歌舞伎俳優の市川海老蔵が、9日に放送された日本テレビ系特番『市川海老蔵に、ござりまする。』の密着取材を受け、妻・小林麻央の病状について「今だから言えるけど、今年の夏は本当に無理だと思っていた」と覚悟していたことを、昨年10月に明かしていた。現在乳がんで闘病中の麻央は、この時、局所コントロールのための手術を実施。当時、取材を受けた海老蔵は「言っちゃえば絶対に治らないレベルの病気だった。早かったら今年(2016年)の3・4・5月でたぶんダメだった。なんとか綱もないようなところを渡ってきて、まさか手術できるとは思わなかった」と、奇跡の回復で手術を受けることができたと強調した。ただ、「ここから普通のガン(患者)の人としての戦いが始まるという感じ」と、長い戦いへの心構えも持ち合わせていた。同番組では、昨年6月に麻央の乳がん公表した海老蔵が、記者会見場に向かう車の中にも密着し、「(麻央に)『ごめんね』って言われたけど、関係ないよね」と語る場面も。会見場の控室では「麻央と子供のことが心配だよね。そこなんだよね…」と、公表することへの懸念を漏らしていた。それでも、2週間後に長野・志賀高原へ子供たちと訪れた際には「あの会見を開いて、私自身が変わったかな。麻央も集中できるし、私自身も堂々としていられる」と前向きに捉える姿があった。一方で、長女の麗禾(れいか)ちゃんは状況を理解しており、「清算できない悲しさ」があるという海老蔵。「何もないときに『ママはいつ帰ってくるの?』って泣いてたりするんで、抱きしめて『ごめんね』って言うしかないですよね。そしてずっと抱っこしていると、彼女の方が僕よりも大人なんで、パパが気を使っちゃってるなって理解して、落ち着くわけですね」と、苦しい胸の内を紛らわせるかのように、笑顔で語っていた。
2017年01月10日全編独占の貴重な密着映像で市川海老蔵一家の家族の絆と夫婦の愛を描くドキュメンタリー「市川海老蔵に、ござりまする」が1月9日(月)今夜日本テレビ系でオンエアされる。元「NEWS ZERO」キャスターで現在は海老蔵さんの妻となった麻央夫人との出会い以来、海老蔵一家を追ってきた日本テレビの海老蔵取材班によるドキュメンタリー第4弾となる今回は、昨年6月の麻央さんのがん報道と記者会見、その後の試練の中でひたむきに家族を守り続ける海老蔵さん、そして家族の姿にフォーカスする。結婚以来、海老蔵さんを追い続けている密着取材班にも病を隠し続けた海老蔵さん。そのとき家族に何が起こっていたのかを新たに明らかになった事実をもとに検証。記者会見に向かう車内で「ずっと誰にも言ってなかったからね」と初めて取材班に向けて語った真実。激動の「記者会見の日」の裏側がいま明かされる。さらにこれまでカメラの前では多くを語ってこなかった海老蔵さんが、妻・麻央さんへの思いや夫婦の「絆」、家族を守るための「決意」などを番組だけに語ったロングインタビューも。そして昨年夏、子どもたちと過ごす時間を大切にしたいと願い、舞台の上とは全く違う“育メン”として親子で散歩や食事、お出かけの日々を過ごした、襲名以来初の1か月に及ぶ長期休暇の様子や、その一方で2月のUAE(アラブ首長国連邦)、3月のニューヨーク・カーネギーホールでの自主公演など、歌舞伎を文化として根付かせようと奮闘する海老蔵さんの異国の地での新たな挑戦など、海老蔵さんの2016年を多角的に取材した映像は必見。また麻央さんががん闘病を公にしてから初めてカメラの前で海老蔵さんへの思いを語る。このインタビューは麻央さん自らの提案で、1月4日、麻央さんが入院する病室で行われたもの。また番組では海老蔵さんが入院中の麻央さんをサポートする様子など夫婦の現在の日常も紹介するという。「市川海老蔵に、ござりまする」は1月9日(月)22時~日本テレビ系でオンエア。(笠緒)
2017年01月09日歌舞伎俳優の市川海老蔵が9日、自身のブログを更新。米大統領選でドナルド・トランプ氏の勝利が確実になったタイミングで、「アンビリバボー」と驚きの示した。この日、「ただいま。トランプさん優勢」「大統領選挙はトランプさんになりそうですね」などとブログで大統領選に関心を示していた海老蔵。その後、トランプ氏の勝利が確実と報じられると、テレビのニュース画面をアップし、「まじか?!トランプ大統領か!アンビリバボー」と率直な感想をつづった。そして、「とりあえずおめでとうございます」と祝福。「かしら、日本はどうなる?の方が日本人はきになるね」と続け、「もう期待するしかないですね」と今後に期待した。
2016年11月09日11日にAbemaTVで配信された、歌舞伎俳優・市川海老蔵の12時間密着生番組『有名人1日ガチ生放送 市川海老蔵』が、視聴数125万を記録した。これは、インターネットテレビ局・AbemaTVの本開局記念特番として配信されたもので、京都で公演中の海老蔵に、11日正午から12時間にわたって完全密着。舞台『源氏物語 第二章 ~朧月夜より須磨・明石まで~』の模様に加え、その楽屋への潜入、八田亜矢子による観客や市川九團次、大谷廣松、片岡市蔵ら共演者のインタビューなどで、番組は進行した。舞台が終わると、AbemaTVを展開するサイバーエージェントの藤田晋社長と夕食。「『舞台を生中継したい』という熱い思いがあった」と振り返りながら、ネットを通じて舞台が生中継され、スマートフォンから鑑賞することもできたことで、若年層に向けての大きなアピールになったと歓喜した。途中には、妻・小林麻央からLINEでメッセージが届く一幕も。それに対して、海老蔵は「麻央見てる~?」と画面越しにデレデレしながら、メッセージを送った。海老蔵は、目標視聴数を100万と掲げていたが、配信中に見事達成。記念に、100年物で100万円するワインでお祝いしたが、放送終了時刻より30分早く解散してしまい、急きょ"市川AB蔵"ことレイザーラモンRGの配信に切り替え、視聴者からのさまざまなリクエストに「あるあるネタ」で30分間つないだ。その後、エンディングに海老蔵が再登場。配信中に約6,000件のコメントが集まったことが明かされ、最後に海老蔵が、この生配信番組の第2弾を実施することを発表した。(C)AbemaTV
2016年04月12日『あなたの「治る力」を引きだそう』(市川加代子著、あさ出版)は、著者が日ごろから行なっているという自然療法「市川式恢復(かいふく)療法」についてのガイドブック。耳慣れないかもしれませんが、市川式恢復療法の基本的な考え方は次のようになるそうです。・体に設計ミスはない・体は「治る力」を秘めている・どんな病気に対しても例外ではないつまり病気を治すのは、薬でも医者でもなく、自分自身だということ。もっと詳しくいえば、自分のなかで眠っている「治る力」を引き出すことによって、病気は治るというのです。そんな市川式恢復療法には、10種ものメリットが。■市川式恢復療法のメリット(1)知っていれば、いつでもできる使用するのは生姜や豆腐、こんにゃくなど、身近にあるものばかり。それらがあれば、昼夜を問わず行えるといいます。(2)どんな病状でも使える体調の改善、治癒が期待できるそうです。(3)害がないすべて自然のものを使用するため、副作用の心配もなし。(4)安価である基本的に、使用する野菜やサラシを買う費用だけでOK。(5)おぼえたら、小学生でも行なえる過去には、4歳で行なった子もいたのだとか。(6)体のことがよくわかる体調を観察することが必要なので、おのずと自分の体に対する理解が深まります。(7)家族、友人間で行なえば、つながりが深まる手でなでたり、さすったりするので、無理なくスキンシップができるということ。(8)実践すると治癒力が増進される体力が早く恢復するなど、予後がよくなるのだといいます。(9)自分への信頼、体へのいたわりが強くなる「治る力」を実感するほど、自分の体を信じるようになるそうです。だからこそ「大切にしよう」という気持ちも強くなり、さらに健康になることに。(10)権威や情報に振り回されず、自分で方向性を見い出せる自分で行ない、自分で治すことを体験することで、自分の判断によって、的確に体を扱うことが可能に。使い方を学ぶ必要があったり、手間ひまのかかるものもあったり、根気とやる気が必要だったりもするものの、これなら効果が期待できそうです。でも、具体的にどのようなことをするのでしょうか?■いちばんの近道は半身浴!市川式恢復療法の実践方法はさまざまですが、すべてに共通する鍵があるのだそうです。それは、体を芯から温めて、不要物を出す力を高めること。そして、なかでも著者が最初にオススメしているのが半身浴。なにも特別なものを準備する必要がなく、体の負担も軽く、それでいて血液循環をよくする効果は抜群だといいます。(1)風呂をぬるめ(38~41度)に沸かします。水位を低くするか、浴用の椅子を沈めるかして、入ったときに水位がみぞおちからへその間くらいにくるように調整します。(2)途中で飲むための水やお茶を用意し、湯船に浸かります。なお、腕は湯から出しておきましょう。(3)体が熱くなってきたら、いったん湯から上がって、下半身に水シャワーを浴び、ふたたび湯船に浸かります。これを、自分が疲れず「気持ちいい」と思える範囲で何度か繰り返します。このとき大切なのは、脱水症状を「起こさないように、マメに少しずつ水分をとること(ただし、ガブガブ飲むのはよくないそうです)。(4)大切なのは、必ず「冷」で終えること。そして最後に水シャワーを浴びるか、冷たいタオルで全身を拭きます。半身浴後も、マメに水分補給することを忘れずに。*他にも、末端を集中的に温める「手足温浴」、万能の薬効を体に送り込む「びわ療法」、体中から汗が噴き出す「全身生姜罨法(あんぽう)」など、身近にあるものを利用して、手軽に行えるメソッドがたくさん紹介されています。しかも無理なくできるものばかりなので、実践してみれば体調を快適にすることができるかもしれません。(文/書評家・印南敦史)【参考】※市川加代子(2015)『あなたの「治る力」を引きだそう』あさ出版
2016年01月20日「子供歌舞伎フェイスパック」発売記念イベントが、5日(水)、渋谷区文化総合センター大和田伝承ホールで開催され、歌舞伎役者の市川染五郎が特別ゲストで登場した。市川さんは、デザインフェイスパックシリーズの第一弾商品として、「歌舞伎フェイスパック」を考案。国内外問わず根強い人気を集め、これまでシリーズ累計約110万個を売り上げている。「歌舞伎フェイスパックをしていると、子どもも必ずやりたがる。子どもも使えるフェイスパックがあれば欲しい!」というユーザーからの声を受け、第13弾・第14弾の商品として、子供用サイズに改良した世界初の子供用フェイスパック「歌舞伎フェイスパック」と「動物フェイスパック」の2種が7日(金)より同時発売されることとなった。「小さな頃から歌舞伎ごっこが好きだった」という市川さん。子ども用サイズを見て「隈取りは本来格好よかったり、迫力があったりするものですが、子ども用サイズになるだけで可愛らしくなって嬉しいです。これをつけて歌舞伎ごっこをして欲しい」と満足げな顔を見せていた。また、同ホールで7日から9日(日)まで開催される「カブキ踊り『渋谷金王丸伝説』」に市川さんと共に出演をしている、寺子屋の子どもたちがフェイスパックをつけて登場。「可愛らしい!今からパックをしていたら、どれだけ美男美女になるんだろうね!」と市川さんも興味深々な様子だった。司会者から、子どもたち全員と見得のポーズをリクエストされると、「ちょっとリハーサルしてもいいですか」と市川さんが子どもたちに稽古をつける姿も。手の高さまで細かく指導し、見事に見得を決めた。「今日帰ったら、子どもにこのフェイスパックをつけようと思います」と笑顔で話した。「子供 歌舞伎フェイスパック」「子供 動物フェイスパック」は8月7日(金)より同時発売。(text:cinemacafe.net)
2015年08月05日シェイクスピアの『マクベス』を、ほぼひとりで演じきるという大胆な野心作に佐々木蔵之介が挑戦する。『キャバレー』で知られる変幻自在の実力派俳優アラン・カミング主演により、スコットランド・ナショナル・シアターで2012年に初演、翌年ブロードウェイにも進出した話題作だ。日本版の演出はオリジナルの共同演出家のひとり、アンドリュー・ゴールドバーグが手がける。舞台『マクベス』チケット情報魔女の予言と妻の野望に煽られ、血塗られた王冠を手にしたスコットランドの武将マクベスの破滅。シェイクスピア作品の中でも心理劇の側面が強く、上演のたびにマクベスとマクベス夫人を誰が演じるのか注目を集める。この夫婦をはじめ登場人物をひとりで演じるとは一体どういうことなのか。稽古に先立ってアンドリューと共にワークショップを行った佐々木は「大変だということはわかりました……(笑)」。今回の舞台は精神病院。ひとりの隔離患者が『マクベス』の登場人物たちを演じていく。彼を見つめるのは医師と看護師(ふたりはほとんど喋らない)、そして監視カメラだけだ。「物語の核である心理面にフォーカスを絞りたくて精神病院という設定にしました。マクベスはいつも自分の中で葛藤している人物で、脳内で分裂した人格が議論していると考えたんです。アラン以外にこんなクレイジーなことをやってくれる人がいるとは思わなかったけどね!」と笑うアンドリュー。佐々木は過去にマクベス役を一度経験しているが、ワークショップで日本語台本を読む中で、改めてシェイクスピアの言葉の豊かさに驚いたという。「〈時よ、よくも俺を出し抜いたな〉〈甘い乳を苦い胆汁に変えておくれ〉とか、普通の感覚にはないイメージですよね。〈ひどいのか良いのか、こんな一日は初めてだ〉というマクベスの最初のセリフや、〈きれいは汚い、汚いはきれい〉という魔女の呪文のように、矛盾するイメージを行き来する状況がよく出てくるのも、何だか今の自分と重なるんです」。「患者の中にはすべてのキャラクターが存在し、全ての要素が彼を形成しています。蔵之介さんはワークショップから直感的に役を演じ分けていました。僕には日本語がわからないけれど、言葉の意味や役の感情が素晴らしく伝わってきたんですよ。彼と一緒に芝居を創ることが本当に楽しみです」と本格的な稽古を心待ちにするアンドリューに、「この笑顔だけが僕の支えですよ(笑)」と返す佐々木。上演時間は約100分。狂人の悪夢と俳優の孤独な闘いの行方を、息をつめて見届けよう。舞台『マクベス』は7月12日(日)から8月2日(日)まで東京・パルコ劇場で上演。その後、愛知、大阪、神奈川、福岡で上演される。東京公演のチケットは4月25日(土)より一般発売開始。取材・文:市川安紀
2015年04月24日叶 匠壽庵(かのうしょうじゅあん)はこのほど、市川海老蔵特別公演「源氏物語」が行われる一部会場において、市川海老蔵<干菓子<の販売を開始した。同社は歌舞伎役者・市川海老蔵氏の古典へ挑戦する姿に共感し、干菓子を創作した。古典芸能である歌舞伎をテーマにしつつ、新たな表現への幕開けという意味で、歌舞伎幕の4色の彩りを伝統の技で表現している。商品は全4種類。抹茶の持つ苦味と甘さが調和している「抹茶(緑)」、昔からある日本の食材「黒ゴマ(黒)」、甘さと辛味がバランスよく楽しめる「シナモン(茶)」、フルーティな酸味がきいた「柚子(白)」。各2~3個ずつ詰め合わせた10個入りとなっている。価格は2,000円(税別)。販売会場は、「上野学園ホール」(3月4日)、「サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)」(3月18日)、「福井市文化会館」(3月20日)、「NHK大阪ホール」(3月21~22日)、「岩手県民会館」(3月27日)など。
2015年03月04日2015年2月14日(土)に東京・シダックスカルチャーホールで俳優の入江甚儀と市川知宏によるファンイベント「じんとも」の開催が決定した。入江甚儀と市川知宏は、同時期にデビューを果たし、現在TVドラマや映画などで活躍する若手人気俳優。同イベントは今年の6月に初めて開催され、今回で3回目。初の1日2回公演で行なわれるこの日の公演は、バレンタインデーにちなんで第1部を『Sweet Party』、第2部を『Bitter Party』と銘打ち、『Sweet Party』では「甘い」、『Bitter Party』では「少し大人」のふたりが見られるイベントになる予定だ。同イベントのチケット一般発売は2015年1月10日(土)午前10時より。なお、一般発売に先がけてじんとも特設サイトでは先行を実施。受付は12月6日(土)昼12時から14日(日)午後11時59分まで。■じんとも~Sweet Party~(第一部)2015年2月14日(土)開場11:00 / 開演12:00会場:シダックスカルチャーホール(東京都)出演:入江甚儀 / 市川知宏料金:指定 3500円 ※来場者特典付■じんとも~Bitter Party~(第二部)2015年2月14日(土)開場15:00 / 開演16:00会場:シダックスカルチャーホール(東京都)出演:入江甚儀 / 市川知宏料金:指定 3500円 ※来場者特典付
2014年12月05日いぶし銀というにはあまりにエネルギッシュな実力派男優5人が集う5人芝居が、5年ぶりに戻ってくる。2009年に上演され話題を呼んだ『海をゆく者』だ。小日向文世、吉田鋼太郎、浅野和之、大谷亮介、平田満という顔ぶれを見れば、芝居好きの血をざわつかせるのに十分だろう。アイルランドの劇作家コナー・マクファーソンの出世作で、ロンドン、ニューヨークで主要演劇賞に輝いた傑作。日本版の初演とまったく同じメンバーで再演に挑む吉田鋼太郎に話を聞いた。舞台『海をゆく者』チケット情報「こんな汚いオッサンたちが酒飲んでワァワァ騒いでるだけの芝居なんて、誰が面白がるんだ?って不安でしたよ」と初演を振り返って笑う吉田。舞台はアイルランドの寂れた港町。ある兄弟の家に男たちが集っては、クリスマス・イヴの日も飲んだくれている。そこに見知らぬ男が現れて、人生を賭けたカードゲームが始まった。「リアリズムで進行しているのに突然〈悪魔〉と言われる人物が出てきたりして、不思議なホンです。初演は稽古を重ねるうちに面白さがわかってくるという感覚でした」。吉田が演じるのは、真面目な弟(平田)とは対照的な兄役。大声で喚くわ暴れるわとハタ迷惑な〈ザ・飲んだくれ〉だ。しかも自業自得で目も見えなくなっている。「自由奔放に演じているように見えたかもしれないけれど、初演は演出の栗山民也さんの指示通りに動くだけで精一杯でしたね。丁々発止のポーカーの段取りも覚えられなくて、みんなで稽古前に自主練習したり。僕はちょっと食い気味にセリフを言うクセがあって、本番後小日向さんに『セリフ食い過ぎだよッ』と、あの高い声で怒られられたこともあります。今度は気を付けようと(笑)」。個性的すぎるメンバー同士の舞台裏を想像するだけでも可笑しいが、再演では彼らのさらなる〈完熟ぶり〉が堪能できそうだ。「段取りを超えて、男たちの人間関係をもっと密なものにしたいですね。日本で屈指の名優と言っても過言ではない方々が、これだけ密度の濃い空間で火花を散らす芝居は滅多にないと思うんです。しかも個々が自分勝手に演じるのではなく、あくまで演出されている中で魅せる醍醐味があるんじゃないかなと。未来もないオッサンたちが生きている意味をほんの少し取り戻すという素敵な芝居ですし、最後はちゃんと感動もありますから。自分が出てなかったら、客として観たいですよ!」。しょうもないけれど愛すべきオッサンたちのクリスマス・イヴに、幸あらんことを。12月8日(月)から28日(日)まで東京・PARCO劇場にて。その後、愛知、大阪、宮城、広島、福岡でも公演。東京・大阪公演のチケット一般発売は10月4日(土)午前10時より。取材・文:市川安紀
2014年10月02日市川由衣が大胆なベッドシーンに挑戦するなど公開前から話題の『海を感じる時』の完成披露試写会が8月25日(月)に開催。市川さんを始め、共演の池松壮亮、原作小説を手がけた中沢けい、安藤尋監督が舞台挨拶に登壇した。1978年、当時18歳の女子高生だった中沢さんが発表し「文学上の事件」と言われた「海を感じる時/水平線上にて」(講談社文芸文庫刊)を30年以上を経て映画化。充たされないままに高校時代の先輩である洋に体を差し出すヒロインの恵美子が、彼に必要とされたいと願い、寄り添いつつも反発し傷ついていくさまを繊細に描き出す。市川さんは、本作について「女優人生を懸けて挑んだ作品」と語り、完成にこぎつけたことに「感無量です」と充実感をにじませる。脚本を読んで「恵美子に惚れ込んだ」という市川さん。「最初に読んだ時はイタイ女だなと思い、女性としてそのイタさに共感しました。(ベッドシーンで)裸になるということで、悩む部分もありましたが、やらなかったら後悔する、ほかの役者がこの役をやっているのを見たくないという気持ちでした。いまやれることはやったと思います」と覚悟を覗かせる。市川さんと池松さんは初共演となった。池松さんは恵美子の気持ちに応えようとしないまま、それでも求めに応じて彼女を抱く洋という男について「みなさんにどう映るのか…?僕はすごく愛してますし、僕なんかよりずっと心がキレイで誠実な男だと思います」と評する。この言葉を受け、市川さんは池松さんについても「誠実です!」とニッコリ。「すごく魅力的でした。脚本を読んだとき、どうして恵美子はそこまで洋に惹かれたのか?と思いましたが、一緒に芝居をしていく中で『こりゃ惚れる!』と思うところがいっぱいありました(笑)。色っぽいし、寂しそうな眼をしてたり。あれは演技なのか…?」と称賛に次ぐ称賛。池松さんは慌てて「全然、寂しくないですよ!」と照れくさそうに笑みを浮かべていた。さらに、ベッドシーンの撮影について市川さんは「(池松さんが)前貼り(※局部を隠すための小道具のシート)をされてて『前貼りセンセイ』と呼ばせていただいてました」と明かし、「今日は着けてないんですか(笑)?」と撮影中もよく交わしていたという冗談交じりの問答を再現。池松さんも「今日は着けてないです(笑)」と返し、会場は笑いに包まれたが、市川さんは「緊張しましたが、そういう会話で和みました」と笑顔で感謝の思いを口にしていた。『海を感じる時』は9月13日(土)よりテアトル新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:海を感じる時 2014年9月13日よりテアトル新宿ほか全国にて公開(C) 2014「海を感じる時」製作委員会
2014年08月25日戦国武将・真田幸村に仕えたとされる伝説のヒーロー軍団〈真田十勇士〉。彼らの物語は小説、映画から漫画、ゲームに至るまで、繰り返し描かれてきた。2014年の幕開きには、マキノノゾミのオリジナル脚本、堤幸彦演出による舞台『真田十勇士』が登場する。主人公の猿飛佐助には歌舞伎俳優の中村勘九郎が扮し、佐助と並ぶ十勇士のツートップ・霧隠才蔵を、話題作への出演が続く松坂桃李が演じる。『真田十勇士』チケット情報今回のマキノ脚本で軸となるのが、「実は平凡な武将の幸村を、口八丁の猿飛佐助が“本物の名将”に仕立て上げる」という大胆な設定だ。佐助と才蔵は同じ忍びの里で育ちながら、とことん陽気なホラ吹きとクールな知能派という正反対のキャラクター。だが互いに認め合う存在でもあり、十勇士の両輪として物語を牽引していく。才蔵役を「一度やってみたいと思っていた」という松坂は、「十勇士の中で一番影がある印象」と語る一方で、忍びという存在そのものが持つ宿命に悲哀を感じるという。「たとえ汚名を着せられても、任務を全うするために命尽きるまで耐え忍ぶのが“忍び”たるもの。決して光の当たらない場所で主のために生き、時には敵の前で仲間を殺すこともある。自分の感情を常に押し殺しながら生きるというのは、非常に悲しいですよね。身近な人間に感情を抱けば抱くほど、苦しみも深くなるのではないかな、と」。たとえるならば「太陽」の佐助と「月」の才蔵との対比も見どころになるが、勘九郎との初共演には胸を躍らせている。「歌舞伎界の先頭を走る方とこれだけの時間を一緒に過ごせる機会はなかなかないので本当に楽しみです。勘九郎さんの役の捉え方、物事の考え方に少しでも触れられれば。歌舞伎公演は休演日もなくハードだと聞くので、一定のコンディションを保つための身体のメンテナンス法も訊いてみたいですね」。近年は映画やドラマで主要な役を任される機会も増え、今年初めて挑戦したシェイクスピア劇『ヘンリー四世』での好演も記憶に新しい。手ごわいセリフをこなし、舞台俳優としての資質を高く評価されたが、常に自分に問うのは「作品の一片として役割を果たせているか」ということだ。「演出家や監督の言葉をいかに汲み取り、たぐり寄せられるか。作品のためが第一であって、“自分らしさ”は二の次三の次、いや、なくてもいいくらいだと思います。才蔵のような鋭利さを持つ役は今までに経験がないので、作品の中の人物としてしっかり向き合っていきたい」。松坂桃李の肉体に宿る才蔵が、戦国の世を駆け抜ける姿を早く見たい。公演は2014年1月7日(火)から2月2日(日)まで東京・青山劇場、2月7日(金)から19日(水)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて。チケットの一般発売は9月7日(土)午前10時より。取材・文:市川安紀(アルカディア社)
2013年08月30日東京、大阪、名古屋と各地で好評を博した、二代目市川猿翁 四代目市川猿之助 九代目市川中車 襲名披露興行が6月、いよいよ博多座に登場。襲名ならではの豪華な演目も話題だが、一日でスーパー歌舞伎と古典歌舞伎を上演するのは博多座でも初となる。その公演を前に、歌舞伎の世界に入って1年を迎える市川中車が思いを語った。六月博多座大歌舞伎 チケット情報「映像の世界で27年以上やってきて、厳しい現場を通過してきているという自負はあったけど、それでも歌舞伎には驚くべき難しさがあった」と、厳しい表情で語り始めた市川中車。その難しさを「数式を使って正解を求めなければいけない。物理を解くような感覚」と例えた。歌舞伎から映像の世界へ活動の幅を広げる役者は多いが、その逆はほとんどいない。しかも46歳という年齢であれば尚更だ。「映像と歌舞伎は基本的には違うものだと思う。間だったり、型だったり、といった正解があり、それは日本人にとって、とても気持が良い『間』であることがわかった。その『間』を映像の世界に持ち帰っても、スパーンとハマったりする。きっと日本人が遺伝子レベルでもっている心地良い間なんでしょう。歌舞伎が長く愛されてきたのもわかります。碁盤の目のような整然とした印象で、その様式美を表現するのは非常にハードルが高いものです」(中車)。厳しい稽古の中、父である市川猿翁からもいくつかアドバイスがあったそう。一番、心に残っている言葉は「もっと突っ込め」という言葉。「突っ込むというのは、12割、15割の気持をそこにいれるということ。映像の現場でも80%の演技ではOKが出ない、100%だとOKが出るかもしれないけど、監督やカメラメンが嬉々として喜ぶカットというのは150%の演技を出した時だ、ということを元々僕も思っていた。『芝居を突っ込む』という父の言葉を聞いた時、同じ考えなんだ、と。たった何秒だったけど、僕達父子にとって確かな交流になった瞬間でしたね」(中車)。今回は、注目の襲名披露興行ということもあり、これまで歌舞伎を観たことがない方が劇場に足を運ぶことも多そうだ。「実はまだ歌舞伎を観たことがないという方は芸能界にも意外に多くて、ナイナイの岡村さんもそうだった。でも観て頂いた後、すごくハマってもらえて。客席の反応のひとつとしてすごく自信になりましたね。とは言え、完成された様式美でありながら演じる役者によって違いがあるのが本当の歌舞伎の面白さ。これまで歌舞伎をやってきて、どれだけ自分が完成されてないかということを日々痛感してますが、(歌舞伎の)長い歴史の中のエポックメイキング的な出来事として、この不完全な感じも見届けて頂ければ嬉しいですね」(中車)。公演は6月2日(日)から26日(水)まで、福岡・博多座にて。チケットは発売中。
2013年05月30日歌舞伎俳優の市川猿之助と市川中車が12月4日、都内で会見を開き、来年1月の大阪・松竹座「壽初春大歌舞伎」への意気込みを語った。大阪・松竹座「壽初春大歌舞伎」チケット情報今年6月、7月に東京・新橋演舞場で襲名披露興行が行われたが、来年からいよいよ大阪を皮切りに全国を回るツアーがスタートする。大阪・道頓堀で元旦から歌舞伎の幕が開くのは実に50年ぶり。四代目を襲名した猿之助は「襲名と正月のおめでたさを味わっていただきたい」とコメント。俳優・香川照之として活動しながら九代目を襲名した中車は「無事に初舞台を勤めることができましたのも四代目(猿之助)のおかげ。引き続き、精進していくことに変わりはございません」と歌舞伎俳優としての決意を語った。昼の部の『吉野山』、夜の部の『義経千本桜』(「四の切」)で狐忠信を演じる猿之助は「三代目(猿之助)の『四の切』は神業に近いと思っているので、それをやらせていただくことは非常にありがたいです。ただ、考えてみたら襲名で人間の役をひとつもやっていない。鬼か狐か鳥か」と笑わせ、「どこまでこの役を深めていけるか挑戦したいです」と意欲を見せた。中車は昼の部『楼門五三桐』で石川五右衛門役に挑戦する。同演目は7月の新橋演舞場で市川猿翁の真柴久吉、市川海老蔵の五右衛門で上演されたばかり。そのときは、父・猿翁の後ろで黒子として付いていた中車だが「海老蔵さんのハリのある声を後ろで聞いていたわけですが、まさか自分があそこに立つとは。いま、稽古をしながら古典の壁の高さを感じています。本当に未熟ではございますが、なんとか頑張っていま勉強している最中です」と心境を明かした。また猿翁との初共演については「いざそうなってみるとそういうことかという感覚ですね。大本にある役者としての感情は、6・7月の舞台や稽古を通して父と確認しあいました」と話していた。襲名興行だけにチケットの売れ行きを気にする猿之助は、中車が演じる五右衛門のセリフ“絶景かな”にひっかけ、「空席があると“絶景かな”とはなかなか言いにくいのですから、宣伝をよろしくお願いします」とマスコミに依頼する場面も。一方で、多くの観客に歌舞伎を見て欲しいという気持ちから「若者向けの芝居も必要。いろんな公演の形態があってもいい」と話す猿之助。映像の仕事が多かった中車は「(歌舞伎の舞台に立って)初めて舞台が面白いと思いました。猿之助の美しさとこの細いからだで背負っているものの大きさ。そういったものを見ると理屈でなく感動します」と歌舞伎の面白さをアピールしていた。公演は1月1日(火・祝) から1月26日(土)まで。チケットは発売中。
2012年12月07日戯曲、演出家、俳優の斬新かつ魅力的な顔合わせから質の高い作品を放ち続けるシス・カンパニーが、現代アメリカ演劇を代表する劇作家、スーザン・ロリ・パークスのピュリッツァー賞受賞作『TOPDOG/UNDERDOG』を上演する。翻訳・演出を手がけるのは、近年目覚ましい活躍を続ける演出家・小川絵梨子。11月30日(金)に東京で幕を開け、来年1月には大阪、福岡、長崎と全国公演が続く。兄弟の愛憎を描いたこのふたり芝居に挑む、堤真一と千葉哲也に心境を訊いた。『TOPDOG/UNDERDOG』チケット情報今はなきベニサン・ピットを拠点としたtpt作品で共演以来、千葉いわく「なぜかウマが合う」というふたりの付き合いは20年近い。各々キャリアを積む中、ここ数年で「ふたりで芝居がしたい」という思いが高じてきたと堤は語る。「僕は劇団に所属しているわけではないから、“帰るべき場所”がない。それなら自分で“ベース”を作らなきゃと思った」。小さな空間、少人数での芝居創りは、堤にとっての原点だ。千葉はこれまで、演出家として俳優・堤真一に向き合ってきた。そして今回、いよいよ俳優同士として対峙することになる。癖のある人物を演じて強烈な印象を残してきた千葉だが、「今までは演出家で偉そうにしていたのに、役者に戻ったら“全然出来てねぇじゃねぇか!”ってなるかも」と笑う。舞台は現代のアメリカ。黒人社会の底辺でもがく兄弟の物語だ。白塗りをし、暗殺されたリンカーン大統領を演じる遊園地のバイトで食い扶持を得る兄(千葉)。生活能力のない弟(堤)は、居候の兄に生活費をすべて払わせ平然としている。果たしてどちらがトップドッグ(勝者)で、どちらがアンダードッグ(敗者)になるのか。「互いに嘘をついているのか本音を言っているのかわからない」と堤が言うように、微妙なバランスで成り立つ兄弟の関係には徐々にほころびが生じていく。「たとえ兄弟でも相手の腹の中は読めないもの。ふたりが何を隠し、どう嘘をついているのかがきちんと出せると面白いのでは」と千葉が語れば、堤は「どちらがトップでもアンダーでも、しょせん犬は犬。そんなちっぽけな世界でも比較対象がないと自分の位置が計れないところが、人間の哀しさだと思う」と、人間の本質に思いを馳せる。兄弟ゆえに愛憎はより深く、滑稽で切実なパワーゲームの行方は、最後の瞬間まで予断を許さない。演出の小川絵梨子とはふたりとも初の顔合わせ。「男の兄弟の話だから、女性の演出家に客観的に見てもらえるのは大きい。何より、小川さんが訳した上演台本が面白い!」と堤は力を込める。男盛り、脂が乗った俳優ふたりの真剣勝負を小川がどう捌くのか、注目が集まる。公演は11月30日(金)から12月28日(金)まで東京・シアタートラム、2013年1月4日(金)から8日(火)まで大阪・松下IPMホール、1月10日(木)から13日(日)まで福岡・西鉄ホール、1月16日(水)から18日(金)まで長崎NCC&スタジオにて上演される。チケットは10月28日(日)より一般発売開始。取材・文:市川安紀
2012年10月12日9月に東京・シアターコクーンで上演される『ボクの四谷怪談』。鶴屋南北の『東海道四谷怪談』をベースにした作家・橋本治による幻の戯曲を、“騒音歌舞伎(ロックミュージカル)”と銘打って蜷川幸雄が演出する。上演に先立ち、蜷川、音楽を担当する鈴木慶一、佐藤隆太をはじめとするキャスト・スタッフ一同が、『四谷怪談』ゆかりの寺社で舞台の安全と成功を祈願する参拝を行った。一行は東京・豊島区西巣鴨の妙行寺にて「お岩様」の墓参りをした後、共に「お岩稲荷」と称される新宿区左門町の田宮神社と陽運寺へ。夫の民谷伊右衛門に裏切られ、恨みを残して悶死するお岩の物語は、日本の夏を代表する怪談話としてもおなじみだ。元々はお岩という実在した女性の名前を借りて南北が虚実ないまぜに描いた作品だが、『四谷怪談』上演の際にはゆかりの地への参拝が慣例となっている。今回の橋本版は、「忠臣蔵外伝」とも言える原作の骨格は活かしつつ、1970年代風ファッションに身を包んだ若者たちの青春群像劇になっている。生きる目的を探しあぐね、迷い、焦り、右往左往する若者の姿は、時代を超えた鮮烈さをもって現代人の胸に迫る。演出の蜷川は、過去に度々『四谷怪談』を手がけているが「『ハムレット』のように何度やってもやり残した感覚がある」と語り、思い入れは深い。1970年代には急進的な政治運動から転落していく若者を、2000年代に入るとバブルが弾ける中で転落する若者を主人公たちに重ねてきた。そして今という時代を「明確な敵も見えず、ふわふわとした中に明るい地獄絵がある」と捉える蜷川が、この作品にいかなる現代性を見出すのか注目される。「『四谷怪談』を軽やかに解体した、橋本さんの戯曲と巡り会ったのも何かの因縁。今までとは違うものを、自由に、奔放に作っていきたい」と思いを新たにしている。そして全編を彩るのが、日本語ロックの先駆的存在、ムーンライダーズの鈴木慶一による音楽だ。台本には曲調や使用楽曲などの詳細な指定もあり、1970年代の匂いが強烈に立ちのぼる。「橋本さんの頭に響いていたであろう音楽を想像しながら作曲した」と振り返る一方で、アレンジには「ロックの“隠しアイテム”を沢山ちりばめてある」とニヤリ。『四谷怪談』のイメージには一切とらわれなかったという鈴木流ロックサウンドが、蜷川演出と刺激的な化学反応を起こしそうだ。公演は9月17日(月・祝)から10月14日(日)まで東京・シアターコクーン、10月19日(金)から22日(月)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:市川安紀
2012年08月13日作家・橋本治が東大在学中に書いた幻の戯曲が、蜷川幸雄の演出で上演される。その名も『ボクの四谷怪談』。鶴屋南北の怪談をベースに、生きる目的を求めて右往左往する若者たちの姿を描く“騒音歌舞伎(ロックミュージカル)”だ。橋本ならではのポップな現代語で綴られたセリフに加え、鈴木慶一によるオリジナル・ロックナンバーが随所で炸裂する。物語を担うのは橋本が「七人の侍」と名づけた若者たちで、民谷伊右衛門を演じる佐藤隆太は、今回が蜷川演出初挑戦となる。騒音歌舞伎(ロック・ミュージカル)「ボクの四谷怪談」 チケット情報「蜷川さんから声をかけていただけるとは思ってもいなかった」と率直に驚きを語る佐藤。近年では映像での活躍が目覚ましいが、「自分を試される場」という舞台への思い入れは深い。「役者として今まで何を積んで来たのか、あらわになるのが舞台だと思う。その怖さを感じているからこそ逃げたくないし、出来るだけ舞台に立ちたいと願い続けています。でも、ここまで大きな山に向き合うことになるとは(笑)」。共演陣には小出恵介、勝地涼、栗山千明ら、蜷川演出を経験済みの若手も多く、「一番の後輩のつもりでアドバイスをもらいたい」と笑う。「第一線を走りながら、なお挑戦を続けられる蜷川さんのパワーを感じたい。コテンパンにやられる可能性も含めて、楽しみです」。伊右衛門は病身の妻お岩を持て余し、職も生きがいも定まらず運命に流される。しかし女にはモテる、やっかいな色男だ。映像作品での「熱く真っ直ぐな男」像から、人生に戸惑い、真摯に悩む男性像へと表現の幅を広げている佐藤にとって、さらに新境地を拓く役柄でもある。「自分が思う以上に“熱い男”というイメージを抱いている方も多くて、驚くことはありますね。そう思っていただくのは光栄な一方で、役者としてどんな役にも挑戦したい。絶好のチャンスをいただきました」。今回は「ロックミュージカル」だけに、伊右衛門が歌うナンバーもしっかりある。実は1999年、佐藤が俳優デビューを飾ったのもミュージカルの舞台(宮本亜門演出『BOYS TIME』)だったが、「僕は歌が決してうまくないんです」と告白するのがこの人らしい。「目指すところは“魂をガツンと届けられる”歌と芝居です。思えば初舞台の時は、歌も芝居もダンスもピカイチで下手なのに、よくもあれだけ堂々としていたなと(笑)。10年以上役者をやってくると、どんどん芝居することが怖くなってくるんです。何も恐れずにハチャメチャをやっていた、あの時の自分も無くさずにいたいですね」。共演は小出恵介、勝地涼、栗山千明、三浦涼介、谷村美月、尾上松也、勝村政信ほか。公演は9月17日(月・祝)から10月14日(日)まで東京・シアターコクーン、10月19日(金)から22日(月)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。チケットは東京・大阪ともに7月21日(土)より一般発売開始。なおチケットぴあではインターネット先行抽選を東京は7月11日(水)11時まで、大阪は7月10日(火)11時まで受付中。取材・文:市川安紀
2012年07月03日6月と7月に東京・新橋演舞場の『六月大歌舞伎』と『七月大歌舞伎』で四代目市川猿之助を襲名する市川亀治郎と、九代目市川中車(ちゅうしゃ)を襲名する俳優の香川照之らが、5月11日、東京・浅草寺で襲名披露興行の成功を祈願してお練りを行った。平日にもかかわらず、浅草寺には大勢のファンが詰めかけ、雷門前に亀治郎、香川と五代目市川團子(だんこ)を襲名する香川の息子政明君、二代目猿翁を襲名する当代市川猿之助が登場すると「おもだか屋!」と猿之助の屋号がそこかしこからかかり、大きな拍手と声援が飛んだ。亀治郎は襲名の実感はまだないそうだが、「わたくしはこの浅草で育てられたと思っております。10年間、浅草公会堂で大役をやらせていただきました。猿之助になっても一門全員でここでお芝居をやらせていただきたい」と浅草の地でのお練りに感慨もひとしおの様子。集まったファンや観光客には「今日写真を撮った方は新橋演舞場に来ていただきたい。twitterでも呟いてください。ぜひ『ヤマトタケル』を観に来てください」とまだチケットが買える6月の夜の部をアピールしていた。歌舞伎の舞台は初めてとなる香川は緊張した様子で、「まさかここでこのようなお練りをさせていただくとは夢にも思いませんでした。感謝しております。少しでも精進し、ご迷惑をおかけしませんように、この大名跡を継がしていただく責任を果たしていきたい」と決意を表していた。政明君は「市川團子を襲名しますけど、どうか宜しくお願いします」と挨拶した。襲名披露興行は6月5日(火)から29日(金)までの『六月大歌舞伎』と7月4日(水)から29日(日)までの『七月大歌舞伎』の2か月、新橋演舞場にて上演される。チケットは6月興行は発売中、7月興行は6月12日(火)より一般発売開始。
2012年05月11日