京都大学は5月22日、細胞内マイクロRNAを使って細胞を選別する人工RNA(RNAスイッチ)を用い、自動的に心筋細胞以外の細胞が取り除かれるシステムを開発したと発表した。同成果は同大学iPS 細胞研究所の三木健嗣 研究員、遠藤慧 研究員(現東京大学大学院新領域創成科学研究科)、齊藤博英 教授、吉田善紀 講師らによるもので米国科学誌「Cell Stem Cell」に掲載された。ES細胞やiPS細胞など幹細胞から高純度の心筋細胞を得るためには、細胞表面の抗原を識別して細胞を選別する必要がある。しかし、心筋細胞には特異的な抗体が無く、ゲノムに傷をつける可能性があるDNA導入などを使わないと高効率に純化することは困難だった。そこで研究グループは、マイクロRNAを検知することで細胞を識別する方法の開発に着手。心筋細胞に特徴的なマイクロRNAを同定し、そのマイクロRNAが存在しない時だけ蛍光タンパク質が光るRNAスイッチを作製した。また、この仕組を応用し、蛍光タンパク質の代わりに細胞死を誘導する遺伝子を導入し、心筋細胞のマイクロRNAを持たない細胞では細胞死が起きるシステムを構築した。これにより、機械で選別することなく、高純度に心筋細胞だけを培養することに成功した。同システムは上皮細胞や肝細胞、インスリン生産細胞などにも応用可能とのことで、従来では選別が難しかったさまざまな細胞が取得できるようになり、幹細胞分野における幅広い研究での活用が期待される。
2015年05月25日人には「痩せやすい」「太りやすい」という体質の違いがありますが、「床で眠れる人は痩せやすい」というウワサを聞いたことはありませんか?今回はその真偽にせまります!寝具を選ぶ人と選ばないで寝る人の違いあなたの寝ている場所はどこですか?布団やベッドに寝ている方がほとんどだと思いますが、ごくまれに床で寝ているという意見もあるらしいのです。自ら好んで寝ている人もいれば、仕方なくという人もいるかもしれません。硬い床の上でもぐっすり眠れる人は、痩せやすい体質だという説があります。「一般社団法人姿勢マネジメント協会」によると、寝具を選ばず眠れる人は、関節がよく動くため、床で寝ても身体が痛くならないのだそうです。一方、太りやすい人は関節が動きづらく、寝具を選ばないとぐっすり眠れないといいます。ここからは、関節と痩せやすさの関係について見てみましょう。痩せ体質と関節の関係寝具を選ばないと眠れない人は、関節を上手に動かせず、骨の周囲の筋肉やじん帯が硬くなっている状態だといわれています。すると、筋肉が十分に動かせないので、代謝が落ち、太りやすい体質になるのだそうです。身体が硬い人は、肩こりや腰痛、冷えやむくみを感じやすいのだとか。こういう人は、寝る前にストレッチをすると、ガチガチになった身体がほぐれ、ぐっすり眠れるそうです。つまり、床で寝ても痛くて目が覚めることがないという人は、常にリラックスして眠れていると考えられます。ストレッチで柔らかい身体に!体質チェックは床で床でも爆睡してしまうというあなた。もしかしたら、それは痩せ体質の証かもしれません。布団やベッドで寝たほうが健康的かもしれませんが、あなたの体質がダイエットにピッタリな可能性もあります。一方、極端に寝具にこだわっている人は要注意。太りやすい体質というだけでなく、関節が硬くなっていて、熟睡できていない可能性もあります。不眠の原因にもなりがちなので、毎日適度にストレッチを行い、身体を柔らかくすると改善されるかもしれません。床でもぐっすり眠れるかどうか試してみると、あなたの体質がわかるかも?寝られなかった人は、自分の生活習慣を見直してみましょう!Photo by lauren rushing
2015年05月24日芸能人が痩せた!海外で話題!などなど、ダイエットの種類は数えきれませんよね。「一体どのダイエット方法がいいのかわからない~!」なんて人も多いのでは?そこで今回は「日本人に一番向いているダイエット方法」をご紹介したいと思います。■ストイックにやりすぎない!日本人は、まじめで神経質な性格を持つ人が多いです。完璧主義であるためにダイエット中、ストレスからドカ食いする傾向が……。ダイエットをストイックにやりすぎず、ゆっくり長期的な目線で行うのが成功の秘訣。体重が50キロの人であれば、月に2キロ程度、体重の5%程度を目安に減量するようにしましょう。■和食・消化にいいものを食べる欧米人と比べて多くの日本人は、胃酸の分泌が少ないといわれています。そのため、お肉料理などの洋食は胃に負担がかかり、内臓疲労の原因や、ダイエットに必要な栄養素がうまくとれなくなる危険が!やはり日本人には、消化がよく、からだに負担の少ない和食がおすすめです。パンに比べお米は、腹持ちがよく、満腹感も感じやすいため、効果的に摂取カロリーを減らすことができます。また、和食の定番メニューであるみそ汁には、ダイエットをサポートする酵素がとても豊富です。■腸マッサージをしよう日本人は便秘で悩む女性が多いといわれています。これは、欧米人に比べて腸が長いことと、軟水中心の水文化が関係していると言われています。意識的に腸マッサージをするようにしましょう。寝る前に横になった状態で左腹部を数回プッシュ、おへそまわりを時計まわりにプッシュ。それからさすります。これを数回行いましょう。翌朝すっきり毒素排出、便秘解消につながります。■「緑茶」&「漬け物」でダイエットサポート!日本人になじみの深い食材である「緑茶」と「漬け物」。じつは、ダイエットにパワーを発揮してくれます。緑茶に豊富に含まれるカテキンには、食事と一緒に摂ることで、血糖値上昇を抑え、摂取カロリーを減少させる作用があります。さらに、運動前に飲むことで、緑茶のカフェインが交感神経に作用し、脂肪分解酵素を活性化。効果的に脂肪燃焼させることができるのです。一方、漬け物は、乳酸菌と食物繊維が豊富な食べ物。腸の悪玉菌を減らし、善玉菌を増やすことで、腸内環境を整え、ダイエットをサポートしてくれます。いかがでしたか?とってもシンプルな日本人向けダイエットで、夏までに美ボディを目指してみてはいかがでしょうか。
2015年05月19日モデルや女優さんがハマっているクレンズダイエット。ジュースを飲むだけで痩せられるといわれていますが、むやみやたらに飲んでいればいい、というわけではありません。ダイエットである以上、色々と注意しなければいけないこともあるのです。そこで今回は、オシャレ女子必見!クレンズダイエットの正しいやり方についてご紹介します。■クレンズダイエットとは?元々は海外セレブが実践していたことで話題になったクレンズダイエット。方法は至って簡単で、食事の代わりに100%天然素材のフレッシュジュースを飲むだけ!クレンズダイエットの「クレンズ」は洗浄という意味で、果物や野菜に含まれているカリウムなどによって腸内環境が整えられることをさしているのです。ダイエット期間中は、アルコール・カフェインの摂取は禁止。ただひたすら、食事の代わりとしてジュースを飲んでいきます。■クレンズダイエットのやり方ジュースクレンズのやり方は、食事代わりにジュースを飲むだけ。誰でも簡単にできちゃいますよね!ただし、ジュース以外のものは口にしてはいけないので、お腹が空いてもジュースで満たしていきます。クレンズダイエットを実施する期間は最大3日間まで。それ以上、長く続けてしまうと、痩せるどころか体調不良になってしまいます。この期間を終えたら、まずは「回復食」としてお粥から食べていき、体の様子をみながら徐々に普段の食事スタイルに戻していきましょう。ジュースクレンズをすると体外に水分が排出されやすいため、カフェイン・アルコール・炭酸以外の水分をこまめに摂るようにしてくださいね。■こんな人におススメ!(1) 便秘に悩んでいる人野菜や果物には食物繊維が多く含まれているため、ジュースクレンズは便秘解消の効果をもたらします。便秘だけでなく、むくみ効果もあるとか!ただ単に痩せるだけではなく、腸内環境も整えられるなんて、一石二鳥ですね。(2) 短期間で効率よく痩せたい人毎日の食事をフレッシュジュースに変えるだけなので、短期間で効果を実感することができます。なかにはジュースクレンズに挑戦して、たった5日間で5㎏の減量に成功している人も。ダラダラとダイエットなんて続けられない!という人にはオススメのダイエット法です。いかがでしたか?話題のジュースクレンズ、女性から支持を集めている理由も何となく分かりますよね。痩せるだけでなく、お腹の調子を整えたり、むくみを解消できたりと、いいことづくし!ただし、少しでも体調に異変があらわれた場合はすぐに中止しましょう。食事をジュースに変えるだけでいいダイエット、早速、今日から始めてみては?
2015年05月17日ニコンは5月7日、スイスのLonzaと日本における細胞受託生産に関する戦略的業務提携契約(Facility Support and License Agreement)を締結し、ニコンの100%出資で新会社を設立し、再生医療用細胞等の受託生産事業に参入すると発表した。同契約により、ニコンはLonzaの有する品質および生産システムを利用することが可能になるとともに、Lonzaから日本における受託生産設備構築などについてコンサルティングサービスの提供を受ける。ニコンの100%出資で設立する新会社の名称は「ニコン・セル・イノベーション」で、設立は2015年度上期、受託開始(一部稼働)は2015年度下期を予定している。新会社はマイクロスコープ・ソリューション事業部の傘下となる。ニコンは、2007年からインストルメンツ事業でiPS細胞をはじめとしたライブセル(生きた細胞)向けの細胞培養観察装置「BioStation CT」の製造販売を展開しているが、今回の事業参入により、日本の再生医療実用化の早期実現に貢献するとともに、自社の周辺領域への事業基盤の拡大を狙うとしている。さらに、将来のiPS細胞による再生医療市場の大きな飛躍に備え、高品質の細胞生産を最適化するために必要な機器および消耗品類の開発を行う構え。
2015年05月08日ニコンは5月7日、スイスLonzaと日本における細胞受託生産に関する戦略的業務提携契約を締結し、ニコン100%出資の新会社を設立し、再生医療用細胞などの受託生産事業に参入すると発表した。再生医療を取り巻く環境は、国内では薬事法改正法により早期実用化の期待が高まっているほか、欧米でも体性幹細胞を用いた再生医療への早期応用が見込まれる状況となっており、同社では、そうした環境を踏まえ、日本国内において高品質の再生医療向け細胞の受託生産ができる体制を構築することを決定したという。具体的には、再生医療向け細胞生産大手であるLonzaの有する体性幹細胞などの細胞生産ノウハウを習得し、将来のiPS細胞の再生医療の実用化に向けた取り組みを加速していく方針。同社では、2007年よりiPS細胞などのライブセル(生きた細胞)向け細胞培養観察装置「BioStation CT」の製造・販売を行ってきたが、将来のiPS細胞の再生医療の実用化には、製造工程における品質・安全評価の基準作りや運用方法の確立が必要となるほか、目的とする細胞への分化誘導の方法や大量細胞培養の必要性を考慮した、スケールアップのノウハウなどが求められていた。同社では、今回を機にコア技術である光学技術および画像解析技術を活用し、それらの課題に取り組むことで、再生医療用細胞などの受託生産事業の拡大を目指すとするほか、周辺領域への事業基盤の拡大も目指すとしている。なお、新設子会社の概要は以下のとおり。会社名:株式会社ニコン・セル・イノベーション所在地:検討中(京浜地区を予定)設立時期:2015年度 上期受託開始(一部稼働):2015年度 下期工場竣工:2017年度 上期出資:20億円(資本金 10億円、資本準備金10億円)
2015年05月08日近畿大学(近大)は5月7日、ES/iPS細胞など従来型の多能性幹細胞とは大きく性質が異なる、新規の多能性幹細胞である領域選択型エピ幹細胞の樹立に成功したと発表した。同成果は近畿大学農学部バイオサイエンス学科の岡村大治 講師らのグループによるもので、5月6日付(現地時間)の英科学誌「Nature」に掲載される。研究グループは今回、「(1)タンパク質FGF2、(2)小分子化合物Wntinhibitor、(3)無血清」という培養条件を満たすことで、着床前後のマウス胚から、領域選択型エピ幹細胞を樹立することに成功した。この条件下で培養したヒトES/iPS細胞を着床後のマウス胚の後極側(将来の下半身側)に移植すると、神経や筋肉の前駆細胞などに分化した。また、後極側に細胞塊を移植した時のみ定着・増殖・拡散・分化をするという、従来型の多能性幹細胞には見られない「領域選択性」を持つことが明らかになった。今回の研究成果は、ヒト多能性幹細胞から異種間キメラ胚が作製可能であること示すもので、ヒトの臓器をブタなどの動物に作らせる技術へ発展する可能性がある。また、ヒトの着床後の初期発生の理解につながり、流産を防ぐための治療法の開発にもつながることが期待される。
2015年05月07日私たちが1日=24時間で生活しているのは、何となくでも、感覚的にでもありません。体内に概日リズムを刻むペースメーカー細胞があり、そこが毎日リズムを刻んでいるからなのです。最近、その細胞の実態が明らかになったとのことです。ペースメーカー細胞を特定!私たちの脳には1日のリズムを刻む、いわゆる体内時計のペースメーカーとして機能する神経細胞があります。この存在は知られていたものの、最近までどの細胞がその役割を担っているのかは不明だったそうです。しかし、2015年3月にテキサス大学サウスウェスタン医学センターとの共同研究でその細胞をついに特定したと筑波大学が発表しました。その名前は「ニューロメジンS産生細胞群」。マウスの実験によって発見されたとのことです。まだ未知の部分も……研究チームは、概日リズムを刻む視交叉上核の神経細胞のうち、約4割を占める細胞に注目しました。それがニューロメジンSという神経ペプチドをつくる働きをしている細胞。この細胞の時計遺伝子の働きを操作によって乱すと、行動リズムが乱れることからペースメーカー細胞である、と結論づけたそうです。ただ、全貌が解明されたわけではなく、体内時計に関わる未知の神経伝達物質もあるのだとか。一般人の私には、とても難しい話ですが、とにかくまた一歩、私達の脳の謎が解明に近づいたということですね。睡眠障害の治療にも役立つ可能性私たちが気になるのは、それがわかったところで具体的に何がどうなるの?というところ。調べてみたところ、今回の研究によって睡眠障害の治療にも役立つ可能性があるそうです。ペースメーカー細胞は「睡眠と覚醒のリズム」を調整する役割を担っているので、今後、ますますメカニズムが解明されれば、睡眠障害で苦しむ人に朗報をもたらすかもしれませんね。これからも新たな事実が解明されることを期待しましょう! またわかったことがあれば、ここで取り上げてご紹介したいと思います!Photo by Derek D
2015年05月07日科学の進歩は病気で苦しむ人にとっては本当にうれしく、ありがたいことに違いありません。今回は、最新の研究によって明らかになったグリア細胞の働きに注目します。この新事実によって私たちはどのような恩恵を受けることができるのでしょうか?睡眠障害とグリア細胞の関係私たちの脳の中には「グリア細胞」と呼ばれる細胞が存在します。これは脳内の神経細胞以外の細胞のことで、脳の免疫の修復などさまざまな働きをしています。文部科学省脳科学研究戦略推進プログラムの一環として行われたマウスを使った研究によって、このグリア細胞の機能不全が睡眠障害やうつ病にみられる異常行動を引き起こす、ということが判明したそうです。一体どのようなことなのか、研究内容をかみくだきながら少し詳しくみていきたいと思います。マウス実験で判明したこと人間の脳は、主に神経細胞とグリア細胞の2つで構成されていると言われています。数としては、グリア細胞のほうが多いそうですが、この細胞が精神疾患や神経疾患に対してどのような役割を担っているのかについてはわからないことがたくさんあったそうです。そこでグリア細胞を人為的に欠損させたマウスを用いて実験したところ、正常なマウスに比べてうつ病患者に多くみられる入眠からレム睡眠までの時間短縮やレム睡眠時間の延長などが現れたそうです。このことから、グリア細胞の機能不全が睡眠障害やうつ病の症状に似た異常行動を引き起こす可能性を示唆しているとの結論に至ったそうです。新たな抗うつ薬の開発に期待グリア細胞の働きが明らかになったことで今後は、現在の薬よりも副作用の少ない抗うつ薬の開発が期待されています。抗うつ薬の副作用で現在苦しんでいる人には、近い将来、うれしいニュースが届くかもしれませんね!この研究結果は昨年末、アメリカの科学誌 Journal of Neuroscience(ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス)のオンライン版で発表されたそうです。今後、ますます睡眠の研究は進んでいくことは間違いないでしょう。不眠や睡眠障害で苦しむ人達を少しでも助けられるような研究結果が発表されることを楽しみに待ちたいですね。Photo by David Compton
2015年05月06日「痩せられない」「引き締まった体を目指したい」女性なら誰もが感じる気持ちです。運動しなきゃ痩せられないのはわかってるけど、仕事も忙しいし、友達とも遊びたい!お金もかかるし、ジムにはなかなか通えませんよね。そんなあなたに朗報です!実はジムに通わなくても、カロリー消費を増やせる方法があるんです。海外のSNSで人気を集めている、『StyleCaster』の日常の中で簡単に取り入れられる方法をご紹介します。「時間がない」はもう言い訳になりません!今日からダイエットを始めましょう!■1:心拍数を上げるいつもより10~15分早くアラームをセットして、軽い体操をしましょう。その場でジャンプしたり、スクワットしたり、足踏みしたり…。少しドキドキしてくればOKです。心拍数を上げることで、体はカロリーを消費するモードに切り替わります。特に朝起きてすぐ心拍数を上げることは、カロリー消費に非常に効果的。しかもその効果は1日持続します。もちろん寝起きをよくするのにも効果的。気持ちよく1日を過ごすことができます。■2:冷房をつける『Health.com』によると、エアコンで部屋を冷やすと、体温を保つために体がカロリーを消費するのだそう。つまり、部屋の温度を低くするだけで、テレビを見ながらでもお菓子を食べながらでも、勝手に体がカロリーを減らせるのです。これは利用しない手はありません。電気代の許す限り、部屋の温度を下げましょう。■3:深呼吸をする普段無意識にしている呼吸。実はちょっと意識するだけで、簡単にカロリー消費を増やせちゃうんです。息を深く吸って吐くと、それだけで私たちの体の中の筋肉が使われます。この筋肉の運動が、カロリー消費につながるのです。ポイントは腹筋の動きを意識すること。運転中でもオフィスで座っているときでも、手軽な筋トレができちゃいます。6つに割れた腹筋も、夢じゃありません。■4:床に座る『Health.com』ではテレビを見たり、ゆっくり休憩する時間を、ソファではなく床で過ごすことを勧めています。やってみるとわかりますが、床に座ると、ソファに座っているときより体の筋肉を使います。姿勢を保つために、あちこちの筋肉が働くのです。さらに立ち上がったり座ったりする動作も、床に座っていると自然にスクワットになります。何気ない動作にも負荷をかけることができるのです。■5:体の一部を動かすちょっとした動きでもカロリーは消費されます。指を動かしたり、首を回したり、座ったままできる運動でもカロリーを消費することができるのです。指で机をたたく、足首を回す、腕を伸ばすなど、簡単な動きでOKです。目をぐるぐる動かすだけでも効果はあります。■6:ガムを噛むガムを口の中に入れると、アゴの筋肉を大きく動かすことができます。筋肉を動かすことでカロリーが消費されるばかりでなく、口の中に食べ物を入れるのを防ぐこともできます。ついついお菓子をつまんでしまう人におすすめです。■7:スマホを利用する忙しいときは立つのも忘れてしまいがち。気づけば何時間も座りっぱなしだった、なんてこともありますよね。そんな座りっぱなしを防いでくれるのがスマホです。2~3時間に一度、アラームをセットしておくだけでOK。アラームが鳴ったら一度立ち上がって、デスクの周りを少し歩いたり、ストレッチしたりしてカロリーを消費しましょう。専用の『Stand app』というアプリも開発されています。ぜひ活用してみてください。気分転換にもいいですよ。■8:水分をよく摂る水分をとるのが体にいいことはみなさん知っていますよね。水分をマメにとることで老廃物の排出を促し、代謝を良くします。ポイントは小さいボトルを使うこと。補給しに頻繁に立たなければならないくらいのサイズにしましょう。ちょっとした運動の回数を増やすことができます。■9:よく寝る睡眠不足が食欲増進につながると知っていますか?睡眠が足りなくなってくると、体は危機を感じて、食欲を増進させる物質であるコルチゾールを通常より50%多く分泌するようになります。たくさん寝てもカロリーは消費されませんが、少なくとも寝ている間は何も食べませんから、カロリーの摂取も抑えられますよね。仕事が忙しくても無理せず、十分な睡眠をとりましょう。■10:階段を使う古典的ですが効率的な方法です。意識して階段を使うことでジムいらずの運動量を確保することも可能です。階段は毎日使いますから、続けるとかなりの運動量になります。常に階段を使うのが難しいときは、仕事のときはエレベーターを使い、買い物やアパートでは階段を使うなど、無理しないようにしましょう。少しずつでも長く続けることが大切なのです。わざわざジムに行かなくても、カロリーの消費を増やす方法はたくさんあります。塵も積もれば山となる。少しでも意識して続ければ必ず効果は出るものです。薄着になるこれからの季節、スレンダーな体型をめざしましょう!(文/和洲太郎)【参考】※10 Ways Burn Calories All Day—Without Going to the Gym-StyleCaster
2015年05月05日熊本大学は4月30日、乳がん細胞がホルモン療法に対し耐性化する仕組みを明らかにしたと発表した。同成果は熊本大学発生医学研究所細胞医学分野の斉藤典子 准教授、中尾光善 教授らと、同大学院生命科学研究部乳腺・内分泌外科学分野の冨田さおり 医師、岩瀬弘敬 教授、九州大学医学研究院の大川恭行 准教授らの共同研究によるもの。4月29日付(現地時間)の英科学誌「Nature」に掲載された。乳がん治療では、エストロゲンという女性ホルモンとその受容体の働きを阻害する薬剤が使用される。しかし、この治療を長期にわたり受けていると、がん細胞が薬剤に耐性をもって再発する可能性がある。再発したがんは周りの組織に広がっていったり、リンパ節に転移するなど難治性となってしまう。研究グループはエストロゲン受容体を作る遺伝子で、活性化すると乳がん細胞の中でエストロゲン受容体が過剰に働くようになることで知られるESR1に注目し、ホルモン療法が効きにくい状態におけるESR1遺伝子の変化を調査した。その結果、難治性の乳がん細胞ではエストロゲン受容体およびESR1メッセンジャーRNA の量が数倍に増加していた。また、核内のESR1遺伝子の近くに非コードRNAの大きな塊ができていることも判明。エストロゲン受容体をもつ乳がん細胞では、ESR1遺伝子の近くに多量の非コードRNAが蓄積していると考えられた。この非コードRNAを調べたところ、難治性細胞においてESR1遺伝子の働きを高く維持していることがわかった。これらの研究結果から、エストロゲン受容体をもつ乳がん細胞は、ホルモン療法によってエストロゲンを長期に枯渇すると、ゲノム中のESR1遺伝子とその周囲の部分から非コードRNAが誘導されて、エストロゲン受容体を多量につくるように変わることで、ホルモン療法に対して耐性化すると結論づけられた。なお、研究グループはポリフェノールの一種であるレスべラトロールが、その非コードRNAとESR1遺伝子の高発現を阻害し、乳がん細胞の増殖を抑制することを突き止めており、今後新しい乳がん治療の開発につながることが期待される。
2015年04月30日名古屋大学は4月24日、シロイヌナズナとう植物を用いた実験で、細胞死をもたらす新しい細胞融合現象を発見したと発表した。同成果は丸山大輔 YLC特任助教と東山哲也 教授らのグループによるもので、4月23日付(現地時間)の科学誌「Cell」のオンライン版に掲載された。花粉には精細胞を胚のうへと届けるための花粉管という細胞を持つ。花粉管は長い管状で、先端内部に2個の精細胞をもっている。花粉が雌しべに受粉すると、この花粉管が伸びて雌しべ内部へ入っていき、種の元になる胚珠と精細胞を届ける。この時に、卵細胞の隣に2つある助細胞が花粉管を正確に胚珠に導くための誘引物質を放出する。花粉管が胚珠にたどり着くと、片方の助細胞の破壊と引き換えに内部の2つの精細胞を放出する。このうち1つは卵細胞と受精し幼植物となる「胚」をつくり、片方は中央細胞と受精して胚への影響を供給する「胚乳」という細胞をつくる(重複受精)。この2つの受精の後で、生き残った方の助細胞は素早く不活性化され、花粉管の誘引停止が起こるが、その仕組について詳しいことはわかっていなかった。今回の研究では、受精後に残った方の助細胞の不活性化について調べるために、シロイヌナズナという植物を用いて、ミトコンドリアを緑色蛍光タンパク質(GFP)でラベルした助細胞の経時観察を行った。その結果、助細胞のミトコンドリアが隣に位置する胚乳へ移動することが判明した。電子顕微鏡で助細胞と胚乳を隔てる部分を調べると、受精前には無かった穴が発見され、受精後に助細胞と胚乳が融合し、助細胞の内容物が胚乳へと流れ出ていることがわかった。また、助細胞が作り出していた花粉管の誘引物質をGFPでラベルして観察したところ、誘引物質も胚乳へ移動しており、助細胞での濃度が急激に低下していた。したがって、細胞融合によって誘引物質の供給が途絶えることによって、2本目以降の花粉管が目標を定められない状態となっていることがわかった。さらに、助細胞の核を観察した結果、胚乳核の分裂に合わせて分裂しようとするものの、最終的に分裂できず変性することも判明した。これらにより、助細胞の不活性化は、細胞融合による誘引物質などの希釈と核の崩壊という二段階の仕組みで発生していると結論づけられた。植物の細胞は堅い細胞壁に覆われているため、卵細胞と中央細胞の受精以外で植物細胞同士が融合するとはこれまで考えられていなかった。また、成長過程での細胞死は、死ぬべき細胞自身が自殺プログラムを実行していると考えられていた。今回の現象は細胞融合によって融合相手が不活性化するという新しい細胞融合があることを示したもので、同研究グループは「教科書を書き換えるほどの成果といえる」としている。
2015年04月24日京都大学iPS細胞研究所(CiRA)と武田薬品工業(武田薬品)は4月17日、心不全、糖尿病、神経疾患などにおけるiPS細胞技術の臨床応用に向けた共同研究契約を締結したと発表した。「T-CiRA(Takeda-CiRA Joint Program for iPS Cell Applications)」と名付けられた同提携のもと、iPS細胞技術を用いた創薬研究や細胞治療に関する研究プロジェクトが実施されることになるという。京都大学の山中伸弥 教授が研究全体を指揮し、武田薬品は10年間で200億円の資金および研究運営に関する助言を提供するほか、神奈川県・藤沢市の湘南研究所内の研究設備を提供する。研究人員は全体で100名程度を予定しており、CiRAと武田薬品から50名程度が参加する。当初の研究分野として可能性の高いものには心不全、糖尿病、精神神経疾患、がん免疫療法などが挙げられており、共同研究の進展と共に新たなプロジェクトを追加していく。同研究が軌道に乗った段階では、10件前後のプロジェクトが同時進行することになるという。
2015年04月17日産業技術総合研究所(産総研)と和光純薬工業は4月10日、移植用細胞から腫瘍の原因となるiPS細胞やヒトES細胞を除く技術を開発したと発表した。同成果は産総研創薬基盤研究部門の舘野浩章 主任研究員、平林淳 首席研究員、幹細胞工学研究グループの小沼泰子 主任研究員、伊藤弓弦 研究グループ長と、和光純薬工業試薬化成品事業部 開発第一本部 ライフサイエンス研究所の共同研究によるもので、4月9日(現地時間)の米科学誌「Stem Cell Reports」オンライン版に掲載された。ヒトiPS/ES細胞はあらゆる細胞に分化能力を持つ。しかし、全てのヒトiPS/ES細胞を目的の細胞に分化させることは難しく、一定数の未分化な状態のものが残ってしまう場合があり、移植後に腫瘍を形成してしまう可能性がある。そのため、移植用細胞からそうした細胞を取り除く必要があるが、従来の方法では1つ1つの細胞に解離してから特殊な装置を用いるため、細胞シートへの適用ができない、処理速度が遅い、移植用細胞の生存に悪影響を与える可能性があるなどの課題があった。今回の研究では、rBC2LCNというタンパク質がヒトiPS/ES細胞に結合した後に、細胞内に取り込まれるという現象を発見。そこで、細胞内に取り込まれるとタンパク質合成を阻害し細胞死を引き起こす毒素をrBC2LCNに融合させた組換えタンパク質を開発した。この組換えタンパク質を細胞培養液に添加すると、分化した体細胞の増殖や生存には影響を与えずに、未分化なヒトiPS/ES細胞を選択的に除去することができた。この組換えタンパク質は細胞をあらかじめ分離するといった前処理も必要なく、細胞培養液に添加するだけで選択的にヒトiPS/ES細胞を除去できるため、大量の細胞や細胞シートなどへの適用も可能だという。同技術は1年以内の実用化が予定されており、再生医療に用いるヒトiPS細胞由来の心筋細胞などの細胞製造への適用性を検証することで、再生医療の安全性向上につながることが期待される。
2015年04月10日「読むだけで痩せるダイエットマニュアル」有限会社アイアールは、「キレイナビ」にて「読むだけで痩せるダイエットマニュアル」の連載をスタートした。「キレイナビ」は女性限定の美容ソーシャルサイトだ。監修はキレイナビ代表で美容家、日本ダイエット健康協会インストラクターの飯塚美香氏。「読むだけで痩せる」秘密ダイエットに大事なのは、「正しい方法を知る」こと。加えてモチベーションの維持だ。テレビのダイエット特集や、雑誌のダイエットの記事などを見ると、やる気が出るのもこの仕組み。つまり毎日「ダイエットの正しい知識」にふれることによって、モチベーションを維持していこうというのが、「読むだけで痩せるダイエットマニュアル」なのだ。テーマは1日ひとつ「読むだけで痩せるダイエットマニュアル」は、1日1テーマ。毎日更新される。テーマも魅力的だ。例えば「ダイエットの成功は目標の立て方で決まる!?正しいダイエットのためにまずはお勉強!」や「自分で太りやすい体にしている!?リバウンドとは何か知っておくべし!」など、ダイエットを続ける上では必要不可欠を掲載中。正しい知識を学んで、ダイエットを成功へと導こう。(画像はホームページより)【参考】・「読むだけで痩せるダイエットマニュアル」がキレイナビで連載スタート!
2015年04月10日細胞から美しくなれる旅春の行楽シーズンが到来した。旅行の計画を立てるのなら、健康に美しくなれる滞在プランを選択してみてはいかがだろうか。4月6日、TBソアラメディカルは、ハウステンボスにおいて、細胞から美しくなれる“5ステイプラン”を同日より新発売したと発表した。ハウステンボスでは2015年より「健康の王国」がスタートし、ストレスの解消をはじめ、体質改善やメンタルヘルスケアなどに力を入れた“新しい旅”を提案している。空・風・火・水・地をコンセプト同プランでは五元素の空・風・火・水・地をコンセプトに、悩み別にプランを用意した。「空プラン」(断食・リセット)、「火プラン」(冷え取り・毒出し)をチョイスすれば、体調や体質の改善が期待できる。また、美容効果をねらうのなら「風プラン」(ヘルシーエイジング・美肌)、「水プラン」(代謝アップ)もいいだろう。心身ともにリフレッシュをしたいのなら「地プラン」(睡眠爽快・セルフケア)がおすすめだ。全プランで人気の免疫温熱浴全てのプランでスターター施術として、人気の免疫温熱浴を導入しているのも嬉しいポイントだ。現代女性の冷えた体を、芯から温めてくれる。人気スポットのハウステンボスで楽しみながら、健康的に美しくなる。女性には必見の旅行プランといえそうだ。(画像はプレスリリースより)【参考】・TBソアラメディカル プレスリリース
2015年04月08日朝日を浴びることで幸せ元気ホルモン「セロトニン」の分泌が始まります。このセロトニン、実はダイエットホルモンでもあり、セロトニンが多い人は活動的で痩せているんです。朝日を浴びるだけで痩せられるなんてラッキーですよね。今回は、そんなセロトニンとダイエットの関係についてご紹介いたします。■生体リズムを知る「昼に活動し、夜は眠る」というリズムを「サーカディアン・リズム(概日リズム)」といい、規則正しい生活を繰り返すことで健康が保たれます。日中、太陽の光を浴びると多くのセロトニンが作られ、それと同量のメラトニン(眠りのホルモン)が作られます。つまり、規則正しい生活をすることで、元気で痩せやすく、夜は自然と眠れる体質になれるというわけです。■「光」がセロトニン分泌のスイッチ健康を維持し、痩せやすい体質になるために重要なセロトニン。光を浴びると多くのセロトニンが作られると先程述べたとおり、「視交叉上核」という目の奥の神経核が光を感知することで、セロトニン分泌のスイッチが入ります。夜勤の仕事をされている方は、必ずしも朝日である必要はありません。意識的に光を浴びて、セロトニンのスイッチを入れるようにしましょう。でも、目覚めたら必ずカーテンを開けて太陽の光を浴びましょう。それだけで清々しい気分になりますよ。■モナリザ症候群“モナリザ症候群”という言葉を聞いたことがありますか?モナリザ症候群とは、交感神経の働きが低下している状態をいいます。不規則な生活を続けていると、自律神経のバランスが崩れ、特に交感神経の働きが鈍くなります。交感神経優位の時に代謝が上がりやすいのですが、モナリザ症候群になると交感神経が優位にならないために、基礎代謝が低い状態が継続してしまいます。その結果、エネルギーを節約するモードの時間が長くなり、体脂肪を溜めやすい体質になり、平均的な食事量でもどんどん太っていくのです。普通に食べて太るなんて、許せないですよね。■夜働く方へのアドバイスしかし、「夜勤で昼寝ている私はどうすればいいの?」というご意見もあると思います。そういう方は、今の生活を基準にして24時間を規則正しく過ごしましょう。「お肌のゴールデンタイムは午後10時~午前2時」とよく言われていますが、この説は実は誤り。若返りホルモンである成長ホルモンを例にとれば、就寝時間に関わらず、入眠後30分から1時間半内のノンレム睡眠(夢を見ない深い眠りの時間帯)時に多く分泌されます。昼夜逆転生活になってしまう方は、6~7時間睡眠に対して、何時に起きて行動を開始すれば規則正しく過ごせるかを考えて就寝時間を決めましょう。だらだらした時間の使い方がよくないのです。■最後にお金をかけるよりも、「運動」と「早寝早起き」をする方が、遥かにダイエット効果が高いです。でも、なかなか早寝早起きって難しいですよね。では最後に、思わず早寝早起きしたくなる情報をご紹介します。「お金持ち脳」が今、密かなブームになっています。お金持ちの思考(習慣)を真似ることで自身もお金持ちになれる、という考え方です。お金持ちの習慣のひとつに「朝方」があります。将来私はお金持ちになるぞ~(または玉の輿にのるぞ)とお考えの貴女。是非、早寝早起き習慣から始めてみませんか?人生が少しずつ変わっていくと思います。(林田玲子/ハウコレ)
2015年04月03日国立がん研究センターは4月2日、乳がんの脳転移にがん細胞から分泌される微小な小胞エクソームが関わっていると発表した。同成果は分子細胞治療研究分野の富永直臣 研修生、落合孝広 分野長の研究グループによるもので、4月1日付けの米科学誌「Nature Communications」電子版に掲載された。乳がんは比較的予後の良いがんとして知られる一方、治療後、長期間を経て脳転移が認められることがある。脳への転移は予後に大きな影響を及ぼしQOLを著しく低下させるが、そのメカニズムについてはわかっていなかった。同研究では、がん細胞が分泌する直径約100nmの顆粒(エクソーム)が、脳血管で物質透過を制限しているBBBという生体バリア構造を破壊していることを突き止めた。エクソームに含まれるmiR-181cというマイクロRNAがBBBの構造を変化させた結果、バリア機能が失われ、がん細胞が容易にBBBを通過し、脳転移を引き起こしていると考えられるという。がんの脳転移メカニズムを明らかにした今回の成果は今後、早期発見および新規治療法の開発への応用が期待される。
2015年04月02日富士フイルムは3月30日、iPS細胞の開発・製造を手がける米Cellular Dynamics International(CDI)を約3億700万ドル(約360億円)で買収すると発表した。今回、CDIを買収したことでiPS細胞を使った創薬支援分野に参入することになる。CDIは2004年に設立され、2013年7月にNASDAQに上場したバイオベンチャー企業で、良質なiPS細胞を大量に安定生産する技術に強みを持ち、大手製薬企業や先端研究機関と供給契約を締結している。現在は創薬支援や細胞治療、幹細胞バンク向けのiPS細胞の開発・製造を行っており、創薬支援向けに、心筋や神経など12種類のiPS細胞を安定的に供給している。富士フイルムは、写真フィルムの研究開発・製造で培ってきたノウハウを活用して、細胞増殖のための「足場」として生体適合性に優れ、さまざまな形状に加工できるリコンビナントペプチドを開発したほか、2014年12月には日本で再生医療製品を提供しているジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)を連結子会社化するなど、再生医療分野への取り組みを強化してきた。今後、CDIのiPS細胞関連技術・ノウハウと富士フイルムの高機能素材技術・エンジニアリング技術やJ-TECの品質マネージメントシステムとのシナジーを発揮させ、再生医療製品の開発加速、再生医療の事業領域の拡大を図るとともに、再生医療の産業化に貢献していくことを目指すとしている。
2015年03月30日富士フイルムは3月19日、再生医療に向けた細胞培養・移植に必要な足場素材「リコンビナントペプチド(RCP)」のマイクロサイズのペタロイド状微細片(petaloid μ-piece)を開発したと発表した。これを細胞と組み合わせて、モザイク状の三次元細胞構造体「CellSaic」を作りマウスに移植すると、細胞だけを移植した場合に比べて、生存効率が大幅に向上するという。生体に移植した細胞を機能させるには、移植した細胞や組織を効果的に生体内に生着させることと、移植した組織や細胞において栄養・酸素の供給や老廃物排泄を可能にすることが重要となる。細胞を生着させるためには細胞の足場となる素材使うこと、栄養・酸素の供給や老廃物の排泄を可能にするためにはその通り道となる血管を早く導入する方法が有効とされている。しかし、細胞塊が大きくなると中心まで栄養や酸素が供給されず、老廃物の排泄も困難になるため血管導入までに細胞が死滅してしまうという課題がある。富士フイルムが開発した「RCP」のペタロイド状微細片を用いて作製した「セルザイク」では、細胞の足場が確保されるとともに、内部に空間が形成され、その空間を通じて栄養・酸素の供給、老廃物の排泄が可能となり、生体からの血管系の通り道が形成される。マウスで行った実験では細胞のみ移植した場合と比べて生存率が約2倍に向上した。また、1型糖尿病モデルマウスを用いた実験も行った。1型糖尿病など、血液中のブドウ糖を調節する役割を持つ膵島の機能不全によって血糖値の制御が困難な場合には、ドナーから膵島を移植するという治療方法が存在する。その際、間葉系幹細胞(MSC)と共に移植することで治療効果が上がることが報告されている。同実験では、hMSCと「RCP」のペタロイド状微細片を組み合わせた「セルザイク」を膵島と共に1型糖尿病モデルマウスに移植したところ、正常レベルまで血糖値を下げることができた。これは、移植したhMSCが生体内で多く生存しているため、膵島移植の効果が高まったことによるものだと考えられるという。「RCP」のペタロイド状微細片を組み合わせた「セルザイク」は今後、細胞移植や細胞再生、臓器再生などさまざまな再生医療への活用が期待される。
2015年03月20日日本科学未来館(未来館)は3月20日から、5階常設展の生命エリアで新展示「細胞たち研究開発中」を公開する。同展示ではiPS細胞をはじめ、現在"研究開発中"の細胞研究について知ることができる。エリアはシアター部分と展示部分に分かれており、5つあるシアターでiPS細胞について約8分間の映像を見たあと、展示エリアに進むことになる。シアターの映像は、iPS細胞による治療などが現実になった近未来が舞台となっており、難病や怪我などを抱えた患者や相談者の人生ドラマを通じてiPS細胞とどう向き合っていくべきか「自分ごと」として実感できる内容となっている。展示エリアでは、体性幹細胞、ES細胞、iPS細胞という3種類の本物の幹細胞、受精の瞬間から6日間をとらえたヒト受精卵の映像、胎児が成長し誕生するまでの様子の3D画像などを見ることができる。また、情報を「知る」だけでなく実物大のヒト胎児模型や体の動きに合わせタンパク質の動きがわかるインタラクティブ展示など、細胞研究を「体験」できるように工夫した展示も用意された。同館ではこのほか、生命科学をはじめとする先端研究分野における社会的・倫理的な課題についてアンケート方式で回答し意見を発信する「オピニオン・バンク」も新設。科学技術に関する最新ニュースとリアルタイムの回答結果を得られる大型ディスプレイもあり、来場者に科学について自分なりに考えるきっかけを提供する。また、4月からは本物のiPS細胞を実験で扱う「iPS細胞から考える再生医療」がクラブMiraikan会員限定でスタートする。小学4年生以上を対象とし細胞の観察などを行う基礎編(所要時間2.5時間)、中学1年生以上を対象としiPS細胞をさまざまな細胞へと変化させる発展編(2週間にわたって実施:1回目は終日、2回目は2.5時間)という2コース設定された。募集人数は基礎編が各回16名、発展編が各回8名。月1回程度、2コースを月替りで交互に開催する。参加にはホームページから事前申し込みが必要で、その後抽選となる。
2015年03月19日ミトコンドリア・パワー株式会社chaseは、機能水「ミトコンドリア・パワー」の公式サイトをオープン。「ミトコンドリア・パワー」は細胞レベルから美容・健康に挑戦する機能水だ。株式会社chaseは医学的にも学術的にも根拠のあるヘルスケア商品を取り扱う会社。「ミトコンドリア・パワー」も多くの医療機関や整骨医院、スポーツジムなどから支持を得ており、トップモデルやトップアスリートの愛飲者も多い。この度、「一般の方々にも広くにご飲用頂くため」に公式サイトをオープンする。ミトコンドリアとは人間のからだのエネルギーは、約90%がミトコンドリアで生産されている。つまり、ミトコンドリアは人間の健康・美容・活力に多大な関わりがあるのだ。「ミトコンドリア・パワー」は、ミトコンドリアを活性化する機能性飲料水。ミトコンドリアが入っているわけではない。「ミトコンドリア・パワー」がミトコンドリアの活動を助けることにより、健康や美容への近道となる。約1ヶ月で株式会社chaseは1日500ml~1,000mlの飲料を推奨。約1ヶ月で体調の変化を感じるのが一般的とのこと。価格は1,000mlを12本セットで7,800円(税込)だ。(画像はプレスリリースより)【参考】・細胞レベルから美容・健康に挑戦する機能水「ミトコンドリア・パワー」公式サイトオープン
2015年03月14日理化学研究所(理研)は3月11日、iPS細胞とES細胞の違いを決める分子を特定したと発表した。同成果は理研ライフサイエンス技術基盤研究センタートランスクリプトーム研究チームのピエロ・カルニンチ チームリーダー、同 アレクサンダー・フォート 客員研究員と、理研統合生命医科学研究センター免疫器官形成研究グループの古関明彦 グループディレクターらの研究グループによるもの。2月12日付け(現地時間)の米科学誌「Cell Cycle」に掲載された。体細胞に由来するiPS細胞と受精卵に由来するES細胞は、幹細胞としての多くの共通した性質をもつ。これまで、両者では遺伝子発現が異なると報告がある一方、特定のiPS細胞はES細胞とほぼ区別がつかないという報告もある。同研究グループは、2014年に、iPS細胞とES細胞の核内にはこれまで知られていなかった数千種類のRNAが発現していることを独自技術によって明らかにしていた。また、その多くがレトロトランスポゾンという遺伝子因子に由来するノンコーディングRNA(ncRNA)であることを突き止めた。ncRNAは、メッセンジャーRNAと異なり、タンパク質の設計図として用いられないRNAのため、これまでの解析では詳しく調べられていなかった。今回の研究では、マウス由来のES細胞とiPS細胞を用い、ncRNAを含めた全転写産物の網羅的な発現比較を行った。その結果、ES細胞の核内で発現するncRNAの多くが、iPS細胞では十分に発現していないことが判明。これらのncRNAの中には、多能性に関わる遺伝子の発現を促進する遺伝子制御部位や、レトロトランスポゾン由来のRNA配列が含まれており、既存のiPS細胞作製方では、ES細胞で機能している多くの遺伝子制御部位の活性が十分に起きていないことが示唆された。今回の結果は、今後、臨床に用いるiPS細胞を適切に評価する方法の開発や作製技術の改良に役立つと期待される。
2015年03月11日リプロセルは3月9日、国立がん研究センター(国がん)とヒト正常上皮細胞とがん細胞の培養試薬に関する共同研究契約を締結したと発表した。同研究では、これまで樹立や培養が困難だった各種がん細胞および正常上皮細胞を安定的かつ高効率に培養することが期待される。同社は「上皮細胞向けの培養試薬は身体のさまざまな部位に存在する、あらゆる上皮細胞を対象としております。また、がん細胞向けの試薬も、がん研究の障害であった培養の困難を克服する画期的なものであります」とコメント。次世代シーケンサーを用いた臨床検査事業におけるがん診断サービスへの取り組みに着手しているとした。
2015年03月11日京都大学は2月27日、ヒトiPS細胞から軟骨細胞を誘導し、硝子軟骨の組織を作製したと発表した。同成果はiPS細胞研究所(CiRA)の妻木範行 教授、同 山下晃弘 研究員らの研究グループによるもので、2月26日付け(現地時間)の米科学誌「Stem Cell Reports」に掲載された。関節軟骨は骨の端を覆い、腕や膝を曲げた時などにかかる衝撃を吸収している。正常な関節軟骨は硝子軟骨と呼ばれ、加齢に伴いすり減ったり、事故などの怪我により損傷受けるとより機能的に劣る繊維軟骨に変わってしまう。一度軟骨が繊維化すると、元に戻ることはなく、関節をスムーズに動かすことが難しくなり、痛みや炎症が起こることがある。現在、自分の軟骨細胞を移植する方法が有効とされているが、高品質で十分な量の軟骨細胞を用意することは難しい。また、採取した細胞をシャーレ上で増殖させると、繊維芽細胞様に変質し、それを移植すると修復時に繊維軟骨ができてしまうという課題があった。同研究では、ヒトiPS細胞から軟骨細胞を作製するための培養条件を検討した上で、足場材を使わずに細胞自身が作るマトリックス(細胞と細胞の間を埋めるように存在するタンパク質)からできた硝子軟骨組織を作製することに成功した。足場剤とは、細胞を培養する際に、細胞外マトリックスを模す目的で使用されるゲルや多孔体などのこと。これを用いて軟骨組織を培養した場合、残存する足場材が炎症を起こしてしまうなどの問題がある。また、免疫不全マウスやラットを用いた実験では、軟骨細胞を移植しても腫瘍形成は見られず硝子軟骨が形成されたほか、関節軟骨を損傷させたラットやミニブタの患部に移植したところ、生着して損傷部を支えるなど、動物実験において安全性および生体軟骨と融合することが確認された。同研究グループは今後、ヒトへの臨床応用を目ざして有効性や安全性の確認など、さらにデータを積み重ねる予定だ。
2015年02月27日理化学研究所(理研)は2月19日、ヒトES細胞から毛様体縁を含む立体網膜を作製することに成功したと発表した。同成果は理研多細胞システム形成研究センター器官発生研究チームの桑原篤 客員研究員、立体組織形成研究ユニットの永樂元次 ユニットリーダーらと、住友化学生物環境科学研究所の共同研究グループによるもの。2月19日付けの英科学誌「Nature Communications」に掲載された。同研究グループはこれまで、「SFEBq法」という分化誘導法を開発し、マウスES細胞やヒトES細胞から立体網膜を作製していた。今回の研究では、「SFEBq法」を改良し、胎児型網膜に似た毛様体縁を含む立体網膜の作製に成功した。毛様体縁は、胎児の網膜の端に存在する領域。魚類や鳥類などで幹細胞を維持する働きをしていることが報告されていたが、ヒトではその役割がほとんど分かっていなかった。そこで、作製した立体網膜を解析したところ、ヒト毛様体縁には幹細胞が存在し、この幹細胞が増殖することで試験管内で網膜を成長させることが判明した。今回開発された新しい分化誘導技術は、立体網膜を効率よく安定的に生産できため、同研究グループは同技術を用いて生産した立体網膜を、網膜色素変性を対象とした再生医療に応用するための研究を進めていくとしている。
2015年02月20日今日は、「一ヶ月で痩せて良い体重」のお話をします。■唄い文句に躍らされないダイエット本の唄い文句で、「~だけで、一ヶ月10kg簡単に痩せました!」なんていうのを見かけますね。これを本気で信じる読者の方は少ないと思いますが、仮にそれが本当だとしても、急なダイエットは身体を壊したり、リバウンドの原因になります。■特にダイエット食品は禁止!「一ヶ月ダイエット!ダイエット食品『●●』でわたしは10kg痩せました!」というような宣伝文句のダイエット食品ってありますよね。でも、ダイエットにはダイエット食品が最も大敵なんです。ダイエット食品を食べても、痩せることはありません。なぜなら、ダイエット食品分だけのカロリーを摂取しているから。もしダイエット食品を食べるくらいなら、食物繊維の豊富な野菜などを摂りましょう。便通をよくしてくれ、カロリーもないのでこれがベストです。■何故リバウンドするのか?人には「恒常性」といって、現状を変えないように維持する力が働いています。例えば、体温。人は恒温動物なので、体温は一定に保たれています。同様に、急に体重が減ると、身体が元の体重に戻そうとする方向に作用します。これがリバウンドです。■1ヶ月で痩せて良い体重とは?一ヶ月に痩せて良い体重は、MAXで現体重の5%と言われています。例えば、60kgの方なら、3キロまでです。これが、私の書籍「1日100gダイエット」 の根拠となる数字です。一ヶ月に痩せる数字を低く抑えることで、挫折せずにダイエットできるのです。■アナタが目指す体重の簡易計算法簡単な理想体重の求め方をお教えします。健康体重=身長mX身長mXBMI22美容体重=身長mX身長mXBMI20一番病気になりにくい体重を健康体重と呼んでいますが、実際の数値で計算すると、健康体重だと少しぽっちゃりです。若いみなさんには美容体重をお勧めしています。海外の研究機関では美容体重の方が健康的で病気にならないという説もあります。私はヨガのインストラクターでもあるので、少し痩せ型のBMI18を維持しています。人それぞれ置かれた立場が異なるので、自分に合った体型をご判断ください。■最後に~アナタが人生で目指すものは何ですか?~先日、予防医学のセミナーに参加させて頂きました。セミナースケジュールの構成として、一番先に「心」に関するお話をされていました。つまり、「何となく痩せたい」といった曖昧な動機だと何事も継続できないのです。私のダイエットカウンセリングでも最初に「何故痩せたいのか?」という質問をさせて頂きます。目的もなく始めてもかならず挫折するからです。アナタのダイエット目的は何ですか?ウエディングドレスが似合う体型になりたい。新しい恋人を見つけたい。元彼や友人を見返したい・・等様々でしょう。まずは目的をはっきりさせます。そこからがダイエットの始まりです。ダイエットは一生のライフワーク。ダイエットスキルはアンチエイジングにも繋がるのです。一度身につけてしまえば簡単、一生健康で若さを保つことができるスキルになりますよ。(林田玲子/ハウコレ)
2015年02月17日理化学研究所(理研)は1月30日、ヒトES細胞を小脳の神経組織へと、高効率で選択的に分化誘導させることに成功したと発表した。同成果は理研多細胞システム形成研究センター器官発生研究チームの六車恵子 専門職研究員を中心とする研究チームによるもので、1月29日付(現地時間)の米・科学誌「Cell Reports」オンライン版に掲載された。同研究チームは、以前の研究でマウスES細部から、小脳の主要な神経細胞で、医学的に重要なプルキンエ細胞への分化誘導に成功していた。今回の研究ではマウスで成功した培養法を応用することで、ヒトES細胞をプルキンエ細胞を含む小脳の神経細胞へと分化させ、さらに初期の小脳皮質構造へと誘導することができた。また、iPS細胞からプルキンエ細胞への分化誘導にも成功しており、将来的にはヒトiPS細胞を脳神経組織へと分化させることで、さまざまな脳神経系疾患に対する治療法開発への応用につながることが期待される。
2015年01月30日体内のサビだといわれる、活性酸素やあらゆる毒素をはじめとして、現代社会に生きる人間の細胞は、常に高いストレスにさらされています。そんな悩みを解消するうえに、快眠にもよいといわれている成分があるようです。グルタチオンでガン予防!?グルタチオンという成分を聞いたことがありますか?これは、3つのアミノ酸で構成される抗酸化物質。医薬品にも使用されていることから、安全性が高い成分として知られています。摂取方法はサプリメントが中心ですが、さまざまな毒素を抱え込んで体の中で消去する働きがあります。そのため、細胞を活性化し、ガン予防やアンチエイジングに効果が期待できる成分だと言われています。また、脳内の神経細胞が死んでしまうのを防ぐ働きのある抗酸化物質として、医学的な関心も高いグルタチオン。今後、脳虚血疾患の治療に活用できないかと研究が進められている注目の物質なんです。脳の興奮状態を抑制する効果もあり抗酸化物質として関心を集めるグルタチオン。でも、どうして睡眠と関わっているのでしょうか?実は、グルタチオンは細胞を修復するだけではなく、脳内の興奮状態をシナプスレベルで抑制する働きがあるようです。その結果、脳内がリラックスした状態になり、スムーズな睡眠を促進してくれると言われています。実は、睡眠医学の世界ではすでに注目が集まっているグルタチオン。抗酸化・抗老化物質であると同時に、睡眠物質としてもよく知られています。このような成分を摂取することで、生体リズムや体内時計が整うというメリットもあるそうです。受験勉強や資格試験の勉強にも!?勉強したいという気持ちは大切ですが、寝不足だと効果がないことも。受験勉強や仕事によって、脳内の神経細胞であるニューロンが過剰に働きすぎることが、神経毒を生み出す原因だという説があります。グルタチオンハードな知的労働や作業、勉強で酷使された脳細胞を修復してくれる効果があるそうです。また、睡眠そのものが脳細胞を修復する働きを担っているといいます。グルタチオンを摂取すると、相乗効果でさらに脳内のニューロンをダメージから守ってくれるでしょう。テストや資格試験の勉強などで疲れた頭と身体。グルタチオンでリフレッシュすると良いかもしれません。Photo by Lies Thru a Lens
2014年12月27日慶應義塾大学(慶大)は12月24日、ヒトの皮膚細胞を血管内皮細胞に転換する遺伝子を同定したと発表した。この成果は慶大医学部微生物学・免疫学教室の森田林平 専任講師と吉村昭彦 教授、久留米大学医学部心臓・血管内科学の安川秀雄 准教授、佐々木健一郎 講師らの共同研究によるもの。12月24日(現地時間)に米科学雑誌「アメリカ科学アカデミー紀要」のオンライン版で公開された。血管内皮細胞は、発生の初期に、血液細胞と共通の前駆細胞から作られることがわかっている。同研究グループは今回、血管内皮細胞だけでなく血液細胞の発生にも重要な転写因子18種類をスクリーニング対象とした結果、ETV2という遺伝子を、健常人から採取しヒト皮膚線維芽細胞に導入することで、血管内皮細胞に3~4%と高効率で転換することを見出した。また、ETV2が細胞内の別の転写因子と共役的に作用し、血管内皮細胞の分化に重要なさまざまな遺伝子の発現を誘導していることも突き止めた。実験ではさらに、このヒト皮膚線維芽細胞から転換させた血管内皮細胞を免疫不全マウスの皮下に移植したところ、1.5カ月後に成熟した血管の形成が観察されたという。また、下肢の血管を閉塞させて壊死を起こさせる下肢虚血モデルマウスに移植した場合、有意に虚血を回復させることが分かった。これらの実験により同方法で作成された血管内皮細胞は、生体内でも機能的な血管を形成でき、虚血性疾患の治療に使用できることが確認された。この「人工的」血管内皮細胞はETV2が発現し続ければ安定するが、発現しないと血管内皮細胞のままでいる細胞と、ヒト皮膚線維芽細胞に戻る細胞に分かれるため、今後、これらの細胞集団の違いをもたらすDNAレベルでの分子メカニズムを明らかにし、「ETV2フリーの安定な血管内皮細胞」を誘導する方法を開発できれば、安全で臨床応用可能な血管内皮細胞の開発につながると期待される。
2014年12月25日