次々と新しいダイエット法を試しても効果がないという人や、いくら食べても太らないという人がいます。「胃下垂だから太らない?」、「水を飲んだだけでも太る?」など、世間でよく言われるダイエット都市伝説について、その真偽を、内科医で大阪府内科医会副会長・泉岡医院院長の泉岡利於(いずおか・としお)先生にうかがいました。■太る遺伝子やデザートの「別腹」も実在する伝説1・胃下垂の人は太らないこの説はよく耳にします。本当でしょうか?また、なぜ太らないのでしょうか。「これは本当です。胃下垂とは、胃を釣り上げている筋肉が緩んだ状態で、女性に多い症状です。なかには骨盤のある場所まで垂れている人がいます。口から入った食物は、胃を経て十二指腸、小腸へと消化されながら進み、栄養素のほとんどは小腸で吸収されます。しかし、胃が下にあることで、食物が胃で滞在する時間が長くなり、栄養素がなかなか吸収されません。ですから、食べているわりには栄養がとれないことになります。また、食物が胃に残っているので、胃酸が過度に分泌されてムカツキが起こり、食欲不振になり太りにくいという傾向があります」(泉岡先生)伝説2・やせの大食いテレビで見かける「大食いタレント」の中には、やせている人も多くいますが、いわゆる「やせの大食い」の人の体は、どういうメカニズムなのでしょうか。「たくさん食べればエネルギー摂取量が増えて太るはずなのに、太らない人もいらっしゃいます。私がクリニックで診察した経験からは、太らない人の何割かは胃下垂が見られました。ほかには、遺伝などの要因で脂肪を分解する細胞を多く持っているため、カロリー消費が多くなって太りにくいということも考えられます。また、太りにくい食べ方が自然に身についているという場合もあります。実は、食品別に食べる順番を変えることで、同じ量を食べても太りにくくなるということが分かっています。食事をする場合、まずは、野菜やきのこ、こんにゃくなどの食物繊維を先に食べて、次に、肉などのたんぱく質を、最後にご飯やパンなどの炭水化物を食べるようにします。糖質になる炭水化物を食べるタイミングを遅らせるのです。そうすると、先にごはんや肉類を食べるよりも、脂肪吸収が緩やかになります。食べても太らないという人が周囲にいたら、食べる順番に注目してみてください」(泉岡先生)伝説3・35歳を過ぎるとやせにくい若い時はダイエットをするとすぐに効果が見られたけれど、年齢とともにやせにくくなっていると感じる人も多いはず。「基礎代謝(何もしなくても消費しているエネルギー)が年齢とともに低くなるのもあるのですが、若いころは過剰に摂取されたカロリーは基礎代謝や運動によって筋肉になりやすいのに比べ、35歳を過ぎると代謝能力が落ちるため、過剰分のカロリーは脂肪として体に蓄積されやすくなるのが原因の一つです。さらに、やせるときは筋肉から落ちていくので、太ってもやせても、結果的に体積の多い脂肪が残ります。ですから、年齢が上がると、体重が減ったとしても、見た目はやせたように見えなくなります」(泉岡先生)伝説4・水を飲んでも太る体重増加が気になる人に多いセリフ、「水を飲んでも太る」とは本当でしょうか。「水はゼロカロリーなので、水を飲んで太るということはありません。『私は空気を吸うだけでも太る』と嘆く方もいますが、実際、そういう方はほかに原因があります。たいてい、食べ過ぎているのです。例えば35歳以上なら、一日の食事量は小学校3~4年生くらいの量で十分です。自分では間食を控え、『一人前しか食べていない』と思っていても、まだまだ摂取カロリーが多いため、『水を飲んでも太る』と考えてしまうのでしょう」(泉岡先生)伝説5・デザートは別腹女性に限らず、飲み会の後で、「シメのラーメンは別腹」という男性もいるのでは。「これは本当です。以前、私のクリニックにテレビ局が来て実験をしたので、私も自分の目で確認しました。満腹でも甘いものを見ると、胃の上腹部が膨らんで、食事が入るスペースができます。神経反射の一つで、『梅干しを見るとだ液が出る』というように、興味のある食べ物を見ると条件反射で胃が膨らみます。デザートやラーメンがその部分に入ると考えると、『別腹』だと言うことができるでしょう」(泉岡先生)伝説6・幸せ太り結婚をすると、太る人が多いようですが……。「第一に、食生活の変化が原因です。今まで母親の作る料理や、なじみの定食屋の食事が多かったのが、奥さんや自分が料理を作ると、味付けが変わり新鮮味があります。そのため食べ過ぎてしまう傾向にあります。男性は『食事を残したら奥さんに悪い』と思ってつい食べ過ぎたり、女性は夫の帰宅を待って食時時間が遅くなる、夫の食事量に合わせて自分もたくさん食べたりしてしまうなど、生活環境の変化が太る原因につながります」(泉岡先生)伝説7・親が太っていると子どもも太る太っている人もやせている人も、家族そろって同じ体形のように思います。「大阪大学などの機関が詳しく研究していますが、太る遺伝子がいくつかあることが分かっています。これらの遺伝子は『倹約遺伝子』とも言われ、人間に備わったのは、縄文時代にさかのぼります。狩猟民族でしたので、獲物を確保できないときに備えて『飢餓にならないようカロリーをため込む』という役割の遺伝子を持ったと言われています。倹約遺伝子を持っている人は、基礎代謝(何もしなくても、呼吸や体温調整など、生命活動維持のために消費しているエネルギー)が200~300キロカロリー減少します。欧米人よりも東洋人のほうが、これらの遺伝子を持つ人が多いという研究報告もあります。この遺伝子を両親ともに持っていれば、子どもが遺伝子を引き継ぐ可能性が高くなり、太りやすい体質になると言えるでしょう」(泉岡先生)伝説8・タバコをやめると太る「タバコをやめると、ごはんがおいしくなる」と言う人も多いようです。「『タバコをやめると太る。しかしながら、タバコを吸っている人はメタボリック・シンドロームの人が多い』という興味深いデータがあります。これは、タバコを吸う人は飲酒の量も多い、また、運動に興味がないという人も多い。だから、生活習慣病になりやすいというわけです。ですが、本来、タバコは常習性があり、タバコを吸うとドーパミンという快楽物質が脳内に出て、食事や睡眠が不十分であっても、一時的には元気でいられます。タバコをやめると喫煙時と同じ摂取カロリーでも2キロ~3キロは太ります。さらに味覚も研ぎ澄まされ、ごはんをおいしいと感じるようになります。そのために、食べ過ぎてしまったり、また、口寂(さみ)しくて間食が増えてしまうなどで太る人がいます」(泉岡先生)伝説9・炭水化物抜き(ごはんやパン、めん類など抜き)はやせる「炭水化物抜きダイエット」という言葉を耳にしますが……。「結論から言えば『やせるけれど体には良くない』です。炭水化物は消化されてブドウ糖に変わります。ブドウ糖は脳の発達に重要な栄養素です。ブドウ糖が足りないと集中力が落ちて仕事の効率が悪くなります。一日の必要な摂取カロリーの55%~60%を炭水化物からとるのが理想的です」(泉岡先生)こうして9つダイエット都市伝説を医学的に検証してみると、直接的に太る理由になっていない都市伝説も、間接的に根拠があったのです。自分が太りやすい理由が分かった気がします。監修:泉岡利於氏。医学博士。内科医、大阪府内科医会副会長、医療法人宏久会泉岡医院(大阪市都島区。TEL:06-6922-0890)院長、ほか。下関崇子/ユンブル)【関連リンク】【コラム】ダイエット失敗集! ~食事編【コラム】専門医の教え。重要なのは「順番」食べ順変えるだけダイエット!【コラム】骨盤元気に!体の芯を調えるムエタイ・ダイエット
2011年10月01日せっかくダイエットしてウエストは細くなっても、太ももがパンパンのままでアンバランスになど、下半身太りがなかなか解消されないという人も多いのではないでしょうか。「脚やせがしたい、できれば簡単に脚やせできる方法ってないの?」そんな願いをかなえてくれる方法があると聞き、ボディメイク・ダイエット専門家尾関紀輝(おぜき・としあき)トレーナーのもとへうかがいました。■脚が太い原因は脂肪だけではない!「脚が太いと悩んでいる人が多いですが、脂肪を落とせばやせると思っていませんか?」と尾関トレーナー。えっ、違うのですか?「よく誤解されていることですが、脚が太い原因は脂肪だけではありません。例えば、学生時代に部活などで激しい運動をして、脚に筋肉が付いている人は、やせようと思って脚のエクササイズやジョギングしても、かえって脚に筋肉が付いてしまい、ますます脚が太くなってしまうことがあります。それだけではありません。運動経験のない人にも言えることですが、偏って付いている筋肉も問題なのです。例えば、ももの前側の筋肉が、ももの裏側の筋肉よりも付いている人は、日常生活でちょっと歩くだけでも、優先的にももの前側の筋肉が使われてしまいます。つまり、ももの前側を知らず知らずのうちに筋トレしているようなものなのです。これでは脚やせしたくても、ますます太くなってしまいます。これを防ぐためには、ももの前側の筋肉が使われないようにすることが大切です。つまり、ももの裏側の筋肉をよりたくさん使うようにするのです。そうすれば、筋肉の付き過ぎで太くなっていたももの前側の筋肉の発達が止まり、脚やせにつながります。反対に、ももの前側よりも裏側の筋肉のほうが付いている人は、ももの前側の筋肉を使うようにすればよいのです」(尾関トレーナー)■つま先歩きとかかと歩きで筋肉の偏りを解消ももの前側と、ももの裏側、自分がどちらの筋肉を多く使っているか知るにはどうしたらいいのでしょうか。「つま先歩きと、かかと歩き、2つの歩き方を、まず10歩してみることです」と尾関トレーナー。「つま先歩きが苦手な人は運動経験の少ない人に多く、ももの前側の筋肉が発達していない人です。この場合、ももの裏側ばかり発達してしまいます。かかと歩きが苦手な人は、ソフトボールやラグビー、スピードスケートの選手のように、脚の瞬発力で前に進むスポーツをやっていた人に多く、ももの前側の筋肉が裏側よりも発達している人です。自分が苦手な歩き方が分かったら、苦手なほうの歩き方のみ10歩を目安として3セット行います」(尾関トレーナー)このエクササイズの注意点として、「つま先歩きもかかと歩きもガニまたにならないように。足の先はまっすぐ前を向けて、歩幅は歩きやすい歩幅でかまいません。運動靴やはだしで行ってください。通勤途中であれば、カバンを持ったままでもOKです」と尾関トレーナーはアドバイスします。これなら自宅でもオフィスでも、通勤中でも行うことができます。「まずは1週間実践してください」と尾関トレーナー。簡単そうに思いますが、いざ実践すると、苦手な方の歩き方はバランスが取りにくく、今まで使っていなかった部分の筋肉が緊張しているのが実感できます。これで、ももがきつくて入らないジーパンやタイトスカートも、再び履ける日が来るかもしれません!?監修:尾関紀輝氏。株式会社Shapes(東京都渋谷区、代表取締役。AFAA認定パーソナルトレーナー。"ダイエット・ボディメイク専門のパーソナルトレーナー"の日本における第一人者。ボディメイク指導歴は20年以上、1万人超の指導実績を持つ。『きほんのダイエット』(池田書店)、『体脂肪を落とすトレーニングプログラム』(西東社)、『一日5分で変わる体脂肪筋力トレーニング』(西東社)など著書多数。(下関崇子/ユンブル)【関連リンク】【コラム】上司の歯に青のりが!あなたはどうする!?【コラム】歯科医の教え節水もできる「歯磨き」とは?【コラム】舌のこけを磨くのはNO!歯科医に聞く正しい口臭対策とは?
2011年09月21日