銀河劇場が企画したニュージェネレーションシリーズ第一弾、次世代クリエイター×若手舞台俳優による朗読劇。1週目の『春のめざめ』が好評のうちに幕を閉じ、2週目の『僕とあいつの関ヶ原』の稽古が佳境に入った。そこには、朗読劇の可能性が渦巻いていた。朗読劇『僕とあいつの関ヶ原』チケット情報吉田恵里香の自身の小説に基づいたオリジナル脚本を、劇団「柿喰う客」の中屋敷法仁が演出。若き世代ふたりの手による『僕とあいつの関ヶ原』は、ストーリーも斬新だ。テーマは、エンターテインメント作品に取り上げられることが少なかった関ヶ原の戦い。合戦そのものよりもそこに至るまでの心理劇のほうが実は面白いと、脚本には、武将たちのあまりにも人間くさすぎる姿が暴き出されている。稽古で繰り広げられていたのも、まさしくその感情のせめぎ合いだった。中屋敷の演出でいちばんにこだわっているように見えたのは、人物の関係性である。台詞のどの部分で立つか、座るか、舞台上をどう移動するか、細やかに指示を出していく。すると、誰が優位に立ち、誰が追い詰められているのかが一目瞭然となる。たとえば、そこには登場していない人物であっても、ひとりすっくと椅子の上に立ち上がることで、周囲を圧倒する人間であるということがはっきりとわかるのだ。それはまた、出番のあるなしにかかわらず全員が舞台に上がっている朗読劇だからこそできることでもある。ナレーターと会話する場面も即興で加えられた。普通の芝居ではできないことに果敢に挑み、楽しさが膨らんでいく。関ヶ原は、いわば、徳川家康と石田三成との戦いだ。その敵対するふたりを、三上真史がひとりで演じるのもユニークだ。中屋敷は、家康なのか三成なのかわからなくなる瞬間を、あえて作ろうとしている。染音という女性と島左近を演じる武田航平、井伊直政と大谷吉継を演じる玉城裕規、小早川秀秋と福島正則を演じる宮下雄也もしかり。敵味方の攻防がさらに面白くなる仕組みだ。そして、家康の四男・松平忠吉を演じる木戸邑弥が、戦いの要となっていく。俳優たちが使う舞台セットは3脚の長椅子だけだ。周囲には無造作に積まれた椅子がある。合戦の陣地を表すかのようなそれは、よく見ると、『春のめざめ』で舞台に並べられていた椅子たちだった。俳優も、木戸と武田は『春のめざめ』に続いての出演。シリーズとしてのつながりを感じさせる工夫もなされている。公演は12月14日(日)・15日(月)、東京・天王洲 銀河劇場にて。取材・文:大内弓子
2014年12月10日本郷奏多を主演に、「NON STYLE」の石田明が演出を手掛けることで話題の舞台「ダンガンロンパ THE STAGE ~希望の学園と絶望の高校生~」。10月28日(火)にマスコミを招待しての公開舞台稽古が東京・日本青年館で行われ、本郷さんらキャスト陣が舞台上に勢揃いした。本作は累計60万本以上の売上げを誇り、昨年にはTVアニメ化もされた大ヒットゲーム「ダンガンロンパ」を舞台化。あらゆる分野の“超一流高校生”を集める政府公認の特権的な学園私立希望ヶ峰学園を舞台に、入学してきた15名の超高校級生徒たちが次々に起こる殺人事件を、“学級裁判”で解決していく学園ミステリー・アクションだ。本郷さんは本作では、主人公の“超高校級の幸運”をもつ苗木誠を演じており、その容姿端麗な美貌で本作のテーマのひとつでもある“2.5次元化”を見事に体現していた。この日は、舞台の最初~最後までを通しての稽古とあって出演陣が勢揃い。『アナと雪の女王』での真っ直ぐなヒロインを演じていた神田沙也加は、本作では一転、“超高校級のギャル”江ノ島盾子に扮しており、劇中の衣装もミニスカートに金髪の盛り髪ツインテールと、本郷さん同様にゲームから抜け出してきたようなビジュアルで登場した。そのほかにも、物語の鍵を握る霧切響子役(超高校級の???)の岡本玲を始め、十神白夜役(超高校級の御曹司)の小澤亮太、腐川冬子役(超高校級の文学少女)の大沢ひかる、Wキャストで演じる朝日奈葵役(超高校級のスイマー)の藤江れいな(NMB48)と大島なぎさ、同じくWキャストで演じる不二咲千尋役(超高校級のプログラマー)の石田晴香(AKB48)と奥仲麻琴(PASSPO☆)、葉隠康比呂役(超高校級の占い師)の松風雅也、大和田紋土役(超高校級の暴走族)の八神蓮、石丸清多夏役(超高校級の風紀委員)の高木万平、セレスティア・ルーデンベルク役(超高校級のギャンブラー)の池端レイナ、山田一二三役(超高校級の同人作家)の向清太朗(天津)、大神さくら役(超高校級の格闘家)の山口ゆきえ(カーニバル)、桑田怜恩役(超高校級の野球選手)の宮下雄也(RUN&GUN)、舞園さやか役(超高校級のアイドル)の田中日奈子と、演出の石田さんを含め総勢18名が集結した。話題作とあってこの日は報道陣や招待客が殺到し、会場は満員状態。舞台稽古を前に、キャスト陣がそれぞれの劇中衣装に身を包み報道陣の前に姿を現すと、一斉にフラッシュが炸裂した。この熱気に、座長を務めた本郷さんは「我々一同、原作を勉強しながら皆で一つの作品を一生懸命に作り上げてきました。すごくいい所に着地できたかなと思います。ひとつの舞台として観て頂いても見ごたえのある作品にというのと、(原作の)イメージを大切に、と両立したものが出来たと思います。今日は我々のフルパワーで演じさせて頂きます」と公演に向けた意気込みを語っていた。一方、演出を務めた石田さんは、この日は“お笑いは封印”と言わんばかりの少し緊張した面持ちで登場。「色んなことをイチから学ばせて頂いて、それがまた芸人として活かせればと思っています。2008年の『M-1グランプリ』優勝して以来の、自分が成長できた一年になったことは間違いないです!」と、充実した表情を浮かべながら真摯に語っていた。舞台「ダンガンロンパ THE STAGE ~希望の学園と絶望の高校生~」は10月29日(水)~11月3日(月・祝)まで日本青年館・大ホールにて上演。(text:cinemacafe.net)
2014年10月29日「タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)」が2015年1月、パリで15-16AWコレクションをエキシビション形式で発表する予定だ。デザイナーの宮下貴裕が「ナンバーナイン(NUMBER(N)INE)」のデザインから離れ、2010年に同ブランドを立ち上げて以来、初の海外でのコレクション発表となる。来秋冬シーズンに向けてのプレシーズンとなった15SSコレクション(#0011)はテーマを「チューニング(tuNINg.)」として、チェスターコートやフライトジャケット、シャツなどのアイテムの袖がカットされるなど、細部が“チューニング”されている。シルクコットンのロングポンチョや、シルクデニムなどピンストライプのパジャマジャケットやパジャマパンツもシルク素材を中心に構成され、念入りにラフに加工されたディテールをラグジュアリーなコレクションにまとめている。「ショーを行わないので見せる要素が減り、どんどん自分自身が着る服へと絞りこまれている。ルーツに戻っている気がする」と宮下デザイナー。シーズンごとに“固執”するテーマやアイテムで、海外のメンズモードに影響を与えてきた東京を代表するデザイナーが、今一度チューニングを終え、再びパリで奏でるイントロが楽しみだ。
2014年10月23日