「ディープインパクト」「ナリタブライアン」または「オグリキャップ」などの名前を聞けば、ああ、これはその手の話かとすぐにピンとくるあなたは、ちょっとばかり「お馬さん」に関心のある方なのかもしれない。さて今回は、競走馬の名前にまつわるお話。もしもあなたが馬主になって、競走馬に名前をつけなくちゃいけなくなったら、どんな名前をつけますか。日本軽種馬登録協会のツジノさんにお話を聞いた。―馬主には命名の権利がありますよね。どんな名前をつけてもいいんでしょ?「いえ、そんなことはありません。まず、日本ではカタカナの馬名(9文字以内)と、それと同様の意味を持つ、アルファベットの馬名(18文字以内)で名付けていただくのがルールです。規定の文字数を超えてしまうと登録はできません。逆に一文字もだめです」―あ、そうなんですか。たとえば、驚きを示すような「ワ」とか「オ」とか。「だめです。意味のない言葉は認められていません。また、一着(イッチャク)とか三着(サンチャク)とか、そういった競馬用語もだめです。『このたびのレースの一着はサンチャクでした』と言われたら混乱しますよね。あとは、クロやシロなどの色もだめです。騎手の勝負服の色と相まって、混乱をきたす可能性があるので」―へー。なんだかいろいろあるんですね。「商品名や企業名もだめです。基本的に宣伝目的のものは認められません。ブランド名も難しいです。たとえばなにかの思い入れがあって『ルイヴィトン』で申請された方がいたとしたら、私たちとしてはその言葉の前になにか別の言葉をつけていただくように指導します」―じゃ、エッチな言葉とか過激な言葉なんてもちろんだめですよね?「当然、公序良俗に反するものはだめです。人名フルネームも名誉毀損に当たる可能性があるので認められません。あとはその言葉の持つ意味がマッチしていない場合もだめです。たとえば、フランス語で『エトランゼ』という言葉があります。これは日本語で『異邦人』の意味を持っていて、なんとなく優美な響きから牝馬(メス)に名付けようとされた方がいましたが、これは正確には“男性”の異邦人を表わします。“女性”の異邦人なら『エトランゼール』です」―調べるの大変じゃないですか?「いえ、それが私達の仕事なので。ただ、東欧の言葉とかアフリカの言葉で名付けられると、その意味が正しいのかどうかを調べるのはなかなか大変ですね。いろいろな文献を集めて、調べを進めたりします」―ご苦労されてるんですね。ありがとうございました。他にもG1と呼ばれる大きなレースに勝った馬の名前は付けられなかったり、まぎらわしい名前や、発音しにくい名前も付けてはいけないとのこと。さらにこうした名付け方のあれこれは、日本のみならず、国際的な団体で定める規定にも準じる必要があり、ここには紹介しきれないほど細かな例外も存在するようである。もしこれから競走馬のオーナーになる予定の方は調べてみるとよいかもしれないが、ま、そんなにいないような気もするので、これはちょっとした豆知識として収めて頂ければ幸いである。(根岸達朗/プレスラボ)【関連リンク】財団法人 日本軽種馬登録協会競走馬の登録管理を行っていますよしえ?みやび?…最もポピュラーなスナックの店名は××!!スナックの名前にはルールがあるのでしょうか?
2009年08月03日