京都府文化博物館は「琳派400年記念 新鋭選抜展」を開催する。期間は1月24日から2月8日まで。琳派とは桃山時代後期に、芸術家の本阿弥光悦によって生み出された流派のこと。華やかな意匠性を特徴とする作風は絵画にとどまらず、衣装、漆芸、陶芸、屏風、扇などの伝統工芸にも広まり、時代を超えて多くのクリエーターを世に送り出してきた。今回の展示会では琳派の美意識、精神、革新性を受け継ぎながら、そこに現代の感性を取り入れたアーティストにフォーカス。彼らの斬新な作風を紹介する他、京都府美術工芸新鋭展の受賞者による作品が展示される。更に特別展示として、京都を拠点に活躍する現代アーティスト椿昇の作品も出品される予定だ。【イベント情報】琳派400年記念 新鋭選抜展会場:京都文化博物館 4階特別展示室住所:京都府京都市 中京区高倉通三条上る東片町623-1会期:1月24日から2月8日時間:10:00から18:00(金曜日は19:30まで。入館は閉館の30分前まで)入場料:一般500円大学生400円休館日:月曜日
2014年12月16日2015年3月から5月にかけて、京都で初めての大規模な現代芸術の国際展、「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」の開催が発表された。京都市美術館の全館と京都府京都文化博物館を主会場に、2ヶ月にわたり京都市内の複数の会場で、世界の第一線で活躍する美術家約40名が、新作を中心に作品を発表する。PARASOPHIA 京都国際現代芸術祭2015のチケット情報参加作家は、北京オリンピック開会式の花火の演出を手がけた中国出身の蔡國強、京都賞を受賞した南アフリカの映像作家ウィリアム・ケントリッジ、イラン出身でベルリン在住の女性彫刻家ナイリー・バグラミアン、ベトナム出身でデンマーク国籍のヤン・ヴォーなど、様々な国籍の気鋭の美術家が京都に集う。PARASOPHIAは、paraとsophiaを結合した造語で、paraは「別の、逆の、対抗的な」という意味を、sophiaは叡智や学問体系を意味している。そしてその言葉の優しい音感は、都市・京都そのものを暗示する。今回のアーティスティックディレクターを務める河本信治は、「京都は歴史的にも、社会が激変した第二次世界大戦後から現代まで、市内の各種施設や社寺、篤志家たちが国内外の多様な芸術家たちを支えてきた土地であり、現代芸術に対しても寛容であり続けた都市です。PARASOPHIAは、明日の文化の生産と蓄積を目指す知のワークショップとして都市・京都を際立たせます。そして、幅広い層が楽しめる軽やかな外見の展覧会であると同時に、国内外の専門家たちの知的共感を集められる奥深い内容を目指します」とコメントを寄せた。「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」は、2015年3月7日(土)から5月10日(日)まで、京都市美術館、京都府京都文化博物館ほかで開催される。チケット前売り開始は2014年12月11日(木)。
2014年12月01日帝国ホテルアーケード(東京都千代田区)では12月1日から、お菓子素材で作られたアート作品を展示する「スイーツアート展2014」を開催する。会期は12月25日まで。同施設は、海外からの来賓に「雨に濡れずにショッピングを楽しんでほしい」という"おもてなしの心"から生まれた、"日本で最初のアーケード"。かつてはマリリン・モンローやベーブ・ルース等の著名人も訪れ、現在も多くの政財界の要人やハリウッドスターが訪れ、買い物を楽しんでいるという。同館内で開催される「スイーツアート展2014」は、今年で5回目となる。今回の目玉となるメインオブジェ「天界のXmasツリー」が飾られた会場では、お菓子でできているとは思えないほど精巧なスイーツアートを展示するという。また、「第5回 帝国ホテルアーケード杯『スイーツアートコンペティション』」も開催。スイーツアート30作品の中から、アーケードスタッフ300名による投票が行われ、12月12日に入賞作品を発表する。12月18日~25日には、イベント「金の天使を探そう」を実施する。館内のどこかにいる"金の天使"を見つけ、SNSに投稿するとXmasプレゼントがもらえるという。さらに同期間中は、対象店舗で1万円の買い物をするごとにもらえる抽選券を提示すると、抽選で同ホテルスイートペア宿泊券などが当たる「クリスマス大抽選会」に参加できる。同イベントは入場無料。時間は一部店舗を除き10:00~19:00(日曜日・祝日は~17:00)となる。
2014年12月01日文化庁メディア芸術祭実行委員会は、平成26年度[第18回]メディア芸術祭の受賞作品・受賞者を発表した。「文化庁メディア芸術祭」は、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰すると共に、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバル。今年度の同芸術祭には、前述の4部門に対して過去最多となる世界71カ国・地域から3,851作品が寄せられた。例年は部門ごとに大賞1作品、優秀賞4作品、新人賞3作品が選出されるが、本年度は「アート部門」の大賞が「該当なし」となったことで、同部門のみ優秀賞が5作品選出された。また、功労賞として、メディア芸術分野に貢献のあった4名を決定した。アート部門以外の大賞について、エンターテインメント部門は、スマートフォンのGPS機能を使った仮想世界の陣取りゲーム『Ingress』(グーグルズ ナイアンティック ラボズ = 米国)。同社の創業者・ジョンハンケ氏はビデオレターで「千と千尋の神隠し」や「ゼルダの伝説」、ソニーの「AIBO」など、アートやエンターテイメント、テクノロジーの世界を、新しい、革新的な方法で広げてきた偉大な業績と同列に並べたことを恐縮するとともに光栄に思います」と述べるとともに、「世界の何百万のプレイヤーたちに感謝したい」とコメントした。なお、同賞をゲームが受賞したのは、第11回の「Wii Sports」以来6年ぶりで、通算5作品めとなる。アニメーション部門では、心の傷に苦しむ少女と、彼女が空想の中に棲息する毛むくじゃらの生き物が繰り広げる、悪夢のようでありながらも美しい友情を描いた9分21秒の短編アニメーション『The Wound』(アンナ・ブダノヴァ氏 = ロシア)が受賞した。監督のアンナ・ブダノヴァ氏はビデオレターで「こんなに素晴らしい賞をいただけるなんて夢にも思いませんでした。この賞が次のプロジェクトのための力になってくれることを願っています」と感謝の意を表した。また、マンガ部門は、戦時下に見世物小屋の一座として生計を立てる異形の者たちの哀切な運命を描いた『五色の舟』(近藤ようこ氏/原作:津原泰水氏 = 日本)が選ばれた。マンガを描いた近藤氏は「原作の評価を損なわないように、マンガとしての表現をどのようにしていいのかを考え、35年間学んできたことを投入して描いたつもりです。このような形で評価して頂き、大変嬉しいです」とお礼を述べた。原作者の津原氏は、「マンガのために書いた原作ではありませんが、近藤さんによるマンガとしての的確な演出があっての結果だと思います」とコメントした。なお、各部門の「優秀賞」について、アート部門はメディアインスタレーション『これは映画ではないらしい』(五島一浩氏 = 日本)、同『センシング・ストリームズ-不可視、不可聴』(坂本龍一氏/真鍋大度氏 = 日本)、グラフィックアート、ウェブ『Drone Survival Guide』(ルーベン・パーテル氏 = オランダ)、メディアパフォーマンス『Nyloid』(コッドアクト氏 = スイス)、同『《patrinia yellow》for Clarinet and Computer』(福島論氏 = 日本)の5作品が受賞。エンターテインメント部門は、ウェブ、オープンソースプロジェクト『のらもじ発見プロジェクト』(下浜臨太郎氏/西村斉輝氏/若岡伸也氏 = 日本)、ガジェット『handiii』(近藤玄大氏/山浦博志氏/小西哲哉氏 = 日本)、映像作品『Kintsugi』(アポトロピア アントネッラ・ミニョーネ氏/クリスティアーノ・パネプッチャ氏 = イタリア)、インタラクティブインスタレーション『3RD』(ヘドウィッヒ・ヘインスマン氏/ニキ・スミット氏/シーモン・ファン・デル・リンデン氏 = オランダ)が、アニメーション部門は、劇場アニメーション『映画クレヨンしんちゃん「ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」』(高橋渉氏 = 日本)、同『ジョバンニの島』(西久保瑞穂氏 = 日本)、短編アニメーション『PADRE』(サンティアゴ・ブー・グラッソ氏 = アルゼンチン)、同『The Sense of touch』(ジャン チャルル・ムボッティ マロロ氏 =フランス)が選ばれた。また、マンガ部門では、『アオイホノオ』(島本和彦氏 = 日本)、『チャイニーズ・ライフ』(李昆武氏/フィリップ・オティエ氏/訳:野嶋剛氏 = 中国/フランス/日本)、『春風のスネグラチカ』(沙村広明氏 = 日本)、『羊の木』(いがらしみきお氏/原作:山上 たつひこ氏 = 日本)が受賞した。
2014年11月28日宇宙誕生の秘密とその仕組みを解き明かすシリーズ番組「解明・宇宙の仕組み」のシーズン3が、7日からドキュメンタリーチャンネル「ディスカバリーチャンネル」でスタートした(毎週金曜23:00~)。28日に放送される第4話「宇宙の最初の1秒間」は、複数の専門家の意見を交えてビッグバンの謎に迫る。今のところ、現在の宇宙の起源とされている現象"ビッグバン"。何千億個もの銀河やそれを形作っている材料のすべてが凝縮した小さな1点、それがビッグバンを経て一瞬のうちに宇宙へと変貌を遂げた。宇宙の最初の1秒間は、宇宙の歴史上で最も重要な時間。なぜならば、その間に空間、時間、エネルギー、物質が一瞬のうちに生まれて動きはじめたからだ。しかし、今の時間の概念では、この宇宙創生の瞬間を語ることはできない。そこで、「10億分の1秒」のような想像を絶するほどの時間を表す単位「プランク時間」が用いられる。もともと、空間と時間は限りなく小さな1点の「純粋なエネルギー」の中にあった。そしてプランク時間が動きはじめた時に空間と時間は解放され、空間が膨張を開始。ビッグバンは「空間の中」で起こったのではなく「空間自体の爆発」と考えられている。そして、物質から星や銀河を作るために必要不可欠な「重力」が発生。強すぎず弱すぎない重力のお陰で、さまざまな物質が誕生していくことになる。宇宙の数ある謎の1つが、「どこを眺めても同じような銀河がほぼ均等に散らばっている」こと。1979年に宇宙学者のアラン・グースは、その謎を解き明かす説として「インフレーション理論」を提唱した。それは「生まれたての宇宙が想像を絶する速さで膨張した」という内容で、アラン・グースは「急激な膨張が、宇宙を構成する要素を均等にばらまき、宇宙に秩序ある配置をもたらした」と考えた。このインフレーション理論から時は流れて2014年3月。南極からの観測データが科学界を騒然とさせた。それは「宇宙誕生の直後に起こったことを伝える痕跡を捉えた」というもので、観測データはインフレーション理論にほぼ合致。同理論ではほかの宇宙を発生させた可能性もあるため、複数の宇宙が存在する「多元宇宙」やわれわれと全く同じ人々が全く同じ人生を歩んでいる「並行宇宙」など、「どんな宇宙でも存在しうる」と考えている科学者も現れた。そのほか、番組ではアインシュタインの「物質は凝縮されたエネルギー」という考えが与える影響、アメリカ・ロングアイランドにある研究所での「粒子の衝突実験」、ビッグバンの解明が大きく前進した「ヒッグス粒子」についても解説している。ビッグバンを経て、陽子と中性子が原子核を作りはじめ、38万年後に原子が誕生し、そこから数億年後に原子が集まって星が生まれ、90億年以上をかけて太陽や地球が誕生。今回の番組は、この壮大な"過去"を振り返りながら「すべての運命は、宇宙の最初の1秒間で決まっていたのです」という言葉で締めくくられている。(C)2014 Discovery Communications, LLC.
2014年11月28日宇宙には必ず終わりが訪れるという。それはいつ、どのように迎えるのか。宇宙誕生の秘密とその仕組みを解き明かすシリーズ番組「解明・宇宙の仕組み」のシーズン3が、7日からドキュメンタリーチャンネル「ディスカバリーチャンネル」でスタート(毎週金曜23:00~)。14日の番組では、「宇宙の終わり」をテーマに「明日にも人類が滅亡する可能性もある」という衝撃の仮説を、宇宙学者や天体物理学者ら複数の専門家の意見を交えて検証する。宇宙滅亡の鍵を握るのは、収縮させる「重力」と時空の「膨張力」。重力が勝れば宇宙は収縮を繰り返して超高密度の火の球になり、逆の場合は限りなく冷え込んでいく。この両者の綱引きで膨張力が勝った状態を「ビッグフリーズ」、重力が勝った状態を「ビッグクランチ」と呼び、釣り合った場合はそのままの状態が保たれる。現在はこの均衡状態にあるといわれている。太陽は天の川銀河を形作る2千億個の恒星の1つにすぎず、天の川銀河も直径900億光年以上の広がりに散らばる無数の銀河の1つにすぎない。番組は、巨大な銀河から小さな原子までもが「いずれ死を迎える」と断言している。そのはじまりは138億年前。高温で高密度の小さな一点が突然急膨張をはじめた。この「ビッグバン」からすべての物が生まれ今でも時空自体を膨張させているが、絶妙な加減の重力が働いていたことから、現在まで宇宙は均衡を保っている。40年前までは、ビッグフリーズとビッグクランチのどちらも起こらないとする説が主流だったが、1970年代にダークマターが発見されたことで状況は一変する。それは光を発することも反射することも、遮ることもない謎の物質で、宇宙をつなぎとめる役割を果たす一方、破滅の危険ももたらしている。つまり、大量の物質であるダークマターが存在していることで重力が優位になり、ビッグクランチ説が有力に。ところが、90年代になると宇宙の膨張を加速させる謎の"ダークエネルギー"の存在が判明する。正体不明のそのエネルギーは物理学史上最大の謎と言われ、真空そのものに存在する。重力に反発するエネルギー、いわゆる「反重力」の作用をもたらしていると考えられており、NASAが最先端の機器で宇宙に存在するダークエネルギーの量を調べたところ、全体のほぼ4分の3を占めていることが明らかになった。しかも、そのエネルギーは宇宙の膨張に伴って増え続けているという。球を頭上に投げた時と同じように減速していくと思われた宇宙の膨張が、加速しているという現実。この物理の法則に反した現象が、このエネルギーに関係するいわれている。宇宙を膨張させるダークエネルギーの存在が分かったことから、ビッグクランチ説は消滅。空間とダークエネルギーの関係が対等なら、宇宙は一定の速度で膨張し続け、ビッグフリーズに終わる。しかし、ダークエネルギーの増加率が上回れば、別の結末が待ち受けている。「ビッグリップ」は、「すべてが引き裂かれる」という新たな説。最後の数分で宇宙のすべての星や惑星が破壊され、その残骸が小さなかけらとなる。原子が破壊され光子が残り、最終的には時空すらも引き裂き、現実が消滅。宇宙の終わりは、ビッグリップか、それともビッグフリーズか。いずれにせよ、このダークエネルギーの性質を解明しない限りは、正確な「宇宙の最終章」を描くことはできない。現在、最も有力視されているシナリオがビッグフリーズで、気の遠くなるような時をかけて、冷え切った死を迎えるというもの。それを唯一打ち消す可能性があるといわれているのが「相転移」と呼ばれる現象だ。水の温度を下げると氷になるような物質の変化を指し、真空でもそのような現象が起こり得るとされている。真空からエネルギーが相転移によって放出されると、物理の法則が崩壊。新たな宇宙の"泡"が古い宇宙を一気に飲み込み込んでしまう。ビッグバンの瞬間から、1兆分の1秒にも満たない間に何かが相転移を引き起こし、すべてを破壊しながら急激に膨張した結果、現在の宇宙が誕生したとされている。今、われわれが目にしているものは、すべてそのエネルギーが作り出したもの。古い宇宙が持っていたエネルギーは新しい宇宙を作るために使われ、残ったものがダークエネルギーとも考えられる。相転移をもたらす"泡"は宇宙を光の速さで駆け抜け、膨張する泡が届いた途端に、惑星も星雲も銀河も破壊されてしまう。そして、古い宇宙から新しい物理の法則をもった新宇宙が誕生。それは意識しない一瞬の出来事。物理の法則が変わった瞬間に、すべてが消滅する時を迎えるということになる。この相転移がいつ起こるかは想定できないが、発生確率を予測することはできる。可能性としては、100億年か200億年に1度起こるとされていることから138億年が経過した現在の宇宙で起こっていないのは幸運ともいえる。宇宙学者のローレンス・クラウスは番組の最後でこんな言葉を残している。「ダークエネルギーの正体が分からない限り、何も定かなことは言えません。宇宙の将来をはじめ、多くのことが謎のままです。だからこそ、胸が躍るんです」。(C)2014 Discovery Communications, LLC.
2014年11月13日「宇宙戦艦ヤマト」のTVシリーズ第1作をベースに、新たなスタッフで制作した「宇宙戦艦ヤマト2199」のすべてが詰まったムック本『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』が11月26日(水)に発売される。イラストギャラリーをはじめ、ヤマト第1作を現代的にリメイクしたTVシリーズ(2013年)クロニクル、10月公開の総集編となる映画「追憶の航海」解説、そして12月6日(土)公開の完全新作映画「星巡る方舟」の新設定完全紹介など、「2199」シリーズの魅力を凝縮。新作映画の総監督を務める出渕裕や、総集編のエンディング主題歌を唄う水樹奈々、中村繪里子、内田彩ら豪華声優陣のインタビューも満載で、表紙はTVシリーズのエンディングイラストを手がけた漫画家・麻宮輝亜による最新描き下ろしとなっている。現在「BOOKぴあ」では、予約購入者特典として表紙イラストのオリジナルクリアファイルがもらえるキャンペーンを実施している。■『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』2014年11月26日(水)発売1350円(税込)ぴあ<コンテンツ内容>◎「宇宙戦艦ヤマト 2199 星巡る方舟」新設定全紹介◎7大スペシャルインタビュー・出渕 裕総監督・結城信輝・宮川彬良・山寺宏一・水樹奈々・中村繪里子・内田 彩◎描き下ろしイラスト◎濃縮「宇宙戦艦ヤマト 2199」クロニクル◎「2199」プラモデル完全ガイド他※麻宮騎亜描き下ろしB3ポスター付★BOOKぴあ予約購入特典★麻宮輝亜描き下ろし表紙イラストのオリジナルクリアファイルプレゼント(送料無料)■『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』12月6日(土)より公開
2014年11月13日宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所と東北大学は11月7日、宇宙赤外線背景放射にこれまでの予測を超える大きな「空間的ゆらぎ(まだら模様)」が存在することを発見したと発表した。同成果はJAXAと東北大のほか、米カリフォルニア工科大学や韓国天文宇宙科学研究院などとの協力のもとで実施した実験によるもので、11月7日付け(現地時間)の米科学誌「Science」に掲載された。今回の発見は、アメリカ航空宇宙局(NASA)の今回の成果は、NASA の観測ロケットを用いて2009年から実施しているCIBER実験のうち、2010年7月と2012年3月に撮影した赤外線観測画像から得られたもの。CIBER実験とは、すばる望遠鏡などの大きな望遠鏡を用いても詳しく観測することが難しい初期の銀河を観測するための観測手法。近傍から遠方宇宙までの天体の光が足し合わされた宇宙赤外線背景放射をまとめて観測する。その中から、明るさ(放射の強さ)の空間分布パターンの「まだら模様」を検出することで、観測された明るさから太陽系内の影響を取り除きやすくなり、観測対象である銀河系外からの放射成分を抽出することができる。個別に分解できる前景の明るい星や銀河を取り除いた後の画像には、空間的に広がった宇宙赤外線背景放射の「まだら模様」のパターンが現れる。発見された「まだら模様」を分析したところ、その大きさが知りうる限りのすべての銀河を考慮した予測値の2倍以上も大きいことが判明。条件的に既知の天体の影響では説明できないため、未知の放射成分が関係している可能性があるとういう。同研究チームはすでに、銀河の周囲にあり、ダークマター(暗黒物質)が広く分布しているハローという領域に、銀河同士の過去の相互作用により放出された多数の星が存在し、それらの光が今回観測されたような「まだら模様」を作り出すのではないかという仮説を立てている。現在、CIBER-2が進行しているとのことで、望遠鏡の口径を3倍にしてさらに精度の高い宇宙赤外線背景放射の「まだら模様」の測定を実施する予定だ。目標は、銀河ハロー星の仮説の検証を行うとともに、その向こうに見え隠れしている宇宙初期の「まだら模様」の成分も検出することだという。
2014年11月07日ポーラ美術館(神奈川県箱根町)は11月1日、「宇宙祭」を開催する。実施期間は11月3日まで。同イベントは、2015年3月29日まで期間している企画展「紙片の宇宙 シャガール、マティス、ミロ、ダリの挿絵本」(以下、紙片の宇宙)の特別企画で、天体観測やコンサート、ワークショップなど、「アート」「詩」「音楽」をテーマにしたさまざまなイベントを実施する。1日の17時~19時には、閉館後の美術館の敷地内にて、Vixen社の天体望遠鏡を用いて夜空の星を眺める「秋の星空観測会」を実施する。当日は、天体の星々をわかりやすく解説するほか、昼間とは違う美術館の一面も楽しむことができる。参加は無料。2日の13時~14時30分には、講堂にて同館館長・木島俊介氏による記念講演会「紙片の宇宙-絵と言葉が生み出す世界(コスモス)」を予定している。同講演会では、挿絵本の魅力や歴史、企画展の見どころについて紹介する。参加は無料。2日の17時~18時には地下1階「カフェTUNE」にて、モダン・ポップ・アコースティック楽団「Banda Planetario」によるコンサートを開催する。会場は、企画展の展示作品のジョアン・ミロ「あらゆる試みに」をイメージしたモチーフを、同作品の原著であるポール・エリュアールの詩を交えたライトアップで演出する。定員は先着70人。参加は無料。また、B1ショップ前ではワークショップを開催する。プログラムは、かぶって話すと声が変わる不思議なマスク「WA!SK」のデザイン(1日/11時~15時)や、オリジナルの「空気の器」を作る紙のワークショップ(2日、3日/11時~15時/参加料金500円/税別)を用意している。開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。入館料は大人1,800円、シニア割引(65歳以上)1,600円、大学・高校生1,300円、中・小学生700円(中・小学生は土曜日は無料)。※入館料は全て税込
2014年10月22日東京都文京区の東京ドームシティに今夏オープンした宇宙ミュージアム「TeNQ(テンキュー)」は、10月9日~2015年2月15日に企画展「TeNQ×ウルトラマン企画展~宇宙怪獣から読み取るメッセージ~」を開催する。○名シーン・名ストーリーから宇宙と人類に思いをはせる同企画展には、円谷プロダクション協力のもと、初代『ウルトラマン』世界の怪獣たちが登場。宇宙怪獣たちのストーリーから発せられるメッセージを来場者と一緒に読み取り、"宇宙における地球や人類の立ち位置やあり方"について想像を膨らませるような展示を行うという。宇宙忍者 バルタン星人「20億3000万の大移住計画~共存できますか?~」では、狂気した科学者の核実験によって母星を失い、20億3000万もの同胞を乗せた宇宙船で宇宙を漂流してきたバルタン星人の「地球への大移住」がテーマ。「友好的な交渉をすることで人類はバルタン星人を迎えることができたのか」を考察する。三面怪人 ダダ「人間標本~人類は下等生物なのかもしれません~」では、「"IQ145生命体反応898"の基準に合った地球人」をミクロ化し、標本として集めるために地球にやって来たダダが、「なぜ地球人の標本を必要としていたのか」を展示を通して考察する。宇宙恐竜 ゼットン「ウルトラマン敗北の日~人類の可能性は無限です~」は、40年にわたり地球を狙い続けてきたゼットン星人がテーマになっている。彼らが打倒ウルトラマンを果たすため送り込んだ「宇宙最強怪獣ゼットン」は、ウルトラマンには勝利したものの、科学特捜隊の試作爆弾によってあっけなく倒されてしまう。このことから、「人類には無限の可能性がある」というメッセージを含めた、ウルトラマンが敗北し倒れているシーンの展示が行われる。凶悪宇宙人 ザラブ星人「変身と偽装工作~その争い、敵は他にいるのかもしれません~」は、偽装工作をした上で科学知識をアピールして地球人の信用を得るとともに、「にせウルトラマン」に変身し破壊活動を行うことでウルトラマンと科学特捜隊の信用をなくそうとしたザラブ星人がテーマ。「地球人同士の争いはもしかしたら地球人を消耗させ、自滅に追い込ませようとたくらむ外的な力が働いているのかもしれない」と考えさせる展示になっているという。棲星怪獣 ジャミラ「故郷は地球~宇宙開発は何のためでしょうか~」では、宇宙船の事故によって母国に見捨てられた宇宙飛行士・ジャミラが、生き延びるうちに体質変化し怪獣となり地球に復讐するストーリーをうけ、「人類の宇宙開発の向かうところは本来どうあるべきなのか」を考察する。悪質宇宙人 メフィラス星人「宇宙人会議~地球は人類の心に託されるかもしれません~」では、"地球を狙う宇宙人たちが連合して地球侵略の作戦をまとめ上げた"という設定を受け、観客参加型で宇宙怪獣たちの「人類の心を効果的に攻撃し、地球を差し出す気持ちにさせる」作戦に対してどういった対応をするべきかを考察する。また、11月6日から開催される「東京ドームシティウィンターイルミネーション」においても、同企画展とコラボレーションしたイルミネーション「ウルトラマンロード」を展開する。会場は東京都文京区後楽1-3-61 東京ドームシティ内黄色いビル6F「TeNQ」。営業時間は平日11時~21時、土日祝・特定日10時~21時(最終入館20時)。無休。入館チケットは日時指定の事前購入制(空きがある場合のみ当日券を発券)。料金は一般1,800円(税込)、大学生/高校生/専門学校生1,500円(税込)、中学生/小学生/未就学児(4歳以上)/シニア(65歳以上)1,200円(税込)。4歳未満の入館は不可。
2014年10月02日2月5日から16日まで「平成25年度[第17回]文化庁メディア芸術祭受賞作品展」が東京・六本木地区で開催される。前日4日にメイン会場の国立新美術館で内覧会が開かれた。会場ではアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門で国内外4,347点の応募から選ばれた受賞作品と審査委員会推薦作品、功労賞受賞作品などを展示。会場は仕切りが無く、各作品が点在し、奥行きのある風景を見せる。天井には無数の白い糸が張られ、緩やかに下がり天井を作っている。会場構成は建築家の中村竜治が担当した。内覧会には、各部門の受賞者達が出席。マンガ部門大賞を受賞した「ジョジョリオン-ジョジョの奇妙な冒険Part8-」の作者・荒木飛呂彦氏は、「ジョジョは連載25年を超えた。その重みもあってうれしい」と感想から始めた。ファッショナブルなキャラクター、極彩色の色使い、そして「グッチ(GUCCI)」とのコラボレーションなどファッション界でも話題の同作だが、「ファッションはキャラの一部。キャラクターは海中でも帽子を脱がない。色使いは連載が始まった80年代に流行っていたヴェルサーチやモスキーノ、ミッソーニなどのイタリアブランドから影響されている」と説明。最後に「読む人の生活面、精神面に何かしらの影響を与えていると思う。間接的に日本が良くなることにつながればうれしい」と53歳とは思えない相変わらずの若々しい表情でコメントした。因みに何部まで構想があるかは未定とのこと。会場には原画やインスパイアされた音源などが展示されている。他部門の大賞は、アニメーション部門はユン/ローラン・ボアローによる「はちみつ色のユン」、アート部門はCarsten NICOLAIの「crt mgn」、エンターテインメント部門は菅野薫、保持壮太郎、大来優、キリーロバ・ナージャ、米澤香子、関根光才、澤井妙治、真鍋大度らによる「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」が受賞。それぞれ会場に姿を現した。会期中同館の他、東京ミッドタウン、シネマート六本木、イベントバー「スーパー・デラックス」で上映会、トークイベント、ライブパフォーマンスなど様々なプログラムが実施される。【イベント情報】平成25年度[第17回]文化庁メディア芸術祭受賞作品展メイン会場:国立新美術館(その他、東京ミッドタウン、シネマート六本木、スーパー・デラックスでも開催)住所:東京都港区六本木7-22-2会期:2014年2月5日から16日時間:10:00から18:00(金曜日は20:00まで)休館日:2月12日入場無料
2014年02月04日芸術の秋! 都内のアートスポットを巡って、気分に浸るデートはいかが? この秋開催中のオススメアートイベントをご紹介します。 ■森美術館が10周年六本木ヒルズの森美術館では2014/1/13まで、森美術館10周年記念展 「六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」を開催中。日本のアートシーンを総覧する3年に一度の展覧会シリーズ「六本木クロッシング」の第4回目。今回は日本の現代アートの「いま」を、歴史やグローバルな視点とともに見つめます。森美術館「六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」 公式サイト tel.03-5777-8600(ハローダイヤル)■アメリカン・ポップ・アート!アメリカン・ポップ・アートの個人コレクションとしては世界最大級の“パワーズ・コレクション”の全貌を、世界で初めてまとまった形で紹介する「アメリカン・ポップ・アート展」が、国立新美術館で10/21まで開催中。日本初公開のアンディ・ウォーホル『200個のキャンベル・スープ缶』をはじめ、必見の作品が満載です!国立新美術館「アメリカン・ポップ・アート展」 公式サイト tel.03-5777-8600■チェコの映画ポスターに注目!絵本、人形劇、アニメーションなど、心惹かれる作品の多いチェコスロヴァキア。映画ポスターも注目すべき名作が数多く生み出されています。東京国立近代美術館では12/1まで、「チェコの映画ポスター テリー・ポスター・コレクションより」を開催中。82点に及ぶチェコ映画ポスターのほか、ヨーロッパ各国、アメリカ、日本の映画ポスターにも注目した展示会です。東京国立近代美術館「チェコの映画ポスター テリー・ポスター・コレクションより」 公式サイト tel.03-5777-8600(ハローダイヤル)■国際的プロダクトデザイナーゆかりの品々世界的な工業デザイナーとして有名な柳宗理さんが、約30年間にわたり三代目館長を務めた日本民藝館。11/21まで、「柳宗理の見てきたもの」を開催中。柳宗理さんが蒐集してきた日本民藝館 コレクションの逸品をはじめ、陶磁器や染織品、仮面などを展示。柳宗理さんがどのようなものを見つめながら生活し、デザイン活動の糧としてきたのかを紹介します。日本民藝館「柳宗理の見てきたもの」 公式サイト tel.03-3467-4527
2013年10月01日京都芸術センターは、同センターボランティア・スタッフと招聘(しょうへい)アーティストによる協働企画展「てんとうむしプロジェクト」の第4弾となる、「柴川敏之×てんとうむしプロジェクト2000年後の小学校-PLANET SCHOOL」を開催している。開催は3月30日まで。入場は無料。同センターでは、芸術文化の分野における創造的活動を支援し、それらの振興と普及を図るため、様々な事業を展開している。その一つである同プロジェクトは、2010年に同センター開設10周年の記念事業としてスタート。同センターで活動する、約250名のボランティア・スタッフとともに運営している。4回目となる今回は、41世紀の未来から「現在」を見つめるという視点で制作を続ける美術作家、柴川敏之氏を招聘。身近な物を「化石化」する同氏の作品コンセプトと、元・京都市立明倫小学校を改修した同センターの建物に着目し、展覧会のテーマを「2000年後の小学校」としている。関連企画として、3月17日の18時からは、ダンスパフォーマンス「2000年後の人類☆復活」を行う(無料)。詳細は、同センター公式ホームページを参照のこと。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2013年03月13日映画「プロメテウス」では、人類の祖先を彷彿(ほうふつ)させる宇宙人が描かれていた。圧倒的な科学力を持つ宇宙人が祖先なら、原始時代は何のためだったかなど、想像がふくらむ。地球の生命は宇宙から来たのだろうか?もしそうなら、水も空気もなく、有害な放射線に満たされた宇宙を超えて来た彼らは、人間とかけ離れたバクテリアや微生物のような姿だったに違いない。■20万分の1の出会い地球の誕生は約46億年前。38~40億年前に生命が誕生し、人間の祖先となる霊長類は6,500万年前ごろに登場したと考えられている。生物にとって欠かせないアミノ酸が窒素やメタンから作られたのは確かだが、生命がどのように誕生したのかは決定的な証拠がない。そのため、地球以外の天体からやって来たと考えるパンスペルミア説も根強い。地球起源と考えるなら、それは現在の尺度とはかけ離れた生物だ。初期の地球の大気は水素やヘリウムが主成分で、その後の原始大気も二酸化炭素やアンモニアが多く、酸素はわずかしかなかった。そのため当時のバクテリアや微生物は、人間には有毒な硫化水素やアンモニアを食料とし、なかには猛毒で知られるヒ素を取り込むバクテリアも存在したほどである。対してパンスペルミア説は空想に聞こえるが、当時の地球環境の過酷さを考慮すれば、さほど荒唐無稽(むけい)な話ではない。現時点では地球以外の生命体は確認されていないが、とは言え地球にしか存在しない理由にはならない。そのため、他の生命体からのメッセージを電波望遠鏡で観測し続けるSETI(地球外知的生命体探査)プロジェクトや、文明を持つ惑星数を計算するドレイク方程式など、真剣に取り組んでいる科学者も多い。ドレイク方程式は、1年間に銀河系で生まれる恒星の数や、その恒星が惑星を持つ確率など7つの要素をかけ合わせて求める。SF作家であり天文学者の故・カール・セーガン博士の計算では、銀河系には100万ほどの文明惑星が存在する。銀河系にはおよそ2,000億個の恒星があるのだから、確率20万分の1は、現実的な数値と言えるだろう。もしも生命の起源が地球外なら、どのようにして地球に来たのだろうか?もっとも有力なのは彗星(すいせい)の氷や隕石(いんせき)に付着して来たという説で、地表に落下する際に高温になる隕石(いんせき)からもアミノ酸が検出された例があるほど現実的だ。ただし乾燥、温度、圧力、放射線に強い生物、すなわち細菌やバクテリア/ウイルスなどに限定される。紫外線にさらされ希薄な空気しかない高度50kmの成層圏にも存在するほど、細菌やバクテリアの生命力は強いからだ。有力候補はデイノコックス・ラディオデュランスだ。これは放射線耐性の高い細菌で、人間の致死量の3,000倍のガンマ線にも耐えられる。生物はガンマ線を浴びるとDNAにダメージを受けるが、この細菌はDNAを自己修復する機能を持つため、致命傷にならない。もっとも放射線耐性の高い生物としてギネス世界記録に登録され、放射性廃棄物の処理に期待が持たれている。頼むぞデイノコックス・ラディオデュランス。地球の未来は任せた。■果報は寝て待てさらに強力なのはクマムシだ。大きくても体長1ミリ程度の緩歩(かんぽ)動物で、イモムシに8本の足を付けたような風ぼうをしている。ユニークな姿とは裏腹に、人間の致死量の1,000倍を超えるx線、絶対零度(=約-273℃)から150℃ほどの高温、真空から6,000気圧、80%の体内水分が1~3%に減少するような乾燥にも耐えられるのだ。過酷な状況になると仮死状態となるのがポイントで、寒いときは凍眠、水分がないと樽(たる)型に丸まって乾眠、酸素がなければ窒息仮死でやり過ごす。9年間の乾眠後でも、水分を与えれば活動再開する「種」のような性質も持っている。液体窒素で凍らせても、電子レンジで3分ほどチンしても死なない、2007年にギネス世界記録に登録された最強サバイバーだ。もしクマムシを彗星(すいせい)の氷に閉じ込めれば、他の惑星に到達する可能性は高い。逆に、他の天体から地球にやって来た生物がいるなら、最有力候補はクマムシだろう。自分の起源がゲテモノ食いのバクテリアか、宇宙から来た菌やクマムシかもしれないと思うと、パンドラの函(はこ)を開けた気分だ。■まとめ雪や氷に紫外線を当てると、過酸化水素水が発生する。殺菌性の強い物質ながら、熱エネルギーに頼れない地域では、これをエネルギーにする生物がいると考えられている。極寒の星、木星のエウロパ、土星のタイタンにも生命が存在する可能性が高い。そう遠くない未来に、そう遠くない場所から、人類の起源が明かされるのかもしれない。(関口寿/ガリレオワークス)
2013年02月17日大手総合建設会社・大林組が宇宙エレベーター構想を発表した。2050年に運用開始というから楽しみだ。もしも宇宙エレベーターが完成したら、安全に宇宙に行けるに違いない。そう思っていたが、大出力のレーザー光、気圧や温度、ケーブルの切断など、ロケット同様に危険に満ちた旅になるだろう。■10万kmのクモの糸日常生活でエレベーターと言えば、垂直のエレベーター・シャフト内を移動する装置だが、宇宙エレベーターは地上と大気圏外をつなぐケーブルだけで、まわりを囲む構造物はない。ケーブルの片側を地球に固定し、もう一方を宇宙にただよわせる。すると地球の自転で遠心力が働き、たるまずにケーブルが張れるのだ。高度15万kmまで伸ばせばケーブルだけで十分だが、10万kmぐらいでは遠心力が足りないので、端にカウンター・ウェイトと呼ばれるおもりを付けて張力を増す。月から見れば、宇宙から垂れたクモの糸程度の大きさだろうが、このケーブルを伝ってクライマーやシャトルと呼ばれる「かご」が昇降し、人間や荷物を宇宙に運ぶのだ。長さ10万kmを超えるケーブルは、それ自体が膨大な重量となる。自分の重さで切れてしまう破断長は、鋼材ワイヤーが50km、防弾チョッキに使われるケブラーでも200km程度だから役に立たない。そのため、軽くて強靱(きょうじん)なカーボン・ナノ・チューブが最有力候補になっている。通常のエレベーターは、ケーブルが切れてもエレベーター・シャフト内のレールに接触する非常ブレーキが働くが、宇宙エレベーターにはレールがない。ケーブルが切れた場合、高度100km以下ならわずかながら大気があるのでパラシュートなどで対処できるが、100km以上のクライマーは地球に帰還する宇宙船と変わらない。安全に大気圏再突入するには秒速8km以下が目安というから、逆算すると高度250kmが限界で、それより高いと大気中で燃え尽きる公算が大きい。高度5万km以上では地球脱出速度を超えて周回しているので、ケーブルが切れた瞬間にクライマーは宇宙のかなたを目指し旅立つ。有人ボイジャー3号では悲しすぎるので、頑丈なケーブルに期待しよう。地球から見て常に同じ場所に位置するように、静止軌道ステーションは高度3万6,000kmをおよそ3km/秒で周回する。高度400kmの国際宇宙ステーション(ISS)には高すぎるので、移動や補給の拠点となる低軌道ステーションを300~400km地点につくる。人件費から燃料代まであらゆるコストを含めると、退役したスペースシャトルの打ち上げは1回500億円と言われ、運べる荷物は25トン程度だから1kgあたり200万円かかった。もしもISSにミネラルウォーター(2リットル)を届けるなら、送料だけで400万円かかる計算だ。飲料水がピンドンよりも高いなんて、ぼったくりにもほどがある。対して宇宙エレベーターなら、1基の場合は1kg・50万円程度、数基稼働させれば30万円程度に収まるというから圧倒的に安い。完成すれば宇宙開発に拍車がかかることは間違いなしだ。上昇スピードをコントロールできるのもエレベーターのメリットだ。ロケットのGに耐えられない病人でも運べ、微少重力状態の宇宙ステーションでは、重力の支配を受けず治療できる。うつぶせの状態が長時間続く脳外科手術も、宇宙なら患者の負担を大幅に減らすことができるのだ。ただし高度80kmを超えた熱圏は、1,000℃を超えることも珍しくない。しかも昇るほど高温になるやっかいなエリアだから、クライマーの耐久性を考えるとなるべく短時間で通過したいところだ。時速200kmなら低軌道ステーションに2時間で着くが、秒速55.6mで5.7Gかかるので、スペースシャトルより身体に厳しい。宇宙病院を開業すれば大盛況と思ったが、5.7Gでは通院だけで余計に具合が悪くなりそうだ。■動力は殺人光線酸素の少ない宇宙では、エネルギーは電力が妥当だろう。しかし重たいバッテリーをクライマーに搭載したら、運べる貨物が減ってしまう。少なくとも2,000kWと見積もられるクライマーの電力を、どのように供給するかが問題だ。もっとも現実的なのは、地上ステーションからレーザーを発し、クライマーがそれを受け止めて電力に変換する方法だ。レーザーから電力へは約40%と変換効率も良く、およそ5,000kWのレーザーを照射すればクライマーの動力がまかなえる。ただしレーザーは、扱い方を間違えると非常に危険だ。0.4W程度でタバコに火がつき、失明した例もある。日本工業規格「レーザ製品の放射安全基準」では0.5Wを超えると高出力と定義され、もっとも危険なクラス4に分類されているぐらいだから、その1,000万倍のレーザーを浴びたら無事では済まされない。周辺を立ち入り禁止にすれば人的被害は防げるだろうが、鳥を防ぐ方法を考えなければならない。地上ステーションに焼き鳥が散乱するような事態は避けたいものだ。■まとめ宇宙エレベーターは、昇りよりも下りの方が技術的に難しいという。自由落下では20秒ほどで時速700kmに達するため、ブレーキをかけながら下りるのだが、空冷できない宇宙ではブレーキの冷却や排熱が課題となるそうだ。運用までの38年間に、幾多の問題を乗り越えて完成するに違いない。その時はすでに高齢者の一人だが、搭乗が許されるならぜひとも宇宙に行ってみたいものだ。(関口寿/ガリレオワークス)
2012年12月31日京都市左京区の京都造形芸術大学はこのほど、「芸術教養学科」を通信教育課程に新設。2013年4月より授業を開始する。同学科は、「手のひら芸大」を通称として、卒業までのすべての課程をスマートフォンやタブレット端末によるインターネット学習に特化した通信教育学科。近年急速に進むスマートフォンやタブレット端末の普及に合わせ、まとまった時間が取れない社会人が、自宅、通勤途中などで芸術を学び、仕事やくらしをより豊かにしてもらうことを目的に開発されたものだという。「総合教育科目(一般教養)」「学部共通専門教育科目」「学科専門教育科目」の3つの科目群に、全71科目135単位を用意。1本あたり3~5分の動画教材を1科目あたり75本視聴してレポートを提出する「Webスクーリング科目」と、電子テキストで学習し、レポート提出と単位修得試験の受験で単位取得をする「Webテキスト科目」の2種類の履修方法をベースに、すべての課程をスマートフォンやタブレット端末で履修できる。募集定員は460名。大学入学資格保有者を対象にした芸術学部正規課程で、卒業と同時に学士(芸術)の学位を取得できる。年間授業料は17万円。初年度は入学金3万円および入学選考料2万円が別途必要となる。前期募集期間は2013年2月1日10時~4月15日5時。授業開始は2013年4月1日10時。無料体験講座への参加など詳細は「手のひら芸大公式ページ」で閲覧できる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月19日朝日放送とテレビ朝日は12月1日~2013年1月21日、大阪府・大丸心斎橋店で「梅の花 アートアクアリウム展 大阪・金魚の艶」を開催している。同展覧会は、木村英智氏プロデュースによる、金魚のアクアリウムとアートを融合させた作品を展示するもの。これまでにも東京・日本橋、六本木ヒルズなどで開催されているが、大阪府では今回が初となる。1,000匹を超える金魚が舞うように泳ぐ巨大な金魚鉢「花魁」、水墨画風の映像に金魚の影が映し出された「屏風水槽(ビョウブリウム)」などが披露される。金魚も、和金、出目金、琉金といったなじみのあるものから、地金、土佐金などの高級品種、珍しい頂天眼やピンポンパールなどが見られるという。会場は、大丸心斎橋店 北館14階イベントホール。時間は10時~20時(12月19日~24日は10時~20時30分、12月31日は10時~18時、1月2日は9時30分~20時)。最終入場は閉場の30分前となっている。2013年1月1日は休館。料金は当日大人1,000円、中高生800円、小学生以下無料(要保護者同伴)。詳細は、アートアクアリウム展公式サイト、朝日放送ホームページで確認できる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月11日日本人宇宙飛行士も珍しくない時代になりました。しかし、宇宙ロケットというのは一朝一夕でできるものではありません。アメリカ、ロシア、日本など、わずかな国だけが製造できる最先端技術の結晶です。ロケットに関する面白い話をご紹介します。■カウントダウンは映画からロケットが発射する際に「10、9、8……」とカウントダウンが行われますが、これがどこから始まったのかご存じでしょうか。実は映画なのです。1929年に公開されたフリッツ・ラング監督の『月世界の女』です。この映画の中でカウントダウンが初めて使われ、それが実際のロケット発射時でも使われているのです。ちなみに月世界の女は無声映画ですが(笑)。■最初にロケットで宇宙に行った生き物は!?一番最初に宇宙に送られた生物は「ミバエ」だと言われます。第二次世界大戦後にアメリカがドイツから接収した技術を使って、V2ロケットを打ち上げた時にトウモロコシの種に付いていたのです。これは宇宙線被爆の実験のために打ち上げられました。アメリカは1949年にはアカゲザルを同じくV2ロケットに乗せて打ち上げました。このアカゲザルはアルバート二世という立派な名前でしたが、残念ながらパラシュートの故障で生きて戻っては来られませんでした。当時宇宙開発でアメリカとしのぎを削っていた旧ソ連も動物を打ち上げています。「地球は青かった」で有名なガガーリンの前に、10匹以上の犬を使って実験したと言われています。一番有名なのは1957年に衛星軌道上を回った「ライカ」です。ライカもかわいそうに地球には戻れませんでした。今なら動物愛護団体が決して許さないでしょう(笑)。■日本の執念! 原因を究明せよ!日本のロケット開発の歴史は開発者、研究者たちの血と汗の結晶です。1999年11月15日にH2ロケットが墜落した時の原因究明に賭けた執念はまさに鬼気迫るものでした。H2の第1段ロケット『LE-7』は芸術品とも呼ばれるエンジンでした。この世界に誇るエンジンが不調を起こし、発射から3分59秒後に噴射を停止。泣く泣く信号を送ってロケットを爆破しました。爆破されたエンジンを回収して原因を究明すべくNASDA(宇宙開発事業団、今はJAXAに統合)とJAMSTEC(海洋研究開発機構)が動き出します。NASDAでは、ロケットの墜落地点の正確な予測、JAMSTECは1万1,000メートルまで潜れる『かいこう』を使って探します。と言っても広く、深い海が対象のため、なかなかうまくいきません。しかし、ついにエンジンの台の部分が見つかります。NASDAはこの位置からエンジン落下地点の再計算を行います。そしてついに12月24日、エンジンを見つけることに成功したのです。小笠原諸島の北西約380キロの地点でした(水深は約3,000m)。日本の技術者の執念がつかみ取ったクリスマスプレゼントでした。LE-7エンジンを回収して調査した結果は、H2Aロケットの『LE-7Aエンジン』に生かされています。この回収調査のおかげでLE-7Aエンジンは高い信頼性を誇るものになったのです。■日本の打ち上げ拠点「種子島」の話鹿児島県の種子島は日本の「ケープ・カナベラル」。日本のロケット発射の最前線です。種子島がなぜロケット発射場に選ばれたかご存じでしょうか。静止軌道衛星(地球から見ると止まってるように見える)を打ち上げるのに最も安くすむのは赤道上から打ち上げることです。静止軌道衛星は、気象観測などにニーズが高いですから、これを安価に打ち上げられることを考えなければなりません。また、地球の自転速度を利用することを考えると赤道上が一番です。(自転速度の最も速い)赤道上では秒速464m。(地球が西から東に自転しているため)東向きにロケットを打ち上げるのであれ、このスピードをロケットの速度に足すことができるのです。しかし、残念ながら日本の国内に赤道は含まれていません。できるだけ、赤道に近く、周囲の民家が少なく、(東に向かって打ち上げるため)東側が開けていること、インフラを整備しやすい場所ということで種子島が選ばれました。ちなみに種子島は意外に大きな島です。横浜市とほぼ同じ面積あります。(高橋モータース@dcp)
2012年12月03日英国の歌手サラ・ブライトマンが、2015年の宇宙旅行計画を発表した。国際宇宙ステーション(ISS)に10日ほど滞在しコンサートを開く予定というから、宇宙が身近な場所に思えてきた。もしも宇宙旅行にいったら、どんなに楽しいだろう。そんな幻想も発射台までだ。加速G、宇宙酔い、放射線、スペースデブリや病気におびえ、二度と来るか!と思うに違いない。■新婚旅行は宇宙にいこう誰もが宇宙旅行を楽しめる時代にむけて、航「宙」会社を設立しよう。ターゲットは新婚旅行。ふたりの門出をお手伝いします。まずは宇宙船の調達だ。スペースX社のドラゴンも有人飛行は可能だが、帰還時は洋上着水なので、空港に着陸できるスペースシャトルが良いだろう。NASAが払い下げてくれるなら、5番機アトランティスがお勧めだ。おなじみのケネディ宇宙センターから出発し、高度600kmで地球を周回する。地上の300倍もの放射線を浴びるから、旅程は1週間程度にとどめておこう。有害な高エネルギー粒子のかたまりバン・アレン帯を避け、北/南極上を周回する極軌道が良いだろう。斜めに飛ぶので燃費は悪いが、健康第一が当社のモットーだ。打ち上げ時は3G強の加速度が15分ほど続く。誰でも耐えられるというのがNASAの言いぶんだが、体重の3倍は少々キツい。アトラスDロケットの13Gと比べれば、ずいぶん楽になったんですよ。ボンボヤージュ。周回軌道上では約50分で地球を一周する。刻々と変わる地球の表情に新郎新婦は興奮気味だが、あと2~3周もすれば飽きるだろう。シートベルト着用サインも消え、クルーは機器の点検を始める。新郎新婦はおくつろぎください。トイレもご自由に。ただしシャトルのトイレは微小重力状態でも使える吸引式で、身体にあてたアダプタからホースで吸い取る仕組みだから、かなりのストレスを感じるに違いない。シャトルには冷蔵庫はありません。中身が吹き出る炭酸飲料もご遠慮いただき、シャンパンの代わりにアップルジュースで乾杯しましょう。本日のディナーはもちろん宇宙食。和食もございます。電磁波の心配のない電気オーブンで温めて、冷めないうちにボナペティ(召し上がれ)。翌朝、頭に血が上ったようなぼんやり感と、吐き気やむかつきで目が覚める。典型的な宇宙酔いだ。重力が弱い宇宙では上下の区別がない。これが人間の感覚器官を狂わせ、乗り物酔いのような症状を引き起こすのだ。宇宙酔い以外に、筋力の低下、体重の減少、血液の減少、背が伸びるなどが起きる。深刻なのは貧血と、ホルモン異常によるカルシウムの減少だ。数日なら大事に至らないが、50日以上滞在すると、地球に戻っても完治するのに数ヶ月かかる。虫歯も大きな脅威だ。重力から解放されたバクテリアは、地上の40~50倍速で増殖しあっという間に歯をむしばむ。我慢できない場合は抜歯しますので、お近くのクルーにお申し付けください。■宇宙遊泳は命がけ宇宙酔いに苦しみながら、翌日の船外活動に向けて減圧が始まる。シャトル内は地球と同じ1気圧だが、船外活動宇宙服(EMU)内は0.27気圧の純酸素しかないので、急激な気圧変化で体液中の窒素が泡だち、減圧症を起こしてしまう。そのため12時間以上かけて少しずつ気圧を下げ、その後は1時間ほど純酸素を吸って窒素を追い出す。着替えるだけでも1時間はかかるからというから大変な労力だ。減圧が終わったら、人類に残された最後の開拓地、宇宙を満喫しよう。残念ながらEMUの遮蔽(しゃへい)性はあまり高くないので、シャトル内よりも多くの放射線を浴びることになるが。秒速7~8kmで飛び交いシャトルを大破させるほどのエネルギーを持ったスペースデブリ(宇宙ゴミ)のただなかでは、EMUなど裸も同然だが。恐怖から心拍数ははね上がり、意識がもうろうとする。おまけに、目標物のない宇宙空間では、自分がどこにいるのか分からずパニックを起こしやすい。決してシャトルから目を離さずに、落ち着いて行動しよう。地球をバックに記念撮影。にっこり笑って、はいチーズ!最終日は帰還の準備で忙しい。血液の減少と降下時の体液シフトで失神しないよう、塩の錠剤と多量の水を飲んでおこう。ただし空港到着までトイレはお控えください。逆噴射のあとは、地表面に対し機首を約40度上げた体勢となり、尻もちのような感覚で落ち続ける。大気圏再突入時、シャトルの速度はマッハ24(音速の24倍)!機体は1,600℃に達し、高温イオン化粒子の影響で無線が使えないブラックアウトがしばらく続く。大気中で十分な揚力を得られないスペースシャトルは、旅客機では墜落といえる角度と速度で降下する。着陸したらパラシュートで急制動だ。緊張と恐怖は限界を超え、薄れる意識のなかでこうつぶやく。モルディブにすれば良かった、と。長旅お疲れさまでした。またのご利用をお待ちしています。検疫が終わったら空港のラウンジで、念願のシャンパンで乾杯だ。新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込みながら、飲み物、トイレ、そして重力を満喫しよう。地球か、なにもかもが懐かしい。■まとめサラ・ブライトマンのISS・10日間の旅は3千万~4千万ドル、オプションの船外活動は1,500万ドルと推定されている。1ドル=80円なら計44億円!一生の思い出には少々高すぎる。格安航宙会社が登場するまでは、貯金に専念することにしよう。(関口寿/ガリレオワークス)
2012年11月18日ノエビアは9日から2013年1月11日まで、同社銀座ギャラリーにて「草間彌生展 Girl」を開催する。同展は、世界的に活躍する前衛芸術家、草間彌生(やよい)による版画作品を中心にした展示会。”Girl”にとって身近な、帽子や靴などをモチーフとした版画作品を集めたという。布製のミニスカートに直接、網目が描かれた1960年代の作品も魅力を放つ。草間彌生ならではの、”Girl”にあふれた空間が堪能できる機会となるとのこと。草間彌生は1929年、長野県生まれの前衛芸術家、画家、小説家。10歳の頃より水玉と網模様をモチーフに絵を描き始め、水彩、パステル、油彩などを使った幻想的な絵画を制作している。同展示会は入場無料。時間は10時~18時(土・日・祝日・12月31日~1月4日は午後5時まで)。会場はノエビア銀座本社ビル1Fの、ノエビア銀座ギャラリー。その他、詳細はノエビア銀座ギャラリー・サイトまで【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月08日宇宙は膨張し続けている。それもスピードを上げながら。これは加速度的な自殺に等しい。宇宙の最後はどうなるのか?収縮して居場所がなくなるのも恐ろしいが、膨張し続ければさらに惨めな死にざまとなる。光もなく熱もなく、再生の見込みもなく、ただ存在するだけの空間となるからだ。■絶対零度の世界宇宙はおよそ137億年前に誕生した。宇宙のすべてが集められたごく一点が、爆発的に膨張したことからビッグバンと呼ばれている。あまりにも高密度であまりにも高温だったため、宇宙は素粒子のスープのような状態で、光が通り抜けるすき間さえなかったと考えられている。その後も宇宙は広がり、38万年後には多くの元素や物質が形成された。空間にも余裕が生まれ、光が抜けるようになったことから「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれている。膨張はさらに続き、4億年後には恒星が生まれ銀河も誕生する。膨張とともに成長する様子は「インフレーション理論」と呼ばれている。高密度から低密度へ、素粒子から物質へ。まるでブラックホールに吸い込まれる物体を逆再生しているようだ。ただし、「ブラックホールの嘔吐(おうと)」と呼ぶのはやめておこう。情けない気分になる。現在観測できる宇宙の半径はおよそ470億光年。毎年3.43光年ほど広がっている計算になる。物体は光速を超えられないのに、宇宙は光速を超えて広がるのはあまりに不条理だ。この現象は、暗黒エネルギーによるものと考えられている。邪悪さを感じる名前だが、「そこに存在するのは分かるが、見えない(=何だかわからない)」が由来だ。このエネルギーは引力とは逆に、物体と反発する斥力(せきりょく)を持ち、それが宇宙の加速膨張を引き起こしていると考えられている。もし斥力を活用できれば、超光速移動も夢ではない。頼むぞ暗黒エネルギー。宇宙の果てまで連れてってくれ。さて、宇宙の膨張が続くとどうなるのか?ゴールは熱的死だ。宇宙を、自分のエネルギーで膨張している1つの物体と考えれば、膨らむごとに温度は低下する。現在の宇宙の温度はわずか2.7K(ケルビン)。あと3度ほど下がれば絶対零度となり、エネルギーはゼロとなる。幸いにも収縮できれば再度のビッグバンが期待できるが、そのエネルギーすら持ち合わせていない。永遠に続く凍りついた漆黒。弛緩(しかん)した、ただ存在するだけの空間。これが宇宙の死にざまだ。老兵は死なず。ただ伸びきるのみ。しかしそう悲観する必要はない。伸びきらなくても必ず宇宙はエネルギーを使い果たすのだから。ビッグバンを元年とすると、千兆年後には恒星が燃え尽きる。それから1正(せい)年(=10の40乗年)ぐらいまではブラックホールの天下だ。あらゆる天体を飲み込み、時にはブラックホール同士の共食いも見られるだろう。ただしブラックホールも無限のエネルギーは持ち合わせていないので、1垓(がい)年(=10の20乗年)ほどかけて蒸発する。その後は陽子も崩壊し、10の92乗年ごろには完全な死を迎える。時間はたっぷりあるから、ゆっくりと対策を考えよう。■ちぎれる宇宙まったく違うシナリオで、宇宙がちぎれるという説もある。すでに外周3千億光年にも及ぶ巨大な空間が、正確に、均等に、足並みをそろえて膨張するはずがないという考えだ。例えるなら3千億人3千億1脚で超光速ダッシュを試みるようなものだから、成功するとは思えない。実に人間味のある考えだ。膨張速度が速い部分はちぎれ、泡立つように分かれていく。ひとつを意味するユニから「マルチ」バースの誕生だ。さらに膨張が続けばあっという間に子宇宙、孫宇宙が生まれ、大宇宙家族が完成する。宇宙にムラがあるという考えに基づくマルチバースでは、残念ながら子/孫宇宙の組成が均一とは考えにくい。物質が多い宇宙は重力で収縮し、暗黒エネルギーが多ければ膨らみ続ける。少しでも長く生き延びるために、必要な物質を奪い、要らないエネルギーを押し付けあう宇宙「間」戦争が起きるかもしれない。負けた宇宙はゴミ屋敷。刺激的すぎる罰ゲームだ。■まとめ子供のころ、シーモンキー(甲殻類の飼育キット)が好きだった。けなげに泳ぎまわる彼らを人類、小さな水槽を宇宙に見立て、あれこれ夢想するのが好きだったのだが、ある日、自分が「観察者」だと気づいたとき、言いようのない不安に襲われた。われわれの宇宙にも「観察者」がいるのだろうか?もしかしたら、この宇宙は試験管の中なのかもしれない、と。いまでもこの話を思い出すたびに、何かに見られているようで、落ち着かない気分になる。(関口寿/ガリレオワークス)
2012年11月04日宇宙はとっても広いです。私たちが住んでいる地球を含む太陽系は、巨大な銀河系の中にありますが、広い宇宙にはそのような巨大な銀河ですら無数に存在します。そして、その中には地球の直径の約109倍もの大きさを持つ「太陽」さえはるかに凌ぐような大きな星も、数多く存在しています。今回はそんな広大な宇宙に存在する、巨大な星たちをいくつか紹介していきたいと思います。■ 宇宙にある星の数は?よく「星の数ほど…」と言ったりしますが、そもそも、この宇宙にはいったいどれほどの数の星があるのでしょう。太陽のように自ら光り輝いている恒星だけに限ってみても、太陽系を含む銀河系の中には2,000億個もあると推定されています。そして、宇宙にはそのような銀河が1,000億個以上あるとも言われています。銀河の明るさなどを詳しく観測することで、その総質量やそこに含まれる星の総数を調べることができるのですが、この方法を用いた研究によると、この宇宙にはなんと7×10の22乗個(7の後に0が22個)もの星があると考えられています。実際には、これ以外に地球のような惑星もあるわけですから、あらためてその壮大さが分かりますね。■ 宇宙で一番大きな星とはそれでは、これほどまでに多く存在する星たちの中で、もっとも大きいものとはどれぐらいなのでしょう。現在までに確認できている星の中で、最大のものは「おおいぬ座VY星」です。この星は「赤色超巨星(せきしょくちょうきょせい)」と呼ばれる種類の1つで、その大きさは、直径が25億~30億km(太陽の1,800倍~2,100倍程度)、体積が太陽の60億~90倍という想像を絶するもので、仮に太陽の位置に同じサイズの星があったとすると、土星の軌道まで達するほどの大きさです。また、1周の距離は、80億km以上ということになりますので、仮に時速1,000kmの飛行機で1周しようとすると900年以上、光の速度ですら8時間以上もかかる計算になります。ただし、このおおいぬ座VY星は天体そのものの大きさが大きく変動する「脈動変光星」であることから、宇宙最大の星ではないと捉える説もあります。■ おおいぬ座VY星の最期ちなみに、このおおいぬ座VY星の寿命は残り少なく、まもなく最期が近づいていると推定されています。この星は最期に「超新星爆発」という大爆発を起こして壮絶な死を遂げますが、地球からは5,000光年も離れたところにあるため、幸いその影響を受けることは無いと考えられています。なお、爆発後、星の内部は中心に向かって圧縮され、やがて巨大なブラックホールとなるでしょう。■ 巨大な星はまだまだある…おおいぬ座VY星が、現在までに確認できている星の中では最大のものとして紹介しました。とはいえ、地球からは遠く離れたところにあり、肉眼では観測できないほど暗い星のため、あまり目立ちません。ですが、広い宇宙には、これほどとまではいかなくても、まだまだ巨大な星たちが数多く存在します。太陽の直径の1,600~1,900倍の大きさを持つ「ケフェウス座VV星」や、同じく1,400倍程度の「ガーネットスター」などもありますが、巨大な星の中でも身近なものとしては、オリオン座の1等星「ベテルギウス」や、さそり座の1等星「アンタレス」などが挙げられます。これらは、地球からもはっきり見えるほど明るい星ですので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。オリオン座のベテルギウスで太陽の1,000倍、さそり座のアンタレスでも太陽の700倍程度もあるとされ、いずれもおおいぬ座VY星と同じ、赤色超巨星に属します。■ まとめ今回は、想像を絶するような巨大な星たちをいくつかご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。太陽系の中にいると、太陽が圧倒的に大きな星だと言えますが、宇宙全体を見渡すとそれとは比べ物にならないほど巨大な星々がたくさんあるわけです。どんな世界にも上から上がいるのですね。(文/TERA)■著者プロフィールTERA。小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。
2012年10月14日茨城県つくば市にある筑波宇宙センター(JAXA)では、10月13日(土)に、施設の特別公開を行う。宇宙に興味のある子どもから大人まで楽しく宇宙体験できる、秋の人気イベントだ。公開は10時00分から16時00分、入場は15時30分まで。入場無料。宇宙飛行士との交信やNASA等他国の宇宙機関との連絡を行っている「きぼう」運用管制室、宇宙ステーション補給機「HTV」の飛行を制御監視するHTV運用管制室、宇宙飛行士の訓練施設など、通常行われている一般公開では見ることのできない施設が特別公開される。当日は、さまざまなイベントが企画されている。例えば、天体の重力と運動エネルギーを利用して宇宙機の軌道や速度を変更する航法、惑星スウィングバイに模擬実験装置を使って挑戦できる「スウィングバイを体験」。準天頂衛星システム「みちびき」の電波を受信しながら進むお宝探しゲームや、コンピューターを使って、ITと宇宙のクイズに回答、ミッションをクリアして宇宙旅行に行くコーナー、筑波宇宙センター内にあるアニメ「宇宙兄弟」に登場する場所を巡ってクイズに答えるクイズラリーなどなど、楽しみながら宇宙を学習できる。そのほか、「赤外線で見る地球」、「宇宙医学生物学研究」、「マイナス196度の世界を知る~液体窒素おもしろ実験~」、「ミニロケット作り」などに加えて、JAXAの仕事について、職員・内定者が相談ブースでさまざまな疑問、質問に答えてくれるJAXA就職相談会も予定されている。また、今回の宇宙講演会では「若田光一宇宙飛行士と話そう!」「宇宙×ミエル化意見交換会」「宇宙ステーション補給機こうのとり(HTV)について」が行われる予定。最新情報は筑波宇宙センターツイッターで確認を。電車利用はJR常磐線「荒川沖駅」下車、タクシー(約15分)または関鉄バス「筑波大学中央」行き「物質研究所」下車徒歩1分。つくばエクスプレス線「つくば駅」下車、タクシー(約10分)または関鉄バス「荒川沖駅」行き「物質研究所」下車徒歩1分。車利用は常磐道桜土浦ICよりつくば方面へ7分。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月09日今回紹介するのは、茨城県つくば市にあるJAXA(宇宙航空研究開発機構)の筑波宇宙センター(茨城県つくば市)の社食だ。夢がいっぱい詰まった宇宙の研究開発施設では、どんな食事がとられているのだろうか。こちらの社食は、一般の利用も可能(平日のみ営業・11時30分~13時30分)で、見学に訪れた人も多く利用しているという。利用希望者は、敷地内にある広報・情報棟で受付を済ませ、「食堂利用証」を身につける。食堂に入ってすぐのところにショーケースとホワイトボードがあり、当日の提供メニューが掲示されている。日替わりで提供されるA定食(460円)やB定食(610円)をはじめ、カレーライスやラーメン、そばなどオーソドックスなメニューが並ぶ。食堂内の座席はカウンター席とテーブル席、個室風の席合わせて380席。シンプルで、食堂らしい食堂、といった印象だ。敷地内の従業員数はおよそ2,000人。従業員が休み時間になるピークの12時30分頃にはかなり混み合うため、一般の利用者はその時間を避けるのがおすすめとのこと。食事提供カウンターは2つあり、定食と麺類で分かれている。トレーを持ってカウンターで注文し、提供されるのを待つ。ここまで見て、普通の食堂……かと思いきや、メニューの中にいかにもJAXAらしい”宇宙っぽい”ものを発見した。その名も、「冷やし宇宙坦々麺」(460円)と「天の川カレー」(660円)。冷やし宇宙坦々麺は温泉玉子とチャーシュー、野菜が盛り付けられたもの。温泉玉子が月に見立てられている……のかもしれない。麺に冷えたごまだれのスープと温泉玉子が絡んで、まろやかな味わいだった。天の川カレーは、細かくカットされたパプリカやキュウリなどの野菜がちりばめられており、ふりかけられた粉チーズが天の川のように見える。こちらは中辛のカレーにちりばめられた野菜の食感とチーズの味わいがアクセントになっている。ちなみに、この日のスペシャルセットは、「夏野菜ミートピラフセット」(560円)だった。こちらも見た目がかわいらしい。食堂に訪れたときは、敷地内も見学していくことをおすすめしたい。展示館「スペースドーム」では、さまざまな種類や形の人工衛星、ロケット、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟の実物大モデルなどの展示が並んでいる。また「ロケット広場」にある53mの「H-IIロケット」の模型も圧巻だ。ちなみに同敷地内は、『下町ロケット』『仮面ライダーフォーゼ』『宇宙兄弟』のロケ地にもなったそうだ。宇宙のロマンを感じに出掛けてみてはいかがだろうか。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月27日東京・池袋の東京芸術劇場が1年半の大規模改修工事を終え、9月1日(土)にリニューアル・オープンする。これに先立ち8月9日、記者発表会と内覧会が行われた。東京芸術劇場のチケット情報1990年10月に開館した同劇場は主に貸しホールを中心に運営を行ってきたが、2009年2月に劇作家で演出家の野田秀樹を初代芸術監督に迎え、創造発信型劇場への転換を目指してきた。開館から20年経ち、建物の老朽化と機能面での見直しが必要となり、大規模な改修工事を行った。リニューアルに要した総工事費は約84億円。野田は今回のリニューアル・オープンについてビデオで次のようにコメントを寄せた。「改修工事の当初より全ての空間に関わりました。大勢の人が集いやすい場所になったと思います。劇場というのは器だけがよくなっても何も変わらないので、中身の作品と、それに関わる人が変わらないといい劇場になっていかないと思います。改修工事をしたから新しくなったということではなく、新しい劇場になるためのキッカケとして改修工事が行われたと考えています。プログラムに関しては大勢の方々と練っていいものを揃えることができました。今後は海外や地方の公共劇場との提携を増やし、また若い才能を支えていくことが公共劇場の役割だと考えています」。今回の改修工事の主なポイントは「イメージの一新」。鉄、木、土の素材をモチーフに各ホールが特徴を持った空間に生まれ変わった。ホールの名称も変え、大ホールはコンサートホール、中ホールはプレイハウス、小ホール1・2はシアターイースト・ウエストとなる。なお今後の主なラインナップは、演劇はハンガリーから招聘する「TACT/FESTIVAL 2012ジャンク・オペラ『ショックヘッド・ピーター ~よいこのえほん~』」を9月1日(土)から9日(日)までシアターイーストにて、野田の作・演出「NODA・MAP第17回公演『エッグ』」を9月5日(水)から10月28日(日)までプレイハウスにて、蜷川幸雄演出のギリシャ劇『トロイアの女たち』を12月11日(火)から20日(木)までプレイハウスにて上演。クラシックは下野竜也&読売日本交響楽団「マーラー交響曲第2番『復活』」を9月1日(土)に、エリアフ・インバル指揮の東京都交響楽団「 [新]マーラー・ツィクルス」を9月15日(土)、29日(土)、10月28日(日)、11月3日(土・祝)、2013年1月20日(日)に、G.ロジェストヴェンスキー&読売日本交響楽団「チャイコフスキー後期交響曲チクルス」を10月6日(土)・7日(日)・8日(月・祝)にいずれもコンサートホールで開催する。
2012年08月10日宇宙はとても広大です。そのため、その大きさを数値で表すと非常に膨大になりがちです。それを避けるため、宇宙の大きさを示す独自の基準(ものさし)があります。そこで今回はそんなものさしを使って、宇宙の大きさを体感してみましょう。■ 「メートル」で測ってみるまずは、日常生活でもよく使われている「メートル(m)」や「キロメートル(km)」から始めてみたいと思います。私たちが住んでいるこの地球。その直径は赤道方向で約12,750km、その一周の長さで計ると約40,000kmとなります。参考までに、東京~大阪間が最短距離で約400km、東京~ロンドン間が約9,580km、東京~ニューヨーク間が約10,860km。ここまではまだ想像がつきますね。次に、地球から最も近い天体である月。ここまでの距離はというと約384,400km。東京~ニューヨーク間の約35倍、地球9周半ほどの距離です。さらに太陽までの距離となると、地球~月までの距離のおよそ400倍で、1億5,000万kmとなります。イメージしやすくするために、すべて1億分の1スケールで考えてみると、地球と月の距離は3.8m、地球と太陽の距離は1.5kmとなります。ついでに天体そのものの大きさも1億分の1スケールで考えてみると、地球は直径12.8cm、月は3.5cm、太陽は13.9mとなります。つまり、地球・太陽・月の位置関係としては、12.8cmのグレープフルーツほどの球体(=地球)から、3.8m離れたところに3.5cmのピンポン玉ほどの球体(=月)があり、1.5kmも離れたところに14mの巨大な球体(=太陽)があるという感じです。月に比べて太陽がいかに遠いところにあるかということが分かりますね。■ 「天文単位」で測ってみるちょっとスケールの大きな話になってきましたので、ここで新たな単位を登場させましょう。それが「天文単位(AU)」です。1天文単位は地球と太陽の間の平均距離を表しており、1天文単位=約1億5,000万kmとなります。これを使うと、太陽系でもっとも遠い惑星である海王星までの距離はおよそ45億kmですから、30天文単位ほどです。では、地球からもっとも近い恒星までの距離はどれほどでしょう。もっとも近い恒星は、「プロキシマ・ケンタウリ」と呼ばれる天体ですが、そこまでの距離は270,000天文単位となります。つまり、一番近い恒星ですら、海王星までの距離の9,000倍も遠いところにあるわけです。ますます膨大なスケールの話になってきましたね。■ 「光年」で測ってみるそこで、さらに次の単位を登場させましょう。それが有名な「光年」という単位です。「光年」は光の速度で1年間に進む距離を表しており、1光年はおよそ63,000天文単位(約9兆4,600億km)です。地球から太陽までなら光の速度で8分ちょっと、海王星までなら4時間ほどで行けますが、もっとも近い恒星「プロキシマ・ケンタウリ」までとなると、4.2年かかる計算になります。ちなみに、全天でもっとも明るい恒星であるおおいぬ座の「シリウス」までが8.7光年、有名なオリオン座の三ツ星の右下にある「リゲル」になると約700光年の距離となります。それでは、さらに話を広げて、太陽系を含む銀河系となるとどうでしょうか。銀河系は平たい円盤のような形をしており、その円盤の直径は約10万光年。光の速度を持ってしても、端から端まで移動するのに10万年もかかるわけです。最後に、現在地球から観測可能な宇宙の半径は、およそ470億光年だと言われています。仮に銀河系の大きさが直径10cmのどら焼きだとした場合、光が1年間で進める距離はわずかに0.001mm。逆に観測可能な宇宙の半径は47kmにもなります。これは大阪~京都間の距離に匹敵します。もう想像もできないスケールになってしまいましたね。余談ですが、0.1mmの厚さを持つ紙を100回折ることができると仮定すると、計算上では0.1×2の100乗mmで、その厚みは何と134億光年となります。…あくまで計算上の話ですけどね。■ まとめ今回は数字を使って宇宙の大きさを見てみました。このように、あまりに広大な宇宙の大きさを扱う時には、日常生活ではお目にかかることの無い独自の単位を使っていることがお分かりになったでしょうか。あらためて見ても、やはり宇宙の大きさは想像を超えていますね。(文/寺澤光芳)■著者プロフィール小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。
2012年07月28日高速バスなどを展開するWILLER TRAVEL(ウィラートラベル)は、宇宙ツアーが体感できるまったく新しいアトラクションバス「STAR FIGHTER」の開発を発表した。「STAR FIGHTER」は、日本最先端のバス開発技術とITテクノロジーを結集して開発されたとのことで、「宇宙空間で新たな夢と感動を体感できる」としている。すでに専用サイトがプレオープンしており、29日のグランドオープンとともに販売を開始するとのこと。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月26日いよいよ宇宙旅行が現実のものになります。普通の人でも宇宙空間に行ける時代がついにやって来ます!「2012年宇宙にまで広がるクラブツーリズムの旅」をキャッチコピーに民間宇宙旅行事業を推進している、クラブツーリズム株式会社、宇宙旅行部長の浅川恵司さんにお話を伺いました。クラブツーリズムさんが日本での独占販売権を獲得しているのは、英ヴァージン ギャラクティック社が推進している観光宇宙旅行。ヴァージン ギャラクティック社は、あの世界的な企業『ヴァージン』のグループ企業です。■宇宙旅行の中身は……双胴型の飛行機・マザーシップ『ホワイトナイト2』が、宇宙往還用の『スペースシップ2』を抱いて空港を離陸。上昇45分後にスペースシップ2が切り離されて、空中発射。スペースシップ2はロケットエンジンを噴射して90秒加速します。高度110kmまで達する弾道飛行を行って、その後大気圏に再突入。高度21kmからグライダー飛行を行って着陸します。このフライトの中で、無重力状態4分間を味わえ、宇宙空間から地球を眺めることができるのです。約2時間のフライトです。■初フライトはいつ!?――2012年ということで、いよいよ宇宙旅行が始まるようですが、初フライトの日取りは決まったんでしょうか?浅川さんいや、それが残念ながら……少し時間がかかっています。ヴァージングループのリチャード・ブランソン会長は「2012年のクリスマスには飛ばしたい」と言ってますがね。――なるほど。浅川さん初飛行にはリチャードが乗ると言ってます(笑)。自分の家族を連れて。――先に会長が乗って安全を確認してくれると、後から乗るお客さんは安心ですね(笑)。浅川さんクリスマスに飛べればいいんですが、実際問題2013年にずれこむかもしれません。――それは残念ですね。浅川さんもう7年も待っているお客さんがおられるので。――7年ですか?浅川さんええ。2005年にこの宇宙旅行の発表をして、その時に予約してお金を振り込んだ方にはもう7年も待っていただいておりますね。450人の人が待っておられます。■チケットは20万ドルだけど円高でお得に――チケットの価格はいくらなんでしょうか。浅川さん20万ドルです。日本円で1,600万円ですね。ここのところの円高で、最初に振り込んだ方の金額と比べると600万円も下がりましたよ(笑)。――一括支払ですか?分割払いは「なし」ですか(笑)?浅川さんドル建て一括払いです。分割はありません(笑)。将来的にはもっと安価になると思いますが、それがいつかはわからないですね。――待ってる人は早く飛ばないかなーと思ってるでしょうね。浅川さん「早く、早く」と言われます。でも、待ってる間が楽しいという人もいるんですよ。というのは、毎年、ヴァージンギャラクティック社が予約してくれた人をイベントに招待するんです。年に1回イベントがあるので、その度に集まりますからもうコミュニティーができてますよ。昨年はスペースポート(宇宙港)ができましたので、その落成式にみなさんを招待しました。■スペースポートを新設! そのために消費税アップ!?――それはスゴイ。スペースポートはまったく新しく作ったんですか?浅川さんそうです。完全に宇宙旅行専用で、ニューメキシコ州の何にもないところ(笑)を整地して作ったんですよ。広さは成田空港の7倍ぐらいです。――お金がかかったでしょうね(笑)。浅川さん総額1億9,800万ドルかかりました。そのうち1億ドルは州が出して、ヴァージン社は9,800万ドルを出しました。ニューメキシコ州はこのスペースポート建設のために消費税を0.25%上げたんです。――えっ?このためにですか?浅川さんそうです。新しく雇用を生み出し、観光客を誘致できるので、経済効果を期待できるというわけですね。商業宇宙旅行の実現に向けてそれぐらい真剣にやっているんですよ。――先ほど、飛行が2013年にずれこみそうとおっしゃっていたのには何か理由があるんでしょうか?浅川さん何か欠陥があったとかそういうんじゃないんです。なにせ「安全第一」で着実にやってますので。フライトデータも全部公開していますし。マザーシップのホワイトナイト2はもう80回近く、スペースシップ2は16回飛んでいます。■初フライトへの2つの課題――クリアしなければいけない大きな要素は何でしょうか?浅川さん大きなのはスペースシップ2が空中発射後、ロケット噴射で高度100キロ以上まで上がれるか、このテストがまだです。あとはFAA(アメリカ連邦航空局)の認可ですね。このふたつが終わったら、会長が乗りこむ手はずですね(笑)。――宇宙旅行はFAAの認可なんですね。浅川さんFAAにはすでに「商業宇宙室」というのが設置されています。7~8年前のことですよ。それに、ブッシュ大統領のころに「商業宇宙打ち上げ法」という法律が可決されています。――アメリカは進んでますねえ。その認可を受けるのは難しいのでしょうか?浅川さんまだ認可取った業者はないんですよ。たぶんこのプロジェクトが認可を受ける第1号になります(笑)。一番進んでいますから。あくまでもめざしているのは商業宇宙旅行の定期便です。――なるほど。1回のフライトで6名乗れるんですよね?浅川さんそうです。スペースシップ2にはお客さんが6名乗れます(+パイロット2名)。定期便を運用するために、スペースシップをあと5機、マザーシップのホワイトナイト2をあと1機建造する予定ですね。――どのくらいの定期便を運航するのでしょうか?浅川さん1年で500人と発表しています。――1回のフライトで6名ですから年間84便は飛ぶ計算になりますね。浅川さんそうなりますね。■普通の人は宇宙旅行に耐えられる?――ちょっと気になるのは……普通の人が乗って大丈夫かという点なんですが。資料を拝見すると、スペースシップ2の上昇時に3.5G、大気圏再突入時に6Gという重力加速度がかかるみたいんでんすが。6Gって結構なG(重力加速度)だと思うんですけど、普通の人は大丈夫なんでしょうか?浅川さん実はですね、予約された最初の100名の方々には、ヴァージン社の招待で、フィラデルフィアにある遠心加速器を使って、そのGの体験を既にしていただいているんですよ。――その遠心加速器はNASAか何かの施設なんでしょうか?浅川さんいや民間企業が持っているんですよ。ナスターセンターっていうんですけどね。――えっ?民間企業が遠心加速器を持ってるんですか?浅川さんそこにしかないんです(笑)。普段は空軍のパイロットの訓練なんかで使っているみたいです。100名の方に体験していただいて、全部データもとってます。70歳代後半のお客さんも経験して問題なかったので大丈夫だと思います。実は私も、3Gは体験しました。――どうでしたか?浅川さん3Gはまったく問題なかったです。大丈夫ですね。――伺っていると、準備は着々と進んでいるようですね。浅川さん繰り返しになりますが「安全第一」です。遅延してはいますが、もうホントにあと少しだと思います。――最後に、読者にメッセージをお願いします。浅川さんもう夢ではなく、本当に「宇宙旅行」ができる時代になります。あと少し待っていただければと。まさか宇宙港まで新設しているとは思ってもみませんでした。スケールの大きな話です。今年のクリスマスに、ヴァージングループ会長のリチャード氏が家族と一緒に第1号フライトができることを祈りたいと思います。(高橋モータース@dcp)クラブツーリズム・宇宙旅行のページ
2012年06月02日本年10月に行われる、天文宇宙検定委員会主催の「天文宇宙検定」第2回検定に、入門者向け検定と上級者向け検定が追加される。金環日食、金星太陽面通過、星出宇宙飛行士が乗り込んだソユーズ打ち上げなど、宇宙への関心が高まる中、その不思議さにふれ天文宇宙の世界を極めようとする「天文宇宙検定」の第2回検定実施が発表された。昨年開催の第1回検定では、8歳から82歳までの幅広い層で、3,000人弱が受験し話題を集めた。第2回検定からは、これから天文を学んでみようという人、小学校高学年の人を対象とする「4級星博士ジュニア」と、2級合格者のみを対象とする最上位検定「1級天文宇宙博士」を新たに設定。検定会場は昨年の東京、大阪に加え名古屋が追加された。合格者へは、漫画家・松本零士氏のイラスト入り合格認定証がプレゼントされるほか、各級の成績優秀者には協賛のセガトイズ、ビクセンから提供された各種賞品が抽選で当たる。申込締め切り日は9月5日(水)。受験料は4級4,000円、3級4,500円、2級5,500円、1級6,000円(すべて税込み)。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月15日累計800万部を超える人気漫画を映画化した『宇宙兄弟』がまもなく公開となる。宇宙飛行士選抜試験に臨む主人公・南波六太(ムッタ/小栗旬)のライバルであり、親友となるケンジを演じたのは、名だたる演出家の舞台で強い存在感を放つ“ミュージカル界のプリンス”井上芳雄。インタビューで4度目となる映画出演への思いを語った。ケンジは爽やかで、リーダーシップのある好青年。森義隆監督からは撮影前に「そのままでいてくれればいい」と言われたそうだが、この言葉に撮影を通じて苦しめられることになったという。「舞台の人間なので“何もしない”という演技をやったことがないんです。『演技しないで』と言われて20回近くやり直したシーンもあったし、OKが出ても何がOKだったのか分からない(苦笑)。演じてて『役を掴んだ』という感覚は全くなくて、完成作を観て初めて『あ、ケンジになってる』って思えた。それは映像ならではの感覚だと改めて思いました」と明かす。小栗とは蜷川幸雄演出の舞台『ハムレット』(’03)以来の共演となる。当時は楽屋も同じだったという小栗に対し、「この9年でいろんな経験をして、それが小栗旬という人間に全て生かされてるんだなということを感じましたね。一方で『この映画で芝居に対してやっと楽になったところがある』と自分の思いを赤裸々に語ってくれたり、芝居への真摯な姿勢や熱さは全く変わってなかった」と惜しみない称賛をおくる。劇中、良きライバルとして選抜を兼ねた訓練を受けるムッタとケンジの姿は小栗と井上の関係とも重なるのでは? そんな問いに「小栗くんは9年前の時点で人気俳優だったし、その後も次々と大きな作品で活躍してる。そんな風に見たことはないですよ」と微笑むが、宇宙飛行士候補者たちが月面基地を模した閉鎖空間で生活するシーンに関しては、芝居作りと重なる部分を感じたようだ。「オーディションを経て選ばれて、『この人どういう芝居するのかな?』とか『僕はどう応えられるのか?』なんて考えながら周りを窺ってる気持ちは同じですよね。オーディションのときの心理? これだけの人の中でまず受かるなんてないだろうって絶望的な気持ちですよ(笑)」。決して映像作品への出演が多いとは言えない井上だが、舞台とはタイプの違う演技の経験が「確実に俳優としての糧となっている」と断言する。「舞台では考えないようなことを考えさせられますね。足し算ではなく引き算でどう見せるか? 映画の場で芝居をより繊細に考えてる自分がいるなと思います。何度やっても慣れないで常に緊張するし、できない自分が本当に嫌になるけど、お話をいただくと断る気になれない。マゾなんですね(笑)。そういう新人のような気持ちで臨める場をありがたく思ってます」。『宇宙兄弟』5月5日(土)より全国ロードショー取材・文・写真:黒豆 直樹
2012年04月27日