フィリピン映画界の鬼才ブリランテ・メンドーサ最新作『FEAST-狂宴-』より予告映像と場面写真が解禁された。本作は、『ローサは密告された』『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』など、フィリピン社会の暗部をえぐり、社会問題や社会的リアリズムを通してそこで強くたくましく生きる庶民の姿をリアルに描いてきた、社会派監督ブリランテ・メンドーサ監督の最新作。この度解禁された予告映像は、祝宴の準備で賑わうフィリピンの田舎町で起きた交通事故の場面から始まる。裕福な加害者家族の父親は「なにがあっても父さんはお前を守る」と息子の罪を庇って出頭し、「彼女たちの世話を頼む」と貧しい被害者遺族の面倒をみるよう妻と息子に託す。遺族を使用人として雇い、加害者家族と被害者遺族との奇妙な共同生活が始まるが、刑務所に収監されていた家族の長の帰還を祝う宴の日が近づくにつれ、それぞれの心のうちに後ろめたさや悲しみが生まれ、徐々に家庭内の平穏が失われていく様子が映し出される。被害者遺族が最後に見せる笑顔の意味とは?予測不能な展開に胸騒ぎがする映像となっている。併せて解禁された場面写真では、加害者家族と被害者遺族が宴の席で一緒に楽しそうに料理を囲む様子や、神妙な顔つきで料理を運ぶ被害者の妻の姿や、加害者である息子の悲痛な表情などが切り取られている。『FEAST-狂宴-』は2024年3月1日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:FEAST -狂宴- 2024年春、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開© CORYRIGHT 2022. ALL RIGHTS RESERVED.
2023年12月20日2022年釜山国際映画祭を騒然とさせたブリランテ・メンドーサ監督の『FEAST -狂宴-』が2024年3月1日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開される。特報映像とポスタービジュアルが解禁された。息子が起こした交通事故の罪を被り、刑務所に収監されていた家族の長の帰還を祝う宴の準備が進められている。収監されている間、妻と息子は、協力しあって家族と家計を守り、亡くなってしまった男の妻と子どもたちを引き取り使用人として面倒を見ていた。しかし、宴の日が近づくにつれて後ろめたさと悲しみが再びあらわれ、「失った者」と「失わせた者」との間の平穏はかき乱されていく…。『ローサは密告された』『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』など、フィリピン社会の暗部をえぐり、社会問題や社会的リアリズムを通してそこで強くたくましく生きる庶民の姿をリアルに描いてきた、フィリピンを代表する社会派監督ブリランテ・メンドーサ監督の最新作。フィリピンの田舎町で巻き起こった交通死亡事故から始まる当事者家族同士の心の機微と赦しをテーマに描く本作だが、それだけでは終わらないのがメンドーサ監督。ただのハートフルムービーではなく、ストーリーは次々と観るものの予想を裏切る展開を見せ、抒情的な映像の奥で、大きな疑問符をわれわれ観客に突きつける。凝り固まった映画ファンの映画的常識に挑むメンドーサ監督からの挑戦であり、野心作とも言えるだろう。主演には、平均視聴率40%を誇り、7年にわたり放送されたフィリピンの国民的人気ドラマ「プロビンシャノ」の主演を務め、国民的スターの地を不動のものとしたココ・マーティン。そして、メンドーサ作品の常連であり2016年カンヌ国際映画祭にて東南アジアで初の主演女優賞を獲得したジャクリン・ホセ、人気アクション俳優であり現在は上院議員を務めるリト・ラピッド、子役からスタートし数々の作品に出演し敵役に定評のあるグラディス・レイエスなど、フィリピンの人気俳優が集結した。また、東南アジアの色鮮やかな野菜や肉・魚を使った大皿料理の調理シーンも見ごたえ十分である。この度解禁された特報映像では、祝祭ムードから一転、交通事故を起こしてしまった父子の動転した表情と、被害者家族の悲しむ表情が切り取られている。加害者家族と被害者遺族がともに暮らす様子が映し出され、不穏な雰囲気のまま、宴の料理をつくる音が響き渡る…。一体どんな展開が待ち受けているのか、興味のそそられる映像となっている。併せて解禁されたポスタービジュアルでは、一緒に暮らす加害者家族と被害者遺族が、まるでひとつの家族のように宴の料理を囲んでいる。一見すると楽しそうな記念写真だが、よく見ると笑っていない顔が混ざり込んでおり、どこか異様さを感じさせるビジュアルとなっている。『FEAST -狂宴-』は2024年3月1日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)
2023年12月04日世界三大映画祭でも注目を集めているフィリピンの巨匠ブリランテ・メンドーサ監督の日本公開最新作は、ある日本人の実話をもとに描いた『義足のボクサーGENSAN PUNCH』。そこで、国内外で話題となっている本作についてこちらの方にお話をうかがってきました。尚玄さん【映画、ときどき私】 vol. 489日本で初となる義足のプロボクサー土山直純さんをモデルにした主人公の津山尚生を演じているのは、沖縄出身の俳優・尚玄さん。アメリカで演技を学んだのち、数多くの海外作品に出演し、現在は国際的な活躍を見せています。今回は、主演兼プロデューサーとして携わった本作に込めた思いや完成までの苦労、そしてメンドーサ監督による驚きの演出方法などについて、語っていただきました。―本作のモデルである土山さんとご友人であったことがきっかけとなり、尚玄さんが企画を立ち上げたそうですが、映画化したいと思った理由から教えてください。尚玄さん彼はもともとサッカーをしていましたが、義足では試合に出られないと言われてサッカーをやめることになってしまい、そのあとに始めたボクシングでもいい結果を残したのに前例がないという理由でプロになることができませんでした。ただ、そこで諦めることなくフィリピンに渡り、プロになって夢を叶えてしまうのはすごいなと。そんな彼の生きざまに感銘を受けて、これは映画にすべきだと思いました。―そういう姿は、ご自身とも重なるところがあったのでしょうか。尚玄さんそうですね。僕は顔が日本人離れしているので、モデルを始めたころはハーフブームの影響もあってすぐにお仕事をいただけたんですが、本当にやりたいと思っていた俳優に移行しようとしたら、日本だと僕の見た目では役がないと言われました。実際、外国人の役や限られた配役のオファーばかりが来ましたね……。そこで、ニューヨークに渡って演技の勉強をし、海外でいろいろなオーディションを受けることに。僕は自分のことをアウトサイダーだとつねに思っていましたが、沖縄生まれというマイノリティでもあると感じていたので、形は違えど、ハンデを持っている土山くんに共鳴していたんだと思います。完成までに大変なことは、たくさんあった―なるほど。構想から完成までは8年ほどかかったそうですが、特に苦労したのはどのあたりですか?尚玄さん大変だったことは、本当にたくさんありました。最近は日本でも山田孝之さんのように俳優が映画の監督をしたり、プロデュースをしたりするようになっていますが、それも日本全国の人たちがわかるくらいの知名度がないと難しいのが現状。あと、日本では原作モノじゃないとなかなか予算も下りないような状況なので、そういう意味でも時間がかかってしまいました。―そんななかで、フィリピンでもトップクラスのブリランテ・メンドーサ監督に直談判されたというのがすごいですが、どのようにして交渉されたのでしょうか。尚玄さんまずは、僕が仲良くさせていただいているシンガポールのエリック・クー監督が紹介してくれたおかげで、釜山国際映画祭の期間中にお会いすることができました。そのときにいろいろとお話しましたが、メンドーサ監督のもとには世界中からいろいろな話が来るようなので、最初は僕がどのくらい本気なのかわからなかったみたいです。その直後に、東京国際映画祭で来日されていたので、そこでもお話をしたんですが、そしたら「今度はフィリピンにおいでよ」と。それを聞いてすぐにプロデューサーと一緒にフィリピンへ行き、「僕たちはこれだけあなたとやりたいんです」という気持ちを伝えました。もともと彼の映画のファンだったこともありますが、僕らは『ロッキー』のようなスポ根映画ではなく、主人公が挑戦する姿をドキュメンタリーっぽく撮りたかったので、メンドーサ監督にお願いしたいと思っていたのです。台本をまったく見せない現場は、初めてのことだった―最終的には、どのようにして監督を口説き落としたのでしょうか。尚玄さん監督のスタジオまで行ったときくらいからだんだん本気なんだろうと感じてくれたみたいですが、彼はほかの企画が詰まっていたので、最初は自分の弟子でどうかという提案がありました。弟子といっても、すでにヴェネチア国際映画祭などで賞をもらっているような才能のある監督。僕たちもその方にお願いしようと決めたので、一緒に沖縄や東京でシナリオハンティングをしていたら、それが終わった直後に、メンドーサ監督から「やっぱり俺がやることにしたよ」と。本当にびっくりしてしまって、プロデューサーとも「いま、『俺がやる』って言ったよね?」と確認し合ったほど(笑)。信じられなかったですが、うれしかったです。―思いが伝わったんですね。メンドーサ監督の現場では俳優に台本を見せないと聞き、非常に驚きましたが、どのようにして撮影を進めていたのでしょうか。尚玄さんいままでも似たような状況で映画を撮ったことはありましたが、完全に台本を見せないというのは初めてのことでした。撮影の直前にメンドーサ監督から渡されたのは、こういう言葉を交わしてほしいと書かれた紙切れだけ。それもアシスタントが雑に書いているので、読めなかったりするんですけどね(笑)。でも、ちゃんと意図が伝われば、指示通りに言わなくてもOKでしたし、自分がほかのことを言いたくなったらそれでもいいというくらいとても自由な現場でした。事前に、ほかの人物との関係性やキャラクターについてはたくさん話をしていたので、それが自分に染み込んでいたからできたのかなとは思います。監督からは「何も心配しなくていい。ただ、カメラの前に立って津山尚生でいてくれればいいよ」と言われました。監督によって、思いがけない言葉を引き出された―そういった現場では、ご自身でも思いがけない部分を引き出されることもあったのでは?尚玄さんそれはありましたね。実際、コーチと対面するシーンを撮ったとき、自分では思ってもいなかったセリフが出てきたことも。そこで、僕はある言葉をコーチに向けて放ちますが、それは尚生が父親に対して抱いていた感情でもあったので、思いがけずその言葉が出てきたんだと思います。メンドーサ監督というのは、「インナー・モノローグ」と呼ばれる心のなかで思っている言葉をすごく大事にされている方。だからこそ、目だけで表現したり、沈黙の時間に心が動かされたりすることもありましたが、それこそがメンドーサ監督が長年築き上げてきたメソッドなんだと感じました。―また、ボクサー役を演じるうえでは、体脂肪率ひと桁台をキープするなど、かなりハードなトレーニングもされたとか。尚玄さんもともとバスケットをしていたこともあって、運動は昔からずっとしていたので、僕としてはそこまで特別なことをしていた感覚はないですね。今回は、週に5~6回ボクシングの練習をしていたくらいです。あとは、極力ボクサーと同じような生活をしたかったので、撮影の数か月前からお酒は1滴も飲まないようにしていました。とはいえ、そもそも撮影に入るとお酒は全然飲まなくなるタイプですし、僕はマインドセットが得意なほうなので、1回ボクサーになりきれれば、そういったこともまったく苦ではないんですよ。フィリピンでは、みんなと本当のファミリーになれた―すごいですね。フィリピンの俳優さんたちとは、どのようにしてコミュニケーションを取っていましたか?尚玄さんフィリピンの方々は愛情深いですし、いい意味ですぐに距離を縮めてくるので、撮影の前に現地を訪れた際には、何軒もはしご酒に連れていかれました(笑)。あとは、みんなでテーブルを囲んで一緒にご飯を食べたりしていたので、本当のファミリーみたいでしたね。メンドーサ監督もそういうふうにして映画作りをしている方なので、そういった雰囲気はこの映画にも活かされていると思います。―日本人キャストでは、南果歩さんがお母さん役で出演されていますが、共演されてみていかがでしたか?尚玄さん果歩さんも素晴らしい方でしたね。ご自身にも息子さんがいらっしゃるからというのもあるかもしれませんが、現場ではお互いに多くを語らなくても、すぐに心を通わせられる感覚がありました。―尚玄さんは、これまで海外の現場を数多く経験されていますが、海外で仕事をすることに対してどういったところに魅力を感じていますか?尚玄さんまずは英語という言語の特性もあると思いますが、相手が監督でも誰でも対等に話すことができ、自分のやりたいことについてディスカッションしやすい環境が整っているというのは、いいことだなと思います。あと、海外では主役級クラスの役でもオーディションがあるというのは、日本と大きな違いかなと。どれだけ有名になってもあぐらをかいていられない状況にはなりますが、それも作品の質を上げていくためには大切なことではないかなと感じています。俳優をやめたいと思ったことは、一度もない―確かにその通りですね。これまで、俳優をやめたいほどつらかった経験というのはありませんでしたか?尚玄さん頭ごなしに怒鳴られたり、若いころはいろいろありましたが、やめてしまいたいと思ったことは一度もありません。とはいえ、単純に諦めが悪かったというだけかもしれないですが(笑)。あとは、楽天的なところがあるので、嫌なことがあっても引きずらないようにはしています。―それでは最後に、ananweb読者にメッセージをお願いします。尚玄さんボクシングをベースにした物語ではありますが、この映画は主人公が自分の逆境に負けずに夢を叶えるまでを映すだけでなく、家族や師弟との愛も描いたヒューマンドラマとなっています。性別や年齢に関係なくさまざまな方に楽しんでいただける作品なので、ぜひ映画館で観ていただきたいです。インタビューを終えてみて……。劇中の雰囲気とはまたひと味違って、大人の色気が漂う尚玄さん。落ち着いた口調でありながらも、完成までのいきさつや現場の様子を話されるときの熱量からは、この作品にかける思いがひしひしと伝わってきました。そんな溢れんばかりの情熱は、ぜひスクリーンで体感してください。未来は自分の足で切り拓く!何度倒れても、立ち上がり続ける主人公の姿に、心が奮い立つのを感じられる本作。不条理なことも多い社会に生きているからこそ、自分を信じること、そして夢を諦めない強さを持つことの大切さについて考えずにはいられないはずです。写真・安田光優(尚玄)取材、文・志村昌美ストーリー沖縄で母親と2人で暮らしながら、プロボクサーを目指していた津山尚生。人とひとつだけ違うのは、幼少期に右膝下を失った義足のボクサーであることだった。尚生はボクサーとしての実力は確かであるにもかかわらず、身体条件の規定に沿わないとして、日本ボクシング委員会にプロライセンスの申請を却下されてしまう。夢を諦めきれない尚生は、プロになるべくフィリピンへ渡って挑戦を続ける決意をする。そこでは、義足でもプロを目指すボクサーたちの大会で3戦全勝すればプロライセンスを取得できるという。日本では道を閉ざされた義足のボクサーが、フィリピンで夢への第一歩を踏み出そうとしていた……。胸が熱くなる予告編はこちら!作品情報『義足のボクサーGENSAN PUNCH』6月3日(金)TOHOシネマズ日比谷にて先行公開、6月10日(金)全国公開配給:彩プロ️© 2022「義足のボクサーGENSAN PUNCH」製作委員会写真・安田光優(尚玄)
2022年06月02日フィリピンの名匠ブリランテ・メンドーサ監督の最新作『義足のボクサー GENSAN PUNCH』より、尚玄が演じる主人公をとらえた場面写真4点が6日、公開された。『キナタイ -マニラ・アンダーグラウンド-』(09)で第62回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞、『ローサは密告された』(16)など、不条理な社会でもがきながら懸命に生きる人々を撮り続けてきたブリランテ・メンドーサ監督。最新作『義足のボクサー GENSAN PUNCH』は、プロボクシングライセンスが取得できない日本からフィリピンへと渡り、プロボクサーを目指した“義足のボクサー”を描く感動作だ。主人公・尚生は、義足のために日本でのプロボクシングライセンスが取得できず、夢を叶えるためフィリピンへと渡る。そこでは毎試合前にメディカルチェックを受け、アマチュア戦で3戦全勝すれば義足であってもプロライセンスが取得でき、プロのリングに上がれるのだ。実話の映画化に挑んだのは、沖縄出身の国際派俳優、尚玄だ。自ら主演し、製作にも名を連ねた尚玄は、構想から約8年間もの歳月を費やして映画化を実現。プロデューサーの山下貴裕とともに数年にわたり東奔西走し、フィリピンの名匠ブリランテ・メンドーサとのタッグを実現させた。脚本は渡されず、当日セリフが教えられるという異色の演出方法の現場でプロボクサーとの試合シーンにも全力で挑み、コロナ禍で撮影が一年以上中断になった際もストイックに体型を維持、尚生を体現している。今回解禁された場面写真は、真摯なまなざしで夢に向かって突き進む義足のボクサー尚生の4つの場面をとらえている。ライセンス申請却下の通知を見つめる表情からは、日本で夢を絶たれた痛切な思いが滲む。初めてフィリピンのジムに足を踏み入れた場面をとらえた1枚は、一転して新たな挑戦への希望に満ち、スパーリング中に相手を見据える瞳は夢を諦めない力強さを感じさせる。リングに立ち、対戦相手と拳を合わせる尚生の姿は、義足でありながら、一人のボクサーとして特別なことなど何もないと体現。並々ならぬ熱意で映画化を実現した尚玄と、夢を諦めずにフィリピンへ渡った主人公・尚生の人生の重なりが、演技にさらなる深みを持たせている。『義足のボクサー GENSAN PUNCH』は、5月27日沖縄先行公開、6月3日TOHO シネマズ日比谷にて先行公開、6月10日全国公開。(C)2022「義足のボクサー GENSAN PUNCH」製作委員会
2022年05月06日