エトロ(ETRO)が、9月22日21時(ミラノ現地時間同日14時)より、2018年春夏ウィメンズ&メンズコレクションによる初の合同ショーを開催。ショーの模様は公式ウェブサイト()にてライブストリーミング配信される。今シーズンのテーマは、“THE TREE OF LIFE”。公式サイトやSNS(ハッシュタグ「#ETROTreeOfLife」)では、このコレクションにインスピレーションムービーや、キーンとヴェロニカにより語られるストーリー、 メイキングムービー、舞台裏なども随時アップされており、またFacebook、Instagram、Twitterでもショーのライブ配信が行われる予定。中継はこちらからも視聴が可能(※会場の都合等で開始時間が遅れる可能性有り)。
2017年09月22日トッズ(TOD’S)が9月22日16時30分(ミラノ現地時間同日9時30分)より、2018年春夏ウィメンズコレクションショーを開催。ショーの模様をライブストリーミング配信する。
2017年09月22日9月18日、アーデム(ERDEM)が2018年春夏コレクションを発表した。若手デザイナーにチャンスの多いロンドンで、着実に力をつけている今年で12年目を迎える中堅デザイナーのアーデム・モラリオグル(Erdem Moralıoğlu)。トルコ人の父とイギリス人の母のもと、カナダ・モントリオールで生まれた彼は、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートでデザインを学んだ。ダイアン・フォン・ファステンバーグ(Diane Von Furstenberg)で一年経験を積んだ後、2005年にブランドを設立。フラワーや植物をモチーフとしたプリントと、シャープで美しいシルエットのドレスが特徴的。H&Mの今年のコラボレーション・ブランドとして選ばれ、秋(11月)から発売となるコレクションの全貌にも注目が集まっている。今季は、若かりし頃のエリザベス2世の姿から着想を得て、敬意を称したコレクションだと語った。ファーストルックに飛び込んできたのは、ブロケードのフラワー刺繍を施したロングコート。前見頃は体のラインに沿うスリムフィットだが、後見頃はボリュームを与えて歩くたびに裾が大きく揺れ動く、特異なシルエットを描いた。Aラインドレス、チューリップドレス、マーメイドドレスなど美しい曲線が際立つ。ユリやカーネーションといったフワラー柄は、ビーズやパールで輝きを与え、ドレスやジャケットの上で咲き誇っていた。英国を象徴する女王の名も汚さぬ、詩的で崇高なコレクション。今後ロイヤルファミリーがアーデムの洋服を着用する機会が訪れるのか、密かに楽しみにしていようと思う。
2017年09月21日9月16日、モリー・ゴダード(Molly Goddard)が2018年春夏コレクションを発表した。彼女はロンドンで最も輝かしい新たな才能の一人と目されているウィメンズ・デザイナー。セントラル・セント・マーティンズ在学中の2014年にブランドを立ち上げてからわずか3年のうちに、ファッション・アワード(Fashion Awards)の若手デザイナーの登竜門ブリティッシュ・エマージング・タレント(British Emerging Talent)部門に2年連続ノミネートされて2度目に受賞を果たし、今年度のLVMHプライズのファイナリストにも選出された。おとぎの国から飛び出してきたかのような、チュールとタフタを多用したフェアリーなドレスがシグネチャー。「ピンク色でフリルのついた服だって、力強いし、かっこよくなれる。既存の“かわいい”という概念を覆せるのか、試しているの」と自身のブランドについて語った。ジーンズ、フーディ、スニーカーでスタイリングされた数々のルックは、奇妙なバランスで退廃的な美しさを持つ。それらはほぼ全て、手作業で作られるという技術の高さも、評価されている理由の一つ。そんな彼女が描く今季のコレクションは、よりリラックスして安心感に満ちている。コレクションノートには「私の主治医は“飲酒に注意するように”と言った。今、私は鏡の前で飲んでいる」とストーリー設定が一行書かれており、ファーストルックはウィスキー片手にタバコをくわえる、真っ白なドレスに身を包んだ女性が酔ったような心もとない足取りで登場。日本人アーティストのテイ・トウワ(TOWA TEI)の『Technova』のBGMとともに、観客は彼女の世界へと一気に引き込まれた。ウエストから大きな膨らみを持った少女のようなドレスは、ヴィンテージ風のダボダボとしたブーツと対照的でありながら、互いに引き立て合っているようにも見える。これまでのコレクションよりもチュールのフワフワとしたドレスは少なく、その分コットンギャザー、オーガンジー、スパンコールなど新たな生地による巧みなシルエットも披露した。ショー後、バックステージでは自身の洋服に身を包み、シャンパンで祝杯をあげる彼女の姿があった。リラックスしたその様子はコレクションに登場した女性像そのもの。ブランドが彼女の写し鏡だとすると、弱冠27歳の女性の内面の変化に伴うブランドの成長も、楽しみでならない。
2017年09月20日グッチ(GUCCI)が、ミラノファッションウイークで開催する2018年春夏コレクションショーをライブストリーミングで配信する。日本時間9月20日22時(現地時間20日15時)より。ショーの様子はこちらからも視聴が可能。
2017年09月20日9月16日、シモーネ・ロシャ(Simone Rocha)が2018年春夏コレクションを発表した。毎シーズン、コレクションのテーマとして3つの言葉を挙げる今季は、純真・遊び心・無邪気。ランウェイに登場したモデルは幼げな顔を揃え、陶器のような肌にフワッと赤らむピンクの頬は、汚れを知らぬ少女のように見えた。今季のインスピレーションは、「幼少期に持っていたヴィクトリア調のドレスを着た陶器の中国人形」だという。「遊んでいたら、顔にヒビが入ってしまったことがあったの。捨てずに持っていたそれが、1歳8ヶ月になる娘の遊び道具として再び出てきたんです」と説明を加えた。序盤は純白のルックが続く。シルク、チュール、レースの素材はバルーンに膨らんだり、フリルやパフで揺れ動いたり、見紛うことなく無垢だった。中盤からルックは黒へと染まっていった。刺繍やビーズでフラワーの柄が描かれ、ロマンチックなムードへと加速。終盤は明るさを取り戻し、純白へと回帰した。シェルムーズ生地で重厚感を漂わせたり、バイアスカットで動きと柔らかさを与えるなど、シルエットのバリエーションも幅広い。バッグやシューズも豊作で、終始目移りしっぱなしのショーとなった。目の前を通り過ぎる洋服が無条件に美しく、ワクワク、ドキドキ童心に返っている自分がいた。きっとこの瞬間は、なぜ美しいのかを論理的に考える必要はないと感じ、純粋に惹きつけられるがままにその時間を楽しんだ。ショーを見終えた後に明確だったのは、シモーネ・ロシャは人の心の琴線に触れるような、美しいコレクションを作りあげる類い稀なるデザイナーだということだ。
2017年09月20日モスキーノ(MOSCHINO)が、9月22日3時(現地時間21日20時)より2018年春夏ウィメンズコレクションショーのライブストリーミングを配信する。ショーの様子はこちらからも視聴が可能。
2017年09月20日9月16日、J.W.アンダーソン(J.W.ANDERSON)が2018年春夏ウィメンズコレクションを発表した。前日、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)のインスタグラムのアカウントには、“CIRCLE”というキーワードに関連するポストをアップし、今季のテーマであることを予感させた。ここ数シーズンは、観客同士がランウェイを隔てて向かい合わせになる席並びだったが、今季は円を描く席に配列され、中央には円形ロープマットが敷かれていた。ファーストルックはサマーニット素材のタンクトップロングワンピース。足元は多くのルックで登場した、サンドブーツ風のスニーカー。その後のルックも彼の故郷であるアイリッシュ産のリネン素材や、洗いざらしのコットン、柔らかいナッパレザーなどの、着心地のよい自然素材が多用されていた。体のラインを描くフィット感とフレアで広がりを見せる絶妙なバランスのとれたルックや、マルチストライプの組み合わせ、アシンメトリーのデザインなど、J.W.アンダーソンらしいアプローチはあるが、全体的に柔らかい印象でウェラブルな要素を強めた。エネルギーに溢れ、1ルックごとに独立した意味を持たせるような、難解なコレクションを披露してきたが、ここに来て一旦立ち止まり安らぎを求めたようだ。毎シーズン、高く評価されるコレクションを創り続けるということは、それだけ乗り越えるべき壁も高くなり続ける。ある種狂乱的ともいえる状態の中で感じるプレッシャーは計り知れないが、彼は渦に巻き込まれることなく“安らぎの場所”へと辿り着いたのかもしれない。決してそれは期待を裏切る内容ではなく、むしろ退屈さとは無縁で、J.W.アンダーソンの新たな一面と捉えられる。メンズから始まり今年で10年目。J.W.アンダーソンを次なるステージへと押し上げる、素晴らしいコレクションだった。
2017年09月19日ヴェルサス ヴェルサーチ(VERSUS VERSACE)の2018年春夏コレクションが、日本時間2017年9月17日(日)22:00より、イギリス・ロンドンで発表される。ファッションプレスではその模様をライブ配信。先シーズンは、ヴェルサス ヴェルサーチらしいセクシーなウェアに加え、スポーツ&アウトドアテイストを取り入れたアウターやトップスなどが登場。ネオンピンク、ブルーといったヴィヴィッドカラーを使用したダウンジャケットやトップスのほか、コラージュプリントをあしらったウェアも展開された。今シーズンは一体どんな服を発表するのだろう、気になる人はライブでチェックしてみては。【詳細】ヴェルサス ヴェルサーチ 2018年春夏コレクション開催日時:日本時間 2017年9月17日(日)22:00現地時間 9月17日(日)14:00
2017年09月18日グッチ(GUCCI)2018年春夏ウィメンズコレクションは、メンズコレクションと合同でミラノ・ファッション・ウィーク初日2017年9月20日(水)に発表された。今季のキーワードは「The act of creation as an act of resistance」であると、コレクションノートには綴られている。resistanceが意味するものは定かではないが、グッチを手掛けるアレッサンドロ・ミケーレの抵抗意識を感じさせたのは、グッチアイコンの遊び方だ。これまでもGGモチーフ、グリーン・レッド・グリーンのウェブなど、メゾンの象徴に重きを置き、クリエーションに多用してきたミケーレ。今季も歴史を大切にし、これらのアイコニックなモチーフをデザインの対象としながらも、アレンジ手法を少しマイナーチェンジしているように映った。一つの例として、ジャケット&パンツのルックが挙げられる。レイヤードは複雑で、上半身はジャケットの下にベスト、インナーのようなものが合わせられており、下半身はパンツの上にレーススカート、さらにミニスカートを重ねているように見える。一体当たりの点数の多いルックであるが、バッグ、アクセサリーを含めて半数以上のアイテムに「GGモチーフ」を起用。しかも部分的ではなく全面にだ。このモチーフ特有のクラシックな姿を保っているのものもあるが、中にはネックレスのように、色とりどりのビジューで表現され、本来の趣からかけ離れたものもある。また間に差し込まれた、ランジェリー風アイテムも新鮮である。比較的禁欲的な印象のあるミケーレの作品では、センシュアルな魅力を大胆に打ち出すのは新発想のように感じた。花鳥風月をポイントにノスタルジックな世界を築き上げてきた、グッチワールドにも変化が起きた。ミケーレが愛するボタニカルなモチーフは、力強いレッド、ブルーといった色彩で描かれ、幻想的というよりは刺激的。中には、リアルに描かれたハイビスカスが並ぶ、ハワイアンな絵柄も存在する。進化を遂げるミケーレの世界を加速させるのは、ディスコガールを想起させる80’sの要素と民族衣装の起用。ピチピチのミニスカートに、ボリュームショルダー。さらにネオンカラーも加われば、過去の世界へとタイムスリップした気分に。さらに、ディテールでチャイナボタンをあしらったジャケットやドレスの展開は、アジアへの旅に観客を誘ってくれる。もちろん、スポーツテイストやメンズライクなディテール、エアリーなドレススタイルなど、異なる要素をコラージュ的感覚で組み合わせた、折衷主義的グッチワールドにいるのは間違いないのだが…、どこか異次元の旅のようで、ミケーレの新しいスタートのようにも感じられた。
2017年09月18日ブルマリン(Blumarine)の2018年春夏コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク4日目の2017年9月23日(土)に発表された。コレクションは、ブラック&ホワイトのドレスに、フリル、プリーツといった可愛らしいエッセンスをのせて歩み始めた。ショルダーラインから長く伸びたリボン、胸元にあしらわれたフリル。色彩は抑えて、ディテールとシルエットで女性らしさを作る、引き算の考え方がシーズンムードのようだ。素材は、シフォン、シルク、レースを中心に、柔らかな印象のものを選んだ。レースを差し込んだチャイナ風ブラウス、パフスリーブのシフォンドレス。深く入ったスリットは脚線美を美しくみせ、V字にカッティングされた胸元は女性から可憐さを引き出してくれる。マニッシュな装いは、少しのタッチでフェミニンに変化させる。ブラックのトップスはカシュクール型にして、オールインワンはオフショルダーに整えてエレガントに見せた。ブルマリンを象徴するフラワーは、プリントと刺繍ディテールで登場。コレクションの高まりを表現するかのように、中盤から後半にかけてパレットに彩りが宿り、フラワープリントドレスが連なる。スズランの花刺繍はドレスの裾や襟元、袖口などを優雅に彩りフェミニンな風を運んでくる。
2017年09月17日トリー バーチ(TORY BURCH)の2018年春夏コレクションが、アメリカ・ニューヨークで発表された。今回は、インテリア・デザイナーのデービッド・ヒックスからインスパイアされたコレクションだ。デービッド・ヒックスのカラフルで大胆な幾何学模様や細部に宿る美的感覚は、インテリアに新たな定義をもたらしたとともに、普遍的な価値を持つ。デービッド・ヒックスのクリエイティビティとトリー・バーチの表現がコラボレーションした、色彩豊かで親しみやすい世界観が広がる。しなやかな曲線を描くシルエットに、春夏の開放的なムードが漂う。ドレープシルク、カシミヤ、クレープなど柔らかい素材がフェミニンな印象をもたらし、ホワイトやマスタードイエロー、リーフグリーンなど明るい色彩とマッチして華やかな空気感が生み出される。ストライプのワンピースは眩しい日差しを反映したようなはっきりとしたカラーリングが目を引く。細かい幾何学模様と一緒にイエロー・グリーンなどのカラーパネルをプリントしたワンピースやセットアップはリラクシングな印象だが、ブラウンのベルトでウエストマークをすることでスタイリッシュな一面も見える。ブランドのイニシャル“T”で構成した幾何学模様をプリントした、オレンジやシャンブレーのドレスはエキゾチックな雰囲気。生地を羽織ったり巻いたりしているかのようなパターンやフリンジ、また、万華鏡プリントのセットアップからも、多様な文化の影響が感じられる。また、白地に色とりどりのアイリスが咲くプリントは、デービッド・ヒックスの庭園に対する愛を象徴したものだ。幾何学モチーフは、全面プリントのバッグや、ジュエリーにも施され存在感を放っている。バッグは、ナチュラルなカラーリングのレザーからタオル地の大きなトートバッグまで、イージーながらも、洗練された印象。足元にはフラットシューズをコーディネート。プールスライドサンダルやレインボーカラーのサンダルから、スタッズを配したホワイトレザーの都会的なシューズまで、開放的なスタイルに豊かな表情をプラスする。
2017年09月16日サポートサーフェス(support surface)の2018年春夏コレクションが2017年9月12日(火)、東京・恵比寿で発表された。今シーズンは透け感のある素材使いや、ウェアに立体感を出すことで、女性の所作を柔らかに演出するようなウェアが揃う。柔らかいピンク、グリーン、イエロー、クリーンなホワイトといった春の気配を感じさせる色合いのトップスやドレス、スカートがランウェイを彩る。それぞれ透け感のあるシフォン使いや、レーザーによるパンチング加工を施すことで軽やかに仕上げられた。中でも、エアリーなシフォン素材のチューリップ柄スカートは、モデルの動きに合わせてふわりと空気をはらみ、後を続くように弾むように揺れていき、歩みそのものを優雅に見せてくれる。またシフォン風の素材を採用したトップスは、肌が露わになるセンシュアルな一着だ。動きを柔らかに演出するのは、そんなエアリーな素材だけではなく、「立体感」を生み出すディテールにも見られる。トップスから始まり、ドレス、スカート、コートまで、フレアスリーブやきれいなドレープ、背後を追うかのようなマント風のデザインを取り入れることで、服に奥行きを持たせた。さらに、花や羽根をモチーフにした厚みのある刺繍をあしらうことで、立体感を作り出している。他にも「立体感」を生み出したのは、ストライプ・ボーダー・ギンガム・チェックといった様々なパターン使い。パンチング加工のスカートは、カットジャカードのチェック柄をラップ風にあしらい動きをつけた。また、ネイビーボーダーのシャツは、テキスタイルをあらゆる角度から切り返すことで、視覚的な立体感に繋げた。
2017年09月15日アレッサンドロ・デラクア(Alessandro dell’Acqua)がデザインするヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)の2018年春夏メンズコレクションが、6月19日にミラノで発表された。すっかりサーフィンブームの今シーズンのミラノメンズ・コレクション。N°21が今シーズンのアイコンに使用したのも、波を待つサーファーのフィフティーズ風イラスト。コットンポプリンのシャツへのカットワークや、インターシャのニット、サーフパンツなどにダイナミックに使われ、アメリカンなフォトプリントがコートや半袖シャツ、さらにサンダルにキーイメージとして登場する。デラクワらしい鮮やかなイエローが差し色としてベージュのコートの襟や、スニーカーのソールやヒール、パテントレザーのジップなど効果的に使用され、チェリー・ブラウンのグレンプレイドのパンツとともに、今シーズンのコーディネートのキーとなっている。キーイメージはサーフィンながら、デラクワらしいサルトリアルなテーラーリングは健在。黒のスーツは白黒のプリントシャツ、スカイブルーのパジャマスーツ、リジッドデニムのセットアップなどはシャツのインナーに白のTシャツが合わせられ、ジャケットの袖からのぞくシャツのバランスもこだわりが見える。首にはカラフルな大ぶりのプカシェールが合わせられ、インフォーマルをフォーマルにアレンジ。ハワイ、キューバといったトロピカルなテーマはメンズのモードシーンで依然トレンドとして継続。大柄のボタニカルなカモフラ、マドラスチェックのセットアップ、レター使いのスウェット、パジャマスーツなど旬なトレンドのアイテムをスマートにまとめ上げ、日本のマーケットでも好調が伝えられる同ブランドらしいリラックスしたコレクションに仕上がった。Text: Tatsuya Noda
2017年09月11日KENJI HIKINOの2018年春夏コレクション「Maranhenses」は、ブラジルのレンソイス・マラニャンセス国立公園にインスピレーションを得て展開。そこは広大な砂丘と無数のオアシスが神秘的な景色を織りなす、世界の絶景。砂丘が作り出す自然の曲線美をカッティングで表現。飾らない造形で女性の体をシンプルに美しく見せる服たちが並ぶ中に、たすき掛けで作るトップスやモダンアートのような曲線を描くブラトップなど、遊び心が溢れるアイテムで味付けをする。ベージュ、黒、白といったベースカラーに乗せられるのは、砂丘を染める夕日のオレンジやオアシスの水色。一生に一度は見てみたい景色を心に描いて、服で纏う。KENJI HIKINO 2018SS LOOKKENJI HIKINOHP / Facebook / Instagram
2017年09月10日タダシ ショージ(TADASHI SHOJI)2018年春夏コレクションが、日本時間の2017年9月8日(金)6:00よりアメリカ・ニューヨークで発表される。ファッションプレスではその様子をライブ配信。先シーズンのテーマは「解放のムーブメント」。抑制するものを全て脱ぎ捨てて、自由の表現を謳歌する女性像を描き出す。官能的なレース使いや色鮮やかな花柄、重厚なベルベットがフェミニンでゴージャスなムードを演出。その一方で、マニッシュなストライプやゴールドに輝くジャカードのセットアップなど、多彩なアプローチで様々な女性らしさを表現したコレクションとなった。今季、春夏コレクションの発表にも注目したい。【詳細】タダシ ショージ 2018年春夏コレクション・開催日時日本時間 2017年9月8日(金)6:00現地時間 9月7日(木)17:00
2017年09月10日ラマルク(LAMARCK)の2018年春夏コレクションが東京・恵比寿で発表された。プレゼンテーションのショーと展示会を融合し、今シーズンから「See Now Buy Now」システムを導入。今後はコレクション発表直後に、誰でもウェブ上にて予約購入が可能となった。そんな今季のテーマは「スパツィアリスモ(SPAZIALISMO)」。これはイタリアの画家であるルーチョ・フォンタナが提唱した、アートの垣根を取り払うことを目的にした芸術運動だ。コレクションでは彼の思想、そしてデザイナー・森下慎介のルーツがミックスされた。ルーチョ・フォンタナはキャンバスを大胆に切り裂いた作品で、二次元・三次元という概念を超え、立体アートを生み出した。その奥行き感は今回のウェアやシルエットに影響している。部分的にプリーツ幅を変えることで独特の動きを出したプリーツスカートや大胆なフリンジ使いでボリュームを出したトップス&スカートが登場。また、スカート2着を重ねたり、スカートとパンツを組み合わせたりと、巧みなレイヤードスタイルでフォンタナの画風を感じさせる奥行きあるシルエットを描き出した。フォンタナの空間主義は、過去と現在という時空にも影響を与えた。デザイナーは自身のルーツを辿り、自身が幼少期に過ごした両親の出身地でもある広島と長崎に辿り着いた。アロハシャツは長崎によく見られる「大風車」を描くことで一風変わった絵柄に。さらに、広島で触れた自然はフラワー&ボタニカルモチーフに表われた。ロングシャツやレースパンツ、トップスにはよく見ると花柄に、ワンピースやスカートには葉っぱを彷彿させるフリンジ使いが見られた。
2017年09月09日トリー バーチ(TORY BURCH)2018年春夏コレクションが、日本時間の2017年9月8日(金)23:00よりアメリカ・ニューヨークで発表される。ファッションプレスではその様子をライブ配信。先シーズンは、映画『フィラデルフィア物語』の中で、キャサリン・ヘップバーンが演じる大胆不敵で傲慢なキャラクターがインスピレーション源に。可憐ながらも力強い花柄を使用したワンピースやジャケット、コートのほか、クラシカルなプレイドチェックやバレリーナプリントのウェアを展開し、映画の中の世界を書き出したようなコレクションを披露した。今季はどんなウェアが発表されるのか、ぜひライブでチェックしてみては。【詳細】トリー バーチ 2018年春夏コレクション開催日時:日本時間 2017年9月8日(金)23:00現地時間 9月8日(金)10:00
2017年09月07日ヤストシ エズミ(Yasutoshi Ezumi)の2018年春夏コレクションが、東京・神宮前のトランク ホテルにて2017年8月25日(金)に発表された。8月も終わりだというのに暑い日が続く日々。今シーズンのヤストシ エズミは、そんな暑さを忘れさせてくれるような爽やかなコレクションだ。まず、洋服を作るうえでデザイナーの江角泰俊が念頭に置いたのは「コラージュ」というテーマ。これまで建築を大きなテーマとして掲げてきたが、そこから離れてあらゆるものを模索し、コンテンポラリーというブランドの根底にあるコンセプトを「コラージュ」という視点で表現するよう転換した。パターンの組み方やレイヤーの仕方で、風になびくワードローブは着る人に女性らしさを纏わせる。ショーの始まりを告げたトレンチコートは、色違いのテキスタイルで構成したロング&リーンなシルエットだ。ワンルックがロジックの異なるもので満たされている。コートの上から巻きスカートのようなものを巻き付けていたり、通常あるはずのないバックスタイルに袖が垂れていたり、まさに「コラージュ」を体現する。一方、デニムジャケットはジッパーとボタン、そしてプリーツでも遊んでいる。ビックシルエットの大きなキャンパスに、ステッチがのびのびと巡らされている。とはいえ、ありったけのものを足すのではなくて、きちんと女性らしさを補うために引き算も忘れていない。シャツワンピースは、前から見ると多様な装飾だが、バックシルエットは比較的シンプル。前に置いたコルセットは後ろからは見えず、ウエストが強調されているもののフラットだ。また、シャツ地のワンピースのなかで、幾枚かの布をアシンメトリーに重ねたようなスタイルがある。そこには、肌を見せる楽しさがあり、引いて見える美しさが凝縮されている。ただ装飾をカット&ペーストするだけでなく、テイストの組み合わせも感じさせている。その中でも象徴的だったのがミリタリーのムードである。ドローコードはジャケットに巡らされ、ギャザーを導いている。しかし、装飾が重すぎてはいけないから、きちんと胸元はエレガンスな深いV字。スカートやワンピースに用いられたアイレットやレースアップのディテールも同じで、ミリタリー的要素を汲んでいる。「コラージュ」を紐解くために、通常ならさりげなく用いられるそれらを敢えてクローズアップしているのが面白い。江角はこうした「コラージュ」の表現について「予想外なものを導くものであって、アイディアは無限に出てくる。」と話している。視点を変えた今季には、その「意外性のある組み合わせ」により、江角の“ブランドのこれから”に対する想いを伝えてくれた。コスチューム ナショナル(CoSTUME NATIONAL)のウィメンズデザイナーとしてもスタートを切り、さらに来シーズンからはブランド名を「エズミ」に変更するという。新たな1歩を踏み出す江角の心が垣間見えるシーズンであったともいえるだろう。
2017年08月28日08サーカス(08sircus)2018年春夏ウィメンズコレクションが発表された。今季はマスキュリンなシルエットに、女性らしい柄や色を組み合わせることで「強さを秘めたフェミニティ」を表現した。08サーカスが得意とする、大胆なカッティングとそれにより生まれる立体的なシルエット。今季はまるでパワーショルダーのようなシルエットのトップスや、後ろ身頃が袖に被さることでケープをまとっているかのようなドレスを展開し、マニッシュなフォルムに。ギャザーやタックをふんだんに取り入れ、ボリューム感を出したブルゾンやドレスも強さを感じさせる。スカートに取り入れられた花柄はプリントの裏面を表使いにすることで、より柔らかな印象に。カラーパレットはホワイトやベージュといったペールトーンをベースに、春らしいサーモンピンク、ペールグリーンといったカラーを取り入れることで女性らしく表現した。素材に目を向けると、シャツやスカートには軽やかなサテンやシアーなタフタといったロマンチックなファブリックが使われ、風に乗ってふわふわと女性らしい動きが生まれる。一方、ジャケットやコートには艶やかなエナメルコーティングを取り入れることで、強さが加えられており、ソフトとハードといった相反する要素がミックスされている。08サーカスは先シーズンから、職人の手仕事による加工や最先端技術を取り入れている。前回はランダムな柄が目を引く「スプレー加工」をジャケットに施したが、今季は「転写プリント技術」に挑戦。トレンチコートのボタンはよく見ると本物ではなく、プリントされた偽物だ。まるでだまし絵のようなユニークなウェアに仕上がっている。
2017年08月14日ラフ シモンズ(RAF SIMONS)の2018年春夏メンズコレクションが発表された。会場となったのは、ニューヨークのイーストブロードウェイ75に位置するチャイナタウンの中心。場所と連動するように、ワードローブにもどこかオリエンタルな雰囲気が漂うコレクションだ。地面は雨に降られたように濡れており、モデルたちは傘をさして歩いている。雨や外気から身を守るように、コートを主役にしたルックが目立つ。濡れた地面のように光沢のあるコーティングが施されたレインコートタイプのコートや、ディテールにトレンチコートの特徴を取り入れたコート、スタンドカラーのコートなど、型のバリエーションは様々。しかし、いずれもアームとショルダーにゆとりがあり、裾に向かって若干テーパードしたシルエットだ。また、今季はウールの国際的なオーソリティーである「ザ・ウールマーク・カンパニー」とコラボレーションしたことにより、ウールを使用したアイテムもふんだんに披露された。中でも特徴的なアイテムは、襟ぐりを肩から落ちるほど広くデザインした、オーバーサイズニットだ。この肉厚なニットの下からはチェック柄のシャツが顔を出し、意表をつくシルエットデザインに意味を持たせる。ウールはニット以外に織物でも現れた。ウール独特の重みのある布地で仕立てたコートやジャケットは、当然のことながらトラディショナルなメンズウェアを彷彿とさせる。英国風のチェック柄が取り入れられるとなおのことだ。さらに、アジアの民族衣装を再構築したような、ドレープで魅せるボトムスや着物風の羽織も、同様にして伝統的なものを象徴しているように感じさせる。そのようなアイテムで構成されていながら、ストリートテイストも併せ持つというのがラフ シモンズらしいところだろう。それは、肩の力を抜いた服の着方や、帽子やスカーフなどのアクセサリー類、グラフィックや写真をプリントした柄などによって表現されていた。
2017年08月10日アンダーカバー(UNDERCOVER)の2018年春夏コレクションは、レベルミュージックをジャンル問わずに盛り込み、80年代の日本のアンダーグラウンドシーンへの敬意も込められている。一音一音が重なって生まれる音楽と同じように、一つ一つのデザインが奏で合って今シーズンのコレクションが生み出されている。その中で、キング・オブ・ロックのブランドだと称される「クリームソーダ(CREAM SODA)」とのコラボレーションが一番の主役に躍り出る。刺繍で満たされたデニムジャケットがイギリスのロックバンド「JOY DIVISION」の歌詞から抜き出されたもので、メッセージ性が強い。同時に、ファッションとしてインパクトも持ち合わせている。一方で、アナーキーなスタイルはアンダーカバーの世界へと溶け込んでいく。当て字で記したアンダーカバーのロゴ、アラビア語で“キケン”を意味する文字などは、この最高にパンクな洋服に国籍の無意味さも込めているよう。Tシャツには大きく真ん中に、スニーカーやグローブには片方ずつに配された「S」と「N」は、スピリチュアルとノイズを表す。無秩序かと思われるすべての言葉に、今季のテーマへ結びつく意味がある。さらに、今季は、架空のバンドのレコードジャケットやライブグッズをイメージして作られたグラフィックがコートやトップスなど随所にのせられた。アンダーカバーの遊び心は飽き足らず、その魅力に憑りつかれたファンの姿さえもコレクションの中で確立。大きなバックパックや、雨をも防ぐナイロン素材の軽量コートは、フェスファッションを意識しているようだ。沢山の音楽的メッセージを乗せた洋服たちのシルエットは、そのエネルギーに比例するかのようにほとんどがオーバーサイズ。モデルにも女性を起用し、ボリュームを誇張するとともに、わかりやすくジェンダーレスを表現している。シルエットを維持するための硬質的な素材使いは、ダブルメッシュなどインダストリアルな素材などからも見て取れる。あるいは、トップスは長短異なるものをレイヤードして見せるスタイリング。対照的に、ボトムスはスリムなスキニーを合わせている。
2017年08月09日ディースクエアード(DSQUARED2)が、2018年春夏メンズ・ウィメンズコレクションを統合ショーとしてイタリア・ミラノで発表した。今季のディースクエアードはアバンギャルドなハワイアン。リゾート感が漂うというよりも、力強くて、エッジィで、そして何よりもパンキッシュ。ブランドらしい大胆な柄合わせとスタイリングで勝負に出る。サーフ柄は今シーズンのキープリントだ。艶のあるレザーをはじめ、ヒョウ柄やチェック柄など、おそらく普通なら引き合わせないもの同士をコレクションで通わせた。さらに、その着こなしが斬新で、デニムジャケットやパーカーの上にアロハシャツをレイヤードしているのも面白い。パンクロックな印象を与えるメタル装飾は、ライダースにスキニーパンツ、ニットカーディガン、それからタイトなミニスカートに至るまで、隙間なく並べられた。大きすぎるバックルは、歩けばジャラジャラと音がするほど存在感を放っている。こういったパンクな要素を押し出しながら、メンズ、ウィメンズともに対比的なフェミニンも装っている。メンズでは、スーツにペールカラーを採用し、シャツの胸元にはフリルをあしらった。一方、ウィメンズでは、ゴシック調のマーメイドスカートがあらゆるバージョンで現れた。ブラックラメのティアード風からシアーなミントグリーンの重なりまで、ディーンとダンの実験的な組み合わせに一捻りあるゴージャスを盛り込んだ。そして、前シーズンに引き続きフランス・パリのレインウェアブランド「ケーウェイ(K-WAY)」とのコラボレーションが登場する。デニム素材にビニール加工を施した独特なテクスチャーのスポーツブルゾンには、以前よりも主張的にロゴをあしらった。ルックの中では、ガーリーなワンピースと絶妙なバランスを楽しんでいる。
2017年07月24日夏の頭皮を救う2アイテムアルペンローゼ株式会社は、展開中の国産アロマヘアケアブランド「ラ・カスタ」より、7月5日、夏の頭皮を救う2アイテムの販売を開始した。注目はギフトにもオススメの「ヘッドスパブラシ」シリーズ第3弾 「ヘッドスパ スキャルプブラシ」だ。「ヘッドスパ スキャルプブラシ」同商品は、インバス用のヘッドスパブラシ。同社のオフィシャルヘッドセラピストが開発したもので、マッサージ効果と洗浄効果にとことんこだわった「やみつきになる」ブラシだ。頭頂前ラインと頭頂センターライン(頭皮のTゾーン)の皮脂を効率的に落とすことを目的に開発されており、使い心地も含め、既存のシャンプーブラシとは一線を画している。硬さと太さが異なる2種類のナイロンピンが、頭皮のカーブにフィットするように配列され、毛穴の汚れもしっかりと落とす。乾いた髪にも使用可能だ。「ヘッドスパ スキャルプブラシ」は、2,000円(税抜き)となっている。「アロマエステ スキャルプ クレンジング リファイン」同時発売となるのは、頭皮用食クレンジングジェルのバージョンアップリニューアル商品。抗酸化作用をもつAHA(セイヨウミザクラ果実エキス)や、洗浄力向上作用のある「サピンヅストリホリアツス果実エキス」などが新配合となっている。価格は、2,000円(税抜き)。(画像はプレスリリースより)【参考】“頭皮のTゾーン”を制する2アイテム、7月5日に同時発売!大人気の「ヘッドスパブラシ」のインバス用ブラシと、リニューアル版頭皮用クレンジングジェル。
2017年07月06日kolor(カラー)が2018年春夏コレクションを発表。今シーズンはショーは行わず、展示会形式での初お披露目となった。優しい色と柄の世界に包まれた今季。ベースは、クラシカルでトラッドな雰囲気のユニフォームウェア。それを編集し、再構成することでカラーらしいアイテムへと転換している。マドラスチェックはワイド幅にして色と柄の主張を激しくし、ボーダーは多種多様に組み合わせて地層のように積み重ねた。夏らしい素材のドッキングは、シアサッカーとハワイアンのパッチワークの組み合わせ。欲張って入れたスポーティーなエッセンスは、ハーフパンツにレイヤードしたメッシュ素材が掻き立ててくれる。ユニフォームっぽさの出るブレザーやチルデンニットを投入しているのも今シーズンならでは。ブレザーには人形のアップリケを胸に添え、チルデンニットはブランドの頭文字である「K」がカがデフォルメされてドンと居座る。普通ならファンタジックでポップになりそうなこのデザインも、カラーらしい上品さを得るためにエンブロイダリーにゴールドヤーンやビジューを追加している。シルエットはというと、トップスは緩くリラックスした表情で。メンズでは、オープンカラーのシャツ、軽量でシャリ感のある素材でできたダッフルコート、Vの深いトルグ付きのカーディガンなど。ボトムスは、少しワイドなテーパードが基本で、きっちりと足に沿うものはない。一方、ウィメンズでは、空気をはらむようなふんわりとしたフレアのスカート、フリルをレイヤードしたトップス、それからメンズでも着られそうなほどオーバーサイズの袖がレイヤード仕様のアップリケ付きブルゾンといった具合。ネクタイやローファーもまた、トラッドな服装に似合うためのアイテムでありながら、リラックスを助長するためのアイテムでもある。なぜなら、ネクタイは首にさらりと巻いてスカーフみたいにも使えるし、ローファーのかかとはカジュアルサンダルみたいなストラップ仕様。色柄も、シルエットも、そしてディテールも。ユニフォームと言っても硬く縛られたものではなくて、肩の力を抜いたエフォートレスな感覚と、遊び心とともにある気品に溢れた小さな気遣いが、どこをとってもひっきりなしに見つかるのだ。
2017年07月03日ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)の2018年春夏コレクションが、2017年6月22日(木)にフランス・パリで発表された。今季のカラーは、ドリス ヴァン ノッテンがもつ美しさ、優しさ、儚さ、強さ、色気……全てを表現している。ランウェイで移り変わる色味はくすみがかったものから明瞭なものまで様々。控えめながらも時折主張的に映る。色彩の遊びには、規制のないシルエットをベースとし、より自由奔放にコレクションを創り上げる。ボックス型のジャケット、ドロップショルダーのニット、コンパクトなシャツ、そしてロング&リーンなコート。一方、ボトムスはショート、ハーフ、ロングと長さのバリエーションに加えて、クロップド丈のテーパードだったり、股上の深いナードなワイドストレートだったり、細やかにバランスが調整されている。ドリス ヴァン ノッテンらしいフローラル柄やボタニカル柄は、色に負けじと種類が豊富。荘厳な柄の中には、ヤシの木を描いたハワイアンモチーフも登場している。と言ってもこの世界に入れば、通常はハッピーなイメージの柄が、一目見ただけでは分からないほどクラシカルな雰囲気を纏っている。幾何学模様やチェックなど柄同士を合わせても、あるいは上品なシルクとエッジィなデニムを共存させても、ぶつかることなく、派手になることもなく、むしろ自然と溶け合っている。毎シーズン少しずつ姿を変えるエンブロイダリーが唯一といっていいほどの装飾で、コレクションの中に決して特異なものはない。しかしながらそのバランスが絶妙で、いつの間にかここにしかない空間が完成している。
2017年06月30日ケンゾー(KENZO)の2018年春夏コレクションが、パリファッションウィーク最終日の2017年6月25日(日)に発表された。5日間にわたって開催されたパリコレクションもついに最終日。ラストショーはケンゾーだ。今シーズンもメンズ・ウィメンズ統合で発表。そのシチュエーションを活かし、今回は坂本龍一の生まれ変わりである男性と山口小夜子の生まれ変わりである女性の出会いを描いたという。サイケデリックなモチーフは、70年代~80年代の2人が若かった当時を想わせる。メンズではテーラードの打ち出しからはじまり、様々な色柄を乗せてスポーティーなニュアンスを匂わせた。特に、顕著に表れたのはモーターサイクルのテイスト。ジャケットはパッチワークでポップに表現し、シャツはまるで架空のチームを想わせるロゴ入りだ。ボトムスは一貫してハイウエストで提案している。フォーマルでもタックによって大きく膨らんだペグトップ・パンツや、インパクトのあるテキスタイルは緩いシルエットのハーレム・パンツを合わせるのが、今シーズンのムードらしい。一方ウィメンズでは、エッジィなスタイルをグラマーなドレスを中心に表現している。光沢のあるドラスティックなワンピースは、フリルやラッフルをあしらい、シアーなブラウスをプラス。まるでトルネードのようにあしらわれた波打つディテールの存在感は大きく、ドレスをより躍動的に見せてくれる。ストライプは、自由気ままに洋服を走り抜け、シースルーの素材でセンシュアルなテイストも加味する。それらはまさしく、山口小夜子の繊細さと力強さをそのまま見ているようでもある。2人の出会いに際して登場したポップな花柄は、セットアップで提案。そして、独特のペイズリー柄、斜めにも縦にも走るストライプ、立体的な絞りのプリーツ。多彩なテキスタイルは、組み合わせることでより一層、パワーをみなぎらせている。
2017年06月29日ポール・スミス(Paul Smith)の2018年春夏メンズコレクションが、パリファッションウィーク最終日の2017年6月25日(日)に発表された。思う存分、海の世界を繰り広げた今シーズンのポール・スミス。海中の魚やサンゴ、それから浜辺の景色を、大胆に、そして時に繊細に落とし込んだ。海の世界はテーラードから始まる。ネクタイやショルダーバッグ、ベルトといった小物にはマグロのプリントがのせられた。一見いつも通りのセットアップは、裏地が海中の景色。時間を経てオープンカラーのシャツに夜の海辺が映し出され、いよいよリゾートシーンの演出が熱を帯びてくる。カラーパレットは海で見たサンゴのようにカラフルに。グリーンのシャツ、オレンジのスラックス、それからピンクのショートブーツ。楽しげな海の世界は、ラペルの精緻な刺繍によって繊細に描かれる。幻想的な海の中は青だけじゃないと、ポールスミスお得意のテーラードが教えてくれた。そのハッピーな色使いは加速を続けているが、足元はビーチサンダルやエスパドリーユが基本。今回のテーマをより色濃くすると同時に、ラグジュアリーなリゾートスタイルにポップで軽快なムードを流し込んだ。
2017年06月29日sacai(サカイ)の2018年春夏メンズコレクションが、2017年6月24日(土)にフランス・パリで発表された。どのカテゴリーにも属さないsacaiのハイブリッドな服は、国境も超えて表現された。まず、目に留まったのがウエスタンモチーフ。ジャケットにはフリンジをあしらい、収縮したダウンベストとパンツの形を合体させ、新解釈のスーツを提案。シャツは、素材に光沢感を与えることで上品なアイテムへと昇華。さらに、ウエスタンブーツを合わせて、軽快な足元を演出している。ノルディック柄は、打って変わってほっこり温もりある印象。さらに加わる表情豊かなテキスタイルには、フロック加工のベルベット、なめらかなシルク、ボリュームのあるサマーツイードが登場する。普遍的なミリタリーやアウトドアといったテイストは、コレクションの中でミックスされてコンテンポラリーな新ジャンルへと転換。ミリタリーと言っても、アーミーパンツには光沢のある上品なカットソーを合わせている。あるいは、アウトドアは、ミニマル・ポスト・ミニマル・コンセプチュアル・アートの創始者ローレンス・ワイナー(Lawrence Weiner)のタ イポグフィー・アートワークを取り入れてたモードなアイテムで再解釈している。進化を続けるsacaiのハイブリッドは、今シーズンになって、より一層たくさんのものを巻き込むことに成功した。国境も季節も関係ない。まさに“究極のハイブリッド”を提案しているようだ。
2017年06月27日アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)の2018年春夏メンズコレクションが、2017年6月23日(金)にフランス・パリで発表された。儚く切ない。それでいて、軽やかで華やか。今シーズンはブランドらしいそんな空気感をスリットやレイヤーで感じさせる。ジャケットやガウンは、後ろが羽のように背中心で分断されている。幾らかに別れたリネンやシルクの繊細な素材を風にのせ、伸びやかなシルエットと、布の重なりを表現する。シアーな素材のレイヤードは肌と楽しむ。それによってセンシュアルな雰囲気がそこはかとなく流れてくる。一方で、個性の強いファブリックは、春夏らしさを強調している。極細の糸で編まれたニット、ピンク色のアイレットレース、編み上げたチェーン、タイダイ染めのような模様、なめらかな薄手のナッパレザーなど、ある時は力強さを求め、またある時はフェミニンを求める。中性的な装いは、意外にもたくさんの表情をもつ。今季のスタイリングは、ラフ、ルーズといった言葉が似合うだろう。緩いワイドパンツは前明き部分がアシンメトリーで、さらにボタンは止めていない。ガウンやシャツは肩を落として気だるく、しかしながら気品を残して着こなしている。
2017年06月26日