寺山修司といえば、昭和に人気を博した劇作家であり詩人で歌人。軽妙でリリカルな文体で描き出す世界は、どこか妖しく不可思議でありながら、人間くさくてユーモラスでもある。いまだ根強いファンを持つ作家の20代後期の作で未上演となっていた戯曲『海王星』が、山田裕貴さん主演で上演される。寺山修司が書き下ろした未上演の幻の音楽劇が初演。「これまで映画にも舞台にもなっていない戯曲を、みなさんの前でお披露目できるというのは、とても光栄なことです。ただ…めちゃくちゃ難しい。最近自分がお芝居をしていて、どういう気持ちでここにいるのかわからなくなることってなかったんです。でも今回の役に関しては、自分の中で気持ちがうまく繋がらなくて、その状態のままセリフを発するということに、すごく難しさを感じています」そして一拍おいてから「この人がどういう声で話すのか。どんな間で、それがどれくらいの音圧でしゃべるのか。今、呼吸はどうなっていて、心臓のバクバクはどれくらいなのか。そんなところから悩んじゃって…」とも。つまり普段、そこまで追求し演じているということなのだろう。「考えすぎなのかもしれないですけど、一回違うと思い始めると細かいところまで気になってきちゃうんです。共演のみなさんはまず動いてみるということができるのですが、映像の仕事が圧倒的に多い僕には、頭と体を切り離して動くということがなかなかできないんですよね」演じるのは、船の難破で父を亡くした青年・猛夫。ホテルを舞台に、父への想いと、父と再婚するはずだった魔子に惹かれていく自身の恋心との狭間で苦悩する姿が描かれる。「演出の眞鍋(卓嗣)さんから説明していただいたのは、登場人物はみな、追い求める理想像とは違う現在の自分に劣等感を抱いている人たちだということ。その劣等感やコンプレックスを隠すために、夜な夜な集まってドンチャン騒いで寂しさを紛らわしている。理想と現実という両極端のベクトルが反作用を起こして、気持ちの中でゴチャゴチャしてほしい、役としても俳優としても内側にカオスを持っていてほしいと言われました。だから今は、そのカオスを一生懸命やろうとしています」いつだってそうやって悩み考えて考えて、あのどこか生々しさを感じさせる役が生まれてくるのだ。「不器用だからめちゃくちゃ考えるんだと思います。そうしながらやっていくうちに、わからなかった感情に気づいたり、しゃべる声や動きがしっくりくる瞬間があるんです。ただ、しっくりきすぎるのもよくなくて。きれいに見えすぎてしまっていないかということも、疑ってみないといけない。…なんか嫌なんです、“お芝居です”と見えてしまうことが。誰かの人生をのぞいているような感覚で観てもらいたいんです」映画にドラマにと今年最も活躍した俳優のひとりと言っていいだろう。「僕はまだ、こんな作品をやりたいです、と自分から言えるような俳優ではないと思っています。ただ、熱量を持って僕にぜひと言ってくださるならば、できる限り応えたいと思っています。今回の舞台もそう。声をかけてくださった方たちもだし、僕が出てるからと観に来てくださる方々、みんながよかったと思えるものにできたらと思っています。今回くらいカオスを抱えた役を演じるのは、もしかしたら初めてかもしれない。今はまだどう表現したらいいかわからないけれど、だからこそ表現の仕方が見つかった瞬間、すごく気持ちがいいかもしれないです」PARCO PRODUCE 2021 音楽劇『海王星』戦艦の船底にあるホテル。父親が乗った船が難破し、悲しみに暮れる猛夫(山田)の前に、父の婚約者の魔子(松雪)が現れる。互いに惹かれ合うが、死んだはずの父(ユースケ)が生還し…。12月6日(月)~30日(木)渋谷・PARCO劇場作/寺山修司演出/眞鍋卓嗣音楽・音楽監督/志磨遼平(ドレスコーズ)出演/山田裕貴、松雪泰子、清水くるみ、伊原六花、大谷亮介、中尾ミエ、ユースケ・サンタマリアほか全席指定1万3000円ほかパルコステージ TEL:03・3477・5858大阪、富山、宮城、青森、名古屋公演あり。やまだ・ゆうき1990年9月18日生まれ。愛知県出身。最近の出演作に、映画『東京リベンジャーズ』『燃えよ剣』など。主演ドラマ『志村けんとドリフの大爆笑物語』(フジテレビ系)は今月放送予定。ジャケット¥91,300パンツ¥52,800(共にコモン スウェーデン/ジェムプロジェクター TEL:03・6418・7910)シューズ¥51,700(フェランテ/トゥモローランド TEL:0120・983・522)その他はスタイリスト私物※『anan』2021年12月8日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・森田晃嘉ヘア&メイク・小林純子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年12月06日寺山修司が「天井棧敷」結成前の1963年に書いた未上演の音楽劇『海王星』が12月6日より、東京・PARCO劇場で初演される。それに先立ち、フォトコールと記者会見が開催され、出演する山田裕貴、松雪泰子、ユースケ・サンタマリア、音楽・音楽監督を務める志磨遼平(ドレスコーズ)、演出の眞鍋卓嗣が出席した。出港しない船上ホテルで、主人公・猛夫(山田)と父の婚約者・魔子(松雪)が出会い、愛し合うが、そんな2人の前に、海で遭難死したと思われていた父・彌平(ユースケ)が生還し現れる。山田がPARCO劇場の舞台に立つのは初めて。松雪は『藪原検校』、ユースケは『タンゴ・冬の終わりに』以来のPARCO劇場出演となる。山田裕貴山田は「僕ら登場人物の感情の奥の奥、隅の隅まで伝えるには、どうしたら良いか。相当の技量と精神力が必要だなと思うし、集中力を切らさず演じなければいけない」と初日を迎えて緊張した面持ち。「感情がフラットでいられるシーンがないので、苦しいですよ(笑)」と役柄を語り、「若輩者で未熟者で、力不足を感じている日々ですけど、それがやりがいですし、日々進化していく舞台になれば」と闘志を燃やしていた。松雪泰子この言葉に、松雪も「私のバディである山田裕貴くんと一緒に、緊張感を途切れさせず、最後まで表現していくのが大きな役割。そこに集中したい」と共闘を誓い、「これまでの寺山作品とは、また違った印象を受け取っていただける豊かな作品になるよう頑張りたい」と抱負のコメント。ユースケも「もっと違う次元の、今まであまり見たことない感覚になるはず」と手応えを示した他、「眞鍋さんは僕らに優しく真摯に寄り添ってくれる。僕、ガミガミ怒る演出家、嫌いなんですよ!」と暴走する場面もあった。ユースケ・サンタマリア昨年、第55回紀伊國屋演劇賞 個人賞及び、第28回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞した眞鍋氏が今回、PARCO劇場初進出を果たし「いよいよ来たかという感じ」と武者震い。「丁寧かつ大胆に練り上げ、作り上げてきた。フォトコールを見て、自分自身、鳥肌が立ち、ゾクゾクしている」と期待を寄せた。眞鍋卓嗣(演出)志磨遼平(音楽・音楽監督)かつて「毛皮のマリーズ」として活動し、寺山修司からの影響を大きく受けた志磨は「残されていた詩に曲をつけるわけで、恐れ多いですけど『作詞:寺山修司/作曲:志磨遼平』という共作ができるなんて、夢にも思わなかった」と感無量。作曲については「キャストの皆さんに当て書きした感覚」だと説明し、「実際にご本人に歌っていただけるのは光栄」と話していた。ドレスコーズによる生演奏も、本公演の大きな見せ場となる。取材・文・写真=内田涼【公演概要】PARCO PRODUCE2021音楽劇『海王星』作:寺山修司演出:眞鍋卓嗣音楽・音楽監督:志磨遼平(ドレスコーズ)出演:山田裕貴松雪泰子清水くるみ伊原六花佐藤誓冨永竜山岸門人澤魁士眼鏡太郎野々山貴之内田慈坪井木の実白木原しのぶ小山雲母片桐美穂金井美樹島ゆいか吉井乃歌大谷亮介中尾ミエユースケ・サンタマリア2021年12月6日(月)~2021年12月30日(木)会場:PARCO劇場※大阪(森ノ宮ピロティホール)、富山(オーバード・ホール)、宮城(東京エレクトロンホール宮城)、青森(弘前市民会館 大ホール)、愛知(名古屋 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール)で公演予定公式WEBサイト
2021年12月06日寺山修司が「天井棧敷」結成前の1963年に書き下ろした『海王星』を、新生PARCO劇場にて初上演。主演の灰上猛夫を演じる山田裕貴に話を訊いた。舞台は嵐で立ち往生中の船上ホテル。亡くなった父・彌平の婚約者・魔子と恋に落ちた猛夫だが、そこに彌平が生きていたという知らせが入り……。脚本を読んだ感想を、山田はこう語る。「物語の描かれ方としては、人間の感情が入り乱れた愛憎劇、というかたちにはなっていると思います。でも僕が脚本を読んだ時にストレートに入ってきたのは、“愛ってなんだろう?”という感情。この世にはこんなにも愛情があふれていて、人を好きになるということは誰もが経験しているけれど、結局“愛ってなに?”と。なんか悩んでしまいましたね」さまざまな“愛”を寺山の美しい言葉の数々で紡ぎ出す本作。中でも山田に響いたというのがこのセリフだ。「魔子さんの『あなたを作ったのは、お父さんなんかじゃない。あなた自身なんだから』というのは、僕自身の人生でも感じたことがあります。父と子の関係というところで、小さいころからコンプレックスというか、普通ではない感覚があって。そこは猛夫とシンクロする部分ですし、この役を生きていくうえでプラスになるかなと。言葉には表せない細かな感情や発する声に滲み出るもの、振り向く時のスピードに至るまで、すべてに影響していくと思います」役が乗り移ったかのような、リアリティのある演技が魅力的な山田。猛夫という役に対する、現段階でのアプローチ方法を訊ねると……。「まず常に思っているのは、“魂まで変われ!”ということです。いつも“俺消えろ!”と思っていて、今回だったら灰上猛夫のことを徹底的に考えたり、彼の気持ちを知ろうとすることが、役づくりではないかなと。やっぱり役者って、人の気持ちがわからないと出来ない仕事なんです」ちなみに本作は音楽劇。ドレスコーズの志磨遼平が音楽を手がける。「今は一切行けていないですが、僕、とにかくカラオケが大好きなんです!だから歌えることへの喜びはとても大きいです。志磨さんの楽曲は、儚く、悲しい感じで、これを舞台上で歌ったらどんな世界になるんだろう?とすごく考えさせられるものばかり。次にこの音がくるんだ!?ここで間が入るんだ!?みたいな面白さもあって。猛夫としてこれをどのように表現していけばいいのか。日々研究していきたいと思います」公演は12月6日(月)開幕のPARCO劇場での東京公演を皮切りに、大阪、富山、宮城、青森、名古屋と各地を巡る。取材・文:野上瑠美子
2021年11月12日寺山修司が「天井棧敷」結成前の1963年に書いた未上演の音楽劇『海王星』が、東京・PARCO劇場で2021年12月に初演される。『中国の不思議な役人』(1977)、『青ひげ公の城』(1979)をPARCO劇場に書き下ろし、演出するなど同劇場ともゆかりの深い寺山修司。『海王星』は、出港しない船上ホテルを舞台に繰り広げられる、父と息子と父の婚約者の甘く哀しい祝祭劇で、寺山の詩的な音律が映える台詞と、想像力をかきたてる魅惑的で怪しい登場人物によって彩られる世界は、まさに「寺山ワールド」の原点といえる。主人公となる息子・猛夫を演じるのは大ヒット映画『東京リベンジャーズ』など注目度&人気爆発中の山田裕貴、父・彌平の婚約者・魔子をPARCO劇場『藪原検校』での好演も記憶に新しい松雪泰子、そして彌平を2015年の『タンゴ・冬の終わりに』以来のPARCO劇場出演となるユースケ・サンタマリアが演じる。演出を手がけるのは、昨年、第55回紀伊國屋演劇賞 個人賞及び、第28回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞し今もっとも勢いにのる眞鍋卓嗣がPARCO劇場初進出。かつて「毛皮のマリーズ」として活動し、寺山修司からの影響を大きく受けた志磨遼平(ドレスコーズ)が作曲を手がける。今回はドレスコーズの生演奏による上演とのことで、そちらも見逃せない。以下、あらすじと演出の眞鍋卓嗣と山田裕貴、松雪泰子、ユースケ・サンタマリアのコメントを紹介。上段左より大谷亮介清水くるみ伊原六花中尾ミエ/下段左より松雪泰子山田裕貴ユースケ・サンタマリア【あらすじ】舞台は、戦艦の船底にある「北海岸ホテル」。嵐で船出を先延ばしにされた怪しげな人々が集まり、かりそめのパーティーに興じている。主人公・猛夫は一人落ち込んでいる。父、彌平の乗る船が嵐で難破し死んでしまったのだ。悲しむ猛夫のもとに、父と再婚し、義母となるはずだった魔子が現れる。彌平の思い出を語り合う内に惹かれ合う猛夫と魔子、しかし、死んだはずの彌平が、生還したことにより、悲恋へと舵を切る。恋仇となった仲の良い親子、さらに猛夫を慕う那美と悪魔的少女そばかすの存在が、3人の恋慕を悲劇的に加速させる。そして、魔子の心は揺れるまま、彌平との結婚式を迎える。物語は、この5人を軸に、ブルースを唄う老婆や昆虫採集の少女たちなど寺山修司的な登場人物が現れ、様々な心情を唄い踊り、物哀しい祝祭劇を彩っていく。【眞鍋卓嗣(演出)コメント】この戯曲をはじめて読んだ時、「天井棧敷」創立前の作品ということもあってか、確かに寺山修司だけれども寺山修司じゃないような、そんな感想を持ちました。本家寺山ワールドの偉大さを感じながらも、天井棧敷への道を辿らなかったかも知れないもうひとつのオルタナティブな道を模索するつもりです。山田裕貴さんはじめ魅力的なキャストの皆さん、志磨遼平さんの楽曲と共に現在の私たちのエンターテイメントを目指したいと思います。【山田裕貴コメント】舞台の出演が決まるたび、まだ舞台経験が少ないからでしょうか、独特の緊張感に包まれます。音楽劇ということで、歌もあり、そして、贅沢な生演奏の音に包まれる中で、その音の力を借りながら世界に没入したいです。灰上猛夫という男を生きるにはかなり心や魂をすり減らすことになるだろうなと。愛とはなんなのか、人間は生まれながらに愛情というもの追い求めて、生きていますが、愛を追い求める人間たちはどのように削られ、どのような人生を辿るのか、そんな物語をぜひご覧ください。このようなご時世ではありますが、ぜひ、愛の物語を生で感じていただきたいです。PARCO劇場でお待ちしています。【松雪泰子コメント】寺山修司さんが「天井棧敷」結成前に書き下ろされた幻の音楽劇『海王星』、このたび初演になります。今は、寺山ワールドを体験できる喜びにあふれています。半世紀以上を経た今、寺山さんが生きた時代とは、異なる時代を生きる我々が生み出す『海王星』がどんな世界に立ち上がるのか。キャストの一人として、今から楽しみでなりません。幻想的な世界観を劇場で体感していただく観客の皆様の五感に、いやそれ以上の感覚に届く作品になりますよう稽古に励みたいと思っております。この度、演出家の眞鍋さん、そして音楽を担当される志磨遼平(ドレスコーズ)さん、皆様とのコラボレーションも、とても楽しみにしております。2021年12月、PARCO劇場今年最後の上演になります。劇場にてお待ちしております。【ユースケ・サンタマリア コメント】寺山修司作品に飛び込むのは2度目です。一度目は映画でした。今でも強烈に覚えている。暑い熱い夏の日々でした。因みに山田裕貴君も出演しています。そして、今回2度目の寺山作品。それも舞台上で生身で演じ、歌う、、、勝手に不思議なご縁を感じて震えます。今回は飛び込むというより、浅瀬からゆっくり深く深く潜ってゆく、、、そんなイメージでいきます。是非、PARCO劇場でお待ちしていますね。ブーストを2段階 上げます。上演は2021年12月6日(月)から12月30日(木)まで、東京・PARCO劇場にて。チケット一般発売は10月上旬を予定している。【公演概要】PARCO PRODUCE2021音楽劇『海王星』作:寺山修司演出:眞鍋卓嗣音楽・音楽監督:志磨遼平(ドレスコーズ)出演:山田裕貴松雪泰子清水くるみ伊原六花佐藤誓冨永竜山岸門人澤魁士眼鏡太郎野々山貴之内田慈坪井木の実白木原しのぶ小山雲母片桐美穂金井美樹島ゆいか吉井乃歌大谷亮介中尾ミエユースケ・サンタマリア2021年12月6日(月)~12月30日(木)会場:PARCO劇場※大阪、富山、宮城、愛知ほかで地方公演予定公式WEBサイト
2021年08月12日プロダクトデザインやアートワークを中心に国内外で活動する美術作家、寺山紀彦(NORIHIKO TERAYAMA)による展示「自然のようにみえて不自然な光景」が、東京・白金のOUR FAVOURITE SHOP内にあるOFS galleryにて5月9日から6月3日まで開催される。寺山紀彦は、日本でデザインを学んだ後、オランダへ留学。帰国後、studio noteを立ち上げ、プロダクトをメインにCLASKA Room701の内装デザインや店舗アートワーク、クライアントデザイン業務など、多岐に渡りデザイン活動を行なう。21_21 DESIGN SIGHTでの「デザインあ展」、「コメ展」、「単位展」、「雑貨展」への参加や、ギャラリーでの作品展示など、作家としての活動も行なっている。本展では、日頃、作家が何気なく見ている光景の中に感じる「自然のようにみえて不自然な光景」を、インスタレーション形式で表現。「プラスティックでできた植物に、なぜ人が惹かれるのか、純粋に興味をそそられた。シャボン水に空気を加えていくと、自らの意思で動いているように泡が膨らんでいく。それは、まるで生き物のように見えた。身近な光景をぼんやりと見ていると、自然のようにみえて不自然な光景が見えてくる。」5月11日の18時から20時には、同会場にて、誰でも自由に参加可能なオープニングパーティーを開催する。【展示会情報】自然のようにみえて不自然な光景会期:5月9日〜6月3日会場:OFS gallery(OUR FAVOURITE SHOP内)住所:東京都港区白金5-12-21時間:12:00〜19:00(最終日は17:00まで)休館日:月・火(祝日を除く)
2018年05月07日寺山修司の「時計」に関する掌編15編と、気鋭の画家たちによる描き下ろし作品を収録した物語画集『寺山修司 時をめぐる幻想』が、2018年4月2日(月)に発売される。同書は、1967年2月から1970年9月までの27回に渡って、寺山修司がシチズン(CITIZEN)の広報誌「Citizen Sales News」にて連載した「時計」にまつわる幻想的な物語15編を収録したもの。今回、シチズンが創業100周年を迎えることを記念し、それぞれの物語に現在活躍中の画家の絵を新たに加えて刊行される運びとなった。連載開始時の1967年は、寺山修司が多くの表現者に影響を与えた演劇実験室「天井棧敷」を設立した年でもある。既存のスタイルに意義を唱え、常に新しいものを追求していた寺山修司。彼が書く、妖しく美しい「時計」をめぐる物語の世界に触れることで、身近にある「時計」について、いつもとは違う新たな思いを馳せてみてはいかがだろう。【書籍情報】『寺山修司 時をめぐる幻想』発売日:2018年4月2日(月)価格:2,300円+税出版社:東京美術
2018年04月05日東京・代官山の代官山T-SITEのイベントスペース「代官山T-SITE GARDEN GALLERY」では、寺山修司没後35年を記念し、3月24日から27日の4日間、企画展「寺山修司不思議書店」を開催。没後35年が経過した今でも、様々な表現分野で不滅のアイコンとして残り続ける「寺山修司」。本展では、彼の表現の源泉となった実際の蔵書(三沢市寺山修司記念館所有)を、史上最大規模の1,000冊以上で公開。また、彼が主宰した演劇実験室「天井棧敷」に代表されるアングラ演劇に関連して、横尾忠則や宇野亞喜良など気鋭のグラフィックデザイナーが作成した大胆で斬新な劇団ポスターを展示・販売する。他にも会場内にて、寺山修司の秘書兼マネージャーとして彼の仕事を支えた田中未知の著書『質問』(77年初版)が二度目の復刊を遂げたのを機に、同書の「質問」に寺山修司が答える田中未知監督による短編映画を上映する他、展示会初日の3月24日には、書籍『質問』(文藝春秋刊)の著者である田中未知と、装丁家の祖父江慎のトークイベントも開催。更に会場内では、本年度国内映画賞を席巻した寺山修司、唯一の長編小説を映画化した『あゝ、荒野』を機に新たに撮り下ろされた、写真家 森山大道による写真集『あゝ、荒野』の他、2006年に限定50部しか作成されなかった幻の特装版『あゝ、荒野』(共著:寺山修司、森山大道)の販売を始めとする、絶版本の販売やファッションブランド「シアター プロダクツ(THEATRE PRODUCTS)」協力のもと作成した、寺山修司直筆原稿をプリントしたハンカチ等のオリジナルグッズも販売する。この機会に、現代にも通ずる寺山修司の不思議な世界を堪能してみては。【イベント情報】寺山修司没後35年記念「寺山修司不思議書店」会期:3月24日~27日会場:代官山T-SITE GARDEN GALLERY住所:渋谷区猿楽町16-15時間:3月24日 13:00~19:00、25日~26日 11:00~20:00、27日11:00~18:00料金:500円※オンラインストアにて参加券を購入、また会期中は会場にて当日券 500円(税込)も販定予定70年代伝説の書『質問』(文藝春秋)が生まれた時代寺山修司が表現しようとしていたこと『質問』(文藝春秋)著者 田中未知×『質問』装丁 祖父江慎トークショー会期:3月24日時間:20:00~21:00料金:1,080円(税込)定員:50名代官山T-SITEのHP()から申込み
2018年03月19日寺山修司没後35年を記念し、蔵書1,000冊以上を集めた企画展「寺山修司不思議書店」が、代官山T-SITE GARDEN GALLERYにて2018年3月24日(土)から3月27日(火)まで開催される。没後35年が経過した今なお、多くの人に愛され続け不滅のアイコンとして残り続ける寺山修司。2017年には、いまをときめく俳優・菅田将暉を迎え、小説『あゝ、荒野』が映画化された。企画展「寺山修司不思議書店」では、三沢市寺山修司記念館が所有する蔵書を史上最大規模の1,000冊以上公開。また、彼が主宰した演劇実験室「天井棧敷」の劇団ポスターの展示・販売も行う。ポスターは横尾忠則や宇野亞喜良など、人気グラフィックデザイナーが作成した大胆で斬新なデザインがポイントだ。さらに、2006年に50部しか作成されなかった、写真家・森山大道撮り下ろしの特装版写真集『あゝ、荒野』も販売。期間中は、寺山修司の秘書兼マネージャー田中未知が監督する短編映画の上映会も予定している。【イベント詳細】寺山修司没後35年記念「寺山修司不思議書店」開催期間:2018年3月24日(土)~3月27日(火) 11:00~20:00※3月24日(土)は13:00~19:00、3月27日(火)は18:00まで。会場:代官山T-SITE GARDEN GALLERY住所:東京都渋谷区猿楽町16-15料金:入場料:500円(税込)※3/24のトークイベント参加には別途料金必要。■『質問』(文藝春秋)著者田中未知×『質問』装丁祖父江慎トークショー日時:3月24日(土)20:00~21:00登壇者:田中未知、祖父江慎イベント参加料金:1,080円(税込)定員:50名【問い合わせ先】TEL:03-3770-2525
2018年03月18日2016年、タロットを重要なモチーフとしたファンタジー漫画『サングリアル~王への羅針盤~』が誕生!9月12日にその第2巻が発売されるということで、帯のコピーを手がけた鏡リュウジさんが、作者の寺山マルさん、監修協力をしている占い師の田波有希さんと初対面しました。漫画の舞台は中世ヨーロッパ。王族の姫君と、貧民街で暮らす謎めいたタロット占い師の出会いから始まる魅惑のストーリーに興奮を隠せない様子の鏡さんが、寺山さん、田波さん、そして担当編集者の瀬尾さんに様々な質問を投げかけます。作品づくりの舞台裏はもちろん、タロットの豆知識や歴史的背景、さらには占いとの上手な付き合い方にまつわるお話まで飛び出して…。最終回である今回、鏡先生、寺山さん、田波さん、それぞれのお気に入りのタロットの絵柄が判明します。理由を聞いて納得。なんとなく“らしさ”が出ているのも興味深いところです。他には、寺山さんのデビュー秘話や田波さんが経営する古書店のお話も。もちろん鏡先生ならではの、タロットにまつわる豆知識もたくさん教えていただきました。鏡リュウジ…心理占星術研究の第一人者、圧倒的な支持を受ける存在で、大学で教鞭をとるなど、アカデミックな世界での占星術の紹介にも積極的。寺山マル…2014年、新人コミック大賞で入選、デビュー。漫画を読むのとガムが好物。田波有希…プロとしての鑑定歴16年、1万人超の鑑定数を誇るタロットリーディングを中心とした占い師。最初は「死神」のカードはなかった?編集部:ここまで、いろいろなお話をしていただきましたが、座談会をしてみていかがでしたか?田波有希(以下/田波):鏡先生のお言葉に、ものすごくパワーをいただきました。寺山マル(以下/寺山):私もです。ありがとうございます!改めてタロットって面白いなと思いました。鏡リュウジ(以下/鏡):同感です。タロットは面白い!一同:(笑)田波:特に歴史は本当に興味深いです。私も本はたくさん読んできたけど、どの説がフィクションでどの説がノンフィクションか、というのは知らない部分も多かったので、鏡先生のお話を伺えてよかったです。鏡:これからまた新説が出て、変わっていくかもしれないですけどね。タロットは誤読の歴史なので。ジェブラン(※1)のタロットエジプト起源説以降、いろいろな人が誤読を積み重ねてきました。実は、タロットに関するきちんとした研究が始まったのは1980年代以降なんです。田波:歴史の長さを考えると、80年代以降って、つい最近って感じがしますね。ところで「ヴィスコンティ版」(※2)のタロットが、もともとは観賞用だったって本当ですか?鏡:観賞用だったという説があります。確かに「ヴィスコンティ・スフォルザ版」は遊ぶにはだいぶ大きいし、現存するカードの上部にはピンで留めたような穴が残っていますから。ただ、ルネサンス期にはカードで遊ぶ女性の姿を描いた絵もあるので、遊戯にも用いられていたデッキがあったのも事実でしょう。田波:そうなんですね。そういえば、消失してる部分は縁起が悪いカードだから、もともとなかったのかも?という説もありますよね。鏡:「死神」のカードはあるのに「悪魔」と「塔」の2枚がないんですよね。もとからないのか、後で焼失したのか、そこは謎に包まれています。田波:その2枚がないっていうのが意味深ですね。編集部:絶対に引きたくないからと、取り除いてしまったのでしょうか?鏡:そこは二通りの説があるんです。最初はあったのにたまたまなくなったり、貴族が破いたりしたのか。もしくは初めはなくて、後に「悪魔」や「塔」がプラスオンされたんじゃないか、という二つの考え方ですね。縁起が悪いからなくしたという説もあるけど、「死神」はあるからなんとも言えなくて。田波:確かに。2枚はもともとなかったとも考えられますね。鏡:ええ。さっきもちらっと言ったけど、タロットは必ずしも22枚と決まっているわけではなくて、ヴィスコンティと同時代の「キャリー・イェール版」のカードはもっと枚数が多いし、もう少し後に出た「ミンキアーテ」というカードなんかは97枚もあります。つまり、もとからなかったとしても不思議ではないんです。田波:なるほど。3人が好きなタロットカードは?瀬尾亞佑(以下/瀬尾):ところで、鏡先生は大アルカナの中ではどのカードが一番お好きですか?鏡:そうですね。ベタですけど、「フール(愚者)」や「マジシャン(魔術師)」かな。でも、みなさん好きだから「フール」ってあんまり言いたくないんです(笑)。田波:好きな人多いんですか?私は好きと言う方にお会いしたの、鏡先生が初めてです。瀬尾:私も。鏡:えっ!本当に?田波:前に説話社さん(※3)がタロットの意味を「〇△×」で表すランキングを作ったのですが、それを見たら「愚者」に「△」がついていました。それでスタッフさんに「何で△なの?」って聞いたら、「愚者」は何者でもない存在だから良くも悪くもないし、好き嫌いもあまりないって言ってたんです。鏡:そうなんですね!田波:鏡先生は、深い知識をお持ちだからこそ好きと言えるような気がします。鏡:そうなのかなぁ。でも、男性は「フール」が好きな人、結構いるイメージがあります。田波:確かに男女の違いはありそうですね。「フール」は自由な感じがしますし。鏡:崖から飛び出してて危なっかしいから…。女性はもっとロマンチックなカードが好きなのかもしれませんね。何がお好きですか?瀬尾:私は「太陽」が好きです。田波:私は「審判」。編集部:きれいに分かれましたね。鏡:女性には「フール」は人気ないのか…。ベタすぎてみなさんと同じになっちゃうかと思ってました。田波:ベタではないですね(笑)。鏡:でも、ビートルズに「The Fool on the Hill」って曲があるし、海外で、いろんな人が描いた「フール」のカードを集めた画集も出てるんですよ。瀬尾:そんなに人気があるとは…。田波:今日の今日まで知りませんでした。鏡:そうか、わかった!タロットが世界的に本当にブームになったのが70年代なんですね。当時はヒッピー・ジェネレーション。ヒッピーと「フール」って相性がいいから人気が出たのかもしれません。田波:新しい時代を作りたい若者にとっての象徴になったんですね?鏡:そう。既存の社会にはハマんねーよ!と思ってるような人たちにウケたんだと思います。瀬尾:今のお話、すごく腑に落ちました。寺山先生はどのカードがお好きですか?寺山:「隠者」ですね。鏡:それは珍しい。でも、なんとなくお好きなのわかる気がします。田波:先生が描いたタロットの中でも、「隠者」のカードは素敵ですよね。寺山:ありがとうございます。「隠者」ってなんだか落ち着くんです。鏡:そういえばレッド・ツェッペリンの「天国への階段」というアルバムがあるのですが、開くと「隠者」が出てきますよ。一同:へぇー!編集部:タロットっていろいろな所で使われてるんですね。鏡:そうなんですよ。占いの専門家はトンデモ本がお好き?鏡:「審判」がお好きなのは何でですか?「審判」の解釈って人によってずいぶん違うので気になります。田波:「タロットストーリー」の中で、「審判」について“最後の最後まで残ってしまった人も救いましょう”というようなことが書かれていたんですね。そこがすごく好きなんです。鏡:どなたの「タロットストーリー」を読まれたんですか?田波:私が読んだのは東条真人さんの『タロット大事典』です。あと、子どもの頃に読んだ弦エニシさんの『タロットスター』が、最初のタロットの記憶として残っています。鏡:タロットの入門書や教本って、その人独自の世界観の表れですよね。言ってみれば、それぞれがその人の「タロットストーリー」。田波:『タロット大事典』はすごくイマジネーションが膨らむ本だなと思いました。井上敦子さんの『タロット象徴事典』も面白かったですね。もちろん鏡先生の本も拝読しています。タロットじゃないけど『アニマの香り』なんか大好きです。鏡:ありがとうございます。マニアックですね。田波:本の虫というかオタクなので。鏡:田波さんが経営する本屋さんに置かれている本も、占い関係のものがメインなんですか?田波:いえ、どちらかというとトンデモ本が多いですね。鏡:トンデモ本?どんなのを扱っているんですか?田波:そうですね。例えば、戦後の安い紙でできている、恋を叶えるおまじないの本だとか、不思議な絵が描かれた奇門遁甲(※4)の本だとか。民俗学やオカルトの本も結構あります。鏡:へぇー、行ってみたいな。僕も年季の入ったトンデモ本好きです。田波:いいですよね。ちなみに、うちは古本屋なんですけど、占いの本だけは新刊があります。もちろん鏡先生の本も置いてますよ。鏡:ありがとうございます。寺山先生、漫画家デビュー秘話編集部:聞きそびれていたのですが、寺山先生と瀬尾さんはいつ頃から一緒にお仕事をされてるんですか?瀬尾:ええと、最初はクリスマスイブに作品を持ち込まれたんですよね。寺山:そうそう。鏡:それはロマンチックな!(笑)瀬尾:私たちは「クリスマスですね」「そうですね」って感じで、全然ロマンチックさはなかったですけどね(笑)。持ち込みを受け、魅力的な作品だなと思って、弊社の新人賞に出していただいたら受賞して。読み切り漫画を2本くらい掲載し、その後すぐに連載が始まりました。連載まで、かなり早かったですね。鏡:すごい。「ROAD OF THE KING」だ。(※5)ジェブランの幻想的なタロットエジプト起源説では、Taortという言葉が「王の道」の意味であると解釈されていましたが(もちろん、これは間違い)、そんなスピード展開を聞くと、まさに「王の道」を地でいかれているという感じもしますね。瀬尾:そうなんです!田波:寺山先生は本当に才能豊かなんですけど、ものすごくピュアな方で、心がずっと子どものように清らかだなっていつも感じています。寺山:え?そんな、そんな…。鏡:漫画家さんってそういう方多いですよね。瀬尾:そうですね。だからこそ面白いものが描けるんだと思います。鏡:これからが楽しみですね。『サングリアル』も、寺山さんご自身も。寺山:ありがとうございます。精進します。一同:今日はありがとうございました。【編集部註】※1アントワーヌ・クール・ド・ジェブラン。1781年に『原始世界』を刊行し、「タロット=トートの書」説を発表。※2ヴィスコンティ・スフォルツァ版タロット。15世紀後半にミラノ公によって作られた、様々な博物館、図書館、世界中の個人コレクションに散らばる約15デッキのタロットの総称。※3占い専門の老舗出版社。※4古代中国で生まれた方位術。周の軍師・太公望や三国時代に活躍した諸葛亮孔明が戦に用いたと言われる。※5『サングリアル』の表紙に「ROAD OF THE KING」と書かれている。陰謀と闘え。運命を選べ。弱い自分を打ち破れ。禁断の王宮ブラッディー・ファンタジー、誕生。『サングリアル~王への羅針盤~ 1』 (ビッグコミックス)9月12日 第2巻発売!『サングリアル~王への羅針盤~ 2』 (ビッグコミックス)鏡リュウジ1968年、京都生まれ。国際基督教大学大学院修了。占星術研究家・翻訳家。京都文教大学客員教授。平安女学院大学客員教授。日本トランスパーソナル学会理事。英国占星術協会会員。著書に『鏡リュウジ 星のワークブック』(講談社)、『オルフェウスの卵』(文春文庫)、共著 角田光代『12星座の恋物語』(新潮文庫)、訳書にヒルマン『魂のコード』(河出書房新社)、サバス『魔法の杖』(ヴィレッジブックス)ほか多数。寺山マル2014年、新人コミック大賞で入選、デビュー。「月刊!スピリッツ」で『あいのあいだに(前後編)』掲載後、本作が初連載作品となる。漫画を読むのとガムが好物。田波有希多摩美術大学卒業。同大学染織デザイン研究室助手を経て、美術作家として活躍しながら占い師に。プロとしての鑑定歴16年、鑑定人数10000人以上。東京、雑司が谷にて古本と占い「JUNGLE BOOKS」を拠点に活動。下北沢「FUTURE DAYS」などでも鑑定を行う。「サングリアル~王への羅針盤」「神軍のカデット」監修中。
2016年11月07日森山大道による写真集『Daido Moriyama: Terayama』が登場。2016年4月より順次、全国で発売される。写真集は、長らく絶版となっていた寺山修司の名エッセイ集『スポーツ版 裏町人生』と、それをイメージし森山大道自身がプリントした写真を掲載。デザイン・造本を手がけた町口覚が『スポーツ版 裏町人生』から「ボクシング」「競輪」「相撲」「競馬」「闘犬」をテーマにした5篇を選び、厳選された森山の写真118枚とともに、散っていったスポーツマンたちの裏町人生を綴った。本のデザインにもこだわりが見える。不織布加工された表紙を陣取る森山の代表作「三沢の犬」の起毛の手触り、タイポグラフィと造本の妙など、本好きを魅了する。写真と言葉の交わりにより、まったく違った表現力と強さをもった森山大道の写真と寺山修司の言葉を体感してみて。なお、2016年4月5日(火)から9月25日(日)までの期間は、青森県三沢の寺山修司記念館で森山大道写真展「裏町人生〜寺山修司」も開催されている。8月6日には、森山本人のトークショーもあるので、チェックしてみて。【概要】写真集『Daido Moriyama: Terayama』<日本語版>価格:4,500円+税全国発売:2016年4月より順次取り扱い店舗:代官山 蔦屋書店、TSUTAYA TOKYO ROPPONGI店、オンラインサイト写真:森山大道 文:寺山修司『スポーツ版 裏町人生』よりブックデザイン:町口覚 出版社:株式会社マッチアンドカンパニー版型:本文=縦189mm× 横126mm(四六判変型)頁数:本文358頁上製本(スリーブケース入り)※初版限定1000部【展覧会情報】森山大道写真展「裏町人生〜寺山修司」会期:2016年4月5日(火)〜2016年9月25日(日)開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)入館料:一般個人 530円(常設展310円+企画展220円)、一般団体 430円(20名以上)、高大生100円、小中学生50円 ※土曜日は、小中学生無料会場:寺山修司記念館エキジビットホール住所:青森県三沢市大字三沢字淋代平116-2955■開催記念トーク 森山大道(写真家) × 町口覚(グラフィックデザイナー/パブリッシャー)× 笹目浩之(テラヤマ・ワールド代表/寺山修司記念館副館長)日時:8月6日(土)13:00~会場:寺山修司記念館 屋外多目的スペース【問い合わせ先】株式会社 マッチアンドカンパニーTEL: 03-3470-6423
2016年04月24日さまざまな分野を縦横無尽に活躍するエイジレスな女性たち。彼女たちが好きな人・空間・コトには、ずっと探していた「キレイ」のヒントが隠されているはず。 “KIREI interview” では、そんな彼女たちのキレイの秘密を探ります。裏地 桂子さん / ギフトコンシェルジュギフトコンシェルジュとして雑誌・TVなどでもおなじみの裏地桂子さん。忙しい日々の著述業やお仕事のかたわらで、美しくあることへの気配りはもちろん、周囲への心配りも驚くほどきめ細やか。すでに8冊もの著書を発表するパワフルウーマンでありながら、常にしなやかでチャーミング。会うたびに輝きを増す彼女の「キレイ」の秘密を探ります。裏地桂子 Keiko Uraji ギフトコンシェルジュ。クリエイティブコーディネーター。草月流師範。1996年より、『Grazia』『メイプル』『和樂』などの女性誌でライター、コーディネーターとして活躍後、衣食住ライフスタイル全般に精通した知識とそのセンスを生かし、プロデュース、ブランディングなどを数多く手がけている。食通、きもの好き、京都好きでも知られ、講演会やトークショー、執筆活動にも力を入れている。著書に『わたし好みのHAPPYデザインギフト100選』(小学館)、『ほめられきもの宣言』(小学館)、『贈る心得。ご縁結びのスイーツ』(講談社)など多数。昨年10月ワニブックスより刊行した『ごきげん力 8つの育て方』も話題に。裏地桂子ホームページ www.uraji-keiko.com― 先日刊行された著書『ごきげん力』ですが、ページをめくるごとに勇気をもらうメッセージやキーワードが次々と飛び込んできて、「ああ、今この本を読んで本当によかった!」という清々しい読了感。「悩みも心配ごともたくさん。だって人間だもの」というくだりから「そうかぁ。そうよね!」と。相当前のめり気味に読ませていただきました。嬉しいわ。本当に書いているとおり「どうしていつもそんなに元気いっぱいなの?」「悩みごとなんてないでしょう?」ってよく言われるの(笑)過ぎた今だから振り返ってそう思えるのだけど、30代ってまだまだ若いのよね。とにかく体力があるし、周囲から評価もされるようにもなってキャリアもどんどん磨かれて。続いて訪れる40代は、私自身は雑誌のライターを辞めていまのキャリアへとこぎ出す大きな転機となった時期で、それこそ「いけいけどんどん」。新しいことへの挑戦が次から次へと繋がって、変化していくこと自体が楽しくて仕方がなかった時代。でも、いざ「50代」に突入するとなった時、正直想像できないことだらけだったの。明らかな体力の変化に戸惑うことも多かったし、とにかく不安だらけ。でもいちいち落ち込んでいても仕方がないないでしょう? 上を見ればきりがないし、下を見ても仕方がないのよね。そう思って、自分なりにあれこれと試行錯誤しながら「いつまでもキラキラしていたい!」という目的に向かって行き着いた解決策が、この本の主題にもなっている「ごきげんに暮らす」ことだったんです。― これまでの書籍は、贈り物や手土産のテーマや、京都好き、食通、着物などご自身の「好き」が主題でした。今回の『ごきげん力』は今までにないアプローチですよね。本書を書くに至ったきっかけは何だったのでしょう?最近よく若い女性から人生相談を受けるようになって。おしなべて感じるのは、30代は焦っている人が多い。揺れているのよね。私だってそうだったもの。だからご相談を受けるたびに思うんです。今、世の中はセルフコントロールの時代。自分のことは自分にしかわからないのだから、どんどん自分のことを知る作業を重ねるべきなのよって。でも、話を聞いているとみな大体自分で答えを決めているの。私がしてあげられるのは、背中を押してあげることなんだな~と。本書を書く原動力になったのは、自分自身が紆余曲折してたどり着いた答えを共有することで、揺れているもやもやした気持ちや悩んでいる背中を押してあげれるかも! と感じたからなんです。― 本書ではマーカー片手に読みたくなるほど、心にすとんと落ちるキーワードがたくさん登場するのですが、なかでも「好きのあぶり出し」ということばには、膝を打つ女性たちも多いように思います。現代の荒波をくぐって前向きに生きていくには強いセルフコントロール力が必要だと思うんです。まず第一に「私って幸せ!」と思えることはものすごく大切で、そう感じることが多ければ多いほど「ごきげん力」を養うことができると思うんです。本書でも書いてますが、 “好きのあぶり出し” はマスト作業なんですよね。ものすごくシンプルな作業で、頭に思い浮かぶ「好き」なことを何でも良いから紙に書き出していくんです。このステップを踏むと、「どうすれば自分が喜ぶのか」を知ることができるでしょう? たとえ何かで落ち込んでも「そういえば私、朝からお風呂に入ってシャンパン飲むのが好きだったじゃない?」って。そうやって少し自分を甘やかしてあげると「心のリカバリー」が早いんです。― 裏地さんは会うたびに「これものすごくいいわよ!」って、コスメでもなんでも惜しみなく情報公開してくださるんですよね。なおかつその情報がものすごく信憑性があって、どれもこれもすぐ買いに走りたくなるものばかり。50数年生きてきた分、失敗もたくさん。だからその試行錯誤の末に出会った良いものはどんどん人に共有していきたいって思うんです。本に書いていることも含めて、自分が本当に良いなと思ったものはできるだけ多くの人と共有したい。すべて「お福分け」だと思ってるんです。 【後編】へ続く>> (インタビュー・文:松浦明)★裏地さんインタビュー記事【後編】では、「キレイ」になれる愛用品の数々をご紹介! 【後編】はこちら>> 『ごきげん力 8つの育て方』(ワニブックス刊)前向きになりたいと願っているのに、何か心が晴れない。いつもなにか不安に苛まれている。“揺れやすい”女性たちの心に一筋の光が差し込むような感覚で、思わず一気に読み上げたくなる一冊。「自分のご機嫌をとれるのは自分だけ」「好感度をあなどるなかれ」「言霊(ことだま)は私の守り神」「その『いつか』はいつくるの?」気になる章はどこから読んでもOK。マル高出産で子育てと仕事の両立に奮闘中の私自身(インタビュアー)も元気をいただいた一冊です。
2016年01月29日故・寺山修司生誕80年の今年、その最後の演出作品『レミング』が上演される。1979年に発表されて以来、さまざまなバージョンが存在する本作だが、今回は、寺山没後30年の2013年に松本雄吉と天野天街が台本化し、松本の演出で初演した舞台を、音楽劇『レミング~世界の涯まで連れてって~』として再演。溝端淳平、柄本時生、麿赤兒、霧矢大夢……とキャストを一新し、前回は登場しなかった“少女”役としてシンガーソングライターの青葉市子も出演する。上演場所をパルコ劇場から東京芸術劇場に移し、スケールアップが見込まれる稽古場に11月某日、潜入した。音楽劇『レミング~世界の涯まで連れてって~』チケット情報この日は共同脚本の天野が中心となり、セクション5「もぐら叩き」の稽古が行われていた。下宿屋の一室に住むコック見習いのタロ(溝端)と、何故か畳の下に住む母親(麿)との場面だ。息子に干渉し、脅したり懐柔したりしながら自らの影響力の下に置こうとする母。その母をなだめながら、隙あらば布団叩きで殴ろうとする息子。母との関係に終生悩まされた寺山自身をも彷彿とさせる情景だ。背後から布団叩きを振り下ろす溝端の様子が麿には見えないため、打つタイミングと頭を引っ込めるタイミングをめぐり、試行錯誤が続けられた。回を重ねる毎に動きがよくなる溝端の瑞々しい演技と、ちょっとした表情や声に得も言われぬ味わいが滲む麿の怪演が印象的。さらに、何人もの“少女”たちのアンサンブルが現れ、幻想的な情景を創り出す。続いて稽古はセクション2「壁の消失」の前半へ。どこか中華テイストの音が流れる中、タロとジロ(柄本)が並んで調理の仕草をし、中華料理の名を次々と掛け合いで発していく。途中でそれらは、包丁さばきの描写に変化。果てしない呪文のように、台詞は続く。しかも、台詞のテンポは音とリンクしていなければならない。難しさに頭を抱える溝端と柄本に、音楽の内橋和久が「慣れたら崩してもいいけど、お互いの台詞がどう絡んでいるのか把握するためにも、まずは音をハメて」「身体に入れちゃうと良いよ」とアドバイスする。柄本は「家でずっと練習しているんですけど……」と苦笑いし、溝端は「振りなしでやってみる?」などと積極的にアイデアを出しながら、練習に没頭。見守るキャストやスタッフも、思わず一緒に膝でカウントを取っていた。休憩時間には、大女優・影山影子を演じる霧矢のかつらも到着し、スタッフが説明。その傍らには、振りを確認する占部房子や、TV「テラスハウス」の”王子”こと岩永達也らの姿も。本番に向けて、準備は休みなく進められているのだった。この作品には、様々な壁が登場する。アパートの壁、舞台と客席の間の見えない壁、独房の壁……。それらの先に、虚構とも現実ともつかない不思議な景色が広がっていく。幾つもの壁を乗り越えてキャスト達が到達する新たな音楽劇『レミング~世界の涯まで連れてって~』の開幕は、まもなくだ。公演は12月6日(日)から20日(日)まで東京芸術劇場プレイハウスにて、その後、愛知、大阪、福岡でも上演。取材・文:高橋彩子
2015年12月04日小説家、映画監督、詩人など幅広く活躍し、「書を捨てよ、町へ出よう」「田園に死す」など今なお現代のアーティストたちに影響を与える作家・寺山修司。彼の生誕80年を記念したオフィシャルイベント「冥土への手紙-寺山修司 生誕80年記念音楽祭」が、10月11日、12日に恵比寿ザ・ガーデンホールにて開催される。寺山修司に所縁のあるアーティストたちが集結して開催される同音楽祭。音楽監督は、寺山修司が主宰した劇団「演劇実験室 天井棧敷」で全音楽を手掛け、遺志を引き継ぎ劇団「演劇実験室 万有引力」を主宰している音楽家のJ・A・シーザーが担当。アートディレクションは「天井棧敷」のオリジナルデザインを手掛けた宇野亞喜良、プロデューサーは立川直樹と笹目浩之が務める。なお、第1夜は「書を捨てよ町へ出よう」、第2夜は「田園に死す」と題され、それぞれ異なる寺山ワールドが繰り広げられる。第1夜の出演者は、大槻ケンヂ、近藤等則、SUGIZO、瀬間千恵、PANTA、山崎ハコなど。第2夜は犬神サアカス團、近藤等則、SUGIZO、渚ようこ、新高けい子、元ちとせ、未唯mie、蘭妖子、ROLLYを予定している。楽曲は、「あしたのジョー」「海猫」「惜春鳥」「かもめ」「戦争は知らない」などが披露される予定だ。なおチケット発売は、オフィシャルホームページ先行が9月6日まで、一般が9月16日10時より開始される。【イベント情報】「冥土への手紙-寺山修司 生誕80年記念音楽祭」会場:恵比寿ザ・ガーデンホール住所:東京都目黒区三田1-13-2会期:10月11日、12日時間:開場 17:00、開演 18:00料金:税込8,800円
2015年09月02日寺山修司没後30年、PARCO劇場40周年を記念して、4月21日(日)から『レミング~世界の涯まで連れてって~』が上演される。演出を託されたのは、維新派の松本雄吉。音と空間を存分に活用して観客を異世界と誘う名人の登板となれば、寺山作品に愛着がある人にとっても、驚きと発見に満ちた体験になるのは間違いない。その仕上がりを探るため、稽古場を訪れ、出演者の八嶋智人に話を訊いた。演劇実験室◎天井棧敷によって1979年に初演、1983年に劇団の最終公演として改訂再演された『レミング』をもとに、今回は松本と少年王者舘の天野天街が共同で上演台本を仕立てた。「楽譜に近い、見たこともない台本でした」と八嶋は言う。“ヂャンヂャン☆オペラ”は、変拍子のリズムでセリフを連ねていく維新派ならではの表現スタイルで、台本には、言葉を発するタイミングやテンポが細かく記されているのだ。「5拍子や7拍子に慣れていないので最初は戸惑いましたけど、体に馴染んでくるとこれほど気持ちのいいグルーヴはない。同じフレーズを繰り返していても、滞らないというか、独特の高揚感があるんですよね」。人々を隔てていた壁という壁が消失し、すべてが混沌のうちにつながってしまった都市の物語。舞台上で次々と明らかになっていくのは、目隠しを奪われたせいで虚飾を施せなくなった個々の生活だ。八嶋が演じるコック1の場合、四畳半の畳の下に母親(松重豊)を飼っていることが観客の眼前にさらされる。エキセントリックな設定でありながら、母と子の丁々発止のやりとりを見ると、笑わずにはいられない。さらに息子は、穴から飛び出た母親の首で“もぐら叩き”を始める始末だ。「いろんなことが縦横無尽ですよね、寺山作品は。しかも説明的じゃない。凝縮された言葉をポンッと提示して、それを皮膚で感じてもらうという“引き算”の魅力なんです」。詩人でもあった寺山の飛躍に満ちたイマジネーション。だからこそ、右脳に作用する松本演出との相乗効果に寄せられる期待は大きい。「表現の精度をグーッと上げていって、松本さんの言う“至芸”に到達したい。目指すのは、デジタルとアナログの絶妙な塩梅。観てキョトンとしたお客さんにも、“わからないけど、面白かった!”と言ってもらえる自信があります。なにしろ僕自身が、毎日稽古しながらワクワクしているので」。片桐仁がコック2、常盤貴子が往年の映画スター影山影子の役を演じるほか、オーディションで選ばれた16人のキャストが出演。4月21日(日)から5月16日(木)まで東京・PARCO劇場、5月25日(土)に名古屋・中日劇場、6月1日(土)・2日(日)に大阪・イオン化粧品 シアターBRAVA!にて上演される。
2013年04月09日常盤貴子が4月、6年ぶりの舞台に挑むことが決まった。作品は寺山修司の傑作『レミング』をもとにした『レミング~世界の涯までつれてって』。演出を手掛けるのは、巨大な野外劇場を舞台に大阪弁のイントネーションで言葉の断片を重ねてゆく「ヂャンヂャン☆オペラ」スタイルでファンの多い維新派の松本雄吉だ。寺山没後30周年記念公演ともなるこの作品にかける思いについて、チラシ撮影の現場で松本と常盤のふたりに話を聞いた。『レミング~世界の涯までつれてって』チケット情報もともと維新派に興味があったという常盤。「私が拝見した野外演劇では、大雨が降ったんです。でもその雨粒も雨音も舞台装置の一部のようでかっこよかった。近くを通る電車の音や、遠くの車のテールランプ、それらすべてを味方につけてその時しか観られないものを作り出すのが維新派なのかと!私が大好きなバンドのGrateful Deadに通じるライブ感がある」と常盤が目を輝かせて語れば、松本も「昔、常盤さんがドラマで清朝の最後の皇帝の弟と結婚する日本人・愛新覚羅浩役を演じるのを観ました。位の高い人が身をやつす、そんな姿が似合う女優さんはなかなかいない。この空気は天性のものと感じた」と常盤に惹かれた瞬間を話した。『レミング』は壁についての物語。松本が「自分という壁を乗り越えたいという思いは普遍的なテーマ。また、寺山流の遊び心溢れる都市観もいま改めて提示したい」と意気込むと、常盤が「誰にも相談できずひとりで悩む人が多い現代に合う物語のような気がする」と続ける。また、「寺山さんの作品はもちろん、彼が活躍した6、70年代に憧れがあるんです」と告白する常盤に対して松本が「僕も寺山への憧れはあるけれど、やはり年上のライバルという気持ちが強かった。面白い芝居は観ると腹が立つので」と話し、笑いを誘った。常盤が「今回、松本さんの演出によって、維新派の俳優さんたちのようなひとつのコマになるのが楽しみ」と舞台への期待を口にすると、松本は「脚本に手を入れる作業は、できるだけ俳優さんに合わせる形で行いたいと思っている」と構想を漏らす。続けて「今回は寺山ワールドを活かしつつ、美術や音楽も新たにつくっていく。目まぐるしく動く舞台装置を予定しているので、退屈しないと思いますよ」と笑った。30年余の時を超えて、2013年の日本に寺山ワールドがどう展開されるのか、期待が募る。公演は、4月21日(日)東京・PARCO劇場でスタート。チケットの一般発売は3月2日(土)午前10時より。なお、チケットぴあでは東京公演の有料会員向けインターネット抽選プレリザーブを2月4日(月)11:00~2月11日(月・祝)11:00まで、無料会員向けインターネット抽選プレリザーブを2月4日(月)11:00~2月12日(火)11:00まで受付中。取材・文:釣木文恵
2013年02月01日