今年で誕生10周年を迎え、11月9日にコミックス『らき☆すた』10巻(角川書店刊)が発売されることを記念して、『艦これ』や『Fate kaleid liner プリズマ☆イリヤ』といった人気タイトルとのコラボレーションした特典内容が明らかになった。記念すべき10巻では、すでにおなじみとなった「限定コラボカバー」企画を実施し、「ゲーマーズ」では、主人公の泉こなたが大ヒットゲーム『艦隊これくしょん-艦これ-』の駆逐艦"島風"になるという限定カバーを配布。そして「アニメイト」では、2014年にTVアニメ第2期が放送予定の『Fate kaleid liner プリズマ☆イリヤ』とコラボした限定カバーが配布される。さらに、「とらのあな」とのコラボ企画も展開され、こちらは『らき☆すた』のキャラクターたちが、"とら"の着ぐるみを身にまとった絵柄の「クリアファイル」が付属。今回のコラボカバー&クリアファイルは、すべて著者の美水かがみ描き下ろし。特典はすべて数量限定無くなり次第終了となる。『らき☆すた』は、好きなもののためには努力を惜しまないオタクな女の子「泉こなた」を中心に、仲良しな友だちとの日常をゆる~く描いた物語。アニメやゲームなど、さまざまなメディアミックスを展開し、物語の舞台となっている埼玉県の鷲宮神社は、多くのファンが「聖地巡礼」に訪れて話題となった。
2013年11月03日大須(おおす)商店街といえば名古屋の中でも、とびっきり元気な商店街だ。大須観音の門前町として発達したこの商店街は下町風情を残しつつ、家電店や古着屋、サブカル、エスニックなどが混然一体となって独自のカルチャーを形成。休日にもなると多くの人が押し寄せる。そんなカオスさがウリの大須商店街で、毎年10月に行われるのが「大須大道町人祭」だ。その名の通り、日本中から名うての大道芸人が集まるストリートパフォーマーの祭典。しかし、名古屋人はこの「大道町人祭」の名を出す時、頭の中であるコトバと必ず結びつけて顔がニヤニヤし始める。「ああ、金粉ショーのねぇ」と。この金粉ショー、大道町人祭の代名詞となっているほどの恒例出し物。しかし実際に見るとアゴが外れる程の衝撃を受ける。局部だけを隠した「ほぼ全裸」の男女ダンサーが全身に金粉を塗りたくり、公衆の面前で舞踏パフォーマンスを行うのだ。男性ダンサーはまぁいい。問題は女性ダンサーだ。初めて見た時は、胸には超ミニのビキニかニプレスでも付けていると思っていた。しかしよく見ると女性は完全におっぱい丸出し。それを隠そうともしない。下もTバックを通り越して、ほとんどヒモ状態。時には男が女の身体を持ち上げ、プロペラのように振り回したり燃え盛るトーチを振り回したりすることも……。ダンサーはアングラの世界では知らぬ人はいない、「大駱駝艦(だいらくだかん)」の艦員(メンバー)。世界的に知られるこの舞踏集団のパフォーマンスがタダで見られるのは素晴らしいことだけれど、よくぞまあ公然わいせつ罪でタイホされないものだと思う。もちろんカメラ小僧もわんさかで、この希少な被写体をバシャバシャと撮影している。この金粉ショー、踊る場所もすごい。なにせ大須商店街内にあるお寺の境内で踊るのだ。そのクライマックスであるショーが行われるのが、大須観音の中央階段ステージ。日のとっぷり暮れた大須観音に浮かび上がる6体の金ピカダンサー。光に照らされたゴールデンボディーが暗闇に浮かび上げる。BGMは民族音楽とハウスミュージックが融合したような異次元的なサウンド。そして背景は、いかにも日本的な朱塗りの伽藍(がらん)や大ぢょうちん。どこを切り取ってもアングラでシュールなのだ。このショー見たさに2時間前から場所取り合戦が発生し、場所にあぶれた人々もショーを ひと目見ようと、境内には黒山の人だかりが出現する。そこでは、アングラとは縁もゆかりもない子どもから老人までの善良な市民が、ぷるんぷるんと揺れる金色のおっぱいやおしりを眺めているのだ。この狂気さえ感じさせる混沌(こんとん)とした熱気は、その場でないと分からない。それにしても観音様の御前である。人間界では罪に問われなくても、観音様には罰当たりではないのだろうか?しかしこのショー、観音様への奉納とも見えなくもない。奉納とは、神仏を敬うために「価値のあるもの」を供物として神仏にささげる宗教的な行為のことをいう。供物には、金銭や食べ物はもちろん、歌舞音曲も含まれる。たゆまぬ鍛錬を積んだ大駱駝艦のしかも黄金に光り輝く舞踏だ。そう考えると、もしかしたらこれ以上の奉納はないかもしれない。さらに、この半裸ショーは当然ながらセクシャルなエネルギーもみなぎっている。そこで連想されるのが、チベット仏教の秘仏ヤブユム(歓喜仏)だ。ヤブユムは男女合体仏像で、日本の仏教では考えられないことだが、男女の仏様カップルがまぐわっている。性行為を宇宙エネルギーの根源と表現しているのだ。そう考えるとこの金粉ショーは、日本におけるリアル・ヤブユムなのかもしれない。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月07日KAAT神奈川芸術劇場のこけら落としとして昨年1月に初演された、三島由紀夫原作、宮本亜門(同劇場の芸術監督)演出の『金閣寺』。現在、“凱旋公演”として大阪・梅田芸術劇場で上演中だ。世界各国から厳選されたパフォーマンスが集まる“リンカーンセンター・フェスティバル2011”に招待され、昨年7月に同キャストでニューヨーク公演を行った本作。ホーメイ(のどを詰めた発声から生じる独特の歌唱法)歌手の山川冬樹や舞踏の大駱駝艦のメンバーが参加し、身体、声、映像で多層的に表現した舞台は、“Fusion Theater(融合劇)”として高く評価された。「言葉を超えたところで感じてもらえるこの作品の強みが改めてわかって自信になりました。日本とは全然違うところでリアクションが来たりするのも楽しかった」と、出演者のひとり、大東俊介は振り返る。その『金閣寺』が約1年ぶりに日本の観客の前に姿を現す凱旋公演に向け大詰めの稽古場で、通し稽古を見学した。『金閣寺』チケット情報1年前の初演以来、数多く顔を合わせているはずのカンパニーだが、馴れ合いすぎた空気はなく、ほど良い緊張感に包まれている。大東も、「緊張感が一番大事ですね。表面的でない、気持ちのひとつ奥を描いた作品だけに、どこか慣れてしまって新鮮さが欠けることは致命的になる」と語る。その中で、親友(=鶴川)を演じる共演者の大東をして「圧倒的な存在で魅入らされる。(演じていて)引っ張られます」と言わしめるのが、主役の溝口を演じる森田剛だ。吃音というハンディを背負った青年の孤独や心のもがき……上手く言葉にできないそれらが、些細な表情や動き、あまりに無垢な瞳の輝きから痛いほど伝わってくる。内翻足というハンディをもしたたかに武器にする柏木(高岡蒼甫)、明るい好青年ながら心に闇を抱える鶴川(大東)、そして溝口(森田)。この若者たちの関係性が作品の軸となるが、「3人の依存関係みたいなものが、ニューヨーク公演ではよりしっくり体になじんでる感じがあった」(大東)と言うだけに、今回も一層の深化が見られるだろう。余計な会話は一切交わさなくとも、互いへの確固な信頼感は、現場でもひしと感じ取れた。演出席の宮本はというと、目の前で展開する俳優たちの演技を“耳で聞き”ながら、台本を熱心に見つめていたのが印象的。三島由紀夫の言葉ひとつひとつに今一度真摯に耳を傾け、新鮮な作品を生み出そうとする誠実な姿だった。大阪公演は1月22日(日)まで同劇場にて、東京公演は1月27日(金)から2月12日(日)まで赤坂ACTシアターで上演。取材・文:武田吏都
2012年01月20日