「東京都現代美術館」では、アート・ディレクター、デザイナーとして多岐に渡る分野で新しい時代を切り開きつつ、世界を舞台に活躍した石岡瑛子の回顧展「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」を開催する。石岡さんは、パルコ、角川書店などの数々の歴史的な広告を手掛け、ニューヨークに拠点を移した後、映画、オペラ、MVなど多岐にわたる分野で活躍。映画『ドラキュラ』の衣装でアカデミー賞衣装デザイン賞受賞、2008年の北京オリンピック開会式では衣装デザインを担当したことでも知られる。今回の回顧展では、時代を画した初期の広告キャンペーンから、映画、オペラ、演劇、オリンピックのプロジェクトなど、その唯一無比の個性と情熱が刻印された仕事を総覧する。本展示は、「Timeless:時代をデザインする」「Fearless:出会いをデザインする」「Borderless:未知をデザインする」という3つのカテゴリーで構成。マイルス・デイヴィス、レニ・リーフェンシュタールら名だたる表現者たちとのコラボレーションの連続で生み出されてきた石岡さんの仕事。展示では、集団制作の中で個のクリエイティビティをいかに発揮するかに賭けた「石岡瑛子の方法」を、デザインのプロセスを示す膨大な資料とともに紹介し、その秘密に迫る。さらに、『ドラキュラ』、『落下の王国』、『白雪姫と鏡の女王』など、ハリウッド・アカデミーをはじめ世界各国のアーカイブから集められた映画・舞台衣装の展示も必見だ。「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」は11月14日(土)~2021年2月14日(日)東京都現代美術館にて開催(休館日あり)。(cinemacafe.net)
2020年06月14日国立映画アーカイブで本日から「オリンピック記録映画特集――より速く、より高く、より強く」が開催される。来年の東京五輪開催を前に、これまで製作されたオリンピック記録映画をスクリーンで楽しめる貴重な機会だ。スポーツの祭典・オリンピックが初めて網羅的に映画フィルムに記録されたのは1912年のストックホルム大会。“日本マラソンの父”とも称される金栗四三らが参加した大会で、現在は撮影されたフィルムが復元・再構成されて170分の作品として鑑賞することができる。その後もオリンピック記録映画の製作は続き、1930年には国際オリンピック委員会が各大会の記録映画づくりを義務づけ、数々の公式作品が誕生した。今回の特集はオリンピック文化遺産財団から素材の提供を受けて、歴代の記録映画やドキュメンタリーから作品を厳選し、23プログラムを上映する。市川崑が総監督を務め、驚異的なヒットを記録しただけでなく、現在も語り継がれる傑作『東京オリンピック』や、クロード・ルルーシュが共同監督を務めた『白い恋人たち/グルノーブルの13日』、篠田正浩が総監督を担当し、90人からなる撮影部が選手たちの動きの美しさや微細な表情をとらえた『札幌オリンピック』、“オリンピア”とも称されるレニ・リーフェンシュタール監督の『民族の祭典』『美の祭典』などを上映。初期の無声映画はスポーツ史専門家によるライブ解説や、音楽・弁士つき上映も行われる。かつてテレビやネットがなかった時代、オリンピック記録映画は世界各地にその模様を伝えるメディアとして機能した。映像中継が普及した後も記録映画はライブではとらえることができなかった選手たちの躍動する身体や競技前の不安、緊張、集中、歓喜の“瞬間”を描き出すものとして製作され、単なる“スポーツの記録”だけでなく映画作品としても優れた作品を数多く生み出している。会期中にはオリンピック記録映画復元担当者で映画復元専門家のエイドリアン・ウッド氏を招いた特別講演会も開催。五輪を映画ファンならではの角度や視点で楽しめる特集になっている。「オリンピック記録映画特集――より速く、より高く、より強く」『1912年第5回オリンピック ストックホルム大会』(1912年)『銀界征服』(1928年)『アムステルダム・オリンピック大会』(1928年)『世界の若者たち 』(1936年)『1936年オリンピック映画の製作風景 』(1937年)『民族の祭典 』(1938年)『美の祭典 』(1938年)『憎しみなき闘い 』(1948年)『ロンドン・オリンピック 』(1948年)『美と力の祭典 メルボルン・オリンピックの記録 』(1957年)『ローマ・オリンピック1960 』(1961年)『東京オリンピック 』(1965年)「東京オリンピック短篇ドキュメンタリー選集」『白い恋人たち/グルノーブルの13日 』(1968年)『太陽のオリンピア―メキシコ 1968― 』(1969年)『札幌オリンピック 』(1972年)『時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日 』(1973年)『ホワイトロック 』(1977年)『第21回オリンピック大会 』(1977年)『スポーツよ、君は平和だ! 』(1981年)『栄光の16日 』(1986年)『ハンド・イン・ハンド 』(1989年)『マラソン 』(1993年)『1998長野オリンピック 名誉と栄光の物語 』(1999年)11月26日(火)から12月22日(日)まで月曜日は休館国立映画アーカイブ 長瀬記念ホールOZU
2019年11月26日