一時代を築いた「渋谷系」のみならず、「1990年代の東京」の象徴ともいえるピチカート・ファイヴ。2001年の解散後も愛され続けてきたが、このたびベストセレクション『THE BAND OF 20TH CENTURY:Nippon Columbia Years 1991‐2001』が、7インチBOXとCDでリリースされることとなった。2020年には野宮真貴さんが加入30周年を迎えるが、野宮さんは「そういうタイミングもあるんですけど、小西(康陽)さんはDJでもあるし、自分が純粋にピチカートの7インチを欲しかったんだと思います」と微笑む。そんな小西さんの動機からも、「私はメンバーでしたけど、いちファンでもあります」と語る野宮さんからも、ピチカートへの愛情と誇りが感じられる。「私は幼い頃から、おしゃれも歌うことも好きで、歌手になる夢があって。それをピチカートで存分に叶えさせてもらいました。想像以上に、海外にも広がっていきましたしね」今でこそ日本独自のカルチャーが世界中で受け入れられているが、その突破口のひとつとなったのが、ピチカート・ファイヴの飛躍だ。「’90年代は価値観がガラッと変わった時期でしたね。アナログからCDになったり、インターネットが出てきたり。以前の日本では、音楽やカルチャーもイギリスやアメリカの真似をしていたところがあったけれど、あの時代はそれを十分吸収して、オリジナルのものを出せるようになった。だから海外に対するコンプレックスもなくて、東京が一番かっこいい都市だし、自分たちの音楽が世界一かっこいいって思っていました」野宮さんのファッションやメイクも注目され、カルチャー全体を牽引したピチカート。その役割は重荷に感じなかったのだろうか?と聞くと「全然!力が入ったことはないです(笑)」と、軽やかな答えが。「ステージに立つ以上、夢を届ける立場でいたいと思うんです。だからゴージャスなメイクや衣装でビジュアルを作り込んで、ピチカートの野宮真貴のスイッチを入れる。それで気分を上げて、自信をもらうんです」「1990年代の東京」の象徴ながら、今作を聴いていると、フレッシュなエネルギーが満ちてくる。野宮さんは「渋谷系は、アンチエイジング効果があるみたい(笑)」と笑うが、確かに代表曲「東京は夜の七時」が椎名林檎さんによってカバーされ、リオパラリンピックの閉会式に使用されていることでも明らかなように、その魅力は今も色鮮やかだ。「毎年恒例の私のビルボードでのライブも、今年は『野宮真貴、ピチカート・ファイヴを歌う。』と題して、ピチカートだけを歌うんです。こんなにピチカートの曲をたくさん歌うのは解散以来なので、楽しみですね。でも、懐メロにならないように、今の私が、20世紀のピチカートの曲を、21世紀のスタンダードナンバーとして歌おうと思っています。歌もビジュアルも進化させて、やっぱり好きって思っていただきたいです」野宮さんのピンと伸びた背筋と強い瞳は、当時も今も新時代の女性像を表現し続けている。最後に、美しく年齢を重ねている野宮さんからのメッセージをどうぞ!「いつでも“今の自分が一番いい”と言えるように、年を重ねて変化していく体や気持ちを、おしゃれや美容によって常にアップデートすること。それを最少の努力で“ほどほど”にやって効率的に美人になる方法があります。詳しくは私のエッセイをどうぞ(笑)」ベストセレクション『THE BAND OF 20TH CENTURY:Nippon Columbia Years 1991‐2001』【7inch BOX】¥25,000【CD 2枚組】¥3,200ピチカート・ファイヴとしてのコロムビアからのリリースは13年ぶり。長らく廃盤で入手困難だった名曲を小西康陽が完全監修。信藤三雄さんのジャケットデザインにも注目。のみや・まき北海道生まれ、1990年ピチカート・ファイヴに3代目ボーカルとして加入。2001年の解散後はソロ活動を行っておりビューティのプロデュース、エッセイストとしても活躍中。11月26日(火)から「野宮真貴、ピチカート・ファイヴを歌う。」を大阪、名古屋、東京で開催。今月には『おしゃれはほどほどでいい』(幻冬舎文庫)が刊行予定。※『anan』2019年11月13日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・冨沢ノボル取材、文・高橋美穂(by anan編集部)
2019年11月07日元「ピチカート・ファイヴ」の野宮真貴が著述家の湯山玲子らと共に1月29日(金)、伊勢丹新宿店で開催された映画『キャロル』とのコラボパーティ「キャロルナイト」に出席した。1950年代、ニューヨークで出会い、恋に落ちた貴婦人・キャロルと若きテレーズの姿を描いており、ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラがそろってアカデミー賞にノミネートされたことで注目を集めている。2人の出会いがテレーズが働く百貨店だったことから、ファッションブランド「LUGHA(ルーガ)」とのコラボが実現。湯山さんのプロデュースによる一夜限りのスペシャルパーティが開催され、代官山のヴィンテージショップ「EVA fashion art」のオーナー・宮崎聖子氏も出席した。3人はそれぞれに映画や1950年代にインスパイアされたファッションで登場。特に野宮さんは赤い帽子にキャロルをイメージしてデザインされた「LUGHA」の新作、映画の中にも登場する「フェラガモ」の靴という、映画の中から抜け出てきたような佇まいで会場をわかせていた。映画について、湯山さんは「ここ2~3年の映画でベスト!この映画をテーマにひと晩語り明かしました」と絶賛。野宮さんは「50年代という、まだまだ保守的な時代に強く生きるキャロルが印象的でした」とキャロルに深く共感を覚えたよう。また、劇中で展開するキャロルとテレーズの恋についても、湯山さんは原作者のパトリシア・ハイスミスを「“サスペンスの女王”と呼ばれていますが、アメリカの向田邦子です(笑)。人情の機微を意地悪に描いている」と語り「年上の女性が年下の人に惚れた時、こうやって恋愛を進めていくのか…というお手本のよう。エレガントにモデラートに、相手を尊重しながら恋をする。モラルを感じます」とキャロルの恋愛スタイルを“教科書”として称える。「彼女は全てを自分の責任として引き取っていく。心強さを感じます」と語った。一方、野宮さんは、キャロルとテレーズの関係について“誘惑”がポイントであると強調!「すごくキレイな誘惑で、キャロルのような人に誘われたら、どうなってもいいですね(笑)」と恍惚の表情で語っていた。『キャロル』は2月11日(祝・木)より公開。(text:cinemacafe.net)
2016年01月30日