今年ももうしばらくすると、梅雨入りのニュースが聞こえる季節となります。私たちの生活になくてはならない雨ですが、時に自然は大きな牙をむくことがあります。2014年8月に広島で起こった集中豪雨による土砂災害で、多くの尊い命が奪われたことは記憶に新しいことと思います。国土交通省の発表によると、2014年の災害は、水害が最も多く21の地域で、次に最大震度5弱以上の地震が9件、土砂災害(死者が発生したもの)が7の地域で発生しています。山が多く川の流れが急な日本に多く発生する水害や土砂災害には、どのように備えたらいいのでしょうか。集中豪雨には、どのようなリスクがあるのでしょうか集中豪雨とは、短時間のうちに狭い範囲に集中して降る大雨のことで、梅雨の終わりの頃、台風の時期、大気が不安定で次々と雷雲が発生している時などに多く起こります。非常に激しい雨が、何時間も同じ場所に降り続くことにより、次のような災害が起こる可能性があります。土砂崩れやがけ崩れなどの土砂災害用水路・下水・河川の急な増水による氾濫や家屋・道路の浸水・冠水害河川の流量の増加による堤防の決壊や浸食による洪水害また、気象庁によると、台風の発生個数や日本への接近・上陸数は、増加や減少の傾向はみられませんが、雨が強くなる傾向がある非常に強い熱帯低気圧の数は、今後増えると予測されています。実際に、災害を引き起こしかねない大雨(時間雨量50mm)の発生件数は、1976年~1985年の10年間には平均174回でしたが、2004年~2013年の10年間には平均241回と、実に1.4倍に増えています。集中豪雨に対して、日常の備えとして何が必要でしょうかハザードマップを確認しましょう自分が住んでいる地域には、どのような危険があるのか、日頃から意識をしておきましょう。住んでいる地域の危険を把握するのに役立つもののひとつに「ハザードマップ」があります。ハザードマップとは、自然災害への防災対策や被害を軽減させる目的で作られた地図で、被災想定区域や避難場所、避難経路、防災関係施設の位置などが書かれています。洪水ハザードマップ・土砂災害ハザードマップ・津波ハザードマップ・火山ハザードマップ・地震ハザードマップ・地盤被害(液状化)マップ・地盤被害マップなどがあり、その地域ごとに必要なものが作成されています。役所や公民館などに置いてあったり、各戸に配付されていたりしますので、家族でいざという時のシミュレーションをしておきましょう。情報の入手方法を知っておきましょう気象情報がリアルタイムで把握できるものには、以下のようなものがあります。情報が送られてくるもの、自ら求めてアクセスするものがありますが、一つだけでなく、数種類の情報入手先を知っておくと安心ですね。気象庁のホームページ国土交通省防災情報提供センターのホームページ民間気象会社の情報提供サービス各自治体の情報提供サービステレビ・ラジオ水害・土砂災害に役立つ保険は?日頃から備えをしていても、自然災害は起きてしまうものです。それでは、水害や土砂災害に遭ってしまった時に役に立つ保険とは、どのようなものなのでしょうか。水害や土砂災害による住宅や家財の損害を補償する保険は、ずばり「火災保険」です。火災保険と聞くと火事の被害を補償するものと思いがちですが、一般的には次のような災害に対して保険金が支払われます。表1資料:損害保険料率算出機構「住宅総合保険標準約款」をもとに執筆者作成水害により住宅が床上浸水・流出、土砂災害により住宅が倒壊した時などは、火災保険の「水災」の補償対象となるのです。しかし土砂災害といっても、地震や火山の噴火が原因の土砂崩れや土石流などは、地震保険での補償になります。火災保険で補償される土砂災害とは、大雨が原因のものに限られます。また、以前は、水災保険金の支払われ方には次のような特徴があるのが一般的でした。表2(保険金額=保険価額※1の保険商品の場合)※1 同等のものを新たに建築、あるいは購入するのに必要な金額から「使用による消耗分」を差し引いた金額。建物などの現在の価値(時価)。※2 床上浸水のほかに、「地盤面から45cmを超える浸水」を条件としている保険会社もあります。資料:損害保険料率算出機構「住宅総合保険標準約款」をもとに執筆者作成しかし、現在は、実際の損害額を100%補償する商品も多く発売されています(ただし保険金額が限度となっており、一定の自己負担額がある商品もあります)。最近では、保険料を抑えるために水災の補償をあえて外す方が増えています。マンションの高層階などでは必要ないことも多いでしょう。しかし、火災保険でいう水災は、水害だけを補償するものではありません。土砂崩れ、がけ崩れ、地すべり、土石流などの土砂災害による被害も補償するものです。高台に建つ住宅で、洪水の心配はないからと水災の補償をつけていない方は、もう一度、土砂災害の可能性はないのか確認してみましょう。保険は必要なところに必要なだけ、過不足なくつけたいものですね。コラム執筆者プロフィール 中垣 香代子(なかがき かよこ)CFP(R)/2級ファイナンシャルプランニング技能士損害保険会社に約10年勤務後、子育てに専念。約20年間の専業主婦の後、ファイナンシャルプランナーとなる。「老後のお金サポーター」として、相談業務の他、40~50歳代女性にお金の知識をわかりやすく伝える活動をしている。また、自身の経験から、経済的理由で進学をあきらめるお子さんが一人でも減ることを願い、就学支援の情報発信にも力を入れている。老後のお金を一緒に考える事務所 所長。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年05月19日寒い季節が終わり、休日のツーリングにも気持ちのいい季節になりました。自動車に比べて何かと便利な二輪車(バイク)ですが、事故にあった時の身体への影響は自動車などに比べて大きいことをご存じでしょうか。バイク愛好家にとってのリスクとは何か。どのようにして万一の事故に備えたらいいのか。東京都の交通事故データをもとに解説します。都内交通事故データなどからみるバイク愛好家のリスク平成26年中の都内における交通事故死者数は172名でした。このうち、自動二輪車と原動機付自転車に乗車中の死者は45名となっており、全体の26%超に相当します。歩行中の事故死(68名、全体の39.5%)に次ぐ多さです。図1 都内死亡事故発生状況資料:警視庁「東京都内の交通人身事故発生状況(平成26年中)」をもとに執筆者作成さらに詳細をみていくと、バイク乗車中の事故にはさまざまな特徴がありました。表1 二輪車事故の特徴資料:警視庁「東京都内の交通人身事故発生状況(平成26年中)」/「二輪車の交通人身事故発生状況~平成26年中~」をもとに執筆者作成死亡事故のリスクが高くなるキーワードは、「夜間」「40歳代」「単独」「直進時」。注目すべきは、行動類型別にみると死亡事故は直進時に多く発生していること。スピードが出ている分、衝突による影響が大きいと推測できます。一方、一般社団法人日本損害保険協会「2012年度自動車保険データ(支払保険金関連)」の「2.用途・車種別のデータ 第1部 人身事故 8.加害者用途・車種別 / 被害者状態別の平均人身損失額」によると、車種別交通事故におけるバイク(小型二輪自動車)被害者の平均人身損失額(注)は、営業用普通貨物車(2t超)、自家用普通貨物車(2t超)に次ぐ3位です。自家用乗用車(95万6,000円)の1.6倍以上にあたる155万1,000円となっています。バイクに乗るということは、ライダー自身の人身損害(ケガ、後遺障害、死亡)はもちろん、事故の相手に対する損害賠償額も大きくなりやすいということを肝に銘じておくべきでしょう。(注)被害者の平均人身損失額とは、交通事故による被害者1人当たりの人身損失額(被害者の治療関係費、慰謝料、休業損害、逸失利益等の合計)の平均値のことです。事故に遭った時に身を守ってくれるものには、どんな物がある?都内におけるバイクの死亡事故による損傷部位で一番多いのは頭部で、約5割を占めます。次に胸部で約3割となっています。バイクには自動車と違ってシートベルトもエアバックもありませんから、事故の時の身体へのダメージは計り知れません。バイクに乗る時には頭部と胸部を守ることが大切になります。事故の際に頭部を守る物として、ヘルメットがあります。ところが、警視庁の調査によると、バイク事故の死者のうち約4割の人のヘルメットが脱落していています。ヘルメットは、ただかぶればいいのではなく、規格に適合した物を、あごひもをきちんと締めて装着することが大切です。また、胸部を守る物としては、プロテクターがあります。プロテクターには、さまざまな部位用やタイプがあり、ブーツ・グローブ・ベスト・ジャケット・全身を守るオールインワンなどがあります。ところが、プロテクターを装着してバイクで走っている人を街で見かけることは、残念ながら多くありません。警視庁が平成19年から平成26年にかけて行った調査によると、装着率は1割に満たないのです。装着しない理由として「着用するのが面倒」「値段が高い」などが挙がっています。いざという時に命を守る物として、せめて胸部プロテクターだけでも装着したいものです。125cc以下のバイクにはファミリーバイク特約がおすすめ働き盛りの年齢層がバイク事故に遭われている実態から、事故に備えてバイク保険への加入を考えたいところです。内容としては自動車保険と変わりません。加入が義務付けられている自賠責保険と任意保険があります。バイク1台に対して1契約必要になります。任意保険は、125cc以下のバイクに関しては、ご加入中の自動車保険があれば特約として付保することができます。「ファミリーバイク特約」というものです。同特約には人身傷害補償があるものとないものがあります。メリット、デメリットは次の通りです。ファミリーバイク特約の特徴資料:執筆者作成バイクは転倒しただけで命の危険がある乗り物です。自動車のドライバーからは、バイクが実際よりも遠くに見えたり速度も遅く見えたりし、また、バイク乗車中は道路に駐停車中の自動車が大変危険なものになります。バイクに乗る人もそうでない人も、バイクの特性をよく知り、思いやりをもった運転を心がけたいものです。コラム執筆者プロフィール 中垣 香代子(なかがき かよこ)CFP(R)/2級ファイナンシャルプランニング技能士損害保険会社に約10年勤務後、子育てに専念。約20年間の専業主婦の後、ファイナンシャルプランナーとなる。「老後のお金サポーター」として、相談業務の他、40~50歳代女性にお金の知識をわかりやすく伝える活動をしている。また、自身の経験から、経済的理由で進学をあきらめるお子さんが一人でも減ることを願い、就学支援の情報発信にも力を入れている。老後のお金を一緒に考える事務所 所長。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年04月07日日本損害保険協会発表の「2014年度版 自動車保険データにみる交通事故の経済的損失の状況(2012年4月~2013年3月)」によると、交通事故による経済的損失額は3兆2,406億円とのこと。3兆円といわれても実感がわきませんが、これは横浜市の年間予算とほぼ同額です。交通事故により、大都市の1年間の予算と同じ金額が失われているということに驚きます。それでは、自動車事故による経済的損失の内容を詳しくみていきましょう。そもそも自動車事故による経済的損失ってなに?2012年4月~2013年3月の自動車事故による経済的損失額3兆2,406億円の内訳を詳しくみてみると、「物的損失額」は1兆7,958億円で全体の55.4%、「人身損失額」は1兆4,448億円で全体の44.6%となっています。そもそも、経済的損失とはどういうものなのでしょうか。経済的損失とは、一般的には「そのことが起こったことにより発生した費用」と「そのことが起こらなければ得られたであろう利益」の合計額のことです。今回参考にした日本損害保険協会の資料では、自動車事故による経済的損失を下記のように定義しており、救急搬送費、警察の事故処理費用、交通渋滞による損失額などは含まれていません。・自動車事故による経済的損失の定義 人身損失額…自賠責保険および対人賠償保険に係るデータによる被害者の治療関係費、慰謝料、休業損害、逸失利益等の合計です。 物的損失額…車両保険および対物賠償保険に係るデータによる車両(自車両、相手車両)、家屋、ガードレール等の損傷復旧費用等の合計で、物損事故のみで済んだケースのほか、人身事故に至ったケースにおける物損部分のデータも含みます。※人身損失額、物的損失額ともに、過失等による減額を考慮する前の損害認定実額で、保険金の支払額とは必ずしも一致しません。自動車事故による後遺障害の経済的損失は、人身損失の約36%!2012年4月~2013年3月に発生した自動車事故により死亡された方の人数は4,385人で被害者全体の0.4%、後遺障害を負った方の人数は59,797人で被害者全体の4.9%です。一方、死亡された方の人身損失額は1,208億円で全体の10.0%、後遺障害を負った方の人身損害額は4,387億円となり、全体の36.2%です(図1)。死亡した方と後遺障害を負った方を合わせると、人数的には約5%ですが、人身損失額では約46%を占めます。このことから、死亡と後遺障害は、人数に比して損失額が大きいことがわかります。図1 被害者数と人身損失額の割合資料:日本損害保険協会「2014年度版 自動車保険データにみる交通事故の経済的損失の状況(2012年4月~2013年3月)」をもとに執筆者作成意外な年齢層の被害が大きい!2012年度から過去10年分の自動車事故データを年齢別でみてみると、後遺障害を負った方の人数は、29歳以下と50~69歳は減少傾向にあるものの、30~49歳は増加傾向に、70歳以上は微増傾向にあります(図2)。人身損失額では、同じく29歳以下と50~69歳は減少傾向にありますが、30~49歳と70歳以上は減少傾向とはいえない状態が続いています(図3)。図2 被害者年齢別の後遺障害人数資料:日本損害保険協会「自動車保険データ(支払保険金関連)」をもとに執筆者作成図3 被害者年齢別の後遺障害による人身損失額資料:日本損害保険協会「自動車保険データ(支払保険金関連)」をもとに執筆者作成高齢者については、アクセルとブレーキの踏み間違いで建物に衝突したり、高速道路を逆走したりといったニュースを耳にすることも多くあります。運転技術に少しでも不安を感じたら、運転免許の返納手続きを考えましょう。しかし、中には自動車がないと生活に支障をきたす方がいらっしゃることも事実です。高齢者が運転をしなくても生活できる仕組みが、早急にできることを願います。今回は、自動車事故による経済的損失を数字でみてきました。後遺障害を負わせてしまうことは、経済社会に多大な影響があることがわかりました。しかし、実際に被害に遭われた方とそのご家族の「心」や「気持ち」は数字で計ることはできません。後遺障害はご本人やご家族の、その後の生活を大きく変えてしまいます。金額では表せないご苦労も多いことと思います。ほんの一瞬の歯車の狂いで、いつ自分が、家族が、自動車事故に巻き込まれるかわかりません。自動車を運転するということは、そのような危険を伴うということを、常に意識したいものですね。コラム執筆者プロフィール 中垣 香代子(なかがき かよこ)CFP(R)/2級ファイナンシャルプランニング技能士損害保険会社に約10年勤務後、子育てに専念。約20年間の専業主婦の後、ファイナンシャルプランナーとなる。「老後のお金サポーター」として、相談業務の他、40~50歳代女性にお金の知識をわかりやすく伝える活動をしている。また、自身の経験から、経済的理由で進学をあきらめるお子さんが一人でも減ることを願い、就学支援の情報発信にも力を入れている。老後のお金を一緒に考える事務所 所長。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年03月10日海外渡航自由化から約50年。1964年に観光目的の人にもパスポートが発行されるようになって以来、日本人海外旅行者は、2013年には1,700万人を超えています。ジェイアイ傷害火災保険が自社の海外旅行保険の加入者に対して行った2013年度の調査では、海外旅行中に何らかのトラブルに遭遇する人は、26人に1人とのこと。なかでも、病気やケガで現地の医療機関にかかるトラブルが多くなっています。海外で医療機関にかかったときの費用は、日本での医療費とは比べものにならないほど高額になります。そのような高額の医療費に対して、旅行者にはどのような備えが必要なのでしょうか。海外の医療事情って、どうなの?日本では国民皆保険ということで、全国民が何らかの公的医療保険制度に加入しており、小学生から70歳未満の人については、実際にかかった医療費の3割負担で済んでいます。しかし、海外では、もともとの医療費が高額な上、全額自己負担になることも少なくありません。それでは、日本人が訪れることが多い国の医療事情をみてみましょう。世界の医療事情資料:「世界の医療事情」(外務省ホームページ)をもとに執筆者作成入院や検査には事前に保証金の支払いが必要であったり、設備の整った病院や日本への移送費が1,000万円以上におよぶことがあったりなど、海外の医療事情は日本とは大きく異なります。海外での治療にも、日本の健康保険が使えることがある!日本の健康保険には、海外での病気やケガにより、やむを得ず現地の医療機関を受診した際の医療費の一部を、申請によって払い戻しが受けられる、「海外療養費」制度があります。ただし、日本で保険適用が認められている医療行為に限られますし、はじめから治療目的で海外に行き治療を受けた場合も、海外療養費の給付対象とはなりません。また、日本で同様の治療を受けた場合の金額に換算した上で、自己負担分(原則3割)を差し引いての支給となるため、実際に支払った金額と支給される金額とが大きく異なる場合があります。なお、この制度を利用する際は、「診療内容明細書」や「領収明細書」などを翻訳(邦訳)して申請書に添付することになっていますが、その翻訳の費用は申請者の自己負担となります。海外旅行保険を上手に契約するためのキーワードここまで、海外の医療事情や、日本の海外療養費制度での給付についてみてきましたが、海外での病気やケガには、各自で備えることが大切だと思われた方も多いことでしょう。そこで、海外旅行保険を上手に契約するためのキーワードを、3つお伝えいたします。キーワード1.「無制限」渡航先にもよりますが、治療費や移送費が数百万円~1千万円になることがあると考えると、ケガや病気に備える「傷害・疾病治療費用」や、海外旅行先で入院し家族が駆けつけるための費用、および旅行者本人を移送するための「救援(者)費用」の補償は、無制限にすることをおすすめします。キーワード2.「付帯サービス」病気やケガでつらいなか、慣れない旅先で、また、現地の言葉で病院や医師の手配をするのは大変です。そんなとき、医師や病院の紹介や予約をしてくれたり、通訳をしてくれたりする「医療アシスタンスサービス」や「電話通訳サービス」があると便利です。また、医療費が高額なため、治療費が保険会社から病院等に直接支払われる「キャッシュレスサービス」があると、高額な立て替え払いをしなくて済みます。海外旅行保険に入るときは、保険に付帯されているサービスについても目を向けたいものです。キーワード3.「クレジットカード」クレジットカードによっては、海外旅行保険が付帯されていることがあります。しかし、無条件に保険が有効になるものと、旅行代金をカードで支払ったときのみ保険が有効になるものとがありますので、よく確認しましょう。また、保険金額や補償内容が十分でないことがあるので、不足と思われる部分を一般の海外旅行保険で追加契約することも考えてみましょう。外務省や旅行会社、海外旅行保険会社のウェブサイトには、各国の医療事情や、渡航時の注意点などが細かく記載されていますので、渡航前に、ぜひ読んでおくことをおすすめします。必要十分な準備をした上で、海外での日々をお楽しみくださいね。コラム執筆者プロフィール 中垣 香代子(なかがき かよこ)CFP(R)/2級ファイナンシャルプランニング技能士損害保険会社に約10年勤務後、子育てに専念。約20年間の専業主婦の後、ファイナンシャルプランナーとなる。「老後のお金サポーター」として、相談業務の他、40~50歳代女性にお金の知識をわかりやすく伝える活動をしている。また、自身の経験から、経済的理由で進学をあきらめるお子さんが一人でも減ることを願い、就学支援の情報発信にも力を入れている。老後のお金を一緒に考える事務所 所長。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年02月10日暖房器具の使用や空気の乾燥などにより、火災が多く発生する季節となりました。消防庁の調べによると、平成26年1月から6月における出火原因の第一位は「放火」です。「放火の疑い」を含めると全体の17.1%を占め、第二位「たばこ」9.5%の2倍近い件数となっています。また、東京都、神奈川県、埼玉県、愛知県、大阪府など、大都市を抱える都道府県で放火の発生件数が多くなっています。今回は、放火の被害に遭わないための対策と、放火被害の備えとして、火災保険の上手な入り方を紹介しましょう。放火の発生には特徴がある?東京消防庁が発表している「平成25年中の住宅火災・放火火災の実態」をみてみると、放火の特徴がみえてきます。それでは、放火には、どのような特徴があるのでしょうか。放火以外の火災は、冬から春にかけての乾燥する時期に多発します。しかし、放火は季節の影響をうけません。また、人々が活動をする朝から夜にかけては放火以外の火災が多いのに対して、放火は日が沈む夕方から人々が眠る深夜にかけて多く発生するのが特徴です。放火の発生状況を曜日別でみてみると、月曜日が他の曜日よりも若干多いようです。家族や財産を放火から守る方法は?放火については以下のような対策が効果的です。近隣の方々とパトロールをする深夜でも玄関灯や門灯を点けておく侵入感知センサーや防犯カメラを設置する門扉・車庫・物置などの施錠を忘れない燃えやすい物は人目のつかない場所に整理整頓しておくごみ出しのルールを守る自転車のかごに物を放置しない車両カバーは防炎製品を使用するすぐに取り入れるには難しいこともありますが、できることから対策をしていきましょう。いざ、火が出てしまったときのために、どう備えたらいい?どんなに注意を払っていても、火が出てしまうことはあります。火災によりすべての物が燃えてしまっても、すぐに元通りにできる経済的余裕があるならいいのですが、そのような方は多くはないですよね。特にローンを抱えていらっしゃる方には、やはり火災保険が頼りになります。ここからは、火災保険の上手な入り方についての4つのポイントを説明します。ポイントその1.保険金額を正しく設定する建物の保険金額は、同じものを再築・再取得するのに必要な金額「再調達価額」を基準とするのが一般的です。分譲マンションや建売住宅の場合、購入金額には土地代などが含まれているので、購入価格と保険金額が同じにならないことに注意が必要となります。また、被災後の生活が心配だからと、評価額よりも高い保険金額で契約した場合、実際に損害が発生した時には、評価額を超える部分の保険金は支払われません。この場合、多く支払った保険料がもったいないですね。反対に、保険料の支払い金額を抑えるために、評価額よりも低い金額で契約した場合、支払われる保険金が損害額から減額されることがあります。少しの節約のつもりが、いざというときに充分な補償が受けられない可能性があります。このようなことがないように、適正な保険金額で契約することが大切です。ポイントその2.不要な補償を外す火災保険では一般的に、火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹災・雪災、水災、盗難、水濡れ、破損・汚損などがセットになっています。ご自分の環境で不要と思われる補償を外すことができる商品もありますので、検討されてはいかがでしょうか。特に水災は、マンションの中高層部にお住まいの方には必要性は低いかも知れません。ただし、高台に建つ戸建てにお住まいの方も、水災の補償は必要ないのではないかと思われがちですが、大雨による土砂崩れは水災の補償に含まれますので、土砂災害の危険性がないか、水災の補償が本当に不要かどうか、よく検討しましょう。ポイントその3.免責金額を高く設定する免責金額とは、損害の一定額を自己負担する金額のことで、商品によって異なりますが一般的には5,000円から10万円程度で、契約時に設定します。免責金額を設定すると支払われる保険金は、「損害額-免責金額」になります。例えば、保険金支払対象の損害額が200万円、免責金額が10万円の場合、支払われる保険金は、200万円-10万円で190万円となります。損害があった場合の自己負担金額は高くなりますが、この免責金額が高いほど、保険料負担は軽くなります。ポイントその4.保険期間を長くする保険期間を長期にし、保険料を一括払にすることによる割引も、保険料を軽減させる一つの方法です。ただし、地球温暖化によって自然災害の将来予測がしにくくなっていることから、現在は最長36年ある長期契約ですが、基準となる料率の適用期間が10年に変更されたため、今年10月以降に契約となる火災保険の契約期間は10年までとなる見込みです。一度契約してしまうと、なかなか見直しをしない火災保険ですが、いざというときに役に立つ補償内容になっているのかどうか、一度じっくりと見直されてはいかがでしょうか。コラム執筆者プロフィール 中垣 香代子(なかがき かよこ)CFP(R)/2級ファイナンシャルプランニング技能士損害保険会社に約10年勤務後、子育てに専念。約20年間の専業主婦の後、ファイナンシャルプランナーとなる。「老後のお金サポーター」として、相談業務の他、40~50歳代女性にお金の知識をわかりやすく伝える活動をしている。また、自身の経験から、経済的理由で進学をあきらめるお子さんが一人でも減ることを願い、就学支援の情報発信にも力を入れている。老後のお金を一緒に考える事務所 所長。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年01月13日「兵庫県が自転車保険の加入義務化を検討」というニュースを目にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。2014年10月に行われた兵庫県知事の記者会見によると、自転車保険の加入を義務化する条例について特別な部会を設立し、来年2月の条例化を目指して検討しているそうです。背景には、自転車と歩行者の事故により、歩行者側に対して、自転車を運転していた側が多額の損害賠償金の支払いを命じられる判決が続出していることがあります。今回は、自転車を運転することによって生じるリスクと、その備えについて説明していきます。自転車に乗ることによるリスクとは?警察庁の調査によると、平成15年から平成25年までの10年間で、自転車が関係する事故は減少傾向にあります。しかし、歩行者相手の事故は横ばい状態が続いています。歩行者が相手の事故になりますと、多額の損害賠償金を求められることもあります。自転車での加害事故例(※)賠償額とは、判決文で加害者が支払いを命じられた金額です(上記金額は概算額)。日本損害保険協会調べ出典:日本損害保険協会発行「知っていますか?自転車の事故~安全な乗り方と事故への備え~」このように、多額の賠償命令が出されることは、決して珍しくありません。また、自分自身のケガに対するリスクも忘れてはなりません。自転車に乗るリスクには、どう備えたらいいのでしょう?自転車を運転するときのリスクには、大きく分けて他人にケガをさせてしまう、あるいは死亡させてしまう。他人の持ち物や公共の物を壊してしまう。自分がケガをしてしまう、あるいは死亡してしまう。の2つがあります。これらのリスクに備える方法の1つに「自転車保険」があります。他人にケガをさせたり、他人の持ち物等を壊してしまったりしたときの賠償責任に対する補償と、自分自身の死亡補償や入院補償がセットになっています。自転車保険の中には、通院も補償しているものや、1契約で家族についても補償しているものもあります。保険料は補償内容により異なりますが、一般的に、年齢・性別にかかわらず定額になっています。また、自転車保険には、保険会社や保険代理店で加入できるタイプ、携帯電話を通して契約できるタイプ、コンビニエンスストアで契約できるタイプ、インターネットで申し込みが完結するタイプなどがあり、契約できる場所や手段が多岐にわたっています。自転車の事故以外にも使える保険がある!自転車保険の内容は、「個人賠償責任保険+傷害保険もしくは交通事故傷害保険」を組み合わせたものになります。「個人賠償責任保険」は、本人またはその家族が日常生活で誤って他人にケガをさせたり他人の物を壊したりして損害賠償金や弁護士費用などを負担した場合に補償する保険です。火災保険や自動車保険の特約として付帯されている場合があります。「傷害保険」は、不慮の事故が原因でケガをしたり、死亡したりした場合に補償する保険です。「交通事故傷害保険」は、車、自転車、オートバイ、電車などの乗り物による事故に遭ったときなどに限定して補償する保険です。何も備えていない方には自転車保険が便利ですが、勤務先で団体傷害保険に入っていたり、火災保険や自動車保険に入っていたりする場合は、その保険に個人賠償責任保険(特約)を付帯する方法も検討する価値はあります。個人賠償責任保険(特約)では、いくつか注意しなければならないことがあります。1つの契約で家族が補償される商品があります。業務中の事故は補償されない場合があります。火災保険や自動車保険の特約として契約している場合は、主契約である火災保険や自動車保険を解約すると、個人賠償責任特約も同時に解約となります。いざ保険を使おうというときに、「契約がなかった!」ということがないように気を付けなければいけません。クレジットカードに付帯されている場合もあります。しかし、中には保険金額が十分でない場合があります。前述したように、自転車事故の賠償金額は多額になることがあります。付帯されていることで安心せずに、必ず補償内容を確認しましょう。また、上記の他にも「TSマーク付帯保険」という自転車保険があります。これは、自転車安全整備士が点検整備した自転車に貼付されるシールに、傷害補償・賠償責任補償が付帯されているもので、記載されている点検日から1年間補償されます。自転車事故への備え方はいくつかありますが、ご自分にあったものを選びましょう。その際、賠償責任保険に示談交渉サービスがあるとより安心です。自転車は気軽に利用できる交通手段ですが、時には人の命も脅かす凶器にもなります。特にお子さまがいらっしゃる方は、お子さまが自転車事故による被害者・加害者にならないよう、自転車の危険性を教え、楽しく安全に乗れるように、自転車の乗り方について指導や注意をしていきましょう。コラム執筆者プロフィール 中垣 香代子(なかがき かよこ)CFP(R)/2級ファイナンシャルプランニング技能士損害保険会社に約10年勤務後、子育てに専念。約20年間の専業主婦の後、ファイナンシャルプランナーとなる。「老後のお金サポーター」として、相談業務の他、40~50歳代女性にお金の知識をわかりやすく伝える活動をしている。また、自身の経験から、経済的理由で進学をあきらめるお子さんが一人でも減ることを願い、就学支援の情報発信にも力を入れている。老後のお金を一緒に考える事務所 所長。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2014年12月02日