2022年のアカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』で寡黙な専属ドライバーみさきを演じた三浦透子さん。作品の裏話を明かしてくれた、2021年夏の取材の模様をお届けします(2021年8月18日配信記事)。三浦透子さん【映画、ときどき私】 vol. 4042002年にサントリーのCMで“2代目なっちゃん”としてデビューしたのち、さまざまなドラマや映画に出演し、アニメーション映画『天気の子』ではボーカリストに抜擢されたことでも注目を集めている三浦さん。『ドライブ・マイ・カー』で三浦さんは、舞台俳優で演出家の家福悠介(西島秀俊)が演劇祭で出会う、寡黙な専属ドライバーみさきを演じています。そこで、現場での様子や本作を手掛けた濱口竜介監督の演出、将来の自分について語っていただきました。―以前、濱口監督作『偶然と想像』のオーディションに行ったことがきっかけで、本作のオファーがあったそうですね。お話があったときはいかがでしたか?三浦さん最初に脚本を読ませていただいたとき、みさきがとても魅力的な女性だと思いました。特に、相手に対して的確な言葉選びができるところや仕事に対する哲学がかっこいいなと。なので、この役を私にと思っていただけてとにかくうれしかったです。ただ、運転がものすごく重要な役にもかかわらず、免許を持っていない私にオファーするなんて、濱口監督はすごいなとも思いました(笑)。―その後、この作品のためにすぐに免許を取られたそうですが、大変でしたか?三浦さん撮影前にたくさん乗っておきたかったので、朝から晩まで毎日教習所で練習して、17日間でマニュアルの免許を取りました。けっこうハードでしたけど、すごく楽しかったです。―それはすごいですね。劇中では、見事なドライバーぶりを見せていましたが、ご自身は運転に向いていると感じましたか?三浦さん実は、もともと車はすごく好きで、ガソリンスタンドでバイトしていたこともありました。車内や運転の仕方に乗っている人の人間性が出るところがおもしろい。車が好きなだけに、運転が苦手だったらどうしようかと心配しましたが、乗ってみてもやっぱり好きだったのはうれしかったです。―ただ、劇中の車は左ハンドルなので、初心者には難しかったのでは?三浦さんそうですね。免許を取ったあと、練習用に左ハンドルの車を用意していただいたんですが、左ハンドルなのでどれも高級車ばかり。練習のためとはいえ、初心者マークをつけた高級車が走っているのは、周りの方は嫌だったかもしれません(笑)。初めてが多い現場で、西島さんの存在は心強かった―慣れない運転をしながら演技もしなければいけないという状況で、どのようなことを意識されていましたか?三浦さんマルチタスクをこなさなければいけない難しさはありましたが、私にとっては「それができるみさきはどういう人なんだろう」と考える作業こそが役作りに直結すると思いました。みさきは、顔を見なくても空間から相手のことを感じ取れる繊細な人。それを表現するのは難しかったですが、かっこよく運転している姿を見せることが、いちばんみさきを表すことに繋がると思ったので、運転には一生懸命取り組みました。―車のなかでは、西島秀俊さんとほぼ2人きりでの撮影が続いたと思いますが、共演されてみていかがでしたか?三浦さん西島さんはとてもフランクな方で、いつも笑顔でお話をしてくださいました。かと言って、準備と本番とでオンオフがあるわけではなく、リラックスしているときと集中しているときが地続きにあるような感じ。すごく不思議な方だなという印象です。それはこれまでいろいろな経験をされてきた西島さんだからこそのたたずまいだと思いますが、おかげで私は安心していることができました。今回一緒にお芝居をさせていただいて、すごく勉強になりましたし、とても心強かったです。―そのなかでも、印象に残っているやりとりなどもあれば、教えてください。三浦さん今回の現場では、私にとって初めてのことがたくさんありましたが、西島さんは細かいところで本当にさりげなく声をかけてくださいました。車のなかで西島さんと2人でいる時間もけっこう長かったですが、沈黙があっても緊張することなく、落ち着いていられたのも、劇中の家福とみさきの関係性に通じていたように思います。―そういうお二人の雰囲気は、スクリーンにも表れていたように感じました。三浦さんあれだけの狭い空間に2人だけでいるというのは、会話をしていなくても相手の存在を気にせざるを得ない状況。そんななかでも、緊張感が解けていく瞬間を感じることができました。それは家福とみさきの間にもあった瞬間だと思うので、実際に現場で体験できたのは大きかったです。濱口監督の書く言葉には覚悟があると感じる―そして、この作品は何と言っても脚本の素晴らしさがあると思いますが、三浦さんはどういったところに惹かれましたか?三浦さんまずは、セリフのおもしろさですね。一度読み出すと、最後まで手放せなくなるような緊張感がありました。その空気感は、完成した映画からも伝わってくる部分だと思います。これは特にみさきに感じたことですが、しっかりと思考してからちゃんと言葉を選んでいるところも、すごく印象的でした。言葉というのは、人を救うこともあれば、殺してしまうこともある、そういう恐ろしさがあると思います。良くも悪くも強い力を持っている。そういったことを濱口監督は普段から意識されているんだと思います。実際、濱口監督とお話していると、ものすごく丁寧に言葉を選んで話されているかがわかるので。ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、濱口監督の書くセリフには、これは発するべき言葉である、という覚悟を感じるというか。キャラクターたちに魂を感じます。だからこそ、声にしたときに言葉の持つパワーに背筋を正されるような感覚があるのかなと。それでいて、すごく繊細で丁寧に私たちに語りかけてくれているような印象も受けました。―そういったところも、世界で評価された理由かもしれませんね。ご自身が役作りで特にこだわったのはどのあたりでしょうか?三浦さんこれまでの役だと、わからないことをわかるようにする作業を通して役に近づこうとしていましたが、みさきには共感できる部分ばかりで、わからないことがないような状態でした。極端なことを言うと、することがないと思ったくらい。でも、撮影の前に濱口監督ともその話をしたら、それでいいですと。「特別なことはしなくていいので、ただ運転の練習だけしてください。それがみさきの役作りです」と言われました。なので、とにかく運転練習を一生懸命やりました。いま思えば、運転している最中に考えていたことがみさきへの理解にもつながっていたと思います。原作の魅力がきちんと残った作品に仕上がった―現場では、濱口監督ならでは演出などもありましたか?三浦さん映画のなかでも、感情を入れずに淡々と読んでいく“本読み”という作業をしていますが、実際の現場でも行なっています。こんなにも本読みに時間を使うことは、私にとっては初めての経験でした。濱口監督は、「その声で語られるだけで、心を動かされる。そんな声がある。役者からそういう声で台詞を聞きたい」とおっしゃっていました。本読みはその声を探す時間だったと思います。みんなでその“音”を探しているような感覚。とても不思議で素敵な体験でした。濱口監督の現場じゃないと味わえないものだと思います。―そんな時間を過ごすなかで、忘れられない監督の言葉もあれば、教えてください。三浦さん監督と話していて興味深かったのは、「歌はメロディも歌詞も決まっているけど、そのままを何度歌っても人の心を動かすことができる。セリフでもそれができると思う」と言われたことです。その言葉を聞いたとき、私のなかではすごくしっくりくるものがありました。濱口さんの演出には新鮮で驚く部分も多い反面、点と点が繋がるような瞬間もあってとても楽しかったです。―原作者である村上春樹さんの作品の魅力については、どうお考えですか?三浦さん私が村上春樹さんの作品と出会ったのは中学生くらいの頃で、短編集の『レキシントンの幽霊』が最初でした。そのあと長編もいくつか読ませていただきましたが、村上さんの作品は、自分に対する深い考察を感じるというか、キャラクターの心の中に沈んでいくような感覚になります。最初はそういった部分をどうやって映像化していくんだろうとか、ファンの方々に自分のみさきがどういうふうに受け取られるんだろうかと心配もありました。設定も原作とは変わっていますし、追加された部分も多いので。ただ、できあがったものを読むと、原作にある言葉の緊張感や匂いといった小説の魅力がちゃんと脚本にも残ってるどころか、むしろ増幅しているようにすら感じました。村上さんの文体と濱口監督の文体のマリアージュもとても魅力的でした。数字と触れ合うと気持ちがリセットできる―これから観客のみなさんの反応も楽しみですね。現在は、女優としても歌手としても活躍されていますが、今後チャレンジしてみたいことはありますか?三浦さん実は、私はこの歳でこういうことをしたいとか、こうなりたいみたいなビジョンがまったくないタイプなんです(笑)。だからこそ、思ってもいなかったことにも挑戦できるのかなと。私が歌を歌うことになるなんて、昔の私は想像すらしていなかったと思います。そういう意味では、これからもいまの自分が想像できない何かをやっていけたらいいですね。―では、プライベートでやってみたいことは?三浦さんこれはかなり先の話になりますが、おばあちゃんになったら近所の子どもたちに勉強を教えたりしたいなと、ぼんやり考えています。以前、家庭教師のバイトで小学生に算数を教えていて、それがすごく楽しかったので。―そのために準備していることもありますか?三浦さんセンター試験の問題を解いてみたりとか、勉強はするようにしています。―すごいですね。そんな多忙の日々で素に戻れる瞬間といえば?三浦さん素に戻れるというのとは違いますが、数字と触れ合っているときは頭の中をリセットできる時間だと思います。余計なことを考えずにいられるので。頭は使っているんだけれど無というか。考えているけど考えていないみたいな感じ。―意外な一面を教えていただき、ありがとうございました。それでは最後に、ananweb読者にメッセージをお願いします。三浦さんこの作品を観ると、もしかしたらみさきは苦しく見えるかもしれません。でも、人との関わりのなかで傷ついた経験を持つ彼女が自分の人生をポジティブに捉え、仕事も含めて誇りを持って生きて行こうとする姿を見るだけで私には感じるものがありました。みなさんにも、ぜひみさきのかっこいい生き様を感じてもらえたらと思います。インタビューを終えてみて……。劇中のみさき同様に、ミステリアスな雰囲気をまとっている三浦さんですが、話し始めると明るい笑顔が印象的で、その魅力に心をわしづかみにされました。先のことは決めていないという三浦さんだけに、これからどんなふり幅で私たちを魅了してくれるのか、ますます楽しみです。唯一無二の物語が魂に訴えかける秀逸な脚本に、俳優陣の見事な演技が重なり、圧倒的な力で観る者を引き込む本作。孤独と秘密を抱えた男女が葛藤の先に見つけた再生の道は、誰にとっても希望を与えてくれるものとなるはずです。さまざまな感情が渦巻く忘れがたい経験は、ぜひ劇場で体感を。写真・北尾渉(三浦透子)取材、文・志村昌美ヘアメイク・秋鹿裕子(W)、スタイリスト・白山春久ベロア素材のシャツ¥36,300/ロク(エイチ ビューティ&ユース 03-6438-5230)、2タックパンツ/マメ クロゴウチ(www.mamekurogouchi.com)ショートブーツ¥85,800/アクネ ストゥディオズ(アクネ ストゥディオズ アオヤマ 03-6418-9923)、右耳につけたシルバーイヤーカフ¥22,000/ラッツェル アンド ウォルフ(ザ・ウォール ショールーム 03-5774-4001)、左耳につけたシルバーイヤーカフ¥93,500/ラッツェル アンド ウォルフ(アディッション アデライデ 03-5786-0158)、右耳につけたシルバーイヤーカフ¥16,500/フェノメナ コレクション(ザナドゥ 東京 03-6459-2826)、シルバーチェーンネックレス¥77,000/ララガン(ララガンデザイン/info@ralagan.com)、パールのついたチェーンネックレス¥107,800/ソフィーブハイ(バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター 0120-137-007)、シルバースネークチェーンネックレス¥13,200/カルペディエム(カルペディエム/シルバーチェーンブレスレット¥52,800/ジジ(アパルトモン 青山店 03-5778-4919)、シルバーリング¥35,200/アン バイ トモヨ ヨシダ(アン・デザインズ/info@un-designs.com)ストーリー舞台俳優で演出家の家福悠介は、愛する妻・音と満ち足りた日々を送っていた。ところが、音は家福にある秘密を残したまま、突然この世からいなくなってしまう。それから2年が経ち、演劇祭で演出を任された家福は、愛車のサーブで広島へと向かうことに。そこで家福が出会ったのは、寡黙で優秀な専属ドライバーのみさき。喪失感を抱えたまま生きていた家福は、みさきと過ごすなかであることに気づかされていく……。引き込まれる予告編はこちら!作品情報『ドライブ・マイ・カー』8月20日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー配給:ビターズ・エンド©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会写真・北尾渉(三浦透子)
2022年03月28日2022年3月14日に急逝していたことが分かった、俳優の宝田明さん。同月17日の報道以降、多くの人から悲しみの声が広がっています。【訃報】宝田明、急逝87歳「さびしい」「大好きでした」『ゴジラ』Twitterアカウントが宝田明さんを追悼1954年に公開された特撮映画『ゴジラ』で初主演を務めたことで知られる、宝田さん。それを皮切りに、『モスラ対ゴジラ』や『ゴジラ FINAL WARS』など、数々の『ゴジラ』シリーズに出演していました。訃報から一夜が明けた同日18日、『ゴジラ』のTwitterアカウントは、宝田さんへの追悼メッセージを公開しています。宝田明さんの突然の訃報に接し、大変驚いております。1954年11月3日公開の「ゴジラ」を皮切りに、数多くのゴジラシリーズにご出演をいただきました。晩年までゴジラを愛し続けてくださったレジェンドを失ってしまった事は残念でなりません。心からの感謝とともにご冥福をお祈り申し上げます。— ゴジラ (@godzilla_jp) March 18, 2022 「ゴジラを愛し続けてくださったレジェンドを失ったことは残念でなりません」と、宝田さんの死を悔やむ、『ゴジラ』Twitterの運営者。その後、「心からの感謝とともに、ご冥福をお祈り申し上げます」とつづっています。宝田さんへの想いが詰まった追悼メッセージは、多くの人の心を打ちました。・同意見です。ありがとうございます…。・宝田さんのことは、決して忘れません。・物心がつく頃から、ゴジラシリーズ作品とともに生きてきた私にとって、宝田さんはなくてはならない存在でした。ご冥福をお祈りします。宝田さんは、今後も数々の作品の中で生き続けるでしょう。[文・構成/grape編集部]
2022年03月18日5歳上の夫と、生後半年ほどの娘さんと暮らしている、ステラ(@392cookie)さん。夫は、ステラさんが驚くほど、行動力のある人なのだとか。ステラさんは、行動力ある夫の体験談で一番好きだというエピソードをTwitterに投稿しました。映画『スター・ウォーズ』が大好きな夫は、わざわざアメリカにまで足を運んだというのですが…。夫の行動力が強火過ぎてたまに引くんだけど、20代前半の頃日本より先にアメリカで公開されるスターウォーズの新作がどうしても見たくて公開日に合わせて1人でロサンゼルスに行って念願の映画を見たら勿論英語で字幕もないから内容わからなかったっていう話が今んとこ1番好き。— ステラ☺︎ 6m9/2 (@392cookie) March 14, 2022 当時、夫は同作品で流れてくる英語を聞き取れなかったといいます。そのため、物語の内容も理解することができなかったとか。映画を見るため、アメリカに行ったにもかかわらず、作品の内容が頭に入ってこなかった夫。なんともシュールですが、アメリカに行けたことはある意味思い出になったといえますね!「この行動力を見習いたい!」「フットワークの軽さに驚き。人生が楽しそうだな」といった声が寄せられた、夫の行動。行動力があることは、仕事やプライベートなど、どんな場面でも役に立つでしょう。ですが、熱意が空回りして、「何もできなかった」というのはなくしたいですね![文・構成/grape編集部]
2022年03月16日「いくつになって生涯現役でいたい」と願う人は多いと思いますが、今回オススメする映画を制作したのは、そのロールモデルとなる一人。91歳で新作を完成させたジョージア映画界が誇る伝説的女性監督の注目作です。『金の糸』【映画、ときどき私】 vol. 461ジョージアの首都トビリシの旧市街にある古い家で、娘夫婦と暮らしている作家のエレネ。今日は彼女の79歳の誕生日だったが、家族の誰もが忘れていた。そんななか、娘はアルツハイマーの症状が出始めた姑のミランダをこの家に引っ越しさせるという。ソヴィエト時代に政府の高官だったミランダをエレネは快く思っていなかった。そこへかつての恋人アルチルから、数十年ぶりに電話がかかってくる。蘇るのは、甘い恋の思い出だけではなく、つらい記憶もあった。そして、やがて彼らの過去が明らかになり、ミランダは姿を消してしまうことに……。割れたり欠けたりした陶磁器を修復する「金継ぎ(きんつぎ)」と呼ばれる日本の技法から着想を得ているという本作。今回は、こちらの方にお話をうかがってきました。ラナ・ゴゴベリゼ監督ジョージア初の女性監督を母に持ち、自身は戦後のジョージア映画界を代表する女性監督とされているゴゴベリゼ監督。91歳で27年ぶりの新作を制作し、大きな注目を集めています。そこで、現在は93歳となった監督に、本作に込めた思いや日本文化との関わりについて語っていただきました。―まずは、これだけ長い間映画を撮らなかったのはなぜですか?監督この27年間はジョージアが激動の時代を経験していたので、映画よりも政治的な問題のほうが自分の人生のなかでより取り組むべき課題となっていたからです。実際、私は国会議員になり、与党のリーダーになり、ジョージアの欧州議会で大使になり、ユネスコでもジョージアの大使になるといった具合に政治的な活動に私のエネルギーを費やしてきました。映画を撮らなかったもうひとつの理由としては、国内が経済的に混乱していたので、映画を撮る資金も時間もなかったから。でも、だんだん社会が落ち着いてきて、その間に私の思考も蓄積されてきたので、今回はそれを久しぶりにどうしても映画として表現したかったんです。主人公たちの考えそのものが大きな役割を果たしている、そんな映画になりました。日本人はお互いを理解し、美しさを尊重する国民―本作にインスピレーションを与えたという日本の「金継ぎ」については、どういった経緯で知ったのでしょうか。監督具体的にどこの記事だったかは覚えていませんが、たまたま目にした記事に写真が載っていて、壊れた器の破片がまるで金の糸を使って繋ぎ合わせたかのように修復されていました。壊れていて存在していなかったものが、美しく元通りに復元されているのがとても印象深かったです。その記事を見たときに、人間の悲劇的な過去も同じように愛と理解と思いやりで修復して美しいものにできれば、新しくこれからを生きていく力を得ることができるんじゃないか、というふうに考えました。金継ぎのみならず、私は前々から日本人の美意識をとても素晴らしいと思っていましたし、日本文化を深く尊敬しています。―日本文化に対して、そういう印象を持たれるようになったきっかけはありますか?監督私はどこの国の文化にも興味を持っていますが、そのなかでも昔から映画や文学をはじめとする日本の文化には特別なものを感じていました。特に映画に関しては、私が黒澤明監督と個人的に知り合いで、実際に会ったこともあるというのは大きいのかなと。黒澤監督とは私の過去作である『インタビュアー』について、深く話し合ったこともあるほどです。そして、私が日本文化で素晴らしいと思うのは、日本人の美意識。この点において、日本人は特別な感覚を持っているのではないでしょうか。暴力が蔓延し、バラバラになっている世界を救う唯一の手段は“美”だと私は考えていますが、日本人のみなさんは昔からお互いに理解し合うことや美しさを尊重している国民だと感じています。過去を深く考えないと、現在も未来も築けない―劇中でエレネが発する人生や過去、死に対しての言葉は、非常にどれも印象的でしたが、さまざまな経験をしてきた監督が大事にしていることは?監督年を重ねるごとに、だんだんと人生を俯瞰して見ることができるようになってきました。そんななかで痛切に感じているのは、人生における人と人との関係性、お互いに対する思いやりや理解以上に大切なものはないということです。だからこそ、壊れた器を金継ぎで直すように人間の過去における不幸な出来事も元通りに美しく修復できたらいいなと。そういった考えをこの作品のメタファーとしてうまく表現できたと思っています。―「過去は重荷か、財産か」という言葉も、誰もが人生で抱く問いだと感じました。激動の時代を生きてきた監督が次の世代に向けて、過去との向き合い方について伝えておきたいことはありますか?監督私は過去について深く考え、きちんと理解しないことには現在も未来も築けないと思っています。ジョージアというのは大変な歴史をたどっているので、私も子どもの頃に父が処刑され、母が10年間も強制収容所に送られるというつらい経験をしました。非常に不幸な過去ではありましたが、それについてもよく考えたうえで理解しないことにはただ重荷になってしまうだけなんですよ。というのも、大きなトラウマになるような出来事ではあったものの、いろいろな人が救いの手を差し伸べ、助けてもらうことはたくさんありました。不幸な記憶ばかりでなく、人の優しさや思いやりを感じることもあったので、それらをひとつずつ思い出すことで“金の糸”が過去を美しくつなげて修復してくれるのではないかなと。そうすることで重荷が財産となり、より豊かな現在と未来を楽に生きることができるのです。大切なのは国や組織と言った大きな単位ではなく、人間ひとりひとりの関係。それを美しいものにしていく意識を持ってほしいとみなさんにも伝えたいです。内面的な老いは自分でコントロールすることができる―いつまでもやりたいことを追求している監督の姿に憧れる女性は多いと思うので、ぜひ生涯現役の秘訣を教えてください。監督年を取ることを止めることはできませんが、内面的な老いはある程度自分でコントロールすることはできると思っています。そのためには頭を働かせることが必要ですが、大事なのは私たちを取り巻く世界に対する関心と興味をつねに持ち続けること。そして、もし扉をひとつ閉めたら、別の扉を開けて新しい人々と出会ったり、新しい詩を見つけ出したりしています。それが私に大きな力を与えてくれているものです。そんなふうに、いろいろなことに興味を持っているうちは生きている実感があるので、老いのプロセスもゆっくりと進むのではないかなと。あともうひとつ付け加えるなら、誰かに必要とされている感覚を味わい、自分の存在意義を感じながら生きるというのも秘訣だと思います。―素晴らしいお言葉をありがとうございました。日本ではジョージアの文化に触れる機会は少ないので、ご自身の作品を通して日本人に知ってほしいジョージアの文化や歴史についてお聞かせください。監督ジョージアの歴史は3000年以上あるので、1本の映画だけで層の厚いジョージア文化を伝えるのは難しいかもしれません。例を挙げるなら、映画のなかにも出てくるショタ・ルスタヴェリというジョージアを代表する大詩人。14世紀頃に始まる西洋のルネサンスのアイディアも、その数百年前に先取りしていたと言われているほどなんですよ。いろいろな民族から侵略されるような大変な経験をしてきた私たちですが、そんななかでも少数派のジョージア人が生き残れたのは、生きる力や喜びを与えてくれた文化の力だったのではないかなと。建築や絵画をはじめとするジョージア文化はとても独特なので、ぜひ注目していただきたいです。過去をつなぐ“金の糸”は、よりよい未来を紡いでくれる激動の時代を生き抜いてきたからこそ、発せられる重みのある言葉の数々。さまざまな葛藤を抱えながら生きる女性たちの姿は、過去との向き合い方を学ぶことがよりよい未来へと繋がっているのだと身をもって教えてくれるはずです。取材、文・志村昌美心に響く予告編はこちら!作品情報『金の糸』2月26日(土)より岩波ホールほか全国順次公開配給:ムヴィオラ© 3003 film production, 2019
2022年02月25日いつの時代も、大きな関心を集めるものといえば、グルメに関する話題。そこで、破格の値段で取引されることもある“世界最高級食材”として注目を集めている白トリュフの知られざる真実に迫ったドキュメンタリーをご紹介します。『白いトリュフの宿る森』【映画、ときどき私】 vol. 456北イタリアのピエモンテ州でささやかれていたのは、夜になると白トリュフを探しに出かける妖精のような老人がいるという“言い伝え”。人の手によって栽培が行われたことがないアルバ産の白トリュフは、なぜそこに育つのか解明されていなかった。危険が多い森の奥深くで、訓練された犬たちとともに伝統的な方法で白トリュフを探す老人たち。まるで宝探しをするように楽しんでいたが、近年は気候変動や森林伐採によって収穫量が減少していた。トリュフが実る場所を決して誰にも明かさない彼らの“秘密”とは……。サンダンス映画祭を皮切りに、世界有数の映画祭で“異彩を放つドキュメンタリー”として大きな話題となった本作。今回は、舞台裏を知り尽くすこちらの方々にお話をうかがってきました。マイケル・ドウェック監督 & グレゴリー・カーショウ監督2018年の『THE LAST RACE(原題)』以来、2度目の共同監督を務めたドウェック監督(写真手前・右)とカーショウ監督(同・左)。謎に包まれていたトリュフハンターたちの日常に迫るため、3年もの歳月をかけたおふたりに、撮影秘話や現在取り組んでいる新たなプロジェクトについて語っていただきました。―家族にさえトリュフの場所を教えないほどの秘密主義であるトリュフハンターたち。そのコミュニティに部外者が入り込むのはかなり大変だったと思いますが、どのようにして彼らの信頼を勝ち取ることに成功したのですか?ドウェック監督まず言えるのは、ワインとエスプレッソはかなり飲んだということですね(笑)。というのも、ここではすべてのことが秘密なので、街に2軒ほどしかないレストランに通うところから始めたからです。メニューに載っているトリュフをどのハンターから仕入れているのかを尋ねても、最初は「父親の代から40年以上の付き合いだが、トリュフハンターには会ったことがない」と言われてしまうほどでした。―なかなか厳しい対応ですね。実際、彼らはどうやって取引しているのでしょうか。ドウェック監督夜中にお金を入れた木箱を外に出しておくと、朝には魔法のようにトリュフが入っているそうです。その後、店主が司祭をしているいとこなら何か知っているかもしれないからと紹介してくれました。そこで、「カルロという人が教会に来るときはいつもトリュフの匂いがするから彼がハンターじゃないかな」という情報を得て、今度はカルロを紹介してもらったのですが、彼からは「僕は違うけど、あの人が怪しいかも」と言われてしまったんです。そんな状況が3~4か月ほど続きましたが、それでも諦めずにいろいろな方に話を聞き続けました。その間はカメラを出さずに、ただ彼らから家族にまつわる思い出話を聞いたり、農場を見せてもらったりするだけ。かなり時間はかかりましたが、そんなふうに接していくなかで家族のような関係性を築くことができました。減少する白トリュフを保護する一助になりたい―その結果、実はトリュフハンターだったカルロさんはじめ、みなさんが出演してくださったのですね。ドウェック監督あとは、僕たちが滞在していたアパートの近くにお肉屋さんとチーズ屋さんがあったので、朝イチで大量のお肉とチーズを仕入れることも大事な日課。それを持って、行く先々の人たちとおみやげ交換をしていましたから。そうやって心地よい関係になってからカメラを入れたので、撮影を始めたときには彼らもカメラを意識することなく自然と進めることができたのだと思います。―ただ、そのいっぽうでトリュフハンターたちの背後に渦巻く深刻な問題の数々が映し出されており、衝撃を受ける場面もありました。カーショウ監督毎年トリュフの獲れる数が減っているにもかかわらず、世界的な需要がどんどん上がっているので、いまや白トリュフは金塊と同じくらいの値段で取引されることもるほどですからね。そういったことが大きなプレッシャーとなり、それまで起きなかった争いやライバルの犬を毒殺してしまうといったダークな部分を生み出しているのだと感じました。―それらの現実を目の当たりにして、監督たちの考え方に影響を及ぼすこともあったのでは?カーショウ監督僕たちも、白トリュフがこれほど稀有な食材となっていることを今回の撮影を通して知ったので、それがきっかけとなって始めたのが保護プログラム。集めた資金をトリュフハンターたちに渡し、彼らがトリュフハンティングしている土地を買えるようなシステムを作りました。そうすることで、危険にさらされているこの場所を永久的に保護できると考えているので、それが減少しているトリュフの問題を解決する一助になることを願っています。トリュフハンターたちから大きな影響を受けている―この伝統を守るために、消費者である私たちでもできることがあれば教えてください。ドウェック監督先ほどお話した保護プログラムとともに行っていることのひとつが、この地域で作られたトリュフハンターワインを生産すること。そこで得たすべての収益が彼らに還元されるようなシステムになっており、それによって現在までに52エーカーもの森林を守ることができました。なかなか難しいところですが、まずは森を守ることが一番だと考えています。―支援の第一歩として、トリュフハンターワインを買うことから始めるというのであればできそうですね。ドウェック監督今後は、これをお手本にしてほかの街や国がそれぞれの文化を保護する動きが活発になることを願っているところです。というのも、これらのプログラムは森林だけでなく、コミュニティなどの“文化的生態”を守るためのものでもありますからね。あとは、この映画にインスピレーションを受けて、新しい世代のトリュフハンターが生まれてくれることも願っています。―いろいろな形で広がっていくといいですね。また、個性豊かなトリュフハンターたちの“名言”も見どころですが、彼らと接するなかで感銘を受けたことといえば?ドウェック監督彼らが自然や犬と密接な関係を保ちながら過ごしているのを見て、「自分はこれからどういうふうに生きていけばいいのか」と考えるきっかけになったので、僕たち自身も大きな影響を受けました。すでにこの映画を観た方々からも、「生き方を変えようと思った」とか「自給自足の生活をしてみたい」といった意見がたくさん届いたほどです。カーショウ監督トリュフハンターのなかには、すでに90歳を過ぎている人もいますが、みんなエネルギーや喜びを持って生活している人ばかり。一緒にいると、若者と接している感じがしてとても驚きました。なかでも、カルロの奥さんが「年も取ったんだし、仕事はもう終わりにしてほしい」と言ったときに、カルロが「もしこれが人生の始まりだったらどうする?」と返した場面はすごかったですね。いくつになっても、人生のどのタイミングでも、「ここが始まりかもしれない」というのはとても美しい考え方だと思います。この作品が生活を見直すきっかけになってほしい―確かに、非常にステキな言葉だと思いました。では、まもなく公開を迎える日本に対しては、どのような印象をお持ちかを教えてください。ドウェック監督僕が初めて東京で写真展を開催したのは20年前ですが、それからだいたい年に1回は日本を訪れているくらい本当に日本が大好きです。特に、ものづくりや伝統では高いレベルを極めようとする姿勢がすばらしいなと。それは食文化においても言えることですが、食材や生産地にこだわり、自然をリスペクトしているところには感銘を受けています。今回は、映画の写真も含めた写真展を2月16日~4月24日まで東京のブリッツ・ギャラリーで行うので、そちらにもぜひお越しいただけたらと。コロナ禍が終わったら、なるべく早く戻りたいと思っているほど、僕にとって日本は大切な場所です。実は、いま検討している企画のひとつに日本が候補地に挙がっているものがあるので、ぜひ日本で撮影できたらいいなと考えています。―楽しみにしております。それでは最後に、本作を通して伝えたい思いをお聞かせください。ドウェック監督2年以上コロナ禍でみなさんも感じているかもしれませんが、デジタルメディアよりも、もっと自然と触れ合う時間を取るべきだと考えています。この作品が、デジタルメディアに支配されている自分の生活を見直すきっかけとなり、自然との関係性についても改めて考えてもらえたらうれしいです。カーショウ監督確かに、彼らはデジタルが介入する前の世界にそのまま残っている生活を送っていたので、僕たちも1960年代にいるような感覚を味わうことができました。映画を観ていただく方々にも、僕たちと同じようなタイムトラベルのマジックを体感してほしいですし、いまの時代ではなかなか見つけることができないような幸せや喜び、そして美しさを彼らから感じてもらえたらと思っています。“白トリュフの秘密”がいま明かされる!美しい森が生み出す神秘と、その裏に渦巻く欲望の世界を垣間見ることができる本作。人々を虜にする芳醇でミステリアスな白トリュフの香りに包まれながら、無垢なトリュフハンターたちの生き様に心が刺激される1本です。取材、文・志村昌美美しさに魅了される予告編はこちら!作品情報『白いトリュフの宿る森』2月18日(金)より、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント©2020 GO GIGI GO PRODUCTIONS, LLC
2022年02月17日おみかん(@omikan_ka_san)さんがTwitterに投稿した、1枚の写真が話題となっています。おみかんさんはこの日、昔使っていたバッグを処分するため、中身を確認していました。すると、映画のチケットが3枚出てきたといいます。その写真がコチラです。昔使ってたバッグを処分しようと中を探ったら、「千と千尋の神隠し」を映画館に観に行った時の入場券が出てきた・・・20年以上前、お母さんと妹と3人で行った時のやつだ。捨てられないや・・・ pic.twitter.com/iqdbKS5a9B — おみかん (@omikan_ka_san) February 13, 2022 出てきたチケットは、2001年7月に公開された、スタジオジブリ作品の『千と千尋の神隠し』。出典:スタジオジブリおみかんさんは当時、母親と妹の3人で観に行ったそうです。日付は、同年8月2日であることが読み取れ、2022年2月現在、20年以上も前のチケットであることが分かります。おみかんさんは、思い出の品として「捨てられないや」とコメント。投稿には、「確かに、このチケットは捨てられない!」という声が寄せられました。・神隠しではないけど、過去にタイムスリップできそう!思い出が一気によみがえりますね。・『千と千尋の神隠し』に出てくる、電車の片道切符みたい!これは、捨てられないわ。・え、待って…。『千と千尋の神隠し』を映画館で観たあの日から、もう20年も経過したのですか。名作は色あせないな。・2001年8月2日!まさに僕が生まれた日です!なんだか感動。ちなみに、おみかんさんによると、これまで3枚のチケットが入っていることに気が付かないまま、何度もカバンを洗濯していたそうです。それでも、印字が消えなかった『千と千尋の神隠し』のチケット。「何か不思議な力が宿っているのでは」と、想像がふくらみますね![文・構成/grape編集部]
2022年02月14日横浜流星が天才ギャンブラー・斑目貘を演じる映画『嘘喰い』より、貘が挑む国家をも凌ぐ支配力を誇る闇ギャンブル倶楽部「賭郎」(かけろう)に迫る特別映像が公開された。どんなイカサマも悪魔的IQで見破る、“嘘喰い”斑目貘が挑むのは、絶望的なデス・ゲームの数々。そのゲームを取り仕切るのが、この賭郎。「本能寺の変」や「桜田門外の変」、「3億円事件」など、日本の歴史を動かす大事件の裏には、この組織が蠢いていたとか…。今回公開された映像では、貘の前に現れる強敵たちが続々と登場。政財界、裏社会をも支配する賭郎は、政府の要人をはじめ、権力者にして超一流のイカサマ師たちが会員に名を連ね、彼らの賭博には絶対的な頭脳と武力を併せ持つ立会人が派遣される。勝負に負けた代償は、生死を問わず取り立てられる。賭郎の立会人・夜行妃古壱(村上弘明)の「今宵は何を賭けます?」というセリフから始まり、非道の政治家(鶴見辰吾)、マッド・サイエンティスト(三浦翔平)、闇カジノオーナー(白石麻衣)、快楽殺人鬼(徳井優)らイカサマ師たちや、銃口を向ける立会人・目蒲鬼郎(本郷奏多)のシーンも印象的に映し出されている。そして、賭郎の絶対的存在として頂点に君臨するのが、“お屋形様”切間創一(櫻井海音)。かつて貘は、賭郎の頂点を決する一世一代の大勝負でこの男に大敗し、会員権を剥奪されている。それから数年間の時を経て、貘は再び勝負をすることに。「あんたの嘘、俺が喰ってやるよ」と言い放つ貘は、嘘を見破り、勝ち残ることができるのか?ますます騙し合いゲームに期待が高まる映像となっている。『嘘喰い』特別映像『嘘喰い』は2月11日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:嘘喰い 2022年2月11日より全国にて公開©迫稔雄/集英社 ©2022 映画「嘘喰い」製作委員会
2022年02月02日寒さに体が震える日々が続いていますが、できれば心を震わせる体験を味わいたいもの。そこで今回ご紹介するオススメの1本は、感動の波が押し寄せると各国で絶賛されている注目作です。『クレッシェンド音楽の架け橋』【映画、ときどき私】 vol. 450紛争中のパレスチナとイスラエルから若者たちを集めてオーケストラを編成し、和平コンサートを開くという企画を引き受けた世界的指揮者のスポルク。オーディションを勝ち抜き、家族の反対や軍の検問を乗り越えて音楽家になるチャンスを掴んだのは、20余人の若者たちだった。しかし、憎み合う2つのグループは、激しくぶつかり合ってしまう。そこで、スポルクは彼らを南チロルでの21日間の合宿に連れ出す。寝食をともにし、互いの音に耳を傾け、経験を語り合ううちに、少しずつ心の壁がなくなり始めていた。ところがコンサートの前日、ようやく心がひとつになった彼らに、想像もしなかった事件が起きることに……。「世界で最も解決が難しい」とも言われているほど、長年にわたって続いているパレスチナとイスラエルの紛争。本作では、両者の抱える問題を背景に、実在するユダヤ・アラブ混合の管弦楽団から着想を得て描かれています。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。ドロール・ザハヴィ監督イスラエル・テルアビブの貧しい地域に生まれ育ち、現在はドイツを拠点にドラマから映画まで幅広い活動を行っているザハヴィ監督。今回は、現場で感じた苦労や相互理解に必要なことなどについて、語っていただきました。―本作では実在の管弦楽団に行った徹底的なリサーチがもとになっており、実話の要素も入れているということですが、具体的なエピソードを反映しているところはありますか?監督確かに、いくつかの管弦楽団をモデルにしているところはありますが、脚本を書き進めいくうちに、最終的には実際の彼らとは少し離れた物語になりました。ただ、そのなかでも取り込んだのは、2つのグループに分かれていた演奏者たちでも、ひとつになって音を奏でることができるという可能性。そのこと自体は、ストーリーの核となるほど大きなインスピレーションを与えてくれたものになっています。―完成までの過程で、苦労したことを挙げるとすればどんなことがありますか?監督今回、役者は3~4名ほどで、あとは実際の音楽家たちを集めましたが、キャスティングの段階で会った候補者の数は400人ほど。その際、映画と同じようにイスラエル側の数が多くてパレスチナ側の人数が足りないという事態に直面したこともありました。最終的には何とか集めることができましたが、そういう意味では劇中の指揮者と同じような苦労を味わったと言えますね。劇中のキャラクターと同じ道のりを経験した―現場では、最初は他人行儀だったキャストたちが映画同様に友情を育んでいったそうですが、そんな彼らをひとつにまとめるというのも大変だったのではないでしょうか。監督そうですね。撮影中に難しい瞬間は訪れるだろうと思ってはいましたし、人がどんなにすべてを予測したつもりでも必ず意外な展開が待っているものですから。ただ、そういったプロセスも演じたキャラクターたちが経験したのと同じような道のりだったのではないかなと思っています。今回私が意識したのは、グループ内における彼らの“力学”などを見ながら、ひとつにまとめること。私たちは3つの国をまたぎながら、同じホテルで一緒に過ごし、毎日食事をともにしながら話をする生活を7週間にわたって繰り返しました。そういった過程を経て、みんなが劇中のキャラクターと同じようにひとつのグループとして成長してくれたのです。撮影が終わったころには実際に友情を育んでいたキャストたちもいましたし、友人ができなかった人でも相手について学ぶことはできたのではないかと感じました。何よりも大事なのは、相手に敬意を持つこと―中東に限らず、さまざまな国でも対立は起きているので、劇中の彼らの姿は“世界の縮図”のようにも見えました。お互いに理解し合い、歩み寄るために必要なことは何だとお考えですか?監督映画のなかでしたのと同じように、対立しているグループの間にひもを置いて、相手に対する攻撃的な思いをお互いにすべて出し切るというエクササイズをするのがいいんじゃないかな(笑)。というのは冗談としても、僕自身がひとりの人間として経験してきたことを通して言うのであれば、何よりも大事なのは相手に対して敬意を持つこと。たとえお互いの意見が同じではなくても、敬意さえ持っていれば、問題は解決できるはずですし、相手への攻撃的な態度も消えるものと考えているからです。そういった部分は、この作品が世界のさまざまな国で公開された際にも多くの観客に強く響いていると感じました。これらの問題は中東特有のことではなく、あらゆる国でも起きていることですが、お互いの言葉に耳を傾け、リスペクトし合えれば、私たちの間にある対立や紛争といったものはなくなるのではないでしょうか。ぜひみなさんにも自分の文化や人生の視点から、自分ゴトとして観ていただけたらうれしいです。日本の料理や映画、文学がすごく好き―まもなく公開を迎える日本に対しては、どのような印象をお持ちですか?監督やっぱり、まずはお寿司ですよね(笑)。というのも、私はいまベルリンに住んでいるのですが、家の近くにたくさん日本料理屋さんがあって、よく通っているほど好きなので。あとは、日本映画の大ファンで黒澤明監督から最近の監督まで観ていますし、日本の文学もすごく好きです。この映画と一緒に来日できずに残念ですが、いつか訪れたい国のひとつなので、必ず実現したいと思っています。日本が好きな理由として挙げるとすれば、それはイスラエルと日本には奇妙なつながりがあると感じているからです。立場は違うものの、私たちは第二次世界大戦中に強い苦しみをそれぞれ経験してきました。そして、それが国民性に与えた影響に近いものがあると私は考えています。あとは、日本が軍事力を使わずに平和主義の道を歩んでいるところもすばらしい思っているところです。―それでは最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願いします。監督まずは、たくさんの方に観ていただき、この作品がみなさんの心のなかに届くことを願っています。中東の対立における基礎に関しては、本作を観ていただければわかっていただけると思いますが、この紛争というのは、世界に影響を与えるものでもあるので、ぜひ両者の立場というものを知っていただければと。どちらの立場もバランスよく、敬意を持って描いたつもりなので、それがみなさんにも伝わればうれしいです。琴線に触れる音楽が心に響く!音楽の力が生み出す“奇跡の瞬間”を目の当たりにする本作。憎しみを慈しみの気持ちへと変えてしまう美しいハーモニーを奏でる若者たちの姿は、言葉や文化を超えて観る者の心を大きく揺さぶるはず。いまの時代において、真の平和とは何かを改めて考えさせられる珠玉の1本です。取材、文・志村昌美美しい音楽を奏でる予告編はこちら!作品情報『クレッシェンド音楽の架け橋』1月28日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開配給:松竹© CCC Filmkunst GmbH
2022年01月27日『パラサイト半地下の家族』で知られるポン・ジュノ監督の『母なる証明』(’09年)や、『花より男子ファイナル』(’08年/石井康晴監督)、『味園ユニバース』(’15年/山下敦弘監督)等、様々な作品に助監督として参加し、自費製作による長編映画監督デビュー作『岬の兄妹』(’18年)が複数の映画賞を受賞した片山慎三監督による初の商業映画作品が『さがす』だ。主演は20年前に片山監督が制作スタッフとして参加したドラマ『アイノウタ』(’02年)に出演していた佐藤二朗。佐藤は撮影当時21歳だった片山監督に対し、「右も左もわからぬいわゆる“使い走り”だが、発想や発言がおもしろい」という印象を抱いていたという。片山監督は本作を製作するにあたり、佐藤に主演をオファーする手紙を送り、そこに添えられた脚本に惹かれた佐藤は出演を快諾したのだとか。その佐藤が演じるのは、大阪の下町で中学生の娘・楓とふたり平穏に暮らす原田智。ある日、彼は楓に「指名手配中の連続殺人犯を見た。捕まえたら懸賞金の300万円がもらえる」ということを伝える。楓は父のいつもの冗談だと思い相手にしないが、翌朝、智は姿を消す。そこから楓の父捜しが始まり、父の名前で日雇いの仕事をする指名手配中の連続殺人犯・山内照巳とおぼしき姿を見つける…。とにかく見どころの多い作品だ。『岬の兄妹』でも見せた、どこかユーモラスな人間味を漂わせながらも、現代社会の闇と人間の本質をえぐりとるようなドラマを描く片山監督の手腕。おかしみと親しみやすさを感じさせながらも何を考えているかわからない凄みを背負う智役の佐藤二朗。愛する父を捜すために、連続殺人犯かもしれない謎の男に物怖じせず向かっていく楓を演じるのは伊東蒼。『湯を沸かすほどの熱い愛』(’16年)で子役として鮮烈な印象を与え、多くのメディアで2021年の年間ベストに入った傑作映画『空白』やNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』といった作品でどんどん輝きを増している16歳だ。そして、静かな狂気を発する連続殺人犯・山内照巳を演じるのは『渇き。』(’14年)のいじめられっ子役で注目され、近年『東京リベンジャーズ』(’21年)や『おかえりモネ』といった作品で存在感を高めている清水尋也。巧みな脚本、演出、芝居…確固たる才能が集結し、死生観、親子関係、倫理観といった人が生きる上では避けて通れない問題を内包し、登場人物それぞれの正義が交錯しながら物語が進んでいく重層的な映画作品が生まれた。必死で父を捜す楓に警察官が「君はいったい誰を捜しているの?」と問いかけるシーンがあるが、視聴者自身の価値観をも問うような強烈な余韻が残る作品でもある。片山監督はポン・ジュノ監督作品等で韓国の撮影現場を経験したことで「日本の映画監督に足りないのは時間」という持論を抱くようになり、『さがす』はこの規模の作品では異例の約2か月という撮影期間が設けられた。それによりひとつひとつのシーンに多くの時間がかけられ、丁寧な作品作りができたという。そういった日本映画の現状に危機感を持ち、業界全体を底上げし未来に繋げようという気概も『さがす』には宿っている。『さがす』ある日、父は娘に「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」と告げて姿を消す。監督・脚本/片山慎三出演/佐藤二朗、伊東蒼、清水尋也ほか1月21日より全国順次公開。©2022『さがす』製作委員会※『anan』2022年1月26日号より。文・小松香里(by anan編集部)
2022年01月24日2022年1月14日(金)に劇場公開を控える映画『エル プラネタ』が、J-WAVE(81.3FM)のラジオ番組「JAM THE PLANET」がお届けする特別オンライン上映会JAM THE CINEMAで、先着200名限定の劇場公開直前特別オンラインプレミア上映されることが決定した。「Instagram最初の傑作!」と話題を呼んだパフォーマンス・アート<Excellences & Perfections>で時代を象徴し、その後Gucciのクリエイティヴデジタルプロジェクト#GucciGramに起用され、 Forbes 30 Under 30 「世界を変える30歳未満」30人に選出されるなど、その端正なルックスとファッションセンスを生かした作品を発表し脚光を浴びている現在注目度急上昇中のアーティスト、アマリア・ウルマン。そんな彼女が自ら主演、母親役には自身の母を起用、さらに自らの貧困体験を織り交ぜた崖っぷち母娘の現実逃避行ムービーが『エル プラネタ』だ。本作は映画界が熱視線を送るゴッサム・インディペンデント映画賞にて「ベストスクリーンプレイ」「ブレイクスルーパフォーマー」の2部門にノミネートし、その存在感に期待が寄せられている。そんな本作が今回、「JAM THE PLANET」がおすすめの映画を期間限定で特別オンライン上映するJAM THE CINEMAの第2弾として、劇場公開直前特別オンラインプレミアが決定。問題を抱えた“崖っぷち”真っ只中でも、なりふり構わず生き抜こうとする母娘の姿は、滑稽ながらもどこか身近に感じられ、最高に愛おしい。“リアル”と“虚構”の境界の狭間で生きるミレニアル世代の現代の閉塞感を見事な勇気とユーモアで描く“究極のセルフィ映画”をJAM THE CINEMAで体験しよう。【作品内容】ロンドンでの学生生活を終えた駆け出しスタイリストのレオ(アマリア・ウルマン)は、母親が暮らす故郷スペインの海辺の町・ヒホンに帰るが、母親(アレ・ウルマン)は家賃滞納でアパートも退去を迫られてるギリギリの状態だったー。母と娘はお金も仕事もない厳しい状況ながらも、身分不相応に“SNS映え”するスタイリッシュな暮らしを目指すー。視聴期間は2022年1月8日(土)から1月10日(月・祝)まで、PIA LIVE STREAMにて。チケット発売中。
2021年12月28日重厚な人間ドラマと歴史の悲劇を魂の演奏が彩る音楽ミステリー。映画『天才ヴァイオリニストと消えた旋律』をご紹介します。1951年のロンドン。華々しいデビューコンサートの開演を控えた21歳の天才ヴァイオリニスト、ドヴィドルが忽然と姿を消す。それから35年。彼と兄弟同然に育ったマーティンは、あるコンクール会場でドヴィドルに繋がる糸口を見つけ、彼の消息を追い始める。あの日、リハーサルを終えてホールを後にしたドヴィドルに何が起きたのか。熟年にさしかかったマーティンをティム・ロスが演じるミステリーは、ヴァイオリンの調べに彩られた重厚な人間ドラマでもある。なにしろ、ドヴィドルはユダヤ人。ナチスが台頭するなか、才能を伸ばすべく、わずか9歳でワルシャワの家族と離れてロンドンのマーティンの家で暮らしていたのだ。第二次大戦後という時期の失踪に、彼のルーツが関わっていることは容易に察しがつく。やがてマーティンは、「歌を演奏しに行く」という彼の言葉を知るのだけれど、それにしてもなぜ、姿を消す必要が?深まる謎は、ユダヤの伝統のみならず、宗教の違いを超えて観る者の魂を震わせる深い思いへと繋がっていく。監督は、高名なヴァイオリン職人が妻子を悼んで作った名器の4世紀にわたる旅を描き、アカデミー賞音楽賞に輝いた『レッド・バイオリン』のフランソワ・ジラール。今作ではレイ・チェンが奏でる旋律が重厚なドラマを盛りあげる。後半ためにためて登場するドヴィドル役のクライヴ・オーウェンの演奏姿もいいけれど、少年時代を演じるルーク・ドイルがとにかくいい。自信溢れる天才少年ドヴィドルが、空襲警報下の防空壕で年上ヴァイオリニストを挑発するようにして始める競演のなんとワクワクすること!ルーク自身も8歳でヴァイオリンを始め、ウェールズ国立青年オーケストラに最年少メンバーとして所属しているのだとか。彼の今後にも期待せずにいられません。ドヴィドルの魂の演奏とともに、人間関係そのものもミステリーなのだということを浮かび上がらせるラストの大人な余韻もじっくり味わってね。『天才ヴァイオリニストと消えた旋律』監督/フランソワ・ジラール出演/ティム・ロス、クライヴ・オーウェン、ジョナ・ハウアー=キング、ジェラン・ハウエル、ルーク・ドイル、ミシャ・ハンドリーほか12月3日より新宿ピカデリーほか全国公開。©2019 SPF(Songs) Productions Inc., LF(Songs) Productions Inc., and Proton Cinema Kft※『anan』2021年12月8日号より。文・杉谷伸子(by anan編集部)
2021年12月06日芥川賞作家・津村記久子のデビュー作『君は永遠にそいつらより若い』を初の映画化。佐久間由衣、奈緒をはじめ気鋭の若手俳優たちのキャストで、今回が長編3作目となる吉野竜平が監督を手掛けた。大学卒業を間近に控え、就職も決まって手持ちぶさたな日常を送るホリガイ(佐久間)が主人公。こんな自分が社会の中でちゃんとやっていけるのか。イノギ(奈緒)ら、彼女を取り巻く人間模様を通して、欠落感を抱えたまま他者や社会と関わって生きる若者の姿を描く。日常に潜む暴力や哀しみに触れながら、悩み、焦り、もがくホリガイたちの感情の機微をすくい上げ、その揺れる思いの中から独特な優しさが染みて来る作品だ。今、ドラマや映画で注目の若手女優・佐久間が来阪、今作から伝えたい思いを語った。原作の舞台は関西だが、東京に置き換えて映画化された。ホリガイの役作りは撮影前、吉野監督と一緒に「ホリガイの履歴書みたいなものを作る」ところから始まった。「好きな漫画やテレビ番組、カバンの中身や雨の日は長靴を履くかとか、細かいことを。監督の希望は必ず水筒を持ち歩いている子で、中身は紅茶に決めました」。現場では“履歴書”に縛られず、逆に「その場に集中する時間が増え、自由でいることができて。ホリガイの、その場の空気を読みすぎて空回っているような感じを自分の中で意識しようと心掛けて演じました。客観的に彼女を見て『大丈夫だよ。できるできる』と思いましたが、本人にとってはそれがすごくシリアスな問題なんですよね」。ホリガイを演じながら、撮影は佐久間にとって「昔の自分を思い出すような時間」だったようだ。ホリガイとイノギの関係性も印象に残る。「友情とか恋愛を越えた関係性というか、ふたりはソウルメイトのような奇跡に近い出会いをしたんだろうと。一緒にいて安心する、落ち着く。言葉にできないふたりの信頼関係のようなものが、演じていてすごくうらやましかったです。悩みを持ちながら生きていても、誰かと関わる中で無意識のうちに支えたり支えられたりしているんだと、この映画から私自身が感じました」。佐久間からのメッセージを。「いろいろな捉え方をしていただける映画だと思います。この作品を見た方が、それぞれの思いを重ねて、自分を見つめ直す時間や誰かを想う時間が増えるきっかけになれば。否定でも肯定でもなく、ただ寄り添うような優しい映画として、若い世代からこんな気持ちを懐かしく思う大人の世代まで、幅広い人に届いたらいいなと思っています」。映画『君は永遠にそいつらより若い』は、9月17日(金)より全国公開。取材・文:高橋晴代
2021年09月14日作品数が膨大なサービスから、セレクト眼に定評のあるものまで、多様化が進む動画配信サブスクの最新事情を徹底レポートします!観切れない作品があるという環境を、思う存分楽しんで。作品数も内容も勢いが止まらない動画配信の世界。その現状を、映画ライターの村山章さんに教えてもらいました。「最近、配信と劇場公開の両立が議論されています。新型コロナの影響もあって映画館での公開延期が続出する中、元々劇場用に作られた作品は映画館での上映を重視するのか、配信でなるべく早く作品を届けることに重きを置くか、難しい問題。ただ、劇場に足を運ぶのが難しい人にとっては、話題作をいち早く配信で観られるのは嬉しいことでしょうし、日本の作品がスピーディに世界中に届けられるというメリットもあります」サービスの種類も多様化。「膨大な作品数を誇る会社がある一方、独自のセレクトを押し出したサービスも登場しています。最近では、映画館のル・シネマが、シネフィル好みのブランド力を活かした動画配信を始めたり、JAIHOなど常時30作品とあえて配信数を絞るところも。また、U‐NEXTは、メジャーからマイナーまでライブラリーを充実させようとする意欲が凄く、レンタルビデオ店が家にやってきたような感覚を味わえます。サブスクの選択肢が増え、選べず悩む人もいますが、一生かけても観切れないほど面白い作品がある状況を楽しめればいいのでは。ふとした瞬間に思わぬ名作に出合えます」自分に合ったサービスを見つけるには?「“数を絞って節約しなきゃ”“無料期間に観終わらないと!”と損得感情に囚われず、複数でも気になったものに加入してみて、自由なタイミングで出入りするのでいいと思うんです。一つの指針としては、Amazonで買い物することが多い人はAmazon Prime Videoなど、加入しているサービスと提携した割引があるものに入ってみるなど、自分の生活圏に近いものをまず選ぶといいかもしれません」作品が多すぎて何を観ればいいか迷った時は?「よく聞くのが、Fire TV Stickで、作品リストをあれこれ見ているだけで1時間が経ってしまった…という声。でも、その選んでいる時間もすでにエンタメだと僕は思っています。もし、それがジレンマになるのならば、配信期間終了が近いものから観てみるのはいかがでしょう?ちなみに、Amazon Prime Videoは、“見放題が終了間近の作品”が、トップ画面に表示されます」動画配信作品ならではの楽しみ方って?「計画を立てるのが好きな人は、“1か月の無料期間集中まとめ観計画”を立ててみるのも面白いかもしれません。また、“マイリスト”を溜めたままにしがちな人は、一覧を眺め、ダーツでも当てる気分で気軽にポチッとしてみて。そういう時に意外といい作品に出合えたりするんです。また、最初は避けがちな、見放題でない課金作品に良作が潜んでいることも多く、その発掘も楽しみ方の一つです」【Netflix】オリジナル作品の、圧倒的なクオリティと数が強み。配信作品が米アカデミー賞にノミネートされるという快挙を成し遂げ、オリジナル映画&ドラマ、ドキュメンタリー番組の質に定評のあるNetflix。その作品数も圧倒的だ。さらに、『愛の不時着』『ヴィンチェンツォ』をはじめ、独占配信&オリジナルの韓国ドラマもヒットを連発していて、話題に事欠かない。巨匠監督たちと手を組んだ作品づくり、日本のアニメスタジオを起用したプロジェクトなど、今後も目が離せないラインナップが揃う。『海街チャチャチャ』海辺の町で開業した歯科医の女性(シン・ミナ)と、“万能ニート”の異名を持つ便利屋の青年(キム・ソンホ)。正反対の二人が衝突しながらも恋愛模様を繰り広げる、韓国のラブコメディドラマ。『KonMari ~“もっと”人生がときめく片づけの魔法~』片付けコンサルタント・近藤麻理恵が、悩みを抱える海外の家庭を訪れ、暮らしを整えるメソッドを伝えるシリーズの第2弾。片付けを通して生き方も考えさせられる作品だ。Netflixシリーズ独占配信中【Amazon Prime Video】独自の映画や番組も続々登場!作品の幅広さに磨きがかかる。Amazonプライム会員ならば追加料金なしで利用可能な動画配信サービス。新作映画や日本制作のバラエティ番組配信のイメージが強かったが、未知のエイリアンとの戦争を描いたSF大作『トゥモロー・ウォー』など、オリジナル作品も充実。さらに、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の独占配信も大きな話題となり、新作の最速配信とオリジナル、そして音楽系バラエティと、ますます幅広い視聴者層の心を掴むラインナップに。『ザ・マスクド・シンガー』世界中を熱狂させてきた音楽ライブエンターテインメントの日本版がついに登場。ユニークなマスクで正体を隠した人物のパフォーマンスと歌声から、誰なのか推理する、全く新しい発想の番組。『シンデレラ』シンデレラの物語を現代のアーティストの大ヒットソングとともに綴る、ミュージカル映画。カミラ・カベロが主演を務め、美しい歌声を披露。彼女を助けるゴッドマザー役には、ビリー・ポーターをキャスティング!【WOWOWオンデマンド】社会派からユニークな作品まで幅広いオリジナルドラマが揃う。WOWOWで放送されるドラマやスポーツの大部分を観ることができる他、ライブ配信やアーカイブ配信もあるのが嬉しい。質の高さに定評のあるドラマを中心としたオリジナル番組も、近年さらにパワーアップ。王道のサスペンスドラマだけでなく、配信中の『グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ』などユニークな企画も。また『山河令(さんがれい)』など日本初上陸の中国ドラマが観られる貴重な場でもある。『WOWOWオリジナルドラマ演じ屋』客から依頼された役になりきる職業、演じ屋。演じることで人々の心を救っていく様と、それぞれの“復讐”の形を描く。奈緒・磯村勇斗のW主演で贈る、なりきりエンターテインメント。『WOWOWオリジナルドラマ男コピーライター、育休をとる。』同名の書籍を瀬戸康史主演で映像化したハートフルコメディ。男性コピーライターの育児休業体験を通して会社員が直面する社会問題を考えるきっかけにも。【ザ・シネマメンバーズ】家でミニシアター気分を味わえる、珠玉の名作を目利きがセレクト。国や年代を問わず、毎月2~4本の作品を丁寧に選んで届ける、いわば、ミニシアター系配信サービス。そのセレクトには、アート系の作品にも、できるだけハードルを下げて気軽に触れてほしい、という想いが込められている。作品数と配信期間に制限を設けることで、自分好みの作品がズラリと並んだ名画座のような存在に。名匠監督の特集のほか、「映画を撮ることについての映画」など、独自のテーマ立てをした特集も行っている。『コロンバス』“そしてまた歩き出す。”というテーマでセレクトされた一作。モダニズム建築の宝庫と呼ばれる街で出会った男女の物語。韓国系アメリカ人監督・コゴナダの初長編映画。小津安二郎の構図にも通じる映像美も必見。©2016 BY JIN AND CASEY LLC ALL RIGHTS RESERVED.『海辺のポーリーヌ』恋愛喜劇の巨匠、エリック・ロメール監督特集にて配信。海のある避暑地で繰り広げられる、少女のひと夏の体験を描く‘83年の作品。ロメール監督作品は、好評に応えて9月15日から再配信が決定。イチオシの新作はコレ!©1983 LES FILMS DU LOSANGE-LA C.E.R.【U‐NEXT】巨大レンタルビデオ店の棚を眺めている時の楽しさを再現。『フレンズ:ザ・リユニオン』など、米の大手TVネットワークHBOとHBO Max作品の独占配信が話題となった。それだけでなく、見放題作品の数が最も多く、レンタルビデオ店のコーナーPOPを思わせるような楽しいテーマ切りの映画や、韓国ドラマ、タイドラマなど、ジャンルは幅広い。加入すると電子書籍の利用もできるため、原作と映像化作品を併せて観る、なんていうことも可能。新作映画の視聴などに使えるポイントが毎月1200ポイント貰えるのも嬉しい!『ゴシップガール』社会現象を巻き起こした同名ドラマの制作陣が再結集、キャストを刷新して、より過激になって帰ってきた!NYに住むリッチなZ世代たちのゴージャスな日常を彩る、最新ファッションも見逃せない。©2021 WarnerMedia Direct, LLC. All Rights Reseved. HBO Max TM is used under license.『ホテルデルーナ』IU 演じる気難しいホテルオーナーと、ヨ・ジング演じるエリートホテリエが、幽霊だけが泊まれるホテルを舞台に繰り広げるファンタジーラブロマンスドラマ。韓国のtvNで‘19年最高視聴率を獲得した話題作。独占配信©STUDIO DRAGON CORPORATION村山 章さん映画ライター。配信系の映画作品を中心に取り上げるレビューサイト「ShortCuts」 代表も務める。最近は、ハル・ハートリー監督作品のBlu-rayの字幕監修も担当。※『anan』2021年9月15日号より。取材、文・浦本真梨子(by anan編集部)
2021年09月11日ベルリンの壁崩壊後の東ドイツにおいて、最も重要で最も有名な実在のシンガー・ソングライター、ゲアハルト・グンダーマン。彼の半生を描いた映画『グンダーマン 優しき裏切り者の歌』が、PIA LIVE STREAMにて期間限定配信されることが決定した。映画『グンダーマン 優しき裏切り者の歌』グンダーマンは、昼間は褐炭採掘場でパワーショベルを運転する労働者だが、仕事が終わるとステージに上がり、自ら作った曲を仲間とともに歌う。彼の希望や夢、理想に満ちた歌は、多くの人々に感動を与え人気者になっていった。その一方、当時の秘密警察(シュタージ)に協力するスパイとして友人や仲間を裏切っていた。1990年の東西ドイツ統一後、自身も友人にスパイされていたことを知り、その矛盾を自らに問うこととなる…。本作は、2つの時代から東ドイツの過去を厳しく見つめ、問い直そうとする東ドイツ独特の“ふるさと”映画でもある。分断されていた国に生きた人物の複雑な人生と、現在を生きる私たちの橋渡しをするように響く哀しくも美しい歌とともに紡がれる、新しいドイツ映画、そして音楽映画の傑作だ。監督は、現在ドイツで最も注目されている東ドイツ出身のアンドレアス・ドレーゼン。絶大な信頼をおく脚本のテイラー・シュティーラーとともに10年の歳月をかけて、私たちの知らない人間と国家の断末魔の叫びをユーモア溢れるリアルで繊細なタッチで掬い取り、ドイツで最も権威のあるドイツ映画賞(2019)で作品賞、監督賞含む全6部門で最優秀賞を獲得した。東ベルリン生まれの主演アレクサンダー・シェーアは、グンダ―マン本人と見間違うほどの神がかり的な演技を見せ、劇中で演奏される全18曲を自らカバーしている。視聴期間は8月13日(金)から8月26日(木)まで、PIA LIVE STREAMにて。チケット発売中。
2021年08月16日2021年3月に公開され、興行収入100億円を突破した大ヒット映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。記憶に新しい映画ですが、同年8月13日より動画配信サービス『Amazon Prime Video』にてプライム会員向けに独占配信されることになりました!『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズが独占配信Amazon Prime Videoで配信されることになった『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。日本を含む240か国以上の国と地域で独占配信される予定となっています。Amazon Prime Videoでは、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』以外にも、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』・『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』・『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』といったシリーズ作品が見放題。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ4作品をすべて観ることができるのは、Amazon Prime Videoのみとなっています。世界配信を記念して、特別映像を解禁!YouTubeでは、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の世界配信を記念した特別映像を公開。映像では、日本語を含めた英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ブラジル・ポルトガル語、カスティーリャ・スペイン語、ラテン・スペイン語、中国語、ヒンディー語、韓国語の11か国語で吹き替えられたエヴァンゲリオンの名シーンを観ることができます。動画では、物語の主人公である碇シンジの名台詞「逃げちゃダメだ…逃げちゃダメだ…逃げちゃダメだ!」は日本語となっていますが、そのシーンに続く綾波レイの「あなたは死なないわ。わたしが守るもの」はフランス語に!さまざまな言語でエヴァンゲリオンシリーズを楽しむことができますよ。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、月会費500円、年会費4900円のAmazonプライムに入会していれば、追加料金なしで何度も視聴できます。映画館で見た人もまだ見ていない人も、ぜひ自宅でエヴァンゲリオンシリーズを楽しんでみてはいかがですか。[文・構成/grape編集部]
2021年08月16日漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』で連載していた『SLAM DUNK(以下、スラムダンク)』の映画化決定のニュースに多くのファンが歓喜の声をあげた2021年1月。発表当初、映画化決定の報告のみで、公開時期などは明かされていませんでした。そんな中、同年8月15日に待望の続報が到着。公開時期や映画に携わるスタッフが明かされるとともに、30秒のプロモーションビデオ(以下、PV)も解禁されました。タイトルは未定ながら、公開時期は2022年秋。監督・脚本は原作者の井上雄彦さんが務めます。キャラクターデザイン・作画監督は劇場版『進撃の巨人』を手掛けた江原康之さんが務めるほか、PVの中では今回の映画に携わるスタッフの名前も明かされました。待ちに待ったスラムダンクの映画化に関する続報に、ファンの期待は高まるばかり。「声優は誰だろう」「楽しみすぎて1年が長い」と反響を呼んでいます。バスケットボールに青春をかける男子高校生らを描き、爆発的人気を博したスラムダンク。映画公開時には、再びスラムダンクブームが巻き起こりそうな予感です![文・構成/grape編集部]
2021年08月15日元「乃木坂46」の桜井玲香が初主演、「ナイト・ドクター」『mellow』の岡崎紗絵、「賭ケグルイ」シリーズの三戸なつめが共演する映画『シノノメ色の週末』からキービジュアルが解禁となった。2014年に舞台デビュー、2019年に「乃木坂46」を卒業してからは本格的に女優としての道を歩み出した桜井玲香の待望の初主演映画となる本作。女子高を卒業して10年、夢みていた未来とは違う毎日に、ついネガティブモードに落ち込んだりもするシノノメ女子元放送クラブの3人が、廃校が決まった母校で再会。10年前に埋めたタイムカプセルを探すために週末に集まることに。何にでもなれると思っていたあの頃の自分に戻ったつもりで盛り上がる3人だったが、青春のおかしくて、やがて切ないリアルが忍び寄る…。この度、本作のキービジュアルがお披露目。高校時代に“読者モデル”をしており、“イケてる”グループいた美玲(桜井玲香)は、20代後半になりモデル事務所に所属はしているが、仕事は順調とはいえない生活を送っている。ビジュアルでは、ナチュラルな笑顔のまりりん(岡崎紗絵)、アンディ(三戸なつめ)に対して、高校卒業後、10年ぶりに再会した友人を前に、思わずカメラ目線でキメ顔になる美玲(桜井玲香)という3人を写したキービジュアル。“「ここに来れば輝いていたあの頃に戻れる」ってパターンのはずが…!?”というコピーが、3人の一筋縄にはいかない関係性を予感させる。監督は、映画『月極オトコトモダチ』で、登場人物たちの揺れ動く感情のリアルさと距離感を、繊細かつユーモア溢れる毒っ気で描き注目を集めた穐山茉由。穐山監督のオリジナル脚本による青春ガールズムービーとなっている。『シノノメ色の週末』は今秋、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:シノノメ色の週末 2021年秋、全国にて公開予定©️2021「シノノメ色の週末」製作委員会
2021年07月26日2021年6月26日、歌手の宇多田ヒカルさんがInstagramで行っている生配信番組『ヒカルパイセンに聞け!』に、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の総監督を務めた庵野秀明さんがゲスト出演。アニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』のテーマソングである、『One Last Kiss』の裏話などを語りました。生放送の中で、宇多田さんは「打ち合わせをしていないのに、私の歌と庵野さんの作品がなんか合ってるなって感じる」として、自分の感じた庵野さんとの共通点を語っています。私、人間ドラマとしてずっと見ていたんですよね、エヴァを。曲も作り終えてちょっとしてから、私の曲のテーマが結局は「喪失というものに対してどう向き合うか」という歌になったので。その時、パソコンのオンライン試写会を見ていたので振り返ってみたら、人間が喪失とどう向き合うのか…何か欠けてしまったり失ってしまった時に、人間がいろんな反応をするじゃないですか。否認とか怒りとか受け入れるとか。そういういろんな反応とどう向き合うのかっていうお話。おっきなテーマとして。「そういうテーマがあったから、私もすごい惹かれる作品だったのかなー」と。私もそのテーマがあったので、ずっと。hikki_staffーより引用 この投稿をInstagramで見る 宇多田ヒカルSTAFF(@hikki_staff)がシェアした投稿 『One Last Kiss』には「止められない喪失の予感」という歌詞があり、多くを失いながら葛藤する『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のストーリーと重なっています。宇多田さんの言葉は、庵野さんに響いたようで…。確かに、喪失は大きなテーマの1つですかね。(『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は)「最終的には喪失を受け入れる」っていうだけの話なんですけど。途中から逃げるのを止めて、それを受け入れて自分の中に落とし込む話なんですよね。それを描くのにちょっと時間がかかっちゃった。自分自身が受け入れるのがわりと前はできていたはずなんですけど、それを表現する方法がなかなかできなかったかなと。hikki_staffーより引用うつ状態を経験している庵野さん。だからこそ「主人公の碇シンジを再び立ち上がらせるにはどうしたらいいか」を考え、多くの観客に届くよう苦心して表現したそうです。2人の『喪失』という共通点に、多くの人がハッとしました。・改めて作品を理解できた感じ。喪失から逃げちゃダメ…。・真剣に表現と向き合ってきたアーティストたちの言葉だ。・すごくシンクロしていると私も感じていました。そうか、喪失か…。・喪失とどう向き合うかは、永遠のテーマの1つ。多くの人が、胸に喪失を抱えて生きています。宇多田さんの曲や、庵野さんの作品に私たちが惹かれるのは、喪失感にそっと触れてくれるからかもしれません。[文・構成/grape編集部]
2021年06月28日グラフィティ、ラップ、ブレイキング…1981〜83年に製作され、当時生まれたばかりの “ヒップホップ”をフィルムに捉えた貴重なドキュメンタリー映画『Style Wars』が、PIA LIVE STREAMにて期間限定配信されることが決定した。『Wild Style』(1982)とともに、ヒップホップヘッズのバイブルとして語り継がれ、日本でもビデオやDVDがリリースされたものの長く廃盤となっていた本作。2015年にプロデューサーで写真家のヘンリー・シャルファントらがクラウドファンディングを行い、オリジナルネガから修復したHDリマスター版が完成した。1970〜1980年代、レーガン大統領ですら視察の際に絶句したといわれるほど、がれきの山が延々と続き、貧困と犯罪が蔓延していたブロンクス地区。しかし、そんな灰色の町から全く新しいサブカルチャー、ヒップホップが生まれる。無数のグラフィティを描く少年たちはライターと呼ばれ、彼らが”グラフィティ”を街中に描くことは自身の存在を”ボム(=爆破)”することを意味していた。インターネットなど存在しない当時、閉塞感を抱えた少年たちは、地下鉄のホームに集まっては自身のタグを競うように発明し、終電後の車庫に忍び込み、NY中を駆ける地下鉄の壁に自身の証を記した。トニー・シルバー監督は本作の魅力をこう語る。「グラフィティについて、色々なパラドックスが存在する。社会にとっていいか悪いか、子どもがやるのはいいことか悪いことか、複雑にもつれてほどけないパラドックスだ。そして、そのパラドックスこそがこの作品の最も素晴らしいところになった。映画では善悪を判断することはしない。ありのままを見せるだけ。どちらか一方に偏ることはない。そこが、詩的で、美しいのだ。」”グラフィティ”を「落書き」として糾弾する大人たちの批判を受けながらも、言葉にならない衝動に突き動かされる少年たち。フィルムが捉えた彼らの瑞々しい姿と新しいムーブメントが生まれようとする時代の空気は、製作から約40年が経った今、観る者に新鮮な驚きをもたらしてくれるだろう。視聴期間は6月25日(金)から7月1日(木)まで、PIA LIVE STREAMにて。チケット発売中。
2021年06月28日6月より公開中の浜辺美波主演『映画 賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット』に、田中圭がカメオ出演していることが明らかになり、田中さんのコメントとメイキング映像が到着した。ギャンブルの強さだけで学内のヒエラルキーが決まる私立百花王学園を舞台に、視鬼神真玄が舞い戻り、命を賭けた「指名ロシアンルーレット」が展開される本作。『賭ケグルイ』の大ファンだという田中さんが今作で演じているのは、ギャンブルが大好きな私立百花王学園3年の賭場二郎。ファンであるがゆえ、「完成を見るのが楽しみな作品だったので、まさかの自分が出演する所以外は読んでいないという、初めて全体を読まずに撮影に挑んだ忘れられない作品になりました。本来全体を読まずに撮影するというのは心細いですし、そもそも作品に対して失礼で、お芝居する上でも不安しかないのですが、どうしてもネタバレなしで観たかったのです」と熱い思いを明かす田中さん。撮影に関しては「撮影当日もガッチガチだった事を覚えております。ただ、おかげで現場にはオールスターが集結していたので、個人的には夢のような素敵な時間でした」とふり返っている。そして、そんな制服姿の田中さんの撮影の様子と、レギュラーキャストたちが田中さんの出演について語るメイキング映像も合わせて公開。出演に驚いたという高杉真宙や、参加することになったきっかけを聞いたという森川葵のインタビューから始まり、先んじて話は聞いていたという浜辺さんは「現場に来てああいう感じで出演するとはわからなかったので、すごい笑っちゃいました」とコメント。まさかの撃たれてしまうという、田中さんの熱演と、「Mステ」以来の緊張だったとふり返るクランクアップのシーンも収録されている。『映画 賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット』は全国にて公開中。(cinemacafe.net)■関連作品:映画 賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット 2021年6月1日より全国にて公開(C)河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX (C)2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会
2021年06月27日『映画 賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット』(6月1日公開)の大ヒット舞台挨拶が25日に都内で行われ、岡本夏美、松村沙友理(乃木坂46)、中村ゆりかが登場した。同作は河本ほむら・尚村透による人気同名コミックの実写化作。ドラマのSeason1、Season2、映画第1弾のヒットを経て、劇場版第2弾となる。ギャンブルの強さが自身の階級を決める私立百花王学園を舞台に、謎多きJKギャンブラー・蛇喰夢子(浜辺美波)を中心とした熾烈なギャンブルバトルが再び巻き起こる。公開後の反響について、岡本が「沢山いただきます! ほかの仕事の現場でも、凄い映画だね!と言われる」と明かすと、中村も「評価が高い。あっという間と言われることが多い」と周囲の反応を紹介。松村も「ファンの方から『友達を連れてたくさん見た』という声もありました。私の語彙力では補えないくらいの凄い作品です!」と高評価に大興奮した。松村は乃木坂46の卒業を発表したばかりだが「私のアイドル人生は終わっちゃいそうだけれど、(演じた)ユメミは一生アイドルなので皆さん安心してください! テヘ」とアイドル風に宣言していた。3年前から『賭ケグルイ』シリーズに参加している岡本は「当時の私は未成年! みーちゃん(浜辺美波)も子供みたいな感じだった。みんなが一緒に大人になっていくような感じで、家族みたい」と長寿シリーズ化ゆえの感慨も。中村も「(岡本に)次に会ったときには20歳。急成長だよね!」と時の流れの早さに目を細める。劇場版では前作から参加した松村は「生徒会の皆さんと初めて会った時は凄い緊張しました。正直怖かった。皆さんのオーラが凄すぎて、独特の緊張感がありました」と回想。岡本も「生徒会室の雰囲気は慣れない」と共感を示すと、松村は「テレビで見ていたあの世界観の中に私も入るんだと思ったら怖すぎて……。一言も喋れなかった。喋ったら命を狙わるのではないかというくらいに緊張してジッとしていました」と当時の心境を吐露していた。今回の撮影について中村は「皆さんのキャラクターのクオリティがより高まっていて、台本からかけ離れるくらいに燃え上がっていた」と共演陣の熱演ぶりを報告する。岡本は「目を瞑りながら階段を駆け下りてという演出に対しては意外とできたなと思う。薄目を開けて足元だけを見る技を覚えました」とこだわりの見どころに。松村は「リアクションが大変だった」とオーバーリアクションに苦労したようだが、岡本からは「(松村と)どれくらい驚くべきかなどを一緒に話し合いました。(松村は)爪を見るプロです!」と松村の細かい演技を絶賛されていた。イベント最後には、サイン入りポスターを景品としたじゃんけん大会を実施。松村は「私じゃんけんは強いんです!」などと言いながら、観客との交流を楽しんでいた。
2021年06月25日浜辺美波主演、英勉監督の『映画 賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット』が、本日6月11日より副音声上映開始。前作のコメンタリーに参加した浜辺さん、高杉真宙、森川葵らに加え、今回、池田エライザ、藤井流星も参加した副音声上映のサンプル映像が解禁された。前作以上に盛り上がる『賭ケグルイ』副音声上映に参加するのは、蛇喰夢子役の浜辺さん、鈴井涼太役の高杉さん、視鬼神真玄役の藤井さん、早乙女芽亜里役の森川さん、桃喰綺羅莉役の池田さん、そして英監督。今回公開されたのは本編冒頭部分の映像で、「さあ誰が出てくる!」と早速楽しげな雰囲気で映像は始まる。高杉さんが“言いたかったやつ”と話す『賭ケグルイ』シリーズ恒例の学園紹介の説明セリフに、浜辺さんは思わず「滑舌すごいね」と感心。そして視鬼神が登場すると、「すごい雰囲気変わりましたよね」と浜辺さんが言い、森川さんは「これ(髪の毛)って染めてるんですか?」と銀髪の視鬼神を演じた藤井さんに質問。すると藤井さんが「ごりっごりに染めてます。ブリーチ5回くらい」と答えると、周囲から驚きの声が上がる。同じく銀髪の桃喰綺羅莉を演じた池田さんも加勢し、“髪”トークでしばし盛り上がる一同。冒頭から暗い映像が続く様子に、「副音声は明るくいきましょ!」と盛り上げる藤井さん。だが、開始早々、皇伊月(松田るか)を追い詰める視鬼神の姿に思わず藤井さんは「本当はいじめたくないのにな~!めちゃくちゃほんまはええやつなのにな~!」と笑いを誘い、シーンが終わるたびに必死に謝っていたというエピソードも。いよいよ夢子の登場シーンが映されると、「成長したな~」とシリーズ当初では17歳であった浜辺さんが回顧。「大人っぽいところ出したくてしょうがなかった」と意外な願望があったことも明かされ、本編では視鬼神が不穏な視線を送りながら映像は幕を閉じる。副音声上映では、こうした『賭ケグルイ』キャストならではの仲睦まじいトークや撮影の裏話なども楽しめそうだ。『映画 賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット』はTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:映画 賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット 2021年6月1日より全国にて公開(C)河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX (C)2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会
2021年06月11日女優の浜辺美波が主演を務める『映画 賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット』(公開中)の視鬼神真玄版特別オープニング映像が7日、公開された。同作は河本ほむら・尚村透による人気同名コミックの実写化作。ドラマのSeason1、Season2、映画第1弾のヒットを経て、劇場版第2弾となる。ギャンブルの強さが自身の階級を決める私立百花王学園を舞台に、謎多きJKギャンブラー・蛇喰夢子(浜辺美波)を中心とした熾烈なギャンブルバトルが再び巻き起こる。今回公開されたのは、藤井流星演じるシリーズ史上最凶最悪のヴィラン・視鬼神真玄の特別オープニング映像。映像の前には藤井からのメッセージもあり、視鬼神版のオープニングに「めちゃくちゃびっくり」と驚きながらも、「めちゃくちゃありがたい」と喜びを噛み締めている。さらに、浜辺美波が視鬼神版オープニングに参加したがっていたという裏話も披露された。今回公開された視鬼神真玄版オープニング映像はこれまでの『賭ケグルイ』シリーズのオープニング映像同様、PassCodeが歌う「一か八か」に乗せているが、今までのオープニングとは一線を画す不気味で物々しい雰囲気を醸し出している。長い銀髪をなびかせながらタトゥーを覗かせる手で顔を覆い鋭い視線を放つ姿からは最凶最悪のギャンブラーの恐ろしさをひしひしと感じることができる。そしてトップアイドルの藤井らしい不規則な動きながらも舞うような妖艶な姿も見どころとなっている。
2021年06月07日現在公開中の『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』より、藤井流星演じる視鬼神真玄版の特別オープニング映像が公開されている。河本ほむら原作、尚村透作画、月刊『ガンガンJOKER』(スクウェア・エニックス刊)で好評連載中の大ヒット漫画『賭ケグルイ』。2018年1月に実写ドラマ化され、手に汗握るゲーム展開、個性的なキャラクターと最旬若手俳優たちの振り切った演技が大きな話題となり、2019年春には『賭ケグルイ season2』の放送、続く2019年5月には完全オリジナルストーリーによる『映画 賭ケグルイ』が全国ロードショーされ大ヒットを記録した。その続編となる本作の舞台は、ギャンブルの強さだけで学内のヒエラルキーが決まる私立百花王学園。最狂の賭け狂い・蛇喰夢子(浜辺美波)の脅威に、生徒会が危機感を募らせる中、2年前のある事件を機に、停学処分を受けた視鬼神真玄(藤井流星)が舞い戻る。彼の策略にハメられた夢子は打ち負かされ、生徒会長の座から引きずり下ろされた桃喰綺羅莉(池田エライザ)と共に、視鬼神に“公式戦”を申し込むのだった。公開された映像の冒頭は藤井流星からのメッセージが。藤井自身は視鬼神真玄版のオープニングに「めちゃくちゃびっくり」と驚きながらも「めちゃくちゃありがたい」と喜ぶ。さらに、浜辺美波が視鬼神版オープニングに参加したがっていたという裏話も披露。そして今回の映像ではこれまでの『賭ケグルイ』シリーズのオープニング映像同様、PassCodeの楽曲『一か八か』を乗せているが、今までのオープニングとは一線を画す不気味で物々しい雰囲気を醸し出している。長い銀髪をなびかせながらタトゥーを覗かせる手で顔を覆い鋭い視線を放つ姿からは最凶最悪のギャンブラーの恐ろしさをひしひしと感じるはずだ。そしてトップアイドルの藤井らしい不規則な動きながらも舞うような妖艶な姿を思う存分堪能してほしい。『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』公開中
2021年06月07日6月5日、6日の全国映画動員ランキングは、シリーズ最終章の後編にあたる『るろうに剣心最終章 The Beginning』が初登場で首位に立った。『…最終章 The Final』』に続き公開された本作は、幕末を舞台に“人斬り抜刀斎”として恐れられている緋村剣心と、彼の人生を大きく変えることになる雪代巴との痛切なドラマが描かれる。シリーズの“序章”ともいうべき内容で、佐藤健が引き続き剣心を、有村架純が巴を演じている。公開7週目の『るろうに剣心最終章 The Final』は2位につけ、公開8週目の『名探偵コナン 緋色の弾丸』は先週4位から3位に順位をあげた。そのほか新作では、浜辺美波が主演を務める、人気シリーズの第2弾『映画 賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット』は初登場8位に。人気の同名少女コミックをジャニーズ Jr.で“美 少年”のメンバー・浮所飛貴の主演で実写化した『胸が鳴るのは君のせい』は初登場9位に入った。次週は『「宇宙戦艦ヤマト」という時代西暦2202年の選択』『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』『キャラクター』『漁港の肉子ちゃん』『名も無い日』『Mr.ノーバディ』などが封切られる。全国映画動員ランキングトップ10全国映画動員ランキングトップ10(興行通信社調べ)1位『るろうに剣心最終章 The Beginning』2位『るろうに剣心最終章 The Final』3位『名探偵コナン 緋色の弾丸』4位『地獄の花園』5位『美しき誘惑−現代の「画皮」−』6位『いのちの停車場』7位『クルエラ』8位『映画 賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット』9位『胸が鳴るのは君のせい』10位『劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 後編 Paladin; Agateram』
2021年06月07日現在公開中の『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』より、命を賭けたギャンブル「指名ロシアンルーレット」の模様を捉えた本編映像が到着した。河本ほむら原作、尚村透作画、月刊『ガンガンJOKER』(スクウェア・エニックス刊)で好評連載中の大ヒット漫画『賭ケグルイ』。2018年1月に実写ドラマ化され、手に汗握るゲーム展開、個性的なキャラクターと最旬若手俳優たちの振り切った演技が大きな話題となり、2019年春には『賭ケグルイ season2』の放送、続く2019年5月には完全オリジナルストーリーによる『映画 賭ケグルイ』が全国ロードショーされ大ヒットを記録した。その続編となる本作の舞台は、ギャンブルの強さだけで学内のヒエラルキーが決まる私立百花王学園。最狂の賭け狂い・蛇喰夢子(浜辺美波)の脅威に、生徒会が危機感を募らせる中、2年前のある事件を機に、停学処分を受けた視鬼神真玄(藤井流星)が舞い戻る。彼の策略にハメられた夢子は打ち負かされ、生徒会長の座から引きずり下ろされた桃喰綺羅莉(池田エライザ)と共に、視鬼神に“公式戦”を申し込むのだった。公開された映像は蛇喰夢子(浜辺)の「いいカードが出ました」という言葉で幕を開ける。怯える鈴井涼太(高杉真宙)に対し鋭い視線を放つ桃喰綺羅莉(池田)と視鬼神真玄(藤井流星)。このギャンブルは最後に出されたカードに人物が銃を撃たれるという恐ろしい内容なのだ。夢子は「バンッ」という言葉と共に視鬼神のカードを提示。「殺す気満々だなあ」と不敵な笑いを浮かべる視鬼神に対し「そういうギャンブルでしょ?」と夢子は余裕の表情を見せる。張り詰めた空気の中夢子が銃を手にし、その銃口を視鬼神に向けるその刹那、視鬼神は自ら銃身を掴み自分の額に。そして「大した度胸ですねえ」と夢子が引き金に指をかけたところで映像は幕を閉じる。『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』公開中
2021年06月04日現在公開中の『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』より、メイキング映像が公開された。河本ほむら原作、尚村透作画、月刊『ガンガンJOKER』(スクウェア・エニックス刊)で好評連載中の大ヒット漫画『賭ケグルイ』。2018年1月に実写ドラマ化され、手に汗握るゲーム展開、個性的なキャラクターと最旬若手俳優たちの振り切った演技が大きな話題となり、2019年春には『賭ケグルイ season2』の放送、続く2019年5月には完全オリジナルストーリーによる『映画 賭ケグルイ』が全国ロードショーされ大ヒットを記録した。その続編となる本作の舞台は、ギャンブルの強さだけで学内のヒエラルキーが決まる私立百花王学園。最狂の賭け狂い・蛇喰夢子(浜辺美波)の脅威に、生徒会が危機感を募らせる中、2年前のある事件を機に、停学処分を受けた視鬼神真玄(藤井流星)が舞い戻る。彼の策略にハメられた夢子は打ち負かされ、生徒会長の座から引きずり下ろされた桃喰綺羅莉(池田エライザ)と共に、視鬼神に“公式戦”を申し込むのだった。公開された映像には、キャストの舞台裏での姿や現場でのインタビューが収められている。浜辺は約2年ぶりの『賭ケグルイ』に対し「今回はどんな賭場が開かれるのかなと純粋に物語が楽しみな思いと、これでまたみんなに会えるというワクワクがありました」と、シリーズへの愛のある想いを語った。高杉は「初めて藤井さんを見たときにめちゃくちゃ怖い印象があって、やっぱり視鬼神としての役作りをしっかりされているんだなと思っていたんですけど、お話ししてみたら全然印象が違くてびっくりしました」と本作で初共演となる視鬼神真玄役の藤井流星の印象について明かす。さらに藤井は本作への参加について「めちゃくちゃ嬉しかったです!『賭ケグルイ』はドラマseason1から見ていたので、まさか俺がこんな最大の敵みたいな感じで出るの!?って感じで。終わるまでずっと“うーわ夢子や”って感じでした(笑)」と喜びのコメントも。最後は浜辺のクランクアップ時の映像が映し出され「次は第4弾Inラスベガスでお会いしましょう!」と浜辺らしく茶目っ気混じりに挨拶。この和やかな撮影とは裏腹な、緊迫したギャンブル対決をぜひ劇場で体感してほしい。『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』公開中
2021年06月02日『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』が、6月1日(火)より公開。2018年1月期放送のTVドラマ『賭ケグルイ』から始まり、約4年間で5作品を世に送り出した人気シリーズの最新作。今作では浜辺美波が演じる、主人公・蛇喰夢子(じゃばみ・ゆめこ)を筆頭にレギュラーキャラクターが勢ぞろいする中、視鬼神真玄(しきがみ・まくろ/演:藤井流星[ジャニーズWEST])という“最凶最悪の侵略者”が敵役として登場。予測不能なギャンブルバトルが繰り広げられる。そんな中、シリーズ1作目から“モブ”扱いされる頼りない存在の鈴井涼太が、今作では“モブ”とは言わせない活躍も。演じる高杉真宙も「鈴井くんの成長が見られてうれしい」と笑顔を見せる。高杉自身、これほどの期間、同じキャラクターを演じることは初めてという鈴井への思いや、撮影現場で感じていたこと、また4月より新しい環境での活動をスタートした今の気持ちなど、話してもらった。約4年間に渡って、同じキャラクターを演じた想い――2018年1月期放送の『賭ケグルイ(season1)』から始まって、2019年4月期の『賭ケグルイ season2』、実写映画第1作の『映画 賭ケグルイ』(2019年5月公開)、配信ドラマ『賭ケグルイ双』(2021年3月~)、そして映画第2作となる『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』まで、約4年間に渡って、5作で同じ“鈴井涼太”というキャラクターを演じています。最初はこんなに長く演じるとは思ってなかったですね(笑)。――鈴井に対する印象は変わりましたか?根本的にビビりで、オーバーリアクションで、周りの人たちが危険なギャンブルをしようとするのを止める役というのは変わってないですけど、ここ最近の鈴井くんは率先して頑張るようになった、というか。今の状況を守るために自分もギャンブルに参加するとか、前よりは勇気を出して、男らしいところも出てきている感じがして、僕個人としては、そんな鈴井くんの成長が見られてうれしく思っています。『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX ©2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会――今作では鈴井が蛇喰夢子(浜辺美波)や早乙女芽亜里(森川葵)の気持ちを動かすような場面もありました。やっと暴れてるだけではなくなりました(笑)。これまで(の作品で)も鈴井くんの役割はありましたけど、その中にもう一つ、他のキャラクターの心情を左右させるというのが生まれて。この先、彼がどうなっていくのか、より楽しみになりました。――先日、インスタライブで、高杉さんは鈴井のことを大切なキャラクターとおっしゃっていましたね。4年という月日と、5作品って、僕自身を変えるくらいのものだと思っていて。最初に鈴井くんとして現場を過ごしたときに、「いじられ役もおもしろいな」と思い始めて。現場にいると楽しいし、その魅力に気づいて、自分からもっといじられるように仕掛けるとか、そういうアプローチもするようになりました。それまで、こんなにいじられる役をやったことがなかったので、僕自身の印象が変わることにも役立ちましたし、鈴井くんは高杉真宙にたくさんの変化を与えてくれた役だと思います。「もっとこういう表現をしたい」と思ったことは?――前作の映画第1作から物語の中の月日は数か月しか経過していませんが、実際には2年近くが経ちました。それだけに、もっとこういう表現もしたい、というような欲が出ることはなかったですか?もともと僕は、台本を読んで、自分なりにいろいろやりたいことを考えて、それを現場で作っていく作業が好きなんです。ただその内容は現場によっても変わりますし、『賭ケグルイ』の場合は、さらに反射神経も必要だったりするんですけど。そんな中で今回特に思ったのが、みなさんがやりやすい間やテンポを作るのが、鈴井くんの役目の一つだな、と。僕がエンジンをかけて全体をテンポアップさせたり、逆にダウンさせたり、間を詰めたり。今まで以上にそういう役割を担っていきたいな、と思うようになりました。――なぜそのように思ったのですか?鈴井くんはもともと全体のエンジンをかける、ギアを上げる役割で。人のテンポに合わせて、そこから徐々に上げていくという作業をしていたんですけど、その役割をもっと広げられたら、と思っていたんです。4年間をかけて見えてきたこともありますし、今回は僕が作ったテンポで進んでいるな、と感じることが多かったです。――その加減については、監督と相談をすることも?もちろんしました。監督に「今、僕のテンポで進んでますけど大丈夫ですか?」って聞いたり。ただ今回は僕の中で、「『賭ケグルイ』はこうだよね」という思い込みのようなものが出過ぎていたかも、とも。編集した映像を見たら、現場のテンポよりも早くなっていたりもして、もう少しテンポやリズムを意識しながらやっていかなきゃと思います。――今作に限らず、お芝居のテンポは大事にしているのですか?大事にします。リズムが悪いと気持ち悪いな、と感じます。実生活での普段の会話であれば、テンポとかリズムって意識をしなくてもある程度できていると思うんです。でも、僕らが話しているのはセリフなので、ときどきテンポが気持ち悪いな、とか、なんでそのテンポでセリフを返したんだろう、とか、感じることがあって。いろんな場面で、いろんなテンポがあるんですけど、それがちゃんと生まれることが必要だと思うんです。『賭ケグルイ』に関しては、少し特殊なところもありますけど、今回、自分でテンポを作ってみて、反省するところがあったからこそ、(テンポを大事にすることは)必要なんだと思いました。中川大志の登場は「僕らもびっくり」――4年間で5作をともにしてきた共演者の方々には、どんな想いがありますか?他の作品の共演者の方とはまたちょっと違う特別な感覚があります。戦友ってやつですね。久々に会ってもあんまり離れていた感じがしないというか、同級生とかに近いかも。だから他の現場でご一緒すると、不思議な感覚もあって。それぞれ現場ごとに居方が違ったりもするので。――前作から2年開いての撮影でしたが、そのときはどんな感じでしたか?あの制服を着て現場に入ると、“戻ってきた感”はあるんですけど、みなさんに対して「久しぶり!」みたいな感覚はあんまりないんですよね。慣れるのに時間がかかる、とかもなくて、自然と入っていけます。あとは今回、映画と同時に、Amazon Prime Videoで配信されている(ドラマ)『賭ケグルイ双』の撮影をやっていたので、(ドラマ版のメインキャストの)森川さんのエンジンのかかり方が尋常じゃなくて(笑)。完全にエンジンがかかった状態で映画に入っていて、すごかったです。『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』 © 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX© 2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会――個人的には豆生田楓を演じていた中川大志さんが、討嶋という新たなキャラクターになって帰ってきたことがうれしかったです。僕らもびっくりしました。あのキャラクターは中川くんだからできたと思うんです。もともとあんなキャラクターじゃなかったんですよ。ずっとアドリブでやっている感じでした。だから、もし今後、鈴井くんが出ないことがあったら、自分もあんなふうに何かしなくちゃいけないかも、と思うとプレッシャーです(笑)。――でも『賭ケグルイ』ファンにとっては、あのような形でもメンバーを集めてくれるのはうれしいと思いますよ。『賭ケグルイ』は特に、作品自体のファンという方が多いですよね。僕もよく「『賭ケグルイ』を観てます」と言われます。それにはこの現場にあるこういう遊び心も大きいと思うし、そこが素敵なところだとも思うので、この先もずっと今の感覚でやっていけたらいいですね。個人事務所での活動を始めて、今後やっていきたいこと――今作で印象に残ったシーンはどこですか?生徒会長の交代式は印象的でしたね。クライマックスに向けて、登場人物たちが一堂に会する感じが、「来る!来る!」みたいな(笑)。「会長(桃喰綺羅莉/池田エライザ)があんなことするの!」とか、一つひとつの場面をしっかりと盛り上げていたので。――脚本を読んでいて展開を知っていてもワクワクするのですか?ワクワクしますね。台本で読んでいた時点でもテンションが上がってましたけど、やっぱり実際にキャストのみなさんが演じているところを目の当たりにすると、華やかですし、テンションは上がります。――『賭ケグルイ』シリーズはまだまだ続きそうな予感がしますが、高杉さんにとって、今後、鈴井はどんな存在となりそうですか?僕にとってはずっとそばにいる近い存在です。シリーズが続けば、僕が予想できない成長もしていくと思います。台本をもらったとき、次はどうなっているんだろう!って、楽しみになるキャラクターであり続けると思います。――今作の見どころを教えてください。“最凶最悪のラスボス”と言われる視鬼神役に、流星さんの演技がハマっています。そんな視鬼神さんも含めて、ボスキャラたちが大戦争を始めるような(笑)、圧巻のギャンブルをぜひ楽しんでいただけたらと思います。それから、相変わらず鈴井くんも夢子さんもそうですし、みんながテンションを上げて叫びまくってます(笑)。ジェットコースターに乗るような気分で、観てもらえるとうれしいです。――2021年4月から、高杉さんは個人事務所での活動を始めて、新たなスタートを切りましたが、今後、やってみたいことはありますか?やってみたいこと……坊主頭ですかね(笑)。これはずっと言い続けていることですけど、言い続けないと坊主役が来ないので。あとは何だろうな……。――クリエイティブなことをやってみたい、とかは?やってみたいんですけど、僕、クリエイティブ脳じゃないんですよ(苦笑)。0から1にすることができない人なので。――では、1から100を目指して。100は大き過ぎるので30くらいで(笑)。企画や脚本があれば、そこから作り上げる作業とかはしてみたいです。だから、映像制作とか、芝居に関わるいろんなところを広い目で見られるようになりたいです。これまで以上におもしろいことができるんじゃないか、という想いで独り立ちさせていただいたので、自分がおもしろいと感じることを、どんどんやっていきたいと思います。*“俳優・高杉真宙”にも大きな影響を与えたという“鈴井涼太”というキャラクター。今作では“モブキャラ(その他大勢)”と言われてきた鈴井が、“モブ”ではない活躍をするのも一つの見どころ。鈴井を通して見える高杉真宙の成長と、高杉真宙を通して見える鈴井の成長をこの映画から感じてほしいです。メイク:堤紗也香 スタイリスト:荒木大輔 取材・文:瀧本 幸恵撮影:小嶋文子作品紹介『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』6月1日(火)全国ロードショー
2021年06月01日6月1日(火)より公開となる映画『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』より、冒頭映像が公開された。河本ほむら原作、尚村透作画、月刊『ガンガンJOKER』(スクウェア・エニックス刊)で好評連載中の大ヒット漫画『賭ケグルイ』。2018年1月に実写ドラマ化され、手に汗握るゲーム展開、個性的なキャラクターと最旬若手俳優たちの振り切った演技が大きな話題となり、2019年春には『賭ケグルイ season2』の放送、続く2019年5月には完全オリジナルストーリーによる『映画 賭ケグルイ』が全国ロードショーされ大ヒットを記録した。その続編となる本作の舞台は、ギャンブルの強さだけで学内のヒエラルキーが決まる私立百花王学園。最狂の賭け狂い・蛇喰夢子(浜辺美波)の脅威に、生徒会が危機感を募らせる中、2年前のある事件を機に、停学処分を受けた視鬼神真玄(藤井流星)が舞い戻る。彼の策略にハメられた夢子は打ち負かされ、生徒会長の座から引きずり下ろされた桃喰綺羅莉(池田エライザ)と共に、視鬼神に“公式戦”を申し込むのだった。公開された映像は、史上最凶最悪のヴィラン・視鬼神真玄を演じた藤井流星からの特別メッセージ付き冒頭映像。 藤井は自身が演じた視鬼神真玄について「本当に最低な男」と評す一方、「僕はイイ男なんですけど」などと冗談交じりに話し、公開される冒頭映像については「すごい緊迫したシーンになった」と明かし、「僕も思いっきりやったので、冒頭だけでも楽しんでもらえたら」と、公開を心待ちにしている観客へメッセージを送った。そして、本編映像は視鬼神真玄の言葉で幕を開ける。焦点が定まらず不気味につぶやく姿からはまさに最凶のギャンブラーの名にふさわしい圧倒的な恐ろしさを垣間見ることが出来る。視鬼神の前には元生徒会役員の皇伊月(松田るか)の姿が映し出されるが、今までの日和見主義で明るい皇の姿とは全く異なり、どこか追い詰められているような様子である。焦る皇に視鬼神が「いいのか?減ってるぞ」と画面を見せると皇の残高がみるみるうちに減っていっている。皇は思わず目を丸くし取り乱し、「負けました。もうやめてください」と生気を失ったように呆然と告げる。最後に視鬼神が「蛇喰夢子はどこだ」と言い放ち映像は幕を閉じる。『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』6月1日(火)公開
2021年05月31日女優の浜辺美波が主演を務める『映画 賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット』(4月29日公開)の場面写真が20日、公開された。同作は河本ほむら・尚村透による人気同名コミックの実写化作。ドラマのSeason1、Season2、映画第1弾のヒットを経て、劇場版第2弾となる。ギャンブルの強さが自身の階級を決める私立百花王学園を舞台に、謎多きJKギャンブラー・蛇喰夢子(浜辺美波)を中心とした熾烈なギャンブルバトルが再び巻き起こる。この度、公開延期を重ねた末いよいよ明日6月1日に公開となる本作より、史上最凶最悪のヴィラン・視鬼神真玄を演じた藤井流星からの特別メッセージ付き冒頭映像が解禁された。藤井は自身が演じた視鬼神真玄について「本当に最低な男」と評す一方、「僕はイイ男なんですけど」などと冗談交じりに話す。公開される冒頭映像については「すごい緊迫したシーンになった」と明かし「僕も思いっきりやったので、冒頭だけでも楽しんでもらえたら」と、メッセージを送った。本編映像は焦点が定まらず不気味につぶやく視鬼神真玄の言葉で幕を開ける。視鬼神の前には元生徒会役員の皇伊月(松田るか)の姿が映し出されるが、今までの日和見主義で明るい皇の姿とは全く異なり、どこか追い詰められているような様子。焦る皇に視鬼神が「いいのか? 減ってるぞ」と画面を見せると皇の残高がみるみるうちに減っていき、取り乱した皇は「負けました。もうやめてください」と生気を失ったように呆然と告げる。最後に視鬼神が「蛇喰夢子はどこだ」と言い放ち映像は幕を閉じる。
2021年05月31日