斎藤工が、小さないのちに極限まで向き合う小児外科医を演じてきたドラマ「最上の命医」。そのスペシャル「最上の命医2017」が、いよいよ8月23日(水)21時より放送されることに合わせ、本ドラマではお馴染みの斎藤さんの被りものシーンが初公開された。本作は、“無限の樹形図”=子どものいのちを救うことは、たくさんの未来を救うこと、という信念を持つ若き小児外科医・西條命が、小さな生命を救うために挑む姿とその奇跡を描く本格医療ドラマ。2011年1月期に連続ドラマとして放送され、斎藤さんのブレイクの礎となった。実はこれまでのシリーズで、連続ドラマではカブトムシの“カブトマル”、昨年2月放送のスペシャルではキリンの“ジラフマン”に扮していた、斎藤さん演じる命。子どもたちの笑顔のためにヒーローになりきる命の被りもののシーンは、本ドラマシリーズ恒例の、ホッとする名場面の1つ。イケメンながら、こうした被りものにも喜々としてチャレンジする、斎藤さんの魅力あふれる姿には注目だ。今回のスペシャルには、妊娠が判明する女子中学生・萌絵(桃果)の厳格な母親・萩尾一路役に大塚寧々。そして、命の恩師である小児外科医・手塚義富役に草刈正雄、その娘で視覚障がいを持つ里香役に志田未来と実力派が参戦。さらに、連ドラ時代から命を尊敬し、淡い恋心を抱いていた小児外科医・瀬名マリア役の比嘉愛未、連ドラ、昨年スペシャルに続き、斎藤さんと共にシリーズ全作品に出演してきた泉谷しげるという豪華出演陣が再結集している。ドラマスペシャル「最上の命医 2017」は8月23日(水)21時~テレビ東京系列にて放送。(text:cinemacafe.net)
2017年08月23日無添加化粧品ワイエスラボの公式ホームページが刷新美容皮膚科医であり、すがわら皮膚科クリニック副院長でもある菅原由香子医師が代表を務める株式会社ナキュアが展開するのは、本当に肌に必要な成分だけしか用いない無添加化粧品「ワイエスラボ」。この化粧品が試せるのは、菅原氏が勤めているすがわら皮膚科クリニックか直営している店舗と、公式ホームページから申し込んだ場合のみ。この度、6月1日よりその公式ホームページがデザインを刷新。より使いやすいサイトに生まれ変わったことが発表された。サイトの特徴まず、無添加化粧品の各商品ページの内容を詳細に表示したため、サイトを訪れただけで非常に解りやすく商品を把握することが出来るようになった。さらに随所に菅原医師からのアドバイスなどを取り入れたことにより、まるで簡単な診察を受けているかのような錯覚に陥るほど親切さを感じる。それだけではない。「うる肌メンバークラス制度」を導入したことで、肌診断やお手入れアドバイスなどを個人的に受けることが出来るため、本当に診察してもらっているかのようだ。このメンバーになると、続けやすい価格設定の「定期購入サービス」を受けることが出来たり、継続していくことで様々な特典がついたり割引率も上がるという。まさに至れり尽くせり。今や時代は女性ファースト美肌のための化粧品やスキンケア商品の消費は、不景気であったとしても留まることを知らず、日本の景気を底で支えているといっても過言ではないかもしれない。つまり、日本はもともと女性ファーストでなければならないのだ。そんな女性が肌の悩みで苦しんでいるとしたら、それは「肌悩み女性ファースト」を掲げる同サイトを訪れることが手っ取り早い。なぜなら、自身も学生時代から20年も肌荒れに悩み、化粧品やヘアケア製品に含まれる化学物質や添加物にあることを発見した菅原代表自らが指揮を執っているからだ。あなたも、これを機会に是非「ワイエスラボ」の公式ホームページを訪れてみてはいかがだろうか。(画像はプレスリリースより)【参考】※ワイエスラボ オフィシャルサイト※ワイエスラボ プレスリリース(Dream News)
2017年07月21日斎藤工がゴールデン連続ドラマ単独初主演作を務めた「最上の命医」が、8月に「最上の命医 2017」として特別編が放送されることが決定。斎藤さんが主人公の小児外科医・西條命を演じるほか、今回は小児外科医の世界的権威として、草刈正雄が命の前に立ちふさがるという。西條命(斎藤工)は、アメリカの最優秀若手医師賞を受賞するほどの技術を持ち、患者を救うためにはリスクを顧みず困難な手術に挑む小児外科医。一時は肝臓癌からの多発的転移で 手の施しようのない状態に陥ったが、アメリカで最先端医療の治験者となり、奇跡的に生命をつなぐことができた。いまは病院を転々としながら小さな生命を救い続けている。ある日、命は呼吸困難に陥った中学生・萩尾萌絵の応急処置を施すが、原因が妊娠高血圧症だと気づき、近くの病院に飛び込む。そこはアメリカで命と師弟関係にあった小児外科の権威・手塚義富(草刈正雄)が勤める病院だった。術後、手塚に「うちで働け」 と誘われた命は、萌絵の担当を条件に承諾する。実は萌絵のある症状が引っかかっていた。 父親不明の子を宿した14歳の萌絵を、母・一路は激しく追及する。名門中学の教頭で、幼少から厳しかった一路を恨む萌絵は、出産は一路から逃げるためと豪語。しかも、産まれてくる赤ちゃんを一路が里子に出そうとしていることを知った萌絵は…。一方、命は手塚の娘・里香と出会う。視覚に障害を持つ里香は、アメリカで障害者支援の技術を研究中だが、手塚のある変化が気になって帰国したという。「200%の準備をしてオペに挑め」という手塚の教えに背中を押されてきた命。子どもを救うことは、その子を助けるだけじゃない――。“無限の樹形図”への想いを胸に、命は次々と“奇跡”を起こしていく。2011年1月クールに連続ドラマとして放送され、昨年にドラマスペシャルとして5年ぶりに放送された「最上の命医」。自ら病に冒されながらも、消えそうな小さな生命に極限まで向き合う小児外科医・西條命を斎藤さんが演じるのはもちろん、本作には小児外科医の世界的権威・手塚義富が登場。手塚を演じるのは、大河ドラマ「真田丸」の出演が記憶に新しい草刈さんが演じる。アメリカ時代の命に、小児外科医のあるべき姿を叩きこんだ恩師でもある手塚との再会は、思いもよらない“生命を巡る対立”に発展し、不屈の小児外科医・西條命を窮地に追い込んでいくという今回。本作でも、小児医療の現実、最先端医療のリアリティをテーマに“生命”をめぐる“究極の人間ドラマ”を描く。今回の放送決定に斎藤さんは、「非常に嬉しかったです。というのも、この作品を続けたい気持ちが僕の中では強くて…」と話し、命というキャラクターについては、「最初は原作のキャラクターがあって、模索しながら、命というイメージ図を監督やプロデューサーたちと練ってきましたが、去年のスペシャルから『命はどうだろう?』ということに、“命”としての僕に意見をくださる現場の態勢になっていて。僕の中でも『命だったらどうするか』と、ひとつの人格として自分の中に命があるし、それをチームの方たちが監督はじめみんな委ねて下さって。僕にとって大事な、たぶん途切れることのない、ひとつの人格になっています」と思いを明かす。草刈さんは、「とても脚本がいいですね。僕ら役者は、なんといっても脚本なんですね。脚本で決まります。それにちょっとハマりましてね。久々にいい役を頂いて、楽しんで演じています」とコメント。そんな草刈さんについて斎藤さんは、「インテリジェントで、全てに説得力があります。たたずまいだったり、目線ひとつだったり。近づくという動作も一歩ではなく半歩、という細かいところだけでも、すごく意味深いというか。存在感がとんでもなくある方だなと改めて思いました」と印象を話し、「それでいて、ものすごく優しい方なので、今回の小児外科医という、子どもや若い命と接する人として、とてもふさわしい方とご一緒出来たと思いました」とまさに適役だと語る。一方草刈さんは斎藤さんについて「いいですね。彼は、独特の雰囲気を持っていますね。あの雰囲気はなんともいえないです」と共演した感想を語っている。また今回の見どころについては、「大きなオペが劇中に何度かありますが、世代を紡ぐ大きなオペもありますし。環境の整っていない場所で行なわれるオペで、何を優先するかという想いが、それぞれ交錯するんです。自分の命より大事にするものを見つけた人たちの想いがぎゅっと詰まっているオペのシーンなので、僕も感情が溢れてしまって。連ドラのときもありましたが、予想だにしない自分の感情が、命として今回の作品は随所に溢れてしまって。草刈さんとのシーンでも、何故かわからないけれど、感情が一気に高まってしまったシーンもありました。本当に心を動かす作品になって いると思います」(斎藤さん)、「脚本がとてもヒューマンな本になっています。ここのところ、医者モノでは珍しいのではないでしょうか。非常に感動します。演じている僕ら役者もみんなノリノリで演じています。スタッフもキャストも。幸せです」(草刈さん)とコメントしている。ドラマスペシャル「最上の命医 2017」は8月、テレビ東京系にて放送予定。(cinemacafe.net)
2017年07月07日夏は気がつけば汗ぐっしょり…という状態になりやすい、汗っかきな赤ちゃん。ケアをしてあげないと、あせも・かぶれが出てしまうこともありますよね。赤ちゃんが快適に過ごすためにはどんなことに気をつけてあげるといいのでしょうか。小児皮膚科医として、赤ちゃんの皮膚トラブルも多く診ている 芝浦アイランド皮フ科 の八木葉子先生に詳しくおうかがいしてきました!■芝浦アイランド皮フ科 八木葉子先生平成25年5月芝浦アイランドブルームホームズ2Fに 『芝浦アイランド皮フ科』 を開院。子どもから高齢者の方までの多世代にわたる皮膚科一般疾患に幅広く対応。2人の男の子を育てながら医師として働く経験をもとに、薬を飲んだり塗ったりする回数を調整するなど、働くお母さん、お父さんの負担が少しでも軽くなるような治療提案を心がけている。赤ちゃんはたくさん汗をかく!夏の子育てで一番気を付けたいことは、赤ちゃんの脱水症状を防ぐことです。赤ちゃんは汗をたくさんかきますから、水分補給はこまめに行ってください。また、汗をかいたらこまめに肌着や衣類を変えてあげるようにしましょう。汗そのものもは無味・無臭で悪いモノではないのですが、肌に長時間滞留すると雑菌が繁殖して、赤みやかぶれが出てしまうこともあります。赤ちゃんは新陳代謝も血流もよく汗をたくさんかきますが、それに加えて大人より皮膚が薄く、大人と同じ汗の量でも、子どものほうが肌の症状として現れやすい傾向があります。部屋の室温設定はどのくらいが最適?室温は、大人が心地よい温度設定でいいと思いますが、冷やしすぎない室温がいいのではないでしょうか。汗をかくのは、体温を放出する役割を持つ大事な生理機能です。赤ちゃんは汗腺が発展途上なので、「汗をかく力」を身につけていく必要があります。まったく汗をかかないくらいにまで室温を下げ過ぎる、というのはおすすめしません。また、寝る時は赤ちゃんにエアコンの風が当たらないようにしてあげてください。できるだけ自然な風も活用していきましょう。扇風機やうちわなどの風は肌にいいので、おすすめです。赤ちゃんは「寒い」「暑い」と自分で言えないので、汗の様子を見ながら調整してあげてください。背中にぐっしょりと汗をかいていたら、タオルケットより薄いガーゼケットに取り替えてあげるなどの工夫をしてあげるといいでしょう。背中は、赤ちゃんの汗の量が分かりやすい場所です。べたべたと色んな場所を触るより、背中にパッと手を当てて確かめるのがいいと思います。夏に起こりやすい、赤ちゃんのあせも・おむつかぶれへの対処法は?夏は気温が高い分、雑菌の繁殖も盛んになりますので、汗を長く放置してしまうと、皮膚トラブルが出やすかったりします。さらに、夏のおむつの中は(汗で水分が取られ)普段より濃くなったおしっこやうんちが出て、おしりの皮膚への刺激が強くなってしまう傾向もあります。水分補給はこまめにしながら、オムツ替えの回数を多くしてあげてください。もし、赤くなったりかぶれていたら、水やぬるま湯で洗ってあげること。外出先であれば、濡らしたタオルやガーゼなどで丁寧に拭いてあげるのもいいでしょう。また、衣服は通気性のいい素材のものがおすすめです。スパッツなどもムレやすいので、肌トラブルが出やすいお子さんには控えたほうがいいかもしれません。夏の「おむつ」の中は、熱帯雨林?! おしっこ直後は湿度80%にも。衣類は「通気性のいいものを」というお話も出てきましたが、実はおむつも通気性を考えて選ぶことが大切です。なぜかというと、赤ちゃんが常に身につけている「おむつ」のおしっこ直後の湿度は、なんと80%以上だそうです。そんな熱帯雨林のようなジメジメの状態と考えると、赤ちゃんの不快感は容易に想像できますよね。梅雨時期や夏は湿度が高いので、おむつの中はさらに“ムレ”が発生しやすくなります。赤ちゃんはゆるいうんちもよく出ますが、ムレて肌がふやけるとうんちなどの刺激もうけやすくなり、皮膚にかぶれが出てしまうことも。そのため、できるだけ“ムレ”を逃し、赤ちゃんのお尻を快適な状態に保つためには、「こまめにおむつ替えをしてあげる」「できるだけ肌を乾かしてから新しいおむつに替えてあげる」といったケアはもちろん、“通気性”にこだわったおむつを選ぶのがおすすめです。たっぷりおしっこしても、朝までさらさらの肌の秘密は?『メリーズ』のおむつは、夏の赤ちゃんのための工夫がいっぱいです。独自の3層エアスルー設計により、まるで呼吸するようにムレを何度もはき出し続けます。★3層エアスルー設計って、どんなもの? 1層目は、肌にやさしい素材「ふわぽこエアリーメッシュ」という表面シート。独自の凹凸構造により、肌との接触面積が約半分になる設計がされています。ムレが発生しても、肌とおむつの間をすっと通り抜けていく通気性を備えているだけでなく、おしっこ自体もさっと吸収し、逆戻りを防ぎます。2層目の「吸収体」部分にも空気の通り道が作られており、3層目の「全面通気性シート」も、その名のとおり、おむつの外にムレを逃せる通気性のよい素材です。3層すべてが、おむつ内に発生するムレを追い出す構造になっているので、たっぷりおしっこしした後も、朝までつけたての“さらさら感”が長続き。夏に最適なおむつとなっています。(実験映像はテープタイプを使用)パンツタイプは、どんなに動いても、モレを防いでムレだけ追い出す!あんよバタバタ、寝返り、ハイハイ時期のたくさん動く赤ちゃんには、パンツタイプのおむつがおすすめです。パンツタイプの『メリーズ』には、動いてもモレを防いでムレを追い出す工夫がたくさんあります。パンツタイプはぴったりとフィットする分ムレやすいのでは?と心配な方もいるかもしれませんが、メリーズのパンツタイプはお腹まわりの「空気トンネル」から、汗のムレをどんどん追い出します。さらに、おむつ全体の全面通気性シートからも、おしっこのムレを追い出します。もちろん、ウエストも脚まわりもやさしくフィットするので、モレを防いで安心です。赤ちゃんの“気持ちいい”で選ぶなら、やっぱり「メリーズ」!おむつの性能は年々進化しています! ご存知「メリーズ」は、2007年から10年連続売上ナンバーワン(※1)を獲得している、大人気のブランド。赤ちゃんの“きもちよさ”を追求した高機能おむつとして、多くのママに支持されています。(※1 インテージSRI調べ 2007年1月〜2016年12月ベビー用紙おむつ市場ブランド別(テープ・パンツ計)金額シェア)スキンシップは、子どもの心身の発達に大きな意味と役割をもつと言われています。おむつを頻繁に替えるのは大変ですが、夏場の赤ちゃんの“気持ちいい”の笑顔のためにたっぷりの愛情でお世話してみてください。汗っかきな赤ちゃんが、快適に夏を過ごすために。赤ちゃんの“気持ちいい”のために、通気性にこだわった「メリーズ」に変えてみませんか?花王メリーズ PR:花王 株式会社
2017年06月23日まだまだ子どもだと思っていたのに、半袖の隙間からちらっとみえたわが子の毛にドキッ! 親であれば、そんなシーンがいつかはやってきます。気になる子どものムダ毛は、どんな方法でケアすればいいのでしょう。皮膚科のドクターにお聞きしました。お話をうかがったのは衣原 公美子先生美容外科・皮膚科 レイクリニック院長。肌コンディションに加え、思春期、妊娠出産期、更年期といったライフステージも鑑みて、人それぞれに適した丁寧な診察を心がける。一児のママ。 ■顔の産毛も濃く? 意外と知らない成長期の「毛」のメカニズム体が大人に近づくにつれ、少しずつ生えてくるわき毛や、濃くなりはじめる手足や顔の産毛。自然なことではあるけれど、そんなわが子の変化に戸惑うママも少なくないかもしれません。実際、お話をうかがった衣原先生のクリニックでは、わが子のムダ毛相談が増えているそう。「10歳前後~中学生くらいの子のママから、お子さんの毛に関するお悩みを相談されることが多いです。最近は女の子だけでなく、男の子のママからの相談も増えてきました」10歳前後といえば、第二次性徴期に入る子も増えてくる時期です。この時期にはホルモンの影響などから、体毛にもさまざまな変化があらわれるそう。「毛の生える順番やスピード、毛の質などは個人差が大きいため目安ではありますが、女の子の場合、まずはおでこや口周りといった顔の産毛が増え、少しずつわき、外陰部周辺の毛がはっきりしてきます。顔の産毛はホルモンバランスが安定すれば自然に薄くなりますので、過度に心配しなくても大丈夫です。男の子は、顔の産毛、外陰部周辺、そしてわきの毛が生えそろってきます。濃いヒゲが生えそろうのはゆっくりめで、20代中頃から少しずつ増えてきます」■まだまだ不安定な、成長期の毛周期ちなみに、成長期の毛は生え変わりのサイクル(毛周期)もまだ安定していないとのこと。「毛と毛をつくる毛包と呼ばれる組織構造は、成長期に少しずつ完成していきます。この構造が未熟なうちは、毛の太さがまばらだったり、毛周期が不安定だったりします。わきでいうと、毛周期が安定してくるのは20歳頃です」わきに毛が生えてきたり、顔の産毛が濃くなったりするのは成長の課程で誰もが通る道。そうはわかっていても、親としてはムダ毛をからかわれないか心配になったり、子ども自身が気にしていることもありそうです。「たしかに、第二次性徴期の子は心も揺れやすいものです。もしかすると、大人が思う以上に気にしている可能性もあります。お子さんがムダ毛に悩んでいる様子だったら、毛が生えてきたり、濃くなったりするのは普通のことなんだよと伝えてあげて、そのうえで剃ったりするなどのお手入れ方法を教えてあげましょう。一時的ではあっても毛がなくなることで、心理的な負担は少しやわらぐと思いますよ。また、ムダ毛は治療で減らすこともできます。気がかりがあれば、皮膚科に相談してみてくださいね」■お手入れのコツは? ムダ毛処理方法別、留意ポイント子ども自身の気がかりをやわらげるのはもちろん、身だしなみの意味でも適切なケアをしてあげたいところです。そこで、さまざまなムダ毛ケアの方法と気をつけたいポイントを、衣原先生に教えていただきました。【家庭でのセルフケア】▼カミソリで「剃る」気になったらいつでもお手入れができ、コストも低いため一般的にもよく行われている方法です。上手にケアすれば、肌への負担も少なく毛の処理ができます。ただし、剃ってもすぐに生えるため目立ちやすく、また、カミソリの刃のあて方によっては、皮膚を傷つけてしまうことも。お手入れのポイントは、カミソリの刃を皮膚にできるだけ水平にあて、毛だけを剃るように心がけること。肌を傷つけにくいアイテムを利用するのもよいでしょう。お手入れ後には、低刺激性のローションなどで皮膚を保護するとなお安心です。▼毛抜き・家庭用脱毛器・ワックスなどで「抜く」家で手軽にでき、剃るよりも毛のない状態がキープできます。しかし、毛を抜く際に毛包が傷つくため、毛包の中で炎症や感染が起こりやすくなったり、毛周期が崩れたりします。毛穴のブツブツや黒ずみ、皮膚の中に毛が埋まったままとどまる「埋没毛」になることもあります。ワックスの場合、毛包の炎症に加えて皮膚の表面も薄く剥がされるためバリア機能の低下にもつながります。子どもも大人も、毛を「抜く」方法はおすすめできません。▼除毛クリーム・ジェルで「溶かす」/脱色剤で「脱色する」いずれも、薬剤を使う処置方法です。ここで心配なのが、薬のアレルギーによる接触性皮膚炎です。使用する場合は必ず目立たないところでパッチテストを行いましょう。もし赤みやかゆみなどのトラブルが起こったら使用を中止し、早めに皮膚科に相談しましょう。【エステ・医療機関などでのケア】▼レーザー脱毛毛の黒い部分(メラニン)に熱をあて、毛をつくる毛包を破壊する方法で、専門医のみが施術を行えます。脱毛が完了した後は、剃る、抜くといったケアをしなくてすむので、肌荒れを起こしにくい健康な皮膚を維持しやすくなります。治療にはやや痛みが伴い、脱毛後は毛包部がやけどを起こしている状態になるため、医師によるお薬の処方が必要です。医療機関を選ぶときは、知識と経験が豊富な医師がいるかどうか、事前の診察がじゅうぶんかどうかをチェックするとよいでしょう。▼光脱毛レーザー脱毛と同じようなメカニズムで、熱で毛包を破壊する脱毛方法です。レーザーより熱エネルギーの出力が弱いため、専門医だけでなくエステサロンなどでも受けられます。レーザーに比べると熱の吸収効率が落ちるぶん、脱毛効果はやや不安定で、細い毛は減りにくいことも。また、光は皮膚のメラニンにも吸収されるため、人によってはやけどのリスクがレーザーより高くなる可能性があります。▼ニードル脱毛毛の1本1本に沿って針を刺し、電気で毛包を破壊する方法です。施術に時間がかかることと、針と熱の痛みもともなうため、最近では行う施設が少なくなってきました。レーザーや光は毛の黒い部分に反応しますが、ニードルの場合は毛を目で認識できればよいので、どんな毛にも対応でき、脱毛結果は確実です。▼蓄熱式脱毛法医療脱毛のなかでも新しい治療方法です。痛みが少なく、治療時間が短い特徴がありますが、歴史が浅いのでデータもまだ少なめです。この点をきちんと考慮し、慎重に検討しましょう。■小学生でも脱毛できる? 子どもに安心なムダ毛ケアとはご紹介したように、どんなムダ毛のお手入れも一長一短があります。では、子どものデリケートな肌にも安心な方法は、つまるところどれなのでしょう。「じつは、最も肌にやさしいムダ毛ケアは、専門医によるレーザー脱毛だと考えています。レーザー脱毛以外は肌に負担がどうしてもかかってしまうことと、レーザーで脱毛が完了すればその後は剃ったりせずにすみ、肌への刺激が減ることがその理由です。ただし、先にもお伝えしたとおり、成長期の子どもの毛周期は安定していませんので、大人よりも治療の回数が増えますし、施術からずっと後になって発育が遅い毛が生えてくるケースもあります。また、治療には痛みが伴いますので、お子さんによっては恐怖心が生まれてしまうことも考えられます。これらをふまえると、小学生のうちはやさしく剃る方法でしばらく様子をみてあげるのが安心だと思います。とはいえ、レーザー脱毛治療に年齢制限はありませんので、10代であっても、お子さん本人の強い要望があり、また成長期の治療効果が一定ではないこと、痛みや副反応などが出る可能性もあることなどをご理解いただければ、治療は可能です。いずれにしても、親子でじゅうぶんに話し合ったうえで、きちんとした診察やカウンセリングを受け、慎重に検討していただくことが大切です」ちなみに、「抜く」方法で起こりやすい埋没毛は、ゆくゆくレーザー脱毛を行うときの治療の妨げにもなるそう。からだつきや体毛の変化はもちろん、毛に関する組織といった目にみえない部分も成長していく大切な時期だからこそ、後々のことも考慮しながら安心でやさしいケアを選んであげたいものですね。
2017年06月12日背中ニキビは皮膚科で治すのが最適といえるのですが、保険が適用された治療とそうではない治療というのがあります。皮膚科で行われるその背中ニキビの治療法について、解説していきます。背中ニキビを病院で治すタイミング背中のニキビは他の場所と違って見えにくいところにあるので、背中に違和感を覚えても確認することが困難です。気づいたときにはすでにニキビが大きくなっている、または炎症を引き起こしていることが多いとされています。背中ニキビに気をつけるため、外側だけでなく内側のケアを心がけても、治らない場合は皮膚科への受診が求められます。背中はニキビの発生率が高いです。背中に皮脂腺と呼ばれる皮脂の分泌腺が集中しているので皮脂の分泌量が多く、汗もかきやすく、衣服などで常に覆われているなど、さまざまな要因によってニキビができる環境が整っていると考えられます。上述したように、みえにくいのでケアも遅れがちになるのがほとんどです。ニキビができても、炎症や化膿などの重症化に至っていない場合は、日常的なケアなどで改善が見込めるでしょう。背中ニキビの皮膚科での治療方法と処方薬治療法を説明する前に、健康保険が適用されるかどうかについて、説明していきます。治療ですので基本的に健康保険が効きますので、経済的な負担も少なくて済みます。しかし、治療方法の種類によっては健康保険が効かず自由診療となります。保険適応の治療法と保険適応外の治療を次にあげて、解説していきます。保険適用の治療法毛穴につまっている皮脂などの内容物を取り除くという治療である面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)というのがあります。内容物を取り除くことによって、ニキビの治りを早くします。しかし、保険適用内に限定すると、一度に多くのニキビの面皰圧出ができないことが多く、5〜6個までが一般的とされています。外用薬は抗生物質が一般的に使われています。抗生物質で炎症を起こしたニキビの原因菌とされるアクネ菌を殺菌して治療します。もうひとつ、毛穴のつまりを解消してつまりにくくするという効果を持つ外用薬(アダパレンなど)があり、この外用薬もニキビの治療薬として使われています。内服薬も抗生物質が処方されますが、漢方製剤、また少ないのですが原因がホルモンバランスの乱れであることが判明している場合は、ホルモン治療として低用量ピルや抗男性ホルモン薬などが処方されます。ホルモンバランスの乱れによって、男性ホルモンが過剰に分泌され、男性ホルモンが持つ作用である、皮脂の過剰分泌や角栓の発生や毛穴の縮小などがあります。その作用の働きを抑えるには、ホルモンバランスを整えるなどの治療が求められます。しかし、ほとんどはホルモンバランスが崩れていないことが多いようです。改善のために皮脂のコントロールの意味で、ビタミン剤が処方されます。美容皮膚科などでは保険適用外の治療も一般的な治療法は、イオン導入、ケミカルピーリング、そしてレーザー治療などがあげられます。ほとんどの場合はクリニックで処置されます。イオン導入は微弱な電流を流して、ニキビに有効とされる成分を肌深くまで浸透させます。痛みなどはほとんどありませんが、ペースメーカーを装着している場合は、この治療を受けることができません。ケミカルピーリングは、簡単にいえば古い皮膚をはがして、新しい皮膚を蘇らせるという治療法です。これによって、ニキビやニキビ跡の改善、さらにシワやたるみなどにも効果が期待できるとされています。レーザー治療は、ニキビの原因菌でもあるアクネ菌を殺菌し、ニキビ跡のケアなどを目的とした治療法です。ケミカルピーリングとレーザー治療は肌に負担がかかるので、肌の弱い人はクリニックで事前に申告し、受けられるかどうかを事前に相談するようにしましょう。背中ニキビの予防法食生活を含む生活習慣の乱れなどを改善することによって、背中ニキビの予防につながることに期待が持てますが、背中のケアも心がけることも求められます。入浴時、背中を洗うときにおすすめなのが一般の固形石けんです。抗菌作用のある石けんもありますが大きな効果の違いはありません。消臭効果もあるので、体臭の予防には効果的とされています。入浴後、汗をかかないようにすることが大切です。衣服など、背中に触れるものすべて清潔に保つことも求められます。また、背中の風通しのよい肌着や衣服の着用も心がけましょう。監修:馬野詠子
2017年04月25日エムティーアイ運営の健康情報サービス「ルナルナ」はこのほど、シンクパールと共同で実施した「職場での婦人科検診制度について」の調査結果を発表した。同調査は2月18・19日、20~50代以上の女性1万1,676名を対象にインターネットで実施したもの。初めて婦人科検診を受けたきっかけについて聞くと、「自治体からのお知らせ・クーポン」(34.7%)が最も多く、次いで「自分の職場の健康診断」(24.1%)となった。最近では著名人の乳がんや子宮頸がんなどの婦人科疾患発症が話題になっているが、そういった報道によって自身の意識や行動に変化はあったか尋ねたところ、41.2%が「自分の健康について考えるようになった」と回答した。33.5%は「実際に検診に行った」と答えている。次に、20~50代以上の働く女性を対象に、自身の職場に婦人科検診を受けられる制度はあるか聞くと、「ない」が45.4%で、「自分の職場にある」(39.7%)を上回った。職業別でみると、「自分の職場にある」が半数を超えたのは正社員(51.4%)のみで、その他は検診制度がない人が多いことがわかった。「自分の職場」もしくは「家族の職場」に婦人科検診を受診できる制度があると回答した人に、実際に受けている検診の種類について尋ねたところ、乳がん検診は自己負担あり・なしに関わらず約30%が受けていることがわかった。子宮頸がん検診も、自己負担なし35.8%・自己負担あり30.2%で受診率は3割を超えている。職場に婦人科検診を受けられる制度がないと回答した人に、もし職場に受けられる制度があった場合に活用したいか尋ねると、58.2%が「自己負担がないなら受けたい」、33.1%が「自己負担があっても受けたい」と答えた。合わせると、9割以上の人が受診したいと回答している。
2017年03月02日医療は日進月歩。その進歩はニュースになりやすい一方で…出典 : 医療は日進月歩です。他の領域に比べて、新しい発見や新開発の治療法の情報がニュースになりやすいのは、医療領域の一つの特徴であると言えるでしょう。けれども本人やご家族は、その新しいニュースを見聞きする度に一喜一憂することになります。また、ニュースで報じられるような新しい治療法は、受けられる機関がとても限られています。本当に新しいニュースを追い続ける必要は果たしてあるのでしょうか。医療で採用される新しい診断法、治療法などは、とても慎重に、何度もその有効性と安全性が確かめられてから、一般的な医療機関に採用され、また日本では健康保険が適用され、安価に利用できるようになります。この数年でも発達障害に含まれる障害に対して、新しく正式に適応が承認されたお薬がいくつかあります。その一方で、ニュースになった多くの新しい発見や治療薬は、まだまだ開発のごく初期段階に留まっているものがほとんどです。その後の研究の中で、実はあまり有効ではないことがわかったり、思ったより安全ではなかったりすることがしばしばあります。自閉スペクトラム症の領域では、これまでにも数多くの薬剤が颯爽と登場しては消えていくという経過を繰り返しています。こうした新しい診断法や治療法に期待することは悪いことでありません。また新たな方法の開発を担当するような医療機関に通院している方には、ぜひその研究に協力していただいて、新しい支援の道を開くことを助けていただきたいという思いもあります。けれどもそれはむしろボランティア、社会貢献という位置づけです。残念ながら本人やご家族に利益をもたらすとは限らない、それが研究途上の新しい医学的手法なのです。サプリメントを使っても良い?判断の基準は安全性・コスト・併用可能性出典 : もう一つ、残念ながら現在の日本の状況では、医学による厳密な効果や安全性の検討を受けない、あるいはあえてそうした検討を避けて、宣伝されたり使われたりする物質や薬物も少なくありません。医師の処方箋を必要としない多くのサプリメントや薬物などが、発達障害への有効性を謳って、あるいはより巧妙にそれをほのめかして宣伝されていたりします。診察室でそうした物質を使ってみてもよいか、相談されることもしばしばあります。自分の場合にはこのようなとき、それがかなり安全であることがはっきりしていて、家計の負担になるほど高価ではなく、標準的な他の支援を受けることを妨げないのであれば、それを使ってみることを検討してもよいのではないか、とお伝えしています。このうち、安全であることを確かめるのは実はなかなかやっかいです。物質そのものは安全そうであっても、製造過程で混じり物がないかどうか、そもそも能書き通りの物質が含まれているのか、それを確かめるのはなかなか難しいことも多いのです。またこうした有効性と安全性の検証を経ていない治療法というのは、実はお薬に限りません。心理社会的介入と呼ばれるような薬物以外の様々な支援の中でも、しっかり研究が進められているものと、確からしい証拠がほとんど見つからないものが、世の中で入り混じっています。このときにも判断の原則は、安全性、価格や時間などのコスト、標準的な支援との併用可能性ということになります。貴重な時間やお金、気力や体力を上手に使っていくためにも、筋のよい情報を収集することが必要ですね。迷ったときは、主治医に相談を。これからも上手に医療と付き合って出典 : 全ての医師がこうした、標準的な医療以外の支援に詳しいわけではありませんが、迷ったときに主治医に相談してみるのは、悪くないかもしれません。そして主治医がまったくそれを知らなかったら…、それはその方法についてほとんど研究が進んでいない証拠かもしれません。さてここまで10回の連載では、医療による支援そのものの詳しい説明ではなく、どのようなスタンスで医療とつきあってゆくと物事がうまく進みやすいのか、できる限り踏み込んで書いてみました。実は自分のスタンスは必ずしも平均的な医師とは重ならないところもあるかもしれず、そこはたいへん申し訳ないのですが、皆様の今後の医療サービスの利用に際して、少しでもご参考にしていただけたらとても嬉しく思います。
2016年10月21日自傷、噛みつき、頭突き…発達障害とも関係が深い「強度行動障害」とは?出典 : 「強度行動障害」という言葉をご存知でしょうか。強度行動障害は厳密には医学用語ではなく、知的障害がある人に、他害、自傷、著しい反復的な行動や睡眠障害などが現れて来る場合に用いられる、行政・福祉の用語です。最初にこれが定義された際には、「精神科的な診断として定義される群とは異なり、直接的他害(噛み付き、頭突き等)や、間接的他害(睡眠の乱れ、同一性の保持等)、自傷行為等が通常考えられない頻度と形式で出現し、その養育環境では著しい処遇の困難な者であり、行動的に定義される群」であり「家庭にあって通常の育て方をし、かなりの養育努力があっても著しい処遇困難が持続している状態」とされていました(1989年行動障害児者研究会)。どんな状態の子ども達、大人達なのか、なんとなくイメージができたでしょうか。そしてこうした行動の障害を示す人では、その背景に知的障害だけではなく、自閉スペクトラム症を持っている場合がとても多いこともわかっています。こうした強い行動上の障害は、元来の障害の特性を背景として、育っていく環境との間に大きな不適合が生じ、それに対して、どうしても上手くいかない方法、長く続けてはいけない方法が身についてしまった場合に起こってくると言われています。例えば、・不快な音に対して自分の頭を激しく叩いてそれを紛らわす・退屈な時に窓ガラスをバンバン叩いて楽しむ・大人の指示に従いたくないときに暴れて拒否をするなどのパターンです。ある意味でこの強度行動障害こそが、「二次障害」の一つの典型であると言えるでしょう。このように行動の障害が著しい場合には、家庭はもちろん、教育、福祉などの多くの領域の支援者が関わって、その対応を考える、また本人やご家族を支えていく方法や態勢を考えていくことになります。「強度行動障害」に対して、医療で出来ることは何か出典 : このようなときには、もちろん医療に期待が集まることも少なくありません。そしてご家族や支援者の気力や体力、時間に限界が近づくと、「もう家で、地域で、施設で暮らせないから、入院させよう」というアイデアも浮かんできます。入院すれば魔法のように行動障害がよくなって、落ち着いた状態で帰ってきて、しかもその後その状態が長く続くといった、ちょっと現実離れした期待をしてしまうこともあります。ではこの強度行動障害に対して、実際に医療は何ができるのでしょうか。強度行動障害の本質は、先に述べたように、本人の特性と環境との不適合、そしてそれを補うために誤って学習された行動のパターンです。このように考えていくと、実は医療で出来ることはそれほど多くないことがわかります。知的障害があり、強い行動障害のある患者さんが入院する場合、ごく一部の専門病床を持つ病院などを除けば、ほとんどの総合病院や精神科病院の場合には、外から鍵をかけた個室に入っていただくことになります。激しい他害や自傷がある場合には、身体拘束といって、手足をベルトなどでベッドに固定したりすることも少なくありません。こうした対応は、緊急時に本人と周囲の人の安全を守るための手段としては、やむを得ない場合があります。興奮が激しく、このままでは自宅で安全に暮らせないという状況で、家族や支援者がそれに対応する時間と気力と体力の余裕を取り戻すために、一時的に入院を選択することは充分にありえます。逆に病院は、施錠や身体拘束という方法を法的に許されているために、慣れていない患者さんが急に入院してきた場合でも、本人や周囲の人の安全を比較的守りやすいのです。しかし、このような対応を長く続けることは、本人がその特殊な状況に合わせた、更にうまくいかない方法を身に付けてしまう結果に繋がることがあります。本人にとっても辛い状況であることも多いので、退院した後、行動の問題が悪化することも少なくありません。また入院が長期化すると、地域の支援体制はだんだんと手薄になって、時間が経てば経つほど、地域に戻りにくくなってしまうこともあります。そして行動を制限された入院の環境は、本人の誤った学習、うまく行かない行動のパターンを変えていく、別のやり方を模索していくためには、とても不利な状況でもあるのです。更に言えば、こうした行動障害に対しては、第7回の記事で触れたように、お薬が使われることがあります。しかし行動を強く制限された状態では、お薬の量の調整がうまくいきません。施錠、身体拘束の状態では行動の観察ができず、どの程度のお薬の量が適当なのか、知る手立てが限られてしまいます。また病院と家庭では全く環境が違うので、入院中に適当であったお薬の量が退院後にもちょうど良いかどうか、帰ってみないとわからないということになります。医療を上手に活用して、本人も周囲の人も無理のない生活を出典 : 結局、強度行動障害に対して、一般的な医療機関ができることは、外来の薬物療法によって一部の行動の問題を和らげること、特に「易刺激性」が関わっている場合に、本人や支援者が対処しやすくなるように、少しそれを緩和することが一つです。入院については、急性期の対応、家族や支援者が対応の余裕を稼ぐために一時的に避難するのが上手な使い方です。また地域の支援体制ができていても、どうしても家族や支援者に疲れがたまってきてしまうという場合、家族や支援者、時には本人の休息の目的で病棟を使うこともあってもよいかもしれません。そしてとても大切なことは、医療が関わり始めたとしても、地域の支援体制を解除しないということです。行動障害のある人は、正しい手順が踏まれていれば、地域の支援力が総動員されているはずです。それでも足りないから医療もそこに加わる。けれどもそれは足りないから足しているわけであって、医療が出てきたからといって、他の領域の支援者が手を引いてもよいということにはならないのです。このような医療の限界がよくわかっているからこそ、厚生労働省は平成25年から、福祉領域の従事者を対象に、「強度行動障害支援者養成研修」を始めました。対応の主軸が地域の生活と、その中での再学習、環境の調整であることが明らかであるからです。強度行動障害に関して、医療は「最後の砦」ではありません。むしろ必要がありそうなら追い詰められる手前の、できるだけ早い時期から医療をチームに加えていただくこと、医療を支援の一つのパーツとして組み込むことで、無理なく地域での生活を続け、できるだけ早く、本人も周囲の人も苦しまない暮らし方を再獲得していくことが必要なのです。
2016年10月19日発達障害の「二次障害」って?その原因は?出典 : 発達障害について考えるとき「二次障害」について考えることは避けて通れません。ただ、この「二次障害」という言葉は誤解も産みがちです。このために自分は必ず括弧をつけて使うようにしています。「二次障害」には実は学術的な定義がなく、使う人によって含まれるものが異なります。さらには、「二次災害」「随伴症状」「併存症」など似たような意味で様々な言葉が使われています。また「二次障害」であるからといって、必ずしも経験や環境のみがその原因、誘因となっているとは限りません。最近では発達障害のある人は、生まれつき様々な精神疾患にかかるリスクが高いことがわかってきました。またある共通の要因が発達障害のリスクも、他の精神疾患のリスクもともに高めることがあることもわかってきています。このため「二次障害」の全てを経験や環境のせいだけにすることはできず、生まれつきの要因がかなり大きな役割を果たしている「二次障害」もあると考えるのが合理的です。もちろん、適切な見立てと対応、環境の調整を根気よく行っていくことで、「二次障害」のリスクを減らしたり、何よりも「二次障害」が起こってきたときに、それに対処できる力を身に付けていったりすることは可能になると考えておくのがよいと思います。「二次障害」をめぐる医療の現状出典 : 様々な二次障害、併存症の中には、統合失調症スペクトラム障害や双極性障害、うつ病、不安症などのように、医療による対応によって、改善が期待しやすいものが少なくありません。こうした疾患に対する治療法はかなり研究が進んでおり、ある程度有効な方法が確立しています。しかし残念なことに、発達障害が背景にある場合、どのようにその治療法をアレンジしていくべきか、特性にあわせて変更していくべきか、ということについては、まだまだ充分な研究がなされていないのが現状でもあります。主治医とよく相談しながら、障害の特性、またその人の置かれた状況に合わせて、実際の治療を進めていくことになります。思考や行動のパターンを、医療の力だけで変えることは難しい出典 : 一方で、医療が苦手にしているのは、狭い意味での疾患、病名がつかない「二次障害」です。自閉スペクトラム症の人達は、その生い立ちの中で「大人が用意した課題に挑戦すると、いつも失敗する」と信じ込んでしまったり、「人と関わると嫌なことが起こる」と学んでしまったり、「人に依頼しても助けてもらえない」経験を積み重ねてしまったりすることがあります。こうした経験を通じて身に付けた思考や行動のパターンを変えることは、医療だけの取り組みでは極めて困難です。また注意欠如多動症を持つ人達に最も学んで欲しくないのは、「待っていてもいいことはない」という考え方です。もともと「報酬を待つ」ということが多数派の子どもよりも苦手に生まれついているのがADHDの子どもたちなのですが、「待っていても退屈だった」「待ちきれなくて怒られた」「課題の達成を待ちきれなくて、諦めてしまった、失敗した」という経験を積み重ねると、どんどん待つことが苦手になってきます。そのとき子ども達は、将来に向けて投資をすることが難しくなってきます。遠い将来の手応えを期待して今を頑張る、ということがどんどん信じられなくなっていくのです。このとき彼らの求めるものはどんどん刹那的になってきます。今の楽しみやスリルをどうしても優先したくなります。それは時にはアルコールや違法薬物の使用につながって、そのために医療を必要とすることが出てきてしまいます。発達障害の「二次障害」に対して、医療ができること出典 : こうした疾患ではない「二次障害」に対して、医療が単独でできることは限られます。しかし状態の悪い方に対して、それでも途切れずにつきあい続けるということは、医療が比較的得意な支援です。また必要に応じてお薬を使ってその時の苦痛を少し和らげることもできる場合があります。誤った学習を解きほぐしていくための、日常生活の中での支援と経験の積み重ねと併せて、医療の支援を活用することも必要な場合が多いでしょう。また、医療のもう一つの役割は「二次障害」の予防でもあります。前回お薬についての記事のなかで、薬を使うことを考えるのは「嫌いなもの・ことが増えているとき」と書いたのは、そのためでもあります。正しい見立てと、適切な日常的な支援、どうしても必要な場合のお薬は、「二次障害」の軽減、予防に役立つと信じたいところです。
2016年10月17日発達障害の治療、お薬はどんなときに使われる?出典 : 発達障害に対してお薬が使われるとき、それは全て対症療法として投与されます。対症療法とは症状を和らげることが目的の治療で、根治、つまり障害を治すための治療でありません。残念ながら現在の医学の水準では、発達障害を根治する治療はありません。ただ、適切なタイミングと種類、量のお薬を使うことで、その症状を緩和できる場合があります。どんな症状に対してお薬が使われるの?出典 : では主にどんな症状に対して、お薬が使われるのでしょうか。自閉スペクトラム症の場合には最も効果が確かめられているのは、その易刺激性、つまり刺激に対して反応しすぎる状態に対する投薬です。日本でもいくつかの抗精神病薬が、厚生労働省からその適応を正式に承認されています。こうしたお薬は自傷や他害といった攻撃的な行動がある際に用いられますが、その効き目の見極めには大事なポイントがあります。易刺激性に基づく攻撃的な行動、例えば嫌いな音を聞いた後のパニックやイライラする状況から逃れるために人を突き飛ばすなどの行動には、ある程度効果が期待できることがあります。一方で、遊びの目的、つまり「窓ガラスを叩くといい音がして楽しいから」とか、コミュニケーションや交渉の目的で「冷蔵庫を開けさせるために家族を叩く」とかの行動には、お薬の効果は期待しにくいのです。ここを上手く見極めて使わないと、無効なお薬を飲むことになったり、大量にお薬を使って、効果よりむしろ副作用が問題になったりすることが起こってきます。結局はお薬を使う場合にも、その標的となる行動の分析が必ず必要となるのです。著しい反復的な行動に対してもお薬が使われることがありますが、この場合もその背景が重要になります。遊びの性格が強い反復的な行動にはお薬はほとんど効果がありません。もしこれを薬で止めようとすると、大量のお薬を使って、眠くてだるくて遊ぶ元気もないという状態を作ることになってしまいます。一方で不安や強迫といった、「やらないと心配」「やらないと落ち着かない」からやむを得ずやっているという、繰り返しの行動には時にはお薬が有効な場合があります。その他、睡眠の障害やカタトニアなどの症状に対して、それぞれの状況にあったお薬が使われることがあります。これらの場合にも有効な場合とそうでない場合の見極めが必要ですので、主治医にご相談いただくとよいでしょう。また注意欠如多動症(ADHD)に対しても、お薬が使われることがあります。実はADHDの治療薬は、あらゆる精神科のお薬の中でも一番効き目が確かなお薬の一つです。投与するとかなり高い割合で効果を発揮します。しかしこれも対症療法に留まり、一方で副作用もしっかりあるので、使いどころを見極める必要があります。どんなときに「薬を使う」という決断をすれば良い?出典 : さてそれでは、どんなときにお薬を使うことを考えればよいのでしょうか。発達障害そのものへの投薬は常に対症療法であるため、発達障害があること、それだけでは投薬の対象にはなりません。必要な対応や環境の調整をして、それでも本人の苦しさが続くとき、またいろいろな対策を講じていてもどんどん環境との不適合が増しているときは、お薬をつかうことを考えても良いでしょう。自分の場合には、「人生の中で嫌いなもの・ことがどんどん増えているとき」というのを一つの基準にしています。またお薬以外の方法をとることがそもそも難しい場合も、投薬を考えることになります。家庭の状況に全く余力がないとき、家族に他の危機が訪れているときなどには、時期を限ってお薬を使うこともあります。もう一つ、これは発達障害に対する投薬ではありませんが、併存する他の精神疾患がある場合には、当然その治療薬を使うことになります。また最も大切で難しいのはお薬のやめどきです。これについては、常に止めることを考えながらお薬を使う、というのがおそらく正解であると思います。減薬や中止のチャンスを常にうかがっていないと漫然とお薬を使うことになってしまいます。・標的となっていた症状が改善してきたとき・環境との不適合が小さくなってきたと感じられるとき・他の支援がうまく回り始めたときなどが、お薬を減らす・止めるチャンスです。ただし急な中止や減量によって逆に有害な症状を来すお薬があるので、減量、中止の際には必ず医師と相談してください。
2016年10月14日発達障害の大人が医療機関を利用するとき、どんな問題が生じるか出典 : 児童精神科医の吉川徹です。これまでの連載では「発達障害と医療」をテーマに、医療機関や診断を受けるタイミングなど、様々な角度から執筆させていただきました。今回は、発達障害と医療の問題を考える際に特に悩ましい、成人された方の医療の利用についてです。この問題は大きく分けて、●子ども時代から大人への医療の引き継ぎ(移行医療)の問題●成人期になって初めて、発達障害を主なテーマとして医療を利用するときの問題の2つがあります。大人になってもスムーズに医療機関を受診し続けるには出典 : 近年では子どもの発達障害を診療できる医療機関はかなり数が増え、診断を受けている子どもも急増しています。こうした子ども達はいつ大人の医療に移行していくのか。これは遠からず全国的に問題になることは目に見えています。子ども時代に診断を受けた方のうち、大人になっても医療が必要な方は、実はそれほど多くはありません。ただ継続した投薬が必要であったり、前回の記事にあるような診断書が必要であったり、どうしても医療のサービスを継続して利用する必要がある方もいらっしゃいます。特に小児科で診断、治療を受けていた場合、必然的に移行が必要となることが多いです。児童精神科などの場合では、医療ニーズが高い場合には継続して診療を受けられることもあるでしょう。最近では発達障害の診療に対応できる、成人の医療機関も増えてきています。成人医療への移行に備えて、地域の医療事情について早めに情報収集を行っておけると安心です。移行が必要になる時期はおおむね15歳〜20歳前後であることが多いのですが、できれば20歳ごろ、総合支援法医師意見書と障害基礎年金の診断書が揃っていると、後の移行がスムーズです。その時期の移行が可能かどうか、通院中の医療機関に相談してみる価値はあります。大人になってから初めて発達障害がわかったとき、医師による診断が必要だとは限らない出典 : もう1つ悩ましいのが、大人になってから初めて発達障害をテーマにして、医療機関を受診する際の問題です。成人期の発達障害診療を受け入れていると広報している医療機関はまだ少なく、たどり着くのが難しい地域もあります。それ以外にも成人期の医療には様々な課題があるのです。まず、そもそも大人になった方の発達障害の確定診断を行うことは、医師にとってもかなり難しいという問題があります。発達障害の診断の多くの部分は、乳幼児期や子ども時代のエピソードの聴き取りに拠っています。成人するころまでには、養育者の記憶も曖昧になり記録も散逸しており、どんなに頑張っても診断を確定できるだけ根拠が得られないことがあります。こうなるとせっかく受診しても「特性はありそうだけれど、診断は確定できない」と伝えられてしまいます。特に専門性の高い医師ほど、正確な診断と診断基準を意識するので、このような伝え方が多くなります。乳幼児期の情報が充分得られない場合、発達障害診断のみを目的にした医療機関受診の効率は下がってしまいます。次に、不眠や不安などの発達障害以外の症状がなく、発達障害の疑いしか医療への「入場券」がない場合、医療機関への受診はそれほど実りのあるものにはならないことも多いという問題があります。成人になるまで診断を受ける機会がなかった方の場合には、当面の主要な問題は発達障害そのものよりも、不眠や不安、抑うつ、強迫症状や精神病症状などであることのほうが多いのです。このように他の精神症状がある場合には、むしろそれを入り口として、優先して相談、対応することが望ましいことが多いのです。その場合、受診できる医療機関の間口も広がるので、通える医療機関を見つけやすくなります。「発達障害の診療はしていません」というクリニックでも、通院中の患者さんの疾患の背景にある発達障害には、気づいてくれたり対応してくれたりすることもしばしばあります。この場合でも支援者の口コミなどで、発達障害の対応に慣れた医療機関を選んでおけるとなお良いですね。何のために受診するのかよく見定めて、効率的に医療機関を使おう出典 : 診断書や薬物療法が不要である場合、本人や周囲の人がその特性に気づき、実際に工夫しながら対応する中でそれを確かめることが可能であれば、発達障害の確定診断は、必ずしも必要ではありません。極めて限られた専門医療機関を別にすると、一般の成人精神科医療機関の診療の時間や構造は、障害特性そのものへの対応を相談するのには、あまり適していないことも多いのです。成人期の発達障害医療はまだまだ発展途上です、今後大きく状況は変わっていくかも知れませんが、現時点では医療機関を受診する目的をよく見定める必要があります。それは診断なのか、診断書なのか、薬物療法なのか。あるいは得意な医療機関は限られますが、自己認知の支援なのか。それともむしろ併存する他の精神疾患の診断や治療なのか。ご本人や支援者の方にはうまく見極めていただき、医療機関を効率よく使っていただけるとよいと思います。
2016年10月12日医療機関による受診が必要になる、「診断書」の取得出典 : 前回はいつ医療機関による受診をするのか・勧めるのか、というテーマでしたが、一方でどうしても受診、診断が必要なタイミングというのがあります。その代表的なものが、診断書が必要になる時期です。発達障害を持つ子どもや大人が健康に成長し暮らしていくためには、様々な支援が必要になることがあります。その入場券になることが多いのが診断書です。今回の記事では診断書が必要になる代表的な場面と、その時期を解説します。ただし、診断書を巡る状況は、地域によって少し異なることがあります。地元の支援者や先輩の親御さんにも確かめてみるとよいでしょう。18歳未満で診断書が必要となる場面出典 : 子ども時代には診断書が必要な場面は、実はあまり多くありません。知的障害を伴う方の場合、愛の手帳や療育手帳などと呼ばれる知的障害の福祉手帳の取得には、原則として医師からの書類は必要ありません。地域の役所の窓口から申請でき、その手帳があることで多くのサービスが利用可能です。以下では、医師の診断書が必要となる場面をご紹介します。知的障害の手帳の対象ではない場合、精神保健福祉手帳という精神障害の福祉手帳を取得することがあります。子ども時代の取得はまだ多くはありませんが、だんだんと取得する方が増えているようです。精神保健福祉手帳の取得には必ず医師の診断書が必要となります。子ども時代の取得にはそれほど多くの利点はありませんが、必要であれば診断書の発行を受けることが可能です。福祉手帳の取得をしていない場合、児童福祉法に基づくサービスを利用するための「受給者証」を発行してもらうために、医師の診断書が必要となる地域があります。制度本来の主旨からするといかがなものかと思うのですが、残念ながらそのような運用が広がってきているようです。また地域によっては、通級指導教室や特別支援学級などへの入級にあたって診断書を求められることがあります。幼稚園などの場合でも、園への助成金などの支給のために、診断書の提出を求められることがあります。これも文部科学省などが通達している特別支援教育の方向性からすると、本来あってはならないことだと思うのですが、残念ながらそのようなルールが設定されている地域もあるようです。また障害の状態によっては、特別児童扶養手当の支給対象となることがあります。やや厳しい世帯の所得制限などもありますが、支給にあたっては医師の診断書が必要です。18歳以上で診断書が必要となる場面出典 : 歳以上になったときに、障害者総合支援法による様々な福祉サービスを受けるためには、診断書ではないのですが、「医師意見書」が必要になります。また20歳になると、障害基礎年金の対象となる方も出てきます。障害年金の受給には必ず医師の診断書が必要です。この中で特に注意しなければならないのが、子ども時代に医療機関を受診し診断を受けた後、経過が順調な場合、特に身近で適切な支援が受けられている場合です。このとき、どこかの段階で医療機関の受診が不要になり、通院を止めていることが少なくありません。しかしその場合であっても、18歳以降に福祉サービスの利用の可能性がある場合、障害基礎年金が受給できる可能性がある場合には、それに備えて少なくとも1,2年前からは通院医療機関を確保しておいた方がスムーズです。初診でいきなり診断書の発行を受けることは困難です。16歳、17歳という年齢であれば、成人の精神科医療機関に受診できるので、通院先の選択肢は格段に広がります。初診には予約が必要であることもありますので、将来の診断書の発行に備えたいという受診の意図を伝えて、事前に確認しておくとよいでしょう。この他、就労支援を受ける際に医師の意見書を求められたり、障害が重度である場合には特別障害者手当の受給のためにも診断書が必要となったりします。必要な時期に診断書の発行が受けられるように情報収集しておけるとよいですね。
2016年10月10日発達障害の疑いがあるとき…医療機関を受診する適切なタイミングはいつ?発達障害の疑いのある方、またそのようなお子さんがいる保護者の方で、「医療機関をいつ受診するか」にお悩みの方もいらっしゃるかと思います。また、「発達障害の存在が疑われる子どもに医療機関の受診をすすめる際、どんなタイミングがよいのでしょうか」というのは、支援者の方もしばしば口にされるご質問です。発達障害のある子どもの場合であれば、保護者は様々なプロセスを経て、子どもの発達特性に気づき、その特性と長くつきあっていくための準備を進めます。その過程は男女が出会って、結婚に至るプロセスに少し似ています。Upload By 吉川徹このプロセスは、もちろん全てをたどっていく必要はありませんし、正しい道筋というものもありません。最近では結婚式を挙げない人も増えてきました。どうしても診断書やお薬が必要でなければ、かならずしも確定診断を受ける必要はないのです。ただ、もしできることであれば、発達障害の特性とずっとつきあっていく準備がそれなりに整った段階で、医療機関の受診ができると、きっとよい節目になるでしょう。医療機関を受診する前の大切なプロセス「障害とつきあう準備」は、どうすれば整うのか出典 : では、「発達障害とつきあっていく準備」はどうすればできるのでしょうか。前回の記事でも触れましたが、診断を受ける前の支援が大切になってくると私は考えています。最初に発達障害の特性に気づいた誰かが、診断を受ける前から上手く支援を始めて、医療による支援へと繋げてくれる。そうすると保護者は、子どもの特性に合わせた関わり方をすると、少し物事が楽になる、前に進みやすい、という感覚をもつようになります。このように、保護者が発達障害とつきあう準備ができていたほうが、診断は正確になり、その後も医療のサービスを最大限有効に使えることになります。もしもその準備が整っていない段階で、「あなたの子どもさんは発達障害の疑いがあるので病院に行って下さい」と言われてしまったら、何が起こるでしょうか。おそらく、一部の保護者は「絶対に障害だと言われたくない」と思って病院の門をくぐります。そうすると、「赤ちゃんの頃は?」「普通でした」「保育園では?」「年少さんは問題ありませんでした。年中になってから行くのを嫌がるようになりました」「ああ、それはきっと担任の先生が……」といった、診断に結びつかないやり取りになってしまいがちです。発達障害の診断には、もちろん子ども自身の状態の観察なども参考になりますが、それまでの発達の経過、道筋の情報が極めて重要です。ここが上手く聞き出せないと見落としや誤診に繋がってしまうのです。「『仮に』理解して、『実際に』支援する」。これはある児童精神科医が編集した書籍の副題ですが、とても良い言葉だと思います。支援を始める時に診断は不要です。まず特性に気づいた人がその「仮の理解」に基づいた支援を実際にやってみる。それが上手くいったときには、その子どもが少数派のものの見方、感じ方、考え方の道筋を持っていること、その理解に基づいた支援が上手くいったこと、その特徴がいわゆる発達障害の特性であることを保護者に伝え、専門機関を受診することで、より効率のよい支援ができる可能性があることを伝えます。準備段階の支援がうまくいかなかったときには出典 : もし最初の支援が上手くいかなかった場合はどうすればよいのでしょうか。その時には「仮の理解」に基づいて援助してみたが上手くいかなかったこと、更にほかの「理解」や援助の方法を見つけるために専門家への相談、受診が望まれることを伝えられるとよいでしょう。このときに必要なのは、受診を勧めようとする人が、子どもの特性を理解しようとしてくれて、実際に手を動かしてくれる、信頼できる人だと保護者に思ってもらうことです。診断を受けても、その支援者が引き続き関わってくれると安心できるとき、保護者は「本当は障害なんて言われたくないけど、あの先生が勧めてくれるなら」と思って、診察に臨むことができるのではないでしょうか。いつ受診を勧めるのか、その答えは、勧める人と勧められる人の間に少し信頼関係が出来てきたとき、ということになるのでしょう。
2016年10月07日発達障害の診療のための医療機関にはどんなものがある?それぞれが担う役割は?出典 : これまでの記事では、発達障害のための医療機関が少ない原因や、医療機関でできる支援についてお話させていただきました。今回は医療機関の種類をご紹介していきます。発達障害の診療に携わる医療機関には様々な種類がありますが、その分け方も色々あるのです。医療機関の種類というと、もちろん小児科や精神科などの診療科による分類が思い浮かぶのですが、今回の記事では別の切り口で分けてみたいと思います。いくつかの医療機関は日本の、時には世界の発達障害研究を担っていく役割を持っています。こうした先進的な医療機関にかかると厳密な手続きを経た診断が受けられたり、他では利用できない治療法が使えたりすることもあります。日本の、世界の発達障害支援の質の向上に貢献できる可能性があるというメリットもあります。一方でこうした機関の医療者は診療以外の業務が多く多忙です。また機関の数も限られるので、通院時間が長くなるなどアクセスも良くないことが多いでしょう。また研究途上の新しい治療には、確かめられていないリスクも伴います。良くも悪くもハイリスク、ハイリターンな選択です。その他に、地域の中核的な発達障害診療を担っている医療機関もあります。小児や障害者の病院、療育センターに附属している診療所などがこうした役割を担っていることが多いでしょう。こうした機関の専門性は高く、既存の診療技術に限って言えば、研究機関と比べても遜色がないことが大半です。また入院治療の機能を持っていることもあります。一方でこうした医療機関は比較的広域(都道府県単位)などから患者がきていることが多く、地元に密着した支援機関や学校の情報などはやや医療者に集まりにくくなります。また地域への医療サービス提供の責任を負っているので、新規患者優先、診断と投薬優先になりがちです。発達障害専門の小児科や児童精神科のクリニックなどを中心とした地域密着の医療機関も増えてきました。こうした医療機関は医師によっては、非常に高い専門性を持っていることもありますし、アクセスも良く比較的患者数も少なく、丁寧な診療が可能であることもあります。また何よりも地元の情報が集まりやすいことがメリットです。ただし地域によっては医療機関の不足のため、こうしたクリニックが中核的医療機関の役割を担わざるを得なくなっていることもあります。また最近では、地域のかかりつけ医、つまり一般の小児科医や内科医の役割にも注目が集まっています。こうした医療機関は、発熱やワクチン接種などの日常の身体的な問題に対応できるのはもちろんですが、典型的な事例の診断や専門的な医療機関での診断後のフォローアップなどが期待されています。平成28年度からは厚生労働省によるかかりつけ医向けの発達障害の診療研修も開始されました。こうした医療機関は極めてアクセスがよく、また発達障害の特性を知ってもらった上で、身体医療が受けられるという大きなメリットがあります。医療以外の支援者に恵まれている場合、医療の役割は限られるので、必要な時にかかりつけ医に相談するというスタイルでも、充分に対応が可能である場合があります。年齢の高い方の場合、成人の精神科医療機関も受診先の候補になります。現状では全ての精神科医療機関が発達障害の診療に対応できるわけではありませんが、着実にそうした機関は増えています。こうした医療機関のメリットはアクセスの良好さと、何よりも併存する他の精神疾患への対応への熟練度と手立ての豊富さです。ただし構造的に成人精神科の診察時間は短いことが多いので、それに合わせた受診の工夫を考えておく必要があります。医療機関に迷ったら、身近な支援者に相談を出典 : こうした分類は医療機関の看板に書いてあるわけではないので、利用者の方からは見分けにくいかもしれません。受診の前に保健センターなどの身近な支援者や、先輩の親御さん、ペアレント・メンターなどに受診先を相談するのはよい方法です。最後に、多くの種類の医療機関があるので、専門機関のいいとこ取りをしたい、かけ持ちをしたいという気持ちはとてもよくわかります。しかし極めて恵まれた一部の地域(ほんとにそんなのところが日本にあるのでしょうか……?)を除けば、現状ではそれはマナー違反であると考えるべきでしょう。必要な人が、少しでも早く、少なくとも正しい診断と診断書、時には薬物療法にたどり付けるような気遣いができる、余裕が持てるとよいですね。
2016年10月05日発達障害のある人のため、医療機関ができること出典 : 年現在、多くの地域で、発達障害の診療に携わっている医療機関は著しく不足しています。医療従事者、それを利用する他領域の支援者、時には本人やご家族も、限られた地域の医療資源をできるだけ効率よく活用することを考える必要があります。発達障害のある本人や家族には様々なサポートが必要です。その中には医療機関が提供できる、提供しているものもたくさんあります。その代表的なものを挙げてみます。Upload By 吉川徹けれどもこの中で、どうしても医療機関でなければ提供できない支援というのは、実はあまり多くありません。そして、医療以外でも提供できる支援は、実は他の領域の支援者の方が、有利であったり、得意であったりすることも多いのです。医療でなければできない発達障害支援は何か出典 : 医療でなければ提供できない支援の一つは「診断」です。一方で、広く診断といったときに、その人に発達障害の特性があるのかどうか、発達障害の特性を考慮に入れた支援が有効であるのかどうかという「見立て」は、必ずしも医療機関のみでなされているわけではありません。むしろ本来はこうした見立ては、保健、教育、福祉などの領域でも必要になってきますし、仮に医学的診断を後に受けるとしても、それより前から見たての作業が始まっていることが望まれます。また、「見立て」に限られた時間しか充てられない医療機関に比べて、生活を共にする時間が長い人は、そもそもとても有利でもあるのです。ここは医師の間でも見解が分かれるところなのですが、自分は発達障害のある人すべてが、医療による診断を受ける必要は必ずしもないと考えています。ただし見立てや診断において、どうしても医療機関が必要になる場面があります。それは、・患者の困りごとが、発達障害以外の他の疾患から起こっている可能性を見極め、排除する必要がある場合・患者の困りごとの背景にある疾患を診断する必要がある場合上記の2点です。特に生物学的な検査が必要である場合、医療抜きにこれを行うことはほぼ不可能です。発達障害によく似た状態を示す疾患はたくさんありますし、また発達障害のある人には、脆弱X症候群やダウン症など様々な障害が背景にあることも少なくないのです。このため、何らかの点で典型的ではない、他の際だった特徴のある人の場合、医療機関を受診しておくメリットは大きくなります。そして診断書の発行も医療機関の重要な役割であり、優先度の高い仕事です。一般に医師は診断書の発行を面倒がる傾向があるのですが、これはどうしても医師免許が必要であり、医師が(好まずとも)独占している業務なので、嫌がらずにやらないといけないと自分に言い聞かせています。そしてもう一つ、どうしても医療でないとできない業務は、処方箋の必要な薬物を使うことです。これは当然ですが、では処方箋のいらないお薬、サプリメントはどうか、ということになります。しかし、これらの中に現時点で効果と安全性が実証されているものは、ほぼありません。医師と相談せずに使うことは更におすすめしにくいので、できればそこも医師と相談できると手堅いでしょう。結局、どうしても医療でないとできない主な支援は、診断、特に診断書の発行と薬物療法ということになります。医療でも出来る支援には、他に幾つもありますが、その優先度は低くなります。医療機関が不足している地域では、医療資源はまず診断と投薬のために活用する、その姿勢が求められています。医師の側もその業務を独占している以上、優先的にそれを提供する義務があると言えるでしょう。医療の強みは、卓越した経験と専門性にある出典 : それでは診断や薬物療法以外には、医療のアドバンテージはないのでしょうか。医師の立場からすると「それはある」と言いたくなるのですが、実際にはどうでしょうか。一つには、医師、特に発達障害を専門とする医師は、他の領域の支援者と比べても桁違いに多くの事例に接しているということがあります。一人の専門の医師が同時に診療している発達障害の患者さんは、数百人から時には千人を越えることがあります。医師人生の中で会ってきた患者は数千人ということも珍しくありません。そして多数例の報告に基づいた研究論文がたくさんあるのも医療領域の大きな特徴です。また多くの医師は、ライフステージをまたいで、患者さんに関わり続けています。幼児期早期に受診した子どもが成人し、時には老年期まで診療することがあります。自分一人でそれを見届けることができなくても、連綿と書き綴られたカルテから、比較的若い医師でも目の前の患者の若い頃の姿を確かめることができるのです。多数の患者に関わる医師は、残念ながら養育者や他の領域の支援者に比べると「その子自身」の専門家になれる機会は限られます。そのかわり「自閉スペクトラム症」の専門家、「注意欠如多動症」の専門家などには、なりやすい立場です。多くの例に長く関わっているからこそ、行いやすい見立てや助言があります。それは例えば、・将来を見越して今優先すべき支援の領域を考えること・本人や家族のリソースの配分を考えること・進路の決定などの場面でのアドバイスです。このように医療による支援のなかには、医療でないとできないこと、医療でもできること、そして医療が得意なことと苦手なことがあります。皆さんにはこうした医療による支援の特性をうまく理解して頂いて、上手につきあっていただきたいと思います。
2016年10月03日『100歳の精神科医が見つけた こころの匙加減』(髙橋幸枝著、飛鳥新社)は、数えで100歳になるという精神科医が語る人生訓。といっても、単に「100歳だから」という数字の問題だけではありません。高等女学校卒業後に海軍省のタイピストとして勤務したのち、中国・北京で日本人牧師の秘書として勤務。そうした経緯を経て医学部受験を決意し、勤務医としての経験を積んだあと、1966年に「秦野病院」を開院し、院長に就任したという人物なのです。そのぶん、私たちに学べることが多々あるということ。そしてタイトルにもあるように、人生について考えるうえで著者が重視しているのは「匙(さじ)加減」です。■人生は匙加減を見極めることが大事どんなことにも適度な塩梅、つまり「匙加減」というものが存在すると著者はいいます。それは人生にも当てはめることができるもので、つまりそれらをひとつずつ見極め、把握していくことこそが、「生きる」という営みだというのです。そもそも匙加減とは繊細なもので、そこには難しさがつきまとうことになるそうです。そればかりか、人それぞれ微妙に異なってもくるため、二重に複雑になるということ。だから「匙加減をうまく見極めようと思ってもお手本などはないだけに、誰かを真似ることはできない。けれども、自分の軸が1本しっかり貫かれていたなら、言動も一貫してくるものだ」と著者は主張します。■昔のがん告知はかなり苦労があったところで近年は、日本人の2人に1人が、がんで逝く時代となっています。そうであるだけに、ますます大切になっているのは、がん患者さんへの心のケアです。ましてや著者が若かったころは、治療法がまだ少なかったこともあり、「がん=死」というイメージが強かったといいます。そのためか、「がん告知」はいまよりデリケートな問題だったのだそうです。著者が医師の仲間に聞いた話によれば、昔は「患者さんご本人に、がん告知をしない」のが常識だったというのです。そこで医師は患者さんのご家族と綿密に打ち合わせをして、「いかに本人にがんであることを悟らせないか」、心を砕いていたのだそうです。もちろんいまでは、患者さんご本人にきちんとがんの種類などについて説明し、治療方針を決めることが常識になっています。とはいえそれは、がんの治療法が進歩したことの裏返し。昔とくらべれば「ありがたい」というだけのことです。ただし、いくら「時代が変わって医療が進歩した」と説得されたとしても、「がん」と診断されれば、不安や恐怖を伴う大きなストレスになったとしてもそれは当然のこと。そこで著者が引き合いに出しているのは、知人についてのエピソードです。■がんと仲よく生きれば気持ちも楽!その人は「がんの治療を10年続けてきたけど、大きくもならず、特別変わりないので、薬も治療もやめた」と話してくれたというのです。著者は「私はがん治療が専門ではありませんが」と前置きしたうえで、その知人の気持ちは勇気ある素晴らしいものだと感じたのだそうです。がんに無闇に抗わないことで、がんが静かになるかもしれないということ。事実、その知人は、まさにそんな状態なのでしょう。がんと仲よく生きることも大切ですし、そうすることで患者さんの気持ちも楽になるということです。著者の専門分野である精神科の治療においては、「苦しみをよく聞いてあげること」がなにより大切なのだといいます。たしかにそれは、医学的には正しい態度なのでしょう。しかし、そのことを認めたうえで、著者は実際には「苦しみをよく聞いてあげる」だけでは足りないと指摘してもいます。なぜなら、ひとつひとつ異なる問題すべてを「こういう場合はこうしましょう」というようなマニュアルで解決できるはずがないから。■心の匙加減は百人百様なので難しいそこで、「匙加減」を意識することが大切だというわけです。ご存知の方も多いと思いますが、「匙加減」とは、もともと薬の「分量」を測るときに用いた言葉が転じて、あらゆる場面で使われるようになったもの。細かな配慮や集中力などが求められるということで、だから「心の匙加減ほど、難しいものはない」もの。100歳を超えるいまも、「心は百人百様である」と痛感しているのだそうです。*柔らかな言葉で綴られているものの、そこに深みを感じずにはいられないのは、根底に100歳の人生の重みがあるからなのでしょう。人生に迷ったとき、ふとページを開いてみるといいかもしれません。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※髙橋幸枝(2016)『100歳の精神科医が見つけた こころの匙加減』飛鳥新社
2016年09月26日遠隔診療でオンライン通院愛知県名古屋市の佐井泌尿器科・皮フ科クリニックでは、7月5日より、遠隔診療を導入した外来の受付を開始している。このシステムの導入にあたっては、株式会社メドレーが提供している「CLINICS(クリニクス)」というオンライン通院システムを採用している。愛知県の泌尿器科クリニックとしては初めての導入事例となる背景には、現在の多忙過ぎるサラリーマンなどに配慮した結果がある。というのは、今回のオンライン通院で提供する予定の診療メニューは、ED(勃起障害)、AGA(男性型脱毛症)、そして女性びまん性脱毛症であり、これらの治療には定期的な通院が不可欠だという。さらにこの病気の患者傾向をみてみると、30~50代に増加傾向だ。つまり、一番働盛りで忙しいために、最初は受診したとしてもそのうちに通院を諦めてしまったり、最初から諦めてしまう人が多いという状況を打破するためなのだ。厚生労働省も推奨実は、オンラインを活用した遠隔診療の分野の促進は、厚生労働省も推奨している。もとは、離島など遠隔地にいる患者と医師をつなぐための遠隔診療に対する解釈であり、遠隔地意外ではこのシステムを導入することを原則禁止していた。しかし2015年8月に解釈を変更し、遠隔地だけではなく、患者側の希望があり、かつ患者側の利点があれば、対面診療と組み合わせることで他の医療機関も導入しても良いという方針に変わったという。しかも、処方した薬についても、予約時に登録した住所に配送してくれるというから、大変便利なシステムではないだろうか。ストレス社会に救いの手今の社会は特にストレス社会と言われ、ただ生活をおくるだけでも過酷な精神環境、また紫外線の増加など過酷な自然環境下で生活している。女性の脱毛症が増加しているのは、そういったことも要因の一つとみられている。今回の愛知県での導入事例が全国に展開していく日も、そう遠くはないかもしれない。【参考】※株式会社メドレー※佐井泌尿器科・皮フ科クリニック※株式会社メドレー プレスリリース(Dream News)
2016年07月13日こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。東京都の豊島区で『クリニック西川』を開院する精神科医の西川嘉伸先生は、その公式ホームページの中で、抑うつ状態を訴えてメンタルクリニックに来院する多くの患者さんについて、 「最近は精神科の医師による治療だけではどうにも症状が改善しない症例が多すぎる。その原因は、大半の患者さんにとっては環境要因としての“社会”そのものを変えなければどうしようもない というところにある」という主旨のことを述べておられます。つまり、「努力しているのに報われず貧困から這い出せない患者さんが多すぎて、精神医学的な治療だけでは限界がある」と仰るのです。●うつ状態の患者の多くにとって精神療法と抗うつ薬による治療だけでは解決にならない西川先生はクリニックの公式ホームページの中で、次のように述べています。**********『抑うつ状態を呈する患者さんにとってはその人を取り巻く環境の中で悪い影響を与えている因子を取り除いてその人の本来の力が十分に発揮できるような環境に作り変えてあげなければ社会復帰は困難ですし復帰したとしても容易に再発してしまいます。(中略)その環境改善が容易ではなく社会そのものを変えなければならないと感じる例が増えています。極端に言えば、山ほど抗うつ薬を処方したって到底治らない。まっとうな職を見つけてあげればたちどころに改善すると思われる方が少なくありません。(中略)日常の生活に窮して絶望の淵に立っている人が増えているのです』**********●労働の非正規化が“努力が報われない社会”を生み出す一要因であることはたしか筆者の身近にいる人たちの中にも、いわゆる“うつ”の状態が長引きメンタルクリニックの治療を受けているのにもかかわらず、なかなか症状が改善しない人が何人もいます。主に20代から40代にかけて。男性も女性もいますが、そのほとんどが非正規雇用で独身の人たち です。彼(彼女)らがとてもやさしく、真面目で、正社員に優るとも劣らない責任感をもって仕事に携わっていることを、筆者はよく知っています。その人たちが一度抑うつ状態に陥ってしまうと、その状態から脱出できない。非正社員だというだけで正社員から見下されることが原因で発症したうつ状態なら、西川医師が言うように環境を変えてやる必要があるのに、そんなことを口に出しでもしたら「非正社員の雇用契約書に“配置転換”などという優遇措置は無いよ。嫌なら明日から来ないで 」と一蹴されてしまいます。●同じ立場の恋人と愚痴を言い合うだけでも違うけれど、デートするにもお金は要る働く人の非正規化が始まったのは、1980年代に成立した“労働者派遣法”からだと言われています。その後、2000年代の製造業派遣の解禁を経て着々と進み、今ではわが国で働く人の4割以上が非正規雇用 です。非正社員の人に配置転換の道など無いというのであれば、せめて同じ立場の恋人と愚痴を言い合うだけでも精神衛生上ぜんぜん違うというもの。ところが、早稲田大学教授で『恋愛学』の権威である森川友義博士によると、『デートを重ねるにしても“お金・時間・労力”が要ります。非正規雇用で低収入の人たちにとって、恋愛はしたくてもできないというのが実情です』(朝日新聞2016年6月25日付夕刊「ココハツ」欄より)ということになります。●環境調整は家族、職場、友人、地域、行政などの協力があって初めて可能になる西川嘉伸医師は言います。『環境調整は、家族、職場、友人、地域、行政などたくさんの人や組織の協力があって初めて可能になります』しかしながら、非正社員の人が“職場”に環境調整を望んでもまず無理ですし、“行政”はそもそも労働の非正規化を積極的に推し進めてきた張本人ですから、これまでの行政府とは感性のうえでまったく違うものを選挙などを通して作り上げないことには本質的な協力は期待できないでしょう。わたしたちは、西川先生のようなかたが『精神科医による治療には限界がある。(メンタルクリニックを訪れる)患者の多くが不健全な社会によって生み出されたことを素直に認めるべきです』と仰るのを、右から左に聞き流してはいけないのだろうと思います。筆者は個人的にはここまで浸透してしまった非正規という働き方を、軒並み正社員化するということにも無理があろう と考えています。それよりも正社員が非正社員を人として尊重すること。正社員でなくても、ある程度の生活可能賃金とある程度の賞与とある程度の退職金を制度として用意することが必要ではないかと思っています。努力したって認められないという疎外感。真面目に一所懸命働いたって賞与も退職金も貰えないという絶望感だけでも改善すること。難しく長い道のりであってもそれに向けての行動を継続すること。西川医師のような尊敬すべき人生の大先輩に「精神科医の限界」と言わせてしまっては、後に続く世代の者としてとても情けないような気がしてならないのです。【参考リンク】・医療法人社団 求林会 クリニック西川()●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
2016年07月12日【ママからのご相談】引っ越してきたばかりで、まだ子どもの“かかりつけ医”が決まっていません。0歳児なのでまだ予防接種のスケジュールがたくさんあります。家の近所に小児科があり、一度予防接種に行きました。とても混んでいて待ち時間が長く、途中でぐずって大変でした。今度から、予防接種だけはもっと空いているところにしようかと悩み中です。わが子は突然の発熱や皮膚のトラブルなど心配が多いため、早くかかりつけ医を決めたいです。子育て中のお母さん方はどのようにしてそれぞれの“ホームドクター”を見つけているのでしょうか。また、ホームドクターを選ぶときに重要なポイントや注意したほうが良いことなどあればアドバイスをお願いします。●A. 信頼できて、“いつでも行ける”距離と安心感を重視して選んでみては。ご相談ありがとうございます。ママライターのあしださきです。ホームドクターの大切さを実感したのはやはり、自分が母親になってからという方が多いと思います。赤ちゃんは元気にしていたかと思うと夜中に急に高熱を出すこともあり、「よくわからないけれどとにかく泣き止まない」とか、ひどいあせもができてかゆみで全然寝てくれないなど、とにかく母親になってからというもの小児科にかかる回数がこんなに多いものだということは、私にはちょっとした驚きでした。そんなわが家のホームドクターは、家から一番近くにある小児科専門医です。自転車で5分、歩くと10分、駐車場も完備で言うことなしです。先生との関係性も良好ですし、どんなに軽い症状でも心配ならすぐに見てもらうことができます。今回はどのようにして自分と子どもにとってベストな“かかりつけ医”を見つけたらいいかお悩みのママたちに向けて、3つのポイントをご紹介したいと思います。●(1)通いやすい距離から探していく0歳児の赤ちゃんを連れて行く病院が、あまりにも遠いというのはママにとってもお子さんにとっても大変です。具合の悪い赤ちゃんはいつも以上にグズグズしますし、天候が悪いとベビーカーに雨カバーをつけて、傘をさして歩くことも考えなくてはなりません。まずは通いやすい距離にある小児科 はどんなところがあるかをチェックするといいと思います。地方自治体にもよりますが、転入届けや子育て支援の申請で区役所などへ行った際に、予防接種を実施している医療機関(主に小児科)の一覧表をいただけると思うので、それを参考に近所のお医者さんを探してみてください。車を普段からよく使っているママで、お子さんも自動車の移動に慣れているという方は、少し探す範囲を広げてみてもいいと思いますよ。この時点でいくつかの候補がピップアップされることでしょう。『株式会社オウチーノ』が2015年に、首都圏在住の20歳から39歳までで子どもがいる既婚女性534人を対象に行った『子育てと病院に関する調査』にも、このような結果が出ています。まず、「お子さんにはかかりつけ医がいますか」という質問に対して、「いる」と答えたのが79.0%。一方、「いない」は21.0%であり、約8割のお母さんはお子さんの“かかりつけ医”を見つけているということですが、「いる」と答えた人に「そのかかりつけ医を選んだ理由は?」という質問をしたところ、一番多かった回答は「家が近かったから」というものでした。●(2)経験者の声も聞いてみよう次にご紹介したいホームドクター探しのポイントは、地域密着の口コミ 。実際に口コミを得る方法は、家の近所の幼稚園などに近い公園へ遊びに行き、そこで出会ったママとお話をするというもの。『ベネッセコーポレーション』が2015年に実施した『かかりつけの小児科ってどう選ぶ?重視することを教えて!』というアンケート調査でも、1位は「ママ友の口コミ」という結果が出ているくらいですから、ぜひ参考までに考えてみてください。時間は幼稚園の登園時間後の午前9時半くらいから、もしくは幼稚園降園時間後の午後の2時半ごろが狙い目です。その時間の公園は子どもを遊ばせているママさんたちでいっぱいでしょう。幼稚園ママたちは地域に密着した生活をし、日々情報を更新しながら子育てしています。上に小学生の兄弟がいるママさんは子育てのベテランですし、下のご兄弟がいるママは「小児科通いは日常茶飯事」という方が多い。あなたがもし、「引っ越してきたので小児科を探しています」と相談したら、通っている小児科や他にも知っていることを教えてくれるはず。ただし、実際に通っている人の話というのは私見が入ってしまう危険性もありますから、できれば何人かに聞いてみることがオススメです。このあたりで、だいぶ候補が絞り込まれることでしょう。●(3)先生との相性は大切、しかしそれだけでない部分も要チェックよく人間関係では「相性が合う、合わない」という言い方をすることがあります。かかりつけ医との“相性”に関しては、ほとんどがお子さんとお医者さんではなく、母親とお医者さんのことを指している場合が多いのですね。人は、誰かと接するときには相手に優しくしてもらいたいと思います。しかしながら、評判の良い小児科は混み合っていることが多いので、お医者さんも看護師さんも気持ちの余裕がなく、冷たい態度で接してくることはよくあることです。アドラー心理学というユニークな心理学の提唱者、アルフレッド・アドラーはこのように述べています。**********『他者は、あなたの期待を満たすために生きているのではない』**********つまり、相手には相手の価値観があることを否定することなく、自分と相手との人間関係に光を見出すことを重要と考える、ということではないでしょうか。何が言いたいのかというと、評判の小児科を実際に受診してみたときに見るべきは、先生の態度や物の言い方ばかりではない 、ということです。「お子さんを診ているとき、聴診によく時間をかけているかどうか」や、「発熱の時間や気になる症状の有無について質問してくれていたか」といったポイントを重視してみてください。「子どもの小さな異変も見逃したくない」という気持ちでいるお医者さんはとても信頼できると思いますよ。----------いかがでしたか?この3つのポイントを参考に、良いホームドクターとの出会うことができますように!【参考リンク】・約8割もの母親が、子どものかかりつけ医を決めている! | 株式会社オウチーノ()・かかりつけの小児科ってどう選ぶ?重視することを教えて! | ベネッセコーポレーション()●ライター/あしださき(元モデル)
2016年06月27日通常であれば1カ月に1回、女性に訪れる生理。生理前を含めると、1週間前後は生理に伴う不調に悩まされているという人も多いだろう。さまざまな対処をして乗り切るわけだが、その1つが「ピル」。ピルは避妊効果が高いことで知られるが、服用することで、月経前症候群(PMS)や生理痛も軽くなる場合がある。今回は、ピルや生理にまつわる疑問について、婦人科の船曳美也子医師にお聞きした。このほか「生理中でも妊娠する? 」「生理前に性欲が高まるのはなぜ? 」といった疑問については、過去記事を読んでみよう。Q. 女性がピルを飲んでいれば、男性がコンドームを着ける必要はありませんか?排卵を起こさない作用のあるピルは、避妊効果が99%以上と高いので、コンドームより確実な避妊法です。個人差はありますが、PMSや月経痛の緩和も期待できます。ただし、ピルだけでは性感染症(STD)の予防はできません。特に多いのがクラミジア感染症。半数以上が無症状ですが、不妊の原因になります。これを防ぐためには、コンドームしかないですね。Q. 月経血量が少ないときは、生理用品を交換しなくても大丈夫ですか?月経血が少量でも、血液は雑菌の栄養源になりますので、生理用ナプキンやタンポンなど生理用品のこまめな交換は必要です。例えば、タンポンを入れたままにしていて雑菌が繁殖してしまうと、それが血液に入って、生命も脅かすような「トキシックショック症候群」(いわゆる「タンポンショック」)を発症することもまれにあります。実際、取り忘れのタンポンは強烈な悪臭がします。血液が少量でも、生理用品はこまめにかえるようにしましょう。Q. 生理中、湯船につかるのは避けたほうがいいですか?子宮は、長さ7センチなのに容量は3cc程度しかない、ペットボトルのような形をしています。膣の奥にある子宮の入り口が、ペットボトルの口にあたります。口の厚みは3センチほどありますが、口の内径は1ミリ程度です。普段その口は粘液栓でふさがれていますが、月経中は、はがれた内膜がそこから出てきます。特別に加圧することがなければ、普通の入浴で、お風呂の水が腹腔内に入ることはまずありませんので、湯船につかるのも問題ありません。Q. 生理中に激しい運動をしてもOKですか?月経中の運動も特に制限はありません。ただし、1回の月経で20~140ミリリットルの血液が失われます。普段から貧血ぎみの人は、激しい運動は控えた方がよいでしょう。※画像と本文は関係ありません○取材協力: 船曳美也子(ふなびき・みやこ)1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。2013年10月9日、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書『女性の人生ゲームで勝つ方法』(主婦の友社)を上梓。En女医会にも所属している。En女医会とは150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。
2016年06月27日生理前・生理中の女性の体には、肉体的にも精神的にもさまざまな変化が起こっている。その変化に敏感になり適切な対処をしないと、日常生活に支障をきたすこともあるだろう。前回に引き続き、誤解しがちな生理の疑問について、婦人科の船曳美也子医師にお聞きした。女性は自分の体のために、男性は周りの女性のことをより理解するために、正しい知識を押さえておこう。Q. 生理前に性欲が高まるのはなぜですか?生理的な性欲は「リビドー」といわれ、女性も男性も男性ホルモンによって生じるものです。女性の男性ホルモンは、卵巣と副腎でつくられます。特に月経前の卵巣は黄体ホルモンを出すのですが、この黄体ホルモンが男性ホルモンをつくります(最後に、女性ホルモンに変化します)。ですので、月経前にリビドーが亢進(こうしん)するとすればホルモンの影響と言えるでしょう。排卵前は女性ホルモンだけが亢進しますが、月経前は黄体ホルモンも女性ホルモンも亢進します。ただ、黄体ホルモンの分泌も日内変動があり一定ではないこと、そして女性の男性ホルモンの量は男性の5~10%程度で非常に微量であることから、リビドーと月経時期の関係は必ずしも一定ではないかもしれません。Q. 生理中にセックスをしても大丈夫ですか?月経中の性交は特に問題があるとはいわれていません。ただ、月経血が子宮から出ているということは、雑菌も入りやすいと考えられるので、清潔にはしてほしいですね。また、生理中でも妊娠する可能性はあるので、妊娠を望んでいない場合は、しっかりと避妊をしましょう。※画像と本文は関係ありません○取材協力: 船曳美也子(ふなびき・みやこ)1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。2013年10月9日、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書『女性の人生ゲームで勝つ方法』(主婦の友社)を上梓。En女医会にも所属している。En女医会とは150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。
2016年06月24日女性にとって、生理(月経)に関する悩みは尽きない。女性ホルモンの変化により、生理前は「月経前症候群(PMS)」といって、気分のイライラや落ち込み、胸の張り、食欲増進などさまざまな心身の不調が出ることで知られている。一方で生理が始まると、生理痛に加えて、漏れやムレ、ニオイといったトラブルが気になることも多い。中には、生理がこない(無月経)、月経周期が一定ではない(月経不順)、月経血量が多い(過多月経)といった悩みを抱えている女性もいることだろう。男性はもちろん、実は女性にとっても不可解なことが多いのが生理。今回は、誤解しがちな生理の疑問について、婦人科の船曳美也子医師にお聞きした。正しい知識を学んでみよう。Q. 生理中でも妊娠することはありますか?はい、妊娠する可能性はあります。女性の体は、妊娠するために1カ月に1回の排卵にあわせて子宮内膜を厚くしていきます。排卵を迎えても受精に至らなかった場合は、排卵の2週間後ぐらいに厚くなった子宮内膜がはがれて、血液と一緒に体外に流れます。それが月経です。月経と月経の間に排卵があることから、その頃だけが妊娠時期なのでは、と思われますよね。実際、妊娠しやすいのは、排卵日を含めた排卵前の1週間ほど。特に排卵日および排卵前2日間くらいです。ここで重要なのは、卵子・精子の生存時間や、受精・着床といったイベントに時間差があるということです。排卵後の卵子が生存しているのは24時間ですが、精子は最も長くて7日間くらい生存します。また、精子と卵子は卵管というところで出会って受精するのですが、受精した卵子が子宮に到達するのに5日くらいかかります。このことから、月経中であっても避妊せずに性交をすれば、次の2つの場合で妊娠する可能性があります。1つ目は、精子が数日生きた場合。月経血が流れていても、もし精子が卵管までたどり着けば、そこで性交の数日後に排卵した卵子と受精できます。前述したとおり、受精卵が子宮に到達するまで5日ほどかかるので、最長の長生き精子が性交後7日目に卵子と出会った場合、性交の12日後に受精卵が子宮に着床します。月経は3~7日で終わりますから、月経中の性交でも、その後の、出血していない(はがれていない)子宮内膜にもぐりこめるというわけです。2つ目は、月経のように見えて、実は排卵時の出血だった場合です。排卵前後の一時的なホルモンの変動により、少量の出血が見られることがあります。それを月経と思いこんでしまうのです。一般的には少量のことが多いですが、たまに月経とほぼ同量の出血のこともあります。基礎体温をつけていないと、排卵出血か月経かは区別できません。ここで性交があると、排卵前後なので、非常に妊娠しやすいタイミングとなります。なお、妊娠を望んでいない場合は、月経中であっても避妊はしっかりと行いましょう。※画像と本文は関係ありません○取材協力: 船曳美也子(ふなびき・みやこ)1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。2013年10月9日、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書『女性の人生ゲームで勝つ方法』(主婦の友社)を上梓。En女医会にも所属している。En女医会とは150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。
2016年06月23日「みんなの肌育」スペシャルイベント開催”皮膚科医が採用する敏感肌のためのスキンケアブランド”であり、肌悩みを持つ方から絶大なる信頼を得ている「LA ROCHE-POSAY(ラ ロッシュ ポゼ)」。そんなラ ロッシュ ポゼのママ・プレママを集めたスペシャルイベント「みんなの肌育」が3月6日(日)に開催されました!イベントには、スペシャルゲストとして皮膚科医でもあり1児のママでもある友利新先生と、プライベートでもラ ロッシュ ポゼを愛用しているという、VERYモデルでもあり、1児のママでもあるEnna(エンナ)さんが登場。友利新(ともりあらた)先生Enna(エンナ)さんお二人のトークショーでは、UV対策やPM2.5などの大気汚染とお肌について、そしてリニューアルしたBBクリームについてなど、普段詳しくわからないことも丁寧に説明してくれ、とても充実したお話でした。GODMake.モデルもメイクデモに参加GODMake.モデルの山田千尋さんも、メイクデモモデルとしてイベントに参加してきました!メイクデモ以外のイベント内容も実際に体験した山田さんは「スキンケアとベースメイクの重要性を改めて考えるきっかけにもなり、とってもタメになるイベントでした!」と大満足の様子。Ennaさんとのフォトシューティングや参加した方との楽しいお話など終止笑顔が絶えない素敵な時間になりました。乾燥肌に悩まされていたという山田さんはこの「UVイデア XL プロテクションBB」をすごく気に入ったようで、イベントが終わってからも毎日使うほど、ヘビーユーザー化しているんだとか。パワーアップしたBBクリームがスゴいそんな山田さんに、イベント後にセルフでもBBクリームでメイクをしてもらいました。こちらの「UVイデア XL プロテクションBB」は二色展開。ピンク系のお肌の方には「01 ライト」が、そしてイエロー系の方には「02 ナチュラル」がオススメ!!UVイデア XL プロテクションBB【01:ライト】・透明感のある仕上がり肌色:色白で明るい、ピンク系統の方UVイデア XL プロテクションBB【02:ナチュラル】・健康的で自然な仕上がり肌色:黄色肌の系統の方今回「SPF50+ PA++++」にパワーアップ。環境ストレスから肌を守り、敏感肌にも使えるので安心!カバー力もばっちりなので、コンシーラーなしでも綺麗なお肌に仕上がります。1本3役のクレンジングウォーターそして、お肌に悩みを抱える方に合わせて使って頂きたいのがこの「クレンジングウォーター」敏感肌にも使えて、お肌に優しいのに1度でしっかり落ちます。そして1本でメイク落とし、洗顔、化粧水の3役をこなしてくれるため、もちろんダブル洗顔不要。メイクオフ後のつっぱり感もなく、もっちりとした肌に仕上がります。(※ミセラ―テクノロジー採用)日中はBBクリーム「UVイデア XL プロテクションBB」で、メイクしながらスキンケア、夜はクレンジングウォーターでメイクオフしながらスキンケアといったように、忙しいママも、お肌悩みを抱える方も、毎日のちょっとした時間で、お肌を労われるのが良いですよね。ラ ロッシュ ポゼの詳細はコチラから
2016年03月24日●子宮頸がんや乳がん、検査の内容と適応年齢は?あなたは「婦人科検診」を受けたことがありますか? 婦人科検診とは、婦人科で行われている、子宮頸がんや乳がんなど女性に特有のがんの検査を含む検診のこと。婦人科系の病気の早期発見のために、20歳をすぎたら1年に1回程度、受けておきたいものです。まだ受けたことがないという人は、初めての検診に備えて、検査内容や注意点を知っておきましょう。○20・30代は「子宮頸がん検査」が中心検査内容は、病院や検診プランによってさまざま。20・30代の女性であれば、この年代に多い「子宮頸がん検査」を中心に、子宮や卵巣の様子を見る検診が一般的です。通常は、問診を行った後に、医師が膣内に指を入れて触診する「内診」、子宮の入り口(子宮頸部)の細胞を採取する「子宮頸部細胞診」、膣内に超音波の器具を入れて子宮や卵巣の様子をモニターに映して詳しく見る「超音波検査」という流れで行われます。プランによっては、子宮内膜症や子宮体がん、卵巣がんの有無を調べる「腫瘍マーカー」と呼ばれる血液検査が付くこともあります。前述の基本的な検診に加えて、30歳からは「乳がん検査」、40歳からは「子宮体がん検査」を受けることをおすすめします。乳がん検査では主に、X線で乳房を撮影する「マンモグラフィー検査」や、乳房に超音波をあてて異常がないかを見る「乳腺超音波検査」を行います。一方、子宮体がんの検査では、子宮の内部から細胞を採取して調べる「子宮体部細胞診」を行います。○検診前の注意点とNG行為婦人科検診をできるだけ苦痛なく受診し、より正確な検査結果を得るためには、いくつか注意したいことがあります。検診を受ける前には、次のポイントに気をつけましょう。・生理中の受診は避ける生理中でも婦人科検診を受けることはできますが、細胞診で採取した細胞を医師が顕微鏡で見る際に、血液が混ざって見にくくなることがあります。生理が終わったタイミングで受けるのがベストです。・前日のセックスは控える検診の前日にセックスをすると、膣内に精液が残っていたり、一時的に細菌が増えたりして、検査の妨げになることがあります。前日にはセックスを控えるか、コンドームを使いましょう。・ビデで膣内を洗わない清潔を心がけようと検診前にビデ(温水洗浄便座に付いている膣を洗浄する機能)で膣内を洗浄すると、細菌が洗い流されてしまい、検査のときに感染を見逃すことがあります。前日にお風呂に入って、外側をいつも通りに洗う程度にしましょう。●検診当日、「経験」について聞かれたら……○検診当日のポイント次に、検診当日に気をつけるポイントも覚えておきましょう。・リラックスを心がける内診や膣に器具を入れる際に緊張していると、体が硬くなって痛みを感じやすくなります。なるべくリラックスして力を抜きましょう。・服装はスカートがベスト検診では下着を脱ぐ必要があります。パンツスタイルで行くと、下半身に身につけているものをすべて脱ぐことになります。下着を脱ぐだけで受診できる、裾の広がったスカートがおすすめです。・セックス経験に関する質問には、正直に答える問診でセックス経験の有無を聞かれたら、恥ずかしがらずに正直に答えましょう。セックス経験がない女性は、子宮頸がんにかかるリスクは低くなりますが、子宮体がんのリスクは高くなります。また、膣が狭いために器具が入りにくいことが多いので、医師の判断によっては、器具を使用せずに細胞診をするか、極小の器具を使用して採取します。超音波検査では、肛門から器具を入れるか、お腹の上から超音波を当てて検査を行う場合があります。婦人科検診にかかる費用の目安は、子宮頸がん検査中心の基本的な検診であれば、数千円から1万円前後。乳がん検査や子宮体がん検査、診察などをプラスすると、2万円以上かかることもあります。各自治体が実施している婦人科検診では、無料または低料金で受けることができるので、自治体ホームページまたは窓口に問い合わせてみましょう。最後になりますが、特に子宮がんは、早期発見・早期治療のために、検診が最も有効といわれる病気です。適応年齢になったら検診を受けることを強くおすすめします。※画像は本文と関係ありません○記事監修: 善方裕美医師日本産婦人科学会専門医、日本女性医学会専門医1993年高知医科大学を卒業。神奈川県横浜市港北区小机にて「よしかた産婦人科・副院長」を務める。また、横浜市立大学産婦人科にて、女性健康外来、成人病予防外来も担当。自身も3人の子どもを持つ現役のワーキング・ママでもある。主な著書・監修書籍『マタニティ&ベビーピラティス―ママになってもエクササイズ!(小学館)』『だって更年期なんだもーん―なんだ、そうだったの?この不調(主婦の友社)』『0~6歳 はじめての女の子の育児(ナツメ社)』など
2016年03月18日女性のマスターベーションに関するお話を、女性の体をトータルでケアされている人気女医・松村圭子先生に伺いました。医学的な視点から見るひとりHのメリットや、オーガズムの仕組みをきちんと知ることで、自分の体とマスターベーションへの理解を深めましょう。Q. 生理前に、普段よりもマスターベーションがしたくなるのはなぜ?A.月経前になると女性ホルモンの分泌量が減少します。その結果、相対的に男性ホルモンがもたらす作用が強くなるんですね。男性ホルモンは“性欲ホルモン”であるため、女性においても普段より性欲が高まります。それによって、マスターベーションをしたいという欲求が強くなり、回数が増えるという人も多いです。Q. 女性の体にとっていいことはありますか?A.マスターベーションによって心地よい快感を得ることで、自律神経の副交感神経が優位になります。するとリラックスした気持ちになれ、ストレス解消にもつながりますよ。あとは血行が良くなるというメリットもあります。また、回数を重ねることにより、“自分がどこが感じるか”という快楽のツボを見つけられることもポイント。Q. マスターベーションをする際に気をつけることは何ですか?A.バイブやディルドなどのグッズを使うときは、衛生面に注意しましょう。使用後はきちんと洗うのはもちろん、しっかりと乾燥させることが大切なんですね。あと、生理中は体の抵抗力が落ちている時期なので、指などを入れると雑菌の繁殖を招いてしまう可能性があります。外部からの刺激にとどめ、挿入は避けましょう。Q.セックスパートナーとの関係にもたらされる“いいこと”は?A.“体にいいこと”でも少し述べましたが、マスターベーションをして自分が気持ちいいと感じるポイントを知ると、それをパートナーに伝えることができるようになります。そうして相手を上手に導いてあげることで、セックスの内容は充実し、より大きな快感が得られるようになる。彼も喜ばせられたことを嬉しく思うはず。Q. ひとりで感じられる“イク”経験。どういう状態になっているの?A.女性の体が刺激を受けて興奮してくると、まず膣周辺に充血が起こります。すると膣の入り口あたりが隆起し、約0.8秒間隔で膣周辺の筋肉がリズミカルに収縮し始めるんですね。そうした状況が続くうちに脳全体に脳波シータ波が出現、それが“イク”ことのメカニズムになります。このシータ波は、アルファ波よりもさらにリラックスした状態の脳波であるといわれています。◇まつむら・けいこ「成城松村クリニック」院長。婦人科専門医。『ずぼらちゃんのSEXバイブル』(ソフトバンク クリエイティブ)など、著作多数。※『anan』2016年2月10日号より。イラスト・中根まこと黒猫まな子文・重信 綾
2016年02月07日『オーシャンズ』の監督コンビが描くネイチャードキュメンタリー『シーズンズ2万年の地球旅行』。この度、公開を間近に控えた映画で、ネコ科とイヌ科に分類した動物たちの社会構造の比較も見て取れることが明らかとなった。本作は、2万年という悠久の時間、そこで懸命に生きる生命をドラマティックに描いた壮大な旅。総製作費40億、構想4年、400人のスタッフが最新の撮影機材を駆使し、歴史学、動物行動学、人類学、哲学、民俗学、植物学ら多くのスペシャリストと共に、氷河期が終わり、あらゆる生命が春を謳歌し始めた2万年前から現在、そして未来へと至る地球の歩みを、動物の目でとらえる全く新しいネイチャードキュメンタリーだ。日本でも大ヒットを記録した『オーシャンズ』のジャック・ペランとジャック・クルーゾ監督コンビが挑戦する、新たなる映画。日本語版ナレーションには、笑福亭鶴瓶が落語家ならではの語り口でいままでにないネイチャードキュメンタリーの世界観を表現し、女優・木村文乃は壮大な時間軸の中で、移ろいゆく自然の様子と懸命に生きる動物たちを、俯瞰の立場でナビゲートしている。今回到着したのは、本作で登場する“イヌ科”と“ネコ科”の動物たちの写真。家族をもってなんぼのイヌ科のオオカミと、一人でチャキチャキ生きていきたいネコ科のオオヤマネコ。イヌ科とネコ科の大きな違いの一つには、群れの社会構造の違いがあるという。ライオンは例外だが、ネコの仲間は単独で狩りをして、母親のみが育児をする。そのため、イヌ科動物が複数で仕留める獲物も、ネコ科は単独で捕らえるだけの高い運動能力が必要になる。一方、オオカミなどイヌ科動物は、群れをなし夫婦交代で狩りと育児を行うので、高いコミュニケーション能力が必要だ。オオカミなど群れの動物は、集団なので狩りの成功率が上がるものの、分け前が少なくなってしまう。オオヤマネコなど単独性の動物は、獲物を独占できるが、狩りに失敗すると空腹がつづくこともある。同じ生態系ピラミッドの頂点に君臨していても、それぞれに悩ましい一長一短があるというのだ。そんな動物たちの社会構造の比較が世界初の迫力ある映像で観ることができるのも本作の見所のひとつ。2万年という時を力強く生きてきた野生動物たち、そんな動物たちの姿に勇気や希望が湧いてくるかもしれない。『シーズンズ2万年の地球旅行』は2016年1月15日(金)よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年01月04日銀座三越のリモデルーー4階婦人服フロアでは、コムデギャルソン(COMME des GARCONS)、メゾンマルジェラ(Maison Margiela)、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)、サカイ(sacai)、バーバリー(BURBERRY)、といった錚々たるインターナショナルブランドが仲間入りする。今回のリモデルで、メゾンマルジェラやアレキサンダー・マックィーンなど、これまでの三越銀座店では、想像しなかったようなモード感の強いブランドも登場しているのは注目だ。また銀座四丁目に由来する「4th of GINZA」(そして4階にあるの意)は、編集型のショップ。アクネストゥーディオズ、ヌメロヴェントゥーノ(N°21)、アキラナカ(Akira Naka)、マメ(mame)など世界志向のブランドも扱う。こちらも確かに最旬のブランドが揃っている。4階の婦人服フロアを担当する渡辺恒氏は、「最旬というコンセプトの根底は3階の婦人服フロアと変わらないものの、4階フロアは富裕層に向けてグレードの高いサービスを提供していきたいと思います」と話す。銀座に路面店は数々あるものの、それらをひとつひとつ巡って欲しいものを探しているような時間はない、という顧客の「マイフロア」となりたいと渡辺氏は言う。確かに、もちろん顧客はショッピングを目的に銀座を訪れるだろう。しかし銀座には劇場もあれば、世界に名だたるグルメもある。経済的な余裕もあり、かつ社会的地位もあり、という目の肥えた顧客が集まる世界有数の場所だ。大人が過ごすには最適な場所だ。中でも、この銀座三越4階の婦人服フロアを訪れる顧客には、忙しく世界を回るというビジネスウーマンも少なくないだろう。「ですから、そうした目利きができるお客様がしっかりワンフロアでお買い物を完結することができるような品揃えを心がけました」(渡辺氏)。言ってみれば、多彩な世界の旬の洋服が一度に楽しめるストレスフリーなショッピングゾーンが誕生したのだ。当然、顧客は国内外を問わない。そうした多様な顧客からは、インターナショナルブランドへの要望も多かったという。「ぜひ一緒にやりたいと思っていたブランドさんは今回、すべて入ってもらいました」とリモデルの完成度について自信をのぞかせる。「この5年間の実績が評価されたのだろうと思います」。実は増床リモデル前、銀座三越の課題は、お客様の滞在時間が短いことだった。しかし前回の増床リモデル時に行った取り組みが奏を効して、今回のリモデルにおいては「幅広い層の集客が望める銀座三越」として認知されるようになったのだろう。また4階におけるおもてなしという側面では、百貨店らしい姿勢を打ち出している。「銀座のお客様に限らず、今の時代に“ファッションフリーク”という方はあまりおられません。服はやはり服であり、衣食住というライフスタイルの中のひとつのカテゴリーに溶け込む存在でいいのです。服によって劇的に暮らしを変えたいという発想もお持ちではないでしょう。だからこそ、我々はお客様のライフスタイルをきちんと勉強して、接客に生かすことが大切だと考えています」。例えば、4階を訪れる顧客には、ジョー マローン ロンドン(Jo MALONE LONDON)のフレグランスが人気だ。しかも今、上級者の気分は“フレグランスコンバイニング”と称した重ね付けだ。そこでブランドの販売スタッフを率いて、地下1階にあるジョーマローンのショップに赴き、この手法を勉強する。「速攻性はありませんが、そんな地道な取り組みによって銀座三越らしい接客ができるはずだと考えています。結果として、フロアがひとつのブランドとして認知いただれば幸いです」と、渡辺氏は意気込む。銀座は今、開発ラッシュと言っていいだろう。海外からの訪問客を迎えるべく、多くの商業施設がリニューアルオープンする。その中でも銀座三越は、本質的に良いものを求める上質な顧客に向けて更なる進化を遂げていくようだ。
2015年09月22日9月16日、銀座三越の3階婦人服・婦人肌着フロアがリモデルオープンする。前回の増床リモデルから5年が経過し、大きく変化したと思われるのが顧客層だ。今回のリモデルのポイントを担当マネージャーに聞いた。3階「TOKYOモード1」を統括し、「ニューヨーク ランウェイ」を担当する、セールスマネージャーの右近一成氏によれば、当時、歌舞伎座を皮切りに主要な建物の建て替えが進み、「銀座のお客様が変わる」という印象はあったものの、特にこの2、3年は、周知のように劇的に海外からの顧客が多くなった。加えて、湾岸地域の開発によって周辺3区の人口が増え、日本人の顧客もいわゆる“湾岸ファミリー”を軸とする新富裕層、中でも「消費経験が豊富で高感度な30代~40代のお客様の割合が増えた」と言う。そうした顧客層には、「このブランドでなければ嫌」といったブランド信仰は見られない。但し、目は肥えている。そこで「国内外のブランドを同列に見て、等身大のファッションを楽しみ、自分なりの審美眼を持ったお客様を対象に、東京ブランドと世界発信ブランド、それぞれを東京、銀座というフィルターを通した時、どのような編集ができるのだろうと考えて生まれたのが、今回の結果です」と右近氏は語る。変化した顧客層を背景に、3階では「最旬のTOKYOモード」と銘打ち、ファセッタズム(FACETASM)、タロウ ホリウチ(TARO HORIUCHI)といった、東京ブランドでまとめた「ル プレイス」、国内外の最旬ブランドを東京という視点で切り取る「ニューヨーク ランウェイ」という2つの編集型ショップに力を注ぐ。両ショップともに大きく変わったのは、扱いブランドのテイストの幅が大きく広がったことだ。右近氏はこれについて、テイストや用途にこだわらないミックスコーディネイトというファッショントレンド、先述した顧客層の変化とともに、顧客の志向そのものの変化を指摘する。「これまでは、コンサバならコンサバ、アバンギャルドならアバンギャルドと、年齢を重ね、ご自身の志向が固まるとそのまま、というお客様が多かったが、最近のお客様はいくつになってもトレンドを追い続けようとする」という。そこで、これまでカジュアルでスタイリッシュな品揃えだった「ニューヨーク ランウェイ」には、ポップでフェミニンなブランドが登場し、他方、「ル プレイス」には、ミハラヤスヒロ(MIHARAYASUHIRO)、タロウホリウチ、ファセッタズムなど、これまでなら銀座三越には出店しなかったようなブランドがお目見えして、よりモード感が強くなった。顧客にとっては一層、「自分で選び、コーディネイトする」楽しさのある売り場構成と言えるだろう。特筆すべきは、スニーカーを常時150足ほど展開すること。スポーツテイストのトレンドが続き、レーシーなスカートにスニーカーというコーディネイトは当たり前になっている中、これまで銀座三越としては、ナイキ(NIKE)やニューバランス(New Balance)などスポーツブランドのスニーカーを扱ってこなかったが、今回のリモデルでは、スニーカーの品揃えは圧倒的に充実することとなり、トータルコーディネイトの視点からも大きく進化している。さらに新しい試みとして、「ル プレイス」担当マネージャーの大原悠子氏は「ファッションが持つ、ワクワクドキドキという感覚が詰まったブランドを紹介していくのはもちろんだが、ただ最旬の服、つまり“モノ”が集まっているというだけではなく、コトという側面からアピールしていく」と言う。その一環として「ジャパニーズコミュニケーションステージ」なるコーナーを新設し、デザイナーの思いを伝えるイベントを企画していく。9月16日からは、コーヘン(Coohem)やユウミアリア(Yuumi ARIA)といったブランドのデザイナーの手による写真を展示する。顧客には「服の売り場に写真が並んでいる」という意外性を与えたり、あるいは服に興味を持った顧客に対して、そのデザイナーの人間性にも触れる体験を提供したりと、モノを買うだけに留まらない、さまざまな角度からのコミュニケーションを生む場と位置づけている。また、リモデルのキーワードとしてもう一つ挙げているのが「銀座のおもてなし」。最近の女性の顧客には、男性に見られるような作りや素材に対するこだわりが感じられるようになってきたことから、販売員には、モノ作りへのこだわり、モノの価値をお客様と共有し、会話を弾ませていくことを実践していくという。また外国人の顧客に向けては、店舗全体で中国語など外国語の通訳スタッフを増やすという。同フロアの「ニューヨーク ランウェイ」は、同店の中でもいち早く編集色を打ち出し、特に感度の高い女性たちに支持されていたが、右近氏は「今回のリモデルは、理想としている形がほぼ100%実現したと思う」と自負する。顧客としては、その自信に大いに期待したい。
2015年09月15日東武百貨店池袋本店(東京都)ではこのほど、大きいサイズと小さいサイズの婦人靴コーナー「サイズテラス」を2階婦人靴売り場にオープンした。同コーナーは、都内最大級の品ぞろえとする婦人靴コーナー。大きいサイズで約30ブランド・約850点、小さいサイズで約25ブランド・約550点が店頭に並ぶ。同社によると、日本人の体格が変化したことから、靴に関してもさまざまなサイズの需要が増加しているという。小さいサイズのサイズ展開は、20.5㎝から21.5cmまで。大きいサイズは、25.0㎝から26.0cmサイズを中心に一部26.5㎝、27.0cmまで取り扱う。なお、婦人靴に関する相談に対応するシューズカウンターもオープン。カウンターでは、予約をすればシューフィッターがコンサルティングするサービスを行い、注文や取り置き、修理などにも対応するとのこと。同コーナーには、フィッティングルームも新設するという。
2015年09月08日