本物そっくりのカラフルで精巧なクリームやキャンディ、フルーツなどを用いたインスタレーションや現代アート作品を制作する作家、渡辺おさむ氏の展覧会【渡辺おさむ展お菓子の美術館】を11月19日(土)から酒田市美術館【山形県酒田市】にて開催いたします。開催期間中に関連イベントも多数実施いたしますので、渡辺おさむの作品とあわせてお楽しみください。酒田市のシンボル獅子頭作品酒田市のシンボル獅子頭作品■酒田のシンボル、獅子頭もスイーツになって登場!渡辺おさむは、樹脂などを材料に本物そっくりに作られた“スイーツ”を使い、デコレーションするスイーツデコの技術をアートに昇華させた現代美術作家です。思わずたべたくなるようなホイップクリームやマカロン、キャンディなどカラフルな“スイーツ”を用いて、動物や建築物の模型にデコレーションを施し、可愛く気品溢れる作品を創り出しています。また、ロダンの≪考える人≫やフェルメール≪真珠の耳飾りの少女≫など、有名な絵画や彫刻も渡辺おさむの手にかかれば、美味しそうな作品へと変化します。本展覧会では、酒田の赤ちゃん獅子をデコレーションした≪スイーツ獅子頭-blue cream-≫≪スイーツ獅子頭-pink cream-≫など、酒田ならではの作品も登場します。まるで魔法のようなお菓子の美術館をお楽しみください。■関連イベント●渡辺おさむギャラリートーク日時:11月19日(土)11:00~、14:00~定員:各回20名程度(先着)費用:無料(但し、要観覧券または年間券)●渡辺おさむワークショップ 「クリスマスオーナメントを作ろう」日時 :11月20日(日)11:00~、14:00~場所 :美術館ミーティングルーム定員 :各回8名(先着)対象 :小学4年生から大人まで (小学生は保護者同伴必須)費用 :1,000円(材料費込み)申込み:11月9日(水)9:00から美術館電話申込み※当日は汚れても良い服装でお越しください。●おしゃべりなアート鑑賞会学芸員と展示室内をめぐって対話型の鑑賞を行います。日時:11月27日(日)、12月4日(日) 各日11:00~13:30、14:00~14:30定員:各回10名程度(先着)費用:無料(但し、要観覧券または年間券)●ぬいぐるみお泊まり会お気に入りのぬいぐるみが美術館を探検。お泊まりの様子は美術館のSNSで公開します。お迎え日には皆で泊まった様子をスライドショーで鑑賞します。お預かり :(1)11月26日(土) (2)12月11日(日) 各日11:00お迎え&鑑賞会:(1)12月3日(土) (2)12月17日(土) 各日14:00定員 :各回先着5名(1人1体)費用 :500円対象 :どなたでも場所 :美術館ミーティングルーム参加条件 :ぬいぐるみの大きさは15cm~30cm程度。ぬいぐるみと1週間離れても大丈夫なこと。申込み :11月20日(日)9:00から美術館電話申込み酒田市美術館ホームページ: ■渡辺おさむ氏コメント誰もがみた事のある美術の名品が、お菓子で表現された不思議な美術館へ皆様をご招待いたします。クリームでデコレーションされた絵画は本来の意味や概念から離れ、新たなストーリーをつむぎ始めます。本展では、酒田市をイメージした巨大なお菓子のジオラマや、お菓子の水族館、お菓子が並ぶ7mの晩餐会テーブル、3mのお菓子のメリーゴーラウンドなど、美術館じゅうに不思議な世界が広がっています。ぜひお菓子の美術館であなただけの物語を見つけてみてはいかがでしょうか。■渡辺おさむについてスイーツデコの技術をアートに昇華させた第一人者として「東京カワイイTV」(NHK)や「徹子の部屋スペシャル」(テレビ朝日)等、多くのメディアに取り上げられています。その作品は、国内はもとより海外でも注目を集め、中国、インドネシア、イタリア、ベルギー、トルコ、アメリカ、韓国などでも個展が開催され、話題を呼んできました。また作品集や著書が出版されたほか、大原美術館や笠間日動美術館など国内8ヶ所の美術館に作品がコレクションされています。渡辺おさむホームページ: ■開催概要会期 :2022年11月19日(土)~2023年1月22日(日)休館日:12月から月曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日(木)~2023年1月3日(火)時間 :9:00~17:00 ※入館は16:30まで会場 :酒田市美術館〒998-0055 山形県酒田市飯森山3丁目17-95観覧料:一般1,000円(900円)、高校生500円(450円)、中学生以下無料※( )内は20名以上の団体料金※大学・専門学生は一般料金となります。※障がい者手帳をお持ちの方、およびその介助者1名の観覧料は半額となります。※お得な年間券は、3,300円で3名様まで1年間何度でもご利用できます。主催 :公益財団法人さかた文化財団 酒田市美術館共催 :酒田市、酒田市教育委員会協力 :渡辺おさむアトリエ企画協力:M&M Color 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年11月10日世界中で愛されてきた話題のコンテンツ「ゴッホ・アライブ」が、金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)にて2022年12月10日(土)から2023年3月5日(日)まで開催いたします。ゴッホ・アライブグランデ・エクスペリエンセズが企画制作したゴッホ・アライブは、芸術性とエンターテイメント性を兼ね備えた五感で楽しむ全く新しい没入型の展覧会。3,000点以上に及ぶゴッホの名作が、力強いクラシック音楽に乗って、巨大かつ鮮明な画像で生き生きと再現された空間は別世界。まるで絵画の中の世界を歩いているかような感覚に。会場に足を踏み入れた瞬間から、光、色、音、香りの鮮やかなシンフォニーに包まれ、次々と流れるビジュアルとサウンドに身を委ねる体験は“忘れられない”特別な体験となることでしょう。●みどころ【体感できる!没入型展覧会】ゴッホ・アライブは、時空を超えて来場者をオランダ、パリ、アルル、サン=レミ、オーヴェール=シュル=オワーズに誘います。クラシック音楽が流れる中、ゴッホの作品の3,000以上の画像が壁や柱、天井、床などありとあらゆる場所に映し出されます。細部まで色鮮やかに再現された作品の数々を見れば、ゴッホの当時の思いや感情を感じずにはいられません。一瞬にして来場者をゴッホの傑作の世界に引き込みます。Photo:Grande Experiences【新しいアート鑑賞の形】静まりかえった館内で作品から離れて鑑賞する―そんな従来の鑑賞法とは全く違い、「五感で」ゴッホ作品を体験し楽しむことができます。場内に一歩踏み入れた時から、光と色、音とアロマの力強いシンフォニーに包まれ、日常を離れてゴッホの世界に引き込まれます。Photo:Grande Experiences【最新の技術】グランデ・エクスペリエンセズが開発したSENSORY4(TM)は、マルチチャンネル・モーショングラフィックスと映画館品質のサラウンド音響、最高40台ものHDプロジェクターを融合させ、マルチスクリーン環境を提供する独自システムで、どんな展示スペースもダイナミックで目を見張るような映像体験空間に変えることができます。フランスの田園地方の暖かさを想起させるアロマの香りも来場者の体験をさらに増幅させます。(C)RB Create【ゴッホを知る】ゴッホの芸術、生涯、時代背景に関する総合的な情報をゴッホ自身の豊富な画像や言葉を交えて解説します。ギャラリーに入る前にゴッホの人生と作品について学び、これから始まる体験への期待を高めます。【フォトロケーションエリア】ひまわり畑、ファンゴッホの部屋などを再現したフォトロケーションもお楽しみいただけます。Photo:Grande ExperiencesPhoto:Grande ExperiencesPhoto:Grande Experiences【ゴッホ・アライブ オリジナルグッズ】アクリルキーホルダー〔価格〕各660円(税込)アクリルキーホルダーがまぐちポーチ〔価格〕1,980円(税込)がまぐちポーチウォーターボトル〔価格〕各2,750円(税込)ウォーターボトルトートバッグ〔価格〕各3,080円(税込)トートバッグ 5種類Tシャツ〔価格〕各3,850円(税込)Tシャツ※商品画像はイメージです。【開催概要】展覧会名 : ゴッホ・アライブ会期 : 2022年12月10日(土)~2023年3月5日(日)会場 : 金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)名古屋市中区金山町1-1-1開館時間 : 10:00~20:00 (日曜日は18:00まで)※最終入場は閉館の60分前まで休館日 : 12月12日(月)、12月28日(水)~2023年1月1日(日)、1月10日(火)主催 : 中京テレビ放送公式サイト: Twitter : @goghalivejp Instagram : @goghalivejp 観覧料 : 一般2,500(2,300)円、高大生2,000(1,800)円、小中生1,500(1,300)円・未就学児無料・()内は前売券・前売券は12月9日(金)まで販売※本展の会期や内容が変更になる場合がございますので、予めご了承ください。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年11月09日俳優の佐々木希さんが、2022年11月4日に自身のInstagramを更新。東京都港区にある国立新美術館で開催中の『第9回日本美術展覧会』で、自身がモデルとなった絵画が展示されていることを報告しました。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 この投稿をInstagramで見る 佐々木希(@nozomisasaki_official)がシェアした投稿 本日から、東京・国立新美術館で開幕する「第9回日本美術展覧会」にて中島健太さんが描いてくださった絵が展示されており、私もマネージャーさんと息子と一緒に早速観てきました。nozomisasaki_officialーより引用1児の母親である佐々木さんは、4歳の息子さんとマネージャーと一緒に、早速絵画を観に行ったのだとか。息子さんは、佐々木さんの姿が描かれた絵画を観て、びっくりしていたそうです。佐々木さんは「息子が大きくなったら、ママ、すごい人に絵を描いてもらったんだよーと、自慢しよう」と、喜びの想いをつづっていました。また、出来上がった絵に、自身のサインを入れたことも報告。何度も試し書きをして、緊張しつつもサインを書いたといいます。佐々木希がモデルとなった油絵『陽だまり』佐々木さんの絵を描いたのは、画家の中島健太さん。制作した作品がすべて完売する『完売画家』としてテレビなどでも取り上げられています。中島さんは、絵を制作するにあたり、佐々木さんに「愛する人に向けて、ほほ笑んでいる姿を描きたい」とお願いしたのだそうです。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 この投稿をInstagramで見る kenta nakajima 中島健太(@painterkenta)がシェアした投稿 作品の名前は『陽だまり』。こちらは、佐々木さんが名付けたものなのだとか。温かく柔らかなオーラを放っていて、『陽だまり』という名前がぴったりな作品ですね。【ネットの声】・素晴らしい絵ですね。実物を観てみたい。・観に行きました。とても素敵で、美しい作品に感激でした。・この絵が残っていたら、未来人たちは「こんなに美しい人がいるわけないだろう」って話すだろうな。・佐々木さんが天使のように見える。・女神が舞い降りたようです。とてもきれい。この絵画は、163cm×130cmのサイズで、非常に大きな作品となっています。写真を見るだけでも息をのむ美しさですが、実物はさらに迫力がありそうですね。『第9回日本美術展覧会』は、同月27日まで開催されています。気になる人は、足を運んでみてはいかがでしょうか。[文・構成/grape編集部]
2022年11月09日アートアクアリウム美術館 GINZAは、秋イベント「生命の宿る金魚アート」を開催。「アートアクアリウム美術館 GINZA」で金魚アートを鑑賞「アートアクアリウム美術館 GINZA」は、“百華繚乱~進化するアート~”をテーマにした、金魚アートの常設施設だ。色とりどりの金魚とともに、光や音、香りの演出を施した、幻想的な空間を楽しめる。館内では、様々な色合いで輝く個性豊かな水槽作品を多数展示。光と色が交錯する水槽のなかで、金魚たちが優雅に泳ぐ、非現実的な美しい景色を堪能することができる。金魚×デジタルのアート作品秋イベント「生命の宿る金魚アート」では、芸術の秋に向けて、金魚をテーマにしたアートや伝統工芸作品を複数展示する。中でも注目なのは、「女性と金魚/鯉」をモチーフにしたデジタルアートだ。新進気鋭の様々なアーティストとコラボレーションした、幻想的なアート作品を間近で鑑賞できる。チョークで描いた金魚作品また、チョークアーティスト・Moecoによるチョークで描かれた金魚作品や、歌川国芳による金魚や鯉を描いた作品20点余りを集めた「歌川国芳コレクション」なども取り揃えている。日本の伝統を感じらえる作品そのほか、日本の伝統工芸である江戸切子の中で金魚が優雅に泳ぐ「金魚の飾り棚」や、京都の伝統的な織物・西陣織、日本の伝統芸能である能のお面、盆栽など、日本の伝統美に触れることのできる作品も用意している。とらやとのコラボ羊羹もさらに、アートアクアリウム美術館 GINZAのミュージアムショップでは、とらや(TORAYA)とコラボレーションした「小形羊羹」を販売。とらやを代表する小倉羊羹「夜の梅」を含む5種類の羊羹を、アートアクアリウムオリジナルのパッケージで提供する。【詳細】アートアクアリウム美術館 GINZA「生命の宿る金魚アート」開催日程:2022年11月1日(火)~場所:銀座三越 新館8階住所:東京都中央区銀座4-6-16営業時間:10:00~19:00(変更になる場合あり)休館日:銀座三越の休館日に準ずる ※不定期で休館の場合あり料金:WEBチケット 2,300円、当日券 2,400円【問い合わせ先】銀座三越TEL:03-3562-1111(代表番号)
2022年11月05日千葉市美術館は、企画展「ブラチスラバ世界絵本原画展 絵本でひらくアジアの扉-日本と韓国のいま」を2022年11月12日(土)から12月25日(日)まで開催する。世界最大規模の絵本原画コンクール、日本&韓国に焦点「ブラチスラバ世界絵本原画展」(略称BIB=Biennial of Illustrations Bratislava)とは、スロバキア共和国の首都ブラチスラバで2年ごとに開催される世界最大規模の絵本原画コンクール。企画展「ブラチスラバ世界絵本原画展 絵本でひらくアジアの扉-日本と韓国のいま」では、2021年10月から2022年2月にかけてブラチスラバで開催されたBIB2021(第28回展)参加国の中から、近年数多くの受賞作家を輩出している日本と韓国にフォーカス。日本と韓国の作家による全出品原画作品や絵本、絵本が生み出され読者に届くまでの過程を取材した特集展示、グランプリ他、各受賞作家の作品をパネルと絵本により鑑賞することができる。日本と韓国の出品作家による原画&絵本見どころは、近年の活躍がめざましい日本と韓国の絵本の総特集。BIB2021では、日本のしおたにまみこが第3席に当たる金牌を受賞した他、韓国のイ・ミョンエと中国のチョウ・チョウが第2席に当たる金のりんご賞を獲得するなど、大躍進を見せている。BIB2021出品作品だけでなく、「うみだす」「そだてる」「とどける」「ひろがる」というキーワードのもと、作家・編集者・出版社を取材し各国の絵本文化も紹介していく。韓国のフレッシュな絵本文化韓国独自の新鮮な絵本文化にも注目だ。韓国での創作絵本の成り立ちは1980年代後半と比較的遅いものの、他国とは異なるフレッシュでパワフルな魅力に、2000年代から海外で高く評価され注目を集めている。会場では、特集「BIBからみる韓国の絵本」として14人の出品作家の絵本と約100点の原画を展示、日本では目にする機会の少ない韓国の絵本を実際に手に取ることができる。日本ならではのアナログ絵本原画BIB第1回展で瀬川康男の『ふしぎなたけのこ』がグランプリを受賞して以来、これまで多くの日本人受賞者を生み、長く続く絵本文化に根差した力のある作品を生み出し続けている日本。今日、世界的にもデジタルでの原画作品が多い中、日本のほとんどの絵本原画がアナログ技法で制作されていることから、特集「BIBからみる日本の絵本」では15人の出品作家の絵本と約70点の原画を展示する。また、BIB2021で金牌を受賞したしおたにまみこ『たまごのはなし』は、原画の他習作やラフ原稿、制作過程の展示を実施する。アナログ原画ならではの繊細なタッチや色を堪能できる。【詳細】企画展「ブラチスラバ世界絵本原画展 絵本でひらくアジアの扉-日本と韓国のいま」会期:2022年11月12日(土)~12月25日(日)休館日:12月5日(月)※休室日は11月21日(火)開館時間:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)※入場受付は閉館の30分前まで会場:千葉市美術館住所:千葉県千葉市中央区中央3-10-8観覧料:一般 1,000円(700円)、大学生 700円(560円)、小・中学生、高校生無料※障害者手帳所持者とその介護者1名は無料※( )内は前売り、市内在住65歳以上の料金※前売券は千葉市美術館ミュージアムショップ、ローソンチケット(Lコード:32248)、セブンイレブン(セブンチケット)、千葉都市モノレール「千葉みなと駅」「千葉駅」「都賀駅」「千城台駅」の窓口にて11月11日(金)まで販売(11月12日(土)以降は当日券販売)。※ナイトミュージアム割引:金・土曜日の18:00以降は観覧料半額※本展チケットで7階「新収蔵作品展」、5階常設展示室「千葉市美術館コレクション選」も鑑賞できる。■韓国の出品作家イ・ソヨン、イ・ミョンエ、オ・セナ、キム・ジヨン、キム・セジン、クォン・ジョンミン、コ・ジョンスン、サイダ、ジウン、ジャン・ヒョンジョン、ジョン・ミファ、チョ・ミザ、パク・ヒョンミン、ハン・ビョンホ■日本の出品作家あべ弘士、荒井真紀、荒井良二、飯野和好、うえだまこと、きくちちき、しおたにまみこ、スズキコージ、田島征三、たじまゆきひこ、舘野鴻、中島真典、降矢なな、松本大洋、ミロコマチコ【問い合わせ先】千葉市美術館TEL:043-221-2311 (代表)
2022年11月04日企画展「憧憬の地 ブルターニュ─モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」が、東京・上野の国立西洋美術館にて、2023年3月18日(土)から6月11日(日)まで開催される。日仏の画家が描いたブルターニュ19世紀後半から20世紀にかけて、各国の画家たちはフランス北西端のブルターニュ地方を訪れ、この地を題材に数多くの作品を手がけた。企画展「憧憬の地 ブルターニュ─モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」では、画家たちが描いたブルターニュを一堂に集めて紹介する。ブルターニュ地方は、雄大な自然、先史時代の巨石遺構、宗教的モニュメント、あるいはケルト系言語を話す人びとの素朴な生活様式などに見るように、古来より特異な文化圏を形成していた。フランスの内なる異郷ともいえるブルターニュは、19世紀になると人びとの関心を集めるようになる。美術の領域においても新しい画題を求める画家たちを受け入れ、19世紀末には、ポール・ゴーガンが率いるポン゠タヴェン派やナビ派といった画家グループの誕生を促した。また、黒田清輝や藤田嗣治など、日本から渡仏した画家たちもブルターニュを訪れ、この地を作品に描いている。本展では、国立西洋美術館の「松方コレクション」などから、フランスを中心とする画家によるブルターニュを題材とした作品約160点を一堂に集めて紹介。ゴーガンの作品を10点以上集めてその造形様式の変遷をたどるとともに、クロード・モネやポール・シニャック、アルフォンス・ミュシャのほか、黒田清輝や藤田嗣治、長谷川潔、山本鼎など、日本から渡仏した画家の作品も展示する。展覧会概要企画展「憧憬の地 ブルターニュ─モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」会期:2023年3月18日(土)〜6月11日(日)会場:国立西洋美術館住所:東京都台東区上野公園7-7※詳細については追って告知【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
2022年11月04日日本一高いビル「あべのハルカス」16階の「あべのハルカス美術館」では、日本美術や西洋美術、現代アートなど多彩な展覧会を開催しています。2023年度は4月22日(土)から6月18日(日)まで「恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師絵金」を開催予定です。(既報のとおり。詳細は別紙参照)上記の展覧会に続き、7月1日(土)から9月3日(日)まで「超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA」、9月16日(土)から11月12日(日)まで「安野光雅展」の開催が新たに決定しましたのでお知らせいたします。今後もより魅力的な都市型美術館として多くのお客様にお越しいただけるよう運営してまいります。「超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA」会 期 :2023年7月1日(土)~2023年9月3日(日)共 催:MBSテレビ開催趣旨:2019年に当館で開催し、多くの観客を魅了した「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代 アートへ」。本展はそれをさらに発展させ、明治工芸のDNAを継承しつつ多様な素材と技法を駆使して、新たな領域に挑む現代作家の新作を中心に紹介します。進化し続ける作家たちが繰り出す驚きと感動の超絶技巧を、明治工芸の逸品とあわせて、今回もぜひご体感ください。「安野光雅展」会 期 :2023年9月16日(土)~2023年11月12日(日)共 催:朝日新聞社、関西テレビ放送開催趣旨:島根県津和野町に生まれた安野光雅(1926―2020)は、半世紀以上にわたり画家、絵本作家、装丁家として多彩な活躍を続けました。その独創的な作品は国内外の高い人気 を得ています。本展では、絵本のデビュー作『ふしぎなえ』から、近年の大作『繪本三國志』まで、やさしく、美しく、ユーモアと不思議にあふれた安野ワールドを紹介します。別紙: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年11月02日アムステルダム国立美術館は、2023年2月10日から6月4日まで開催されるフェルメール展に出品される作品リストを公表しました。「牛乳を注ぐ女」国立美術館■全出品リスト(アルファベット順) オランダ国内外からの出品作品からなるフェルメール展は史上最大規模となります。特別展に先立ち、学芸員、修復家、科学者などから構成されるチームが最先端技術を用いてフェルメールの最新研究を行なっています。それにより、フェルメールの人生と作品、芸術性、構成の動機、そしてその手法などが明らかになってきました。オンラインでのチケット販売は始まっています。アムステルダム国立美術館タコ・ディビッツ館長は、「この展覧会は、こんなにも多くのフェルメール作品を一度に見ることができる絶好の機会です。フェルメールファンだけでなく、科学者、修復家、歴史学者などにとってもまたとないチャンスです。この展覧会のために、貴重なフェルメール作品を貸与してくださった世界中の美術館、機関に心から感謝いたします。」と述べました。■フェルメール展フェルメール展に出品される作品数は、ヨーロッパ、アメリカ、そして日本から貸し出される28作品あまりです。特に、フリックコレクションからは、「中断された音楽の稽古」、「士官と笑う娘」、「婦人と召使い」の貴重な3点が出品されます。フリックコレクションのあるニューヨーク以外の場所で、この3点が同時に展示されるのは初めてのこととなります。3点の内、2点は展覧会に先立ち、アムステルダム国立美術館で詳細な調査が行われました。他にも、ハーグのマウリッツハウス王立美術館から「真珠の耳飾りの少女」、フランクフルトのシュテーデル美術館から「地理学者」、ダブリンのアイルランド国立ギャラリーから「手紙を書く女と召使い」、ワシントン・ナショナルギャラリーから「天秤を持つ女」、ベルリンの絵画館から「紳士とワインを飲む女」、ニューヨークのメトロポリタン美術館から「リュートを持つ若い女」、パリのルーヴル美術館から「レースを編む女」などの作品が出品されます。ドレスデン絵画館の「窓辺で手紙を読む女」も、修復後オランダ初公開となります。国立美術館では、「牛乳を注ぐ女」、「小路」、「手紙を読む女」、「恋文」の4点を所蔵しています。フェルメール展は、アムステルダム国立美術館での単館開催で、2023年2月10日から6月4日まで。■新しい調査研究最新の調査研究により、彼の社会的地位、住環境、他の画家や住民との接点など、フェルメール自身と彼を取り巻く環境に関する新しい発見がありました。最新の画像解析技術によりフェルメール作品の詳細な調査も進んでいます。国立美術館、マウリッツハウス王立美術館、アントワープ大学の学芸員、修復家、科学者などからなるチームがフェルメール作品の調査を行なっています。この調査には、高精度なMacro-XRF、RISスキャン技術などが使われています。最新の調査によると「牛乳を注ぐ女」には、新しく、瓶ホルダーと火鉢の二つが発見されました。これらはフェルメール自身により、塗りつぶされたオブジェです。また、最新のスキャンでは、ワシントン・ナショナルギャラリーの「天秤を持つ女」にも、新しい下絵部分が発見されています。フェルメールは絵を描く時に熟考を重ね、遅筆の画家と一般的には思われていましたが、その考えは覆されました。彼の作品は内向きで熟慮の結果のように見えるかもしれませんが、実際の彼の制作方法は技巧的で厳密であったと言えます。フェルメール展担当学芸員でアムステルダム国立美術館のグレゴールJ.M.ウェーバー絵画部門部長は、「フェルメールの制作技術は謎に満ちていました。あのような神秘的な光と色彩はどのようにして描かれたのだろうか?調査によって明らかになった、黒い絵の具で描かれた最初のスケッチを見ると、彼の制作方法がよく理解できるようになりました」と述べています。■ヨハネス・フェルメールヨハネス・フェルメール(1632-1675)はデルフトで生まれ生涯、この町で過ごしました。その静寂に包まれた室内画、類い稀な光と影、色彩の使い方、そして散りばめられた寓意など多くの人を惹きつけてきました。同時代の画家レンブラントと対照的に、現存する作品数はたったの37点です。フェルメール展担当学芸員でアムステルダム国立美術館のピーター・ルーロフ絵画彫刻部門部長は、「デルフトのスフィンクスとも称されるフェルメールの神秘性は、150年もの間、彼の名声と共に画家に代名詞とも言われてきました。彼の人生を紐解くことにより、フェルメールの神秘に一歩ずつ近づくことができます。」と述べました。■フェルメール展チケットチケットは国立美術館のウェブサイトから購入できます。Rijksmuseum website: ■出版物フェルメール Vermeer展覧会に合わせてフェルメールの新発見を紹介した図録が出版されます。フェルメールの全作品が掲載されます。著者 :グレゴールJ.M.ウェーバー、ピーター・ルーロフ、他デザイン:イルマ・ボーム320ページ、オランダ語・英語。ドイツ語、フランス語版も準備中。Hannibal Booksとの共同出版ヨハネス・フェルメール - 信念、光とリフレクションJohannes Vermeer. Faith, Light and Reflection著者 :グレゴールJ.M.ウェーバーデザイン:イルマ・ボーム168ページ、オランダ語・英語版出版 :国立美術館ミッフィー×フェルメール Miffy×Vermeerデザイン:イルマ・ボーム40ページ、オランダ語、英語出版 :国立美術館、メルシス社■オンライン・エクスピリエンスフェルメール作品の美しいディテール、そこに秘められた物語、彼の人生や制作方法などを網羅したオンライン・エクスピリエンスが、国立美術館のウェブサイトに2023年1月完成予定です。■シンポジウムマウリッツハウスと共同で、2023年3月に最新の研究結果の発表の場として、2日間にわたりシンポジウムが開催されます。フェルメール展は、Ammodo社とRijksmuseum International Circleの協力で開催されます。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年11月02日エルメス(HERMÈS)のクラフトマンシップについて紹介する「エルメス・イン・ザ・メイキング」展が、京都市京セラ美術館にて、2022年11月22日(火)から11月27日(日)まで開催される。手仕事に息づくクラフトマンシップを紹介「エルメス・イン・ザ・メイキング」展は、エルメスの職人たちの手仕事を通して、メゾンのクラフトマンシップに光をあてる展覧会だ。エルメスのさまざまな製造部門の職人たちが、愛用の道具、素材、そして専門知識を携えて来日し、アトリエのように落ち着いた空間でものづくりの様子をありのままに紹介する。会場は、「クラフトマンシップの伝統と文化」、「すばらしき素材」、「ものづくりの地に宿る力」、そして「「時」はエルメスの友」の4つのセクションから構成。色鮮やかなスカーフの絵柄を生みだす精巧なシルクスクリーン、バッグ「ケリー」のサドルステッチ、バッグの修理における創意工夫と熟練の技術、「シェーヌ・ダンクル」のブレスレットにダイヤモンドをセットする際の忍耐力、あるいは純白の磁器の縁に描いた「セイロンのレオパード」の緻密さなど、手仕事に息づくクラフトマンシップを紹介する。また、訪れた人が自ら手や指を動かすワークショップや、皮革職人の道具を用いた楽器の演奏など、さまざまな体験型のイベントを用意するほか、エルメスならではのサステナビリティに向けた取り組みを紹介するドキュメンタリーシリーズ「Footsteps across the World (世界をめぐる足跡)」の映像も上映する。展覧会概要「エルメス・イン・ザ・メイキング」展会期:2022年11月22日(火)〜11月27日(日)会場:京都市京セラ美術館 本館 南回廊 1階住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124時間:10:00〜18:00※入場無料、オンライン予約制【問い合わせ先】「エルメス・イン・ザ・メイキング」展 お問い合わせ窓口TEL:0120-375-040 (10:00〜18:00)
2022年10月31日東京国立近代美術館では、2022年11月1日(火)より、『大竹伸朗展』を開催する。2006年に東京都現代美術館で開催された『全景 1955-2006』以来、16年ぶりとなる大規模な回顧展だ。1955年、東京に生まれ、現在は愛媛県の宇和島を拠点に活動している大竹伸朗は、現代日本を代表するアーティスト。1980年代初めにデビューして以来、絵画、版画、素描、彫刻、映像、絵本、音、エッセイ、インスタレーション、巨大建造物と、あらゆる創作物を手掛け、ドイツ、カッセルで開催されるドクメンタ(2012年)やヴェネチア・ヴィエンナーレ(2013年)といった国際展に参加するなど、現代美術のトップランナーとして走り続けてきた。そんな彼の半世紀近くに及ぶ創作活動を一挙公開する同展では、「自/他」「記憶」「時間」といった7つのテーマで、約500点の作品を紹介する。主な出品作品は、2019年以降大竹が取り組む「残景」シリーズの最新作で初公開となる《残景 0》(2022年)や、2012年のドクメンタで発表した小屋型のインスタレーション《モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像》、そして大竹伸朗作品を代表する「宇和島駅」のネオンサインなど。この《宇和島駅》は、同展会期中、東京国立近代美術館のテラスで輝き続けるので館外からも注目を。そのほか、小さな手製本から、「音」を発する作品まで、大竹伸朗の強烈な個性とエネルギーに埋め尽くされた空間に、鑑賞者は圧倒されること間違いない。また大竹伸朗といえば、スナックの看板をモチーフにした《ニューシャネル》(1998年)に代表される独得な文字が特徴だが、この「大竹文字」をデザインしたTシャツなど、同展のために製作された展覧会オリジナルグッズも見逃せない。《宇和島駅》 1997年Photo:岡野圭《ダブ平&ニューシャネル》 1999年公益財団法人 福武財団《モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像》 2012年Commissioned by dOCUMENTA(13)Photo:山本真人《スクラップブック #71/宇和島》 2018–21年Photo:岡野圭©︎Shinro Ohtake, photo by Shoko【開催概要】『大竹伸朗展』会期:2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)会場:東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー、2F ギャラリー4時間:10:00~17:00、金土は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜(1月2日、1月9日は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)、1月10 日(火)料金:一般1,500円、大学1,000円展覧会公式サイト:
2022年10月28日’20年夏に認知症を公表するも“最後の絵画展”を開催するために一念発起!?今回は、絵画展のための作品を描きながら、脳も活性化できる一石二鳥の“脳活アート”に挑戦した蛭子能収さん(75)。はたして作品は完成するのだろうか……。■蛭子さんになんとか絵を描かせたい!認知症になった蛭子さんの展覧会をやりたい──。そんな『女性自身』の編集デスク・吉田のムチャぶりを受け、私、「蛭子能収の人生相談」の担当記者・山内は悩んでいた。認知症を公表して2年。最近の蛭子さんのやる気は低下の一途。「絵を描いてください」と頼んでも「いや~、面倒くさいですね」と頭をかきながら笑ってごまかす。画材を用意しても、ペンを持って10分ほどで「大丈夫?次の仕事があるから」と、マネージャーを見ながらペンを置いてしまう。仕事などないのに……。認知症という病気は、サブカル界のカリスマ“芸術家・蛭子能収”の才能と集中力を奪い去ったのか。悩める私にある日、ひとつのアイデアが浮かんだ。それが「臨床美術」だ。彫刻家の故・金子健二さんが、医療や福祉の専門家とともに開発した日本初のアートプログラムメソッド。認知症の予防や改善だけでなく、子どもの感性教育、社会人のメンタルヘルスケアなどにも取り入れられている。「認知症の予防や症状改善を目的とした臨床美術には、誰もが楽しみながら作品をつくれるように考えられたプログラムがあり、創作活動を通して脳が活性化します」そう語るのは「芸術造形研究所」の臨床美術士・大倉葉子さん。これまでも認知症患者の意欲と潜在能力を引き出してきたベテラン臨床美術士である。彼女の手にかかれば、「面倒くさい」とペンを投げ出す蛭子さんのやる気も、引き出してくれるかもしれない──。■会話で蛭子さんの心を解きほぐす!いよいよ蛭子さんに臨床美術にチャレンジしてもらう日が来た。「今日は絵を教えていただこうと思ってやってきました」臨床美術士の大倉葉子さんは、蛭子さんにこう語りかけた。初対面の人の前ではいつも表情が硬くなる蛭子さんの目元が少しゆるんだ。「蛭子さんの本を3冊読ませてもらいました。好きなものも知っています。カレーライスにラーメンですね」と語る大倉さんに、蛭子さんは「そうですね」と笑顔を見せる。「私は蛭子さんの描く人の顔が好きなんですよ。見る人によって悲しそうにも、うれしそうにも見えますよね。どうやって描くんですか?」と、大倉さんは紙とペンを取り出した。脳を活性化させる「臨床美術」だが、まずは蛭子さんの心を開いていくコミュニケーションが重要のようだ。「どうやったかな……」と、頭をかきながら蛭子さんが自らペンを手にした!知らない人の前だとモジモジして何事も出だしが遅くなる蛭子さんだが大倉さんとの自然な会話で心がほぐれたのか、スムーズにペンを動かした。■ネガティブ思考でペンの動きが止まるその次に、蛭子さんの目の前に、展覧会用のイラストボードが用意された。ただならぬ雰囲気に蛭子さんの表情が固まった。すかさず大倉さんは、バッグから競艇専門誌『ボートボーイ』を取り出し「今日は大好きなものを描きましょう」と話しかけた。たちまち目を細めてページをめくり始める蛭子さん。「オレは、ボート走って行くときに、波があがるところが好きなんだよね」と、イラストボードの中央に競艇のボートを描き始めた。認知症になってから蛭子さんの絵は、紙の隅に小さく描かれるのが特徴だった。大胆な構図が魅力の蛭子さんが戻ってきた?そんな矢先、「実は、オレは競艇でずいぶん負けました。家族にも怒られたんですよね」とぽつり。蛭子さんの手が止まった。絵を描いていくうちに競艇に対するネガティブ思考が充満してきたようだ。表情も硬くなる。こうなると絵は進まない。さあ、どうなるか?【後編】“最後の絵画展”蛭子さんの今が描かれた作品が完成!へ続く※今回、蛭子さんが体験したのは臨床美術の手法によるコミュニケーションを通した絵画制作であり、実際の臨床美術のプログラムとは異なります。
2022年10月24日【前編】蛭子さん“最後の絵画展プロジェクト”のため、脳活アートに挑戦!から続く’20年夏に認知症を公表するも“最後の絵画展”を開催するために一念発起!?今回は、絵画展のための作品を描きながら、脳も活性化できる一石二鳥の“脳活アート”に挑戦した蛭子能収さん(75)。はたして作品は完成するのだろうか……。■「おやつタイム」で大復活!順調に展覧会用の作品を描いていた蛭子さんだが、競艇で負けたときの記憶がよみがえり、ペンがいっこうに進まない。これまでなら「蛭子さん、がんばって、ほら、ここに線を描けばいいですよ」と急かしていた。ところが大倉さんは「そうなんですね」と蛭子さんのネガティブ思考を受け入れた。ペンを置いた蛭子さんをそっと見守る。そして「蛭子さんが東京に来て驚いたことはなんですか?」と話しかけた。「富士山ですね、本物を見たときの衝撃は忘れられませんね」「どんな富士山でした?雪はありました?」「え~とですね、こんな富士山でした」蛭子さんがスラスラと雄大な山を描きはじめた。ネガティブ思考ではなく、楽しかった思い出や感情を掘り起こして、それを絵として表現していく。これが臨床美術では重要なようだ。大倉さんは、その手元よりも蛭子さんの表情をよく見ている。蛭子さんの表情が曇りがちになると、奥さんのこと、映画やテレビ出演のことなど、蛭子さんにとって楽しい思い出を掘り起こしていく。■苦手の色つけを始めた!「富士山に色をつけていきませんか?」と大倉さんが、16色セットのオイルパステルを置いた。その誘いに、蛭子さんは、迷うことなくピンク色のパステルに手を伸ばした。「山なら青か緑じゃないですか」と、私が口出ししようとしたとき、それを遮るように大倉さんが「いいですね、赤富士ならぬ桃富士!」と声をかけた。「色を自分で選ぶだけでも脳が活性化するんですよ」と小さな声で付け足した。蛭子さんが52年前に見た日本一の山の記憶は、いま桃色となって心に残っているのかもしれない。そっくりに描かなくてもいい。心のおもむくままに描きたいものを、塗りたい色で仕上げていくことが臨床美術の重要なポイントだ。「色をつけるのは面倒くさい」が口癖だった蛭子さんがいま、夢中になって富士山を桃色に輝かせていく。安心して没頭できる環境作り、心を揺り動かすコミュニケーションによって、蛭子さんはスイッチが入ったように創作に取り組んでいる。大倉さんは、臨床美術士は伴走者だと話していた。「ヒモを引いて誘導するのではなく、その人が持っている感性を引き出すことです」認知症で記憶は失われるかもしれないけれど感情は残る。その人らしさに寄り添い続けることを忘れてはいけないようだ。■絵が完成!蛭子さんが一言「売れますかね?」豪快に滑走するボートに色づけをしていた蛭子さんが、手にしていたオイルパステルを置いた。上気した顔にはいつもの笑みが戻っている。自由奔放な色彩と不思議でエネルギッシュな絵柄。一世を風靡した蛭子さんのヘタウマ画風が戻ってきた。大倉さんは、蛭子さんのやり切った笑顔に満足している。蛭子さんの才能はまったく涸れていない。感性を刺激して自信を持たせればいいのだ。「いい絵ですね。蛭子さんの絵は人を引きつけますね」と褒められた蛭子さんは、頭をポリポリしながら、「いくらで売れますかね?」お金を稼ぐどん欲さは認知症になってもならなくても変わらない。「これからも描いていきましょう」。大倉さんは蛭子さんのやる気スイッチをまたひとつ見つけたようだ。蛭子さんの展覧会は夢物語ではなく、実現に一歩近づいた。〈おわり〉※今回、蛭子さんが体験したのは臨床美術の手法によるコミュニケーションを通した絵画制作であり、実際の臨床美術のプログラムとは異なります。
2022年10月24日平安時代から現代まで、国宝を含め各時代を代表する蒔絵の名品を惜しみなく紹介する展覧会『大蒔絵展―漆と金の千年物語』が三井記念美術館で開催されている。静岡県熱海市のMOA美術館、愛知県名古屋市の徳川美術館の3館による共同企画だ。蒔絵とは、漆で絵を描き、金粉や銀粉などを蒔きつけて文様を表したもの。蒔絵が生まれた平安時代より現代に至るまで、1000年以上の間、人々に愛され作り続けられてきた。同展は三井記念美術館と、先に開催したMOA美術館、来年の開催を予定している徳川美術館の3館が共同で開催するもの。3つの会場で国宝が25件、重要文化財51件を含む合計188件を展示し、蒔絵の全貌に迫っていく。また、各会場ごとに展示内容が異なっているのも特徴だ。三井記念美術館では国宝7件、重文32件を含む計127件が展示される(途中、展示替えあり)。展示風景より同展は年代順に8章で構成されている。第1章「源氏物語絵巻と王朝の美」では、貴族文化が爛熟し日本独自の美の規範が生まれた平安時代の蒔絵、特に日本独自の蒔絵調度が完成を見せた平安後期の文化をひもとく。国宝《源氏物語絵巻》には蒔絵の調度類が登場しており、また重要美術品《石山切》のように、金銀を用いた美麗な料紙装飾には、蒔絵の意匠との共通点を見出すことができる。国宝《源氏物語絵巻宿木一》平安時代(12世紀)徳川美術館蔵※展示終了10月25〜30日に国宝《源氏物語絵巻柏木一》を公開重要美術品《石山切》藤原定信筆 平安時代(12世紀)MOA美術館蔵※全期間展示現在まで伝わる豪華な蒔絵の調度品には、神社の創建や、天皇即位、特別な祈願などの際に奉納されたものも少なくない。第2章「神々と仏の荘厳」では、熊野速玉大社に伝わる国宝《桐蒔絵手箱》や高野山金剛峯寺の国宝《澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃》など、寺社に伝わる蒔絵の名品を紹介していく。さまざまな国宝、重要文化財が一堂に会する展示室1と2は圧巻の光景だ。そして平安時代に発展した蒔絵の技術は、鎌倉時代に蒔絵粉を作る技術の向上により、基本的な三技法「研出蒔絵」、「平蒔絵」、「高蒔絵」が完成することとなる。続く第3章「鎌倉の手箱」では、鎌倉時代に制作された手箱を紹介、続く第4章「東山文化―蒔絵と文学意匠」では、前時代の技法を発展させ、室町時代の蒔絵を紹介する。国宝《澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃》平安時代(12世紀)高野山金剛峯寺蔵 ※全期間展示国宝《片輪車蒔絵螺鈿手箱》平安時代(12世紀)東京国立博物館蔵※展示期間10月1日〜23日長い戦国時代が終わり、豊臣秀吉の治世となると、全国各地で復興建築ラッシュが到来。建築装飾や調度品を装飾するため、大量の蒔絵の求められるようになる。そのため、蒔絵制作の複雑な工程を簡略化した高台寺蒔絵が流行を見せる。第5章「桃山期の蒔絵-黄金と南蛮」では、復興ニーズによって新しく生まれた蒔絵や、西洋の顧客のために作られた南蛮漆器と呼ばれる祭礼具などを展示する。重要文化財《秋草蒔絵歌書簞笥》桃山時代(16世紀)高台寺※10月1日〜23日展示重要文化財《IHS葡萄蒔絵螺鈿聖餅箱》は、聖餅式に用いるパン(聖体)をおさめる箱。イエズス会の紋章であるIHSの三文字と花クルス、三本の釘を円光で囲んだイエズス会の紋章が蓋に配されており、側面はぶどうの文様が描かれている。重要文化財《IHS葡萄蒔絵螺鈿聖餅箱》桃山時代(16世紀)東慶寺蔵※全期間展示江戸時代になると、蒔絵の意匠や技法はさらに集約され、多様な表現が試みられるようになった。幸阿弥家や、古満家や梶川家、《秋野蒔絵硯箱》を制作した五十嵐家などの御用蒔絵師たちが将軍家や大名家に使える一方、《八橋蒔絵螺鈿硯箱》の尾形光琳、本阿弥光悦や小川破笠などの個性的な活動をする作家も増えていった。また、人々の暮らしも豊かになり、都市で暮らす町人たちも、蒔絵が施された印籠や櫛、盃などを使用するようになっていった。第6章「江戸蒔絵の諸相」では、多様化する蒔絵を紹介していく。伝五十嵐道甫重要文化財《秋野蒔絵硯箱》江戸時代(17世紀)個人蔵※展示期間 10月1日〜10月23日尾形光琳国宝《八橋蒔絵螺鈿硯箱》 江戸時代(17〜18世紀世紀)東京国立博物館蔵※展示期間 10月1日〜10月23日原遊羊斎 酒井抱一下絵《四季草花蒔絵茶箱》江戸時代 19世紀※全期間展示蒔絵を取り巻く状況は明治維新以降大きく変化し、蒔絵師たちは時代に合わせた技法や意匠を次々に生み出していく。第7章「近代の蒔絵―伝統様式」では、帝室技芸員としても活躍した柴田是真らを、第8章「現代の蒔絵―人間国宝」では、松田権六ら、「重要無形文化財(人間国宝)」に指定された作家作品を紹介する。柴田是真《五節句蒔絵手箱》江戸〜明治時代(19世紀)サントリー美術館蔵※展示期間 10月1日〜10月23日松田権六《赤とんぼ蒔絵箱》昭和44年(1969年)京都国立近代美術館蔵12世紀の平安時代から、現代に至るまでの長い蒔絵の歴史を諦観できる、豪華絢爛な展覧会、展示替えされる作品も多いので、お目当ての作品がある場合は、Webサイトをチェックして展示スケジュールをしっかりと確認しておこう。取材・文:浦島茂世【開催情報】『大蒔絵展―漆と金の千年物語』2022年10月1日(土)~11月13日(日)、三井記念美術館にて開催※会期中展示替えあり
2022年10月18日ミュシャやゴッホの名作絵画をモチーフにした腕時計「オリジナル絵画ウォッチ」が登場。2022年10月25日(火)より、ブルーブルーエ(Bleu Bleuet)全店舗ほかにて発売される。ミュシャ、ゴッホの名画モチーフの新作誰もが一度は目にしたことがある絵画作品をモチーフにしたブルーブルーエの「オリジナル絵画ウォッチ」。額縁のようなゴールドのスクエアフレームに、ゴッホやフェルメールといった巨匠の絵画を収め、いつでも“絵画鑑賞”を楽しめるデザインが特徴だ。「オリジナル絵画ウォッチ」に新しくラインナップするのは、アルフォンス・ミュシャ《夢想》《フラワー》、フィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉と星の見える道》《星月夜》の4種の柄。それぞれの絵画に合わせたベルトのカラーにも注目だ。なお、人気のフィンセント・ファン・ゴッホ《星月夜》はベルトのカラーをリニューアルして再登場。淡いグレーのカラーで、落ち着いた印象に仕上げた。ミュシャの絵画モチーフのバッグも新登場また、ミュシャの《夢想》《フラワー》《黄道十二宮》をモチーフにした3種類のトートバッグも新登場。A4 サイズがすっぽりと入る容量たっぷりのバッグは、通学や通勤にもおすすめだ。【詳細】オリジナル絵画ウォッチ発売日:2022年10月25日(火)展開店舗:ブルーブルーエ全国168店舗、オンラインストア※オンラインストアでは、発売に先行して予約注文を受付。価格:・オリジナル絵画ウォッチ 各2,750円(アルフォンス・ミュシャ《夢想》《フラワー》、フィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉と星の見える道》《星月夜》)・オリジナル絵画トート 3,850円(アルフォンス・ミュシャ《夢想》《フラワー》《黄道十二宮》)※店舗によって取扱アイテムは異なる。※実際の商品と仕様が異なる場合あり。※商品の入荷日・販売日が若干前後する可能性あり。※都合により入荷しない場合あり。※アイテムがなくなり次第終了する場合あり。
2022年10月17日パリ装飾芸術美術館での成功に続き、ロンドン、ニューヨークと世界を巡回してきた「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展が、2022年12月21日から東京都現代美術館(MOT)で開催されます。本展はディオールと日本との真摯かつ貴重な絆を称える特別な展覧会となります。©Yuriko TakagiOMAのパートナーである建築家、重松象平氏が日本文化へのオマージュとしてデザインした新しい空間演出に導かれ、フロランス・ミュラー氏のキュレーションにより再考案されたこの回顧展では、創設者クリスチャン・ディオールが影響を受けた芸術から、彼の庭園に対する愛、豪華な舞踏会の魔法、ディオールのコレクションに最初から影響を与えていた日本の豊かな創造性への魅力など、素晴らしい発見を伴う75年を超える情熱にスポットが当てられています。ユニークなコラボレーションと相互への賞賛によって結ばれたこの揺るぎない友情は、ほとんどが初公開となる貴重なアーカイブ資料によって映し出されます。「ニュールック」の永遠の象徴である「バー」スーツをはじめとした、過去から現在までのアクセサリーやオートクチュール モデルの数々。クリスチャン・ディオール、そしてイヴ・サン=ローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、マリア・グラツィア・キウリといった後継者である歴代のクリエイティブ ディレクターたちが考案した作品のひとつひとつが公開されています。本展では、東京都現代美術館が所蔵する貴重な作品や、日本人写真家・高木由利子氏が本展およびポスターのために撮り下ろした写真など、魅力的な作品が展示されます。また、クリスチャン・ディオールの先見性を受け継ぎ、「ディオール レディ アート」や、「レディ ディオール アズ シーン バイ」などで再解釈されたバッグ「レディ ディオール」、「ミス ディオール」、「ジャドール」といった、フレグランスの世界など、ディオールの歴史と絶え間ない創意工夫の賜物である、斬新なアイコンも展示されます。<展覧会概要>会期:2022年12月21日(水)- 2023年5月28日(日)休館日:月曜日(1月2日(月)、1月9日(月)は開館)および12月28日(水) - 1月1日(日)、1月10日(火)開館時間:10:00 - 18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F / 地下2F 〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館特別協力 : クリスチャン ディオール クチュール【お問合せ先】東京都現代美術館050-5541-8600(ハローダイヤル / 9:00-20:00 年中無休)/ 03-5245-4111(代表)
2022年10月13日東京都現代美術館では、12月21日(水)より2023年の5月28日(日)まで『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』展が開催される。同展は、パリ装飾芸術美術館を皮切りに、ロンドン、上海、ニューヨークなど各地で開催されてきた展覧会の世界巡回展。日本展では、会場デザインを国際的な建築設計事務所OMAのパートナーである建築家、重松象平が担当し、日本文化へのオマージュを込めた展示空間を演出。創設者クリスチャン・ディオールから受け継がれる75年を超える創作への情熱にスポットを当て、ほとんどが初公開となる貴重なアーカイブピースの展示や日本との絆についても紹介される。会場では、ディオールを象徴する「バー」スーツをはじめ、過去から現在までのアクセサリーやオートクチュール モデルの数々を展示。クリスチャン・ディオール、イヴ・サン=ローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、マリア・グラツィア・キウリなど、後継者である歴代のクリエイティブディレクターたちが考案した作品が勢ぞろいする。ほかにも、「ディオール レディ アート」や、「レディ ディオール アズ シーン バイ」などのプロジェクトで再解釈されたバッグ「レディ ディオール」や、「ミス ディオール」「ジャドール」といったフレグランスなども展示。さらには、会場となる東京都現代美術館が所蔵する貴重な作品や、日本人写真家・高木由利子氏が同展およびポスターのために撮り下ろした写真なども紹介される予定だ。【開催概要】『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』2022年12月21日(水)~2023年5月28日(日)、東京都現代美術館にて開催
2022年10月13日ベルリン国立ベルクグリューン美術館が所蔵する20世紀美術の名品が紹介される展覧会『ピカソとその時代ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』が、国立西洋美術館で10月8日(土)に開幕した。ドイツからやってきた97点の作品のうち、76点が日本初公開となる注目の展覧会だ。ドイツ生まれの美術商、ハインツ・ベルクグリューン(1914〜2007)は、パリで画廊を経営する傍ら、自分の気にいった作品を集め、世界有数の個人コレクションを作り上げていた。彼のコレクションを収蔵・展示しているのがベルリン国立ベルクグリューン美術館だ。同展はベルクグリューンが重点的に収集していたピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティを中心に、国立美術館所蔵の作品や資料も合わせて展示するものだ。見どころは、なんといっても第一級のピカソコレクションが鑑賞できる点だ。ベルクグリューンは画家本人とも交流を深め、コレクションを拡大させてきた。同展出品作も約半数がピカソの作品で、日本初公開の作品は35点に及ぶ。また、展覧会を構成する全7章のうち、3つの章がピカソを紹介する内容となっている。ベルググリューン画廊展覧会カタログ国立西洋美術館研究資料センター蔵1章「セザンヌ──近代芸術家たちの師」では、ポール・セザンヌに着目する。ベルクグリューンは、1990年代までセザンヌをはじめとするポスト印象派の画家たちの作品をコレクションしていた。晩年、コレクションの対象を20世紀美術に特化するために売却されたものの、20世紀美術の祖となるセザンヌの数点の作品は最後まで留められていたという。《セザンヌ夫人の肖像》もベルクグリューンが手放さなかった作品の一つ。実は、この作品をジャコメッティはかつて模写していた。同展では2つの作品を並べることで、画家同士の個性に着目することができる。セザンヌ夫人の顔立ちは若干面長になっているところにジャコメッティの特長が現れている。左:ポール・セザンヌ《セザンヌ夫人の肖像》1885〜86年頃油彩・キャンヴァスベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵、ベルクグリューン家より寄託右 アルベルト・ジャコメッティ《左:セザンヌの模写―セザンヌ夫人の肖像、右:レンブラントの模写ー窓辺で描く自画像》1956年国立西洋美術館蔵(皆川清彦氏より寄贈)続く2章から4章まではピカソにスポットを当てた章となる。2章「ピカソとブラック──新しい造形言語の創造」では、青の時代に描いた親友の肖像画《ジャウメ・サバルテスの肖像》や、バラ色の時代に好んで描いたアルルカンを描いた《座るアルルカン》など、ピカソのその当時の特徴がよくわかる作品を揃え、キュビスムに向かうピカソを追っていく。2章「ピカソとブラック──新しい造形言語の創造」展示風景続く3章「両大戦間のピカソ― 古典主義とその破壊」では、第一次世界大戦末期から1920年代初頭にかけて古典主義に回帰していったピカソが、シュルレアリストたちの刺激を受け、画風をさらに変化していく過程について、素描を中心にたどっていく。3章「両大戦間のピカソ― 古典主義とその破壊」展示風景4章「両大戦間のピカソ──女性のイメージ」では、1936年に描かれた《緑色のマニキュアをつけたドラ・マール》、1939年に作られた《黄色のセーター》、1942年制作の《大きな横たわる裸婦》と、2つの世界大戦の間で激しく変遷を重ねたピカソの女性像について着目していく。4章「両大戦間のピカソ──女性のイメージ」展示風景5章、6章ではクレーとマティスを紹介展覧会の後半は、クレーやマティスの作品を紹介していく。5章「クレーの宇宙」では、ベルクグリューン美術館が所蔵する約70点のパウル・クレーの作品のうち34点を展示する。作品ごとにタッチやモチーフを大きく変えるクレーの作品は、ピカソからも大きく影響を受けているという。5章「クレーの宇宙」展示風景左:パウル・クレー《植物と窓のある静物》1927年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵、ベルクグリューン家より寄託右:パウル・クレー《ネクロポリス》1929年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵左:パウル・クレー《暗い扉のある部屋の透視図法》1921年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵右:パウル・クレー《夢の都市》1921年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵ベルクグリューンはマティスの蒐集も非常に重要視した。6章「マティス──安息と活力」では躍動感や生命力に満ち溢れたマティスの作品を見ていく。デッサンや油絵、晩年の切り絵など、その展示作品はバラエティ豊かだ。6章「マティス──安息と活力」展示風景左:アンリ・マティス《レースの襟の絵馬》1915年国立西洋美術館蔵右:アンリ・マティス《家に住まう沈黙》1947年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵左:アンリ・マティス《雑誌『ヴェルヴ』第4巻13号の表紙図案》1943年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵、ベルクグリューン家より寄託中央:アンリ・マティス《植物的要素》1947年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵右:アンリ・マティス《ドラゴン》1943-44年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵、ベルクグリューン家より寄託最終章となる7章「空間の中の人物像―第二次大戦後のピカソ、マティス、ジャコメッティ」では、第二次世界大戦後に評価を確立したピカソとマティス、そしてこの時代に円熟期を迎えることとなったジャコメッティの作品で空間を構成する。ベルクグリューンが直接交流を持った3人の作品が一堂に会する空間を体験することで、彼の追求した美がどのようなものかを感じ取れるはずだ。7章「空間の中の人物像 ― 第二次大戦後のピカソ、マティス、ジャコメッティ」展示風景より左:アンリ・マティス《ロンドン、テートギャラリ−の展覧会(1953年)のためのポスター図案》1952年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵 右:アンリ・マティス《縄跳びをする青い裸婦》1952年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵ベルクグリューンの審美眼で選びぬかれた良作ばかりが並ぶ同展は、日本初公開の作品も多く、新しい発見と感動に満ちている。芸術の秋にぜひ訪れてみよう。取材・文:浦島茂世【開催情報】『ピカソとその時代ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』2022年10月8日(土)~2023年1月22日(日)、国立西洋美術館にて開催()
2022年10月12日ガラスメーカー「ハリオ(HARIO)」の直営カフェ「ハリオ カフェ 軽井沢安東美術館店」が、軽井沢の美術館「軽井沢安東美術館」内に、2022年10月8日(土)にオープン。ハリオ ランプワークファクトリー(HARIO Lampwork Factory)のサテライトショップとして、アクセサリーなども販売する。「ハリオ カフェ」軽井沢安東美術館内にオープン1921年の創業より多くのコーヒー器具を作ってきたガラスメーカー「ハリオ」の直営カフェが新オープン。画家・藤田嗣治の作品だけを常設展示する日本初の美術館「軽井沢安東美術館」の中に併設される。カフェでは、「ハリオ」の器具で淹れたスペシャリティコーヒーや紅茶を味わえる他、コーヒー・ティー器具を直に手に取って購入することも可能。「ハリオ カフェ」オリジナルアイテムも店頭に並ぶ。限定ガラスアクセサリーも販売また、「ハリオ カフェ 軽井沢安東美術館店」はハリオ ランプワークファクトリー(HARIO Lampwork Factory)のサテライトショップとして、ガラスアクセサリーも販売。職人の手仕事で仕上げた、表情豊かなガラスアクセサリーが揃う。乳白色のブラック、ホワイトカラーが上品なフープピアスやイヤリング、澄んだフラワーモチーフのネックレス、ピアス、メガネを象ったユニークなデザインのブローチなど、限定アクセサリーが展開される。【詳細】ハリオ カフェ 軽井沢安東美術館店※ハリオ ランプワークファクトリー サテライトショップオープン日:2022年10月8日(土)場所:軽井沢安東美術館 館内住所:長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢東43-10TEL:0267-46-8066営業時間:4月~10月 10:00~17:00/11月~3月 10:00~16:00休日:年末年始※オープン記念として、会計が税込2,200円以上の人にオリジナルグラスをプレゼント。■限定アクセサリー・フジタのフープピアス 乳白色ブラック(ピアス/イヤリング) 各10,780円・フジタのフープピアス 乳白色ホワイト(ピアス/イヤリング) 各10,780円・ネックレス 平和の聖母礼拝堂 フラワー 6,270円・ピアス 平和の聖母礼拝堂 フラワー 8,360円・イヤリング 平和の聖母礼拝堂 フラワー 8,360円・ブローチ フジタのメガネ ゴールド 4,950円・ブローチ フジタのメガネ ロジウムカラー 4,950円
2022年10月10日企画展「鹿児島市立美術館 名品展」が、長野の松本市美術館にて、2022年10月8日(土)から11月27日(日)まで開催される。鹿児島市立美術館所蔵の名品を一挙紹介「鹿児島ゆかりの画家たちの作品」、「19世紀末から現代につながる西洋美術」、そして「郷土の風土に取材した作品(桜島コレクション)」などの収集方針のもと、約4,350点の作品を所蔵している鹿児島市立美術館。企画展「鹿児島市立美術館名品展」では、鹿児島市立美術館が所蔵する日本や西洋の近代美術の名品を紹介する。日本の近代美術では、黒田清輝や藤島武二、和田英作をはじめ、東郷青児、海老原喜之助などの洋画家の作品を展示。また、夏目漱石『吾輩ハ猫デアル』(初版本)の装幀を手がけた橋口五葉の多方面にわたる画業も紹介する。一方、西洋美術では、黒田清輝などの洋画家がパリで師事した画家ラファエル・コランに始まり、モネ、セザンヌ、ピカソ、マチス、そしてダリなどの作品を通して、印象派の時代から現代に至る流れを通覧する。展覧会概要企画展「鹿児島市立美術館 名品展」会期:2022年10月8日(土)〜11月27日(日)会場:松本市美術館 企画展示室住所:長野県松本市中央4-2-22開館時間:9:00~17:00(入場は16:30まで)休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)観覧料:大人 1,200円、高校生・大学生・70歳以上の松本市民 800円、中学生以下 無料※障がい者手帳の携帯者およびその介助者1名無料※20名以上の団体は各200円引き※高校生、大学生・70歳以上の松本市民は、観覧当日、証明書(学生証、免許証など)の呈示が必要※画像の無断転載を禁ずる。【問い合わせ先】松本市美術館TEL:0263-39-7400
2022年10月09日ドキュメンタリー映画『ビー・ジーズ栄光の軌跡』が、2022年11月25日(金)に公開される。3兄弟ボーカルグループ「ビー・ジーズ」に迫るドキュメンタリー映画『ビー・ジーズ栄光の軌跡』は、半世紀以上にもわたって活躍してきた男性ボーカルグループ「ビー・ジーズ」の軌跡を追ったドキュメンタリー映画。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などのプロデューサーを務めたフランク・マーシャルが、監督を手がける。半世紀以上にわたり活躍した「ビー・ジーズ」とは?「ビー・ジーズ」は、英国マン島に生まれたバリー・ギブと、3歳下の双子の弟であるロビン、モーリスのギブ3兄弟によるボーカルグループ。少年時代から活動を開始し、2003年にモーリス・ギブが早世するまで、バンド、パフォーマー、ソングライターとして、半世紀を超えるキャリアを築いた。「ビー・ジーズ」のアルバムは、全世界で2億2千万枚超を売り上げる大ヒット。代表曲「ステイン・アライヴ」をはじめ1,100曲以上の楽曲を制作し、そのうち全英・米ナンバーワン・ヒットが20曲、トップ10ヒットが70曲という輝かしい業績を残している。また、「ビー・ジーズ」の楽曲を使用した映画『サタデー・ナイト・フィーバー』がヒットを飛ばすとともに、映画の中で使われた楽曲も人気を集めた。「ビー・ジーズ」の活躍の軌跡を辿る映画『ビー・ジーズ栄光の軌跡』では、貴重な写真や未公開映像の数々とともに、「ビー・ジーズ」の様々な側面を赤裸々に映し出し、活躍の軌跡を辿る。名曲誕生の瞬間を体験しているかのような、臨場感あふれる映像を楽しめる。「ビー・ジーズ」ファンを公言するアーティスト達も出演さらに、作中には「ビー・ジーズは最高。それだけさ」と語るジャスティン・ティンバーレイクをはじめ、「ビー・ジーズ」のファンを公言する数々のアーティストが出演。「ビー・ジーズ」と同様に兄弟で活動している「オアシス」のノエル・ギャラガー、「ジョナス・ブラザーズ」のニック・ジョナスも出演し、「ビー・ジーズ」が経験したであろう「兄弟だからこその困難」あるいは「兄弟だからこそ得られる歓び」を想起させるような場面も登場する。【詳細】映画『ビー・ジーズ栄光の軌跡』公開日:2022年11月25日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほかにて公開監督:フランク・マーシャル製作:ナイジェル・シンクレア、ジーン・エルファント・フェスタ脚本:マーク・モンロー出演:バリー・ギブ、ロビン・ギブ、モーリス・ギブ、アンディ・ギブ、エリック・クラプトン、ノエル・ギャラガー、ニック・ジョナス、マーク・ロンソン、クリス・マーティン、ジャスティン・ティンバーレイク2020年/アメリカ/英語/カラー/111分/原題:The Bee Gees: How Can You Mend a Broken Heart/日本語字幕:大渕誉哉/字幕監修:吉田美奈子 配給:STAR CHANNEL MOVIES
2022年10月09日株式会社電算システム(本社:岐阜県岐阜市、代表取締役社長執行役員:高橋 譲太、以下「電算システム」)は、2022年10月5日、栄光学園高等学校(所在地:神奈川県鎌倉市、校長:望月 伸一郎)で「情報I」を学習する高校1年生を対象にデータ活用に関する授業を実施しました。データ活用授業の風景本年度から新しい学習指導要領が実施されている高等学校では、教科情報のカリキュラムが大きく変わりました。全員が必履修科目となった「情報I」では、(1)情報社会の問題解決、(2)コミュニケーションと情報デザイン、(3)コンピュータとプログラミング、(4)情報通信ネットワークとデータの活用という、4つの内容に再構成されています。近年、AI(人工知能)が加速度的に発達し、データサイエンスの考え方が広がり、政府が進めるクラウド・バイ・デフォルトの原則に従ってクラウド基盤が社会で普及するなど、コンピュータの仕組みもしっかり理解していなければ社会に出て活躍する人材は育成できないという考え方がその背景にあります。中でも、「データ活用」は新しく追加されたテーマのひとつで、データの収集と整理、分析と評価といった内容が盛り込まれ、問題解決の一つの手段として活用できる力を育成することが期待されています。電算システムは、2014年から Google for Education(TM) の販売パートナーとして多くの学校にサービスを提供しており、同校もそのサービス導入校の一つです。日々の企業活動のなかで、さまざまなデータと向き合うデータエンジニアやデータ分析を手掛けるデータサイエンティストといった面々が、データの意味・活用のねらい・分析の効果といった普段の仕事ぶりを伝える機会を得ることで、高校生に新しい発見や気づきがあればと、今回の実現に至りました。実際の授業では、まず、仕事内容の紹介をきっかけにデータに関わる職種への理解を深めました。特に、データ活用の流れと職種ごとの関わり方を整理することで、生徒がこれから授業で取り組む内容との合致点を伝えました。次に、データ分析の目的を改めて考え、正しく意思決定していくための材料としての必要性を解説しました。授業の後半では、データ分析を行う際に大切な「データを見る目」を育てるために、ミスリードが起きてしまう事例などを紹介しました。合わせて、企業のマーケティング活動で実際に運用している手法を生徒たちの目の前で実践し、リアルなデータの分析を伝えました。今回講師を務めた株式会社電算システムのデータエンジニア 松原 颯電算システムでは、今回の授業の様子を YouTube(TM) チャンネルにてダイジェスト配信する予定です。授業担当者はもちろん、授業を受けた生徒の声も聞き取って紹介する予定にしており、データ活用の授業に課題を抱える学校の一助となることを期待しています。【データ活用授業の参考動画】YouTubeチャンネルにてダイジェスト動画を公開します。下記URLよりアクセスください。 【授業担当者のコメント】日野 俊一郎教諭「電算システムさんから提案を受けて今回の企画が実現しました。データ活用の授業設計についてはちょっと悩んでいたところもあったので、良い機会になりました。生徒たちが授業に真剣に取り組んでもらうには、実際にその立場で働いている方の言葉が伝わりやすいし、熱量が大事だと思っています。事前に打ち合わせをした時点で楽しみが膨らんでいましたが、今日こうして生徒たちの様子を見るとコラボレーションができて本当によかったと思っています」【講師担当者のコメント】電算システム クラウドエンジニアリング事業部 データエンジニア 松原 颯「生徒たちはデータ活用にはじめて触れるということだったので、自分が高校生の立場になったつもりで講義内容を考案しました。今回お伝えしたことは初歩的なことではありますが、データ活用の流れでは大切なことばかりです。ぜひ、今後の授業はもちろん、これから生きていくうえでの見方や考え方にも生かしてもらえたらと思います」【データ活用授業の概要】・対象 :高校1年生・教科 :情報I・時間 :50分・担当教諭 :日野 俊一郎・講師 :松原 颯(株式会社電算システム クラウドエンジニアリング事業部 データエンジニア)・授業タイトル:データエンジニアリング特別授業・授業内容 :データ人材と職種、データ分析の目的、データを見る目、データ分析の実際■会社概要株式会社電算システム本社所在地 : 岐阜本社 岐阜県岐阜市日置江1丁目58番地東京本社 東京都中央区八丁堀2丁目20番8号 八丁堀綜通ビル主な事業内容: 情報サービス事業、収納代行サービス事業URL : ※ Google for Education、 YouTube は Google LLC の商標です。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年10月06日映画『ビー・ジーズ 栄光の軌跡』が11月25日(金)より公開となる。この度、60秒のティザー予告編、ポスタービジュアル、場面写真5点が公開された。本作は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などのプロデューサーであるフランク・マーシャル監督が、半世紀以上にも渡って音楽業界をサバイブしてきた「ビー・ジーズ」の軌跡を描くドキュメンタリー映画。ビー・ジーズは英国マン島に生まれたバリー・ギブと3歳下のふたごの弟たちロビンとモーリスのギブ3兄弟によるグループで、少年時代から活動を開始し、2003年にモーリス・ギブが早世するまで半世紀を超えるキャリアを築いた。全世界でのアルバム売上は2億2千万枚超、書いた曲は1100曲以上、そのうち全英・米ナンバーワン・ヒットが20曲、トップ10ヒットが70曲。ジャンルと時代を超えて文化に多大な影響を与えたバンド / パフォーマー / ソングライターだといえるだろう。代表曲『ステイン・アライヴ』で歌われている通り、時代の変遷を生き延び、人の心に触れて、人生のサウンドトラックとなる数々の名曲を生み出し続けた。本作は貴重な写真や未公開のムービーを駆使し、名曲誕生の瞬間を体験できる臨場感あふれる構成になっている。公開された60秒のティザー予告編では、ビー・ジーズの輝かしい業績の数々が紹介されるとともに、なぜ彼らが特別な存在なのかがグループのファンを公言する有名アーティストによって語られる。「ビー・ジーズは最高。それだけさ」とジャスティン・ティンバーレイクが語れば、「兄弟の歌声は誰にも買えない楽器だ」と語るのは、やはり兄弟で活動してきたノエル・ギャラガー(オアシス)。さらにビー・ジーズ同様に3兄弟で活動しているジョナス・ブラザーズのニック・ジョナスが登場し「(時に)兄弟で組むのは難しい」と素直なコメント。本編で描かれている「兄弟だからこその困難」あるいは「兄弟だからこそ得られる歓び」を想像させるひと場面となっている。最後にビー・ジーズのモーリス・ギブが登場し「(この映画は)ぶっちゃけてる」と締め、赤裸々にこれまでの活動を明らかにしている作品であることも示唆。ファンでなくても気になる内容となることは間違いない。そしてポスタービジュアルは、ともすれば『サタデー・ナイト・フィーバー』のディスコのイメージだけで語られがちなビー・ジーズのイメージとも違い、若き日の3兄弟の楽屋裏での様子をスナップした写真が使用されている。『ビー・ジーズ 栄光の軌跡』11月25日(金)公開
2022年10月06日今年、美術館として創立200周年を迎えるオランダ・ハーグのマウリッツハウス王立美術館では、200周年記念事業を締めくくる最後の特別展として、ニューヨークのフリックコレクション10点からなるオランダ絵画の特別展「マンハッタン・マスターズ」を開催します。詳細URL: これらの所蔵作品をフリックコレクションが貸し出すのは初めてで、フリックコレクションの改装工事に伴い実現しました。その中でも、レンブラントが1658年に描いた「自画像」は、彼の自画像の中でも最高傑作と言われています。1889年から1909年までマウリッツハウスの館長を務め、レンブラントの研究者でもあったアブラハム・ブレディウスは、ニューヨークを訪れた際、「フリックコレクションを鑑賞できたのは人生最大の幸せだ。レンブラントが描いた自画像の中でも、この『自画像』は画家のほぼ等身大で描かれ、着座した右手には杖が握られている。自信たっぷりに、まるで『我こそ王なり』と言っているような印象を与える」と1913年に書き残しています。レンブラント「自画像」(1658年作)■夢のレンブラントレンブラントの「自画像」(1658年作)は今回の特別展のハイライトです。特別展に出品される絵画作品の中でも最大の大きさ(134×104cm)で、生涯レンブラントが描いた40点余りの自画像の中でも傑出した作品です。レンブラントがこの自画像を描いたのは52歳の時で、彼の人生の苦難の時期と重なっています。その2年前に破産を経験し、自身のコレクションと住居兼アトリエを競売にかけられ、そして引越し。そんな最中に描かれたこの自画像で彼は、オリエンタルな紋様の入った時代遅れの16世紀の衣装を身にまとい、まるで、自分を過去の遺物と自嘲しているかのようです。画家としての帽子やパレットは描かれていませんが、金糸を紡いだローブには意味があります。ヤン・ゴッサートやルーカス・ファン・レイデンなどの16世紀の高名な画家たちが競って金色のローブを纏っていたという事実をレンブラントは、カレル・ファン・マンダーの著書「画家の書」を読んで、当然ながら知っていたのです。■2つの国際的な絵画コレクションフリックコレクションとマウリッツハウスは長年に亘り協力関係を築いてきました。マウリッツハウスが改装工事で閉館中の2013年には、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」とカレル・ファブリティウスの「五色ヒワ」を含む作品が、フリックコレクションに貸し出されました。2015年には、マウリッツハウスで開催された特別展「フリックコレクション - ニューヨークからの至宝」に36点が貸し出されました。この時は、絵画作品だけでなく、ヘンリー・クレイ・フリックの死後、収集された素描、彫刻、骨董品などが大西洋を渡りました。今年はフリックコレクションのトップコレクションからなる作品が出品されます。10点の内9点は、ヨーロッパへの初めての里帰りとなります。■マンハッタン・マスターズ2022年9月29日 - 2023年1月15日■フリックコレクションフリックコレクションは、石炭と鉄鋼で財を成した実業家、ヘンリー・クレイ・フリック(1849-1919)により創立。熱心なアートコレクターでもあったフリックは、1914年にニューヨークのセントラルパークを見渡す彼の自宅に彼のコレクションを収蔵。彼の未亡人の死後、1935年に美術館として開館しました。マウリッツハウスも元々は居住用の館として建てられた建物です。世界的に有名な巨匠たちの作品に触れ、過去にタイムスリップできるのも、この類い稀なふたつの美術館の共通した楽しみです。マウリッツハウス王立美術館外観■マウリッツハウス王立美術館オランダ・ハーグ市URL: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年09月28日10月6日(木)より、山種美術館では、『【特別展】没後80年記念竹内栖鳳』が開催される。栖鳳の初期から晩年までの作品を網羅した同展では、美術館が所蔵する栖鳳作品全26点、初公開となる個人蔵の作品も多数紹介。山種美術館では10年ぶりとなる竹内栖鳳の展覧会だ。明治から昭和にかけて活躍した竹内栖鳳(1864-1942)は、「東の大観、西の栖鳳」と並び称された、京都画壇の巨匠。江戸時代以来の円山・四条派の伝統を引き継ぎ、早くからその才能を開花させていたが、1900(明治33)年のパリ万博視察で渡欧したことが本格的な転機となった。現地で見た西洋絵画に大いに刺激を受けた栖鳳は、帰国後、日本画の伝統と西洋の技術を融合させた独自の画風を確立。近代日本画に新しい革新をもたらしていく。そんな栖鳳が得意としたのが、「動物を描けばその体臭まで描ける」と自ら語っていたという動物画だ。同展でも東京国立博物館所蔵の《松虎》(前期展示:10月6日~11月6日)ほか、動物画の優品が紹介されるが、特に注目したいのが《班猫》だ。栖鳳の作品の中で唯一重要文化財に指定されている同作は、何種類もの絵の具で繊細な毛描きをほどこすことで、猫の柔らかな肢体を表現した、山種美術館が誇るアイドルねこ。同展では、この作品の写真撮影が可能となる。美術館公認のもと、栖鳳の傑作をカメラに収めることできるこの機会を、お見逃しなく。さらに展覧会では、江戸時代から近・現代に至る京都画壇の画家たちの作品も紹介。栖鳳門下では西山翠嶂のかわいらしい《狗子》や、西村五雲の迫力ある《白熊》など、師弟による動物画の競演が実現する。また、やはり栖鳳に学んだ村上華岳の作品では、傑作《裸婦図》(重要文化財)も特別公開される。栖鳳の作品とともに、京都画壇の名品の数々も楽しみたい。竹内栖鳳 《松虎》1897(明治 30)年頃東京国立博物館 [前期展示10/6-11/6] Image:TNM Image Archives竹内栖鳳 《みゝづく》 1933(昭和 8)年頃山種美術館西村五雲 《白熊》1907(明治 40)年山種美術館西山翠嶂 《狗子》1957(昭和 32)年山種美術館村上華岳 《裸婦図》【重要文化財】1920(大正 9)年山種美術館【開催概要】『【特別展】没後80年記念竹内栖鳳』会期:2022年10月6日(木)~12月4日(日)※会期中展示替えあり会場:山種美術館時間:10:00~17:00 (入館は16:30まで)休館日:月曜(10月10日は開館)、10月11日(火)料金:一般1300円、大高1000円公式サイト:
2022年09月27日京都府立堂本印象美術館( )は、特別企画展「山口華楊 ―いのちに心をよせて―」を2022年10月8日(土)~11月23日(水・祝)に開催いたします。【開催概要】▼会期 :2022年10月8日(土)~11月23日(水・祝)▼開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)▼休館日 :月曜日(月曜日が祝日の場合は開館し、翌平日休館)▼観覧料 :一般510(400)円、高大生400(320)円、小中生200(160)円( )は20名以上の団体料金65歳以上の方(要公的証明)および障害者手帳をご提示の方(介護者1名含む)は無料▼主催 :京都府、京都府立堂本印象美術館、京都新聞▼助成 :一般財団法人地域創造※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、予定を変更する場合がございます。ご来館前に当館ホームページなどで最新情報をご確認ください。【展覧会概要】山口華楊(1899-1984)は京都の友禅染職人の家に生まれ、大正から昭和にかけて活躍した日本画家です。京都画壇の写生の伝統を受け継ぎ、さらに動物画の名手であった師 西村五雲から学んだ瀟洒な感覚と鋭敏な写実性を独自の新しい表現へと発展させ、戦後の京都の日本画を牽引しました。画家としての実績が認められ、1981年には文化勲章を受章しました。生きものを慈しむまなざしと高い品格、加えて知的な構成力と静かな空気感は、華楊ならではの魅力と言えるでしょう。本展では、動物画・花鳥画の世界で独自の境地をひらいた華楊の代表作を通して全貌を紹介します。【展覧会のみどころ】★代表作が勢ぞろい!豊かな生命を表現した動物画と花鳥画の世界●伝統的な日本画の表現による《洋犬図》(1937年)や戦後の代表作《黒豹》(1954年)などの動物画とともに、詩情豊かな花鳥画の名品《行潦(にわたずみ)》も展示。●山口華楊と堂本印象(1891-1975)は、同時期、同じ京都衣笠(きぬがさ)を拠点に活躍した日本画家同士。印象自らデザインした堂本印象美術館で華楊芸術の世界を展観するまたとない機会。【主要出品作品】山口華楊「洋犬図」 1937年(昭和12)第1回新文展 東京国立近代美術館蔵山口華楊「仔馬」 1955年(昭和30)第11回日展 日本芸術院蔵山口華楊「樹」 1963年(昭和38)第6回新日展 京都市立芸術大学芸術資料館蔵山口華楊「虎」 1956年(昭和31)第12回日展 丸一鋼管株式会社蔵山口華楊「雨歇む」 1980年(昭和55)第33回晨鳥社展 長谷川町子美術館蔵山口華楊「行潦」 1977年(昭和52)第30回晨鳥社展【ギャラリートーク】日時:2022年10月29日(土)14:00~2022年11月3日(木・祝)14:00~場所:2階展示室【同時開催】第3回野外工芸美術作家展会期:2022年10月8日(土)~11月23日(水・祝)場所:京都府立堂本印象美術館 庭園料金:無料【問い合わせ先】京都府立堂本印象美術館〒603-8355 京都府京都市北区平野上柳町26-3TEL : 075-463-0007HP : アクセス: 京都市バス「立命館大学前」下車すぐ 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年09月21日2021年8月から改修工事のために休館していた宇都宮美術館が、9月25日(日)より、約1年ぶりに展覧会活動を再開する。改修後の初の展覧会『これらの時間についての夢』は、開館25周年を記念して、1997年の開館時から現在までに収蔵された名品を「時間」というテーマで多角的に紹介するもの。全館を使った、大規模なコレクション展となる。宇都宮美術館は、20世紀以降の美術・デサイン作品を中心に約6,800点を収蔵し、例年3回のコレクション展を様々な切り口で開催してきた。今回は、同館の25年の企画展ポスターをまとめた年譜を導入部とし、記念すべき第1回コレクション展の再現展示で誕生時を振り返る。続く展示もまた、コレクションの特徴をよく伝えるものだ。時間という目に見えないものに色と形を与えてデザインした時計やカレンダーの作品群は、デザインを収集の軸のひとつとしているこの館ならではのもの。また自然との調和を重視する館らしく、充実した風景画コレクションが一堂に会する。また館を代表する作家マルク・シャガールの生涯を特集する展示も楽しみだ。時間というテーマを設定したことで、これまでにない組み合わせの作品群と出合えるのも魅力だ。たとえば、世界が戦争の恐怖に包まれた両世界大戦間の25年間に制作された日本とドイツの作品を並べて見ることで、新たな気づきが生まれることだろう。コレクションから約200点を精選して展示する同展のもうひとつの呼び物は、大巻伸嗣、髙橋銑、力石咲という現役アーティスト3名が、同展のための新作を発表することだ。外光が差し込む吹き抜け空間でインスタレーションを展開する大巻、同館での下見から着想した映像、写真、彫刻を出品する髙橋、色鮮やかな毛糸でオブジェや建物を編み包む従来を発展させ、糸をほどく様子も見せる新作を構想している力石。三者が三様に、宇都宮美術館の歴史に新たな視点をもたらしてくれるに違いない。力石咲《ニット・インベーダー in 常陸多賀》2016年撮影:木奥恵三 ©︎KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭髙橋銑《Cast and Rot No.25》2022年Photo by Ichiro Mishima, Courtesy of LEESAYAペーター・ベーレンス《電気時計「シンクロン」》1907~08年高橋由一《中洲月夜の図》1878年清水登之《丘に憩う》1933年【開催概要】開館25周年記念全館コレクション展『これらの時間についての夢』会期:2022年9月25日(日)~ 2023年1月15日(日)会場:宇都宮美術館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)休館日:月曜(10月10日、1月9日は開館)、10月11日(火)、11月4日(金)、11月14日(月]~ 18日(金)、12月29日(木)~1月3日(火)、1月10日(火)料金:一般1,000円、大高800円、中小600円公式サイト:
2022年09月16日こんにちは!hugmugブロガーの木村です☺︎今回は、先日の休日に夫婦2人で東京都美術館に行ったときのお話を書こうと思います。普段からよく美術館には足を運ぶのですが、夫婦2人だけで行くのは実は初めてで、とっても新鮮で不思議な感覚でした!笑"フィン・ユールとデンマークの椅子"展で北欧家具に触れる元々北欧家具が大好きで、実際我が家でも多く採用し身近な存在でもある北欧デザインの椅子たち。見た目はもちろん、座ってみれば分かる、腰掛けたら離れたくなるデザイン。この素敵な作品が出来上がるまでに、デザイナー達の歴史や背景をなぞりながらまわる展示がとても面白かったです!フィン・ユールを知る当時の家具デザイナー達の多くは、家具の専門学校や家具工場の出身が多い中、フィンユールは建築やインテリアデザインを学んでいたそう。その中で家具のデザインへと進んでいく。やっぱり建築と家具・インテリアはこの時代から密接な関係にあるんだなあ〜素敵だな〜としみじみ共感。笑と、まあ難しい話は置いて。バイアスかけずに各々が好きなように楽しむのが美術館のまわり方だ!と私は思っていますので、夫婦だろうが家族だろうが、見るスピードもまわり方も別々!!笑とくに私は活字を読むのが苦手なので、展示された文章を読み終えるのに驚くほど時間を割きます。笑なのでその間、主人はどんどん先へ進んでいき、あっと言う間に見当たらない笑夫婦で美術館デートとはよく言ったものです。笑前半部分は完全に単独で楽しみました!!笑このコーナーがすごく好みだったなあ♡建築と家具の関係性30歳の時に自邸を設計、建築したフィン・ユール。私たち夫婦も同じく30歳で家を建てたので、このことを知って急激に親近感が湧きました。笑自分自身が生活する上で、"身近な存在で居られる"そんな、椅子に込めた思いが感じ取れるデザインだからこそ、こんなに年月が経っても未だ愛され続けられているんだなと、感動。名立たる名作家具に触れ、実際に椅子に座る体験ができるこの展示では、デンマーク家具の名作椅子に実際に触ったり、座ったりする事ができます◎名作シリーズがズラリと並べられていて、見ているだけでも感無量の空間♡♡織田コレクションこのフィン・ユール展でありとあらゆるところに記されていた"織田"という人。夫婦2人で"織田"とは誰なんだ?と終始疑問に思っていました笑"織田憲嗣氏"とはなんと、椅子研究者として長年にわたり研究資料として収集しているすごい方なんだそう。実際に所有しているものを今回の展示の為に数々の名作を貸し出してくれていたんです!展示内のインタビューで織田さんが、"長年収集してきた家具に合った環境、景色の為に家を建て、実際に家具と暮らして「毎日敬意を持って家具と接する」そうすればどんなに古いものでも長く使える"という言葉に感動。人が住む。ではなく、家具の為に建てた家。というのがすごい..私も毎日の生活の中に少し"敬意"を持ってもう少し丁寧に暮らしていこう..と思いました(;o;)初めての夫婦美術館、"どの椅子が好みだったー?"とか2人して織田さんの虜になったりとか、"やっぱりあの名作が欲しい!"だとか、普段の生活に密な関係の「椅子」だからこそ夫婦で見に行けてとても良かったです!次は現代美術館の"ジャン・プルーヴェ展」へ行きたいです!皆さまも是非、芸術の秋を楽しんでみてください♡東京都美術館「フィン・ユールとデンマークの椅子」
2022年09月15日9月10日(土)より、上野の森美術館にて「長坂真護展 Still A “BLACK” STAR」がスタートした。長坂氏は、先進国が廃棄した電子機器などを駆使し、「ガーナのスラム街を救う」をモットーに掲げて活動する美術家。このたび、自身初の美術館での大規模展覧会を開催することとなった。2017年6月に初めてガーナを訪れた長坂氏。スラム街で目にした、果てしないゴミの荒野に衝撃を受けた。「我々の豊かな生活は、このスラム街の人々の犠牲のもとに成り立っている」。そう感じた長坂氏は、アートを通じてこの状況を先進国に伝える決意をする。この思いこそが、彼の創作の原動力だ。「スラムを変えたい。その思いを実現するために、チャレンジし続ける決意をしました」2018年3月に開催した個展以降は、「サステナブル・キャピタリズム」を提唱。スラム街の廃棄物をアートに転換し、その売上を現地の人々へと還元する活動を続けている。その規模は、億単位を優に超えているというから驚きだ。そんなエネルギーに満ち溢れる長坂氏の軌跡をたどる本展覧会では、世界平和への願いが込められた約200点の作品を展示。ダイナミックでメッセージ性あふれる廃材アートの数々は、まさに圧巻の一言。ビビッドかつポップな画風のなかに、作家の強い思いと圧倒的な熱量がにじみ出る。家電やゲーム機器の廃棄物が散りばめられた中央にガーナの男の子が描かれた作品「Ghana‘s son」では、「スラム街のなかで咲く笑顔を表現しました」と語る。そのほか、同氏が立ち上げたアニメーションプロジェクトのキャラクター「ミリーちゃん」の立体作品や、一時創作活動ができなくなってしまったときに描かれたという「月」シリーズ、新型コロナウイルス感染症拡大による「ニューノーマル」の概念を作品に落とし込んだ「Let’s Go Diversity」など、実に幅広い彼の世界観を一挙に目にすることができる。多岐にわたる作品の数々は、最初から最後まで見る者を飽きさせない。「先進国だけがいい思いをしていていいわけがない」。その力強い言葉通り、長坂氏の活動は、単なるアート制作のみにとどまらず、新しいビジネス、社会変革に働きかける取り組みとして広がり続けている。彼が歩んできた軌跡をたどり、これから先に見据える「世界平和」という壮大な未来の予感を感じに、本展覧会にぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。取材・文/飯塚さき
2022年09月12日箱根のポーラ美術館で、2023年に開催される2つの企画展が発表された。2023年1月28日(土)より7月2日(日)まで開催される『部屋のみる夢―ボナールからティルマンス、現代の作家まで』では、近代から現代までの「部屋」をテーマに描いた作品が紹介される。パンデミックによる外出自粛などで、より多くの時間をすごくことになった「部屋」。閉塞感のある日々のなかで、「部屋」は、親しい人たちとかけがえのない時間を過ごし、変化の乏しい生活に彩りを添える欠かせないものとなった。同展では、19世紀から現代に至るまでの、多彩な室内表現を紹介。「部屋」という小さな世界のなかで織りなされる親密な記憶や夢想の有り様を、あらためて見つめ直す試みだ。主な出品作家は、ベルト・モリゾ、ヴィルヘルム・ハマスホイ、ピエール・ボナール、エドゥアール・ヴュイヤール、アンリ・マティス、ヴォルフガング・ティルマンス、髙田安規子・政子、佐藤翠&守山友一朗。ヴォルフガング・ティルマンス《静物、ボーン・エステート》2002年 ポーラ美術館© Wolfgang Tillmans, Courtesy Wako Works of Art続いて、2023年7月15日(土)からは、『シン・ジャパニーズ・ペインティングー革新の日本画 (仮)』が開催される(※12月3日(日)までの予定)。明治期以降、日本の伝統的な絵画と西洋絵画が出会い、花開いた「日本画」。近代国家が形成されていく混沌とした時代のなかで、明治から大正、昭和の日本画家たちは、近代とは、西洋とは、日本とは、国家とは何か、という問いに向き合いながら描いてきた。そして、第二次世界大戦後になると、近代国家の崩壊ととともに画壇においては「日本画滅亡論」が唱えられたが、「新しい日本絵画の創造」を目指した現代日本画の担い手たちにより、「日本画」は新しいフェーズへと進んでいった。同展では、近代から現代に至る「日本画」の展開について改めて注目。ローカルな美術や文化が世界から注目されるようになった21世紀のアートシーンにおける日本画の可能性について考察していく。主な出品作家は、橋本雅邦、高橋由一、狩野芳崖、菱田春草、黒田清輝、岡田三郎助、和田英作、小杉未醒、レオナール・フジタ(藤田嗣治)、横山大観、杉山寧、東山魁夷、髙山辰雄ほか。なお、ポーラ美術館では、2022年9月17日(土)より『ポーラ美術館開館20周年記念展 ピカソ 青の時代を超えて』が開幕する。ポーラ美術館
2022年09月09日東京・世田谷に居を構え、デザイナーとデザインコンサルタントとして活躍した宮城壮太郎(1951-2011)の回顧展『宮城壮太郎展――使えるもの、美しいもの』が、9月17日(土)から11月13日(日)まで世田谷美術館で開催される。宮城壮太郎の名を知らない人も、使い勝手のいい文房具や調理器具、照明器具など、宮城のデザインとは知らずに愛用している人は多いのではなかろうか。病により60歳の若さで亡くなった宮城の初の回顧展となる同展は、多くの来館者にとって、「これも宮城の作品だったのか」という発見に満ちた展覧会になりそうだ。高校在学中にデザイナーを志した宮城は、千葉大学工学部でプロダクトデザインを学んだ後、従来にない考え方の商業施設や製品を提案して注目を浴びていた浜野商品研究所に入社する。ここでプロダクト製品、インテリアやサインの仕事を手掛けた後、1988年に独立。宮城デザイン事務所を設立して、活動領域を広げていった。同展では、チェリーテラスのキッチン用品や、アッシュコンセプトの石鹸置き、プラスのファイルやホッチキスなど、馴染みのある美しくも機能的なプロダクトの数々が並ぶ一方、山洋電気のモーターやファンなど、「こんなところまでデザインしているのか」と驚くような工業用電気製品まで登場する。また、創業時から関わったという事務用品の通販会社アスクルのように、ロゴマークからオリジナル商品まで一貫してデザインを手がけたプロジェクトや、東急ホテルのサイン計画や二子玉川の再開発計画といった空間のプランニングなど、幅広い仕事ぶりが次々に紹介されていく。さらに、仕事を通じて親交のあった人々へのインタビュー映像も交えた同展は、亡くなって10年が過ぎた今も人々に愛され続けるデザインを残した宮城の多彩な仕事を検証する貴重な機会となるだろう。「デザインに何ができるか」を常に問い続けた宮城の仕事を振り返ることはまた、現代生活におけるデザインの可能性を探ることにもつながるに違いない。宮城壮太郎+高橋美礼 +d Tsun Tsun 2004年 [アッシュコンセプト]ダブルクリップ ストックバー2004年[アスクル]フラットかるヒット2006年 [プラス]宮城壮太郎+山洋電気株式会社サーボシステム事業部設計第一部 SANMOTION R 2006年 [山洋電気]宮城壮太郎ポートレート【開催概要】『宮城壮太郎展――使えるもの、美しいもの』会期:2022年9月17日(土)〜11月13日(日)会場:世田谷美術館 1階展示室時間: 10:00~18:00(入場は17:30まで)休館日:月曜(9月19日、10月10日は開館)、9月20日(火)、10月11日(火)料金:一般1200円、65歳以上1000円、大高800円、中小500円美術館公式サイト:
2022年09月01日