“本家”の米国アカデミー賞にはない新人俳優賞。生涯でたった一度しかない、この賞を受賞することは俳優自身にとっても大きな励みとなり、感激もひとしおのはず。第42回日本アカデミー賞で新人俳優賞に選ばれた8人は、現在「New Cinema Face2019」として撮りおろしビジュアルが西武渋谷店にて掲出されており、それぞれのファンを中心に大きな話題となっている。そんな今年の“ニューフェイス”に改めて注目してみた。伊藤健太郎、どんな役も“等身大”にしてしまう演技力2018年10~12月に放送された「今日から俺は!!」で大ブレイクした伊藤健太郎は、同9月に公開された『コーヒーが冷めないうちに』で主演・有村架純を献身的に支える大学生を誠実に演じての受賞となった。2014年、“健太郎”として「昼顔~平日午後3時の恋人たち」で斎藤工の教え子役でドラマ初出演、若手豪華キャスト共演の広瀬すず主演ドラマ「学校のカイダン」をはじめ、映画『ミュージアム』では小栗旬の学生時代を演じて注目を集めるように。「今日から俺は!!」出演を機に本名に改名。恋に奥手なヘタレのメガネ男子を演じた『覚悟はいいかそこの女子。』では中川大志と共演した。今年は初主演舞台「春のめざめ」ほか、湯浅政明監督の最新作『きみと、波にのれたら』(6月21日公開)では声の出演、押見修造の人気コミックの実写化『惡の華』(秋公開)では主演を務める。“ブレイク登竜門”「JR SKISKI」CMにも出演したが、最近ではフレッシャーズのCMも話題。なお、伊藤さんは日本アカデミー賞で唯一、一般の映画ファンによって選ばれる「話題賞」俳優部門にも選ばれ、新人俳優賞とW受賞を果たしている。上白石萌歌、影のある学園のアイドルがハマリ役に!2歳年上の姉・萌音とともに応募した東宝シンデレラオーディションで当時最年少の10歳でグランプリを獲得した上白石萌歌。『羊と鋼の森』では初めて姉妹共演を果たし、対照的な双子のピアニスト役を好演した。ドラマ「幽かな彼女」や映画『脳漿炸裂ガール』『ハルチカ』などに出演する一方、ミュージカル「赤毛のアン」「魔女の宅急便」や、伊藤さん(当時:健太郎)と共演した「続・時をかける少女」、浪漫活劇「るろうに剣心」など舞台女優としても存在感を発揮。声の出演をした細田守監督『未来のミライ』は第91回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされた。2016年冬から続いたキリン「午後の紅茶」CMに加え、昨年は「義母と娘のブルース」で視聴者を魅了、現在は「3年A組―今から皆さんは、人質です―」で物語の起点となるキーパーソンを演じている。なお、姉の萌音さんは2015年・第38回にて『舞妓はレディ』で新人俳優賞を受賞している。平手友梨奈、初映画&初主演で圧倒的存在感!大人気アイドルグループ「欅坂46」の不動のセンターとして知られ、憑依型と呼ばれるダンスで観る者を魅了する平手友梨奈。映画初出演にして初主演を務めた『響 -HIBIKI-』では大人たちの常識をぶち壊していく天才女子高生小説家・鮎喰響役を見事に演じ切り、日本アカデミー賞新人俳優賞ほか、第31回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞の新人賞を受賞するなど映画界でも圧倒的存在感を発揮した。2016年「欅坂46」のメンバーが出演したミステリー学園ドラマ「徳山大五郎を誰が殺したか?」、続く2017年「残酷な観客達」に出演。「SEKAI NO OWARI」のMV「スターゲイザー」に出演しているほか、ヤクルト「ミルミル/ミルミルS」のCMでは清廉な印象を放つ一方、「欅坂46」の新曲「黒い羊」では情熱的な感性と表現力を炸裂させている。吉沢亮、超絶美形なのにクセ者がハマりすぎ!二階堂ふみと共演し、90年代に生きるゲイの青年を繊細に演じた『リバーズ・エッジ』で高い評価を受けた吉沢亮。そのほか2018年は『悪と仮面のルール』『猫は抱くもの』『BLEACH』など8本の映画に出演する大活躍ぶりを見せ、その一方で7月クールの「サバイバル・ウェディング」と「GIVER 復讐の贈与者」という全くタイプの異なるドラマでもファンを虜にした。2011年の「仮面ライダーフォーゼ」以降、ドラマ、舞台、映画などで着実に知名度を高めてきた吉沢さん。人気コミック「トモダチゲーム」のTVドラマ・劇場版で主演を務めたほか、『ママレード・ボーイ』の少女漫画のイケメンから、『銀魂』シリーズや『斉木楠雄のΨ難』といった福田雄一作品でもしっかり印象を残している。広瀬すずがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「なつぞら」、山崎賢人主演の実写大作『キングダム』(4月19日公開)でも重要キャラを演じており、さらなる飛躍を見せてくれそう。ソフトバンクの新CM 「スマホ舟」篇では5浪阻止に燃える受験生を熱演中。成田凌、振り幅が半端ない!メンノンモデルの“ジョーカー”クセ者といえば、「MEN’S NON-NO」の人気モデルでありながら、『スマホを落としただけなのに』から『ビブリア古書堂の事件手帖』まで振り幅の広さを見せつけた成田凌。前者では、これまで見せたことのない境地で観る者を驚愕させ、後者では詩人・中原中也とミュージシャンのジャミロクワイを掛け合わせたようなフェミニンな文学男子に。俳優としての活動は2014年から。伊藤さんと共演したドラマ「学校のカイダン」や、「逃げるは恥だが役に立つ」「人は見た目が100パーセント」、連続テレビ小説「わろてんか」など話題のドラマに起用されつつ、『君の名は。』では声優に挑戦。『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』ではヘタレ研修医を返上し、『ニワトリ★スター』では赤髪モヒカン男など、愛嬌のあるルックスとはギャップのある役柄にも果敢に挑んできた。現在大ヒット中の『翔んで埼玉』ほか『チワワちゃん』が公開中、『愛がなんだ』(4月19日公開)、『さよならくちびる』(5月31日公開)、周防正行監督の初主演『カツベン!(仮)』(12月公開)などが控え、映画界に熱い新風を吹かせている。芳根京子、可憐なる憑依系は時代劇も似合う若手女優の登竜門、連続テレビ小説(朝ドラ)ヒロイン同士の共演で話題を呼んだ『累-かさね-』で、土屋太鳳とキスで入れ替わるコンプレックスまみれの少女という難役を怪演した芳根京子。一方、『散り椿』では池松壮亮演じる若き武士の許婚を可憐に務めあげた。篠原涼子主演ドラマ「ラストシンデレラ」で2013年に女優デビュー。朝ドラ「べっぴんさん」ヒロイン、1,000人以上のオーディションで選ばれた「表参道高校合唱部!」主演、豹変ぶりが話題となった「高嶺の花」ほか、『64 -ロクヨン-』『心が叫びたがってるんだ。』などで活躍し、その確かな演技力は早くから注目の的に。今後、HTB開局50周年ドラマ「チャンネルはそのまま!」主演、木村文乃とWヒロインを演じる松坂桃李主演『居眠り磐音』(5月17日公開)に司馬遼太郎×役所広司の『峠 最後のサムライ』(2020年公開)と大型時代劇が続き、憧れの篠原さんと親子役を演じる『今日も嫌がらせ弁当』(6月公開)も控えている。趣里、猫のような瞳と情熱で観る者を釘付けに!菅田将暉を相手役に、芥川賞作家・本谷有希子の同名小説を映画化した『生きてるだけで、愛。』で体当たりの熱演を見せた趣里。気鋭の映像ディレクター・関根光才の長編初監督作となった同作では、16mmフィルムによる儚げでリアルな世界観に、心の病を抱え、感情の行き場も生き方もとっ散らかるエキセントリックな主人公がハマった。ケガでバレエを断念した後、2011年より演技の道へ。舞台を中心に活躍しつつ、山戸結希監督『おとぎ話みたい』や松岡茉優主演『勝手にふるえてろ』に出演。「リバース」の嫉妬に狂う令嬢役、「ブラックペアン」のクールな看護師役が反響を呼び、現在は「イノセンス 冤罪弁護士」で朝ドラ「とと姉ちゃん」の共演者でもあった坂口健太郎の専属パラリーガルを好演中。風間俊介と夫婦を演じる「ダスキン」CMでのキュートさの反面、華奢なスタイルからは想像もつかない“熱さ”は、これからも大きな武器となるはず。中川大志、王子から細かすぎる男子まで変幻自在知念侑李、小松菜奈と共演した『坂道のアポロン』、そして伊藤さんと共演し、TVドラマ版・劇場版で展開した『覚悟はいいかそこの女子。』で新人俳優賞に選ばれた中川大志。特に前者ではドラムを猛特訓し、知念さんとセッションしたジャズシーンの完成度の高さは話題となった。2009年に俳優デビュー。高視聴率を獲得した社会現象ドラマ「家政婦のミタ」で注目を集めると、映画『青鬼 ver.2.0』で映画初主演。「監獄学園-プリズンスクール-」や大河ドラマ「平清盛」「真田丸」などに次々に起用され、吉沢さんとも「水球ヤンキース」で共演する。『きょうのキラ君』『虹色デイズ』などのモテ男子や「花のち晴れ~花男 Next Season~」の王子キャラで人気を博したが、『覚悟はいいかそこの女子。』では恋にヘタレな男子に。現在公開中の『サムライマラソン』や、「LIFE!人生に捧げるコント」、「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」など強者たちに“揉まれる”機会が多く、芸達者ぶりにますます拍車をかけている。(text:Reiko Uehara)
2019年02月28日2018年、韓国で「LOVE SCENARIO」をロングランヒットさせたiKON。年末の賞レースでは、さまざまな賞を総なめ。特に、『2018 MelOn Music Awards』では大賞にあたるBeast Song of the Yearを受賞しました。その勢いは、2019年に入っても衰えることはなさそうで、「LOVE SCENARIO」を含む日本オリジナルアルバム『NEW KIDS』が2月27日に発売されます。リリースを前に行われた記者会見の模様をレポート!写真・角戸菜摘 文・小泉咲子【ペンになってもいいですか!?】vol. 92左から、CHAN、SONG、BOBBY、JAY、JU-NE、DK、B.I。“NEW KIDS”シリーズの集大成ニューアルバム『NEW KIDS』は、『NEW KIDS : BEGIN』(17年5月)、『RETURN』(18年1月)、『NEW KIDS : CONTINUE』(18年7月)、『NEW KIDS : THE FINAL』(2018年10月)の収録曲を全網羅した“NEW KIDS”シリーズの集大成。少年から大人へと成長を遂げたiKONの歩みが詰まっています。B.I 強烈なHipHopの「BLING BLING」からボーカル力で魅せる「LOVE SCENARIO」まで、1年かけてiKONが追求している音楽をお見せしようと努力しました。メンバーによる収録曲解説も行われました。個人的に好きな曲も交えて紹介していきましょう。「LOVE SCENARIO」B.I 『ラ・ラ・ランド』という映画からインスピレーションを得て作った曲です。目では泣いているけども口では笑っている、そんな思いを描いた曲です。作っていた時は、子どものような純粋な気持ちで、公園で遊びながら作っているような感覚でした。その気持ちが、小さな子どもたちにも届いたんだと思います(※韓国では、小学生や幼稚園児の間で大流行した)。SONG すぐに口ずさめる曲で、何回聴いても飽きないから、子どもたちにも届いたのかと思います。BOBBY 僕は作詞に参加したんですけど、B.I君に見せたら「僕が言いたかったことだ」と1発でOKが出ました。ありがとうございます(笑)。JU-NE MVは、3泊4日で撮影したんですが、久しぶりの新曲だったのでめっちゃ頑張りました。DK 初めて使うカメラで、いつもと撮影方法が違ったところもおもしろかったです。「I’M OK」JU-NE 大丈夫じゃないのに大丈夫だと強がっている切ない曲です。B.I MVでJAYさんがゴミ捨て場で歌う場面がかわいいんです。JAY 僕はカッコいいと思うけど、「かわいい」(笑)? いちばん男らしくて、若さも感じられるMVです。「GOODBYE ROAD」CHAN 僕の記憶では、日本で初めてB.Iさんが聴かせてくれて、レコーディングした曲でした。B.I CHAN君のパートが多いんです。CHAN (多くしてくれて)ありがとうございます(笑)。聴いた瞬間、メロディがいいと思ったし、自分のパートも多いので、個人的に好きな一曲にもこの曲を挙げます。JU-NE MVは、色が絶対的にキレイ! 見ているだけで癒されます。JAY 1年くらいかけて撮ったので、メンバーの顔とか髪の毛の変化が見どころです。「KILLING ME」SONG 失恋した男性が愛していた女性を忘れられないという悲しい歌詞ですが、パフォーマンスはパワフルなんです。ステージやMVを見てもらうと、2倍、3倍と楽しめる曲です。MVではサビの部分に入った時に、全員で同じダンスを踊るんですけど、演技パートからダンスパートに入るところがカッコいいです!JU-NE ちなみに振付は、会長(ヤン・ヒョンソク YG代表プロデューサー )とDK君が作りました。DK サビはB.Iさんと相談したうえで、会長とも話し合いながら作った記憶があります。「JERK」JU-NE ブルース曲。僕が悪い奴なんですが、収録曲の中で特に好きな曲です。「COCKTAIL」DK たくさんいい曲があって選ぶのが難しいですが、1曲だけ選ぶなら、この曲。夏の雰囲気があって、ステージで歌っていても楽しいです。「FREEDOM」B.I 自由な感じがして、僕が気に入っている曲です。「I’M OK」JAY 詩的できれいな歌詞が印象的で、好きな一曲です。「BLING BLING」BOBBY 「RHYTHM TA」(前作『WELCOME BACK』に収録)に次いで、HipHopテイストが強い曲なので好きです。2019年は、「ずっと走っていきたいです! 日本でバラエティ番組にも出演できたら」(JU-NE)、「5月にB.I君とユニット活動する予定なので、ぜひチェックしてください」(BOBBY)。最後は、BOBBYからファンへのメッセージで締めくくられました。BOBBY いつも言いたいことなんですけど、国も言葉も違うのに、こんなにも愛してくださり、音楽でひとつになれることに、とても感謝しています。僕たちみたいにまだまだ未熟なところの多いグループをなぜ好きでいてくれるのか不思議なんですけど、これからももっともっと努力して、カッコいい成長を続けられるように頑張ります。iKONのみなさんのコメント動画はこちら!InformationNEW ALBUM『NEW KIDS』2月27日発売。韓国で2018年のベストソング賞を多数獲得した「LOVE SCENARIO」を収録しています。また、リリース記念「トーク&ライブイベント」も開催が決定しました。LIVE DVD&Blu-ray『iKON JAPAN TOUR 2018』3月20日発売。
2019年02月27日先日の第91回アカデミー賞授賞式では「セリーヌ(Celine)」の煌びやかなシルバードレスでサミュエル・L・ジャクソンとプレゼンターを務め、観客を魅了したブリー・ラーソンの主演最新作『キャプテン・マーベル』。このほど、その姿から一転、新時代を担うヒーローとして“覚醒”する姿をとらえたメイキング映像が公開された。マーベル初の女性ヒーロー単独主役作品として注目を集める本作。今回の映像で「ブリーには戦い方を習得してもらった」とアンナ・ボーデン監督が語る先には、2015年に『ルーム』でアカデミー賞主演女優賞を獲得したブリーが熱心にトレーニングに取り組む様子が!高々とした飛び蹴りを披露する一方で、ダンベルを持ちあげ、ウエイトを身体に巻き付けて腕立て伏せをするなど、想像を超えた並々ならぬ努力を積み重ねてきたことが本映像からも伺える。ブリーは世界的人気を誇るマーベルシリーズの主役を引き受けるに当たり、プレッシャーや不安も抱えていたはずだが、それをも跳ね返すほどの努力によって、監督やブリー自身が求めていた“キャプテン・マーベル”を作り上げた。その姿はまるでキャプテン・マーベルがヒーローとして覚醒していく姿とも重なり、不屈の精神を持ち、自らをより高みへと誘おうとするブリー自身はまさに“キャプテン・マーベル”そのもの。そんな彼女が演じるキャプテン・マーベルは、圧倒的な強さを誇るヒーロー。その姿は一見“完璧”にも見えるが、それと同時に過去の記憶を失くしているがゆえに自分が何者なのかという不安が影響し、心と能力のコントロールがまだできていない。“強さと弱さ”の両面を持つ、いわば不完全な彼女が、自らの記憶をめぐる戦いの中に“キャプテン・マーベル”として目覚めていくことも本作の大きな見どころとなる。オスカー女優ブリー・ラーソン演じるキャプテン・マーベルが切り開く、ヒーロー映画の新境地に注目だ。『キャプテン・マーベル』は3月15日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:キャプテン・マーベル 2019年3月15日より全国にて公開ⒸMarvel Studios 2018
2019年02月27日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。2020年東京オリンピックに向けてマラソン界がとりわけ注目されていますが、オリンピック代表選手の選出レースも始まり、今からとても楽しみですね。【シネマの時間】第58回は、『超高速!参勤交代』の原作・脚本で知られる土橋章宏が、日本のマラソンの発祥といわれる史実「安政遠足」を題材に執筆した小説『幕末まらそん侍』を映画化。話題の『サムライマラソン』をご紹介します!日本の新しい「サムライ映画」を世界へ発信しようと企画・プロデュースを手がけたのは、『ラストエンペラー』でアカデミー賞を受賞し、『戦場のメリークリスマス』『十三人の刺客』など日本映画の製作に実績のある名プロデューサー ジェレミー・トーマスと『おくりびと』『十三人の刺客』などで知られる中沢敏明。彼らのもとに、佐藤健、長谷川博己、竹中直人、豊川悦司、青木崇高、森山未來、染谷将太、小松奈菜といった豪華スターキャストと国内外で活躍するアカデミー賞スタッフ陣が集結!監督には、『不滅の恋/ベートーヴェン』のバーナード・ローズが、カメラの前で起こる偶然やハプニンングさえすべてダイナミックに演出し、歴史・スポーツ・アクション・サスペンス・ヒューマンドラマがたっぷり楽しめる幕末エンタテインメントに昇華させています。音楽は、ウディ・アレン、デヴィット・ボウイなど幅広いアーティストとのコラボレーションや映画音楽も数多く手がけ、『めぐりあう時間たち』などでアカデミー賞にもノミネートされた巨匠フィリップ・グラス。衣装デザインは、黒澤明監督の『乱』でアカデミー衣装デザイン賞を獲得し、『宋家の三姉妹』などヨーロッパやアジアの大作で衣装デザイナーとして活躍するワダエミが担当。西洋文化が少しずつ入ってきた幕末という時代の魅力を、自由に発想されたデザインの衣装でキャラクターの属性を存分に表現し素晴らしいです。「駆けろ、時代を。駆けろ運命を!」ぜひ、この機会に映画館でお楽しみください!■映画『サムライマラソン』あらすじー優勝すれば願いが叶うマラソン大会が、 藩の存亡と家族と仲間の命をかけた戦いに260年もの間、日本は国を守るために鎖国してきました。しかし1855年幕末、幕府大老の五百鬼祐虎(豊川悦司)は、黒船でアメリカからやって来た海軍総督ペリー(ダニー・ヒューストン)と面談し和親条約という名の開国を迫られます。安中藩主の板倉勝明(長谷川博己)は、アメリカは口では和平を唱えているが、日本への侵略が目的だと疑っていました。「国と藩を守らなければならない」と考えた勝明は、藩士たちの心と体を鍛錬するために「明日、十五里の遠足(とおあし)を行う」と宣言しました。「優勝者はどんな願いも叶えられる」と聞いて、藩士たちは色めきたちます。そんななか、勝明の娘の雪姫(小松菜奈)が城を抜け出し、城内で大騒ぎとなります。芸術的才能に恵まれた雪姫は、江戸へ出て絵画を勉強し、いずれは異国へも渡りたいと願っているのですが、父からは激しく反対されていました。重臣の息子で、辻村平九郎(森山未來)を婿にとって藩を治めるよう命じられ、強い決意のもと逃げ出したのです。一方、城下の人々の間では、早速誰が1着になるかの賭けが始まっていました。藩で一番足が速いのは、足軽の上杉広之進(染谷将太)だと誰もが知っていました。上杉は両替商の留吉に茶屋で奢られ、1着にならなければ10両渡すと八百長を持ちかけられます。妻子の待つあばら家へ帰った上杉は、1着とお金とどちらをとるか悩むのでした。ところが、その夜江戸城では、安中藩の人々にとって絶体絶命の指令が下されていました。以前から勝明を警戒していた五百鬼が、安中藩の遠足を「謀反の動き」と見做して、アメリカの最新式の拳銃を携えた刺客を放ってしまったのです。翌朝、五百鬼の企みに気づいた男がいました。彼の名は唐沢甚内(佐藤健)。安中藩に仕える勘定方は仮の姿で、実は代々幕府の隠密として、不穏な動きを察知したら直ちに報告する役目を負っていました。藩の上司の植木義邦(青木崇高)にはもちろん、妻にさえ打ち明けてはならない秘密でした。それぞれの想いを抱えた参加者たちが、出発地点に集まってきます。虚栄心から不正をしてでも1着を取ろうと気合いを入れる辻村や、遠足に乗じて江戸まで行こうと計画し、男装に身を隠した雪姫なども群衆に紛れていました。守衛番を解雇された栗田又衛門(竹中直人)は、最後にひと花咲かそうと、亡き親友のまだ幼い息子と出場することに。太鼓の音が響き、開始の掛け声で、元気よく一斉に飛び出す藩士たち。しかし、ほどなく刺客たちが到着し、まずは関所が襲撃されます。幕府か藩か揺れるなか、愛する者たちとここで出会ったことに気づいた甚内は、仲間たちに危機を告げ、一刻も早く城へ戻ろうと全力で走り始めます。果たして、甚内は大切なものを守れるのでしょうか?ゴールのその先にある日本の未来とは?■映画『サムライマラソン』作品紹介映画『サムライマラソン』2019年2月22日(金)TOHOシネマズ 日比谷 ほか全国ロードショー公式サイト:監督:バーナード・ローズ原作:土橋章宏『幕末まらそん侍』(ハルキ文庫)脚本:斉藤ひろし、バーナード・ローズ、山岸きくみ企画・プロデュース:ジェレミー・トーマス、中沢敏明製作:余海峰、吉崎圭一、亀山慶二、中西一雄、依田巽、畠中達郎、宮崎伸夫、山田裕之、木村正明、渡邊耕一、狩野隆也、樋泉実共同製作:周晏清、マリー=ガブリエル・スチュワートチーフプロデューサー:井口高志、厨子健介、佐々木基プロデューサー:池上司、八木征志、大野貴裕共同プロデューサー:丸山典由喜アソシエイトプロデューサー:三船力也、クリスチャン・ストームズ、アレイニー・ケント撮影監督:石坂拓郎照明:舘野秀樹美術:佐々木尚衣装デザイン:ワダエミ装飾:佐藤孝之録音:小松将人編集:上綱麻子音楽:フィリップ・グラス殺陣・所作指導:久世浩スクリプター:原田侑子VFXプロデューサー:レアンドロ・マリーニ、サウンドエディター、マイケル・ペリコーネ助監督:松下洋平キャスティング:安生泰子制作担当:坪内一製作年:2019年上映時間:104分映倫区分:PG12製作国:日本配給:ギャガ©”SAMURAI MARATHON 1855”FILM PartnersGAGA.NE.JP/SAMURAIMARATHON■映画『サムライマラソン』キャスト佐藤健=唐沢甚内小松菜奈=雪姫森山未來=辻村平九郎染谷将太=上杉広之進青木崇高=植木義邦若林瑠海=福本伊助竹中直人=栗田又衛門豊川悦司=五百鬼祐虎長谷川博己=板倉勝明木幡竜小関裕太深水元基カトウシンスケ岩永ジョーイ筒井真理子門脇麦阿部純子奈緒中川大志and ダニー・ヒューストン【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2019年02月27日歌手レディー・ガガの初主演作で、ブラッドリー・クーパーが監督・主演を務めた映画『アリー/スター誕生』が第91回アカデミー賞で8部門にノミネートされ、歌曲賞を受賞した。授賞式では、同作の主題歌「Shallow」をレディー・ガガとブラッドリー・クーパーがデュエットで披露。圧巻のパフォーマンスで会場を沸かせた。同作は4度目のリメイクとなり、オリジナル版『スタア誕生』は、1938年の第10回アカデミー賞で脚本賞を受賞している。『アリー/スター誕生』は、4月3日にデジタル先行配信、5月22日にDVD・Blue-rayが発売される予定となっている。授賞式のパフォーマンスに伴い、世界2億人以上のユーザーが利用する音楽ストリーミングサービス・Spotifyでは、楽曲の再生数が急上昇。148%上昇し、3億8,900万回の再生数を記録した。また、音響編集賞や録音賞など最多4冠を達成した『ボヘミアン・ラプソディ』のサウンドトラックも多くのリスナーに聴かれ、映画公開から約3カ月で8億7,700万回以上の再生数を記録している。
2019年02月27日ここ4年ほど、テレビでの生放送の視聴率が低下し続けていたアカデミー賞授賞式。視聴率の回復をめざし、映画芸術科学アカデミーは放送時間の大幅な短縮を試みたり、「ポピュラー映画部門」を新設したり(来年以降に先送り)とテコ入れを図った。ところが昨年、司会者に決定したケヴィン・ハートが過去の「不適切ツイート」を指摘されて自ら降板。オスカー史上2回目、30年ぶりとなる「司会者不在」での開催が決定し、視聴率にどう影響するかに注目が集まっていた。放送時間は前年の4時間弱から3時間21分と大幅な短縮に成功している。調査会社のニールセンによれば、結果として今年のアメリカでの視聴者は、2960万人。昨年の2650万人から12%上昇した。とはいえ、オスカー史上最低の視聴者数を更新した昨年に次ぐ、2番目の記録。今年、昨年より前は3000万人を切ったことがなかったという。オスカー史上最多の視聴者数を集めたのは『タイタニック』が作品賞に選ばれた1998年の授賞式で、5520万人だった。(Hiromi Kaku)
2019年02月26日米国アカデミー賞が世界最高峰の映画の祭典ならば、日本最高峰の祭典となるのが「日本アカデミー賞」。先日、第42回の各優秀賞および新人俳優賞などの発表記者会見が行われたが、日本のアカデミー賞は米国や他国とどう違うのか、改めて紹介していこう。1.米国アカデミー賞との関係は?米国の映画芸術科学アカデミー(AMPAS:Academy of Motion Picture Arts and Science)の正式許諾を得て日本アカデミー賞協会が1978年に発足、米国と同様に映画人が選ぶ映画賞として日本アカデミー賞が誕生した。米国アカデミーから正式許諾を得ているのは、世界で日本と英国のみ。記念すべき第1回授賞式は1978年4月6日、帝国劇場にて開催。授賞式の模様は日本テレビで放送され、現在も毎年、同局で放送されている。第2回目から日本アカデミー賞協会会員による現在の投票方式となり、第4回から1次選考のノミネート5作品および5人全てを“優秀賞”とし、授賞式ではその中から“最優秀賞”を競うことになった。2.対象となる作品は?第42回日本アカデミー賞は、2017年12月16日~2018年12月15日に東京地区の商業映画劇場にて有料で初公開された、40分以上の新作劇場用劇映画及びアニメーション作品であり、同一劇場で1日3回以上、かつ2週間以上継続し上映された作品が対象。そのため、映画祭のみの上映作品や2週間限定公開作品、イベント上映作品、モーニング、レイトショーのみの上映は除かれる。3.どうやって決める?国内の映画関係者によって構成される日本アカデミー賞協会会員(下記参照)の投票によって行われる。作品賞・アニメーション作品賞・監督賞・脚本賞・主演男優賞・主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞・外国作品賞などの正賞15部門と新人俳優賞を含む全16部門を投票で行い、郵送された投票用紙は公正なる第三者機関によって集計され、正賞15部門の優秀賞受賞者・受賞作品(各5名または5作品)と男女各3~5名の新人俳優賞が決まる。さらに、この15部門優秀賞受賞者及び受賞作品を対象に最終投票を行い、郵送された投票用紙は公正なる第三者機関によって集計され、最優秀賞が決定する。なお、日本アカデミー賞で唯一、一般の映画ファンが参加できるのが話題賞。ニッポン放送「オールナイトニッポン」の番組を通じ、一般リスナーがその年の映画界で最も話題を集めたと思われる作品と個人に投票し、決定される。たとえば、いまなお実写邦画歴代第1位の興収記録を持つ『踊る大捜査線THE MOVIE2レインボーブリッジを封鎖せよ!』は第27回(2003年度)優秀作品賞・優秀監督賞などに選ばれていたが、結果的に話題賞・作品部門を獲得。また、第40回(2016年度)は最優秀アニメーション作品賞を『この世界の片隅に』、話題賞・作品部門を『君の名は。』が受賞したことも記憶に新しい。4.日本アカデミー会員の構成は?米国アカデミーの場合、本年度は史上最多で928人が会員に招待され、会員総数は約8,200名にのぼる。俳優部門の会員が最も多く、短編及び長編アニメ部門、プロデューサー部門、監督部門と続く。日本アカデミー賞協会は、2018年度で会員数3,960名。会員の資格は、日本の映画事業に現在も含め3年以上従事していることが前提で、運営・実行委員会または賛助法人より推薦され認められた者となる。内訳は東宝、松竹、東映、KADOKAWAの大手映画製作配給会社(映連)4社で985名となり、俳優/マネージャーが132名、監督が117名。さらに映画関連企業やプロダクション関係、テレビ局、出版社などの賛助法人の社員が多数。その中には声優事務所の青二プロダクションや映像配信サービスNetflixなども名を連ねている。5.女性の司会は前年の最優秀主演女優賞受賞者第42回授賞式で総合司会を務めるのは、日本アカデミー賞協会・組織委員会副会長でもあるベテラン俳優の西田敏行。6年連続9度目となり、それ以前は関根勉が4年連続、その前は関口宏が12年連続で務めていた。注目なのは、女性の司会は前年度の最優秀主演女優賞受賞者が務めること。今回の第42回は、昨年『彼女がその名を知らない鳥たち』で同賞を受賞した蒼井優が人生初の司会に挑戦する。「去年の私にとって、そうであったように、どなたかにとって忘れられない1日になるはずなので、皆さんの喜びを感じつつ、楽しんで司会ができれば」と蒼井さん。同業者の司会となれば、共演経験者や親交の厚い人が壇上に上がることも多く、思いがけない振りがあったり、ツッコミがあったり、思い出話に花が咲くことも。第32回(2008年度)授賞式では、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』で前年、最優秀主演女優賞に輝いた故・樹木希林さんが司会に。その年は、米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した“婿”・本木雅弘主演『おくりびと』が主要賞をほぼ総なめにするという巡り合わせが実現。樹木さんのマイペースな司会ぶりには会場が何度も沸いた。今回は『日日是好日』『万引き家族』の2作品で優秀助演女優賞に選ばれている樹木さん。優秀助演女優賞の歴代最多受賞者だ。追悼セレモニーの中で、そんな在りし日の姿が取り上げられるかもしれない。なお、最優秀賞のプレゼンターは前年度の受賞者が行うことになっており、蒼井さんはじめ、菅田将暉、広瀬すず、役所広司、是枝裕和監督、湯浅政明監督らが務める予定。オスカー像の代わりとなるのが、第1回授賞式より受賞者に贈られている「最優秀賞・優秀賞ブロンズ」だ。その制作者で日本アカデミー賞協会の創設メンバー・流政之氏も2018年に亡くなられた。6.一般客も観覧できるディナー形式レッドカーペットが敷かれた授賞式会場に、華やかなドレスやタキシードなどに身を包んだ最旬の俳優・女優たちが集う様はやはり壮観。また、「ぴあ」会員限定だが、ディナー付授賞式観覧チケットも販売され、一般客も観覧できる。その雰囲気はハリウッドスターがパーティ形式で一堂に会するゴールデン・グローブ賞に似ている、ともいえるかも?7.アニメーション作品賞が独立へ第30回(2006年度)からアニメーション作品賞が独立した部門に。初めての受賞作品は、本年度の米アカデミー賞長編アニメ部門に『未来のミライ』がノミネートされている細田守監督の『時をかける少女』だった。なお、同賞設立以前に、宮崎駿監督の『もののけ姫』(第21回)、『千と千尋の神隠し』(第25回)の2作品が実写作品を抑えて最優秀作品賞に選ばれている。8.新人俳優賞から羽ばたくスター俳優たち新人俳優賞は、劇場映画で主演・助演クラスの役を演じ、印象を与えた俳優が対象。原則として映画初出演ではなくともこれまで日本アカデミー賞の受賞歴がない者、となっている。かつて同じ年(第13回)に新人俳優賞に選ばれた本木さんや深津絵里は、後に主演賞クラスの俳優となり、海外でも評価を受けるまでになった。第37回(2013年度)『共喰い』で選ばれた菅田さんは昨年度、第41回にて『あゝ、荒野』で見事、最優秀主演男優賞を受賞、さらに全くタイプの違う『帝一の國』で話題賞・俳優部門にも選ばれた。同年の新人俳優賞には綾野剛や黒木華らがおり、黒木さんは続く『小さいおうち』(第38回)、『母と暮せば』(第39回)で2年連続の最優秀助演女優賞を受賞。また、広瀬さんは『海街diary』で新人俳優賞を受賞して以来、翌年は『ちはやふる上の句』『怒り』で優秀主演女優賞と優秀助演女優賞、さらに昨年は『三度目の殺人』で最優秀助演女優賞を獲得。『湯を沸かすほどの熱い愛』の杉咲花などのように、最優秀賞(助演女優)と新人俳優賞を同年にW受賞した快挙も。本年度は上白石萌歌、趣里、平手友梨奈、芳根京子、伊藤健太郎、中川大志、成田凌、吉沢亮と、すでに映画・テレビでお馴染みの顔ぶれがずらり。彼らの晴れ舞台にも注目だ。第42回日本アカデミー賞授賞式は3月1日(金)、グランドプリンスホテル新高輪・国際館パミールにて開催される。(text:Reiko Uehara)
2019年02月26日『ボヘミアン・ラプソディ』が今年度のアカデミー賞で、最多となる4冠を達成した。クイーンを題材にした同作は、24日にロサンゼルスのドルビーシアターで開催された同授賞式で、故フレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックの主演男優賞をはじめ、編集賞、音響編集賞、録音賞を受賞した。ラミは、受賞スピーチの中で「いつか、こんなことが起きるんだと幼い頃の自分に伝えたらどんな感じだろうと考えるのですが、カーリーヘアーの小さな頭は、吹き飛んでしまうほど驚くことでしょう」と喜びを表現した。そして、「当時は、自分のアイデンティティに悩んでしました。自分が何者かに悩み、自分の声を見つけようとしている人なら誰もだと思うのですが。自分らしく人生を生き抜いた移民のゲイ男性を描いたこの映画が作られ、そして僕らがその映画とストーリーをこうして祝福しているという事実は、僕らは皆このような物語を待ち望んでいたという証拠なのです」と熱弁。「僕はエジプト移民の息子で、アメリカ人としては1世になります。そんな僕の物語の1ページがここで今つづられているのです。この瞬間を思い描いてくれた皆さんに感謝せずにいられません。これは残りの人生の宝物になることでしょう」と語った。『ボヘミアン・ラプソディ』に続いては、『ROMA/ローマ』や『ブラックパンサー』、『グリーンブック』がそれぞれ3部門を制す結果となっている。30年ぶりに司会者抜きで開催された今年度の授賞式は、アダム・ランバートとクイーンの演奏で幕を開けたほか、レディー・ガガとブラッドリー・クーパー、ベット・ミドラー、ジェニファー・ハドソンなどがパフォーマンスを披露した。また各部門のプレゼンターとして、ジュリア・ロバーツやダニエル・クレイグ、ゲイリー・オールドマン、アリソン・ジャネイ、サム・ロックウェル、フランシス・マクドーマンド、ジェニファー・ロペス、クリス・エヴァンスらが壇上に上った。(C)BANG Media International
2019年02月26日歌手のレディー・ガガが、映画『ティファニーで朝食を』でオードリー・ヘップバーンが着用したダイアモンドを身に着けて24日のアカデミー賞式典に出席した。『アリー/スター誕生』で主演女優賞にノミネートされ、また作品内で披露した『シャロウ ~「アリー/ スター誕生」愛のうた』で歌曲賞を受賞したガガは、胸元がセクシーなアレキサンダー・マックイーンの黒のドレスに、ヘップバーンが1961年公開の同作品のプロモーション撮影で着用した、大粒ダイアモンドが目を引くティファニーのネックレスという装いで同式典のレッドカーペットに登場した。141年前に発見された128.54カラットのイエローダイアモンドを使用したネックレスをガガが着用したことに関し、同社のアーティスティック・オフィサーのリード・クラコフ氏はこう話している。「レディー・ガガは究極のクリエイターでありイノベーター、そしてルールブレイカーでもあります。この伝説的ティファニーのダイアモンドが、141年前に発見されて以来初めてレッドカーペットで彼女によって着用されることに感激しています」一方、ガガのスタイリスト、サンドラ・アマドーとトム・エレブートはヴォーグ.com に、そのジュエリーを中心に今回のスタイルはコーディネートされたと明かしている。「オスカーのものは、私達が家族の一員と考える、以前から付き合いのあるデザイナー達に依頼しました」「このジュエリーを念頭に置いて創造のプロセスを開始したのです」「ダイアモンドは多大なるエネルギーを内に秘めています。真に魅惑的な夜に、非常に歴史あるものを着用できるとは格別です」そして、今回の装いに最大のインパクトを与えるため、ガガは式典シーズン開始以来黒を避けていたそうで、「(アレキサンダー・マックイーンのクリエイティブ・ディレクター)セーラ・バートンは、(ファッションに対する)クラシカルなアプローチと同ブランドのアバンギャルドな美学を融合させたドレスを製作するという素晴らしい仕事をしました」「サプライズの要素は非常に力強いです。全てを予想外にすることでレッドカーペットは面白くなるのです」と二人は続けた。また、今回ガガが着用した黒の長手袋も、同映画でヘップバーンが演じたキャラクター、ホリー・ゴライトリーと比較されているが、二人はその関係を否定し、「レディー・ガガ自身がストーリーなのです。彼女らしさを保ちながらも大胆に異なるスタイルを考えることは大変楽しかったですよ」と語っていた。(C)BANG Media International
2019年02月26日第91回アカデミー賞授賞式が2月25日(日本時間)、米ロサンゼルスで開催され、『グリーンブック』が作品賞をはじめ、3部門を受賞。Netflixが配信する『ROMA/ローマ』は作品賞こそ逃したものの、監督賞、外国語映画賞、撮影賞の3冠に輝いた。異質な存在だった『ROMA/ローマ』アカデミー賞=仲間同士をたたえ合うハリウッドの祭典だという観点では『ROMA/ローマ』は異質な存在だったといえる。メキシコで撮影されたモノクロ作品は、演技経験ゼロの女優が主演を務め、言語はスペイン語と先住民が使うミシュテカ語。何より、ストリーミング配信大手の「Netflix(ネットフリックス)」が配給を手掛け、劇場公開が非常に限定的だったからだ。「ストリーミングサービスのオリジナル映画は、オスカー受賞に値しない」と持論を展開しているのは、かのスティーブン・スピルバーグ監督。確かに、劇場で観客が一体となって楽しんでこそ映画だという考えに、異論を唱えるファンはいないはずだ。昨年の授賞式では、司会者のジミー・キンメルをはじめ、多くの候補者たちが、会場に隣接する映画館にサプライズで“乱入”する楽しい演出もあった。映画館、そして映画ファンに感謝を示すためだ。「世界をひとつの大劇場に」Netflixの野望一方、Netflixはストリーミング配信を通して、国境を超えて、加入者が同じ作品を楽しみ、世界をひとつの大劇場にしようと試みている。もちろん、鑑賞のタイミングや視聴環境は、人それぞれ異なるわけだが、作品を観た人たちの声が、SNSなどで共有されることで、意見や感想、興奮や感動が大きく増幅されれば、映画の新たな価値が生まれるかもしれない(視聴時間やエリアに制限があるテレビ映画との大きな違いだ)。また、より多くの優良コンテンツを求めるNetflixとしても、グローバルな市場を通じて、世界各地に散らばる才能にダイレクトにアプローチし、出資などのチャンスを与えられるというメリットがある(だからこそ、Netflixはアカデミー賞にこだわるのだ)。若いクリエーターがいきなり、世界を相手に勝負できるのもNetflixの強みだ。今年の短編ドキュメンタリー賞を獲得した『ピリオド/羽ばたく女性たち』もNetflix作品である。“垣根”を取り払おうと努めるアカデミー賞興味深いのはNetflix作品に対して、あからさまな拒否反応を見せるカンヌ国際映画祭などとは違い、アカデミー賞がすんなり『ROMA/ローマ』を作品賞候補にした寛容さだ。もちろん、第75回ヴェネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞に輝き、前哨戦である第76回ゴールデングローブ賞で外国語映画賞と監督賞を受賞した実績から考えれば、評価されて当然だが、「そしたら、配信映画部門、作ろうぜ」とならないことを不思議に思う人もあるかもしれない。いま、アカデミー賞は多様性が進む時代に追いつくため、様々な“垣根”を取り払おうと努めている段階だ。作品賞候補となった8本からも、それは明らかで、10年前、いや5年前では考えられないラインアップになっている。監督賞候補も、出身や人種はかなりバラバラ。また、例年以上に、多くの女性がオスカー像を手にしたのも今年の特徴だ。そうした変化の一環として、Netflixをはじめとする配信映画も、ことさら特別視しないというのが、いまのアカデミー賞の考え方なのだろう。それが正しいことなのか、そうでないのかは分からない。それでも、オスカーに吹き荒れた『ROMA/ローマ』旋風は、アカデミー賞が、いまも変わり続けている象徴であることに間違いはない。(text:Ryo Uchida)■関連作品:【Netflixオリジナル】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflixオリジナル】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミングNetflixオリジナル映画「ROMA/ローマ」 2018年12月14日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング開始
2019年02月25日ノミネート作品や受賞者にハリウッドの多様性が反映された第91回アカデミー賞。レッドカーペットに集ったセレブたちのドレスは今年もカラフルで華やかだった。主演女優賞を受賞したオリヴィア・コールマン(『女王陛下のお気に入り』)は「プラダ(Prada)」のカスタムドレス。深いグリーンのハイネックのドレスにグレーのドレープがついたデザイン。助演女優賞を受賞したレジーナ・キングは「オスカー・デ・ラ・レンタ(Oscar de la Renta)」。ストラップレスでスリットが大胆に入ったデザインだ。『アリー/ スター誕生』の「Shallow」で歌曲賞を受賞し、主演女優賞候補でもあったレディー・ガガはレッドカーペットでは「アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)」のストラップレスのブラックドレス。オードリー・ヘプバーンが『ティファニーで朝食を』(61)の劇中でつけた「ティファニー(Tiffany & Co.)」のイエロー・ダイアモンド128.54カラットをあしらった推定3000万ドルのネックレスとイヤリングを合わせた。助演女優賞候補だったエマ・ストーン(『女王陛下のお気に入り』)は「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」の赤銅色のメタリックで、80年代風の肩を強調したデザイン。レイチェル・ワイズ(『女王陛下のお気に入り』)は「ジバンシィ(Givenchy)」のオートクチュールで、上がラテックス、下がチュールという異素材の赤のドレス。エイミー・アダムスは「アトリエ・ヴェルサーチ(Atelier Versace)」のストラップレスのシルバードレス。プレゼンターを務めたジェニファー・ロペスもシルバードレス。ハイネック+ロングスリーブで全身にフィットした「トム・フォード(Tom Ford)」のドレスは、ミラーのように輝いていた。同じくプレゼンターだったブリー・ラーソンは「セリーヌ(Celine)」のシルバー。こちらはスリットの大きく入ったデザインだった。Netflixのオリジナルシリーズで、全米でも人気沸騰中のコンマリこと近藤麻理恵は「ジェニー・パッカム(Jenny Packham)」のピンクのレースドレスをキュートに着こなした。ピンクは今年のトレンドで、作品賞のプレゼンターとして登場したジュリア・ロバーツは「エリー・サーブ(Elie Saab)」のワンショルダーのドレスをチョイス。アンジェラ・バセット(『ブラック・パンサー』)は「リーム・アクラ(Reem Acra)」、ジェンマ・チャン(『クレイジー・リッチ!』)はたっぷりしたデザインの「ヴァレンティノ(Valentino)」、ヘレン・ミレンやサラ・ポールソンも鮮やかなフューシャ・ピンクを選んだ。女性のみならず、ヘレンと一緒にプレゼンターを務めたジェイソン・モモアの装いもピンク。「フェンディ(Fendi)」の薄いピンクのスーツはベルベット製で、以前から愛用のシュシュとおそろい。ステージ上でヘレンは「ジェイソンと私はおそろいにしたんじゃないのよ。でもハワイの神とイギリスの熟女が同じ色を着る時代になったんです」とスピーチした。肩やデコルテをきれいに見せるデザイン、そしてパンツルックもトレンド。助演女優賞候補だったマリーナ・デ・タビラは赤のストラップレスドレス、歌曲賞候補の「I’ll Fight」(『RBG 最強の85才』)を歌ったジェニファー・ハドソンは「エリー・サーブ(Elie Saab)」のワンショルダーのレッドドレスでカーペットに登場した。短編アニメ賞のプレゼンターを務めたオークワフィナは「ディースクエアード2(Dsquared2)」のパンツスーツ。エルシー・フィッシャー(『Eighth Grade(原題)』)はスリーピースのブラック・スーツ。エイミー・ポーラーは「アルベルタ フェレッティ(Alberta Ferretti)」。『ある女流作家の罪と罰』で主演女優賞候補だったメリッサ・マッカーシーもパンツルック。「ブランドン・マックスウェル(Brandon Maxwell)」のカスタムのツーピースで、長いケープのついた白のトップスに黒のワイドパンツというスタイルだった。7度目のノミネートで本命視されていた主演女優賞候補のグレン・クローズ(『天才作家の妻40年目の真実』)は「キャロリーナ・ヘレラ(Carolina Herrera)」のゴールド一色のドレス。彼女自身が長いケープをまとったオスカー像のような輝きを放っていただけに、今回も受賞を逃したのがなんとも残念だ。同じく主演女優賞候補だったヤリッツァ・アパリシオ(『ROMA/ローマ』)は「ロダルテ(Rodarte)」のミントグリーンのワンショルダー。シャーリーズ・セロンは黒髪のボブカットに背中が大胆にあいたブルーグレイのドレス。ミューズを務める「クリスチャン・ディオール(Christian Dior)」のオートクチュールで、エマ・ストーンと同じく肩を強調したデザインだ。男性陣で何と言っても注目を集めたのは、2013年にドラァグクイーンを演じた「キンキーブーツ」でトニー賞を受賞したビリー・ポーター。ハリウッドのレッドカーペットでは男性はタキシード、女性はロングドレスが不文律。だが、ビリーが着ていたのは、上半身は蝶ネクタイのタキシードだが下半身は裾が大きく広がったロングスカートというデザインの、「クリスチャン・シリアノ(Christian Siriano)」のタキシード・ボールガウンドレス。「オスカー・ハイマン(Oscar Heyman)」の20カラットのダイアモンドの指輪を合わせた、このユニークなスタイルは今年度のベストドレッサーという声も上がっている。主演男優賞受賞のラミ・マレックは「サンローラン(Saint Laurent)」のオーソドックスなタキシードを着用。奇を衒わずに綺麗に着こなした。助演男優賞受賞のマハーシャラ・アリは「エルメネジルド・ゼニアXXX(Ermenegildo Zegna XXX)」のブラックスーツ。イスラム教徒である彼はムスリムの帽子「クフィ」を合わせた。『女王陛下のお気に入り』に出演したニコラス・ホルトは「クリスチャン・ディオール(Christian Dior)」。ボディをクロスするようなトレインがついたユニークなデザインのブラックスーツが長身に似合っていた。同作で共演のジョー・アルウィンは「トム・フォード(Tom Ford)」のベーシックなタキシードを選んだ。『ブラックパンサー』のチャドウィック・ボーズマンは「ジバンシィ(Givenchy)」のオートクチュールのロングジャケット。クリス・エヴァンスやマイケル・B・ジョーダンも着ていたベルベットのジャケットが今年のトレンドだった。(text:Yuki Tominaga)
2019年02月25日米国時間24日、第91回アカデミー賞授賞式が行われ、レディー・ガガが「シャロウ 〜『アリー/ スター誕生』 愛のうた」で歌曲賞を受賞した。主演女優賞こそ逃したものの、ブラッドリー・クーパーと披露した劇中さながらのパフォーマンスは絶賛され、ガガのハリウッドでの存在感はさらに増したと言えよう。注目は彼女の胸元にも集まっていた。まばゆく輝く巨大なイエローダイヤのネックレスだ。PEOPLE誌によると、石の大きさはなんと128カラット。ティファニーの創業者チャールズ・ルイス・ティファニー自身が141年前に南アフリカで採掘したもので、その価格は3,000万ドル(約33億円)にも上る。このネックレスが貸し出されるのは、1961年に『ティファニーで朝食を』のプレスツアーでオードリー・ヘップバーンが着用して以来のことだという。ティファニーのチーフ・アーティスティック・オフィサーを務めるリード・クラッコフは、「レディー・ガガは突出したクリエイターであり、イノベイターであり、ルール・ブレイカーです。そんな彼女に、ティファニーの伝説的なダイヤモンドを、141年前に発掘されて以来初めてレッドカーペットで着けてもらえることに大変喜びを感じています」とPEOPLE誌にコメントを発表している。
2019年02月25日毎年アカデミー授賞式で各部門の候補者に配られ、「あまりにもゴージャス」と話題になる「おみやげバッグ」。「The Independent」によれば、「おみやげバッグ」の提供者でロサンゼルスを拠点とするマーケティング会社の「Distinctive Assets」は、このバッグを「“みんなが勝者”バッグ」と呼んでおり、「決して価格で圧倒しようとしているわけではなく、ハリウッドで活躍する人たちの才能を祝福し、報いるための『楽しくてお祭りムードあふれるおみやげ』なんです」と語っているとのこと。しかし、今年の総額は破格の「6桁」(日本円で1千万円以上)で、圧倒されてしまう中身が詰まっている。最も高価とみられるのは、アマゾン、ガラパゴス、アイスランド、コスタリカ&パナマのいずれかの地への“豪華なスモール・シップでの船旅”。旅行関連ではほかに、高級リゾート地で1週間のんびり過ごせるギリシャ旅行、スパ&トレーニング施設が充実しているカリフォルニアの健康リゾートホテルに1週間滞在することもできる。変わり種としては、あらゆる“恐怖症”を克服させる世界的エキスパートのカリオープ・バーリスとのプライベート・セッション、ロサンゼルスで最初にできたマリファナの愛好クラブのVIP会員権など。そのほか、チョコやクッキーのこまごまとしたものやヘアケア、ビューティーケアアイテムなど。たとえ受賞できなくともご褒美を満喫できる。(Hiromi Kaku)
2019年02月25日第91回アカデミー賞授賞式が2月25日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催された。本稿では「注目すべき瞬間」として5つのエピソードを紹介する。幕開けはクイーン!「We Will Rock You」に客席総立ち30年ぶりの司会者不在となった今回、どのように授賞式が幕を開けるか注目されていたが、先陣を切ったのは『ボヘミアン・ラプソディ』で熱い視線を浴びる「クイーン+アダム・ランバート」のライブパフォーマンスだった。披露されたのは「We Will Rock You(ウィ・ウィル・ロック・ユー)」「We Are the Champions(伝説のチャンピオン)」の2曲。まさに、映画界の“チャンピオン”を称えるセレモニーにふさわしい演出に、会場も大盛り上がり。最後は、映画の主人公でもある故フレディ・マーキュリーの映像も登場し、大きな拍手が送られていた。本作は主演男優賞をはじめ、編集賞、録音賞と音響編集賞の最多4冠に輝いた。受賞は逃すも存在感はバツグン!日本映画の“これから”に大きな期待外国語映画賞にノミネートされた『万引き家族』(是枝裕和監督)、長編アニメ映画賞候補となった『未来のミライ』(細田守監督)はともに受賞を逃した。どちらの部門も、受賞した“大本命”が強すぎたことを考えると、善戦したといえるだろう。実際、両作品とも全米で高い評価を獲得しており、パワフルな存在感を残す結果になった。共通するのは鮮明な作家性と、家族という普遍的なテーマ。今年のアカデミー賞は、日本映画の“これから”に期待したくなる、大きな転機となったはずだ。映画人を追悼する“In Memoriam”今年は高畑勲監督、脚本家の橋本忍さんらこの1年間で亡くなった映画人に哀悼をささげる“In Memoriam”には、今年もさまざまな分野で活躍し、映画業界を支えた先人たちが紹介された。アカデミー賞監督賞に輝くベルナルド・ベルトルッチ(『ラスト・エンペラー』)、ミロス・フォアマン(『アマデウス』)をはじめ、日本からはアニメーション監督の高畑勲さん、脚本家の橋本忍さんの姿がスクリーンに投影された。『ブラックパンサー』が作品賞候補となった記念すべき年、スタン・リーが追悼された瞬間も忘れ難い。一方、毎年恒例だが「なんで、この人、追悼しないの?」という疑問や怒りの声がSNS上には広がっており、特に80年代『グレムリン』『ターミネーター』などでいい味出していたディック・ミラー、90歳を超えても現役で活躍した女優のキャロル・チャニング、「スポンジ・ボブ」の原作者であるスティーブン・ヒレンバーグ氏、初期の『スター・ウォーズ』シリーズを手がけた名プロデューサー、ゲイリー・カーツらが省かれたことに、異論が巻き起こっている。『ブラックパンサー』が3部門受賞!ヒーロー映画を今後はどう扱う?スーパーヒーロー映画として、初めて作品賞候補に挙がり、話題を集めた『ブラックパンサー』はノミネートされた6部門のうち、作曲賞、美術賞、衣装デザイン賞の計3冠に輝いた。これまでの傾向を考えると、美術賞や衣装デザイン賞は、18世紀のイギリス王室を舞台にした『女王陛下のお気に入り』が本命だったはずで、アカデミー会員の好みの変化がうかがえる。『ブラックパンサー』旋風の裏側には、アフリカ系アメリカ人の強い思いも反映されているが、アカデミー賞にとっては、今後ヒーロー映画をどう扱うべきかの試金石となったはずだ。なお、本作で歌曲賞候補になったケンドリック・ラマーは、スケジュールの都合で受賞式を欠席し、「オール・ザ・スターズ」の披露はなかった。「過去最高のオスカー」の声も?司会者不在で授賞式は、すこぶるスムーズ第91回アカデミー賞の授賞式といえば、最大の関心事はやはり司会者不在。ケヴィン・ハートの降板が決定されると、その後は『アベンジャーズ』の面々が代わる代わる進行を担当するといった報道もあったが、ふたを開けると、司会不在を埋めるような仕掛けはなく、パフォーマンスをはさみながら、各賞のプレゼンターが登場し、結果を発表するという至って、シンプルな構成となった。この件に関して、SNSで「without a host」(司会者不在)と検索してみると、「司会者がいないほうが良い」「司会者がいないと、いかにスムーズに進行するかがわかった」「つまらないジョークを聞かずに済む」「過去最高のオスカー授賞式」など、意外にも好意的な意見が多く見受けられる。もちろん「実況無しで試合を見ているみたい」とさみしさを訴える声もあるが、放送する米ABCにとっては、悩みの種だった放送時間が、今年は大幅に短縮される結果に。高額なギャランティも考えると、司会者不在が既定路線になる可能性は大いにありそうだ。(text:Ryo Uchida)
2019年02月25日「第91回アカデミー賞」の授賞式が25日(現地時間24日)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターにて開催され、『ボヘミアン・ラプソディ』(公開中)が最多4冠を達成した。『ボヘミアン・ラプソディ』は、クイーンのボーカルであるフレディ・マーキュリーの生き様を描いた映画。主演男優賞(ラミ・マレック)をはじめ、編集賞、音響編集賞、録音賞の4部門を受賞した。作品賞に輝いたのは『グリーンブック』。天才黒人ピアニストが、粗野なイタリア系用心棒を雇い、黒人専用ガイドブック“グリーンブック”を頼りに、あえて差別の色濃い南部へコンサート・ツアーへ繰り出す物語で、同作は助演男優賞(マハーシャラ・アリ)と脚本賞も受賞し、3部門を獲得した。監督賞は『ROMA/ローマ』のアルフォンソ・キュアロンが獲得。同作は、外国語映画賞、撮影賞と3部門の受賞となった。○第91回アカデミー賞 受賞結果一覧作品賞:『グリーンブック』監督賞:アルフォンソ・キュアロン『ROMA/ローマ』主演男優賞:ラミ・マレック『ボヘミアン・ラプソディ』主演女優賞:オリヴィア・コールマン『女王陛下のお気に入り』助演男優賞:マハーシャラ・アリ『グリーンブック』助演女優賞:レジーナ・キング『ビール・ストリートの恋人たち』外国語映画賞:『ROMA/ローマ』製作国:メキシコ脚本賞:『グリーンブック』脚色賞:『ブラック・クランズマン』撮影賞:『ROMA/ローマ』編集賞:『ボヘミアン・ラプソディ』美術賞:『ブラックパンサー』衣装デザイン賞:『ブラックパンサー』メイク・ヘアスタイリング賞:『バイス』作曲賞:『ブラックパンサー』歌曲賞:「Shallow」『アリー/スター誕生』録音賞:『ボヘミアン・ラプソディ』音響編集賞:『ボヘミアン・ラプソディ』視覚効果賞:『ファースト・マン』長編アニメ映画賞:『スパイダーマン:スパイダーバース』長編ドキュメンタリー:『フリー・ソロ(原題)』短編ドキュメンタリー賞:『ピリオド羽ばたく女性たち』短編アニメ映画賞:『Bao』短編実写映画賞:『スキン(原題)』WOWOWプライムでは、2月25日21時から同授賞式の字幕版を放送。
2019年02月25日「クイーン+アダム・ランバート」のパフォーマンスによる「We Will Rock You」で幕開けした今年のオスカー。出席者たちは大盛り上がりで、ともに主演女優賞候補だったレディー・ガガは手拍子をとりながら身体を揺らし、グレン・クローズは「ロック・ユー!」の歌詞の部分でガッツポーズ。続く「We Are the Champions」はしっとりと、かつ力強く歌い上げるアダムの姿を、『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディ・マーキュリーを演じて主演男優賞候補だった(のちに受賞!)ラミ・マレックが感慨深げに見つめていた。パフォーマンスが終わると客席は総立ちで大きな拍手を送った。歌曲賞を受賞したレディー・ガガ&ブラッドリー・クーパーによる「Shallow」(『アリー/スター誕生』より)のパフォーマンスは、「ロマンティックで2人のケミストリーが素晴らしすぎる」と涙する人続出。後半、ピアノの弾き語りをするガガにブラッドリーが歩み寄り、肩を並べてデュエットを披露。情熱的に歌い上げ、顔を寄せ合う2人が「キスしちゃうんじゃないか!」と思った人も多かったようだ。そのほか歌曲賞にノミネートされていた5曲のうち、『RBG』(原題)から「I’ll Fight」、『メリー・ポピンズ リターンズ』から「The Place Where Lost Things Go」、『バスターのバラード』から「When a Cowboy Trades His Spurs For Wings」のパフォーマンスが行われた。 残る1曲の「All the Stars」(『ブラックパンサー』)は、ケンドリック・ラマーとSZAの都合がつかず披露されなかった。(Hiromi Kaku)
2019年02月25日第91回アカデミー賞授賞式が2月25日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、日本でも大ヒット中の『ボヘミアン・ラプソディ』が主演男優賞をはじめ、最多4部門を受賞し、今年の“チャンピオン”に躍り出た。世界的人気ロックバンド「クイーン」のボーカリストで、1991年に45歳で亡くなったフレディ・マーキュリーを描いた伝記ドラマ。移民であり、性的少数者であるフレディの激動の半生同様、本作も監督の降板劇など、完成まで多難な道のりを歩んだ。公開直後、批評家の評判はイマイチだったが、映画ファンは熱狂的に迎え入れ、一大旋風を巻き起こしたことはご存知の通り。ここ日本でも、洋画の音楽映画としては異例の興収116億円を突破し、いまも記録を更新中だ。そんな『ボヘミアン・ラプソディ』は、フレディを“完コピ”したラミ・マレックが主演男優賞をはじめ、編集賞、録音賞と音響編集賞の最多4冠に輝く快進撃!難航した映画製作をふり返ると、やはり編集の力は評価されて当然だと思えるし、迫力のライブシーンを生み出したサウンド面の技術者たちに光が当たったことも喜ばしい。本作は一見、オーソドックスな伝記ものかもしれないが、根底にあるのは、マイノリティが抱える葛藤と苦闘だった。つまり、近年のアカデミー賞でやっと注目され始めた多様性のエッセンスが随所に散りばめられた、現代的な作品だったのだ。そのことにいち早く気づいたのが、批評家ではなく、ファンだった…という点は、クイーンのブレイク伝説にも重なるものがあるだろう。とにかく、まだまだ盛り上がりが収まらない予感の『ボヘミアン・ラプソディ』。特に現在も劇場上映が続く日本では、どこまで興収を伸ばすか注目される。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ボヘミアン・ラプソディ 2018年11月9日より全国にて公開© 2018 Twentieth Century Fox
2019年02月25日「第91回アカデミー賞」の授賞式が25日(現地時間24日)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、レディー・ガガとブラッドリー・クーパーが『アリー/スター誕生』の「Shallow」をデュエットで熱唱した。『アリー/スター誕生』は、歌手を夢見るものの、自分に自信がなく夢を諦めかけていたアリー(ガガ)が、有名ミュージシャンのジャクソンとの偶然の出会いから人生が大きく変わっていく物語。ブラッドリー・クーパーが監督を務め、ジャクソン役も演じた。アカデミー賞のステージで、主題歌「Shallow」をデュエットで熱唱。グランドピアノで弾き歌うガガにブラッドリーが歩み寄り、映画のワンシーンが飛び出したような圧倒的かつ濃密なパフォーマンスに、さながらライブ会場のような熱気に包まれた。その後、歌曲賞の発表が行われ、同楽曲が受賞。ガガは涙を流して喜び、ブラッドリーをはじめとする仲間に感謝の言葉を伝えた。その他の歌曲賞ノミネーション曲の紹介では、 ジリアン・ウェルチ/デヴィッド・ローリングスが『バスターのバラード』より対象曲「When a Cowboy Trades His Spurs for Wings」を披露した。WOWOWプライムでは、2月25日21時から「第91回アカデミー賞」授賞式の字幕版を放送。(C)Getty Images
2019年02月25日第91回アカデミー賞授賞式が2月25日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、作品賞にピーター・ファレリー監督の『グリーンブック』が輝いた。■「トロント国際映画祭の観客賞=アカデミー賞確実」説を立証!第91回アカデミー賞では作品賞をはじめ、主演男優賞(ヴィゴ・モーテンセン)、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)、脚本賞、編集賞の5部門にノミネートされ、3部門に輝いた。近年、アカデミー賞を占う上で最も注目されるトロント国際映画祭で、最高賞にあたる観客賞を受賞したのを皮切りに、賞レースを席巻した本作。第76回ゴールデン・グローブ賞で作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、助演男優賞、脚本賞の最多3部門を受賞し、PGA(アメリカ映画製作協会)でも作品賞に輝いていた。ちなみに、この数年だけでも『スリー・ビルボード』(第90回アカデミー賞2冠)、『ラ・ラ・ランド』(第89回アカデミー賞6冠)、『ルーム』(第88回アカデミー賞主演女優賞)、『それでも夜は明ける』(第86回アカデミー賞作品賞含む3冠)などが、トロント国際映画祭で観客賞に輝いている。■『グリーンブック』ってどんな映画?1962年、イタリア系白人運転手トニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は用心棒の仕事を失い、黒人の天才ジャズピアニストであるドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)の運転手として雇われることに。あえて黒人差別が根深いアメリカ南部でコンサートツアーを敢行するドクター・シャーリーとともに、衝突しながら旅を続け、不思議な友情を育んでいく。実話をもとに、主人公トニー・リップ(本名はトニー・バレロンガ)の実の息子が製作・脚本を手掛け、『メリーに首ったけ』で知られるファレリー兄弟の兄、ピーター・ファレリー監督がメガホンをとった。タイトルの『グリーンブック』とは、当時の黒人が安全に旅をするために欠かせなかった、黒人向け旅行ガイドブックのこと。■受賞コメント「ありがとう!この物語は、まさに愛を描いています。伝えたいのは、いろいろな違いがあったとしても、お互いに愛し合うことができる。そして、わたしたちがみんな、同じ人間だということです。何より、(主演男優賞候補になった)ヴィゴ・モーテンセンなくして、この映画は存在しませんでした。この映画があること、賞を受賞したことも、彼のおかげなのです。」『グリーンブック』は3月1日(金)から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:グリーンブック 2019年3月1日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開© 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.
2019年02月25日「第91回アカデミー賞」の授賞式が25日(現地時間24日)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレックが主演男優賞を受賞した。同作で、クイーンのボーカルであるフレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックが受賞。スピーチでは「信じられない。みなさん大好きです。すべてに感謝です」と喜びを爆発させた。主演男優賞は、ラミ・マレックのほか、『バイス』のクリスチャン・ベイル、『アリー/スター誕生』のブラッドリー・クーパー、『永遠の門 ゴッホの見た未来』のウィレム・デフォー、『グリーンブック』のヴィゴ・モーテンセンがノミネートされていた。WOWOWプライムでは、2月25日21時から「第91回アカデミー賞」授賞式の字幕版を放送。(C)2018 Twentieth Century Fox
2019年02月25日第91回アカデミー賞授賞式が2月25日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、Netflix配信作品『ROMA/ローマ』のアルフォンソ・キュアロンが監督賞に輝いた。キュアロンの同賞受賞は『ゼロ・グラビティ』以来2度目となる。■昨年はデル・トロが!メキシコ人監督の快進撃は続く第86回アカデミー賞で監督賞をはじめ、7冠に輝いた『ゼロ・グラビティ』のキュアロン監督が、脚本と撮影も手掛けた最新作。1970年代のメキシコ・ローマ地区を舞台に、中産階級の家庭の家政婦として働く若い女性クレオ(ヤリッツア・アパリシオ)の視点から、激動の1年の出来事を美しいモノクロ映像で描いた半自伝的なヒューマンドラマだ。ちなみに、昨年『シェイプ・オブ・ウォーター』でギレルモ・デル・トロが第90回アカデミー賞監督賞に輝いており、2年連続でメキシコ出身の監督が栄冠を手にした。第87回、第88回はメキシコ出身のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥが2年連続で監督賞を受賞しているので、つまり“ほぼ同世代で同郷の3人”が第86回、第87回、第88回、第90回、第91回の監督賞を分け合っている(第89回は『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督)。■受賞コメント「みなさんのおかげで、現地の女性たちに焦点を当てたこの映画が成功しました。約7000万人の女性たちが、移民として働いていますが、過去に映画で描かれたとしても、背景でしかなく、主役ではありませんでした。私たちの責任は、ますます重要になっていますし、目をそらしてはいけない時代なのです。心から家族、そしてメキシコに感謝します。」(text:cinemacafe.net)■関連作品:Netflixオリジナル映画「ROMA/ローマ」 2018年12月14日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング開始
2019年02月25日第91回アカデミー賞授賞式が2月25日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、『女王陛下のお気に入り』のオリヴィア・コールマンが主演女優賞を初受賞した。■オスカーレースの先頭を走り続けた“貫録”の受賞18世紀イングランドの王室を舞台にした愛憎劇で、コールマンは絶対的権力を握りながら、過食による痛風に悩まされるアン王女を演じた。わがままで高圧的な態度と、気まぐれな無慈悲さ。その裏にある孤独をときにユーモラス、ときにグロテスクに表現した演技は、映画の公開直後から高く評価された。第75回ヴェネチア国際映画祭の女優賞を皮切りに、全米映画批評家協会賞、ロンドン映画批評家協会賞、英国アカデミー賞の主演女優賞、第76回ゴールデン・グローブ賞(ミュージカル・コメディ部門)の女優賞にも輝き、終始オスカーレースの先頭を走り続けた。“貫録”の初受賞だ。■『女王陛下のお気に入り』ってどんな映画?第89回アカデミー賞の脚本賞にノミネートされた『ロブスター』で一躍脚光を浴びたギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモス監督の最新作。コールマン演じる“女王陛下”の寵愛をめぐって、アン王女の政治顧問を務め実権を握るレディ・サラ(レイチェル・ワイズ)、サラの従妹で、貴族の地位に返り咲く機会を狙うアビゲイル(エマ・ストーン)が熾烈な女のバトルを繰り広げる。第91回アカデミー賞では作品賞をはじめ、監督賞、脚本賞、主演女優賞、助演女優賞(レイチェル・ワイズ、エマ・ストーン)、撮影賞、衣装デザイン賞、編集賞、美術賞の計9部門(10ノミネート)で候補に挙がっている。■受賞コメント「もー、(待っている間)ストレスがたまるわね。奇妙な話だけど、わたし、オスカー像を持っているわ!感謝を言わなくてはね。まずはヨルゴス・ランティモス監督、そして、レイチェル・ワイズとエマ・ストーン。2人との恋に落ちたくなる女性だわ。そして(受賞を逃した)グレン・クローズ!ずっとわたしの憧れよ。エージェント、両親にも感謝ね。子どもたちは家で見ているかしら…。こんなこと、2度と起きないわ。わたしはかつては清掃員をしていて…、あっ、コメントを締めろって言われたわ(笑)。夫は25年間、支えてくれたわね。あら、泣きそうね。わたしは泣かないわ!」『女王陛下のお気に入り』は全国公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:女王陛下のお気に入り 2019年2月15日より全国にて公開(C)2018 Twentieth Century Fox
2019年02月25日第91回アカデミー賞授賞式が2月25日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックがアカデミー賞主演男優賞に輝いた。本作でフレディを演じたラミ・マレックは、アカデミー賞の行方を占う前哨戦の1つ、第76回ゴールデン・グローブ賞でも主演男優賞を受賞している。役作りのため、体重を約20キロ激増させたクリスチャン・ベイルが有力視されていたが、ラミはアカデミー賞初ノミネートにして、有力候補を抑えての受賞を果たした。■『ボヘミアン・ラプソディ』とは?伝説のバンド「クイーン」のリードボーカル、フレディ・マーキュリーの生き様を描いた本作。日本でも大ヒットを記録し、日本国内興行収入116.6億円を突破(2019年2月18日時点)。2018年に公開された作品の興行収入ランキング第1位にも輝いた。本作のクライマックスで登場するライヴ・エイドは、1985年7月13日に英米で同時開催された20世紀最大のチャリティ音楽イベント。英ロンドンのウェンブリー・スタジアムに登場した「クイーン」は「ボヘミアン・ラプソディ」など計6曲を披露、映画ではそのうち4曲のパフォーマンスが登場し、舞台装置やピアノの上のカップまで完全再現されたことが話題となった。受賞コメント「オー・マイ・ゴッド!今日はお母さんが来ているんだ、どこにいるかな?このとても特別な瞬間に感謝しています。僕にチャンスを与え、こうしてアカデミー賞に導いてくれた(プロデューサーの)グレアム・キング、20世紀フォックスのみんな、そしてクイーンの皆さん、どうもありがとう。こんなレガシー的な作品に、関わることができて感謝します。もちろん、優秀なスタッフなしに、僕はここに立つことができなかった。これは性的少数者であり、移民だった主人公が自分らしく生きたストーリーです。僕自身、エジプト系の移民です。こうしたストーリーを皆さんと共有できたことに感謝したいです」。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ボヘミアン・ラプソディ 2018年11月9日より全国にて公開© 2018 Twentieth Century Fox
2019年02月25日「第91回アカデミー賞」の授賞式が25日(現地時間24日)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、『スパイダーマン:スパイダーバース』が長編アニメ映画賞を受賞。細田守監督の『未来のミライ』は受賞を逃した。『スパイダーマン:スパイダーバース』は、ニューヨーク・ブルックリンを舞台にした、スパイダーマンであるが未だその力をコントロールできない少年マイルス・モラレスの物語。何者かによって時空が歪められる大事故が起こり、歪められた時空から全く異なる次元=ユニバースで活躍する様々なスパイダーマンたちが集まる。長編アニメ映画賞は、『スパイダーマン:スパイダーバース』、『未来のミライ』のほか、『インクレディブル・ファミリー』、『犬ヶ島』、『シュガー・ラッシュ:オンライン』がノミネートされていた。WOWOWプライムでは、2月25日21時から「第91回アカデミー賞」授賞式の字幕版を放送。
2019年02月25日第91回アカデミー賞授賞式が2月25日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、長編アニメーション映画賞に『スパイダーマン:スパイダーバース』が輝いた。ディズニー作品の7年連続となる同賞受賞は実現しなかった。■各映画賞を総なめ、大本命が有終の美!昨年12月に全米で公開されるや、映画ランキングで初登場第1位に輝き、メディアや批評家からも「スパイダーマン映画史上、最高傑作」と絶賛の声が相次いだ本作。アニメ界のアカデミー賞と称されるアニー賞で、長編作品賞をはじめ、候補になった7部門全てを受賞したほか、ニューヨーク映画批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞、英国アカデミー賞などで長編アニメ賞を獲得。第76回ゴールデングローブ賞でも、アニメ映画賞を手にしていた。まさに大本命として映画賞レースを牽引した本作が、アカデミー賞で有終の美を飾った形だ。■スパイダーマン、死す!そして“スパイダーバース”って何?“スパイダーマン”ことピーター・パーカーの突然の訃報で幕を開ける本作。悲しみに包まれるニューヨークに暮らす13歳の少年マイルスが、ピーターの遺志を継ぐ新たなスパイダーマンとして、闇社会に君臨するキングピンとの戦いに身を投じる。スパイダーバースとは、キングピンによって時空が歪められたせいで、異なる次元で活躍する“スパイダーマンたち”が集結する世界。彼らとの出会いを通した、マイルスの成長が物語の主軸となる。CGと手描きアニメの融合が生み出す、革新的なアニメーション描写はまさに「動くコミック」そのものだ。製作はソニー・ピクチャーズ アニメーション。『LEGO(R)ムービー』のフィル・ロード&クリストファー・ミラーがプロデューサーを務めている。■来年は早くもディズニーが大本命?第85回アカデミー賞の長編アニメーション映画賞を受賞した『メリダとおそろしの森』を皮切りに、『アナと雪の女王』『ベイマックス』『インサイド・ヘッド』『ズートピア』『リメンバー・ミー』と6年連続で同賞に輝いたディズニー作品は今年、受賞を逃した。ただ、2019年は『トイ・ストーリー4』&『アナと雪の女王』第2弾という超強力なラインアップが控えており、早く「来年はディズニー作品が本命」の声もあがっている。少々、先走った予測ではあるが、果たして結果は?『スパイダーマン:スパイダーバース』は3月8日(金)から全国で公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:スパイダーマン:スパイダーバース 2019年3月8日より全国にて公開
2019年02月25日第91回アカデミー賞授賞式が2月25日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、長編アニメーション映画賞にノミネートされていた細田守監督作『未来のミライ』は惜しくも受賞を逃した。オスカーを手にしたのは大本命だった『スパイダーマン:スパイダーバース』。日本では3月8日(金)より公開となる本作。全米公開初登場1位を獲得し、各メディアから「スパイダーマン映画史上最高傑作!」と絶賛を受け、アニメーション界のアカデミー賞と言われるアニー賞では長編アニメーション賞を含む最多7部門を受賞、ゴールデン・グローブ賞(アニメーション作品賞)も受賞し、アカデミー賞前哨戦で圧倒的な強さを見せていた。今年は『インクレディブル・ファミリー』、『シュガー・ラッシュ:オンライン』の2作品がノミネートされたアカデミー賞の常連“ディズニー”だが、『スパイダーマン:スパイダーバース』の受賞によりディズニー作品(ディズニー/ピクサー作品含む)連続の受賞記録が途絶えた。そのほか日本からのファンも多いウェス・アンダーソン監督の『犬ヶ島』がノミネートされていた。(text:cinemacafe.net)■関連作品:未来のミライ 2018年7月20日より全国東宝系にて公開ⓒ 2018 スタジオ地図
2019年02月25日「第91回アカデミー賞」の授賞式が25日(現地時間24日)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、『ROMA/ローマ』(製作国:メキシコ)が外国語映画賞を受賞。是枝裕和監督の『万引き家族』は受賞を逃した。外国語映画賞は、『ROMA/ローマ』(製作国:メキシコ)、『万引き家族』(製作国:日本)のほか、『カペナウム(原題)』(製作国:レバノン)、『COLD WAR あの歌、2つの心』(製作国:ポーランド)、『ネヴァー・ルック・アウェイ(原題)』(製作国:ドイツ)がノミネートされていた。WOWOWプライムでは、2月25日21時から「第91回アカデミー賞」授賞式の字幕版を放送。
2019年02月25日第91回アカデミー賞授賞式が2月25日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、『グリーンブック』のマハーシャラ・アリが助演男優賞を受賞した。同賞に輝くのは、第89回の『ムーンライト』に続いて2度目となる。■本作のために、短期間でピアノをマスター本作でアリが演じたのは、実在した天才黒人ピアニストのドクター・シャーリー。「本物の音楽を知るミュージシャン」を演じるため、短期間でピアノをマスターし、劇中でも感動的な演奏を披露した。また、高級マンションに暮らす富裕層でもあるシャーリーが「黒人でもなく白人でもなく…どう生きるのが正解だ?」と葛藤する姿をエモーショナルに演じきった。第76回ゴールデン・グローブ賞で助演男優賞に輝いていた。アリは現在公開中のSF超大作『アリータ:バトル・エンジェル』で、荒廃した下層世界の支配者で、主人公アリータの“破壊”を目論むベクターを演じているほか、長編アニメーション賞に輝いた『スパイダーマン:スパイダーバース』にも声の出演をしている。■『グリーンブック』ってどんな映画?1962年、イタリア系白人運転手トニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は用心棒の仕事を失い、黒人の天才ジャズピアニストであるドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)の運転手として雇われることに。あえて黒人差別が根深いアメリカ南部でコンサートツアーを敢行するドクター・シャーリーとともに、衝突しながら旅を続け、不思議な友情を育んでいく。実話をもとに、主人公トニー・リップ(本名はトニー・バレロンガ)の実の息子が製作・脚本を手掛け、『メリーに首ったけ』で知られるファレリー兄弟の兄、ピーター・ファレリー監督がメガホンをとった。タイトルの『グリーンブック』とは、当時の黒人が安全に旅をするために欠かせなかった、黒人向け旅行ガイドブックのこと。■受賞コメント「ありがとう。(自身が演じた天才ピアニスト)ドクター・シャーリーに感謝します。彼の人生のエッセンスを、自分の中に取り込みながら、彼の生きた証を表現したかった。パートナーであるヴィゴ・モーテンセン、リーダーシップを発揮してくれたピーター・ファレリー監督にも感謝したいです。そして、常に私を前向きに応援してくれた祖母にも感謝です」。第91回アカデミー賞では作品賞をはじめ、主演男優賞(ヴィゴ・モーテンセン)、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)、脚本賞、編集賞の5部門にノミネートされている。『グリーンブック』は3月1日(金)から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:グリーンブック 2019年3月1日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開© 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.
2019年02月25日第91回アカデミー賞授賞式が2月25日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、外国語映画賞にノミネートされていた是枝裕和監督作『万引き家族』は惜しくも受賞を逃した。オスカーを獲得したのはアルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』だ。Netflixにて配信中の『ROMA/ローマ』は昨年9月にヴェネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞。モノクロ映像でキャストも無名ながら、ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞ほか、前哨戦で健闘していた。第91回アカデミー賞には作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、脚本賞、美術賞、外国語映画賞、音響編集賞、録音賞、オリジナル脚本賞と最多10部門でノミネートされていた。ノミネート作品の中には日本の『万引き家族』のほかにレバノンの『Capernaum』、ポーランドの『COLD WAR あの歌、2つの心』、ドイツの『Never Look Away』(原題)が候補作として挙げられていた。■受賞した『ROMA/ローマ』とは?『ゼロ・グラビティ』のアルフォンソ・キュアロン監督の最新作であり、脚本、撮影までを手がけた渾身の作品。キュアロン監督自身の幼少期の体験も交え、1970年代のメキシコで中産階級の家庭の使用人として働く若い女性クレオの視点から、激動の1年の出来事をモノクロの映像で描いたヒューマンドラマ。受賞コメント「わたしは幼い頃から、外国語映画から多くのことを学びました。『市民ケーン』『ジョーズ』、(黒澤明監督の)『羅生門』、(フランス映画の)『勝手にしやがれ』などです。すべての作品が、同じ海に属していると言えるでしょう」。キュアロン監督は続けて、祖国メキシコや家族、ロケ地への感謝を述べた。(text:cinemacafe.net)■関連作品:Netflixオリジナル映画「ROMA/ローマ」 2018年12月14日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング開始
2019年02月25日第91回アカデミー賞授賞式が2月25日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、『ビール・ストリートの恋人たち』のレジーナ・キングが助演女優賞を初受賞した。■GG賞に続き、本命レジーナが混戦の助演女優賞を制す第89回アカデミー賞で作品賞に輝いた『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督が手掛ける最新作。1970年代、ニューヨークのハーレムを舞台にした本作でレジーナは、婚約者が無実の罪で投獄されてしまった妊娠中の娘を守ろうと奮闘する母・シャロンを力強く演じている。娘への愛と信頼、そしてお腹にいる命をつなぐため、持ち前の強さを発揮し、毅然と行動する姿が印象的だ。『女王陛下のお気に入り』のエマ・ストーン&レイチェル・ワイズ、今回通算5度目の助演女優賞候補にあがった『バイス』のエイミー・アダムスら強豪ひしめく混戦のなか、第76回ゴールデン・グローブ賞で助演女優賞に輝いていたレジーナが一歩抜け出し、オスカーを手に入れた。■『ビール・ストリートの恋人たち』ってどんな映画?原作はオバマ前・米国大統領やマドンナらが敬愛する作家、ジェームズ・ボールドウィンの小説。長年映画化を望んでいたジェンキンス監督が、『ムーンライト』の撮影以前に脚本を執筆し、権利を獲得した念願の企画だ。主人公のカップル、ティッシュとファニーにはオーディションで抜擢された新人女優キキ・レインと、『栄光のランナー/1936ベルリン』でジェシー・オーエンス役を演じたステファン・ジェームス。命をめぐる試練に、若い男女が愛と信念を貫く姿が、情感あふれる圧倒的な映像美と叙情的な音楽で描き出していく。第91回アカデミー賞では助演女優賞をはじめ、脚色賞、作曲賞の計3部門で候補に挙がった。■受賞コメント「すばらしいアーティスト、(原作者の)ジェームズ・ボールドウィンに代わって、ここに立てるなんて、本当に信じられません。(劇中で演じた母親のように)愛とサポートを注げば、こういう結果が生まれるという良き手本になれたと思います。お母さん、心から愛しています。」『ビール・ストリートの恋人たち』はTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ビール・ストリートの恋人たち 2019年2月22日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開©2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.
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