食べるか、ひいては誰と食べるかとか、どの映画をどの劇場で誰と観るのかといった何気ないことでさえ、大きな違いを生む選択肢のひとつになりうるわけです。ひとつの小さな選択が、やがて小さな結果を生むこともしばしばですが、映画『ブルックリン』のヒロイン、エイリシュの選択は、決して小さいものではありません。その決断が、人生における大きな違いを生んでしまうのは誰の目にも明らか、そんな種類、そんな大きさの選択です。第二次世界大戦後、1950年代にも、アメリカはニューヨーク、ブルックリンには、多くのアイルランド人が船で渡ってきました。エイリシュも、より明るい人生を求め、母と姉を貧しい祖国アイルランドのエニスコーシーに残して、1人で移住してきたのです。地元では仕事もなく、日曜日だけ食料品店で手伝いをしていましたが、意地悪で口うるさい店主のミス・ケリーに反感を覚える日々。ブルックリンでは高級デパートに職も用意され、同年代のアイルランド女性たちとともに、寮での暮らしがスタートしました。故郷とは比べ物にならないほどの大都会ですが、慣れない新天地での生活は孤独との戦い。4人に1人がアイルランド移民と言われるアメリカだけに、当時からすでに多くの同郷の士がいたものの、心が許せる相手と言えば、姉の知人で移住の手配してくれたフラッド神父のみ。故郷からの手紙を泣きながら読み、姉への手紙を泣きながら認める。結婚相手を見つけるため、あまり楽しくもなさそうにダンスパーティーに顔を出す。そんな日々の繰り返しですから、接客業ながら、自然にほほ笑むなどできるはずもなく。ところがある日、アイルランド人ばかりのはずのパーティーで、ちょっと様子の違う積極的な男性トニーに出会います。後に、イタリア人だと打ち明けられたエイリシュですが、明るく優しく、話を良く聞いてくれる彼に好意を抱き始めます。そして、彼との恋をきっかけに新しい世界への扉が開き、ゆっくりと、でも確かに自分の生活を築き始めるようになるのです。初めての恋、コニーアイランドでの海水浴、はじめてのスパゲティ…新しい日々の始まりです。居場所を見つけると人間は、精神的にも安定するのでしょうか。母、姉を離れた淋しさはあるものの、自分の人生を歩み始め、ここで暮らして行こうとようやく思えるようになったエイリシュ。気が付けば、仕事でも自然に笑顔で接客ができるようになり、ファッションもメイクも洗練された、明るく自信に満ち溢れたニューヨーカーになっていました。ところがそんなある日、故郷で起きた悲劇をきっかけに、一時帰国することに。将来を約束したトニーに1か月で戻ると言い残し、エニスコーシーへ。そこで待っていたのは、居心地の良い環境、新たなる仕事、新たなる出会い…。ブルックリンでの暮らしを遠くに感じるようになります。2つの祖国、2人の男性の間で揺れ始めるエイリシュは、果たしてどんな決断を下すのでしょうか。静かで控えめな語り口ながら、一人の女性の選択と成長、覚悟を静かに見守る本作は、新しい経験を苦しみながら自身の内部に取りこみ、そこから自分なりの人生を見つけ、居場所を整えていく凛とした人間像を映し出している傑作。絵画のように美しいワンショット、ワンショットの中に、まさに絵画のように登場人物たちの心理、感情、心象風景を丁寧に埋め込む巧みな映像表現は、ある女性のとてもパーソナルな物語を、多くの人が自分の人生を重ね合わせることのできる普遍的な人間ドラマへと発展させています。エイリシュの心の動きを読み取るとき、より深い理解への助けとなるのが、彼女が日々選んで身に付ける洋服です。船でアメリカを目指すとき、到着したばかりのニューヨークで日々を過ごすとき、彼女は鮮やかなグリーンを身に着けています。アイルランドといえば、守護聖人の聖パトリックの象徴であるクローバーの色でもあり、緑多い風景の象徴でもあるグリーンがシンボルカラー。緑を身に付けるということは、心が故郷を向いている証であり、アイルランド人としてのアイデンティティを忘れたくないという感情の表れと言えるかもしれません。ところが、徐々に新天地に馴染み始め、温暖な“イタリアの風”に吹き付けられると、赤や水色などこれまでとは違った色を選び始めます。海水浴に出かけるために選んだ水着はグリーンでしたが、これは職場の先輩から試着を勧められ、黒より緑が似合うというアドバイスに従ったまで。アイルランドへのこだわりは、もう見えないのです。そんなエイリシュが故郷にわけあって戻った際、着ていたのはピンクやレモンイエローのドレス。新しい世界を知ってしまった彼女が、ふるさとでやすらぎを感じながらも、もはや何も知らなかった以前のエイリシュではないことは、「ちょっとあれを見て」と町の人から囁かれるほどの洗練が物語っています。自然に起こった変化であればあるほど、本人は気づきにくいもの。そして、自分がそのことに気づくか気づかないかで、彼女のその後の選択は、違ったものになるのです。彼女の最終決断には、きっと賛否あるでしょう。でも、他人が誰かの居場所についてとやかく言ったり、ここがあなたの家なのだと強制的に意に沿わない場所に住まわせたりすることなどできないし、やってはいけないのです。人は、自分の人生を自分の意志で決め、そこに伴う痛みや責任すらも受け入れる自由があってしかるべき。究極の選択の間で激しく揺れた後、最後には迷うことなく堂々と自分の道を決断したエイリシュの強い心に胸を打たれるのは、そこに彼女の美しき成長が感じられ、自分もこうありたいと感じるからなのかもしれません。人の成長とは、自ら責任ある選択を繰りかえすことで促されるもの。それをここまで美しく、強く、明確に表現した作品はそれほど多くありません。人間が生きるということを、選択を通して描いた『ブルックリン』。あなたの心には、どう響くでしょうか。(text:June Makiguchi)
2016年07月16日音楽に情熱を捧げる少年の恋と青春を描いた『シング・ストリート未来へのうた』(ジョン・カーニー監督)が7月9日(土)に封切られ、各地の劇場で満席続出の大ヒットを記録している。早くも拡大公開が決定しており、さらなる旋風を巻き起こす予感だ。『ONCE ダブリンの街角で』『はじまりのうた』といった音楽愛にあふれる秀作を手がけ、日本にもファンが多いカーニー監督が80年代、不況にあえぐ故郷ダブリンで過ごした10代の実体験をベースに生み出した本作は、例えば同じく自身の青春期を映画化したキャメロン・クロウ監督の『あの頃ペニー・レインと』、ほぼ同時代のイギリス北部を舞台にした名作『リトル・ダンサー』に匹敵するといって過言ではない、今年を代表する感動作だ。少しだけ個人的な話をすると、カーニー監督とは同世代なので、劇中を彩る80年代ブリティッシュ・ミュージックの数々に胸がときめいてしまう。鬱屈した日常を送る主人公の少年が音楽好きの兄と一緒に、テレビから流れるミュージック・ビデオを“見ながら”瞳を輝かせる姿も当時を思い出させるし、劇中で一目ぼれした年上の女の子を「僕のバンドのMVに出ない?」と誘い、まさかのOKで急きょバンドを結成するシーンも微笑ましい。さて、映画の舞台となる1985年頃、音楽と同じくらい映画に興味を持ち始めた筆者は、緑に囲まれまくったド田舎に暮らしながら、ミニシアターブームが巻き起こる東京…特に86年にシネマライズがオープンした渋谷に対し、「映画の街」という漠然としたあこがれを抱いていた。上京後はシネマライズをはじめ、渋谷に点在する個性的な映画館に足を運んでは、世界中からやって来る傑作、秀作、珍作との出会いに、自分なりに刺激を受けてきた。ご承知の通り、渋谷は映画館の閉館が相次ぎ、今年1月に閉館したシネマライズに続き、8月には向かい側に立つPARCO part3の建て替えに伴い、シネクイントが一時閉館することになった。そのクロージング作が『シング・ストリート未来へのうた』だ。封切りの翌日、劇場に足を運び2度目の鑑賞を楽しんだが、同時にさまざまな思い出もよみがえってきた(偶然かもしれないが、シネクイントでは音楽をテーマにした映画をたくさん見た)。100年に一度といわれる再開発が進む渋谷において、やはり心配なのは映画館の行方。シネコンのオープンも噂されており、「渋谷で映画を見る」特別感はますます薄れてしまうかもしれない。もちろん、渋谷にはユーロスペース、Bunkamura ル・シネマ、シアター・イメージフォーラム、渋谷アップリンク、ヒューマントラストシネマ渋谷など、それぞれの個性やポリシーを貫く映画館が存在する。久しぶりに足を運んでみてはいかがだろうか。『シング・ストリート未来へのうた』は渋谷シネクイントほか全国にて順次公開中。(text:Ryo Uchida)
2016年07月15日世界同時放送で始まった「ゲーム・オブ・スローンズ第六章:冬の狂風」が、ついに幕を閉じてしまいました。しかも、第七章が放送されるのは、まだまだ先のこと…。現在、“「ゲーム・オブ・スローンズ」ロス”に陥っている人も多いのではないかと思います。そんな心の穴を少しでも埋めるべく、前回に引き続き、“「ゲーム・オブ・スローンズ」的観劇旅行のススメ”をお送りしましょう。ジョン・スノウ役のキット・ハリントンが出演していた「ドクター・フォースタス」に続き、足を運んだのはロブ・スターク役リチャード・マッデンが出演する「ロミオ&ジュリエット」。「ロミオ&ジュリエット」はご存じの通りシェイクスピアの有名戯曲で、リチャードはロミオを演じています。しかも、ジュリエットを演じるのはリリー・ジェームズ、舞台の演出を手掛けているのはケネス・ブラナー。つまり、大ヒット映画『シンデレラ』の監督と主演コンビが再結集したのが、今回の「ロミオ&ジュリエット」なのです。リリーとリチャードの相性のよさはシンデレラと王子を演じた『シンデレラ』ですでに証明済みですが、ロミオとジュリエットになってもやはり息はぴったり。2人が恋に落ちる舞踏会のシーンをはじめ、愛の言葉を交わし合うバルコニーのシーンから胸を打つラストまで、その1つ1つが輝いていました。「ゲーム・オブ・スローンズ」ではスターク家の長男ロブ・スタークに扮し、父亡き後のスターク家を率いる存在として力強さと頼もしさを表現していたリチャード。そのロブの運命はロミオに負けないほど悲劇的で、先頃来日した妹役のメイジー・ウィリアムズも「ロブのラストシーンは本当に哀しかった!」とコメントしていました。演じるリチャードもロブのストーリー展開に合わせて第三章で番組を去っていますが、人気のキャラクターだっただけに彼の退場を嘆く声は多数。「ロミオ&ジュリエット」の会場内にも、「ゲーム・オブ・スローンズ」をきっかけにリチャードのファンになったという女性客の姿がありました。「リチャードのお芝居が観たくてスペインから来たの!」という20代の女性もいましたよ。ちなみに、このケネス・ブラナー版「ロミオ&ジュリエット」では、登場人物たちが現代の衣装を着用。リチャードのロミオもスーツ姿にサングラスをかけていたり、ジェームズ・ディーン風のジャケット姿だったりと、とてつもなく格好いいです。そのシンプルな装いとよく響く声、チャーミング過ぎる笑顔が、ロミオの情熱とマッチしていました。「ロミオ&ジュリエット」はギャリック劇場で8月13日まで上演中。次回は、シオン・グレイジョイことアルフィー・アレン出演の「ザ・スポイルズ」をレポートします。(text:Hikaru Watanabe)■関連作品:ゲーム・オブ・スローンズ[海外TVドラマ](C) 2012 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related programs are the property of Home Box Office, Inc.
2016年07月10日あっという間に7月に突入!今年もいよいよ、暑くて熱い季節がやって参りました。夏クールでは毎年ラブストーリーがヒットしている印象がありますが…今回の注目作は!?ドラマニアな筆者おすすめのドラマを、ジャンル別にご紹介していきましょう。■懐かしの名作「時をかける少女」が復活アラサー女子の大好物、北川みゆきの人気コミックもまずは、6月末から土9「時をかける少女」。1965年の発表以降、度々映画やアニメなど映像化が成されてきた筒井康隆の同名小説が、満を持して連続ドラマ枠にやってきます。これまで映像化では2時間程にまとめられていた本作が、連ドラとして一話毎にどう展開されていくのか…非常に気になりますね!黒島結菜×菊池風磨×竹内涼真が魅せる青春恋物語は、子どもから大人までは幅広い世代が楽しめる一作と言えるでしょう。原作もので言えば、火10「せいせいするほど、愛してる」も忘れてはなりません。アラサー女子から絶大な支持を集める漫画家・北川みゆきの同名コミック。ハラハラドキドキ…エロティックな展開を武井咲×滝沢秀明がどう演じてくれるのか。ジュエリーメーカーの広報部を舞台に物語が進行するということで、実際のティファニーと全面コラボしている点にも注目してみてください。■北川景子が家を売り、藤原竜也が叫ぶ!その裏には、大御所脚本家の熟練技がキラリまた7月クールは、ドラマの裏に潜む大御所脚本家の存在にも大注目。水10「家売るオンナ」では、新婚ホヤホヤ・幸せオーラ満載の北川景子が、独特な人生哲学を持つスーパー営業ウーマンに。住宅売買競争が白熱している2016年の東京を舞台に、家を売って売って売りまくります。本作で筆をとるのは、「セカンドバージン」の大石静。同僚営業マン役の工藤阿須加&千葉雄大にもきっと何か深い過去があるのではないかと予感させてくれるほか、各話でどんなラブストーリーを堪能させてくれるのか…期待が高まりますね。さらに、脚本家・秦建日子が最も得意とする先の読めない衝撃サスペンスが土10に登場。「そして、誰もいなくなった」というタイトルからも想像できますように、『デスノート』の怪演でおなじみ藤原竜也が叫びまくりますよ~(笑)。容姿端麗で頭脳明晰…苦労を知らない主人公が、ある日突然他人に人生を乗っ取られてしまったら!?手に汗に握る展開、その先の先を読んで、主人公よりも先に犯人を見つけてみてはいかがでしょうか。■ヒットの予感がプンプン!?堤幸彦との強力タッグ、イケメン3兄弟も忘れずに最後に、過去のヒット傾向からも注目のドラマをご紹介しておきましょう。まずは、向井理×堤幸彦が初タッグを組んだミステリードラマ・金10「神の舌を持つ男」です。温泉地という珍しい場所を舞台に、コミカルタッチの推理劇を繰り広げる本作。「ひと舐めすれば、ピタリと当たる」というキャッチコピー…事件に関する様々なものを“舐める”というその予告を見るだけで、「ケイゾク」や「SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~」に似たテイストをプンプン感じますよね。堤作品には、過去作品のオマージュが散りばめられていることが多々あるので、マニア必見です。そして、桐谷美玲主演の月9「好きな人がいること」。夏のビーチを舞台に繰り広げるラブコメディということで、同枠でヒットした「ビーチボーズ」や「SUMMER NUDE」を彷彿とさせる本作も見逃せません。仕事をクビになった主人公は、ひょんなことから海辺のレストランで住み込みのバイトをすることに。なんとそこに住んでいたのが、今をときめく若手実力派俳優、山崎賢人×三浦翔平×野村周平の3兄弟というから、さぁ大変(笑)。自分の好みに合わせたイケメンを応援できるので、週の始まりにもってこいの癒しタイムをお楽しみあれ~。以上、もう間もなくスタートする夏ドラマの注目ピックアップでした。是非、初回チェックの参考にご覧いただければと思います。(text:Yuki Watanabe)
2016年07月09日こんにちは、ROBE編集長のAzuです。気まぐれ連載《水曜のケセラセラ》第14回目になりました。前回は伝説のストリートフォトグラファー、ビル・カニンガムのお話。今回はゆるーく、七夕に願いを。明日は7月7日。織姫と彦星が一年に一度だけ会うことを許される日です。ベガとアルタイル。七夕のお話って、なんだっけ。織物、農業、それぞれのお仕事ほっぽらかしてラブラブしてた二人を見てパパが激おこ、「仕事せーい!ばかちーん!」と二人を引き離す、二人わんわん泣いて仕事どころじゃない、仕方ないから一年に一度だけ二人が会うのを許す、みたいな、話だったっけ。どうしようもない二人の話だ!☆☆先日、友人と訪れた小さなバーに七夕用の笹が置いてありました。もうそんな季節なのねと話していたところ、気立ての良い女主人に誘われ願い事を書くことに。きっと中学生ぶりの短冊です。しかし、筆が進まない。いざ願い事を書こうと思っても、何も出てこないのです。神社で願い事をするとき頭の中でぼんやりと呟くのとは違って、決められたスペースに収まるよう文章で表現する。改めてその難しさを痛感しました。「瞬時に消える流れ星に願い事を言えるのは、そのことを常に考えているくらい、願い事に対する想いが強いから」隣の人が後でそんなことを言っていてなるほど、と感心。そして少し落胆。流れ星への願い事ではなかったけれど、瞬時に出てこなかった私の願い事は、ふわふわと、どこか不誠実で後ろめたい気持ちを伴っているのだなぁ、と核心をつかれた気がしたんです。織姫と彦星がどうしようもない二人だと笑った冒頭の私こそ、強く思える願いすらないつまらない人間なのではないかと。あれからなんとなく七夕のことが頭から離れない私は、ふと立ち寄った「とらや」さんで七夕限定の『天の川』を買ってしまいました。琥珀羹でできた緑の空に流れるのは煉羊羹の天の川。散らばる星は白いゴマ。モチモチの琥珀羹はじーんと口の中に溶けていく、程よい甘さ。控えめに散りばめられたゴマは、こんなにも弾けるものだったっけ?と驚くほどの存在感を放ちます。星に追いつける願い事って何だろう?普段あまり食べない和菓子を口にしながら、ぼんやりと夏の空に思いを巡らせました。七夕でハッピーな話題を考えようと思ったのに、すべての事柄を重く煮詰めて考えてしまう性格がこうも出るとは、、、、願い事は「適度な軽さを持って生きる」にしようかな。Text : Azu Satoh
2016年07月06日世界同時放送で始まった「ゲーム・オブ・スローンズ第六章:冬の狂風」が、6月27日の最終話のオンエアをもっていよいよフィナーレ!そんな興奮最高潮の中、今回は“「ゲーム・オブ・スローンズ」的観劇旅行のススメ”と題し、同作ファンにぜひチェックしていただきたいレポートをお届けします。実は、今年初夏のロンドンでは、「ゲーム・オブ・スローンズ」の主要キャスト3人がそれぞれ舞台に挑戦。ジョン・スノウ役のキット・ハリントンが「ドクター・フォースタス」に、ロブ・スターク役のリチャード・マッデンが「ロミオ&ジュリエット」に、シオン・グレイジョイ役のアルフィー・アレンが「ザ・スポイルズ」に出演していました(※「ロミオ&ジュリエット」「ザ・スポイルズ」は現在も上演中)。つまり、初夏のロンドンに行けばジョンとロブとシオンに会える!という状況だったのですが、まずはキット・ハリントンの「ドクター・フォースタス」からご紹介。クリストファー・マーロウの同名戯曲をベースにした本作は、悪魔に魂を売った男フォースタスの物語です。マーロウの戯曲は16世紀に発表されたものですが、今回の「ドクター・フォースタス」はオリジナルをアレンジ。舞台を現代に移し、悪魔との契約の下、キット演じる野心的なフォースタスが名声にとりつかれながらショウビズ界を闊歩していきます。フォースタスの人物描写も含め、この舞台は全編を通して非常にダークで挑発的。パーカーにスウェットパンツ姿のフォースタスが登場する冒頭からすでに、「えっ!?」と思わず驚いてしまう場面になっていました。実際、私が鑑賞した回では、驚いた女性客の1人が「あれは本当に彼(キット)なの?」とつぶやきながら、観客席の前方まで確かめに行ってしまったほど!しかし、ここで驚いていては身が持たないほど、ジェイミー・ロイドによる演出は大胆で、その中を全力で堕ちていくフォースタス=キットから衝撃を受けずにはいられませんでした。「ゲーム・オブ・スローンズ」ではスターク家の私生児ジョン・スノウに扮し、たくましく、雄々しく成長していく過程をエネルギッシュかつ繊細に演じているキット・ハリントン。舞台上の彼は間違いなく、新たな一面を見せていました。そういえば以前、映画『ポンペイ』の主演に彼を推薦したミラ・ジョヴォヴィッチが「『ポンペイ』の彼は分厚い毛皮や甲冑をつけていないわよ!」と冗談交じりにコメントしていましたが、「ドクター・フォースタス」の赤裸々度は『ポンペイ』以上。まさに体を張った大熱演が見られました。デューク・オブ・ヨーク劇場で上演されていた「ドクター・フォースタス」は6月25日で閉幕しましたが、またいつか舞台に立つキット・ハリントンに出会いたいもの。次回は、ロブ・スタークことリチャード・マッデンの「ロミオ&ジュリエット」をレポートします。(text:Hikaru Watanabe)■関連作品:ゲーム・オブ・スローンズ[海外TVドラマ](C) 2012 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related programs are the property of Home Box Office, Inc.
2016年07月02日ファン待望の新作『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』を皮切りに今年も、夏休み映画シーズンがスタート。数多くの実写大作がしのぎを削り「10年に1度の激戦」と称された昨夏とは対照的に、ブランド力の強い長編アニメ3本が“夏の映画王”を目指す形だ。その3本とは、ディズニー/ピクサー最新作『ファインディング・ドリー』、夏休みの鉄板ヒット商品である「ポケモン映画」の19作目『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z「ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ」』、そして3年半ぶりとなる劇場版アニメ『ONE PIECE FILM GOLD』。7月16日(土)に同日公開の「ドリー」「ポケモン」を、翌週の7月23日(土)封切りの「ワンピ」が追いかける接近戦に、関係者は熱い視線を注いでいる。なかでも本命と目されているのが、『ファインディング・ドリー』だ。前作『ファインディング・ニモ』(2003年公開)がここ日本で興収110億円を記録しており、実はディズニー/ピクサー作品としては国内歴代トップの数字。それだけに、13年ぶりとなる続編の認知度、期待度は絶大だ。「アナ雪」以来の好調をいまもキープするディズニーが、広告、タイアップ、パブと全方位で圧倒的な露出を実現させており、再びの100億円超えが期待される。近年は興収30億円割れが続き、勢いに陰りも見える「ポケモン」だが、5年ぶりとなる本編のみ(短編なし)興行で勝負をかける。初週の週末動員ランキングで『ファインディング・ドリー』と激しい首位争いを繰り広げ、20作目のアニバーサリーイヤーとなる来年に弾みをつけたいところ。前作『ONE PIECE FILM Z』が東映史上最高となる興収68億円超えを記録した「ワンピ」新作はまさに台風の目で、この夏をいい意味で荒らす予感だ。さらにこの夏は、昨夏に『ミニオンズ』が興収50億円を超えて大きな話題を集めたイルミネーション・エンターテインメントの新作『ペット』(8月11日公開)、東宝がジブリや細田守監督に続く新ブランドとして期待を込める、新海誠監督の『君の名は。』(8月26日公開)など新興勢力も続々。また、第87回アカデミー賞候補となったアイルランド映画『ソング・オブ・ザ・シー海のうた』は公開規模こそ小さいが、ぜひ見てほしい傑作である。(text:Ryo Uchida)
2016年07月01日こんにちは、ROBE編集長のAzuです。気まぐれ連載《水曜のケセラセラ》第13回目になりました。前回はファッションの考えはどうやって構築されるもの?というお話でした。今回はビル・カニンガムのお話。 ビル・カニンガム。彼は『ニューヨーク・タイムズ』紙でストリートスナップを撮り続けた、伝説的なフォトグラファー。生涯現役を貫き通し、先日87歳でこの世を去りました。2013年に公開された映画「ビル・カニンガム&ニューヨーク」で名前を知った方も多いかもしれません。恥ずかしながら、私もその一人でした。ストリートスナップが盛り上がりをみせ始めた数年前より遥か昔、ファッションはストリートから生まれると最初に気づいた人。カメラ片手にNYの街を自転車で駆け回り、時には世界のファッションウィークへ飛び、40年以上 “ 素晴らしい着こなしの女性 ” を撮り続けてきました。彼がレンズを向けるのはハイブランドに身を包んだファッショニスタでもなければパパラッチが狙いたがるセレブリティでもありません。“I just loved to see wonderfully dressed women, and I still do. That’s all there is to it ”そう語るように、意思のある服を纏い、自分が生きる環境で最大限に魅力を引き出している女性に、心から惹かれ続けていたのでしょう。「ファッションは排除すべき軽薄なものだと思われがちだ。けれど、ファッションは毎日の生活を生き抜くための鎧だ。それは排除するわけにはいかない。文明をなくすのと同じことだからね」映画の中で語られた彼の言葉は、ファッションがお祭り的なイベントになり、もはやカルチャーのメインストリームではなくなってしまった今、まっすぐと心に響いてきます。パリで見た青いジャージ私がパリコレで会場外スナップを撮り始めるようになって4シーズン目の2014年9月、はじめて彼をランウェイで見かけました。朝一番(9時半!!)に開催されるJUNYA WATANABEのショー。ファッションウィーク中の戦闘服に身を包んだ業界人たちが並ぶ中、あの青いジャケットを着たおじいちゃんがフロントローに座っています。ちょうど対岸の右奥に座っていた彼をレンズ越しに見つけ、思わずシャッターを切ってしまいました。誰よりも真剣に楽しそうに服を見つめるその表情は、まるで生まれて初めて見た生き物を観察し愛でる子供のよう。何かのディテールに驚いたのか、口を開けてびっくりしている表情は思わずクスッと笑ってしまうくらい可愛い。そんな彼に、一度だけ写真を撮ってもらったことがあります。どんな写真だったのかは、ついに見ることはなかったけど。どんよりと厚い雲がパリの街を覆った、とても寒い日。日本から持ってきたレモン色のマフラーで顔まで覆ってショー会場の前をキョロキョロしていた時でした。(この写真はビルおじちゃんではなく、友人が撮ってくれたものです。チュイルリーにて不意打ち。)青いジャケットに映える白髪にしわくちゃの笑顔、キラキラと輝く小さな瞳。背の曲がったおじいちゃんが満面の笑みでちょこちょこと近づいてきたと思えば、カメラと人差し指をピンとあげ、1枚いい?とジェスチャー。「あ、ビルおじちゃんだ」突然現れたヒーローに一瞬身構えたけど、彼の笑顔につられてこちらまで口元が緩む。私が巻いていた黄色のマフラー、目がビジューでできたキツネの顔と尻尾がついた愉快なアイテムなのですが、彼はおそらくこれが気に入ったのでしょう。1枚パシャりと撮られると、私もすっかり彼の笑顔に癒されてしまって、顔の横でOKサイン(今思えばなんと馴れなれしいことか!)。そんな小娘の挙動にも同じようにOKサインで返してくれたあの時の笑顔は忘れることができません。「良かった、ちゃんと楽しんで服を着れてたんだ」と、その時ホッとしました。wonderfully dressed women に一歩近づけたの、かも。毎シーズンパリにやってくるわけではないので、一瞬でも同じ空気を同じ地で吸えたこと、まっすぐと目を見つめられたことを本当に嬉しく思います。たった一度しか会ったことはないけど、もう会えないと思うと本当に悲しい。そう思わせるだけのパワーって、単純にあの笑顔なんだと思う。彼のようにファッションと真摯に向き合いながら、カメラで切り撮るとは別の方法で wonderfully dressed women を考えていきたい。私はフォトグラファーではないけれど、ファッションは大好きだから、やっぱり次もオフランウェイに赴かねば。“ I knew from photographing people on the streets that the news was not in the showrooms. It was on the streets. ” − Bill Cunningham Text : Azu Satoh
2016年06月29日