夢は時として不思議な体験を与えてくれます。いよいよ体外授精で移植が決定。中村こてつさんは赤ちゃんが出てくる不思議な夢を見ました。不妊治療を2005~8年に受けた中村こてつさんの体験談。落とさなかった赤ちゃんに会えるか『私は赤ちゃんを落とさなかった』いつ頃からそういう類の夢を見るようになったのか、定かではありません。不妊治療を始めてから? いや、それよりもずっと前から?毎日の夢を覚えているわけではないのですが。でも夢の中で、自分が赤ちゃんを抱いたシーンがあると必ずそうなっていました。抱いた瞬間、足に力が入らなくなってフニャフニャになる私。そしてとうとう踏ん張りきれなくなって、赤ちゃんを抱っこしたまま前のめりに倒れてしまうのです。「あ~!赤ちゃんがつぶれちゃう!」そう思ってガードしたいのに、体はいうことを聞かず、結構な勢いで倒れます。その後どうなるかは覚えていません。もう今までに何度も見た夢。始めの頃は「あーぁ。赤ちゃん、落としちゃったな…」という感想だけで気にも留めていませんでした。でも、あるとき、その夢と不妊を結びつけてしまいハッとしました。これは何かの暗示? または願望、それとも不安? 夢の真意(があるのかも分かりませんが)を読めなくて、その夢を見るたびに困惑していました。正式に移植が決まった日、またあの夢を見ました。クリニック帰りに実母とランチをしたせいか、実母も登場。なんと夢の中で私は双子を産んでいました(願望かな(笑))。母が1人目の赤ちゃんを連れてきて、ベッドで寝ている私に抱かせました。どこかで客観的な自分がいて、半分夢と分かっていて「あー…また落とすのかな」と思っていました。しかし今回は違いました。ベッドの中でその子を抱きしめました。起き上がることもなかったので、そのまま落とさずに抱き続けられたのです。もう1人の子は最後にチラッと見たような、見てないような。性別も不明。なんとなく女の子だったかなぁ…(今となっては完全にはずれ(笑))。なにはともあれ、今回の夢では赤ちゃんを危ない目に合わせなかったのです。赤ちゃんが出てきた夢で、こんなことは初めてでした。移植の日がやってきました。仕事を休んでくれたオットとともにクリニックへ。融解した胚盤胞は、すでに中身(赤ちゃんの部分)が脱出を始めている脱出途中胚盤胞でした。グレードはABと言われました。施術服に着替えて、台の上へ。採卵のときよりも部屋全体が明るく、下半身丸出しの自分の状況がとても恥ずかしい!「それでは卵を戻していきますよ。」ドクターが言いました。明るい天井を見つめながら、この前みたばかりの夢のことを思い出していました。あの子に…会えるのかもしれない…※私が長男を妊娠するために不妊治療をしていたのは、2005年11月~2008年10月のことです。また、この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2018年04月25日不妊治療を2005~8年に受けた中村こてつさんが当時を振り返って綴る治療の体験談です。いよいよ移植となると注射やお薬、とさらに準備が進められるようです。移植日が決まる卵胞ホルモン剤(プレマリン)を服用しだして12日目、診察のためクリニックへ。子宮内膜が8mm以上あれば黄体ホルモンの投与を開始して、排卵後の状態に戻すそう。プレマリンは子宮内膜を厚くしていって着床可能な状態にする働きと、勝手に排卵しないようにする役割もあるとのこと。ジャスト8mm。合格です。4日後の移植が決定しました。初回はグレードが一番よかった凍結胚を一つ移植予定です。移植日のスケジュールとしては朝、凍結胚盤胞を融かし、昼過ぎに回復と生存確認をします(凍結・融解によってダメージを受ける場合があるため)。私の通っているクリニックでは生存率90%、10個に1個の割合でダメージを受けるデータとのことでした。融解に関しては同意書が必要になります。生存が確認できたら、午後に移植となります。移植後もプレマリン、黄体ホルモンは継続して投与します。黄体ホルモンは基本注射だけれども、希望すれば膣座薬に変更可能とのこと。1日4個、まあまあ多い…。しかし、クリニックに通う大変さ(片道1時間半)を考えると座薬のほうがよさそうです。移植後10日で血液検査によって妊娠判定を行います。そんなに早く分かるものなのねぇ。妊娠していれば更に黄体ホルモンとプレマリンは継続します。黄体ホルモンは妊娠8週まで、プレマリンは妊娠12週までとのこと。これは、自然妊娠の場合は、排卵した後の卵巣の黄体からホルモンが補充されるのだけど、わたしはプレマリンを使っているため排卵が抑えられており、その状態では黄体が作られないため、胎盤からホルモンが作られるようになるまで外的に黄体ホルモンを投与する必要があるとのことでした。ドクターにちゃんと聞けばよかったと後悔移植日が決まり、ドクターから「戻す卵は1個でいいよね?」と念を押されました。診察が終わり立ち上がっている途中だったので「あ、はい…!」と慌てて即答してしまいました。たしか前の診察でも確認をされたのでした。1個移植と2個移植とどういうメリットデメリットがあるか聞けばよかった…とあとで後悔しました。私のドクターは寡黙な方で、さらに方針なのか、治療に対しての説明は質問しないと詳しく話してもらえません。説明を聞いたうえで、それはどういう意味? とかじゃあこういう場合は…などの質問も生まれてくると思うのですが。最近はネットで情報が氾濫しているから余計な混乱は避けようという考えでしょうか。毎回、診察までに質問することを考えておかないと、あっという間に診察が終わってしまい、聞けばよかったぁ…と後悔したことがよくありました。私は頭がパパッと回らないほうなので余計にそうなのかもしれません。治療仲間は、毎回提出する基礎体温表に質問を書いたメモを挟んでいました。口頭でうまく伝えられない人にはよい方法かもしれません。また、ドクターには聞けないけれど、看護師さんには気軽に聞けるという人もいました。子宮内膜の厚みが基準に達したので、黄体ホルモンの投与が開始されました。その日は注射(プロゲストン50mg)でした。排卵誘発の注射ほど痛くはないけれど、よく揉まないと翌日にコリコリに硬くなりました。その後3日は膣座薬(朝夕2個ずつ)で、移植前日だけ地元の産婦人科クリニックで注射することになりました。注射&座薬以外に、錠剤のお薬(デュファストン)も毎食後、飲みます。プレマリンとバファリンもあるし、薬だらけです。飲み忘れないか不安になります。準備は整いました。次はいよいよ移植となります。とうとう、ここまで来たか…ここに辿り着くまでに、上がったり下がったり、自分の中の様々な感情を味わってきました。もう「頑張ろう」などそういう次元ではなく、来るべき未来がどんなものであろうと丸ごとそのままを受け入れようという心持ちです。心の中には凪いだ海がどこまでも続いています。※私が長男を妊娠するために不妊治療をしていたのは、2005年11月~2008年10月のことです。また、この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2018年04月11日CURUCURUが運営するWebメディア「妊活ボイス」はこのほど、「妊活・不妊治療」に関する調査結果を明らかにした。同調査は10月11日~30日、10年以内に妊活経験のある20~49歳までの女性300名を対象にインターネットで実施したもの。妊活全般にかかった費用を尋ねたところ、全体の平均は約35万円だった。ただし、人工授精・体外受精・顕微授精のいずれかを経験した人に限定すると、平均費用は約134万円まで上昇した。また、不妊治療の中でも高額となる高度不妊治療(体外受精・顕微授精)の経験者だけに絞ると、その治療費の平均は193万円となった。中には「300万円以上」という回答も16.1%あった。妊活費用の捻出方法について聞くと、56.0%は「夫婦の収入・貯金」と回答した。「夫のみの収入・貯金」(23.7%)、「自分のみの収入・貯金」(20.0%)も多い。一方、「親などからの援助」は5.3%にとどまった。高度不妊治療に進むにあたり金銭面はネックとなったか尋ねたところ、高度不妊治療経験者の62.0%が「ネックになった」と回答した。「ネックとなった」と回答した人に、料金が安かった場合、高度不妊治療に変化があったか尋ねると、53.3%が「もっと早く治療に進んだ」、35.6%が「治療の回数が増えた」と回答した。自由回答には「少子化と言われている日本だからこそ、妊活にかかる費用の助成などをもっと大々的にやってもらいたい」(30代前半)など国の助成金制度の拡充を求める声のほか、「保険適応にしてもらいたい」(20代後半)といった保険内診療を求める声も多かった。病院の利用タイミングについて聞くと、48.7%が「すぐに通えば良かった(18.7%)」「もう少し早く通えば良かった」(30.0%)と受診のタイミングが遅かったと感じていることがわかった。病院・クリニック選びで重視したことを聞くと、「アクセス」(53.4%)、「口コミ」(51.4%)、「先生・スタッフの雰囲気」(40.9%)が上位を占めた。病院・クリニックを変えた人にその理由を尋ねると、「良い結果が出なかった」(36.5%)、「治療内容を変えるため」(34.9%)、「先生と合わなかった」(30.2%)が多くなっている。病院・クリニック受診者の転院回数を見ると、全体では約30%であるのに対し、高度不妊治療の経験者では、64.5%と3人に2人が転院を経験している。また、約4人に1人は3軒以上のクリニックに通院していることもわかった。
2017年12月06日不妊治療を体外受精にステップアップする中村こてつさん。2ヶ月間、治療をお休みし充電期間を経て、いよいよ体外受精編の開始です。2005-8年の体験記になります。体外受精はじめましたタイミング療法→人工授精→体外受精と、不妊治療のお手本のように順調にステップアップしてしまいました。しかし、ここまで来たら後には引けません。2ヶ月間、治療をお休みして、心も身体もパワーはみなぎっています。9月末、生理開始。さあ、いよいよ体外受精、始動です!体外受精とは、卵巣から取り出した卵子を体外で受精(シャーレに入った卵子に精子をふりかける)させ、その受精卵を培養した後に子宮に戻す治療方法です。まず、採卵のための準備として、生理3日目から、低用量ピルを服用することになりました。避妊に使われるイメージの強いピルですが、不妊治療では卵巣の地ならし用な役割で、あとあと卵の質を均一にするために使用するそうです。飲み始めると高温期に入り、しばらくすると出血もなくなりました。ピル服用中は、飲酒も運動も性交も問題ないとのこと。(飲酒してよいかはいつも必ず聞いていた私です(笑))ただ飲み忘れは要注意です。生理が始まってしまいます。晩ご飯~就寝の間に1錠ずつ。14日間飲み続けます。飲み忘れてしまった場合は翌朝に飲んで、その日の夜にまた1錠。薬の飲み忘れをよくやってしまう私なので、携帯にアラームをセットして臨みました。薬の副作用は個人差があると思いますが、私の場合、飲み始めて1週間ほどは眠気との闘いでした。とにかく眠くて眠くて、無職でしたので一日中ゴロゴロしていました。あ、ゴロゴロしているのはいつものことでした(笑)。ピル服用12日目にクリニックで卵巣の状態をチェックしました。左の卵巣、何も無くキレイ。右の卵巣、ん?と私でも分かるくらいの丸い卵胞のようなものが一つ…。「卵巣嚢腫があるね~」と小さくつぶやくドクター。その前日に図書館で借りた不妊体験本で「卵巣嚢腫で手術~ほにゃらら」という文言を見たばかり。の、のうしゅ!? 今、嚢腫って言った? 先生。聞きなおしたいけれど怖くて聞けません。それがあるとまずいんですか? とだけやっと聞くと「まぁ多分、水が入ってるんじゃないかな」との的を得ていない返事。ドクター曰く、卵巣にできる腫瘍の9割以上が良性腫瘍であり、良性腫瘍の中で一番多いのが、卵巣嚢腫だそう。分泌物などがたまってできる袋状のものとのこと。一番最初の診察での超音波画像にも写っているから、普段から常にあるものではないかと言われました。念のため、ピルを1週間延長して経過を見ることになりました。1週間ずれるってことは、採卵日は11月初め。体外受精が始まるまでは、日にちが遅く進めばいいなんて思っていたけれど、いざ始まってしまうと、順調に進まないことにモヤモヤします。ピル服用19日目、再びクリニックへ。前回、経過を見ることになった卵巣嚢腫は今回も見えました。大きさは変わらず。やはり水の入った袋、水ぶくれみたいな感じでしょうねとドクター。これがあっても特に体外受精に問題はないとのことでした。ホッとしました。これからもずっと卵巣内にあるんですか? と聞くと「採卵のときに針刺しちゃうから、一時的に小さくなるかもしれないけれど(多分ずっとある)」とのこと。その言葉に改めて、「そうだった、卵巣に針刺すんだよな~」とドキリとしました。痛そうなのでなるべく考えないようにしていたのですが…。ギョッとしたり、モヤモヤしたり、ホッしたかと思えばドキリとしたり、体外受精に向け、心が忙しいです。(※私が長男を妊娠するために不妊治療をしていたのは、2005年11月~2008年10月のことです。また、この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。)
2017年12月06日ステップアップを検討する目安でもあり、自分の中の「ここまでには妊娠!」と目標にもしていた6回目の人工授精。その人工授精も妊娠することなく終わってしまいました。ここから、どうするか…オットは私の考えを優先するというスタンス。私は…私はどうしたいんだろう。産めるものなら産んでやるわい、と気持ちは切り替えたものの、切望しているわけではありませんでした。今すぐにでも欲しい! そう思えたなら、何の迷いもなく体外受精などにステップアップしていたでしょう。身体的、経済的に負担はないほうがいい…もう少し、人工授精で頑張りたい。悩んだ末、ドクターに伝え、7回目の人工授精に挑むことにしました。挑むにあたり、誘発の仕方を変えてみることにしました。これまで内服薬で排卵を促していましたが、注射で直接ホルモンを注入する方法に変えます。この方法だと、今までの人工授精より2割くらいは妊娠の可能性が上がるとのことでした。 内服薬とは反対で、頚官粘液も増えるし、子宮内膜も厚くなるというメリットもあります。デメリットといえば、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になる可能性があるということ。卵巣が腫れたり、同時に排卵することで腹水がたまったり、重症になると胸水も溜まります。血液濃度が濃くなって、血栓(脳梗塞などの心配)ができやすいとの説明も受けました。そうならないためにも、様子を見ながら少量ずつ使用していくとのことでした。また、卵胞がたくさん育ちすぎて、多胎の可能性も20%とかなり高くなると言われました。このようなデメリットがあるため、治療のために同意書を記入しました。OHSSになりやすい人は、多嚢胞性卵巣症候群の人や若い人とのこと。29歳ですけど…というと、十分若いです。と言われてちょっと嬉しくなる乙女心(笑)。7回目の人工授精に向けて、治療が開始されました。 まずは卵胞を育てるために注射に通いました。5日連続、1本の注射を打つためだけに往復3時間の通院です。注射は筋肉注射で、肩かお尻のどちらに打つか選べます。腕よりはましな気がして、私はいつもお尻を選択していました。ものすごく痛く、打ったあとも筋肉痛のような痛みが数日続きました。そして7回目の人工授精を実施。これまでとは違った方法での人工授精。期待と不安で過ごす2週間でした…。妊娠できたらその後の生活は一変するなぁ。双子ちゃんだったらどうしよう~(無知ゆえの憧れがありました)。産院は家の近くがいいのかなぁ。そしたらオットは毎日来るかもね。くすくす、くすくす。-2週間後-体温の下がった朝、生理が始まりました。うん。キソタイオン、ウソ、ツカナイ。7回目の人工授精も失敗。「どれくらい長いか分からない暗いトンネルの中を歩いている」不妊治療はそんな風に表現されることがあります。治療を始めてから時間だけが経ち、気付けば私もトンネルの中を歩いていました。奥へ進めば進むほど、不安や悲しみ・焦りが体にまとわりつきます。まったく明かりのない中では、気持ちを上向きに持つことが段々と難しくなっていきます。出口は、まだ見えませんでした。(※私が長男を妊娠するために不妊治療をしていたのは、2005年11月~2008年10月のことです。また、この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。)
2017年09月06日初めての人工授精は月経が始まったことで、成功しなかったことを知りました。そこまで落ち込むことはありませんでした。「…まぁ、まだ1回目だしね。」自分の中で6回までは挑戦してみると決めていました。そして、おそらくそれまでには妊娠できると、不思議な自信も持っていました。(今思えば何の根拠もない(笑))オットは「精子無力症」と診断され、その後の複数回の精液検査でも精子の運動率は基準をかなり下回る結果が続いていました。しかし、人工授精の時は洗浄濃縮され、人工授精するには問題ない値になっていました。私も毎回の診察でしっかり排卵していると確認していました。だから回数を重ねて、確率を上げていけば、いつかきっと妊娠できる。そう思っていました。翌月、2回目の人工授精をしました。生理がきました。少し気持ちが塞ぎました。年を跨ぎ1月末、3回目の人工授精をしました。生理がきました。その少し前に、姉が第二子を妊娠したことを聞きました。涙が出ました。その翌月、4回目の人工授精をしました。結果待ちの間に私の誕生日がきました。29歳になりました。誕生日の日、生理がきました。些細なことがきっかけで大泣きしました。4回目の人工授精のときには、精子に影響することを聞いたオットが禁煙を始め、精子の値がかなり改善したこともあり、少し期待していました。(オットも大喜びしていましたが、その2ヶ月後には元に戻ってしまいました…)翌々月、季節は春になっていました。5回目の人工授精をしました。生理予定日になっても生理がきませんでした。妊娠検査薬使ってみようか…そう思った日の夜、生理がきました。もう泣きませんでした。すぐさま、クリニックへ来月の予約をしました。その翌月、6回目の人工授精をしました。あたりまえのように生理がきました。いつのまにか、ステップアップの目安である回数になっていました。(※私が長男を妊娠するために不妊治療をしていたのは、2005年11月~2008年10月のことです。また、この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。)
2017年08月23日岡山大学は6月22日、体外で生体組織成長を促進するゲル材料の開発に成功したと発表した。同成果は岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)生体材料学分野の松本卓也教授、武田宏明助教らの研究グループによるもので、同日付の英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。移植細胞などを用いて体内で生体組織を再生し、失われた機能を回復するためには、細胞移植後、長期にわたる組織再生時間が必要となる。三次元の移植可能な生体組織を体外で作る試みもあるが、こちらも組織成長に時間を要するという課題がある。同研究では、生体組織が成長する環境を、生体親和性が高い生体材料(バイオマテリアル)を用いて体外で実現することに着手。唾液腺組織や肺、腎臓などの組織形成時に重要な働きを示すフィブロネクチンというタンパク質に着目し、細胞接着性ペプチド(RGD)を固定化した糖系ハイドロゲルシートの開発に成功した。同シート上でマウスから取り出した唾液腺組織を培養したところ、普通の状態よりも約6倍成長が促進することを確認した。同研究グループは「RGDペプチドは細胞接着性を高め、細胞の生存性を高めることが知られており、細胞培養器材や移植材料として研究利用されています。本材料は、体外での移植可能な生体組織作製の実現を加速する基盤材料になると大いに期待されます。」とコメントしている。
2015年06月23日テルモは2月6日、心停止時の緊急心肺蘇生などに使われるPCPS(経皮的心肺補助)システムの体外循環装置用遠心ポンプ駆動装置「キャピオックス遠心ポンプコントローラー SP-200(通称:NEO)」を国内の医療機関向けに販売を開始したと発表した。同製品は、1994年から販売していた従来機に比べ、大画面タッチパネルを搭載し視認性と操作性を向上させた他、重量を14kgから8kgに軽量化している。さらに、流量センサはトランジットタイム方式を採用しており、従来の専用コネクタを不要にした。なお、希望小売価格はシステムで1240万円(税抜き)から。
2015年02月10日武蔵野銀行は16日、地域社会への貢献を目的として、創業60周年を機に19日から2013年1月中旬にかけて全店(93か店)のロビーにAED(自動体外式除細動器)を設置すると発表した。来店した顧客に万が一の事態(心肺停止など)が発生した場合に、迅速かつ効果的な救命措置を行うため、全営業店のロビーにAED(自動体外式除細動器)を設置する。緊急事態が発生した場合に適切な対応ができるよう、設置時に営業店の全行員(臨時従業員を含む)を対象に講習を実施するほか、消防局による普通救命講習の開催を予定しているという。同行では、これまでも認知症サポーターの全店配置やコミュニケーションボードの活用などを実施していたが、今後とも地域の顧客に安心して利用してもらえるようサービスの拡充に努めていくとしている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月20日京都府は、不妊治療のうち保険適用外となっている人工授精を受ける人に、年間10万円を上限として助成することを決めた。1月31日発表の11年度一般会計当初予算案に、約2億4千万円の費用を盛り込んだと毎日新聞が報じている。(画像はイメージ)保険適用される投薬や注射では効果がない場合に行う人工授精には、1回に数万円の自己負担が必要となるが、大抵は複数回受けることとなる。期限や回数制限のない助成制度は他になく人工授精への助成は大分県でも実施しているが、助成期間は5年間に限られており、期限や回数の制限を設けていない今回の府の制度は、他に例が見当たらないとのこと。府ではこれまで、保険適用される治療につき年間3万円を上限に助成してきたが、女性1人が産む子供の数が全国で最低レベルとなっていることなどを考慮し、大幅拡充を決めたもの。なお、体外受精などは国の助成制度があるため対象外という。府の「こども未来課」では、不妊治療の患者は府内に毎年3千人以上おり、このうち4割程度が人工授精を希望していると見込んでいる。
2011年02月06日