子どもがおもちゃで遊びっぱなしで、どんどん散らかっていくお部屋……。叱ってもなかなか片付けを覚えてくれないと悩んでいる親御さんも多いのではないでしょうか。収納カウンセラーとして数多くのお家の収納を提案してきた飯田久恵先生は、親が収納上手になることで子どもにも片付けの習慣が身についていく実例をたくさん見てきました。さらに、「片付けのできる子は我慢する力があり、思いやりのある子になる」と言います。飯田先生に、親が覚えるべき家の中の収納・片付けの考え方、そして子どもに片付けの習慣を身につけさせる方法をお伺いしました。取材・文 /木原昌子(ハイキックス)写真/児玉大輔(インタビューカット)モノの「指定席」がないと子どもは片付けられない収納カウンセラーは、家の中のすべての持ち物を使いやすく収納する方法や、そのために必要な収納家具などを提案する仕事です。必要なモノだけを使用頻度に合った場所に収納し、すべてのモノの「指定席」を作ってあげる。そして、使ったらそれを戻す場所がある。片付けの習慣作りには、この戻すべき「指定席」を家の中のすべてのモノに決めてあげることが非常に大切です。子どもが片付けられない要因の多くが、この「モノを片付ける場所=指定席」が決まっていないことにあります。子どもが普段使っているおもちゃや道具について、まずは指定席を作ってあげましょう。そして、使ったモノをその場所に戻すことを子どもに約束させます。「おもちゃを入れた箱はいつもここに置いておく」「クレヨンや画用紙はこの棚にしまう」というモノの居場所、指定席を設けるのです。もしかして、この指定席がないまま子どもに「片付けなさい」と言い、散らかった状態に「イライラ」していませんか?子どもでもラクに戻せる指定席を決めてあげれば、片付けの習慣はちゃんと身につくもの。収納カウンセリングの仕事でいろいろなご家庭を見てきましたが、どのご家庭でも収納計画をしっかり作り、モノの「指定席」を決めると、子どものうちに身につけた片付けの習慣が大人になるまでずっと続くのです。収納に関する言葉を整理すると「指定席」が作りやすくなるモノの「指定席」を作る際に、まず言葉の整理をしましょう。片付け、整理、整頓、収納という言葉の違いを、意識したことがありますか?これらを意識しないで行動に出ると、やり直しが出てきたり、無駄な収納用品を買ったりしてしまいます。これらの言葉を以下のように定義してみました。飯田式・収納関連の言葉の定義(一般的な国語辞書の定義とは異なるので飯田式とします)整理:要らないモノを捨てること指定席作り(収納):使用頻度や動線に合わせてモノの定位置を決めること片付け:出したら戻す習慣大切なのは、使うたびに行なう3.片付けがラクにササっとできることです。モノが多すぎると、ササっと戻せる2.指定席作り(収納)がむずかしくなります。そうならないようにするために、仕方なく1.整理が必要になる。指定席が作れるだけのスペースがあれば、無理して捨てることはありません。モノが多くてジャマだなぁと思ったときに整理すればいいのです。では、その指定席をどうやって作ればいいのか?決める要素はふたつ、「置く位置」と「入れ方」です。まず「置く位置」について。たとえば、ランドセルの置き場所が部屋の出入り口から遠いベッドの向こうにあると、回り込むのが面倒で、多分入り口近くに「ドサッ」と置いてしまうでしょう。また、よく使う教科書や参考書が学習机から離れた場所にあると、取りには行きますが、戻すのが面倒で、机の上や床にどんどん置いてしまうかもしれませんね。学習机の前に座ってすぐ取れる位置なら、戻しやすいので戻すでしょう。そう、「置く位置が悪い」と戻すのが面倒になり、散らかる可能性が大きくなるのです。よい置き場所を考えるときは、「これがどこにあると私(子ども)は便利?私(子ども)は嬉しい?」と考えればいいでしょう。次は「入れ方」です。前述のランドセルも教科書も、指定席が扉の中だと、出し入れが面倒ですね。扉がないオープンの収納なら、すぐに出し入れができます。指定席は、動作=アクションがあまりなくても出し入れできるところを選びましょう。毎日使うランドセルやかばんにも指定席を作り、机からもアクセスしやすく配置した例「整頓」という言葉は、2の指定席作りをしたあとに、さらにきれいに見えるように整えることです。人によって「これくらいならきれいだ」と思う基準は違います。これを私は「整然感覚」と名付けているのですが、整頓については自分や家族の感覚に合わせ、快適だと思うレベルでよいでしょう。ブログやインスタグラムなどで、ホテルの部屋のようにキレイにすっきりと収納されている写真をよく見かけますが、そのような美しい部屋にすることが片付けだ、と思わなくていいのです。片付けられないときは「指定席」を見直してみるもし、親がモノの指定席を作っても子どもがなかなか片付けてくれない場合は、置く位置や入れ方・入れ物に問題があるかもしれません。ここで紹介したいのが「収納指数」という考え方です。私は、「片づけが面倒かラクか」を数値で表すことを考えました。モノの出し入れをする際には、使いたいモノがある場所まで歩く、そこで立ち止まってドアを開ける、さらに引き出しやフタなどを開けて取り出す、といった動作を伴います。歩く動作を「歩数」、ドアやフタなどを開ける動作を「アクション数」として数値に置き換え、その2つを足したものを「収納指数」と名付けているのです。つまり、「歩数+アクション数=収納指数」となります。たとえば、テーブルではさみを使うとき、はさみを手にするまでに、椅子から立ち上がり(1アクション)文具の入った棚まで2歩歩き(2歩)引き出しをあけて取り出す(1アクション)という動きが必要だとします。この場合は、はさみを手にするまで「2歩+2アクション」で「収納指数=4」と考えます。もしDMなどを開けるために毎日のようにはさみを使っているとしたら、収納指数が4もあると出し入れが面倒で、はさみがテーブルの上に出しっぱなし、ということになりがちです。そこで、テーブルの近くに文具立てを置き、それにはさみを立てて入れておけば「0歩+0アクション」で「収納指数=0」となるので、使ったはさみをすぐに戻すことができるのです。家の中に「収納指数」が大きいモノがたくさんあると、散らかる原因になります。たまに使うモノならば収納指数は大きくても問題ないかもしれませんが、毎日何度も使うモノであれば、指数が小さいほうが片づけやすくなりますねよね。子どもの片付けも同様に、収納指数をできるだけ減らしてあげると、片付けができるようになります。遊ぶ場所の近くにおもちゃの指定席を作る。棚を開ける動作をひとつでも減らしてあげる。片付けのハードルを下げ、簡単に片付けができるようにしてあげましょう。片付けができる子は思いやりのある子になる片付けができるということは、自分の持っているモノを把握している、ということ。何がどこにあって、今必要なモノがあるかないかをわかっているということです。片付けるという行為により、子どもは自然とモノの管理能力を備えていくことができます。また、モノの置き場所を管理することができると、スペースに限界があることを理解し、これ以上モノが入らないから我慢する、ということも覚えていきます。さらにはモノを大切にして、「散らかすとお母さんがきっと困るはず……」と、人への思いやりの気持ちが育つことにもつながります。***「お友だちのおうちに行ったらすごくきれいでびっくりした」という子どものころの経験は、誰にでも一度はあるのではないでしょうか。子どもは自分の家のことに意外と敏感。「うちはあんまりきれいじゃないから、お友だちを呼べない。でも、それを言うとお母さんを悲しませるかもしれないから言えない」と思っている子もいるかもしれません。家の中の「指定席」作りについて、子どもと一緒に考えてみるのもよいかもしれませんね。次回は、具体的な収納テクニックについて、飯田先生に教えていただきます。『頭のよい子が育つ片づけ術』飯田久恵 著/学陽書房(2009)■ 収納カウンセラー・飯田久恵先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもがモノを散らかしてばかりなのは、親が「○○」を決めていないから。第2回:勉強への集中力、学びへの興味を引き出す「片付けテク」を、収納カウンセラーが伝授!(※近日公開)【プロフィール】飯田久恵(いいだ・ひさえ)収納コンサルティング会社(社)日本収納カウンセラー協会(旧社名「ゆとり工房」)主宰。結婚、子育てを経て、システムキッチンや収納家具の設計に従事。そこでの経験をもとに独自の収納の法則を編み出す。新職種「収納カウンセラー」を確立し、家庭の収納相談や、マンション・ハウスメーカーの、収納設計・提案の仕事を行っている。またテレビや雑誌の仕事、執筆、講演、商品開発などにも携わる。片づけやすさを「収納指数」という数値で表すことを2001年に編み出し、その人にとって、無理しなくても片づけられる、シンプルな収納を目指す。著書に『頭のよい子が育つ片づけ術』(学陽書房)、『家庭も仕事もうまくいく 一流の収納術』(ぱる出版)など多数。近著に『服を1着買ったら、2着捨てなさい』(内外出版社)。
2020年05月03日GW、のんびりしたい親と遊びたい子どもたち。その両方の願いを叶えてくれるオアシスを見つけました…!※この記事は、外出自粛要請前の体験談を基にしています。■親と子のニーズが合わない日には…親にとっても子にとっても、オアシスポイントだった…。足を向けて眠れない。GWといえども、10日も休みがあると何をしていいのかわからない「スキマ時間」があって、親的には「コーヒー飲みながらゆっくりしたいなぁ」なんて思ったりするけど、子どもは「出かけたい!あそびたい!」と、親子で思ってることが真逆だったりして…(汗)。そんなとき、ものすごーく助かったのが「児童センター」でした。行けば大体お友だちが遊んでて、一緒に遊んだり、外にも遊具があって動き回ることができたり、夕方頃にお友だちが帰宅しはじめると、残った子たちが支援員さんと一緒にお掃除のお手伝いをしたり、学ぶことも多いです。長期休みはこういう施設で働いてくれる方々がいるからこそ、助かってるなぁ、ありがたいなぁと感謝しながら過ごしました(涙)。お給料アップしてあげてぇ~!※同じ「児童センター」といえども、地域や施設ごとに休日は違うと思うので、行かれる際は調べてみてくださいね。
2020年05月02日『正義』や『正解』は1つではないからこそ、多くの人が時に悩み、時に意見がぶつかり合うことも。占術家の岩波れいみんさんは、息子さんのエピソードをブログに投稿。反響が寄せられています。漫画を万引きしようして見つかったおじいさんある日、もうすぐ20歳になる息子さんから「お母さん、今、ちょっといい?」と神妙な面持ちでいわれた岩波さん。息子さんから話を聞くと、帰宅途中に寄ったコンビニで、なんと万引きの瞬間を目撃してしまったといいます。漫画の立ち読みをしていた人が、そのまま商品をスッとカバンに入れたため、息子さんは「それお金払ってないですよね?」と声を掛けたとのこと。すると、その人はカバンから漫画を取り出し、レジで会計をして去っていきました。立ち去るまで見届けた息子さんは、念のためコンビニの店員に「あの人、最初お金を払わずに漫画をカバンに入れて、僕が声をかけたら会計しました。また来たら気を付けたほうがいいですよ」と伝えたそうです。息子さんが悩む理由話を聞いて、「完璧な対応ではないか」と思った岩波さん。しかし、逆上される危険もあったため、息子さんを心配して次のように尋ねました。「でも、相手が逆ギレしなくてよかったね。どんな人だったの?怖い感じの人じゃなかった?」息子さんの返答は…。「かわいそうな感じのおじいちゃん」※写真はイメージ詳しく尋ねると、おじいさんは漫画の『ドラえもん』を万引きしようとしていた様子。それを聞いた岩波さんは、息子さんが父方の祖父のことが大好きだったことを思い出しました。息子さんのことをとてもかわいがっていた祖父は、息子さんが中学生の時に風邪をこじらせて肺炎に。病院のベッドで、80歳あまりで息を引き取りました。そんな祖父との温かな思い出もあって、今回のおじいさんの万引きは、息子さんにとってよほどショックな出来事だったのでしょう。岩波さんから「君が声をかけてあげたおかげで悪いことをせずに済んだのだから、そのおじいちゃんを救ってあげたことになるんじゃない?」といわれても、ネットに書いてあった「絶対警察に突き出すべき」という言葉に心揺れた息子さん。自身の対応を『正解』と思えず、「僕の対応、あれでよかったのかなあ?」と悩んでしまったのでした。貧困や困窮や転売目的で行われる万引きのほか、万引きを止められない病気である『窃盗症』などもあり、人が万引きをしてしまう理由はさまざま。おじいさんが万引きをした背景にも、何か事情があったのかもしれません。おじいさんのことを思うからこそ、息子さんは自分の対処に問題はなかったかと考え続けたのではないでしょうか。岩波さんは、ブログで改めて次のようにつづっています。これからはますます、大人として自分で判断していかなくてはならないことが、たくさん出てくると思います。そして今回のような場合は、『正義』とか『正解』を求めるのは難しい気がします。まだ人生経験が少ない息子には、いろいろな経験を通じて自分で考えたり悩んだりしながら答えを見つけていってほしいと思っています。店側からしたら万引きは迷惑千万。罪を犯したら、裁かれるべきなのかもしれません。しかし、視点を変えると、簡単に『正義』や『正解』は決められないことだと分かってきます。自分の認識を疑い、「本当にこれで合っているのか」と問い続けるのは大切なこと。きっと、息子さんは自分の頭で考えられる大人へと成長していくことでしょう。[文・構成/grape編集部]
2020年04月23日「ヘリコプターペアレント」というとちょっと耳慣れないかもしれませんが、空からつねに子どもを監視しているような親――つまり「過干渉」の親のことです。親がヘリコプターペアレントだと、子どもにどんな影響があるのでしょうか?欧米で学んだ心理学を子育てに生かし、母親たちをサポートしている公認心理師の佐藤めぐみさんに、ヘリコプターペアレントにならないための方法と併せて教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹「しっかり者」の親に多い「ヘリコプターペアレント」「ヘリコプターペアレント」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは本来、高校生や大学生くらいの年代の親のうち、ある特徴を持つ人たちに対して使われていた言葉です。「子どもの就活の面接に同行する親がいる」といった話を聞いたことがありませんか?そういう親が、あたかも子どもの頭上でホバリングしながら監視しているようだとして、ヘリコプターペアレントというふうに呼ばれるようになったのです。干渉し過ぎる親のもとで育った子は、のちのち社会に出てからもさまざまな問題を抱える傾向があります。子どもの頃から、なにをするにも「○○くんはこれが好きだよね」「これがいいよね」というふうに、一見意見を尊重しているようで結果的には親が一方的に決めてレールを敷いてしまうため、その子は大人になっても自分の意見を持てないというのはよくあるケースです。いわゆる、「指示待ち人間」になってしまうのです。さらには、打たれ弱いということもその特徴として挙げられます。親が自分のことを過剰なまでに守ってくれ、困難にぶつかる前に手を差し伸べてくれるために、つまずいたり壁にぶつかったりする経験が乏しいまま大人になってしまいます。でも、社会に出れば、親につねに守ってもらうというわけにはいきません。当然、さまざまな失敗を重ねることになります。すると、失敗に対する耐性が弱いために、一度の失敗で心に大きな傷を負ってしまうのです。子どもをそんなふうに育ててしまうヘリコプターペアレントには、心配性であることの他、少し意外かもしれませんが「しっかり者」の人が多いという特徴があります。しっかり者で管理上手だからこそ、子どもに対しても「なにごともうまくやってほしい」と考え、「我が子にはこれがいいんだ」と、子どもにかかわるあらゆることを決めてしまうのです。幼い子どもに対しては、ある程度の干渉が必要ただ誤解してほしくないのは、ヘリコプターペアレントは、あくまでも「高校生や大学生くらいの年代の親」に対しての呼び名だということ。それが、現在はもっと年齢が低い子どもの親に対していわれるようになってきているのですが、幼い子どもに対しては、もちろん親が管理したり干渉したりすることも必要です。なんでも子ども任せで、ただ放置しておけばいいというわけではありませんよね。幼い子どもが外で遊んでいるときには、親はきちんとそばで見守る必要があります。子ども自身や友だちが危険な遊びをしようとしているようなら、親がしっかり止めるべきです。ですが、多くの親御さんとかかわるなかで、わたしが「ヘリコプターペアレント“予備軍”かもしれないな」と感じる人がいるのも事実です。ですから、みなさんには「自分はヘリコプターペアレント予備軍になっていないか」ということを考えてほしいと思います。そうならないために大切なのは、子どもをひとりの人間として尊重することです。「質問をする」「相談をする」「意見を聞く」ということがとても大事になります。先にお伝えしたように、ヘリコプターペアレントは、子どもの日常に過度に干渉するため、その子の決断や判断の機会を失わせてしまうという特徴があります。そうではなく、子どもにかかわることは、まずは子どもにどうしたいかを聞いてほしいと思います。習い事や塾などの重要なことはもちろんですが、なにを食べたいか、なにを着たいか、なにで遊びたいか、そういう日常的なことでも自発的に考える練習になります。そういったことが、子どもの決断力を育むことになり、指示待ち人間ではなく、しっかりした自分の意見を持てる人間に育てるために大切です。子どもの成長に欠かせない、「悔しい」という負の感情また、子どもの「負の感情」を悪いものだと考えないことも重要です。負の感情とは、悔しいとか悲しい、寂しいといった気持ちのことです。もちろん、「友だちにいじめられて悲しい」だとか「お父さん、お母さんとあまり一緒にいられなくて寂しい」といった気持ちを子どもに味わわせることは、親として避けなければなりません。その一方、悔しい気持ちは子どもの成長に欠かせないものでもあります。たとえば、子どもが習い事やスポーツで他の子どもに負けて悔しい思いをしたとしましょう。その悔しい気持ちがあるから、その子は「今度は負けないようにもっと頑張ろう!」と努力をすることができます。その気持ちが、子どもにとってどれだけ大きな成長をもたらしてくれるかは、あらためて考えるまでもないでしょう。ところが、ヘリコプターペアレント予備軍の親たちは、そんな大事な悔しい気持ちすら、「子どもがかわいそうだ」と感じ、手を出したり、代わりにやってあげたりと干渉してしまいます。親の役割として大事なのは、子どもが嫌な思いをしないように先回りして解除することではなく、チャレンジをして悔しい思いをしたときに、「悔しかったね」と、子どもの気持ちに寄り添い、次に進めるように励ましてあげることです。そうすることで、失敗が成長のチャンスになっていくのです。先の「子どもに質問をする、相談をする、意見を聞く」ということにも通じますが、子どもが経験すべきことを親が奪うのではなく、子どもの本当の気持ちをしっかりと見つめることを大切にしてほしいと思います。『子育て心理学のプロが教える 輝くママの習慣』佐藤めぐみ 著/あさ出版(2012)■ 公認心理師・佐藤めぐみさん インタビュー記事一覧第1回:「登園時、毎朝大泣き」問題は、親がコレをしてあげると解決できる!第2回:子どもの「泣き落とし」を収めるテクニック。コツは“ルール作り”にあり第3回:子どもは「甘やかす」より「甘えさせる」!甘えさせてもらえない子は将来こうなる第4回:「過干渉、ヘリコプターペアレント予備軍」親の意外な特徴。もしかしてあなたも?【プロフィール】佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)1969年生まれ、東京都出身。公認心理師。オランダ心理学会認定心理士。イギリス・レスター大学大学院修士号取得。欧米で学んだ心理学を日本のお母さんが取り入れやすいかたちにしたポジティブ育児メソッドを考案。現在は公認心理師として、ポジティブ育児研究所でのオンライン子育て心理学講座、育児相談室ポジカフェでのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動等を通じ、子育て心理学を活用した育児支援を行っている。HP:megumi-sato.com【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年04月20日編集部:学研キッズネット編集部2020年4月14日(火)から、フマキラー PLAY ACTIVE!「親バカ新聞」キャンペーンがスタートした。キャンペーンでは、子どもの成長を「新聞記事」風に簡単に自動加工することができる「親バカ新聞」ジェネレーターを公開。はじめての体験やチャレンジに成功した場面など、子どものなにげない成長の瞬間を「新聞記事」風の画像にして記録として残すことができます。また選ばれた4名分の投稿は、実際に「朝日新聞」の新聞広告として掲載する予定となっている。子どものなにげない成長の瞬間を“一大スクープ”に!作り方は、新聞の向き(縦型/横型)と色(全5色)を選んで、子どもの名前を入力し、写真・見出しを決めるだけ。あとは画像をダウンロードするだけで家族の思い出に残ること間違いなしの、世界にたったひとつの「新聞記事」に。さらにできあがった新聞には「PLAY ACTIVE!」のプロジェクト大使である、ももクロメンバーからの応援コメントをランダムに掲載。応援コメントはなんと196種類! コメントは毎回変わるため、新聞をつくるたびにメンバーからのコメントを楽しむことができます。また、記事にコメントをするメンバーは、選んだ新聞の色によって変化します(黒=ランダム、赤・桃・黄・紫=メンバーカラーごと)。ジェネレーターは2020年4月14日(火)~8月31日(月)の期間中、何度でも無料で利用することが可能。子どもがアクティブに頑張る姿は、家族にとっての“一大スクープ”。お子様の成長する姿をももいろクローバーZのメンバーと一緒に応援し、「新聞記事」として家族の思い出を残してみてはどうだろうか。子どもの活躍が、ホンモノの「朝日新聞」に掲載されるチャンスも!?「親バカ新聞」ジェネレーターで新聞画像を作成した後、SNSアカウント(フマキラー公式Twitterまたはキャンペーン専用Instagram)をフォローした上で、「#親バカ新聞」のハッシュタグをつけ、ジェネレーターでつくった画像をSNSで投稿するだけで応募完了。選ばれた4名分の投稿を、実際に「朝日新聞」の新聞広告として掲載。お子様が成長した瞬間を、全国紙で紹介できる貴重なチャンスです。また、新聞の広告記事には、キャンペーン投稿全体に対するももいろクローバーZからの総評コメントも掲載予定だ。◆キャンペーン概要・キャンペーン名:フマキラー PLAY ACTIVE!「親バカ新聞」キャンペーン・キャンペーン期間:2020年4月14日(火)~6月30日(火)・キャンペーン応募方法:<STEP1>キャンペーン特設サイトのジェネレーターで「親バカ新聞」画像を作成<STEP2>フマキラー公式Twitter(@fumakilla_jp)またはキャンペーン専用Instagram(@fumakilla_oyabaka)をフォロー<STEP3>TwitterまたはInstagramにハッシュタグ「#親バカ新聞」をつけて投稿・当選通知方法:TwitterまたはInstagramのダイレクトメッセージにてご連絡・キャンペーン賞品:「朝日新聞」紙面上の広告内への掲載(4名様/8月上旬の掲載を予定)※新聞画像を作成するジェネレーターは8月31日(月)までご利用いただけます。*新聞への掲載タイミングは、変更になる場合があります。*キャンペーンに応募する際は、特設サイト内の応募規約をご覧のうえ、ご参加ください。【キャンペーン特設ページ】◆ももいろクローバーZプロフィール百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れにの4人によるガールズユニット。次世代の新人プロジェクトとして2008年春に結成。ストリートライブを出発点に活動を開始し、2009年8月に「いま、会えるアイドル」というキャッチフレーズのもとシングル「ももいろパンチ」でインディーズデビュー。2010年5月に「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビュー。メンバーの身体能力を活かしたアクロバティックなダンスやバラエティタレント顔負けのトークによってライブ会場を盛り上げ、次第に個性的なグループとして頭角を現すようになっていく。2014年3月には女性グループ初&史上最速結成6年で、国立競技場でワンマンライブを開催。2日間で会場111,000人とライブビューイング40,000人、合わせて150,000人を動員。さらに7月には日産スタジアム2DAYSライブを開催。また、2016年には初の五大ドームツアーを開催。結成10周年を迎えた2018年には、初のベストアルバムをリリース。5月には初の東京ドーム単独公演2DAYSライブを開催した。「PLAY ACTIVE!」プロジェクトについてフマキラーでは、ちびっこアスリート応援プロジェクト「PLAY ACTIVE!」を通じて、これからも虫にも負けず夢に向かってアクティブに生きる子どもたちを応援していく。※遊ぶ時は、手洗いやうがいを心がけましょう。◆フマキラーの姿勢について「ひとの命を守る」ことを経営理念に掲げており、人々の命や健康を守るために、日々研究を続けています。フマキラーでは、ウイルスの不活性化に関する製品の研究開発にも企業として取り組んでいます。毎日のウイルス対策をしっかりして、キャンペーンに参加しましょう。■「学研キッズネットFor Parents」のニュース一覧はコチラ■学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2020年04月14日子どもの成長は、親にとってとてもうれしい半面、時に寂しさをもたらすものでもありますよね。「子離れ」は、パパやママたちにとって大きなハードルとなる場合もあるかもしれません。今回は、そんな「子どもの成長」に対する親の向きあい方について、アンケートをもとに考えてみたいと思います。■「子どもの成長」による寂しさを感じている親は?アンケートでは、子どもの成長で寂しさを感じたことがあるか聞きました。その結果、「ある」、「少しある」と答えた人が83%となり、8割以上の人たちが子どもの成長に寂しさを感じたことがあるとわかりました。Q.お子さんの成長で寂しさを感じたことある?ある 52.4%少しある 30.6%ほとんどない 11.5%ない 5.2%その他 0.3%■寂しさを感じる瞬間1、手をつながなくなったときまず、どのようなときに親が「寂しい」と感じるのか、コメントをもとに見ていきましょう。「小1のとき、買い物中いつものように手をつないでいたら同級生の子が見え、手を振り払われました」(埼玉県 30代女性)「小学6年生までは手をつないできて、 私の手を下の子と取り合いしてたのに 中学に入学した途端に手をつないでくれなくなりました…。寂しい」(佐賀県 40代女性)「『ママ~!』と言って泣いていた息子が懐かしいです。 抱きついてくることもなくなり、言葉や態度がだんだんと男っぽくなりつつ、寂しい限りです」(福島県 40代女性)「どこに行くにも手をつないで歩いていたのが、いつの間にか一人でどこでも行くようになっていました。 寂しくもありうれしくもあり、ちょっと複雑です」(神奈川県 40代男性)成長にともない、手をつないだりするスキンシップを嫌がるようになることは、自分自身に置き換えてもわかります。それでもその行動は、親にとって寂しさを感じるものですね。■寂しさを感じる瞬間2、“ひとりで”できるとき子どもが小さいうちは、親が助けてあげるシーンが生活におけるさまざまなところで起こります。そうした行動を一人でできるようになったときに、寂しさを感じているママやパパももいるようです。「着替えが一人でできるようになったり、一人でご飯を食べられるようになっったりとうれしい半面、『ママの手助けは少しずついらなくなるのかなぁ』とさみしいと思ってしまいます」(広島県 30代女性)「座布団に収まって寝ていた新生児期から早7年。1つのベッドで寝ていた娘がとうとう一人で寝るようになりました。布団からはみ出る足を見て、大きくなったなぁとうれしくもあり、寂しい気持ちにもなりました」(神奈川県 30代女性)「娘は6年生になった途端、風呂に一緒に入らなくなりました。『成長だよね?』と話していましたが、しばらくは寂しさもありました」(千葉県 40代男性)「習い事で毎週歩いて一緒に行ってたのですが、ある日『1人で行けるから大丈夫だよ!』と 言われたとき寂しかったのと成長したなと複雑な思いでした」(宮崎県 20代女性)子どもが生まれてすぐ、衣食住に関する何もかもに手を差し伸べる状態となり、親としても手伝ってあげることが当たり前となっていきます。しかし、子どもによって個人差はあるにせよ、いつかは一人でできるようになるため、その日が突然訪れると「寂しい」と感じるのは無理もない気がします。■寂しさを感じる瞬間2、子どもの世界が広がるときさらに、家族よりも友だちとの約束を優先するなどの行動によってさみしさを感じている親もいるようです。「休日、朝から暗くなるまで友だちとの遊びに夢中な小6の息子。『家族でどこか出かけよう』と誘っても、面倒くさがられてしまいます。順調な成長、『遊んでくれる仲間がいて幸せだね~』と思いつつ、ちょっと寂しい気もします」(神奈川県 40代女性)「親と遊ぶのが当たり前だったのに、小学校に上がったら子ども自身でお友だちと遊ぶ約束を取り付けてくるようになった。親離れが始まっているなぁと寂しくなりますね」(神奈川県 30代女性)「入園前まで、息子にとってはママと一緒に過ごす時間が一番幸せな時間だと感じてくれていたのが、いまは『お友だちのおうちに行きたい』と行ったり、休みの日でもお友だちのことを思い出したりしています。息子の世界がどんどん広がって、”家庭”という小さな世界から外に目を向けているのを感じると、成長はうれしいけど、何だか寂しくも感じます」(滋賀県 30代女性)保育園や幼稚園に行き始めると、それまで家庭だけだった子どもの居場所が新しく増えることに。小さいうちは、子ども同士が遊ぶ時でも親は一緒でしたが、これも学校に通い始めるくらいの年齢になると、子ども同士だけの関係性が増えていきます。子どもだけの世界はより広がっていき、最終的には自立していく…。親としては最大にうれしいことであり、もっとも寂しさを感じるときなのかもしれません。■寂しさを感じる瞬間4、節目の行事さらに卒園式や入学式などの節目の時に寂しさを感じるという声は、多く寄せられていました。「長男が中学生になっての初めての授業参観で、校内で会った時にそっぽ向いて無視されたときに、学校内で呼んではいけないと思いました」(神奈川県 30代女性)「ピアノを習っています。 足台の調整を徐々に替える瞬間や、発表会やコンクール、オーディションの舞台で堂々としていく姿をみるとうれしい半面、寂しくて。なんだか私の手が届かない所にいってしまう感じの、なんとも言えない気持ちになります」(神奈川県 40代女性)「今年の春、卒園式で卒園証を代表で受け取る我が子の姿。緊張しながらも立派にやり遂げ、はにかんだ顔が忘れられません。小さく産まれて他の子より何でも一番最後だったのに、大きくなったなぁ。うれしく思うと同時に、その姿がまぶしくて寂しかった」(宮城県 40代女性)思わずその情景が頭に思い描けてしまうような、もらい泣きをしてしまいそうなエピソードが多く寄せられていました。たしかに、行事で見かける子どもの姿はいつも以上に成長して見えるものですよね。筆者自身も、幼稚園の卒園式で見かけた長男がとてもたくましく見えて、入園した頃の小さかった姿を思い出しながら、胸に迫るものがあったことを思い出します。■寂しさを感じる瞬間5、身体の成長そして、物理的に体のサイズが大きくなったことに対して、成長を感じて寂しくなるという意見も寄せられていました。「重くて抱き上げることができなくなったこと。喜ぶべきことではあるけれど、寂しく思います」(神奈川県 40代女性)「抱っこもできなくなりましたし、小さい頃の写真や昔着ていた服などを見るたびに、『あの頃はかわいかったな』と感じます」(福島県 30代女性)「私より背が高くなり、服のサイズも私より大きくなった時ですね。 成長がうれしいし、反面寂しさも感じます」(愛媛県 40代女性)「久しぶりに手をつないだら、背が大きくなっていた時。片手で抱っこできないほど重くなっていた時。まだ小学生だけど、もう小さい時には戻れないんなだなぁとしんみりする」(千葉県 30代女性)確かに体が大きくなってくると、抱っこすらできなくなってきて、子どもの成長をあらためて感じることがありますよね。■成長は寂しさではなく「宝物」一方で、子どもの成長に寂しさは感じないという声も一定数寄せられていました。「甘え下手なクール男子だからか、自分の性分なのか、一つ一つの成長が喜びではあったけど、寂しくはないなあ。ああ、これでまた自分でできる事が増えてうれしいな、親はまた一つ楽になるなみたいな」(三重県 30代女性)「さまざまなイベントを迎えるたびに、『ここまで育ってくれてありがとう! 母としての経験をさせてくれてありがとう!』という思いはありますが、寂しくはないですね」(神奈川県 40代女性)「『成長したなぁ』と感じる瞬間が子育てにおいての宝物」という言葉もあり、胸にグッときます。たしかに、成長は寂しく感じるだけのものではなく、子育てを頑張ってきたからこそもらえる「宝物」だと言えそうです。■子どもの自立のために「今」できること最後に、子どもの成長に関して寄せられたコメントをいくつかご紹介したいと思います。「成長がうれしくもあり、それと同時に子どもにしてあげられることが少なくなっていると日々感じます。子どもが小さい頃は、子育てに余裕がなく毎日大変だと思っていましたが、子どもたちが大きくなった今は、そんな忙しい日々を懐かしく思います」(三重県 40代女性)「今はまだ『ママ~見て~!』ってうるさいけど、だんだんと減っていくんだろうなと思うと寂しいですね。世の子どもが巣立ったお母さんは寂しさを飲み込んで送り出したんだなと思うと偉大ですね」(北海道 30代女性)「1人で寝るようになった時。1人でお風呂に入れるようになった時。1人でバス、電車に乗れるようになった時。1人で自分の生き方を決め1人で玄関を出て行く後ろ姿を見た時。どのお父さんもお母さんも、お子さんの成長を楽しみ喜びながらもどこか寂しさを感じていらっしゃるんでしょうかね」(三重県 50代女性)ここまで、子どもの成長で感じる寂しさについて考えてきました。多くのママ、パパたちが子どもの成長をうれしく思う一方で、寂しさを感じていることがわかります。子どもの成長にともなって、親の出番はどんどん減っていきます。親の手を借りずに一人でできることが増える、家庭よりも大切な子どもだけの居場所ができる、そしてついには独り立ちするなど、子どもは一人で生きていくためのステップを一つずつ登っていきます。子どもが安心してそのステップを登れるように背中を押してあげることも、親にしかできない大切な役割のように思えます。そしておそらく子どもが自立して初めて、それまでの子どもとの時間が貴重な物だったと、強く実感するのではないでしょうか。いま、家で過ごす時間が増えて、あらためて子どもと向き合う家庭も多くあるかと思います。これまでの忙しい時間で気がつかなかった子どもの成長、さらには子どもの考えに触れる機会ともいえるかもしれません。久しぶりに一緒に歩いてみたり、ときにはケンカしたりしながらも、一緒にいられる時間を大切に過ごせたらと思います。Q.お子さんの成長で寂しさを感じたことある?アンケート回答数:4573件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2020年04月12日わたしたちは、無意識のうちに多くの「思い込み」を抱えて生きています。その思い込みが、子どもが勉強で成果を出すにあたって支障になっていたとしたら?親であれば、子どものためにもそんな思い込みは払拭したいものです。算数に特化した学習塾「RISU」の代表である今木智隆先生が、算数を中心とした勉強に関する思い込みを教えてくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)算数が得意な子どもの男女比はほぼ5対5「男性は理系教科が得意で、女性は文系教科が得意」。みなさんのなかにもそう思っている人が多いはずです。でも、これはまさに思い込み。算数が得意な子どもの男女比は、ほぼ5対5という数字があるのです。わたしが収集した10億件ものデータによる結果なので、間違いありません。でも、理系の大学院に進むような人には男性が多いというのは事実です。ただ、これは単純に環境によるものではないでしょうか。わたしも京都大学の大学院に行きましたが、理系の大学院は女性に優しい環境だとはとてもいえないからです。いまなら綺麗になっているところも多いかもしれませんが、伝統的に男社会である理系の大学院の多くは、やはり汚いし臭いし……(苦笑)。研究に追われて泊まり込むというようなことになれば、仮眠室なんてものもありませんから、並べたふたつの椅子のうえに寝るようなこともふつうにある。そんなところを女性が敬遠するのはあたりまえのことでしょう。そういうことの積み重ねが、「男性は理系教科が得意で、女性は文系教科が得意」という思い込みを多くの人に持たせてしまっているのだと思います。また、親によるミスリードも「男性は理系教科が得意で、女性は文系教科が得意」という風潮をつくっている要因のひとつでしょう。父親よりも家庭教育を担うことが多く、得手不得手が遺伝すると思い込んでいるような母親が、子どもの頃に算数が苦手だったというケースがそれにあたります。「わたしは算数が苦手だったから、同性の娘も苦手にちがいない」というわけです。でも、子どもにそう思い込ませることほどもったいないことはありません。もしかしたら、母親には発現していない算数の才能をその子は持っているかもしれないのですからね。子どもは親とはまったくの別人格なのですから、親の体験を子どもに投影しないようにしてほしいものです。テストの85点はいい点?悪い点?また、思い込みという点では、テストの点数の解釈にも注意が必要です。たとえば、子どもが算数のテストで85点を取ってきたとしたら、みなさんはどんな印象を受けるでしょうか?100点ではありませんが、「8割以上はできているし、問題ない」と思う人も多いはずです。ところが、その内容によっては大いに問題であるという場合もあるのです。たとえば、配点はすべて5点の20個の問題のうち、ケアレスミスで計算問題だけを3つ間違ったケースと、3つの文章題すべてを間違ったケースではどうでしょう?前者は、学習内容はきちんと理解できていて、今後はケアレスミスにだけ注意すればいいということ。一方、後者の場合、計算はできても、文章題を解釈して式を立てる能力がまったく足りないということになる。深刻度でいえば、後者は前者の何倍にもなるでしょう。つまり、点数そのものではなく、どういうミスをしたのかというところにきちんと着目し、理解すべき大切な内容が抜け落ちたまま先に進むことがないよう注意する必要があるのです。そうしなければ、算数の場合は、「積み上げ型」という教科の特性があるため、その抜け落ちた内容がネックとなって、のちのちに大きな壁にぶつかることになります(インタビュー第1回参照)。親の謙遜と、子どもへのご褒美の条件に要注意ここからお伝えすることは、算数に限った話ではありません。でも、子どもが勉強でしっかり成果を出していけるようにするため、ぜひみなさんには心にとめておいてほしいことです。ひとつは、親の謙遜に注意してほしいということ。ママ友との会話のなかで、「うちの子なんて、算数が全然駄目で……」なんてことを口にしていませんか?じつに謙虚な日本人らしい言葉です。ただ、謙虚であることがいいというのは、このケースにはあてはまらず、ただの思い込みといえます。もし、その言葉を当の子どものまえでいっていたとしたどうでしょう?子どもは大人ほど言葉の裏にある文脈を読めませんから、字面どおりに親の言葉を受け取ります。子どもは、「僕は駄目な子で、お母さんにも期待されていないんだ……」と思ってしまう。すると、「駄目な子なんだから、できなくていい」という論法が成立し、勉強しない理由を子どもにつくらせることになってしまうのです。子どもの勉強に対するモチベーションを上げるためにも、やはり褒めてあげることを大切にしてください。もうひとつは、ご褒美のあげ方についての注意点です。ご褒美によって子どもの勉強に対するやる気を出させること自体が間違いだというわけではありません。ただ、ご褒美をあげる条件の内容には注意が必要。たとえば、「宿題が終わったらゲームをしていいよ」。この場合、たとえば計算ドリルで全問間違ったとしても、とにかく全問やればいいということになりますから、宿題をする意味がまったくありません。「勉強を1時間したら……」でも同様です。勉強の内容は問いませんから、極端な話、机に向かっていたらいいということになります。ではどんな条件がいいのかというと、たとえば、「宿題をやって採点をして全部正解になったら……」ならどうでしょうか。これなら自己採点の習慣もつきますし、内容の理解も進みます。ご褒美の条件次第で、子どもの勉強は意味のある時間にもなれば、まったく意味のない時間にもなる。その点を意識して、ご褒美の条件を考えてみてほしいと思います。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』今木智隆 著/文響社(2019)■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題(※近日公開)第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法(※近日公開)【プロフィール】今木智隆(いまき・ともたか)RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年04月09日はじめにーー最近の研究と活動私は東京成徳大学で心理学を教え、特に学校心理学を研究しています。子どもの自立を促進する・促進しにくい親と子の関わり方の法則・「親と子が幸せになるXとYの法則」を発見し、教師と親が一体となって子どもを援助する“チーム援助”を提唱しています。子どもの気持ちを代弁しながら心理学研究の経験をもとに分かりやすく伝えられるようカウンセリング教育に携わり、“チーム援助”は広く学校現場で実践され始めています。最近では、LD、ADHD等の当事者団体の協力を得て援助方法を研究したり、夜尿症とADHDの疫学調査を学校と協働しながら行っています。小学生になっても続いたら治療の対象に?「おねしょ」というと皆さまはどのようなイメージをお持ちでしょうか。小学生になってもおねしょが続く場合に「おねしょは病気じゃない。子どもが根性を出せば治る」「親のしつけが悪いから治らない」など、このようなイメージをお持ちの方が少なからずいらっしゃると思います。これは間違いです。しかし、「おねしょは小学校を境に夜尿症ととらえられ治療の対象となる」ということを知っていらっしゃる方は少ないと思います。さらに、おねしょは発達障害のあるお子さんにはかなり高確率でみられるということもあまり知られていないことと思います。そこで今回は、おねしょについて理解を深めていただき「おねしょの知識を得ることで気持ちが軽くなり、何をどうしたらいいのか分かる」ことを目指してお伝えしたいと思います。おねしょで悩んでいらっしゃるお子さまやご家族の皆さまはもちろんですが、学校の先生方やスクールカウンセラーなど援助者の方々にもお役に立てたら幸いです。注意:このコンテンツは皆さま方への情報提供のみを目的とするものです。一般的な事項であり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。また、医学的状態やその治療に関する情報が一部記載されていますが、それらの情報は、医師の治療アドバイスの代わりになるものではありません。現在お困りの事象がある場合は、すみやかに病院に相談してください。Upload By 田村 節子生まれて2歳ごろまでの子どもは毎晩おねしょをしますが、その頻度は年齢とともに減っていきます。しかし、5~6歳以降でもおねしょが月に1回以上、3ヵ月続く場合は病気ととらえて、「夜尿症」と呼びます。一般に、ときどきおねしょをしてしまう程度の子どもの比率は、5~6歳で約20%、小学校低学年で約10%、10歳で約5%程度といわれており、成長とともに減少します。また、成人まで続くケースはまれです。発達障害のある子どもでは、発達障害のない子どもに比べて夜尿症の頻度が高いことが知られています。夜尿症との関連についての報告が多いのは注意欠如・多動性障害(ADHD)ですが、ADHDで夜尿症を合併する割合は20~30%に上ると報告されています[1]。カナダで行われた調査では、6歳児の夜尿症の割合は、ADHDのない子どもで7.8%、ADHDのある子どもで20.9%と、ADHDのある子どもの方が2.7倍多いことが示されています[2]。 おねしょ(夜尿症)の原因と発達障害との関係Upload By 田村 節子おねしょ(夜尿症)の原因は、「夜間に尿をためる膀胱のサイズが小さい」や「夜間につくられる尿の量が多い」ことと合わせて、「就寝中に膀胱に尿がたまったときの目覚めの悪さ」だと考えられています[3]。成長に伴って中枢神経機能やホルモン分泌が成熟すると、就寝中の膀胱のサイズが大きくなり、作られる尿の量も少なくなるように調整されるため、夜尿症は徐々に改善します。発達障害のある子どもでは中枢神経機能の発達遅延により尿意切迫や膀胱の過活動などの排泄機能の異常が生じやすいこと[1]、睡眠の質が悪く、成長期に成熟する成長ホルモンや抗利尿ホルモンの分泌の発達が遅延しやすいこと[4]、感触の鈍麻によって下着が濡れても気持ちが悪いと思わない、お漏らししたことに気付きにくいこと[5]などが報告されており、研究段階ではありますが夜尿症に関係する染色体が発達障害とも関連する(夜尿症に関連する染色体8、23、13、22番がADHDでも関与)ことから[1]、発達障害のある子どもは夜尿症になりやすく、高学年まで続くケースも多いと考えられています。夜尿症が子どもや家族に与える影響次に、夜尿症が発達障害のある子どもや家族に及ぼす影響についてです。夜尿症が高学年まで続き、修学旅行などの宿泊が伴うような共同行事が増えてくると、夜尿症は自尊心の低下や劣等感などの心理的ダメージの原因になります[3]。夜尿症は一般に「そのうち、よくなるだろう」とされがちですが[6]、発達障害のある子どもにとっては、発達障害の症状に加えて、夜尿症があることによる心理的ダメージが加わるため、軽視してはいけません[6]。また、夜尿症は発達障害の病態にも影響を及ぼすことが指摘されています。聴性脳幹反応(音を出して脳の活動状況を確認すること)では、夜尿症のみの児やADHDのみの児よりも、夜尿とADHDを併発している児においてもっとも強く反応しており、ADHDのある子どもに夜尿症が合併すると、中枢神経の感情反応が強まり、反抗的な行動をとるなど感情コントロールの悪化を招く可能性があります[7]。また、夜尿症を合併したADHDは夜尿症のないADHDよりも、不注意の度合いが強くなり、夜間覚醒や自分で朝目覚める能力が低下しやすくなる場合があることも分かっています[8]。Upload By 田村 節子こうしたことから、発達障害があるからこそ、夜尿症を積極的に治療する必要性があると考えています[6]。夜尿症は治療することが可能な疾患です。夜尿症を治療することで明るさと自信を取り戻し、発達障害への対処や治療にも取り組みやすくなります[6]。夜尿症は、子ども自身だけではなく、その家族、特に母親の心理状態にも大きな影響を与えます。子どもの夜尿が続くことで、日常のイライラ(デイリーハッスル)が蓄積し、感情的になり子どもを強く叱ってしまうことはありませんか。そして、そうした行動を起こしてしまったことを省みて、深く落ち込んだことはありませんか。子どもは夜尿をなかったことにしようという心理的な防衛機制が働くため、実際は落ち込んでいても平気な顔でとりつくろうとすることがありますが、デイリーハッスルが蓄積してしまった母親は、夜尿をしたのに平気な顔をしている子どもを見ると、夜尿を治す気がない、反省もしていない、親の言うことを聞かないと誤解し、やがて子どもを受容できないという嫌悪感をもってしまうリスクがあります。また、家族や祖父母から子どものしつけ方が悪いと言われてしまうと、より自責感も抱きやすくなります[9]。発達障害のあるお子さんの保護者は、いろいろな事象に加え夜尿があることで、より親の責任であるかのような錯覚に囚われ、悩みが深刻化することがあります。このような嫌悪感、自罰感、自責感は「母親失格」という負の心理的刻印[9]としてお母さんを傷つけています。このように、夜尿症と発達障害の両方があるご家族では、お子さんとその親の両方が負の感情を持ちやすく、お互いの負の感情が連鎖して、より深刻な状況を引き起こすこともあります。この負の感情の連鎖を断ち切るためにも、夜尿症と発達障害の特性(原因や対応法など)を理解することが重要です。Upload By 田村 節子次回は、夜尿症の治療/対策、家族や周囲の望ましい対応、病院のサポートの受け方についてご紹介します。Upload By 田村 節子東京成徳大学応用心理学部臨床心理学科教授。東京成徳大学大学院心理・教育相談センター長。学校心理士スーパーバイザー。公認心理師・臨床心理士。学校心理学に基づく研究、および実践の専門家。現在、家庭、教育、医療との連携について夜尿や発達障害の子どもに焦点をあてて研究と実践を行っている。【引用文献】1. 石崎優子. 夜尿症研究 . 2011; 16: 11-152. Robson WL, et al. South Med J. 1997; 90: 503-505 夏苅郁子. 児童青年精神医学とその近接領域. 2008; 49: 336-3534. 夏苅郁子. 夜尿症研究. 2011; 16: 63-665. 平谷美智夫. チャイルド ヘルス. 2011; 14: 1333-13366. 大野友子. 小児看護. 2007; 30: 112-1157. Equit M, et al. Acta Paediatr. 2014; 103: 868-878 Elia J, et al. J Pediatr. 2009; 155: 239-244 田村節子. 小児科臨床. 2016; 69: 1263-127110. 田中幸代. 大阪小児科学会誌. 2011; 28: 1211. 池田裕一. 特別支援教育研究. 2016; 16: 29-3112. 石崎優子. 外来小児科. 2013; 16: 364-367
2020年04月06日■ 前回 までのあらすじ過食嘔吐の治療の話のはずが、いつの間にか私の進路の話に…。学校も部活も容姿さえも母のいいなりになってきたが、母は「私だって親が決めてきた」と聞く耳を持ってくれない。さらに「親のせいにするな」と言われ…。》 学校も容姿すら母が支配してる…それでも「親のせいにするな」と言われて ■私はいつだって自分の意思を引っ込めるしかなかった■母の「理想の子」じゃなければ愛してくれない…■母を悪者にして憎み切れないワケ母に対する感情は、そう簡単に割り切れるものではありません。私としては嫌だったことも、母としては愛情だったと言うことがわかるからです。『ある部分は自分の希望を押し付けている代わりに、ここの部分は娘の希望も取り入れてあげよう』『そうすれば娘もきっと納得してくれるだろう。お願いだから納得してほしい』などの、母の中での葛藤もわかります。母の【支配していたつもりはない。むしろ愛情のつもりだった】は、いじめの【いじめてたつもりはない。むしろいじってあげているつもりだった】それと少し似ているような気もします。いじられた側にとってはつらいこと。でも、そこで反撃したら、その場の空気を壊してもっと酷いいじめ(ハブられる、など)になることが恐怖だったから、嫌ないじりに耐えていた…こんな感じなのかもしれません。大人同士、もしくは子ども同士だったら『合わない人とは距離を置く』『違うグループと仲良くする』ということもできますが、親子の場合はそれも難しい。『合わない親子』はどうやって付き合っていくのが最善なのでしょうか────※この物語は私の経験を基に、一部フィクションもまざっております。
2020年03月26日「子どもは嘘をつくもの」そうはわかっていても、わが子の嘘は気になるものです。どうして嘘をつくの?誰かの影響?ひょっとして生まれつき嘘つきなの?「嘘をつくことは悪いこと」だとわかっているからこそ、子どもが嘘をついていると不安になりますよね。今回は、「子どもの嘘」と「親の嘘」の深い関係について調べてみました。「正直さ」を求めてもきりがない自分が子どもだったときを思い出して、「友だちに自慢したくて、つい嘘ついちゃったな」「すごいと思われたくて大げさに言ったこともある」と反省したことがある人も多いのではないでしょうか?また、親に叱られたくないばかりに、宿題をやっていないのに「もう終わった」と言ったり、テストの点数が悪かったときに「まだ返してもらっていない」とごまかしたりなど、一度も嘘をついたことがない人なんていないはずです。それなのに、わが子が嘘をついているのに気づくと、「うちの子が嘘をつくなんて信じられない!」「どこかで悪い影響を受けて嘘つきになったのかも……」などと、過剰に心配したり不安になったりしていませんか?子どもは嘘をつくもの。さらに言うと、大人だって嘘をつくことはあります。ですから、人を傷つけるような深刻な嘘でない限り、あまり神経質にとらえる必要はないでしょう。臨床心理士の井上序子さんは、子どもが嘘をつく原因として次の3つ挙げています。事実と空想の区別がつかない心理的発達が未熟な幼い子どもは、空想や願望を本当のことのように話します。もちろん本人には、嘘をついているという自覚はありません。かまってほしい痛くもないのに「お腹が痛い」と言ったり、学校での出来事を実際より大げさに表現したりと、親にかまってほしいから嘘をつく子も。原因は親子のスキンシップ不足にあるといいます。自分の身を守りたい自分の失敗を「○◯くんのせいでこうなった」と友だちのせいにしたり、まだやっていないのに「宿題はやったよ」と言ったりするのは、親に叱られたくないからです。親としては、子どもに「嘘はダメ」「正直でなければいけない」と教えるべきですが、一方で親自身が子どもの前で矛盾した態度をとってしまうことも。その結果、子どもの「嘘」がますます加速するという驚きの調査結果もあるようです。「子どもの嘘」ひょっとして原因は「親の嘘」?シンガポールにある南洋理工大学の心理学研究者らは、18〜28歳の若者379人に対して「嘘」にまつわる調査を実施しました。その内容は次のとおり。まず、調査対象者に「子どものころに親にどんな嘘をつかれたか」を聞きます。たとえば、なにかをおねだりしたときに「今日はお金を持ってきていないからまた今度ね」と言われたことや、言うことを聞かなかったときに「いい子にしないとおまわりさんを呼ぶよ!」「早く来ないと置いていっちゃうよ!」などと言われたことなど、さまざまなパターンの嘘を例に挙げて、「親に嘘をつかれたことがあるかどうか」を聞き出しました。そして次に、「大人になった今の自分は親にどのくらい嘘をついているか」をたずねたところ、子どものころに親が多く嘘を言っていた人ほど、大人になった現在、親に対して嘘をつく傾向が高いということが明らかになったのです。さらには、攻撃的で規則を破りやすいなど、社会的に好ましくない問題を抱えるリスクも高まると判明しました。調査を行なったセトー准教授は、「親が子どもに『正直でいることが一番』と教えているにもかかわらず、嘘をついて正直でないところを見せてしまうと、子どもに矛盾したメッセージを送ることになる」と指摘したうえで、結果として子どもの正直さを欠いてしまうことにつながったのではと結論づけています。親がつく嘘=「ダブルバインド」もちろん親は、悪意をもって子どもに嘘をつくことはありません。親が子どもに対して嘘をつくときは、「良かれと思って」「しつけのためにしょうがなく」などと、子どものためを思うがゆえに仕方がない場合が多いのではないでしょうか。しかし、心理学に基づいた育児メソッドを提唱している佐藤めぐみさんは「親が良かれと思ってつく嘘であっても、子どもの正直さに影響を及ぼします」と忠告します。悪気があるかないかの判断は子どもには難しく、親の言葉をそのまま素直に受け取ってしまうからこそ、軽い気持ちで嘘をつくことには気をつけなければなりません。親がつい言ってしまうのは、「おもちゃを片づけないなら全部捨てちゃうからね!」「今度またいたずらしたら、もううちの子じゃないよ!」「好き嫌いばかりするなら、もうごはん作ってあげないからね!」など、決して実行に移さない非現実的な内容なのではないでしょうか。これはすなわち “嘘” であり、「ダブルバインド」とも呼ばれます。「ダブルバインド」とは、相反するメッセージの間で板挟みになった相手が、最終的には従わざるをえなくなるコミュニケーションパターンのこと。親は無意識ではあるものの、ダブルバインドによるしつけは、子どもを脅して言うことを聞かせているのと同じです。ダブルバインドを頻繁に行なうようになると、子どもは次第に「お母さんは嘘を言っている」「お父さんは口ではこう言うけど、結局いつも実行しない」と、親を信用しなくなります。「嘘をつく」以外の解決策を用意するすべての発言に嘘がなく、つねに正直であることは難しいものです。しかし、親が子どもに向けた言葉は、思っている以上に子どもの人格形成に大きな影響を及ぼします。だからこそ、子どもの前では「自分の言葉に正直であること」「自分の発言に責任をもつこと」を心がけるようにしましょう。そうすることで、子どもは大人のまねをして自ずと正直になっていきます。南洋理工大学のセトー准教授は、「嘘をつく」以外の方法を考えるべきだと説きます。たとえば、子どもの感情に寄り添って理解を示す、問題を一緒に解決する、情報を提供する、選択肢を与える……。子どもに言うことを聞かせるためにつく嘘のほとんどは、それ以外の解決法があります。お菓子を買ってと言って聞かない子どもに対して、面倒になって「このお店はお菓子置いてないよ」「売り切れだって」と軽い嘘をついてしまうこともありますよね。その場ではその嘘で乗り切れたとしても、ごまかしただけで何の解決にもなっていません。それよりも、「今度の日曜日にお父さんと一緒に買いに行こう」「おうちにまだ食べていないお菓子が残っているよ」と、嘘をつかずに子どもを納得させられる言い方がないか考えてみましょう。***子どもがまだ小さいからといって、嘘をついてごまかし続けていると、いずれ大きくなったときにネガティブな影響が表面化することもあります。子どもに「正直さ」を求めるのなら、まずは親がお手本を見せてあげましょう。(参考)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもがウソをついたとき、親はどう対応すればいいの?ニューズウィーク日本版|親に嘘をつかれた子は親に嘘をつく大人に?調査結果GetNavi web|「しつけ」のための嘘が逆効果?親が嘘をつくと子供も嘘つきになりやすいことが判明All About|親の嘘、悪気がなければ子どもに許される?StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもの自己肯定感が低下する「ダブルバインド」。“条件付きの愛”は危険です
2020年03月16日もうすぐ卒園を迎える年長の子どもたち。小学校入学を楽しみにしていますか?子どもが不安そうにしている場合、もしかしたら親からのプレッシャーが原因かもしれません。今回は、元保育士の私がこの時期の年長さんを見ていて感じたこと、親が気をつけたいことについてお伝えします。「そんなんじゃ小学生になれないよ」と脅していませんか?この時期、多くの親が子どもにかけてしまいがちなのは、「そんなんじゃ小学生になれないよ」という言葉。子どもが落ちつきがない時、時間を守らない時、片づけをしない時など…ついつい出てしまう言葉ですよね。小学生になると子どもだけで行動することが増えるので、いろいろなことをきちんと身につけてほしいのが親心。そのため、子どもを叱ったり、注意をする場面が多くなってしまうのですが、その言葉でプレッシャーを与えてしまっては逆効果です。「〇〇だと△△になっちゃうよ」という脅しの言葉を言うのではなく、具体的に「こうするといいよ」とアドバイスすることを心がけましょう。そして、できた時には「すごい!これなら小学校に行っても安心だね」とほめることが大切です。「もうすぐ小学生」ということは子ども自身がよくわかっているので、具体的なアドバイスを丁寧に伝えていけば身につきやすく、自信に繋がります。学習系の習い事や家庭学習をつめこんでいませんか?小学校の授業は45分間。「うちの子、そんなに長く座っていられない」と心配になり、学習系の習い事を始めたり、家庭学習を始めることも多いのではないでしょうか?子どもがやる気があって取り組んでいるのならいいのですが、親が焦って、無理にやらせてしまっている場合もあるようです。家で45分間座っていられなくても大丈夫。その理由は幼稚園や保育園でも、卒園に向けて話を聞く態度を意識した活動を取り入れているからです。また、小学校では初めのうちは子どもの集中力が続くよう配慮して授業を進めてくれます。園での活動に問題なく取り組めているのであれば、順調に小学校での授業に慣れていけるはずです。息子の小学校では、入学後、小学校での生活ルールに慣れるまで、自己紹介や学校探検、歌やゲームなど楽しいことが盛りだくさんでした。幼稚園と同じように遊びの要素を取り入れつつ、ルールを学んでいったので、スムーズに学校生活やタイムスケジュールになじんでいきました。入学後、放課後の家庭学習の時間の目安は「学年×10分」と指導があり、家庭ではそれだけの時間集中できれば充分なようです。大切なのは、これまでの成長を認めて伝えることこの時期に親が目を向けてほしいのは、心配なことよりも、これまでの成長です。親と離れて過ごすこと、着替えや挨拶、友達とのやりとり、運動面や工作、歌や合奏など、入園前にできていなかったことも園生活でたくさんの成長があったと思います。そのことを思い出して、子どもに伝えてあげてほしいと思います。そうすると、小学校でもいろいろなことに挑戦してみようと、前向きな気持ちになれるはずです。また小学校に入ると、遊びの時間=やりたいことをする時間は減ってしまうので、今の時期にめいっぱい遊んでほしいと思います。遊んでばかりいると落ち着きがない子になってしまうと思われがちですが、子どもはずっと同じことをやり続けることはなく、満足するから次に進めます。小学校に入ると遊ぶ友達が変わり、幼児期に夢中になっていたごっこ遊びなどをできなくなってしまうこともあります。また、夢中になれるやりたい遊びの中だからこそ、学習として学ぶ以上に、数や言葉の概念を身につけることができます。ままごとで食べ物を分けたり、ゲームで点数を数えて競い合ったり、好きな絵本を読むことも、友達とケンカをして相手の気持ちを考えることも立派な学び。遊びを通して、経験や学びの幅を広げていくことも、小学校の授業についていけるようになるために大切なことだと思います。子どもが「いっぱい遊んだ!」と感じられるくらいに、その時にしかできない遊びをさせてあげられるといいですね。親子ともに笑顔で入学式を迎えよう私の息子は、もうすぐ小学1年生を修了します。息子を見ていて、小学校で初めて体験することも、ちょっぴり苦手なことも、前向きな気持ちさえあれば、子ども自身がなんとか乗り越えていくことを実感しています。子どもが前向きな気持ちになるには、親が心配しすぎず笑顔でいることがなにより大切。子どもの成長をたくさん見つけて、たくさんほめて、残りの期間を楽しんでください。そして親子そろって笑顔で入学式を迎えてほしいと思います。<文・写真:ライターnicoai>
2020年03月15日子どもの幸せを願わない親はいません。そう考えて、子どもばかりを優先し、夫婦関係をおざなりにしている人はいませんか?「幸福学」の第一人者である慶應義塾大学大学院教授の前野隆司先生は、「親だからこそ、子どもではなく夫婦、そして自分の幸せを追求してほしい」と語ります。そのことが「子どものためになる」というのですが、はたしてどういう意味なのでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)スキンシップをすれば幸福度が上がるみなさんは、子どもと積極的にスキンシップをしていますか?感覚的にもわかることかと思いますが、スキンシップが多いほど幸福度が上がるという研究結果があります。これは、神経伝達物質の影響によるものです。人間の脳は、他人とスキンシップすることにより、セロトニンやオキシトシンなど「愛情ホルモン」と呼ばれる神経伝達物質を分泌します。その働きにより、人は安心感を得て幸せを感じられるのです。ですから、子どもに対してどんどんハグをしてください。もちろん、スキンシップであればいいのですから、握手でもいいし、肩や背中をポンポンとたたいたり、「いい子いい子」と頭をなでてあげたりすることでもいい。とにかく、親子ともども幸せになりたいのなら、スキンシップを欠かさないことです。そういう意味では、日本人はちょっと不利かもしれません。外国人と比べると、日本人のスキンシップは明らかに少ないからです。わたしの知り合いがとあるラテン系の銀行に就職したところ、「自分の席になかなかたどり着けない」と苦笑いしていました。というのも、席に着くまでのあいだ、清掃員のおばちゃんなど出会う人出会う人から、「今日も会えたね!」と、まるで1年ぶりに会ったかのように激しくスキンシップされるからだそう(笑)。そのことを思えば、文化的にスキンシップが少ない日本人、とくに子育て中の親であるみなさんは、意識的に子どもとのスキンシップを増やしていく必要がありそうです。たとえ他人とのスキンシップには抵抗がある日本人でも、親子であれば問題ないでしょう。スキンシップをすれば幸せになるように人間はできているのですから、我が子を思う親なら、スキンシップをしない理由はありません。「子どもは宝物だ」という思考は危険さて、愛情を持って子どもとスキンシップをすることはもちろん大切ですが、その愛情の中身については注意が必要です。みなさんのなかに、「愛する子どもをきちんと育てることこそがわたしの生きがいだ!」なんて考えている人はいないでしょうか?それは、ちょっと危険な思考です。子どもに依存している可能性があるからです。わたしの母の世代の女性には、そういう人が多かったように思います。そういう女性は、妻として夫に尽くし、母親として子どもを育てることが任務であり幸せだと考えていました。そして、夫に先立たれて子どもが独立すると、自分の役割がなくなったと感じ、幸せの代わりに虚脱感を感じるようになる。そういう人の予備軍が、いまの親世代の人にも見られるのです。それこそ、「かわいい子どもには、できれば大きくならないでずっとそばにいてほしい」「将来、子どもが結婚して家を出ると思うといまから憂うつ」「子どもはわたしの宝物だ」なんて考えている人は危険です。そういう思考を持っている人は、無意識のうちに子どもを自分の「持ちもの」のように思っています。いうまでもなく、子どもは持ちものなどではなく、ひとりの独立した人間です。だからこそ、「いずれ我が家を出て他人になっていく子どもを遠くから応援しよう」という気持ちを持っていなければならないのです。子どものためにも、夫婦が仲良くしておくべきそう考えると、親が持っておくべきもうひとつの大切な思考があります。それは、夫婦こそが仲良くしておくべきだということです。子どもが独立して家を出ていったとしたら、そのあとに家に残るのは夫婦ですよね?それなのに、夫よりも、妻よりも「子どもが大事!」と子どもにばかり目を向けていれば、子どもが家を出た途端に、親はそれこそ虚脱感に襲われることになってしまいます。いま、熟年離婚する夫婦も多いですよね。それも、いまお伝えしたような、子どもにばかり目を向けている親が多いことにもよるのではないでしょうか。子どもとスキンシップをしてコミュニケーションを取ることも大切ですが、夫婦のあいだでももっともっとコミュニケーションを取るべきです。もっといえば、親自身が自分の幸せを追求してほしい。「子どものことを思えば、そんな勝手なことはできない」と考える人もいるかもしれません。でも、それは勝手なことなどではありません。むしろ、親自身が自分の幸せを追求することこそが子どものためになるのです。両親がしっかりコミュニケーションを取って幸せなカップルでいられたら、そんな両親の背中を見て育った子どもは、「自分もお父さんやお母さんみたいな家庭を築こう」と思うはずです。でも、親が子どもにばかり愛情を注いでしまうと、その子が大人になり子どもを持ったときも、自分の子どもに対して同じような愛し方しかできません。いわば、依存のループを子孫につないでしまうのです。そして、親に依存された子を待っているのは、最終的に虚脱感を味わうことです。みなさんも、我が子にそんな思いをさせたくはないでしょう。親自身が幸せになることはわがままでも勝手なことでもなく、むしろ子どものため――。そう考えて、子どもに依存しない親子関係を築いてください。『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』前野隆司 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン(2018)■ 慶應義塾大学大学院教授・前野隆司先生 インタビュー記事一覧第1回:“他人との比較”で得た幸せは長続きしない。「幸福学」で分かった、親子で幸せになる方法第2回:目的もなく東大に入っても意味はない。本当に輝けるのは、いい意味での「オタク」だ!第3回:「子どもは宝物だ」という思考が危うい訳。子を思うなら親は“自らの幸せ”を追求すべき第4回:子育てでイライラした時どうすれば?幸福学の権威が教える「幸せ体質な親」の目指し方(※近日公開)【プロフィール】前野隆司(まえの・たかし)1962年1月19日生まれ、山口県出身。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)教授。1984年、東京工業大学工学部機械工学科卒業。1986年、東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了。同年、キヤノン株式会社に入社。カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、2008年より現職。2017年より慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。研究領域は、幸福学をはじめ、ヒューマンロボットインタラクション、認知心理学、脳科学、心の哲学、倫理学、地域活性化、イノベーション教育学、創造学と幅広い。主宰するヒューマンラボ(ヒューマンシステムデザイン研究室)では、「人間に関わる研究ならなんでもする」というスタンスで、さまざまな研究・教育活動を行っている。『感動のメカニズム 心を動かすWork&Lifeのつくり方』(講談社)、『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(講談社)、『古の武術に学ぶ無意識のちから 広大な潜在能力の世界にアクセスする“フロー”への入り口』(ワニブックス)、『幸せな職場の経営学 「働きたくてたまらないチーム」の作り方』(小学館)、『ニコイチ幸福学 研究者夫妻がきわめた最善のパートナーシップ学』(CCCメディアハウス)、『AIが人類を支配する日』(マキノ出版)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年03月13日歯磨き、嫌がる子多いですよね…。わが家は2人とも嫌がりました。…いや、二太郎はまだときどき現在進行形で嫌がります。が、だいぶ磨かせてくれるようになりました!わが子たちが歯磨きをさせてくれるようになったワザを4つご紹介します!■あの歌が子どもの歯磨きに効果ある!?ワザ1、例の株式会社の歌で脅す(笑)イチコに有効だったのがこちらのワザ。イチコ、有名な歯磨きソングを2歳頃めちゃめちゃ怖がるようになったのです。「虫歯菌たちが、歯につまった食べ物を掘り起こす建設株式会社で働いている」というように例えた歌(子ども番組で流れるやつ)です。歯磨きを嫌がったときにと脅すと…いや、説明すると、素直にゴロンして口を開けてくれました。作曲家さん、作詞家さん、アニメを作ってくださった方に感謝です!二太郎はこの歌が平気なので、全然効果はありませんでした。くっ…!■子どもは歯も褒められたい?ワザ2、「○○な歯、見せて!」これは二太郎に使った声かけ。めっちゃ単純なワザですが…ただただ歯を「かわいい!」と褒めまくるワザ。単純ですが、二太郎はこれで口を開けるようになりました!磨きたい歯を褒めるのがポイントです。「わ〜奥歯もかわいい!もっとよく見せて!」「いーってしたらかわいい前歯がもっとよく見えるよ!あ!かわいい〜!」みたいな。ほかにも「かっこいい歯!」と褒めるバージョンもあるのですが、「かわいい」方が二太郎には効果的でした。笑■子どもの歯磨き、口を大きく開けさせるにはワザ3、一緒に歌う!これイチコにも二太郎にも有効!口を大きく開けてほしいときに…そう、歌詞を全て「あ」にして歌うのです!同じように「い」でも歌ってます。こうする、磨いてる途中で口が閉じちゃうことがないんです!歌うの大好きっ子には効果的かもしれません!■試されるのは、親の演技力!?ワザ4、歯磨き屋さんになる!もう見出しでおわかりかと思いますが、単純にと、歯磨き屋さんを名乗るだけ。わりと二太郎はホイホイやってきます。単純。磨くときも職人になりきって褒めながら磨いてます。「お客さん良い口の開け方ですねー!」「素敵な歯がここにも生えてます!磨いときますね!」「お客さん上手だからサービスであと10回磨いておきます!」みたいな。もう謎の歯磨き屋さんキャラを作って演じて楽しんでます。以上4つのワザを紹介しました!お子さんにハマるのがありますように!二太郎は日替わりです!笑歯磨き、親子でがんばりましょうね…!\モチコさんの人気記事が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪
2020年03月09日「毒親」という言葉が世間一般に知られるようになってきましたが、私の父も祖父母も毒親でした。子どものときは本当につらい思いをし、その毒親ぶりは今でも夢に出てきて夜中に飛び起きてしまうほどです。しかし、捉え方を変えれば彼らは立派な反面教師。今回は毒親育児を反面教師にしている私の経験をお伝えします。 祖父母からの言葉がけを反面教師に私は物心ついたときには祖父母に育てられており、実の両親の顔を知りませんでした。今でも、なぜ両親がいなかったのかはわかりませんし、知りたくもありません。それでもやさしい祖父母に育てられて、めでたしめでたしといきたいところでしたが、決してそういうわけにはいかなかったのです。祖父母はとても恩着せがましく、口癖のように「お前は本当は施設行きだったのに」と言ってきたのです。これは今思い出してもつらい言葉です。そのため、私はわが子には毎日のように「生まれてきてくれてありがとう」と伝えるように心がけています。 お風呂は週1、おかずはスーパーの総菜のみ祖父母は戦争時代を生きた人だったためか、今の人と感覚がズレているところがありました。その最たる例がお風呂に毎日入らないことです。どんなに汗をかいても週1回しかお風呂に入れてくれませんでした。また、祖父母は2人ともごはんを作ることができないからと毎日スーパーの総菜を与えられました。そのため、私にとってのおふくろの味はスーパーの総菜なのです。これらの経験から、私はどんなに疲れていてもわが子を毎日丁寧に入浴させ、手作りの料理をおなかいっぱい食べさせるように努めています。 父が帰ってきてからは恐怖政治が始まるそれでも、小学生のときにフラッと父が帰ってきてお風呂などの衛生面は改善されました。ところが、この父親もとんでもない人でした。思い通りにならなければ乱暴な言葉で怒鳴って言うことを聞かせようとするのです。その怒り方は本当に常軌を逸していて、とても恐ろしいものでした。父はたまに家に立ち寄る程度の存在だったのに、怒鳴り散らすためだけに現れることもあって、父がいると気が休まりませんでした。私はこの父の恐怖政治を反面教師に、むやみに大声を出さず、諭すように叱ることを心がけています。 私自身は毒親にはなるまいと努めてきたためか、わが子はのびのびと育っています。昔のつらい思い出を振り切れる日はなかなか来ないと思いますが、子育ての反面教師として毒親との思い出を利用すれば、親としての道を踏みはずすことはないだろうとプラスに考えるようにしています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト:imasaku著者:鏡 環2歳の息子の母。現在第二子妊娠中。元高校教員。うつ病と闘いながら夫と二人三脚で育児に励む。
2020年02月09日どんな親も、我が子を「できない子」にしたくはありません。そのために、親はどうすればいいのでしょうか。新著『それは子どもの学力が伸びるサイン!』(廣済堂出版)が好評で、首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る進学塾VAMOSの代表である富永雄輔先生にアドバイスをしてもらいました。まずは、「できない子」の対極にある「賢い子」の話から伺いました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「賢い子」とは、地頭のよさを使える子みなさんは、「賢い子」というとどういう子どもをイメージするでしょうか?わたしは、賢い子を自動車にたとえて「エンジンがでかい」というふうにいっています。これは、いわゆる地頭がいいということです。むかしからある表現なら、「1教えられれば10わかる子」ともいえるでしょう。では、賢い子はどうして1教えられれば10わかるのでしょう。それは、点と点をつなげられるからです。一つひとつの知識をバラバラに理解しているのか、それとも意図的につなげて体系化する習慣があるのか。そのちがいが、賢さという点で大きな差を生みます。たとえば、算数の掛け算と割り算を別のものとして理解している子どもは、それほど賢いとはいえません。一方、賢い子は掛け算を理解すれば必然的に割り算も理解できる。なぜなら、掛け算と割り算は同じ事象に対する観点を逆にしたものに過ぎないからです。つまり、賢い子とは、点と点をつなげ、ひとつのことから複数のことを理解しようとする子といういい方もできるでしょう。加えていうなら、「地頭のよさを使える」ことも賢い子の特徴です。先に、賢い子を車にたとえて「エンジンがでかい」と表現しました。ただ、車の場合はエンジンが大きければそれだけスピードも出るのですが、人間の場合、たとえ大きなエンジンを持っていても、そのエンジンをうまく使えない人もいます。最近、兵庫県に住む9歳の子どもが、数学・算数検定の最難関である1級合格の最年少記録を更新したことが話題になりました。その子の地頭のよさは、モンスター級といっていいでしょう。ただ、どんなに頭がいい子どもでも、なにもしないまま微分や積分がわかるようになるわけではありません。その子の親がしっかりと自分の子どもを観察し、我が子が数学に向いていることに気づき、地頭のよさをきちんと使えるように数学の勉強をさせてあげた――そのことが素晴らしいのだと思います。できない子ができる子を逆転しづらい時代この子のように、子どもがしっかりと地頭を使えるようになるためにも、わたしは先取り教育をおすすめします。ときどき、「先取り教育を受けた賢い子は、そのまま伸び続けるのでしょうか?」といった質問を受けることがあります。おそらく、「そうではない」という答えを期待する人も多いでしょう。でも、現実問題でいうと、近年は勉強が苦手ないわゆるできない子が、先取り教育を受けてきたできる子を逆転するという現象が起きづらくなっているように思います。それには、大きくふたつの理由が考えられます。ひとつが、いまの子どもたちのメンタルが非常に弱いこと。もっというと、そのメンタルを厳しく鍛えることが世間的にハラスメントだとしてやれなくなっていることも大きい。勉強をさぼって周囲から遅れはじめた子どもに対して、学校や塾の先生が叱って一生懸命に勉強させようとすると、その行為がハラスメントだと取られる。そうすると、できない子を一生懸命に指導しようという先生もいなくなりますから、できない子ができる子に追いつくことが難しくなるのです。もうひとつの理由が働き方改革です。いまは学校の先生も塾の先生もきちんと休みを取らなければなりません。ですから、正規の授業に加えてプラスアルファの補習が非常にやりづらくなっています。正規の授業だけでは内容を理解できない子どもをフォローできないわけです。つまり、先の質問に対する正確な回答は、「できる子がそのまま伸び続けるというよりは、できない子ができる子との差を埋めることができず、逆転しづらくなっている」ということになります。多くの親の教育知識は子どもの頃で止まっている加えて、いまは公教育が崩壊しつつあることも重要なポイントです。ここ30年ほどのあいだに、教育内容は大きく変わっていないものの、授業の時間は減っています。そのため、かつてなら公教育だけでも子どもたちが身につけられていたことも、いまの子どもはそうできなくなっています。では、いまの親は、我が子の学力をしっかりと伸ばしてあげるためになにをすればいいのでしょうか?それは、ここでわたしがお伝えしたようなことを含め、いまの子どもたちをめぐる教育環境の変化をきちんと知るということです。それぞれの業界の最先端でバリバリ働いているような人も、教育のこととなると自分が子どもの頃の知識で止まってしまっている人が多いようです。なぜかというと、すべての大人が自分たちなりに教育を受けた経験があるからです。その経験があるために、教育に関する新たな情報を知ろうとせず、教育環境はいまもむかしも変わらないと思い込んでいるケースが非常に多いのです。でも、むかしといまでは子どもをめぐる教育環境が大きく変化していると知れば、打つ手はいくらでもありますよね。クレームを恐れて先生たちが子どもを厳しく指導できないのであれば、親自身が我が子には厳しく指導すればいい。学校や塾の授業だけでは足りないのなら、親が補習をする、あるいは家庭教師に補習をしてもらえばいい。いずれにせよ、打つ手を考えるにも、親は教育に関する最新の情報にもっと敏感になるべきだと思います。『それは子どもの学力が伸びるサイン!』富永雄輔 著/廣済堂出版(2019)■ 進学塾VAMOS代表・富永雄輔先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「“エンジンがでかい”賢い子」にするための、親の心得第2回:“できない”意識を持つ子にすべき、超重要なこと「褒めて自己肯定感を高める!」(※近日公開)第3回:「ゲームや漫画は禁止!」が、子どもの“集中力の育ち”を阻害する理由(※近日公開)【プロフィール】富永雄輔(とみなが・ゆうすけ)京都府出身。進学塾VAMOS代表。幼少期の10年間をスペインのマドリードで過ごす。京都大学卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生までを対象とする進学塾VAMOSを設立。現在、吉祥寺校に加え、四谷校、浜田山校の3校を開校。入塾テストを行わず、先着順で子どもたちを受け入れるスタイルでありながら、毎年、首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る。受験コンサルタントとしての活動も積極的に行っており、年間300人以上の子どもたちの家庭をヒアリング。その経験をもとに、子どもの個性に合った難関校突破法や東大生を育てる家庭に共通する習慣についての研究を続けている。主な著書に『男の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)、『女の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)、『「急激に伸びる子」「伸び続ける子」には共通点があった!』(朝日新聞出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年02月09日子どもは親の鏡です子どもとの日常の中には、楽しいこともあれば大変なこともいっぱいありますね。わが家には小学6年生の息子と小学2年生の娘がいます。いつも子どもたちを励ましているつもりの私ですが、この日は、いつの間にか大きくなった子どもたちに励まされ、ついでに自分の口ぐせにも気づかされてしまいました。「あきらめなさい」ってよく言っているんだな、私…ちょっぴり反省です。でも、きっと次は楽しいことがあるはず!みなさんもこんなこと、ありませんか?<ライターしみず宇海>
2020年02月02日「万引きは100円でも逮捕されるのに、詐欺は大金でも逮捕されない」なんだか「かしこいヤツだけ得をする」みたいな感じで腹立たしいですよね。テレビでは万引きGメンが菓子パンひとつを盗んだ人を極悪人のようにつかまえているのに、振り込め詐欺は数千万円をだましとってもなかなか逮捕されない…「この差はなんなの?」今回は「元警察官ライター」である鷹橋さんにその理由を聞いてみました。この記事の監修者鷹橋公宣(たかはし きみのり)振り込め詐欺や銀行員の巨額横領事件などの捜査を担当してきた元知能犯刑事。警察署勤務時代は幅広い事件を担当。現在は退職し、法律事務所などのコンテンツを中心に執筆活動を続けるWEBライターとして活動中。noteでは警察のウラ話やお役立情報を発信。【元刑事ライターきみぽんのnote】万引きはすぐ逮捕されるのに詐欺はすぐ逮捕されない理由理由その1:窃盗の発生件数がケタ違いに多いからどんな犯罪がどのくらい起きているのか、どのくらいの犯人が捕まっているのかをまとめた「犯罪白書」という資料があります。平成30年版「犯罪白書」のデータをみてみましょう。全体の犯罪件数→約90万件窃盗…約65万件詐欺…約4万件なんと、発生件数を比べると窃盗は詐欺の16倍以上!あまりにも窃盗の発生件数が多すぎるので「万引きばかり捕まっている」という印象があるのです。 理由その2:詐欺を証明するのが難しすぎるから→万引きは「お金を支払わずに店外に持ち出した」だけで成立します。現に盗んだ商品を持っていれば、言い逃れなんてムダでしょう。→でも、詐欺は「ウソだった」ことを証明しなくてはいけません。そもそも詐欺なんてウソつきの犯罪ですから、容疑者が「だますつもりだった」と正直に白状するわけありませんよね。「返すつもりだった」「もらったものだと思っていた」という言い訳を叩きつぶさないといけませんが、その証拠をみつける作業があまりにも難しすぎるのです。 意外?詐欺の方が逮捕率は高い犯罪白書には「何人が逮捕されたか?」のデータも掲載されています。もちろん、みなさんのイメージでは「窃盗のほうが逮捕されやすい」はずですよね。では、窃盗と詐欺の逮捕率を比べてみましょう。 詐欺の逮捕率は万引きの2倍窃盗の逮捕率…約30%詐欺の逮捕率…約60%なんと、詐欺のほうが2倍も逮捕されやすいという驚きの事実がわかります。「なんで?」と不思議になりますよね。 万引きはその場で許してもらえることが多い万引きでは、その場で代金を支払って許してもらうケースが大半です。許してもらえなくても、逮捕されずに自由の身のままで取調べをうける「任意事件」がほとんど。 詐欺犯はそう簡単には逃がさないところが、詐欺事件は容疑者の口から「ウソでした」と言わせるために、専門の刑事がとことん取調べをします。「今日の取調べは終わったから家に帰っていいよ」なんて甘い対応はしてあげません。みっちり取調べをするためには、逃げられないように逮捕したほうがいいわけです。 つまり「詐欺も逮捕される」ということ単純に発生件数が多いから「万引きばかり逮捕される」というイメージがありますが、実は詐欺もしっかり逮捕されて罰を受けています。むしろ詐欺のほうが高確率で逮捕されていて、しかも刑罰が重たいというオマケまでついているのだから、ドロボーよりも詐欺師のほうが大変ですね。【元警察官が教える】万引きはすぐ逮捕されるのに詐欺はすぐ逮捕されないのはなぜ?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。【元警察官が教える】万引きはすぐ逮捕されるのに詐欺はすぐ逮捕されないのはなぜ?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2020年01月31日子どもにとってもっとも身近にいる親は、子どもにとっての最強の応援団です。しかし、なかには子どもの夢を阻んでしまう最凶の「ドリームキラー」になっている親もいる――。そう指摘するのは、「励ましの言葉」である「ペップトーク」の第一人者である、日本ペップトーク普及協会代表理事・岩﨑由純さん。親が子どものドリームキラーにならないために、どんなことに注意すればいいのでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)子どもの努力とは無関係のことで、子どもの夢を断ち切らない子どもにとって「ドリームキラー」になってしまう親には、親の尺度による思い込みがあります。「宇宙飛行士になりたい」といった大きな夢を持っている子どもに対して、自分は勉強が苦手だったからと「無理に決まっている」などという親がいるのです。たしかに、遺伝の影響は小さくありません。でも、祖先から受け継がれながらも両親には現れていない素質が子どもには発現するということもあります。しかも、父親と母親の遺伝子の掛け合わせにより、子どもは両親とはまったくの別人になるもの。それこそ、「鳶が鷹を生む」ということは、まったく珍しいことではありません。それなのに、親が、環境や自分の遺伝子、ほんの数十年の人生のなかで培ってきた自分のものさしで子どもの可能性を奪ってしまう――つまりドリームキラーになってしまうということがよくあるのです。しかも、「わたしの子なんだから、無理に決まっている」というような遺伝のこと、あるいは「うちにはお金がないから」といった経済的なことは、子どもにはどうしようもないことです。自分の努力とは無関係な理由で夢を断ち切られるのは、子どもにとって本当につらいことなのです。夢に向かって頑張ることが他の可能性も広げる親が子どものドリームキラーにならないためには、子どもは自分とはまったく異なる別人であること、そして、子どもの努力ではどうにもならないことを理由に子どもの夢を断ち切ってはいけないことを親が認識することが大切です。その認識をしっかりすることで、子どもへの対応は自然に変わってきます。たしかに、子どもの夢によっては、経済的な問題が立ちはだかることもあるでしょう。それでも、子どものために最善を尽くしたり、親子で妥協点を探ったりすることはできるはずです。子どもが「宇宙飛行士になりたい」といった大きな夢を持っている場合にも、親の尺度で「絶対、無理!」なんていわず、心から応援することです。その応援を背に受けた子どもは、夢に向かって必死に頑張ることができる。そうやって、子どもの可能性というものは広がっていくのです。たしかに、宇宙飛行士になるという夢を叶えるのは本当に難しいでしょう。NASA(アメリカ航空宇宙局)の場合、その合格率は0.04〜0.08%ともいわれます。でも、その夢に向かって必死に勉強を続けられたとしたらどうでしょうか?たとえ宇宙飛行士にはなれなくとも、その勉強の成果として、それこそNASAやJAXA(宇宙航空研究開発機構)に就職できるかもしれない。あるいは、「プロ野球選手になりたい」という夢を持っている子どもの場合なら、その前に目指すのは甲子園出場でしょう。もちろん、その目標を叶えるのも簡単ではない。ほとんどの野球少年は、甲子園出場を果たすことなく野球をやめていきます。でも、大事なことは、甲子園に出場できたかどうかではありません。夢や目標に向かって頑張ったことこそが大事であって、その「頑張り方」を生かして、勉強や仕事、子育て、後の人生を頑張って生きられればいいのです。子どもが失敗したときこそ大きな成長のチャンスいずれにせよ、みなさんには、「夢に向かって努力するプロセスが大事」だと認識してほしい。もちろん、そのプロセスでは、子どもが失敗することもあれば壁にぶつかることもあるでしょう。そのときこそ親は「チャンスだ」と思ってほしいのです。子どもが打ち込んでいるスポーツの試合で勝てた、勉強の成果が出たというときには、一緒にただよろこんであげればいい。一方、試合に負けたりテストで大きなミスをしたりして子どもが落ち込んでいるようなときは、それこそ子どもにとって成長のチャンスです。そういうときは、間違っても、「なに負けてるの!」なんて責めるような言葉をかけるのはご法度です。子どもは悔しくて泣いているかもしれない。そのうえで親からそんな言葉をかけられては、子どもは努力をやめてしまい、打たれ弱い人間になってしまうはずです。子どもにとってのドリームキラーにならないために親がやるべきことは、なにより子どもを支えてあげることです。まずは、「悔しかったよね」と、子どもに寄り添ってあげる。加えて、本番までにもっとやるべきことがあったのだろうか、準備したことが間違っていたのだろうか、なにか足りないものがあったのだろうか、と子どもに考えさせるのです。「いま、本気で考えるチャンスだよ」と、次への努力へとつながる道を示してあげてください。『相手の結果を100%引き出す 実践!ペップトーク』岩﨑由純 監修・浦上大輔 著/フォレスト出版(2019)■ 日本ペップトーク普及協会代表理事・岩﨑由純さん インタビュー記事一覧第1回:子どもの成功も失敗も、親の言葉がけ次第!「ペップトーク」が持つすごい力とは第2回:子どもの夢を断ち切っているのは親かもしれない。注意すべき「ドリームキラー」発言第3回:「わたしの子=わたしのもの」と思ってはダメ。“傾聴力”で子育てはもっとうまくいく!(※近日公開)第4回:本番に強いか弱いかは価値観で決まる。「緊張を味方につける方法」の教え方(※近日公開)【プロフィール】岩﨑由純(いわさき・よしずみ)1959年10月10日生まれ、山口県出身。一般社団法人日本ペップトーク普及協会代表理事。NECレッドロケッツ・コンディショニングアドバイザー。日本体育大学体育学部体育学科卒業後に渡米し、米シラキューズ大学大学院体育学専攻科修士課程修了。日本初の「アスレチックトレーナー」として数々のスポーツ現場で活躍。アメリカ留学中に、ペップトークの迫力・思い・魅力を体感し、現在はスポーツの他、教育・ビジネスの世界にペップトークを普及するため精力的に講演活動を行っている。主な著書に『子どもの心に響く励ましの言葉がけ「ペップトーク」』(学事出版)、『想いが伝わるペップトーク』(いまじにあ出版)、『やる気をなくす悪魔の言葉VSやる気を起こす魔法の言葉』(中央経済社)、『心に響くコミュニケーション ペップトーク』(中央経済社)、『子どものココロを育てるコミュニケーション術』(東邦出版)などがある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年01月27日自分が親になってみると、乗り越えたはずの「幼少期の辛い記憶」がよみがえる…。そんな人は、案外多いようです。親にされたようなことを、自分の子どもにはしたくない! 虐待の世代間連鎖を防ぐために、私たちができることは?母子論の第一人者であるカウンセラーの信田さよ子先生が、豊富なカウンセリング経験から導き出した初の子育て論を出版されたので、お話しを伺いました。この記事は、 「『親にされたことを、わが子にしたくない』そんなママに限界がきたら…」 「子どもが泣くと怒りが沸く…その負の感情が世代間連鎖を生む!?」 の続きです。■虐待の世代間連鎖を防ぐ二つのキーワード―「親にされたようなことを、自分の子どもにはしたくない!」と思う人は多いようです。信田:日本には、虐待にかかわる広範な職種の人たちにより構成された「日本子ども虐待防止学会」という学会があり、そこでは世代間連鎖に関する研究がいくつも発表されています。それらの研究から浮かびあがる重要なキーワードは、2つあります。ひとつは、「アタッチメント」、もうひとつは「感覚否定」です。―「アタッチメント」とは、何ですか?信田:アタッチメントは、子どもが不安を感じたときに、養育者にくっつくことで安心感を回復するシステムです。ここで注意したいのは、アタッチメントは「愛情」を表しているのではなく、むしろ危機的場面を切り抜けるために必要な「安心感」を表しているという点です。つまり、アタッチメントは「親から子どもに与えるもの」(愛情)ではなく、「子どもの側が親に求めるもの」(安心感)なんです。■子どもが親に求めているものとは?―なるほど。信田:アタッチメントのシステムが子どもの成長とともに安定的に発達すると、満2歳ごろから、自分と他者との関係性について、心の中のイメージが構成されるようになります。これを「内的作業モデル(Internal Working Model)」と呼びます。アタッチメントのシステムが子どもの成長とともに安定的に発達すれば、「自分の感覚は世界から受容されるはずだ」「他者は自分に安心感を与えてくれる」という信頼感が育ち、子どもの心の中には、世界とは、他者とはそのようなものである、というイメージが形成されていきます。―そのイメージ、とても大切ですね。信田:けれども、全員が全員、アタッチメントのシステムがうまく形成されるとは限りません。安心できる定点のようなものがどこにもなかったとしても、子どもたちは成長せざるをえませんから。そうなると、親子関係、対人関係におけるさまざまな特徴が生まれることになるんです。―どんな特徴があるのでしょうか?信田:たとえば、ほんとうはケアを求めているのに、わざと求めなかったり、ケアなんか必要ないという態度をとったりします。危険な行動を起こしたり、相手を攻撃したりすることで、ケアを求めていることをわかってもらおうとすることもあります。時には、反対に相手をケアする側に回ったりします。それらは、たいてい周囲の大人から「本人の個性」「性格」「遺伝」とされがちですし、本人たちもそう思い、成長し、結婚し、やがて親となる時を迎えます。アタッチメントがどのように形成されているかを、多くの人は自覚することはありません。目にはみえませんし、自分はそういう人間だと思っているからです。■子どもの「不快」を受け止められない親―「アタッチメント」という概念、とても重要性ですね。では「感覚否定」とは、何ですか?信田:子育てで最初に直面するのが、「子どもの泣き声」です。 育児に対して困難な気持ちを抱える女性たちのカウンセリングにかかわった経験がありますが、深刻な虐待をくりかえす女性も少なくありませんでした。「子どもが泣くと不安や憎しみが沸く」「いらいらしたり、何ともいえない気持ちになったりする」「心臓がどきどきしたり、呼吸が荒くなったりする」……。これらは育児ノイローゼとかたづけられがちですが、彼女たちの反応をもっと深くとらえる必要があります。これらの反応は、「子どもが泣く」という負の情動に対して、母親も負の反応を生じてしまうことを表しているんです。「どうしたの、よしよし」と抱っこする以前に、負の情動を示す子どもに対して母親の身体レベルでの拒絶が起き、結果的に子どもの負の情動を拒否してしまう。この拒否が、感覚否定です。―母親として、「子どもの負の情動を受け止めることができない」ということですか?信田:自分自身が負の情動を受け止められたという経験がない、負の情動を生み出す感覚が否定されてきたことが、泣く子どもへの身体レベルでの拒否感を生み出していると考えられます。子育てという事態に直面したとき、アタッチメントの課題が「感覚否定」という問題となって再浮上するのです。―「アタッチメント」と「感覚否定」、そんな因果関係があるのですね。信田:子どもの泣き声は、不快だったり、苦痛だったりするので生じる声です。それらが親から否定されたり、親から攻撃されたらどうなるでしょう?アタッチメントという言葉を用いれば、親の感覚否定こそが、アタッチメントが形成されることの最大の妨げとなっているとも言えます。不快で泣くしかできない子どもが、それを拒絶されるということは、感情・情緒を受け止めてもらえないというより、もっと身体感覚に近いものがあるでしょう。■子どもが泣いた時、自分に課すべきこと―母親として、そのような状態になってしまう場合は、どうしたら良いのでしょうか?信田:子育て中のママには、「子どもが泣いたら、とにかく『よしよし』と口に出すこと」と、お伝えしています。「よしよし」というのはあやす言葉ですが、「良し」という肯定も表しているんです。とにかく「よしよし」とつぶやくことを、自分に課す。それが条件反射になるくらい、毎日練習してみる。「自分はそんなふうに言ってもらったことがない」と、気づく人もいるでしょう。それはとても重要な気づきだと言えます。そして、「私は未経験のことをやろうとしている。何てすごいんだろう」と、「よしよし」に取り組む自分をほめてあげましょう。ひとりでぶつぶつ、「よしよし」という練習をする、このような練習をして、それを習慣化していく方法を「行動療法」と言います。理由はなんであれ、とにかく行動する、それを習慣化させることが大切なのです。―なかなか、厳しいですね。まるで修行のようです。信田:子育ては、修行という部分もありますよね。もう少し子どもの年齢があがれば、「いやだ」「お腹がすいた」ということもあるでしょう。転べば「痛い!」と言うでしょう。そんなとき、「いやじゃないの」「お腹なんて空いてないの」「痛くない!」と、言わないで欲しいのです。それこそが、感覚否定ですから。「痛い!」と、子どもが言えば「痛いのね」と復唱する。共感できなくても腹がたっても、とにかく子どもの言葉を「復唱」するのです。なぜなら、感情がこもっていなくても、どこか機械的であったとしても、否定するより、はるかにましだからです。「痛くないでしょ!」が感覚否定であるのに対して、「痛いの痛いの飛んでけ」は感覚肯定になります。このような伝承された言葉遣いには、感覚否定をしない智恵がつまっていますね。■世代間連鎖を防ぐために、私たちができること―「アタッチメント」「感覚否定」、あらためてキーワードだと感じました。信田:感覚否定に陥らないためには、子どもの言動に対して自分がどう感じているかを察知する必要があります。「ああ、自分は怯えている」「子どもが泣くとパニックになる」といった具合に自覚するためには、子どもの様子と同時に、自分の感覚を観察する必要があります。それをセルフウォッチング(自己観察)と呼びます。このような知識があったとしても、日々の子育ての場面で、すぐに自覚できるわけではありません。自己観察することに拒否感を覚える人もいます。自分の感覚を麻痺させるために、酒や薬などに依存することもあるからです。第三者(専門家)の援助を受けながら、自分の感覚に気づけるようにするという長いプロセスが必要となりますが、けっして不可能ではありません。―そうおっしゃっていただけると、何だか気力が沸いてきます。信田:自己観察によって、自分が子どもと向き合うときに不意に生じる負の反応を、だんだんと自覚できるようになると良いですね。●なぜ子どもが泣くと、自分が責められたように感じるのか?●なぜ子どもがぐずったりだだをこねたりすると、見境もなく怒りが沸いてきて怒鳴りたくなるのか?前述のとおり、このような反応が子どもにとって感覚否定になることを知り、その多くが、自分が育つ中で経験してきたものだとすれば、自分はそれを繰り返さないようにしなければなりません。―なるほど。信田:自分が親からどのようなことを継承したか、何を子どもに継承させたくないかを知るために、もう一つ大切なのは生育歴を振り返ることです。ときに振り返ることは苦しかったり、蓋をしておきたいという気持ちから、思い出せなかったり、思い出すことで不安定になったりすることもおきます。できれば専門家(カウンセラー)や、同じ経験をした仲間(友人)などと一緒に振り返るほうが安全かもしれませんね。―第三者(専門家)の援助、とても大切ですね。信田:これは私の持論なのですが、両親学級で、沐浴や授乳を教わるのに加え、そのうちの1回を生育歴作成にあてたらどうかと思っています。夫婦それぞれが生育歴を振り返ることで、あらためて、生まれてくる子どもに伝えていきたいこと、継承させたくないことを自覚できるのではないでしょうか。どの人にも、自分が親にされたように自分のこどもにはしたくないという点がひとつはあるはずです。それを確認するために生育歴を振り返ることは、世代間連鎖の防止ともいえるでしょう―本当にそうですね。信田:日々の練習を積み重ねることで、子どもに対して望ましい接し方ができるようになると思っています。「自分はそうしてもらってこなかったとしても」です。何より「世代間連鎖を防ぎたい」と願うことそのものが、すでに防止の第1歩なのです。そんな自分のことを「すばらしい」と、自信を持っていただきたいと思います。いかがでしたか? 子育て中に沸き起こる負の感情は、ママなら、誰しもが経験済です。けれども、「負の感情が自分の手に負えない!」と感じるならば、信田先生のような専門家の援助も必要なのでは? と、筆者は思っています。1人でも多くの独りで悩んでいるママに、この特集が届くことを願っています。<世代間連鎖を防ぐには>1)世代間連鎖を防ぐためのキーワードは、「アタッチメント」と「感覚否定」2)子どもが泣いたら、「よしよし」という練習から始める3)「世代間連鎖を防ぎたい」と願うことそのものが、すでに防止の第1歩■今回、取材を受けてくださった信田さよ子先生の最新作 『後悔しない子育て 世代間連鎖を防ぐために必要なこと』 (¥1,400円(税別)/講談社)信田 さよ子さん臨床心理士。原宿カウンセリングセンター所長。駒木野病院、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室を経て1995年に原宿カウンセリングセンターを設立。アルコールなどさまざまな依存症、摂食障害、ドメスティック・バイオレンス(DV)、子どもの虐待などに悩む本人やその家族へのカウンセリングを行っている。著書に『母が重くてたまらない』(春秋社)、『母・娘・祖母が共存するために』(朝日新聞出版)、『母からの解放 娘たちの声は届くか』(集英社)『タフラブという快刀』(梧桐書院)など。
2020年01月25日以前、信田先生を取材させていただいた 「『私って、毒親?』と心配するママたちの原因は、“母”にある!?」 という記事が、とても人気がありました。それだけ、多くの人が、「こんなに感情的になってしまう私って、大丈夫?」と、心配しているのだと思います。》 「『私って、毒親?』と心配するママたちの原因は、“母”にある!?」 出産・育児の時期は、自分の母親の育児態度が思い出され、「母と同じ口調でわが子を叱ってしまう」と、自己嫌悪を感じることも。「私って、もしかして毒親?」と、心配になるママはどうすればいいのかをひも解いていきます。それだけ、多くの人が、「こんなに感情的になってしまう私って、大丈夫?」と、心配しているのだと思います。子育てをしていれば、感情的に子どもを叱ってしまう日だってあるでしょう。では、母親は、感情的になってはいけないのでしょうか? 引き続き、母子論の第一人者であるカウンセラーの信田さよ子さんにお話しを伺います。この記事は、 「『親にされたことを、わが子にしたくない』そんなママに限界がきたら…」 の続きです。■「感情的になった母親はひどい」のか?―つい感情的に子どもを叱ってしまい、その後に激しい自己嫌悪に陥ります。信田さよ子さん(以下、信田):「感情的になった母親はひどい」と考えると、「感情的になってはいけない」「怒ってはいけない」と抑制しなければという気持ちになりますが、それは誤解です。たとえ否定的な感情だったとしても、湧き上がる感情そのものに良い悪いはないんです。「怒りの感情を抱く」ことと、「それをどのように表現するか」は、別の話として考えた方が良いですね。―そうなんですか?信田:怒ったらすぐに怒鳴ってしまう、思わず子どもを叩いてしまうという人は、「怒り」を「抑える」しか方法がない、だから我慢しなければというふうに考えがちです。近年の心理学の成果は、どれほど怒りの感情が激しくしても、その表現方法は「選択」できることを明らかにしたことです。―表現方法を、「選択」ですか?信田:それには、自分の怒りを客観的に眺める必要がありますね。「怒りの温度計」という比喩は、とても役に立ちます。ゼロから10までの目盛りの温度計で「今6度だ、このままの状態を続けると9度を超えてしまう」というように、自分がどこまで怒りを抱いているか、怒りの程度をウォッチするのに温度計の比喩は役立ちます。怒りの温度計が上昇しているときであっても、ゆっくりとそして落ち着いた声で、「パン屋さんでは、パンに指でさわってはいけません」と、伝えることはできるでしょう?―なるほど。そんなふうに考えれば良いんですね。信田:怒ったらすぐ大声で怒鳴ってしまう、という人は、行動の選択肢は怒鳴る以外にもあることを知らないか、怒鳴るという行為を許している、自分を正当化しているんだと思います。もし、「自分の子どもだから怒鳴ってもかまわない」と考えているとすれば、はなはだ迷惑な話だと思います。子どもを所有物だと思っているのではないでしょうか?■叱るのはいけないことなのか?―所有物というか、子どもに対して「責任がある」と思っているんです。信田:なるほどね。そういう方は、もしかすると「怒る」と「叱る」を混同しているのかもしれませんね。最近は、「怒ると叱るは違う」と、さまざまな子育て本に書いてあり、ひとつの定番化になっているほどです。でも、「怒る」と「叱る」の違いを理解している人は、案外と少ないのかもしれません。「叱る」行為の大前提として、「自分の感情を爆発させるためではなく、相手の成長のため」という目的がある点を、意識してみましょう。つまり下の存在を成長させるために、上の存在がきつく諭し気づかせるように導くことが、「叱る」という行為です。そこには、「上から下への勾配関係」があります。―なるほど。信田:けれども、最近では子どもに対して「上から目線」になることをためらう親が増えています。「子どもを対等な人として扱うことが大切」、「押し付けない」「強制しない」、「なぜなら子どもの自主性が大切だから」といった育児観が広がることで、上から目線の命令口調は否定されるようになってきました。けれども、「〇〇してはいけません」「〇〇しなさい」と発言しないことは、親が責任を取ることに怯えているんじゃないでしょうか。もっとはっきり言えば、「叱らない親」「お願いする親」の本質は、私には責任逃れのように感じられるのです。■子どもに怒ってしまったことは取り返しがつかないの?―すごく思い当たります…。でも、やっぱり、何だか及び腰になってしまうんです。信田:「怒る」と「叱る」を、整理できるようになってくると、怒りのエネルギーを上手に使えるのかもしれませんね。そんな方に知っておいて欲しいのは、思わず怒りの感情が暴発してしまったとしても、取り返しがつかないわけではない。ちゃんとフォローできていれば大丈夫、ということです。取返しのつかないことなどないんです。―そういってもらえると、何だかホッとします。信田:そして、さらに、親が叱る時の基準をつくることが大切です。親の気分次第の勝手な叱り方は、子どもに大きな混乱をもたらしますからね。そうすると、子どもなりに、リスクの少ない安全策は「親から見て常にいい子でいることである」と学んでしまうんです。過剰ないい子、誰からみてもいい子であることの背景に、親のわけのわからない無原則的な怒りの暴発があることは指摘しておきたいと思います。―そうなんですね…。信田:望ましい家族の一つの条件は、「子どもなりに納得できる原則を親が示し、親がそれを守ろうとする姿勢を示すこと」。それはひとつの「秩序」を示すことですね。叱るという行為は上から下への支配的な言動のひとつですが、「自分の感情を爆発させるためではなく、相手の成長のため」という目的ゆえに許されるのです。こうやって整理しておけば、「怒る」ことをむやみに怖がらなくなるし、感情的になってしまった時も、きちんと「叱る」ために、ハッと立ち止まれるのではないでしょうか? <感情的に怒ってしまうママへ>1)「怒り」の表現方法は選択できる。「怒りの温度計」という比喩を使うとわかりやすい2)「叱る」のは、相手の成長のため。叱る時は基準を示し、親は基準を守る姿勢を見せる3)親のわけのわからない無原則的な怒りの暴発が、「いい子」を作ってしまう次回は、いよいよ本特集の仕上げ。虐待の世代間連鎖を防ぐためのお話しです。■今回、取材を受けてくださった信田さよ子先生の最新作 『後悔しない子育て 世代間連鎖を防ぐために必要なこと』 (¥1,400円(税別)/講談社)信田 さよ子さん臨床心理士。原宿カウンセリングセンター所長。駒木野病院、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室を経て1995年に原宿カウンセリングセンターを設立。アルコールなどさまざまな依存症、摂食障害、ドメスティック・バイオレンス(DV)、子どもの虐待などに悩む本人やその家族へのカウンセリングを行っている。著書に『母が重くてたまらない』(春秋社)、『母・娘・祖母が共存するために』(朝日新聞出版)、『母からの解放 娘たちの声は届くか』(集英社)『タフラブという快刀』(梧桐書院)など。
2020年01月24日子どものことを真面目に考える親ほど抱えがちなのが、「こうしなければならない」「こうしては駄目」という強い思いです。でも、気鋭の教育ジャーナリスト・おおたとしまささんは、「もっと肩の力を抜いていい」といいます。子ども教育において「やらなくてもいいこと」を、あえて逆説的に挙げてもらう短期連載最終回の「やらなくてもいいこと」は、「いい教育を与えなくていい」「自分で選ばせなくていい」「心配しなくていい」の3つです。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)【やらなくてもいいこと10】いい教育を与えなくていいここでいう「いい教育」とは、偏差値が高いなど世間一般に「いい学校」といわれる学校に入学させるといった教育のことを指します。わたしも教育ジャーナリストという立場上、「中学受験をさせたいのですが、どの学校がいいですか?」といったことをよく聞かれます。でも、受験をしないと入学できないような中学というのは、よほどのはずれを引かない限り、どこもいいのです。また、偏差値とは別に、「モンテッソーリ教育、シュタイナー教育、イエナプラン教育のどれがいいですか?」というふうなことも聞かれます。それに対するわたしの答えは、「どこでも大丈夫」になるでしょう。そもそも、子どもには自分で学んでいく力がある。ですから、どんな学校に行ってもそのなかで自分に必要な栄養を取って成長していけるのです。また、「与える」という発想になっている時点で、その親には危険性を感じます。これは、教育虐待をしている親に多い発想です。そういう親は、子どもは真っ白なキャンバスのようなもので、いい教育を与えればいい人間に育つが、悪い教育を与えれば悪い人間に育つと信じ込んでいます。子ども自身を見つめる視線が抜け落ちいていて、教育環境に対して過剰な期待を持っているのです。もちろん、どの学校の水が合うといった相性は多少あるでしょう。でも、子どもにはそれ以上に高い適応力がありますし、教育環境のちがいがその子の人生をまったく別のものにするといったことはまずないこと。たとえば、わたしが別の高校や大学に行っていたとしても、わたしは「いまのわたし」になっていたと思います。そして、忘れてほしくないのは、「決断の良し悪しというのは、決断したときに決まるものではない」ということ。東大に入ってまったく勉強をしなかった人間と、偏差値は高くなくても入った大学で精一杯勉強をした人間なら、後者のほうがよほど多くのものを大学から得ることになります。なにかを決断したとき、その道を最善のものにする努力をいかに続けられるか、その環境を最大限に利用するかということこそが大切なのです。【やらなくてもいいこと11】自分で選ばせなくていいこれは、どんな場面でなにをするにも子どもに選ばせている、子どもに対して理解のあるリベラルな親でありたいと考えている人に向けての言葉です。たしかに、子どもが思春期に差しかかって徐々に自我が目覚めて自己主張をするようになれば、そういう考え方も大切かもしれません。でも、幼い子どもの場合ならどうでしょうか?幼い子どもにはまだはっきりした自我も判断力もありませんから、なんでもかんでも子ども自身で選ぶことはできません。幼い子どもなら本気で、「お父さんとお母さんに選んでほしい」と思っていることもあるでしょうし、子どもが「どっちでもいい」といったらどっちでもいいのです。そういうときは、ある程度、親が決めてしまっていいとわたしは考えています。子どもが自分で選びたいというときだけ選ばせてあげればそれでいい。子どもになにかスポーツをさせたいと思うのなら、周囲の環境のなかで、「ちょっと水泳教室を見てみようか」「野球チームの体験練習に参加してみる?」というふうに、いくつかの選択肢を示してあげる。それで、子どもが選べないようだったら、子どもは親を信頼しているので、「じゃ、水泳を習ってみようよ」というふうに選んであげていいのです。もちろん、無理強いしてはいけません。子どもに「お父さんとお母さんがそういうなら、やってみようかな」という気持ちがあることが大前提です。そのうち、子どもが成長して自分の意志が出てきたら、そのときは子どもの意志を尊重すればいいのです。このことには、わたしからひとつ注意してほしいことが含まれます。子どもに選ばせることにこだわる親のなかには、無理に子どもに選ばせたにもかかわらず、子どもが習い事をやめたいということになった場合などに、「あなたが選んだんでしょ!」というふうに子どもの責任にする親もいます。それでは子どもが追い詰められてしまいます。そんな事態を招かないためにも、子どもの自我が目覚めるまでは、親が選んでもいいというふうに考えてみましょう。【やらなくてもいいこと12】心配しなくていい最後にわたしから伝えたいのは、「心配しなくていい」ということ。よほど間違ったことをしない限り、子どものことを真剣に考えている親の子どもであれば、その子はちゃんと育っていきます。ですが、子どものことはどんな親でも心配してしまいますよね。そういう場合は、「心配しなくていい」なんて強く考えすぎる必要はありません。「心配しなくていい」とは、「心配しては駄目だ」というわけではないのですからね。「心配しなくていいですが、心配してもいい」。わたしはそうみなさんに伝えたいと思います。『大学入試改革後の中学受験』おおたとしまさ 著/祥伝社(2019)■ 教育ジャーナリスト・おおたとしまささん インタビュー一覧第1回:いちばんのしつけとは、子どもに〇〇を見せること。親はそんなに頑張らなくていい!第2回:いまの時代、「絵本の読み聞かせ」にこだわらなくてもいいんです。第3回:才能さがしのための「たくさんの習い事」より、もっと大事にすべきこと第4回:なんでも「自分で決めさせる」親が、子どもを追い詰めているかもしれない理由■ おおたとしまささん 過去のインタビュー記事はこちら過当競争極まれり。難関中学への“逆転入学”が子どもに弊害をもたらしている「間に合わせの学力」では人生厳しい。「本質的な学力」を伸ばす“1日10分”の学び学力は人並程度あればいい。「新たな時代」を生き抜くためには“3つの力”が必要だ「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある教育虐待をする親とその学歴。その教育、本当に子どものためですか?教育虐待は教育という大義名分のもとで行う人権侵害。でも親の多くは無自覚である失敗経験から学ぶ、学力とは異なる力がものをいう時代。受験勉強で「失うもの」とは?心が折れて立ち上がれなくなってしまう、自信家なのに自己肯定感が低い人【プロフィール】おおたとしまさ1973年10月14日生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。雑誌編集部を経て独立し、数々の育児誌、教育誌の編集に関わる。中学高校の教員免許を持っており、私立小学校での教員経験もある。現在は、育児、教育、夫婦のパートナーシップ等に関する書籍やコラム執筆、講演活動などで幅広く活躍する。『新・男子校という選択』(日本経済新聞出版社)、『新・女子校という選択』(日本経済新聞出版社)、『世界7大教育法に学ぶ才能あふれる子の育て方 最高の教科書』(大和書房)、『いま、ここで輝く。超進学校を飛び出したカリスマ教師「イモニイ」と奇跡の教室』(エッセンシャル出版社)、『中学受験「必笑法」』(中央公論出版社)、『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』(新潮社)、『名門校とは何か? 人生を変える学舎の条件』(朝日新聞出版)、『ルポ 塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』(幻冬舎)、『ルポ 教育虐待 毒親と追いつめられる子どもたち』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年01月09日「子どもの将来のために、いい親でありたい」と考える真面目な人ほど、「こうしなければいけない」「こうしては駄目」といった家庭教育に関する多くの情報にがんじがらめになっています。そこで、気鋭の教育ジャーナリスト・おおたとしまささんに、子ども教育において「やらなくてもいいこと」を、あえて逆説的に挙げてもらいました。短期連載第1回目の「やらなくてもいいこと」は、「ガミガミ叱らなくていい」「朝は起こさなくていい」「夫婦の意見はそろえなくていい」の3つです。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)【やらなくてもいいこと1】ガミガミ叱らなくていい真面目な人ほど、「きちんと子どもにしつけをしないといけない」と考えます。もちろん、それはそれで正しいことですが、注意してほしいのは「しつけ=叱る」ではないということ。どうも、厳しく叱らないと「しつけができない」と考えている人が多いようです。でも、ガミガミと叱らなくてもしつけはできる。だいたい、子どもができないことは、強い口調で伝えたからといってできるようになりません。どんなに親が「ああしなさい、こうしなさい」といってもできないのなら、「このことは、この子にはまだできないんだな」と考えるべきです。まさに成長の真っ只中にある子どもにとっては、いまはできなくても、そのうちできるようになることもたくさんあるのですから。そして、口で伝えることだけがしつけではないと思うのです。わたしが考えるいちばんのしつけとは、子どもに親が手本を見せること。あいさつなんてそれこそ手本を示しやすいものでしょう。たとえば、子どもと散歩中に幼稚園の先生など知り合いに会ったとします。子どもがあいさつをできなかったからといって、「ちゃんとあいさつしなさい」というのではなく、親が「こんにちは」と先生にあいさつをすればいい。そういう親を見て育てば、子どもは自然に「そういうものなんだな」と思ってあいさつができるようになるはずです。普段から親がそういう手本を示していれば、もし子どもがやるべきことを忘れたような場合にも、その親の手本を思い出せるはずです。あいさつのケースなら、普段からあいさつができているような子どもも、たくさんの人が集まっているような場では、その状況に驚いてあいさつを忘れてしまうこともあるでしょう。そういうときも、まずは親がまわりの人にあいさつをする。そして、「こういうときはなんていうんだっけ?」と子どもに伝えてあげれば、子どもは「そうだ!」と思い出して、あいさつできるでしょう。そういった経験の積み重ねこそが、子どもにとって最善のしつけになると思うのです。【やらなくてもいいこと2】朝は起こさなくていい「朝は起こさなくていい」といっても、誤解はしないでください。小さい子どもに、自分で目覚まし時計をセットさせ、ひとりで起きるようにしたほうがいいというわけではありません。自分ひとりで起きられるようになるのは、やはり思春期頃からのことでしょう。もちろん、小さい子どもなら親が起こしてあげる必要があります。でも、小学生にもなれば、子どもに何度声をかけても起きないのであれば、そのまま放っておいてもいいと思うのです。なぜなら、子どもに「失敗の経験」をさせることも重要だからです。ご自身がはじめて小学校に遅刻したときのことを思い出してみてください。廊下には誰もいなくて、もうすでに授業がはじまっている教室に入るだけでも緊張したものですよね。そして、教室に入ろうとしたら、友だちの注目を一身に浴びる……。その恥ずかしさといったらないでしょう。そういう失敗によって痛い目を見れば、その子は緊張感を持ってきちんと起きようとするはずです。もちろん、学校には親としてきちんと連絡しておく必要があります。まずは担任の先生に子どもが遅刻することを謝罪し、「あえて遅刻をさせるから、しっかり叱ってください」と、今後のために意図的に失敗をさせたい旨を伝えれば、先生もきっと理解してくれるはずです。【やらなくてもいいこと3】夫婦の意見はそろえなくていい夫婦というのは、とくに子どもの教育方針については互いの意見を一致させたいと考えるものです。でも、他の多くのこともそうであるように、それぞれ別の人間である夫婦の意見が完全に一致するということはあり得ないといっていいでしょう。そこで無理に意見をそろえようとすると、夫婦関係がうまくいかなくなるということにもなりかねません。もちろん、夫婦で話し合うことは大切。でも、夫婦円満のためにも、相手を論破してでも意見をそろえようとするのではなく、結論については「遊び」を持たせておくべきではないでしょうか。「こういう生き方をする人間に育ってほしい」というふうな、大まかな方向性が合っていれば十分だと思うのです。その方向性を考えるうえでのアドバイスとしては、固有名詞を使うなどあまり具体性を出さないようにすること。「東大に行くような人間に育ってほしい」「最低でも偏差値60以上の大学に行く人間に育ってほしい」といいはじめては、それこそ夫婦の意見はなかなか一致しません。そして、むしろ夫婦の意見に「幅」があることのほうが、子どもにとっては大切なことだとわたしは考えます。というのも、その幅のなかで子どもの個性が育っていくからです。実際にはあり得ませんが、仮に夫婦のあらゆる意見が一致しているという場合、子どもはその狭い価値観のなかでしか生きられないということになります。でも、夫婦の意見に幅があるほど、子どもは「このことに関しては、お父さんはこういうけど、僕の意見はお母さん寄りだな」といったふうに考えることができます。あるいは、人にはそれぞれ異なる価値観と意見があるということを知ることもできる。夫婦の意見の幅が子どもの視野を広げ、世の中の見方をつくっていくのです。そう考え、仮にシングルの人であっても、子どもの祖父母など自分以外の大人と接する機会をなるべく増やしてあげることが大切なのではないでしょうか。『大学入試改革後の中学受験』おおたとしまさ 著/祥伝社(2019)■ 教育ジャーナリスト・おおたとしまささん インタビュー一覧第1回:いちばんのしつけとは、子どもに〇〇を見せること。親はそんなに頑張らなくていい!第2回:いまの時代、「絵本の読み聞かせ」にこだわらなくてもいいんです。(※近日公開)第3回:才能さがしのための「たくさんの習い事」より、もっと大事にすべきこと(※近日公開)第4回:なんでも「自分で決めさせる」親が、子どもを追い詰めているかもしれない理由(※近日公開)■ おおたとしまささん 過去のインタビュー記事はこちら過当競争極まれり。難関中学への“逆転入学”が子どもに弊害をもたらしている「間に合わせの学力」では人生厳しい。「本質的な学力」を伸ばす“1日10分”の学び学力は人並程度あればいい。「新たな時代」を生き抜くためには“3つの力”が必要だ「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある教育虐待をする親とその学歴。その教育、本当に子どものためですか?教育虐待は教育という大義名分のもとで行う人権侵害。でも親の多くは無自覚である失敗経験から学ぶ、学力とは異なる力がものをいう時代。受験勉強で「失うもの」とは?心が折れて立ち上がれなくなってしまう、自信家なのに自己肯定感が低い人【プロフィール】おおたとしまさ1973年10月14日生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。雑誌編集部を経て独立し、数々の育児誌、教育誌の編集に関わる。中学高校の教員免許を持っており、私立小学校での教員経験もある。現在は、育児、教育、夫婦のパートナーシップ等に関する書籍やコラム執筆、講演活動などで幅広く活躍する。『新・男子校という選択』(日本経済新聞出版社)、『新・女子校という選択』(日本経済新聞出版社)、『世界7大教育法に学ぶ才能あふれる子の育て方 最高の教科書』(大和書房)、『いま、ここで輝く。超進学校を飛び出したカリスマ教師「イモニイ」と奇跡の教室』(エッセンシャル出版社)、『中学受験「必笑法」』(中央公論出版社)、『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』(新潮社)、『名門校とは何か? 人生を変える学舎の条件』(朝日新聞出版)、『ルポ 塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』(幻冬舎)、『ルポ 教育虐待 毒親と追いつめられる子どもたち』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年01月06日子どもが言うことを聞かず大人を困らせるのは、どこの家庭でも見られる光景です。しかし、子どもが親の言うことを聞かないのには理由があるということを理解している人は、少ないかもしれません。「どうして言うことを聞いてくれないの!」と叱る前に、“子どもが言うことを聞かなくなる理由”や“注意したい親の声かけや態度”について、いま一度、考えてみませんか?「言うことを聞かない」は、子どもの成長に必要な過程のひとつ子どもは成長過程のひとつとして、1歳半~3歳ごろに第一次反抗期を迎えます。いわゆる「イヤイヤ期」というもので、これ自体はご存じの方が多いことでしょう。では、なぜ子どもにはイヤイヤ期があるのでしょうか?それは、生きていくうえで一番大切な「自己評価」や「自己肯定感」を養うためと、スクールカウンセラーで医師の明橋大二氏はいいます。子どもは3歳ごろまでに、「私は存在価値があるんだ」「生きていていいんだ」という心の土台を築きます。そのためには当然ながら、親が子どもの反抗を受け止める過程が欠かせません。この気持ちが土台になって、次は「生活習慣」や「しつけ」が身につけられると明橋氏はいいます。これがだいたい、4~6歳ごろです。そして、自己肯定感やしつけを土台にすることで、初めて「勉強」が可能になるとのこと。これが7歳ごろにあたるため、小学校の勉強が6~7歳から始まっているのは理にかなっていると明橋氏はいいます。自己評価という土台がしっかり築ければ、その後のしつけや勉強も自然と身につくとのこと。そのため、子どものイヤイヤは一時的な現象として考えるものではなく、のちの成長への重要なステップとしてとらえることが大切です。成長段階別・子どもが親の言うことを聞かない理由前出の明橋氏は、1~2歳、2~3歳、3~5歳で子どものイヤイヤにも違う傾向がみられると述べます。同氏の解説をもとにして、成長段階別に、子どもが親の言うことを聞かない理由を説明しましょう。■1~2歳の子ども1~2歳の子どもが言うことを聞かないのは、「自分の人格を認めてほしい」ためです。このぐらいの年齢になると、子どもは親の言葉や指示をだいぶ理解できるようになります。そんな時期に「イヤ」と何度も言うことで、「自分もひとりの人間なんだ」と主張しているのです。この自己主張を認めることで、子どもの自己評価は育まれていきます。■2~3歳の子ども2~3歳の子どもが言うことを聞かないのは、自立心が高まり、自分の意志をよりうまく伝えられるようになるためです。この時期は、親にしてみれば困った行動を多くする時期。明橋氏いわく、自立とは「親にとって、とても手がかかる状態になること」ですが、それを親の都合で叱ったり止めたりしていては、自発性そのものが失われてしまうのだそう。きょうだいや友だちに対しても自己主張を始めるようになり、その過程で、対人関係のルールや、言っていいこと・悪いことの区別を学べるようになるのも、この時期の特徴です。時には傷つくこともあるので、そんなときは親が支えてあげましょう。■3~5歳の子ども3~5歳になると、簡単なルールは守れるようになります。それでも言うことを聞いてくれないように感じられるのは、子どもがそのときの気分によってはぐずったり、わざとルールを破って反抗したりすることがあるためです。いつもは友だちと仲良くおもちゃの貸し借りをしているのに、急に「貸さない」と言ってぐずりだす……。こうしたことに思いあたりがあるお父さん・お母さんは多いのではないでしょうか?一方でこのころは、他人の気持ちに対する理解度が高まり、正しく公平な行動がしたいという気持ちが芽生える時期でもあります。そのため、何が間違いなのか教えたり、考えさせたりする機会を作ることで、言うことを聞かない回数も減っていく可能性があるのだそう。そんな時期だからこそ、頭ごなしに言うことを聞かせるのではなく、子どもが反抗したときには、何が正しいことなのかをきちんと教える必要があることも忘れてはいけません。子どもが言うことを聞かないときの対応例:OK・NG集子どもが言うことを聞かないと親はイライラさせられるもの。ですが、そのときの親の言動によっては、子どもを深く傷つけたり、余計に聞き分けが悪くなったりする可能性があります。そこで、子どもが言うことを聞かないときに注意したい、声かけや態度のNG例を説明しましょう。OK例も一緒に紹介しますので、ぜひ参考にしてください。【NG例1】何がいけないのか理由を言わず、感情的に叱る子どもが言うことを聞かないとき、カッとなって怒鳴りつけても、肝心な「叱られた理由」が伝わらないことがあります。大切なのは、何がいけないかを子ども自身で考えさせたり、どうしたら良いかを伝えたりすることだと明橋氏はいいます。たとえば、一番上の子どもが友だちの家でお菓子をもらってきたとき。お菓子を弟や妹にも分けてほしいけれど子どもが聞き入れようとしない場合、親の対応のOK例・NG例はこちらです。◎OK:「●ちゃん(妹・弟)が目の前でお菓子を食べていたら、自分も欲しいなと思わない?」「みんなが喜んでくれると、自分も嬉しいよね」×NG:「いいからあげなさい!」「独り占めしたいなんて、いやしい子ね」理由を伝え、子どもに相手の立場になって考えさせるようにすると、よりいっそう、他人の気持ちが理解できるようになりますよ。【NG例2】「もう勝手にしなさい!」と突き放したり、人格を否定したりする子どもがひとりで何かをしたがって聞かないときなど、大人はつい、突き放す言葉を言ってしまいがちです。しかし、こうした言葉は子どもの心に深い傷を負わせるおそれがあると、教育コンサルタントの上野緑子氏はいいます。たとえば、まだ歯磨きの真似事しかできないような子どもが「ひとりで歯磨きする」と言って聞かない場合、親の対応としては次のようなOK例・NG例があげられます。◎OK:「よし、じゃあ頑張ってみよう(と言って見守る)」×NG:「もう勝手にしなさい」「好きにしなさい」ひとりでやろうとして失敗することもたくさんあるでしょう。そんなとき、「やっぱりひとりじゃできないじゃない」と否定的な言葉をかけるのもNGです。子どもは全人格を否定されたと感じてしまいます。ひとりでできたときはもちろん、たくさんほめてあげましょう。【NG例3】「あとでね」「また今度ね」と適当なことを言ってはぐらかす忙しいときに聞き分けのないことを言われると、その場しのぎの言葉ではぐらかしたくなりますよね。しかし、適当なこと言うのはうそをつくのと同じと、日本メンタルアップ支援機構・代表理事の大野萌子氏はいいます。もしも子どもが「公園に行きたい」と言って聞かない場合……◎OK:「明日一緒に行こうね」「ごはんを食べたら行こうね」×NG:「あとでね」「また今度ね」OK例にあるようにはっきり約束をして、その約束は守りましょう。そして、もしも約束を守れなかったときは、理由を伝えて謝るといった誠実さがある態度を取り続けることが大切だと、大野氏は述べています。親が、子どもに対しての関わり方に一貫性を持ち、日常の小さな約束を守ることを徹底するだけで、子どもの親に対する信頼度は確実に上がります。結果的に安定した気持ちを育み「聞き分けがよく」なるのです。(引用元:東洋経済オンライン|言う事を聞かない子どもの親の残念な共通点)【NG例4】「~したら、○○をあげる」とご褒美で釣る育児相談室「ポジカフェ」主宰・オランダ心理学会(NIP)認定心理士の佐藤めぐみ氏によると、親が物(ご褒美)に依存した子育てをすると、子どもが物に依存したまま大きくなってしまうそうです。たとえば、子どもが公園でブランコを独占してしまっているときは……◎OK:「ほかの子も遊びたがっているから、順番に使おうね」×NG:「好きなおもちゃ買ってあげるから、ブランコ遊びはやめよう」また、物質的なご褒美は効果や満足感が持続しにくいため、どんどんエスカレートしてしまうとのことで注意が必要です。【NG例5】「○○しないと、おやつ抜き」と、罰を与える罰を与える叱り方は、何が悪いのかが子どもに伝わらず、問題の解決にはならないからNGだと前出の佐藤氏はいいます。「嫌なことを避けたいから言うことを聞こう」と、子どもに思わせてしまうのです。もしも、子どもをいくら誘ってもお風呂に入ってくれないなら……◎OK:「○○(テレビ番組)がもうすぐ始まるね。それまでにお風呂に入ろうね」×NG:「早くお風呂に入らないと、テレビ見せてあげないよ」佐藤氏によれば、ご褒美と同じく、罰も内容がエスカレートする可能性があるとのこと。また、罰に委縮したり抵抗したりする結果、殻にこもる、泣き叫ぶといった副作用を誘発するおそれもあるので避けましょう。***子どもが言うことを聞かないのは、のちの成長に欠かせない過程です。親はイライラすることも多いかと思いますが、その場しのぎの対応をせず、しっかり理由を伝えたり、子ども自身に考えさせたりするなどして、ステップアップのきっかけにしましょう。文/かのえかな(参考)枚方市ホームページ|だだこね(第一次反抗期)明橋大二 (2006),『子育てハッピーアドバイス 2』, 1万年堂出版.明橋大二 (2006),『子育てハッピーアドバイス 3』, 1万年堂出版.All About|子供のしつけ時にやってはいけない怒り方!NG叱り方10か条東洋経済オンライン|言う事を聞かない子どもの親の残念な共通点All About|ご褒美を習慣にすると子どもに何が起こる?All About|子供を罰しても問題解決しない4つの理由
2019年12月31日人生投稿サイト STORYS.JP で、人気のストーリーの漫画化第2弾。母親が嫌いだった私が「親になって知ったこと」のお話です。作画: 渋谷さえら 原作: 村上 奈美 前回 からのあらすじ私と母のこじれた親子関係が変わったキッカケは…私は結婚して子どもができて…そして離婚して…シングルマザーとなったいろいろあって、もうどうしても一人では生きていけなくなった時に、母が手を差し伸べてくれた「あんたで失敗した事を、やりなおすわ」あらためて教育系の本を図書館から大量に借りてきて、毎日のように読み漁り、私で失敗したことを繰り返さないようにしているらしい。 堂々と目の間で「失敗作」と言われるのは、あまり気持ちのいいものではないけれど、それはそれで母なりの反省と愛情なのかな、と思う。昔6歳までそうしてくれたように、3人の子どもたちに愛情を注いでくれている。ちなみに今は10歳までしっかり育てるらしい。だけど、私は母親として、あの言われて嫌だった言葉の数々を、子どもたちに言ってしまわないか不安になっている。仕事ばかりで、子どもたちの話を聞ける時間が限られてしまっているから今 母親のあなたへこれから母親になるあなたへお願いしたいこと小学生の男子なんて「なにそれ…?!」というような話しかしてくれないけど…でも「母親が興味をもってくれた」という事実だけで喜べるから。ウチの息子も、朝の一番忙しい時間に真面目な顔して「一つだけ言いたいことがあるんだけど…」っていうから、何?って正座したら「カッパって川にいて人を引きずり込んで尻子玉抜くんだって…!!」ですよ。本当に小学生男子って…。でも、こんな自由勝手で気ままな子どもたちを、できれば褒めて欲しい。認めてあげて欲しい。いてくれてよかったと言って欲しい。そして、抱きしめてあげて欲しい。できれば、大好きだよと伝えてあげて欲しい。▼こちらの新連載もぜひご覧ください…!!「あなたのためなら何でも!」そんな母が勧めたのは整形だった…【親に整形させられた私が、母になる Vol.1】
2019年12月22日共働き世帯の増加に伴って利用者が増えている「延長保育」。延長保育に子どもを預けることに対して、子どもを心配すると同時に、「申し訳ない」という気持ちを持っている親も少なくないようです。ただ、東京・久我山幼稚園の運営に携わる一般社団法人キッズコンサルタント協会代表理事の野上美希先生は、「心配する必要も『申し訳ない』という気持ちを持つ必要もない」といいます。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)延長保育にもいろいろなケースがあるひとことで延長保育といっても、じつはいろいろなケースが考えられます。幼稚園で通常保育が終わるのは13時半頃ですが、保育所の場合は18時半頃。終了時刻が5時間ほどちがいますから、延長保育の時間も大きく異なります。また、延長保育を常時利用する共働き世帯もあれば、外せない用事があるときにときどき利用するというケースもあるでしょう。それぞれに対応はちがいますが、子どもに与える影響が大きいということで、ここでは幼稚園で延長保育を常時利用するケースを想定してお話しましょう。幼稚園の延長保育は通常保育が終わる13時半頃からはじまります。延長保育の時間はそこから4、5時間にもなりますから、同じ年齢の子どもでも、延長保育に預けられる子どもとそうではない子どもでは、まったくちがう毎日を送ることになります。もちろん、とくに年少など幼い子どもの場合は、延長保育を嫌がるケースもあります。13時半になると友だちはお迎えに来たママと一緒に帰るのに、自分はそこから5時間もママを待たなくてはいけない。幼い子どもなら、自分も家に帰ってママと一緒におやつを食べてほっとしたいと思って当然でしょう。そういうふうにナイーブになる子がいるのも事実です。子どもは親が考えている以上に延長保育を楽しんでいるとはいえ、子どもの順応性は親が思う以上に高いですから、それも最初だけというケースがほとんどで、たいていは慣れていきます。もちろん、園としても、子どもが楽しめるように、そしてより有意義な時間を送れるように工夫をしています。通常保育の時間には自由時間もあるとはいえ、基本的には園が決めたカリキュラムをこなしていくことが多くなるものです。子どもとしてはある程度緊張している時間といえるかもしれません。一方の延長保育はというと、時間はたっぷりあるのですから、子どもたちが自分で選んだ遊びを徹底的にやり込んだり、積み木を使ってみんなで大きな城をつくるようなダイナミックな遊びをしたりすることができるのです。ほかには、わたしが運営に携わっている久我山幼稚園の場合なら、季節のイベントも積極的に行なっています。たとえば、年長さんなら冬に向けてマフラーを編むということもします。これは、時間がたっぷりある延長保育だからできることでしょう。このような、通常保育の時間とはまったくちがう活動を経験するなかで、子どもたちは延長保育をどんどん楽しめるようになっていきます。延長保育が持ついくつものメリットまた、延長保育には延長保育だけが持つメリットがあるとわたしは考えています。たとえば、延長保育の特徴である縦割りのコミュニティーに身を置くということもそう。同い年の子どもと過ごすことの良さと、年齢のちがう子どもがいる縦割り社会で過ごすことの良さの両方を味わうことが、子どもの幅を大きく広げることになるはずですからね。また、先のマフラーをつくる例なら、自宅でマフラーを編もうとした場合には、幼い子どもならすぐに飽きてしまうかもしれません。でも、友だちが頑張っているから頑張れるということもあるのではないでしょうか。そして、友だちがつくっているマフラーがすてきに見えたら、真似したり自分で工夫をしたりすることもあるでしょう。そうして、ひとりだったら手を出さないような遊びや活動も、友だちがやっているからとやってみる。やってみて楽しかったら「もっとやってみたい」と新しいことに対する意欲を持つということにもつながるはずです。毎日早くに家に帰っていると、テレビを観たりおやつを食べたりと、ついだらだらとなにもしない時間を過ごしがちです。それはそれで子どもにとって大事な時間だとは思いますが、延長保育のなかで友だちと遊びながらさまざまな経験を得られることは、子どもにとって非常に大きな意味があるのではないでしょうか。また、通常保育と延長保育では担当する先生が変わることもメリットのひとつでしょう。子どもというのは、環境によってまったくちがった一面を見せるものです。通常保育の時間に決められたことをするのはすごく苦手なのに、延長保育の時間に自由に遊びを見つけて発展させることはすごく得意だという子どももいます。通常保育と延長保育、両方の先生に子どもの様子をヒアリングして子どものさまざまな面を知れることは、親からすれば子どもの見方が変わり、安心できるということにもつながると思います。親子一緒に過ごせる時間が短いから強い絆を築けるここまで、延長保育のメリットばかりを挙げてきましたが、もちろんデメリットもあります。ひとついえるのは、子どもが幼いほど身体的なストレスになるということ。年少など幼い子どもの場合、どうしても体力がありませんから、長い時間、家ではない場所で過ごすことは大きなストレスになります。疲れが残って、午前中に眠くなってしまったり集中力がなくなったりということがあるのです。ですが、そういうことも体が成長するにつれてなくなっていきますから、あまり心配しすぎる必要はありません。延長保育を利用している保護者の多くが、子どもを心配すると同時に、子どもに対して「申し訳ない」という気持ちを持っています。でも、子どもは親が思う以上に延長保育の時間を楽しんでいます。そしてなにより、親が「申し訳ない」なんて気持ちを持っていれば、せっかく子どもと過ごせる大切な時間もいいものにはなりづらいのではないかと思うのです。変に心配したり「申し訳ない」気持ちを持ったりするのではなく、延長保育のなかでしか味わえない経験や気持ちを、子どもからどんどん聞き出してみてください。そうすれば、一緒に過ごせる時間がたとえ短くても、あるいは短いからこそ大切な時間としてとらえられ、親子の絆をより濃密なものにできるのではないでしょうか。■一般社団法人キッズコンサルタント協会■ 一般社団法人キッズコンサルタント協会代表理事・野上美希先生インタビュー一覧第1回:子どもの順応性は親が思う以上に高い。「申し訳ない」という気持ちは不要です第2回:「小1の壁」を乗り越えるために――子どもの言葉の裏にある本心とは?第3回:放課後や長期休みに「非認知能力」を高めよう。学童でさまざまな経験を第4回:自己肯定感も勉強への姿勢も“熱中体験”の先で生まれる【プロフィール】野上美希(のがみ・みき)1977年3月21日、千葉県出身。一般社団法人キッズコンサルタント協会代表理事。東北大学工学部卒業後、日本総合研究所にてコンサルティング、事業企画、採用、営業と多岐にわたる経験をした後、株式会社マイナビで人材紹介事業部の立ち上げに従事。営業部長として複数の部下をマネジメント。その後、自身の妊娠を機に久我山幼稚園の運営に携わり、産後母の孤独を解消すべく、子育てひろば開設を皮切りに、働く母の支援のため、幼児教育をベースとした民間学童や6つの認可保育園を開設。また、民間学童指導員資格であるキッズコンサルタント資格を認定する一般社団法人キッズコンサルタント協会を立ち上げ、代表理事を務めている。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年12月19日親であれば、誰もが子どもには幸せになってほしいと願っています。では、その幸せとはどんなことであり、どうすれば子どもは幸せになれるのでしょうか。イタリア生まれの教育手法「レッジョ・エミリア・アプローチ」をベースとするインターナショナルプレスクール「東京チルドレンズガーデン」の伊原尚郎理事長は、「幸せは他者とのかかわりのなかでこそ生まれる」といいます。その真意を聞く前に、東京チルドレンズガーデンの1日のスケジュールについての話からはじめてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)決まった1日のスケジュールは存在しない「レッジョ・エミリア・アプローチ」では、誰かが指示をしたり目標を与えたりするのではなく、基本的に子どものなかから湧き出る興味に従って活動します。ということは、決まった1日のスケジュールもないということ。当校のホームページには、登園から降園までのスケジュールを掲載していますが、それも便宜上のものであり、だいたいの目安でしかありません。決まっているのは、8:30の登園時間くらいのものでしょうか。もちろん、なにをやるかは子どもたち次第。たとえば、明日(取材日の翌日)は、わたしにはあるひとりの子どもとの約束があります。それは、電車に乗ってふたりで上野の博物館に行くこと。いま、その子がいちばん興味を持っているのが博物館だからです。帰りの予定も、「だいたいお昼頃には帰ってこようかな」くらいのものです。理想は、子どもたちみんなが自分なりの課題を持った独立系研究者のようになることです。朝、登園してきて「おはようございます」といったら、「それでは、研究をはじめます」という感じで、なにかをやらされるのではなく、自分の興味を持っていることに没頭してほしい。そして、わたしたちの役割は子どもの研究のサポートです。自分の子どもがアインシュタインだったとしたら、研究中の彼に向かって「はい、時間がきたから研究はやめて散歩に行きましょう」なんてことをいう人はいないでしょう?やることは、「なにか必要なものはある?」と聞いて、研究のサポートをすることしかありません。子どもを信じることが、子どもの本来の力を引き出すこの自由度の高さは、GoogleやYahoo! などに見られるフリーアドレスのオフィスに通じるものがあると思います。フリーアドレスは、チームのメンバーの誰もが自発的に仕事をすることが前提となっているシステムです。「ちょっとカフェで仕事をしてきます」というメンバーに対して、マネジャーが「あいつはちゃんと仕事をしているのか」と考えていたら成立しません。同じように、「子どもにはすごい能力がある」という観点に立って子どもたちを信じることこそ、子どもが本来持っている能力を引き出し、伸ばすことになるのです。でも、残念ながら多くの親は子どもに対して「この子はなにも知らないから、わたしが教えてあげなければならない」と思い込んでいます。少し話はそれますが、このことの要因のひとつは、「教育」という言葉そのものだとわたしは考えています。教育を意味する英語の「education」の語源は「educe」。本来、その意味は「引き出す」です。ところが、福沢諭吉は、「education」を「教え育てる」として「教育」と訳してしまった。このことに対して、福沢諭吉自身ものちに「誤訳だった」と振り返っています。でも、日本では「教育」という言葉が浸透してしまいました。漢字は表意文字ですから、わたしたち日本人は漢字を見るだけで意味を受け取ります。そうして、「education」は、本来の「力を引き出す」ではなく「教え育てる」という意味として日本人には感じられるようになりました。このことの影響は非常に大きいとわたしは見ています。親であるみなさんには、「子どもは教えてあげなければならない存在だ」という思い込みをもう一度見直してほしいのです。もともと有能な子どもが集まれば、素晴らしいものができる!話を戻しましょう。わたしの理想は子どもたちが独立系研究者のようになることだと述べました。でもそれは、自分勝手な人間になるということではありません。優れた研究者――つまり子どもたちが集まれば、それぞれが持っている力を結集して思いもよらない大きな成果を生むということもあります。たとえば、絵を描く場面もそうです。子どもたちが絵を描くとき、一般的な幼稚園では、子どもたちそれぞれに1枚の紙を用意します。一方、わたしたちの学校では、大きな紙にみんなで絵を描くのです。すると、友だちの描き方を見て「あれ、いいな」と思った子が、その描き方を真似するということもあります。一方、真似された子も別の子の絵を見て、「あの色ってどうやってつくっているんだろう」なんて思って真似しようとする。こうして、互いに影響を与えたり与えられたりしながら、それぞれが学び、壮大なコラボレーションともいえる絵ができ上がります。そして、それこそが人間の社会にとって大切なことです。他人を出し抜いた誰かひとりがお金持ちになればいいということではないでしょう?わたしは、子どもたちみんながそれぞれに自分なりの幸せを手にしてほしいと願っています。その幸せとは、愛する人と出会っていい家庭を築くことかもしれないし、気の合う同僚とやりがいのある仕事をすることかもしれません。いずれにせよ、幸せというものの多くは、他者とのかかわりのなかで生まれるものであるはずです。そして、少なくともわたしたちの学校を巣立った子どもたちなら、そういう幸せな人間になってくれるのではないかという期待を抱いているのです。■東京チルドレンズガーデン■ 東京チルドレンズガーデン・伊原尚郎理事長インタビュー一覧第1回:いまの時代にマッチする「レッジョ・エミリア・アプローチ」の教育第2回:もしも子どもがアインシュタインだったら?子どもに対して親が取るべき姿勢第3回:グローバルな人間に――生まれ育った地域や国を知る「レッジョ・エミリア・アプローチ」第4回:信じることで本来の力を引き出す。すごい能力を持つ子どもたち【プロフィール】伊原尚郎(いはら・ひさお)東京チルドレンズガーデン理事長、共同創設者。米国ニューヨーク州立大学メディアアート科修士課程修了。ビデオアーティストとしてニューヨークで多方面に活躍。約20年の在米ののち帰国し、幼稚園の園長に就任。国際幼児教育の理解を深め、クリエイティブ思考を育てるための研究に従事。2017年に共同創設者の西ヶ谷アンとともにレッジョ・エミリア・アプローチをベースとするインターナショナルプレスクール「東京チルドレンズガーデン」をオープンし、理事長に就任。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年12月18日子どもが成長するにつれ、徐々にそれぞれの性格がはっきりしてきます。でも、なかには、親からすれば「困った」と思うような性格もあるでしょう。そんな子どもの性格の「困った」に答えてくれるのは、著書の『脳科学的に正しい 一流の子育てQ&A』(ダイヤモンド社)で注目を集める脳科学者・西剛志先生です。「集中力がない」「聞き分けがない」「内気」という3つのケースについて、親がどうするべきかというアドバイスをしてくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/和知明(インタビューカットのみ)脳が未発達の子どもは集中力がなくてあたりまえ多くの親御さんから寄せられる悩みとして、「子どもの集中力がない」というものがあります。集中力を司る脳の前頭前野という部分は28歳くらいまでの長い時間をかけて発達していくものですから、子どもの前頭前野はそもそも未発達です。つまり、子どもは集中力がなくてあたりまえなのです。でも、そうはいっても、すごい集中力を発揮する子どももいますよね?電車が好きな子どもなら、飽きずにずっと電車を眺め続けます。そういう子どもがなにに集中しているかというと、間違いなく自分が好きなことなのです。つまり、たとえ前頭前野は未発達の子どもでも、自分の好きなことならしっかり集中できる。そうして集中することが、集中力を育む最適なトレーニングとなります。であるならば、親としては子どもの好きなこと、やりたいことをきちんと見つけて、没頭させてあげることが大切になります。逆にいうと、子どもがやりたくもない習い事を親のエゴで無理やりやらせるようなことはNGだということです。それから、親のNG行為としては、子どもにむやみに介入することも挙げられます。せっかく子どもが自分の好きな遊びに集中しているのに、つい「面白そうだね」なんて一緒に遊ぼうとしてはいませんか?その都度、子どもの脳の集中は途切れますから、これは、わざわざ親が子どもの集中力を育む邪魔をしているということなのです。子どもがなにかに黙々と取り組んでいるときは、親はそっと見守るように心がけてください。また、集中力がなく飽きっぽい子どものなかには、単純に頭がいいという可能性もあります。おもちゃを与えてみてもすぐに飽きてしまう。それは、頭がいいためにそのおもちゃでの遊び方をすぐに学習してしまうからということも考えられるわけです。聞き分けがない子どもほど社会的に成功しやすいまた、「うちの子は聞き分けがない」というのもよく寄せられる悩みです。親の立場からすれば、聞き分けがない子どもはわがままに映って困ってしまうものですよね。ですが、ちょっと意外な研究データがあります。ドイツのヘッツァーという心理学者の研究なのですが、「聞き分けがない子どもほど社会的に成功しやすい」というのです。親の目にはただのわがままに映っているような子どもも、子ども本人からすればそうではない場合もあります。それは、子どもが自分の考えをきちんと持っていて、親の話に納得していないという場合です。自分でしっかり考えることができるのですから、将来的に成功を収める可能性が高いというのも納得できる話ですよね。そういう子どもに対しては、親の考えをしっかり伝えることが大切です。なにかを禁止するにしても、「○○しちゃ駄目」というだけではなく、なぜ駄目なのか、その理由をきちんと伝える。そうすれば、自分の考えを持っているような頭のいい子なのですから、しっかり理解してくれるはずです。とにかく、「聞き分けがないことは悪いことだ」と決めつけてはいけません。ただ、そうはいっても、聞き分けがないことで家族以外の他人に迷惑をかけるようなことは問題ですから、その点だけはきちんとしつける必要があるでしょう。もうひとつの注意点は、先の話を受けて、「うちの子は聞き分けがないから成功する」と早合点してはいけないということ。聞き分けがない子どもになることの要因として、カロリー不足、睡眠不足、愛情不足の3つの不足が挙げられます。もしかしたら、自分の考えをしっかり持っているのではなく、それら3つが不足しているだけかもしれません。しっかりご飯を食べさせて、睡眠時間を確保し、親子のスキンシップを取ってください。内気な子どもほど内的なエネルギーに満ちている最後に、「内気な子ども」のケースを取り上げておきましょう。いつからか「明るいことがいい」「ポジティブであることがいい」という時代になったことで、子どもが内気なことを心配している親は意外なほど多いものです。ただ、これも聞き分けがないことと同じように、心配しすぎる必要はありません。内気な子どもは、「内面的才能」が高い可能性が考えられるからです。内面的才能とは、「自分の心を深く掘り下げる能力」のこと。そんな子どもは、幼少期のときには口数も少なくてひとりで遊ぶようなことが多いという傾向があります。そして、そのなかで高い創造力を身につけ、将来はクリエイティブな仕事で力を発揮するということもある。あるいは、自分の心を深く掘り下げられると同時に他人の気持ちもわかるので、カウンセラーなどの仕事に向いているということもあります。また、内気な子どもほど内的なエネルギーが強いという研究もあります。ひとりで遊んでも十分に楽しめるというのは、エネルギーに満ちていると見ることもできます。一方、明るく外交的な人はどうかというと、他人と会って他人からエネルギーをもらってはじめて楽しいと思える。自分自身で楽しみを生み出すような強いエネルギーを持っていないのです。たとえ内気であっても、そんなエネルギーに満ちた子どもなら、内面的才能によって自分の心を掘り下げ、「これだ!」と思う目標を見つけたときには、それに向かって力強く進んでいけるでしょう。いずれにせよ、「内気なことは良くないこと」という先入観を親はいますぐに捨てるべきです。内気な子どもには内気な子どもだからこそ持つ力があるのです。『脳科学的に正しい 一流の子育てQ&A』西剛志 著/ダイヤモンド社(2019)■ 脳科学者・西剛志先生インタビュー一覧第1回:家のなかに生活感を!子どもの「創造力」を伸ばすために親ができること第2回:お手伝いで子どもの「自制心」が育つ“脳科学的メカニズム”第3回:集中力がない、聞き分けがない、内気。子どもの性格の「困った」はどうする?第4回:子どもを自立できる人間に育てる――脳科学者が考える「理想の子育て」【プロフィール】西剛志(にし・たけゆき)1975年4月8日、鹿児島県出身。脳科学者(工学博士)、分子生物学者。T&Rセルフイメージデザイン代表。LCA教育研究所顧問。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。2002年に博士号を取得後、(一財)知的財産研究所に入所。2003年に特許庁入庁。大学非常勤講師を兼任しながら、書籍出版、雑誌掲載、ノーベル賞受賞者との対談、世界旅行、結婚、当時日本に1100人しかいない難病の克服など、多くの夢を実現。その自身の夢をかなえてきたプロセスが心理学と脳科学の原理に基づくことに気づき、いい人生を歩むための脳科学的ノウハウを企業や個人向けに提供するT&Rセルフイメージデザインを2008年に設立。現在は、脳科学を生かした子育ての研究も行う。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年12月11日こんにちは!おにぎり2525です。今日は息子が1歳になる前くらいのお話です。懐かしさを感じながら、書かせてもらいます!!■子連れ外食で目にした光景息子の子育てが少しだけ落ち着いたころ、1年以上ぶりに親友とランチに行きました。息子も楽しめるようにと、キッズスペースもある座敷の喫茶店を選びました。ずっと息子と家で2人きりの生活が多かったので、とても楽しみにして行ったのですが喫茶店に入ってすぐに…バラバラに散らばった、揃えられていない靴たち。おそるおそる座敷のドアを開けると、先客が一組いました。わたしの嫌な予感は当たり…キッズスペース関係なく、喫茶スペースで走り回る子どもたち。他のお客さんが来ても、子どもに注意することなくお喋りを続けるママたち。気にせずに息子と久々の外食を楽しもうと思ったのですが…■キッズスペースにも難点が…息子もその子どもたちが気になって、全然ご飯に集中できません。さらには大きいおもちゃを持って喫茶スペースで遊んだり、息子のハイローチェアを勝手に動かしたり。ちょっと、ちょっとお母さーん!!そんな注意の仕方で、子どもが言うこときくかーーーー!!!!と心の中で叫ぶ私…。子どもたちはたぶん今の息子の歳くらい(5歳)ちゃんと説明して、注意したら理解できる年齢だと思っています。(もちろん個人差はありますけどね)楽しくランチするはずだったのにー!せっかくの楽しい場所なので、みんなが楽しく過ごせる場所にしたいですね。息子があの子らと同じくらいの年齢になったので、ふと思い出して書いてみました。わたしもキッズスペースをみんなで気持ちよく楽しく使えるように、気を付けたいと思っています!
2019年12月06日「わが子に好きな子ができたかも?」と気づいて、あたふたしてしまうパパやママも少なくないのではないでしょうか。みずからの初恋を思い出して、ほほえましい気分になったり、心配してみたりと、親の気持ちもつい忙しく変化してしまいますよね。今回は、子どもの初恋において親ができることについて、考えてみたいと思います。■お子さんの初恋に気づいた?アンケートでは、子どもの初恋に気づいたかどうか聞きました。その結果、「気づいた」、「なんとなく気づいた」と答えた人は合わせて35%となりました。さらに「子ども自身に教えてもらった」と答えたのは23.2%で、「気づいた」と答えた人と合わせると、6割弱の人たちは子どもの初恋を認識したことがわかりました。Q.お子さんの初恋に気づいた?気づいた 16.1%なんとなく気づいた 18.9%子ども自身に教えてもらった 23.2%気づかなかった 12.2%まだ初恋を迎えていない 26.8%その他 2.8%■子どもの初恋物語1、「俺の好きな子!」それでは、パパやママたちはどんなタイミングで子どもの初恋を知るのでしょうか。まずは、23.2%が回答した「子ども自身に教えてもらった」人たちの声を聞いてみたいと思います。「小5と小3ですが、自分からクイズ形式で好きな人を教えてくれます」(神奈川県 30代女性)「3歳頃、『好きな子いるの?』ってなんとなーく聞いてみたらニヤニヤしながら名前を教えてくれました。恥ずかしいようで『パパには教えちゃダメ』と。教えてくれたときの照れたしぐさがとてもかわいかったです」(静岡県 30代女性)「『他の人から聞くのはいやだろうから』と、中学生だった息子から彼女の存在を聞かされました。素直に話してくれたことが何よりうれしかったです」(宮崎県 40代女性)「息子『 おかん、聞いて~。俺の好きな◯◯ちゃんて子がいるんだけどね…」 、私『◯◯ちゃんて子が好きなんだ』、 息子『…なんでわかった!? エスパー?』。 自分が冒頭に言ったことすら気がつかないすっとぼけた息子」(神奈川県 30代女性)寄せられたコメントからは、何でも包み隠さずに話せる親子関係が築かれている様子がよく伝わってきます。自分から話すかどうかは、子どもの性格や年齢にもよりそうですが、正直に話す気持ちの裏側には、「聞いてもらいたい」「アドバイスをもらいたい」という子どもの本心が見え隠れしますよね。■子どもの初恋物語2、「いっぱいキスしようね」次に、手紙やプレゼントのやり取りから、初恋に気づいたという声をご紹介します。「息子が幼稚園のとき、『これからもいっぱいキスしようね』と書かれたラブレターをもらってきて、夫婦でぶっ倒れたのを思い出しました」(愛媛県 40代女性)「幼稚園のときに長女が『お友だちに手紙を書いてもいい?』と聞いてきたので、許可したら、落書き帳一面に『すき』と書いてあり驚きました」(徳島県 40代女性)「幼稚園の頃、『バレンタインに他の男の子と違うチョコをあげたい』と用意したのでわかりました」(千葉県 40代女性)「娘の初恋はお遊戯の相手役でした。うれしすぎて終始笑顔でした」(福島県 40代女性)どのエピソードも初恋に胸をときめかせる子どもの様子が伝わってきますね。未就学の幼い子どもの場合、手紙やプレゼントのやり取りは親の助けが必要な場合が多いため、そうしたやり取りを通じて好きな子がいるとわかる場合があるようです。送る側も、受け取る側も、親子でいっしょにドキドキしてしまいますよね。わが家の小学1年生の長男も、年長のころ「すきです」と書かれた手紙を突然持ち帰ってきたことがありました。その手紙を、照れながら無言で差し出してきたときは、「ついにこの日が来たか!」と、子どもの成長を実感したことを思い出します。■子どもの初恋物語3、「恋する女の子の表情」さらに、子どもから頻繁に同じ子の名前があげられたり、表情が変化したりと、言動のちょっとした変化で子どもの初恋に気づいたという声も多数寄せられていました。「小学校に通うようになって、毎日娘との会話に同じ男の子の名前が出てくることが続いた。その男の子の事を話してるときの娘の表情が、恋する女の子っぽかった」(神奈川県 40代女性)「年長さんくらいのときに、いつも話に出てくる女の子がいました。お迎えのときに気になって、『どの子?』と偵察したのを覚えています」(福島県 30代女性)「子どもたちとショッピングモールを歩いていると、反対側から歩いてくる同年代の男の子が。下の子たちが『あ、◯◯君だ!』って言った瞬間、中学生の娘とお相手の子の表情が変わった。自分自身にもそんな時代はあったので、何も聞きもせずにそっとしておきました」(埼玉県 40代男性)「本人のタンスの引き出しの中に相合い傘が書かれていたときは笑いました!」(鳥取県 30代女性)そのほかにも、「6年生の娘が身だしなみに時間がかかるようになって気づいた」とか、「小3の娘に、『将来どんな人と結婚したい?』って言ったら顔を赤らめたのでピンと来た」と言ったコメントも寄せられていました。毎日子どもの成長を見てきた親だからこそわかる、子どもの変化があるようです。思い返してみると、自分の初恋のときに、いつのまにか親に見抜かれていたという経験のある人も多いかもしれませんね。■子どもの初恋物語4、「先生から聞かされる!?」また、自分では気づけなくても、子どもの友だちやママ友、保育士さんや先生などから教えてもらって知ったという人もいるようです。「幼稚園のとき、相手のママに教えてもらいました!」(神奈川県 40代女性)「息子が小学二年生の時、好きな子がいること、その子とラブラブなことは息子が仲良くしているクラスメイトから聞きました」(東京都 40代女性)「保育園の年長さんのときに、保育士さんから『〇〇ちゃんと一緒に散歩するときは、手をつなぎたいと言っています』と聞き、ほっこりしました」(神奈川県 40代女性)「娘も息子も担任の先生から個人面談のときに聞かされました。若い先生だったので、子どもたちの恋愛相談にものっていたんでしょうね」(千葉県 50代女性)家以外での子どもの様子をよく知る人たちからは、さまざまな情報が入っているようですね。個人面談で担任の先生から、子どもの恋愛について話をされるとは、驚きです。■恋はまだ…「異性より動物大好き!」一方、初恋に「気づかなかった」とか、「まだ初恋を迎えていない」という人も全体の約4割近くいました。「6年生の息子ですが、初恋はまだだと思います。虫と動物と魚が大好きな少年です」(愛知県 30代女性)「息子小1ですが、今のところまだ、『好きな人はママ!』と言ってくれています」(神奈川県 30代女性)「高校生の娘ですが、まったくと言っていいほど男子には興味なし! この先、そういう人が現れればいいなと思う母であります」(東京都 50代女性)初恋を迎えていないであろう子どもたちに対しては、「早く恋してほしい」と感じている親も一定数いることがわかります。恋をしたらしたで心配だし、しなければしないで心配だし、親の気持ちはどうしても忙しくなってしまいがちですね。また、まだ幼い子どもの場合は、初恋がこれからという場合もあるようです。■子どもの初恋に親は何ができる?さまざまな経路から子どもの初恋を知ったパパやママたち。その先で、子どものためにできることとはいったいどんなことなのでしょうか。▼子どもの初恋対処法その1、子どもと対話する「子どもにとって1番の理解者でありたいので、アドバイスや、自分の経験など、毎日1~2時間はしゃべります。恋愛話、学校の話、将来的な話もします」(奈良県 30代女性)「男の子なので好きな子の話をすると照れて『いないよ』って言っていたんですが、『好きな子がいるのはいいことだよ、恥ずかしくなんかないよ』って言ってからは、話してくれるようになりました」(神奈川県 30代女性)▼子どもの初恋対処法その2、そっとしておく「誰にも伝えず心の中にそっととどめておき、静かにその人への思いが満たされてゆくのが恋なのかな。だから、あえて言わなくていいし、こちらからも聞きません。ひとを『好き』と思う気持ちを大切にしてほしい」(東京都 40代女性)「幼稚園や小学校の初恋なんてかわいいもの。これから大人になり、本当の恋ができるようになるためには、絶対に必要な成長過程だと思っているので、親がなんやかんやと口出したりして横やりを入れたりせずに、静観すべきだと思って見ています」(神奈川県 40代女性)▼子どもの初恋対処法その3、適度な距離間で見守る「気づいたあとの接し方は十人十色。子どもたちはそれぞれ違う性格なので、子どもから親へも、親から子どもへも、接し方や対応はそれぞれ違います。適度な距離感で接することを重視しながら、親も常に学んでいる日々です」(神奈川県 40代女性)「小1の息子がラブレターをいただき、まだ恋とか付き合うとかはよくわからなかったようなのですが、『好きとかよくわからないけど、ありがとう。わかるようになったら、ちゃんと返事するね』と言ったようです。それを聞いて、いい子に育ってくれたとほっとしました」(宮城県 20代女性)何よりも大切なのは、子どもが恋をしていることや、好きな相手のことを否定しないことかもしれませんね。子どもが話してきてくれたらまずはゆっくりと話を聞き、「そうなんだ」と受け止めてあげられると子どもも安心するかもしれません。ただ親も初めて聞くときはドキドキしちゃいそうですが…。子どもが直接言わずに初恋に気づいた場合には、しつこく追求せず、見守る姿勢も必要かも…。とくに難しい年齢に差し掛かる子どもには注意が必要ですし、「自分がされて嫌なことはしない」ということを鉄則にしておきたいところです。ただし、やはり男女間のことである以上は、スキンシップには心配がつきものです。場合によっては子どもに対しては、性に関することを伝えるいい機会と捉えて、きちんと話をすることも重要かもしれません。恋愛において、初めは未熟なやり取りによって、子どもが相手を傷つけてしまったり、傷つけられたりすることもあるかもしれません。そんな関係に子どもが困っている様子が見られたら、そのときは親から手を差し伸べられるとよさそうですね。最後に、初恋に関してこのようなコメントも寄せられていました。「今は中1の娘。小3の頃からその男の子の話がよく出るようになったので、きっと好きなんだろうなぁと確信。あと数年もしたらもう少しアオハルな恋をするんだろうなぁと思うと待ち遠しくもあり、心配でもあります。そして子どもの恋の心配をするなんて、本当に母親になったんだなあって思います」(奈良県 40代女性)「にこにこしながらうれしそうにその子の話をいろいろしてくれるので、好きなんだろうなぁ~と。そんな時期を大切にしながらも、恋を楽しんでほしいです」(滋賀県 30代女性)恋愛は、人間関係が健全に深まり、広がりを見せているからこそできるもので、子どもが順調に成長している証ともいえますよね。恋愛を通じて学ぶことは多く、それが例え報われなかったとしても、かけがえのない経験をすることができるでしょう。パパママ自身も、そうしたみずからの経験がよみがえることもあるかもしれません。人を好きになること、人に好きになってもらうこと、そのどちらもすばらしいことで、子どもが、人を、そして自分自身を認め受け入れるきっかけともなりえるでしょう。そんな成長した子どもの様子には、親としてさまざまな感情が押し寄せるでしょう。親としてできることはほんのわずかかもしれませんし、子どもが求めてこない場合もあり、その時はかげながら様子を見守るのが親の仕事になりそうです。子どもがいい恋愛をして、一回り成長できるように、パパやママが一番の応援者でいたいものですね。Q.お子さんの初恋に気づいた?アンケート回答数:4644件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2019年12月01日ウーマンエキサイトのみなさんこんにちは、ぐっちぃです。体調不良といえば、私、今年の夏に寝込むほどの風邪をひきましてね……。ちょうどそのとき夏休みで娘2人は家にいたんだけど、私が動かずとも、ある程度のことは「自分のことは自分でできる」ようになっていたことに感動しました。そのとき「あー今まで練習させといてよかった」と思ったことを紹介しますね。(1)買い物ができる 私が寝込んでご飯を作れないので、自分たちでお弁当などを買ってきてもらえるのはかなり助かりました。母用にゼリーや薬も頼めたので、「おつかいができるって大事だな」と思いました。(2)レンジでチンができる買ってきた弁当を温めるのはもちろんですが、家にストックしてある冷凍食品やレトルト食品をチンして食べられるようになってくれると、たとえば雨が降って外出が億劫なときにも、温かい食べ物が作れるのでいいなと思いました。(3)お湯が沸かせる 最初はヤケドが心配だけど、できるようになると、カップ麺はもちろんカップスープ、インスタントみそ汁が作れるようになり、料理の幅が広がる! 我が家は電気ケトルを使っています。(4)コンロ(IH)が使える我が家の娘たち、今ココです。身長が伸びてやっと換気扇のスイッチに手が届くようになったので(今まで私がつけていた)、私がいなくても、ひとりで袋タイプのラーメンやホットケーキなどチャレンジできるようになりました。この4つができるようになって、何がラクかというと……。 ちょっとの間でも立っているのがツライときに、「おかーさんこれどうすればいいの?」「これはどこにあるの?」「なにすればいいの?」って聞かれ、その都度起き上がって「だからこれはこうして……」って説明するのはしんどい。カップラーメンができる3分間でさえも、長く感じるものです。それを娘たち自身でできるようになってくれたことの有難さったら! 食べ終わって皿を水につけておくところまでやってくれるので、万々歳です(あとはお父さんがやってくれるだろうと期待)。おつかいも料理も、覚え始めの頃はひじょーにハラハラドキドキするんですが、マスターしてくれると本当に助かるので、少しずつ慣らすのがオススメです!
2019年11月18日