日本では8月11日(木・祝)に公開予定の『X-MEN:アポカリプス』。全米では一足お先に公開されて大ヒットを記録したが、この映画の宣伝ポスター(ならびにビルボード)がエラい物議を醸し、6月に入ってから配給会社20世紀フォックスの責任者が公に陳謝するという事態となり世界的ニュースとなった。問題となったポスターには、「強者のみが生き残る」というキャッチフレーズとジェニファー・ローレンス演じるミスティークが本作の悪役アポカリプスに首を絞められ絶体絶命!…というシーンが使われていた。一瞬見ただけだと何の変哲もない普通のビルボードに見えるのだが、そこが大きな間違いの発端だった。映画『グラインドハウス』などで知られる女優ローズ・マッゴーワンを筆頭とする、女性の人権問題や女性に対する暴力問題に敏感な人たちが、「女性が男性に首を絞められているシーンを映画の宣伝に使用するなどもってのほか!」と立ち上がったのだ。ローズはそんな人たちの怒りを代表するかのように、有名業界紙「Hollywood Reporter」を介して20世紀フォックスにこんな公開状を突きつけた。「(抜粋)こんなに失礼な広告を出すことに社内で異議を唱える人がいなかったなんて、正直言ってバカげています。仮にこの画像が、黒人男性がが白人男性に首を絞められていたり、ゲイの人がそうではない人に乱暴をされていたりするものだったら、どうなると思いますか。きっと大問題になることでしょう。おたくのスタジオは、向こう2年間女性監督を使った劇場作品が皆無という話しですが、せめてこの広告を差し替えてくれませんか」。この皮肉たっぷりだが辛辣な公開状は、20世紀フォックスのオシリに火をつけることとなった。実は、問題のビルボードやポスターは、今年に入ってから長々と4か月ほど市民の前に姿をさらしていたのである。その間、使用されている映像が不適切であるとアメリカ国内のみならず国外からも苦情が届いていたにもかかわらず、20世紀フォックスはその対応に出なかった。そして今回、セレブであるローズが業界紙を使って直に配給会社に訴えたことで、やっと謝罪に踏み切ったのである。実のところ、筆者が初めてこのニュースを知ったとき「みんな神経過敏になりすぎているのではないか」と思った。だが、映画業界でこんなことが起きている間にアメリカ国内では「宗教上の理由であればLGBTの人たちへのサービスを拒否してもよい」という法律が南部の州で可決されたり、トランスジェンダーの人たちが性転換後の自分の性にあった公衆トイレを使用できないという問題が起きたりしていた。どれもこれも人を思いやれない心から派生した恥ずべき状況だ。そして先日フロリダ州オーランドで起きたゲイ・クラブでの銃乱射大量殺人事件。暴力の最悪の極みといえる。アメリカには暴力に対して不感症の人間が増えていっているように思えて仕方がない。今回の『X-MEN:アポカリプス』のポスター事件に関しても、映画を通じて社会に大きな影響を与え得る大手映画会社たるものが、セレブに詰め寄られるまで女性の人権を憂いた市民からの苦情を4か月以上も無視したという事態はその証ではないか。女性への暴力を容認する無神経さは、人間全てに対する暴力に対して無神経なのと同等のはずだ。人は誰もが平等であり、お互いを尊重して生きなければいけないのにX-MENのポスターのキャッチフレーズのように「強者のみが生き残る」社会になってしまうのか。このコラムを書いているうちに、問題のポスターに映るミスティークが世界の弱者たちを象徴し、彼女の首を締め付けるアポカリプスは、社会の中で弱者をつぶしていく心ない強者たちの象徴に思えてきた。(text:Akemi Tosto)
2016年06月26日着々と迎えた最終回放送。視聴率対決から不倫という時事ネタに至るまで、今クールは毎週数多くの作品がネットニュースを賑わせていましたね!今日はその締めくくりとして、毎クール全枠をチェックしているドラマニアな筆者がズバッと総括。2016年4月クール<勝手にベスト3>をご紹介していきましょう。■第1位:痛快!“男女の本音”に直球で言及「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」華の金曜日放送ということもあり、週末の女子会で必ずと言って良いほど話題に挙がったこちらの作品。中谷美紀さんの体当たり演技がキラリと光る「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」(通称:「できしな」)。過去にもこの手の恋愛指南ドラマはありましたが、「綺麗なのに“結婚”できない」そのポイントだけをとことん突き詰めたという意味では、非常に斬新な作品だったと言えるでしょう。O.A.直後は、藤木直人さん演じる十倉のお説教タイムが「胸に刺さり過ぎてツライ…」という声も多々聞かれましたが、回を重ねる度、着実に成長していく主人公・みやびの後ろ姿から目が離せなくなる視聴者が続出。次第に「みやび先生には絶対幸せになって欲しい」「あのテクニックは自分にも応用できるかも」と、彼女の恋路が他人事ではなくなっていたように思えます。全10回の放送を経て、失恋・婚活・世代ギャップ…心にたくさんの傷を負ったみやび。最後にはしっかりと彼女の努力に見合ったモテ期が到来するのも、本作の大きな魅力です。“結婚”を目標に鋭意努力を続けてきた彼女が、39歳にして選んだ驚きの結末とは?ネットを賑わせたまさかのエンディングについては、ここでは控えておきましょう。続編に期待の声が高まっている「できしな」。まだご覧になっていない方は一度チェックすることをおすすめしますよ~。■第2位: “素直に生きる”って実は難しい!?大切な気持ちを思い出させてくれた「重版出来!」裏ドラマが「僕のヤバイ妻」ということもあり、毎週視聴率対決の行方がニュースに取り上げらていた本作。結果として数字では負けてしまいましたが…「重版出来!」はDVDとしてでも、確実に後追いする価値がある作品だと思いますね。というのも、一話一話の内容がとにかく濃い!視聴者にとって、教科書のように完璧な正義感はドラマ上あまり好まれない印象があったのですが、本作の主人公・黒沢心(黒木華)の“純粋さ”にはその嫌味が全くないんです。とにかく明るく元気いっぱい、いつも笑顔100%の心を見ていると、悩んでいる自分がバカらしくなってくることも。加えて、間違っていると思ったことは、相手の偉さに関係なく「納得いくまで聞き返す」姿勢が素晴らしい!無意識のうちに、他人の顔色を窺う癖をつけてしまう現代人にとって、彼女の背中はとても前向きなサプリメントになってくれるはずですよ。「そんな完璧な人、いるワケない」と思っているそこのあなた。もちろん、心だって爆走し過ぎてミスをしてしまうことがあります。そういう時は、五百旗頭(オダギリジョー)はじめキャラの濃い面々が彼女を元いた場所に導いてくれますので、改めて「人って温かいなぁ」と思えること間違いナシ。ほっこりしたい時の処方箋として、頭の片隅に置いておいてくださいね!■第3位:痛さと面白さが“絶妙のバランス”独特の台詞回しが癖になる「ゆとりですがなにか」そして最後がこちら!迷いに迷った結果、2016年4月クールだからこそ完成した名作…時を選ぶべき作品という意味で、とても良い意味のモヤッと感を私たちの心に残してくれた「ゆとりですがなにか」を選ばせていただきました。クドカンさんの台詞って、どうしてこう突拍子もないのでしょう?(笑)主人公たち男子の、飲みの席でのくだらない会話。その中にひとつ、群を抜いて響く台詞が混ざっていることに気づかされた時、「…やられた」と悔しささえ覚えます。下ネタを連呼する中、とても純粋で真っすぐな気持ちがストンと落ちてくる表現の広さはアッパレです。加えて本作には、第2位に挙げた「重版出来!」とは逆の意味で、とても良い教科書要素が詰まっていましたね。決して教育のせいだけではない、ただ単に不器用な性格に育ってしまっただけのまーちん(岡田将生)、山路(松坂桃李)、まりぶ(柳楽優弥) “ゆとり3人衆”。彼らは時に互いを反面教師として見比べ合い、仕事に恋に…それぞれのコンプレックスに雁字搦めになりながらも、正しい方向を模索して一生懸命に生きていきます。「上手にできなくたっていいんだから」毎話最後にそう背中を押されている気になるのは、これまたクドカンマジックなのでしょうか。個人的には、安藤サクラさん演じる茜のキャラクターが今期1“モテる女”要素満点だったなとしみじみ。振り回される主人公・まーちんのアタフタぶりと合わせて、等身大恋愛ドラマとしてご覧になるのも面白いでしょう。以上、個性派揃いの4月クールはいかがでしたでしょうか。次回クールには、一体どんな作品が並ぶのか。出揃い次第ご紹介して参りますので、引き続きお楽しみに~!(text:Yuki Watanabe)
2016年06月25日こんにちは、ROBE編集長のAzuです。気まぐれ連載《水曜のケセラセラ》第12回目になりました。前回は似顔絵を描いてもらった話でしたが、今回は少し真面目に、自分が身につける服は何を反映しているんだっけ?というお話。 いまこの文章を書いている私は、光沢のある赤いフレアのロングスカートとベージュのクロシェ編みの長袖を着ています。気温28度。いくらスケスケのクロシェ編みといっても、正直暑いです。なぜ私はこんな格好を選んだのか。それはどうしても「赤のロングスカートとスケスケのベージュ」の合わせにトライしたかったから。コレクショントレンドを追いかけるのが好きな方は、今のGUCCIと聞いたらパッとイメージが浮かぶかもしれません。GUCCI 2015-16AWコレクションのファーストルックを飾ったのが、まさに「赤のロングスカートとスケスケのベージュ」でした。スパンコールで作られたトロンプルイユのリボンタイや顔を半分覆うデコラティブなメガネ、動物や植物をモチーフにした派手な色柄などを用いた装飾満載なルックが多いなか、シンプルなこのルックがとても印象に残ったのです。これを唐突に思い出して“絶対に”着たくなってしまったのが、今日。たまたま該当アイテムがあったからいいものの、なかったら買いに行っているところでした。思い立ったら絶対にやらないと気がすまない、時には損な性格です。リアリティと理想の境目がわからない先日、あるトークショーでファッションとデザインの話を聞いていたとき、「リアリティ」という言葉がとても頭に残りました。デザインが生活に紐付いている以上、ファッション/ 洋服も自分の生きる環境、自分を構成してきた経験、自分が浸ってきた文化を反映しているはずです。ところが、何を反映すれば良いか分かりづらくなっているのが現代。「自分のリアリティ」を見失ってしまっている人が多いのだそう。リアリティを認識するためには、その輪郭を際立たせるための理想が必要です。越境するにも境目が必要、ということですね。でも自分っぽいもの、近い存在を探しやすい社会になってしまった今では、「現実と理想」の境目があまりにも曖昧。ゆえに自分の「リアリティ」がどこにあるのかわからない。例えばSNSの中という、ある意味「仮想現実世界」で満足してしまっている人は自分の「リアリティ」をそこに置いてけぼりにしてしまっているのでは、と思うのです。憧れの人とすぐに(たとえ一方的でも)繋がることができる、彼/彼女が買った物を身につけて投稿すれば何だか近づけた気がする、など、理想と現実が隣り合わせにある。私のファッションは私のリアリティに基づく話をGUCCIの真似っこコーデに戻しましょう。私がした真似っこはリアリティがあったのかといえば、そこには確かに地に足つく私のリアルがあったと思います。手持ちの服で、日本の街中を歩けるような格好に雰囲気だけ頂戴して落とし込んだ。ルックを完全に真似して乳を出していたわけでもないし(笑)私のリアリティは何処にあるんだろう、と考えた時に、やはり圧倒的にきらびやかな世界への憧れ、そしてそれを蚊帳の外からでも生で見てきた興奮が身に染み付いているのだと思いました。そこでの経験が、ファッションは遊んでもいいんだよということを教えてくれた。着飾る時は思いっきり着飾り、自分を出す時は出して、街に溶け込む時はじんわりと馴染む。この写真は馴染んでいるかわからないけど(笑)azさん(@azunne0217)が投稿した写真 - 2016 3月 10 1:35午前 PST 今年のパリコレ取材の帰り、頑張った自分へのご褒美としてGUCCIのエナメルシューズを買いました。同じようにパリコレでやってきたファッション業界人やセレブ(15足くらい広げてあーだこーだ言ってる)に囲まれながら履いたお店の中では確かに私の足で輝いていたのだけど、いざ持ち帰ってみるとなんだか眩しすぎて未だに一度しか履けていません。ファッションにおいて言うと、自分が囲まれてきた環境、肌で感じてきた文化、見てきたもの=リアリティを纏わずに理想だけすっぽり被っても、肌馴染みが実に悪いみたいです。私にとってGUCCIがリアリティに昇華できるまで、死ねない! Text : Azu Satoh
2016年06月23日こんばんは、古山エリーです。先日、20年来の親友と「女がひとりで生きていくために必要なモノ」について語り合ったのですが(そんな会話をしている時点でアウトです…)、必須アイテムに輝いたのは――“脚立”でした。お互い引っ越しをしたばかりということもあって、身長が低いということもあって「脚立って必要だよねー」という話で盛り上がったわけです(ワインを飲みながら、脚立って…)。実際、高い戸棚を開け閉めするときや高い場所の掃除のとき、電球やカーテンを交換するときなど、考えてみると毎日、脚立にお世話になっている。実家暮らしのときは父親や兄弟がいましたし、恋愛がうまくいっているときは彼氏がいる、頼れる人がすぐ傍にいれば「お願いー!」と言えますが、頼る相手がいないとなれば…脚立さまさまなわけです。脚立といっても、アルミ製のいかにもって感じのものではなく、雑貨屋さんに売っているような足場が3~4段ほどのパステルカラーのお洒落な脚立。機能性も確かに大事ですけど、毎日使うものですから、部屋にそのまま置いていてもダサくないものを選びました。見た目は大事です(結局、そこですか…)。見た目といえば、アイスランド・デンマークの映画『好きにならずにいられない』を観て、見た目=外見と中身=性格について考えました。というのも、この映画の主人公フーシは、43歳独身・かなりのおデブさん・オタク・女性経験ナシ・とってもシャイ…残念ながらまったく冴えてない男性です。でも真面目で仕事熱心。そんな彼がとあるきっかけで心に傷を負った女性と出会い、彼女のために行動することで変わっていく、その姿に四十路の心は清められ、感動しちゃったわけです。恋をすると女性も男性も目の輝きが違ってきますよね。見た目が落ち武者のようなフーシも例外ではなく。ただ、彼の場合は外見をどうこうしようとはしないのですが、だからこそ恋をしたことでキラキラする表情の変化がはっきり分かる。ハンサムに見える瞬間があるほどです(ちょっと言い過ぎか?)。この手の題材、モテない中年男子が恋をして変わっていく話は『40歳の童貞男』や『ラースと、その彼女』などでも描かれてきましたが、『好きにならずにいられない』はもっと繊細で、もっとロマンチックで、もっと切なくて…。そして、恋をすると人は強くなるんだと改めて気づかせてもらいました(いったい何回目ですか…)。というわけで、強い四十路として生きていくために、明日からまた新しい恋を探しに行くことにします(何処へ?)。今宵はここまで、また次回。(text:Elie Furuyama)
2016年06月20日『海街diary』で各新人賞を総なめ、『ちはやふる』の競技かるた部から今度は『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』で実在のチアダンス部員を演じる広瀬すず。先日は本場アメリカでの大規模ロケもニュースとなった。また、平均視聴率が初回から20%超えのNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」で、高畑充希演じるヒロインの妹で三女・美子を好演する杉咲花。途中からの参加ながらすっかり溶け込み、末っ子らしい個性を輝かせている。彼女たちは、それぞれ「シーブリーズ」、「Cook Do」などのCM出演がブレイクのきっかけの1つになった。実は2016年も、今後の大活躍を予感させるブレイク候補女子たちが最新CMに続々登場。彼女たちのCMとこれからに迫った。まず、500万部突破の惣領冬美の伝説的コミックを映画化した『MARS~ただ君を愛してる~』で、主人公・零(藤ヶ谷太輔)と恋人同士ではあるものの、牧生(窪田正孝)に翻弄される過去に傷を持つキラ役で注目を集める、“まりえってぃー”こと飯豊まりえ。「ニコラ」「Seventeen」で専属モデルを務め、女優としては連続テレビ小説「まれ」などに出演してきた。DHCポアナのCM「近づく勇気」篇では、ソファーに座る彼氏にちょっとずつ近づいていき、ついに“鼻キス”する姿が印象的だった飯豊さん。5月からスタートした「AbemaTV」のCMでは、キュートなパッツン前髪で自然体の姿を披露、これまで飯豊さんのことを知らなかった層にも「あの子は誰?」と話題を呼んでいる。桐谷美玲、三浦翔平、山崎賢人、野村周平という超豪華共演の新“月9”「好きな人がいること」にも出演が決まっており、2016年下半期も躍進を見せてくれそうだ。新“月9”といえば、放送に先駆け、スピンオフドラマ「好きな人がいること ~サマサマキュンキュン大作戦~」がフジテレビオンデマンド(FOD)にて配信されるが、本作に出演するシンガーソングライター・井上苑子も今年期待の注目女子。11歳から大阪・心斎橋で路上ライブを始めたという井上さんは、2015年7月にメジャーデビュー。キュートなルックスと歌声、等身大のメッセージがツイキャスで人気を集め、現在は視聴者数200万人を突破。映画『私たちのハァハァ』にも出演を果たした。2ndシングル「ナツコイ」が聴ける「ACUVUE」とのコラボCMも注目を集めており、キャンペーンサイトではオリジナルPVやレコーディング風景を収めた動画も公開中。その「ACUVUE」のCMに出演しているのが、“美しすぎる15歳”と呼ばれる久保田紗友だ。「ONE OK ROCK」の楽曲が印象的なNTTドコモ「iPhone・iPad」シリーズに出演し、「家族」篇では涙ながらに上京する少女役で話題に、「感情のすべて/男女」篇では村上虹郎とキラキラな恋人同士を演じて胸キュンを呼んだ。二階堂ふみの後輩にあたり、ディーン・フジオカ主演のNHKドラマ「喧騒の街、静かな海」や原田知世×斎藤工の「運命に、似た恋」、阿部寛主演の映画『疾風ロンド』など話題作が控えている。「あの子は誰?」といえば、WEB限定ながら、本格的な辛口で知られるグリコ「ビーフカレー〈LEE〉」の25年ぶりの新CMにも、注目女子が登場。やけに目力鋭い女の子が汗だくになるものかまわずカレーを食べる姿に、目が離せなくなる人が続出中だ。彼女は、デビュー1年ほどで初主演舞台「ヨミガエラセ屋」を経験、映画『商店街戦争-SUCHICO-』では猟奇殺人犯(!)を演じた松本穂香。映画『青空エール』や『にがくてあまい』への出演が決まっている。現在16社のCMに出演する有村架純の“妹分”として、今後の活躍が期待されている1人だ。また、CM界で目下、躍進中といえるのが、『チア☆ダン』で広瀬さんの親友役を演じることが発表された中条あやみだろう。「Seventeen」専属モデルを務め、『劇場版 零~ゼロ~』で映画初主演。人気女優の“登竜門”と呼ばれる「ポカリスエット」のCMに起用され、セーラー服で派手にスッ転びながらも街中を疾走する姿は大きな注目を集めた。クール・ビューティかと思いきや、NTTドコモ「d ポイント」のCMでは一転、お笑いコンビ「ロッチ」が声をあてる黄色い鳥“ポインコ”とコミカルに共演。投げキッス、ウインクに歌、サンバ風ダンスなど、さまざまな表情を披露。さらに、柴咲コウを引き継いで「ハーゲンダッツ」の新アンバサダーにも抜擢され、商品サイトではWEB限定インタビューも公開されている。そんな中条さんは、美少年勢ぞろいの『ライチ☆光クラブ』でヒロインを務めていたが、7月2日公開の『セトウツミ』では池松壮亮&菅田将暉と三角関係(?)になるというから見逃せない。さらに、CMのハマリ役で一気に注目されたのが、“岡山の奇跡”と呼ばれる「白猫プロジェクト」の桜井日奈子だ。これまで、元サッカー日本代表の前園真聖や本田圭祐選手のモノマネ芸人じゅんいちダビッドソンがサッカー部員役として登場する「白猫高校シリーズ」、桜井さんの大学生活を描く「大学生」篇と新人タレントとして始動する「芸能界」篇が登場。彼女のマネージャー役を務める「おぎやはぎ」矢作兼とのコンビも絶妙で、最新「待つのが仕事」篇では早口言葉をまったく言えずにかみまくる桜井さんを、矢作さんが温かく(?)見守っている。「8×4 BODY FRESH」のCMでは特技のバスケットも披露している桜井さん。初舞台「それいゆ」を終えたいま、今後の動向に注目が集まっている。(text:cinemacafe.net)
2016年06月19日まもなく2016年も折り返し地点。思えば、今年の日本映画は、初めから“何か”が違っていた。「Hey! Say! JUMP」中島裕翔&菅田将暉で「NEWS」加藤シゲアキの小説を映画化した『ピンクとグレー』は、開始62分後にガラリと “世界が変わる仕掛け”が施され、原作を知る人にとっても度肝を抜く展開を行定勲監督が見せつけた。また、ゴールデンウィーク中、お馴染みの人気アニメやハリウッド大作がありながら、客足が落ちなかった1本といえば、「ZQN」(ゾキュン)とよばれるゾンビ化した人々が次々襲ってくる、日本映画としては異色のパニックホラー『アイアムアヒーロー』。大泉洋主演で花沢健吾のベストセラーコミックを映画化した同作は、ヘタレで情けない主人公がいつ“覚醒するのか”にもハラハラドキドキしながら、スカッとするラストが用意されており、エンターテイメント性も十分。『リング』『呪怨』など、いわゆるジャパニーズ(J)ホラーとは一線を画しながらも、海外の映画祭で絶賛を受けていた。そんな挑戦的で冒険的な、これまでにない刺激と衝撃を与える日本映画が、近ごろ急増中だ。まず、日本が世界に誇るJホラーでは、“本家”の二大対決が実現してしまった。何かとヒーロー同士が激突を見せる今年、『コワすぎ!シリーズ』などを手がけてきた白石晃士監督の『貞子vs伽耶子』(6月18日公開)では、『リング』シリーズの貞子と『呪怨』シリーズの伽椰子という、2大“最恐女子”までも世紀の対決を果たす。しかも、“呪いのビデオ”で貞子に狙われるのは山本美月で、“呪いの家”で伽耶子に狙われるのは玉城ティナという人気モデルでもある若手女優2人。しかも、そんな “最恐女子”を「引き合わせてしまえ」という霊媒師の経蔵役を演じるのが、いつでもクールな色気たっぷりの安藤政信とあれば、見逃せない。さらに今年は、『呪怨』の清水崇監督と清野菜名とのタッグで、水や風などを体感できる4DX限定の『雨女』(公開中)まで登場。劇場でしか出会えない恐怖を実現させている。そんなJホラーの醍醐味といえば、ごく普通の日常の中に忍びよる驚愕の恐怖。だが、“呪い”とまではいかなくても、穏やかな日常とすぐ隣合わせにある究極の狂気は、身を凍らせるには十分だ。「V6」森田剛の映画初主演作『ヒメアノ~ル』(公開中)は、「ヒミズ」「行け!稲中卓球部」の古谷実によるコミックが原作。これも映画らしい見せ方で、前半は「これがR15指定?」というほどに、濱田岳、ムロツヨシ、佐津川愛美によるほのぼのとした三角関係が繰り広げられていく(若干、ムロさん演じる先輩の“想い”に危険な香りがするが…)。しかし、ほのぼのカップル成立と同時に起動するのが、森田さん演じるサイコキラーの残忍すぎる狂気。華奢な体つきの森田さんが、全体重をかけるかのような殺人シーンには戦慄を覚えずにいられない。仮にもアイドルである彼が挑戦した、容赦のないバイオレンスと過激描写はかつてないほど。同様なことは、『ディストラクション・ベイビーズ』(公開中)にもいえる。柳楽優弥に菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎、さらに池松壮亮、北村匠海ら、最旬ともいえる人気若手俳優が新進気鋭の真利子哲也監督のもとに集結。どんな青春映画に仕上がるのかと思いきや、柳楽さんが演じるのは路上で見知らぬ人にいきなり殴りかかり、ストリート・ファイトを繰り返す青年で、全編ほぼ無言。その暴力の衝動は止まることを知らず、ただ殴り、殴られ続ける。また、菅田さん演じる高校生は青年のギラギラとしたカリスマに惹きつけられ、「おもしれえ」と傍観者から暴力で支配する者へと転じてしまう。劇中には、小松さんが菅田さんに本気で殴られる(それ以上)シーンもあり、この衝撃はかなり後を引く。日常に迫りくる狂気に、後を引く“気味の悪さ”+豪華キャストといえば、『クリーピー 偽りの隣人』(6月18日公開)も忘れてはならない。前川裕のミステリー小説を原作に、黒沢清監督のもと西島秀俊と香川照之がまたも競演。それぞれ、『ニンゲン合格』『蟲たちの家』『LOFT ロフト』、『蛇の道』『トウキョウソナタ』「贖罪」に続き、4度目の黒沢作品ながら “初”タッグ。香川さん演じる“奇妙な隣人”は、初対面からどこかとらえどころのない現実感のなさを醸し出し、かなりヤバめ。この隣人と6年前の未解決一家失踪事件の関係に気づいた西島さん演じる犯罪心理学者は、竹内結子とせっかく夫婦になれたのに(?)、平穏な日常を浸蝕されてしまうのだ。さらに、『その夜の侍』で決して笑わない堺雅人の喪失と憎しみを描き、映画ファンを震撼させた劇団「THE SHAMPOO HAT」赤堀雅秋の監督2作目『葛城事件』は、『64-ロクヨン-』の三浦友和が暴力的で高圧的な父親を怪演。無差別殺傷事件を起こした死刑囚の家族が崩壊する様を、不穏な空気感たっぷりに描き出すこの問題作には、父親に反抗できない長男役に引っ張りだこの個性派・新井浩文と、無差別殺傷事件を引き起こす次男役に新鋭の若葉竜也、そして思考停止の母親役に南果歩と実力派がずらり。そんな家族を暴力で支配する父親・三浦さんが体現したパブリックイメージへの “裏切り”は、いつまでも心をざわつかせるに違いない。また、綾野剛と『凶悪』白石和彌監督がタッグを組んだ『日本で一番悪い奴ら』(6月25日公開)にも“裏切り”が満載。これまで、幾多の映画・ドラマで“正義のヒーロー”として描かれてきたはずの警察官が、やらせ逮捕におとり捜査、拳銃購入、覚せい剤密輸など、これでもかと悪に染まっていく姿を描き、もはや振り切れて逆にコメディかと見間違うほど。これが日本警察始まって以来最大の不祥事という実話であることも、観る者を驚愕させる。そのほか、門脇麦が“哲学的尾行”を行う『二重生活』(6月25日公開)も、絶妙な変化球で観る者を引き込ませ、困惑させる問題作。哲学の修士論文に悩む学生が、偶然出会った隣人(長谷川博巳)を尾行!尾行する者の視点と、そんな彼女の姿をとらえるカメラの視点が巧みに入り交じり、ドキュメンタリーを見ている感覚から一歩進んだ、他人の日常を覗き見する高揚感と罪悪感に心がざわついていく。変化球といえば、宮藤官九郎監督・脚本×「TOKIO」長瀬智也×神木隆之介による『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』(6月25日公開)にも注目。不慮の事故で地獄に堕ちてしまった高校生が、地獄専属ロックバンド・地獄図(ヘルズ)の赤鬼・キラーKの力を借りて、初キスのために“生き返り”に挑む。長瀬さんをはじめ鬼の面々は素顔が誰だか分からないほどのキャラ変だが、神木さんも負けじと“ウザキャラ”で弾けている。抱腹絶倒コメディにロック青春ミュージカルがかけ合わされた、かなり挑戦的な1作となっている。バイオレンスで過激、不気味で後味が悪い作品からぶっ飛んだコメディまで、予定調和に収まらない日本映画の挑戦を、あなたは受けとめられるだろうか?(text:cinemacafe.net)■関連作品:ピンクとグレー 2016年1月9日より全国にて公開(C) 2016「ピンクとグレー」製作委員会
2016年06月18日映画を通じてその国の文化を知る、そこに生きる人たちの生活を知る、そして映画をきっかけに旅に出たいと思う――。今、トルコに想いを馳せているのは、映画『裸足の季節』を観たからです。トルコの都市イスタンブールから1000キロ離れた小さな村に住む5人姉妹のお話で、古い慣習と封建的な思想のある村で生きる彼女たちに(日本人の)私たちのような自由はなく、あることがきっかけで家から出ることを禁止され、花嫁修業の日々…。えっ、この時代に!?という驚きがありました。ですが、恋をしたい、街に出かけたい、お洒落をしたい、自由に生きたい、というのは彼女たちも同じで。閉じ込められたカゴから羽ばたこうとするその力強さ、また自分の運命を受け入れて生きようとする潔さからは、自由であることの本当の意味を考えさせられます。姉妹の会話のなかに登場する街イスタンブール。…と聞いて思い浮かべるのは、やはりモスクが立ち並ぶあの街並でしょうか。たとえば、『007 スカイフォール』のオープニングはイスタンブール。空から撮影したあの何とも言えない美しさは格別で。『裸足の季節』のなかで姉妹たちからイスタンブールの言葉が出るたびに、その景色が頭のなかに思い浮かんでいました。また、イスタンブールと言えば、2万枚以上の青いタイルと250を超えるステンドグラスの窓が飾られたスルタンアフメット・モスク(別名ブルーモスク)、メドゥーサの首の像が柱を支えていることで有名な地下宮殿、ビザンチン建築の最高傑作と言われるアヤソフィア博物館大聖堂(聖ソフィア大聖堂)…など、あちこちに歴史的建築がズラリ。タイムスリップしたような感覚になる街です。話を戻します。この映画を観る前はどこか雰囲気が『ヴァージンスーサイズ』と似ていると思っていましたが、似て非なるものでした。『裸足の季節』には少女たちの生きるエネルギーが流れていて、そこから発せられる美しさと力強さに魅了される。古いしきたりや社会のなかの女性の在り方を問うだけの映画ではなく、そういう世界でも青春はあることを描いている。彼女たちの青春、その輝きにハッとさせられる。女性の力強さと輝きを感じてほしい一作です。(text:Rie Shintani)
2016年06月15日世界各国で記録的ヒットをたたき出した異端児ヒーロー映画『デッドプール』が6月1日(水)、全国744スクリーンで封切られ、R15+指定作品にもかかわらず早くも興収10億円を突破する好スタートを切った。日本でも“デップー”旋風が巻き起こった理由は?映画は謎の人体実験を受け、驚異的な治癒能力と不死の肉体を手にした代償に、顔を含めて全身の皮膚がただれてしまった元傭兵のウェイドが、デッドプールに変身し、復讐を誓うというアクション大作。過激な暴力描写に加えて、刺激が強いセリフも多々あり、全米でもR指定を受けたが、『アバター』『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』を超えて20世紀FOX映画史上、最高のオープニング記録を樹立し、3週連続で首位を守った。熱い支持を集める最大の理由は、何より主人公であるデッドプールのキャラクター性にあり。一見、ヒーロー然としたルックスながら、その素顔は自己チューでお調子者、利己的で無責任というギャップがとても新鮮。近年は「真の正義とは?」とシリアスに問題提起するヒーロー映画が多いだけに、ここまで弾けた(フザけた)主人公が大暴れするのは痛快そのものだし、不謹慎狩りが横行する窮屈な時代の空気に風穴を開ける清々しさもある。公開前のプロモーションでも、そんな型破りヒーローのキャラクター性を全面に押し出し、映画ファンはもちろん、普段なら実写洋画を敬遠する層まで幅広く訴求。大々的な“マーベル”アピールはせず、アメコミ映画特有のハードルの高さを打ち消した点も奏功している。この“キャラ推し”戦略は、同じくR15+指定ながら、興収40億円超えの大ヒットを記録した『テッド』(12年公開)に通じるものがあり、日本人のギャップ萌え傾向も垣間見える。もちろん、SNSによる口コミも見逃せず、やはり力を発揮するのはパッと見で認知できるキャラである。『名探偵コナン 純黒の悪夢』『ズートピア』がともに興収60億円を突破する一方、洋邦問わず実写映画の数字が思うように伸びていない2016年の映画界。夏休みシーズンには、さらに強力なアニメ作品が数多く公開されるだけに、いまこそ『デッドプール』のヒット動向を分析することで、実写映画が浮上する糸口が見えてくるかもしれない。『デッドプール』は全国にて公開中。(text:Ryo Uchida)
2016年06月14日先日、イギリスからやってきた友人とご飯を食べていて、映画の話になりました。友人:最近、面白い映画を観た?私:ああ、そういえば、若き日のエリザベス女王を描いた『ロイヤル・ナイト英国王女の秘密の外出』を観たな。友人:イギリスではちょっと前に公開されたけど面白かったよね。そういえば、監督は私の友人なのよ。知ってた?私:ジュリアン・ジャロルド監督ね。そういえば、『キンキー・ブーツ』が公開されたときに、そう言ってたよね。友人:そうだ、連絡を取ってあげるから、映画のことを何でも聞いたら?私:ぜひぜひ!…というわけで、友人が私とジャロルド監督を繋いでくれたわけです。後に女王となるエリザベス王女と妹のマーガレット王女が、生まれて初めてお忍びで外出した一夜の出来事(実話です!)を描く『ロイヤル・ナイト英国王女の秘密の外出』。2人が初めて手にした“自由”が、どれほどの喜びと切なさに満ちていたかを、丁寧な心理描写で映し出した作品です。監督は忙しい合間を縫って、私が聞きたかった4つの質問に答えてくれました。――映画、とっても楽しく拝見しました。映画を作る過程での苦労話などはある?ジェロルド:よく、ロンドン塔には連行されなかったよ(笑)。女王がこの映画を見たら、にやりと皮肉っぽく微笑えんでくれたらいいなと思う。いずれにしろ、何かしらの反応が女王側からあるとしても、時間がかかるだろうね。とにかく、バッキンガム宮殿から映画撮影の許可をもらうのは難しかった。グリーン・パークの宮殿の門の外と遊歩道で撮影したかったから、宮殿からの許可は必須だったんだ。だから、脚本を提出しなければならなくて。許可を取るのに何年もかかったんだ。結局、許可してくれたけど。実は、ヨーロッパ戦勝記念日というまさにその日に、アーク灯のもとで、100名ほどのエキストラたちと宮殿の外で撮影した。皆、歌を歌い、歓声を上げたんだけれど、それはちょうどエリザベス女王のプライベートな居住施設の真下だったんだ。みんなで窓を見上げ続け、カーテンが動くのではないかと見守っていたんだ。彼女は僕たちを見たかって?さあ、どうだろうね(笑)。――この作品が実話に基づいているとはいえ、ストーリーだけ聞くと、名画『ローマの休日』を思い出しちゃう人もいるでしょうね。もちろん、私は2つの作品が全く違うタイプの作品だと知っているけれど、観ていない人は、ちょっとそんな印象を持つかも。それは心配していない?ジェロルド:そう言われることは決して嫌じゃない。この映画こそが実話に基づいていると知ってもらえることは、嬉しい。最終的に映像をまとめてみたら、それが『ローマの休日』にある意味で似ていると感じたんだ。実際のところ、僕もヨーロッパ戦勝記念日の夜、2人のプリンセスが群衆のただなかにお忍びで出かけて行って、宮殿の外でダンスし、英国国歌を歌ったという実話について耳にしたとき、それはありえないと思ったんだ。でもよくよくリサーチしてみると、それが事実であり、誰一人として彼女が王女だと気づかなかったと知った。フェイスブックもスマホもない時代。セレブリティ文化がまだ黎明期だった時代の話ならではだね。――映画で描かれる王女様の一夜の冒険は、初めてエリザベスが知った“本当の世界”に対する驚きと喜びに満ちている上、ちょっとした淡い恋のようなものまで描かれていてチャーミングでした。でも、ひとりの女性として自由を謳歌するのは、この一晩限りで、永遠にエリザベスには訪れないという事実に切なくなりました。ロイヤルファミリーはすべて欲しいものを手にしている人たちだと思っている人も多いかもしれないけれど…。ただ、この経験が、彼女にとって、民の生活や自由というものを直接知る貴重な機会となったからこそ、彼女を国民に愛される女王へと成長させていったのかもしれないわね。ジェロルド:全く同感だよ。第2次世界大戦下、ロンドンはひどく爆撃を受けていたし、バッキンガム宮殿も、実際に国王と王妃が住んでいたときに直撃されていたから、戦時中、2人の王女はウィンザー城に閉じ込められていたんだ。それに、王と王妃はとても保守的で、2人を洗練された社交界のみで生きるようにしつけていた。だから、あの一夜は姉妹にとって特別で唯一無二の体験となったんだ。エリザベスはまず民衆の喜び、楽観的な表情、幸福感を目撃することができた。この経験は、彼女の目を開かせ、自分の役割を自覚させることになったのだと思う。国王と王妃のいる宮殿と、群衆と一緒にいるエリザベスが門で隔てられているシーンは象徴的だ。映画の中では、そこで初めて自らが女王として担う役割と、それに伴う犠牲について本当の意味で気づくんだ。そしてもちろん、ジャックという男性との出会いとそれ端を発した冒険は、彼女の人間としての部分を浮かび上がらせ、宮殿に戻るということについて複雑な想いを抱かせるんだよ。――本作を撮り終えた今、エリザベス女王に対する想いで変わったことは?ジェロルド:実は、僕は君主制については、ずっと態度を決めかねていたんだ。階級構造や特権階級を守るものなのかとか、本当に我々の憲法で重要な役割があるのかとか考えていたから。とはいえ、ロイヤルファミリーはイギリスには大切な存在だし、外交的にも重要な存在なんだと認識できた。そして、彼女の90歳の誕生日(4月21日)を迎えた今では、もちろん多くの国民同様に、すっかりエリザベス時代の子どもたちだよ!(text:June Makiguchi)
2016年06月14日こんにちは、ROBE編集長のAzuです。もはや毎週だけど、気まぐれ連載《水曜のケセラセラ》第11回目。前回はドキドキ初香港紀行をお届けしました。今回は生まれて初めて書いてもらった似顔絵についてのお話。 ROBEの人気コンテンツはイラストコーデ。流行アイテムのコーデ紹介やランウェイトレンド、妄想シチュエーション着こなしなどをイラストで表現しています。写真の方がもちろん鮮明なのですが、ファッションイラストで表現することで「ここはどうなっているんだろう、こうだったら素敵だな」と、見る人が想像して楽しめる“余白”を残せるのがイラストの魅力だと思います。自分の顔を鏡や写真で見ることはあっても、他の表現で見ることはなかなかない。人に撮ってもらった写真や鏡の前ではこうじゃないああじゃないと悩んでしまうし、セルフィーの中ではいつだって現実の私と理想のワタシの間で漂っていられる。じゃあ他人のフィルターで見た私って、どんな感じなんだろう?イラストの記事を担当していたら、自分もイラスト化してもらいたくなってしまいました。イラストの私は清楚だった人気イラストレーター たなかみさき さんに似顔絵を描いてもらえるということで、自由が丘のKIAN ART GALLERYで開催中のアクセサリー展示販売会&イラスト展「AMAGOI DISCO」に行ってきました。Instagramで見かけて気になっていたたなかさんのイラストは、どこか懐かしさと儚さを感じさせる色使いと細い線が特徴。特に彼女が描く男女は胸キュン1000%の甘酸っぱさに潮風が吹いている感じ。初めて見かけた時、「パスワード探偵団」の挿絵を思い出してぐーっと懐かしさがこみ上げてきました。同世代ならわかるかな?人に自分の写真を撮ってもらうと、思いがけない表情をしていることがよくあります。自分が良いと思ってセレクトした写真と他人が良いと思った写真もだいたい異なっていたり。セルフィーの中の“いいね”な自分ではない。ましてやイラストなんて言ったら、他人のフィルター100%で私を描いてもらうわけだから、そこには正真正銘丸裸の私が現れます。そんな怖さも抱えながら、描いてもらった私がこちら。たまご型の輪郭、ニヤリとした口元、長い睫毛など、しっかりと特徴を描いていただきました。やっぱりここが特徴なんだなぁと改めて納得。自分で言うのは恥ずかしいけど。ただし実物より50,000倍清楚に見えるのでこの辺りがフィルター、つまり第一印象なのでしょうか。いや、多分違う、この清潔感はその日着ていたsacaiのシャツ通称LAWSONシャツのおかげ。たなかさん、素敵な似顔絵ありがとうございました!写真とイラストを並べてみた面と向かって似顔絵を描いてもらったことはこれが初めてですが、以前 T magazine でコレクション期間中に連載されている Damien Florébert Cuypers による SNAP SKETCH に登場したことがあります。2015年3月のパリコレでスナップをしていた瞬間。CHANELのショー会場、グランパレの前でした。このイラストを見つけた時には叫びました。まさかTmagazineに自分が載るなんて夢にも思っていなかった!これがどうやって描かれたのかはわかりません。名前も職業も書いてあるからきっと私が答えたんだろうけど、果たしてそんな瞬間あったのだろうか...?Paris – Champs Elysées Clemenceau. #PFW, #Fashion, #France, #FW15, #Moda, #Mode, #Model, #Paris, #Street, #nofilter #trendfortrend #Week, #Woman, #Women Photo © #WayneTippetts Now live on www.waynetippetts.comWayne Tippettsさん(@waynetippetts)が投稿した写真 - 2015 5月 5 11:24午前 PDTそして実際の写真がこちら。偶然同じタイミングでフォトジャーナリストの Wayne Tippetts さんに撮られていたようです。この日はとても寒く小雨が降っていたので、友人に借りたストールとハットにパリの古着屋で買ったコートという即席スナフキンコーデ。イラストと見比べると、ストールやコートのボリューム感、スニーカーのディテールまでしっかりと再現されています。イラストの方が可愛らしく描かれているのは、きっと私が子供のように見えたからでしょうか。心なしか心配そうな表情の理由は、自分自身でも今では思い出せません。でも、写真が映し出す疲れた表情が彼にとっては悲しそうに写ったのでしょう。 それもそのはずです。この写真を撮られた数分前に階段から落ちて尾てい骨を骨折しています。翌日にはトランジット含め20時間近いフライト。まさに生き地獄。 盛り盛りのセルフィーのように自分を良く見せる写真ばかりではなくて、たまには他人にまるっきり委ねて、私そのものを描いてもらうのも良いなーと、思ったのでした。えぇ、もちろん“アイコン”にします。Text : Azu Satoh
2016年06月14日気づけば梅雨入り。世の中的にはジトジト雨が続く季節かぁとちょっぴりテンションは下がるのでしょうけれど、お肌的に乾燥より湿気が嬉しい四十路にとっては、それほど嫌な季節ではないものです。まあ、かび臭い女にはなりたくないですが、男につぎ込むくらいなら自分のために!と去年フンパツして買った、除湿・加湿・空気清浄の三役をこなす我が家のクリアフォースZくんのおかげで、お部屋のなかは快適。約束を守ってくれない男なんかより(はっ、最近の鬱憤がつい…)ぜんぜん頼りになる頼もしいヤツです。そんな今宵もたわごとおつき合いくださいませ。一人暮らしが長くなると夕食も“外で”、“ひとりで”は当然多いです。ランチはひとりでも夕食はちょっと…と言っていたのは遥か遠い昔で(私にも可愛いこと言っていた時期、あったんです)、今は定食屋もイタリアンも寿司屋も天ぷらも牛丼屋さんも、だいたいひとりで平気になってしまいました。なので、年下女子が「私、勇気がなくてひとりで外食ができないんです」と悩んでいると、なんでも平気になってしまうと大変、できなくていいこと、できない方がいいこともあるのだよ、なんて言ってしまいます(発言後の自分がとても悲しい、寂しい…)。そんなときは“美味しい”映画を観よう!と、タイトルからして美味しそうな『二ツ星の料理人』を観てきました(本音は、色男ブラッドリー・クーパーのシェフ姿が見たかった)。クーパーの演じる二ツ星シェフのアダムが過去の失敗から立ち直ろうと、パリからロンドンへ場所を移し、三ツ星を目指す再起のドラマです。基本、ダメな男(でも才能はピカイチ)に弱いので、料理の腕は一流だけど性格に問題があるようなアダムタイプは、それだけで「私がなんとかしてあげたい!」と思ってしまうんですが、気分はヒロインですが、それ以上に――気づけば本当の厨房を覗いているかのようなリアルさに見とれてしまっていました。料理も美しかった!アダムと、彼が引き抜いた女性シェフでシングルマザーのエレーヌ(シエナ・ミラー)の会話のなかに、男と女の違い、独身と家族のいる者の違いを感じたセリフがありました。料理とは何だ?というアダムの問いに「誰かの愛情を維持するもの」と答えるエレーヌ、「(レストランは)栄養をとったり食うだけの場所じゃない、料理のオーガズムを感じる場所だ」と言うアダム。どちらのセリフもその通り。だからこそ、やっぱり食事は“誰かと一緒に食べる”ことが“美味しい”に繋がるのだと、自分の味気ない食生活をふり返り、かなり反省です。というわけで、近所で見つけたフレンチレストランには、ひとりではなく誰かを誘って美味しい時間を過ごしたいなぁと。素敵男子とのレストランディナーを妄想しつつ(でも、昨日の夕食はコンビニ弁当だった…)今宵はここまで。また次回。document.write(’’);(text:Elie Furuyama)
2016年06月13日「好きな人を振り向かせるためにはどうしたらいいんだろう…」。そんな恋がニガテな人に読書家の著名人3人から恋の教科書になる本を3冊教えてもらいました。料理家の瀬尾幸子さん、ライター、ブックカウンセラーの三浦天紗子さん、テレビ東京アナウンサーの森本智子さんのみなさんです。男心や悩み相談…。こういった読み方もあるのか!と目からうろこのセレクト作品には、さまざまな方向から彼を振り向かせるヒントが詰まっています。≪瀬尾さんおすすめ!≫■『竜馬がゆく』司馬遼太郎坂本竜馬の波乱に満ちた生涯を中心に、同時代に生きた若者たちを描く長編小説。「これに描かれた竜馬は本当にかわいい。でもかわいいだけじゃなく、破天荒で計算高いところもあって、かなりの女たらしといえるかも。こんな男を女が放っておくはずもなく、竜馬は行く先々で魅力的な女たちに惚れられます。それぞれの女と竜馬の微妙なやりとりや、一途な女の想いを読み取ると、とってもおもしろいのです」。文春文庫(一)650円≪三浦さんおすすめ!≫■『恋愛がらみ。不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』高山 真“知的ゲイエッセイスト”の著者が、不器用な女子たちの悩みに答える。女性誌の連載を書籍化。「著者の視点は、やさしいのにシャープ。言いっ放しじゃなく、読者への愛を感じるので、<恋愛を成果主義で考えるのはつまらない><もらえるモノだけで男を選ぶのは、そろそろ卒業>など名フレーズが素直に刺さります。実践できたら、好きな男に振り向いてもらえそうだし、何よりいい女になれそう」。小学館1300円≪森本さんおすすめ!≫■『冷静と情熱のあいだ』Blu:辻 仁成Rosso:江國香織永遠に忘れられない切ない恋の軌跡を、男女両方の視点で描く純愛物語。「大学生時代にハマり、恋愛に関しては一番影響を受けた本。女性目線で描かれた赤の物語、男性目線の青の物語があり、それぞれの視点から恋愛を見つめることができ、男性の気持ちも勉強になります。恋愛において、冷静と情熱の間には何があるのか、何が一番大切なのか、考えさせられます」。角川文庫480円(Blu)520円(Rosso)◇せお・ゆきこ料理家。小誌の連載ほか、雑誌やテレビで簡単かつおいしいレシピを紹介。『これだけで、ラクうまごはん』(新星出版社)、『これでいいのだ! 瀬尾ごはん:台所まわりの哲学』(ちくま新書)など著書多数。◇みうら・あさこライター、ブックカウンセラー。小誌ほか雑誌やウェブで作家や漫画家のインタビュー、女性の健康などを手がける。著書に『そろそろ産まなきゃ』(CCCメディアハウス)など。ツイッター@asatian◇もりもと・ともこテレビ東京アナウンサー。経済ニュース『WBS』ではゲストがお薦めの一冊を紹介する「スミスの本棚」の進行を務め、現在は『NEWSアンサー』『主治医が見つかる診療所』などを担当する。※『anan』2016年6月15日号より。写真・多田 寛(DOUBLE ONE) 文・熊坂麻美
2016年06月12日少し前の作品だけれど、今観ても面白い。むしろ今こそ観るべきドラマたちをピックアップ!今回ご紹介する作品でも、“スターのあの頃”を見ることができます。4本目の作品として注目したいのは、2004年から2013年まで放送された英国ドラマ「恥はかき捨て」。米国ドラマ「シェイムレス 俺たちに恥はない」のオリジナル版としても知られるシリーズが、Netflixで配信中です。米国版の日本放送が始まってから早数年、満を持しての日本上陸となった「恥はかき捨て」ですが、物語の始まりは米国版とほぼ同じ。ただし、英国版の舞台はマンチェスターで、米国版の舞台はシカゴ。オリジナルのエッセンスを保ちつつ、米国ドラマとして上手に生まれ変わらせたのが「シェイムレス 俺たちに恥はない」だと言えます。主人公は、飲んだくれのダメ親父フランク、両親に変わって弟や妹たちの面倒を見る長女フィオナら、ギャラガー家の面々。個性豊かでたくまし過ぎる彼らが決して思い通りにはいかない日常の中で時にゆるっと、時に力強く生きる様が描かれていくのですが、そんな中に見覚えのある顔が。フィオナと恋に落ちる青年スティーヴ役で、ジェームズ・マカヴォイが出演しています。しかも、フィオナを演じているのは、残念ながら先頃離婚してしまったものの、約10年間にわたって連れ添ってきた元妻アンヌ=マリー・ダフ。このドラマこそが、2人の出会いの場でした。その事実にも納得させられるほど、劇中の2人は息もぴったり。スティーヴがフィオナに一目惚れし、距離を縮めていく展開が非常にキュートで、見ているこちらまでドキドキさせられてしまいます。さらに、英国版も米国版も赤裸々な描写とシニカルなユーモアが作品の持ち味となっていますが、スティーヴとフィオナのラブシーンもダイナミック。フィオナと喧嘩をしたスティーヴが全裸の自分にお花をあしらい、仲直りのプレゼント(!)として我が身を差し出そうとするシーンなどもあり、若きマカヴォイ、体を張っております。ちなみに、米国版でフィオナとスティーヴを演じているのは、エミー・ロッサムとジャスティン・チャットウィンの『DRAGONBALL EVOLUTION』コンビ。こちらも相性ばっちりで、米国版におけるフィオナとスティーヴの物語は、マカヴォイもアンヌ=マリーも2シーズンで番組を去った英国版より膨らみを持たせたものになっています。『X-MEN:アポカリプス』の日本公開も8月に控えるなど、今や映画界の人気スターとなったジェームズ・マカヴォイ。そんな彼の記念すべき出演ドラマが観られることになったように、最新作だけでなく、なかなか日本上陸が実現しなかったシリーズもどんどん観られるようになってほしい!より多くのドラマを観られる環境になった今だからこそ、期待は増すばかりです。(text:Hikaru Watanabe)
2016年06月11日こんにちは、ROBE編集長のAzuです。気まぐれ連載《水曜のケセラセラ》、なんとか4回目に突入です。前回は旬なキーワード《Tacky=悪趣味》な小物たちを題にファッションは自由だ!と叫んでみました。今回は目にも優しいお花のお話。どうぞよろしくお願いします。 「春のトレンド大予想!今年は小花柄がなきゃ始まらない!」みたいなうたい文句、よく雑誌などで見かけます。春といえば花柄、秋といえばチェック。鶴といえば亀、みたいに、二つは切っても切れない関係なのです。今年はというと、例に漏れずどのお店も花柄は置いてあるよう。私はCOACHが発表していた70’sな小花柄のパッチワークが気になってMy Wardrobeを探してみたのですが、なんと花柄が見当たらない。よくわからない宇宙船柄や歪んだギンガムチェックなど、変な柄や摩訶不思議な形の服はたくさん持っているのに、定番モノがほぼ皆無。よくよく考えると花柄は着たいものの、似合わないからあまり買っていないんだった。誰にでも、苦手な柄、形ってありますよね。みんなが着ていて可愛いから無理して買ってみたものの、奇跡的にしっくりこない形や色とか。昭和記念公園で花柄を学ぶ攻略したいならば研究せよ、ということで苦手な花柄を克服すべく向かったのは、立川にある国営昭和記念公園。GWを目前に、ちょうどポピーやチューリップが満開です。白、黄色、オレンジのポピーが一面に揺れる花畑。丸っこい花柄ならガーリーになりすぎず着こなせるかも。でもドット柄も苦手だ...ネモフィラの青、ポピーのオレンジ、リナリアの紫の3色合戦。この配色をそのままもやっとした小花柄ワンピースとかにしたい。そうか、抽象的な花柄ならいけるかもしれない。でもそれってもはや花柄ではないのか...チューリップ畑も満開。赤白黄色に収まらない100種類以上ものチューリップが花の絨毯を作ってます。実物は綺麗だけど、布にチューリップがズラーッと並んだ小花柄は想像しただけでなかなかきつい。紫×新緑の色合いが大人ムードの参考になりそうな彼らの名前は「クイーン オブ ナイト」。高々と咲き誇るその深い紫を見れば納得のネーミングです。他にもムーンウォーカー、ピンクインプレッション、ホワイトハート、レッドリバイバルなど、チューリップは戦隊系もしくは技系の名前が多いようです。クッキーアンドクリームみたいなこちらの花は「ローダンセマム・アフリカンアイズ」という、これまたかっこいい名前。この配色ならポップになりすぎないから着たいかも。どうやら小花柄より大ぶりの方がしっくりきそう。今度は花一つ一つに注目。大ぶりの花を逆さから見るとディズニープリンセスにも対抗できそうなドレスの出来上がり。こちらは目一杯広げた手のひらほど大きいボタンでございます。視点をひっくり返すとウェディングドレスの集団が。このくらいボリューミーなスカートを着こなすにはトップスはどうしようか...お、花柄論から脱線している。花柄とは関係ないですが、花的精神論としてはやはりたんぽぽ推しです。何度踏まれても立ち上がるんだ!頑張れ!哀愁漂うダンデライオン。しっくり花柄は写実的公園を一周りして考察した結果、私の「しっくり花柄」はやはりコレだと確信。今日履いてました!2014年に購入した「AKIRA NAKA」のタイトスカート。柄はインクジェットプリントなので写真のように鮮明。うっすら重ねられたチェックも相まって、花柄にありがちな野暮ったさがないんです。次の秋冬もとんでもなく可愛い花柄を見つけてしまったので、買おうか検討中。どうやら私のしっくり花柄は「大ぶり・リアル」がキーワードらしい。そういえばこの企画で着た私物の花刺繍ガウンも大ぶりでした。帰りにお花を買って帰ろうと思い、表参道ヒルズのDILIGENCE PARLOURに寄ってみました。いろんなブランドさんの展示会などで見かけていて、ずっとお邪魔してみたかったのです。自分用にお花を買うのってドキドキ。公園で見たボタンが綺麗だったので大きなお花を買いたいなーと、芍薬を連れて帰ることに。大きく咲いて、花びらがボトっと落ちる姿も綺麗なんだとか。スカートと同じ、白い花も添えて。定番の柄や形を選ぶときって、選択肢がありすぎて無難なものを選びがち。でも、本当にそれ、しっくりきていますか?Trial & Errorを繰り返して、自分にとってベストなスタンダードを見つけましょう。Text. Azu Satoh
2016年06月10日こんにちは、ROBE編集長のAzuです。気まぐれ連載のはずだった《水曜のケセラセラ》、GWも懲りずに続けます。前回はいくらファッション好きでも苦手な色形ってあるよね、という話で無理やり花畑に行きました。今回はファッション業界・デザイン業界を騒がしているあの問題を、幼少期の記憶と絡めて。どうぞよろしくお願いします。 私が小学生だったころ、ジュニアブランドブームが巻き起こりました。ブームを築きあげたのは「メゾピアノ」や「エンジェルブルー」「ポンポネット」など、ナルミヤインターナショナルが展開するブランドたち。他にも「ベティーズブルー」や「3年2組」「ラブラビ」など、たくさんのジュニアブランドが小中学生向けファッション誌とともに勢いをつけていた時代でした。同世代女子はきっと記憶にあるかと思います。(ちなみに一時期勢いを失っていたナルミヤさんですが、今再びECで力を取り戻しているそう。子供は成長が早いからすぐ着られなくなってしまう分購買サイクルが早いので、簡単に購入できるECが伸びているんだとか。あと、返品対応の良さ!)私はというと例に漏れずガーリーな世界観のメゾピアノにどハマりしていた「メゾラー」の一人。もちろん小学生の頃は自分のお小遣いだけでは服を買えず、全国模試でいい点数を取ってご褒美を狙ったり、コツコツお年玉を貯めたりして「憧れのメゾピアノ」を着ていました。 さて、幼少期において社会の闇に直面する瞬間は、突如としてやってくる。「メゾ派」の私がお気に入りのデニムミニスカをプリプリいわせながら、合わせる服を求めに近所のスーパーへ出かけた時のこと。「あれ...見たことあるぞ?」一体のトルソーが着ていたトップスを見た時、衝撃が走りました。「これ、メゾピアノの服と全く同じデザインでは...!!!」趣味といえば雑誌、カタログ(写真は自宅にあったメゾピアノ2003AWのもの。今見ても超可愛い。)、ブランドHPを眺めることだった私は、その「スーパーのトップス」がメゾピアノの新作に酷似していることを一瞬で見破りました。色も柄もシルエットも本当にそっくりそのまま。違うところといえば、ロゴとキャラクターの部分だけです。小学生ながら「これはいけないことだぞ!」と、とても悲しくやるせない気持ちに。自分が大好きなブランドの服、一生懸命頑張ってやっと手に入る服が、1/3の価格で売られてるんですから。デザインがほぼ同じと言えど、これはメゾの服ではない!なぜメゾぶってるんだこいつは!と、怒り心頭。 でも、その時私は思い出したのです。「そういえば、図画工作の授業で隣の子の絵、パクったわ」と。当時はここまでで考えが止まっていたけど、今思い返すと「スーパーのトップス」と「授業で描いた絵」で行われたパクリの違いはなんだろう?と考えさせる出来事でした。メゾのパクリはNGで、絵のパクリはOK?デザインを盗用したことで利益が発生する/しない?他人の目に触れる機会が多い/少ない?NGの境界線ってどこだろうか。街中では有名ブランドのデザインを真似し過ぎている「っぽい服」が平気で並んでいます。「流行」という言葉の力が強い業界なので、NGの境界線が曖昧なのは事実。実際、私が知っている限りでも、売れているデザイナーズブランドのディテールをそっくり真似して、自社のオリジナル商品として半値で売ったりするセレクトショップなどもあります。これって、「いま流行の形だから」では済まないよと思う。様々なブランドのデザイナーと話す機会もあって、生み出す苦労を知っている分、余計腹が立ちます。もし私がパクった絵で市のコンクールに入選していたら、パクられた本人はやりきれない気持ちだったでしょう。彼女にデザイン力はあっても、画力はなかったのだから。(その節はごめんなさい。)同様に、小さなブランドの場合デザイン力はあってもたくさん生産する経済力やビジネス力がないのだから、一度アイデアを取られてしまえば大きな企業に勝てるわけがないのです。この問題は買う方も考えなければいけません。もちろん「可愛いから買う!」でいいのだけど、じゃあそれはどんなイメージで作られたのかな?とか、オリジナルを見つけた時にそのブランドのことを調べるとか、「根っこ」のとこまで考えるべきだなと思う。ちょっと考えるだけでいいんです。それが作り手への敬意であるし、着ているもののルーツを知ることで、それに込められた表現が自分に返ってきやすくなると思うからです。(だいたい、野菜や果物の生産者の名前や生産地にはこだわるのに着てるものに対してはそれがどこ出身かなんて気にしないってのがおかしな話なんだ!と常々思っている。)(ベティーズブルーの雨の日限定ショッパー。当時は斜めがけのビニールバッグがショッパーとして定番でした。ショッパー収集癖があります。)では、よく聞くオマージュとパクリの違いって何なのか。一つは元の作品に対して敬意があるかないか、だと思います。ただ単に「こいつをパクったら売れそうだぞ!」とか、「ギリギリのラインでいい感じに仕上げよう」とか下心がある作品は、なんとなくその汚さが滲み出るんですよね。敬意を表したオマージュの素敵な例が、この前訪れた「旅するルイヴィトン展」で見つけたこちらの作品たち。3つとも、似ていますよね。真ん中の小さなトランクは2015-16秋冬、両端が1930年に作られたトランクです。どれもぱきっと対角線に走る太いラインが印象的。全ての作品が同じルイヴィトンという歴史あるメゾンの中で作られたものなので、そもそもパクリかそうじゃないかという議論ではないんですけど、ここでは違うクリエイターが一つのアイデアを元に作った作品、という意味でオマージュの例としてあげさせていただきます。元となるイメージを今の時代に合うように再解釈して作ったもの、それもオマージュと言える一つのポイントなのかな。それにしても最新作のモダンっぷりったら。このサイズですよサイズ。おにぎり入れたい。こんなことを考えたのも、先日5/1に放送された情熱大陸で話題になった弁護士・水野祐さんの対談(The FLAGより)を拝見したからです。スナイデルなど大人気ブランドを展開するマッシュホールディングス社長・近藤さんとのリアルな事件を絡めたトークは必見。明日から、パクリもんパトロールに出てきます。ではでは、また来週か再来週。Text. Azu Satoh
2016年06月10日GW中にやる気まで消化した模様。こんにちはROBE編集長のAzuです。気まぐれ連載《水曜のケセラセラ》ついに第6回目です。前回は90年代生まれにとって懐かしい話題でちょっとしたエモさをお送りしました。今回は美味しいお話です。どうぞ宜しくお願いいたします。 クッキー、大好きなんです。お菓子は全面的に愛しているのですが、とりわけチョコレートとクッキーが大好き。チョコレートに関しては以前ROBEの企画でもチョコレートをカカオ豆から作ろう!ということで、15時間くらいかけて作ったほど。クッキーは素朴なものからリッチなサンド系までなんでもいけます。学生時代は高級洋菓子店でマカロンの使者として地域の皆様にカロリーと笑顔をお届けし、パリ留学時代はクレープアイドルとしてパリ4区でトンボを毎日くるくる回していました。とにかく糖分にまみれた人生。洋服の次(いや同じくらい?)大好きな甘いものたちへの愛が抑えきれず、暇すぎたGW中に唐突に閃き「東京可愛いクッキーの旅」へ。前から気になっていた3店舗を巡ってきたので美味しいをおすそ分けいたします。やきがしやSUSUCRE三軒茶屋にある「やきがしや SUSUCRE」はまるで森のクッキー屋さん。階段を降りると目の前に広がるクッキー畑に思わず顔がほころぶ。さくホロ食感の素朴な味はどこか懐かしさを伴って、口いっぱいに広がります。全ての焼き菓子が保存料不使用な上、種類によっては上新粉を使ったり砂糖不使用など、健康にも優しいクッキー。ハリネズミくんや鯉のぼり、アイスやバラまで、表情豊かなクッキーたちは50種類以上なのでギフト選びにも手こずる嬉しい多さ。SAC about cookies富ヶ谷の住宅街にぴょこんと現れるのは色とりどりのアイシングクッキーが豊富な「SAC about cookies」カリッと固めの生地はザクザクと頰張りたくなる食感。スイートな見た目とは裏腹に、アイシングの甘さは意外にもさっぱりしてるので何枚でもいける。食べるのがもったいない可愛さだけど、すぐ食べちゃうよね、目の前にあると。個人オーダーもできるみたいなので誕生日や記念日に頼んでみようかなと妄想が進みます。Maison romi-unie学芸大学「Maison romi-unie」はクッキーとジャムのお店。お家型のギフトボックスはバターの優しい香りが広がるバターガレット、太陽のように輝くレモンクッキーなど6枚入り。とろりと思わずにやけるような。ひまわりみたいな。サクサクの幸せがぎゅっと詰まっています。自宅用の包装紙も家型で可愛い。商品以外のこうした小さなデザインとかユーモアが心に残っていくんだな、と改めて思いました。人に見せたくなっちゃうしあげたくなっちゃう。 ふと思い立ったGWクッキーの旅。目黒駅から3店舗を回り渋谷駅まで歩くこと約15キロ。ちなみに撮影用にそれぞれギフトボックス入りを購入し、味見用に数枚ずつ購入したところ合計4,000円も使っていた。GWで学んだのは「幸せはお金で買えたけど、歩いてたどり着けば5割増し」ってこと。Text. Azu Satoh
2016年06月10日こんにちは、ROBE編集長のAzuです。気まぐれ連載《水曜のケセラセラ》第9回目になりました。前回は大人の恋の話について。見返すとこっぱずかしい。今回は仕事のパートナーたちをご紹介します。どうぞ宜しくお願いいたします。 ライター / 編集者をしています。時々、カメラマン。主に便利屋。ファッション周辺で動いていると、キラキラした先輩たちを見るたびに「私はこんな所にいていいのだろうか...私みたいなカスが...」と思うのです。そんな場面でも胸を張って頑張る/戦わねばならない自分のお尻を叩いてくれるのは、いつだってテンションを上げてくれる可愛い小物達。改めて見返すと、カバンの中はコーディネートなんて無視した自分ワールド全開になっていました。フロシキシキの名刺入れ働きマンの必須アイテム名刺入れはファーストインプレッションで勝負。PVC素材でできている「フロシキシキ」の名刺入れはその名の通り風呂敷のように包んで収納するのが特徴です。お値段も1000円以下とお安めなのにキャッチーで可愛いので、かれこれ2年ほど愛用。mameのPVCバッグと相性が良いのも選んだポイント!ファッション業界おかぶり率が割と高めのアイテムです。ANNA SUIのステンドグラスミラービューティーケアはANNA SUIのステンドグラスミラーで。今は普通に手に入るけど、高校生の時に必死の電話予約で手に入れた魔法の鏡です。女の子だもん、いつだって可愛くいたいでしょ!と言いたいのだけど、実はそれほど見ません。持っているだけで可愛くなれる気がするので、御守り的に携帯しています。「なれるかも」という気の持ちようは大切ですよね。取材ノートとフリクション取材ノートはライターにとって命の次に大事なもの。気になったことを速記しながら話を聞いたり、とにかくメモを取り続けます。(恐ろしく字が汚いのでたまに解読不能なのが悩み。)いつでも持ち歩けるよう、選ぶのは手のひらサイズ。最近変えたばかりのノートはキレイなミントグリーンの配色がお気に入りです。「I’ll put on PANTS today」という変なセリフも愛おしい。スカート派なんでけどね。ペンはもっぱらフリクション!消したいものは消す。 楽しい仕事をさらに楽しく乗り切るために、身の回りからラブいもので固めていく!精神安定剤のチョコレートも忘れずに。Text. Azu Satoh
2016年06月10日少し前の作品だけれど、今観ても面白い、むしろ今こそ観るべきドラマたちをピックアップ。今回ご紹介する作品でも、“スターのあの頃”を見ることができます!3本目の作品として注目したいのは、1999年から2000年にかけて米NBCで放送された「フリークス学園」。日本でもかつて日本テレビの深夜枠で放送されたことがありますが、待望の配信がNetflixで始まりました。8月公開の『ゴーストバスターズ』も話題のポール・フェイグをはじめ、『40歳の童貞男』のジャド・アパトーら、錚々たる面々が製作、脚本、監督として名を連ねる「フリークス学園」ですが、スタッフが豪華ならキャストも今思えば非常に豪華。ジェームズ・フランコをはじめ、セス・ローゲン、ジェイソン・シーゲル、「ER 緊急救命室」のサムことリンダ・カーデリーニ、「BONES」のDr.スイーツことジョン・フランシス・デイリーらがメインキャストとして出演しています。何せ15年以上前の作品ですから、ジェームズ・フランコもセス・ローゲンも若い!のですが、当時ローティーンのジョン・フランシス・デイリーに至っては、とても可愛らしい少年といったところです。物語の舞台は、ミシガン州のウィリアム・マッキンリー高校。そこに通う生徒であり、スクールカーストの下位に位置する“イケていない子たち”が、キラキラや胸キュンとは縁遠い青春模様を織りなしていきます。原題の“Freaks and Geeks”は「変わり者たちとオタクたち」の意味で、まさに主人公たちを指す言葉。優等生だったにもかかわらず変わり者グループの仲間入りを果たしたリンジー(カーデリーニ)とそのサエない弟サム(デイリー)を中心に、チャーミングなダメ男ダニエル(フランコ)、優しいけれど思い込んだら一直線過ぎるニック(シーゲル)、賢くて辛辣な皮肉屋ケン(ローゲン)らが放課後の校庭でうだうだしたり、恋をしたり、学園生活や家庭の問題に悩んだり、無茶をして楽しんだり。キラキラや胸キュンとは一味違うと言ったものの、その姿はどこかキュートで共感大。ままならない彼らの青春に、引き込まれてしまいます。しかしながら、番組はシーズン1で終了。スタッフ陣やキャスト陣のその後の活躍ぶりを考えても、内容の秀逸さを考えても、リンジーやダニエルの毎日を全18話分しか観られないことは残念としか言いようがありません。そんな意見を持つ者は少なくなく、TIME誌の選ぶ“オールタイム・ベスト番組100”やTVガイド誌やエンターテイメント・ウィークリー誌の選ぶ“歴代の名作カルト番組”にも後にランクインしました。今やスター俳優になったジェームズ・フランコのイケメン高校生ぶりを目撃するもよし、プロデューサーや脚本家としても精力的に活動するセス・ローゲンのフレッシュな演技を堪能するもよし、そして何より、とてつもなく愛おしい青春ドラマの世界を味わい尽くすもよし。ぜひとも、今こそチェックしてみてください。(text:Hikaru Watanabe)
2016年06月08日昔はキラキラしていたはずなのに、時が経ち、気づくとまるで輝きを失っている。そんなものってありますよね。ドレス、バッグ、靴などなど。ファッションアイテムは、“流行”という時代のムードや人の気分によって、色褪せてしまうものの代表格。必ずしもそれそのものが古びたり、汚れたり、使えなくなったりしているわけではなくても。華々しさが強ければ強いほど、そういう運命にあるのでしょう。もっと大きな話をするならば、団地もそんな存在のひとつかもしれません。高度経済成長期に最新設備を伴って建設された団地は、近代集合住宅の象徴として庶民の憧れでした。ところが、現在はかつての華々しさや、誇らしげな様子はすっかり消え去り、漂うのは侘しさばかり。もちろん住宅の場合は、老朽化、住民の高齢化という問題もあるわけですが、それよりも何よりも、“団地”が持つイメージや言葉の響き自体が古びてしまって、とてつもないレトロ感、昭和感を醸し出していて、当初発していたイメージとは全く違うものになってしまっています(それはそれで、ひとつの魅力と感じる人もいるようですが)。映画『海よりもまだ深く』の舞台となった東京都清瀬市にある旭が丘団地もまさにそんな団地。是枝裕和監督が9歳から28歳まで実際に住んでいたところで、映画撮影のきっかけを、「自分の記憶の中にある団地の表情をちゃんと残しておきたかった」と話しています。思うに、この団地が象徴しているのは、子どもの頃、きらきらした未来への可能性を抱えていたのに、自分が思い描いていた輝かしい大人になれなかった者たち。監督曰く「なりたいものになれなかったのは団地も同じなんですよね」。もしかすると、監督は28歳でそこを出て、世界的に評価される映画監督として華々しい功績を手にしているけれど、団地に沁み込んだ自分の、そして人々の、さらには時代の記憶を敏感に感じ取れるからこそ、人々の感情に寄り添った素晴らしい表現が可能なのかもしれません。誰だって若き日には、本作の主人公である良多のように、希望に満ち溢れていたはず。良多は、一度文学賞を受賞してしまったがために作家であり続けることにしがみついています。そして、そのこだわりが自分も周囲も息苦しくしているのです。未来が想像していたものと違うからと言って、不幸なわけではないはずなのに。ならば、やるせない思いを抱き続ける人と、今手にできるものの中からちゃんと幸せを見つけられる人とでは、いったいどこが違うのでしょう。それは、自分の意志に反し、または不満を持ちながらもいつか輝きが戻ってくると信じながら団地に住み続けることと、そこに未来はないと感じたり、時代の空気を感じたりした時点で団地を出て、外からそこを見つめられることとの違いに、どこか似ているのかもしれません。主人公は、台風のせいで、今も母が暮らす実家の団地で別れた妻と子とともに一夜を過ごすことになりますが、この台風というモチーフがまた人生を語るうえでいいモチーフになっています。暴風雨はさまざまな被害をもたらしますが、そのパワーでいろいろなものを吹き飛ばし、洗い流します。ある場所からどうしても動けないときには、こんなパワーが背中を押してくれることになるのかも。そして、居座り続けていた何かを破壊することで、潔い諦めをもたらし、新たな一歩を踏み出す覚悟をきめさせてくれることもあるでしょう。「幸せって、何かを諦めなきゃ手に入らないのよ」母が良多に言うこのひとことが、とても印象深く心に残ります。これは、決して後ろ向きな発言ではありません。もしそれが「違う」と感じたなら、手放す勇気も持たなければ。人生は選択の連続。ありたい自分でいるために、最も大切なものを選びとることの大切さを教えてくれる映画です。(text:June Makiguchi)
2016年06月04日ハーイ、みなさん!ここアメリカでは、メモリアルデイ(戦没将兵追悼記念日)の週末を迎えました。ということは、公式に夏が来たという意味です!みなさんご存じのとおり、夏といえば映画が一番盛り上がる季節ですよね!楽しみに待っていた期待作がたくさん公開します!一番の話題作はやっぱり『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』。今のところ映画の評判は上々なので、製作を務めたティム・バートンの新たなヒット作になりそうな気がします。この続編でも、前作に引き続きおかしなキャラクターが登場します。キャストは、ジョニー・デップ、ミア・ワシコウスカ、アン・ハサウェイ、ヘレナ・ボナム=カーター、サシャ・バロン・コーエンなどです。ジョニーは、世界中を飛びまわって映画のプロモーション活動で大忙し!そんな中での、妻アンバー・ハードとの離婚のニュースはびっくりでしたね!ジョニーの愛するお母さんが他界した直後(3日後)に、こんなニュースが舞い込むなんて誰も想像しなかったはず。2人が結婚するまでの経緯はみなさんも知ってると思いますが、念のためおさらいすると、ジョニーは長い間連れ添ったパートナーのヴァネッサ・パラディと破局後に、撮影現場でアンバーと出会いました。もう離れられないって感じでラブラブでしたよね!でもアンバーの友達にとっては、2人の結婚は意外だったみたい。だってアンバーは、それまで女性と交際していたんですもの。だから2人の関係は、最初から普通の恋人同士とは言えなかったの。年齢も、アンバーがジョニーより22歳も下です。でもすごく幸せそうなカップルだったわ。お互いの映画のプレミアにも、仲良く2人で出席してたしね。でもそんな時に、あの“ワンコ密輸入”事件が起こりました。ジョニーが撮影で滞在していたオーストラリアに、正式な書類も提出せずに無断で、愛犬を入国させてしまったのです。そして2人は謝罪の映像を公開しました。そして、この離婚のニュース。さらには、2人の関係がハッピーではなかったという話がたくさん聞こえてきます。アンバーがジョニーをコントロールしていたとか、ジョニーの子供たちと彼のお母さんは、アンバーのジョニーへの接し方が嫌いだった、とかね。そしてアンバーは、たった1年半しか結婚していなかったのに、配偶者サポートを要求しています。もちろんジョニーは拒否してるけど、婚前契約を交わしてなかったというので、これはきっと泥沼離婚劇になるかも…。とにかく、ハリウッドのスター同士のロマンスが、また1つ終わってしまいました。でもきっとジョニーは、すぐに新しい恋をすると思うわ!ジョニーが次の恋人を見つける前に、皆さんは『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』を見てね!(text:Lisle Wilkerson)
2016年06月03日みなさん、こんにちは。ハウコレライターの神野悠です。このところ気温が上がってきました。暑い夏もあっという間にやってきてしまいますね。夏も間近なのに、今年もおひとりさまかもしれない・・・と気分が落ちている方もいるかもしれませんが、それなら目一杯おひとりさま期間を楽しんで過ごしたいですよね。そこで今回は読者のみなさんがおひとりさま期間にして楽しかったことをまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。■1.読書「もともと本が好きだったのもあるんですけど、自由な時間を全部読書にあてました。おしゃれなカフェを探しながら一日本を読むのはすごく良い時間になりましたね。しかも知らない間に知識も増えて、話すネタに困らなくなりました」(26歳/金融)忙しいと、「わざわざ読書する時間を取ること」自体がなかなかできませんが、おひとりさま期間でプライベートに余裕があるのなら積極的に取り入れるべき。モテる女子は会話の引き出しをだくさん持っている人が多いですよね。知的女子になるべく色々なジャンルの本に手を出してみてはいかがでしょうか?■2.ジム「続ける自信がなくても、キャンペーンとか使ってジムには一回入ってみて損はないと思いますよ。運動してる自分に満足できるし、意外とハマったり、ジム仲間が増えたりしてけっこうお得です(笑)」(24歳/OL)「ダイエットのためにって意気込むと結果が出なかったときに損した気分になるので、流行に乗っかるみたいな気持ちでジムに行ってみました。気分もリフレッシュできてよかったですよ、おすすめです」(25歳/教師)おひとりさま期間にダイエットに精を出す人は多いようですが、思うようにいかないと逆にストレスになってしまうから、うかつに手を出すのは危険でもあります。そこで、運動不足という方にはジムがおすすめという声が多数ありました。世間ではジムブームが巻き起こっているため、気軽な気持ちではじめることができますよ。また、色々な人がいるので、新しい出会いも期待できそうです。■3.資格勉強「最初はやることないし、久しぶりに勉強しようかなって感じで始めたんですけど、意外と始めたら楽しくて没頭してしまいました。ガチな資格じゃなければ息抜きしながらでも勉強できるので、おすすめです」(25歳/コンサル)資格のための勉強というと重たい感じがするかもしれませんが、実はおひとりさま期間に資格を取るという方は多いようです。後々自分のためになる資格でもいいですし、マニアックな資格を取って会話のネタにするのもいいでしょう。社会人の方も、たまには学生気分に戻って勉強してみるのも楽しいかもしれません。■4.一人旅「彼氏に振られてやけくそな感じで旅行に行ったのがきっかけだったんですけど、一人旅って楽しいんですよね。自分のことを誰も知らない土地に行くと少し大胆になれて、知り合いができたりもするので、少し邪(よこしま)な気持ちも含めて、旅行を楽しんでます」(26歳/金融)ひとりだと時間の隙間をぬって旅行に出ることもできますよね。フットワークが軽いのも、おひとりさまの特権です。身も心もリフレッシュするために、思い切って一人旅に出かけてみてはどうでしょうか?■おわりにいかがでしたか?おひとりさま期間を嘆くだけではなく、ポジティブに楽しもうとすると自然と新しい出会いも舞い込んできます。夏まではまだまだ時間がありますよ。今のおひとりさま期間を思いっきり楽しんでください!(神野悠/ライター)(ハウコレ編集部)(下薗なおこ/モデル)(柳内良仁/カメラマン)
2016年06月03日「子どもを本好きにしたいけど、読み聞かせにあんまり興味を持ってくれない。どうしたらいいの?」そんな悩みを持つ未就学児ママも少なくないはず。子どもといってもひとりの人間。なにかを好きになってもらうのは、そう簡単なことではないですよね。そんな悩み解決へのヒントにしたいのが「読書のアニマシオン」。フランス生まれ、日本でも徐々に広がりつつある活動です。新刊『子どもの心に本をとどける30のアニマシオン』(岩辺泰吏&読書のアニマシオン研究会編著、かもがわ出版)を参考に、1歳から大人まで楽しめる「読書のアニマシオン」について見ていきましょう。■アニマシオンってどんな活動?数人の子どもたちと、なかが読めないようにバンドでとめた本が数冊。子どもたちはグループに分かれ、本のタイトルと表紙のイラストを頼りに「どんなお話かな?」と想像力を膨らませてにぎやかにストーリーを考えていきます。一生懸命考えたストーリーを発表したあと、「本当はどんなお話なのかな?」と、手にした本を開く子どもたち。こうした活動が「読書のアニマシオン」と呼ばれるものです。「アニマシオン」とは、「アニマ(anima)」=魂や心をいきいきと活性化させる活動。転じて、フランス生まれの「市民が主体的に取り組む生涯学習運動」を指します。その目的は、グループで行うゲームのような活動を通して生活を楽しみ、心にゆとりを持つこと。指導役を務める「アニメーター(アニメトゥール)」は、1970年以降、「社会・教育・スポーツ・文化の活性化にあたる専門職員」として、国家資格を持つ職業になるなど、フランスでは広く知られた活動です。アニメーターというとテレビアニメを描く仕事をイメージしますが、両者はまったく別もの。しかし一方で、著名な漫画家・手塚治虫は、アニメーションとは1枚の絵に命を吹き込むことであるという趣旨の言葉を遺しているそう。魂・心を根本とした活動、という共通点があるといえそうです。■遊びながら自分自身を見つける本をツールとして「人生を豊かに生きる」ことを学べる活動、「読書のアニマシオン」。学校や地域の図書館を主な舞台に、遊びの要素も取り入れ、未知の世界や信頼できる仲間、そしてときには「自分はこんなことに興味があったんだ」と、自分自身も発見することもできます。冒頭で紹介した「どの本、読もうかな?」や、本を読んで自分なりのタイトルを考える「新しいタイトルを考えよう」といった低学年から楽しめるものから、物語を途中まで読んで続きを想像する「きみたちが作家なら」、映画化された小説の一部を読み、グループごとに「どの場面を映像化するか」を発表したあとに実際の映画を見て感想を述べ合う「きょうはきみが映画監督」といった深い読みが必要なものまでさまざま。いずれも、仲間と楽しく想像力をはたらかせて楽しみます。■アニマシオンは1歳からOK!一方、字を読んだり書いたりすることができない未就学児も本に親しむことができるのも、読書のアニマシオンの魅力のひとつ。本書は、教員や司書らで活動する<読書のアニマシオン研究会>が、約20年にわたる活動の成果をまとめたもの。実際にアニマシオンに取り組む図書館職員らのレポートも数多く紹介されています。そのなかのひとつ、徳島市立図書館副館長の廣澤貴理子さんの体験レポートでは、1~3歳の未就学児を対象とした活動について書かれています。絵本をテキストに、声を出したりお母さんと子どものスキンシップを多用したりと、参加型で行われるのが、1~3歳児を対象としたアニマシオンの特徴。絵本に出てくる生き物の絵を描いたカードを配り、手持ちのカードがお話に登場したら子どもにカードをあげてもらったり、並べてもらったり。紙芝居『まんまるまんまたんたかたん』では、リズミカルなセリフを一緒に声に出して読みながら手をたたくなど、ストーリーが理解できない年齢でも、動きや絵を使ってわかりやすく楽しめるよう工夫されています。活動をすすめるアニメーターである廣澤さんは、「私は子どもたちの心に一粒の種をまく人でありたいと思います。小さな積み重ねは、かけがえのない財産になります。ひとりでも多くの子どもたちに本の楽しさを届けるためにいま、置かれているところで自分も楽しみながら続ける、これに尽きると思います」と語ります。*子どもたちが「本って楽しいな」「知らないことを知るって楽しいな」と思えるように、いろいろな仕掛けで本との出会いを演出する「読書のアニマシオン」。本書では、具体的な30のアイデアが紹介されています。図書館での取り組みはもちろん、児童館や数人のママが集まって手作りで挑戦することもできそう。本書を読書への扉を開くきっかけにしてみてはいかがでしょうか。(文/よりみちこ) 【参考】※岩辺泰吏&読書のアニマシオン研究会(2016)『子どもの心に本をとどける30のアニマシオン』かもがわ出版
2016年06月02日映画『素敵なサプライズブリュッセルの奇妙な代理店』は、オランダ人作家ベルカンポの短編小説「De Surprise」に惚れ込んだオランダのマイク・ファン・ディム監督が、ベルギーの首都ブリュッセルを舞台に描くダークコメディ。とある理由から生きる意味を見出せずにいた主人公のヤーコブは、“あの世行き”旅行代理店エリュシオンで、解約不可・成功率100%の自殺代理プランのサプライズコースを申し込みますが、契約した矢先、同じプランを選んだという素敵な女性アンネと出会います。死を望んでいた男が死を選択したことで見えてくるモノ――それこそが監督が描きたかった題材。また、死にたがる主人公と相反するかのようにブリュッセルの美しい街並、オランダの美しい風景は生命力に満ち輝いている。そんな対比も見どころです。映画を観た後、ベルギーの旅を調べながらふと思ったのは「ベルギーと言えばチョコレート!」です(笑)。映画のなかでチョコレートは何か意味のあるものとして登場はしていませんが、執筆のお供にチョコレートが欠かせない身としては、ベルギーチョコレートを巡る旅もいいなぁと思ったわけです。日本で手に入るベルギーチョコレートの代表格は――ゴディバ、ノイハウス、ヴィタメール、ピエール・マルコリーニ、ピエール・ルドン、レオニダス…などなど。その多くがブリュッセルで創業しています。2014年にはブリュッセルにベルギー国内最大のチョコレート博物館「ベルギー・チョコレート・ビレッジ」もできましたし、これはもう訪れないと!もちろん『素敵なサプライズ~』のロケ地、ブリュッセルにある世界遺産グランプラス(大広場)や北ヨーロッパのヴェネチアと呼ばれる水の古都ブルージュは外せません。あ、ブルージュにも「チョコ・ストーリー」というチョコレート博物館がありました!いざ、ベルギーへ!(text:Rie Shintani)
2016年06月01日いよいよ夏本番、ビアガーデンシーズンが到来!都内の商業施設の屋上やテラスではビアガーデンが続々とスタート。開放的な空間でわいわいと盛り上がれるビアガーデンは、二人の距離を縮めたい時のデートにもぴったり。今月の映画は、「ごくせん」「デカワンコ」など数々の映像化ヒット作品の原作者として知られる森本梢子の原作漫画を実写映画化した『高台家の人々』。綾瀬はるか、斎藤工が恋人役で共演し、水原希子や間宮祥太朗、大地真央、市村正親と豪華実力派俳優たちがキャスティングされた話題作だ。口下手で不器用な女子・平野木絵(綾瀬さん)は、得意の“妄想”で何かと自分の世界に入り込みがち。ある日、木絵の勤めるオフィスに名門「高台家」のイケメンエリート・高台光正(斎藤さん)が転勤してくる。 決して交わるはずのない二人。しかし、不思議なことに光正は木絵に惹かれていく。それにはある理由が…。光正は人の心を読める“テレパス”だったのだ。妄想癖のある地味で冴えないOLと人の心が読める名家のイケメンエリートが繰り広げるコミカルなラブストーリーをカップルで楽しんでみて。デートにもぴったりの映画×ビアガーデンのおすすめスポットには、ラグジュアリーホテルのテラスでビアガーデンが楽しめるちょっとリッチな六本木コースと、ショッピングモール内の映画館とビアガーデンがセットで楽しめるカジュアルな二子玉川コース、アメリカンBBQのビアガーデンとフード&アパレルショップがマルシェ感覚で展開するトレンディな池袋コースの3つをピックアップした。1つ目の六本木コースは、「グランド ハイアット 東京」のステーキハウス「オーク ドア」で開催中の、ちょっとリッチなビアガーデンを楽しむプラン。カクテルをはじめ、ドラフトビール、ワイン、ソフトドリンクのフリーフローとともに、カリビアン風のハムとチーズを挟んだサンドイッチなど、キューバやカリビアンの人気フードを好きなだけ楽しめるビアガーデンは満足度高し。食べ放題・飲み放題込みで、料金は一人6,800円(レギュラープラン)~。映画館は、ホテルに隣接する六本木ヒルズのTOHOシネマズ六本木で。2つ目の二子玉川コースは、二子玉川ライズの中央広場で開催となる開放感あふれるビアテラス「FUTAKO TAMAGAWA RISE Premium BEER FARM」で、カジュアルにビアガーデンを楽しむプラン。「ザ・プレミアムモルツ」4種類の生ビールと個性あふれる“クラフトセレクト”シリーズを、スペイン王室御用達グルメストア「マヨルカ」のタパス5種盛り合わせや特製ホットドッグなど、グルメなバルメニューと楽しんで。映画は、同施設内の109シネマズ二子玉川へ。3つ目の池袋コースでは、4月末にルミネ池袋9Fにオープンした「THE ROOFTOP BBQ BEER GARDEN」に注目。5月27日(金)より、フードスタンドやアパレルショップが並ぶ8Fのコミュニティフロア「THE ROOFTOP FLEA」が新たに加わり、2フロアからなるマルシェ感覚のBBQビアガーデンがスタート。“FARM to GRILL”をコンセプトに、契約農家から仕入れる素材を使用し、スモーク料理やケイジャンチキン、ホットソースなど、アメリカのフードカルチャーを散りばめたBBQは、6月30日(木)までコース料金が割引に!フードメニュー8品のスタンダードコースが4,000円、デザート付き10品のプレミアムコースで4,500円(飲み放題も込み)とお得だ。また、コミュニティフロアでは「GOOD MEAL SHOP」の先行販売アイスクリームなど、話題店の限定スイーツなども登場するので併せてチェックを。映画は、サンシャイン60通り東急ハンズ手前にある池袋HUMAXシネマズで観られる。デートにもおすすめのビアガーデン。映画の感想を語り合いながら、飲んで食べて楽しい時間を過ごせば、二人の夏もヒートアップしそう!『高台家の人々』は6月4日(土)より全国にて公開。(text:Miwa Ogata)
2016年05月31日ケン・ローチ監督の『I, Daniel Blake』を最高賞パルムドールに選び、無事に幕を閉じた第69回カンヌ国際映画祭。”無事”というのが今年はとても重要だった。昨年のパリ、今年のブリュッセルと大きなテロが相次いだため、カンヌ周辺は厳重な警戒態勢で、コート・ダジュール空港は軍隊が巡回、豪華客船やクルーザーが浮かぶカンヌの海にもフランス海軍の巡視艇が停泊し、上映会場に入る際にはバッグの中身を隅々までチェック。その結果、特に大きなトラブルは起きず、平穏に終わった。もっとも、授賞結果は大荒れ。批評家や観客の間で人気だったドイツの女性監督マーレン・アーデの斬新なコメディ『Toni Erdemann』や、ジム・ジャームッシュの『Patterson』(永瀬正敏がおいしい役を演じている)が無冠に終わる一方で、不評と思われたオリヴィエ・アサイヤス(フランス)がクリテン・スチュワート主演で撮った心霊スリラー『Personal Shopper』が監督賞を受賞。審査員は映画の作り手のため、着眼点が違うのか。審査員団は毎年世界中の映画人から選ばれるが、今年は委員長に『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のジョージ・ミラー(オーストラリア)、審査員にマッツ・ミケルセン(デンマーク)、ヴァネッサ・パラディ(フランス)、キルステン・ダンスト(アメリカ)ら総勢9名。中でも目立っていたのが、御年80歳になるドナルド・サザーランドだった。審査員会見でサザーランドは、いつもアメリカの影に隠れがちな祖国カナダの自虐ジョークを連発。カナダ人記者から自国の映画界についての意見を求められると、「戦争中、フランス、イギリス、カナダの兵士が敵に捕まり、処刑前に最後の望みを聞かれた。イギリス兵士は紅茶を望み、カナダの兵士は15分だけ自国のアイデンティティーについて語らせてほしいと頼んだ。フランス兵士は、カナダ人のスピーチを聞く前に殺してくれ、と頼んだ」と語り、会場は爆笑に包まれた。その飄々とした様子は、ドナルドの出世作『M★A★S★H マッシュ』(1970年のパルムドール受賞作)のまんま。さらに授賞式後には「寒いなあ」とブランケットを被って会見場に現れるなど、もう独壇場だ。そんなマイペースなドナルドになついていたのが、マッツ・ミケルセン。どこに行くにもドナルドの後を追いかけていて、映画で見せるクールな顔と違い、かわいい末っ子キャラだった。ジョージ・クルーニー&アマル夫妻、オーランド・ブルーム&ケイティ・ペリーら華やかなカップルの姿も注目を集めたが、逆の意味で話題だったのがシャーリーズ・セロンとショーン・ペン。2人は昨年はラブラブでカンヌのレッドカーペットを沸かせたのだがその直後に破局。しかし今年はショーンが監督、シャーリーズが主演した『The Last Face』がコンペティションに選ばれたため、2人は再びカンヌに登場したが、会見中もレッドカーペットでも必ず間に共演のハビエル・バルテムやショーンの長男ホッパー・ペンを挟むなど、微妙な距離を保っていた。さらにレッドカーペットを一度昇りきったショーンが、ある若い女性が到着すると階段を駆け下りて迎えに行ったときは一瞬びっくり。若い金髪女性が大好きなショーンの新しい恋人かと思われたが、ショーンの長女ディランだった。上映中も少し離れた席に座っていた2人だったが、上映後にスタンディング・オベーションを受けると、シャーリーズがショーンの頬にキス。映画監督としてのショーンへの敬意のしるしだったのだろう。映画はアフリカの紛争地で活動する”世界の医療団”をモデルにした社会派ドラマだが、題材に対してメロドラマの要素が強すぎたのは、ショーンがシャーリーズへの未練があるせいなのだろうか。ちなみにレッドカーペットでは黒いタキシード風スーツでマニッシュに決めたシャーリーズには、今年のベスト・ドレッサー賞をあげたい。ある視点部門で深田晃司監督の『淵に立つ』が審査員賞を受賞するなど日本勢の活躍もあり、今年のカンヌの12日間も盛りだくさんだった。来年は70回記念大会。どんな趣向が凝らされるか、今から楽しみだ。(text:Ayako Ishizu)
2016年05月30日こんばんは、古山エリーです。少し前に念願のお引っ越し、しましたー。で、「住所が変わりました」連絡をしていると数回に1度の頻度で聞かれるのが「いよいよ、です…か?」と。結婚とか同棲とか、そういうことを指しての問いかけのようですが、残念ながら相変わらず“ひ・と・り”です。こんなとき彼氏がいたらこれもあれも手伝ってくれるんだろうなぁと、ありもしない妄想をしながら、電球も家具の配置もテレビやパソコンの配線も、ええ、もちろん自分でやっちゃいましたとも。できなきゃ生きていけないですものー(誰かに頼る可愛げもないのでお手上げ状態です)。そしてまたひとつ強くなった気がします。そんな今宵もたわごと綴ってまいります。40代になってからは、ちょっとやそっとでへこまなくなりましたが――“40代・独身・恋人なし”の3点セットに関する周りからのコメント(時に悪意のない誹謗中傷)は、さらりと流す技を身につけているので、大抵のことは「また言われちゃったなぁ、 あはっ」と、明るくかわせるのですが、ごくたまに「なんかひっかかるなぁ」「なんかイヤな感じだなぁ」と悶々とすることがあります。最近言われてひっかかっていたのは「けっこう年いってたんだね。じゃ、もう少しちゃんとしないとね」です。恋愛においては「ちゃんとしろ」と散々言われてきましたし、ダメだと自覚もありますから、何か言われても「そうですよねー」と切り返しは得意中の得意。「けっこう年いってたんだね」も全然平気。なのですが、恋愛がダメだからって、結婚できていないからって、それを仕事や人生に結びつけて「ちゃんとしないとね」は、さすがにカッチーン!ですわよ。一生懸命に誇りをもって仕事をして生きているのに…。悲しかった、すごく悲しかった。でも、そこでへこんでいたら負けなので「そんなふうにしか解釈できないって、ちっちゃな器ですことー。おほほほほー(白鳥麗子風に)」と“心の中”で高らかに叫び、悔しさはゴクリとのみ込みました(まぁ、今ここで吐き出しちゃってますけどね…)。で、落ち込み気味の四十路に元気をくれたのはキラッキラの青春ラブストーリー『オオカミ少女と黒王子』でした。少女コミックの映画化が続いているので「また?」という声も聞こえてきそうですし、私自身も「また?」と思ったひとりですが、これがですねー面白かった!気に入ったのは、うそから始まった恋はホンモノになるのか?単純明快なラブストーリーを余計なことを描かずに一本勝負しているところです(ごちゃごちゃしているのは私生活だけで十分だから?)。「彼氏がいる」とついうそをついてしまったエリカ(二階堂ふみ)は、縁あって(?)、学校イチのイケメン、恭也(山崎賢人)に彼氏のフリをしてもらうんですが、実は恭也は腹黒ドS!エリカは彼からいろんな暴言を浴びせられるわけです。でも、暴言ではあっても――字面的には、私がくらった「ちゃんとしないとね」よりも恭也の命令調セリフの方が破壊力はありますが、どれも愛情の裏返しのような気がして、恭也が可愛く見えたんですよね(私の年齢のせい?M気質だから?)。要は、エリカも恭也も無器用ながらも一生懸命で、そんな2人の恋愛ごっこから恋愛に移っていく変化は観ていて心地良く、「ああ、一生懸命恋をするっていいなぁ」と思ったわけです(遠い目…)。で、最近うんと年下の彼氏ができた友人に触発されて、別の独身四十路とお見合いパーティーに再チャレンジしようと意気込んでいたのに、いざ調べてみると年齢制限がけっこうイタイ事実が発覚…。な、なぜだ…。へこたれるものかー!というわけで、今宵のたわごとはこの辺で。また次回。(Elie Furuyama)
2016年05月30日2016年4月クールは「どの作品も面白い!」と大好評。中でも、平均視聴率2ケタ代をマークしている“弁護士ドラマ”対決に多くの注目が集まっています。そこで今日は、話題の対決を徹底検証。「99.9」VS「グッドパートナー」それぞれの見どころはどのようなところにあるのでしょうか。■松潤演じる主人公は100%異端児!?“隠された真実”を痛快に暴き出す「99.9」まず最初に、今クール最も掴みどころのない主人公・深山大翔(松本潤)についてご紹介しておきましょう。通常刑事事件で被疑者が逮捕されると、検察がその真偽を調査。起訴された者は99.9%の割合で有罪判決がくだされるというのがタイトルの由来だということをご存知でしょうか。残る0.1%に潜む真実に焦点を当てるという意味では、法廷ドラマの王道「HERO」に真っ向勝負を挑んでいるといえるかも!?主人公はいずれも“とことん空気が読めない”という共通項を持っていますが、深山の場合、飄々としていてどこにも人間味というものが見当たらないのが面白いところ。日々上司のデスクに悪戯を仕掛け、同僚女性にタクシー代を借りまくるザ・異端児。刑事事件専門の弁護士としては超一流なのに、その全ては「真実を明らかにしたい…ただそれだけ」と決して余計な詮索はしない。でもだからこそ、視聴者は「この主人公が感情をむき出しにする瞬間を見てみたい」と、物語から目が離せなくなってしまうのでしょうね。また「99.9」では、深山のクッキングコーナーも人気。事件に煮詰まる度に調理場へ立ち、頭の中を整理しながらこだわりの一品を作る。その「出で立ちがカッコイイ」「料理が美味しそう」ということで、データ放送でレシピ公開まで行われています(笑)。絶対音感ならぬ絶対味覚を持つ深山は、いつ何時でも調味料セットを持ち歩いているので、是非注目して視聴してみては?■クールさの中に潜む“人間味”が魅力竹野内のパパぶりも光る「グッドパートナー」一方「グッドパートナー」が扱うのは、企業法務です。法廷ではなく、会議室を舞台に展開する珍しいスタイルの本作。ビジネス再建から著作権侵害、セクハラ案件まで企業に関する全ての弁護を行う最先端弁護士事務所で、主人公・咲坂健人(竹野内豊)がその実力を見せつけてくれています。彼の魅力は第一に、スマートでクールな外見とは裏腹、依頼人に対し「弁護士としてではなく、ひとりの人間として語りかける」秘められた熱さにあるでしょう。弁護士バッジを外し、プライベートボタンをオンにした竹野内さんの見上げるような眼差しに敵う者無し!?それを機に事件が大きく動くのが定番となっており、「水戸黄門」でいう印籠シーンのような痛快なオチまで一直線!見終えた後、スカッと心地よい眠りにつかせてくれますよ。加えて第2に、視聴者が期待する咲坂の意外な素顔…それは恋愛で見せるダメダメな一面です。彼と同じ事務所で働くライバル弁護士・夏目佳恵(松雪泰子)はなんと元妻!会議の際、白熱のあまり互いのことを「パパ」「ママ」と呼び合って痴話喧嘩を始めてしまう“ダメ男”感が「ギャップ萌え」「逆にカワイイ」と世の女性たちのハートを鷲掴みにしているんです。一度は結婚した仲ですから、心の距離が近くて当たり前。だからこそ浮き彫りになるもどかしさが、見る者にリアリティ溢れる“恋心あるある”を届けてくれるのかもしれませんね。2人の行く末を温かく見守っていきましょう。■ドジっこからは目が離せない!2つのドラマでは是非、このキャラに注目をそして最後に、それぞれの作品で注目のサブキャラクターをピックアップ!「99.9」からはまず、片桐仁さんのお名前を挙げておきましょう。独特のセンスを放つコントユニット「ラーメンズ」としての活動を軸に、俳優業でも活躍する片桐さん。代表作として印象強いのは、2008年の夏に放送された深夜ドラマ「ザ・クイズショウ」でしょうか。心の奥底に闇を抱えた主人公を見事熱演していました。懐かしいですね。そんな片桐さんが今回演じているのが、深山を支えるパラリーガル・明石達也。手拍子が聞こえればどんな場所でも踊り出し、事件の実証を課せられる度に怪我をしているお笑い担当キャラですが、深山の右腕として絶対に欠かせない存在というのもまた然り。文句を言いながらも深山のことを一番深く理解しているキャラクターなので、目に見えない糸で結ばれた2人の熱き友情をとくとお楽しみください。さらに「グッドパートナー」では、咲坂のもとで新人弁護士として修業する熱海優作役の賀来賢人さんに注目!熱海の発言、そして行動…その全てがとにかくウザったいんです(笑)。基本的には若々しくて可愛いらしい後輩くんなのですが、屈託ない性格が災いし、空気を読まないシーンもしばしば。1話の中で一体何度、咲坂から「黙れ!」と言われているか数えてみるのも面白いかも!?そんな彼が少しずつ大人になっていく様は必見です。成長物語という意味でも、物語を追ってみることをおすすめいたします。今クールも残すところ、あと1か月となりました。いずれの作品も安定した視聴率を保っているため、続編への期待も高まりますね!ドラマの根幹となる、主人公自身が抱える問題の解決までもう少し。最後の最後までしっかり見届けていただければと思います。(text:Yuki Watanabe)
2016年05月30日子どもが成長していくにつれ、ママも自分のために使える時間も少しずつ増えてきます。通勤途中や就寝前、休日のひとときなどに、読書ライフを再開しませんか? 太陽が恋しくなる梅雨シーズンにおすすめの、天気や空、自然にまつわるユニークな視点で書かれた本を紹介します。■ネコが顔を洗うと雨になるのには理由があった『アマタツさん、ネコが顔を洗うと雨が降るって本当ですか? 知って得する天気のことわざ』天達武史(著)、ハレックス製作チーム(著)/ 徳間書店人気お天気キャスターによる天気にまつわる雑学コラム集。ちょっぴりエキセントリックな着眼点とたしかな科学的根拠にもとづき、気象のメカニズムをわかりやすいエンタテインメントに仕立てています。「ネコが顔を洗うと次の日は雨になる」、「くしが通りにくいのは雨の前兆」、「スズメが朝早くさえずる時は晴れる」など、民話のような通説をサイエンスの視点から解説。お年寄りのひとりごとや迷信だとおもっていたことも、実はきちんとした裏づけがあることがわかり、意外な結論にたどりつきます。 ■鳥を追いかけて世界中を冒険してみよう『鳥の不思議な生活』ノア・ストリッカー(著)、片岡夏実(訳)/ 築地書館 北米を代表するバードウオッチャーが執筆した本格的な鳥研究の1冊。ペンギンを観察するために南極へ、野生のシロフクロウを追って北極圏からハワイまで追いかける。鳥を観察するためだけに世界中を旅していきます。熱意にあふれる研究は鳥類のくらしにとどまらず、ヒトの行動を知ることにも通じることがわかります。「この本は鳥の世界について書いたものかもしれないが、人間の世界についての本でもある。鳥の行動は派手で驚くべきものだろうが、私たちと同じ基本的なもの、つまり食料、すみか、なわばり、安全、交流、遺産を求めている。〈中略〉これから驚くべき鳥の物語が次々と登場する。圧倒されることを覚悟してほしい」(本書より抜粋)青空が恋しいときは本をひらいて鳥の世界へ旅してみませんか。読みすすむうちに大自然を冒険しているような気持ちになれますよ!■読めば地球の奇跡を実感できる『改定新版 地球のはじまりからのダイジェスト 地球のしくみと生命進化の46億年』西本昌司(著)/ 合同出版地球は奇跡の惑星といわれます。特別なのは生命の誕生だけではなく、複雑な山脈、海の輝き、白い雲などは広い宇宙のなかで地球にしかないとされています。同書では地球誕生から現在までを1話完結、全42話のエピソードで紹介。地球の歴史としくみを知ったら、今までとおなじ風景をみても受けとめ方がちがってくるはず。わかりやすい挿し絵と文学的な説明文は、まるで神話のよう。自然の風景や動物の生態を知れば知るほど、見えてくる世界が広がります。思わず子どもにも教えてあげたくなるエピソードばかりで、夏休みの自由研究の参考資料にもおすすめ。雨の日は本をひらいて、小さな冒険をはじめてみませんか。
2016年05月29日動物たちの楽園を描いた『ズートピア』がここ日本でも爆発的なヒットを記録するディズニー映画だが、その勢いは衰えを知らず、この夏も『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』(7月1日公開)、『ファインディング・ドリー』(7月16日公開)と注目作が目白押しだ。そんな強力ラインナップに加えてもう1本、すでに全米で一大旋風を巻き起こしている話題作が日本上陸を果たす。1966年に他界したウォルト・ディズニーが生前最後に手がけたアニメーション作品を、50年の時を経て実写化した『ジャングル・ブック』である。公開は8月11日(木・祝)と少し先だが、興奮と感動が覚めやらぬうちに、その魅力を紹介したい。密林を駆け抜け、映画は新たな次元へ。そう宣言したくなる極上のエンタメ大作だ。物語は至ってシンプル。ジャングルに取り残された人間の赤ん坊モーグリが、親代わりの動物たちと冒険を繰り広げるクラシカルな成長物語だが、そこに輝く命を吹き込む最先端の映像技術がすさまじ過ぎる。すでに予告編が解禁され、大きな話題を集めているが、主人公の少年モーグリ以外、動物も自然もすべてがCGで表現されているのだから、「すさまじい」を超えて「ちょっと引く…」ほどである。まさに実写の概念を覆す映像体験なのだ。かつて『アバター』がそうであったように、本作もまた「鑑賞する」というよりは「体感する」というイメージが近い作品だ。同じ動物たちの楽園を舞台にした『ズートピア』に、現代社会における多様性という明確なメッセージ性があったのに比べると、「食い足りない」と感じる目の肥えた映画ファンもいるかもしれない。ただし『ジャングル・ブック』は決して浅い作品ではなく、むしろジャングルのような奥深さを秘めた人間ドラマである。重要なのは、たとえCGによって動物たちや大自然に生命力が吹き込まれたとしても、スクリーンの中で最も笑い、泣き、悩み、戦い、躍動しているのが唯一の人間キャラクターであるモーグリだという点。人間であるがゆえに、自分がジャングルの微妙なバランスを壊しかねないと少年の葛藤を通して、漠然と、しかし誰もが一度は考える「生きるとは?」という問いを投げかけており、67年版のアニメとは一味違う結末も深い余韻を残している。現在、ディズニーは『王さまの剣』『美女と野獣』『ムーラン』『ダンボ』『クマのプーさん』『ティンカー・ベル』『ファンタジア』と数々の実写化プロジェクトを控えている。その試金石として、『ジャングル・ブック』の成功は大きな意味をもつと同時に、後に続く作品への大いなるプレッシャーにもなるはず。さらに力強い演出力を発揮したジョン・ファブロー監督が続投し、本作の続編も検討されているというから期待は膨らむばかりである。(text:Ryo Uchida)
2016年05月29日不治の病に侵され、遠くない未来に身体の自由がきかなくなる日がやってくるとしたら。自分なら、家族がそうなったら、どんな選択をするだろう。観ている間中、そう自問せずにはいられない『君がくれたグッドライフ』。ALS(筋萎縮性側索硬化症)だと宣告されたハンネスは、現在暮らしているドイツから、尊厳死が認められている隣国ベルギーへと自転車の旅に出ます。共に旅出る親友たちには、旅の目的は知らせることなく――。親しい人々に、自分の選択をどう受け止めてもらうのか。そんな切ない課題も含め、この作品は観る者の死生観を揺さぶってくるのです。それでも感傷的になりすぎず、いかに死ぬかはいかに生きるかにも繋がっている、そう感じさせてくれるのが本作の素晴らしいところ。誰にでも訪れる「死」というものに向き合うことの大切さ、愛する者がいることの喜びを描き切りました。重いテーマを持ちながらも、限りある命の尊さを通して人生を賛美する、とても心に響く本作への出演を通し、主役のハンネスを演じたフロリアン・ダーヴィト・フィッツは、何を感じ、何に気づいたのでしょう。「死が私たちの人生に変化をもたらすということを強く感じたんだ。死は私たちの人生そのものに鋭い光を当てる。それは生きる、笑う、泣く、食べる、セックスをする、愛し合う、争う、仲直りするなどといった私たちがすること全てに対してだ。大切なのは何かにしがみつかないことだと思うんだ」。本作では、主人公の想いだけでなく、周囲の人々の想いも見事に描写しています。人と人との繋がりあっての人生。それは、映画作りとも繋がるもの。このような作品を撮影していると、共演者やスタッフとの間に特別なつながりが芽生えるものなのでしょうか。「たしかに“特別”なものがあったよ。特に映画の中で妻を演じたユリア・コーシッツと私との繋がりにはね。普段の生活ではお互い知ることができないことを、深く知ることができた。ただそれはユリアだけでなく、すべての人に感じたと言えるけれど」。では、ハンネスが望んだ安楽死という選択についてはどう考えたのでしょう。きっと、自分だったら、もし自分の愛する家族だったら、と幾度も考えたはず。「ハンネスは身体の自由が奪われる前に尊厳死を遂げたいと考えるけれど、もしハンネスの体の自由が完全に奪われてしまった状態であれば、彼がとった選択を私はより理解できたと思う。でも、理解できるかどうかが重要なのではない。劇中でハンネスは、『旅行の半年前に病状が悪化した』、妻とは『何度も話し合った』と言う。また、死ぬのはまだ早いという言葉に対して『誰にとって早いんだ?』と返したり、同じALSで亡くなった父が『発症後1年以上も生きたじゃない』と涙ながらに言う母に対し、『1年延ばした甲斐があったかい?』と訴えたりする。こういう言葉から、私はハンネスの決断を理解することができた。ただ、実際に私がハンネスと同じ立場だったとしたら、同様の決断をするかどうかはわからないけれどね」。最後に、この作品をきっかけに自身の死生観で、変化したことがあるのか聞いてみた。「実はこの次の作品では死をテーマにしたコメディ作品に出演したんだ。それもあって、死については最近たくさん考えた。そして感じたのは、死には2つの側面があるということ。ひとつは、誰にも訪れるという恐るべき側面。もうひとつは、死は心を楽にもさせるという側面だ。しっかりと気持ちの整理ができる、という意味だ。私たちは日々、たくさんのささいなことに悩まされているけれど、死が身近であることを常に自覚していれば、人生を終える際の助けになると思うんだ。ハンネスはそれを理解できたからこそ、グッドライフ=より良き人生を送れたんだと思うよ。人生のことを考えると、さまざまな選択に対して、かなり慎重にはなるけれど、私たちはどんな理由があれども、今ここにいて、さまざまな経験をしながら生きている。小さなことをかもしれないけれど、人生はその小さな変化を日々感じていくことだと思っているよ」。(text:June Makiguchi)
2016年05月26日