KAAT神奈川芸術劇場の芸術監督・白井晃が贈る近代戯曲シリーズ。最新作には、イギリスの女性作家、ヴァージニア・ウルフの『オーランドー』を原作とした戯曲が選ばれた。主人公のオーランドーを演じるのは多部未華子だ。時代や国境、性別をも超えながら生きていくオーランドーという不可思議な存在に何を見出し、その世界をどう構築していくか。互いに“いつか一緒に”と望んでいたというふたりだからこそ、できることがありそうだ。【チケット情報はこちら】多部が白井と仕事してみたいと思ったのには、白井演出の数々の作品に出演している山本耕史が関わっている。「6年くらい前に出会ったときから山本さんにはずっと『絶対に白井さんと一緒にやったほうがいい』と言われていて。昨日も『稽古時間は長いけど学べることが多いから』というメールが来ました(笑)」と多部は打ち明ける。それに対して「最近は短くなった」と苦笑しながらも、「でも、稽古をやっただけいいものになります」と断言して舞台づくりへの情熱を覗かせる白井もまた、多部とのセッションを望んでいたという。「これは僕が勝手に思っていることですが、多部さんは自分が内包しているものを役に照らし合わせて演じている印象があるんですね。どういう人物かと考えてデコラティブに作っていくのではなく。だから役の中に多部さんが見える。そこがいいなと思っていました」それだけに今回も、オーランドーという主人公に多部がシンクロすることで生まれてくるものに、白井は期待を寄せている。「これは実に演劇的な仕掛けのある戯曲で、オーランドーが出会う様々な人を、小日向文世さんをはじめとするおじさん俳優たちが(笑)、演じ分けていくことになるんですけど。その“いかにも芝居です”というアンチリアリズムな構図の中で、人を愛するってどういうことなんだろう、人が生きる衝動って何なんだろうと、オーランドーが考えたり葛藤したりしていくことが多部さんの中にも起こって、最終的には人物が生身のリアルなものとして見えてくるのではないかと思ってるんです。時代も国も、男とか女とかも通り越して、私は私、今ここに生きている私が愛おしいと思えてくるような。そんなことを僕は多部さんの中に見ているのかもしれません」。多部は、男でもあり女でもあり、16世紀から21世紀にわたって生きているオーランドーを「どう捉えていいのかまだわからない」と正直に言う。が、「とはいえ同じ人間だから、何か自分の思いをリンクさせられるはず」と力強い。演劇ならではの“嘘”が“真実”を見せてくれるに違いない。舞台『オーランドー』は9月23日(土)から10月9日(月)まで神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場 ホールで、10月26日(木)から29日(日)まで、東京・新国立劇場中劇場で上演。なお、一般発売に先がけてプレイガイド最速先行いち早プレリザーブを実施。受付は5月29日(月)午前11時より。取材・文:大内弓子◆衣裳協力(多部未華子)PERMANENT MODERNSretsisJILLSTUARTGUSUCUMA
2017年05月26日「もしも『3月のライオン』が実写化されたら?」。神木隆之介と佐々木蔵之介は、実写映画化が発表される前から、漫画のファンの間で行われてきたそんなアンケートで、主人公・桐山零役、そして島田開八段役で、それぞれ常に1位を獲ってきた。実写化が発表され、神木さん、佐々木さんの出演が発表されると、案の定、原作ファンからは歓喜の声が上がった。近年の人気漫画の実写化のニュースでは珍しいことと言えるが、かといって、演じる側の負担やプレッシャーが減るわけでは決してない。これまでいくつもの人気漫画原作の映画に出演してきた神木さんだが「発表の日は、正直、怖かったです。緊張しましたし、僕も漫画が好きなので(ファンの気持ちが)わかります」と語る。「『合っている』という声をいただけて、とてもありがたかったです。もちろん、まだ不安ですが…」。一方、佐々木さんに関しては、単なる読者アンケートNo.1ではない。原作漫画の島田を見ればわかるが、雰囲気も含めて佐々木さんそっくり…。それもそのはずで原作者の羽海野チカさん自身が「島田開八段のモデルは佐々木蔵之介さんです。漫画を描くときは、蔵之介さんの頭蓋骨を頭の中に思い浮かべて描いています」と明かしている。佐々木さんは島田さながらの落ち着いた口調で語る。「映画化の話が決まる前から、そんな(ファンの)声は何となく聞いていました。『映画化するなら佐々木蔵之介』と。実際にそうなって、ありがたいことこの上ないです。(原作のモデルになったことも)そう描いていただいてありがたいし、裏切らないようにしたいという気持ちでした。まあ、そう仰っていただいたからには、誰にも文句は言わせないぞ!という気持ちですが(笑)。『違う!』って文句言うほうがおかしいですから(笑)」。高校生にしてプロ棋士として活躍し、“未来の名人”と将来を嘱望されるも、幼い頃に事故で家族を失い、さらには引き取られた先の将棋の師匠の家庭を自らの存在のゆえに崩壊させたという心の傷を持つ零。そんな彼が、様々な出会いを通して成長していく姿を描く本作。島田は、零が対局で出会い、原作の表現で言うところの“頭をかち割られ(=なめてかかって惨敗して目を覚まされ)”、その研究会に通うことになるという、零を導く存在である。神木さんは、零と島田の関係性について「零にとって、決して“師匠”ではないんです」と語る。それは、島田が名人に君臨する宗谷(加瀬亮)と対戦するシーンに立ち会う中で、芽生えた感情だという。「島田さんが宗谷と対局していて、それに対する零の感情として、そう思いました。指針を与えてくれる存在ではありますが、自分も、彼らがいる場所(=タイトル戦)へ歩いていかねばならない覚悟、この先、島田とも再び敵同士で戦わなくてはいけないという想い。感謝をしつつも、棋士としての覚悟を教えてくれる存在なんだと思います」。そもそも、原作でも高い人気を誇る島田の魅力はどこにあるのか?神木さんは、佐々木さんと島田を重ね合わせつつ「強さ」と「謙虚さ」を挙げる。「謙虚さゆえの強さ――強いからこその謙虚さ。それは、佐々木さんご本人から対局中も零として感じていました。圧倒的な強さだなと。柔らかい雰囲気で、みんなから慕われていて、でもそこに確固たる強さがある。しかもそれは、積み上げてきた絶対的な、崩れない強さなんです。その大きさを感じました」。佐々木さんは「謙虚さは強さじゃなくて自信のなさや(笑)」と照れくさそうに笑い、さらに「敗者の横顔」こそ島田の人気の秘密ではないかと分析する。「負けた者の横顔って、やはり美しい。『どう負けるか』だと思うんですよね。真正面から向き合って思い切り負ける――下手に負けるんじゃない。そこが美しく、カッコよく、みなが気持ちを寄せるんじゃないかと思います」。そう、将棋の世界は自ら「負けました」と敗戦を認める競技である(しかも、その後には通常、“感想戦”と呼ばれる、勝者と敗者が終わったばかりの戦いを分析し合う時間まである!)。勝ち負けを競う競技の中でも特殊な世界に見えるが、俳優として作品を作り上げていくという仕事に従事する2人の目には、どのように映ったのか?神木さんは、将棋盤を挟んで相対する棋士たちの間にも“盤上のコミュニケーション”があり、それは「心と心の繋がりなんだ」と感じたという。「言葉はなくとも会話をしている、人と人、気持ちと気持ちがきちんとぶつかっている。そこは(演技の世界と)通ずるところがあるのかも、と思いました。演技は、勝ち負けはハッキリしないので、どうにも言えないところもあって、たまに自分で『悔しい』と思う瞬間はあっても、それは自分のなかのもの。一方で勝ち負けの世界に生きる棋士は孤独だなというのは、演じていても感じました。勝ちたいと思っている者同士が戦い、どれだけのものを背負っているかに関係なく、敗者と勝者が生まれるということは冷酷です。芝居はその点、チームプレイではあるのですが、ただ、どこかで自分と向き合わなければいけない。みんなで頑張りつつ、自分ひとりで、という部分もあり…もちろん、棋士たちの勝負の世界ほどではないですが、そこは少なからず共通点と言えるかもしれません」。佐々木さんも、神木さんの言葉に頷きつつ「対局しているときは、相手とぶつかっているだけでなく、自分とも向き合ってるんだと思います。その指し方、いまの自分の生き方が棋譜に出てくるんでしょうね」と語り、演技の世界との共通点について、こう語る。「役者には勝ち負けはないけど、『自分がどう思うか?』ということなんですよね。『この対局、雰囲気に呑まれた』とか『芝居で雰囲気に呑まれた』ということ――思い通りにできなかったというところは、将棋でも芝居でも、自分の積み重ねが足りなかったというところなんだと思います」。佐々木さんに、撮影現場での神木さん、共演しての印象について尋ねると「ずっと将棋を打って、没入していたよね? そうやって自分を(棋士・桐山零に)持っていってたんやろうな…」と語った。まさに島田と零そのまま、年齢差を超えて、共に過酷な世界で生きる者に対する敬意、シンパシー、そして対峙する覚悟――そんなものを感じさせる口調だった。(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:3月のライオン前編 2017年3月18日より全国にて公開(C) 2017 映画「3月のライオン」製作委員会
2017年03月17日映画『ビジランテ』が、2017年12月9日(土)テアトル新宿ほか全国公開。監督は入江悠、主演は、大森南朋、鈴木浩介、桐谷健太のトリプル主演となる。鬼才・入江悠が監督メガホンをとったのは、映画『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』の入江悠監督。映画『22年目の告白ー私が殺人犯ですー』で全国映画動員ランキング3週連続で首位に導くなど、ヒット・メーカーとして評価を集めた入江悠監督が、脚本から携わり久しぶりにオリジナル作品を手掛ける。大森南朋、鈴木浩介、桐谷健太のトリプル主演『ビジランテ』には、実力派俳優として唯一無二の存在感を放ち続ける大森南朋、シリアスな役からコミカルな役まで幅広く演じるカメレオン俳優・鈴木浩介、そして、ピース・又吉の芥川賞作品を実写化した映画『火花』で主演を務めた俳優・桐谷健太の3名が主演。別々の道を進む三兄弟が父の死を機に再会大森南朋、鈴木浩介、桐谷健太の3名が演じるのは、父親の死をきっかけに30年ぶりに再会を遂げる三兄弟。大森演じる長男・一郎は高校時代に失踪し行方知れずに、鈴木演じる二男・二郎は、市議会議員として町のために働き、桐谷演じる三男・三郎は、デリヘルの雇われ店長としてそれぞれ三者三様の生き方をしてきた。しかし、彼らには共通する秘密があった。町の立役者であった父・武雄との関わりだ。埼玉県のとある田舎町で市議会議員として活躍する父・武雄は、家庭で横暴ぶりを発揮。三兄弟は母親の死後、父に苦しめられ続け、ある日殺そうと決意する。しかし、幼き少年たちの企みは失敗。この事件以降、一郎は姿を消しそれぞれ別々の道を生きることになった。そんな彼らが30年ぶりに再会。久しぶりに顔を合わせた三名の前にふりかかるのは、父が所有していた土地の相続問題だった…。俳優・大森南朋にインタビュー映画『ビジランテ』では長男・一郎役を担当。高校時代の失踪から30年、突然現れ弟たちから強引に土地を奪う横暴な役どころだが、作中では一郎の正体については明かされていない。人物背景が明らかになっていない役にどのように向き合っていったのか。劇場公開前に、大森南朋に話を聞くことが出来た。演じられた一郎にように、人物背景が明らかになっていない役を演じる際はどうやって現場に臨むのでしょうか。身一つでいくしかないです。監督が脚本を書いてイメージングしてくれているところに、僕というキャラクター、雰囲気を踏まえてキャスティングしていただいているので、あとは受け入れです。作品に呼んでいただけるなら、身体を使って何かを表現できれば…という気持ちではあるので、余計なことを作っていかないでいくのが作戦です。ちょっと訳ありの長男・一郎ですが、どんな人物だと捉えていましたか。一郎のバックグラウンドや空白の時間については描かれていないのですが、借金して、見知らぬ女性を地元に連れて帰ってきて、薬物中毒で。ここまで揃ったらだいたい人物像は想像つきます(笑)。撮影現場で「こんなことがあったんでしょうかね」と、軽く監督と話したことはありましたが、改めて一郎の過去について話し合う機会はありませんでした。それでも地元に帰ってくることがどれだけ無様であるかを無自覚ではない、きっとそういう人物だろうなと一郎を見ていました。逆に、一郎のいいところはどんなところだと思いましたか?人としての心は持っているんだなと思います。「土地を渡したくない」という彼なりの道理があって。作品で描かれていないので、なぜ土地にこだわるのか、その思いは何だろうなというのはあるのですが(笑)。兄弟に対しても想いがあるびで喧嘩もするのでしょうし、殴るという行為でコミュニケーションをとっているというか。根本的に腐っているんですけど、薄っすらと人間らしい心はあるんじゃないかな?と思います。一郎への理解は演じていく中で深まっていったのでしょうか。はい、撮影現場で見えてきたものが多かったです。一郎の抱えている都合なり、悲しみなり、少しだけ持っている自分の意志がより明確に見えてきたのは撮影現場。もちろん台本を読んでも感じていたのですが、現場へいってもう一歩深まりました。三兄弟の関係性をどのように捉えていましたか。僕にも映画監督をしている兄がいるのでわかるのですが、兄弟というのは同じ血が流れていて、一緒に育ってきてしまったから自然と分かり合うところがある。その辺が面白いなと思うんです。僕たち兄弟はすごい仲が悪かった時代もあって、兄に対しては憎悪しかない時もありました。おそらく兄もそれくらいの気持ちだったと思うんですけど。それでも二人とも大人になって、ある時から二人でごはんを食べたりできるようになる。特に好きかって言われると、ベタベタするのも気持ち悪い。どちらかが死んだら葬式に行くんだろうなという切っても切れない関係だと捉えています。それを愛と呼ぶなら愛かもしれないのですが、『ビジランテ』の三兄弟も、本当はそんなに仲悪くないですし、互いにわかっているっていう空気感を出せばいいなという気持ちを持っていました。堕ちきった男たちの生き様を、地元・埼玉で入江監督がどう捉える入江監督にとって久しぶりのオリジナル作品となる、映画『ビジランテ』は、彼の原点ともいえる映画『SR サイタマノラッパ』同様に地元・埼玉深谷市で撮影。底冷えする極寒の冬季にあえて夜間に絞った撮影を行い、俳優陣の極限の姿をカメラに抑えた。えぐられた醜い人間性、救いのない世界、逃れられない悪循環。それらの問題に加え、地方都市が抱える移民問題、画一化までも組み込んだ作品は、混迷を極める現代の事象ともシンクロする。トリプル主演となる大森南朋、鈴木浩介、桐谷健太の脇をかためる俳優陣も豪華だ。独特の個性と魅力にファッション界などでも注目を集める吉村界人、「第26回 日本映画プロフェッショナル大賞」にて新進女優賞を受賞した間宮夕貴、「第59回ブルーリボン賞」にて新人賞を獲得した岡村いずみ、そして元AKB48の篠田麻里子が参戦。閉鎖的で救いようのない地方都市の現実を浮き彫りにする。【作品詳細】映画『ビジランテ』公開日:2017年12月9日(土)テアトル新宿ほか全国ロードショー出演:大森南朋、鈴木浩介、桐谷健太、篠田麻里子、嶋田久作、間宮夕貴、吉村界人、岡村いずみ、菅田俊脚本・監督:入江悠R15+©2017「ビジランテ」製作委員会■ストーリー高校時代に失踪した長男・一郎(大森)。市議会議員の次男・二郎(鈴木)。デリヘル業雇われ店長の三男・三郎(桐谷)。別々の道、世界を生きてきた三兄弟。父親の死をきっかけに、失踪していた一郎が、30年振りに突然帰ってくる。そしてその後、再会した三兄弟の運命は再び交錯し、欲望、野心、プライドがぶつかり合い、事態は凄惨な方向へ向かっていく。
2017年03月13日ダニエル・キイスの同名小説が原作のミュージカル『アルジャーノンに花束を』が3月2日に開幕。それに先がけ公開ゲネプロと囲み取材が行われ、主演の矢田悠祐、水夏希が登壇した。ミュージカル『アルジャーノンに花束を』チケット情報原作は1959年に発表された名作小説。世界3か国で映画化され、日本でも2度テレビドラマ化されている。ミュージカル版は、2006年に浦井健治主演で日本初演され、2014年にも同じく浦井主演で再演。今作でキャストが一新され、矢田が自身初となる主演に抜擢された。脚本・作詞・演出は、矢田が出演したミュージカル『王家の紋章』(2016年)の荻田浩一が初演から手掛けている。物語は、32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリィ・ゴードン(矢田)に、ある話が舞い込むことから始まる。それは、大学の先生が「頭を良くしてくれる」というものだった。この申し出に飛びついた彼は、白ネズミのアルジャーノン(長澤風海)を競争相手に連日検査を受ける事に。やがて手術によりチャーリィは天才に変貌したが――。ゲネプロ前に行われた囲み取材で、初主演の心境を聞かれた矢田は「正直どうなるかわからなくて。終わったときにどういう気持ちになるんだろうなっていうのが今の心境です」と緊張の滲む発言。本作の魅力について「SFなんですけどリアリティがあって、どの瞬間もどの関係も誰もが体験したことがあるようなエピソードが詰まっています。身につまされたり、嬉しかったり、悲しかったり、励まされたり…その瞬間瞬間が一人ひとりのお客さまの心を揺さぶる」と水。自身の役柄について矢田は「シーンによって全然違う人になった気分。すごいスピードでどんどん階段を上っていくので、その成長の段階や心の動きに自分が追いつかないときがあって。そこに食らいついていくのが今も大変です」。前作との違いを問われ「演じる人間が違うし、荻田さんは演じる人の個性に合わせて演出をしてくださるので、自然と違う形になってるかなと思います」(矢田)と話した。幕が開き、幼児並みの知能のチャーリィとして登場した矢田は、ピュアな魅力を纏い美しい歌声で物語の世界に誘い込む。全てひらがなで話していたような言葉は、知能が高まるにつれ少しずつ漢字が混じって聞こえ、あっという間に容易に理解できない言葉になる。しかし、言葉の成長スピードに追い付けない情緒面の成長。そんな特殊な状況にあるチャーリィの戸惑いや苦しさを、矢田の芝居と歌が一つひとつ真っ直ぐに届けた。アルジャーノンが踊る美しい世界に登場人物の生々しい感情が浮かび上がる本作は、3月12日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、3月16日(木)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演。取材・文:中川實穗
2017年03月07日ハワイを舞台に繰り広げる「テラスハウス」新シリーズ、「テラスハウス ALOHA STATE」に出演していた現役高校生ギタリスト/ウクレレ奏者・EDEN KAI(鮎澤悠介)が、この度劇中で披露した話題の“卒業ソング”を緊急発売することが明らかになった。EDEN KAIこと鮎澤さんは、若干18歳の現役高校生ながら“ハワイのグラミー賞”と呼ばれる「ナホク・ハノハノ・アワード2016」にノミネートされる実績を持つハワイ在住のシンガー・ソングライター/ギタリスト/ウクレレ奏者。現在「Netflix」とフジテレビ系列にて放送中の番組「テラスハウス ALOHA STATE」では、素朴なルックス、ピュアな性格でマスコット的なキャラクターとは裏腹に、ひとたびギターやウクレレを持つと非常にテクニカルで独創性のある高度な演奏を披露、そのギャップからいま人気急上昇中のアーティストだ。今回リリースが決定したのは、日本デビュー・デジタル・シングル「モノガタリ(Monogatari)」。これは、「テラスハウス」で仲間たちと共同生活する中で得た経験から感じた感情を唄にしたもの。「Netflix」で放送された第10話放送分にて、彼が「テラスハウス」を卒業する考えを仲間たちに独白するシーンでパフォーマンスし、仲間たちと出会えた感謝や淡い恋心を歌詞に込めた卒業ソングとなっている。すでに放送を見た視聴者は、「ウクレレが癒されるしカッコ良すぎる!」「名曲!心に響いて涙が出る」など早くも話題に。なお、日本デビュー・アルバムは5月に発売が予定されているという。EDEN KAI/日本デビュー・デジタル・シングル 「モノガタリ(Monogatari)」はiTunes、レコチョクほかにて配信中。(cinemacafe.net)
2017年02月15日人気・実力ともに上昇が止まらない若手声優の上村祐翔、梅原裕一郎、河本啓佑、小林裕介、白井悠介、本城雄太郎、山本和臣の7人が集結した番組「声優男子ですが…?」。この度、本番組のイベント開催が決定!「声優男子学園スペシャル参観日ですが…?」と題し、シーズン2の好評企画「声優男子学園」を再現するという。CS放送ファミリー劇場のオリジナル番組「声優男子ですが…?」は、いまをときめく声優男子が集結し、乙女たちに“癒し・ときめき・笑顔”を贈る、声優ヒューマンバラエティ番組。2014年にTVで初放送され、好評の声を受け2015年6月からはレギュラー放送が開始、シーズン2まで放送された。シーズン2では、声優男子たちが自ら考えた企画に挑戦。声優男子たちが学生服に身を包み、国語・英語・理科・道徳・体育のオリジナル授業に取り組むほか、声優男子たちが憧れの先輩を迎えてじっくり語り合う「先輩と2人きりですが…?」のコーナーを展開した。この度、本番組のイベント「声優男子学園スペシャル参観日ですが…?」が、11月27日(日)によみうりランド日テレらんらんホール(東京都稲城市)で開催されることが決定。レギュラーメンバーの上村さん、梅原さん、河本さん、小林さん、白井さん、本城さん、山本さんらが登壇し、シーズン2の好評企画「声優男子学園」を再現。ファンの期待にお応えするステージを繰り広げるという。上村さんは、子役時代にはドラマにも主演。最近ではアニメ「B-PROJECT~鼓動*アンビシャス~」増長和南役や、「文豪ストレイドッグス」中島敦役で活躍中。「ヤングブラック・ジャック」間黒男役や、「美男高校地球防衛部LOVE!」由布院煙役で一躍人気を博した梅原さんは、「タイガーマスクW」藤井タクマ/タイガー・ザ・ダークでの出演が控える。河本さんは、「美男高校地球防衛部LOVE!LOVE!」別府月彦役ほか、完全オリジナルストーリーのフル3DCGアニメーションの新作で登場する映画『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』で、主演の009/島村ジョー役に抜擢された。「アルスラーン戦記」アルスラーン役で知られる小林さんは、この夏放送された「Re:ゼロから始める異世界生活」ナツキ・スバル役での好演が記憶に新しい。「美男高校地球防衛部LOVE!」で初のメインキャラクターを務めた白井さんは、「アイドリッシュセブン」二階堂大和役や「アイドルマスター SideM」若里春名役など、大人気コンテンツに立て続けて出演。今後の活躍に期待が高まる。本城さんは、『ベイマックス』ではハマダ・ヒロの吹き替えを担当。10月からはアニメ「ユーリ!!! on ICE」に出演予定。2013年、第7回声優アワード新人男優賞を受賞した山本さんは、大ヒット海外ドラマ「フルハウス」のその後を描いた「Netflix」オリジナルドラマの「フラーハウス」で、DJの長男の吹き替えを務める。本イベントのチケット販売の一般販売は11月16日(水)10時より開始。現在、スカパー!加入者先行抽選販売を9月30日(金)まで受付中。そのほか先行抽選も実施されるとのことなので、詳しくは公式サイトをチェックしてみて。「声優男子ですが…?」イベント「声優男子学園スペシャル参観日ですが…?」は11月27日(日)、よみうりランド 日テレらんらんホールにて開催。(text:cinemacafe.net)
2016年09月21日'13年からミュージカル『美少女戦士セーラームーン』でタキシード仮面を演じている大和悠河さん。「宝塚を退団してから男役も卒業したつもりでいました。でも、お話をいただいて、武内直子先生の漫画を見たとき、自分が宝塚で培ってきたものを使えて、女の私だからこそ作り上げられるものがあるんじゃないかと思ったんです」それまでは、若い男性俳優が演じてきた役。しかし、宝塚でトップスターとして男役を極めた大和さんの、こなれたタキシードの着こなしや美しいマント捌きは、まさにそのまま少女漫画の世界が舞台に現れたようだった。「宝塚では、メイクや衣装、髪型や立ち方ひとつにしても、自分のいいところと欠点の全部を把握して、どうしたら美しく見えるかを、誰もが自分で考えて、自分でプロデュースしていかなくちゃいけない。だから男役時代には、自分の体型に合ったカッコいいスーツのラインを必死に研究していました。タキシード仮面を演じるならば、武内先生の描く、あのカッコいいシルエットに近づけたいじゃないですか。そのためには、それこそ1ミリ2ミリの調整が重要で、そこにはこだわらせていただいています。幕が開いてから、お客様がどんどん作品にのめり込んできてくださるのがわかって、それがとても気持ちよかったですね」高い美意識を持ちながら、素顔は気さく。タキシード仮面も、カッコいいのに妙にチャーミングなのだ。「昔から、よく下級生から『悠河さんって、カッコかわいいです』って言われていたんです。自分ではわからないんですけど、それが味であるならば、大切にしていけたらなと思います」◇やまと・ゆうが1995年に宝塚歌劇団入団。早くから注目され、'07年に宙組トップスターに就任。'09年の退団後は舞台を中心に活躍。7月にはブロードウェイミュージカル『CHICAGO』に主演のロキシー役で出演、NYでの公演も決まっている。◇ミュージカル『美少女戦士セーラームーン‐Amour Eternal‐』高校生になった月野うさぎ。ある日、皆既日食が起き、デッド・ムーン・サーカス団を名乗る船が現れる。そんななか、地球を守護する聖地エリュシオンの祭司から、地球存亡の危機を知らされ、立ち上がる。10月15日(土)~23日(日)渋谷・AiiA 2.5 Theater Tokyo福岡、大阪公演あり原作/武内直子脚本・演出/平光琢也音楽/佐橋俊彦出演/野本ほたる、大和悠河ほかネルケプランニングTEL:03・3715・5624(祝日を除く月~金曜11:00~18:00)(C)武内直子・PNP/ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会2016※『anan』2016年7月20日号より。写真・小笠原真紀取材、文・望月リサ
2016年07月17日俳優・佐々木蔵之介、伊藤英明、女優・有村架純らが、神木隆之介と大友啓史監督がタッグを組んで人気漫画を実写化する映画『3月のライオン』(2017年春に前後編2部作で公開)に出演することが7日、発表された。原作は、『ハチミツとクローバー』で知られる羽海野チカ氏が漫画誌『ヤングアニマル』(白泉社)で連載している同名コミック。中学生という若さで棋士としてデビューし、東京の下町で一人暮らしをしている桐山零(神木)を主人公とし、将棋や下町の人々との交流を通じて、心のどこかで空虚を抱えている零がさまざまな思いに直面していく様を描く。2016年秋には、『魔法少女まどか☆マギカ』シリーズの新房昭之監督によって、TVアニメ化も決定している。佐々木、伊藤、有村に加え、発表された新たなキャストは加瀬亮、倉科カナ、清原果耶、新津ちせ、前田吟、豊川悦司の9人。佐々木は零を将棋研究会に誘う努力家のプロ棋士・島田開を、伊藤はかつて幸田八段の弟弟子ですごみを利かせるこわもてな九段の棋士・後藤正宗を、有村は零の義姉でプロ棋士の父の関心を奪っていった零に愛憎入り交じった感情を抱く幸田家の長女・香子を、それぞれ演じる。神木演じる零と同様、実写映画化発表後に原作ファンがネット上でキャスティングを熱望した棋士・島田を演じる佐々木は「ご期待に応えられるのか、島田八段のごとく胃がキリキリ痛んでおります」と早速、原作のキャラクターを意識したコメント。続けて伊藤は、「男と男の勝負の世界にどっぷり浸かっていくのにゾクゾクしました」と現場を楽しんでいる様子を見せる。一方、これまで演じてきた役柄とは異なり、気性の激しい香子に挑戦する有村は「何度も何度もテイクを重ねて作られていくシーンが不思議と心地よくて、まだまだ役を演じていたい思いでした」と新たな手応えを口にする。このほか、倉科は気立てがよく亡き母に変わって妹たちを支える下町住まいの川本3姉妹の長女・あかり役を、加瀬は史上4人目の中学生プロにして将棋史を覆す天才棋士・宗谷冬司役を、清原は明るく頑張り屋の中学生で内の強さからくる言動が零の心を激しく打つ川本3姉妹の次女・ひなた役を、豊川は零の実父の友人で零を内弟子として引き取った八段のプロ棋士・幸田柾近役を、それぞれ担当。また、新津は川本モモ役を、前田は川本相米二役を務める。佐々木同様に原作ファンから、あかり役として支持を集めていた倉科は「もし演じるなら、いつかは『あかりさん』を演じたいなっと思っていた」と、その胸中を告白。加瀬は「食堂で食券を渡す時に人さし指と中指で挟んで渡してしまうくらい疲れています」と天才棋士の役にのめり込んでいることを明かす。清原は、ひなたを「自分の中に強い芯を持っているけど、どこかはかない」と表現。「私なりに精いっぱい演じたい」と意気込みを語る。そして、『プラチナデータ』(13年)以来の大友組となる豊川は「大友作品に帰ってこれて、とてもうれしく思っています」と喜びを表している。旬の演者から、ベテランの役者まで集まったキャスト陣。これを前に大友監督は、「棋士たちが丸ごと背負った人生の、ゴツゴツと音を立て、神経がささくれ、骨がきしむようなぶつかり合い。そんな棋士たちの世界に近づくために、おのおのが背負った人生が香ってくるような、そしてその人生がまったく違う価値観であることが匂って来るような、多彩なキャスティング」と自信を見せ、「異種格闘技戦の如き、個性豊かなキャストによるぶつかり合いを日々楽しんで撮影しています」と報告した。(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会
2016年07月07日映画『太陽』の入江悠監督が、5月29日(日)に行われた上映後のトークイベントに登壇。観客の質問に答えつつ、舞台版との違いやキャスティング、撮影での意外なエピソードについて明かした。前川知大作で劇団「イキウメ」により上演されたほか、先日亡くなった蜷川幸雄演出版も制作された人気の舞台作品をリアリティあふれる実写ならではの描写で映画化。ウイルスの蔓延で人間社会が新人類「ノクス」と旧人類「キュリオ」の2つの社会に分断された近未来。寒村に暮らすキュリオの青年・鉄彦はノクスになる手術を受けることを夢見て生きていたが、ある時、ノクス社会との交流が始まり…。入江監督は本作について「明確な答えを提示して終わるのではなく(解釈を観客に)丸投げしている」と説明。日本映画では珍しく、無音のままエンドロールが映し出されるエンディングについても「余韻を感じてもらうため、あえて音をつけなかった」と明かした。「イキウメ」による舞台版を鑑賞したという観客からは、映画では舞台にあったコミカルなシーンが封印され、よりシリアスな方向に舵を切っている印象を受けたという指摘があったが、入江監督は「前川さんの作品の良さはシリアスな中に不思議な笑いがある部分で、僕も大好き」と断った上で「映画ではあえて、そこを削った」と告白。「舞台は抽象空間ですが、映画は具体性の中で俳優が動く。映画では、(キュリオの村の)生活の苦しみや(ノクス社会の)未来のディティールの描写を優先しなくてはならず、そこに笑いを入れると薄まってしまう」と説明した。キャスティングについて質問が飛んだが、主人公の鉄彦役の神木隆之介に関しては「最初に(候補に名前が)出て、ほかに考えられなかった」と説明。鉄彦の幼なじみの結役の門脇麦もすんなり決まったが、ノクスの青年で門番として派遣され、鉄彦と友情を築いていく森繁を誰が演じるかが最後まで難航したという。最終的に、数年前に入江監督のワークショップに参加した経験のあった古川雄輝に決まったが、入江監督は決め手として古川さんの持つ「品の良さ」を挙げる。進化した新人類役ということで、キュリオと対照的な雰囲気や見た目も重視したそうで「演技力だけでは無理な役。背も高くないといけなかった」と語った。また、主演の神木さんの様々な提案も実際に映画に生かされているそう。神木さんが、映画の最後で髪を束ねているが、これは神木さんのアイディアであり、それを見て「すごい!」と衝撃を受けたという。これは、かつてノクスを殺害して村から逃げた鉄彦の叔父の克哉(村上淳)と同じ髪型であり「公開初日の舞台挨拶の後、神木くんにどういう意図だったのかと聞いた。(ノクスを憎む)叔父との対比で、鉄彦は叔父を乗り越えて、旅に出る」と語り、神木さんの深みのある発想力を称えていた。『太陽』は角川シネマ新宿ほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年05月29日映画『太陽』が4月23日(土)に公開を迎え、神木隆之介、門脇麦、古舘寛治に入江悠監督らが舞台挨拶に臨んだ。「劇団イキウメ」が2011年に上演した人気の舞台を映画化。ウイルスが蔓延する近未来を舞台に、太陽の下では生きられないが、健康で知性的に進化を遂げた新人類と太陽を謳歌しつつも貧しい暮らしを続ける旧人類の対立、融和、葛藤を描き出していく。撮影は一昨年の冬に行われたが、神木さんは「やっと今日を迎えられたなという感じです」と晴れやかな表情。「初めて観たとき、まだ全部はこの映画のことを理解できないなと思いました。でもいまの歳や環境で僕の中で感じることがあり、5年後、10年後に観たときにまた全然違うことを感じるんだろうと思います。みなさんの心の中で育てていく映画なのかなと思います」と語った。門脇さんも神木さんと同じ思いのよう。自身が初めて完成した映画を鑑賞したときに感じた思いについて「誰にも感情移入させてもらえず、人間という生き物の観察記のように淡々と描かれていると思いました。それぞれに観ていただき、思ったことが答えなんだと思います」と頷く。古舘さんは門脇さんの父親を演じたが「僕は普段、ちょっと出てすぐにいなくなるピンポイント俳優なんですが…(笑)、今回は割とたくさん出てて、しかもいい男の役!」とご満悦。ちなみに、神木さんは現場でじっくりと古舘さんとの距離を詰めたようで、撮影終了後には自宅に招いて将棋で遊んだとか!神木さんが次回作『3月のライオン』で棋士役を演じることから、古舘さんに教えを請うたそうだが、古舘さんはこの件について尋ねられると「びっくりしました。2人だけの秘密のつもりでマスクしてこっそり行ったんですけどTwitterに書かれてて…」と困惑していることを強調!神木さんは「いやいや、一緒にから揚げとかポテト買いに行ったじゃないですか(笑)」とツッコミを入れ「(現場でも)ずっと一緒にお弁当食べてました」と仲の良さを明かす。古舘さんは「将棋の練習がしたくて、いいカモを見つけたって感じなんですよ」「まあ、芸能人の中では一番仲いいですかね」とそっけない口調で語り、会場は笑いに包まれた。『太陽』は東京・角川シネマ新宿ほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年04月23日人気の舞台を映画化した『太陽』の完成披露試写会が3月7日(月)に開催され、W主演の神木隆之介と門脇麦、古川雄輝、古館寛治、原作者の前川知大、入江悠監督が舞台挨拶に登壇した。前川さんの主催する劇団イキウメが上演し、その後、蜷川幸雄が「太陽 2068」として上演もしている人気の舞台を映画化。人類が“ノクス”と呼ばれる太陽の下では生きられないが、頭脳で進化を遂げた人類と、旧来のまま太陽の下で生きる“キュリオ”に分かれた近未来で、もがきながら己の未来を探そうとする若者たちを通して「生きる」ことを問う。この日は、約800人の観客が足を運んだが、中には早朝から会場前で並んでいたという熱烈なファンも!神木さん、古川さんらが壇上に現れると、悲鳴どころか雄たけびのような歓声がわき起こった。撮影について尋ねると、神木さんは「いいんですか…?」と念を押したうえで「ホンットに寒かったです!」と述懐。「特に古川さんとのシーンは水辺でホント寒くて…魂を削って頑張りました」と振り返った。その古川さんからは「そう言ってるけど、一番寒くなさそうだった」との証言も飛び出した。神木さん演じる鉄彦は、感情を爆発させるシーンが多く、そういう時は神木さんから“熱”が発せられていたようで「ベンチコートも脱いでた」と古川さんは明かしたが、神木さんは「(熱が)冷えると本当に寒いんだよ」と苦笑。そんなやり取りで2人が視線を交わらせるだけで、客席からは歓声が上がっていた。門脇さんは、寒さに加えて、短期での撮影による「睡眠不足が重なった」と振り返る。「そうなると人間、生命の危機を感じて食欲が増すみたいで、いつもの倍くらい食べて、コロコロになってビックリしました…」と思わぬ苦労を明かした。報道陣用の写真撮影の時間になっても、会場の興奮は冷めやらぬようで、目線を指示するスタッフやカメラマンの声も甲高い歓声にかき消されるほど!TVカメラに向かって神木さんらが手を振ると、客席の800人も一斉に手を振り、最後の最後まで歓声が途切れることはなかった。『太陽』は4月23日(土)より公開。(text:cinemacafe.net)
2016年03月07日若手女優の筆頭・吉高由里子が、自身2作目の舞台にして翻訳劇に初挑戦することが決定。英劇作家フィリップ・リドリー作を、白井晃演出で本邦初演する「レディエント・バーミン Radiant Vermin」に、高橋一生、キムラ緑子らと共演し刺激的な3人芝居を繰り広げる。オリー(高橋一生)とジル(吉高由里子)は20代後半の夫婦。彼らは自分たちの「家」の話を始める。1年半前、彼らはまだボロ家に住んでいたが、ある日突然、ミス・ディー(キムラ緑子)と名乗る家の仲介者から「夢の家を差し上げます」という手紙が舞い込む。浮浪者がうろつく荒れ野原にポツンと立つ一軒家。2人は、偶然にもその夢の家の残酷な秘密を知った。瞬く間にその秘密の虜になった2人は次々と家を不思議な“光”とともに豪華にし、荒れ野原をリッチなお洒落タウンへと変貌させる。人々はささやく。「あんなにいた浮浪者(=ゴミ)はどこへ行ったの?」と…。「レディエント・バーミン」、直訳すると“ 光るゴミ ”とは、いったい何を意味するのか――?本作は、イギリスの劇作家フィリップ・リドリーによる「レディエント・バーミン Radiant Vermin」を、日本でリドリー戯曲を手掛ける唯一の演出家・白井さんが演出を務め、心強い出演陣を得て日本初演させる舞台。これまでも、リドリーの作品を世田谷パブリックシアター/シアタートラムにて5作品に渡り上演してきた白井さんだが、いずれも斬新な劇場空間と、衝撃的な演出で高い評価と話題を呼んでいる。待望の最新作には、連続テレビ小説「花子とアン」や『僕等がいた』などテレビやドラマ、CMなどで活躍しながらも、本作でまだ舞台2作目、翻訳劇に初挑戦となる吉高さんがキャスティング。白井さんの演出を受けるのも初めてだというが、前作「マーキュリー・ファー」は観劇していたそうで、「自分の身体の中が異常に興奮したことをいまも覚えています。そのときは、まさか自分がフィリップ・リドリー作品に出るなんてことは思いもしていなかったので、生きていると何が起こるか分からないなぁと改めて感じています」と喜びを表した。また、前作「マーキュリー・ファー」で瀬戸康史と兄弟役を熱演し、白井さんからの信頼も厚い高橋さんが、吉高さんとの夫婦役で出演。月9ドラマ「信長協奏曲」「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」と立て続けに話題作に出演する実力派の高橋さんだが、「僕は白井さんとお仕事をさせていただくことをライフワークにしていきたいと思っていますので、また白井さんの所に戻って来られる嬉しさがいま、何よりもまず先行しています」と、白井さんへの信頼を明かし「今回もきっと面白いものができると僕は確信しています」と力強くコメントした。そして、ベテラン女優のキムラさんも“白井作品”に初出演。「白井晃さん、高橋一生さん、吉高由里子さん、私にとって初めての方ばかりです。そして同時代の劇作家が書いた翻訳劇への出演、またシアタートラムの舞台に立つことも久しぶりですので、とても新鮮な気持ちで挑ませていただくことができそうです」と感想を述べ、「一筋縄ではいかない戯曲の中で、高橋さん吉高さん演じる夫婦と相対する一筋縄ではいかない役を演じますので、白井さんや皆さんと沢山対話をし、稽古を積み重ねながら、濃密な芝居を皆さんにお届けできたら」と思いを語った。客席数約200席という、俳優の息遣いまでもダイレクトに伝わる劇場・シアタートラムで、刺激的な3人が繰り広げる、不思議でブラックなコメディーに、いまから期待が膨らむ。「レディエント・バーミン Radiant Vermin」は、7月12日(火)よりシアタートラムにて上演。(text:cinemacafe.net)
2016年02月24日『SR サイタマノラッパー』シリーズ、『ジョーカー・ゲーム』の入江悠監督が神木隆之介、門脇麦ら演技派俳優を迎え、劇団イキウメの衝撃の舞台を映画化した『太陽』。進化した新人類と貧しくも自由に暮らす旧人類に二分された世界を描く本作の予告映像が、ついに解禁された。21世紀初頭にウィルスによって人口が激減してしまった世界。生き残った人類は、若く健康な肉体と高い知能を有する進化した新人類“ノクス(夜に生きる存在)”と太陽の下で自由を謳歌しつつも、暮らしは貧しいままの旧人類“キュリオ(骨董的存在)”の2つに分かれ、暮らしている。昼と夜の世界に分断され、家族、親友、恋人…愛する者と引き裂かれてしまった人々。対立や融和を繰り返し生きる2つの人類が選ぶ未来とは――。劇団イキウメの主宰であり、脚本家・演出家としても活躍する前川知大の傑作として名高い舞台をベースとした本作は、SFであり、青春ドラマであり、ラブストーリーであり、究極の家族愛をも描く、かつてない物語。今回解禁された予告映像では、憧れ、嫉妬、優越感、好奇心、憐み…。対極の環境に身を置きながら、互いの種族に対する複雑な感情を抱え生きる“ノクス”と“キュリオ”の姿を見て取ることができる。中には、“ノクス”が“キュリオ”に消毒薬を浴びせているショッキングな光景も。また、“キュリオ”である神木さんが口にする「来年ノクスになる」という言葉や、“キュリオ”に対し「“昼の人間”に興味があるの」と女性が話すシーンも含まれており、その謎めいた世界により興味を抱く映像となっている。本作の撮影にあたり入江監督は、「木造の古い家屋、囲炉裏、行燈など、見た目には廃墟のようにも見え、ノクス地区の撮影で山を下りると、“文明がある!”とまるで、キュリオがノクスの生活を初めて見たときのような驚きを体験できた」ことが印象的だったとコメント。原作の前川さんも、「キュリオの生活が貧困であることに対し、ノクスの生活は比べものにならないくらい裕福に見えるが、実際はどちらが幸せなのか、生きていると言えるのか。それがこの映画が内包するテーマです」と語っている。また、予告映像と併せ、入江監督と神木さん、門脇さんとのオフショット写真もお披露目。シリアスな本編とは対照的な、和やかな空気のショットには思わずこちらも笑顔がこぼれてしまいそうに。旧人類と新人類、それぞれが理想と現実にもがく姿を通し、生きることの本質を問いかけてくる本作。若手からベテランまで演技派俳優たちの放つ鮮烈なエネルギーを、まずはこちらの予告映像から味わってみて。『太陽』は4月23日(土)より角川シネマ新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年01月27日『SR サイタマノラッパー』シリーズ、『ジョーカー・ゲーム』の入江悠監督が、若手実力派俳優の神木隆之介と門脇麦を主演に描く、近未来SF作品『太陽』。このほど、人気舞台の実写映画化としても注目を集める本作のティザーポスターと新場面写真が解禁となった。21世紀初頭。ウイルスによって世界の人口は激減し、生き残った人類は2つに分かれた。夜にしか生きられない進化した“新人類ノクス”と、太陽の下で貧しく暮らす“旧人類キュリオ”。昼と夜の世界に分断され、家族、親友、恋人…、愛する人たちと引き裂かれてしまった人たちは、未来のためにそれぞれどんな決断を下すのか――。本作は2011年に上演され、読売演劇大賞ほか様々な演劇賞を受賞している劇作家・演出家の前川知大率いる劇団イキウメの同名舞台をベースにした作品で、今回の映画版の脚本にも、入江監督とともに前川さん自身が名を連ねている。また、すでに神木さん、門脇さんに続いて、古川雄輝、水田航生、村上淳、中村優子、高橋和也、森口瑤子、綾田俊樹、鶴見辰吾、古舘寛治らバラエティ豊かな出演者の顔ぶれが発表されており、大きな注目を集めている。今回解禁されたティザーポスターは、荒涼とした自然を背景に、大きなタイトルロゴが際立つインパクトあるデザインとなっており、厳しい環境の中で人類が生き抜く作品の世界観を感じさせる。ほとんどのシーンが冬の山奥での撮影となったという本作。入江監督はロケ地の選定にもこだわりを重ね、「ダムがあって、村を封鎖出来るところ。シンボリックに分かれているのが分かる場所にこだわった」とのこと。撮影時の印象について「冬の撮影でしたし、夜のシーンも多く日の出を毎日ねらっていたので、朝方までの撮影になり、極寒のロケでした。撮影が終わって山から下りてきたときに、ホッとしたことを覚えております」とその過酷さをふり返った。また、主演の神木さんは「いろいろな見方が出来る作品です。観ていただいて思う事、見方はそれぞれありますし、自由にメッセージを受け取っていただけたらなと思います」と公開を心待ちにするファンに向けコメント。門脇さんも、「決して明るい話ではないですが、観て下さったそれぞれの方に何か残る作品になっていると思います」と語った。近未来を描くSFであり、青春ドラマやラブストーリー、究極の家族愛の物語と、あらゆる要素が組み合わさった、誰も出会ったことのないハイブリッド映画となるという本作。シビアな環境の中で葛藤を抱えながら生き抜く人々の姿は、きっと誰しもの心に響くはずだ。『太陽』は4月23日(土)より角川シネマ新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年01月14日声優の悠木碧が、モンブランやコーヒーゼリーなどの"お菓子擬人化"に挑戦したフォトブック『悠木碧フォトブック Sugary Fairy~季節のスイーツを添えて~』(主婦の友社)が、24日に発売される。『魔法少女まどか☆マギカ』の主人公・鹿目まどかや、『妖怪ウォッチ』の未空イナホ、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』の比企谷小町など、数々の人気アニメで声優を務めてきた悠木は、2011年度の第6回声優アワードでは歴代最年少の19歳で主演女優賞を受賞。アニメ公開を控える『ワンパンマン』で主要キャラクター・戦慄のタツマキ役も決定するなど、声優としてさらなる活躍が期待されている。今回発売されるフォトブックは、雑誌『声優グランプリ』(主婦の友社)で2013年5月号から開始された連載「悠木碧のSugary Fairy」を書籍化したもの。「甘~いお菓子を擬人化したら…」というテーマのもと、さまざまなテイストの衣装に身を包み、わたあめ、ローズジャム、コーヒーゼリーなどの"お菓子の妖精"になりきった悠木を、29パターンも見ることができるという。『悠木碧フォトブック Sugary Fairy~季節のスイーツを添えて~』は、6月24日発売。B5判96ページの仕様で、定価は3,000円(税別)となる。
2015年06月23日ワコムは2月10日、「CGアーティスト森田悠揮ZBrushテクニックセミナー」をデジタルハリウッド駿河台ホールにて開催した。セミナーにはCGアーティスト森田悠揮氏とPixologic社COOのハイミ氏、マーケティング担当のトマ氏が登壇。オークの山田有祐氏が司会を務めた。森田氏の実演に会場が沸いたセミナーの様子をレポートする。○デジタルライブスカルプティングを披露同セミナーは、3Dモデリング制作を行っている人から3Dモデリング制作に興味がある人までの幅広い層を対象に行われた。「ZBrush」はゲームや映像作品の3Dモデリング制作に使われているデジタルスカルプティングソフトウェア。今回のセミナーに登壇した森田氏は、「CG Student Awards 2013」にて、世界第3位を受賞。セミナーでは、ZBrushとペンタブレットを使ったデジタルライブスカルプティングを披露した。また、実演と平行してZBrushの開発元であるPixologic社のハイミ氏とトマ氏がソフトウェアを解説し、質疑応答も実施。会場には液晶ペンタブレット「Cintiq」シリーズのフラッグシップモデル「Cintiq 27HD」を中心とした液晶ペンタブレットを展示し、その場で体験できるようになっており、セミナー終演後には、実際に試してみる参加者の姿も見られた。○「爬虫類っぽい」クリーチャーを作成セミナー冒頭で進行の山田氏が尋ねたところ、来場者の中でZBrushを使っているのは4~5割程度。森田氏はセミナーが行われる1時間半~2時間の間にクリーチャーの頭部を作ると話し、実演が開始された。森田氏が作るのは「爬虫類っぽい」クリーチャーということで、トカゲを意識しながら作ると説明。普段はクリーチャーであれば何の動物をベースに作るかを考え、大量の資料を見て、動物の構図を頭にたたき込んでからさっと作るようにしているとのこと。最初の段階では印象だけを重視しているので、ディテールにはあまり凝らずに進めるのだという。目の周りが決まるとそれ以外の部分も決まるということで、目の周りから重点的に作っていた。会場からの「自分で絵を描くのか」という質問に対しては、デッサンを本格的に習ったことはないが、デッサンは観察力をつけるためにあるため、観察力さえあればできなくても大丈夫だとの回答をしていた。○ZBrush 4R7をPixologic社が紹介森田氏による作業の中盤には、Pixologic社によるZBrushの説明が行われた。ZBrushの特徴は、紙とペンがあれば何かが描けるのと同じように、ZBrushがあれば経験がなくても制作を始められるということだ。「粘土をこねるように作業を進められる」と例えていた。産業分野ではゲーム、映画、マーケットデザインのイラストレーション、製品製作前のコンセプト段階でのアート、テレビコマーシャルなどさまざまな場面で使われており、利用者に合わせて幅広く活用できるという。ハイミ氏とトマ氏は、今回の来日で2月8日に行われたワンダーフェスティバルに参加し、「日本では漫画文化が強い」と実感したとのこと。このほどリリースされた「ZBrush 4R7」についても、いち早く詳細を紹介。ZBrushの特徴のひとつに「ZBrushだけですべての作業が完結できること」があるが、4R7ではそれがさらに強化されたという。○最終的な質感をイメージして作業を進行Pixologic社が「ZBrush 4R7」の説明をしている間に、森田氏の実演も進行。大まかな形が完成。続くディテールでは、質感を考えて作業を進めるという。今回のクリーチャーについては、ぬるっとした首の皮にし、ヒダや顔のシワをつけていた。最終的な質感をイメージしていると作業が早く進むのだという。その様子を見ていたハイミ氏は、球からアウトラインを作っていったことに注目し、「作業をやっていく中で調整を重ねてドラゴン(クリーチャー)ができあがっていった」と話した。トマ氏は作業の早さがZBrushならではであると強調。山田氏は、「デジタルでは、良くも悪くもとことんディテールを突き詰められる」とデジタルならではの特徴を読み取って説明していた。○液晶ペンタブレットは「アナログで制作しているみたい」セミナーの後半では、山田氏が事前アンケートの結果を紹介。会場にいるZBrushユーザーではペンタブレットを使っている人が多いという内容だった。それについて、最近液晶ペンタブレットを買ったという森田氏は、「アナログで制作しているみたいで慣れるとすごく使いやすい。5時間で慣れてしまった」と話した。購入したのは「Cintiq 13HD」だという。メインのディスプレイとミラーリングして使っているという山田氏は、「Cintiq 13HDなら原型を作る感覚のまま、フィギュアを作る感じに近いので良い選択だった」と振り返っていた。そしていよいよ森田氏のクリーチャーが完成。ハイミ氏は「2時間以内で作った作品ではハイクオリティ」と評価していた。森田氏はもともとはモデラー志望ではなく、いろいろなものを作っていたのだという。しかし、クリーチャーを作るのが楽しく、生き物が好きだったことから、現在ではクリーチャーの仕事が9割を占めるようになったそうだ。また森田氏は、日頃から使えそうな質感や造形を頭にストックしておくことの大切さを強調。現存の動物から使える要素を探して、イマジネーションに取り入れておく。実際の作業においては、シルエットが決まれば完成形も見えるため、ディテールにとらわれずに形を突き詰めて、最終的に良い物をつくることを心がけるように意識していると話し、セミナーは幕を閉じた。
2015年02月17日そこにいるだけで「普通じゃない」雰囲気を醸し出す俳優――それが伊勢谷友介である。カリスマ性、オーラ、磁力…どんな言葉で表現すべきか?2時間弱の映画の中で、役柄の重要度に比して、彼の登場シーンは決して多いとは言えない。だが凄まじいまでの影響力でもって、謎に包まれた男を演じ切り、強い衝撃を観客の心に残す。メガホンを握った入江悠監督が求めたのはまさにその存在感だった。柳広司の人気小説を原作とした大スケールのスパイアクションムービー『ジョーカー・ゲーム』。世界情勢が不穏な雲行きを見せる第二次世界大戦前夜、死刑執行の直前に救われ、軍内の諜報組織“D機関”の一員となった元軍人の青年が、世界を揺るがす新型爆弾の設計図を巡り暗躍する姿を描く。伊勢谷さんが演じたのは、“D機関”の創設者であり、亀梨和也演じる主人公を引き取り、スパイへと仕立てあげていく謎多き男・結城。例えば、放送中の大河ドラマ「花燃ゆ」で伊勢谷さんが演じている吉田松陰が、幕末の志士を育て新たな時代の礎を作った“表舞台”の人間であるとするなら、結城の存在はフィクションとはいえ、歴史の裏で名を残すことなく未来のために奔走した男。伊勢谷さんは、そこにある種の“美学”を感じ取った。「最初、原作のことを知らずにお話をいただいて『鉄の男が来た!』と思いました。結城はものすごく目的意識の高い男。全てのことを呑みこんでいないと、この立場でこの立ち居振る舞いは出来ないだろうと思います。彼がやっているのは、(暴走する)軍部の尻拭い、ごみ掃除のようなことですが、軍のためではなく日本のための仕事としてやっている。それはすごく大切な精神だと思うんです。表に出るわけでもなく、欲もなく、目的の根本にあるのは自分ではなくて他の人々なんです。いろんなことを経験して、人間の良い部分も最低の部分も理解した上で、やらなくてはいけないこと、未来を見据えています。だから冷静ですごくドライなんですけど、一方で『次は死ぬかもな』なんてことをサラッと冗談とも本気ともつかない口調で言ったり、どこかでこの状況を楽しんでなくもない(笑)。魅力的な男だと思いました」。入江監督は伊勢谷さんの言葉にうなずき「日本にとって、最終的には負け戦になるわけで、結城はあれだけ頭が良いのだから、それが分かってないはずがない。それを知った上で、何とか国を救おう、状況を好転させようと奔走する。そんな人たちはこれまでの歴史の中でもたくさんいたと思う。表舞台に立たない“陰”の人たちに焦点を当てたかった」と語る。結城という役に関して、入江監督は伊勢谷さんに全幅の信頼を寄せ「現場で役について話したことはほとんどなかった」という。「伊勢谷さんがこれまでやられてきた活動や、積み重ねてきた様々な役をお借りした感じですね。結城はずっと日本にいるけど、グローバルな視点を持っている人物。僕は、役には自然とその俳優さんのそれまでの人生や生き方が、無意識であれ滲み出てくるものだと思ってます。やはり、結城という役を演じるにあたっては、当時の日本が置かれている状況や戦争の在り様といった部分について問題意識を持ってない人では難しい。同時に伊勢谷さんは監督業やそれ以外にもいろんな活動をされていて、正直、同世代の俳優でここまでグローバルな視点を持っている人はいないと思った。最初にプロデューサーから名前が上がった時『大丈夫』と確信したし、現場では本当に雑談ばかりで(笑)、役のことは全くと言っていいほど話してないんです」。伊勢谷さんが撮影に参加したのは、クランクインして最初の1週間ほど。つむじ風に舞う枯葉の中から現れる登場シーン、恐いほどによく似合っている特注の軍服、過去やその経歴について一切語られることのない結城の人となり――その全てを楽しんだよう。たびたび発せられる「もっとやりたかった」という言葉からはハマリ役を手に入れた手応えをうかがわせる。「正直、もうちょっとやりたかったです(苦笑)。ようやく、この歳になってこれまでとはまた違う役どころというか、いまの亀梨くんの年齢とは異なる立場の役が舞いこみ始めてきたのを感じていて、すごく楽しいです。と同時に、映画を通じて徐々に役柄の成長を見せるのではなく、もう最初からどっしりとそのキャラクターがそこにいないといけない。それは初めての経験でした。“消化不良”と言うとネガティブな意味に捉えられちゃうし、そうした思いはいつもどんな役に対してもあるんですが、今回は特に撮影に参加した時間が短かったのでもっとやりたかったという思いが強いです」。一方で入江監督は、わずか1週間とはいえ伊勢谷さんの存在感に、作品の中のみならず現場の空気という意味でも大いに助けられたとふり返る。「やはり僕にとってもこういうジャンルもこれだけの規模での撮影も初めてで、亀梨くんにとっても初めての経験が多い中で、最初の撮影が伊勢谷さんで始まって、安心させてもらいましたね。そこで『大丈夫だ』という手応えを持って、亀梨くんと一緒にその後の海外でのロケに臨めたというのはあると思います。伊勢谷さんとしては短かったでしょうが(笑)、僕らとしてはすごくいい始まりでした」。先ほど、年齢を重ねることによる立場や役柄の変化の話も出たが、いまの伊勢谷さんの目に、主演の亀梨さんはどのように映ったのだろうか?「僕が実際に見たのは最初の1週間だけで、完成した映画で観て大部分がさらに大変な海外での撮影のところなので、なおさら彼の苦労が実感できましたね。自分の役柄や立ち居振る舞いを現場で作り上げていくのは、すごく好きで得意なんだろうなというのは感じました。これまでお仕事させていただいたジャニーズの方もみなさんそうでしたが、自分がやらなくてはいけないこと、作り込まないといけない部分に対して、きっちりと準備して、必ずきちんとやってくる。そこに関しては安心感もあったし、僕自身、ちゃんとやらなきゃという気持ちにさせてもらいました」。決して伊勢谷さんはいわゆる“カメレオン俳優”と呼ばれるタイプではない。どの作品を見ても、例えば体重をギリギリまで落とした『あしたのジョー』の力石徹役でも、高杉晋作を演じた「龍馬伝」でも、ひと目見て“伊勢谷友介”であると認識できる。それでいて、歴史上の人物から人気漫画のキャラクターまで、全く異なる個性を見事に演じ分ける。本人はこうした“違い”をどのように感じているのか?「いまふり返ると、それなりに冷静に見えてきますが、ここに至るまでには実は何も考えていなかったんです。僕自身は“まな板の鯉”という意識で、料理人である衣裳さん、メイクさん、そして監督が作ってくれるものをそのまま受け取っている感じです。ただ、年齢を重ねる中で、そうしたたくさんのものが自分の中で蓄積されて、ある程度ジャンル分けされているというのはあるかもしれませんね」。「ここからは、ちょっと自己流の役作りの話ですが…」と断って伊勢谷さんは続ける。「現代劇の何も背負ってない普通の人間なら、いまこうして喋っている感じでいいんですけど、役によってはそこを超えたステージに行かなくちゃならなくなる。例えば、白洲次郎(NHKドラマ『白洲次郎』)はまだ自然でしたが、高杉晋作や力石徹になってくると、どこかでキャラクターを“作っている”部分が強くなってきます。そこで『それが自然に見えるのか?』という問題が出てくるんですけど、『自然ではないけれど、納得できればいい』という意識ですね。物語の中で必要なこと、やらなくてはいけないことがある程度明確になったら一度、演じてみる。やっていく中で自分の身に着いてきて、その人物に必要な空気感が少しずつ出せるようになってくるんです。特に必要以上に何も考えてなくて、流れに身をまかせた結果としてそのキャラクターに辿り着いているって感じです。演じている最中は(役の人物として)ムチャクチャ能動的に感じられるように意識してますが、全体を見るとすごく受動的に仕事してるんですよね(笑)。あとは、俳優って自分が観た他の映画から影響を受けているところもあると思いますよ。それから、僕は代表業(※株式会社リバースプロジェクト)をやっているので、その経験から出てくるものも大きい。やはり監督も仰ったとおり、その人のフィルターで何を善しとしてきたか?それは意識していなくても結果的に芝居に出ていると思ってます」。原作小説ではシリーズが進むにしたがって、徐々に結城の秘められた過去や、その人間性についても描かれる。スパイアクションを堪能しつつ、結城に関しては伊勢谷さんと同じく“消化不良”と感じる欲張りな観客も多いはず。30代後半から不惑の40代へと差し掛かるこの時期の伊勢谷さんにとっての“代表作”となるよう、さらなる続編を期待したい。(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:ジョーカー・ゲーム 2015年1月31日より全国東宝系にて公開(C) 2015「ジョーカー・ゲーム」製作委員会
2015年01月30日そこは暴力や憎悪がはびこる凄惨な世界だが高橋一生は「美しい舞台になるはず。そこだけは確信を持っています」と語る。演出・白井晃の生み出す舞台『マーキュリー・ファー』の世界に飛び込むことに恐怖も不安もない。「いろんな感情が希薄になりがちな社会において、僕も含め現代を生きる人間が必要としている感覚に出会う瞬間があると思います」とうなずく。舞台『マーキュリー・ファー』チケット情報英国の作家フィリップ・リドリーによる戯曲の本邦初演。人間の本能をさらけ出し“第二のデヴィッド・リンチ”とも評される彼の面目躍如とも言える作品で、ある“パーティ”の準備をする兄弟とそこに集まる人々の物語が展開する。暴力的でグロテスクな描写の中から高橋が感じたのは本質的かつ普遍的な“愛”。「この兄弟愛ってすごく野性的で普遍的。動物がじゃれ合うように、傷つけることでしか表現できない愛ってあると思うんです。先行して凄惨な描写があるけど、その内側に『透明な暴力』というか、心臓が見えている状態で殴られるような感覚を秘めているホンですね」。リドリーはイラク戦争に対する怒りを込めて本作を書いたと演出・白井晃が語るように、随所に様々なメタファーが見られるが、高橋は「兄弟が巻き込まれていく現実が、決して自分たちと遠いものとは思わない」とも。「内なるところで僕らは既に“戦争”を抱えていて、それはもしかしたらイラクの戦争よりも残酷かもしれない。僕のこれまでの三十数年の体感として持っている戦争のイメージをイラクに飛躍させることはできないけど、そうせずとも戦々恐々とした感覚はいまの僕の中にあるはず。その感覚をまずは舞台上で試してみたいと思います」。演出の白井とは2012年の『4 four』(作・川村毅)以来2度目の仕事となるが、「美」への確信は白井の存在があるゆえ。絶対的な信頼を持った上で、前回、完全な“合致”を見せた互いの感性を「溶け合わせたい」とも。「白井さんが言う“白”にあえて違う“白”をぶつけて溶けあわせたらどうなるか?白井さんとならそうやって別次元に進める気がします。今年は大河ドラマをはじめ、映像での露出も多かったが、TVの中とは全く違う姿を舞台上で見せてくれそうだ。「作品を観たあとの感想は『分からなかった』でもいいと思う。いまの時代、分からないまま放置することが難しくなっているけれど、時間をかけて咀嚼してもらって、いつかふとした瞬間に『あぁ、そういうことか!』と感じてもらえたらいいなと思います」。舞台は2月1日(日)より東京・シアタートラムにて。その後、兵庫・福岡でも公演。チケットの一般発売は12月14日(日)午前10時より。撮影・取材・原稿:黒豆直樹スタイリスト:秋山貴紀ヘアメイク:Tetsuya Mori
2014年12月11日『ヌイグルマーZ』(’14)『電人ザボーガー』(’11)の井口昇監督が、超人気作家・山田悠介の同名ベストセラー小説を映画化した『ライヴ』のBD&DVD発売決定を受け、井口監督が登場する“癒し”動画と主演・山田裕貴のコメントが到着!豪華な特典の内容も判明した。劇中の衣装を身にまとい、超絶楽しげに監督作を動画内でアピールする井口監督が紹介するように、同作は実在の原作小説そのものが映画の攻略本として登場するという、奇想天外なストーリーが受けた一作。数多あるデスゲーム映画とは一線を画す奇想天外なアイデアが受け、早くもハリウッドリメイク折衝中という奇想天外なエンターテインメントだ。この逸品で主演した「海賊戦隊ゴーカイジャー」の山田裕貴(田村直人役)は、「親との確執で歪んで育ってしまった…この映画はそんな直人がデスレースの中、死と向き合い、大切な人と向き合い、成長していく物語です!」と同作を猛プッシュ。彼が言うように、「ラストの爽やかさは必見です!ぜひ何度も観て下さい」という大感動のラストまで必見だ。映像特典として、監督とキャストによる本編コメンタリーを収録するほか、メイキング(※20分想定)、完成披露試写会、初日舞台挨拶映像などを収録予定。また、封入特典には井口監督も推す“幻のパンフレット”を封入予定のほか、中森明夫氏の寄稿文、監督インタビュー、福田裕彦氏(音楽)の寄稿文なども封入する予定だ。上記特典は、BD&DVDで共通。<『ライヴ』Blu-ray&DVD/リリース情報>【セル】Blu-ray(1枚組)¥4,700(本体)+税【セル】DVD(1枚組)¥3,800(本体)+税発売日:9月2日(火)発売元:株式会社KADOKAWA 角川書店販売元:ポニーキャニオン※レンタル版同時リリース(C) 2014「ライヴ」製作委員会(text:cinemacafe.net)■関連作品:ライヴ 2014年5月10日よりヒューマントラストシネマほか全国にて公開(C) 2014「ライヴ」製作委員会
2014年06月17日14SSコレクションのショーのオープニングを飾ったシャツとパンツは、滲みのある大きな格子柄が強い印象を与えた。その柄は、板締めと捺染(プリント)を合わせたものだった。「若い人が、染めって古いという印象を持っている気がしているんですよ」。だが、高橋はその古さがとても格好いいと感じている。「27歳って若いじゃないですか。表裏一体で、フレッシュな分、浅いんですよ」。よく自覚していると思うが、はたして、そのことが現実的なものづくりとどうかかわっているのか。「伝統と若さをぶつけると、うまくバランスがとれるのではないかと思い、どっしりした染めを選び、一方でポップな柄を選んだ」と、明かしてくれた。イッセイミヤケというブランドの重さに、若い高橋が向かっていく姿勢、それが、デザイン上の方法“極端と極端をぶつける”に、つながっていたのだった。さらに、染めへの“愛着”は続く。「染めの印象が古いから、若くしたいんだったら、染めを省けばいい」と、短絡的に考える風潮があるという。「実際はそうではなくて、古いものをちょっと変えれば、今の時代のものになるんです」先のオープニングを飾った染めについて、深く解説してもらった。一般の人にとって、技術の見えない部分はわかりにくいものだ。染める時は反物になっており、板締めは、布を何回も折って板に挟んで染める。折る回数の検討。そして、布の選択、つまり、布に撚りがかかってシボができているのか、平滑なのかでも、染めた際の滲みが変わってくる。染めたあとは、洗って、乾燥する。次に手捺染(ハンドプリント)の工場で、黒の格子の白地部分を染める。分業になっているので、今度は、蒸し屋に持って行き色を定着させる。というように、工程は、簡単に説明してもらっただけでも、これだけある。染めには染めの良さがあるし、その技術を継承していくことも、次世代の大切な役目だ。高橋は考える。若い人にもっと日本の伝統技術を知ってもらいたいと。「若い人って、色と形だけで見てしまって、それこそ、染めとプリントの違いがわからないじゃないですか。でも、それでいいんです。それがきっかけでうちの店に入って、店員さんが話して、凄いなと感じてもらえば、間口を広げていかなければ」。使命を感じているようだ。こうして、話を聞いていくと、高橋の好奇心がファッションだけでなく、建築、デザイン、芸術と幅広いことがわかる。加えての海外生活。その経験がさらに見識を深めた。学生時代から既に、三宅一生氏が築いた社内文化と共通するベースを持ち合わせていたと思うが、「会社に入って、ファッション以外のことに興味を示すかが、いかに大事かということがわかった」と、しみじみと語る。目前の仕事だけに埋没している暇はない。あらゆる方面に向かって、常にアンテナを張っていなければならない。■スタートに立ったばかり学生時代を知っている青年が、世界の表舞台に躍り出た。正直言って嬉しい。デビューショーは、ドキドキして見てしまったし、最後に挨拶に出てきた時は、眩しく感じた。もちろん、日本人として応援態勢だが、それゆえに厳しい意見も言わせてもらいたくなる。なぜなら、日本のデザイン界を担う人材の1人として期待しているからだ。あるメディアに「イッセイミヤケメンを率いる高橋悠介」と書かれていたが、まだ、船出したばかり。デザイナー=ブランドを率いる、という短絡的な図式はあてはまらない。まだ、率いらせてもらっている状況と、辛口トークを展開させてもらった。デザインは、1人でできるものではない。技術スタッフやショップスタッフ、店頭ディスプレイなどに加え、工場の人々にも支えられている。と同時に、またそういう人達に対して、デザイナーは、大きな責任を負っている。とはいえ、名前を張ってチーム全体持っていこうという意志は、相当なもの。三宅一生氏の鋭い眼にかなうコレクションをつくっていく厳しさにも、日々直面していることだろう。本人も言っていたが、「スタートに立ったばかり」、これからだ。1/4に戻る。
2013年09月04日「子供の頃から、建築家になりたいと思っていた」高橋は、中学校の3年生頃に、ファッションに出合う。反抗期と共に、自分のお小遣いで自ら服を買い始めるが、ちょうどその時期は裏原ブーム、“おしゃれな友達”と人気のあったショップを回っていた。さらに、メンズファッション雑誌の裏原マップを見て、奥の奥まで行こうと友達を誘う。ところが、周りはそこまでする気がなかった。「他の人よりファッションが好き、という気持ちが強いことがわかりました」と、高橋。ぼろぼろのデニムにも自分でヤスリをかけたり、染料を買って染めたりして、手を加えていた。その“好き”は、衣服だけではなく、ジョン・ロブなどの革靴ブームにも影響され、靴職人にも興味を抱くことに。“手でものを作ることが好きな”少年が、将来ファッションデザイナーになることを、無意識に思い描いていたとしても不思議はない。しかし、“ファッションにはまった”少年が、それを仕事とするまでには、まだいくつかの出会いと経験、そして時間が必要だった。高校2年の時、進路を考えるようになった高橋は、建築家という選択肢もありつつ、受験を避けて、中学・高校からそのまま推薦で大学へ。そこで、1年生の時は、油絵や彫刻などの美術から、プロダクト、インテリア、テキスタイルなどのデザインに至るまで、幅広いフィールドから10種類のクラスをとることができた。高橋の旺盛な好奇心を満たすだけではなく、視野を広げることに大いに役だったことは想像に難くない。2年生になると、専攻を決めなくてはならなくなり、テキスタイルデザインを選ぶことに。そのきっかけの一つが、「ミシン屋さんに行って、シャツの縫い方を教えてもらった時に、『これからはテキスタイルの時代』と言われたわけですよ」という。その人が、どういう根拠からアドバイスをしたかは知るよしもないが、的を射ていたことは確かだ。だが、ファッションだけでなく、「同時にインテリアも捨てきれない。両方できるのではという思いもあった」という。若いということは、さまざまな可能性に満ち溢れていることでもある。ファッションデザインに絞られていくには、まだ時間が掛かる。「芸術論の授業をとって、現代アートにも出合い、特にミニマルアートやコンセプチュアルアートにはまりました」。その頃はパリコレにも興味を持ち、好きになったフセイン・チャラヤンの作品について、「蘊蓄(うんちく)を並べていた」という。そういう高橋に、先生からうってつけの大学があると勧められ、2年生の時、大学の国際教育プログラムでテキスタイルコースがあるロンドンのカレッジに留学することになる。3/4に続く。
2013年09月03日『リアル鬼ごっこ』の原作者・山田悠介の小説「スイッチを押すとき」が小出恵介と水沢エレナ主演で映画化されることが決定した。ベストセラーとなった「リアル鬼ごっこ」(幻冬舎文庫刊)に代表される、現実離れした奇想天外な世界観と、そこで奮闘する等身大の若者たちが魅力となり、若い層を中心に多大な支持を集める山田悠介。そんな彼のもうひとつの代表作であり、刊行5日で増刷され、その後、ドラマ化、舞台化もされた「スイッチを押すとき」が映画化!多発する自殺の原因を究明するための国家プロジェクトの“実験材料”として、自殺装置のスイッチを持たされた10歳の子供たち。彼らは監禁され、自殺に至る過程を観察されるのだが、耐え切れずに多くの子供たちがスイッチを押していく。そんな中で、6人の子供たちが7年もの間、生き続けていた。だが、彼らが胸に抱く“ささやかな希望”は、謎めいた監視員・南が赴任してきたことで徐々に揺れ動かされ…。生きることを選ぼうとする若者たち。その一人一人のまさに命懸けの選択が観る者の心に突き刺さる。2006年に放送されたTVドラマ版で、成宮寛貴が演じた主人公の南を演じるのは、『ROOKIES −卒業−』に『風が強く吹いている』ほか、最近では大人気TVドラマ「JIN−仁−」(TBS)など話題作への出演が続く小出恵介。「山田悠介さんの世界観や南洋平という複雑なキャラクターを具現化する作業は非常に難しかったですが、とにかく思い切って演じさせていただきました。切なく孤独極まる洋平が、6人の子供達と出会い、人間を取り戻す、人間になっていくというお話です。寄り添うように見ていただければと思います」と作品への思いを明かす。小出さんと共に主演を張るのは、ドラマ「恋空」(TBS)主演をはじめ、「美丘-君がいた日々-」(日本テレビ)、「東京少女」(BS-TBS)などで鮮烈な存在感を放った水沢エレナ。小出さんとは「JIN-仁-」、『風が強く吹いている』に続いての共演となる。「この作品に携わり、いままで『当たり前に生きていたこと』が当たり前ではない。一日一日をもっと大切に生きよう、と考えるようになりました。この映画を観ていただいた方にも、自分の将来や大切な家族のことを改めて考えるきっかけになればと思います」と本作が持つメッセージを語る。2人に加えて佐野和真、真司郎(AAA)、阪本奨悟、太賀、菅野莉央、福士誠治、鈴木砂羽、小倉久寛、田中哲司、西村雅彦とフレッシュな顔ぶれと実力派のベテランが共演陣に名を連ねる。切なさと衝撃のヒューマンサスペンス『スイッチを押すとき』は9月17日(土)新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。■関連作品:スイッチを押すとき 2011年9月17日より新宿武蔵野館ほか全国順次公開© 2011山田悠介/「スイッチを押すとき」製作委員会
2011年07月15日「医療モノということで、“カッコよく”見えてしまうイメージを抱いていたんですが、ここで描かれているのは、ひとりひとりが背負っている人生なんです」――。吉沢悠は、出演作『孤高のメス』をこう表現する。この言葉にこの映画の魅力、そして演技者としての彼の揺るぎないスタンスが表われている。ベストセラー医療小説を実写化した本作。吉沢さんは「自らの素の感情を役柄に重ね合わせながら演じた」と言葉に力を込めた。この“人間ドラマ”に彼はどのような思いで向き合ったのか――?映画の公開を前に話を聞いた。物語の始まりは1989年、とある地方の市民病院に当麻鉄彦(堤真一)という名の外科医が赴任するところから始まる。大学病院に依存し、満足な手術ひとつ行えない腐敗した環境を当麻はその腕で、変えていく。当麻が変えたのは何より、そこで働く人々の意識。吉沢さん演じる青木はまさに、彼との出会いによって自らの生き方を省み、そして変わっていく若き医師である。「大学病院の古い体質があって、その下で働く青木はいろんな思いを抱えつつ、“権威”という壁にぶつかる。当麻との出会いで大きく変わっていくこの人物をしっかりと演じ切れないことにはこの作品のテイストが観る人に伝わらない。そのプレッシャーはありました。と、同時に青木が感じる葛藤は、ひとりの俳優として僕にとっては感じたことのある思いでした。それを生かして演じ切ることができれば楽しいだろうな、という相反する複雑な気持ちでした」。90年代末から2000年代の前半に掛けて、次々と話題のドラマ、映画に出演し、主演も数多くこなしてきた吉沢さんが芸能活動を休止したのは2005年。奇しくも本作で演じた青木と同様にアメリカに渡り、帰国後、俳優としての活動を再開した。役柄に自らを重ねた、という部分についてさらに深く尋ねた。「自分なりの信念を持って俳優という仕事をやっていましたが、やればやるほどに『いまのままでいいのか?』というクエスチョンがついて回るようになった。それはまさに、約束された道を見失った青木そのもの。前半部分の彼に、その当時、自分が抱いていた感情を乗せました。それからアメリカに渡って何より感じたのは、俳優として現場に立てるということは、決して当たり前のことではないのだということ。そう感じたときに無性に俳優をやりたい、演じたいって思えてきたんです。帰国して初めての仕事が映画だったんですが、あのときは本当に嬉しかった。それはまさに、青木が当麻先生を手伝いたくて帰国するときと同じ気持ちでした」。復帰後、彼が出演した映画は『夕凪の街 桜の国』、『逃亡くそたわけ−21才の夏』、『てぃだかんかん〜海とサンゴと小さな奇跡〜』に本作と物語性と共に、社会への強いメッセージを感じさせるところがあるが…。「決して、それを意識して作品を選んでいるわけではないです。ただ、例えばニューヨークにいる頃、『自分は日本のことを何も知らない』と強く感じて、帰ったら広島に行きたいと思うようになった。そうしたら(広島を舞台に被爆を扱った)映画『夕凪の街 桜の国』のお話をいただいた。不思議なめぐり合わせは感じますね(笑)。常に、観る人に何か良い影響を少しでも与えられたら、という思いはあります。そうした思いがこういう良い循環を生んでいるのかも」。そうした流れに身を投じる中で、映画というメディアへの熱い思いが自身の内側からも沸々とわいて来ていると明かす。「映画人の熱…独特の温度の高さへの憧れは以前以上に強く感じます。周りが見えなくなるような強い思いで、わが子を育てるようにみんなが映画に夢中になっているあの環境は、本当に気持ち良いんです。30歳を過ぎて、ここにいられることが幸せだな、と感じるようになりましたね」。最後に「今後演じてみたい役は?」という質問に「もちろん、当麻先生のような役もやってみたいですね」と語り、「それから…」と、生瀬勝久が演じた、自らの保身しか考えない大学病院の医師・野本の名を挙げ、少し興奮気味にこう続ける。「生瀬さんが仰ってたんです。『俺は、野本という役を“悪”として演じたわけじゃない。一人の人間として演じた結果がこうだったんだ』って。それを聞いて、ああいう役をいつか演じられるようになりたいな、と思いました。僕自身今回、野本という存在に生かしてもらってるんです。そんな深みを演じられるようになりたいです」。(photo:Ryusuke Suzuki)■関連作品:孤高のメス 2010年6月5日より全国にて公開© 2010「孤高のメス」製作委員会■関連記事:堤真一天才外科医役に都はるみのこぶしを聴いて特訓目の前の命を救うため、禁断のオペに挑む『孤高のメス』試写会に15組30名様をご招待小栗旬初監督作引っさげ北海道に!ゆうばり国際映画祭ラインナップに注目来年の東映は『ゼブラーマン2』セクシー衣裳から『桜田門外ノ変』まで注目作ズラリ!堤真一、大組織の悪しき体制と闘う熱血医師に「ヒーローではない、医師を演じたい」
2010年06月23日