「どうしてほかの子はできているのに、自分の子どもはできないんだろう?」幼少期は特に発達速度に個人差があることから、親は“できないこと”をネガティブに考えてしまいがち。ウーマンエキサイトで連載中のSAKURAさんも、そんな思いをして苦しんだひとり。娘のあーさん(現在9歳)は、発達障害(自閉スペクトラム症(※1))で言葉の発達が遅れていたため、周りの子とくらべてしまうことがあったそう。そんな日々を経て、SAKURAさんがわが子の“苦手”や“生きづらさ”と向き合い、奮闘する姿をつづった子育ての記録が書籍 「うちの子、個性の塊です」 になりました。■ママに興味がない子どもがいるの?赤ちゃんの頃からあまり泣かず、ひとり遊びが上手で手が掛からなかったというあーさん。2歳半のとき、子ども支援センターで面談の機会が訪れます。部屋に入るなりひとりで遊びだし、SAKURAさんの元に戻ってこないあーさんを見た先生は、こんな言葉を放ちます。「お母さん、気付いていないかもしれませんけど、これはけっこう問題ですよ。この子はお母さんに興味がないんです」。この衝撃の言葉を聞き、「今まで娘と過ごしてきたすべてを否定されたような気持ちになった」と言うSAKURAさん。そんな彼女が、いつも連載で描いているようなユーモアたっぷりの育児ができるようになったのはなぜなのか。その足跡を書籍からたどります。■なんでうちの子はできないの?発達の遅れを指摘されてからのSAKURAさんは周りの子とあーさんをくらべては「落ち込む日々が続いた」と言います。しかし苦しい日々を過ごした末、SAKURAさんは気付きます。「自分がいくら落ち込んでもあーさんがよくなるわけではない」ということを。当時、あーさんの主治医から言われた言葉もSAKURAさんを楽にしました。「みんな生まれ持ったそれぞれの個性があるんです。発達障害のある子は、その個性がたくさんあるから目立つ。だから娘さんは“個性の塊”なんですよ」。この言葉によって、SAKURAさんはあーさんの“個性”を「楽しもう」と思うようになったと言います。物事への強いこだわりも見方を変えると面白いと感じたり、苦手なものにはあーさんに合ったやり方でサポートしていけばいいのだとポジティブに考えられるようになったのです。■かんしゃくを起こす娘にイライラ…言語の発達に遅れがあったあーさん。4歳頃になると、自己主張やこだわりが強くなって、かんしゃくを起こすことも。一度泣き出すとSAKURAさんの声も耳に入らなくなり、泣き止まずイライラ…。そこで主治医に相談すると、あーさんは「自分の気持ちを表現することが苦手だから泣く」とのこと。そして、「“気持ちの代弁”と“気持ちの同調”をしてみてください」と言われます。怒り出したときは「そっか~、〇〇だったんだ~。〇〇したかったんだ~」など気持ちをまず代弁すること、そして「わかるよ~。ママもそうだったよ~」と同調することで、子どもは「お母さんはわかってくれたんだ」と知り、気持ちを落ち着かせることができるというのです。「これを繰り返していくと信頼関係の土台ができ、お母さんの話も落ち着いて聞けるようになりますよ」と。SAKURAさんが実践したこの方法は、目に見えて効果があったと言います。何度か繰り返しているうち、泣き出してもすぐSAKURAさんの提案や要求を聞いてくれるようになったそう。この方法は、癇癪を起しやすい子や自分の感情をうまく伝えられない子にも効果があるように思えます。■小学校の通常学級は、私のエゴ?あーさんが小学校に入学する際、知的な発達の遅れがなく、主治医にも「通常学級でいけると思います」と言われたこともあり、通常学級を選んだSAKURAさんご夫婦。しかし入学後、授業についていけない部分が出てきて担任からの報告や相談が増え、お友だちともトラブルが起きるように…。たとえば、文章が書けず白紙のまま固まってしまう、お友だちから自分がやっていないことを責められても「私じゃない」と主張できず責められてさらに泣く…など。でもあーさんは、「学校は楽しい」と話し、SAKURAさんはこの状況をどう判断すべきか悩みます。そして、担任から2年生の進級時に特別支援学級(※2)に転籍することをすすめられます。しかし、夫は娘のコミュニケーション能力を上げるためには大人数の通常学級に在籍したまま通級指導(※3)を受けるのがいいのではないかと言います。娘が学校生活を楽しく過ごすには、どれを選択すべきなのか? 周りの意見を聞くうちにSAKURAさんにはどれが正解なのかわからなくなっていきます。この進級問題でSAKURAさんが見せる、子どもにとって何が最善なのかを模索する姿。それは、わが子のために必死で考えることこそが重要なのだと教えてくれます。■個性を楽しむ育児がもたらすものさまざまな困りごとを克服していったSAKURAさん。その様子を読んでいると、子どもの個性を認め楽しむことでただ問題を解決するだけでなく、それ以上にプラスの要素が生まれているように感じます。“個性”を肯定されることで子どもが得る安心感、親子の絆、家族の笑顔…。そして、SAKURAさんの姿勢はあーさんの物事の捉え方にも大きく影響していて、それは彼女の生み出すポジティブでやさしい言葉に表れています。そんな育児を実践するSAKURAさんの書籍は、発達障害の子どもを持つ親だけでなく、子どものちょっとした苦手やこだわりに悩む親たちにも参考になるのではないでしょうか。最後に、SAKURAさんにインタビューさせていただきました。――初めて娘さんの発達の遅れを指摘されたとき、どんなことを思いましたか?「なぜうちの子が」と現状を受け止められず、なぜこうなったかばかりを考え、「私のせいだろうか」 と自分を責めていました。 私の場合、娘を妊娠するまでも、不妊治療をしていたこともあって、「やっと妊娠して、出産して、憧れていたお母さんになれたのに! なんで私がこんな目に…」と思っていました。――ほかのお子さんとくらべて落ち込んでしまったとき、どのようにして気持ちの切り替えをしていましたか? また、その頃の自分に声を掛けるとしたら、どんな言葉を掛けますか?娘の場合、しゃべらないので親子のコミュニケーションがほとんど取れず、他の親子を見るといつも暗い気持ちになっていました。しかし、その暗い気持ちや、悲観的な感情は、持ったところで娘にとってのプラスにはまったくなりませんし、落ち込むことが娘に対して失礼だと考えるようになってからは、落ち込まなくなりました。その頃の自分に声をかけるとしたら…、「大丈夫~! いつかコミュニケーション取れるようになるよ~! 小学4年生の今、ちょっとうるさいなって思うぐらい、しゃべってるよ~!」ですかね(笑)――よく父親の方が子どもの発達についての理解に否定的になると言われていますが、SAKURAさんご夫婦はとても理解しあっている感じがします。お子さんについてパートナーの理解が得られない場合、どうしていけばいいと思いますか?このことはよく聞かれるので、旦那とも話すことが多いです。旦那は「自分の子どものことなのに理解しないって気持ちが、逆によくわからない」と言います。子どもの発達障害について否定的なお父さんは、向き合い方がわからないのだと思います。「俺の子がそんなはずない」とか「知られたくない」とか…。しかし自分の子どもだとしても、クローンではありません。自分と違った一人の人間なのです。その子が生まれたありのままを受け入れるしかない…。そのことに気がつかないと、結果子どものためにはなりません。わが子が将来、自分で生活できるようにするために、今何ができるかを考えてほしいと思います。――最後にSAKURAさんと同様に子育てに悩むママたちに言葉をかけていただけますか?私も現在進行形で、「子育てに悩むママ」です(笑)。毎日毎日子どもたちの要求をこなし、疲れ果てて、「ちょっとYouTubeでも見といて…」とか言って、ソファーに横になっちゃう親です。だから他のママさんたちにメッセージを贈れるほど立派な人間ではないのです。「やるときはやる!」「だらけるときはだらけきる!」で乗り越えましょう! …としか言えません(笑) 「うちの子、個性の塊です」 ([著者] SAKURA,[監修] 井上雅彦/すばる舎 ¥1,540)自閉スペクトラム症の娘あーさん(9歳)を育てる母SAKURAさんが、さまざまな悩みを抱えながらも娘の個性と向き合ってきた様子を、挿絵と4コマ漫画を交えながら描いたエッセイ。母SAKURAさんと、いつも妻の気持ちを理解しサポートしてくれる父、心のやさしい長女あーさん、甘えん坊の長男きーさんの4人家族による愛情たっぷりのエピソードが満載で、読む人をハッピーにさせてくれる。SAKURAさんのブログ: 「うちの子、個性の塊です~マイペース娘の療育日記~」 ウーマンエキサイトの連載: 「うちの家族、個性の塊です」 ※1.自閉スペクトラム症脳に生まれつきある先天的な発達障害のひとつで、特徴として社会的コミュニケーションの障害、限定された興味を持つと言われている。※2.特別支援学級障害のある子ども一人ひとりに合わせた教育を行うため設置された少人数学級のこと。※3.通級指導教室比較的障害が軽い子どもが、通常学級に在籍しながら、その子に合った小集団や個別の指導を受けられる学級のこと。
2020年09月02日暑さで体力的に疲れていることも多い、夏休み明け。これから新学期を迎える時、あるいは新学期が始まったばかりの時期に、親が子どもに投げかける言葉や見せる姿勢は、子どものやる気やエネルギーに大きく影響してしまうこともあります。今回は心理カウンセラーの立場から、新学期を前にして親が子どもに言ってはいけない言葉を紹介します。勉強の遅れを心配する言葉まず注意したいのは、勉強の遅れを心配するような言葉。親としては、どうしても子どもの勉強の進み具合は気になるもの。一度遅れてしまうと取り返すのは大変だと考えるため、宿題や家庭学習の状況などに焦りを感じるのは普通のことと言えるでしょう。一方で、夏休み明けの子どもたちはのんびりしたもの。夏休み気分が抜けず、また残暑が厳しいこともあって、学校から帰って来たらすぐにクーラーの効いた部屋でダラダラ…などということもあるのではないでしょうか。そこで親が言ってしまいがちなのが、「学校始まったんだから、勉強もしないとね」「勉強が遅れちゃうと大変だから」という言葉です。しかしこれは意外と子どもにとってはダメージになります。勉強について気にしていても、それを指摘されるとうんざりしてしまうのです。このような場合は、まずは「暑いね」「疲れたよね」と共感を示し、落ち着いてから「そろそろ、頑張ろうか!」とプラスの声がけを心がけましょう。休んだのだから頑張りなさいという言葉夏休みという期間があったのだから、学校が始まったらしっかりしてほしいと親は考えがち。しかし「いっぱい休んだんだから、頑張りなさい!」というのは逆効果。休みの期間が長いほど、エンジンはかかりにくくなります。大人でもなんとなく、理解できる感覚ではないでしょうか。頑張りなさいと言われてしまうと、頑張っているのに…と思ってしまいませんか?休み明けは、学校まで行って帰って来られたらそれで上出来。それ以上のことができたら、ほめてもいいくらいです。1、2週間は子どもの様子をよく観察し、勢いがつくまで急かさないようにしましょう。他人と比較して叱咤する言葉親はついわが子と誰かを比較しがち。でも、他人と比べる言葉は子どもの心を傷つけます。例えば「お兄ちゃんはちゃんとやってるよ!」といったようなきょうだいと比べるものはもちろん、「〇〇くんはすごいのに」というような親しいお友達なども同様です。夏休み明け、どれくらいでエンジンがかかってくるかは、子どもによって個人差が大きいところです。他人と比べることは本人の自信を失わせ、エンジンがかかってからの加速をさらに遅くしてしまう可能性も…。他の子どもと比較しないように扱うのは、夏休み明けに限ったことではありませんが、コンディションが整わないうちは特に気をつける必要があります。ゆっくりと普段のリズムに戻して夏休み明けに身体が重そうにしていたり、何かに取り組む意欲が感じられなかったりするのは、当たり前のことです。普段のリズムにすぐに戻らないことで親が焦ったりイライラしたりすると、子どもは「自分がダメなんだ」と不安になってしまうもの。特に今年は、コロナ禍の下、例年以上に不安定になる子どもも増えることが予想されます。まずはいつもよりゆるめでOKと親がゆったり構えること、一所懸命にやっていないように見えてもそれを許す気持ちを忘れないようにしたいですね。<文・写真:ライターあん茉莉安>
2020年08月31日■前回のあらすじお見舞いに来てくれた夫。差し入れやマッサージに癒され、ようやく我が子と3人の時間を楽しめました。その後、義父母もお見舞いに来てくれましたが、産後の不安定さからか2~3時間でしんどくなってしまいました。■赤ちゃんが黄疸になってしまった黄疸が見られる赤ちゃんは多い、重度でなければ心配ない、と書いてあっても、体重が増えないことも重なり責任を感じずにはいられませんでした…。■授乳を頑張るも、体重が増えない…母乳の出を良くするために出来る限りのことを頑張りましたが、結局赤ちゃんの体重は増えませんでした…。■母親失格…母乳が出ない自分を責めてしまう母乳が出ないことで自分を責め続け、涙が止まりませんでした…。義父母の孫に会いたい想いも受け止めきれず、自分が情けなくなりました。次回に続きます。8月23日公開予定! 【同じテーマの連載はこちら】 湯本もゆのオドオド手探り育児 この連載の全話を見る >>
2020年08月22日あなたの親は、あなたをどんな風に育てましたか?親が無意識に子どもに求めた生き方を、私たちは時として「呪い」として深く刻み込んでいます。そのひとつが「あなたならできる」という期待の言葉。でも、できるという期待は裏側に「できない私はダメ」というプレッシャーが含まれています。その言葉の呪い、どうやって解いていけばよいのでしょうか。文・おおしまりえ【おおしまりえの恋愛道場】vol. 83「あなたならできる」親からの呪いを抜け出すために知りたいこと「あなたならできる」親からそんな言葉をかけられた経験はありませんか。現在放送中のテレビドラマ『私の家政婦ナギサさん』が話題になっていますが、人気の秘密のひとつが、母親から主人公にかけられた言葉の呪いだといわれています。あなたならできるというフレーズには、一見すると相手への信頼とポジティブな期待を感じますが、当人からするとそうでもないことも…。例えばここ一番に「あなたならできる」と言われたら、頑張ろうという前向きな気持ちになるものですが、日常的に「あなたならできる」を刷り込まれていると、逆にできない自分を激しく責めてしまうことになります。そして悲しいことに、親の声がけのほとんどは後者であることが多いのです。親からの信頼と見せかけた過剰な期待は、子どもからすると良くないプレッシャーにしかなりません。では親からの呪いの言葉で自分が染まりきっている方はどうしていけば良いのでしょう。大切なのは「できる
2020年08月20日毎年の夏休みの自由研究、保護者のみなさんはどこまで手助けしていますか?子どものやりたいこと、やる気を引き出しながら、親としていかにうまくサポートできるか…なかなか難しいですよね。今回は、手伝いすぎて大失敗したわが家の例も交えながら、ベストな方法を探ってみましょう。手伝いすぎて大失敗、わが家の例◆小1、学童で作った簡単な工作で選出、本人やる気スイッチオン娘が小1のとき、本人はもちろん、私自身も親として何をしていいのかわかりませんでした。なので、夏休み明けには、本人が夏休み中に学童で作ってきた簡単な工作を提出しました。すると、それがなんと市の作品展に展示されることに!初めてのことに子どもは大喜び!「来年は賞をとる」と気合いが入りました。◆小2、こんなの作りたい!手伝いのパパやる気スイッチオンそして小2のとき。子どもがこんなのを作りたいとアイデアを出したので、パパが担当でお手伝いをすることになりました。純粋に子どもが「こうしたい」と言うのをサポートする感じで、材料集めやひとりではできない部分を少し手伝っていました。この年は、市の作品展に出展、なんと入賞しました。◆小3、子どものやる気を完全に奪ったパパやる気全開小2の入賞後は、俄然、パパのやる気がヒートアップ。小3の夏休みになると、娘に「次はこんなのを作ろうか」と勝手にアイデア出しをして、どうやって作れるのかの詳細をネットで調べ、「こうやったら作れるよ」と提案。盛り上がるパパに言われるがままに、娘は作業を実行。かなり大がかりな作品ができあがりました。大きな作品だったので、夏休み明けは作品を運ぶためにパパも一緒に登校。娘は、自分が作った自慢の作品という思いもないようで、そんな大きな作品を持っていくのもちょっとはずかしいという感じでした。大満足なパパでしたが、その年は、市の作品展に出品されることはなく、教室内での展示にとどまりました。子どもらしい発想の作品がベスト娘が小3のときに作ったものは、金のこをつかって金属を切ったり、電池を使って電気がついたりするものでした。材料も普段目にすることもないものを、パパがお金をかけて用意していましたし、小3が学校で習っている知識のレベルでできるものではなかったので、どう考えても子どもの発想ではないですね。子どもが自分で作れるものではないような作品を作り、結果、子どものやる気を奪ってしまいました。賞をとることが目的ではないですが、子どもの発想と子どもの知識の中でできる作品でないと、評価という面でもマイナスになるんだなと改めて思い知らされました。子どもにやらせなければいけない点、親が手伝うべきこと◆何をするのか、どうやったらそれができるのか子どもが何か言い出す前に、親から「こんなのどう?」と言うのはNG。まずは子どもの意見を尊重しなければなりません。親のアイデアを先に言葉にすると、子どもの発想がそこでストップしてしまうので、子どもがどんなことをしたいのかをうまく聞き出しましょう。そして、それが明確になったら、どうやったらそれができるのかを一緒に考えます。「こうしたい」けれど「どうやったらできるかわからない」ということであれば、少しアイデアを足してあげるといいですね。◆準備するものへの考え方何をするか決まったら、何が必要か一緒に考えて準備しましょう。家にあるもので使えるものはないかを考えたり、買う必要のあるものは、親が買ってくるのではなく、できれば一緒に買いに行きましょう。そして「身近なもので作ることができる」「お金をかけすぎない」ということも頭に入れておいた方がいいと思います。親がつい必要以上にやる気になったり、わが子によりよいものを創作してほしいという気持ちになるのは、よくわかります。ただ、あくまでも「自由研究は子どもの宿題」ということを肝に銘じて、子どもが自分自身でこれをやりたいと思ったものを、どうしたら実現できるのかを一緒に考え、サポートすることが大切だと思います。適度なアドバイスで子どもらしい作品づくりを手助けできるといいですね。<文・写真:ライター鳥山由紀>
2020年08月18日大切なわが子のために、できることはすべてしてあげたいーー。そう考えるのは親として当然です。しかし、勉強面や生活面で干渉しすぎてしまうと、子どもの将来に悪影響を及ぼしてしまう恐れも。今回は、「ハイパーペアレンティング」と呼ばれる “過干渉の子育て” をする親たちについて解説していきます。急増中の「ハイパーペアレンティング」な親とは?「ハイパーペアレンティング」という言葉を初めて目にする人も多いのではないでしょうか?簡単に説明すると、「過干渉の子育て」や「子どもをコントロールしようとする親たち」の総称として使われることが多いようです。いわゆる『教育虐待』もハイパーペアレンティングに含まれると言っていいでしょう。近年増加傾向にある「ハイパーペアレンティング」な保護者たち。その原因として、昨今の不安定で混沌とした社会情勢や、SNSなどの過剰な情報によって保護者のあいだで不安が増大していることが挙げられます。東京未来大学こども心理学部准教授で育児工学者の小谷博子先生は、「決して安定した社会が望めないこれからの時代を生き抜くために、さまざまなものを身につけさせてやりたいと早期教育に走る親たちが増えてきている」と指摘します。また、明治大学文学部教授で心理学者の諸富祥彦先生も、「現在の情報化社会のなかで、親は他人の子育てや家庭教育と自分を比べて不安になり、自己否定することが増えている」と述べており、他者との比較によって不安が増大していることを危惧しています。「ハイパーペアレンティング」は、一見すると “教育熱心な親” として悪くないイメージをもたれがちですが、実際には子どもに大きな負担をかけているケースが少なくありません。さらには親自身も大きなプレッシャーを感じており、親子ともに高すぎる理想に押しつぶされてしまうことも……。子どもを疲弊させる「ハイパーペアレンティング」の例「ハイパーペアレンティング」の具体的な例をいくつか挙げていきましょう。■たくさんの習い事をさせるハイパーペアレンティングの典型と言えるのが「習い事をたくさんさせる親」です。いい学校に進学をしていい会社に就職し、よりよい人生を歩ませるために親は最善を尽くそうとしますが、その手段としてやみくもに複数の習い事をさせることは、間違いなくハイパーペアレンティングです。ひとつひとつの習い事は子どもにとって有効であっても、欲張ってすべてをやらせようとすると、子どもは心身ともに疲弊してしまいます。■予定を詰め込んで “退屈” させない習い事をたくさんさせることと同様に、学校以外の予定を親が勝手に決めてスケジュールを詰め込むのも、ハイパーペアレンティングの一例です。子どもには、ぼーっとする “退屈な時間” が必要。国立大学付属小学校の松尾英明教諭は、「成績だけでなく、人格的な面も含めて “すばらしい” と賞される子は、家でダラダラしていることが多い」と指摘しています。脳を効率的に働かせるためにも、ぼーっと過ごす時間は必要不可欠なのです。■子どもの友人関係に口を出す子どもの交友関係を黙って見守ることができず、つい「あの子とはあまり遊ばないほうがいいんじゃない?」などと口を出してしまうのもハイパーペアレンティングと言えるでしょう。さまざまなタイプの人間と関わって、豊かで深い人間関係を築くことよりも、「わが子にいい影響を与えてくれる子」や「付き合うとメリットがある子」を選ぶことを優先するのは、子どもにとって決してよいことではありません。■子どもの失敗を先回りして阻止するハイパーペアレンティングは、言い換えれば「親の過干渉」です。子どもが何か新しいことを始めようとすると、すかさず情報を集めて「でもこれってこういうところが危ないみたいよ」「やってもあまり意味ないんじゃない?」とやる気を削いだり、実際に手を伸ばして転ぶ前に抱き上げたりするのは、過干渉にほかなりません。失敗を経験しないまま大人になると、わが子はどうなってしまうと思いますか?「ハイパーペアレンティング」は、決して子どもを苦しめたり困らせたりしようとしているわけではありません。根底にあるのは「わが子によりよい人生を歩ませたい」「将来苦労させたくない」という親の強い愛情。親であるならば当然そのように考えますよね。しかし、教育評論家の石田勝紀さんは「親の『子どもにこうなってもらいたい』は押しつけである」と断言しています。親と子では、得意なことも苦手なことも、そして価値観も異なります。だからこそ、親は子どもと自分を同一視するのではなく、子ども自身ときちんと向き合い、子どもが大切にしてる価値観を大事にしてあげるべきなのです。ハイパーペアレンティングにならないためにここまで読んで、「もしかしてうちも『ハイパーペアレンティング』予備軍!?」と心配になった親御さんもいるのではないでしょうか。ハイパーペアレンティングにならないために心がけるべきことをまとめたので、ぜひ参考にしてください。濁協医科大学の永井伸一名誉教授は、「頭のよい子ども、自主的に勉強できる子どもに育つかどうかは、中学生までに親がどう関わったか、それによってどのような脳がつくられたかで決まる」と述べています。大事なのは、「遊び」のなかで学習する習慣をつけること。楽しいと感じれば、脳は活性化し、グングン新しいことを学べるのです。逆に面白がれなかったら、何を見ても聞いても知識は深く根付きません。だから、小さい時から塾に入れてしごいたとしても残念ながら本当に頭のいい子は育たないんです。(引用元:現代ビジネス|「子どもをダメにする」親の研究~3000人の聞き取り調査でわかった!)「塾にさえ入れれば勉強ができるようになる」「たくさんの習い事をさせているから大丈夫」と、根拠のない安心感を得るのは危険です。子ども自身が何を学びたいか、何に興味があるのかを見極めて、環境を整えてあげましょう。教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは、「親であるならば『こんな人間に育ってほしい』『子どものときに自分が苦手だったことを得意になってほしい』と願うのは当たり前」としたうえで、親としての究極の願いは「子どもに幸せになってほしい」ということが大前提であると説きます。はたして、親であるみなさんが考える「理想の子ども」は、目の前の我が子とはまったく別の人間になっていないでしょうか。自分が思う理想の子ども像に我が子を当てはめようとして、子どもが「自分らしく自分の強みを生かす」ことを邪魔していないでしょうか。(引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|親の役目は我が子の「自己探求の力」を育むこと。“理想の子ども像”を押し付けてない?)そして最後に、何よりも大事なのは「親自身が自分の人生を楽しむべき」だということ。諸富先生は、親自身が幸せになることで、子どもは「人生は楽しいんだ!」ということを親の生き方を通じて知るといいます。完璧な子育てをする完璧な親になどなる必要はありませんし、なれるはずもありません。そんなことを考えるより、もっと自分の願望に素直に従って、親自身が幸せになり、子どもに「僕も幸せになっていいんだ」「わたしも幸せになっていいんだ」と思わせてあげる。それが子育てにおいてもっとも大切なことです。(引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|完璧な子育てを目指さなくていい。親はもっとわがままに“自分の幸せ”を追求しよう)また、前出の石田さんも、親が子どもの「ネガティブな部分」にばかり意識が向いてしまうのは、「親自身が自分の人生を楽しむことに意識がフォーカスできていないことが背景にある」と述べています。子どもの成績や生活態度ばかりに目が向いて、小言が多くなったり過度に干渉したりするのは、親が自分の人生に不満を抱えているケースが多いのです。まずは親自身が自分の人生を楽しむことができれば、心に余裕が生まれます。そうすれば、ありのままのわが子を愛することができるようになるのではないでしょうか。***『100万人が信頼した脳科学者の絶対に賢い子になる子育てバイブル』(ダイヤモンド社)の著者であるジョン・メディナ氏は、「ハイパー・ペアレンティングは、子どもの知能の発達を妨げる恐れがある」と警鐘を鳴らしています。子どもが子どもらしく、健やかに成長するためにも、過干渉にならないように気をつけたいですね。(参考)PHPのびのび子育て 2020年8月特別増刊号,PHP研究所.STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|完璧な子育てを目指さなくていい。親はもっとわがままに“自分の幸せ”を追求しようCHILD RESEARCH NET|スケジュールをつめ込まれた子供:ハイパー・ペアレンティングは避けるべきプレジデントオンライン|なぜ頭のいい子は家でダラダラユルユルか東洋経済オンライン|子どもを追いつめる、親たちの「願望と正論」現代ビジネス|「子どもをダメにする」親の研究~3000人の聞き取り調査でわかった!STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|親の役目は我が子の「自己探求の力」を育むこと。“理想の子ども像”を押し付けてない?ダイヤモンドオンライン|「期待しない子育て」が脳にとてつもなくいいワケ
2020年08月17日出産レポ第9話睡眠不足のなか、珍しくぐっすり眠ってくれた赤ちゃん。そしてこのあと、「母親失格だ…」と自責の念に駆られる失敗をしてしまったそう。 「本当に何してるんだろう、私……」 「母親失格だ」 「母親としての自覚が足りないからだ」 「私のせいで、息子を危険な目にあわせたんだ……」 病院によって育児の方針はさまざまで、いろいろな考えを持つ方がいらっしゃると思います。しかし、私の産後入院は、このエピソードなしでは語れません。「なんだこの暴走母さんは……。自分も育児には自信が持てないけど、こいつよりはいい育児してるな」と、誰かの明日の活力になれば、それはそれでいいかなとも思います。ちなみに、出産から1年以上経った今でもたまに、私が授乳を忘れたせいで息子がカラカラになっている夢を見ます。 当初、産後入院をつらくしていたのは、母乳育児に縛られすぎた自分の気持ちの面が大きかったのではないかと思っていましたが、今は「産後のメンタルで、わからないことだらけで、こんなに思うようにいかないことばかりだったら、それはつらいよな……」と感じています。 大部屋で、泣いているのがバレないように、声を押し殺して泣いたというきのこの子さん。 一般的に育児用ミルクは3時間の間隔で授乳することをすすめられますが、実際のところ、1回ぐらい授乳間隔が3時間以上あくことはよくあることなんだそうです。(そのような場合、助産師さんがミルクの量や授乳間隔を調整してくれます)。このときは産後のホルモンの影響で感傷的になっていたのかもしれませんね。生まれたばかりの赤ちゃんを育てることの大変さや、心身ともに追い詰められる産後の入院中の環境がいかに過酷か、思い知らされます。 <つづく> 監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター きのこの子
2020年08月14日■ 前回 までのあらすじ<母が語る物語>高校入学した娘が私のことを「厳しすぎる」と反抗する。しかし親は子どもの言いなりではなく、我慢や忍耐が大切だと考える私は…■わが子を成功ルートに乗せたい■他人が建前しか言ってくれないなら親は…高校の部活は、人生で初めて「自分で選んだ」と思えるものでした。しかし、母は3年間、結局最後まで応援してはくれませんでした。【母の意に反して自分の希望をとおす=母にずっと不快な思いをさせていまう】ということを学びました。逆に、今までは【自分の意に反しているけれども、母の意見に従う=母は喜んでくれる】でした。母の気持ちを殺すか、自分の気持ちを殺すか。どちらもつらいものでした。本当なら、自分の選んだものを母にも応援してもらいたい。もしくは、母の選んだものを自分が心から好きになりたい。でも、それはどちらも無理で、お互いが気持ちよく過ごせる環境はこの世に無いということを学びました。どちらかの意見を尊重すれば、どちらかは苦痛を強いられる。それだったら、女手1つで育ててくれた母に苦痛を与えたくない。自分が我慢するべきだったんだ…。部活を自分で選んだことは、私の中で初めてのチャレンジでした。でもそのチャレンジをしたせいで、そんな「自分の気持ちは殺すべき」という考えがより強まっていきました。文:著者(グラハム子)■グラハム子side STORY→次回は8月27日(木)更新予定です。※この物語は私の経験を基に、一部フィクションもまざっております。
2020年08月14日■ 前回 までのあらすじ<母が語る物語>長所が何もない娘が不憫で、高校入学が決まった段階で、整形させることに…。■どうして娘がすることに親が口出しをしてはいけないの?■「親は絶対だ」この価値観こそ正しい「親は威厳あるものだ」「親を敬わなくてはいけない」「最近の親は子どもに嫌われたくないからって、子どもの好き勝手にさせているバカ親が多すぎる」「世の中は思いどおりにいかないことばかりだから、忍耐を養わねばいけない」当時母がよく言っていた言葉です。当時、【個性を伸ばす教育】が流行り始めた時代でした。母はそれを間違っているとよく言っていました。母には【個性なんてなくていい。潰せ】という教育をされ、学校では【個性を伸ばしましょう】という教育を受けました。もちろん世の中にはいろんな価値観があって良いと思いますが、当時の私は『自分の価値観』を自分でまったく信じていませんでした。ずっと母から自分を否定されて育ってきたので、「自分の価値観はすべて間違っている」と思い込んでいました。だから「外で良いとされること」が「良い価値観である」という生き方をしてきたのです。しかしここにきて、外からの価値観が母と学校とでバラバラになってしまい、もう何が正しいのかもわからなくなっていき…。ただただ生きづらかったのを覚えています。文:著者(グラハム子)■グラハム子side STORY→次回は8月14日(金)更新予定です。※この物語は私の経験を基に、一部フィクションもまざっております。
2020年08月13日いつの時代も親は子どもを心配するものですが、少子化が進んでいるいまは、心配性の親が増加していると言われます。子どもを保育園に預けるとき、「ちゃんと園生活を楽しめるかな……」「誰かに迷惑をかけないかな……」と心配する人もいることでしょう。そこで、保育現場で実際に子どもたちの様子を見ているカリスマ保育士・てぃ先生に、心配性のみなさんに向けてメッセージを頂きました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹幼いときから集団生活になじめることが重要ではないお父さんやお母さんはとても心配性です。「うちの子は、園になじめていますか?」「集団生活になじめる子とそうではない子では、どこに違いがあるのでしょう?」なんて質問を受けることもあるほどです。でも、あまり心配しないでください。これはあくまで個人的な考え方になりますが、幼いときからうまく集団生活ができることは、そんなに重要ではないと感じるのです。就学前の幼い子どもが、「みんながやるから、僕もこれをやる」というふうに考えすぎることのほうが、私からすれば心配。むしろ、「みんなはこれをやっているけど、僕は違うことをやりたいんだ!」なんて思う子のほうが、将来はすごい人間になるのではないかとも思っています。親御さんとしては、「集団生活ができずに、先生たちや友だちに迷惑をかける子どもにはなってほしくない」という思いがあるのでしょうね。でも、保育士たちは、子どもに対応するプロフェッショナルです。多少自分勝手で集団生活になじめないような子に対しても、うまく対応するすべはいくらでももっていますから、安心してお子さんを預けてほしいと思います。子どもが暴力をふるったときに有効な「代弁」でも、「そうはいっても、さすがに友だちを叩くなどの暴力をふるうのはまずい」と感じる人は多いでしょう。そういうことが起きた場合の対応法をお伝えします。そもそも、子どもが友だちなど他人を叩くといった行動をするのは、自分の気持ちをうまく表現できないからです。幼い子どもは言語能力が未発達なので、頭のなかでイメージしたり考えていたりすることをうまく言葉にできません。そのため、なにか嫌なことがあったときには、言葉ではなく手が出るということになるのです。そこで必要になるのが、子どもが思っていることを大人が言葉にする「代弁」という作業です。子どもが友だちを叩いた理由を推測し、「おもちゃを取られちゃった?」「なにか嫌なことを言われたの?」というふうにどんどん投げかけるのです。そうして、子どもが友だちを叩くという行為に至った本当の理由を見つけ、「あなたの気持ちはちゃんとわかったから大丈夫だよ」と子どもに共感したうえで、「でも叩いたらだめだよ」と伝えてあげなければなりません。そうでないと、その子からすれば、自分の気持ちをなにひとつ受け止めてもらっていないのに、ただただ「お前が悪い」「手を出すな」と一方的に叱られていることになってしまいます。また、子どもの暴力は、保育園の先生や友だちだけではなく、親に向かうこともあります。そんなとき、たいていの親は「叩いたらだめでしょ!」と、子どもを非難する叱り方をするものです。でも、この叱り方では子どもの心にあまり響きません。子どもたちには、自分を否定されるよりも、相手が嫌な思いをしているとわかることのほうが強く響きます。その相手が、本当は大好きなお父さんやお母さんだったらなおさらです。ですから、もし子どもに叩かれたりかみつかれたりした場合には、「ママ、痛かったよ」「パパ、悲しいな」といった言葉をかけてみてください。きっと、子どもなりに反省してくれるはずです。具体的な質問で、子どもの園生活をイメージするこのような、子どもが園になじめているか、子どもが困った行動をしていないかといったことが気になる親は、子どもが家に帰ってきたときに、園でなにをしていたのかを聞きたがるものです。その質問は、たいてい「今日、なにやったの?」というものでしょう。でも、この質問では子どもはうまく答えることができません。なぜかというと、子どもにとっては質問されている内容が広すぎるからです。そのため、どのことを答えていいのかわからず、結果的に「わからない」「知らない」といった答えを返すことになります。そうではなくて、具体的に質問しましょう。そもそも、質問するからには親には聞きたいことがあるはず。それら聞きたいことの要点を絞って細かく聞くのです。「今日はなにをして遊んだの?」ではまだ広いですね。「今日はブロックで遊んだ?」「おままごとした?」というふうに具体的に聞くべきです。子どもが「おままごとしたよ」と答えたら、「おままごとでどんなことをしたの?」ではなく「お料理したの?」というふうに聞くという具合です。要は、子どもが「イエス」「ノー」でぱっと答えられる質問をするのです。そうすれば、親からしても、子どもの園生活の自分には見えない部分も具体的にイメージすることができるようになると思います。こういった心配性の親は、「100点満点の親」を目指しているのかもしれませんね。満点を目指すから、子どもに関するあらゆることが気になってしまうのでしょう。でも、冷静にまわりを見回してみてください。100点満点の親なんてどこにもいませんよね?100点満点の子どももいません。親も子どもも65点や70点で十分ではないですか?そういう考えが心に余裕をもたせてくれるはずです。そして、なにより親であるみなさん自身の幸せをもっと追求してください。親は、子どもの幸せばかりを願うものです。でも、まず親が笑顔でなければ子どもも笑顔になれません。親が自分の幸せを追求することが、結果的に子どもの幸せにもつながるのではないでしょうか。『保育士てぃ先生のつぶやき日誌 きょう、ほいくえんでね…!!』てぃ先生 著/マガジンハウス(2019)■ カリスマ保育士・てぃ先生 インタビュー記事一覧子どものイヤイヤを減らすコツは、こっそり○○すること【てぃ先生インタビューpart1】子どもが甘えん坊すぎて困るなら、親はシンプルにコレをすればいい【てぃ先生インタビューpart2】「ひとり遊び」に熱中してこそ、友だちとも遊べるようになるワケ【てぃ先生インタビューpart3】園生活の様子が心配なら、子どもにこんな質問をしてみよう【てぃ先生インタビューpart4】【プロフィール】てぃ先生(てぃせんせい)1987年2月8日生まれ。関東の保育園に勤める男性保育士。ちょっと笑えて、かわいらしい子どもの日常をつぶやいたTwitterが好評を博し、フォロワー数は50万人を超える。著書『ほお…、ここがちきゅうのほいくえんか』(KKベストセラーズ)は15万部、Twitter原作の漫画『てぃ先生』(KADOKAWA)は20万部を超えるヒットを記録。他に、『ハンバーガグー!』(ベストセラーズ)、『せんせい!きいて! 園児がくれた魔法のことば』(リクルートホールディングス)などの著書がある。現在は、保育士の専門性を生かし、子育ての楽しさや子どもへの向き合い方などをメディア等で発信。全国での講演活動は年間50本以上。他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」の創設と就任など、保育士の活動分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年07月20日2歳になる息子は保育園に通いだしてからというもの、お友だちに顔や腕などを噛まれてしまい、ケガをして帰ってくることが多くなりました。本人はあまり気にしていないようでしたが、親としてはどうしても心配するものです。そんなときの対策について考えてみました。 息子が噛まれた!保育園に通い始めてからしばらく経ったある日、保育士さんが申し訳なさそうな顔で話しかけてきました。聞いてみると、息子が腕をお友だちに噛まれてしまったとのこと。痛々しく、歯形のあざができていました。痛かっただろうな……と思いました。 でも、もしかすると息子がお友だちが遊んでいたおもちゃを取ってしまったのかもしれない。息子もやり返しているかもしれない。2歳児のすることだし、仕方がない。その日はそんな気持ちで帰りました。 またまた噛まれてしまった…次の週。今度は顔を噛まれていました。その数日後は肩。その数日後は背中。その後も週に1回から2回噛まれることが3カ月ほど続きました。息子本人は噛まれた直後は痛くて泣くようですが、私と会うころには噛まれたことなど忘れている様子。 とはいえ、私がさすがに気になってしまい、なぜ噛まれているのか保育士さんに聞いてみました。すると「お友だちの1人がどうしても〇〇くん(私の息子)が近くにいると気になるようで、突然噛んでしまうんです。なるべく離すようにはしているのですが……」とのことでした。 息子がやり返していないのならよかったという気持ちと、この頻度で噛まれていると保育園を嫌いになってしまうのではという気持ちがわき上がりました。 親としての気持ちを保育園に伝える保育士さんたちは、できるだけのことをしてくれているのだと思います。また、噛んでくるお友だち自身も悪気があるわけではなく、かまってほしいとか、何か嫌なことがあったとか、さまざまな原因でそうしているのだろうと思います。 家族は「どの子に噛まれているんだ!」と相手を特定しようとしました。しかし、噛んでくるお友だちが誰かを知ったところで、「あの子は息子を噛む子」と嫌なイメージがつくだけで、なにもすることはできません。ただ、「噛まれていることを心配に思っている」ということを保育園に伝えることだけはしておきました。 保育園がきちんと対応してくれた!3月初めより、保育園のクラス分けがおこなわれ、今までと違う生活が始まりました。すると、息子がケガをして帰ってくることがなくなったではありませんか! おそらく保育園が、息子を噛んでしまうお友だちとはクラスを分けてくれたのだと思います。 子どもの保育園生活で不安なことがある場合は、園にきちんと伝えることで対応してもらえるのだと安心感が増しました。 今後も子ども同士のトラブルを見つけた場合は、園に相談してみようと思います。どうしても集団生活ではトラブルがつきものですが、息子の気持ちに寄り添いながら、保育園と協力して息子を見守っていきたいなと思いました。 著者:岩谷ともこ2歳男児を持つシングルマザー。社会人をしながら博士号取得中。育児・離婚・資産運用について執筆中。
2020年07月08日長ーい休校休園が終わりましたが、外出はなるべく控えようという段階の今。やりたいことはめっちゃあります。※この記事は、6月前半の体験談を基にしています。■今の気分を一新するためにしたいことまずは自粛をしている今やりたいこと!いやなんかもうハッピーな色に囲まれたいんやろな、私。どうしても感染症の蔓延でできないことが多くて鬱々としてしまうので、色の力でテンション上げたいんですよね。■子どもと外出を思いっきり楽しみたい!次は今後していきたいこと!(感染症が落ち着いたら…)子どもたちが行きたがってるテーマパークや映画館、その他諸々レジャー施設に行きたい!行きたがってるテーマパークは、京都の我が家からだいーぶ東の方にあるんですが、予算的にちょい西の映画のテーマパークでお願いしたい。なんてったって無料券があるのよ。コロナのコの字もない時期にもらったやつ。ね、西の方にしよ?そして観たい映画はイチコも二太郎も大好きなプリ○ュア。最新作が延期になった上、休園休校中に家で過去の映画を観まくってプリ○ュアに大ハマりだった2人(と私)…。歴代のメインキャラもほぼ覚えちゃったんじゃないかな。そうしたらもう親子で行くしかないよね!!あとは水族館に動物園に牧場に博物館に…とにかくレジャーがしたい。家族でちょっと遠出したい。そしてしたいことの最後…何よりコレ!マスクせず、密集してワアワア遊びたいよォ〜!!!幼稚園も小学校も、行事がなくなったり給食が1品減ったり、楽しみが減ってて親は悲しい!(子どもらには黙ってるけど)少しでも早く元の生活に戻るために、引き続き気を引き締めつつ、でも緩めていいところは緩めつつ、ウィズコロナの日々を過ごしていこうと思います。\モチコさんの人気記事が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪
2020年07月06日子どもに対してついつい言いすぎて、「あんなこと言わなくてよかったのに…」と後悔したことはありませんか? もっとも近い存在であるがゆえに、遠慮がなくなってしまいがちな親子関係。そのなかで、時に子どもを傷つけてしまうこともあるかもしれません。今回は、親から子どもへの言葉のかけ方について、考えてみたいと思います。■子どもに言って後悔した言葉ある?アンケートでは、子どもに言って後悔した言葉があるかどうか聞きました。その結果、「ある」、「少しある」と答えた人が合わせて92.4%となり、じつに9割以上の人たちが、子どもにかけた言葉に何かしらの後悔の気持ちを抱いた経験があることがわかりました。Q.子どもに言って後悔した言葉ある?ある 76.5%少しある 15.9%ほとんどない 4.8%ない 2.2%その他 0.6%■後悔の言葉1、子どものことを否定する9割以上のパパやママたちがかけてしまったことのある、後悔の言葉。子どもにどんな言葉をかけて、後悔しているのでしょうか。「娘から『すごい?』って聞かれた時に、『別にすごくない』と答えたことがありました。何で『すごいね』ってほめてあげられなかったのか、たまに思い出します」(栃木県 50代男性)「『何であなたは○○なの?』という言い方。理由なんかないし、これは子どもをもっとも簡単に、かつ強烈に否定する言葉だと気付いたのは育児を始めて何年経っていただろう…」(神奈川県 40代女性)「高校生の娘とかなり激しい言い合いになった時、『あなたと話してると自分がイヤな人間になってくる』と言ってしまったこと。娘は、『そんな事言われたの初めて』と、とても悲しそうな顔をしていました」(神奈川県 50代女性)「宿題も、次の日の準備も、連絡帳の記入も、授業態度も芳しくない息子のチェックにウンザリして、つい『ちっとも頑張らないね』と言ってしまった。息子が目に涙を浮かべながら、私をにらみながら、『オレはいつも、いつも、頑張ってる!』 と、言ってきました。 他の誰に言われても、私だけはこの言葉を言ってはいけなかったと、深く後悔しました」(神奈川県 50代女性)そのほかにも、「『嫌い!』親からは絶対言ってはいけない言葉。この一言で子どもの顔色が変わった」とか、「『なんでこんなこともできないんだ』私でもいまだにできないこと、忘れることもあるのに…」というコメントも寄せられてました。どのコメントを見ても、その時にみずからが発してしまった言葉への後悔の思いが伝わってきます。子どもにとっても、自分自身を否定されるような言葉は、きっとつらい記憶として残っているのかも…と考えると、胸が苦しくなります。■後悔の言葉2、人と比べてしまうまた、「子どもを人と比べてしまって後悔した」という声も集まっていました。「仲のいい友達と比べてしまい、『〇〇くんは〇〇なのに』とか言ってしまうことが多い」(千葉県 40代女性)「『お兄ちゃんは〇〇できるのに、 あなたはどうしてできない!』ですね。子ども、一人一人得意なこと、苦手なことがあるのに、兄弟内で比べてしまった」(愛媛県 40代女性)「野球を始めた長男。つい周りの子と比べて試合での失敗を強めに責めてしまい、今でも後悔しています」(千葉県 30代女性)同級生や兄弟など、子どもの身近にいる人とついつい比べてしまう言い方をしてしまった経験のある人も少なくないかもしれません。筆者も、小学2年生の長男が、自分で始めると決めた水泳の習い事に行くのを嫌がった時、思わず「○○くんは水泳を頑張って続けて、もうクロールができるらしいよ〜」と言ってしまったことがあります。言われた長男は、悔しそうな表情で口を一文字に結んでおり、「あ、しまった」と一瞬で後悔しました。■後悔の言葉3、理不尽な言葉をかけてしまったコメントの中には、理不尽な言い方をしてしまったという後悔の言葉も寄せられていました。「『お兄ちゃんでしょ! お姉ちゃんでしょ! 我慢しなさい!』」(千葉県 40代女性)「娘とケンカになるとつい、『お父さんとソックリだね』と言ってしまい後から後悔してしまいます」(岩手県 50代女性)「仕事との両立に自分に余裕がなくて、話しかける子どもについつい、『うるさい! 待っていなさい!』と連日言ってしまった。泣きながらベッドにうずくまっているのを見て、後悔しました」(神奈川県 50代女性)「自分が子どもの頃親から言われて傷ついた言葉ほど記憶に残っていて。なぜかその言葉を我が子にぶつけてしまったことが大きな後悔です」(奈良県 30代女性)親の方も心に余裕がなくなってくると、きちんとした理由もなく、子どもに対して当たってしまうこともあるのかもしれません。■後悔の言葉4、親の都合を押し付けるさらに、親の都合を子どもに押し付けてしまったと後悔している人も。「子どものやる事なす事に『時間がないからはやくはやく』と水鉄砲のごとく後ろから強引に押し出す感じでやっていました。今思えば気持ちに余裕が全然なかったですね」(千葉県 40代男性)「夕飯の支度中にめずらしく長男が、『あのね、あのね…』って話しかけてきたとき。『あとでね』と言ったが、『さっきの話、何だったの?』と聞いても、『もういいや』とそれきりになってしまった。その時に聞いてほしかったんだなぁ、と反省しきり。子どもに、『あとでね』は二度とないんだと思う」(神奈川県 50代女性)「私自身も体調がすぐれないのと、気持ちがしずんでいる時に、息子が、言うことを聞いてくれなくって、『悪い子はどっかいってしまえ』って言うてしまったことがあります」(大阪府 30代女性)「小さい頃、『遊ぼ!』と言われて仕事で疲れているときは適当な理由で断ったりしていたことを後悔しています。仕事は誰でもできるし代わりなんかいくらでもいるけれど、この子たちの父親は自分だけという当たり前のことが当時はあまり考えませんでした。いろいろと遊んでいたものの、あのかわいい時期にもっと遊んであげればよかったと後悔しています」(神奈川県 50代男性)子どもが親を必要としているタイミングで、時間を取ってあげられなかったことに対して、後悔しているパパやママが多いようですね。どのコメントからも、親の悔いが感じられて、身につまされます。また、今の時期ならではのこんなコメントも。「とくに今の時期、学校がコロナの影響で休校になり、夏休みのロングバージョン。習い事は全部休講、イベントも全部中止、遊べる場所も臨時休業…。行き場のない子どもと狭い家の中で24時間一緒にいると、こちらの精神状態もおかしくなり、ついついヒドイことを言ってしまいます。自分でもどうしたら良いかわからず、助けてほしいです」(神奈川県 40代女性)感染症が拡大している影響で、子どもと家で過ごす時間が増えたことによって、いつもよりもひどいことを言ってしまうという悩みを抱いている人もいるようです。おそらく、同じように感じているパパやママも多いのではないでしょうか。■言ってしまってフォローはどうする?それでは、言葉をかけてしまった後に、パパやママたちはどのようなフォローをしているのでしょうか。「イライラ口うるさく注意してしまい、すやすや寝ている姿に、『ゴメンね』と涙がでます。気持ちに余裕ができたときに『大好きだよ』とギューしたり誉めたりを心がけています」(千葉県 40代女性)「最終的に怒鳴ってしまい、後で反省しています。子どもには、後で冷静になってから、説明したり、謝ったりします」(新潟県 40代女性)「数えきれないくらい、大人の都合でしかって自己嫌悪…。子どもには必ず謝っています。私が子どもの頃、親は絶対に私に謝ることはしなかったけど、私は必ず謝ります」(神奈川県 30代女性)「イライラMAXになるとついつい言っちゃいます。母親だって人間なんだから感情があるのです。『なんでもかんでもワガママ言うのはやめて』って言いました」(福島県 30代女性)フォローする上では、自分自身の気持ちをしっかりと伝えることを大切にしている親が多いように思います。また、言ってしまった言葉に対しては、「ごめん」と謝罪するというコメントも多く見受けられました。■親子のコミュニケーションを円滑に行うために必要なことそれでは、子どもを言葉で傷つけないために、親はどのようなことを心がければいいのでしょうか。▼言葉のかけ方1、言われて嫌なことは言わない「私自身が『長女なんだから』や『女の子なんだから』とよく注意されて嫌だったから、子どもには言わないようにしている」(愛媛県 30代女性)「『怒る』『しかる』『注意する』はすべて違うから、人に言われてイヤなことは自分もイヤという考え。だから後悔するだろうことはまず自分に置き換えるかな」(広島県 40代女性)▼言葉のかけ方2、感情にまかせて話さない「しかるときはなぜしかられるのかを、どうすればしかられないのかはちゃんと説明している」(三重県 40代女性)「イライラしてつい言ってしまったことでも、子どもにとっては一生傷として残る場合もある。人間関係は子どもであっても夫であっても、みんな一緒です。言葉一つで相手を殺してしまうことだって。一つ一つ考えて話しています」(北海道 30代女性)▼言葉のかけ方3、言葉を発する前に一呼吸「怒りに任せて言葉をかけることはないです。イラッときても、『ひと呼吸』が大事ですよね」(鹿児島県 40代男性)「日々気をつけて過ごしていますが、やはり余裕ない時にふと言ってしまうことがあります。余裕がない時こそ、深呼吸して間を置いて気持ちに余裕を持てるといいです」(神奈川県 40代女性)「精神的に余裕がなくなってる時は、感情に流されガツっと言ってしまう時がありますが、最近は、少し深呼吸したり自分に落ち着けって言い聞かせてから言うようにしています」(三重県 40代男性)ここまで、子どもに言って後悔した言葉について、アンケートを元に見てきました。親とは言っても、一人の人間。だからこそ、ついかけたくない言葉をかけてしまうこともあるのだと、気づかされます。最後にこんなコメントもご紹介します。「親だって人間です。完璧じゃありません。子どもと一緒に成長させてもらっていると思っています。感情的に怒ってしまうこともあります。悪いことをしたら、子どもにだって謝ります」(宮城県 40代女性)「親が言い過ぎたと思っている時は、子どもも傷付いていますよね。そう思った時はすぐに謝ります。子育てさせてもらいながら、親も育ててもらっています」(神奈川県 40代女性)最初から完璧な親はなく、ついつい発してしまった言葉に後悔するのは、多くの親が通る道でしょう。でも誤った時には謝れるような関係性を普段から築きたいところ。今回の感染症の拡大では、自宅で家族で過ごす時間が長くなり、いつもよりもコミュニケーションが増えたという家庭も多いかもしれません。筆者も、仕事中に何度も話しかけられ、「ちょっと待ってよ!」とついつい大きな声を出してしまい、子どもの悲しそうな顔を見ては後悔することも。「こんなに長時間一緒にいられる機会なんて、これから先もうないのかもしれない」と思うと、もっと丁寧にコミュニケーションを取ればよかったという気もしています。親が子どもを世話するという関係性から、つい子どもに対しては強く言いすぎてしまいがち。そして怒りの火が点火してしまうと、より傷つける言葉が口から飛び出てしまうことがあります。きつい言葉の心底に、愛情が含まれているから…と考えるのは親の言い訳にしかならないのかもしれません。もしパパママが叱りすぎているなと感じたら、どこかで息抜きしたり、愚痴を聞いてもらうといいかもしれませんね。パパママ自身の気持ちがトゲトゲしていたら、まずはそれを解消する方法を探すことも大事だと思います。だって、子どもを傷つけたいと思っている親はいないはずですから。子どもにつらい顔をさせないよう、そして自分も後悔しないような、温かい言葉がけをしていきたい。そのためにはどうしたらいいのか? パパママが心に少しでも余裕が持てるような工夫も考えながら、子どもとの温もりあるコミュニケーションができるようになるといいですね。Q.子どもに言って後悔した言葉ある?アンケート回答数:4729件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2020年06月14日子どもに対して、「勝手に育ってくれ」なんて思っている親はまずいません。親それぞれに理想の子育てがあるからです。そのため、自分の理想から外れるようなことを子どもがすると、どうしても親子でぶつかりがち。アメリカの臨床心理学者であるトマス・ゴードン博士が、心理学、教育学、発達心理学をベースに開発したコミュニケーション訓練プログラム「親業」のインストラクターである親業訓練協会の瀬川文子さんは、親子間の問題を解決するには「勝負なし法」がベストだと言います。しかも、この方法には子どもの創造性を伸ばすというメリットもあるのだそう。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人親子間における問題の解決法は3種類「親業」においては、親子間における問題を解決するには3つの方法があると考えています。よく使われるのが、親の意見や考えを無理やり子どもに押しつけて従わせる方法です。これをわたしたちは、「第1法」と呼んでいます。一方で、スーパーで子どもに「お菓子が欲しい」と駄々をこねられ仕方なく親が従うということもある。これは、子どもが自分の考えを押し通したケースで、「第2法」と呼ぶものです。これら第1法と第2法には、勝ち負けが存在します。第1法なら親が勝ちで子どもが負け、第2法なら子どもが勝ちで親が負け。これら勝ち負けがある「勝負あり法」は、力技です。力を使われて負けたほうは、勝ったほうに対してもどうしても不満を持ってしまう。そのため、いい関係を築きにくくなります。でも、3つ目の問題解決の方法である「第3法」と呼ぶものは、勝ち負けがない「勝負なし法」です。この方法では、本来、子どもより力を持っている親は、その力を使わずに子どもとの話し合いのテーブルにつきます。いわば、横並びで対等になるわけです。そして、子どもと同じ目線に立ち、互いが納得できる解決策を話し合いながら探していくのです。もちろん、子どもの側も子どもなりに考えて解決策を出します。そのため、互いに不満が残らないのです。「勝負あり法」が子どもの育ちに与える悪影響もちろん、「勝負なし法」で親子間の問題を解決することが信頼関係を強めます。第1法、第2法では、親子のどちらかに不満が残ること以外にも、大きなデメリットがあります。それは、子どもの育ちに悪影響を与えるということ。第1法では、指示命令によって親の言いなりに子どもを育てることになります。そのため、子どもは、「言われたことはやるけど、言われなければやらない」という、いわゆる「指示待ち人間」になってしまうでしょう。これからの時代に大切だとされる、自立心や主体性がまったく育たないということになりかねません。また、第2法の場合には、子どもは常に自分の要求が通るために、すごくわがままで傍若無人に育ってしまう可能性を秘めています。もちろん、その要求を親だけに向けるのではなく、友だちなどまわりの人にもそうするでしょう。それでも、未就学児の頃までならなんとか社会生活ができるかもしれません。でも、小学校に入学したらそうはいかない。先生からは叱られ、友だちには嫌われる……。そうして、不登校になるといったことだって否定できません。さらに、第2法を使い続けると、年齢に応じて要求が大きくなることも問題です。スーパーでお菓子をねだるくらいならまだかわいいものですが、10代も後半となったら、バイクや自動車をねだるといったふうに要求はエスカレートするでしょう。そのときになって「これじゃ駄目だ」と慌てて第1法に変えようものなら、それこそ親子間のバトルが勃発してしまいます。子どもが一生懸命に考えることで、創造性が伸びる一方、「勝負なし法」である第3法の場合には、親子双方に不満が残らないことのほかにもメリットがあります。それは、子どもの創造性が伸びるということ。なぜなら、子どもが自分で「どうしたらこの問題を解決できるんだろう?」と一生懸命に考えるからです。いろいろな経験があるために「こういうケースはこうするべきだろう」と考えがちな親よりも、むしろ子どものほうがよほどおもしろくて自由な解決策を提案するということも珍しくありません。これは親子が衝突したケースではありませんが、かわいらしくて楽しいエピソードをひとつ紹介しましょう。わたしたちが行なっている親業訓練講座(インタビュー第1回参照)を受講したお母さんから聞いたお話です。そのお母さんには3人の子どもがいます。そして、問題となっていたのが、「寝るときにお母さんの隣を3人の子どもが取り合う」ということでした(笑)。子どもは3人なのに、お母さんの隣はふたつしかありませんからね。どうすればいいかと話し合ってみると、子どもたちは、じつにおもしろくて自由な解決策をどんどん提案しました。たとえば、「ひとりはお母さんの上で寝る」とか。それから、「みんなで寝られる大きい布団を買う」という意見も。その子の視点からは、同じ布団に入っていたら隣で寝ているという感覚なんですね。そんな発想は大人にはありません。このケースのように、なにか問題が生じたとしても「勝負なし法」によって子どもの発想を面おもしろがるような姿勢が、親子間の問題解決には大切なのかもしれません。子どものおもしろい発想に親が笑ってしまったら、それこそ衝突どころではありませんからね。『あっ、こう言えばいいのか! ゴードン博士の親になるための16の方法 家族をつなぐコミュニケーション』瀬川文子 著/合同出版(2013)■ 親業訓練協会インストラクター・瀬川文子さん インタビュー記事一覧第1回:子どもが反発ばかり……親子関係の問題を劇的に改善する「双方向」のコミュニケーションとは第2回:繰り返す、言い換える、気持ちを汲む。親の「能動的な聞き方」が、子どもを問題解決に向かわせる第3回:「私メッセージ」の叱り方で子どもが変わる! 親は怒りではなく“第一次感情”に注目して第4回:親子の衝突を解決するには「勝負なし法」がベスト。勝敗を決めるのは、子どもの育ちに悪影響【プロフィール】瀬川文子(せがわ・ふみこ)1954年8月28日生まれ、東京都出身。親業訓練協会シニアインストラクター。1973年、日本航空に客室乗務員172期生として入社。14年間の国際線勤務の後、結婚のために退社。1998年、コミュニケーション訓練のプログラム「親業」の指導員資格を取得。2002年、CAP(子どもへの暴力防止プログラム)スペシャリストの資格を取得。2003年、親業シニアインストラクターの資格を取得。2006年、『ママがおこるとかなしいの』(金の星社)で絵本作家としてデビュー。同年、親業訓練協会インストラクター養成担当となる。2015年、日本アンガーマネジメント協会ファシリテーターの資格を取得。現在は、親業訓練協会の運営に関わりながら、医療、介護、教育の各機関、企業、家庭を対象に、「想いが伝わるコミュニケーション」を軸とした講演会等を全国各地で行うなど活躍の場を広げている。主な著書に、『聞く、話す あなたの心、わたしの気もち いじめない、いじめられない子どものためのコミュニケーション』(元就出版社)、『ほのぼの母業のびのび父業 ゴードン博士に学ぶ 21世紀の家庭へ わかりあえるコミュニケーション訓練』(元就出版社)、『職場に活かすベストコミュニケーション ゴードンメソッドが職場を変える』(日本規格協会)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年06月10日「何度言っても子どもが言うことを聞かない」「いつも同じことで叱っている気がする」――。これはもう、親にとっての「あるある」でしょう。そういうことが起こる原因はどこにあるのでしょうか。アメリカの臨床心理学者であるトマス・ゴードン博士が、心理学、教育学、発達心理学をベースに開発したコミュニケーション訓練プログラム「親業」のインストラクターである親業訓練協会の瀬川文子さんに、対処法と併せて教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカット)「あなた」を主語にした叱り方が子どもの反発を招くNGな叱り方をひとことで言うと、「『あなた』を主語にした叱り方」です。子どもを叱るのは、たいてい子どもの行動に対して親が気に入らないとき。すると、「どうしてそんなことするの!」というふうな表現になります。主語を省略することが多いのが日本語の特徴であるためにわかりづらいかもしれませんが、これは、「(あなたは)どうしてそんなことするの!」と、「あなた」を主語にした叱り方です。「(あなたは)なにやってるの!」「(あなたは)またそんなことして……」も同様。そして、これら「あなた」を主語にした叱り方には、相手を責めるニュアンスが強く含まれます。そのため、責められたほうは言い訳をしたり反発したりしたくなるのです。親からしたら気に入らない行動も、子どもからすれば「親に迷惑をかけてやろう」なんて思ってやっているわけではありません。汚れた靴下を脱ぎっぱなしにしたのもただ忘れてしまっただけとか、おもちゃを片づけないのも夢中になって遊んでいるうちに結果的に散らかってしまっただけということがほとんどでしょう。そこで、「まったくこの子は!」というふうに子どもを責めるのはお門違いです。叱るときは、怒りではなく「第一次感情」に注目そうではなくて、親は「(私が)困っているんだ」ということを丁寧に子どもに伝えていかなければなりません。「私」を主語にした「私メッセージ」で子どもに感情を伝えることが大切なのです。そうすれば、子どもは親の感情をきちんと受け取って、行動を変える可能性が高くなります。でも、親も自分の感情にはなかなか気づけないものです。私たちが行なっている親業訓練講座(インタビュー第1回参照)の受講者のみなさんに、「私メッセージ」をつくる練習のために、親子にありがちなシチュエーションのなかでの自分の感情を挙げてもらうと、「嫌だ」「困る」「イライラする」くらいなもの。普段からそこに注目していないために、自分の感情が見えなくなっているわけです。でも、感情がそんなに単純なものだけであるはずはないですよね?そこで、自分の感情に注目するトレーニングをしましょう。注目してほしいのは、いわゆる「第一次感情」です。子どもを叱るとき、多くの親は先に挙げた3つの感情などを含む「怒り」を感じています。でも、怒りというものは、たいてい別の感情の次に湧いてくるもの。その怒りより先に湧いてくる感情こそが第一次感情です。子どもが遊園地で迷子になったとします。親が最初に感じる感情はなにかといったら、当然「心配」や「不安」でしょう。「どこに行っちゃったんだろう……」と親なら誰もが我が子を心配して不安になる。でも、子どもが無事に見つかったら、最初にどんな言葉をかけるかというと……「(あなたは)なにやってんの!」です。これでは、心配されていたことがわからないまま、怒られたという事実だけが子どもの印象に残ってしまう。つまり、親子間のコミュニケーションにとって好ましくない誤解を生むことになるのです(インタビュー第1回参照)。親の「私メッセージ」が、子どもの「思いやり」も育むもちろん、場合によっては叱らなければならないこともあるでしょう。でも、その前にまずは親の心配や不安といった第一次感情を「私メッセージ」で伝えるほうが効果的です。そうすれば、叱られた子どもに親の気持ちがしっかり伝わり、子どもの反省の度合もまったく違ってきます。それこそ迷子になった子どもが見つかったときであれば、親に「よかった、すごく心配して不安だったのよ」と言われたなら、子どもも「こんなに心配させてしまうんだったら、今度から気をつけよう」と思うでしょう。そのあとのお説教も素直に聞いてくれるはずです。最後に、子どもの行動や言葉が嫌だなと思ったときの、「私メッセージ」の伝え方のコツを紹介しておきます。以下の「3部構成」にすることが効果的です。【「私メッセージ」のコツ】子どもの行動:非難がましくなく、目に見える、耳に聞こえる事実を伝える行動から受ける自分への影響:できるだけ具体的に伝える私の感情:正直に素直に伝えるこの「3部構成」で「私メッセージ」を伝えることにより、子どもは自分の行動が親を困らせたり悲しませたりすることを理解できるようになる。ひいては、他人に対する「思いやり」を育むことにもつながります。そのためにも、「こうしてちょうだいね」という言葉をつけ加えて「4部構成」にしないことです。それでは結局、指示命令になってしまい、子どもの思いやりが自発的に生まれることを阻害することになりますから注意してください。『あっ、こう言えばいいのか! ゴードン博士の親になるための16の方法 家族をつなぐコミュニケーション』瀬川文子 著/合同出版(2013)■ 親業訓練協会インストラクター・瀬川文子さん インタビュー記事一覧第1回:子どもが反発ばかり……親子関係の問題を劇的に改善する「双方向」のコミュニケーションとは第2回:繰り返す、言い換える、気持ちを汲む。親の「能動的な聞き方」が、子どもを問題解決に向かわせる第3回:「私メッセージ」の叱り方で子どもが変わる! 親は怒りではなく“第一次感情”に注目して第4回:親子の衝突を解決するには「勝負なし法」がベスト。勝敗を決めるのは、子どもの育ちに悪影響(※近日公開)【プロフィール】瀬川文子(せがわ・ふみこ)1954年8月28日生まれ、東京都出身。親業訓練協会シニアインストラクター。1973年、日本航空に客室乗務員172期生として入社。14年間の国際線勤務の後、結婚のために退社。1998年、コミュニケーション訓練のプログラム「親業」の指導員資格を取得。2002年、CAP(子どもへの暴力防止プログラム)スペシャリストの資格を取得。2003年、親業シニアインストラクターの資格を取得。2006年、『ママがおこるとかなしいの』(金の星社)で絵本作家としてデビュー。同年、親業訓練協会インストラクター養成担当となる。2015年、日本アンガーマネジメント協会ファシリテーターの資格を取得。現在は、親業訓練協会の運営に関わりながら、医療、介護、教育の各機関、企業、家庭を対象に、「想いが伝わるコミュニケーション」を軸とした講演会等を全国各地で行うなど活躍の場を広げている。主な著書に、『聞く、話す あなたの心、わたしの気もち いじめない、いじめられない子どものためのコミュニケーション』(元就出版社)、『ほのぼの母業のびのび父業 ゴードン博士に学ぶ 21世紀の家庭へ わかりあえるコミュニケーション訓練』(元就出版社)、『職場に活かすベストコミュニケーション ゴードンメソッドが職場を変える』(日本規格協会)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年06月08日Instagramで大人気のゆっぺさんの記事をご紹介します。娘が小学生だったころのお話です。子どものいじめに遭遇し、親として解決に向け、いろいろ試行錯誤した日々を漫画にしました。このお話から何を感じ取るか、受け取り方は三者三様だと思います。広い心でお読みいただけるとうれしいです。異変に気付いたのは、上の子の帰りを公園で待っていたときのことでした。とぼとぼと私の元へ、涙をこらえながらやってきた長女。一体、何があったのでしょうか。次へ続きます。6/6(土)16時公開予定!\人気作家の動画もぜひご覧くださ い!/ 母ちゃ んTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪
2020年06月05日「早く!」「だめ!」――親が子どもについ言ってしまう言葉です。でも、いくらそう声をかけても、子どもは親の思い通りに早く行動してくれませんし、だめなことだと理解してくれたのかもわかりません。いったい、どうすれば子どもに「早く!」「だめ!」と言わずにすむのでしょうか。幼稚園の園長を務めた経験もある、東京家政大学子ども学部教授の岩立京子先生にアドバイスをもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/山本未紗子(インタビューカット)大人と子どもはそれぞれ違う世界に住んでいる「早く!」「だめ!」という言葉を一度も言わないまま子育てをすることは不可能でしょう。なぜなら、大人には大人のリズムがあり、子どもには子どものリズムがあるからです。大人は、社会を中心にして生きていて、子どもは自分の好きなことを中心に生きています。そもそも住んでいる世界が違うために、どうしても両者のリズムがずれてくる。そうして、子どものリズムが自分に合わないと感じると、親はつい「早く!」「だめ!」と言ってしまうのです。もちろん、イライラして子どもをたたくなんてことはご法度です。かつては、そういう子育てがすすめられていたときもありました。子どもがなにかしてはいけないことをした場合、0歳台の子どもなら足の裏を、1歳台の子どもならお尻をぽんとたたくという教育メソッドが存在したのです。でも、たとえ0歳台の子どもでも、親の表情などから言わんとしていることが理解できることがわかってきたため、いまはきちんとコミュニケーションを取ることが重要だと考えられています。そのコミュニケーションとは、ただ「早く!」「だめ!」と言うだけのことではありません。大切なのは、なぜ早くしてほしいのか、なぜだめなのか、その理由を必ず伝えること。なぜなら、子ども自身が納得して「じゃあ、そうしよう」と思えなければ、しつけは成功しないからです(インタビュー第1回参照)。「ニンジン作戦」で子どもを楽しい方向にいざなうしかし、子どもに早くしてほしい理由をどんなにきちんと伝えたところで、時間感覚や価値観が違う世界に住んでいる子どもは、なかなかそうできません。子どもの住む世界は大人とは違うということをしっかり認識したうえで、子どもが早くできるような、だめなことをだめだと理解できるような工夫やお膳立てを、親の側がする必要があります。そのコツは、早くしてほしい理由やだめな理由を子どもに伝える際に、「楽しい方向」に導いてあげるということ。「誰かに怒られるよ」といった内容ではなく、たとえば幼稚園に遅れそうになっている場合なら、「幼稚園に早く行けたらお友だちとたくさん遊べるよ」というふうに、子どもが「じゃあ、早くしよう」と思えるような声かけをするのです。基本的に、ただ「早く!」「だめ!」と言ってもコントロールしにくいのが子どもなのです。でも、「早くしたら楽しいことがある」とか「これをやめたら次にいいことがある」などと思えたら、子どもはきちんと気持ちを切り替えることができます。これは、いわゆるニンジン作戦です。心理学における「強化」の理論をベースに、「子どもに対してニンジンを使うと、その後はずっとニンジンを増やし続けていかなければならない」という考え方も前にはありましたが、いまはそうは考えられていませんし、わたし自身もうまくニンジンを使うことには賛成です。その理由は、子どもの世界を広げるきっかけになるからです。ニンジンをうまく使って子どもを楽しい世界にいざなってあげる。そうすることが、結果的に子どもにとってはプラスに働くはずです。わかりやすいニンジンの例として、甘いジュースやお菓子があります。それらを完全に禁止している家庭もあるでしょう。でも、お菓子を食べたい子どもと食べさせたくない親のあいだでバトルが繰り広げられたら、それこそ親子関係自体が悪くなってしまう。そう考えると、適度にニンジンを使うことはなにも悪いことではないと思うのです。お膳立てで、子どもに「早くしよう!」と思わせる忙しい朝に早く子どもに起きてほしいのなら、朝食だって立派なニンジンになりますよ。ただ「早く起きて!」という言葉をいくらかけても、子どもは大人とは違う世界に住んでいますから、なかなか起きてくれない。そんなことに悩んでいる人も多いでしょう。でも、まだ寝ていたい子どもに対して、「早く!」と言うばかりか、まして「まったくもう!」なんて怒ったところで、子どもが素直に起きてくれるでしょうか?人間には、心理学における反発理論という行動原理が働きます。怒られると、ますます反発しようとするのです。大人だって同じですよね?自分に対して攻撃的な人に対しては反発したくなるでしょう。そこで、子どもの好物をニンジンに使ってみましょう。トーストのにおいを漂わせたり、「今日はあなたが大好きな卵焼きだよ」「焼きたてを食べたほうがおいしいよ」と言ったりして、子どもが「早く起きよう!」と思えるような方向にいざなってあげるのです。そのようにお膳立てをして、「早く!」「だめ!」と言わないですむように考えてみてください。『遊びの中で試行錯誤する子どもと保育者 子どもの「考える力」を育む保育実践』岩立京子 監修/明石書店(2019)■ 東京家政大学子ども学部教授・岩立京子先生 インタビュー記事一覧第1回:イヤイヤ期には“気そらし方略”がうまくいく。3歳の子育てを楽にする、2歳までの「しつけ」のコツ第2回:もう「早く!」なんて言わなくていい。“ニンジン作戦”で子どもを楽しい世界にいざなってあげて第3回:子どもの失敗の機会を奪う「悪い先回り」を今すぐやめて、「いい先回り」をするための工夫とは?(※近日公開)第4回:「しつけもしっかりしたいけど、自主性も育てたい」親のこの考えが“完全に間違っている”理由(※近日公開)【プロフィール】岩立京子(いわたて・きょうこ)1954年生まれ、東京都出身。東京家政大学子ども学部教授。東京学芸大学名誉教授。東京学芸大学教育学部卒業後、同大学大学院教育学研究科修士課程を経て、筑波大学大学院心理学研究科博士課程単位取得退学。筑波大学心理学系技官を経て、1986に東京学芸大学講師となり、1991年に筑波大学で博士(心理学)を取得。その後、東京学芸大学で34年間にわたり保育・幼児教育の専門家養成に関わった後、現職に就く。2014年から2017年まで、東京学芸大学附属幼稚園長を兼任。主な著書に『幼児理解の理論と方法』(光生館)、『保育内容 人間関係』(光生館)、『たのしく学べる乳幼児の心理』(福村出版)、『乳幼児心理学』(北大路書房)、『新幼稚園教育要領の展開』(明治図書出版)、『子どものしつけがわかる本 がまんできる子、やる気のある子を育てる!』(主婦の友社)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年05月29日こんにちは! おにぎり2525です~もうすぐ息子の誕生日なんですが、ちょっと悩んでいるです!■「わが子が欲しいもの」と「親が与えたいもの」悩みの内容は・・・予算もばっちり。買うのにも苦労しないゲーム。息子がほしい物をあげるのは簡単なんですが…もうすぐ息子も小学生ですし、そろそろ自転車に触れさせてあげたい!!あと、長年使えるものを買いたい!ゲームだとすぐ飽きそうだし…でもわたし、思い出したんです。自分が小さい頃のことを… ■やっぱり欲しいものをもらいたかった…親の予算の関係なのか? 「わたしにはそのおもちゃはまだ早い!」という親の判断だったのか?細かいことは覚えていないんですが、私の欲しかったおもちゃは買ってもらえず、実際に親からもらったプレゼントに対して不満を感じたことはよーーーーく覚えています(笑)プレゼントは相手が欲しいものをあげるのが1番ですよね。(わたしみたいにずっと覚えられてるのもね…笑)今年はどんな喜ぶ顔が見れるか楽しみです!!
2020年05月15日子どもは親の姿をよく見ていると言われます。私自身もそうだろうと思っていましたが、実際は想像以上に見られていたことを、ここ最近実感。今回は、そんな娘(おこめちゃん)との育児あるあるをまとめてみました。力強く手を引かれて…ホレてまうやろ~!保育園の帰り道。車が後ろから近づいてきたので、娘に声をかけようとしたら、娘の方から先に「おかあさん、くるまがきたから、みちのはしによって!」と注意をされました。しかも、ぐいっと力強く手まで引かれて。それは毎回、私が娘に言い聞かせていたことで、セリフもそのままです。今までちゃんと聞いているのかなと思うこともしばしばありましたが、彼女の中にきちんと届いていて感動!まさか守ってもらう日が来るなんて…と娘にホレそうになりました(笑)トイトレ効果?優しい提案に涙もホロリ便秘で苦しんでいた私がトイレにこもっていると、覗きにきた娘。心配そうに私に手をのばしながら、「お手々をにぎってあげようか?」と声をかけてくれました。このセリフは娘のトイレトレーニング中、いつも私がかけていたセリフ。トイトレで待っている間、手持ち無沙汰だったのでそう声をかけていたのですが、こんなに心あたたまるものだったとは。頑張ったトイトレに思わぬご褒美をもらった気がしました。そんなところまで見られていたとは今まで娘に伝えてきたことが、きちんと届いていることが目に見えてわかるようになり、感動で胸がいっぱいになることも。子どもが親の姿をよく見てるというのは本当だなと微笑ましく眺めていたら、思わぬ姿を見る羽目に。気の緩んだ自分の姿、子どもを通して見た時の恥ずかしさといったら!実際に自分がしているので注意なんてもちろんできません。孫の手の本当の使い方を教えながら反省しました。子どもは本当によく見ています!(笑)<マンガ・文:ライターちゅん>
2020年05月03日子どもがおもちゃで遊びっぱなしで、どんどん散らかっていくお部屋……。叱ってもなかなか片付けを覚えてくれないと悩んでいる親御さんも多いのではないでしょうか。収納カウンセラーとして数多くのお家の収納を提案してきた飯田久恵先生は、親が収納上手になることで子どもにも片付けの習慣が身についていく実例をたくさん見てきました。さらに、「片付けのできる子は我慢する力があり、思いやりのある子になる」と言います。飯田先生に、親が覚えるべき家の中の収納・片付けの考え方、そして子どもに片付けの習慣を身につけさせる方法をお伺いしました。取材・文 /木原昌子(ハイキックス)写真/児玉大輔(インタビューカット)モノの「指定席」がないと子どもは片付けられない収納カウンセラーは、家の中のすべての持ち物を使いやすく収納する方法や、そのために必要な収納家具などを提案する仕事です。必要なモノだけを使用頻度に合った場所に収納し、すべてのモノの「指定席」を作ってあげる。そして、使ったらそれを戻す場所がある。片付けの習慣作りには、この戻すべき「指定席」を家の中のすべてのモノに決めてあげることが非常に大切です。子どもが片付けられない要因の多くが、この「モノを片付ける場所=指定席」が決まっていないことにあります。子どもが普段使っているおもちゃや道具について、まずは指定席を作ってあげましょう。そして、使ったモノをその場所に戻すことを子どもに約束させます。「おもちゃを入れた箱はいつもここに置いておく」「クレヨンや画用紙はこの棚にしまう」というモノの居場所、指定席を設けるのです。もしかして、この指定席がないまま子どもに「片付けなさい」と言い、散らかった状態に「イライラ」していませんか?子どもでもラクに戻せる指定席を決めてあげれば、片付けの習慣はちゃんと身につくもの。収納カウンセリングの仕事でいろいろなご家庭を見てきましたが、どのご家庭でも収納計画をしっかり作り、モノの「指定席」を決めると、子どものうちに身につけた片付けの習慣が大人になるまでずっと続くのです。収納に関する言葉を整理すると「指定席」が作りやすくなるモノの「指定席」を作る際に、まず言葉の整理をしましょう。片付け、整理、整頓、収納という言葉の違いを、意識したことがありますか?これらを意識しないで行動に出ると、やり直しが出てきたり、無駄な収納用品を買ったりしてしまいます。これらの言葉を以下のように定義してみました。飯田式・収納関連の言葉の定義(一般的な国語辞書の定義とは異なるので飯田式とします)整理:要らないモノを捨てること指定席作り(収納):使用頻度や動線に合わせてモノの定位置を決めること片付け:出したら戻す習慣大切なのは、使うたびに行なう3.片付けがラクにササっとできることです。モノが多すぎると、ササっと戻せる2.指定席作り(収納)がむずかしくなります。そうならないようにするために、仕方なく1.整理が必要になる。指定席が作れるだけのスペースがあれば、無理して捨てることはありません。モノが多くてジャマだなぁと思ったときに整理すればいいのです。では、その指定席をどうやって作ればいいのか?決める要素はふたつ、「置く位置」と「入れ方」です。まず「置く位置」について。たとえば、ランドセルの置き場所が部屋の出入り口から遠いベッドの向こうにあると、回り込むのが面倒で、多分入り口近くに「ドサッ」と置いてしまうでしょう。また、よく使う教科書や参考書が学習机から離れた場所にあると、取りには行きますが、戻すのが面倒で、机の上や床にどんどん置いてしまうかもしれませんね。学習机の前に座ってすぐ取れる位置なら、戻しやすいので戻すでしょう。そう、「置く位置が悪い」と戻すのが面倒になり、散らかる可能性が大きくなるのです。よい置き場所を考えるときは、「これがどこにあると私(子ども)は便利?私(子ども)は嬉しい?」と考えればいいでしょう。次は「入れ方」です。前述のランドセルも教科書も、指定席が扉の中だと、出し入れが面倒ですね。扉がないオープンの収納なら、すぐに出し入れができます。指定席は、動作=アクションがあまりなくても出し入れできるところを選びましょう。毎日使うランドセルやかばんにも指定席を作り、机からもアクセスしやすく配置した例「整頓」という言葉は、2の指定席作りをしたあとに、さらにきれいに見えるように整えることです。人によって「これくらいならきれいだ」と思う基準は違います。これを私は「整然感覚」と名付けているのですが、整頓については自分や家族の感覚に合わせ、快適だと思うレベルでよいでしょう。ブログやインスタグラムなどで、ホテルの部屋のようにキレイにすっきりと収納されている写真をよく見かけますが、そのような美しい部屋にすることが片付けだ、と思わなくていいのです。片付けられないときは「指定席」を見直してみるもし、親がモノの指定席を作っても子どもがなかなか片付けてくれない場合は、置く位置や入れ方・入れ物に問題があるかもしれません。ここで紹介したいのが「収納指数」という考え方です。私は、「片づけが面倒かラクか」を数値で表すことを考えました。モノの出し入れをする際には、使いたいモノがある場所まで歩く、そこで立ち止まってドアを開ける、さらに引き出しやフタなどを開けて取り出す、といった動作を伴います。歩く動作を「歩数」、ドアやフタなどを開ける動作を「アクション数」として数値に置き換え、その2つを足したものを「収納指数」と名付けているのです。つまり、「歩数+アクション数=収納指数」となります。たとえば、テーブルではさみを使うとき、はさみを手にするまでに、椅子から立ち上がり(1アクション)文具の入った棚まで2歩歩き(2歩)引き出しをあけて取り出す(1アクション)という動きが必要だとします。この場合は、はさみを手にするまで「2歩+2アクション」で「収納指数=4」と考えます。もしDMなどを開けるために毎日のようにはさみを使っているとしたら、収納指数が4もあると出し入れが面倒で、はさみがテーブルの上に出しっぱなし、ということになりがちです。そこで、テーブルの近くに文具立てを置き、それにはさみを立てて入れておけば「0歩+0アクション」で「収納指数=0」となるので、使ったはさみをすぐに戻すことができるのです。家の中に「収納指数」が大きいモノがたくさんあると、散らかる原因になります。たまに使うモノならば収納指数は大きくても問題ないかもしれませんが、毎日何度も使うモノであれば、指数が小さいほうが片づけやすくなりますねよね。子どもの片付けも同様に、収納指数をできるだけ減らしてあげると、片付けができるようになります。遊ぶ場所の近くにおもちゃの指定席を作る。棚を開ける動作をひとつでも減らしてあげる。片付けのハードルを下げ、簡単に片付けができるようにしてあげましょう。片付けができる子は思いやりのある子になる片付けができるということは、自分の持っているモノを把握している、ということ。何がどこにあって、今必要なモノがあるかないかをわかっているということです。片付けるという行為により、子どもは自然とモノの管理能力を備えていくことができます。また、モノの置き場所を管理することができると、スペースに限界があることを理解し、これ以上モノが入らないから我慢する、ということも覚えていきます。さらにはモノを大切にして、「散らかすとお母さんがきっと困るはず……」と、人への思いやりの気持ちが育つことにもつながります。***「お友だちのおうちに行ったらすごくきれいでびっくりした」という子どものころの経験は、誰にでも一度はあるのではないでしょうか。子どもは自分の家のことに意外と敏感。「うちはあんまりきれいじゃないから、お友だちを呼べない。でも、それを言うとお母さんを悲しませるかもしれないから言えない」と思っている子もいるかもしれません。家の中の「指定席」作りについて、子どもと一緒に考えてみるのもよいかもしれませんね。次回は、具体的な収納テクニックについて、飯田先生に教えていただきます。『頭のよい子が育つ片づけ術』飯田久恵 著/学陽書房(2009)■ 収納カウンセラー・飯田久恵先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもがモノを散らかしてばかりなのは、親が「○○」を決めていないから。第2回:勉強への集中力、学びへの興味を引き出す「片付けテク」を、収納カウンセラーが伝授!(※近日公開)【プロフィール】飯田久恵(いいだ・ひさえ)収納コンサルティング会社(社)日本収納カウンセラー協会(旧社名「ゆとり工房」)主宰。結婚、子育てを経て、システムキッチンや収納家具の設計に従事。そこでの経験をもとに独自の収納の法則を編み出す。新職種「収納カウンセラー」を確立し、家庭の収納相談や、マンション・ハウスメーカーの、収納設計・提案の仕事を行っている。またテレビや雑誌の仕事、執筆、講演、商品開発などにも携わる。片づけやすさを「収納指数」という数値で表すことを2001年に編み出し、その人にとって、無理しなくても片づけられる、シンプルな収納を目指す。著書に『頭のよい子が育つ片づけ術』(学陽書房)、『家庭も仕事もうまくいく 一流の収納術』(ぱる出版)など多数。近著に『服を1着買ったら、2着捨てなさい』(内外出版社)。
2020年05月03日GW、のんびりしたい親と遊びたい子どもたち。その両方の願いを叶えてくれるオアシスを見つけました…!※この記事は、外出自粛要請前の体験談を基にしています。■親と子のニーズが合わない日には…親にとっても子にとっても、オアシスポイントだった…。足を向けて眠れない。GWといえども、10日も休みがあると何をしていいのかわからない「スキマ時間」があって、親的には「コーヒー飲みながらゆっくりしたいなぁ」なんて思ったりするけど、子どもは「出かけたい!あそびたい!」と、親子で思ってることが真逆だったりして…(汗)。そんなとき、ものすごーく助かったのが「児童センター」でした。行けば大体お友だちが遊んでて、一緒に遊んだり、外にも遊具があって動き回ることができたり、夕方頃にお友だちが帰宅しはじめると、残った子たちが支援員さんと一緒にお掃除のお手伝いをしたり、学ぶことも多いです。長期休みはこういう施設で働いてくれる方々がいるからこそ、助かってるなぁ、ありがたいなぁと感謝しながら過ごしました(涙)。お給料アップしてあげてぇ~!※同じ「児童センター」といえども、地域や施設ごとに休日は違うと思うので、行かれる際は調べてみてくださいね。
2020年05月02日「ヘリコプターペアレント」というとちょっと耳慣れないかもしれませんが、空からつねに子どもを監視しているような親――つまり「過干渉」の親のことです。親がヘリコプターペアレントだと、子どもにどんな影響があるのでしょうか?欧米で学んだ心理学を子育てに生かし、母親たちをサポートしている公認心理師の佐藤めぐみさんに、ヘリコプターペアレントにならないための方法と併せて教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹「しっかり者」の親に多い「ヘリコプターペアレント」「ヘリコプターペアレント」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは本来、高校生や大学生くらいの年代の親のうち、ある特徴を持つ人たちに対して使われていた言葉です。「子どもの就活の面接に同行する親がいる」といった話を聞いたことがありませんか?そういう親が、あたかも子どもの頭上でホバリングしながら監視しているようだとして、ヘリコプターペアレントというふうに呼ばれるようになったのです。干渉し過ぎる親のもとで育った子は、のちのち社会に出てからもさまざまな問題を抱える傾向があります。子どもの頃から、なにをするにも「○○くんはこれが好きだよね」「これがいいよね」というふうに、一見意見を尊重しているようで結果的には親が一方的に決めてレールを敷いてしまうため、その子は大人になっても自分の意見を持てないというのはよくあるケースです。いわゆる、「指示待ち人間」になってしまうのです。さらには、打たれ弱いということもその特徴として挙げられます。親が自分のことを過剰なまでに守ってくれ、困難にぶつかる前に手を差し伸べてくれるために、つまずいたり壁にぶつかったりする経験が乏しいまま大人になってしまいます。でも、社会に出れば、親につねに守ってもらうというわけにはいきません。当然、さまざまな失敗を重ねることになります。すると、失敗に対する耐性が弱いために、一度の失敗で心に大きな傷を負ってしまうのです。子どもをそんなふうに育ててしまうヘリコプターペアレントには、心配性であることの他、少し意外かもしれませんが「しっかり者」の人が多いという特徴があります。しっかり者で管理上手だからこそ、子どもに対しても「なにごともうまくやってほしい」と考え、「我が子にはこれがいいんだ」と、子どもにかかわるあらゆることを決めてしまうのです。幼い子どもに対しては、ある程度の干渉が必要ただ誤解してほしくないのは、ヘリコプターペアレントは、あくまでも「高校生や大学生くらいの年代の親」に対しての呼び名だということ。それが、現在はもっと年齢が低い子どもの親に対していわれるようになってきているのですが、幼い子どもに対しては、もちろん親が管理したり干渉したりすることも必要です。なんでも子ども任せで、ただ放置しておけばいいというわけではありませんよね。幼い子どもが外で遊んでいるときには、親はきちんとそばで見守る必要があります。子ども自身や友だちが危険な遊びをしようとしているようなら、親がしっかり止めるべきです。ですが、多くの親御さんとかかわるなかで、わたしが「ヘリコプターペアレント“予備軍”かもしれないな」と感じる人がいるのも事実です。ですから、みなさんには「自分はヘリコプターペアレント予備軍になっていないか」ということを考えてほしいと思います。そうならないために大切なのは、子どもをひとりの人間として尊重することです。「質問をする」「相談をする」「意見を聞く」ということがとても大事になります。先にお伝えしたように、ヘリコプターペアレントは、子どもの日常に過度に干渉するため、その子の決断や判断の機会を失わせてしまうという特徴があります。そうではなく、子どもにかかわることは、まずは子どもにどうしたいかを聞いてほしいと思います。習い事や塾などの重要なことはもちろんですが、なにを食べたいか、なにを着たいか、なにで遊びたいか、そういう日常的なことでも自発的に考える練習になります。そういったことが、子どもの決断力を育むことになり、指示待ち人間ではなく、しっかりした自分の意見を持てる人間に育てるために大切です。子どもの成長に欠かせない、「悔しい」という負の感情また、子どもの「負の感情」を悪いものだと考えないことも重要です。負の感情とは、悔しいとか悲しい、寂しいといった気持ちのことです。もちろん、「友だちにいじめられて悲しい」だとか「お父さん、お母さんとあまり一緒にいられなくて寂しい」といった気持ちを子どもに味わわせることは、親として避けなければなりません。その一方、悔しい気持ちは子どもの成長に欠かせないものでもあります。たとえば、子どもが習い事やスポーツで他の子どもに負けて悔しい思いをしたとしましょう。その悔しい気持ちがあるから、その子は「今度は負けないようにもっと頑張ろう!」と努力をすることができます。その気持ちが、子どもにとってどれだけ大きな成長をもたらしてくれるかは、あらためて考えるまでもないでしょう。ところが、ヘリコプターペアレント予備軍の親たちは、そんな大事な悔しい気持ちすら、「子どもがかわいそうだ」と感じ、手を出したり、代わりにやってあげたりと干渉してしまいます。親の役割として大事なのは、子どもが嫌な思いをしないように先回りして解除することではなく、チャレンジをして悔しい思いをしたときに、「悔しかったね」と、子どもの気持ちに寄り添い、次に進めるように励ましてあげることです。そうすることで、失敗が成長のチャンスになっていくのです。先の「子どもに質問をする、相談をする、意見を聞く」ということにも通じますが、子どもが経験すべきことを親が奪うのではなく、子どもの本当の気持ちをしっかりと見つめることを大切にしてほしいと思います。『子育て心理学のプロが教える 輝くママの習慣』佐藤めぐみ 著/あさ出版(2012)■ 公認心理師・佐藤めぐみさん インタビュー記事一覧第1回:「登園時、毎朝大泣き」問題は、親がコレをしてあげると解決できる!第2回:子どもの「泣き落とし」を収めるテクニック。コツは“ルール作り”にあり第3回:子どもは「甘やかす」より「甘えさせる」!甘えさせてもらえない子は将来こうなる第4回:「過干渉、ヘリコプターペアレント予備軍」親の意外な特徴。もしかしてあなたも?【プロフィール】佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)1969年生まれ、東京都出身。公認心理師。オランダ心理学会認定心理士。イギリス・レスター大学大学院修士号取得。欧米で学んだ心理学を日本のお母さんが取り入れやすいかたちにしたポジティブ育児メソッドを考案。現在は公認心理師として、ポジティブ育児研究所でのオンライン子育て心理学講座、育児相談室ポジカフェでのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動等を通じ、子育て心理学を活用した育児支援を行っている。HP:megumi-sato.com【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年04月20日編集部:学研キッズネット編集部2020年4月14日(火)から、フマキラー PLAY ACTIVE!「親バカ新聞」キャンペーンがスタートした。キャンペーンでは、子どもの成長を「新聞記事」風に簡単に自動加工することができる「親バカ新聞」ジェネレーターを公開。はじめての体験やチャレンジに成功した場面など、子どものなにげない成長の瞬間を「新聞記事」風の画像にして記録として残すことができます。また選ばれた4名分の投稿は、実際に「朝日新聞」の新聞広告として掲載する予定となっている。子どものなにげない成長の瞬間を“一大スクープ”に!作り方は、新聞の向き(縦型/横型)と色(全5色)を選んで、子どもの名前を入力し、写真・見出しを決めるだけ。あとは画像をダウンロードするだけで家族の思い出に残ること間違いなしの、世界にたったひとつの「新聞記事」に。さらにできあがった新聞には「PLAY ACTIVE!」のプロジェクト大使である、ももクロメンバーからの応援コメントをランダムに掲載。応援コメントはなんと196種類! コメントは毎回変わるため、新聞をつくるたびにメンバーからのコメントを楽しむことができます。また、記事にコメントをするメンバーは、選んだ新聞の色によって変化します(黒=ランダム、赤・桃・黄・紫=メンバーカラーごと)。ジェネレーターは2020年4月14日(火)~8月31日(月)の期間中、何度でも無料で利用することが可能。子どもがアクティブに頑張る姿は、家族にとっての“一大スクープ”。お子様の成長する姿をももいろクローバーZのメンバーと一緒に応援し、「新聞記事」として家族の思い出を残してみてはどうだろうか。子どもの活躍が、ホンモノの「朝日新聞」に掲載されるチャンスも!?「親バカ新聞」ジェネレーターで新聞画像を作成した後、SNSアカウント(フマキラー公式Twitterまたはキャンペーン専用Instagram)をフォローした上で、「#親バカ新聞」のハッシュタグをつけ、ジェネレーターでつくった画像をSNSで投稿するだけで応募完了。選ばれた4名分の投稿を、実際に「朝日新聞」の新聞広告として掲載。お子様が成長した瞬間を、全国紙で紹介できる貴重なチャンスです。また、新聞の広告記事には、キャンペーン投稿全体に対するももいろクローバーZからの総評コメントも掲載予定だ。◆キャンペーン概要・キャンペーン名:フマキラー PLAY ACTIVE!「親バカ新聞」キャンペーン・キャンペーン期間:2020年4月14日(火)~6月30日(火)・キャンペーン応募方法:<STEP1>キャンペーン特設サイトのジェネレーターで「親バカ新聞」画像を作成<STEP2>フマキラー公式Twitter(@fumakilla_jp)またはキャンペーン専用Instagram(@fumakilla_oyabaka)をフォロー<STEP3>TwitterまたはInstagramにハッシュタグ「#親バカ新聞」をつけて投稿・当選通知方法:TwitterまたはInstagramのダイレクトメッセージにてご連絡・キャンペーン賞品:「朝日新聞」紙面上の広告内への掲載(4名様/8月上旬の掲載を予定)※新聞画像を作成するジェネレーターは8月31日(月)までご利用いただけます。*新聞への掲載タイミングは、変更になる場合があります。*キャンペーンに応募する際は、特設サイト内の応募規約をご覧のうえ、ご参加ください。【キャンペーン特設ページ】◆ももいろクローバーZプロフィール百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れにの4人によるガールズユニット。次世代の新人プロジェクトとして2008年春に結成。ストリートライブを出発点に活動を開始し、2009年8月に「いま、会えるアイドル」というキャッチフレーズのもとシングル「ももいろパンチ」でインディーズデビュー。2010年5月に「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビュー。メンバーの身体能力を活かしたアクロバティックなダンスやバラエティタレント顔負けのトークによってライブ会場を盛り上げ、次第に個性的なグループとして頭角を現すようになっていく。2014年3月には女性グループ初&史上最速結成6年で、国立競技場でワンマンライブを開催。2日間で会場111,000人とライブビューイング40,000人、合わせて150,000人を動員。さらに7月には日産スタジアム2DAYSライブを開催。また、2016年には初の五大ドームツアーを開催。結成10周年を迎えた2018年には、初のベストアルバムをリリース。5月には初の東京ドーム単独公演2DAYSライブを開催した。「PLAY ACTIVE!」プロジェクトについてフマキラーでは、ちびっこアスリート応援プロジェクト「PLAY ACTIVE!」を通じて、これからも虫にも負けず夢に向かってアクティブに生きる子どもたちを応援していく。※遊ぶ時は、手洗いやうがいを心がけましょう。◆フマキラーの姿勢について「ひとの命を守る」ことを経営理念に掲げており、人々の命や健康を守るために、日々研究を続けています。フマキラーでは、ウイルスの不活性化に関する製品の研究開発にも企業として取り組んでいます。毎日のウイルス対策をしっかりして、キャンペーンに参加しましょう。■「学研キッズネットFor Parents」のニュース一覧はコチラ■学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2020年04月14日子どもの成長は、親にとってとてもうれしい半面、時に寂しさをもたらすものでもありますよね。「子離れ」は、パパやママたちにとって大きなハードルとなる場合もあるかもしれません。今回は、そんな「子どもの成長」に対する親の向きあい方について、アンケートをもとに考えてみたいと思います。■「子どもの成長」による寂しさを感じている親は?アンケートでは、子どもの成長で寂しさを感じたことがあるか聞きました。その結果、「ある」、「少しある」と答えた人が83%となり、8割以上の人たちが子どもの成長に寂しさを感じたことがあるとわかりました。Q.お子さんの成長で寂しさを感じたことある?ある 52.4%少しある 30.6%ほとんどない 11.5%ない 5.2%その他 0.3%■寂しさを感じる瞬間1、手をつながなくなったときまず、どのようなときに親が「寂しい」と感じるのか、コメントをもとに見ていきましょう。「小1のとき、買い物中いつものように手をつないでいたら同級生の子が見え、手を振り払われました」(埼玉県 30代女性)「小学6年生までは手をつないできて、 私の手を下の子と取り合いしてたのに 中学に入学した途端に手をつないでくれなくなりました…。寂しい」(佐賀県 40代女性)「『ママ~!』と言って泣いていた息子が懐かしいです。 抱きついてくることもなくなり、言葉や態度がだんだんと男っぽくなりつつ、寂しい限りです」(福島県 40代女性)「どこに行くにも手をつないで歩いていたのが、いつの間にか一人でどこでも行くようになっていました。 寂しくもありうれしくもあり、ちょっと複雑です」(神奈川県 40代男性)成長にともない、手をつないだりするスキンシップを嫌がるようになることは、自分自身に置き換えてもわかります。それでもその行動は、親にとって寂しさを感じるものですね。■寂しさを感じる瞬間2、“ひとりで”できるとき子どもが小さいうちは、親が助けてあげるシーンが生活におけるさまざまなところで起こります。そうした行動を一人でできるようになったときに、寂しさを感じているママやパパももいるようです。「着替えが一人でできるようになったり、一人でご飯を食べられるようになっったりとうれしい半面、『ママの手助けは少しずついらなくなるのかなぁ』とさみしいと思ってしまいます」(広島県 30代女性)「座布団に収まって寝ていた新生児期から早7年。1つのベッドで寝ていた娘がとうとう一人で寝るようになりました。布団からはみ出る足を見て、大きくなったなぁとうれしくもあり、寂しい気持ちにもなりました」(神奈川県 30代女性)「娘は6年生になった途端、風呂に一緒に入らなくなりました。『成長だよね?』と話していましたが、しばらくは寂しさもありました」(千葉県 40代男性)「習い事で毎週歩いて一緒に行ってたのですが、ある日『1人で行けるから大丈夫だよ!』と 言われたとき寂しかったのと成長したなと複雑な思いでした」(宮崎県 20代女性)子どもが生まれてすぐ、衣食住に関する何もかもに手を差し伸べる状態となり、親としても手伝ってあげることが当たり前となっていきます。しかし、子どもによって個人差はあるにせよ、いつかは一人でできるようになるため、その日が突然訪れると「寂しい」と感じるのは無理もない気がします。■寂しさを感じる瞬間2、子どもの世界が広がるときさらに、家族よりも友だちとの約束を優先するなどの行動によってさみしさを感じている親もいるようです。「休日、朝から暗くなるまで友だちとの遊びに夢中な小6の息子。『家族でどこか出かけよう』と誘っても、面倒くさがられてしまいます。順調な成長、『遊んでくれる仲間がいて幸せだね~』と思いつつ、ちょっと寂しい気もします」(神奈川県 40代女性)「親と遊ぶのが当たり前だったのに、小学校に上がったら子ども自身でお友だちと遊ぶ約束を取り付けてくるようになった。親離れが始まっているなぁと寂しくなりますね」(神奈川県 30代女性)「入園前まで、息子にとってはママと一緒に過ごす時間が一番幸せな時間だと感じてくれていたのが、いまは『お友だちのおうちに行きたい』と行ったり、休みの日でもお友だちのことを思い出したりしています。息子の世界がどんどん広がって、”家庭”という小さな世界から外に目を向けているのを感じると、成長はうれしいけど、何だか寂しくも感じます」(滋賀県 30代女性)保育園や幼稚園に行き始めると、それまで家庭だけだった子どもの居場所が新しく増えることに。小さいうちは、子ども同士が遊ぶ時でも親は一緒でしたが、これも学校に通い始めるくらいの年齢になると、子ども同士だけの関係性が増えていきます。子どもだけの世界はより広がっていき、最終的には自立していく…。親としては最大にうれしいことであり、もっとも寂しさを感じるときなのかもしれません。■寂しさを感じる瞬間4、節目の行事さらに卒園式や入学式などの節目の時に寂しさを感じるという声は、多く寄せられていました。「長男が中学生になっての初めての授業参観で、校内で会った時にそっぽ向いて無視されたときに、学校内で呼んではいけないと思いました」(神奈川県 30代女性)「ピアノを習っています。 足台の調整を徐々に替える瞬間や、発表会やコンクール、オーディションの舞台で堂々としていく姿をみるとうれしい半面、寂しくて。なんだか私の手が届かない所にいってしまう感じの、なんとも言えない気持ちになります」(神奈川県 40代女性)「今年の春、卒園式で卒園証を代表で受け取る我が子の姿。緊張しながらも立派にやり遂げ、はにかんだ顔が忘れられません。小さく産まれて他の子より何でも一番最後だったのに、大きくなったなぁ。うれしく思うと同時に、その姿がまぶしくて寂しかった」(宮城県 40代女性)思わずその情景が頭に思い描けてしまうような、もらい泣きをしてしまいそうなエピソードが多く寄せられていました。たしかに、行事で見かける子どもの姿はいつも以上に成長して見えるものですよね。筆者自身も、幼稚園の卒園式で見かけた長男がとてもたくましく見えて、入園した頃の小さかった姿を思い出しながら、胸に迫るものがあったことを思い出します。■寂しさを感じる瞬間5、身体の成長そして、物理的に体のサイズが大きくなったことに対して、成長を感じて寂しくなるという意見も寄せられていました。「重くて抱き上げることができなくなったこと。喜ぶべきことではあるけれど、寂しく思います」(神奈川県 40代女性)「抱っこもできなくなりましたし、小さい頃の写真や昔着ていた服などを見るたびに、『あの頃はかわいかったな』と感じます」(福島県 30代女性)「私より背が高くなり、服のサイズも私より大きくなった時ですね。 成長がうれしいし、反面寂しさも感じます」(愛媛県 40代女性)「久しぶりに手をつないだら、背が大きくなっていた時。片手で抱っこできないほど重くなっていた時。まだ小学生だけど、もう小さい時には戻れないんなだなぁとしんみりする」(千葉県 30代女性)確かに体が大きくなってくると、抱っこすらできなくなってきて、子どもの成長をあらためて感じることがありますよね。■成長は寂しさではなく「宝物」一方で、子どもの成長に寂しさは感じないという声も一定数寄せられていました。「甘え下手なクール男子だからか、自分の性分なのか、一つ一つの成長が喜びではあったけど、寂しくはないなあ。ああ、これでまた自分でできる事が増えてうれしいな、親はまた一つ楽になるなみたいな」(三重県 30代女性)「さまざまなイベントを迎えるたびに、『ここまで育ってくれてありがとう! 母としての経験をさせてくれてありがとう!』という思いはありますが、寂しくはないですね」(神奈川県 40代女性)「『成長したなぁ』と感じる瞬間が子育てにおいての宝物」という言葉もあり、胸にグッときます。たしかに、成長は寂しく感じるだけのものではなく、子育てを頑張ってきたからこそもらえる「宝物」だと言えそうです。■子どもの自立のために「今」できること最後に、子どもの成長に関して寄せられたコメントをいくつかご紹介したいと思います。「成長がうれしくもあり、それと同時に子どもにしてあげられることが少なくなっていると日々感じます。子どもが小さい頃は、子育てに余裕がなく毎日大変だと思っていましたが、子どもたちが大きくなった今は、そんな忙しい日々を懐かしく思います」(三重県 40代女性)「今はまだ『ママ~見て~!』ってうるさいけど、だんだんと減っていくんだろうなと思うと寂しいですね。世の子どもが巣立ったお母さんは寂しさを飲み込んで送り出したんだなと思うと偉大ですね」(北海道 30代女性)「1人で寝るようになった時。1人でお風呂に入れるようになった時。1人でバス、電車に乗れるようになった時。1人で自分の生き方を決め1人で玄関を出て行く後ろ姿を見た時。どのお父さんもお母さんも、お子さんの成長を楽しみ喜びながらもどこか寂しさを感じていらっしゃるんでしょうかね」(三重県 50代女性)ここまで、子どもの成長で感じる寂しさについて考えてきました。多くのママ、パパたちが子どもの成長をうれしく思う一方で、寂しさを感じていることがわかります。子どもの成長にともなって、親の出番はどんどん減っていきます。親の手を借りずに一人でできることが増える、家庭よりも大切な子どもだけの居場所ができる、そしてついには独り立ちするなど、子どもは一人で生きていくためのステップを一つずつ登っていきます。子どもが安心してそのステップを登れるように背中を押してあげることも、親にしかできない大切な役割のように思えます。そしておそらく子どもが自立して初めて、それまでの子どもとの時間が貴重な物だったと、強く実感するのではないでしょうか。いま、家で過ごす時間が増えて、あらためて子どもと向き合う家庭も多くあるかと思います。これまでの忙しい時間で気がつかなかった子どもの成長、さらには子どもの考えに触れる機会ともいえるかもしれません。久しぶりに一緒に歩いてみたり、ときにはケンカしたりしながらも、一緒にいられる時間を大切に過ごせたらと思います。Q.お子さんの成長で寂しさを感じたことある?アンケート回答数:4573件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2020年04月12日わたしたちは、無意識のうちに多くの「思い込み」を抱えて生きています。その思い込みが、子どもが勉強で成果を出すにあたって支障になっていたとしたら?親であれば、子どものためにもそんな思い込みは払拭したいものです。算数に特化した学習塾「RISU」の代表である今木智隆先生が、算数を中心とした勉強に関する思い込みを教えてくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)算数が得意な子どもの男女比はほぼ5対5「男性は理系教科が得意で、女性は文系教科が得意」。みなさんのなかにもそう思っている人が多いはずです。でも、これはまさに思い込み。算数が得意な子どもの男女比は、ほぼ5対5という数字があるのです。わたしが収集した10億件ものデータによる結果なので、間違いありません。でも、理系の大学院に進むような人には男性が多いというのは事実です。ただ、これは単純に環境によるものではないでしょうか。わたしも京都大学の大学院に行きましたが、理系の大学院は女性に優しい環境だとはとてもいえないからです。いまなら綺麗になっているところも多いかもしれませんが、伝統的に男社会である理系の大学院の多くは、やはり汚いし臭いし……(苦笑)。研究に追われて泊まり込むというようなことになれば、仮眠室なんてものもありませんから、並べたふたつの椅子のうえに寝るようなこともふつうにある。そんなところを女性が敬遠するのはあたりまえのことでしょう。そういうことの積み重ねが、「男性は理系教科が得意で、女性は文系教科が得意」という思い込みを多くの人に持たせてしまっているのだと思います。また、親によるミスリードも「男性は理系教科が得意で、女性は文系教科が得意」という風潮をつくっている要因のひとつでしょう。父親よりも家庭教育を担うことが多く、得手不得手が遺伝すると思い込んでいるような母親が、子どもの頃に算数が苦手だったというケースがそれにあたります。「わたしは算数が苦手だったから、同性の娘も苦手にちがいない」というわけです。でも、子どもにそう思い込ませることほどもったいないことはありません。もしかしたら、母親には発現していない算数の才能をその子は持っているかもしれないのですからね。子どもは親とはまったくの別人格なのですから、親の体験を子どもに投影しないようにしてほしいものです。テストの85点はいい点?悪い点?また、思い込みという点では、テストの点数の解釈にも注意が必要です。たとえば、子どもが算数のテストで85点を取ってきたとしたら、みなさんはどんな印象を受けるでしょうか?100点ではありませんが、「8割以上はできているし、問題ない」と思う人も多いはずです。ところが、その内容によっては大いに問題であるという場合もあるのです。たとえば、配点はすべて5点の20個の問題のうち、ケアレスミスで計算問題だけを3つ間違ったケースと、3つの文章題すべてを間違ったケースではどうでしょう?前者は、学習内容はきちんと理解できていて、今後はケアレスミスにだけ注意すればいいということ。一方、後者の場合、計算はできても、文章題を解釈して式を立てる能力がまったく足りないということになる。深刻度でいえば、後者は前者の何倍にもなるでしょう。つまり、点数そのものではなく、どういうミスをしたのかというところにきちんと着目し、理解すべき大切な内容が抜け落ちたまま先に進むことがないよう注意する必要があるのです。そうしなければ、算数の場合は、「積み上げ型」という教科の特性があるため、その抜け落ちた内容がネックとなって、のちのちに大きな壁にぶつかることになります(インタビュー第1回参照)。親の謙遜と、子どもへのご褒美の条件に要注意ここからお伝えすることは、算数に限った話ではありません。でも、子どもが勉強でしっかり成果を出していけるようにするため、ぜひみなさんには心にとめておいてほしいことです。ひとつは、親の謙遜に注意してほしいということ。ママ友との会話のなかで、「うちの子なんて、算数が全然駄目で……」なんてことを口にしていませんか?じつに謙虚な日本人らしい言葉です。ただ、謙虚であることがいいというのは、このケースにはあてはまらず、ただの思い込みといえます。もし、その言葉を当の子どものまえでいっていたとしたどうでしょう?子どもは大人ほど言葉の裏にある文脈を読めませんから、字面どおりに親の言葉を受け取ります。子どもは、「僕は駄目な子で、お母さんにも期待されていないんだ……」と思ってしまう。すると、「駄目な子なんだから、できなくていい」という論法が成立し、勉強しない理由を子どもにつくらせることになってしまうのです。子どもの勉強に対するモチベーションを上げるためにも、やはり褒めてあげることを大切にしてください。もうひとつは、ご褒美のあげ方についての注意点です。ご褒美によって子どもの勉強に対するやる気を出させること自体が間違いだというわけではありません。ただ、ご褒美をあげる条件の内容には注意が必要。たとえば、「宿題が終わったらゲームをしていいよ」。この場合、たとえば計算ドリルで全問間違ったとしても、とにかく全問やればいいということになりますから、宿題をする意味がまったくありません。「勉強を1時間したら……」でも同様です。勉強の内容は問いませんから、極端な話、机に向かっていたらいいということになります。ではどんな条件がいいのかというと、たとえば、「宿題をやって採点をして全部正解になったら……」ならどうでしょうか。これなら自己採点の習慣もつきますし、内容の理解も進みます。ご褒美の条件次第で、子どもの勉強は意味のある時間にもなれば、まったく意味のない時間にもなる。その点を意識して、ご褒美の条件を考えてみてほしいと思います。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』今木智隆 著/文響社(2019)■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題(※近日公開)第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法(※近日公開)【プロフィール】今木智隆(いまき・ともたか)RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年04月09日はじめにーー最近の研究と活動私は東京成徳大学で心理学を教え、特に学校心理学を研究しています。子どもの自立を促進する・促進しにくい親と子の関わり方の法則・「親と子が幸せになるXとYの法則」を発見し、教師と親が一体となって子どもを援助する“チーム援助”を提唱しています。子どもの気持ちを代弁しながら心理学研究の経験をもとに分かりやすく伝えられるようカウンセリング教育に携わり、“チーム援助”は広く学校現場で実践され始めています。最近では、LD、ADHD等の当事者団体の協力を得て援助方法を研究したり、夜尿症とADHDの疫学調査を学校と協働しながら行っています。小学生になっても続いたら治療の対象に?「おねしょ」というと皆さまはどのようなイメージをお持ちでしょうか。小学生になってもおねしょが続く場合に「おねしょは病気じゃない。子どもが根性を出せば治る」「親のしつけが悪いから治らない」など、このようなイメージをお持ちの方が少なからずいらっしゃると思います。これは間違いです。しかし、「おねしょは小学校を境に夜尿症ととらえられ治療の対象となる」ということを知っていらっしゃる方は少ないと思います。さらに、おねしょは発達障害のあるお子さんにはかなり高確率でみられるということもあまり知られていないことと思います。そこで今回は、おねしょについて理解を深めていただき「おねしょの知識を得ることで気持ちが軽くなり、何をどうしたらいいのか分かる」ことを目指してお伝えしたいと思います。おねしょで悩んでいらっしゃるお子さまやご家族の皆さまはもちろんですが、学校の先生方やスクールカウンセラーなど援助者の方々にもお役に立てたら幸いです。注意:このコンテンツは皆さま方への情報提供のみを目的とするものです。一般的な事項であり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。また、医学的状態やその治療に関する情報が一部記載されていますが、それらの情報は、医師の治療アドバイスの代わりになるものではありません。現在お困りの事象がある場合は、すみやかに病院に相談してください。Upload By 田村 節子生まれて2歳ごろまでの子どもは毎晩おねしょをしますが、その頻度は年齢とともに減っていきます。しかし、5~6歳以降でもおねしょが月に1回以上、3ヵ月続く場合は病気ととらえて、「夜尿症」と呼びます。一般に、ときどきおねしょをしてしまう程度の子どもの比率は、5~6歳で約20%、小学校低学年で約10%、10歳で約5%程度といわれており、成長とともに減少します。また、成人まで続くケースはまれです。発達障害のある子どもでは、発達障害のない子どもに比べて夜尿症の頻度が高いことが知られています。夜尿症との関連についての報告が多いのは注意欠如・多動性障害(ADHD)ですが、ADHDで夜尿症を合併する割合は20~30%に上ると報告されています[1]。カナダで行われた調査では、6歳児の夜尿症の割合は、ADHDのない子どもで7.8%、ADHDのある子どもで20.9%と、ADHDのある子どもの方が2.7倍多いことが示されています[2]。 おねしょ(夜尿症)の原因と発達障害との関係Upload By 田村 節子おねしょ(夜尿症)の原因は、「夜間に尿をためる膀胱のサイズが小さい」や「夜間につくられる尿の量が多い」ことと合わせて、「就寝中に膀胱に尿がたまったときの目覚めの悪さ」だと考えられています[3]。成長に伴って中枢神経機能やホルモン分泌が成熟すると、就寝中の膀胱のサイズが大きくなり、作られる尿の量も少なくなるように調整されるため、夜尿症は徐々に改善します。発達障害のある子どもでは中枢神経機能の発達遅延により尿意切迫や膀胱の過活動などの排泄機能の異常が生じやすいこと[1]、睡眠の質が悪く、成長期に成熟する成長ホルモンや抗利尿ホルモンの分泌の発達が遅延しやすいこと[4]、感触の鈍麻によって下着が濡れても気持ちが悪いと思わない、お漏らししたことに気付きにくいこと[5]などが報告されており、研究段階ではありますが夜尿症に関係する染色体が発達障害とも関連する(夜尿症に関連する染色体8、23、13、22番がADHDでも関与)ことから[1]、発達障害のある子どもは夜尿症になりやすく、高学年まで続くケースも多いと考えられています。夜尿症が子どもや家族に与える影響次に、夜尿症が発達障害のある子どもや家族に及ぼす影響についてです。夜尿症が高学年まで続き、修学旅行などの宿泊が伴うような共同行事が増えてくると、夜尿症は自尊心の低下や劣等感などの心理的ダメージの原因になります[3]。夜尿症は一般に「そのうち、よくなるだろう」とされがちですが[6]、発達障害のある子どもにとっては、発達障害の症状に加えて、夜尿症があることによる心理的ダメージが加わるため、軽視してはいけません[6]。また、夜尿症は発達障害の病態にも影響を及ぼすことが指摘されています。聴性脳幹反応(音を出して脳の活動状況を確認すること)では、夜尿症のみの児やADHDのみの児よりも、夜尿とADHDを併発している児においてもっとも強く反応しており、ADHDのある子どもに夜尿症が合併すると、中枢神経の感情反応が強まり、反抗的な行動をとるなど感情コントロールの悪化を招く可能性があります[7]。また、夜尿症を合併したADHDは夜尿症のないADHDよりも、不注意の度合いが強くなり、夜間覚醒や自分で朝目覚める能力が低下しやすくなる場合があることも分かっています[8]。Upload By 田村 節子こうしたことから、発達障害があるからこそ、夜尿症を積極的に治療する必要性があると考えています[6]。夜尿症は治療することが可能な疾患です。夜尿症を治療することで明るさと自信を取り戻し、発達障害への対処や治療にも取り組みやすくなります[6]。夜尿症は、子ども自身だけではなく、その家族、特に母親の心理状態にも大きな影響を与えます。子どもの夜尿が続くことで、日常のイライラ(デイリーハッスル)が蓄積し、感情的になり子どもを強く叱ってしまうことはありませんか。そして、そうした行動を起こしてしまったことを省みて、深く落ち込んだことはありませんか。子どもは夜尿をなかったことにしようという心理的な防衛機制が働くため、実際は落ち込んでいても平気な顔でとりつくろうとすることがありますが、デイリーハッスルが蓄積してしまった母親は、夜尿をしたのに平気な顔をしている子どもを見ると、夜尿を治す気がない、反省もしていない、親の言うことを聞かないと誤解し、やがて子どもを受容できないという嫌悪感をもってしまうリスクがあります。また、家族や祖父母から子どものしつけ方が悪いと言われてしまうと、より自責感も抱きやすくなります[9]。発達障害のあるお子さんの保護者は、いろいろな事象に加え夜尿があることで、より親の責任であるかのような錯覚に囚われ、悩みが深刻化することがあります。このような嫌悪感、自罰感、自責感は「母親失格」という負の心理的刻印[9]としてお母さんを傷つけています。このように、夜尿症と発達障害の両方があるご家族では、お子さんとその親の両方が負の感情を持ちやすく、お互いの負の感情が連鎖して、より深刻な状況を引き起こすこともあります。この負の感情の連鎖を断ち切るためにも、夜尿症と発達障害の特性(原因や対応法など)を理解することが重要です。Upload By 田村 節子次回は、夜尿症の治療/対策、家族や周囲の望ましい対応、病院のサポートの受け方についてご紹介します。Upload By 田村 節子東京成徳大学応用心理学部臨床心理学科教授。東京成徳大学大学院心理・教育相談センター長。学校心理士スーパーバイザー。公認心理師・臨床心理士。学校心理学に基づく研究、および実践の専門家。現在、家庭、教育、医療との連携について夜尿や発達障害の子どもに焦点をあてて研究と実践を行っている。【引用文献】1. 石崎優子. 夜尿症研究 . 2011; 16: 11-152. Robson WL, et al. South Med J. 1997; 90: 503-505 夏苅郁子. 児童青年精神医学とその近接領域. 2008; 49: 336-3534. 夏苅郁子. 夜尿症研究. 2011; 16: 63-665. 平谷美智夫. チャイルド ヘルス. 2011; 14: 1333-13366. 大野友子. 小児看護. 2007; 30: 112-1157. Equit M, et al. Acta Paediatr. 2014; 103: 868-878 Elia J, et al. J Pediatr. 2009; 155: 239-244 田村節子. 小児科臨床. 2016; 69: 1263-127110. 田中幸代. 大阪小児科学会誌. 2011; 28: 1211. 池田裕一. 特別支援教育研究. 2016; 16: 29-3112. 石崎優子. 外来小児科. 2013; 16: 364-367
2020年04月06日■ 前回 までのあらすじ過食嘔吐の治療の話のはずが、いつの間にか私の進路の話に…。学校も部活も容姿さえも母のいいなりになってきたが、母は「私だって親が決めてきた」と聞く耳を持ってくれない。さらに「親のせいにするな」と言われ…。》 学校も容姿すら母が支配してる…それでも「親のせいにするな」と言われて ■私はいつだって自分の意思を引っ込めるしかなかった■母の「理想の子」じゃなければ愛してくれない…■母を悪者にして憎み切れないワケ母に対する感情は、そう簡単に割り切れるものではありません。私としては嫌だったことも、母としては愛情だったと言うことがわかるからです。『ある部分は自分の希望を押し付けている代わりに、ここの部分は娘の希望も取り入れてあげよう』『そうすれば娘もきっと納得してくれるだろう。お願いだから納得してほしい』などの、母の中での葛藤もわかります。母の【支配していたつもりはない。むしろ愛情のつもりだった】は、いじめの【いじめてたつもりはない。むしろいじってあげているつもりだった】それと少し似ているような気もします。いじられた側にとってはつらいこと。でも、そこで反撃したら、その場の空気を壊してもっと酷いいじめ(ハブられる、など)になることが恐怖だったから、嫌ないじりに耐えていた…こんな感じなのかもしれません。大人同士、もしくは子ども同士だったら『合わない人とは距離を置く』『違うグループと仲良くする』ということもできますが、親子の場合はそれも難しい。『合わない親子』はどうやって付き合っていくのが最善なのでしょうか────※この物語は私の経験を基に、一部フィクションもまざっております。
2020年03月26日「子どもは嘘をつくもの」そうはわかっていても、わが子の嘘は気になるものです。どうして嘘をつくの?誰かの影響?ひょっとして生まれつき嘘つきなの?「嘘をつくことは悪いこと」だとわかっているからこそ、子どもが嘘をついていると不安になりますよね。今回は、「子どもの嘘」と「親の嘘」の深い関係について調べてみました。「正直さ」を求めてもきりがない自分が子どもだったときを思い出して、「友だちに自慢したくて、つい嘘ついちゃったな」「すごいと思われたくて大げさに言ったこともある」と反省したことがある人も多いのではないでしょうか?また、親に叱られたくないばかりに、宿題をやっていないのに「もう終わった」と言ったり、テストの点数が悪かったときに「まだ返してもらっていない」とごまかしたりなど、一度も嘘をついたことがない人なんていないはずです。それなのに、わが子が嘘をついているのに気づくと、「うちの子が嘘をつくなんて信じられない!」「どこかで悪い影響を受けて嘘つきになったのかも……」などと、過剰に心配したり不安になったりしていませんか?子どもは嘘をつくもの。さらに言うと、大人だって嘘をつくことはあります。ですから、人を傷つけるような深刻な嘘でない限り、あまり神経質にとらえる必要はないでしょう。臨床心理士の井上序子さんは、子どもが嘘をつく原因として次の3つ挙げています。事実と空想の区別がつかない心理的発達が未熟な幼い子どもは、空想や願望を本当のことのように話します。もちろん本人には、嘘をついているという自覚はありません。かまってほしい痛くもないのに「お腹が痛い」と言ったり、学校での出来事を実際より大げさに表現したりと、親にかまってほしいから嘘をつく子も。原因は親子のスキンシップ不足にあるといいます。自分の身を守りたい自分の失敗を「○◯くんのせいでこうなった」と友だちのせいにしたり、まだやっていないのに「宿題はやったよ」と言ったりするのは、親に叱られたくないからです。親としては、子どもに「嘘はダメ」「正直でなければいけない」と教えるべきですが、一方で親自身が子どもの前で矛盾した態度をとってしまうことも。その結果、子どもの「嘘」がますます加速するという驚きの調査結果もあるようです。「子どもの嘘」ひょっとして原因は「親の嘘」?シンガポールにある南洋理工大学の心理学研究者らは、18〜28歳の若者379人に対して「嘘」にまつわる調査を実施しました。その内容は次のとおり。まず、調査対象者に「子どものころに親にどんな嘘をつかれたか」を聞きます。たとえば、なにかをおねだりしたときに「今日はお金を持ってきていないからまた今度ね」と言われたことや、言うことを聞かなかったときに「いい子にしないとおまわりさんを呼ぶよ!」「早く来ないと置いていっちゃうよ!」などと言われたことなど、さまざまなパターンの嘘を例に挙げて、「親に嘘をつかれたことがあるかどうか」を聞き出しました。そして次に、「大人になった今の自分は親にどのくらい嘘をついているか」をたずねたところ、子どものころに親が多く嘘を言っていた人ほど、大人になった現在、親に対して嘘をつく傾向が高いということが明らかになったのです。さらには、攻撃的で規則を破りやすいなど、社会的に好ましくない問題を抱えるリスクも高まると判明しました。調査を行なったセトー准教授は、「親が子どもに『正直でいることが一番』と教えているにもかかわらず、嘘をついて正直でないところを見せてしまうと、子どもに矛盾したメッセージを送ることになる」と指摘したうえで、結果として子どもの正直さを欠いてしまうことにつながったのではと結論づけています。親がつく嘘=「ダブルバインド」もちろん親は、悪意をもって子どもに嘘をつくことはありません。親が子どもに対して嘘をつくときは、「良かれと思って」「しつけのためにしょうがなく」などと、子どものためを思うがゆえに仕方がない場合が多いのではないでしょうか。しかし、心理学に基づいた育児メソッドを提唱している佐藤めぐみさんは「親が良かれと思ってつく嘘であっても、子どもの正直さに影響を及ぼします」と忠告します。悪気があるかないかの判断は子どもには難しく、親の言葉をそのまま素直に受け取ってしまうからこそ、軽い気持ちで嘘をつくことには気をつけなければなりません。親がつい言ってしまうのは、「おもちゃを片づけないなら全部捨てちゃうからね!」「今度またいたずらしたら、もううちの子じゃないよ!」「好き嫌いばかりするなら、もうごはん作ってあげないからね!」など、決して実行に移さない非現実的な内容なのではないでしょうか。これはすなわち “嘘” であり、「ダブルバインド」とも呼ばれます。「ダブルバインド」とは、相反するメッセージの間で板挟みになった相手が、最終的には従わざるをえなくなるコミュニケーションパターンのこと。親は無意識ではあるものの、ダブルバインドによるしつけは、子どもを脅して言うことを聞かせているのと同じです。ダブルバインドを頻繁に行なうようになると、子どもは次第に「お母さんは嘘を言っている」「お父さんは口ではこう言うけど、結局いつも実行しない」と、親を信用しなくなります。「嘘をつく」以外の解決策を用意するすべての発言に嘘がなく、つねに正直であることは難しいものです。しかし、親が子どもに向けた言葉は、思っている以上に子どもの人格形成に大きな影響を及ぼします。だからこそ、子どもの前では「自分の言葉に正直であること」「自分の発言に責任をもつこと」を心がけるようにしましょう。そうすることで、子どもは大人のまねをして自ずと正直になっていきます。南洋理工大学のセトー准教授は、「嘘をつく」以外の方法を考えるべきだと説きます。たとえば、子どもの感情に寄り添って理解を示す、問題を一緒に解決する、情報を提供する、選択肢を与える……。子どもに言うことを聞かせるためにつく嘘のほとんどは、それ以外の解決法があります。お菓子を買ってと言って聞かない子どもに対して、面倒になって「このお店はお菓子置いてないよ」「売り切れだって」と軽い嘘をついてしまうこともありますよね。その場ではその嘘で乗り切れたとしても、ごまかしただけで何の解決にもなっていません。それよりも、「今度の日曜日にお父さんと一緒に買いに行こう」「おうちにまだ食べていないお菓子が残っているよ」と、嘘をつかずに子どもを納得させられる言い方がないか考えてみましょう。***子どもがまだ小さいからといって、嘘をついてごまかし続けていると、いずれ大きくなったときにネガティブな影響が表面化することもあります。子どもに「正直さ」を求めるのなら、まずは親がお手本を見せてあげましょう。(参考)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもがウソをついたとき、親はどう対応すればいいの?ニューズウィーク日本版|親に嘘をつかれた子は親に嘘をつく大人に?調査結果GetNavi web|「しつけ」のための嘘が逆効果?親が嘘をつくと子供も嘘つきになりやすいことが判明All About|親の嘘、悪気がなければ子どもに許される?StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもの自己肯定感が低下する「ダブルバインド」。“条件付きの愛”は危険です
2020年03月16日もうすぐ卒園を迎える年長の子どもたち。小学校入学を楽しみにしていますか?子どもが不安そうにしている場合、もしかしたら親からのプレッシャーが原因かもしれません。今回は、元保育士の私がこの時期の年長さんを見ていて感じたこと、親が気をつけたいことについてお伝えします。「そんなんじゃ小学生になれないよ」と脅していませんか?この時期、多くの親が子どもにかけてしまいがちなのは、「そんなんじゃ小学生になれないよ」という言葉。子どもが落ちつきがない時、時間を守らない時、片づけをしない時など…ついつい出てしまう言葉ですよね。小学生になると子どもだけで行動することが増えるので、いろいろなことをきちんと身につけてほしいのが親心。そのため、子どもを叱ったり、注意をする場面が多くなってしまうのですが、その言葉でプレッシャーを与えてしまっては逆効果です。「〇〇だと△△になっちゃうよ」という脅しの言葉を言うのではなく、具体的に「こうするといいよ」とアドバイスすることを心がけましょう。そして、できた時には「すごい!これなら小学校に行っても安心だね」とほめることが大切です。「もうすぐ小学生」ということは子ども自身がよくわかっているので、具体的なアドバイスを丁寧に伝えていけば身につきやすく、自信に繋がります。学習系の習い事や家庭学習をつめこんでいませんか?小学校の授業は45分間。「うちの子、そんなに長く座っていられない」と心配になり、学習系の習い事を始めたり、家庭学習を始めることも多いのではないでしょうか?子どもがやる気があって取り組んでいるのならいいのですが、親が焦って、無理にやらせてしまっている場合もあるようです。家で45分間座っていられなくても大丈夫。その理由は幼稚園や保育園でも、卒園に向けて話を聞く態度を意識した活動を取り入れているからです。また、小学校では初めのうちは子どもの集中力が続くよう配慮して授業を進めてくれます。園での活動に問題なく取り組めているのであれば、順調に小学校での授業に慣れていけるはずです。息子の小学校では、入学後、小学校での生活ルールに慣れるまで、自己紹介や学校探検、歌やゲームなど楽しいことが盛りだくさんでした。幼稚園と同じように遊びの要素を取り入れつつ、ルールを学んでいったので、スムーズに学校生活やタイムスケジュールになじんでいきました。入学後、放課後の家庭学習の時間の目安は「学年×10分」と指導があり、家庭ではそれだけの時間集中できれば充分なようです。大切なのは、これまでの成長を認めて伝えることこの時期に親が目を向けてほしいのは、心配なことよりも、これまでの成長です。親と離れて過ごすこと、着替えや挨拶、友達とのやりとり、運動面や工作、歌や合奏など、入園前にできていなかったことも園生活でたくさんの成長があったと思います。そのことを思い出して、子どもに伝えてあげてほしいと思います。そうすると、小学校でもいろいろなことに挑戦してみようと、前向きな気持ちになれるはずです。また小学校に入ると、遊びの時間=やりたいことをする時間は減ってしまうので、今の時期にめいっぱい遊んでほしいと思います。遊んでばかりいると落ち着きがない子になってしまうと思われがちですが、子どもはずっと同じことをやり続けることはなく、満足するから次に進めます。小学校に入ると遊ぶ友達が変わり、幼児期に夢中になっていたごっこ遊びなどをできなくなってしまうこともあります。また、夢中になれるやりたい遊びの中だからこそ、学習として学ぶ以上に、数や言葉の概念を身につけることができます。ままごとで食べ物を分けたり、ゲームで点数を数えて競い合ったり、好きな絵本を読むことも、友達とケンカをして相手の気持ちを考えることも立派な学び。遊びを通して、経験や学びの幅を広げていくことも、小学校の授業についていけるようになるために大切なことだと思います。子どもが「いっぱい遊んだ!」と感じられるくらいに、その時にしかできない遊びをさせてあげられるといいですね。親子ともに笑顔で入学式を迎えよう私の息子は、もうすぐ小学1年生を修了します。息子を見ていて、小学校で初めて体験することも、ちょっぴり苦手なことも、前向きな気持ちさえあれば、子ども自身がなんとか乗り越えていくことを実感しています。子どもが前向きな気持ちになるには、親が心配しすぎず笑顔でいることがなにより大切。子どもの成長をたくさん見つけて、たくさんほめて、残りの期間を楽しんでください。そして親子そろって笑顔で入学式を迎えてほしいと思います。<文・写真:ライターnicoai>
2020年03月15日子どもの幸せを願わない親はいません。そう考えて、子どもばかりを優先し、夫婦関係をおざなりにしている人はいませんか?「幸福学」の第一人者である慶應義塾大学大学院教授の前野隆司先生は、「親だからこそ、子どもではなく夫婦、そして自分の幸せを追求してほしい」と語ります。そのことが「子どものためになる」というのですが、はたしてどういう意味なのでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)スキンシップをすれば幸福度が上がるみなさんは、子どもと積極的にスキンシップをしていますか?感覚的にもわかることかと思いますが、スキンシップが多いほど幸福度が上がるという研究結果があります。これは、神経伝達物質の影響によるものです。人間の脳は、他人とスキンシップすることにより、セロトニンやオキシトシンなど「愛情ホルモン」と呼ばれる神経伝達物質を分泌します。その働きにより、人は安心感を得て幸せを感じられるのです。ですから、子どもに対してどんどんハグをしてください。もちろん、スキンシップであればいいのですから、握手でもいいし、肩や背中をポンポンとたたいたり、「いい子いい子」と頭をなでてあげたりすることでもいい。とにかく、親子ともども幸せになりたいのなら、スキンシップを欠かさないことです。そういう意味では、日本人はちょっと不利かもしれません。外国人と比べると、日本人のスキンシップは明らかに少ないからです。わたしの知り合いがとあるラテン系の銀行に就職したところ、「自分の席になかなかたどり着けない」と苦笑いしていました。というのも、席に着くまでのあいだ、清掃員のおばちゃんなど出会う人出会う人から、「今日も会えたね!」と、まるで1年ぶりに会ったかのように激しくスキンシップされるからだそう(笑)。そのことを思えば、文化的にスキンシップが少ない日本人、とくに子育て中の親であるみなさんは、意識的に子どもとのスキンシップを増やしていく必要がありそうです。たとえ他人とのスキンシップには抵抗がある日本人でも、親子であれば問題ないでしょう。スキンシップをすれば幸せになるように人間はできているのですから、我が子を思う親なら、スキンシップをしない理由はありません。「子どもは宝物だ」という思考は危険さて、愛情を持って子どもとスキンシップをすることはもちろん大切ですが、その愛情の中身については注意が必要です。みなさんのなかに、「愛する子どもをきちんと育てることこそがわたしの生きがいだ!」なんて考えている人はいないでしょうか?それは、ちょっと危険な思考です。子どもに依存している可能性があるからです。わたしの母の世代の女性には、そういう人が多かったように思います。そういう女性は、妻として夫に尽くし、母親として子どもを育てることが任務であり幸せだと考えていました。そして、夫に先立たれて子どもが独立すると、自分の役割がなくなったと感じ、幸せの代わりに虚脱感を感じるようになる。そういう人の予備軍が、いまの親世代の人にも見られるのです。それこそ、「かわいい子どもには、できれば大きくならないでずっとそばにいてほしい」「将来、子どもが結婚して家を出ると思うといまから憂うつ」「子どもはわたしの宝物だ」なんて考えている人は危険です。そういう思考を持っている人は、無意識のうちに子どもを自分の「持ちもの」のように思っています。いうまでもなく、子どもは持ちものなどではなく、ひとりの独立した人間です。だからこそ、「いずれ我が家を出て他人になっていく子どもを遠くから応援しよう」という気持ちを持っていなければならないのです。子どものためにも、夫婦が仲良くしておくべきそう考えると、親が持っておくべきもうひとつの大切な思考があります。それは、夫婦こそが仲良くしておくべきだということです。子どもが独立して家を出ていったとしたら、そのあとに家に残るのは夫婦ですよね?それなのに、夫よりも、妻よりも「子どもが大事!」と子どもにばかり目を向けていれば、子どもが家を出た途端に、親はそれこそ虚脱感に襲われることになってしまいます。いま、熟年離婚する夫婦も多いですよね。それも、いまお伝えしたような、子どもにばかり目を向けている親が多いことにもよるのではないでしょうか。子どもとスキンシップをしてコミュニケーションを取ることも大切ですが、夫婦のあいだでももっともっとコミュニケーションを取るべきです。もっといえば、親自身が自分の幸せを追求してほしい。「子どものことを思えば、そんな勝手なことはできない」と考える人もいるかもしれません。でも、それは勝手なことなどではありません。むしろ、親自身が自分の幸せを追求することこそが子どものためになるのです。両親がしっかりコミュニケーションを取って幸せなカップルでいられたら、そんな両親の背中を見て育った子どもは、「自分もお父さんやお母さんみたいな家庭を築こう」と思うはずです。でも、親が子どもにばかり愛情を注いでしまうと、その子が大人になり子どもを持ったときも、自分の子どもに対して同じような愛し方しかできません。いわば、依存のループを子孫につないでしまうのです。そして、親に依存された子を待っているのは、最終的に虚脱感を味わうことです。みなさんも、我が子にそんな思いをさせたくはないでしょう。親自身が幸せになることはわがままでも勝手なことでもなく、むしろ子どものため――。そう考えて、子どもに依存しない親子関係を築いてください。『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』前野隆司 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン(2018)■ 慶應義塾大学大学院教授・前野隆司先生 インタビュー記事一覧第1回:“他人との比較”で得た幸せは長続きしない。「幸福学」で分かった、親子で幸せになる方法第2回:目的もなく東大に入っても意味はない。本当に輝けるのは、いい意味での「オタク」だ!第3回:「子どもは宝物だ」という思考が危うい訳。子を思うなら親は“自らの幸せ”を追求すべき第4回:子育てでイライラした時どうすれば?幸福学の権威が教える「幸せ体質な親」の目指し方(※近日公開)【プロフィール】前野隆司(まえの・たかし)1962年1月19日生まれ、山口県出身。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)教授。1984年、東京工業大学工学部機械工学科卒業。1986年、東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了。同年、キヤノン株式会社に入社。カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、2008年より現職。2017年より慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。研究領域は、幸福学をはじめ、ヒューマンロボットインタラクション、認知心理学、脳科学、心の哲学、倫理学、地域活性化、イノベーション教育学、創造学と幅広い。主宰するヒューマンラボ(ヒューマンシステムデザイン研究室)では、「人間に関わる研究ならなんでもする」というスタンスで、さまざまな研究・教育活動を行っている。『感動のメカニズム 心を動かすWork&Lifeのつくり方』(講談社)、『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(講談社)、『古の武術に学ぶ無意識のちから 広大な潜在能力の世界にアクセスする“フロー”への入り口』(ワニブックス)、『幸せな職場の経営学 「働きたくてたまらないチーム」の作り方』(小学館)、『ニコイチ幸福学 研究者夫妻がきわめた最善のパートナーシップ学』(CCCメディアハウス)、『AIが人類を支配する日』(マキノ出版)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年03月13日