『悪夢のエレベーター』という小説を読んだことがあるだろうか。この出版不況のなか何と、26万部も売れたという木下半太さんによる人気小説。これが映画化されるそうだ。これを書いている私、梅田カズヒコは『エレベスト』という本を執筆したのだが、"エレベーターつながり"ということで、ぜひ試写会に来てください、というので試写会にやってくる鳥居みゆきさん見たさに行ってみることにした。都内のスタジオの『エレベーター』を貸し切って行われた試写会は、現役のエレベーターガールさん4人にエレベーターの中で映画を試写してもらうというむちゃな企画。しかし、なんだか1人のエレベーターガールさんが挙動不審。映画鑑賞後に発表されましたが、どうやら、エレベーターガールの格好をしたタレントの鳥居みゆきさんだったようです。エレガに扮(ふん)したタレントの鳥居みゆきさん(写真右下)MCの方がエレベーター内の試写会について感想を聞くと、『女4人でエレベーターに閉じ込められてまさに悪夢でした!』と答える鳥居さん。会場は大爆笑。試写会も、映画の内容と同様の"どんでん返し"に会場は大盛り上がりでフラッシュが飛び交いました。さらにMCの方との掛け合いは続きます。MCの方:「映画の根底のテーマは愛ですが鳥居さんが愛を感じるのは?」鳥居:「普段あんまり感じないけど、この前、親ツバメがカラスに襲われながら小ツバメに餌をあげようとしている姿を見て愛を感じました」MC:「この映画はいくつかのウソも物語のポイントとなっていますが、鳥居さんが最近ついたウソなどありますか?」鳥居:「さっきのツバメのくだりがウソです」鳥居さんの不思議な会話に会場は大爆笑。いやー、タレントさんってここ一番でちゃんと場を盛り上げるからすごいですね。僕にはできません。最後は鳥居さんとエレベーターガールさんで記念撮影。以下、試写会を見た僕のまじめな感想文です。****どんでん返しに次ぐどんでん返しである。小説『悪夢のエレベーター』を読んだ人なら、そのストーリーテリングの面白さは理解していただけただろう。一方で、このよくできた小説を映画化するにあたって幾分の興味と不安もある。この物語のほとんどが、閉じ込められたエレベーターのなかが舞台である。映画にするには少し画(え)が寂しくはないか。単調にならないか。映画化はある意味、簡単だが、ある意味で非常に難しい。そんな作品を監督の堀部圭亮さん(かつては勝俣州和さんと、お笑いコンビ「K2」の相方として名をはせ、最近は『タモリ倶楽部』などに出演する傍ら、放送作家や俳優として活動している人と言えばわかりやすいか)は、初監督とは思えない出来でうまく調理していた。小説『悪夢のエレベーター』を読んでトリコになった人は、ぜひ映画も見比べてほしい。具体的なストーリーはあまり言えないが、小説との相違点として、冒頭にある短いメッセージ映像が挿入されている。人生についてのメッセージ。これは本編に登場する4人に向けられたメッセージである。偶然閉じ込められた4人には、人には言えないある秘密を抱えていた。物語の途中、それぞれの深い悩みをさらけ出し、一瞬だけ無関係な4人に信頼関係が結ばれそうになる瞬間がある。月並みだが、僕はあの瞬間が好きだ。あの4人はまさしく僕らそのものだ。小心者で、腹を探り合って、大きな秘密は誰にでも言えないでいる。そのくせ、本当は誰かに自分の悩みを聞いてほしい……。この作品が支持されているのは、出演するメンバーのそういったある意味自分勝手な(そして人間らしい)一面を織り込んでいる点にあると思う。どんでん返しだけでも、ストーリー的に秀逸なのに、そこに描かれる人間の弱さ。その点を、僕は支持したい。一方で、視聴者とのその共有が、一気に裏切られる後半がやってくるのだが。(おっとこの先はネタバレになるので書けない)エンタメと思わせつつ、わりとハードボイルドよ。****というわけで、見に行ってみましょう。ちなみに、エレベーター好きから一言。エレベーターは突然落下したりはしません。楽しい乗り物です。(梅田カズヒコ/プレスラボ)【関連リンク】映画「悪夢のエレベーター」オフィシャルサイト息をも尽かさぬ展開。佐津川愛美さんの隠れ悪女ぶりにも注目。演技うまいエレベーターでこっそりキス!?4人に1人が社内恋愛経験アリ!その話、もうちょっと詳しく聞かせてください!!
2009年09月15日