全世界で熱狂的人気を誇るミュージカル「ロッキー・ホラー・ショー」。過去何度となく上演されてきた本作が、11月7日に東京・Zeppブルーシアター六本木にて幕を開けた。ミュージカル「ロッキー・ホラー・ショー」本作は、婚約しているブラッド(小池徹平)とジャネット(ソニン)が乗っていた車が故障し、助けを求めるためにとある古城を尋ねるところからはじまる。執事リフラフ(ISSA)と使用人のマジェンタ(上木彩矢)、コロンビア(アヴちゃん)らが醸し出す異様な雰囲気に加え、城の主というフランク “N”・フルター(古田新太)は艶めかしい格好をして登場し、彼らを戸惑わせる。そんなフランクは、怯えるふたりにロッキー(吉田メタル)という人造人間誕生の瞬間に立ち会えと要求し……。開演前の囲み取材の登場した主演の古田新太は、意気込みについて問われると「キケンがいっぱい」と、その仕上がりのキレ味の良さについて端的に表現。本作に参加することを楽しみにしていたという小池は「ものすごく尺は短い作品ですが、ものすごく濃厚な内容に仕上がっていると思うので、皆さんに汗だくで騒いでいただけたらなと思う」と笑顔を浮かべた。小池と同じく“ロッキー・ホラー・ショー初参戦”というソニンは「お客さんと一体型のミュージカルだと思っているので、ライブでどういう風に変化するのかを楽しみたい」と意気込みを語り、演出を務める河原雅彦も「ミュージカルというよりもこれは出し物だと思ってやっているけれども、この出し物はお客さんに入ってもらって、お客さんの熱量が加わって初めて完成みたいな感じ」と評し、「やっと人に観せられるという喜びでいっぱいです」と喜びを露わにした。本公演は11月12日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木、11月16日(木)から12月3日(日)まで東京・サンシャイン劇場で上演。その後、北九州・仙台・松本・大阪と各地を巡演予定。六本木公演については、当日引換券を各日前日23:59まで販売中。
2017年11月09日山本耕史が主演するミュージカル『メンフィス』の製作発表会見が11月2日、都内にて行われた。ブロードウェイで初演され、2010年トニー賞では4冠に輝き、日本では2015年に初演した名作の待望の再演。登壇は山本のほか、濱田めぐみ、ジェロ、米倉利紀、伊礼彼方。ミュージカル『メンフィス』チケット情報物語は、1950年代のアメリカ・メンフィスで、当時タブーとされていた黒人音楽であるブルースを、ラジオやTV番組で紹介した実在の白人ラジオDJデューイ・フィリップス(このミュージカルではヒューイ・カルフーン)の半生を描いたもの。人種の壁、人種差別といった当時のアメリカ社会をとりまく問題とともに、その壁を乗り越え愛し合う男女の姿を描いていく。ボン・ジョヴィのデヴィッド・ブライアンが手がけた音楽のパワフルさも特徴だ。前回に続き、ヒューイを山本耕史、彼が恋に落ちる黒人歌手フェリシアを濱田めぐみという鉄壁の布陣で贈る。「初演から2年半。でもその時から、また再会できる作品なんじゃないかなと思っていたので、叶って嬉しい」と山本。ふたりはこの初演が初共演だったが、濱田が「私のフェリシアは耕史さんのヒューイがあって出来上がった」と話すように、息の合ったコンビっぷりが評判だった。さらに濱田は、山本のことを「とにかく、天才なんです。お芝居の呼吸も、ご自身の芝居をちゃんとやっていながら相手の芝居もわかっている。感覚、直感、インスピレーション……その瞬間に受け取るものが具体的で的確。今まで色々な方とお芝居しましたが、感覚の凄さはもしかしたら一番かもしれない」と絶賛。それに対し山本が「僕、誕生日が10月31日なんです。“テンサイ”なんです(笑)」と応え場を和ませたところにも、よい関係性が見てとれる。また今回は、山本が主演のみならず、演出も手がけるのも話題。山本によると「基本的には(初演から)全然変わる。空間的にガラっと変えちゃうので、全然違います。前は抽象的でしたが、今回はリアルに寄せていきたい。シャープに描ければ」とのこと。演出家・山本耕史については共演者から厚い信頼を寄せられているようで、「耕史さんについていけば間違いないと思っている」(濱田)、「僕たちを信頼してくれて、僕たちを遊ばせてもくれるから楽しい」(伊礼)等々の言葉が語られた。伊礼が「ネタバレになっちゃうので具体的には言えないけれど、山本さんの頭の中にある構成は、日本初(の試み)なんじゃないか」と振ったところ、山本から「演出的には初めてのことかも。スタッフは大変だと思いますが。イメージとしては…“お客さんに劇場を移動してもらう”ような感じ。二度楽しい、じゃないですが」と気になる発言も飛び出した。新しく生まれ変わる『メンフィス』、ぜひ実際にその目で見届けて欲しい。公演は12月2日(土)から17日(日)まで、東京・新国立劇場 中劇場にて。チケットは発売中。
2017年11月06日ミュージカル『魔界王子 devils and realist』the Second spiritが11月4日に開幕した。それに先駆け公開ゲネプロと囲み取材が行われ、取材には石渡真修、鮎川太陽、田村良太、櫻井圭登、碕 理人、山中健太、松本祐一、遠藤 誠、KENが登壇した。ミュージカル『魔界王子』チケット情報本作は、原作・高殿円、漫画・雪広うたこによる同名人気コミックを原作に、演出を元吉庸泰、脚本を伊勢直弘が手掛けるミュージカルシリーズ第2弾。昨年6月に上演された第1弾の続編となる今作では、主人公・ウイリアムを演じる石渡や、ウイリアムに仕える悪魔ダンタリオンを演じる鮎川ら続投メンバーに、田村、櫻井、山中ら新キャストも加わり、前作以上にミュージカル色の濃い作品となった。物語の舞台は19世紀の英国。選ばれた生徒のみが入学できるパブリックスクールに通う名門貴族・トワイニング家の跡継ウイリアム(石渡)は、ひょんなことから悪魔ダンタリオン(鮎川)を召喚してしまう。そこでウイリアムが古代イスラエルの王ソロモン血を引いた人間で、魔界の“代理王”を選ぶ権利を持つ“選定公”だと発覚。ダンタリオン以外にもシトリー(櫻井)やカミオ(米原幸佑/ゲネプロは欠席・代役は市川耕大)ら悪魔が集まり、代理王に選んでもらうために学園生活を共にしていた。しかし、リアリストで悪魔を信じないウイリアムが誰も選ばないことに業を煮やした魔界の公爵バアルベリト(遠藤)は、ジル・ド・レイ(碕)に“ソロモンの指輪”を探せと命令。同じ頃、天界も指輪を狙う――。初演でも楽曲のユニークさが印象的だった本作。今回は曲数も大幅に増え、ミュージカルの王道からアイドル風まで20曲以上がラインナップ、彩り豊かな原作の世界をより鮮やかに表現した。もちろん“リアリスト”ウイリアムによる、ミュージカルの根底を覆す“歌”への反応なども健在。本作らしい笑いを交えながら、濃厚な物語を軽やかに描いていく。また、今作では新たに空間全体を使うステージ構成を採用。さらに中央の360°円形ステージを客席が囲むつくりで、舞台上の出来事や熱気に巻き込まれていくような感覚が味わえる。そして前作同様の八百屋舞台や布を使った演出も。初演の記憶も大切にしつつ新たな挑戦が詰まった作品となっている。ゲネプロ後の囲み取材で、石渡は「僕たちも体験したことのない舞台です。きっとお客様も体験したことのない世界が広がっていると思うので、みんなで楽しみたいと思います!」、鮎川は「ザ・ミュージカルです。人間界と魔界と天界が三つ巴になっての激戦が繰り広げられています!お待ちしてます!」とコメント。公演は11月12 日(日)まで東京・新宿FACEにて上演中。取材・文:中川實穗
2017年11月06日米アカデミー賞7部門にノミネートされたウディ・アレンの名作映画を監督自ら脚本化、2014年にブロードウェイで初演されたミュージカル『ブロードウェイと銃弾』が、福田雄一演出で来春上演される。1920年代のNYを舞台に、マフィアとショウビズ界のアンタッチャブルな関係をコミカルに描いた物語だ。出資者であるマフィアの親玉ニック(ブラザートム)から「愛人のオリーブ(平野綾)を主役に!」との絶対条件付きで、ブロードウェイデビューの夢を掴んだ劇作家のデビッド(浦井健治)。早速稽古に入るが、主人公が大根役者な上、突然オリーブの監視役でマフィアのチーチ(城田優)が脚本にダメ出しを始めて…。混迷を極めていくデビッド役について、浦井健治はこう語る。ミュージカル「ブロードウェイと銃弾」チケット情報「演出の福田さんがある現場で言っていたのは、『真ん中にいる人はなるべく余計なことはしないで』と。主役のデビッドまでいろんなことを仕掛けると作品の軸がブレてしまうので、僕は周囲に揉みくちゃにされながらも耐える役です。でも、先日のビジュアル撮影では、役になりきる僕を見てスタッフさんたちが爆笑していました。『一番個性のない役のはずなのに…』って(笑)」。無個性な彼でさえこの反応とは、個性際立つ共演者らの爆笑度合いは推して知るべし。とりわけ、城田優が演じるチーチとの“迷コンビ”ぶりは、物語を躍動させる鍵となる。「デビッドはチーチのダメ出しによって気づくんですよね、『こいつ、俺より才能あるな』と(笑)。彼としては劣等感を抱きつつも互いに認めあうことで、それぞれの道が拓けていく。人生何が起こるか分からない。この作品はデビッドの成長の物語でもあるのかな」。チーチとの「友情にも似た関係」を演じる上で相手役には、城田優がぴったりだとも。共演した『ロミオ&ジュリエット』では目で対話ができるまでに信頼感を深め、キスシーンも盛り込まれた『エリザベート』ではデュエット曲『闇が広がる』で万雷の拍手を獲得した。「『芝居を止めてまで拍手が止むのを待ったのは、後にも先にもあの瞬間だけだ』と後に優が言ってくれました。板の上で様々な経験を共有してきた彼とだからこそ、描ける関係がある。ただ、今回は福田組なので、逆に優とふたりで『ここで、拍手ください!』とか言っちゃってるかもしれないですね(笑)」ドラマ『勇者ヨシヒコシリーズ』や『ニーチェ先生』、映画『銀魂』など、映像でも活躍する福田雄一が手掛ける舞台は、普段演劇を観ない人や男性にも「絶対に後悔させない」と太鼓判を押す。「福田さんは現代に通じる笑いを日々追求されていると思うので、初観劇にもお勧め。逆に会社や学校で、観たことを自慢できるような舞台になると思います。きっと華やかなセットになるだろうしダンスシーンも満載で、演劇界の裏側を覗き見するような趣向にゲラゲラ笑って、すっきり爽やかにエナジーチャージができる。素敵な作品になります!」2018年2月7日(水)から28日(水)までの東京・日生劇場公演を経て、大阪・梅田芸術劇場メインホール、福岡・博多座でも上演。取材・文:石橋法子
2017年11月06日宝塚歌劇団雪組新トップスター・望海風斗(のぞみ・ふうと)の、宝塚大劇場お披露目公演初日が近づいている。2003年に初舞台後、色濃い役まで自在にこなし、特に表現力豊かな歌唱力で魅了してきた望海が、世界的な作曲家、フランク・ワイルドホーンの全曲書き下ろしミュージカル『ひかりふる路(みち) ~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~』に主演する。望海自身、大きなギフトをもらったような感慨があるといい、「ワイルドホーンさんの『一緒にやろう』というお気持ち、温かさに感謝しています」と顔をほころばせる。【チケット情報はこちら】本作は無名の弁護士からフランス革命の中心人物の一人となり、恐怖政治を進めたロベスピエールの生涯を描いた物語。仲間との絆、運命的なロマンスなどを通し人類の歩むべき路を問いかける意欲作だ。「彼は弁護士でもあったので、理想のために闘う、というところがすごい人。上を目指して進むという部分は自分と似ていると思います」。制作発表会の前にワイルドホーン氏から「感じたまま作りこまず、音楽に身を委ねて歌ってほしい」とアドバイスを受けた。「(ワイルドホーン氏のピアノ)生演奏で歌うと、どんどん心が解放され導かれるように歌えました。役についても『ひとりの熱い男が出会ってはいけない人と出会うのが、この作品のドラマティックでセクシーなところ。史実上の人物を演じる気持ちはなくてもいいんじゃないか』と仰ってくださり、とても気持ちが楽になりました」と打ち明ける。「この時代、民衆や議員も現代の想像以上のエネルギーをもって生きているからこそ、楽曲の強さが合うと思います。みんなでクリアしていこうという姿勢が、大きなエネルギーになっています」と、作品力が新生雪組の勢いにつながっている。同時上演のレヴュー『SUPER VOYAGER! ―希望の海へ―』は、“望海風斗”の名前にまつわる場面を綴った作品。「ラテン調の中詰だけでも『ショーを観た』という満足感を覚える熱量があります。私自身大好きな、哀愁漂う男役の格好いいシーンもあり嬉しいですね」と笑顔。ただ「たくさん歌わせていただける喜びと共に、これまでの歌の量との違いに追いつけなくて。今までは1曲にとても時間をかけて作ることが出来たんですけど…」と、真面目な彼女らしい悩みも。トップとして「自然体でいさせてくれる」という雪組。「だからこそ芯として強く立てるように、自分自身強くなりたい。いい意味で気負わずにいたいです」。キャリアを重ねた望海ならではの舞台がいよいよ幕を開ける。公演は兵庫・宝塚大劇場にて11月10日(金)から12月15日(金)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は2018年1月2日(火)から2月11日(日・祝)まで。11月26日(日)より一般発売が開始される。取材・文:小野寺亜紀
2017年11月02日1964年にブロードウェイで初演されトニー賞9部門を受賞、日本でも1967年に開幕し再演を繰り返す名作ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』。このたび、2004年からテヴィエ役を務める市村正親の主演で「日本初演50周年記念公演」が行われる。テヴィエの妻で5人娘の肝っ玉母さん・ゴールデを演じる鳳蘭と、長女ツァイテル役の宝塚歌劇団元宙組トップ娘役・実咲凜音に話を聞いた。ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」チケット情報帝政ロシアの時代、寒村のアナテフカで暮らすユダヤ人一家を通し、深い信仰、人種の違い、普遍的な家族の絆などを描いた本作。2009年よりゴールデ役を務める鳳は、「3年ぶりに台本を読み、新幹線の中で恥ずかしいぐらい嗚咽しました。あらためて最後の場面と、その先の一家について思いが巡り……。日本人のお客様にもユダヤ人の悲劇など、作品の深さをもっと感じていただけるように演じたいです」と再演の抱負を語る。ツァイテルは、母が喜ぶ金持ちの肉屋・ラザールとの結婚話を断り、貧乏な仕立屋・モーテルと結婚する。映画で初めて作品に触れた実咲は、「クスッと笑える部分もあり感動もあり、長年愛されている理由が分かりました。ツァイテルのしっかりしている長女らしいところや、5人娘の中での個性を出せたら」と話す。ともに宝塚歌劇団、そして神戸出身のふたり。鳳は「私はジェームス山出身で、彼女は名谷出身。年代はあまりに違うけれど、すごく近所なの!」と笑う。これまで共演したツァイテル役も宝塚出身者だったが、「元男役(貴城けい、水夏希)だったのでボーイッシュなイメージのツァイテルでした。今回初めて元娘役なので“女の子”という感じですね」と目を細める鳳。一方実咲は、「鳳さんは宝塚出身の方皆さんの憧れ。このようにご一緒させていただける時間も幸せで、お母さんとのお芝居も多い。退団後初めての舞台がこの作品で本当に嬉しいです」と笑顔が絶えない。4月に退団したばかりの彼女に鳳は、「宝塚出身者は“無菌者”なので『だまされないように!』と言っています。私が守ってあげる(笑)」と頼もしい言葉をかける。娘がふたりいて、先頃4人目の孫が生まれたという鳳。「やはり子どもが転ぶと身を切るように痛い、私が代わってあげたいと思う。親になり孫ももち、『両親も同じ気持ちだったんだ』と分かります。この作品は笑いと涙の感動的な世界三大ミュージカルのひとつ。ぜひともご覧ください」。鳳がテーマとなる大きな家族愛をのぞかせアピールした。公演は、12月5日(火)から29日(金)まで東京・日生劇場、2018年1月3日(水)から8日(月・祝)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、1月13日(土)から14日(日)まで静岡・静岡市清水文化会館(マリナート)、1月19日(金)から21日(日)まで愛知・愛知県芸術劇場大ホール、1月24日(水)から28日(日)まで福岡・博多座、2月10日(土)から12日(月・祝)まで埼玉・ウェスタ川越大ホールにて上演。チケットは順次発売。取材・文:小野寺亜紀
2017年11月02日アメリカで初めて黒人音楽をラジオで紹介した伝説のDJ、デューイ・フィリップスの半生を描いて話題を呼んだミュージカル『メンフィス』が、早くも再演される。舞台は1950年代のメンフィス。人種差別が根強く残り、音楽にさえ人種の壁があった時代に、その壁を越えようとした白人の男と黒人の女。あの感動の物語が、ボン・ジョヴィのデヴィッド・ブライアンが手がけたソウルフルな音楽とともに再び立ち上がるのである。この再演では、主演を務める山本耕史が演出に加わることも決定。山本とともに物語を推進していく濱田めぐみが、再演への思いを語った。ミュージカル『メンフィス』チケット情報濱田が演じるのは、兄が経営するクラブで歌う黒人女性フェリシア。クラブを訪れた音楽好きの白人ヒューイ(山本)と恋に落ち、やがてDJとなった彼の応援を得ながら本格的に歌い手を目指していくという役だ。黒人と白人の恋に非難の目を向けながらもひるまず夢を追う女性を演じた舞台上の濱田は、実にパワフルだった。「フェリシアは、黒人が差別されることが当たり前だった時代に、それは当たり前じゃないと思っていたちょっと先進的な人。自分にも人としての権利があるはずだと思っている。だから、テーマ的には重く深いものを扱っているんですけど、演じていてあまり重々しくならず、毎日、『よし、明日も頑張ろう』と思えていました」。おそらくその力強さが観客に届いたのだろう。舞台は連日のスタンディングオベーション。「お客様がもう一度観たいと思ってくださってることがひしひしと伝わってきました。ヒューイとフェリシアの関係とか、楽曲の力とか、すべてが充実した作品だったと思います」。再演に向けては、「初演のときから、(山本)耕史さんは演出の目を持っていろいろアイデアを出してくださってましたから。耕史さんのセンスで一緒に突き進んでいけることがいちばんだと思います」と、演出に加わる山本に全幅の信頼を寄せる。その中で、「前のフェリシアをなぞることなく、その瞬間に生まれてきたことを大事にしたい」と言う濱田。「というか、自然と前のことを忘れちゃってるんですけどね(笑)。おかげで毎回真っ白な状態で入れる。我ながら役者向きの体質だなと思います」。歌についても、「そのとき生まれた感情で歌うので、毎回同じようには歌えない」のだという。だからこそ、濱田の歌声は多くの心を捉えるのだ。「そのときの真実はその瞬間にしかない」と濱田。舞台の本質を突くその言葉が、また新たな『メンフィス』を見せてくれることを予感させる。公演は12月2日(土)から17日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場にて。チケットは現在発売中。また10月21日(土)~26日(木)の期間限定で、購入者から抽選で『メンフィス』制作発表が当たる【ミュージカル『メンフィス』 | S席/制作発表抽選付チケット】も発売中。取材・文:大内弓子
2017年10月24日2016年、石丸幹二主演、ヒロインに安蘭けいを迎えガブリエル・バリー潤色・演出の新バージョンとして世界初演されたミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』が今秋、早くも再演される。フランク・ワイルドホーン作曲による愛と勇気の冒険活劇は1997年にブロードウェイで初演。2008年には宝塚歌劇団星組トップスター安蘭けい主演、小池修一郎演出で宝塚版が初演、今年も星組で再々演されるなど宝塚歌劇の人気作としても定着している。主演の石丸幹二に再演への思いを聞いた。ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」チケット情報1789年、フランス革命勃発。元貴族らが次々と処刑される恐怖政治が続くなか、イギリス貴族のパーシー(石丸幹二)はフランスの有名女優だった妻マルグリット(安蘭けい)に内緒で仲間と「ピンパーネル団」を結成、無実の人々を救うため秘密裏に活躍する。フランス政府特命全権大使ショーブラン(石井一孝)は“元同志”で恋人でもあったマルグリットにピンパーネル団の素性を探って欲しいと囁くのだが……。マルグリット唯一の肉親で最愛の弟アルマン(松下洸平)を巻き込みながら、疑心と愛憎渦巻く物語がスリリングに展開する。初演で石丸は、パーシー役について安蘭にも意見を求めたという。「安蘭さんのパーシーはさほどマルグリットには関心を寄せていなかったそうです。逆に僕はいつも彼女を見ている。その解釈の違いは、今回の新演出版が大人の恋の駆け引きに物語の重点を置いているから。観客にはどちらの解釈もありだと受け止めて貰えたと思います」。出会って6週間というふたりの結婚式の場面では、パーシーがマルグリットに関するある秘密を耳にする。「それが事実かも問いただせぬままパーシーは彼女に冷たくあたる。マルグリットとの気持ちにズレが生じたまま物語が進んでいくので、観客からすると『早く聞けばいいんじゃないか?』となると思います(笑)。その焦れったさ。愛しているけど疑ってしまう人間の性(さが)や苦しさをそれぞれのキャラクターが磨き上げることで、作品の面白さがより際立ってくるんじゃないかな」再演では正義の味方、ピンパーネル団のキャストが一新。先陣を切るパーシーは変装して敵方ショーブランの陣地に潜入するなど、石丸の七変化も話題だ。「男性の役にしては珍しく7、8着着替えます。裏では複数のスタッフがワッと集まって一斉に衣装を脱がして、かつらから髪の装飾品まで一気に着せ替えてくれる。面白い体験でした(笑)。楽曲は役の個性が際立ち、大胆なキーチェンジがワイルドホーンの手法のひとつ。一曲の中で崖から急降下して滝壺に飛び込むような落差があり、聴き応えがあると思います。ピンパーネル団の活躍と最後には夫婦が心を通わせる、気分爽快な点がこの作品が愛される理由です。新キャストも加わり、必ずご期待に添える作品にしたいと思います。ぜひ劇場に足をお運びください」大阪公演は11月13日(月)から15日(水)まで梅田芸術劇場メインホールにて、東京公演は11月20日(月)から12月5日(火)までTBS赤坂ACTシアターにて上演。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2017年10月24日7月に東京で初日を迎え、大好評を得たミュージカル『ビリー・エリオット』の大阪公演が10月15日、大阪・梅田芸術劇場メインホールにて開幕した。ミュージカル「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」チケット情報本作は、映画『リトル・ダンサー』をもとに、映画版脚本家のリー・ホールが脚本・歌詞を、監督スティーヴン・ダルドリーが演出を手がけ、エルトン・ジョンが音楽で加わりミュージカル化したもの。2005年にロンドン・ウエストエンドで初演され、翌年の英国ローレンス・オリヴィエ賞4部門を受賞したほか、ブロードウェイでもトニー賞10部門を受賞するなど、全世界で80以上の演劇賞を獲得している大ヒット作だ。舞台は1984年のイギリス、炭鉱不況に喘ぐ北部の町ダラム。ひょんなことからバレエに出合い、才能を見出された11歳の少年・ビリーが、周囲の反対を押し切って名門ロイヤル・バレエ・スクールの受験を目指す姿が描かれる。厳しい社会情勢の中でもがく大人たちの傍らで、ときには感情を爆発させながら、まっすぐな気持ちでバレエと向き合うその懸命な姿が、観る者の涙を誘う。公演初日を前に行われた囲み取材では、1346人の中からビリー役に選ばれた加藤航世、木村咲哉、前田晴翔、未来和樹、山城力の5人と、お父さん役の吉田鋼太郎が登場。吉田の印象をビリー役の5人は「最初は怖かった」と口をそろえるが、「舞台に出る前に“イキイキしていこうな!”って言ってくれるから、楽しく演じられる」(木村)、「本番前の“よし、行こう!”という吉田さんのお言葉でスイッチが切り替えられる」(山城)と語るなど、吉田は舞台袖でも父親のような存在だ。一方、公演を重ねるごとに成長し続ける5人を見て吉田は「本当にうまくなった!ダンスと歌はレッスンをすれば進歩があるけど、お芝居は相手とのコミュニケーションが重要。心で会話することを分かってきて、本当にお芝居が上手になった。今や保護者というよりも戦友のような存在です。彼らに勉強させてもらっています」と称える。そして、「誇張なしで、彼らの歌、踊り、芝居、すべてのレベルが非常に高いので、すべてのシーンが見どころです。大人が観ても何か忘れてしまったものはないか、やり残したことはないか、もう一回頑張ってみれるんじゃないかという気持ちにさせてもらえるし、ショーとしても素晴らしい。いろんなものを持ち帰っていただける作品です。これを観なかったら、観る芝居はないです!」と、力を込めて魅力を語った。ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』は、11月4日(土)大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。
2017年10月17日10月11日、東急シアターオーブ エントランス特設会場にて「ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド2017」お披露目ミニライブが開催された。【チケット情報はこちら】本公演は、巨大ツリーや渋谷の街並み、氷の世界などの豪華なセットをバックに、誰もが口ずさめるクリスマスソングの数々をブロードウェイで活躍するシンガーたちの歌、一流ダンサーたちによる迫力溢れるダンスにタップ、さらには華麗なアイスショーによって披露される夢の舞台。昨年日本に初上陸、“劇場”で最高のクリスマス気分が味わえると話題になり、今年も上演が決定。この日登場したのは、2年連続で応援サポーターを務めるフィギュアスケーターで女優の本田望結とホテルの料金比較サイト「トリバゴ」のCMをきっかけにバラエティ番組への出演やMC番組も決まるなどブレイク中のシンガーソングライター、ナタリー・エモンズ。昨年、自身の振り付けでスケートショーを披露した本田は、「今年も参加できるのがすごく楽しみです!昨年はキャストの皆さんが作られているシーンや物語を私が演技する中で壊してしまわないように気をつけて踊ったのですが、今年は一層皆さんと一体感を持って滑れるように頑張りたいです。」と目を輝かせながら意気込みを語った。また今年のショーにシンガーとして出演することが決定したナタリー・エモンズは『レット・イット・スノー』、『All I want for Christmas is you 恋人たちのクリスマス』の2曲を披露。伸びやかで華やかなその歌声に、会場中が一気にクリスマスムード一色に。本田も「歌声がものすごくキレイ!吸い込まれそうだった」とウットリ。ナタリーは今回の出演に「歌うこともクリスマスも大好き!アメリカのクリスマスショーを日本の皆さんとシェアできるのが嬉しいです。」とCMと同様の流暢な日本語で話し観客を和ませた。司会から「今年の公演での楽しみは?」と聞かれ、ナタリーは「望結ちゃんのスケートショーを見るのが楽しみ!」とコメント。本田も「ナタリーさんの歌声を今度はシアターオーブの会場で聞けるのが本当に楽しみです!」と答え、ふたりとも期待に胸を弾ませていた。げきぴあでは本田望結とナタリー・エモンズの対談を掲載中。気になる方は下記関連リンクよりご確認を。クリスマスショー「ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド」は12月15日(金)から25日(月)まで、東京・東急シアターオーブで上演。チケットの一般発売は10月14日(土)午前10時より。取材・文:ミカマイコ■ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド2017日程:12月15日(金)~25日(月)会場:東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)(東京都)料金:【平日】S席8,800円 / A席5,800円(ともに税込)【土日祝】S席9,800円 / A席6,800円(ともに税込)
2017年10月13日劇団四季のミュージカル『オペラ座の怪人』が、12月27日(水)より6年ぶりに京都劇場で上演される。2015年より演出スーパーバイザーを務める北澤裕輔に、作品への思いや京都公演にかける意気込みを聞いた。劇団四季「オペラ座の怪人」チケット情報本作は、ガストン・ルルーの同名小説をもとにしたミュージカルで、パリ・オペラ座の地下に棲み、歌姫クリスティーヌに恋をする“怪人”の悲しい愛を描いた物語。『キャッツ』や『エビータ』なども手がける“21世紀のモーツァルト”アンドリュー・ロイド=ウェバーによる、美しくも重厚な旋律で紡がれる人気作だ。北澤も本作の楽曲に魅了され、劇団四季に入団したという。「元々、音楽大学でオペラ歌手を目指していたこともあり、クラシックに近い、オペラのような曲があることが、僕の琴線に触れました。全曲歌いたいし、聴いていたいと思える作品ですね」。四季入団後、同作ではアンサンブルから始まり、オペラ座の新しいスポンサーのラウル・シャニュイ子爵、支配人ムッシュー・アンドレなどを演じてきた北澤。演出スーパーバイザーとして関わる今、「ますます作品への愛が深まっている」という。「俳優として出ていると、演じることに一生懸命なので、本当の素晴らしさに気付いていなかったのかもしれません。今は曲を聴いているのもワクワクするし、だからこそ作品の立体感や曲のよさを引き立たせたい。今の四季の俳優たちは全体的に歌唱のレベルが上がっているので、高度なことが要求できます。彼らのポテンシャルを最大限に引き出して、お客様を圧倒したいと思います」。醜い容姿を隠すために仮面をつけ、オペラ座の地下深くに身を潜める“怪人”。そんな彼が見せるクリスティーヌへの一途な愛が、胸を締め付ける。「好きという感情を通り越して、恥も外聞もなく愛するあの姿に惹かれますよね。そんな風に生きてみたい。2幕は怪人が必死であればあるほど、ラストシーンがより印象深くなると思うんです。だからそこは感情にまかせて、とにかく必死に愛して、出し切ってほしいと伝えています」。『ノートルダムの鐘』でも演出スーパーバイザーを務めた北澤。京都劇場は「横に広くなく、音をダイレクトに伝えやすいから、緊張感と迫力で魅せたい」と語り、「観たことがない方にはぜひ劇場で圧倒されてほしいし、観たことがある方にも“やっぱりすごい!”と思っていただけるように作っていきたい」と意気込みを見せた。公演は、11月19日(日)まで広島上野学園ホールにて、12月27日(水)より京都劇場にて上演。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2017年10月11日2015年に日本に初登場し好評を博したミュージカル『タイタニック』が、2018年10月に東京・日本青年館ホール、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで再演される。本作は豪華客船タイタニック号沈没事故をもとにした物語で、1997年にブロードウェイで初演。『NINE』『グランドホテル』『ファントム』など、数々のヒットミュージカルを手がけたモーリー・イェストンの楽曲と、ピーター・ストーンの緻密なドラマが高い評価を得て、同年度のトニー賞で最優秀ミュージカル作品賞、最優秀ミュージカル脚本賞、最優秀作詞作曲賞、最優秀ミュージカル装置デザイン賞、最優秀編曲賞の5部門に輝いた傑作だ。日本人キャストをそろえて上演された日本版『タイタニック』は、『パジャマゲーム』や『グランドホテル』などの名作を手がけてきた気鋭の演出家トム・サザーランドが初めて日本で演出した作品。本作で登場するのは、設計士・アンドリュースをはじめ、乗船していた実在の人物たち。彼らが胸に抱いていた夢や希望をテーマに、それぞれの“人生”に着目した物語が描かれる。今回、加藤和樹、鈴木壮麻、藤岡正明、戸井勝海らが初演より続投するほか、石川禅、相葉裕樹、霧矢大夢ら実力派の新キャストが集結。また、現在絶賛上演中のミュージカル・コメディ『パジャマゲーム』会場では、同公演のアンケートにご協力いただいた方に、ミュージカル『タイタニック』の特別先行受付のご案内を送付。初演で大きな話題となった本公演、さらにブラッシュアップされたステージに期待しつつ、いち早く先行情報の入手を!
2017年10月11日10月8日、ミュージカル『レディ・ベス』が東京・帝国劇場で開幕した。『エリザベート』『モーツァルト!』などのクリエイター、ミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイが脚本と音楽を手がけ、日本ミュージカル界が誇る鬼才・小池修一郎が演出し2014年に同劇場で世界初演された作品の待望の再演。初日直前の7日にはメインキャストである花總まり、平野綾、山崎育三郎、加藤和樹が取材に応じ、その魅力と意気込みを語った。ミュージカル『レディ・ベス』チケット情報約45年もの長きにわたり女王として君臨し、イギリスに繁栄をもたらしたエリザベス1世。その女王即位までの波乱にとんだ半生を、知られざる恋なども絡めながら描き出す歴史ロマン大作。主人公であるレディ・ベス(エリザベス1世)は花總と平野が、そしてその恋の相手であるロビン・ブレイクは山崎と加藤がダブルキャストで演じる。好評だった初演キャストがほぼ続投となる再演だが、「初演かのような濃密さでお稽古してきました。いろいろと変更点もあり、新しい『レディ・ベス』をお客さまにお見せできる日がいよいよ来たんだなとドキドキしています」と花總。平野も「新曲もありますし、ずいぶんブラッシュアップされました。登場人物ひとりひとりの心情が繋がっている。ベスも、親子の関係性、家族間の問題、当時のイギリスの情勢が掘り下げられ、それによってロビンとの恋が浮き彫りになってきています」と、初演との違いをアピール。ロビン役のふたりも「ショーアップされていたところが演劇的になり、お芝居の要素が強くなった。前回から比べてかなり濃密な、深みのある『レディ・ベス』になっています」(山崎)、「この物語のテーマは『自由とは何なのか』と『自分は何者なのか』。そこを、演出の小池さんが、それぞれの役に対して明確に与えてくれている」(加藤)と語り、充実の再演となっている様子を話した。近年、映像での活躍も目覚しい山崎は、本作が今年初の舞台出演。山崎は「1年ぶりに舞台の世界に戻ってきて、みんな声デカイな、ミュージカル俳優ってこんな大きい声で喋ってるんだ!と思った(笑)。でも僕はここ(舞台)で育ち、ここがホームグラウンド。ミュージカルに縁のなかった方にもご覧いただいて、これがミュージカルなんだぞという素敵なものをお届けできれば」と心境を語っていた。公演は11月18日(土)まで同劇場にて上演。その後大阪公演もあり。10月25日(水)18:00、11月11日(土)17:00、11月13日(月)18:00はぴあ半館貸切公演、こちらのチケットも発売中。
2017年10月10日2016年、石丸幹二主演、ヒロインに安蘭けいを迎え、ガブリエル・バリー潤色・演出の新バージョンとして世界初演されたミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』が今秋、早くも再演される。フランク・ワイルドホーン作曲による愛と勇気の冒険活劇は1997年にブロードゥエイで初演。2008年には小池修一郎演出により宝塚歌劇で初演され、安蘭は当時星組男役トップスターとして主演を務めている。ガブリエル・バリーはこのことを尊重し、本作の初演では彼女のために“見せ場”が設けられたほど。安蘭に再演への思いを聞いた。ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」チケット情報1789年、フランス革命勃発。元貴族らが次々と処刑される恐怖政治が続くなか、イギリス貴族のパーシー(石丸幹二)はフランスの有名女優だった妻マルグリット(安蘭けい)に内緒で仲間と「ピンパーネル団」を結成、無実の人々を救うため暗躍する。フランス政府特命全権大使ショーヴラン(石井一孝)は“元同志”で恋人でもあったマルグリットにピンパーネル団の素性を探って欲しいと囁くのだが……。マルグリット唯一の肉親で最愛の弟アルマン(松下洸平)を巻き込みながら、疑心と愛憎渦巻く物語がスリリングに展開する。夫と元恋人の間で揺れ動く三角関係が肝の話かと思いきや、安蘭マルグリットの見解は少し違うよう。「活動家でもあったマルグリットは信念のある強い女性。ショーヴランに対しては今も昔も同志以上の想いはなかったと思います。一方、パーシーとは出会って6週間のスピード婚だったので一目惚れだったのかな。女性としての気持ちが芽生え、初恋のように弱い部分が出てしまう。また、原作にはパーシーが英国一のお金持ちであったため、セレブ生活に憧れたマルグリットが打算的に結婚したことも描かれていて、なるほどなと。マルグリットも普通の女性なんだなと思ったら、面白く演じられそうだと思いました」初演の際、演出のガブリエルは安蘭が宝塚版初演でパーシーを演じたことを尊重し、「ファンの期待に応えたい」と急遽、マルグリットに歌と立ち回りの場面が追加されたと明かす。「(宝塚版パーシーの劇中歌)『ひとかけらの勇気』は歌詞を変えて数フレーズのみでしたが、私の声であのメロディを聴けてゾワゾワした、と喜びの声も頂きました。終盤の立ち回りはまさかの二刀流!あまりに強くて場面を少し削ったほど。マルグリットの役柄に必要な要素かも悩みましたが、最後はファンサービスの意味も込めて戦い切りました(笑)」。再演では石丸さち子が演出に加わり、ピンパーネル団の顔ぶれも一新される。「繊細に役を深めつつ、石丸(幹二)さんとも相談しながらパワーアップした内容でお届けしたい。前回チケットが入手できなかった方も大勢いらしたので、この機会にぜひご覧頂ければと思います」大阪公演は11月13日(月)から15日(水)まで梅田芸術劇場メインホールにて、東京公演は11月20日(月)から12月5日(火)までTBS赤坂ACTシアターにて上演。チケットは発売中。取材・文:石橋法子
2017年10月10日宝塚歌劇星組公演ミュージカル『ベルリン、わが愛』、タカラヅカレビュー90周年『Bouquet de TAKARAZUKA(ブーケ ド タカラヅカ)』が9月29日、兵庫・宝塚大劇場で幕を開けた。宝塚歌劇星組『ベルリン、わが愛』/『Bouquet de TAKARAZUKA(ブーケ ド タカラヅカ)』チケット情報『ベルリン、わが愛』は、ハリウッドと並ぶ映画の都として栄華を誇った1920年~30年代のドイツ・ベルリンが舞台。ナチスの圧力が強まる中で、理想と現実の狭間で苦悩する映画人たちの姿をドラマチックに描いた物語だ。階段にズラリと座って映画館の客席を表現したり、モノクロ映像を効果的に取り入れるなど、凝った演出でも楽しませてくれる。サイレント映画からトーキーへと移り変わる頃。倒産の危機に瀕しているドイツ随一の映画会社UFAでは、低予算で大衆が喜ぶ娯楽作品を製作することに。そこで名乗りを上げたのが、トップスター紅ゆずる(くれない・ゆずる)演じるテオ・ヴェーグマン。彼は歌入りトーキー映画を格安で製作し、必ずヒットさせるとプロデューサーに約束する…。信頼する仲間と共に、「大衆が喜ぶもの」を作り上げていくテオ。どんなことがあっても揺らがない映画への熱い想いや、目的を共にする仲間を大切にする様は、舞台を愛し、星組を率いる紅の姿にも重なる。トップ娘役・綺咲愛里(きさき・あいり)演じる女優ジル・クラインとのロマンスや、礼真琴(れい・まこと)演じる絵本作家エーリッヒ・ケストナーとの友情は、ナチスが社会に暗い影を落とす緊迫した状況の中で、より温かく、強い絆として浮き立って見える。綺咲が演じるジルは、自信を持てないレビューガールから、テオによって秘めた実力と美しさを引き出され、一躍注目を集める。ジルが内面から成長していくその様を、綺咲は初々しさをまといながら繊細に表現している。礼のエーリッヒは、柔らかい空気感。テオとは強い信頼関係を持ち、お互いに支え合っているような存在だ。また、専科の凪七瑠海(なぎな・るうみ)は、ナチス宣伝全国指導者のヨーゼフ・ゲッベルス役。表情を変えずに淡々と、冷酷な人物として時にゾクッとするような存在感を放っている。第二幕のレビューは、“タカラヅカレビュー90周年”のステージとして、パリのレビューを中心に、華やかなムードで展開。『モン・パリ』などの名曲と共に、幻想的なシーン、ポップなシーン、ジャジーで大人っぽいシーンなど、多彩に繰り広げられていく。クラシカルでありながら、新鮮な演出も取り入れたステージで、紅をはじめ、星組生の個性がキラリと輝きを放っている。11月6日(月)まで兵庫・宝塚大劇場にて上演中。東京公演は11月24日(金)から12月24日(日)まで東京宝塚劇場にて。東京公演のチケットは、10月22日(日)10:00より一般発売開始。取材・文:黒石悦子
2017年10月06日12月27日(水)より6年ぶりに京都劇場で上演される劇団四季『オペラ座の怪人』。開幕に向けて、9月28日、劇中ナンバーの披露と合同取材会が金剛能楽堂にて行われた。劇団四季「オペラ座の怪人」チケット情報本作は、フランスの作家ガストン・ルルーの同名小説を原作に、パリ・オペラ座の地下に棲み、歌姫クリスティーヌに恋をする“怪人”の悲しい愛を描いた物語。“21世紀のモーツァルト”と称されるアンドリュー・ロイド=ウェバーが楽曲を手がけた名作で、劇団四季では1988年の東京初演以来、総公演回数6877回を数える人気演目だ。2002年には京都劇場のこけら落とし公演として上演され、同劇場では今回が6年ぶり3度目の上演となる。合同取材会では、演出スーパーバイザーの北澤裕輔とクリスティーヌ・ダーエ役の候補苫田亜沙子が登壇。「本作が大好きで劇団四季に入団した」という北澤は、クリスティーヌの恋人ラウル・シャニュイ子爵などを演じた後、2015年より本作の演出スーパーバイザーとなった。「『オペラ座の怪人』は、楽曲も構成もすべてが完璧だと思っています。演出としては、台本に書かれている楽曲の正確性を一番大事にしたいです」(北澤)。また、『オペラ座の怪人』で初舞台を踏み、クリスティーヌを10年以上演じているという苫田は、「この作品はどこを切り取っても美しいなと思います。20代の頃より30代になった今のほうが、随所により繊細な美しさを感じます。衣裳、舞台美術、すべてが美しいのですが、物語の内容自体がとても美しい。演じるたびにその魅力を感じさせてもらえる作品だなと思います」と作品の魅力を語る。それぞれに印象的な曲やシーンを尋ねると、「クリスティーヌがコーラスガールからメインキャストに上り詰めるシーンで歌う『シンク オブ ミー』という曲が大好き。シーンとしてはやはりラストシーン、クリスティーヌが去ってしまうところでいつも泣いてしまいます」と北澤。苫田は「2幕の『墓場にて』というソロナンバー。その一曲でクリスティーヌはすごく成長するんです。すごく好きでやりがいがあるなと思っています。2幕最初の『マスカレード』という華やかなシーンは、ぜひ楽しんで観ていただければと思います」とコメント。合同取材後、怪人役候補のひとり村 俊英が『ザ・ミュージック・オブ・ザ・ナイト』を能舞台で披露。優しくも切ない、情感あふれる歌声で歌い上げた。公演は、11月19日(日)まで広島上野学園ホールにて、12月27日(水)より京都劇場にて上演。広島公演のチケットは発売中。京都公演は10月7日(土)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、10月6日(金)12:00より「ぴあスペシャルシートS1席」の先行先着プリセールを実施。取材・文:黒石悦子
2017年10月06日11月13日(月)に開幕するミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』の公開稽古と囲み取材が行われ、取材には主演の石丸幹二、安蘭けい、石井一孝、演出の石丸さち子が登壇した。ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』チケット情報本作は、昨年秋にガブリエル・バリー潤色・演出のもと、石丸幹二主演で上演された作品の再演。ブロードウェイ版をベースにフランク・ワイルドホーンの新曲が加わり、“世界初の新バージョン”として好評を博した。1年ぶりの上演となる今作は、新キャストが加わり、演出は石丸さち子が手掛ける。物語の舞台は、フランス革命直後、新政府が元貴族らを次々と処刑する恐怖政治が続くフランス。イギリス貴族・パーシー(石丸)は「ピンパーネル団」を結成し、無実の人々を断頭台から救う活動をしているが、そのことは妻・マルグリット(安蘭)さえも知らない。そんなピンパーネル団の素性を暴こうとフランス政府特命全権大使・ショーヴラン(石井)は執念を燃やす――。公開されたのは、マルグリットに対して夫・パーシーを裏切るよう迫るショーヴランと、そこにとぼけて現れるパーシーという1シーン。芝居、歌唱によって、三者の絡み合う思惑が鮮やかに伝わってくる。最後にピンパーネル団ら全員で歌うシーンは迫力満点で、5分ほどの場面ながら作品の魅力が詰まった公開稽古となった。石丸幹二は稽古について「前回もこの3人でやったシーンですが、1年経ってそれぞれの変化が見えて。今後ほかのシーンも同じようなことが起こるのではないかと期待しています」と手応えを感じた様子。石井は「僕はニコリともしない役なのに、幹二さんが面白いこと言ってくる。笑いを我慢する日々がまた来るんだなと思いました。安蘭けいちゃんもときどき差し込んできますからね!」と笑顔。本作の宝塚歌劇団による日本初演(2008年)でパーシーを演じた経験もある安蘭は「パーシーの台詞を聞いて懐かしさを感じました。『私、もう今は女なんだな』『あの頃には戻れないんだな』と思いました(笑)」と、世界で初めてパーシーとマルグリット二役を演じた女優ならではの感想も。前回は演出補佐として参加し、今作で演出を手掛ける石丸さち子は「前回、ガブリエルさんと苦労してつくりましたので、そこは本当に大事に守りたいです。でも今日、読み合わせをしたら、新しいメンバーが入ることですごく新しい風が吹いてきた。それを生かしながら、知恵と勇気でこの時代を戦う素晴らしい物語を、一致団結して新たにつくりあげたいです」。公演は、11月13日(金)から15日(水)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホール、11月20日(月)から12月5日(火)まで東京・TBS赤坂ACTシアターにて。取材・文・撮影:中川實穂
2017年10月05日10月5日(木)に開幕する、劇団四季『ソング&ダンス65』の公開舞台稽古が3日、東京・自由劇場で行われた。来年2018年に創立65周年を迎える四季の記念公演である。劇団四季「ソング&ダンス65」チケット情報『ソング&ダンス』シリーズは、これまでも劇団の節目ごとに上演されてきた、ショー形式のステージ。劇団のレパートリー作品を中心に、スタンダードナンバーやまだ日本上陸前のミュージカルナンバーなども盛り込み、劇中とは違うアレンジで魅せていく人気シリーズだ。幕開けは、平和への祈りを訴えかける『ウェストサイド物語』の「サムホエア」。今回のコンセプトは「劇団四季の誕生から未来」「祈り」「願い」とのことだが、その思いがダイレクトに伝わってくるナンバーだ。その後も『ライオンキング』『コーラスライン』『ウィキッド』『リトルマーメイド』『クレイジー・フォー・ユー』と、四季が誇る人気作が畳み掛けるように登場。楽器演奏や、シリーズでは初の試みであるフラメンコへの挑戦もあり、様々な角度から、“今の劇団四季”が楽しめる。中には、今年5月に逝去した劇団創立メンバーのひとり、日下武史さんを偲ぶ場面もあり、65年という歴史の重み、そして俳優たちの舞台へかける思いまでもが伝わってくる。2幕では『アラジン』といったディズニー・ミュージカル、『キャッツ』『オペラ座の怪人』などのロイド=ウェバー作品を中心に展開。劇団四季らしい、そして劇団四季にしかできない、これぞといったシーンが続いていく。このシリーズは2000年の『ソング&ダンス オーヴァー・ザ・センチュリー』から、構成・振付・演出を加藤敬二が担ってきたが、今回は新たに脇坂真人、松島勇気、永野亮比己という3人の俳優が振付に参加して作り上げているのも注目ポイント。「もっと劇団の中でクリエイターが育たなきゃいけないんじゃないかと思いました。現役でバリバリ踊っている人たちが、どんどんそういう仕事をしていくことは、劇団にとって必要なこと。思った以上にそれぞれの個性が出ていて、とても面白いリハーサル期間でした。65周年以降の劇団の大きな財産になっていくんじゃないかと思います」と加藤。四季の長い歴史の中に、確実に新しい一歩を刻む記念公演。ファンならずとも、必見だ。東京公演は11月26日(日)まで同劇場にて上演。その後2018年4月より、全国各地での上演を予定している。
2017年10月04日ミュージカル「HEADS UP!」の製作発表及びミニライブが9月26日、東京都内にて行われた。ミュージカル「HEADS UP!」チケット情報本作は、ラサール石井が構想を10年温めていたという、舞台のスタッフに焦点を当てた、日本発オリジナルのバックステージミュージカル。舞台の仕込みからバラしまで全てを見せるという構成は「バラしまで見せると物悲しい展開になるのでは」と、脚本家・倉持裕に懸念を抱かれながらも、最終的にはすごく希望のある展開の作品に。大反響を呼び、第23回読売演劇大賞演出家部門優秀賞を受賞している。2年ぶりの待望の再演ということで、今回のイベントには、ほぼ全キャスト及びクリエイターが参加。最初のミニライブでは、「劇場で起こること」「HEADS UP」「チケットは売れている」「古い劇場」の4曲をスペシャルメドレー形式で披露。舞台への期待を盛り上げた。初演から2年経つが「毎日のLINEが絶えない」(芋洗坂係長)というほどに仲の良いカンパニー。今回から参加という池田純矢とオレノグラフィティ、外岡えりからは「皆さんと一緒に並んでいることが夢のようで、愛がすごく詰まった作品なので、その作品の一員として必死に食らいついていきたい」(外岡)と身を引き締めた。2年前の初演が初ミュージカルだったという哀川翔は、本作にかける思いもひとしお。「ここ(製作発表会場)にいらっしゃる方にも是非見てもらいたい」と作品をアピール。中川晃教や橋本じゅん、今拓哉らは、本作の可能性について述べる場面も。「こういうオリジナルのミュージカルが、日本から生まれるというドキドキワクワクを体験できたということが、自分にとっての何よりの財産でした」と中川が述べると、橋本、今らも「この作品が今後のスタンダードとなってほしい」(今)と続いた。原案・作詞・演出を手がけるラサールは、「初演を見ていただいた方にも『ああ、これこれ!』と喜んでいただけるようにしたいので、ものすごく変えるつもりはないが、お客様にわからないくらいのところを“実は良くなっている”という風にブラッシュアップをしていきたい」と再演に向けて意気込んだ。「見ていただいたお客様にも、必ず帰りには一緒に歌っていただけるようなナンバーが沢山ある」(大空ゆうひ)という本作は、12月14日(木)から12月17日(日)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールにて上演。その後、富山、長野、大阪、名古屋を巡演後、2018年3月2日(金)から3月12日(月)まで東京・赤坂ACTシアターにて上演予定。チケットの一般発売は9月30日(土)午前10時より(大阪公演のみ11月18日(土)午前10時より)。
2017年09月29日今秋、2014年に上演、大好評を博したブロードウェイ・ミュージカル『アダムス・ファミリー』が再演される。橋本さとし、真琴つばさ、昆夏美、今井清隆ら続投キャストに加え、壮一帆、村井良大、樹里咲穂、戸井勝海、梅沢昌代らが新たに参加。パワーを増したステージを見せてくれるに違いない。中でも、ルーカスを演じる村井は前回に引き続き演出を担当する白井晃の作品に出演することを熱望していたと語る。【チケット情報はこちら】「白井さんの演出は、稲垣吾郎さん主演『No.9―不滅の戦慄―』が印象的でした。映画の1シーンのような雑踏の表現が素敵で。プレイヤーとしては、『趣味の部屋』が僕のベスト・オブ・ベスト。白井さんのコミカルでミステリアス、的確な芝居が勉強になりました。だから今回のお話は“ようやく来た!”。がんばってくらいついていきたいですね」ルーカスはアダムス家の長女・ウェンズデーのボーイフレンド。両親と共にアダムス家を訪ねるが、お化けである彼らの言動に翻弄され、ウェンズデーとの恋も暗雲がたちこめる。「とてもかわいらしい話なんですよね。爽快な音楽で、思わず楽しくなっちゃうナンバーも多い。でもすごく切なくてやるせなかったり、お化けと人間のギャップがシュールでおかしかったり。心に響く言葉も多くて、ぜひ家族やカップルで観てほしい作品です」ルーカスとウェンズデーのピュアな恋心も、ときめきと笑いが交錯する。「ふたりのかけ合いは、すごく変(笑)。ウェンズデーは人間の感覚からは相当ズレているし、ルーカスも“作家か検死官になりたい”っていうセンスの持ち主だし。第1幕ではウェンズデーに対してまっすぐで、男の子らしいところも見せるルーカスですけど、第2幕で少し雰囲気が変わる。そこからが、いかにもアメリカンで“楽しんだ者勝ち” なおもしろい展開なんですよ(笑)。これはぜひ、劇場で楽しんでいただきたいです」『アダムス・ファミリー』はチャールズ・アダムスが雑誌『ニューヨーカー』に発表した1コマ漫画を原作にTVドラマやアニメが作られ、1991年に製作された映画も大ヒット。日本でも映画に加えて車のCMに起用され、ゴシックかつポップなキャラクターとテーマ曲が子どもから大人まで幅広く知られるようになった作品。それがどのようにミュージカルとして調理されているのか、確かめたい人はぜひ劇場まで。公演は10月28日(土)から11月12日(日)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉にて上演。10月1日(日)にはMARK IS みなとみらいにて制作発表&楽曲披露イベントの開催も決定。チケット発売中。取材・文:金井まゆみ
2017年09月28日2014年に帝劇で世界初演を迎え、美しく壮大な世界観と物語が絶賛を浴びた歴史ロマンミュージカル『レディ・ベス』。英国女王として45年間、君臨したエリザベス1世の若き日を描いた本作は、16世紀のイギリス、激動の時代の中で揺れ動く彼女の苦難、淡い恋、そしてひとりの女性として生きる道を描いた大作だ。この秋には待望の再演が決定し、最強のクリエイター陣とキャストは初演からほぼ続投。少女のベスが恋心を抱く相手、吟遊詩人・ロビンを演じる加藤和樹もそのひとりだ。ミュージカル「レディ・ベス」チケット情報ベス役は花總まりと平野綾のWキャスト。「花總さんは、戴冠式を経た後に表れる女王の風格に“ああ、ベスだな”って思いましたね。でも、それまではすごくキュートで“なんかずるいなぁ”って(笑)。平野さんは、時々ワガママでぶっきらぼう、ロビンに対する姿が“ツンデレ”なところがかわいいです」とそれぞれの魅力を語る。ロビン役も山崎育三郎とのWキャスト。演じる人間が変われば作品の世界観もおのずと変化する。その違いを楽しめるのも本作の見どころだ。初演で印象に残ったシーンを尋ねると、ラストシーンで自身と役の感情がぴたりと重なり、無意識のうちに感情がこみ上げたことがあったと振り返った。「最後に、山口祐一郎さん演じるアスカムとふたりでいるシーンで、山口さんの手が僕の肩に乗る場面があって。いつもならふわっとした感覚なのですが、ある日の公演だけぐっと力が込められていて。その手が“ロビンはベスにとって意味のある存在だったんだ”と語ってくれていて、もう感情が溢れてダメでした…(笑)。あのときほど自分の感情に素直になったお芝居はなかったです」。再演ではどんな感情が込み上げるのか、同じキャストでも日によって異なるだけに、幕が開けてみないと分からないと話す。「ベスは、女王の星の下に生まれて、そのことを受け入れていかなければならないという使命感があります。だからこそ、ひとりの女性としての幸せを前に揺れ動く姿がとても人間らしくて素敵で。ベスは自分の運命をちゃんと受け入れていく強い女性の象徴だと思うので、初めて観る方はそんな姿を見てほしいです。初演をご覧になった方は、別の作品を観るぐらいの気持ちで劇場に来てください。僕たちも同じものを作ろうとは思っていません。“生まれ変わった”というくらいの気持ちで作って、舞台に立つつもりです」と意気込む。10月8日(日)から11月18日(土)まで東京・帝国劇場、11月28日(火)から12月10日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。
2017年09月27日この秋、待望の再演を果たすミュージカル『アダムス・ファミリー』。お化け一家の主人ゴメスを演じる橋本さとしと、その長女ウェンズデー役の昆夏美は、初演でもユニークな役作りで大評判を取った。ミュージカル『アダムス・ファミリー』チケット情報「よく集めたなというくらい個性的なキャスト揃いで、初演の稽古場には日本人が欧米の作品をやる時の違和感が一切ありませんでした。今回また家族で集まることができると思うと、嬉しいです」と語るのは橋本。初演では、妻と娘を愛するチャーミングなパパを熱演し、読売演劇大賞優秀男優賞も受賞した。昆が「さとしさんが(妻モーティシア役の)真琴つばささんと一緒にノリノリでタンゴを踊られる姿、とても素敵だったんですよ。私はそれまでコメディタッチの舞台に出た経験があまりなかったので、さとしさんをはじめ皆さんの演技は勉強になりました」と振り返ると、橋本は「いやいや、滅多に笑わないウェンズデーだけど、ほくそ笑み方がめっちゃ上手で、しかも笑顔が可愛くなくて絶妙だった!劇中、ゴメスがウェンズデーに対して『娘が成長して嬉しいけど寂しい』という気持ちを表す場面があるのですが、これが実に微笑ましくて泣けるんですよ」と笑顔を浮かべた。再演では、キャストの一部が新メンバーに。モーティシア役には、初演からの真琴に加え、新たに壮一帆が参加。橋本と昆はふたりの妻/母を相手に演じる。橋本は「妻ひと筋のゴメスなのに、こっちにもあっちにも妻が!複雑ですよ」と笑いつつ「壮さんとは舞台『魔都夜曲』でもご一緒し、チークダンスを踊ったので、良い距離感ができています。新しく入って来られる方々から、僕らも新しいものをみつけさせてもらうのが楽しみですね」と期待をにじませる。また、橋本が「恋愛もので相手が複数キャストの場合、この人好き、この人好きになれない、とかあるの?」と昆に質問し、昆が「好きになれないことはないのですが、人によって、与える愛だったり受け入れる愛だったりと、ポイントが変わります。相手の方と一緒に呼吸し、反応しながらお芝居を作る面白さも難しさも、近年ますます感じています」と答えると、橋本も「そうだよね。役者としての技量だけでなく、人間としての度量や大きな意味での愛が試される」と頷いた。「とにかく愛が充満している舞台だし、家族や人種のことなど社会風刺もしている。そして白井晃さんの演出も絵本のような美術も本当におしゃれなので、ぜひ観ていただきたいですね」(橋本)「 ブラックなところもありつつ、ユーモアと家族愛がいっぱいのハッピーな作品。私自身は初演では手探りでしたが、今回は戦略的な笑いにも挑んで、お客様とのキャッチボールを楽しみたいです」(昆)本公演は10月28日(土)から11月12日(日)までKAAT神奈川芸術劇場ホールにて。10月1日(日)にはMARK IS みなとみらいにて製作発表&楽曲披露イベントの開催も決定。チケット発売中。取材・文:高橋彩子
2017年09月21日NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」を卒業後、舞台やテレビと活動の幅を広げる横山だいすけ。そんな彼の念願だったというミュージカル・コンサートツアー『だいすけお兄さんの世界迷作劇場 2017』が、全国各地で開催されている。「だいすけお兄さんの世界迷作劇場2017」チケット情報公演は、だいすけお兄さんがみんなよく知るあのキャラクターに扮し、歌やダンス、芝居で魅せる物語仕立ての第1部と、大人気の『ぼよよん行進曲』をはじめ、テレビでもおなじみの曲が数多く披露されるコンサート仕立ての第2部の、二部構成。親子で楽しめる内容となっている。演出は劇団四季時代の先輩で、ミュージカル『魔女の宅急便』も手掛けた岸本功喜。公演オリジナル曲(歌詞/岸本功喜・作曲/小島良太)も満載で、そのどれもがだいすけお兄さんの優しくもまっすぐな歌声で届けられる。憧れのだいすけお兄さんを目の前にキラキラとした笑顔の子供たち、それを嬉しそうに見守る親たち、横山だいすけをはじめとするキャストとが一体となって織り成される、温かな空気感に、全国各地の劇場が包まれるだろう。チケットは順次発売開始。9月21日(木)11:00まで、広島、福岡、山口、岐阜公演の先行抽選を受付中。『だいすけお兄さんの世界迷作劇場2017』▼9月24日(日) 倉敷市民会館▼10月1日(日) 佐賀市文化会館 大ホール▼10月7日(土) 沼津市文化センター 大ホール▼10月15日(日) 呉市文化ホール▼10月21日(土) アルモニーサンク北九州ソレイユホール▼10月22日(日) 周南市文化会館▼10月28日(土) 大垣市民会館 ホール▼11月5日(日) 富山市芸術文化ホール オーバード・ホール▼11月23日(木・祝) サンポートホール高松 大ホール▼11月26日(日) 大田区民ホール・アプリコ 大ホール
2017年09月20日ハリウッド映画を基に、2012年にオフ・ブロードウェイでミュージカルになり、2015年に日本で初演された『ドッグファイト』。ミュージカル界でも活躍が目覚ましい屋良朝幸が主演し話題となった作品が、今冬に戻ってくる。屋良に話を聞いた。ミュージカル「ドッグファイト」チケット情報今作の作詞・作曲を手掛けているのは、大ヒット映画『ラ・ラ・ランド』のほぼすべての作詞を担当し、今年、ブロードウェイミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』でトニー賞オリジナル楽曲賞を受賞した今をときめくコンビ、ベンジ・パセック&ジャスティン・ポール。ロカビリーやロック、カントリー音楽などをミックスした楽曲は「キャッチ―でなじみやすいんですが、だからこそ難しい。初演ではキーが出るか出ないかの闘いでした。日本初演でしたので、責任を持って歌い演じました。再演ではもっと発声をクリアにしていきたいですね」。初演では観劇するためにこのコンビが来日。「オフ・ブロードウェイ版では踊りのシーンはないんです。でも日本版ではあえてアグレッシブなダンスをふんだんに取り入れた。『若者のエネルギーに満ち溢れているね』と大喜びしてくれました」。その屋良が得意とするダンスシーンは、「歌いながらパンツ一丁になり(笑)、全身着替える場面があって。このフレーズまでにここまで着替えるとか細かく決まっているのですが、本番で間に合わず、チャックが開いていてアドリブを入れたことも(笑)。毎回ヒヤヒヤしていました」という。「ドッグファイト」とは、ベトナム戦争時に、パーティに一番イケていない女の子を連れて行った者が賞金を獲得できるという米国の海兵隊に伝わるゲームで、戦場で冷酷な感情を維持するため、実際に行われていたそうだ。屋良演じるエディは「自信過剰で上から目線。汚い言葉を使ったセリフの応酬があるんですが、普段僕自身が使わないからこそ、キャラクターとしてできる。すごく楽しかったです(笑)」。エディはベトナム戦争に行くことでヒーローになれると信じ、「ドッグファイト」にローズ(宮澤エマ)を誘う。外見も含め自分に自信のないローズは、初デートだと大喜びする。「過酷なゲームですが、そのゲームでふたりの気持ちが地に突き落とされたからこそ、見えてきたものがある。エディはローズの温かさに包まれ、悲惨な戦争を経験して大人になる。ローズも内面を変えればもっと人生が変わることを知る。自分に自信がなくて、躊躇することは誰にでもありますが、やればできるというメッセージを再演でも強く伝えたいですね」。さらに、「僕も戦争を知らない世代ですが、作品から色々と学びました。この舞台が若い人が戦争について考えるきっかけになれば」と語った。公演は、12月8日(金)から11日(月)まで大阪・サンケイホールブリーゼ、12月14日(木)から30日(土)まで東京・シアタークリエ、2018年1月6日(土)愛知県芸術劇場 大ホールにて上演。チケットは9月30日(土)より一般発売開始。取材・文:米満ゆうこ
2017年09月19日アニメ『ひつじのショーン』をテーマにした体験型アミューズメントパーク「ひつじのショーンファミリーファーム」が、仙台・THE MALL仙台長町にオープンする。オープン日は2017年10月19日(木)。ひつじのショーンとは『ひつじのショーン』は、発明家のウォレスと忠犬グルミットによる大ヒット痛快コメディー。『ウォレスとグルミット 危機一髪!』に初登場して以来、世界中で愛されたアニメで、ショーンとその仲間たちが静かな丘で毎回大騒動を巻き起こす、ドタバタコメディーとなっている。これまで作品をテーマにしたカフェがオープンしたり、フィギュアとスケッチを紹介する展示会や大型アートオブジェの展示が開催されたりと、人気を集めてきた。東日本初、『ひつじのショーン』がテーマの体験型パーク東日本初となる、今回のテーマパーク。ひつじのショーンと仲間たちが住む牧場の世界の中で、ショーンに会えるステージやボールプール、スライダーなどを楽しむことができる。さらに、物販コーナーでは、ここでしか買えない限定商品や多種多様なグッズを購入することも可能。ファン必見の場所となりそうだ。【詳細】ひつじのショーンファミリーファームオープン日:2017年10月19日(木)住所:宮城県仙台市太白区長町7-20-3 THE MALL仙台長町店3F営業時間:10:00〜21:00(C) And TM Aardman Animations Ltd 2017.※開発中の為、 園内写真は変更となる場合あり。※写真・イラストは全てイメージ。
2017年09月18日ミュージカル×アニメーションで紡ぐ新感覚ライブエンターテインメント「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」プロジェクトの第一弾として2.5次元ミュージカルとライブの二部で構成される舞台「少女☆歌劇 レヴュースタァライト ―The LIVE―」#1が9月22日(金)に開幕する。それに先駆け稽古場取材会が開かれた。【チケット情報はこちら】名門音楽学校を舞台に、「トップスタァ」を目指す9人の“舞台少女”たちが戦う姿を描く本作。舞台とアニメがリンクして展開し、メインキャラクター9名はミュージカル版とアニメ版で同じキャストが演じる。その中でW主演を務めるのは、ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」でセーラーマーキュリーを演じた女優・小山百代と、数々のアニメに出演し抜群の歌唱力を持つ声優・三森すずこ。さらに舞台を中心に幅広く活躍する富田麻帆や、アイドルとしての活動経験もある佐藤日向ら声優、舞台俳優、アイドルとさまざまなジャンルの「スタァ」が揃う。また、舞台版には、歌手・声優として絶大な人気を誇る椎名へきるも出演。演出は児玉明子、脚本は三浦 香と、強力な布陣でプロジェクトの幕を開ける。物語は、幼い頃に「いつか必ずふたりであの舞台に立とうね」と約束し合った、小山演じる華恋(かれん)と三森演じるひかりを軸に展開する。ある日突然離れ離れになったふたりだが、華恋はそのときの約束を忘れず、名門音楽学校で個性豊かな同級生と共にレッスンに励んでいた。そんなある日、世界最高峰の演劇学園からの転校生としてひかりが現れる。再会を喜ぶ華恋にそっけないひかり。動き出す運命――。9人それぞれの夢をかけた挑戦が始まる。稽古では、9人が揃い歌うシーンを披露。歌とダンスで盛り上げるポップな曲から、それぞれの内に秘めた想いを一人ひとりソロで歌い上げるバラードまで幅広い楽曲が揃う。その中には少女たちの繊細な想いや友情などが丁寧に描かれており、どこかあどけない歌声がその心情と美しく重なる。その舞台少女たちを指導する椎名演じる学年主任の場面では、打って変わって椎名が圧倒的な歌声で「スタァ」になるための心得を歌い上げるなど、ミュージカルならではの表現が楽しめた。また、キャラクターの個性が鮮やかなので、前向きで元気な華恋、クールでミステリアスなひかりをはじめとする9人の魅力がすぐに理解できるのも見事だ。「あの舞台に立ちたい」と互いをときにライバル視し、ときに助け合いながら進んでいくさまは、今まさに舞台に立つキャスト達とどこか重なるものもあり、今この瞬間の輝きを見逃してはいけないような気持ちにさせられる本作。公演は9月22日(金)から24日(日)まで東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoにて。2018年1月に再演が決定している。取材・文:中川實穂
2017年09月14日2013年、「これが世界のクオリティ!」と言い切り上演、世界レベルの歌声を堪能させたミュージカル・ショー『4Stars』の第2弾が上演される。ミュージカル界で世界をまたにかけて活躍するトップの歌声を、日本に居ながらにして聞くことの出来る贅沢さを味わえた舞台。シンプルな演出のなか、4人それぞれの魅力を生かした楽曲も披露され、観客は大満足だった。あれから4年。出演メンバーは前回に引き続き、ラミン・カリムルー、シエラ・ボーゲス、城田優の3人に加え、2013年に『ピピン』でトニー賞ミュージカル主演女優賞を受賞したパティーナ・ミラーが初登場する。また、今回はブロードウェイで新進気鋭の演出家サラナ・ラパインが初参加、“旅”をテーマにした演出にも注目したい。『4Stars』にしかないゴージャスな顔合わせ、世界最高峰の歌声の素晴らしさ、ここでしか聞けない多彩な楽曲…。プレミア感満載のステージの緊張と楽しさを、城田優が語った。「4Stars 2017」チケット情報「前回、『なぜ城田優がここに?』と思った人がほとんどだったと思います。トップ中のトップの3人と一緒に歌うことは圧倒的な緊張と恐怖があり、『絶対に負けたくない!』と意気込んで挑んだ舞台でした」。城田にとって英語は第3言語、まさしく不利な戦いだった。さらに「僕はネガティブで、本番になると怖気づいちゃう」という彼だったが、「3人はいつも支えてくれた。愛にあふれる方たちでした」と話す。特にシエラの「証明しようとせず、共有すればいい」というアドバイスに、大きな気づきを得た城田。言葉の壁を越え、リスペクトし合った前回を経て4年、シエラやラミンとの交流を続け、絆はより一層深まっていた。「もう一度、やりたい」と訴えたのは彼自身。タイミングも合い実現となった今回、目指す先は「4年間の成長や経験を存分に生かしつつ、形にしたい。3人とスペシャルな時間を共有し、お客さんにもそれを届けて、みんなで楽しい最高の時間を過ごすこと」。メンバーは「家族思いで、おちゃめ。でも、すごい喉を持っている」ラミン、「まっすぐでピュアで、日本が大好き」なシエラ、そして「モンスター級の歌唱力を持つ人」パティーナ。「フレンチミュージカルや、僕らの持っているアイデンティティを生かした曲を歌いたい」と言う城田は、日本語で、また前回好評だったスペイン語の歌も披露してくれるかもしれない。新たな演出の中、『エリザベート』の“闇が広がる”をラミンとふたりで歌うことを楽しみにしている。「4人それぞれの魅力をギュッとまとめて、4色が混じり合うエンタテインメントショーをお見せしたい。今回は気負うことなく、自分の持っているエネルギーを全部出し切って、それぞれの相乗効果でさらに上のレベルに行くことが出来ればいいなと思っています」。12月14日(木)から17日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、12月20日(水)から28日(木)まで東京国際フォーラム ホールCにて上演。9月16日(土)のチケット一般発売に先駆け、9月14日(木)10:00より先行先着プリセールを実施。取材・文:高橋晴代
2017年09月13日ブロードウェイミュージカル『ファインディング・ネバーランド』が日本初上陸し、9月8日に開幕。現実とファンタジーが混ざり合った感動作に、会場を埋め尽くした観客から何度も拍手が沸き上がった。【チケット情報はこちら】本作は、名作『ピーターパン』の誕生を描いたジョニー・デップの主演映画『ネバーランド』を基に制作されたミュージカル。劇作家J・M・バリが、美しい未亡人シルビアと4人の子どもたちとの出逢いを通じて「ピーターパン」を書き上げ、上演するまでを描いた物語。『ピピン』『ヘアー』などで知られるトニー賞受賞演出家のダイアン・パウルスが演出を手がけ、イギリスを代表するバンド、テイク・ザットのゲイリー・バーロウがすべての音楽を作曲。2015年にブロードウェイで開幕すると観る者すべてを魅了し、感動させた話題作だ。物語は、ロンドンのケンジントン公園で、バリとシルヴィア一家が出会うシーンから始まる。バリ役のビリー・ハーリガン・タイを中心に、演者たちが流れるようにストーリーを展開していく。そしてひとたびステージ上の演者がひとつになったミュージカルシーンが始まると、観客は釘付け。抜群の歌唱力と息の合った振付から目が離せなくなる。特に観客を興奮させたのは、第一幕の最後を飾る『Stronger』。バリを乗せた海賊船が大海原を越えていく、まるでテーマパークのアトラクションのような大迫力の演出の中、ビリーが全身を使って力の限り歌い上げる。ステージの熱は会場中に広がり、観客は一気にヒートアップした。他にも、シルヴィア役のクリスティン・ドワイヤーがひとり熱唱する『All That Matters』や、子ども4人だけで演奏しながら楽しく歌う『We’re All Made of Stars』など、見事な歌声とパフォーマンスに、観客は、度々、大きな拍手と大歓声を贈った。ファンタジー要素もたっぷりで、想像力豊かな子どもたちと過ごすうちに物語を作り始めるバリがたびたびインスピレーションを受けると、ステージの上はファンタジーの世界へ。子どもたちは宙に浮かび、大人たちには悪役の影が。物語のアイデアとなるシーンが随所に散りばめられ、それを見つけるのも楽しみのひとつだ。彼らを取り巻く人々は、一癖も二癖もあるユーモラスな登場人物ばかりで、ユーモアたっぷりの台詞や演技に、会場からは笑いが起こる。後半には厳しい現実が待っており、大きな壁にぶつかりながらも、信念を持って乗り越えるバリや子どもたちの演技と歌に、会場には涙があふれた。ブロードウェイミュージカル「ファインディング・ネバーランド」は9月24日(日)まで東急シアターオブにて上演。チケット発売中。取材・文:門 宏
2017年09月11日「王室教師ハイネ-THE MUSICAL-」初日を前に東京・Zeppブルーシアター六本木にてゲネプロと囲み取材が行われた。本作は赤井ヒガサ原作で「月刊Gファンタジー」(スクウェア・エニックス)にて連載。脚本を桜木さやか、演出を吉谷光太郎が手がけている。なおミュージカル版にはアニメ版で声優を務めた植田圭輔、安里勇哉、安達勇人、廣瀬大介、蒼井翔太が挑むことで話題となりチケットは早々に完売。9月18日(月・祝)大千秋楽でのライブビューイングが全国の映画館で決定、発売されている。舞台「王室教師ハイネ -THE MUSICAL-」チケット情報囲み取材では植田、安里、安達、廣瀬、蒼井の5人が登場。主演でハイネ役の植田は「アニメから関わらせていただきましたが、舞台から参加したメンバーも愛を持って接していてくれています。4王子たちを立派な国王にすべくお勉強だけでなく道徳的にも語られる、ハイネ先生のいろんなセンスを観てほしいです」と意気込みを明かす。“ジロリ王子”こと第二王子・カイ役の安里は「見た目は怖いカイですが、その心の内が表現できればと思います。さらに僕らだけでなくアンサンブルの皆さんの歌もダンスもすごいので端から端まで観てほしい」とミュージカルならではの見どころを語り、“高圧インテリ王子”こと第三王子・ブルーノ役の安達も「真面目なだけでなく、葛藤する姿も見せます。熱量のある生の舞台ならではの世界を楽しんでください」と意欲を見せた。“プライドエベレスト王子”こと第四王子・レオンハルト役の廣瀬は「アニメでは可愛い姿を見せましたが舞台ではこれまで観たことのない姿を届けます」と抱負を語り、“チャラ王子”こと第五王子・リヒト役の蒼井は「先日、30歳を迎えましたが、舞台ならではのおもしろさで、カッコよくて可愛い14歳を演じます!(笑)」と笑いを誘った。描かれるのは王子専属の家庭教師・王室教師のハイネと4人の王子とがつむぐ絆。その父でありグランツライヒ王国国王のヴィクトール(姜暢雄)の命により、いやいやながらも授業を受ける彼らは、しかし、やがて心を開き、王位継承者として国を思う気持ちを育んでいく──「THE MUSICAL」と謳うだけあって次々と披露される歌声はとにかく圧巻。揺れ動く感情が音に乗って客席へとほとばしり、埋め尽くす。その数、実に30曲近く!最後の「特別授業」まで存分に「物語」を聴かせてくれる。東京公演は9月10日(日)まで、大阪公演は9月16日(土)から18日(月・祝)まで森ノ宮ピロティホールにて。大千秋楽は彼らの歌声を劇場・映画館で感じてほしい。取材・文/おーちようこ
2017年09月08日9月24日(日)に開幕を控えた屋良朝幸主演の「ORIGINAL MUSICAL『THE CIRCUS!』―EPISODE1 The Core―」。9月5日にその記者会見が行われ、構成・演出・振付のTETSUHARU、出演者の屋良朝幸、矢田悠祐、青柳塁斗、蒼乃夕妃、田野優花(AKB48)、菜々香、三井理陽、石坂勇、植原卓也が登壇した。ミュージカル「THE CIRCUS!-エピソード1-」チケット情報「THE CIRCUS!」は、世界を股にかける人気ストリートサーカスチームでありながら国家を揺るがす巨悪と戦う大統領直属のスペシャルエージェント「ミラージュ」が世界の危機を救う痛快冒険活劇シリーズ。昨年5月に「エピソード0」が上演され、今作はその続編で物語の始まりの「エピソード1」となる。安室奈美恵やSMAP、AKB48など数多くのアーティストの振付、舞台「タンブリング」やミュージカル「イン・ザ・ハイツ」などの演出・振付でも知られるTETSUHARUが構成・演出・振付を手掛け、アメコミの世界から飛び出したような派手な世界観で描かれる。今作についてTETSUHARUは「前作『エピソード0』はミラージュが誕生されるまでのストーリーで、いわばスピンオフ的なものでした。今回の『エピソード1』からストーリーがどんどん展開していきます」と紹介。さらに「よい作品というのは、まずは僕らが楽しんで精一杯パフォーマンスすること。面白い作品にできるように日々稽古を重ねているので、期待していただければと思います」と語った。主人公・ケントを演じる屋良は「『THE CIRCUS!』は、僕がこれまでやってきた中でも本当に大好きな作品です。十代の頃からダンスを好きでやってきたからこそ出会えた作品だと思います」と作品愛を披露。ミラージュの行く手に現れる謎の人物・スワン役の植原は「前作よりもさらに色濃くストーリーが動き出しました。新しいキャラクターであったりキャストも加わり、前回と違う雰囲気を稽古の段階ですごく感じています」、スピード狂のバイク乗り・ジェイク役の矢田は「持ち前の荒くれた性格を生かして、物語をひっかきまわします!」と笑顔を見せ、会見は和やかな雰囲気が漂う。映像出演となる平方元基、越岡裕貴(ふぉ~ゆ~)からのコメント動画では、平方の「きっとこの後、屋良くんが面白いことを言ってくれると思います!」という言葉に屋良は「ふざけるんじゃないよ!」、越岡の「ぜひ映像でお会いしましょう!」という短いコメントには「終わりかい!」とツッコミ、会場は笑いに包まれる。「まさに今みたいなやりとりをステージでやります」(屋良)と、映像出演のふたりも活躍しそうだ。公演は9月24日(日)から10月15日(日)まで東京・よみうり大手町ホールにて。その後、愛知、大阪、福岡を巡演。取材・文:中川實穂
2017年09月07日