ビーントゥーバー(Bean to Bar)チョコレートブランド「ミニマル(Minimal)」が、工房併設の新店「ミニマル 白金高輪Factory & Store」を2017年1月10日(火)にオープンする。「ミニマル 白金高輪Factory & Store」は、白金高輪駅から徒歩9分に立地。物販&テイクアウト専門の直売所裏手すぐには、チョコレート工房が設けられ、カカオ豆からチョコレートを作る職人たちの臨場感をその場で見て感じることのできるストアとなる。また、工房併設ならでのメニューとして、出来立てのチョコレートペースト「チョコレートディップ」が登場。日ごとに少しずつ風味や香りが異なるので、出来立て「チョコレートディップ」を食べ比べするのも面白い。食べ方は、マシュマロやフルーツなど好きなものをつけて楽しめるのでパーティーにもオススメだ。さらに、通常商品に加えて、過去のラインナップやコレクションから現在非売品となっているチョコレートも限定発売される。なお、現在工房併設の富ヶ谷本店は、今後新商品開発の研究拠点となり、富ヶ谷本店および銀座店には、「ミニマル 白金高輪Factory & Store」で作られたチョコレートが販売される。【ショップ詳細】ミニマル 白金高輪Factory & Storeオープン日:2017年1月10日(火)住所:東京都港区白金1-7-1 アズ白金ビル1F営業時間:11:00~18:00定休日:月曜、日曜日<メニュー例>・ビーントゥバー チョコレート タブレットレギュラーサイズ レギュラーサイズNUTTY/FRUITY/SAVORYライン 1,080円~非売品チョコレートタブレット※価格は商品によって異なる。・カカオ菓子カカオニブ 972円チョコレートフレーク 各1,296円・チョコレートディップ 324円(税込)
2017年01月13日ビューティフルシューズ(BEAUTIFUL SHOES)の2017年春夏コレクションを紹介。ミニマルでずっと使える。そんなアイテムが豊富に揃うビューティフルシューズ。木型から素材、デザインまで絶妙なバランスで構成される1足は、女性の足元をナチュラルに飾ってくれる。HIGHPOINTEDMONOCHOROME「HIGHPOINTEDMONOCHOROME」は、ウエッジヒールのポインテッドトゥパンプス。ラストの流れるようなラインが引き立つよう、アッパーのデザインは極力シンプルに仕上げている。それでいて各箇所によって異なる芯地を多用し、まるで誂えのスーツのように仕立てるなどの拘りはビューティフルシューズならでは。U-TIP SHOES元は狩猟やカントリースポーツに由来を持つUチップ。その雰囲気を纏いながらも現代的に昇華したのが「U-TIP SHOES」だ。ラストはトゥにゆとりを持たせつつ、無骨にならないようウエストからかかと周りをすっきりと絞った、緩急のある女性らしいシルエット。グットイヤー製法を用いた足馴染みの良いソールは、何度でも張り替えができるというのも嬉しいポイント。BALLET SHOESバレエシューズをモチーフに、アレンジを効かせた「BALLET SHOES」。スリップオンで履けるように口周りをゴムにし、屈曲性のあるレザーソールを採用。ライニングのきめ細かいシープレザー、インソールの低反発クッションが、足を優しく包み込むような履き心地を実現している。また、カラーはブラックの他、プラチナ箔を張り合わせたパイソンレザーも展開する。春夏の足元をゴージャスに彩ってくれる。BAREFOOT SANDAL #1「BAREFOOT SANDAL #1」のルーツは、メキシコのタラウマ族のワラーチサンダル。鼻緒のストレスがなく、着脱もしやすいこのサンダルを日本人に合ったフィッティングへとアレンジした。軽量かつしなやかなソールと、バックルで調節可能なナイロンベルトのみで構成したシンプルなデザインは、カジュアルながらも洗練された面持ち。カラーは、モードなブラックとヌーディなベージュの2色が展開される。【詳細】ビューティフルシューズ 2017年春夏コレクション発売時期:2017年1月下旬より順次【問い合わせ先】GALLERY OF AUTHENTIC(ギャラリー・オブ・オーセンティック)TEL:03-5412-6908住所:東京都渋谷区神宮前2-27-12
2016年12月09日マルベリー (Mulberry)が12月7日よりクリスマス&ギフトコレクションを発売する。今年のクリスマスシーズンは、「マルベリー」のクラシックカラーである“オックスブラッド”に、鮮やかな新色の“マカロンピンク”、“フィエリーレッド”、そして“ポーセリンブルー”が加わった。また「ベイズウォーター」にミディアムサイズが新登場。軽さだけでなく、ショルダーストラップ付きで機能性を兼ね備えている。そしてスモールサイズバッグの新シリーズ「ダーリー」も発表。エレガントなチェーンストラップが目を引く同シリーズは、ポケットやカード入れなど実用性も十分。スモールとミニサイズで展開する。発売店舗は、新宿伊勢丹店本館1階ハンドバッグ、銀座三越1階ハンドバッグ 、阪急うめだ本店1階バッグギャラリー。また、公式サイトではコレクションの発売にあわせてスペシャルムービーを公開中。子供たちが、ある一家のクリスマスを演じている。動画引用元: (マルベリーオフィシャルYouTube:
2016年12月05日マルベリー(MULBERRY)の「クリスマス&ギフトコレクション 2016」が2016年12月7日(水)から発売される。ミニバッグ「ダーリー」エレガントなチェーンストラップが目を引くダーリーは、ポケット、カード入れなどの実用的な要素が魅力的なシリーズだ。クリスマスを華やかに演出するカラーは、クラシックなオックスブラッドのほか、マカロンピンク、フィエリーレッド、ポーセリンブルーといった新色も。スモールとミニサイズで展開される。アイコンバッグ「ベイズウォーター」マルベリーの新クリエイティブ・ディレクターであるジョニー・コカによって、さらにモダンなスタイルとして蘇った「ベイズウォーター」。今回のクリスマスシーズンから、ミディアムサイズが新たに加わり、軽さだけでなくショルダーストラップ付きで、機能性を兼ね備えて登場する。カラーは「ダーリー」同様、鮮やかな4色展開だ。【詳細】マルベリー クリスマス&ギフトコレクション 2016発売日:2016年12月7日(水)価格:・ベイズウォーター・ウィズ・ストラップ 165,000円・スモールベイズウォーター 145,000〜160,000円・ダーリークラシック 100,000円・スモールダーリー 85,000円取り扱い:新宿伊勢丹店本館1階ハンドバッグ、銀座三越1階ハンドバッグ、阪急うめだ本店1階バッグギャラリー
2016年12月04日2016年、タロットを重要なモチーフとしたファンタジー漫画『サングリアル~王への羅針盤~』が誕生!9月12日にその第2巻が発売されるということで、帯のコピーを手がけた鏡リュウジさんが、作者の寺山マルさん、監修協力をしている占い師の田波有希さんと初対面しました。漫画の舞台は中世ヨーロッパ。王族の姫君と、貧民街で暮らす謎めいたタロット占い師の出会いから始まる魅惑のストーリーに興奮を隠せない様子の鏡さんが、寺山さん、田波さん、そして担当編集者の瀬尾さんに様々な質問を投げかけます。作品づくりの舞台裏はもちろん、タロットの豆知識や歴史的背景、さらには占いとの上手な付き合い方にまつわるお話まで飛び出して…。最終回である今回、鏡先生、寺山さん、田波さん、それぞれのお気に入りのタロットの絵柄が判明します。理由を聞いて納得。なんとなく“らしさ”が出ているのも興味深いところです。他には、寺山さんのデビュー秘話や田波さんが経営する古書店のお話も。もちろん鏡先生ならではの、タロットにまつわる豆知識もたくさん教えていただきました。鏡リュウジ…心理占星術研究の第一人者、圧倒的な支持を受ける存在で、大学で教鞭をとるなど、アカデミックな世界での占星術の紹介にも積極的。寺山マル…2014年、新人コミック大賞で入選、デビュー。漫画を読むのとガムが好物。田波有希…プロとしての鑑定歴16年、1万人超の鑑定数を誇るタロットリーディングを中心とした占い師。最初は「死神」のカードはなかった?編集部:ここまで、いろいろなお話をしていただきましたが、座談会をしてみていかがでしたか?田波有希(以下/田波):鏡先生のお言葉に、ものすごくパワーをいただきました。寺山マル(以下/寺山):私もです。ありがとうございます!改めてタロットって面白いなと思いました。鏡リュウジ(以下/鏡):同感です。タロットは面白い!一同:(笑)田波:特に歴史は本当に興味深いです。私も本はたくさん読んできたけど、どの説がフィクションでどの説がノンフィクションか、というのは知らない部分も多かったので、鏡先生のお話を伺えてよかったです。鏡:これからまた新説が出て、変わっていくかもしれないですけどね。タロットは誤読の歴史なので。ジェブラン(※1)のタロットエジプト起源説以降、いろいろな人が誤読を積み重ねてきました。実は、タロットに関するきちんとした研究が始まったのは1980年代以降なんです。田波:歴史の長さを考えると、80年代以降って、つい最近って感じがしますね。ところで「ヴィスコンティ版」(※2)のタロットが、もともとは観賞用だったって本当ですか?鏡:観賞用だったという説があります。確かに「ヴィスコンティ・スフォルザ版」は遊ぶにはだいぶ大きいし、現存するカードの上部にはピンで留めたような穴が残っていますから。ただ、ルネサンス期にはカードで遊ぶ女性の姿を描いた絵もあるので、遊戯にも用いられていたデッキがあったのも事実でしょう。田波:そうなんですね。そういえば、消失してる部分は縁起が悪いカードだから、もともとなかったのかも?という説もありますよね。鏡:「死神」のカードはあるのに「悪魔」と「塔」の2枚がないんですよね。もとからないのか、後で焼失したのか、そこは謎に包まれています。田波:その2枚がないっていうのが意味深ですね。編集部:絶対に引きたくないからと、取り除いてしまったのでしょうか?鏡:そこは二通りの説があるんです。最初はあったのにたまたまなくなったり、貴族が破いたりしたのか。もしくは初めはなくて、後に「悪魔」や「塔」がプラスオンされたんじゃないか、という二つの考え方ですね。縁起が悪いからなくしたという説もあるけど、「死神」はあるからなんとも言えなくて。田波:確かに。2枚はもともとなかったとも考えられますね。鏡:ええ。さっきもちらっと言ったけど、タロットは必ずしも22枚と決まっているわけではなくて、ヴィスコンティと同時代の「キャリー・イェール版」のカードはもっと枚数が多いし、もう少し後に出た「ミンキアーテ」というカードなんかは97枚もあります。つまり、もとからなかったとしても不思議ではないんです。田波:なるほど。3人が好きなタロットカードは?瀬尾亞佑(以下/瀬尾):ところで、鏡先生は大アルカナの中ではどのカードが一番お好きですか?鏡:そうですね。ベタですけど、「フール(愚者)」や「マジシャン(魔術師)」かな。でも、みなさん好きだから「フール」ってあんまり言いたくないんです(笑)。田波:好きな人多いんですか?私は好きと言う方にお会いしたの、鏡先生が初めてです。瀬尾:私も。鏡:えっ!本当に?田波:前に説話社さん(※3)がタロットの意味を「〇△×」で表すランキングを作ったのですが、それを見たら「愚者」に「△」がついていました。それでスタッフさんに「何で△なの?」って聞いたら、「愚者」は何者でもない存在だから良くも悪くもないし、好き嫌いもあまりないって言ってたんです。鏡:そうなんですね!田波:鏡先生は、深い知識をお持ちだからこそ好きと言えるような気がします。鏡:そうなのかなぁ。でも、男性は「フール」が好きな人、結構いるイメージがあります。田波:確かに男女の違いはありそうですね。「フール」は自由な感じがしますし。鏡:崖から飛び出してて危なっかしいから…。女性はもっとロマンチックなカードが好きなのかもしれませんね。何がお好きですか?瀬尾:私は「太陽」が好きです。田波:私は「審判」。編集部:きれいに分かれましたね。鏡:女性には「フール」は人気ないのか…。ベタすぎてみなさんと同じになっちゃうかと思ってました。田波:ベタではないですね(笑)。鏡:でも、ビートルズに「The Fool on the Hill」って曲があるし、海外で、いろんな人が描いた「フール」のカードを集めた画集も出てるんですよ。瀬尾:そんなに人気があるとは…。田波:今日の今日まで知りませんでした。鏡:そうか、わかった!タロットが世界的に本当にブームになったのが70年代なんですね。当時はヒッピー・ジェネレーション。ヒッピーと「フール」って相性がいいから人気が出たのかもしれません。田波:新しい時代を作りたい若者にとっての象徴になったんですね?鏡:そう。既存の社会にはハマんねーよ!と思ってるような人たちにウケたんだと思います。瀬尾:今のお話、すごく腑に落ちました。寺山先生はどのカードがお好きですか?寺山:「隠者」ですね。鏡:それは珍しい。でも、なんとなくお好きなのわかる気がします。田波:先生が描いたタロットの中でも、「隠者」のカードは素敵ですよね。寺山:ありがとうございます。「隠者」ってなんだか落ち着くんです。鏡:そういえばレッド・ツェッペリンの「天国への階段」というアルバムがあるのですが、開くと「隠者」が出てきますよ。一同:へぇー!編集部:タロットっていろいろな所で使われてるんですね。鏡:そうなんですよ。占いの専門家はトンデモ本がお好き?鏡:「審判」がお好きなのは何でですか?「審判」の解釈って人によってずいぶん違うので気になります。田波:「タロットストーリー」の中で、「審判」について“最後の最後まで残ってしまった人も救いましょう”というようなことが書かれていたんですね。そこがすごく好きなんです。鏡:どなたの「タロットストーリー」を読まれたんですか?田波:私が読んだのは東条真人さんの『タロット大事典』です。あと、子どもの頃に読んだ弦エニシさんの『タロットスター』が、最初のタロットの記憶として残っています。鏡:タロットの入門書や教本って、その人独自の世界観の表れですよね。言ってみれば、それぞれがその人の「タロットストーリー」。田波:『タロット大事典』はすごくイマジネーションが膨らむ本だなと思いました。井上敦子さんの『タロット象徴事典』も面白かったですね。もちろん鏡先生の本も拝読しています。タロットじゃないけど『アニマの香り』なんか大好きです。鏡:ありがとうございます。マニアックですね。田波:本の虫というかオタクなので。鏡:田波さんが経営する本屋さんに置かれている本も、占い関係のものがメインなんですか?田波:いえ、どちらかというとトンデモ本が多いですね。鏡:トンデモ本?どんなのを扱っているんですか?田波:そうですね。例えば、戦後の安い紙でできている、恋を叶えるおまじないの本だとか、不思議な絵が描かれた奇門遁甲(※4)の本だとか。民俗学やオカルトの本も結構あります。鏡:へぇー、行ってみたいな。僕も年季の入ったトンデモ本好きです。田波:いいですよね。ちなみに、うちは古本屋なんですけど、占いの本だけは新刊があります。もちろん鏡先生の本も置いてますよ。鏡:ありがとうございます。寺山先生、漫画家デビュー秘話編集部:聞きそびれていたのですが、寺山先生と瀬尾さんはいつ頃から一緒にお仕事をされてるんですか?瀬尾:ええと、最初はクリスマスイブに作品を持ち込まれたんですよね。寺山:そうそう。鏡:それはロマンチックな!(笑)瀬尾:私たちは「クリスマスですね」「そうですね」って感じで、全然ロマンチックさはなかったですけどね(笑)。持ち込みを受け、魅力的な作品だなと思って、弊社の新人賞に出していただいたら受賞して。読み切り漫画を2本くらい掲載し、その後すぐに連載が始まりました。連載まで、かなり早かったですね。鏡:すごい。「ROAD OF THE KING」だ。(※5)ジェブランの幻想的なタロットエジプト起源説では、Taortという言葉が「王の道」の意味であると解釈されていましたが(もちろん、これは間違い)、そんなスピード展開を聞くと、まさに「王の道」を地でいかれているという感じもしますね。瀬尾:そうなんです!田波:寺山先生は本当に才能豊かなんですけど、ものすごくピュアな方で、心がずっと子どものように清らかだなっていつも感じています。寺山:え?そんな、そんな…。鏡:漫画家さんってそういう方多いですよね。瀬尾:そうですね。だからこそ面白いものが描けるんだと思います。鏡:これからが楽しみですね。『サングリアル』も、寺山さんご自身も。寺山:ありがとうございます。精進します。一同:今日はありがとうございました。【編集部註】※1アントワーヌ・クール・ド・ジェブラン。1781年に『原始世界』を刊行し、「タロット=トートの書」説を発表。※2ヴィスコンティ・スフォルツァ版タロット。15世紀後半にミラノ公によって作られた、様々な博物館、図書館、世界中の個人コレクションに散らばる約15デッキのタロットの総称。※3占い専門の老舗出版社。※4古代中国で生まれた方位術。周の軍師・太公望や三国時代に活躍した諸葛亮孔明が戦に用いたと言われる。※5『サングリアル』の表紙に「ROAD OF THE KING」と書かれている。陰謀と闘え。運命を選べ。弱い自分を打ち破れ。禁断の王宮ブラッディー・ファンタジー、誕生。『サングリアル~王への羅針盤~ 1』 (ビッグコミックス)9月12日 第2巻発売!『サングリアル~王への羅針盤~ 2』 (ビッグコミックス)鏡リュウジ1968年、京都生まれ。国際基督教大学大学院修了。占星術研究家・翻訳家。京都文教大学客員教授。平安女学院大学客員教授。日本トランスパーソナル学会理事。英国占星術協会会員。著書に『鏡リュウジ 星のワークブック』(講談社)、『オルフェウスの卵』(文春文庫)、共著 角田光代『12星座の恋物語』(新潮文庫)、訳書にヒルマン『魂のコード』(河出書房新社)、サバス『魔法の杖』(ヴィレッジブックス)ほか多数。寺山マル2014年、新人コミック大賞で入選、デビュー。「月刊!スピリッツ」で『あいのあいだに(前後編)』掲載後、本作が初連載作品となる。漫画を読むのとガムが好物。田波有希多摩美術大学卒業。同大学染織デザイン研究室助手を経て、美術作家として活躍しながら占い師に。プロとしての鑑定歴16年、鑑定人数10000人以上。東京、雑司が谷にて古本と占い「JUNGLE BOOKS」を拠点に活動。下北沢「FUTURE DAYS」などでも鑑定を行う。「サングリアル~王への羅針盤」「神軍のカデット」監修中。
2016年11月07日2016年、タロットを重要なモチーフとしたファンタジー漫画『サングリアル~王への羅針盤~』が誕生!9月12日にその第2巻が発売されるということで、帯のコピーを手がけた鏡リュウジさんが、作者の寺山マルさん、監修協力をしている占い師の田波有希さんと初対面しました。漫画の舞台は中世ヨーロッパ。王族の姫君と、貧民街で暮らす謎めいたタロット占い師の出会いから始まる魅惑のストーリーに興奮を隠せない様子の鏡さんが、寺山さん、田波さん、そして担当編集者の瀬尾さんに様々な質問を投げかけます。作品づくりの舞台裏はもちろん、タロットの豆知識や歴史的背景、さらには占いとの上手な付き合い方にまつわるお話まで飛び出して…。前回まではタロットの歴史や背景にまつわるお話を伺ってきましたが、今回は漫画家・寺山マルさんの過去・現在・未来にスポットを当てていきます。『サングリアル』のマル秘エピソードや気になる今後の展開についても、ちょっぴり聞けるかも?鏡リュウジ…心理占星術研究の第一人者、圧倒的な支持を受ける存在で、大学で教鞭をとるなど、アカデミックな世界での占星術の紹介にも積極的。寺山マル…2014年、新人コミック大賞で入選、デビュー。漫画を読むのとガムが好物。田波有希…プロとしての鑑定歴16年、1万人超の鑑定数を誇るタロットリーディングを中心とした占い師。次なる夢は舞台化、映像化?鏡リュウジ(以下/鏡):『サングリアル』は初の連載作品とのことですが、これまではどんな漫画を描かれてきたんですか?瀬尾亞佑(以下/瀬尾):前の作品とは全然、作風が違うんですよ。以前は現代の日常的な物語を読み切りで描いたりしていて。鏡:ずいぶん幅が広いんですね。寺山マル(以下/寺山):そう言っていただけるとうれしいです!鏡:『サングリアル』は歴史大河ロマンですよね?田波有希(以下/田波):歴史大河!私たちもそう言ってたんですよ。瀬尾:初めての連載なのに、こんな大変な作品を頑張って描いてくださって…。鏡:描き込みが細かいですよね。すごく時間がかかりそうだなと思いながら読んでいました。寺山:タロットが持つパワーに負けない世界観をつくりたいと思って、洋服ひとつ取っても、なるべく細部までこだわって描くようにしてます。編集部:てっきり、最初からそういう作風の方なのかと思っていました。瀬尾:今回の作品で大化けしたんです。鏡:絢爛豪華な世界ですよね。お嫌でなければ映像化してほしいです。個人的にはCG実写、希望です(笑)。田波:CG実写いいですね!舞台化も憧れます。鏡:確かに舞台もいいなぁ。宝塚でやってくれたら合いそうな気がします。瀬尾:実は作品づくりの過程で宝塚を観に行ったんですよ。2回くらい行きましたよね?寺山:はい。素敵でした。鏡:やっぱり観たんですね!宝塚っぽさがあるなと思いました。田波:寺山先生は、一度対面鑑定を受けただけでストーリーが浮かんでくるほど感受性が豊かだし、とにかく吸収力が高いので、舞台を観に行ったりすると、ものすごく反応してくれるんですよね。寺山:ありがとうございます。田波:本当に苦労して、3人とも作品に潜って潜ってつくってるので、舞台や映像になったら涙が出ちゃいそう。寺山先生なんて泣きながら絵を描いてるんですよ。それも、嫌だからではなく感動して泣いてるんです。いい話やーって(笑)。鏡:ご自身が納得できるまで力を出しきってるってことですね?寺山:そうなんだと思います。『サングリアル』は愛の物語!?編集部:これは伺っていいのかわからないのですが…。「ココロニプロロ」は恋愛がテーマのサイトなので、今後、主人公2人の間に恋愛の展開があるのか、差し支えない範囲で教えていただけないでしょうか。寺山:そうですね。あったらいいなと思います!瀬尾:恋愛、恋愛はしていない2人ですが、何者でもなかった男の子アンが王を目指し、その斜め後ろに女性であるキルケがいて背中を押して、一緒に王座へ登っていくというお話なので、何かしら愛の形は出せたらいいなと考えながらつくってますね。田波:まず、2人の出会いについて考えたとき、アンはバックグラウンドが何もわからないキルケをいきなりお城に連れて来るじゃないですか。そのときアンの中で恋のような気持ち…自分にとってのものすごいインパクトがなかったら連れては来ないだろうという感覚のもと、みんなでお話をつくってるんです。瀬尾:そうですね。そしてこの物語の発端は、実は愛の話なんです。寺山先生は2人の愛の話っていうところからイメージをつくりあげてるので、見え方としてはラブストーリーではないけど、根底には愛があります。鏡:思うに最初、アンにとってキルケはお母さん的な存在ですよね。これはユング心理学では「アニマ」と言うのですが、そこから彼女が性の対象としての女性に変容するってことは、アン自身が男の子として成長していくこと。つまり愛の形の変容そのものが、アンの成長ストーリーを物語ることになるのかなという気がします。寺山:わー!その解釈、すごくうれしいです!田波:うれしいですね。ところで話は戻りますが、タイトルにある「サングリアル」という言葉について、どこまで広げたらいいか悩んでいるんです。先ほど言ってた「聖杯」としての意味も持たせられたら面白いなと思うのですが。鏡:聖杯って、シンボリックに言うと「かけがえのない自分のアイデンティティ」の象徴だから、この作品自体がある意味、聖杯探しの物語ですよね。それから、王というのは自分自身の元型、基本的な存在の在り様そのものの象徴なんです。この作品の主人公は、実際に王を目指すわけですが、何者でもなかった若者が自分自身になっていくという意味では、あらゆる物語の雛形をたどってると言えますよね。そういう意味でも『サングリアル』って深いなー。寺山:本当ですか?瀬尾:私たち、本当に血を吐くようにしてつくってるので、そう言っていただけると最高にうれしいです!漫画、舞台…作品づくりはインプットが命編集部:『サングリアル』は今までとは作風が違うというお話でしたが、この漫画を描くにあたって影響を受けた作品はありますか?寺山:そうですね。いろんなところから影響を受けてると思うんですけど、きれいなものが好きなので、よく画集を見たりはしています。あと、小さい頃に星の神話の本を眺めるのが好きで、読めなくても絵だけ見て楽しんでいました。寺山:星座のハンカチなんかも好きで集めてましたね。そういうものが蓄積されてこの作品につながったんじゃないかと思います。宝塚も観ましたし。漫画だったら、ジョージ朝倉先生の作品をよく読んでいました。『ベルサイユのばら』や『キャンディ・キャンディ』のような女の子っぽい漫画も好きです。そういう、ありとあらゆるものから影響を受けてるんじゃないかなと思います。瀬尾:『エリザベート』を観たときは寺山先生、感動して「これだ!」って言ってましたよね。田波:その後、上がってきた絵がすごく良かったのを覚えてます。瀬尾:そしてミュージカルみたいな漫画を描きたいって。ババーンと音楽が聞こえてくるような、豪華絢爛な雰囲気の漫画を描きたいって言い始めたんですよね。寺山:『エリザベート』は本当に感動しました。ヒロインが王家を思って歌い、でも息子には反発されて…というシーンの二重唱が素晴らしくて。素敵!切ない!と感じました。「ママは僕の鏡だから」って曲かな?編集部:インプットが大事なんですね。漫画はもちろんですが、作品のイメージ的に、神話やミュージカルから影響を受けてらっしゃるのも、とても納得がいきました。第2巻の見どころをちょっとだけ…!編集部:『サングリアル』の第2巻は、第1巻とガラッと変わっていくのかなと想像しています。見どころやキーパーソンを教えていただけますか?瀬尾:簡単にお話すると、第1巻ではアンが「僕は王になるんだ」と覚悟を決めましたよね。でも、その時点ではまだ弱いし、口で言ってるだけなんです。そんなアンが実際、どうやって強くなっていくのか、どのように現実に立ち向かい、戦っていくのか、というのが第2巻で描かれています。キルケの謎もだんだん明らかになっていくので、そこも楽しみにしていただきたいですね。編集部:キルケにそんな裏があるとは思っていなかったので、ちょっとドキドキします。鏡:それにしても、これだけ細密な漫画を描き続けるのは大変ですよね?寺山:そうですね。でも、最近は1人でやってる感覚がないんです。正直なことを言うと、瀬尾さんも有希さん(田波さん)も本当にいい方なので、もう力になっていただけるものなら、どんどんそうしてもらおうと思ってたくさん協力を仰いでいます。その分、絵の部分では私は精いっぱい頑張ろうと思って、歌いながら描いてるような感じです(笑)。鏡:歌いながら描いてるんですか?ミュージカル的な世界観の作品だから合ってますね(笑)。寺山:はい。もし今、日常的な物語の漫画を1人で描いてたら、連載するのが逆にキツかったかもしれません。もちろん今も苦しいことはあるけど、楽しさの中に苦しさがある、という感じがします。編集部:産みの苦しみの中に楽しさがあるって素敵ですね。ところで、鏡先生は今回、帯のコピーを書かれたとのことですが、その際、何か意識されたことはありますか?鏡:帯を書かせていただく機会は結構多いのですが、短くキャッチ―にしなくちゃならないから難しいんですよね。僕、長く書く癖があるから申し訳なくて。本当は大きいフォントで「読んで!」「買って!」って書きたいんですけどね(笑)。一同:(笑)鏡:でも、そうもいかないし、タロットに携わる立場からすると、このタイトルを見ただけでも語りたいことがたくさん出てくるから、どうしても情報量が多くなるんですよね。『サングリアル』という作品自体が一つのタロットのストーリーになってるということも書きたいし、とにかく言いたいことがいっぱいあって、絞るのが本当に難しかったです。それで帯にありえないルビを振ってもらっちゃいました(笑)。編集部:難しい漢字が出てくるんですか?瀬尾:いえ、かっこよくルビを振っていただいたんです。それはぜひ書店でご覧ください!次回予告タロットを勉強したい方に朗報!占いの専門家による、おすすめの本をご紹介します。そして、鏡先生、寺山さん、田波さん、それぞれのお気に入りのタロットの絵柄も判明しちゃいます♪鏡リュウジ1968年、京都生まれ。国際基督教大学大学院修了。占星術研究家・翻訳家。京都文教大学客員教授。平安女学院大学客員教授。日本トランスパーソナル学会理事。英国占星術協会会員。著書に『鏡リュウジ 星のワークブック』(講談社)、『オルフェウスの卵』(文春文庫)、共著 角田光代『12星座の恋物語』(新潮文庫)、訳書にヒルマン『魂のコード』(河出書房新社)、サバス『魔法の杖』(ヴィレッジブックス)ほか多数。寺山マル2014年、新人コミック大賞で入選、デビュー。「月刊!スピリッツ」で『あいのあいだに(前後編)』掲載後、本作が初連載作品となる。漫画を読むのとガムが好物。田波有希多摩美術大学卒業。同大学染織デザイン研究室助手を経て、美術作家として活躍しながら占い師に。プロとしての鑑定歴16年、鑑定人数10000人以上。東京、雑司が谷にて古本と占い「JUNGLE BOOKS」を拠点に活動。下北沢「FUTURE DAYS」などでも鑑定を行う。「サングリアル~王への羅針盤」「神軍のカデット」監修中。
2016年10月12日2016年、タロットを重要なモチーフとしたファンタジー漫画『サングリアル~王への羅針盤~』が誕生!9月12日にその第2巻が発売されるということで、帯のコピーを手がけた鏡リュウジさんが、作者の寺山マルさん、監修協力をしている占い師の田波有希さんと初対面しました。漫画の舞台は中世ヨーロッパ。王族の姫君と、貧民街で暮らす謎めいたタロット占い師の出会いから始まる魅惑のストーリーに興奮を隠せない様子の鏡さんが、寺山さん、田波さん、そして担当編集者の瀬尾さんに様々な質問を投げかけます。作品づくりの舞台裏はもちろん、タロットの豆知識や歴史的背景、さらには占いとの上手な付き合い方にまつわるお話まで飛び出して…。前回に引き続き、タロットにまつわる、ちょっと深いお話をお届け。漫画の随所に登場する、美しいオリジナル・タロットカードについての秘話も伺いました!鏡リュウジ…心理占星術研究の第一人者、圧倒的な支持を受ける存在で、大学で教鞭をとるなど、アカデミックな世界での占星術の紹介にも積極的。寺山マル…2014年、新人コミック大賞で入選、デビュー。漫画を読むのとガムが好物。田波有希…プロとしての鑑定歴16年、1万人超の鑑定数を誇るタロットリーディングを中心とした占い師。「ウェイト版」の謎は小アルカナ編集部:「ウェイト版」以外のタロットについてはどう思われますか?田波有希(以下/田波):「トート・タロット」(※1)なんかも面白くて好きなんですけど、やっぱり私は「ウェイト版」派です。鏡リュウジ(以下/鏡):「ウェイト版」と「トート・タロット」だと、その誕生の仕方からして違うんですよね。「ウェイト版」は「ウェイト・スミス版」とも言って、最初の発表の場は「オカルト・レヴュー」というオカルト雑誌なんですよ。ウェイトがこれを商業誌で発表したことを、クロウリーは「ウェイトは商売に走った」と批難して、その後に自分でタロットを出したんです。田波:なるほど。そもそもの方向性が違うんですね?鏡:はい。ちなみに、ウェイト自身は「ウェイト版」のタロットがあまり気に入っていなかったようで、よりキリスト教神秘主義的なタロットものちに出しています。田波:知りませんでした。見てみたいです!鏡:一般的には「トリニック版」と言うのかな?カード化はされていないのですが、本にはなっています。占いに使うものではなく、どちらかというと瞑想用のものですね。田波:でも絵柄はタロットなんですか?鏡:ええ。ところで、「ウェイト・スミス版」の謎は、実は小アルカナなんですよ。「ウェイト・スミス版」は、全てのカードが絵札になっているじゃないですか。この絵札についてウェイトは、たぶんあんまり口出ししていないと思うんです。だから絵を描いたパメラ・コールマン・スミス(※2)の独自の世界観が相当入ってるんですね。ほとんど彼女任せだったと言ってもいいかもしれません。そして、パメラはこのカードに自分の故郷の風景を入れ込んだとか、友達が飼っていた猫を描いた、なんて説があります。田波:へぇー!寺山マル(以下/寺山):友達の猫?面白いですね!タロットの絵を描くのは難しい!編集部:今回、漫画に登場するタロットの絵柄は寺山先生のオリジナルですよね?寺山:はい。頑張って描いています。鏡:カード化して販売する予定はありますか?瀬尾亞佑(以下/瀬尾):したいですね。有希さん(田波さん)からダメ出しをいただいて、寺山先生、何回も何回も描き直してるんです。田波:すみません(笑)。ただ、カードの意味に関するダメ出しは、ほとんどしたことがないんですよ。それより、寺山先生ご自身の魅力をもっと全面に出してほしいと思っていろいろ言っています。モデルとして何かのカードを見ると、どうしてもそれに捉われて先生らしくなくなるから、「悪いけど、もう少しこういう感じにしてください」「もっと強く描いてください」って。瀬尾:そのダメ出しの仕方が面白いんです。「バーンってやって」とか、“世界”や“太陽”は「あっぱれって感じでお願いします」とか。田波:“死”は「もう、一目で“死”ってわかるようにしてください」って言いました(笑)。鏡:あはは。僕もこれまで、いろんな雑誌やメディアでタロットの監修をしてきたのですが、仰る通り、みなさん、絵を描くのが非常に難しいようです。タロットって少なくとも300~400年変わっていないので、構図としてある意味、完成度高いんですよね。つまり、下手をするとコピーになってしまうんです。田波:そうですよね。鏡:なかなかオリジナリティーを出しにくいと思います。逆にオリジナリティーを出しすぎると、今度はタロットじゃなくなるっていう、かなり微妙なところだなと。田波:今回、監修するにあたっていろいろなカードを見ていて、鏡先生のカードも改めて拝見したのですが、『ソウルフルタロット』(※3)は、カードの象徴をはっきり出して別の絵にしているという意味で、ものすごい成功例だと感じました。鏡:ありがとうございます。あの絵は独創的ですよね。それから『はじめてのタロット』(※4)の独創性もすごいと思います。さすが、世界の荒井良二さんって感じで。田波:はい。でも、そういったタロットを見て余計に考えてしまって。もし寺山先生に見せたら、今度はそっちに捉われちゃうかもしれないと思ったんです。なので、オリジナリティーを出せるようにできるだけ縛りは設けず、これだけは入れてほしいポイントをお伝えする、という形にしていきました。「月だけは入れて」「犬だけは必要」と。鏡:なるほど。寺山:最初に描いたものを見せたら、有希さんに「先生、悪いけどこれ、アールヌーヴォーです。近代っぽいから、もうちょっと昔っぽくしてください」と言われました(笑)。田波:今思うと失礼ですよね。ごめんなさい(笑)。寺山:いえ、本当に助かりました。ただ、確かにアドバイスはかなり抽象的ですよね。「あっぱれ」とか(笑)。そういうふうに言っていただいたら、じゃあ、どこまで「あっぱれ」にしようかなと考えて、ベースの絵からずらしていく感じで描いています。田波:怖いカードは「楳図かずお先生の作品くらい怖く」なんてことも言いましたね。寺山:ふふふ。編集部:そういうお話を聞いていると、さらにカード化を期待してしまいます。寺山:ありがとうございます。もし実現したら、また描き直したくなるかもしれません。鏡:小アルカナを56枚描くと思うと大変ですね。寺山:確かに…頑張ります!占いは、占い師と受ける側の共同作業編集部:『サングリアル』を読んでいる中で、“占いが救ってくれるのではなく、決断するのは自分自身だ”というメッセージがとても印象的でした。みなさんは基本スタンスとして、普段からそういう考えをお持ちなんですか?田波:それは、最初に占いを受ける側として瀬尾さんが話していたことにつながるかな?瀬尾:そうですね。先ほど言ったように私、占いが大好きなんです。それこそ中学生の頃からハマっていて、いろんな占いを受けてきました。あるとき、占い師さんに言われた通りの行動をしたら、大失敗したことがありまして。当時、付き合ってた彼氏に「そんなに放っとくなら浮気しちゃうぞ」と言いなさいって言われて、普段はそういうことを言うタイプじゃないのに、無理して言ってみたんです。そうしたら、それがきっかけでケンカして別れることになって…。鏡:えー!(笑)瀬尾:その出来事が自分の中で結構大きなスペースを占めてるんです。自分らしくない発言をしたことも、占い師さんを信じて失敗したことも嫌だし、その人が言ったことをやったから失敗したと責任転嫁するのも嫌だし。結局、どんな占いを受けても、言われるがままに行動するんじゃなくて、アドバイスの内容をしっかり考えて昇華し、その後どうするか選ぶのは自分自身なんだ、という学びを得たんですね。それは受ける側のスタンスとしてかなり大事なことだと思っています。鏡:占い師と鑑定される人の共同作業ですよね?瀬尾:そう思います。ただ受けるだけじゃなく、自分で考えるのが大事っていうのは、寺山先生にお話しした覚えがあります。寺山:そうですね。熱く語ってました(笑)。鏡:普通はそこでもう二度と占いしないって思うんですけど、何で今でも好きなんですか?瀬尾:ただただ好きなんですよね。だから、そのときは自分が悪かったんだなって反省しました。鏡:偉いですね。偉いと言うか不思議!(笑)。田波:私は占いをする側のスタンスとして、若い頃は「占いがはずれたら死ぬ」くらいの気持ちでいたんです。それって精神的にはすごくしんどいんですね。他人の人生に関わって、まずいことを言ったら、その人の身に何か起こるんじゃないかと思うのがつらくて。田波:でも、お客さんって意外とライトな人も多いんです。あるとき、不動産についての相談をしたお客さんに「この物件はやめたほうがいいですよ」と言ったのに、しばらくしてまた来て「先生にダメって言われたけど、あの物件買っちゃった。やっぱり失敗だったんですけど、どうしよう?」と言われまして。それを聞いて「そうか。個人の責任なんだ」と気が楽になりました。占い師とお客さんがそういう状態でいられるのって気持ちいいなって。瀬尾:人生の中で占いを友好的に使うというか、占いに振り回されるわけでも洗脳されるわけでもなく、お互いがいい関係であるっていうことを、漫画の中で表現したいなって想いはすごくあります。世の中には「占いなんて信じてるの?」と言う人もいますが、私は占いが好きだし、このメンバーで漫画を作っている以上は「そうじゃないんだよ」ということを伝えたいですね。その想いが作品に出てるといいなと思っています。編集部:それは絵にも出ているし、「決めるのはお前だ」というセリフからも感じられます。寺山:うれしいです!田波:主人公の成長ストーリーというベースがあるので、言われるがままに行動しているようでは、彼も成長できないですしね。占いは飽くまで背中を押す存在であり、頑張るのは彼自身なんです。鏡:そうですよね。占いは日常生活の中の一つのエッセンスですから。田波:私、鏡先生や石井ゆかりさんの占いが大好きで、ときどき見るのですが、ヘコんでるときに見ると「よし!」と元気が出るんです。占いにはやっぱり、心の栄養剤というか、自分を奮い立たせたり、慰めたりしてくれるものであってほしいなと思います。鏡:確かに。読者のみなさんにもそういう使い方をしていただけたらありがたいですね。【編集部註】※1イギリスのオカルティスト、アレイスター・クロウリーがデザインしたタロット。※2イギリス出身の画家・作家。「ウェイト・スミス版」のタロットカードのデザインをしたことで有名。※3鏡先生の著書。正逆を問わない斬新な解釈と、優しく繊細な色使いの絵柄が人気。※4同じく鏡先生の著書。荒井良二氏による美しく独創的な絵柄と、誰にでも読み解ける易しい解説が特徴。
2016年09月28日2016年、タロットを重要なモチーフとしたファンタジー漫画『サングリアル~王への羅針盤~』が誕生!9月12日にその第2巻が発売されるということで、帯のコピーを手がけた鏡リュウジさんが、作者の寺山マルさん、監修協力をしている占い師の田波有希さんと初対面しました。漫画の舞台は中世ヨーロッパ。王族の姫君と、貧民街で暮らす謎めいたタロット占い師の出会いから始まる魅惑のストーリーに興奮を隠せない様子の鏡さんが、寺山さん、田波さん、そして担当編集者の瀬尾さんに様々な質問を投げかけます。作品づくりの舞台裏はもちろん、タロットの豆知識や歴史的背景、さらには占いとの上手な付き合い方にまつわるお話まで飛び出して…。今回はタロットの歴史やカードの意味にまつわるエピソードなど、占い好きにはたまらない話題がテンコ盛り。トランプについてのちょっとびっくりなお話も飛び出します。鏡リュウジ…心理占星術研究の第一人者、圧倒的な支持を受ける存在で、大学で教鞭をとるなど、アカデミックな世界での占星術の紹介にも積極的。寺山マル…2014年、新人コミック対象『フタゴのコ』で入選、デビュー。漫画を読むのとガムが好物。田波有希…プロとしての鑑定歴16年、1万人超の鑑定数を誇るタロットリーディングを中心とした占い師。☆漫画家の寺山マルさんからスペシャルプレゼントもあるので、ぜひ最後まで読んでくださいね!『サングリアル』というタイトルが生まれたワケ鏡リュウジ(以下/鏡):もしかしたらネタバレになるかもしれないから聞いていいのかわからないのですが、タイトルの「サングリアル」という言葉は相当、重要なキーワードなんですか?僕からすると、これは実はかなり衝撃的なタイトルなので、うわ~っと興奮しちゃいまして。寺山マル(以下/寺山):そうですね。あまり詳しくはお話できないのですが、「サングリアル」…つまり「王家の血筋」というのは、今後の展開の中で大きな位置を占めていきます。「血」がキーワードですね。瀬尾亞佑(以下/瀬尾):タイトルをつけるときは、かなり悩みました。寺山先生と田波さんと私、3人がそれぞれ何十個も案を持ち寄って。田波有希(以下/田波):1人50案は出しましたよね?瀬尾:その中で、寺山先生が出した「サングリアル」は、ダブルミーニングもあってかっこいい!ということで、こちらに決まりました。鏡:なるほど。「サングリアル」は「血」「王家の血」の意味ですが、「サングラール」というと「聖杯」のことですよね。だから聖杯伝承と関わっているのかな?と。それからマニアックな話をすると、イギリスに「サングラール・ソサエティ」というタロットを作っている秘密結社があったりもします。そして、何と言っても「ウェイト版」のタロットを作ったウェイト(※1)が、「聖杯伝承はタロットのルーツだ」と言ってるんですね。そういうことも背景にあるのかな?と思いました。田波:そのあたりのことが簡単に書かれた本があったので、寺山先生にお渡ししました。先生はそれを読んでからストーリーを作ってくださったんです。寺山:はい、いろいろと参考にさせていただきました。謎の占い師キルケの人物づくり編集部:こちらの作品では、主人公のアンを導く占い師のキルケが重要な存在として描かれていますよね。キルケを女性にしたのはなぜですか?彼女の人物づくりについて、きっかけなどあれば教えてください。寺山:アンは王子だけど最初は女の子として登場し、王座を目指すことになっても、やっぱりどこか女の子っぽいところがあります。そんなアンの傍にいて背中を押してあげる、斜め後ろの微妙な存在は強い女性であってほしいなと。そんな私の憧れを込めて描きました。編集部:キルケという名前の由来は?寺山:ギリシャ神話の女神の名前です。鏡:ホメロスの『オデュッセイア』にもキルケという魔女が登場しますね。(漫画を)読んでいて、キルケは裏の主人公という印象を受けました。アンと表裏になっているような。寺山:そうです、そうです。編集部:ちなみに、『サングリアル』はどんな方に読んでほしいと思いますか?瀬尾:この漫画を連載している「月刊!スピリッツ」は男性読者さんが多い雑誌ではありますが、女性の読者さんも結構多いんです。占いを題材としていますし、ロマンチックな内容なので、20代・30代ぐらいの女性に読んでいただきたいという想いはありますね。占いに興味がある方はもちろん、ない方にも「占いっていいな」と思ってもらえたらうれしいです。アンと同じように悩んでいる人が、一歩前に進むために背中を押せたらと考えて作っています。タロットは占いのツールではなかった?編集部:キルケは主人公のアドバイザー的な存在として描かれていますね。歴史において占い師が権力者に寄り添い、アドバイスをするというケースはたくさんあったと聞きますが、実際、タロットはいつ頃からどのような使われ方をしてきたのでしょうか?田波:現存する最古のタロットカードは15世紀頃のものと言われていますよね?鏡:そうですね。ただ、もともとタロットは、占いではなくゲームや観賞用のものとして使われていました。15世紀頃から占いに使われていたという説もあったのですが、それは後世の人が勘違いして流布した、誤った情報のようです。今は、占いのツールとして使われ始めたのは18世紀以降と考えられています。だからカードそのものには歴史があるけれど、占いのツールとしては比較的新しい存在です。一方、占星術師は古くから政治と深く関わっていました。鏡:18世紀、フランス革命の頃にカードが占いに使われるようになり、その時期に「ルノルマン・カード」(※2)で知られるルノルマンという女性が、王家の人々やナポレオンの奥さんなどを占ったという話が残っています。とはいえ、具体的にどれくらい政治との関わりがあったかは不明です。恐らく、当時の貴族の大半は占星術を支持していたのではないかと思います。編集部:最初は占いのツールではなくゲーム用のものだったんですね?田波:「マルセイユ版」は、ずっとトランプ的な扱いをされているみたいです。鏡:そう。今でもカードゲームとして使われていて、イギリスの田舎に行くと、おじいちゃんが将棋を指すような感じで遊んでいるんですよ。一同:へぇ~。鏡:ゲームと占いって構造としては似ていますから、占いのツールに発展していったのは当然と言えば当然かもしれません。ちなみにタロットには大アルカナと小アルカナがありますが、もともとは小アルカナと呼ばれるトランプのような数札(かずふだ)が先に存在したんですよ。寺山:え?小アルカナが先にあったんですか?鏡:はい。イスラム起源の4つのスートのカードなんです。それが今のトランプに進化していく流れの中で、イタリアで20数枚の絵札(※3)が加えられ、タロットが発明されました。そして15世紀頃に今と同じようなタロットが登場したのですが、その時に絵札として選ばれたのは、当時ルネッサンスで大流行していた、抽象概念を絵にした、誰が見てもわかる花札みたいな絵柄でした。なお、ルネッサンス期には、それこそディズニーランドのパレードみたいに、タロットの「恋人」のモチーフなんかを山車に乗せて行進したりしていたそうです。一同:ほぉ~。トランプはゲームの名前ではなかった!鏡:当時、タロットという言葉はまだなくて、「トライアンフ」や「トリオンフィ」と呼ばれていました。勝利を表す言葉ですね。これが今のトランプの語源で、「切り札」「勝ち札」といった意味があります。鏡:トランプは英語では「プレイング・カード」と呼ばれ、「トランプ」と言って通じるのは日本だけです。要するに江戸時代、ポルトガル人が「UNO」のように「トランプ、トランプ」と言っていたのを聞いた日本人が、「なるほど、これはトランプと言うのか」と勘違いしたわけです。寺山:面白いですね!鏡:あと、ルネッサンス期にフランチェスコ・ペトラルカという詩人がいたのですが、彼は「トリオンフィ」という詩を書いています。その詩には、最初に「愛」が登場するのですが、「愛」は「死」に負けちゃうんです。でも「死」は「名声」に負ける。瀬尾:「死」は「名声」に負けるんですか?鏡:「死」の後に「名声」が残るじゃないですか。一同:あー!鏡:「名声」の後には「時」が出てきます。「名声」も「時」には負けてしまう。そのように順番に勝っていくんですよ、というシリーズがあるんです。寺山:すごい哲学的ですね!鏡:そこに出てくるモチーフが、ほぼタロットと共通しているんです。タロットには「隠者」のカードがありますが、昔あのカードには「時間」という意味があったんです。田波:なるほど。謎に包まれるタロットの真実鏡:トランプの語源はわかるけど、「タロット」の意味は、実は未だにわかっていないんです。謎の言葉だったので、昔、ジェブラン(※4)という人物が古代エジプト語だと誤解し、その説が広まりました。田波:私もそれ、何かの本で読みました。鏡:ジェブランは1781年にその説を発表し、この年はタロットの歴史の決定的な転換点となりました。当時パリでは古代エジプト文明が大流行していたため、何でもエジプトに結びつけて考える風潮があったんです。鏡:そのときに生まれたタロット・エジプト起源説がいろいろな人のインスピレーションをかき立て、そこから占いに使われるようになったり、魔術に使われるようになったりしました。実際のところ、当時は古代エジプト語が解読されていなかったので、ある意味、好き勝手言える部分があったんですよね(笑)。田波:あはは。確かに。その時代の話は調べていくと本当に面白いなと思います。ウェイトが所属していた「黄金の暁団(黄金の夜明け団)」にまつわることなんかも興味深くて。私は歴史が好きでいろいろな本を読んできたのですが、その中で占いに関係あることはもちろん、それ以外も参考になりそうなものがあったら、寺山先生にお渡ししているんです。編集部:なるほど。では、寺山先生も結構、歴史的な背景について学ばれているんですか?寺山:そうですね。いただいた資料を一生懸命読んでいます。鏡:「黄金の暁団」、つまり「ゴールデン・ドーン」の話が出たので補足説明しますね。ウェイトというのは、先ほど言っていた「ウェイト版タロット」をつくった人物ですが、彼は独自の思想を持つ学者だったし、ヘブライ語やラテン語の翻訳も得意だったそうです。田波:それはすごい!鏡:だからアカデミックな分野で尊敬され、結社とは関係のない人たちにも一目置かれていました。あと、「ゴールデン・ドーン」にはノーベル賞を獲ったイェイツ(※5)もいましたね。田波:私は占いの学校などで学んだわけではなく、独学で占い師になったので、どのカードが優れているか、というのを教えてもらったことはないんですね。でも、いろいろ使ってみたところ、「ウェイト版」はすごく完成度が高いなと感じました。田波:一つ一つの絵柄にきちんと意味が収まっているのに、デザイン力も高くて、解説も一本筋が通った感じがするし、本当に良くできたカードだなと思います。鏡:僕も「ウェイト版」、好きです。スミスさんという人が絵を描いたから「ウェイト・スミス版」とも言いますね。ところでみなさん、あまりマニアックなタロットの話になっても難しいんじゃないかと思うのですが、大丈夫ですか?瀬尾:いえ、とても面白いです。寺山:もっと聞きたいです!【編集部註】※1アーサー・エドワード・ウェイト。数秘術・魔術などの文筆家。「ウェイト版タロット」の制作者として著名。※2ルノルマンの名を冠したオラクル・カード。※3「20数枚の絵札」…現在、大アルカナは基本的に22枚と考えられているが、明確な決まりはなく20数枚とされている。※4アントワーヌ・クール・ド・ジェブラン。1781年に『原始世界』を刊行し、「タロット=トートの書」説を発表。※5ウィリアム・バトラー・イェイツ。アイルランドの詩人、劇作家で、イギリスの神秘主義秘密結社「黄金の夜明け団」のメンバー。次回予告というわけで、マニアックなタロットのお話がもう少し続きます。ぜひお付き合いください!漫画に登場するオリジナル・タロットにまつわる秘話もお届けする予定です。陰謀と闘え。運命を選べ。弱い自分を打ち破れ。禁断の王宮ブラッディー・ファンタジー、誕生。『サングリアル~王への羅針盤~ 1』 (ビッグコミックス)9月12日 第2巻発売!『サングリアル~王への羅針盤~ 2』 (ビッグコミックス)鏡リュウジ1968年、京都生まれ。国際基督教大学大学院修了。占星術研究家・翻訳家。京都文教大学客員教授。平安女学院大学客員教授。日本トランスパーソナル学会理事。英国占星術協会会員。著書に『鏡リュウジ 星のワークブック』(講談社)、『オルフェウスの卵』(文春文庫)、共著 角田光代『12星座の恋物語』(新潮文庫)、訳書にヒルマン『魂のコード』(河出書房新社)、サバス『魔法の杖』(ヴィレッジブックス)ほか多数。寺山マル2014年、新人コミック大賞』で入選、デビュー。「月刊!スピリッツ」で『あいのあいだに(前後編)』掲載後、本作が初連載作品となる。漫画を読むのとガムが好物。★Twitter@terayamamaru田波有希多摩美術大学卒業。同大学染織デザイン研究室助手を経て、美術作家として活躍しながら占い師に。プロとしての鑑定歴16年、鑑定人数10000人以上。東京、雑司が谷にて古本と占い「JUNGLE BOOKS」を拠点に活動。下北沢「FUTURE DAYS」などでも鑑定を行う。「サングリアル~王への羅針盤」「神軍のカデット」監修中。
2016年09月20日マルベリー(MULBERRY)が2017年春夏コレクションを、日本時間の2016年9月18日(日)0:00にイギリス・ロンドンで発表。ショーの模様は、ファッションプレスでも生中継する。先シーズンより新たなクリエイティブ・ディレクター、ジョニー・コカを迎えたマルベリー。2016年秋冬コレクションでは、シェイクスピア作品からインスパイアされた鮮やかなローズプリントと、彼によって新たに解釈されたクラッシックな英国を象徴する生地やテーラリングが注目を浴びた。今季も彼の作り出すポエティックな世界観に期待が高まる。【詳細】マルベリー 2017年春夏コレクション日本時間:2016年9月18日(日)0:00 / 現地時間:2016年9月18日(日)16:00
2016年09月19日マルベリー(Mulberry)は、9月18日0時(現地時間同日16時)ロンドンで開催する17SSウィメンズコレクションショーをライブストリーミング配信する。ジョニー・コカがクリエイティブ・ディレクターに就任し、2シーズン目となる本コレクション。会場はTHE PRINT WORKS。ショーの模様はオフィシャルサイト()でも配信される。
2016年09月16日2016年、タロットを重要なモチーフとしたファンタジー漫画『サングリアル~王への羅針盤~』が誕生!9月12日にその第2巻が発売されるということで、帯のコピーを手がけた鏡リュウジさんが、作者の寺山マルさん、監修協力をしている占い師の田波有希さんと初対面しました。漫画の舞台は中世ヨーロッパ。王族の姫君と、貧民街で暮らす謎めいたタロット占い師の出会いから始まる魅惑のストーリーに興奮を隠せない様子の鏡さんが、寺山さん、田波さん、そして担当編集者の瀬尾さんに様々な質問を投げかけます。作品づくりの舞台裏はもちろん、タロットの豆知識や歴史的背景、さらには占いとの上手な付き合い方にまつわるお話まで飛び出して…。鏡リュウジ…心理占星術研究の第一人者、圧倒的な支持を受ける存在で、大学で教鞭をとるなど、アカデミックな世界での占星術の紹介にも積極的。寺山マル…2014年、新人コミック対象『フタゴのコ』で入選、デビュー。漫画を読むのとガムが好物。田波有希…プロとしての鑑定歴16年、1万人超の鑑定数を誇るタロットリーディングを中心とした占い師。三者がこの場に集ったきっかけは?編集部:まずはみなさんの出会いについて教えてください。鏡リュウジ(以下/鏡):こちらの『サングリアル~王への羅針盤~』の第二巻が出るにあたって、ありがたいことに編集の瀬尾さんから帯のご依頼をいただきました。失礼ながら漫画の存在を知らなかったのですが、拝見して「ああ、こんな本が出ていたんだ」と感動しまして。それで作者の寺山さんにぜひお会いしたいと思っている中、ココロニプロロの方に話したら、「その対面の様子を記事にしましょう」と言ってくださったんです。寺山マル(以下/寺山):ありがとうございます。鏡:僕のほうはそんなところなのですが、寺山さんと田波さん、お二人の出会いはどんな感じだったのでしょうか?現役の占い師の方が漫画の監修をするって珍しいんじゃないかなと。田波有希(以下/田波):そうですね。初めてです。鏡:そのあたりの経緯をお聞かせいただけますか?寺山:もともと編集の瀬尾さんが占い好きで、企画の話をしているときに「今度占いをしてもらえるお店に行ってみませんか?」と誘ってくれたのが始まりです。雑誌でどこがいいかな?って探して有希さんのお店を見つけました。いわゆる占いのお店ではなく、占いの本を扱ってる本屋さんなのですが、面白そうなので、そこに行ってみようということになり有希さんと会いました。鏡:それ以前は占いの経験は特になかったんですか?寺山:はい。そのときに占っていただいたのが初めてです。実際に鑑定を受けてみてものすごくびっくりしました。悩みを相談したのではなく、全体的に私という人間のことを観ていただいたのですが、初対面なのに「こういうことを考えるところがある」「こんなクセがある」と言い当てられて。鏡:なるほど。ちなみにその時点では、まだタロットを用いた作品になるかどうかは決まっていなかったんですね?瀬尾亞佑(以下/瀬尾):そうですね。いくら私が占い好きでも、作家である寺山さんがピンと来なければ作品は生まれないので、まずは体験してもらおうと思ってお連れしたんです。そうしたら寺山さん、有希さんの鑑定を受けた後に二人で行ったカフェで「すごいです!何でわかるんですかね?」と感動されていて。そこからもうインスピレーションが湧いて、「お姫さまと占い師のお話だったらどうかな?」とか『サングリアル』の基本のキぐらいのお話をしていました。鏡:相当、タロットのインパクトが大きかったんですね?寺山:ええ。変な言い方かもしれませんが、一言も話してないことや、自分でもよくわかっていなかった部分を初対面の方に言い当てられてびっくりして。そのときタロットの話もいろいろ伺ったんですけど、ファンタジーの世界が常にそこにある、みたいな感じがしたんです。鏡:なるほど。わかります。占いが好きな方って現実的な方もいるけど、ファンタジー映画に出てくるような世界観が好きで入り込む方もいますし。そして、占いが当たるって確かにファンタジーですよね。現実の世界では普通、パッと引いた紙に自分のことが書いてあるなんていうのはあり得ないわけですから。そういう魔法が映画や小説の中ではなく、目の前で展開されてることに驚かれたんですね?寺山:本当に感動しました。設定を決めれば、後はこのまま描いてもいいんだなっていう驚きです。漫画『サングリアル』が生まれたきっかけ編集部:先ほど、お姫さまと占い師というお話が出ましたが、作品をつくるにあたって、その設定から物語を膨らませていったんですか?寺山:最初、どんな漫画にしようかと話していたときに、瀬尾さんから「ラブコメはどうですか?」「ファンタジーはどうですか?」といろいろな提案をいただいていたんですね。それが、有希さんのお店で占いをしていただいたときに、あ、タロットがあれば、これまでに出てきた要素を全部入れられる。逆にそういう世界がつくれちゃうんだろうなっていう不思議な感覚になりました。もともと漫画そのものがファンタジーみたいなものですが、占いを通せば、もっとファンタジーにしても違和感なく表現できるんだなと思ったら、自信を持っていろいろ膨らませられるようになったんです。鏡:なるほどね。実はタロットってわりとよく漫画のアイテムに使われているのですが、素人目にストーリーをつくることを考えると、占いはすごく扱いが難しいと思うんです。例えば推理ものの場合、占いで答えが全部わかったら話がそこで終わっちゃう(笑)。今回の作品は、先のことが全部が見えているわけではないけれど、伏線としてヒントのようなものが出てくるその描き方が、非常に絶妙なすれすれのラインというか。それがすごいなと感じました。田波:鏡さんの仰る通り、全てわかってしまったら話として全く面白くないですよね。これまでタロットが出てくる漫画はたくさんあったけど、だいたいは何かの象徴としての登場でした。タロットってビジュアルはいいのに、漫画にすると意外と地味になっちゃうんですよね。でも寺山先生は、占いシーンを心象風景として、イマジネーションを絵のカタチにする力がすごくある方なんです。月とカードをリンクさせるとか、そういう画的イメージというのは先生の力そのものなんですよ。鏡:なるほど。今言われてハッとしたのですが、確かに占いのシーンって絵にならないですよね。昔、ドキュメンタリー番組に出演させてもらったことがあるのですが、占いって動きがないから動画で見ても面白くないんですよ。料理人やスポーツ選手はアクションがあるから絵になるんですけど。結局、テレビの占いのシーンってタレントさんの「すごーい、当たってる」というリアクションでしか見せることができないんです。でも田波さんが仰るように、この漫画には占い師側の観ている心象風景が絵として表現されているっていう面白さがあります。田波:最初のインスピレーションでしっかり骨子をつくり、ネームを切ってきてくださったのですが、そのストーリーがある中で、あれだけ占いのイメージを表現できるって、寺山先生はものすごい才能の持ち主だなと思って。寺山:いえいえいえ…。鏡:これが魔術だったら、いろいろなものが飛び出してくることもあるかもしれないけど、占いの場合は、外目には、占い師の頭の中で何が起こってるかわからないですからね。それとこの漫画は、我々のイメージする通りのタロットの世界…中世ヨーロッパ的な架空の世界になっているわけですが、この舞台はどうやって選ばれたんですか?例えば学園コメディでも良かったかもしれないですよね?瀬尾:寺山先生、最初から中世ヨーロッパか明治時代の日本を舞台にして描きたいって仰ってたんです。それを聞いて和風なものも合うだろうけど、ロマンチックな絵を描かれるから、ヨーロッパのほうが合うんじゃないかな?なんて話をした記憶があります。鏡:ある種、正攻法ですね。今どき珍しい王道。田波:そうなんです。王道の設定で、王道ストーリー。鏡:直球だから、今の若い方には逆に新鮮かもしれませんね。田波:確かに。それにしても、占い師って本当に地味な仕事なんですね。毎日コツコツ占いを続けている中、瀬尾さんが、「寺山先生がタロットからインスピレーションを得た」と仰って、つくったネームを持ってきてくださったんです。それを読んだら、こんなに美しい見方をしてくれるんだと思って涙が止まりませんでした。『サングリアル』は一つのタロット?鏡:ところで、この作品が主人公アンの成長物語になっているというのが、20世紀・21世紀のタロットの考え方と基本的に共通しているなと思いました。それも何か意識しているんですか?寺山:どうでしょう?有希さんはよくタロットは成長物語って仰ってますよね?田波:そうなんです。物語をつくる前にタロットストーリーも説明したんですね。22枚の大アルカナって人間の成長物語じゃないですか。そのお話を先生が受け取り、こちらにバックしてる感じで、先生としては無意識かもしれないけど、全部がリンクしてるんです。鏡:タロットストーリーね。通常、大アルカナと呼ばれている22枚のカードが人間の成長物語を表すという解釈は1960年代末ぐらいからされるようになりました。最初の「愚者のカード」はまだ何もない若者を表していて、その何者でもない存在が「世界」という最終ステージに向かって成長していく。そういった心理学的な解釈をするようになったんですね。そんなタロットの世界観が、そのまま展開されているというのはとても納得できますね。これからどういうふうに物語が進んでいくのか楽しみです。もはや『サングリアル』って物語自体が、一個のタロットと言っても過言ではないかもしれません。寺山:ありがとうございます!鏡:読んだ方が「スケールは違うけど、まるで自分のことを描いてるような話だ」って。寺山:そう思っていただけたらうれしいです。鏡:この物語の設定のモデルはどこかにあったんですか?それから、中世ヨーロッパを舞台にした理由は?寺山:昔、王子さまが女装する風習があったというのは、ハプスブルグ家の肖像画を観て知ったんです。何で王子さまがドレスを着てるんだろうと思ったら、昔は世継ぎの男の子が早く亡くなってしまうことが多かったから、周りの人が悪魔の目をそらすために女の子の格好をさせたと書いてあって。そういうところから、アンはこういう育てられ方をしていたかもしれない、と思ったらドキドキしてしまいました。鏡:読んでいるこっちもドキドキしましたよ。えっ男子?って。実際、そういうストーリーのプロットがあったうえでカードを当てはめていったんですか?それとも、ここでこのカードを使いたいから、こういうストーリーにしようと考えていったんですか?田波:どちらもありますね。1巻の5話に関しては、先生が「力」のカードにインスピレーションを受けて、最初からそのカードでやりたいって仰ったんですけど、最初のほうはストーリーありきで、そこにどのカードを入れたら適切かと考えて、私が選んだりもしていました。瀬尾:最近はカードありきでつくってますね。今回は「悪魔」にしましょう。このカードをシンボルにして、どんなお話にしましょうか?っていうふうに。鏡:そうなんですね。出るカードは毎回、重複しないようにしてるんですか?田波:一応、メインのカードは重複しないようにしています。鏡:では、22話は確実につくれますね?その後は小アルカナも?田波:そうなったら最高ですね。寺山:はい。タロットは物語づくりにも役立つ?鏡:もし今後ストーリーにつまったら、パッとカードを引いてイメージを広げることもできるかもしれませんね。大塚英志さん(小説家、漫画原作者)は、タロットはストーリーテリングのインスピレーションのツールとして使えるって仰ってるんですよ。寺山:へー、すごい!タロットってそういうふうにも使えるんですね。確かに、登場人物のキャラを考えるときとかに、この人はこんな感じの人かな?と悩んでタロットの本をパラパラ見たりすると、思わぬカードがそのキャラに当てはまったりしてすごく面白いなと思います。鏡:それもいいですね。ところで寺山さん、ご自身でも占いができるようになってきたんじゃないですか?寺山:悩んだときにタロットを一枚引きすることはあります。意味はよくわからないけど、本を見ながら今の私に当てはまるのはこの部分かなと思って、そういうのを心の支えにしたりしています。鏡:では、既に占いを始めてるんですね!次回予告『サングリアル』というタイトルの誕生秘話をお届け!9月12日 第2巻発売!『サングリアル~王への羅針盤~ 1』 (ビッグコミックス)陰謀と闘え。運命を選べ。弱い自分を打ち破れ。禁断の王宮ブラッディー・ファンタジー、誕生。鏡リュウジ1968年、京都生まれ。国際基督教大学大学院修了。占星術研究家・翻訳家。京都文教大学客員教授。平安女学院大学客員教授。日本トランスパーソナル学会理事。英国占星術協会会員。著書に『鏡リュウジ 星のワークブック』(講談社)、『オルフェウスの卵』(文春文庫)、共著 角田光代『12星座の恋物語』(新潮文庫)、訳書にヒルマン『魂のコード』(河出書房新社)、サバス『魔法の杖』(ヴィレッジブックス)ほか多数。寺山マル2014年、新人コミック大賞』で入選、デビュー。「月刊!スピリッツ」で『あいのあいだに(前後編)』掲載後、本作が初連載作品となる。漫画を読むのとガムが好物。★Twitter@terayamamaru田波有希多摩美術大学卒業。同大学染織デザイン研究室助手を経て、美術作家として活躍しながら占い師に。プロとしての鑑定歴16年、鑑定人数10000人以上。東京、雑司が谷にて古本と占い「JUNGLE BOOKS」を拠点に活動。下北沢「FUTURE DAYS」などでも鑑定を行う。「サングリアル~王への羅針盤」「神軍のカデット」監修中。
2016年09月12日マルベリー(MULBERRY)が9月9日よりオープンするドーバー ストリート マーケット ギンザを皮切りに、2月にロンドンでデビューを飾った新クリエイティブディレクター、ジョニー・コカの初コレクションとなる2016秋冬コレクションを取り扱うポップアップショップを3店舗でオープンする。2016秋冬コレクションでは、シェイクスピア作品からインスパイヤされた、目を見張るほど鮮やかな新しいローズプリントと、ジョニー・コカによって新たに解釈されたクラッシックなイギリスを象徴するファブリックやテイラリングがフィーチャーされた。今回オープンするポップアップショップでは、新生マルベリーの世界観を体感できるスペースを設けた他、2016秋冬コレクションのレディトゥウェアとアクセサリーを展開する。バッグでは、ジョニー・コカによって生み出された新たなシグネチャーバッグ「メイプル(Maple)」の他、ジップとスタッズディテールが施された「カムデン(Camden)や「ベイズウォーター(Bayswater)」、2016秋冬広告キャンペーンにも採用された「チェスター(Chester)」などが登場する予定だ。ポップアップショップは、9月9日から22日までドーバー ストリート マーケット ギンザ1階のイベントスペースに、10月12日から18日まで阪急うめだ3階のプロモーションスペース31に、11月2日から8日まで伊勢丹新宿店本館3階のウエストパーク/プロモーションにオープンする。なお、ココ・キャピトンによって撮りおろされた2016秋冬広告キャンペーンでは、双子のモデルであるオデット・パブロアとリア・パブロアを起用。“双子”や“影”などをインスピレーション源に、強く魅力的でありながらもソフトでフェミニンなマルベリーウーマンの二面性が表現された。動画引用元: (マルベリー オフィシャルYouTube:
2016年08月09日人の“手”にフォーカスし、手作りの素晴らしさを紹介する「マルっと、手作り。〇て、(まるててん)」が、7月27日から8月1日まで日本橋三越本店本館7階の催物会場にて開催される。デジタル社会と呼ばれるようになり、あらゆることに機械化の影響がすすみ、人の手が次々と不要になっていく昨今。同展では、そんな中で人の“手”にフォーカスし、スペシャルゲストによるワークショップや、多彩な手作りアイテム、手作りをサポートするグッズなどを紹介していく。参加者のラインアップは、Q-TA、coromoza、3min.、KINARI、EO、ENFANT、On-travelling Designs、文化屋雑貨店、備前焼作家など。ワークショップでは、7月30日の13時、16時、31日の11時、14時より、Q-TAによるコラージュワークショップを実施。Q-TAが三越のアーカイブ資料よりセレクトした素材を使った、いつもとちょっと違う世界観のワークショップが体験できる。また、7月30日の15時からは、フリースタイリストの相澤樹と文化屋雑貨店の長谷川義太郎を講師として迎えたワークショップを実施。文化屋雑貨店のオリジナルモチーフやリボンなどを用いてオリジナルポーチをアレンジする。7月30日、31日の13時、15時からは、ドライフラワーやドライフルーツと、EOのエッセンシャルオイルを使ったアロマサシェ作りのワークショップを開催。冒頭にはスーパーフードコンシェルジュの江口崇行によるアロマについてのトークも行われる。なお、一部のワークショップの申し込みは7月13日から25日までウェブサイトにて、26日以降は電話(03-3241-3311/大代表)にて受け付けている。
2016年07月13日【ママからのご相談】昨今話題のミニマル生活に憧れますが、子どもがいるとなかなか難しいものです。雑誌などを見ていると、子どもがいてもオシャレで片付いたお宅をよく見ますが、みなさんは日常的にどんな工夫をしているのか、気になります。●A. 分別する力をつけましょう!こんにちは。ライターのNANARUKAです。断捨離やミニマルといった“持たない暮らし”がトレンドとなって久しく、筆者も自分なりの持たない暮らしを実践中です(とはいっても結構持ってしまっていますが……)。モノを減らして感じるのは、「数が少なければ管理もラク!」ということ。家族のあれこれを担うママにとってはとても好都合なんです。どうしたって毎日時間に追われてしまうからこそ、日々の暮らしはシンプルに。それが片付けや整理整頓も簡単にしてくれます。そこで今回はミニマルな暮らしに向けて、お子さんをお持ちのママさんがまず手を着けやすいアイテムを挙げてみました。さらに、モノをため込みやすいママさんへ、片付け上手な先輩ママさんからのアドバイスも盛り込みました。●衣類『もったいないからといってため込んでいる場所と時間がもったいないです 。誰かに譲ったところで、そのお宅で有効活用してもらえるかは定かではありませんし、今それを捨ててしまえば、空いた場所に今から他のモノをしまえますよ』(2歳女の子・4歳男の子のママ)『中古品に関しては、譲る相手と連絡を取り合ったり売る先へ出向いたり、そんな労力を考えたらさっさと手放すのが最善策。一瞬でも心の中で「もういらないかな」と思ったら、それは捨てるべきモノです。案外直感は当たっていますよ』(5歳女の子・8歳女の子のママ)『長期に渡ってモヤモヤしているくらいなら、今すぐその場からなくしましょう。その服を着た子どもの写真が残っていればそれで十分。手放したあとの開放感、病みつきになるはず!』(1歳男の子・3歳男の子・5歳女の子のママ)思い出をため込みやすい子ども服 には特に執着を持たないように、日頃から心を訓練しておきましょう。どうしても捨てられない性分のママさんはリサイクルショップを利用するのも手ですが、使用感をしっかり吟味して季節に合ったアイテムを持ち込まないと、ほとんど受け取ってもらえなかったということもなりかねません。運搬の手間や仕分けの労力に見合った値がつくか、今一度よく考え、あまりに状態の悪いものは潔く処分しましょう。●子ども・赤ちゃん専用食器&カトラリー『キャラものが苦手だし、プラスチック製品は汚れが落ちにくいので、子どもの食器はすべて大人と同じものを使わせています。その方が収納時の手間も減ってラクですよ』(3歳男の子・5歳女の子のママ)『色とりどりのメラミン製食器を木製のお皿やカトラリーに一新してみましょう。目に入る色を減らすことで心も落ち着くはずです』(2歳女の子のママ)『最近のお食事グッズはアイデア満載で目を引きますが、実はどれも短期間で役目を終えてしまうものがほとんどで、たいていは大人もので代用すれば乗り切れます。離乳食グッズや赤ちゃん食器類は小さくて洗うのが大変なこともあって第一子以降出番なし。日々成長していく子どもに本当に必要なものはほんのひと握りです 』(0歳女の子・2歳女の子・5歳男の子のママ)子ども専用の食器やカトラリーはカラフルな色味のものが多く、インテリアの邪魔をすると考えているママさんも多数。それに、こまごました子ども用のテーブルグッズは収納場所も選ばなくてはなりませんよね。でも、実はたいていが代用できるものばかりではないでしょうか。ビニール製のお食事マットを布ナフキンに代えれば使用後は洗濯機に放り込むだけだし、子どものための食器は大人でも使える木製を選べばOK。ありとあらゆる育児グッズがあふれる中、本当に必要なモノは何なのか を見極める冷静さをもち、お店で購入を迷った際は、それを使い、しまい、管理することをシミュレーションしてから決断しましょう。●本・絵本『多くの作品に触れさせたいなら図書館通い がおすすめです。近所の本屋とは比べものにならない数の本に触れることができるし、隠れた名作に出会えるワクワク感もあります。家にはプレゼントされた本が数冊あるだけ』(3歳女の子・6歳男の子のママ)『近くの図書館はDVDやCD、紙芝居のほか、大人の雑誌も豊富なので、親子で月に何度も利用しています。子どもは家にある本よりも図書館で見つけた本の方がじっくり読んでくれるので、わが家の本棚は小さいもの1個だけで済んでいます』(5歳女の子のママ)『新品の絵本はとても高いので、興味を持ってくれなかったときのことを考えるととても買えません。その代わり古本屋やリサイクルショップ にはちょくちょく足を運んで中古品を買い、時期が過ぎたらまた売ります。一定数を決めて買い換えれば、ムダに増えることもありませんよ』(2歳男の子・4歳男の子のママ)子どもには多くの作品に触れてほしいと考えるものの、金額面、収納面を考えると次々と買えるものではないのが本ですよね。本類が増えれば本棚が必要になってきますし、一般的評価の高い作品を買ってあげたところで、わが子が気に入るとは限りません。「せっかく買ってあげたんだから読みなさい!」 なんて無理な押しつけをしてしまったこと、1度や2度はありませんか?それでも本とのふれ合いを大切にしているママさんは、図書館、古本屋を大いに活用しているようです。----------いかがでしたか?まずは要不要を吟味し、分別する力を身につけましょう。そして最小限のもので日々を送り、増えたらその分処分する、という増やさないサイクルを確立できれば、生活はだいぶスマートになるのではないでしょうか。ただし、無理してストレスをためてしまっては意味がありません。自分のペースで楽しみながら、というところがポイントですね。このコラムで身も心も軽くなるお手伝いができたなら幸いです。●ライター/NANARUKA(フリーライター)
2016年05月27日1960年代よりスティーヴ・ライヒらと並んでミニマル・ミュージックという潮流の中心にあり、次々と作品を発表。さらには映画音楽においても『コヤニスカッツィ』『めぐりあう時間たち』など多くの作品を手がけているのが、2017年に80歳を迎えるフィリップ・グラス。この6月、注目すべき公演『ギンズバーグへのオマージュ』のために来日するが、別の日には彼のピアノ曲をじっくりと聴くコンサートも開催される。全20曲の「エチュード」を3人のピアニストが演奏するという『ザ・コンプリート・エチュード』は、作曲者自身の演奏も聴けるという貴重な機会。そして、ピアニストのひとりに指名されたのが作曲家の久石譲だ。学生時代よりグラスの音楽に傾倒し、自らもミニマル・ミュージックの手法を駆使したオーケストラ曲などを多数書いている。【チケット情報はこちら】「敬愛するグラスさん直々のご依頼ですから、これほど光栄なことはありませんけれど、実はピアニストとして彼と同じステージに立つという現実を前に戦々恐々としています。グラスさんはミニマル・ミュージックについて『繰り返しを聴かせるのではなく、そこに生まれる音楽のズレこそが魅力だ』ということをおっしゃっていて大変に共感しましたし、実は僕もそうした手法で作品を書いています。ご自身が弾かれている『エチュード集』も聴きましたが、同じ音型を淡々と弾くという機械的な演奏ではなく、想像以上にエモーショナルで自由度の高いものでしたから非常に感銘を受けました。それでいて彼の知性がしっかりとバックボーンにあり、どう弾いても枠組みが崩れないという構成力には感服するばかり。シンプルなリズム・パターンや音型を重ねていながら、ちょっとした音の配置の違いで世界観ががらりと変わってしまうという奥深い作品です」一般的には映画音楽などで知られる久石だが、この5月より芸術監督を務める長野市芸術館においても自身のコンサート用作品を指揮する予定があり、一方ではミニマルやポスト・クラシカルなど新旧世代の注目すべき作曲家を紹介するコンサート・シリーズ『MUSIC FUTURE』もプロデュースしている。「グラスさんが素晴らしいのは、ご自身も演奏者として聴衆に接していること。今回は僕もピアニストではなく作曲家という視点で楽譜を読み、演奏したいと考えていますから、自分なりの解釈をお聴かせできると思います」もうひとりのピアニストである滑川真希は「エチュード集」の初演者でもあるため、今回の公演は最高の顔ぶれとなる。グラスの新伝説をお聴き逃しありませんよう。パルコ・プロデュース「THE POET SPEAKS ギンズバーグへのオマージュ」は6月4日(土)、フィリップ・グラス、久石譲、滑川真希が出演する「THE COMPLETE ETUDES」は6月5日(日)にそれぞれ東京・すみだトリフォニーホール大ホールで上演。取材・文:オヤマダアツシ(音楽ライター)
2016年05月19日ビーントゥーバー(Bean to Bar)チョコレートブランド「ミニマル(Minimal)」の新店舗「ミニマル ギンザ ビーントゥーバースタンド」が、2016年6月1日(水)、銀座3丁目にオープンする。「ミニマル ギンザ ビーントゥーバースタンド」は、店内中央の大きなカウンターテーブルで、世界各国のカカオ豆を試食しながら好みのチョコレートをセレクトするテイクアウト専門店。気軽にふらっと立ち寄れるカジュアルな“チョコレートスタンド”というスタイルを提案する。店内では、カカオ豆からチョコレートまでの“製造工程”を試食できる。焙煎したてのカカオ豆や、それを砕いたカカオニブ、さらにすりつぶしペースト状にしたもの、それを冷やし固めた完成形。これら4工程の違いを楽しめるのは、ビーントゥーバーならではと言える。販売される商品は、世界15カ国以上から買い付けるカカオ豆を使った、タブレット型の板チョコやアイス、ドリンク、お菓子など。贈答用のギフトBOXには、板チョコ3種とフレーク2種が詰め合わせられている。【概要】ミニマル ギンザ ビーントゥバースタンド(Minimal 銀座 Bean to Bar Stand)オープン日:2016年6月1日(水)営業時間:11:00〜19:00住所:東京都中央区銀座3-8-13 光生ビル1F定休日:月曜(祝日の場合は翌平日)TEL:03-6264-4776(6月1日(水)開通予定)【商品一例】・ビーントゥバー チョコレート タブレット 972円(税込)〜・カカオニブ 972円(税込)・チョコレートフレーク 1,296円(税込)・チョコレートアイス 702円(税込)〜・ホットチョコレート 702円(税込)〜・ギフトBOX 6,500円(税込)〜【問い合わせ先】※オープン前ミニマル 富ヶ谷店TEL:03-6322-9998
2016年04月30日森山大道による写真集『Daido Moriyama: Terayama』が登場。2016年4月より順次、全国で発売される。写真集は、長らく絶版となっていた寺山修司の名エッセイ集『スポーツ版 裏町人生』と、それをイメージし森山大道自身がプリントした写真を掲載。デザイン・造本を手がけた町口覚が『スポーツ版 裏町人生』から「ボクシング」「競輪」「相撲」「競馬」「闘犬」をテーマにした5篇を選び、厳選された森山の写真118枚とともに、散っていったスポーツマンたちの裏町人生を綴った。本のデザインにもこだわりが見える。不織布加工された表紙を陣取る森山の代表作「三沢の犬」の起毛の手触り、タイポグラフィと造本の妙など、本好きを魅了する。写真と言葉の交わりにより、まったく違った表現力と強さをもった森山大道の写真と寺山修司の言葉を体感してみて。なお、2016年4月5日(火)から9月25日(日)までの期間は、青森県三沢の寺山修司記念館で森山大道写真展「裏町人生〜寺山修司」も開催されている。8月6日には、森山本人のトークショーもあるので、チェックしてみて。【概要】写真集『Daido Moriyama: Terayama』<日本語版>価格:4,500円+税全国発売:2016年4月より順次取り扱い店舗:代官山 蔦屋書店、TSUTAYA TOKYO ROPPONGI店、オンラインサイト写真:森山大道 文:寺山修司『スポーツ版 裏町人生』よりブックデザイン:町口覚 出版社:株式会社マッチアンドカンパニー版型:本文=縦189mm× 横126mm(四六判変型)頁数:本文358頁上製本(スリーブケース入り)※初版限定1000部【展覧会情報】森山大道写真展「裏町人生〜寺山修司」会期:2016年4月5日(火)〜2016年9月25日(日)開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)入館料:一般個人 530円(常設展310円+企画展220円)、一般団体 430円(20名以上)、高大生100円、小中学生50円 ※土曜日は、小中学生無料会場:寺山修司記念館エキジビットホール住所:青森県三沢市大字三沢字淋代平116-2955■開催記念トーク 森山大道(写真家) × 町口覚(グラフィックデザイナー/パブリッシャー)× 笹目浩之(テラヤマ・ワールド代表/寺山修司記念館副館長)日時:8月6日(土)13:00~会場:寺山修司記念館 屋外多目的スペース【問い合わせ先】株式会社 マッチアンドカンパニーTEL: 03-3470-6423
2016年04月24日米セキュリティ企業のPalo Alto Networksは3月16日(現地時間)、iOSをターゲットにした新手のマルウェア「AceDeceiver」を確認したと伝えた。エンタープライズ向けの証明書を悪用することなく、脱獄(ジェイルブレイク)させていないiOSデバイスにも感染し、Apple ID情報などをユーザーから盗み取る可能性があるという。パソコンのiTunesを使ってApp StoreからiOSアプリを入手し、iOSデバイスにインストールする際に、iOSデバイスは認証コードを要求して、そのアプリがApp Storeから正規に入手されたものか確認する。このiTunesの振る舞いを疑似的に実行することで、iOSデバイスに非正規のアプリをインストールさせることが可能になる。2013年頃から海賊版アプリの配布に用いられていた手法だが、AceDeceiverはそれをマルウエアの拡散に利用している。いわゆる中間者攻撃(MITM: Man-In-The-Middle)である。Palo Alto Networksによると、2015年7月から2016年2月までの間に、少なくとも3つのAceDeceiverファミリーのアプリが、App Storeの審査を通過して同ストアで配布されていた。それらはマルウエアと判断されて2016年2月にApp Storeから削除されたが、その後もAceDeceiverの攻撃は続いている。App Storeを通じてアプリを配布しなくても、攻撃者がApp Storeから取得したFairPlayの認証情報を悪用して、悪意のあるアプリをインストールさせているからだ。具体的には、爱思助手 (Aisi Helper)というWindowsクライアントが、その役割を担っている。Aisi Helperは、iOSデバイスのシステムの再インストールや脱獄、バックアップ、デバイス管理といった機能を備えたユーティリティだが、同時にPCに接続したiOSデバイスに不正なアプリをインストールする。悪意のあるiOSアプリはサードパーティのアプリストアにアクセスし、様々な方法でユーザーのApple ID情報を求めてくる。入力してしまうと、その情報はAceDeceiverのC2サーバーに送られる。ここ数年の間に確認された非脱獄iOSデバイスをターゲットにしたマルウエアは、エンタープライズ向けの証明書を悪用していたが、AceDeceiverはエンタープライズ認証を必要としていない。PCが感染したらバックグラウンドでiOSデバイスに感染を広げるため、ユーザーが気づきにくく、Appleの対応を難しくしている。現時点でAceDeceiverの感染が確認されているのは中国のみだが、こうした攻撃手法が存在していることにPalo Alto Networksは警鐘を鳴らしている。
2016年03月17日WatchGuard Technologiesの日本法人ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンと韓国パイオリンクは、共同で未知のマルウェア検知からマルウェア感染デバイスの特定と遮断までを自動化する、情報セキュリティの包括的なソリューションを開発したと発表した。同ソリューションは、パイオリンクのL2スイッチベースのサイバー攻撃に対する内部対策ソリューション製品であるセキュリティスイッチ「TiFRONT」と運用管理ソフト「TiManager」、ウォッチガードの「WatchGuard Firebox」を連携させることで、未知のマルウェアに感染した端末の特定情報から、感染デバイスのIPアドレスを認識し、即時遮断を自動的に実現するというもの。これにより、2次感染による被害拡大や情報漏えいのリスクを低減させることが可能になると両社は説明している。なお、ソリューションの提供は両社の代理店が行っていくとのことで、すでに複数社との交渉を進めているという。また、すでにFireboxを導入しているユーザーもTiFRONT/TiManagerを追加で導入することで、同ソリューションへの対応を図ることが可能だという(ファームウェアのバージョンアップなどが必要になる場合もある)。
2016年03月04日アズジェントは3月1日、相関分析を行い、ビジネスリスクの高いマルウェアに感染した端末を早期に発見するためのサービス「セキュリティ・プラス セキュア・ドック MSS版」の提供を開始した。同サービスでは、顧客のネットワークにDAMBALLA Failsafeのセンサーを設置して、アズジェントのセキュリティ監視センター(SOC)で24時間365日リモート運用してマルウェア感染の監視と相関分析を行い、ビジネスリスクの高いマルウェア感染端末を特定する。マルウェア感染が検知された場合は第一報を担当者に通知し、続いて、相関分析を行い、ビジネスリスクの高い端末を特定した上で、再度通知を行う。DAMBALLAの検知アルゴリズムは全世界のインターネットトラフィック中の約3割に当たるデータを定常的に分析することにより、常にアップデートされ続けているため、過検知や誤検知が少ないという。同サービスは、複数の検知エンジンを使って、感染端末を検知するため、誤報が少なくかつ精度の高いアラートを受け取ることが可能なほか、センサーをミラーポートに接続するだけで監視が行えるため、顧客はネットワーク環境の変更を行うことなく、同サービスを導入できる。価格はオープンで、参考価格は50ノードで17万5000円(税別)となっている。
2016年03月02日マルベリー(MULBERRY)が2月21日、ロンドンファッションウィークにて新クリエイティブディレクターのジョニー・コカによるファーストコレクションを発表する。同コレクションに先駆け、ジョニー・コカを紹介する初のショートフィルムも公開。フィルムでジョニー・コカは、インスピレーションの源や新コレクションの焦点についての話の他、アーカイブから見つけた1970年代のロゴを復活させたことについても語っている。なお、今後はInstagramやスナップチャットチャンネルなどで、ジョニー・コカが撮影したショー準備の様子も閲覧することもできる。動画引用元: (マルベリーオフィシャルYouTube:
2016年02月20日FFRIは2月10日、同社の標的型攻撃対策ソフトウェア「FFR yarai」などが、不正送金マルウェア「URLZone」をリアルタイムに検知・防御できたと発表した。「URLZone」は、2015年12月中旬~2016年1月下旬にかけて、不審なメールを介して国内のオンラインバンキングユーザーを狙った不正送金マルウェア。これに感染した場合、利用者のオンラインバンキングやWebやメールの認証情報を窃取される恐れがある。同社によると、メールにはいくつかの不審な点があった。件名は英語か日本語で書かれており、本文には「返事待ってます」「お世話になっております」などの日本語の短文が書かれている。ZIPファイルが添付されていて、解凍して開くと、文書ファイル(.doc)や画像ファイル(.jpg)などに偽造されたURLZoneが入っている。これを起動してしまうと内部へ侵入し、最悪のケースでは感染してしまう。感染した場合には、利用者に気づかれないよう、自身を隠蔽して検知を防ぐ機能を搭載している。
2016年02月12日デルはこのほど、Cylanceの人工知能を活用したセキュリティ技術を採用したエンドポイント向けマルウェア対策スイート「Dell Data Protection | Endpoint Security Suite Enterprise」と、法人向けPC用の「POST(Power On Self Test)ブート BIOS 検証ソリューション」を発表した。Cylanceは、人工知能を活用したセキュリティ技術を開発しており、APT攻撃やゼロデイ攻撃で使用されるマルウェア、スピアフィッシング、ランサムウェアに対する防御機能を持つ。同社の技術を採用したエンドポイント向けのセキュリティ・ソリューションは「Endpoint Security Suite Enterprise」が初めてだという。Cylanceの検証では、99%のマルウェアとAPT攻撃を組織できるとしている。同ソリューションでは、ウイルス定義ファイルの定期的な更新が不要であるほか、管理者が単一のコンソールですべてのコンポーネントを管理できるため、エンドポイントセキュリティの管理に必要となる時間やリソースが削減できるという。一方のPOST(Power On Self Test)ブート BIOS 検証ソリューションでは、クラウド環境下で、個別のBIOSイメージをデルのBIOSラボの公式基準値と比較検証し、ブートイメージに脅威が入り込んでいないかを検知できる。このBIOS検証機能は、デルが提供する第6世代インテル Core プロセッサーを搭載した法人向けPCで利用できる。
2016年02月09日東洋水産は3月28日、即席袋麺「マルちゃん正麺 冷し中華」「マルちゃん正麺 ごまだれ冷し」(各525円/税別)を全国でリニューアル発売する。マルちゃん正麺 冷し中華は、即席袋麺では規模の小さかった冷し中華市場に着目し、2013年4月に発売。2014年3月には、マルちゃん正麺 ごまだれ冷しをラインアップへ加えている。今回のリニューアルでは、「サラダで食べる」というコンセプトのもと、ごま油を増量して風味をアップ。野菜との相性をより高めたという。麺の上に野菜を乗せ、ドレッシングとしてたれを利用することで、サラダとしても楽しめるとのこと。新しいパッケージは、爽やかな印象を出すために青色に変更した。裏面には、「冷し中華 DE 『ツナマヨサラダ』」といったアレンジレシピの提案もしている。
2016年02月05日NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は2月1日、「マルウェア不正通信ブロックサービス」の無料提供を開始した。同サービスでは、マルウェアに感染した端末が、悪意ある第三者が設置したC&C(コマンド&コントロール)サーバーと不正な通信が行われた場合に、ネットワーク側で機械的・自動的に検知・遮断を行う。これにより、被害発生を未然に防ぐことができる。なお、このサービスで検知・遮断するために通信情報の参照が行われるが、2015年11月に「インターネットの安定的な運用に関する協議会」が制定した「電気通信事業者におけるサイバー攻撃等への対処と通信の秘密に関するガイドライン(第4版)」に準じたものとなる。参照される情報は、その中でも「通信の宛先情報」のみとなっており、利用者が通信している情報の具体的な中身は参照されない。NTTコムなどのISP事業者は、さまざまなセキュリティサービスを提供しており、セキュリティベンダーとの協力でC&Cサーバーとの通信監視や遮断を行っているが、無料でのサービス提供は国内で初めてとなる。ネットワーク側で対策を行うため、ユーザーが独自で設定を行う必要はない。サービスによってマルウェア感染が判明したユーザーへは、同社から通知が送られる。個人ユーザーの場合はOCNメールか、今後会員サポートページで確認できるようになる。企業ユーザーは、契約者向けポータルサイトで確認できるようになるが、対応までは同社カスタマサポートセンターか営業担当者への連絡が必要としている。対象となるプロバイダーサービスは、個人向け、法人向けの「OCN光」などNTTコムの参照用DNSサーバーを利用しているもので、自動適用される。対象サービスを利用していても、OCNのDNSサーバーを参照しない設定にしている場合は、サービス適用の対象外となる。
2016年02月02日シマンテックは1月12日、音声通話ベースの2段階認証(2FA)システムを傍受するAndroidマルウェアがあることをセキュリティブログで明かした。同社は発見したマルウェアを「Android.Bankosy」と呼んでいる。Android.Bankosyは以前からあったが、バージョンアップされて2段階認証を傍受する機能が追加された。音声ベースの2段階認証とは、一般的なワンタイムパスワードの送信方法が異なる。一般的には、電話番号を利用したショートメッセージサービス(SMS)で送信する。一部の金融機関などでは、セキュリティを高めるために音声通話による送信を採用している。攻撃者は、Android.Bankosyをデバイスの侵入させ、まずバックドアを開いてシステム固有情報のリストを収集する。次にコマンド&コントロール(C&C)サーバーに送信してデバイスの情報を登録する。攻撃者は、C&Cサーバー経由でコマンドを送信し、Android.Bankosyが実行する。Android.Bankosyには「call_forwarding」という特殊なコマンドを実行する機能を備え、C&Cサーバーからコマンドを受け取ると、ペイロードを実行して通話を転送する。アジア太平洋地域の多くの電話会社には、通話を無条件で転送するための発信番号を用意している。Android.Bankosyは、C&Cサーバーから受け取った発信番号を使ってこのコマンドを発行すれば、デバイスから無条件で通話を転送できる。攻撃者は、2段階認証のパスワードを盗み出すことに成功することで、感染後の初期段階で盗みだした資格情報と組み合わせて、ユーザーになりすましてサービスにログインできる恐れがある。シマンテックでは、ソフトウェアは最新の状態に保ち、見たことのないサイトからアプリをダウンロードすることは避けるなど、十分なセキュリティ対策をするように呼び掛けている。
2016年01月14日Google Playで公開されているAndroidアプリの一部に、マルウェア「Brain Test」が混入しているようだ。セキュリティベンダーのLookoutが報告している。Brain Testは、2015年10月ごろ出回ったマルウェア。Android端末の内部において、ルート権限で各種のコマンドを実行する能力を持つ。C&C(コマンド&コントロール)サーバと通信して悪意あるアプリを追加したりもできるほか、Android端末を工場出荷時に戻すリセット操作を実行しても消えない(端末内に残って活動を続ける)。2016年1月12日の時点では、LookoutがGoogleに伝えた感染アプリ(13タイトル)はすべて削除されているとのことだが、ユーザー側でも改めて注意が必要だ。大手セキュリティベンダーのAndroid向けセキュリティアプリは、Brain Testの侵入や動作のブロックに対応している。なお、Lookoutの報告によってGoogle Playから削除されたアプリは以下の通り。Cake BlastJump PlanetHoney CombCrazy BlockCrazy JellyTiny PuzzleNinja HookPiggy JumpJust FireEat BubbleHit PlanetCake TowerDrag Box
2016年01月13日東洋水産は1月18日、カップ入り即席麺「マルちゃん もち入りカレーうどん でか盛」(税別205円)を全国で販売開始する。「でか盛」シリーズは、「赤いきつねうどん」「緑のたぬき天そば」といった和風カップ入り即席麺シリーズの大盛り版。今回、2014年9月に発売された、クリーミーな味わいのカレーうどんが再登場する。めんは、コシと弾力の強い、なめらかな太めのうどんを採用。やさしい後味のカレー風味つゆは、粉乳とラードの配合を調整して、前回よりもまろやかさを増したという。具材には、もちもちとした食感のきねつきもちときざみ揚げ、ねぎを使用した。
2016年01月06日ファイア・アイは12月11日、OS起動前に実行されるマルウェアを使用してカード決済情報を狙う攻撃を確認したと発表した。攻撃は、「ブートキット(bootkit)」と呼ばれる特殊な手法を使用しており、下位レベルのシステムコンポーネントにマルウェアを感染させるというもの。端末によるマルウェアの特定・検出は非常に困難であり、万が一端末が感染した場合、OSの再インストールを実施してもマルウェアを削除できないという。同社は、「システム管理者がブートキットで感染したシステムの完全な物理的消去を実行してから、OSを再ロードする必要がある」と説明している。攻撃は「FIN1」と呼ばれるグループによって行われている。このグループは、悪意あるファイルやユーティリティを多数展開しており、「Nemesis(ネメシス)」と呼ばれるマルウェア・エコシステムの構成要素となっている。マルウェアが端末に侵入すると、まずシステムチェックを実施する。BOOTRASHインストーラのコピーがシステム上で実行されていないか、マルウェアの必須コンポーネントであるMicrosoft NET 3.5フレームワークがシステムにインストールされているかをチェックする。インストーラがすでに実行中の場合や、.NETフレームワークがインストールされていない場合、マルウェアは停止するという。システムチェック後に問題がないようなら、BOOTRASHは独自のカスタム仮想ファイルシステム(VFS)を作成して、Nemesisエコシステムのコンポーネントを保存する。マルウェアはファイルシステムの位置を特定し、ファイル構造に見合うだけの十分な領域がシステムに存在するかを確認する。インストールに必要な領域スペースを特定するため、マルウェアはWindows Management Instrumentation(WMI)を使用して、システムの起動ディスクとパーティションに問い合わせる。その後、32ビットまたは64ビットのコンポーネントの合計サイズを計算し、システムのパーティション間の空き領域の中に、カスタムファイルシステム用の十分な領域があることを確認する。ここからブートセクタのハイジャックを実施する。インストーラは、まず正規のブートセクタをメモリに読み込み、パーティションの開始から0xEのセクタにVBRコードの符号化されたバックアップコピーを保存する。続いてマルウェアは、その後のインテグリティ・チェックのために、正規のブートセクタに2つのアルゴリズムを適用する。正規のブートセクタが保存されると、マルウェアは組み込みリソースの1つから新たなブートストラップ・コードを解読し、既存のブートストラップ・コードを上書きすることで、感染システムの起動プロセスを効果的にハイジャックする。今度はNemesisコンポーネントのインストールする。ブートキットの作成とインストールを担当する3つのコンポーネント(vbr.bin、vbs.bin、bootldr.sys)の保存に際して、インストーラは仮想ファイルシステムを使用する。それ以外のコンポーネントについては、仮想ファイルシステム内に保存される場合と、HKCU.Default\Identitiesレジストリキー内のバイナリデータとして保存される場合がある。これらのコンポーネントは、ファイル転送、画面キャプチャ、キーロガー、プロセス・インジェクション、プロセス操作、タスク・スケジューリングなどを担当している。感染した端末を起動すると、システムのMBRによって悪意あるBOOTRASHブートストラップ・コードによって上書きされている起動パーティションのVBRのロードが試みられる。このコードは、カスタム仮想ファイルシステムから、Nemesisブートキット・コンポーネントをロードする。ブートキットは次に、インストール・プロセス中にディスクに保存された、正規のブートセクタにコントロールを渡す。この段階から、起動プロセスはOSのソフトウェアのロードと実行を継続する。ブートキットは、いくつかのシステム割り込みを傍受することで、起動プロセス中のNemesisの主要コンポーネントのインジェクションを手助けする。ブートキットは、さまざまなシステムサービスを担当するBIOS割り込みをハイジャックし、関連する割り込みベクターテーブルのエントリーにパッチを適用することで、OSローダーがコントロールを得た後のメモリのクエリを傍受できるようになる。ブートキットはその後、正規のVBRにコントロールを渡し、起動プロセスの継続を許可し、OSのロード中にも、ブートキットは割り込みの傍受を行い、リアルモードからプロテクト・モードへとCPUを移す固有の命令を探して、OSのローダメモリをスキャンする。これにより、CPUがリアルモードからプロテクト・モードへと変わるその都度、ブートキットは記述子テーブルにパッチを適用できる。このパッチには、修正版割り込みハンドラーが含まれており、特定アドレスが実行されるたびにブートキットにコントロールをリダイレクトする。この結果、ブートキットは、OSのローダー実行の特定ポイントを検出・傍受して、通常のカーネルのロードの一環としてNemesisコンポーネントをインジェクトできる。
2015年12月14日故・寺山修司生誕80年の今年、その最後の演出作品『レミング』が上演される。1979年に発表されて以来、さまざまなバージョンが存在する本作だが、今回は、寺山没後30年の2013年に松本雄吉と天野天街が台本化し、松本の演出で初演した舞台を、音楽劇『レミング~世界の涯まで連れてって~』として再演。溝端淳平、柄本時生、麿赤兒、霧矢大夢……とキャストを一新し、前回は登場しなかった“少女”役としてシンガーソングライターの青葉市子も出演する。上演場所をパルコ劇場から東京芸術劇場に移し、スケールアップが見込まれる稽古場に11月某日、潜入した。音楽劇『レミング~世界の涯まで連れてって~』チケット情報この日は共同脚本の天野が中心となり、セクション5「もぐら叩き」の稽古が行われていた。下宿屋の一室に住むコック見習いのタロ(溝端)と、何故か畳の下に住む母親(麿)との場面だ。息子に干渉し、脅したり懐柔したりしながら自らの影響力の下に置こうとする母。その母をなだめながら、隙あらば布団叩きで殴ろうとする息子。母との関係に終生悩まされた寺山自身をも彷彿とさせる情景だ。背後から布団叩きを振り下ろす溝端の様子が麿には見えないため、打つタイミングと頭を引っ込めるタイミングをめぐり、試行錯誤が続けられた。回を重ねる毎に動きがよくなる溝端の瑞々しい演技と、ちょっとした表情や声に得も言われぬ味わいが滲む麿の怪演が印象的。さらに、何人もの“少女”たちのアンサンブルが現れ、幻想的な情景を創り出す。続いて稽古はセクション2「壁の消失」の前半へ。どこか中華テイストの音が流れる中、タロとジロ(柄本)が並んで調理の仕草をし、中華料理の名を次々と掛け合いで発していく。途中でそれらは、包丁さばきの描写に変化。果てしない呪文のように、台詞は続く。しかも、台詞のテンポは音とリンクしていなければならない。難しさに頭を抱える溝端と柄本に、音楽の内橋和久が「慣れたら崩してもいいけど、お互いの台詞がどう絡んでいるのか把握するためにも、まずは音をハメて」「身体に入れちゃうと良いよ」とアドバイスする。柄本は「家でずっと練習しているんですけど……」と苦笑いし、溝端は「振りなしでやってみる?」などと積極的にアイデアを出しながら、練習に没頭。見守るキャストやスタッフも、思わず一緒に膝でカウントを取っていた。休憩時間には、大女優・影山影子を演じる霧矢のかつらも到着し、スタッフが説明。その傍らには、振りを確認する占部房子や、TV「テラスハウス」の”王子”こと岩永達也らの姿も。本番に向けて、準備は休みなく進められているのだった。この作品には、様々な壁が登場する。アパートの壁、舞台と客席の間の見えない壁、独房の壁……。それらの先に、虚構とも現実ともつかない不思議な景色が広がっていく。幾つもの壁を乗り越えてキャスト達が到達する新たな音楽劇『レミング~世界の涯まで連れてって~』の開幕は、まもなくだ。公演は12月6日(日)から20日(日)まで東京芸術劇場プレイハウスにて、その後、愛知、大阪、福岡でも上演。取材・文:高橋彩子
2015年12月04日