ティモシー・シャラメ主演『デューン 砂の惑星PART2』のプレミア配信が開始された。さらに宣伝アンバサダー・町田啓太のスペシャルインタビューが到着。またPrime Videoでは、本編冒頭10分が無料独占配信されている。全世界で特大ヒットを記録した本作は、『ブレードランナー 2049』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるSFアクション超大作。初日3日間のオープニング興行収入は、全米では前作『DUNE/デューン 砂の惑星』を約2倍上回る8250万ドル、全世界累計でも1億8250万ドルを記録し、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』超えのオープニングを切った。日本でも初日3日間と3日間限定の先行上映を加えると、2億4919万円を記録。これは前作『DUNE/デューン 砂の惑星』との比較で120%となり、前作越えのヒットスタートとなった。また、アメリカの大手批評サイト「ロッテントマト」では、批評家のスコアで93%、観客のスコアで95%フレッシュを記録し、絶賛の声で溢れている。さらに、PART3の製作も正式に発表となり、今後の展開にも注目が集まっている。吹替声優陣は、前作に引き続き、ポール・アトレイデス(ティモシー・シャラメ)の声を『千と千尋の神隠し』のハク役で知名度を上げた入野自由。そして、新キャラクターとして強いインパクトを残したフェイド=ラウサ・ハルコンネン(オースティン・バトラー)の声を「ドラえもん」のジャイアン役で知られる木村昴、皇女イルーラン(フローレンス・ピュー)の声を「鬼滅の刃」胡蝶しのぶ役の早見沙織が演じるなど、いま話題の豪華声優が揃った。また、前作ではIMAX認証のデジタルカメラでの撮影が4割程度にとどまったものの、今回は全編IMAX映像。壮大な宇宙の映像や大迫力の“サンドワームの総攻撃はこれまでに類を見ないほど迫力満点だ。さらにこの度、宣伝アンバサダーを務めた町田啓太が本作の見どころを語るスペシャルインタビュー映像が公開に。デジタル配信などで何度も観てほしい町田さんお気に入りのシーンについては、「サンドワームにポールが挑んで乗るシーン」と「最後の決闘のシーン」を挙げ、「何度でも観られちゃう」と興奮気味に語っている。また、一番印象的だったキャラクターについては、ポールはもちろん、オースティン・バトラー演じるフェイドをイチオシ。続いて本作の魅力については、「惑星デューンに降り立ったかのような映像シーンがすごくて興奮しっぱなしでした。何度でも観て楽しい新たな発見が観れば観るほどあると思うので、これからがもっと楽しみ」とコメント。最後にファンへ向けて「パート1、パート2は個人的にセット感があるので、いろんな情報をキャッチしておいてパート3に備えておきましょう!」と先日製作が発表されたばかりのシリーズ第3弾へ、期待を膨らませるメッセージで締めくくられている。『デューン 砂の惑星PART2』は各種プラットホームにてプレミア配信中。(シネマカフェ編集部)■関連作品:デューン 砂の惑星PART2 2024年3月15日より全国にて公開© 2024 Legendary and Warner Bros. Ent. All Rights Reserved IMAX®is a registered trademark of IMAX Corporation. Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.
2024年04月26日俳優・町田啓太が25日、都内で行われたTASAKI 70周年アニバーサリーエキシビション『FLOATING SHELL』レセプションに登場した。ネックレスやリングなどを身に着け「こんなにパールに囲まれることはなかなかない。イヤカフもつけやすくダイヤも散りばめられているのでカジュアルでもいけるし、ラグジュアリーにもいける」とご満悦。なかでも「ネックレスと思いきや、実はメガネにつけるものなんです。こういう付け方もできるのは、遊び心がある」と189万超えのグラスコードのお気に入りポイントを紹介した。間もなく迎えるゴールデンウィークは「遠ければ遠いほどいい。海外に行けたら楽しいなと思いつつ、現実は自然豊かなところで、自然を満喫しながらゆったり温泉など入れたら」と想像を膨らませ、海外なら「欲張りたいですけど最近はイタリアやパリに行く機会もあり、文化的なものにはパワーをいただける。ジュエリーと一緒でエネルギーがあるのでそういうところで充電できたら。芸術品に刺激を受けたいです」と笑顔をみせていた。「TASAKI(タサキ)」は、1954年の創業以来、パールとダイヤモンドを二大エレメントとし、モダンでエッジィなジュエリーを生み出し続ける日本発のラグジュアリージュエラー。TASAKI 70周年アニバーサリー エキシビションとなる『FLOATINGSHELL(フローティングシェル)』は、あす26日から5月12日まで、東京・BA-TSU ART GALLERYにて開催される。イベントには柴咲コウ、多部未華子、Perfume(あ~ちゃん、かしゆか、のっち)、MOMO(TWICE)、吉岡里帆も登場した。
2024年04月25日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第12回目のテーマは「コルギなソウル(魂)」です。ホテルのカーテンを開けると、ソウルは一面の雪景色になっていた。キャスティング関連でのわずか2日間の訪韓。午前中だけ予定が空いていたのもあり、繁華街の明洞(ミョンドン)へと向かった。焼肉屋やチヂミのハングル文字に紛れて、日本語の看板が目に入る。「韓国式エステ」。ここだ。急な階段を2フロア分、上がる。店に入ると店長らしきおばちゃんが日本語で話しかけてくる。「ギンジャ(銀座)だと、この倍の値段。うちは安いよ」と、160分の極上コースを猛烈に薦めてくる。午後から大事なミーティングがある。2時間以上のコースは避けたい。“ヒーリング・コース”を希望したが、おばちゃんの強引な推しで、話題の“顔骨気(コルギ)コース”を体験することになった。おばちゃんに連れられ、更衣室へ。指示通り、パンツ一丁になり、その上に紙パンツを履いて、チャイナドレスのような刺繍の入ったピンクの施術着を羽織る。外に出ると、別のおばちゃんが待ち受けており、階段を上らされる。曲がりくねった廊下を進むと、ドラム式の乾燥機が並んでいる小部屋に突き当たる。そこにはまた別のおばちゃん達が待機している。まさか乾燥機に足を入れるのでは?と構えたが、杞憂だった。用意されたお湯に足を浸けて、洗浄。再び階段を上り、逃げ場のない突き当たりの部屋へ通される。硬いベッドに仰向けに固定された後、店自慢の“顔骨気コース”が、いよいよスタートする。まずは、クレンジングと足つぼマッサージ。続いて、顔にクリームを塗られる。何度も何度も塗り込まれる。目隠しをされているので、何を塗られているかは、わからない。そして、唐突に骨気テラピー(注1)が始まる。かなり痛いとは事前に聞いていた。おばちゃんは、器具を使わず、指先だけで親の仇の様に攻めてくる!「イタタタ!!」と、思わず声を出して訴えるが、日本語は通じない。ところが「イタイ、イタイ」と、楽しそうにオウム返ししながら手を緩めずに続ける。我慢するしかない。続くフェイスリンパマッサージにも耐え抜き、ホワイトニングパックにシフト。同時に、空気圧による自動の骨盤マッサージが始まる。その間に、肩・肩甲骨の指圧とデコルテ、首、肩リンパマッサージ。最後に頭皮マッサージ。これで終了か、と安堵していると、入れ替わりに別のおばちゃんが迎えにやって来る。「全部脱いで、これを頭から被って。パンツも脱いでスッポンポンに」と黄色い布を渡される。まだ終わりじゃないの?よく見てみると、布の中央に穴が開いていて、そこに首を入れて着るらしい。中でパンツを脱いで、全裸になる。まるで貫頭衣(注2)ではないか?逡巡している間もなく、巨大なてるてる坊主と化したまま、階段を上らされる。いや、下りたのかもしれない。ここは、エッシャーの絵のような迷宮なのだ。最後に待っていたのは、骨気と人気を二分する“よもぎ蒸し”(注3)。部屋に向かうと、おばちゃんが入口にひとり、岩のように座っている。縦に長い部屋内には、真ん中に穴が開いた陶器製の丸い椅子(座浴器)がぞんざいに並べられている。複数の椅子とセットになるように、それぞれに丸テーブルが用意されている。奥には、てるてる坊主から首だけ出した先客の女性2人が、日本語で談笑している。女性もいるの?大丈夫?と面食らっていると、反対側の椅子へと何の説明もなく、誘導される。てるてる坊主の裾を広げて、座浴器に跨る。その下に火種があり、そこによもぎ(韓方薬/ハニャッ)が焚べられている。跨ると、肛門よりも陰嚢が熱い。蒸すというより、熱い。冷やさないといけない大切な器官。これって、男性がやって大丈夫なの?と、顔を上げると、おばちゃんは、目の前にお茶とお菓子を置いて戻っていく。ちょっと、待って!これ何分のコースだったっけ?泌尿器系の改善どころか、睾丸の生産機能がイカれてしまう!経過時間を知りたくて、見回すものの、時計は何処にもない。スマホは持ち込みOKとは知らず、ロッカーに置いてきてしまったのだ。隣では先客達が、楽しそうに自撮りをしている。あなたたち、これ熱くないの?僕はおばちゃんの顔色を窺いながらも、耐え続ける。あと何分だろう。先客は、出されたお菓子を頬張り、お茶を飲み干す。するとおばちゃんに連れられて、部屋を出ていく。なるほど、お茶を飲むのが合図で、蒸し終了なのか!と思い、手をつけていなかったお茶を飲み干す。なんと、おばちゃんはまた新しいお茶を運んでくるではないか。飲んでも終わらない?まさに地獄蒸しだ。結局、40分以上蒸されて終了。股間が熱いので、座る位置を何度も変更。座浴器の縁を移動し続けたおかげで、かなりの汗をかいた。受付に戻ると、あのおばちゃんが待ち構えていた。「お客さんの顔、ずいぶんと白くなった、小顔にもなったわよ」と、優しく笑う。ああ、この感覚。知っている。これ、嫌いじゃない。いや、むしろ好きだ。必要以上に相手を気遣うことが接客だとされる令和の時代にはない、粗暴だが、温かさのあるエネルギーが骨に染みた。またここに来ようか。ここはソウルだが、ここにはソウル(魂)がある。おばちゃんの言葉に、少しはその気になったものの、午後に韓国の人気女優さんと並ぶと、毎日、顔骨気に通っても勝てないと思った。彼女の顔はずっと小さかった。注1:骨気テラピー手や腕を使って骨を刺激し、老廃物の排出、リンパの流れや血行の促進にアプローチする韓国発祥の美容法。小顔や顔色が明るくなるなどの効果が期待できる。注2:貫頭衣生地の中央に穴を開け、そこに頭を通して着用する衣類のこと。注3:よもぎ蒸し韓国の伝統的な民間療法。よもぎなど韓方薬などを煮立て、蒸気を下半身に当てることで体を内側から温める。今月のCulture Favorite顔骨気前の小島監督と、『はちどり』などで知られる俳優のパク・ジフさん。顔骨気後の小島監督。顔がスッキリ!その後、『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』などに出演するチョン・ジョンソさんと。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。「The Game Awards 2023」にて発表した、最新作『OD』の公式ティザートレーラーが、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の第2弾トレーラーが公開中。先日、完全新作オリジナルIP『PHYSINT(Working Title)』の制作を発表。次回は、2396号(2024年5月1日発売)です。※『anan』2024年4月10日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2024年04月17日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第11回目のテーマは「推しも推される関係」です。1月、トレント・レズナーのスタジオへ訪問し、彼とアッティカス・ロスの2人と数時間に渡り貴重な時間を共有した。さらに「ナイン・インチ・ネイルズ」(注1)のファーストCDと『ソーシャル・ネットワーク』のサントラ盤CDにそれぞれサインを貰った。2016年のE3にて『デス・ストランディング』(以下『DS』)のティザー映像(注2)を初めて発表した後、コジプロ公式アドレス宛の方に、トレントから「私はヒデオの大ファンです。デスストの音楽にとても興味があります」というメールが入った。当時はまだ、精査をする担当者も不在だった為、「本当に本人からだったのか?」もわからない状態でフェードアウトしてしまった。勿論、僕にとっての彼は、ずっと“推し”だった。それからも行く先々で「トレントはヒデオのファンだ」という話を耳にした。『DS』のパフォーマンス・キャプチャー中にノーマン・リーダス(注3)からも「友達のトレントが、ヒデオの大ファンなので、明日にでもこの撮影現場に来るかもしれない」と、聞かされた。しかし、実際には彼は現れず、僕の方もやはり耳半分な状態だった。ところが、昨年末に、知人のジェフ・キーリー(注4)から「トレントが逢いたがっている!」と、直接の連絡先のメールアドレスが届いた。1月にちょうどロスに行く予定があったので、漸く逢う機会を得た。トレントは、僕を待ち受けていて、こう言った。「『MGSV』(注5)は、219時間プレイ。『DS』は発売された時にやり終えて、今はまたPCでディレクターズカットを再プレイしている!何度も言うけど、いくつかのアルバム制作を妨げたのは、ヒデオのせいだよ(笑)」お互い“推し”であったにも関わらず、実際に邂逅するまでに8年を要した。“推し”と“推し”が日常生活で偶然出逢うということは、まずあり得ない。昔は、対談などを活用して、“推し”に会う機会を作った。偶然を待っているだけでは、容易に“推し”に出逢えなかったのだ。ところがSNS時代になって、そんな“推し”との繋がり方は、大きく変わった。SNSというツールが“推し”と“推し”を容易に、効率的に繋げてくれるようになったのだ。例えば、ある本を読む、映画を観る、音楽を聴く、作品を見る。僕はその“推し”の感想をSNSに投稿する。すると、その“ラブコール”は世界中を瞬時に駆け巡り、その日のうちに、ほぼ間違いなく、“推し”にダイレクトに届くのである。僕がフォローすれば、相手もフォローしてくれる。そうなると、DMで直接話が出来る。仲良くなり「今度、どこかで逢いましょう!」と約束する。いずれ直接、歓談することが出来てしまう。“推し”同士は、エージェントやマネージャーをすっ飛ばすので、話がはやい。そうやって“推し”も“推される”関係を築いた小説家、映画監督、アーティスト、ミュージシャン、俳優、クリエイターは数えきれない。『DS』の日本語版音声に、津田健次郎さんへサム役のオファーをしたのも、まさにこういう経緯によるものだ。10年くらい前のSNSでは、今ほどの即効性も確実性もなかった。しかし、「HIDEO KOJIMAというゲームクリエイターが、あなたの作品を推しているよ」と、僕のファンと相手のファンたちが間を取り持って、うまく繋いでくれた。僕と相手を“推す”人たちが協力し合い、“推し”同士を繋いでくれたのだ。色々と問題はあるSNSだが、“推し”を推しはかる人たちにとっては、“推し”と“推し”が繋がることができる最強のツールでもあるのだ。勿論、相手が僕の事を知らない片想いの場合もある。例えば、パク・チャヌク監督(注6)。韓国映画『オールド・ボーイ』を観て、パク監督に惚れたのは20年前。どうしても彼に逢いたかった僕は、人を介してパク監督に連絡をとって貰った。韓国に飛ぶと、パク監督は『親切なクムジャさん』のラストシーンを玉川(オクチョン)という場所で撮影中とのこと。ソウルから車を飛ばして3時間あまり。零下16度の現場で“推し”に邂逅した。現場近くのレストランで通訳もなく、韓国料理を咀嚼しながら、身振り手振りで対話した。お互いが、好きな作品のことを夢中で話していると、通じるものがいくつもあることが分かった。いつしか“推し”と“推し”は、人種や言語を超えて繋がっていた。僕らは、同じものを“推し”て、創作の世界に入ったのだと理解し合った。いつの間にか“推して”いるつもりが“推される”、初めて会ったのに、幼馴染のような関係になっていた。以降、パク監督とはずっと特別な関係が続いている。“推し”とは誰かにゾッコンとなり、好きなことを公言し、行動を起こし、生涯応援することだ。同時に、それは、新たなクリエイティブにも繋がる。“推し”もまた一つの創作なのだ。好きという気持ちは世界共通だ。同じものを“推す”情熱が、見知らぬ者同士を繋いでくれる。全身全霊をかけて“推し”ていれば、いつかは“推し”からも“推される”機会がやってくる。“推し”も“推される”関係は、誰にとっても夢ではない。今日も僕は誰かを“推し”続ける。注1:ナイン・インチ・ネイルズ1988年に活動を開始した、トレント・レズナーによるプロジェクト・バンド。注2:アメリカで開催されていた世界最大級のゲームの祭典であるE3において、小島監督の新作として、そのタイトルとノーマン・リーダスが主演であることが発表された。単なる予告編とは異なり、謎に満ちた映像が世界中の注目を集めた。注3:ノーマン・リーダス俳優。『ウォーキング・デッド』『処刑人』などに出演。『デス・ストランディング』のサムを演じている。注4:ジェフ・キーリーゲーム業界のアカデミー賞ともいわれるThe Game Awards(TGA)のプロデューサーであり司会者。小島監督のよき理解者であり友人。注5:MGSV小島監督のゲーム『メタルギアソリッドVファントム・ペイン』のこと。注6:パク・チャヌク監督『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』のほか、『お嬢さん』『別れる決心』など数多くの映画を手掛ける。今月のCulture Favoriteトレント・レズナー、アッティカス・ロス両氏と。『犯罪都市 NO WAY OUT』に出演するマ・ドンソク氏と。4年ぶりにソウルで再会したパク・チャヌク監督と。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。『HideoTube (ヒデチュー):特別版』小島監督が、津田健次郎さん、宇内梨沙さんと、コジマプロダクションが発表した様々なトピックについて語り尽くす。次回は、2392号(2024年4月3日発売)です。※『anan』2024年3月13日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2024年03月09日2023年2月23日に、お笑いタレントの小島よしおさんが、情報番組『news おかえり』(ABCテレビ)に出演し、第1子の男児が同月17日に誕生していたことを発表しました。赤ちゃんの体重は3千g前後が平均のところ、4千g越えだったとのこと。同番組のX(Twitter)アカウントは、改めて小島さんに祝福のコメントを贈るとともに、小島さんと赤ちゃんの様子が伝わる1枚を投稿しています。 #ABCテレビ #6ch ❣️ #newsおかえり 午後3時40分✅番組最後にうれしい報告がなんと、我らが小島さんにベビーピーヤ誕生㊗️4000g超とのことで奥様も本当によくがんばりましたね✨ #ベビー水着 をいつか親子共演を見られる日が、、くるかも⁉️おめでとうございました #小島よしお pic.twitter.com/OtRcN0csDb — news おかえり【公式】 (@news_okaeri_abc) February 23, 2024 番組から贈られた、赤ちゃん用の水着を手に笑顔の小島さん。背後には、赤ちゃんの手に自身の小指を添えた記念写真が写っています。おめでたいニュースに、ファンからは「ビッグな赤ちゃんですね!おめでとうございます!」「優しくて楽しいお父さんとか最高」「親子共演、ぜひ見たいです!」などの声が寄せられました。数えきれないほどの子供たちを笑顔にしてきた小島さんは、子育てにおいても大活躍することでしょう。ユーモアあふれる、家庭でのエピソードを聞ける日が楽しみですね![文・構成/grape編集部]
2024年02月24日俳優の綱啓永が22日、都内で行われた「atmos presents SNEAKER BEST DRESSER AWARD(スニーカーベストドレッサー賞) 2024」授賞式・記者発表会に出席。スニーカーを素敵に履きこなしている著名人を表彰する同アワードの俳優部門を受賞した。綱は、トロフィーを受け取り「うれしいですね。こんな光栄な賞をいただけてすごく幸せです」と喜びをあらわに。この日はメタリック加工が特徴的なスニーカーを着用し、このスニーカーで出かけたい場所を聞かれると、「すごくかっこよくて目を引くので、表参道とか代官山とか恵比寿とかオシャレな街に繰り出したいです。ギンギラなのでオシャレなところに行きたいです」と語った。同アワードは、2月22日(スニーカーの日)にちなんで、「スニーカーが似合う」「今後スニーカーを履いてほしい」「スニーカーの需要喚起に貢献してくれた」という人たちを各部門賞ごとに選出し、表彰するもの。7回目となる今回、atmos pink賞はMiyu、インフルエンサー部門はなえなの、女優部門は莉子、俳優部門は綱啓永、男性アーティスト部門はimase、女性アーティスト部門は山崎天(櫻坂46)、モデル部門は藤田ニコル、芸人部門は寺門ジモンが受賞した。
2024年02月22日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第10回目のテーマは「人生をストーリーテリングする」です。先日、配信されたSIEのイベント『State of Play』(注1)にて、『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の第二弾トレーラー(注2)を全世界に向けて公開した。今回も、企画、構成、画面選び、セリフ選び、コピー、音付け、編集、ディレクション、MIXなどを贅沢にひとりで楽しんだ。ほぼ1年ぶりの編集作業だった。トレーラーの尺は9分39秒。ちょっとした短編作品とも言える。発売前だが、僕にとっては、これも作品(ゲーム)の一部なのである。ゲームのプロモーション映像は普通であれば、TVCMや映画の予告編と同じく、外部の映像専門会社に委託する。なぜそれをゲーム制作者の僕がするのか?技術、納期、バジェットなど、裏事情は色々あるが、最大の理由は、やはり編集という行為が好きだからだ。ゲーム創りは高度で複雑、生き物の様に日々進化する。だから、飽きることはない。とはいえ、ゲームはインタラクティブだ。見るもの、見せるもの全ては創り手側にはなく、プレイヤーの行動に依存する。一方で、映像は創り手の思惑通りにタイムラインを操作できる。何を見せて、何を見せないか?さらにはそのタイミングも。だから、たまにはタイムラインを自分で制御した旧来の映像作品で、観客を驚かせたいと、僕は編集機の前に座る。自分だけのペースで完結した作業が出来る事も大きい。チームを動かす仕様書もミーティングも不要だ。僕が初めて編集機に触れたのは、中学生の頃。当時は家庭用のビデオカメラもまだない。友人の父親が持っていた8mmスーパー8カメラを借りて、つまらない自主映画で戯れていたアナログの時代。編集映像が覗ける画面(フィルムエディター)も付いていない、ただのフィルムスプライサー(注3)とスプライシングテープ(注4)での切り貼りを行っていた。切りすぎるとフィルムがダメになる。うまく繋げないと映写機に引っかかる。デジタル世代では当たり前の「undo」(注5)が効かない。だから、細かな編集はできない。あの頃は正直、面白いとは思わなかった。’90年代、ゲーム制作現場にもMacが導入されるようになった。当時の編集環境はMacとAdobe Premiere。しかも、今とは違うノンリニア編集なので、編集中の結果(レンダリング)は、かなりの時間を待たされ、完成した映像の解像度も低いものだった。それでもアナログ時代とは違い、デジタル編集は魔法のようだった。トレーラーやPV、CMに使う素材編集、ゲーム内に入れる実写映像などなど。ここから今に続く、僕の編集人生がスタートしたとも言える。人は時間を超えることも、遡ることも出来ない。タイムマシンやタイムワープといった“SFガジェット”は、現実には実現しそうもない。過去や未来への時間旅行は、宇宙人や魔法の力を借りない限り、無理なのだ。僕らの人生も同じだ。過去を振り返ったり、未来を想像することは出来ても、人生というタイムラインを入れ替えたり、嫌な過去を消したり、楽しかった頃を強調したりは出来ない。さらにゲームの様に生きた人生を何度もやり直し(リプレイ)することも出来ない。ところが、映像の中であれば、時間を自由に行き来出来る。カットを繋ぎ、入れ替えるだけで、時間を自在に旅することが出来る。A“ある家の玄関の前でキスをしている男女”のカット。B“お洒落なレストランで見つめ合いながら食事をする男女”のカット。この二つを並べ替えるだけで、印象は大きく変わってくる。ABだと、既に付き合っているカップルが家から出てきて、何かの記念日にレストランで祝うという物語に見える。AとBを並び替えてみる。レストランで食事をしてから、どちらかの家まで送っていき、そこで初キスをする。食事を経て、男女に恋が芽生えたというドラマティックな物語が産まれる。さらにキスシーンが夜で、レストランが昼だとすると、時間経過も大きく変わる。ABだと、二人がレストランに行くのは一泊した翌日の昼になり、彼らの愛の営みまでも連想できる。BAだと、レストランで話をしているうちに夜になり、どちらかの家まで送り、キスをしているということに。AとBの間に太陽が昇る、あるいは沈むカットを入れる(街の明かりが灯る/消えるカットでもいい)と、さらに物語を強くすることができる。編集によって、時間の操作だけではなく、二人の関係や物語をも決定出来るのだ。リアルな人生はやり直せない。しかし、想像力で編集をしてみれば、そこからまた違ういくつものストーリーを紡ぎ出せるはずだ。そのことで、よりよい未来を想像・創造が出来る。人生を素材としたストーリーテリングだ。“編集”とは僕にとってのタイムマシンであり、人生を物語ることでもあるのだ。注1:State of Play最新のゲームトレーラーやゲームプレイ映像など、PlayStationに関する情報をインターネット上で配信する番組。注2:小島秀夫監督が現在制作しているゲームの最新ティザートレーラー。注3:フィルムスプライサーフィルムを切ったり繋いだりする器具。注4:スプライシングテープ粘着剤が付きづらいものにも接着する、繋ぎ用の粘着テープ。注5:undo直前に実行した操作や処理を取り消し、元の状態に戻すこと。今月のCulture Favorite『ザ・ホエール』などを手がけるダーレン・アロノフスキー監督。俳優のマッツ・ミケルセンが来社。『DEATH STRANDING』でサムの声を演じた津田健次郎さんと。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。「The Game Awards 2023」にて発表した、最新作『OD』の公式ティザートレーラーが、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の第2弾トレーラーが公開中。先日、完全新作オリジナルIP『PHYSINT(Working Title)』の制作を発表。次回は、2388号(2024年3月6日発売)です。※『anan』2024年2月14日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2024年02月10日コメダ珈琲店(Komeda’s coffee)の人気スイーツ「シロノワール」から、パティシエ・ショコラティエの辻口博啓が監修した季節限定「シロノワール ショコラパッション」が登場。2024年2月2日(金)より全国のコメダ珈琲店で販売される。季節限定「シロノワール ショコラパッション」ル ショコラ ドゥ アッシュなどを手掛ける辻口博啓とタッグを組んだ「シロノワール ショコラパッション」にとろりとかけられたショコラソースは、今回のコラボレーションのために開発。アロマのような華やかな香りやなめらかな口あたりが特徴だ。また、濃厚なソフトクリームの上には“パッションフルーツソース”をプラスして、爽やかな酸味とすっきりとした甘みをもたらしている。さらに仕上げには、“サクサク”のクラッシュショコラプレートと“パリッ”としたアーモンドスライスをトッピング。豊かな食感にもこだわって仕上げた。コク深いショコラソースと甘酸っぱいパッションフルーツソースは、食べ進めるごとにデニッシュへとしみ込み、絶妙なハーモニーを奏でてくれるだろう。【詳細】シロノワール ショコラパッション販売期間:2024年2月2日(金)~販売店舗:全国のコメダ珈琲店、おかげ庵※販売は一部店舗を除く価格:・コメダ珈琲店 880~940円、ミニサイズ 680~740円・おかげ庵 980~990円、ミニサイズ 680~740円※価格は店舗により異なる※限定数に達し次第、販売終了※写真はイメージ、実際の提供は写真と異なる場合あり※ソフトクリームからホイップクリームへの変更は不可※おかげ庵ではソフトクリームから、抹茶・ほうじ茶・抹茶ミックス・ほうじ茶ミックスへの変更不可※アーモンド使用
2024年02月04日強みは“普通”。自らをそう表現する綱啓永さんは、めきめきと頭角をあらわす注目の若手俳優。そんな彼の等身大の姿を写真家・Yuji Watanabeさんが丁寧に、柔らかく切り取ります。冬の柔らかな陽だまりに包まれ、飾ることなくカメラの前へ。今回のテーマ・等身大の綱啓永さんがそこにいた。「さすがに少しはかっこつけましたけど(笑)、今日はキメキメな感じではなく撮ってもらえて嬉しかったです。僕は顔もナチュラルだし、俳優として“普通”という自覚があるんです。この世界にいると個性的な人が多いので、自分の中に変わっているところはないか、探してみたんですけどね。探して探して、でも見つからなかった。しばらく個性がないことがコンプレックスだったんですけど、ある時、“普通”の人が少ないからこそ、それが強みになると気づいたんです。色でいうと僕は白。白はどんな色にも染まれるから、役の幅を狭めないことは俳優としていいことだなって」その言葉通り、知名度を上げたドラマ『君の花になる』ではボーイズグループのメンバー、『恋愛のすゝめ』では秀才の高校生役と、幅広い役を演じる俳優に。連続ドラマ初単独主演だった『恋愛のすゝめ』の現場は不安が大きかったそう。「なにせ“普通”ですし、自分は真ん中にいる人間じゃなくて、周りで支えるポジションのほうが合っているんじゃないかってどこかで思ってて。でも、現場に入ったら毎日が山場。とにかく必死だったので、そんな不安はすぐにかき消せたくらい、毎日が充実していました。現場の空気って、座長によってすごく変わるんです。参考にさせてもらったのは、『ばらかもん』で一緒だった杉野遥亮さん。子供がたくさん出てくるドラマだったんですけど、子供たちにも、役にも、真摯に向き合う杉野さんの姿を見て『この座長のために何かできることはないか』って思ったんですよね。そんなふうに思わせてくれる座長はすごく素敵ですし、座長を務めるからには、僕にも必要なことだと感じました」ドラマ『君の花になる』で誕生した8LOOMで大きな注目を集めるなど、その勢いは増すばかり。「いま、6年目なんですけど、やっと本当の意味で、役者人生のスタートラインに立てたのかなと。当たり前のことなんですけど、ここまで真面目にやってきた自分を褒めてあげたいです。僕は遅咲きのタイプなんですよね。普段から仲の良い前田拳太郎、日向亘、樋口幸平とか、僕より歴が浅くて活躍している仲間には『いいな。すごいな』って、直接言ってます(笑)。最近、年下と共演することが多くて、映画『恋わずらいのエリー』の主演の宮世琉弥もそう。今回、僕はヒロインの友達に片想いする役だったので、遠くない将来、恋愛作品の主軸になれたらなって思いました」同世代や年下の活躍を羨ましいと素直に口に出せるのは、今の自分自身に自信を持てているからなのでは。「そんなことはないです。パブリックイメージは明るく陽気な人だと思うんですけど、自信家の反対の…“自信がない家”です(笑)。『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』グランプリという、ある意味戦いで初めて勝てたあの経験で、前向きに考えるようにはなったんですけど、根はネガティブです。続けられた理由は、やっぱり演じることが楽しいから。撮影って緻密で地味な作業の積み重ねなんです。1日かけて撮っても、使われるのは1分ということも。地味な作業は好きじゃなかった僕が、こうして続けられているくらいお芝居には魅力があるし、喜んでくれる人のおかげ。ファンの人は、僕が生きているだけで嬉しいとまで言ってくれるんです。そういう人がいなかったら僕は頑張れない。みなさんには感謝しないといけないし、感謝したいです」ファンへの思いを素直に口にする熱い一面も。これから力を入れたいことを尋ねても、それは変わらない。「映画にたくさん出たいですね。映画館のスクリーンのサイズで僕を観られるのが、みなさん嬉しいらしくて。そして、アカデミー賞を取る!言霊です。でも、お芝居のレベルはまだまだ…。内田有紀さんに『本番が始まったら、全部捨てる』とアドバイスをいただいたんですけど、どうしても考えちゃうんです。全部捨てて、もっとナチュラルに役を生きられるようにならないと。今年は勝負の年だと思っています」つな・けいと1998年12月24日生まれ、千葉県出身。2018年、ドラマ『文学処女』でデビュー。2月10日から舞台『う蝕』が始まる。出演映画『恋わずらいのエリー』は3月15日公開。IDリング(薬指)¥8,800SIGNETリング(人差し指)¥16,500(共に20/80)共にHEMT PR TEL:03・6721・0882シャツ¥28,600(ディガウェル/ディガウェル 1 TEL:03・5722・3392)ベスト¥39,600レザーパンツ(参考色)¥176,000(共にサブレーションズsublations.cs@one-five.jp)その他はスタイリスト私物ユウジ・ワタナベNY留学中に写真を学ぶ。2012年よりフランスに拠点を移し、現在は東京とパリをベースに活動。イタリアの『VOGUE』などで、幻想的な写真を撮り続けている。※『anan』2024年2月7日号より。写真・Yuji Watanabeスタイリスト・井田信之ヘア&メイク・牧野雄大(vierge)取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2024年02月02日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第9回目のテーマは「トラウマの向こうにある“好き”」です。先月のTGA(注1)で『OD』という新作ゲームを発表した。究極の“恐怖”を扱う非常に“とんがったゲーム”を目指した野心作である。昨年の秋には、この『OD』の特別企画合宿を熱海で行った。僕は子供の頃から、怖がりだった。それは今も変わらない。人には見えないものが見える、聞こえない音が聞こえる。と言っても、霊能力者ではない。感受性の強さゆえに、あらゆる刺激に過敏に反応してしまうのだ。森の木々が人に見えたり、天井のシミが歪んだ顔に見えたり、柱の影が巨大な化け物に見えたりする。だからホラー映画もオカルトも怪談も苦手だ。だが、怖がりだからこそ、誰よりも怖いものが創れるというメリットがある。ヒッチコックやスピルバーグがそうであるように。コナミ在籍時代に『P.T.』というホラーゲーム(注2)の体験版を創った。配信後、制作が中止となったこともあり、今でも多くのフォロワーが影響を受け“伝説のホラー・ゲーム”として語り継がれている。スタッフと一緒なら、怖がりの僕でも冷静に観られるかもしれない。そう思い、ある映画のBD(注3)を倉庫から発掘、熱海での合宿に持参した。どうしても観られない作品、僕のオールタイムベスト級の“怖い映画”だ(別の映画を観たいというスタッフの意見を優先し、観る機会は逃した)。それが『エクソシスト』(1973)だ。監督はウィリアム・フリードキン。昨年の8月、ロサンゼルスの自宅で肺炎と心不全のため、87歳で死去した。言わずと知れた映画界の巨匠だ。僕も多くの影響を受けた。中でも『フレンチ・コネクション』『恐怖の報酬(リメイク版)』『L.A.大捜査線/狼たちの街』などがお気に入りだ。映画を通じて、マイク・オールドフィールド(『エクソシスト』の挿入曲)やタンジェリン・ドリーム(『恐怖の報酬』のOST担当。注4)といった“プログレッシブ・ロック”という前衛音楽を教えてくれたのも彼である。訃報を聞いた夜、彼を悼んで作品を観直した。だがそれほどまでにリスペクトしている監督なのに、どうしても『エクソシスト』だけは怖くて観られない。それが日本で公開されたのは小学5年生の時。北米のわずか26館からスタートした映画は、評判が評判を呼び、世界中で空前の大ヒットを記録した。あまりの怖さに退出者が続出、心臓発作で死人が出たとの噂も飛び込んできた。口から嘔吐物を飛ばす!十字架を陰部に突き立てる!首が360度回転する!という映画の常識を超えた過激さに途中退席したという知人からの生の鑑賞譚も聞いた。「悪魔祓い(エクソシスト)」という単語さえもが、未知なる恐怖の対象だった。既にかなりの映画マニアだった僕でも鑑賞は無理だと思った。ある日、中学生だった2歳上の兄が原作本を買ってきた。その表紙のイラストがまた怖かった!青い背景に丸い窓があり、悪魔に憑依されるリーガンらしき少女のイラスト(似ていない)が載っている。左手は吊り革のようなものを握り、そのサークルの中に、笑みを浮かべた少年の頭部が逆さまに描かれている。ゾッとするイラストだった。それが本棚にあるだけで、僕は兄の部屋には入れなくなった。そこに邪悪な霊が宿っているかのようで。6年後、禁断の映画『エクソシスト』がTVで放映されることとなった。いつまでも逃げてはいられない。高校生になった僕は、決意してテレビの前に座った。日本語音声なので、少しは怖さも紛れるだろう。しかし、映画には恐怖した。以降、“最も怖い映画”として、2度と観ることはなかった。熱海の合宿後、『エクソシスト』の正統派続編と言われる話題の『エクソシスト 信じる者』が公開された。向き合うには今しかない。そう思い、10年前に購入していた『エクソシスト』製作40周年記念エディションのBDの封を開けた。60歳を超えて観直した『エクソシスト』は、怖いどころか、猛烈によく出来た映画だった。フリードキンの演出、特殊効果、音響、カメラ、役者の演技、ディテール。どのシーンも素晴らしく、完璧だった。邪悪なものに立ち向かう、人間の勇気と愛を描いた良質なドラマだったのだ。世界中で大ヒットし、今も語り継がれているのも、オカルト映画だからではなかったのだ。フリードキン監督、ごめんさない。50年間も誤解していました。あなたはやはり天才です。私は永遠にあなたを“信じる者”です。そして今、僕の眼の前に、トラウマとなったあの原作本がある。文庫版が復刊されたのだ。例の怖かった単行本の表紙は、貞子のような写真に変わっている(注5)。昨年11月に出た『エクソシスト』のソフト(注6)も購入した。原作を読んだ後に観直すつもりだ。それもフリードキンの音声解説付きで。この作品をもっと知りたいと思う。もっと好きになりたいと思う。怖さは未知から来るからだ。これから僕は、あるお祓いの儀式をする。トラウマとなった原作を読むことで“悪魔祓い”をするのだ。その“トラウマ”を乗り越えた向こうに、本当の“好き”が待っている。注1:TGAThe Game Awardsの略称で、毎年12月にアメリカで開催されるビデオゲームイベント。注2:『P.T.』プレイアブル・ティザー。2014年8月14日に無料配信され、絶賛された小島秀夫監督作品のホラー・ゲーム。注3:BDBlu‐ray Discのこと。注4:OSTオリジナルサウンドトラックのこと。注5:ウィリアム・ピーター・ブラッティの原作は、1973年に新潮社から翻訳が出版され(吊り革を握った少女のイラスト)、1977年に新潮文庫版(リーガンの顔がトレースされたイラスト)、1999年に創元推理文庫版が出版され、2023年の復刊で現在のカバーになった。注6:ディレクターズカット版&オリジナル劇場版〈4K ULTRA HD&ブルーレイセット〉(4枚組/ペーパープレミアム付き)今月のCulture Favorite新作『OD』のトレイラーに登場するハンター・シェイファー。ティモシー・シャラメと。『OD』でタッグを組むジョーダン・ピール監督と。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。「The Game Awards 2023」にて発表した、最新作『OD』の公式ティザートレーラーが、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。次回は、2384号(2024年2月7日発売)です。※『anan』2024年1月17日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2024年01月13日俳優の綱啓永が自身の誕生日である12月24日、個人ファンクラブ「Tsuna mar」(読み:ツナマル)を開設することをインスタライブ内で発表した。綱は2017年に第30回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで史上初の敗者復活からのグランプリを受賞。その後、テレビ朝日『騎士竜戦隊リュウソウジャー』にてメルト/リュウソウブルー役として出演。今年は、フジテレビ『ばらかもん』や初の単独主演を務めたTBS『恋愛のすゝめ』など、計6本ものドラマに出演する活躍を見せた。そんな綱の個人ファンクラブ「Tsuna mar」は、自身の名前にかけ2024年2(ツ)月7(ナ)日にオープン予定とのこと。「Tsuna mar」では、ここでしか見ることの出来ない会員限定コンテンツをこれまで以上に楽しむことができる。写真、動画、マネージャーブログ、FCチケット先行、ライブ配信など幅広いコンテンツを随時届ける。ファンクラブの詳細は綱啓永オフィシャルサイトで随時発表。未発表のイベントも予定しているという。○綱啓永コメントついに! 僕の個人のファンクラブが開設されることになりました! またまた僕の夢が一つ叶いました。「FC」って言ってみたかったんです!笑個人のファンクラブを持つことは僕の昔からの憧れであり、目標であり、夢だったので、決まった時は本当に嬉しかったですし、つなマルのみんなにお知らせできる日が自分の誕生日であるこの日なんて、自分にとって最高の誕生日プレゼントになりました! そして、皆様へのクリスマスプレゼント!そして、始動するのは2月7日。僕にとって特別な日を開始日とします。僕とつなマルの関係を繋いでくれる大事なコンテンツの一つになります。今まで以上に濃密に、喜んでもらえるコンテンツを増やしていけたら良いなと思っております。僕自身も凄く楽しみですし、皆様も楽しみに待っていてください!!■綱啓永1998年12月24日生まれ、千葉県出身。2017年、第30回ジュノン・スーパーボーイ ・コンテストで史上初の敗者復活からのグランプリを受賞し、その後『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(テレビ朝日)にてメルト/リュウソウブルー役として出演。2021年にはABEMAの恋愛リアリティーショー『恋とオオカミには騙されない』などにも出演した。最近では、TBS火曜ドラマ『君の花になる』に劇中のボーイズグループ・8LOOMの最年長メンバー・古町有起哉役で出演し大きな話題を集めました。初主演ドラマ『恋愛のすゝめ』が現在放送中で、今後は映画『違う惑星の変な恋人』『恋わずらいのエリー』、舞台『う蝕』への出演が決定している。
2023年12月24日いま世界で最も話題のホラー映画『TALK TO ME』を手がけたフィリッポウ兄弟と、世界的ゲームクリエイターである小島秀夫監督の鼎談を実施!作品のことから、お互いのもの創りへの考えまで、終始ハイテンションで楽しいトークをお届け。――フィリッポウ兄弟と小島監督の出会いを教えてください。小島秀夫(以下、小島):『TALK TO ME』のティザーが公開されて、こいつはすごい!と。その後にYouTubeを見たら、特殊メイク、VFX、アクションと色々な要素が全部入っていて、しかもクオリティが高くて驚いた。この世代には勝てない、会ってみたいと思って連絡しました。マイケル:大ファンだったので、光栄すぎて慌てましたね(笑)。――小島監督のゲームをプレイしていたんですか?ダニー:もちろん!マイケル:『P.T.』(幽霊の住む屋敷の廊下をループしながら探索するホラーゲーム)は本当に素晴らしい。超クール!ダニー:小島監督は、すごく存在感がある人で。マイケル:でも、いつも楽しくて緊張感なく話せるんだよね。クリエイティブな頭をしているので、刺激を受けます。小島:ずっとテンションが高くて。僕は60歳なので羨ましい。マイケル:もし小島監督が棺桶に入ったらエナジーを与えに行くので呼んでください。小島:(笑)。敬愛するジョージ・ミラー監督も双子ですが、二人に会って初めて双子っていいなと思いました。2馬力でしょ。1人で20時間働いても時間が足りないから。たとえば、現場で俳優Aと話をしていると、その間、俳優Bとは話せない。でも双子なら同時にできるので。マイケル:たとえば何かアイデアが浮かんで、すごくクレイジーだから、他の人みんなに「できるわけないよ」と言われても、双子だから「いや、できるよ」と言えるところが強みの一つ。一応、現場ではダニーが監督で彼が演出について話します。二人が監督で入ると、「え、さっきダニーが言っていたことと違う」となっちゃうから。ダニー:喧嘩をする時は、みんなの前ではせず、スマホでテキストを打って見せる感じ。マイケル:で、僕は見ないふりをするっていうね(笑)。――YouTuberとしても活躍するフィリッポウ兄弟ですが、小島監督が作品を作り始めた時代とは、もの創りの環境がかなり異なるように思います。小島:まず発表の場があることが違いますよね。僕らの時は、脚本を書いて、カメラを調達して、友だちを騙して集めて(笑)、現像して、編集して…なので、お金もものすごくかかります。でも、今はデジタルだから、カメラもライティングもCGも全部できるし、世界中の人が見ているネットで発表できます。ダニー:今みたいに発表する場がないために埋もれてしまった、いいアイデアがいっぱいあるかと思うと悲しいね。マイケル:以前、小島監督に聞いた、子どもの頃に映画作りをしたという話がすごく面白くて、映画化したいくらい。もちろん、小島さんにも出てもらう!小島:(笑)。内臓が飛び出るシーンを撮るのに、肉屋で腸を買ってきたりとかね。実際、現場でやってみたら、人間のじゃないので大きすぎて使えなくて。ダニー&マイケル:あはははは。マイケル:夕日の話も最高!小島:夕日のシーンが必要だったけどなかなか撮れなくて、友だちのお父さんが撮っていた夕日のフィルムを切りました(笑)。――『TALK TO ME』を観ていかがでしたか?小島:ホラーというより降霊版ドラマ『ユーフォリア』という印象です。パーティ、セックス、ドラッグ、その向こうに降霊があるという。YouTubeは、導入がゆっくりしていると、視聴者が飛ばしたりするじゃないですか。でも今作は最初から編集がされていないワンショットで入っていくので、作り方を変えているのかなと。マイケル:ドラマとホラーの両方を偏りなく、バランスよく作りたかったんです。ホラーもバイオレントな要素も、ストーリーにおいて必要なものだけを入れました。弟のライリーが煉獄に行くというホラー要素の強いシーンも、2分30秒くらいあったのを15秒くらいに短くしたり。ダニー:フレームごとに細かく見ていくと、ものすごいシーンが間に入っていたりもします。小島:手が作品のアイコンとしてあることや、死者との繋がり、友だちや親とのコネクションなど、僕の作った『DEATH STRANDING』と近いところもあって驚きました。僕は、主人公が元彼と手を合わせるシーンが好きなんですけど、ビジュアルで見せていく場面なので、「I miss you」とか言わせたりしそうなところなのに、やらないのがいい。ダニー:僕もそのシーンが好きで、長引かせたいと伝えていたところなので、嬉しいです。マイケル:僕は切りたかったし、「I miss you」と言わせたかったけどね!3人:(爆笑)小島:病院の街灯が消えるシーンも撮影が難しいと思うんですけど、ワンショット撮影に慣れているんだろうなと。ダニー:でも、そのシーンは難しくて14テイクかかったかな。小島:十分、少ないですよ!ダニー:えー!マイケル:オープニングのパーティシーンは大規模なものにしたかったので、毎日インスタグラムで人を募集したところ、ものすごい人が集まってしまって。当日、Wデッカー(2階建てバス)が何台も必要だったり、さらに、現場に人が勝手に入ってきたりもして、カオスに(笑)。でも、いい絵になりました。小島:僕らもゲームなので、なるべくワンショットを狙うんですけど。今作は本当にいきなりワンショットから始まるので、現代の若者たちへの映画という感じがします。アメリカン・ニューシネマに続く、YouTube・ニューシネマになるんじゃないでしょうか。――印象的な手のビジュアルは、どのように仕上げたのでしょう。マイケル:最初は指の角度やフォルムも違いましたね。ダニー:あと、木の台に載っていたけど、腕の部分を重くして自立するようにしたり。“人と触れ合いたい”という気持ちを表現した仕上がりになりました。小島:なぜ、左手なんですか?ダニー:歴史的に悪者の手は左じゃないですか。マイケルは悪いやつなので左利きです。マイケル:でも、左利きの人ってクリエイティブだよね!3人:あははは。――影響を受けたホラー映画はありますか?ダニー:『エクソシスト』とか。『リング』は前に書いた短編にすごく影響を受けています。マイケル:『殺人の追憶』も。色々なジャンルが混ざっているところがいいです。小島:僕は悪魔とか日本の幽霊が一番怖い。ゾンビは存在するから物理的に攻撃ができるので怖くないんです。ダニー:僕は幽霊でも殴るかな。3人:あははは。マイケル:小島監督の『P.T.』は、幽霊屋敷の2階にリサがいるところが怖いよね。小島:子どもの頃、よくテレビで映画を放送していて、解説者の話があるんです。でも、夕方と夜中の映画番組に解説はなく、異国の映画が突然、前情報もなく始まるのがむちゃくちゃ怖くて。『P.T.』は、架空のスタジオの名前を使うなど、そういう怖さを利用しています。ダニー&マイケル:なるほど!小島:映画『鬼婆』(熱狂的人気を誇る1964年公開のホラー作品)もテレビで観ました。ダニー:『鬼婆』は観てなくて。小島:僕はフィッリポウ兄弟が『鬼婆』を観てると知って、この人たちイケてると思ったけど、マイケルさんだったんですね。マイケル:(小島監督とグータッチして)クールなのは僕!ダニー:わ、絶対観なきゃ。『TALK TO ME』母を亡くし、日々、寂しさを募らせていた17歳のミア。高校の同級生たちの間で降霊を楽しむ「憑依チャレンジ」が流行っていると知った彼女と親友のジェイドは、集まりに参加。久しぶりに生きる実感を味わい、虜になってしまう。しかし、ある時、守らなければならない“90秒ルール”を破ってしまい…。12月22日から丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国でロードショー。©2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival,Screen Australiaダニー&マイケル・フィリッポウ兄弟映画監督、YouTuber。1992年11月13日生まれ、オーストラリア出身。ジャンル映画愛溢れるハイテンションな動画が人気のYouTubeチャンネル「RackaRacka」を運営する双子。『TALK TO ME』で長編監督デビュー、A24製作で続編『TALK 2 ME』も決定。ゲーム『ストリートファイター』の実写化作品の監督に抜擢されたことも話題に。こじま・ひでおゲームクリエイター 1963年生まれ、東京都出身。コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開く。独立後初となる『DEATH STRANDING』が世界的に話題となり、現在は『DEATH STRANDING 2』を制作中。映画、小説などの解説や推薦文も多数。※『anan』2023年12月27日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2023年12月23日コーヒーチェーン店の『スターバックス』(以下、スタバ)では、店員がドリンクのカップにメッセージを書いてくれる時があります。お笑いタレントの小島よしおさんは、スタバのカップに書かれた、あるメッセージをX(Twitter)で紹介しました。小島さんがドリンクと一緒に受け取ったメッセージとは…。オッパッピー仕事頑張るぞ珈琲 pic.twitter.com/nZMVGr0wYv — 小島よしお (@yoshiopiiya) December 17, 2023 仕事頑張ってください!オッパッピー!『オッパッピー』とは、小島さんの持ちネタの1つ。白目を剥きながらポーズを決めて、「はい!オッパッピー」というセリフが特徴です。メッセージを書く店員が、小島さんのことに気付いたのでしょう!さりげなく「仕事頑張ってください!」とつづられた、応援メッセージに心が温まりますね。投稿を見た人からは、多くのコメントが集まりました。・スタバの店員もグッジョブですね。・写真を見て元気が出ました!・小島さんも頑張ってるから、私も仕事を頑張るぞー!店員の粋な心づかいが、仕事の励みになったという小島さん。小島さんだけでなく、投稿を見た多くの人が元気をもらったようですね。[文・構成/grape編集部]
2023年12月20日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第8回目のテーマは「“ヒデミス”と“推し活”」です。この冬、全国の書店では、その年のベスト作品をセレクトした恒例のミステリー・フェアが催される。有名なものは、文藝春秋の「週刊文春ミステリーベスト10」、宝島社の「このミステリーがすごい!(このミス)」、原書房の「本格ミステリ・ベスト10」、早川書房の「ミステリが読みたい!」など。1年間に出版された国内外のミステリーのお薦め新刊リストが出揃う。もはや冬の恒例行事だ。埋もれてしまう“物語”をもう一度、人の眼に触れさせる貴重な機会となる。“僕の身体の70%は映画でできている”と、公言してきたが、“身体の70%は読書でもできている”と、言い換えていいほど、僕は本が好きだ。手軽なエンタメが日常にいくらでも散らばっているSNSやサブスクの時代に、読書人口は激減している。果たして、それでいいのだろうか。本を好きになればわかる。読書は、僕らの人生や未来を間違いなく、豊かにしてくれるのだ。本を読む習慣をつけるにはどうすればいいのか?まず、本屋に出向くこと。交通費も手間も時間もかかる。帰宅時には、荷物にもなる。そのリスクと負担があってこそ、慎重に本をセレクトできる。注意点は3つ。必ず自分の財布で購入する。買う本は自分で選ぶ。買った本は興味を失う前に読む。本はナマモノ、興味を失うと積み本というただの置物に変わってしまう。星の数ほどもある本の中から、自力で“当たり”を引くことができれば、必ず次の読書へと繋がる。重要なのは、“当たり”を見極める経験を積むことだ。小説やノンフィクションは、あくまでも人が書いたものだ。だから、その9割は“ハズレ”ばかり。しかし、残りの1割には至極の“当たり”が潜んでいる。では、“当たり”はどうやって引けばいいのか?雑誌や電子書籍ではない紙の本は、年間7万冊(部数ではない)も出版されている。7万種類の新種が書店で産声を上げている。毎年、デビューする7万人の推し候補の中から、自分の推しを如何に見つけ出すのか?それにはフェアが最適だ。出版社の人、書店員、書評家たちは、この世で一番、本を読んでいる。本に厳しく、愛してもいる。彼らがセレクトし薦めている本に間違いはないはずだ。その中から、自分が選ぶ。これなら、難しくはないだろう。コロナ禍の2021年、早川書房の塩澤編集長(現シニアエディター)から、提案があった。「小島さんが選んだ本のフェアを、出版社を超えてやりませんか?」と。以前にも僕が選んだハヤカワ文庫のブックフェアをしたことがある。コロナ禍でもあったので、本で人を助けたい!と思い、快諾した。そうやって誕生したのが、“ヒデミス”だ。正式名称は、「ヒデミス! 小島秀夫が選んだミステリー・ゴールデン・ダズン」。“ダズン”なので12作品。今年で3回目になる。コロナ禍前は毎日、本屋に通っていたが、コロナ禍後は週末に本屋を数軒回るくらいにまで減った。それでも旧刊の買い直しも含め、1年に150冊くらい(漫画や画集、ムック本は除く)は購入する。献本や、コメントや解説用のプルーフやゲラも、毎日のように届く。本には困らないが、全てを読むわけにはいかず、半分くらいが倉庫入り。積み本が“罪本”になる。心の痛むところだ。昔は、待ち合わせや電車の移動などのちょっとした隙間の時間に読書をしたが、今ではスマホに余暇を奪われる。特に今年は、海外出張が頻繁にあったので、読めたのは100冊程度だった。例年に比べるとかなり少ない。書評家や書店員、作家たちと比べると圧倒的に少なく、精度は低くなってしまう。辞退しようかとも考えたが、塩澤さんの励ましもあり、続ける決意をした。そんなこともあり、今年は13作にさせてもらった。“ヒデミス”の常連作家もいるが、純粋なミステリーだけではなく、文学系の作品やSF、ホラー、ハードボイルドなどを含む、広い意味での“ミステリー”をバランスよく選択したつもりだ。この中から選ぶのはあなただ。誰の意見も聞かず、自分で決めて欲しい。ハズれても気にしない。“当たり”を引くまで読み続ける。“当たり”があれば、読書はあなたの生活の一部となるはずだ。すると、13冊では足らなくなる。もっと面白い、自分だけの本が読みたくなる。その経験をもとに、自分の好きな本を選んでみよう。他のブックフェアや帯コピーなどを参考にしてもいい。膨大な量の本の中から、自分だけの“好き”を見つける。その出逢いは、偶然ではない。それが本と出逢うということだ。そして、面白かった本は、家族や友人たちに薦め、SNSで推してみるといい。読書とはまた異なる喜びが得られるはずだ。これがヒデオのミステリーだ。「ヒデミス! 小島秀夫が選んだミステリー・ゴールデン・ダズン」選出リスト1、『ミン・スーが犯した幾千もの罪』トム・リン2、『真珠湾の冬』ジェイムズ・ケストレル3、『踏切の幽霊』高野和明4、『頰に哀しみを刻め』S・A・コスビー5、『わたしたちの怪獣』久永実木彦6、『卒業生には向かない真実』ホリー・ジャクソン7、『生存者』アレックス・シュルマン8、『怪獣保護協会』ジョン・スコルジー9、『8つの完璧な殺人』ピーター・スワンソン10、『トゥルー・クライム・ストーリー』ジョセフ・ノックス11、『ナイフをひねれば』アンソニー・ホロヴィッツ12、『グレイラットの殺人』M・W・クレイヴン13、『この密やかな森の奥で』キミ・カニンガム・グラント※リストは発売日順今年の選出リストがこちら。小島監督が“ヒデミス”を語る配信がトーハンのYouTubeチャンネル「出版区」で配信中。今月のCulture Favorite映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズなどでおなじみの俳優、イライジャ・ウッドとのツーショット。西島秀俊さんとの一コマ。二人が並んだ姿は、SNSで大きな話題を呼んだ。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。「The Game Awards 2023」にて発表した、最新作『OD』の公式ティザートレーラーが、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。次回は、2380号(2024年1月10日発売)です。※『anan』2023年12月13日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2023年12月16日超エリート高校生が校則で禁じられた“恋愛”に挑む姿を描くドラマ『恋愛のすゝめ』。名門進学校の創設以来の天才・鳳(おおとり)啓介を演じる綱啓永さんは、本作が連ドラ単独初主演。このタイミングで主演できたことがベストだったと今は思います。「主演をやらせていただけると聞いた時は、すごく光栄なのと同時に驚きもありました。舞台『タンブリング』でご一緒した中屋敷(法仁)さんが脚本を担当される繋がりもあって決まったと思うので、今までの努力が実ったと感じる瞬間でしたね」人生を勉強に捧げてきた役柄と自身では似ている点がほとんどなく、アプローチに苦戦したそう。「ただ、鳳啓介は常に全力な人間なので、この役を一生懸命演じていれば勝手に彼になっていくことに気づいたんです。なので、考えすぎて毎日頭が痛くなるくらい熱を込めてやらせてもらっています。頭がいい役だから、知らない単語が台詞にめっちゃ出てくるんですよ。全部調べたんですが、今までで一番ウィキペディアを使っているかも(笑)。長台詞も多く普段の覚え方が通用しなかったので、ボイスレコーダーに録音して、普段は音楽を聴く時間を台詞覚えに当てています。実は昨年撮影した映画も台詞量が半端なく、そこを乗り切った時に“俺は無敵だ!”と思ったんです。なのに、今回新たな壁が現れて…。それもなんとか乗り越えて“もう俺に怖いものはない”と思っているけれど、きっとまたこれを超えるものが現れるんでしょうね(笑)」今回“勉強の天才”を演じている綱さんに、自身は何の天才だと思うかを尋ねてみると意外な答えが。「“普通”の天才かな。何をしても中の上くらいなんですよ。わりとなんでも器用にできるけど、極めることがないから勝てはしないんです」デビュー6年目。着実にステップアップしているように見える俳優人生も決して順調ではなかったと語る。「たくさんの壁を経験しましたし、周りに恵まれている人も多いから、自分がスムーズに進んできたとは思いません。でも逆に、このタイミングで初主演ができたのは、自分にとってベストだったのかなって。ある程度経験してから臨むことができてよかったと思えるようになりました」初の座長を経験し、さらなる成長を遂げた綱さんの次の目標は?「ドラマだと、いつかゴールデンタイムでも主演ができたら嬉しいですね。成長の通過点としてやってみたいなって思います。そして、今回精神的にしんどい時に共演者の方が支えてくれているので、今後は僕も周りの方を支えていきたいです」『恋愛のすゝめ』厳格な進学校に通うカリスマ生徒会長(綱啓永)が、“恋愛”という難問に挑む異色ラブコメ。主人公の学友を演じる一ノ瀬ワタルやひょっこりはんなど、ユニークな共演陣も話題に。毎週火曜24時58分~、TBS系にて放送中。つな・けいと1998年12月24日生まれ、千葉県出身。2017年に第30回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストにてグランプリを受賞し、俳優として活躍。出演映画『違う惑星の変な恋人』が’24年1月26日に公開予定。衣装協力・ヴィクティムワンスリー コンパウンド フレーム※『anan』2023年12月13日号より。写真・Nae.Jayスタイリスト・三宅 剛ヘア&メイク・牧野裕大インタビュー、文・真島絵麻里(by anan編集部)
2023年12月12日大ヒットゲームを手掛けてきたクリエイターの小島秀夫に密着したドキュメンタリー『HIDEO KOJIMA:CONNECTING WORLDS』がディズニープラス「スター」にて2024年春より独占配信されることが決定した。世界中で大きなブームを起こし、日本のみならず世界で熱狂的なファンを産み出した「DEATH STRANDING」、「メタルギアシリーズ」を誕生させた、世界有数のゲームクリエイター小島秀夫。本作では、独立スタジオの設立から「DEATH STRANDING」を完成させるまでの創造過程に迫り、小島監督が創造した作品を通して、ゲームを芸術の視点から見た時の影響力や可能性を探る。小島監督をはじめ、本作を彩る豪華出演陣として、ジョージ・ミラー、ギレルモ・デル・トロ、ノーマン・リーダスらをはじめ、ニコラス・ウィンディング・レフン、グライムス、ウッドキッド、「チャーチズ」、押井守、三上真司、塚本晋也など、映画や音楽のシーンで活躍する様々なアーティストやクリエイターがコメンテーターとして本編に登場。彼らが小島監督の素顔をどのように語るのか。著名クリエイターから見た視点ならではの素顔にも注目だ。解禁されている予告編では小島監督と共に仕事をしたノーマン・リーダスが交流をふり返り、「まるでウィリー・ウォンカと一緒にチョコレート工場に入る感じだ」と評し、ギレルモ・デル・トロも「ゲームは芸術でそれを仕切る唯一の指揮者は『作家』なんだ」と、彼の持つ作家としての創造性を力説。「誰もが見たことのないものを作りたい」「人は自分でプロデュースするしかない」と笑顔で語る小島監督の姿が印象に残る。会議中の場面も和気藹々とした空気となっており、彼の人柄が窺えるシーンが描かれている。『HIDEO KOJIMA:CONNECTING WORLDS』は2024年春、ディズニープラス「スター」にて独占配信。(シネマカフェ編集部)
2023年12月08日鈴木亮平主演ドラマ「下剋上球児」の第5話が11月12日(日)本日放送され、町田啓太がサプライズ出演した。本作は、高校野球を通して、現代社会の教育や地域、家族が抱える問題や様々な愛を描く、ドリームヒューマンエンターテインメント。物語は、鈴木さん演じる教員免許を偽造していた南雲が自首し、その罪が学校や世間に広まっていく中、南雲を信頼していた部員たちも複雑な思いを抱えるという、不穏な展開に。日曜劇場へは「流星ワゴン」以来約8年ぶり、TBSドラマは「中学聖日記」以来5年ぶりとなる町田さんが演じたのは、南雲が越山高校野球部を辞めたあと、犬塚(小日向文世)が連れてきた新監督の塩尻。これまで私立の野球強豪校で3年半コーチと監督を務めてきた塩尻は、越山高校野球部の実力を見て、いまいる生徒たちには見切りをつけてスカウトに力を入れることでチームを強くしようと考え、練習に顔を出すことはなく、スカウト活動に専念。そんな塩尻に、山住(黒木華)や部員たちも不満を抱える。鈴木さんや黒木さんとは、連続テレビ小説「花子とアン」で共演している町田さん。塩尻はくせ者だったが、撮影は終始和やかに行われたそう。また、鈴木さんと町田さんの共演シーンはなかったが、町田さんの最後の撮影となった球場シーンの空き時間には、町田さんと鈴木さんがキャッチボールやノックをする一幕が。町田さんは野球経験者であり、「青春ですね!! 爽やかでやっぱりいいなと思いました。球児役の皆さんのオーディション番組も見せていただいていたので、“ホンモノだ!”と球児役の子たちを見て思ったり、これから視聴者としてもどうなっていくのか楽しみです。本当はもうちょっと優しくしたかったです!(笑)」とコメントした。第6話あらすじ根室(兵頭功海)が南雲(鈴木亮平)の家に泊まるようなったのを機に、南雲のもとに練習後の野球部員たちが集まるようになったある日。ついに、南雲の事件が検察に送致されることに。そんな中、南雲と青空(番家天嵩)は、美香(井川遥)の仕事場を訪ねる。久々の再会に喜ぶ南雲家だったが、そこには美香の元夫・晴哉(大倉孝二)の姿もあった。一方野球部では、南雲の後任監督が、新人を一人もスカウトできなかったことを理由に犬塚(小日向文世)によって解任され、山住(黒木華)が自ら新監督に申し出る。そして迎える夏の予選、初戦の相手は昨年ベスト8の五十鈴高校に決定。初戦に向け、気を引き締める部員たちだったが、五十鈴高校野球部員から、横浜にいた頃の山住に関するあるうわさを聞かされる――。「下剋上球児」は毎週日曜日21時~TBSにて放送中。(シネマカフェ編集部)
2023年11月12日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第7回目のテーマは「フィジカルなクローゼット」です。クライテリオン・コレクション社(注1)が運営する「Closet Picks」という人気企画がある。クライテリオン社のNY本社にある映画ソフト棚にゲストを迎え、各人が選んだフェイバリット作品を映像配信で紹介するのだ。映画監督は勿論、世界中の映画関係者が呼ばれる。その名誉ある“クローゼット”の案内人に指名された。ゲーム業界からの参加は初めてだという。あえて’50~’60年代の邦画を選んだ。黒澤明、小津安二郎、溝口健二、小林正樹、新藤兼人、勅使河原宏、中川信夫らの作品の中から特にお薦めの映画を9作品。誰もが名前くらいは聞いたことがあるはずだが、これらの名匠たちの作品を日本で観ることは難しい。サブスクや、BD(ブルーレイディスク)で鑑賞できる作品は限られている。ところが、米国のクライテリオン社からは、多くの邦画の傑作がBD化されている。海外のクリエイターたちは、これらの邦画を当たり前のように観ては勉強を重ねている。この皮肉な事実を伝えたかったのだ。子供の頃、映画を個人で所有することは、“夢”だった。劇場かTVで観ることしかできない。瞬きも惜しんで、映画のワンカットずつを記憶した。映画は、特別な体験だったのだ。学生時代の1970年代後半、ようやく家庭用ビデオが発売される。映画を個人で所有できる!これは人類が月面に降り立つのと同じくらい、衝撃的だった。ただし、当時のVHSソフトは、個人で購入するには高価だった。レンタルか、ダビングで我慢するしかない。ビデオテープは観るたびに、ダビングするたびに劣化してゆく。その後、レーザーディスクが登場。シネフィルはこぞって、高画質な映画を買い揃えた。映像特典も魅力だった。10年後、DVDが爆発的に家庭に浸透。DVDは何度観ても劣化しないが、まだまだ劇場クオリティには程遠かった。それでも映画ファンたちのクローゼットは拡大していった。続いてTVの進化と相まって、さらに高画質なBDが登場する。現在では、過去の名作群が、4K UHDやフィルム素材からデジタル修復(リストア)された至福のラインナップが次々と登場している。映画ファンたちのクローゼットは、まさに物理的に――フィジカルにヤバくなってきている。デジタル化してサーバーに保存すれば、“クローゼット問題”は解決するだろう。サブスクならば、買い直しの必要もない。しかし、サブスクへの不信感は否めない。たとえば、音楽。僕は未だにCDを買い、パソコンを経由してWALKMAN(注2)に取り込んだ曲を聴いている。CD化されていない過去の楽曲やデジタル配信のみの新曲は聴きようがない。だからサブスクでの体験は斬新だった。楽曲は豊富で手軽だ。フィジカル化されていない懐かしい曲との再会に喜びもした。確かに便利だ。しかし、既にサーバーにあるものを引き出して聴くだけ。自分だけのコレクションをそこに追加することはできない。錯覚をしてしまいそうだが、“自分のもの”ではない。他人が所有し、運営するデータベースの蛇口を捻る権利を一時的に付与されているだけなのだ。サブスクの映画も同じだ。国や企業、団体、時代や規範が蛇口の権限を握る。蛇口を規制され、いくら捻っても“自分のもの”が、出てこない未来は起こりうる。自分だけが好きなもの、自分だけの思い出が、一方的に他者に否定されてしまうリスクがある。イーロン・マスク氏がツイッター社を買収、「X」と名称を変えた際、ある噂が流れた。「10年以上前の投稿画像データは全て消される」と。幸いデマではあったが、それはいつ起こってもおかしくはない。政変や紛争、大災害などでサーバーが沈黙したら、蛇口どころか、何も残らない。デジタル版『華氏451度』(注3)さえ現実になりかねない。しかし、化石や壁画、ピラミッド、彫刻などフィジカルなものは、風化しても何千年もの時を超えて残る。それらには歴史の残り香がある。肌触り、重量、匂いがある。デバイスを必要とせず、思いを馳せることができる。劉慈欣の『三体』の、“文明のなかで最も残るメディアは石に刻まれた文字だ”、という記述を思い出した。僕のクローゼットは、資料置き場とは異なる。単なる資料ならば、デジタルの方が機能的だ。そこは、映画や本や音楽たちとの“思い出”を保管する場所なのだ。好きなものを所有する。それは独占欲ともまた違う。モノは場所を取るし、劣化し、色褪せるから、手入れも必要。永遠ではない。老化する肉体を持った僕ら人間たちと同じだ。厄介だけれど愛すべき存在。その大好きなものをいつも側に置きたい。好きな時に触って、眺めては、過去と繋がっていたい。だから、僕には好きなものたちを仕舞う“フィジカルなクローゼット”が必要なのだ。そうは言っても、個人が所有できる映画の数は、たかがしれている。企業が運営するサブスクには敵わない。だからこそ、そこは“僕だけのクローゼット”なのだ。そこには、僕の人生が並んでいる。「Closet Picks」出演で頂いた北米盤の名作たちをクローゼットに並べてみる。また“思い出”たちが、僕の元に戻ってきた。注1:アメリカのソフトメーカーで、歴史的に重要な名作映画のディスクを販売。古典作品のリマスターなども行っており、映画ファンからの信頼も厚い。注2:SONYのポータブルオーディオプレーヤー。注3:レイ・ブラッドベリの小説で、本の所持や読書が禁じられた架空の社会が描かれている。今月のCulture Favoriteクライテリオン・コレクション社「Closet Picks」の一コマ。Photo courtesy of the Criterion Collectionモーションキャプチャーの現場での、押井守監督との一枚。ロンドンで会ったアレックス・ガーランド監督と。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。コジマプロダクション代表。’87年に初監督作『メタルギア』でデビュー。独立後初となるタイトル『DEATH STRANDING』が世界で大きな話題を呼んだ。現在、その続編となる『DEATH STRANDING 2』の制作中。ドキュメンタリーフィルム『HIDEO KOJIMA ‐ CONNECTING WORLDS』の予告編が、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。次回は、2376号(12月6日発売)です。※『anan』2023年11月15日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2023年11月11日俳優の綱啓永が23日、東京・日比谷で行われた「第36回東京国際映画祭」(TIFF)のレッドカーペットに登場した。「アジアの未来」部門に出品された『違う惑星の変な恋人』に出演している綱は、莉子らとともにレッドカーペットに登場。ブラックスーツを身にまとい、フォトセッションではカメラに向かって笑顔で手を振っていた。今年の「東京国際映画祭」は、10月23日から11月1日の10日間、昨年に引き続き日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催。上映作品数は昨年の174本から219本に増加し、海外ゲスト数も昨年の104人から600人以上と大幅に増える見込みとなっている。コンペティション部門は、114の国・地域から寄せられた1942本の中から15作品が選ばれ、日本からは『正欲』(岸善幸監督/稲垣吾郎主演)、『曖昧な楽園』(小辻陽平監督/奥津裕也主演)、『わたくしどもは。』(富名哲也監督/小松菜奈&松田龍平主演)の3作品が選出されている。撮影:蔦野裕
2023年10月23日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第6回目のテーマは「60歳をどう生きるか」です。夏の終わり、初めてシニア料金で映画を観た。入口で身分証明書の提示もなく、変わりない鑑賞だった。この8月24日で“還暦”を迎えた。そもそも還暦とはなんなのか?石器時代の平均寿命は15歳だというから、60歳という年齢はとてつもない。しかし現代の日本人男性は平均して81歳まで生きるという。それを思うと、60歳がめでたいのかわからなくなる。たまたま誕生日は、セルビアでキャストの撮影をしていた。現地のスタッフにお祝いをして貰った。帰国後には、コジプロで“監督還暦祝いの会”を開催していただいた。赤い革ジャン、赤いベルト、赤い靴、赤いヘッドホンを装着、全身が真っ赤に。僕の顔も赤くなる。そして、M78星雲から、真っ赤なウルトラセブンのサプライズ登場まで!僕の家系には、男性に早死の傾向がある。親父は45歳で亡くなった。親戚の叔父たちが長生きした記憶はない。だから幼い頃から、寿命への漠然とした強迫観念があった。自分が父親の45歳を超えた時には、なんとも言えない気持ちになったものだ。親父を超えて生き続けている。自分はもう大丈夫だ。そこから死の恐怖を意識はしなくなった。ただコロナ禍を経て、誰もが平等に死ぬことを悟った。自分も例外ではなく、いつかは死ぬ。あのタイムリミットを思い出した。さらに、2020年に大きく体調を崩すことがあった。生涯で初めて、「制作はもう続けられないかも?」と最悪の未来をも考えた。僕のリタイア後もコジプロを存続させる必要がある。そこで、企画草案メモが詰まったUSBを秘書に、遺書を付けて渡した。「何かあればこれを。これで数年は持つはずだ」と。幸い、体調は回復、現場に復帰することが出来た。死なないまでも、物創りが出来なくなることはあるのだと、自覚を新たにした。僕が業界に入った1986年時には、「ゲーム開発の寿命は20代後半まで」と言われていた。柔軟な頭脳と体力が求められる、長くは携われない職業なのだと。会社員として、一発当てたゲーム開発者は、所属長に抜擢される。マネージメントを覚え、管理職に就く。さらに、経営陣として参画する場合もある。僕はKONAMIでは二足の草鞋を履くことを選んだ。「経営と制作(開発)のどちらもやる、だから現場も続けさせてください」と。50歳を過ぎて、独立スタジオを立ち上げたのも、現場でクリエイトを続けるためでしかない。ゲーム業界では、60歳を超えて現場で物創りをベタでしているクリエイターはほとんどいない。ところが、これが映画業界となるとまるで話が違ってくる。今も現役で活動を続けている巨匠たちがいる。スティーブン・スピルバーグは76歳、ジョージ・ミラーは78歳。デヴィッド・クローネンバーグ、ポール・バーホーベン、リドリー・スコット、ブライアン・デ・パルマ、ダリオ・アルジェント、ミヒャエル・ハネケ、マーティン・スコセッシ、マイケル・マンたちは、80歳を超えている。ウィリアム・フリードキンは87歳で亡くなったが、最期まで映画を撮り続けていた。宮崎駿監督は82歳で『君たちはどう生きるか』を創った。『千と千尋の神隠し』が60歳の時の作品なので、その後の約20年間で5本を創ったことになる。僕が宮崎さんのように80歳まで現役を続けられたとしよう。どんな作品を、何作創るべきか。現在、僕がどっぷりかかわっているオリジナル作品は、『DS2』と“とんがったゲーム”の2本。同時進行もあるだろうが、20年でせいぜい5、6本だろうか?隠居生活は頭にはない。生涯現役で物創りを続けたい。映画やアニメ、PVのオファーは、KONAMI在籍中からいくつもあった。独立後は格段に増えた。だが、コジプロを立ち上げて社員を抱えている以上、映画創りでスタジオを数年開けることも、抜けることも許されない。残りの人生をどうするか?ゲームか?映画か?選択を迫られる。ここ数年はそのストレスが尋常ではなかった。それを朋友ギレルモ・デル・トロに相談する機会があった。「ヒデオが創っているものは、唯一無二の“映画”だ。今のままの物創りを続けるべきだ」と、彼は応えた。そこでこの先10年の優先順位を決めた。映画の企画はとりあえず保留、独立後、オリジナルの3作目となる大作ゲームの企画を頭の中だけで始めた。宮崎さんの最終作品が北米でも上映された時に、デル・トロがSNSで発した言葉が素晴らしい。“I will joyfully watch his latest rather than his last.”――最後の作品としてではなく、彼の最新作として楽しむつもりだ。寿命は自分で決めるものではない。作品もそうだ。これからの僕の作品も、常に最新作として生まれてくるのだ。60歳とは、ただの通過点でしかない。“シルバー”な隠居ではなく、“燻銀”の現役でいたい。今月のCulture Favoriteセルビアの撮影スタッフに現地で還暦を祝ってもらった時の一枚。還暦祝いのプレゼントでもらった紅革ジャン。ケータリングサービス「ライムンダ」さんの、真っ赤なオリジナル誕生日ケーキ。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。コジマプロダクション代表。’87年に初監督作『メタルギア』でデビュー。独立後初となるタイトル『DEATH STRANDING』が世界で大きな話題を呼んだ。現在、その続編となる『DEATH STRANDING 2』の制作中。ドキュメンタリーフィルム『HIDEO KOJIMA ‐ CONNECTING WORLDS』の予告編が、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。次回は、2372号(11月8日発売)です。※『anan』2023年10月18日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2023年10月21日女優の白石聖と俳優の綱啓永が12日、都内で行われたマッチングアプリ「with」新TVCM発表会に出席。綱は大学時代にマッチングアプリを利用していたことを明かした。10月13日より全国で放送される同社初となるマッチングアプリ「with」のTVCMで初共演した白石と綱。同CMでは、多くの人の中から価値観の合う相手を今まで見つけられていなかった2人が「with」を通して出会い、デートを重ねてお互いの価値観を確かめ合い、良縁に結ばれるまでの軌跡を描く。綱は、マッチングアプリについて「今は当たり前のようにある存在だなと思っています。僕の周りもやっている人めちゃめちゃ多いですし、僕自身も大学時代、普通にやっていたので、全く抵抗は当たり前のようになく、それで出会うのは当然だなと」と語った。実際に使ってみた感想を聞かれると、「実際に会うというのはなかったんですけど、友達に勧められてやってみて、本当にいろんな方がいて、出会いがない人でもアプリを通じて無限の出会いがあるのでこれはいいなと思いました」と答えた。白石は「周りでもマッチングアプリを通してご結婚された方とか聞いたりしますし、今はすごく一般的な出会い方というか、コロナ禍でだんだん人との間柄が希薄になっている時代でもあったと思うので、そういうことを考えるとアプリを通して自分の趣味や価値観でつながれるというのは今の時代にすごく合っているなと思います」と語った。
2023年10月12日女優の白石聖と俳優の綱啓永が12日、都内で行われたマッチングアプリ「with」新TVCM発表会に出席した。10月13日より全国で放送される同社初となるマッチングアプリ「with」のTVCMに出演している白石と綱。同CMでは、多くの人の中から価値観の合う相手を今まで見つけられていなかった2人が「with」を通して出会い、デートを重ねてお互いの価値観を確かめ合い、良縁に結ばれるまでの軌跡を描く。今回が初共演となった2人。綱は「役と一緒に徐々に親密になっていく感じがいい感じに反映されていたのですごく良かったなと思います」と語った。白石は、釣り堀でのシーンを振り返って「めちゃくちゃ早くに鯉を釣っていて、すごく強運の持ち主だなと思い知らされました。まさかこんなに早く釣れるなんて思ってなかったのでびっくりしました」と綱の印象を告白。綱は「開始10秒くらいで、カメラ回ってないところで。カメラ回っていたら一発OKだったんですけど、結果そこから全然連れずに運がいいのか悪いのかわからないんですけど」と笑っていた。
2023年10月12日女優の白石聖と俳優の綱啓永が出演するマッチングアプリ「with」の新テレビCMが、13日より全国で放送される。同社初となるマッチングアプリ「with」のTVCMは、多くの人の中から価値観の合う相手を今まで見つけられていなかった2人が「with」を通して出会い、デートを重ねてお互いの価値観を確かめ合い、良縁に結ばれるまでの軌跡を描く。CM楽曲には今年デビュー10周年を迎えるスリーピースロックバンドのSHISHAMOが手掛ける「私のままで」を起用している。今回が初共演となる、白石と綱。マッチングアプリ「with」で出会い、親交を深めていく役柄ということもあり、通常の役よりも2人の親密さが求められる中、最初の撮影は2人とも初体験という釣り堀での撮影に。初共演ということもあり、少し緊張した様子だったが、リハーサルのタイミングでまさかの事態が発生。エサを仕掛けて数秒ほどで、綱の竿がヒットし、無邪気な笑顔で「やったー!!」と喜ぶ綱。スタッフも含めて現場のムードが一気に和やかになった。また本番中では、白石が釣り上げて、綱がサポートする様子を撮影。初共演とは思えない2人のコンビネーションで魚を釣り上げ、順調に撮影が進んでいったという。12日、都内で新TVCM発表会が行われ、白石と綱が出席。綱は、白石について「クールな印象を持っていたのですが、明るくて話しやすくて、同い年ということもあって相手役が白石さんでよかったなと思いました」と述べ、白石も「綱さんこそ現場を明るく照らしてくださる感じで、すごく打ち解けやすくてお話は最初からしやすかったです」と語った。
2023年10月12日私たちの日常生活に、必要不可欠な存在ともいえる、スマートフォン(以下、スマホ)。便利な機能が豊富に備わっていますが、使い方を誤ると、トラブルのもとになってしまうこともあります。小島よしおが1年近く設定していた、『ある機能』とは…お笑いタレントの小島よしおさんが、2023年10月5日に、自身のX(Twitter)を更新。気付かぬうちに、スマホである失敗をしていたことを明かしました。小島さんは、なんと1年近くの間、スマホを『おやすみモード』に設定していたといいます。いつのまにか携帯のおやすみモードが設定されていて9時から17時までの着信が全て話し中になってしまってました前に携帯を買ってからと考えるとおそらくもう1年近く もしかすると何度も電話をかけてくれた知人もいるかもしれない(今回たまたまそれを知ることができて調べてみて発覚)…— 小島よしお (@yoshiopiiya) October 5, 2023 『おやすみモード』とは、着信や通知による音やバイブレーションを、一時的に制限する機能のこと。着信音が鳴らなくなるため、小島さんは今まで、9~17時の間にかかってきた電話に、気付けなかったのだとか。何度電話をかけても繋がらないと、相手を不安にさせたり、時にはイライラさせてしまうこともあるでしょう。小島さんは知人からの連絡に気付けず、「スマホの使い方を熟知していないと、相手に迷惑をかけてしまう」と、反省しているようでした。【ネットの声】・『おやすみモード』って、そうなってしまうのですね。・友人も「あぁ、忙しいんだなぁ〜」って思っただけですよ、きっと!・このタイミングで、気付けてよかったですね!仕事上の都合や押し間違いなどによって、設定を変えてしまうことはあるでしょう。知人や仕事の相手などに迷惑がかからないよう、たまにはスマホの設定を見直してみるのも、いいかもしれませんね。[文・構成/grape編集部]
2023年10月06日俳優の綱啓永が30日、千葉・幕張メッセで開催された日本最大級のファッション&音楽イベント「Rakuten GirlsAward 2023 AUTUMN/WINTER」に出演した。ファッションブランド「SLY」のランウェイに登場した綱は、赤ロゴがチラ見せする白色Tシャツにデニムジャケットとデニムパンツを着用。デニムの上から黒色レザージャケットで全体をまとめたカジュアルなコーディネートだった。ランウェイではウンウンと数回頷いてから、にっこりとほほ笑むと、黄色い悲鳴が湧き上がった。「GirlsAward」(ガルアワ)は、2010年から開催している日本最大級のファッション&音楽イベント。24回目の開催となる今回のテーマは「美美樂樂(びびらくがく)」という造語で、ファッション・ビューティー・音楽が集う日本最大級のイベントを楽しんでほしいという思いが込められている。撮影:蔦野裕
2023年09月30日ラグビー日本代表の稲垣啓太選手の妻で、モデルの稲垣貴子さんが、2023年9月29日にInstagramを更新。フランスで開催中のラグビーワールドカップで日本が2勝目をあげた、サモア戦後の『夫婦ショット』を公開し、話題を呼んでいます!ラグビー稲垣啓太の『夫婦ショット』に「最高です」日本時間の同日未明に行われた1次リーグD組の第3戦で、サモアを破った日本代表。2大会連続の決勝トーナメント進出に大きく近付きました。貴子さんは、「選手、スタッフのみなさん、ご家族、ファンのみな様、すべてがワンチーム!!改めてそう強く感じた瞬間でした」とつづり、日本の勝利を祝福。投稿された写真では、『笑わない男』として知られる稲垣選手が、妻の肩を抱きながら柔らかい表情を浮かべています!※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 この投稿をInstagramで見る Kiko Inagaki(@kikoarai)がシェアした投稿 また、稲垣選手が客席にいる貴子さんにハグをしてグラウンドへと向かう姿や、遠くから撮影しているカメラに気付いた稲垣選手がサムズアップをするおちゃめなシーンも公開。夫婦愛があふれる投稿には、「まじで素敵な夫婦」「最高です」など2人をうらやむ声が相次ぎました。・2人の絆を見せていただき感謝です!優しいハグで、号泣してしまいます…。・親指を上げるところ!これは貴子さんでないと撮れないですね。・嬉しい動画をありがとうございます!応援でお疲れでしょうから、少しでも身体を休めてくださいね。今大会でも数々の活躍を見せている稲垣選手ですが、その裏には妻である貴子さんのサポートがあるのでしょう。「次も全力応援です!!」と次戦への意気込みを見せている貴子さんの応援は、稲垣選手にとって大きなパワーとなるはず。稲垣選手の今後の活躍から、目が離せませんね![文・構成/grape編集部]
2023年09月29日ホノルルマラソン日本事務局では、2023年12月10日(日)に開催する「ホノルルマラソン2023 応援サポーター&ランナー」として、お笑いタレントの小島よしおさんを任命いたしました。小島よしおさんメイン画像小島よしおさんは、フルマラソンに参加するほか、大会前日の「カラカウアメリーマイル」にも参加します。フルマラソンでは、サブ4の実力を持つ小島よしおさん。マラソン当日は、応援サポーターとして、参加者みなさんの完走を達成するサポートとなるよう、ランナーの皆さんに声掛けをしながら走っていただく予定です。ランナーの皆さんにはコース上で、小島さんからダイレクトに応援の声掛けをもらえるチャンスがあるかも。今回の応援サポーターの就任にあたり、「ホノルルマラソン2023 応援サポーター&ランナーに選んでいただいたことを本当にうれしく思います。ホノルルマラソンと聞いて頭に浮かぶのは、みんなが実に楽しそうに走っているということです。もちろん自分の記録と戦っている人もいるとは思いますが、すべての人が“すてきな想い出をつくりに来て、間違いなくつくることができている”そんな印象です。ホノルルマラソンの目標は、一緒に走るランナーのみなさんをひとりでも多く楽しませること。もちろん自分も楽しみながら。鼓舞できるようなギャグもいっぱい持っているので、みんなが笑顔になる、元気になれる、そんなランにしたいですね。」と抱負を語っています。定員もなく、制限時間もないランの祭典ともいえるホノルルマラソン。ホノルルマラソン日本事務局では現在参加ランナー募集中です。料金がお得な第1期エントリーの締め切りは10月11日となります。大会概要は公式サイト をご覧ください。【小島よしおさんプロフィール】1980年生まれ。沖縄県生まれ千葉県育ち。早稲田大学卒業。2007年に「そんなの関係ねえ」のギャグでブレイク。ランニングは2016年10月にゲスト参加した大町アルプスマラソンをきっかけに本格的に始動。コロナ禍でも一人、LSDやスピード走を続け月に150km以上走っていた。<自己ベスト>フルマラソン3時間59分59秒(2017年おかやま)ハーフマラソン1時間41分14秒(2017年仙台国際)今年、TBS春のオールスター感謝祭の名物企画“赤坂5丁目マラソン”で初優勝。インタビューでは、「テレビの前のピーヤ達、努力は裏切らないよ!」と呼びかけた。小島よしおさんプロフィール【一般の方からの大会に関するお問い合わせ先】ホノルルマラソン日本事務局E-mail: info@honolulumarathon.jp 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年09月28日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第5回目のテーマは「乗り継ぎへの全力疾走」です。子供の頃、よく“全力疾走”したものだ。公園で、運動場で、河川敷の堤防で。何かを追いかけていたのか?何かに追われていたのか?誰かと競争していたのか?それとも、外の世界へ飛び出そうとしていたのか?ただ走るのが楽しかった。あれから50年。日常生活で走ることはなくなった。年齢的に“全力疾走”はやめた方がいいとインストラクターにも注意されている。6月末、セルビアでの撮影を終えて帰国する為、ベオグラード空港にチェックインした。東京までの直行便はない。フランクフルトで羽田行きの便に乗り継ぐ。乗り継ぎには2時間の余裕を取っていた。ラウンジで仕事の成功を祝う乾杯をしながら出発を待っていると、「フランクフルト行きの便が遅延」との案内。2時間近くもの遅れだ。航空会社に相談してみたものの、ギリギリ間に合うかどうか?とのこと。遅れると帰国便はもうない。案の定、2時間遅れでフランクフルトに到着する。真っ先にボーディング・ブリッジを駆け抜け、ターミナルビルに!そのつもりだったが、なんと、出口から伸びていたのは、地上へのタラップ?!しかも待機していたのは、数台連結のバス!乗客全員が乗り込むまでバスは出発しない!さらにバスが送り届けてくれたのは、隣のターミナルのA!乗り継ぎ便が待つのはターミナルのB!これはまずい!そう思った時、出口で「TOKYO」のプラカードを持った空港職員の40代くらいのドイツ人女性を発見!「20分以内でゲートに着かないと乗り遅れます!私について来てください!」と、女性はそう言って唐突に走り出した。「え?走るの?!」。僕は大きなバッグを背負い直して、彼女を真似て“小走り”を始めた。裏道をショートカットすると思いきや、そうではなかった。彼女は正規のルートを、一定のスピードを保ったまま進んでいく。走り慣れていない僕には、“小走り”さえもきつい。ただ乗り継ぎには、出入国管理場(パスポート・コントロール)は通過しない。それで時間が稼げる?!だがそこはトラムのホーム。どうやら、隣のターミナルまでトラムで移動するらしい。彼女は冷静沈着に、「あと10分!」と航空会社と無線連絡を交わしている。しかし、当のトラムはなかなか来ない。筋肉だけではなく、胃まで痛くなる。到着したトラムに駆け込み、ターミナルBで降りる。セキュリティ・チェックが待っていたが、問題なく通過。あの空港職員がいない!見失った?!と、彼女が廊下の向こうで手を振っている。ゲートはまだまだ先!停止している空港内の電動カートを尻目に、また“小走り”を再開する。今いるのは10番ゲート、目指すのは42番ゲート?!随分と先だ。彼女は、ペースを崩さず進んでいく。驚くべき体力。僕には、このラストスパートは辛かった。諦めてもいい?そんな弱音が一瞬、頭を過(よぎ)った。なんとか搭乗ゲートに到着。ヘロヘロになりながらも、ゴールイン。乗客がいなくなったゲートでチケットを見せる。航空会社のCAは「荷物は間に合わないかも知れません」。あの女性を探したが、“小走り”の天使の姿はもうなかった。お礼は伝えられなかった。彼女は幻だったのか。結局、離陸機が混雑していたとのことで、1時間以上遅れての離陸となった。おかげで絶望視していた荷物の積み込みも完了。本当にあそこまで走り続ける必要が、あったのだろうか。空港での乗り継ぎには、リスクが付き纏う。乗り遅れたり、荷物がなくなったり、スーツケースが壊れたり。なるべくなら、直行便が安心だ。でも、長い人生には、乗り継ぎや乗り越しは、必然。7年前、僕は大きな“乗り継ぎ”、いや、“乗り換え”を行った。30数年間勤めた会社を去り、自分の機体となる“コジプロ”を創った。僕が“全力疾走”していたのは、乗り継ぎの為ではなかった。“物創り”という大きな目的地に向けての“全力疾走”だったのだ。僕はもう機体を乗り換えない。同じ機体(スタジオ)で給油と乗組員(スタッフ)の交代をしながら飛び続ける。僕の新たな冒険はノンストップ便だ。だから、この旅は“トランスファー(注1)”ではなく、“トランジット(注2)”だ。もう自分の機体も、目的地も、変えるつもりはない。この機体で“全力疾走”を続ける。いま、僕は再び“乗り継ぎ”の危機に直面したフランクフルト空港にいる。ベオグラードからの便が、機材の遅延と雷の影響で離陸が大幅に遅れた為だ。ヨロヨロと迎えに来たバスに乗り込み、時計を確認する。出発時刻まで僅か10分!前回よりもシビアな状況だ。他の乗客たちも殺気立っている。乗り継げるかどうか?“全力疾走”が試される。注1:トランスファー目的地へ向かう途中の空港で飛行機から降り、最終目的地へ向かう別の飛行機へと乗り換えること。注2:トランジット目的地へ向かう途中の空港にいったん着陸し、燃料の補給や清掃、クルーの入れ替えを行い、再び同じ飛行機で最終目的地へ向かうこと。今月のCulture Favoriteフランクフルト空港での全力疾走の乗り継ぎの様子。映画『NOPE/ノープ』などで知られるジョーダン・ピール監督、ホイテ・ヴァン・ホイテマ撮影監督と、お揃いの上着で記念撮影。今年12月日本公開予定のホラー映画『Talk to Me』を監督した、フィリッポウ兄弟と。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。コジマプロダクション代表。’87年に初監督作『メタルギア』でデビュー。独立後初となるタイトル『DEATH STRANDING』が世界で大きな話題を呼んだ。現在、その続編となる『DEATH STRANDING 2』の制作中。ドキュメンタリーフィルム『HIDEO KOJIMA ‐ CONNECTING WORLDS』の予告編が、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。次回は、2368号(10月11日発売)です。※『anan』2023年9月20日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2023年09月17日2023年8月21日、タレントの小島瑠璃子さんがInstagramを更新。第1子を妊娠したことを報告しました。小島さんは、自身の近況をつづった文章を次のように公開しています。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 この投稿をInstagramで見る 小島瑠璃子(@ruriko_kojima)がシェアした投稿 いつも応援してくださっている皆様へ。ご無沙汰しております、小島瑠璃子です。私事で恐縮ですが、この度新しい命を授かったことをご報告させていただきます。今回二人で産婦人科に通い、検査を重ねながら先生方のご指導のもと妊娠する事が出来ました。とても嬉しい反面、初めての妊娠で不安も多いです。現在安定期に入りましたが、出産まで油断は出来ないと思っておりますので引き続き無理せず安静に過ごしていければと思っております。ruriko_kojimaーより引用小島さんは同日現在、安定期に入っているといい、「引き続き無理せず、安静に過ごしていければ」と、思いをつづっていました。同年5月に、一般男性との結婚を発表した、小島さん。おめでたいニュースに、ファンからは「本当に嬉しいお知らせ」「おめでとう~!」「ご自愛ください」など、祝福の声が寄せられています。出産の日まで、母子ともに健康に、穏やかな日々を過ごしてほしいですね。小島さん、本当におめでとうございます![文・構成/grape編集部]
2023年08月21日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第4回目のテーマは「個性を“ オーダーメイド”する」です。トライベッカ映画祭(注1)で、ドキュメンタリー映画『HIDEO KOJIMA ‐ CONNECTING WORLDS(注2)』がワールドプレミア上映されるという。そこで、久しぶりにスーツに袖を通してみた。ところが、前ボタンが締まらない。太った?この間、スーツを着たのは、昨年の芸術選奨文部科学大臣賞の授賞式だったか。これでは登壇出来ない。痩せるか?あるいは、新調するか?スーツは、もともと立襟式の軍服から派生した。個を埋没させ、集団統制と画一化を目的にしたもの。その後、第一ボタンを外し、立襟を外側に折り返した民間用が、一般化して現在のスーツに。つまり、軍服も学生服もセーラー服もスーツも、“個”を縛る為の鎧ということになる。僕の父親は高度成長期に“企業戦士”と謳われた昭和のサラリーマンだった。春夏秋冬、ダークスーツにワイシャツ、ネクタイを締め、疲弊した革靴を履いては、家と職場を往復するモノクロな毎日。だから、スーツという鎧を纏う仕事を選ぶのには抵抗があった。公立の詰襟の制服を中高と纏わされていたせいもある。ゲーム業界に入った理由のひとつは、ラフな私服で通勤出来るからだった。しかし、日本では制服やスーツを纏わない私服ワーカーだと、遊び人の“不良オヤジ”として分類されてしまう。ジーパンにTシャツ、スニーカー姿なのに、学生でも定年退職者でもない中年の私服姿。30代、40代の頃、終電を逃すと、タクシーを拾って深夜に帰宅した。乗車早々、「飲み会ですか?」と不躾な態度で聞かれる。「仕事の帰りです」そう答えると「お互い大変ですね」と労いの言葉が返ってくる。それでも「お客さん、テレビ関係の人?」と、服装への偏見は生きたまま。ところが、これがスーツ姿となるとまるで違う。「お仕事、遅くまでお疲れ様です!」と、お礼まで言ってくれる。どうやらスーツは、「勤勉な日本国民」という社会的認定証のかわりになるらしい。コナミ在籍時は、役員会や経営会議、本社でのグループ会議と、月1ペースでスーツを引っ張り出していた。たまに纏うと、不思議と世界が違って見える。周囲の反応や態度が変わるのだ。だから、スーツで出勤した日は、普段は味わえないサラリーマン気分を満喫するよう努めた。行きつけのカフェでは、いつもは声をかけてこないお姉さんに「今日は素敵ですね」と褒められる。六本木の繁華街を歩けば、私服だと絶対に近寄っては来ない客引きの女性に肘を掴まれる。外来で医者にかかれば、いつもより丁寧に診てくれる。ネクタイを緩めてカラオケで流行歌を唄い、酩酊して山手線の吊り革にぶら下がる。マスに紛れ、自分をスーツに隠す。僕は“ソーシャル・ステルス”と呼んだ。ただオーダーメイドのスーツに頼るようになってから、それは間違いかも?と思うようになった。スーツのライン、デザイン、生地、色、ボタン。組み合わせは無限。スーツ創りは、完成図を頭に描きながら、細部を組み合わせていくクリエイティブな行為だ。個性を消し去るのでなく、ある秩序(ルール)の下で、自分らしさを如何に埋め込むかの勝負。まさに現代の社会で生きる我々の姿ではないか。数年ぶりに訪れたテイラーで今回、選んだ素材はこれ。ジャケットは、骸骨のカモフラ柄がストライプの間から垣間見える布地。下襟(ラペル)部分とズボンは、虎の顔が透かしで入った布地。裏地(ライニング)は、薔薇と骸骨のカラフルな柄布。フロントボタンは、2ボタン。裾はスリム用のセンターベント。トライベッカ映画祭当日。楽屋に出演者が顔を合わせた。前説を行うのは、朋友ニコラス・W・レフン監督。いつものように上から下まで新調のプラダでキメてきた(彼はプラダのアンバサダー)。上映後のQ&Aの司会役は、親友ジェフ・キーリー。そしてドキュメンタリーの監督は、僕の音楽の友グレン・ミルナー。彼らもこの特別な夜の為に、思い思いのオリジナル・スーツを新調してきた。3人の朋友たちと舞台に上がる。スーツメンは、画一性をもたらすどころか、それぞれの個性を引き立てるかのように、気ままに振る舞う。やがて4つの個性は、持ち寄った鎧を纏ったまま、壇上でひとつになる。その様は、セッションを演奏するバンドマンそのもの。こんなスーツなひとときも、気持ちいいものだ。もっと好きになってもいいかも。新しいもの、自分だけのものをオーダーする。そこに発見がある。人生も同じだ。注1:俳優のロバート・デニーロらによって設立された、ニューヨークで行われるインディペンデント映画祭。今年は6月7日~18日に開催された。注2:小島監督の幼少期のエピソード、独立スタジオの設立、『DEATH STRANDING』完成までの創作過程などに迫ったドキュメンタリー映画。今月のCulture Favorite『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』などを手掛けた映画監督のアリ・アスターとの2ショット。トライベッカ映画祭のために仕立てたオーダーメイドスーツ。トライベッカ映画祭ワールドプレミアにて。『ドライヴ』などで知られる映画監督ニコラス・W・レフン、「The Game Awards」の主催者でもあるジェフ・キーリー、今回のドキュメンタリーの監督を務めたグレン・ミルナーと。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。コジマプロダクション代表。’87年に初監督作『メタルギア』でデビュー。独立後初となるタイトル『DEATH STRANDING』が世界で大きな話題を呼んだ。現在、その続編となる『DEATH STRANDING 2』の制作中。ドキュメンタリーフィルム『HIDEO KOJIMA ‐ CONNECTING WORLDS』の予告編が、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。次回は、2364号(9月13日発売)です。※『anan』2023年8月16日‐23日合併号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2023年08月12日