ディオール(Dior)は、2017年春夏オートクチュールコレクションをパリ・ロダン美術館で発表した。会場内には青々とした草花が敷き詰められ、天井からは色とりどりのリボンを結んだライトが吊るされている。まるでおとぎ話のような世界を構築するインスピレーションとなったのは「迷宮」である。アーティスティック ディレクターのマリア・グラツィア・キウリにとって、初めてのオートクチュールコレクションとなった2017年春夏。伝統と歴史あるメゾンの中に踏み入れ、オートクチュールという新しいチャレンジに挑む自身の姿を、複雑に入り組み、抜け出すことはほぼ不可能な「迷宮」と重ね合わせた。出発時点のエピソードを耳にすると、困難な道のりのように聞こえるが、出来上がった世界は、詩的な表現と少しの毒っ気が混じり合い、とてもマリアらしく仕上がっているように感じる。始まりはワイドなクロップドパンツ、丸襟のショートジャケット、フード付きトップスなどを並べた男性性を香らせるブラックルック。フェミニンなタキシードといった表現がぴったりのピースでデビューショーの勝負に挑む。シックな世界に浮かぶマスクやハットも、ゴシックなアクセントとなり、新鮮味を差し込んでくる。ほどかれたレースをのせたオーガンザ、プリーツをあしらったチュールといったフェミニンな素材と複雑なカッティングによる新解釈が得意なようで、ムッシュの“8ライン”を想起させるジャケットもヘムラインや装飾で遊びを加え、モダンによみがえらせている。かの有名な「バージャケット」は分解されケープの姿へ。ドレスは、ムッシュの時代から大切にし続けている“フラワー”をポイントにした。花のモチーフをブルーやピンク、グレーといったパウダーカラーのチュールの間に差し込み、さらに上からチュールを重ね、まるで植物標本のように花の命を保存する。ドレスの上にも刺繍で花々が加えられ、さらにムッシュが好んだタロットカードのモチーフで彩りを添えた。花々、植物、寓意的なイメージが散りばめられた姿は、「迷宮」のように魅惑的な力と神秘的な輝きに満ちている。
2017年01月23日ディオール(Dior)が、パリで開催する、アーティスティック ディレクター マリア・グラツィア・キウリ初のオートクチュールコレクションをライブストリーミングで配信する。日本時間1月23日22時半(現地時間23日14時半)より。※会場の状況により開始が遅れる場合あり。 ■閲覧にはAdobe Flash Playerが必要です。ストリーミング動画URL:()動画引用元: (ディオールオフィシャルYouTube:
2017年01月23日ユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO) が2016年秋冬オートクチュールコレクションを、2016年10月21日(金)に東京・表参道ヒルズで発表。去る7月に開催された、パリでのオートクチュールコレクションで披露されたウェアが国内初公開となった。なお、今回の展示は10月22日(土)に会場の表参道ヒルズで一般公開される。「UNKNOWN(未知なるもの)」というテーマの元、彼自身が訪れたアイスランドの地に着想を得て、その幻想的な風景を表現。氷・海・オーロラなどの色彩をウェアに落し込んだ。ショー会場は近未来的で、まるで地球外のような不思議な空間。登場したドレスやポンチョは「ホログラムフィルム」素材を使用し、折り紙のようなパーツが張り合わされて、出来上がっている。光の当たり方で、キラキラと輝きながら様々な色彩に変化していき、その姿はまさにオーロラだ。魔法をかけられたように、惹きつけられていく。アシメントリーのトップスのほか、パンツや体に張り付くタイトなロングドレスには、伝統工芸「江戸切子」のデザインを取り入れ、遠目から見るとまるでウロコのように見える。そんなウェアに合わせられたブーツにも「ホログラムフィルム」を採用した。つま先とかかと部分から繋がる、ユニークなヒールも全体のフューチャリスティックな雰囲気を加速させている。最新テクノロジーと伝統技術の融合による、“未来を感じさせるオートクチュール”。その魅惑的な姿は、ぜひ足を運んで直接見てもらいたい。
2016年10月24日ヴァレンティノ(VALENTINO)の2016-17年秋冬オートクチュールコレクションは、「世界劇場」というアイディアのもと、ウィリアム・シェイクスピア没後400年を迎えた年に、彼の持つ“人間の心の奥底を読み取り、それを鮮明に描写する才能”に注目した。シェイクスピアは、世界で最も知られている劇作家。物語や主人公の魅力だけでなく、たったひとつの感情で民衆をひとつにし、時は違っても、それを表現し感じられることに2人のクリエイティブ ディレクターは魅了され、創作へと駆り立てられた。コレクションを織り上げる赤い糸は、個人の内面的な多様性と複雑さを表している。それぞれのドレスは、ミニマルでデザインでありながらも、魂の叫びをあわらし、それらすべてが混ざり合った“人間”というものの存在を表現した。濃密な赤が加えられている以外は、モノトーンで統一された落ち着きのあるパレット。意図的に輝きを排除したテキスタイルは、目を凝らすほどにクチュールらしい威厳のある優雅さが感じられる要素が散りばめられている。やや男性的なジャケットの合わせたタイトなシルエットのパンツや、流れるようなドレス、厳粛でパワフルなマント。一方で女性らしいタフタや刺繍をあしらったオーガンジーといった贅沢な素材を合わせることで、豊かな表現の幅を見て取れる。足元の厚底ブーティーやレザーストリングのジュエリーが洋服とのコントラストに。情熱や感情に突き動かされ、時に「自分」を演じてしまう、この混沌とした世界にヴァレンティノのコレクションがひとつの世界を描き出した。コレクション発表後、マリア・グラツィア・キウリが退任を発表。ピエール・パオロ・ピッチョーリと2人で披露する最後のシーズンとなった。
2016年08月09日ファッションデザイナーは時に魔術師と化す。キラキラと輝く魅力的な作品を世に生み出し、多くの人の心を狂気のごとく惹きつけるーー7月3日パリ・オートクチュール・コレクション初日、ユイマナカザト(YUIMA NAKAZATO)は居合わせたオーディエンスに見事に魔法をかけ異世界へと誘った。2016-17年AWオートクチュールコレクションのトップバッターでショーを開催。近年の日本人デザイナーのパリでの活躍は目覚ましいが、正式ゲストデザイナーとしてオートクチュールコレクションに日本人が参加するのは、森英恵以来12年ぶりのこと。また、ブランドとして海外でショーを行うのは初めての経験だ。YUIMA NAKAZATOデザイナー・中里唯馬は2004年アントワープ王立アカデミーを卒業後、欧州の学生コンテストのインターナショナル・タレント・サポート(ITS)で2年連続受賞するという前代未聞の快挙を成し遂げ、2009年自身の名を掲げたメンズブランドを立ち上げた。近年はプロダクト制作のみならず、レディー・ガガ(Lady Gaga)やEXILEのライブ衣装、実写版映画「ルパン三世」、宮里亜門の舞台「SUPERLOSERZ」の衣装を手掛けるなど、国内外のアーティストに信頼を置かれるデザイナーへと成長している。ショー翌日の取材では、コレクション内容の詳細や開催までの経緯、今後の展望を訊いた。そこで見えてきたのは、私たちの想像を遥かに超える中里の才能と無限に広がるファッションの可能性。ーー今回のオートクチュールコレクションのインスピレーション源、テーマを教えていただけますか?昨年訪れたアイスランドの地にインスピレーションを受けました。SF映画のロケ地にもなったそこは、人工物の一切ない岩や氷といった自然のものだけで成り立つ世界。地球とは思えない、まるで別の惑星にいるような感覚に陥るほど幻想的な風景が広がっていたんです。その貴重な体験を元に、テーマを「UNKNOW(未知なるもの)」とし、氷、空、海、オーロラなど自然現象の中の色の変化をコレクションに落とし込みました。YUIMA NAKAZATO 16-17AW オートクチュールコレクションーーショーもまるで地球外のような、フューチャリスティックで不思議な空間を演出していたのが印象的です。静寂の中に、ブランドの強いメッセージ性を感じました。コレクションを通じて最も伝えたかったことは何ですか?"体から自由に作る"という未来のオートクチュールを示したかった。これまでの衣装製作で取り入れてきたストラタシス(stratasys)社製()の3Dプリンタやカッティングプロッタの最新テクノロジーは、新しい生産の可能性に満ち、服の概念さえ変えてしまうほどファッションの未来を握っていると思います。布からパターン制作に入るのではなく、人の体をスキャンしてデータ化したものを3Dプリンタで形成し、服に仕上げる。これを使えばウェブで受注し、世界のどこでも3Dプリンタで出力可能になります。オートクチュールのように、テクノロジーによって一人ひとりに合わせたオーダーメイドの一点物の服が生まれていくのです。それがさらに普及し、現在の既製品、普段私たちが着ている服にも及ぶのではないかと考えています。ーー実際に今回のコレクションで、最新テクノロジーを取り入れた部分を詳しく教えてください。コレクションピースは全て、"ホログラム"と呼んでいるフィルム素材を使った有機体が連なり形になっています。フィルムメーカーと協業し製作した特殊なこの素材は、強度や質感にこだわって6年の歳月をかけました。試行錯誤の連続でしたが、ようやく納得のいくものに進化し今回のコレクションで発表できました。アイスランドで撮影したオーロラの写真を素材に写し、カッティングプロッタで細かく正確にカットを入れ、最後にすべてを折り紙のように折って1体の有機体が完成。ホログラム素材にカットを入れ、折り紙のように折って作られた有機体ホログラム素材を取り入れたブーツこれを1000体ほど作り、体に沿って連結させて服に形成するのです。最新テクノロジーだからこそ為せる技、そして最終工程で人の手を加えて服に息を吹き込みます。ショーの1ヶ月程前からスタッフやオートクチュール科の専門学生に手伝ってもらいながら、なんとか間に合わせられました。 透明のブレスレットは江戸切子の伝統的な技術で繊細にカットされ、ブルーの球体は漆を用いて、中には粉末状にした"ホログラム"を入れています。デジタルのテクノロジーと人の技術が融合しているのです。漆と粉末状のホログラムを用いたブレスレット--「テクノロジー×伝統、過去×未来、デジタル×リアル「相反する2つの物の融合で、新たな側面を生み出す」--YUIMA NAKAZATO 中里唯馬 2/2【INTERVIEW】」へ
2016年07月19日ウィル・スミスの愛娘、ウィロー・スミスが父と2人で、パリで「シャネル(CHANEL)」のオートクチュール16年秋コレクション鑑賞に出かけた。ウィル&ジェイダ・ピンケット・スミス夫妻の娘で15歳のウィローは先日、シャネルの16ー17年秋冬のアイウエアコレクションのキャンペーン・モデルに抜擢されたばかり。ターコイズブルーのパンツルックに黒の革手袋、白とワインカラーのサドルシューズという出で立ちで、ウィルと一緒に会場のグランパレに姿を見せたウィローは、写真撮影タイムにはシャネルのサングラスを取り出してかけるなど、父親譲りのプロ意識の高さを見せた。ウィル&ウィロー父娘のほかにジェシカ・チャステインも姿を見せ、会場内ではウィルたちと席が隣同士になり、写真撮影では一緒にポーズをとって楽しそうに過ごしていた。(text:Yuki Tominaga)
2016年07月06日ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)の2016年春夏 オートクチュールコレクション「PERFORMANCE OF SCULPTURES」が、2016年6月10日(金)より、ドーバー ストリート マーケット ギンザで展示・販売される。シュールレアルに彫刻とクロージングを融合し、白のポロシャツとキュビズムが出会う、パブロ・ピカソをイメージしたコレクション。6ピースのオートクチュールに関しては、プライベートオーダーが可能で、まさに彫刻と化した“洋服”を見にまとうことができる。さらに、オートクチュールコレクションと同じ素材である白のテクニカルピケのポロドレス、チュニック、そしてポロシャツ全3型を販売。実店舗でこれらのアイテムが購入できるのは、世界でドーバー ストリート マーケット ギンザのみとなる。ちなみに、全てのアイテムは、イベントスペースに鎮座する象の彫刻にちなんで描かれた象のイラストタグと、ブランドタグにはデザイナー手書きによるシリアルナンバー入り。オートクチュールピースの展示は、2016年7月7日(木)までの予定となっている。【概要】ヴィクター&ロルフ オートクチュールコレクション展開開始:2016年6月10日(金)場所:ドーバー ストリート マーケット ギンザ価格一例:・チュニック 305,000円+税サイズ:36カラー:ホワイト、ブラック・ポロシャツ 98,000円+税サイズ:34、36、38カラー:ホワイト、ブラック・ドレス 342,000円+税サイズ:36、38カラー:ホワイト、ブラック■オートオートクチュールピース・LOOK 10 5,750,000円+税・LOOK 11 5,750,000円+税・LOOK 16 6,117,000円+税・LOOK 19 7,953,000円+税・LOOK 21 7,953,000円+税・LOOK 22 7,953,000円+税※オートクチュールピースの展示は、2016年7月7日(木)まで。
2016年06月14日7月7日までドーバー ストリート マーケット ギンザ1階のイベントスペースでは、ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)2016春夏オートクチュールコレクション「PERFORMANCE OF SCULPTURES」の展示販売が行われている。今年の2月にパリで開催された2016春夏オートクチュールコレクションは、「洋服は彫刻と同じものだと言われているが、今回はまさに彫刻を作りました」とデザイナーが語るように、パブロ・ピカソなどから着想を得たキュビズムを感じさせる彫刻的シルエットと、白のポロシャツを融合したアーティスティックなピースでインパクトを与えた。今回は、そのショーにも登場した6ピースのオートクチュール作品がイベントスペースに展示されているとともに、プライベートオーダーも受け付けているという。また、同コレクションと同じ素材である白のテクニカルピケのポロドレス(34万2,000円)、チュニック(30万5,000円)、ポロシャツ(9万8,000円)をそれぞれ白と黒の2カラーで展開するカプセルコレクションも登場。すべてのアイテムには、イベントスペースに鎮座する象の彫刻にちなんで描かれた象のイラストタグと、ブランドタグにはデザイナー手書きによるシリアルナンバーが施された。なお、これらのアイテムが実店舗で購入できるのはドーバー ストリート マーケット ギンザのみとなっている。
2016年06月14日いつか着てみたい女子の憧れ、オートクチュール。19世紀後半のパリで誕生したオートクチュールの歴史をたどる展覧会『PARIS オートクチュール ―世界に一つだけの服』が東京・丸の内の三菱一号館美術館ではじまります。オートクチュールとはフランス語で、オートHauteは「高い・高級」、クチュールCoutureは「縫製・仕立て」の意。高級衣装店や高級仕立服のことを指します。パリ・クチュール組合が承認する数少ないブランド店が手がけるオートクチュールは、顧客の注文に合わせて専属のデザイナーが創作する、まさに「世界に一つだけの服」。本展では、シャネルやバレンシアガ、イヴ・サンローラン、クリスチャン・ラクロワなどが制作した一点物のドレスや小物が勢ぞろい。19世紀から現代まで続くオートクチュールの歴史を一望できます。ドレスのデザインはもちろん、職人の手仕事で生みだされた美しい刺繍や羽根細工、コサージュなども見どころのひとつ。たとえば、クリスチャン・ディオールのイヴニング・ドレス《パルミール》に施された刺繍は、細かな模様の一つひとつが丁寧に仕上げられ、息をのむ美しさ。世界最高峰のデザイナーと熟練の職人が作りあげたオンリーワンの芸術品です。ラグジュアリーブランドの仕立服をまとめて見られるこのチャンスは、かなり貴重かも。おしゃれ好き、ファッション好きにはたまらない展覧会、どうぞお見逃しなく!イベントデータ:『PARIS オートクチュール ―世界に一つだけの服』会期:2016年3月4日(金)~ 5月22日(日)※休館日は月曜日(ただし、祝日と5月2日、16日は開館)時間:10:00 ~ 18:00(祝日を除く金曜日、会期最終週平日は 10:00~20:00)※入館は閉館の30分前まで会場:三菱一号館美術館料金:一般 1,700円/大学生・高校生 1,000円/中学生・小学生 500円画像クレジット:クリスチャン・ディオールイヴニング・ドレス《パルミール》1952年秋冬ガリエラ宮パリ市立モード美術館蔵©Katerina Jebb @ mfilomeno.com※画像無断転載禁止
2016年01月01日東京都・丸の内の三菱一号館美術館は、オートクチュールの始まりから現代に至る歴史を概観する展覧会「PARIS オートクチュール—世界に一つだけの服」を開催する。会期は2016年3月4日~5月22日(月曜休館、ただし祝日・5月2日・5月16日は開館)。開館時間は10:00~18:00。(祝日を除く金曜、会期最終週平日は20:00まで)。入館料は一般1,700円、高校・大学生1,000円、小中学生500円。同展は、オートクチュールの始まりである19世紀後半から現代に至るファッション史を概観するもので、パリ・モードの殿堂―ガリエラ宮パリ市立モード美術館館長オリヴィエ・サイヤール氏監修のもと、2013年にパリ市庁舎で開催された展覧会を再構成したものとなる。19世紀後半のパリで誕生したオートクチュール(Haute=「高い」「高級」・Couture=「縫製」「仕立て」の意)は、パリ・クチュール組合の承認する数少ないブランドにより、顧客の注文に合わせてデザイナー主導で仕立てる高級服として知られている。同展では、シャネル、クリスチャン・ディオール、バレンシアガ、ジヴァンシィ、イヴ・サンローラン、ジャン=ポール・ゴルチエ、クリスチャン・ラクロワ、アライアらが生み出してきた時代を映し出す美しいシルエットの数々、刺繍・羽根細工・コサージュなど、脈々と受け継がれる世界最高峰の職人技が、ドレス、小物、デザイン画、写真など合わせておよそ130点により紹介されるということだ。なお、ガリエラ宮パリ市立モード美術館館長オリヴィエ・サイヤール氏は、同展の魅力と展示の見どころを次のように語っている。「作品はどれも二つとないものばかりで、デザイナーが時代に影響を及ぼすことのみならず、顧客の趣味が時代に反映されることもまた考慮に入れた上で選び出されています。マドレーヌ・ヴィオネ、ポール・ポワレ、スキャパレリ、シャネル、ディオール、グレ、バレンシアガ、イヴ・サンローランのこれ以上ない貴重な作品は、オートクチュールの歴史に幾度か訪れた頂点を評価する道筋を示しているのです。もちろん、これは私たちのコレクションを基にした歴史的で主観的なひとつの見方です。ファッションの歴史は美術館のコレクションに応じていくつも存在するのです。私達がその業績を高く評価する偉大なデザイナーの中から、息を呑むような最高のデザインを選択しました。」
2015年10月29日展覧会「PARIS オートクチュール- 世界に一つだけの服」が、16年3月4日から5月22日まで東京・丸の内の三菱一号館美術館にて開催される。同展は、パリ・モードの殿堂として知られるガリエラ宮パリ市モード美術館館長のオリヴィエ・サイヤール監修のもと、13年にパリ支庁舎で開催され人気を博したファッション展を再構成したもの。パリ・クチュール組合の承認を得た数少ないブランドが、顧客の注文に合わせてデザイナー主導で仕立てた高級服“オートクチュール”の19世紀後半から現代に至るまでの歴史を概観することが出来る。会場では、シャネル(CHANEL)、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)、ジバンシィ(GIVENCHY)、イヴ・サンローラン(Yves Saint-Laurent)、ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul GAULTIER)、バレンシアガ(BALENCIAGA)らのオートクチュールを紹介。刺繍、羽根細工、コサージュなどの脈々と受け継がれてきた世界最高峰の職人技を、約130点のドレスや小物、デザイン画、写真などを通して体感出来る展覧会となっている。【イベント情報】PARIS オートクチュール- 世界に一つだけの服会場:三菱一号館美術館住所:東京都千代田区丸の内2-6-2会期:16年3月4日~5月22日時間:10:00~18:00(祝日を除く金曜日と最終週平日は20:00まで)休館日:月曜日(祝日、5月2日、5月16日は開館)料金:一般1,700円、高大学生1,000円、小中学生500円
2015年10月17日創設90年の歴史を持つローマのラグジュアリーブランド、フェンディ(FENDI)が、今年7月、15-16AWパリ・オートクチュールコレクションに初めて参加した。これはフェンディとデザイナー、カール・ラガーフェルドとの50年も続くコラボレーションの歴史にオマージュを捧げたものでもある。晴れの舞台となったのは、シャンゼリゼ劇場。カールが「ファーの中のファー、ファーの王道を見て頂ける機会になるでしょう」とショーの開催に向けて語ったその言葉通り、すごみのあるランウェイを披露した。メゾンにとって節目となった今年、パリで初披露されたコレクションは「オートフルール(Haute Fourrure)」と題された。「フルール」は「毛皮」を意味し、オートクチュールと掛け合わせた造語がオートフルール。ファーをいわゆる“毛皮”としてそのまま使うと言うよりは、ひとつの素材ととらえ、様々な技術を駆使し、従来のファー製品の領域を越えたコレクションに仕上げた。そのデザイン性の高さは、フェンディの最高レベルのクリエイティビティと長年培われたクラフトマンシップの賜物である。オートフルールコレクションで使われたファーはロシアンセイブル、スワカラ、ミンク、チンチラなど。その他フェザー、シルクタフタなど贅沢を極めた素材ばかりが主に使われている。ファーをPVCやシルクタフタと縫い合わせたり、鳥のフェザーの様に見せていたり、メタリックな加工をしたりと自在に加工することで、コンテンポラリーな衣類へと昇華。ファーとしてのリュクス感や風格はそのままに、モダンに見せる様々な技法が用いられている。
2015年08月06日シャネル(CHANEL)が15-16AWオートクチュールコレクションを発表した。グラン パレの会場には、1日限りのエクスクルーシブなプライベートカジノ『ル・サークル・プリヴェ(Le Cercle Prive)』が出現。美しく着飾ったエレガントな女性がカジノに行く、という映画のようなワンシーンを思わせる演出だ。ショーの開始とともに、ブラックジャックを楽しみに来た豪華なセレブリティが続々と登場。クリステン・スチュワート、ジュリアン・ムーア、リタ・オラ、リリー・ローズ・デップにヴァネッサ・パラディ、菊地凜子やG-DRAGONなど、シャネルのミューズ達が勢ぞろいした。セレブが身につけていたのは、ショーのためにデザインされたオートクチュールのガウンと、煌びやかなダイヤの輝きがシンプルなドレスを引き立てる、マドモアゼル シャネルが最初に発表したファインジュエリーコレクション『ダイヤモンド ジュエリー(Bijoux de Diamants)』の復刻ピース。ランウェイの真ん中に置かれた数台のテーブルに全員が着席したのを合図に、モデルたちが現れた。前下がりのボブカットに太い眉が印象的なメイクで、構造的なスーツやアシンメトリーのイブニングドレスに身を包む。今回注目すべきは、3Dプリンターで使用する最新の技術「SLS(レーザー焼結)」という技術を用いた素材。最先端の素材とオートクチュールの伝統的なテクニックを融合させるという全く新しい手法を用い、シャネルのシグネチャーであるシャネルスーツをキルティング風の立体的なメッシュ素材で再現した。カール ラガーフェルド曰く「シャネルの最もアイコニックなアイテムが技術的な進化を遂げ、20世紀から21世紀のスタイルへ変貌した」。後半のフェザーやスパンコールを贅沢に使用したイブニングには、アシンメトリーなデザインを取り入れた。ドレスには螺旋状のプリーツや、ほつれたシルクチュールを用いたラッフル、立体的で豪華なスパンコールやビーズの刺しゅうが施された素材がコレクションに一層の華やぎを加えていた。ペンシルスカートのフェミニンなツイードのドレス、新しい技術を用いたブレードでトリムされたスーツには、丸い襟元やボタンで飾られた大きなショルダー、ロールアップした袖など、マスキュリンなディテールもみてとれる。足元には前後の表情が異なるバックストラップの印象的なブーティをあわせた。コレクション自体の華やかさもさることながら、通常はゲストとしてフロントローに並ぶ一流のセレブ達が実際のセットの中でゲームに興じるという、シャネルでなければ実現しないと思われる非常に贅沢なランウェイ。驚きに満ちたコレクションが、カジノという非日常のエンターテイメントの舞台を飾った。
2015年07月31日ヴァレンティノ(VALENTINO)が、7月10日2時30分(現地時間9日19時30分)に15-16AWオートクチュールコレクションを発表。ショーをライブストリーミングで配信する。なお、SNSでのハッシュタグは#MIRABILIAROMAE。
2015年07月09日シャネルのオートクチュール2015/16秋冬コレクションが7日(現地時間)、パリのグラン・パレで開催され、クリステン・スチュワートやジョニー・デップの娘のリリー・ローズ・デップらがモデルとして登場した。シャネルのミューズの1人であるクリステンはショウのオープニングを飾り、ジュリアン・ムーアや菊地凛子、リリー・コリンズ、リタ・オラ、ケンダル・ジェンナー、ミューズを務めるヴァネッサ・パラディを母に持つリリー・ローズ・デップも出演した。ジュリアンのエスコート役に、ダニエル・デイ・ルイスとイザベル・アジャーニを両親に持つガブリエル・デイ・ルイスが登場したのも話題になった。リリー・コリンズは同じファースト・ネームを持つリリー・ローズとツーショットのセルフィーに「2人のリリー(Les Deux Lily’s)」とキャプションをつけてインスタグラムに投稿。「腕を組んでランウェイをご一緒できて、光栄だったわ」と書き込んでいる。(text:Yuki Tominaga)
2015年07月08日パリ・グランパレで1月27日、シャネル(Chanel)が15SSオートクチュールコレクションを発表した。カール・ラガーフェルドがショーの舞台に選んだのは、グランパレ・ドーム下に置かれた巨大な温室。会場には、メゾンのアンバサダーを務める、ヴァネッサ・パラディ、クリステン・スチュワート、アリス・デラルらを始めとする一流セレブリティーが勢ぞろいした。毎シーズン、趣向を凝らした演出がなされるシャネルのランウエイショー。今シーズンは、“春の祭典”“地上の楽園”といったイメージの下、ピンク、オレンジ、レッド、エレクトリックブルー、イエロー、グリーンなど春爛漫の色とりどりのパレットで構成。ランウエイには花々が咲き乱れ、その中を雲のようなおぼろげなチュールのハットを着用したモデル達が歩いていく。アイテムは、花の刺繍を惜しげも無く施したチュールのチュニック、藁のように長めのフリンジが足元で揺れるニットドレス、ラメの光沢を放つリネンのアンサンブル、フェザーで包まれたロングスカート、大きなコサージュを裾や袖口にふんだんにあしらったロングコートなど、シャネルのクチュールアトリエでこそなし得る技の数々を見せつけた。「胸の谷間ではなく、ウエストを見せることが新しい」と断言するカール。ベルトでマークしたドレスや、コルセットのようなシースルーの切り替えをウエストに持ってきたパニエドレス、マイクロ丈のジャケットにより素肌が覗くツイードスーツなど、ウエストを美しく強調する新しいルックの提案が様々なパターンでなされた。ジャケット、コート、トップス、ワンピースなど多くのアイテムに反映された丸みを帯びたショルダーラインも今季の特徴と言える。ラストは、全面に零れ落ちそうなほどオーガンジーの花を散りばめたトレーン付きのボリューミーなスカートに、煌めくスパンコールを刺繍したトップスによるマリエ姿のモデルが登場し、華々しく幕を閉じた。
2015年02月25日ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)は、パレ・ド・トーキョーを舞台に1月28日、15SSオートクチュールコレクションを発表。牧歌的でシュールな作品を見せた。「私は、自分の作品に心と魂を込める。そして制作過程で我を失う」というフィンセント・ヴァン・ゴッホ(Vincent van Gogh)の言葉を引用しながら、ゴッホの描く風景画が放つ強いエネルギーにインスパイアされたという。女性のハミングが不気味な印象を残す映画『ローズマリーの赤ちゃん』のテーマのリミックスが流れる中、麦わら帽子とサンダル、そしてバティック(ろうけつ染め)のドレスを着用したモデルが登場。ファブリックはオランダのブリスコ(VLISCO)社とのコラボレーションで、布の両面にプリントを施すことで、花柄をカットアウトしてコサージュに仕立てることを可能にさせた。ショー冒頭はモチーフのアウトラインのみで、徐々に色が増し、ドレスのボリュームが膨らみ、バティック、あるいは麦で編んだコサージュが加えられ、麦わらの帽子が極端に大きくなっていく。本コレクションのうち3点は、既に現代アートコレクターであるハン・ネフケンス(Han Nefkens)によって買い上げられている。これは、購入、コミッションピースをボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館に寄贈、長期貸し出しするという「the Han Nefkens Fashion on the Edge project」の一環で、最終的には美術館に寄贈する予定。
2015年02月12日ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul GAULTIER)がオートクチュールライン「ゴルチエパリ(GAULTIER PARIS)」15SSコレクションショーを、本社ビルにて開催した。会場には、カトリーヌ・ドヌーヴやカーラ・ブルーニ・サルコジ、ピエール&ジルなどが駆け付けた。プレタポルテからの撤退を宣言して初のクチュールコレクションは、「Ouiというための61の方法」と題し、61体のマリエ(ウエディングドレス)で構成。ゴルチエの気迫が伝わってくるかのような力強いコレクションとなった。主軸となるアイデアは、別々の二つのものを左右にドッキングさせる折衷法。右半分がテイラードのパンツスーツで、左半分がショールカラーのワンピース、あるいは半分がスモーキングで半分がホースヘア入りのホルターネックドレス、右半分だけプリーツが掛かっているワンピースなど、ゴルチエらしいユニークなウェディングが招待客達を楽しませた。また、パイソンをモチーフにしたアイテムが多く見られ、パイソン柄を玉留めだけで表現したカーディガンドレスや、スワロフスキーのクリスタルを組み合わせてパイソンモチーフを描いたワンピース、丸いウッドビーズのみでガラガラヘビのモチーフを描いたカーディガンなどが登場。ショーの中盤には、80年代に活躍したクリスティーヌやヴィオレッタ、スザンヌ等がドレスをまとって現れ会場を盛り上げたが、61体目のブーケドレス姿のナオミ・キャンベルがランウエイを歩くと、割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。
2015年02月11日ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)のオートクチュールライン「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ(Giorgio Armani Prive)」が1月27日、15SSコレクションをパレ・ド・トーキョーで発表。フロントローには、クリステン・スコット・トーマス、ロビン・ライト、ジュリエット・ビノシュといった英米仏を代表する女優たちの姿が見られた。今シーズンは竹をモチーフとし、竹の持つしなやかさや繊細さ、そして強さを、最高級の素材で表現。アルマーニらしい造形的な美しさを余すことなく見せたコレクションを見せた。グリーンやモーブ、ナチュラルホワイト、サンドベージュ、ブラックなどの他、特にイブニングにはチャイニーズブルーを使用。デイウエアは、竹をプリントしたジャケットやキュロットで構成し、特にキュロットには太い帯のようなベルトが合わせられ、東洋的なスタイルを強調。チューブ状にしたシルクを束ねたショールや、スワロフスキーの長いバゲットクリスタルをあしらったトップス、ビーズを繋いだメッシュのドレスなど、斬新かつ美しいアイテムが登場する度に、会場からは大きな拍手が起きた。
2015年02月11日ディオール(Dior)は、1月26日、パリのロダン美術館で15SSオートクチュールコレクションを発表した。テーマは、「Moonage daydream(ムーンエイジの白日夢)」。アーティスティックディレクターのラフ・シモンズ(Raf Simons)は、SFや宇宙への旅、ポップカルチャーや無現の可能性を感じさせるファッションが社会を彩っていた時代を思い描いたという。オートクチュールメゾンならではの、豪華なモチーフが幾重にも重ねられたギピュールレースのシフトドレスには、フォトプリントを施した透明のプラスチック素材のオペラコートをレイヤード。細かく立体的なプリーツが施されたマルチボーダーのドレスやスカート、ジオメトリックプリントのニットのオールインワンやボディスーツ、アシッドカラーのビニールブーツなど、50年代から70年代までの時代がミックスされた。メゾンの象徴である「フラワーウーマン(花のような女性)」がまとう、花モチーフのレース刺繍やフラワープリントのドレスにもジオメトリックなカッティングが施され、過去と未来が交錯する。デイヴィッド・ボウイの歌声が響く八角形の会場には鏡が配置され、コレクションに込められたそれぞれ時代の要素が鮮やかにコントラストを放ちながらぶつかりあい、ラフのいう「めまぐるしい感覚」を呼び起こした。「私が本当の意味で表現したかったのは、過去から学びながら現代的な視点を取り入れた、今との関連性を感じる何か。それは、よりワイルドでセクシュアルな未知のもの。オートクチュールや女性という概念から解き放つもの」とラフ。
2015年01月27日「ヴァレンティノ(VALENTINO)」はニューヨーク・フィフスアベニューのフラッグシップストアのオープンを記念して、15SSオートクチュールコレクションを発表。ニューヨークで開催されるショーの様子はライブストリーミングで配信される。日本時間で12月11日10時から。フラッグシップストアは今年8月に、かつて高島屋百貨店があったニューヨーク5番街693番地にオープン。約2万平方フィートの面積を誇る8階建ての店舗には、ウィメンズ、アクセサリーのほか、メンズコレクション全般など、すべてのカテゴリーを取り揃えている。さらに、12月10日のストアオープンを記念して、メンズとウィメンズのプレタポルテアイテムやアクセサリーを集めたカプセルコレクションを発売する。
2014年12月11日