一流店の味を極めてきたシェフが出会った、築150年の都指定有形文化財の建物“東京もひとつの地方”。東京にもいい食材がたくさんあるこの場所で伝えていきたい“新たな東京の魅力”一流店の味を極めてきたシェフが出会った、築150年の都指定有形文化財の建物築150年の都指定有形文化財の建物の内部は、温かみを残しつつモダンに改装。シェフが目の前で料理を仕上げるカウンターテーブルは7席都心から車でも電車でも約1時間と、気軽に豊かな自然と澄んだ空気に触れることができる、東京・あきる野市。この地を新たなスタートの地として選んだのは、帝国ホテルのメインダイニング【レ セゾン】でのスーシェフを担うなど、一流店の味を極めてきた松尾直幹(マツオナオキ)さんです。1982年、東京都西多摩生まれ。料理専門学校卒業後、推薦状を手に「帝国ホテル」へ。メインダイニング【レ セゾン】でスーシェフを担うなど料理人として21年勤務したのち、2023年10月に自身がオーナーシェフを務める【L’Arbre(ラルブル)】を開業「僕はもともと隣のとなり町、西多摩の瑞穂町出身なんですが、あきる野市はもともと環境がよいため、有機農法で野菜をつくる農家さんが多くいました。その中でも農薬どころか有機物も使用しない育て方をされていた農家さんと出会い、僕も勉強してみたいという気持ちがあったので、【レ セゾン】時代の約9年前から自分で耕作を始め、近隣農家さんと一緒に畑を耕させてもらって約3年。今もここから約5分の場所で、30平方メートルほどの畑をお借りして、お店で使用する野菜などを育てさせてもらっています。その農家さんが、僕が西東京でお店をやりたいと思っていることを、周りの方に話してくださっていたおかげで、この建物のオーナーさんとのご縁に繋がりました」都指定有形文化財(建造物)である「小机家住宅」の建築面積は約90平米。当時は珍しかった洋風列柱廊や2階のバルコニーなどが配されている松尾さんが見た瞬間に「この場所でレストランを開きたい」と心を動かされたという建物は、都指定有形文化財(建造物)「小机(こづくえ)家住宅」。江戸時代に山林業で富を築いた小机家が、1875年(明治8年)頃に建てた木造2階建ての土蔵造りで、約150年前の建築とは思えぬ洋風の建築物に圧倒されます。「五日市の方たちでも、お店ができるまではこの建物自体をあまり知らない人がいたと思うんですが、改めて文化財である建物を認識していただいて、さらに食事を楽しみながら建物の内部を観ていただける機会にも繋がると思っています」カウンターで食事をとった後に、個室でゆっくりお茶を楽しむお客さまもいらっしゃるそう洋風の外観とはうってかわり、内部は伝統的な四間取りの形式を持ち、和風の意匠。メインのカウンターテーブル7席のほか、4名テーブルを据えた畳の個室が3部屋あり、臨機応変に個室を繋げることも可能です。“東京もひとつの地方”。東京にもいい食材がたくさんある帝国ホテルの【レ セゾン】時代、師匠であるフランス人シェフが、日本で過ごすうちに徐々に和の食材を取り入れていく姿を見て、その土地の風土とフランス料理を掛け合わせる大切さを学んできたという松尾さん。「とくに地方では“ローカル・ガストロノミー”という言葉がありますが、僕は“東京もひとつの地方”だと思っているんです。わざわざいろんな場所から食材を集めなくても、東京にもいい食材がたくさんある。東京をフィーチャーしているシェフはこれまであまりいなかったので、もともとこの地域に生まれてきた自分が、この場所で、これまで一緒に畑を耕してきた農家さんをはじめ、多くの生産者さんやその作物をもっと周知していければ、いろんなお客さまが来て、改めてこの地域が見直されるきっかけになるんじゃないかと考えました」【ラルブル】の料理はコースのみで、ランチが8品13,200円、ディナーが10品17,600円と、9品14,850円の2種類。お子さま用のメニューや、平日限定でメインの魚か肉を選べる9,900円のコースも実際に【ラルブル】では、松尾さんが自ら育てる野菜を含め、魚も肉もフルーツまで東京産の食材を使用。“東京ローカル・ガストロノミー”を体現しています。『八丈島 久保田さんの金目鯛とのらぼう菜』は、八丈島で獲れた青伊勢海老と車海老のアメリケーヌソースで。柚子と玉ねぎのチャツネもアクセントとして添えられます。直接、東京都八丈島の漁師・久保田さんから買い付けるという金目鯛は、調布の飛行場へ空輸されるため、新鮮な状態で仕入れが可能「八丈島は黒潮が入るのでマグロなどもおいしいですし、海が綺麗なので、金目鯛の味もクリアなんです。レモングラスと塩水で漬けて、水分を軽く飛ばして身を引き締めてから、オリーブオイルで皮目をパリッと焼き上げています」しっとりとジューシーな身は、肉に見紛うかのようなプリッとした食べ応えも魅力。付け合わせは、レモングラスとローリエの香りを付けたオリーブオイルでソテーしたのらぼう菜と、松尾さんが自然栽培農法で育てたじゃがいも「にしゆたか」。冷え込む地域だからこそ、野菜の甘みが増しておいしくなり、自然を色濃く反映した濃い黄色が印象的です。松尾さんが農家さんから借りている畑。またここ以外に、建物の敷地内でも野菜を育てています。「使用している野菜は比較的サイズが小さめですが、味はすごく濃いものが多いんです」「畑をやっている利点でもあるのですが、お店ではできるだけゴミを出さないようにしつつ、最低限出る生ゴミは堆肥化して、畑の肥料として使用し、そこで育った野菜がまた自分のお店へ戻ってくるように、まずは地域で無理のない循環を実現しています。お付き合いのある農家さんはほとんどが有機栽培なので、そもそもの食材にも農薬がなく、堆肥化することで土を汚す心配もありません」こちらは、松尾さんが育てた里芋と、西東京産の檜原舞茸を合わせた『檜原舞茸と、里芋団子』。薪も東京の「ナラの木」を使用して燻したという、檜原舞茸とアワビ茸からとった、香りまで味わい深いおだしで一度茹でてから焼きあげた里芋団子は、里芋を練った生地でさらに里芋を包んでおり、食感豊かな二層構造です。水分を十分に飛ばしてサクッとした歯ごたえに仕上げた檜原舞茸は、噛み締めることでジューシーな旨みも溢れ出す、こちらも新食感。仕上げにエシャロットの香りをまとわせ、数滴垂らしたウィスキーのウッディーな香りが、燻した舞茸の香りに良い添います。「元々、里芋団子は西東京のいろんな場所で食べられていたそうなんですが、食べる機会がなければどんどん文化として無くなっていってしまうので、食文化として繋いでいけるように、少しでもおいしく食べてもらえるように工夫しました」さらに肉料理には、これまで東京で「秋川牛」、「東京ビーフ」といった2つの黒毛和牛を生産してきた竹内孝司さん・孝英さん親子が、雌のA5ランクのものだけを選別した「東京和牛」を使用。東京和牛をじっくり火入れ。帝国ホテル時代、フレンチ以外に【鉄板焼 嘉門】でも3年間腕をふるい、肉の火入れにも職人としての矜持が光る「竹内さんの牧場では、牛の飲み水に湧き水を使用していたり、都内のワイナリーから出る搾りかすなどを飼料として与えたり、できる限りストレスなく自由に育てているので、肉の繊維が綺麗に入っているのが特徴です」。メインの『東京和牛とビーツ』は、しっかりとフレンチの粋を凝縮した赤ワインソースに、「青梅ファーム」のビーツと庭で穫れた銀杏を添えて。メインの「東京和牛」は、イチボかランプを使用することが多いそう。この日はイチボを、赤ワインソースでフランス料理のコースにはパンがつくように、通常“締め”のメニューは含まれませんが、【ラルブル】では、締めの『のしこみうどん』を提供。「こちらも奥多摩の郷土料理として、各家庭にレシピがあるものなのですが、基本は煮干しと椎茸でとっただしで葱など野菜とうどんを鉄鍋で煮込んだもの。うちでは少し異なりますが、チキンブイヨンと鰹節でとったスープで、のらぼう菜やブロッコリー、葱の青い部分を煮て、ミキサーでピューレ状にした汁と、ご近所の「久保島本舗」さんのやや細めの麺で軽やかに仕上げています」郷土料理へのオマージュを表現した『のしこみうどん』。山椒オイルと蕗のとうの緑がアクセント松尾さんが惚れ込んだという麺だけあり、柔らかな喉越しはどこまでも優しく、モダンな味わいながらどこかホッと和む味わいです。この場所で伝えていきたい“新たな東京の魅力”赤い「章姫(あきひめ)」から生まれた新たな品種が、ピンク色の「桃色あきひめ」デザートは、『五日市 中村さんの完熟イチゴとロゼシャンパーニュ』。パフェグラスを螺旋状に飾るイチゴは、五日市にあるイチゴ農家の中村さんが作る2種類のイチゴを使用。「一般的にスーパーのイチゴは9割くらい熟したものを農家さんが出荷していることが多いんですが、中村さんが作るイチゴは完熟なので、ヘタぎりぎりまで甘いんです」爽やかな甘みはもちろん、酸味が穏やかなのは、「桃色あきひめ」とそのルーツである「章姫」の特徴でもあるといいます。軽い口当たりのビスキュイ・ローズ・ド・ランスと、イチゴのコンポート、シャンパンのソルベに、2種類のイチゴが華を添える「“桃色あきひめ”は、中村さんが“あきひめ”の中から、1万株に1株くらい希少な確率で見つけたピンク色のイチゴを、毎年掛け合わせて継いでいくことで、徐々にここまで綺麗な淡いピンク色になっていったと聞きます。“白いイチゴ”って見た目が先行しがちですが、中村さんの“桃色あきひめ”はオリジナルで、すごくおいしいんです」こういった作り手のたゆまぬ努力や職人的な姿勢は、松尾さんが実際に訪ね、見聞きしたストーリー。古巣の帝国ホテルでの勤務時代から、休みがあれば生産者や農家さんを開拓し、“都内”といえど、その距離は小笠原諸島の漁師さんまで遠路はるばる足を運んでいるといいます。築150年の都指定有形文化財の建物で体験する、東京のローカル・ガストロノミー。地方にばかり目を向けがちだった昨今、新たな角度で東京を味わってみるのはいかがでしょうか。Restaurant L’Arbre【エリア】あきる野【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】15000円【ディナー平均予算】16000円【アクセス】武蔵五日市駅 徒歩10分自然派ワインを中心に、秋川で造られる少量生産の「雫酒」など日本酒も幅広く揃う。ペアリングは9,900円0
2024年02月28日櫻井神社をお参りして、今回泊まる、(前回も泊まった)bbb hausへ向かいました。(前回の記事はこちら) 櫻井神社からは車で15分弱、途中から海沿いの道を気持ちよくドライブです。道沿いに走り続けて少し内陸に入ると、bbb hausのサインが見えてきます。Guest用のパーキングに車を止めて、bbb hausのゲストハウスに入ります。2度目の訪問、今回は、1階の部屋をリクエストしました。 101号室 1階には2部屋あり、お部屋の特徴としては、ウッドデッキがあることと、シャワーのみではなく湯船があることが2階と違う点です。101号室は白を基調に、グレーと茶色の落ち着いた雰囲気です。窓からの眺めは、2階と違って海が目線にあり、もっと緑に囲まれた雰囲気があります。 そして、お風呂がこちら。 チェックイン後に部屋の中から見た景色、バスタブから海が見えます 映画に出てくるような足付きのお風呂、外の景色を眺めながら入っていると、時間が経つのも忘れてしまうくらい、気持ちが良い時間です。 チェックインからディナーまでの過ごし方お天気が良かったら、海に行って、甲羅干しもいいのですが、雨なので、そして、車もあるので、「二丈温泉きららの湯」へ行ってみました。ラドン含有の天然温泉ということで、疲労回復、健康増進に効果があるようです。少し長い時間ドライブしたので、疲労回復に期待です。「きららの湯」には、大浴場や露天風呂があり、日替わりで男女のお風呂が入れ替わるということです。家族風呂もあり、バリヤフリー対応もされているようです。ラドン温泉のみの利用だと560円でした。 待ちに待ったディナータイム温泉でさっぱりして、bbb hausに戻り、軽くお化粧をして、ダイニングルームへ向かいます。福岡は東京より西にあるから、日が長いので、18時半の時点では、まだ明るです。晴れていたら、夕焼けが綺麗だっただろうな、というのがちょっと残念でしたけど、曇りでも夕暮れというのは美しい時間です。 スパークリングがいいかなと、DRINK MENUをみながら考えていると、こちらを勧めてくださいました。「ヒトミワイナリー」のLa Vie Pop。淡いロゼで、アルコール度数も低め、発泡感が爽やかで、この日はこちらを「ボトルで」いただきました。 ディナーの始まりです。まず、ヤリイカのサラダ仕立て。糸島野菜と一緒にいただきます。 そして、これでもか!という糸島野菜のバーニャカウダ。コリンキー、モロッコインゲン、ピーマン、パプリカ、スイスチャード。体が浄化される!と感じる美味しいお野菜をふんだんに、たくさん、いただきました。 そして、イサキのポワレ。大葉のソースで。ガルニチュール(付け合わせ)にはグリーンアスパラガスに蕪。イサキの皮はパリッと、身はふくよかで、とても美味しかったです。(翌日、帰る日に伊都菜彩でイサキを買って帰りました。) そして、メインのお肉は豚肉です。「うきは産桃豚のグリル」です。桃を食べさせて育てた豚で、季節限定でいただける豚肉です。なるほど!豚肉らしい匂いがなくて、桃の香りとは言わないですけど、フルーティーな感じがします。脂身も全然くどくなくて、低温でじっくり調理されているから柔らかく、瑞々しくて、美味しい桃豚がさらにその美味しさを引き出されて、フルーティー感が増しているんですね。グリルした桃豚に、自家製マスタード、それだけで十分です。 そして、デザートはヴァニラアイス。 2日目のディナー今回は2泊したので、続けて2日目のディナーです。まず、パテドカンパーニュ。自家製マスタードと紫キャベツのシュークルートと一緒に。 2皿目めは、白茄子の冷製スープです。こちらの白茄子は「野菜屋トラキ」さんという、夫婦2人で農業をしている農家さんだそうです。糸島は、移住して就農する人たちが多く、規模は小さくても、多品種栽培をしている若い農家がいるのも特徴です。日本で一番売り上げがあるというJA「伊都菜彩」にも、東京ではあまり見かけないお野菜も多く見かけます。 そして、メインのお魚は、「オコゼのポワレ」に自家製パスタ。オコゼは、身は柔らかくても、弾力もありました。奥の自家製パスタは芝エビのビスクソースで、とても美味しかったです。シェフのお料理の幅の広さというか、ストレートに美味しいところが伝わってきます。シンプルなんですね、基本にあるものが。お野菜なら、農家さんが丁寧に作り上げたお野菜とそこに詰まった想いを、シェフが丁寧な料理で美味しさの集大成を伝えるということで、だから、お腹と心に響くのです。 メインのお肉は、糸島牛のロースト。いたってシンプル。赤ワイン塩のみです。糸島牛とは、美しいお肉だと思います。東京ではほとんどお目にかかれないと思うのですが、キメが細かく、柔らかくて、歯ざわりが良いです。調べてみると、佐賀牛と松坂牛の交配種ということです、霜降りの激しそうなイメージですけど、いつも赤身をいただくからか、日本の牛肉の中では一番美味しいのではないかなと思います。綺麗なお肉ですね。 そして、デザートはヘーゼルナッツのアイス。 やはり、1泊では足りないな、2泊してよかった、というのが食後感。Eat Localを堪能する食事の時間も、bbb hausの魅力です。 1 日目の夜、ちょうど雨が止んだので、ハンモックをセットしてくださいました。ハンモックに寝転がって真っ暗な夜、波の音、風の音、虫の声だけが耳に聞こえる状態でぼーっとしていることの気持ち良さは、格別でした。 そして朝食朝食は、コールドプレスジュースから始まります。そして、初日は、ヨーグルト、糸島野菜とフルーツのサラダに、自家製のハムとカッテージチーズ、エッグスラットに自家製パン。 コールドプレスジュースは、スイカ、ニンジン、リンゴ、ブルーベリー。綺麗な赤が朝から元気をくれます。 そして、新鮮な糸島野菜に自家製のハムとカッテージチーズ。 ところが、2日目の朝食にはパンケーキを作ってくださいました。ふわふわのパンケーキはもちろんのこと、付け合わせにあったプラムがすごく美味しかったです。 美味しい2日間の食事を作ってくださったのは、シェフの谷口正直(たにぐちまさなお)さん。熊本出身で、今は糸島で糸島の食材を中心に、九州の美味しい食材を選んで、素材を存分に活かした美味しいお料理を作ってくださいます。 糸島の魅力は、どんな言葉でも、まだまだ伝えることができないもどかしさがあります。今年は、晴れた日の糸島の海をみることができなかったのがちょっとがっかりですが、でも、それ以上に糸島の魅力を再発見しているように思います。ガストロノミーという言葉に対応して、ローカルガストロノミー(「その土地で採れる食材(お野菜、お肉、魚全て)をその土地の文化や伝統を受け継ぎ、その土地ならではの表現で料理に表す」ということだと考えています)という言葉があります。これは、東京 vs地方という意味ではなくて、知らない土地の美味しいものを食べるって楽しいんだ!ということだと思います。糸島で味わうのは、わたしが知るローカルガストロノミーのひとつ。今度は、晩秋の糸島をお伝えできればと思います。 bbb haus
2019年08月29日「糸島に、ゲストハウスができましたよ」友人から聞いたのは、去年のこと。糸島の海辺のゲストハウス、そう聞くだけで、心が躍りました。友人に見せてもらった写真は、ハンモックで寛いでいる姿や、真っ青な海の写真で、そこで過ごす時間を想像するのは簡単なことでした。初めて糸島を訪れたのは、8年前、梅雨が明けた7月のある日でした。スッキリ晴れた夏空に、目の前に突然現れたのは、とても美しいエメラルドグリーンの海がある景色で、一目で糸島に、恋に落ちました。 それ以来、何度も訪れている糸島に、とうとうステキな宿泊ができる場所が誕生しました。オープンから1年がたった今年の5月、海辺のゲストハウス「bbb haus(スリービーハウス)」に予約をいれました。スリービーとはbedのb、breakfastのb、そしてbeachのb。耳馴染みのあるB&BにもうひとつBeachのBがあるのが、糸島らしい、糸島ならでは、です。 bed, breakfast & beach今回は、電車とタクシーで。筑前前原駅からタクシーで2,500円くらい、bbb hausはサンセットロードから海側へ少し入ったところにあります。このゲートを入ると、プライベートな空間になります。 チェックインまで少し時間があったので、宿泊以外でも利用できるTea Roomへ案内されました。ゲストハウスの案内がかかれてあるパンフレット、このイラストは一見とてもシンプルなのですが、わたしがイメージする糸島で過ごす「静かな時間」が凝縮して表現されていて、感動。そして、インテリアがオフホワイト、オレンジ、ブラウンで統一されているTea Roomの空間全体の色のセンスにすっかり魅了されました。この日は少し曇り気味だったので、とても落ち着いた時間を感じる暖かな空間でした。すっかり晴れた日なら、海の青さにも負けない明るい元気になれる空間が想像できます。 「準備ができたました」と、部屋に案内される時間になりました。Tea RoomとPantryからひとつのドアを介して、ゲストハウスのフロントがあり、そこからゲストハウスになります。建物は二階建て、ある企業が所有していたという建物をリノベーションした、5部屋だけのゲストハウスです。宿泊者が食事をするDining Roomの前の廊下を進むと、書斎が現れます。北欧デザインの暖かさを感じるインテリアがとても素敵です。ここはコモンエリアなので、本を読んで過ごしたり、ゲストだけが利用できる空間です。 そして、「ご自由にどうぞ」と置かれてあるのは冷えたルイボスティーと糸島で採れたみかん。 203号室この日の部屋は、2階の突き当たりにある203号室。どの部屋もOcean Viewです。bbb hausがある場所は、国定公園に囲まれているため、電線など視界を邪魔するものが一切なくて、窓からは水平線が見えます。鍵もカードキーではありません。部屋には、テレビもありません。WiFiもありません。パジャマもありません。過度なおもてなしも、ありません。ここにあるのは「心地よい時間」です。 部屋は、オレンジとブルーが暖かくもcoolな印象です。2客並んだ椅子からは、緑の林の向こうに180度海が見えます。音のない部屋で、椅子に座って海を見れば、すっと瞑想タイムに入ってしまいそうなくらい、気持ちがニュートラルになります。空調を切って、窓を少し開ければ、鳥の声と海や風の音が聞こえてきて、動く雲や波を見ているだけの時間が、ひたすら心地よいのです。 まだ、dinnerまで時間もあるので、海まで散歩に出かけてみました。 緑を抜けたら広がるbeach bbb hausは「玄海国定公園」の中にあるため、とても自然が豊かです。 ホテルから海へ抜ける道は、映画の世界のような、緑のトンネルです。 この道は、地元の人が海へ散歩に出かけるときに通る道です。少しアップダウンがあり、道の周りには、てんとう虫がいたり、蟹が歩いていたり、ちょっとした探検気分を味わえます。そして、目の前に現れたのは、誰もいない海。 潮が引いていて、砂浜に太陽の光が反射していて、ウユニ塩湖のように綺麗でした。この日は雲が多かったので、海の色もおとなしい灰色気味の青さですが、この海も、お天気模様によって、変わっていきます。「地元の人が散歩をするくらいで、ほとんど人はいないんですよ」と言われた海、ほとんどプライベートビーチです。1時間くらいビーチで寝転んでいたのですが、その間、わたし以外誰もそこにはいませんでした。 糸島の食材を堪能する さて、Dinner timeです。宿泊者用のdinning roomへ降りていくと、窓側の真ん中のテーブルに案内されました。担当してくださったのは、チェックインを担当してくださった方。その都度、違う担当者がいるサービスというのが普通のホテルと違って、bbb hausでは、同じスタッフが全てを担当しているので、変な緊張から解き放たれて、これも、「心地よい」のひとつですね。 Dinning roomのテーブルから見える景色。Sundeckの向こうには、日本海。博多港に入る船が目の前を通るそうです。陽が落ちて、徐々に、空と海がひとつに溶け合う時間がやってきて、食事が始まります。 さて、この日のdinnerです。糸島野菜といさきのカルパッチョグレープフルーツのドレッシング 糸島の温野菜アンチョビのオランデーゼソース オコゼのスープ仕立て 糸島牛のロースト赤ワインソース 糸島は、海と山に囲まれていて、有名な糸島野菜の産地でもあり、新鮮で美味しい食材にあふれています。移住して就農した人も多くいて、農家も多く、色々な種類の野菜が豊富に採れる土地です。メニューにも、野菜がたくさん。Eat locally 、「本当に美味しいとは、こういうことなんだ」と気づく時間です。 この晩は、霧雨が降ったりやんだりしていたのですが、「こんな日は、あまりないんですよ」ということで、dinning roomの窓を全開にしてくださいました。もう少し季節が夏に向かえば、窓を開け放つと虫が集まってきてしまうし、暑くなるし、この晩は、風もなく、暑くも寒くもなく、ちょうど良い季節にここに来れて、よかった。 そして、breakfast。まず、季節のコールドプレスジュースに続いて、「伊都物語」のヨーグルト。ヨーグルトにはハチミツ、カランツ、ナッツを好きなだけトッピング。 糸島野菜とフルーツのサラダ 自家製ハムとカッテージチーズ エッグスラット 自家製パンとコーヒー or 紅茶。breakfastも糸島の食材ばかり、eat loccalyです。これだけ糸島の食を堪能できるのもbbb hausに泊まることの悦びです。まさに、「ローカルガストロノミー」を体験しました。 名残惜しいチェックアウト食事の後は、オープン前のpantryを見せていただき、記念に糸島がデザインされているイラストのハンカチを購入。駅までのタクシーを呼んでいただき、時間まで、もう一度、海までお散歩です。海へ抜ける道に出ると、地元のおばあさんに遭遇。「おはようございます」と挨拶を交わし、海までの道すがら、ちょっとおしゃべり。「桜貝を採りに行くのよ。小さいのから大きいのまで色々あって、こうやって、毎朝、散歩がてら桜貝を探すの」。beachに着いたら、おばあさんは、「向こうまで行って、かえってくるのよ」ということで、お別れしました。 この日の朝の海も、また、違う色でした。雨の予報だったものの、このまま、晴れそうな空模様で、とても気持ちがいい朝のお散歩でした。わたしも桜貝を探してみるものの、見つけることはできず。地元のボランティアの方たちが、清掃をしているということで、beachはとても綺麗で、プラスチックゴミなどひとつもありません。本当に、ここは、楽園。 前の晩、dinnerの後で部屋に戻り、砂浜を照らしているライトが午前零時の消灯時間を迎え、真っ暗になる瞬間を見ようと思っていたのに、bedに横になってしまったら、そのまま眠ってしまい、気づいたのは明け方。窓からの明るい光で目が覚めました。ベッドリネンの肌ざわりが心地よくて、朝目覚めるまで、久しぶりにぐっすりと熟睡することができました。波の音と月あかりだけの夜、その時間も楽しみだったのに。 フロントで、そんな話をしていると、タクシーが到着して、ゲストハウスとお別れする時間になりました。もちろん、次の予約を入れて、タクシーに乗りました。 bbb haus
2019年06月07日