機能不全家族とは?出典 : 機能不全家族とは、家庭内で弱い立場にある人に対して、身体的または精神的ダメージを与える機会が日常的に存在している家族状態のことをいいます。機能不全家族においてダメージを受ける存在は、家庭内で弱い立場になりやすい高齢者や子どもである場合がほとんどです。身体的・精神的ダメージには例えば、虐待やネグレクト(育児放棄)といった行為、また家族同士の不仲による対立や生活貧困、子どもに対する過剰な期待などが含まれます。機能不全家族のもとで育てられた子どもを、俗称で「アダルト・チルドレン」と呼ぶこともあり、高齢者よりも子どもを対象にした議論が盛んに行われています。健康的に家族という集団が機能していると、子どもは自分に身近な大人や友人を見本に、生きる上で必要なさまざまな能力を身につけていきます。人格を形成していく大切な時期に周りの大人、特に家族から合理的・道徳的な物事の考え方を学んでいきます。ところが、保護者が偏った考え方を持っているような機能不全家族のなかでは、健全な学びの体得が難しい状況といえます。その原因は子どもの保護者が招いている場合がほとんどです。そういった子ども時代の経験によって、自己認識の歪みや、対人関係が上手くいかないなどの生きづらさを抱えることがあります。機能不全を招いている親のことをいわゆる「毒親」と呼ぶことがあります。「毒親」とはアメリカの精神医学者であるスーザン・フォワードが著した『毒になる親』から生まれたインターネットのスラング用語です。身体的・精神的ダメージを子どもに負わせる親は、そのまた親から同じような経験を受けている場合も少なくないと言われています。実はダメージを“与える側”と“受ける側”には決定的な境目はないのかもしれません。子どもの頃にダメージを“受ける側”だった人が、結婚して家庭を持ったことをきっかけにダメージを“与える側”になってしまうケースは十分に考えられます。とはいえ、その連鎖が必ずしも続くとは限りません。連鎖を断ち切り、機能不全家族の影響から逃れて生きることも選択できます。機能不全家族に悩む本人は、家族から影響を受けた自分という事実を受け止めながら「これから本来の自分をつくっていくのだ!」と前向きに思うことが大切です。これからそのヒントを紹介していきます。参考:斎藤学/著『「毒親」の子どもたちへ』|(メタモル出版,2015)参考:スーザン・フォワード/著『毒になる親』|(講談社,2001)もしかして、うちは機能不全家族?出典 : それでは、機能不全家族とは具体的にどのような家族なのでしょうか?アメリカのセラピストであるジャネット・G・ウォイティッツが著書『アダルト・チルドレン』の中で述べている「機能不全家族」と「機能している家族」の特徴についてご紹介します。以下にあげた機能不全家族の特徴は、子どもが身体的・精神的にダメージと受け取る可能性のある事象です。これらの事象に対して強烈なトラウマがあったり、強いストレスを日常的に感じていたり、そのようなことがあれば自身の家族が機能不全家族である可能性が高いといえます。ですが、これらの事象が家庭内にあるからといって、必ずしも機能不全家族であることは断定できません。なお下記は原文を簡単にしたものになります。【機能不全家族】・非合理的なルールが強く維持されている・子どもを守るという親の役割が放棄され、子どもが親のケアをすることがある・家族もすでに分かっているけれど、公にできない秘密がある(性的虐待など)・家族のなかに他人が入り込むことに抵抗がある・暗い雰囲気でほとんど笑いがない・家族同士のプライバシーがない(個人間の境界があいまい)・家族から離れることが許されていない・家族間の嫌なことや葛藤などは否定されて無視される・変化に抵抗する・家族は分断され、統一性がない【機能している家族】・親子それぞれの基本的なルールはあるが、柔軟に対応しながら家族を運営している・親としての役割が機能し、子どもは親の役割を受け入れる。役割分担が明確で迷いがない・家族に他人が入ることを許容する・ユーモアのセンスが共有され、親にも子にも笑いがみられる・家族それぞれのプライバシーが尊重され、自己という感覚を発達させている・家族それぞれが家族であるとの所属感覚を持つが、家族から去ることも自由である・家族間の葛藤はあって当然とされていて、そのたびに解決が試みられる・常に変化し続ける・家族に一体感がある参考:ジャネット・G・ウォイティッツ/著『アダルト・チルドレン』(金剛出版,1997)機能不全家族で育った子どもは“役割”を演じている?出典 : 次は機能不全家族で育った子どもが、どのような考え方の特徴をしているのか紹介していきます。考え方に偏りのある保護者のもとで育てば、少なからず子どもはその影響を受けています。偏った考え方を持っていること自体は悪いことではありません。しかしその考え方がマイナスにはたらき、友人や恋人を傷つけてしまう言動になると、結果的に自分自身が苦しくなる場合があります。今後自分がどうありたいのかを明確にするためにも、自分の考え方の特性や傾向を客観的に知ることは大切になってきます。・周囲の期待に応えようとしすぎる・頼み事を断れない・精神的なしがみつきと愛情が混同することがある・生活の中に楽しみを見出すことが苦手・表情が乏しい・他人に承認されることを渇望する・自傷行為をしてしまう傾向がある機能不全家族で育った子どもは、機能不全状態にある家庭の中で生きていくために、自然に自分を演じてしまうことがあります。その役割を背負った子どもは、自分の感情を押し殺したり、傷ついたりしながら生きていることがあります。例えば、親から頼られ信頼されることによって家族のバランスを保とうとする優等生タイプや、よくトラブルを起こすことで自分の存在を主張する問題児タイプ、自分に関心が向けられることを避けたいために自分の存在を隠そうとするタイプなどがあります。機能不全家族に育った子どもは、これらのタイプのいずれかを無意識のうちに演じてしまっています。一人っ子の場合は一人で複数のタイプを背負うこともあり、兄弟がいる場合はそれぞれが役割分担をしている場合があります。機能不全家族が子どもに及ぼす影響とは?出典 : あらためて機能不全家族が子どもに及ぼす影響について説明していきます。幼児期から青年期にいたっては倫理的、道徳的な考えを身につけたり、良好な対人関係の築き方を学んだりする大切な時期です。また家族からの愛情形成が子どもの自己愛の形成や落ち込みから立ち上がる能力を高めることに繋がります。しかし、機能不全家族の場合は愛情が受け取りにくい家庭環境が前提にあります。虐待・ネグレクト・過度な期待などに見舞われると、親からの健全な愛情を受け取ることが難しく、倫理的・道徳的に正しいと思われる考え方が分からなくなってしまいます。子どもは前述の役割を演じることになり、自由に人格を形成する機会を失います。演じたままの人格が板につくと、本来の人格とのズレが生じるため生きにくさを抱えやすくなります。人格が健全に形成されていない状態だと、人は自分自身を肯定することができずに、些細なことでも深く落ち込みます。過度な落ち込みや自己否定を繰り返すと、うつ病やパーソナリティ障害などの精神疾患に罹患する可能性が高まります。機能不全の家庭環境によって招かれやすい精神疾患は以下の通りです。・うつ・各種パーソナリティ障害・パニック障害など上記に限った疾患だけではなく、さまざまな症状や精神疾患を招く可能性もあります。◇虐待の連鎖が起こる可能性虐待は子どもから子どもへ連鎖するという話を耳にしたことがあるのではないでしょうか?虐待の世代間連鎖・世代間伝達と呼ばれ、たとえば親から虐待を受けていた人が、自分の子どもを虐待してしまうことをいいます。虐待を受けていた幼い頃の記憶がフラッシュバックし、乳児との間に問題やストレスを感じてしまい虐待を繰り返してしまうといわれています。さらに貧困や社会的不利(差別など)、適切な養育方法がわからない、パートナーのサポートが極端に少ないなどの追い打ちが重なることも世代間伝達を促進する要因です。一方で、過去にシビアな虐待経験がある場合でも、パートナーがサポートしてくれていたり、大人になってから両親との仲が良くなったりすることがあれば、虐待経験の影響は小さくなることが分かっています。ですので、虐待の世代間伝達は必ずしも引き起こされるとは限りません。◇親子間で起こりやすい、共依存とは?機能不全家族で育った親子間においては「共依存」が生まれる可能性があるといわれています。共依存とはアルコールや薬物依存の方がお酒や薬物に依存してしまうことと同様に、人間関係に過剰に依存してしまう状態のことを指しています。自己愛や自尊心が低い人などは共依存の可能性が高いとされていて、他者から必要とされる自分であろうと必死に努力する心理的特徴があります。機能不全家族で育った子どもたちは自由な言動を許されない対人関係を体験するため、自己愛や自尊心が育ちにくい家庭環境におかれています。ですので、たとえば親から暴力をふるわれることがあっても「必要とされたい」という思いから共依存関係に陥りやすい可能性があります。機能不全家族は立て直せるの?出典 : 自分に対する家族の対応に悩んでいたとしても、自分の家族とそう簡単に縁を切ることは難しいでしょう。機能不全家族を子ども自身の力で立て直すことはできるのでしょうか?結論から言うと立て直せる可能性が高い場合と、立て直しには時間がかかる場合があります。自分以外の家族が下記のことを認めたり、理解していたりする場合、立て直せる可能性が高いようです。・自分以外の家族が機能不全を認めている・家族を立て直すために助けが必要だと認めている・家族とは本来どんな状況であればよいのか理解している・心身ともに健康・健全で行動を起こせる家族がいる・家族以外にいざとなったら頼れる人がいる・家族に薬物・アルコールなどの依存症があり治療が必要・家族に依存症以外の精神疾患や病気があり治療が必要・虐待、ネグレクト、性的虐待などが家族内の秘密事項で問題を表に出せない・親が、完璧主義、過干渉・過保護といった意識に固執している・家族以外に頼れる人がいないたとえ機能不全の家族だったとしても家族一人ひとりには役割があり、バランスを取り合って生活しています。家族を立て直すということは、この家族のバランスを一度崩し、再構築していくことです。機能不全をもたらしている本人が立て直しの必要性を感じていなかったり、共依存関係により本人以外の人が変化に抵抗を示したりする場合、家族を立て直すのは時間がかかります。多くの家族が新しい生活を選ぶことに自信が持てず、現状のままの家族として生きることを選んでいます。立て直しには、一人ひとりが家族に対してどのような考え方を持っているかが大切です。また病気などのやむを得ない理由があったり、人によっては変化への抵抗があったりします。立て直しに時間がかかりそうな家族の場合は、一人で抱えこまず、専門家の手を借りながら取り組むことをおすすめします。機能不全家族のなかで上手くやっていくためには出典 : たとえば自分が未成年で一人では暮らせないなどのやむを得ない理由によって機能不全家族の中で暮らしていかねばならないことがあります。そのような方々のためにポイントをお伝えします。家族関係の再構築に時間がかかったり、家族が変化を強く拒んだりする家庭もあることを前章ではお伝えしました。機能不全家族を立て直したい!と思って行動しても、依存症や虐待などの問題が続くこともあります。その場合は無理に変えようとせず、とにかく自分を守ることが大切です。アメリカの感セラーであるレモンド・M・ジャミオロスキー/著『わたしの家族はどこかへん?』で記載されている自分を守る3つの方法を紹介します。1.自分を前向きで強くするために、なるべく健全な人たちのなかに身を置くこと2.信頼できる大人に問題を話すこと3.そしてけっして希望を捨てないことレモンド・M・ジャミオロスキー/著『わたしの家族はどこかへん?』自分が非常に辛い思いでいるときに寄り添ってくれたり大切に思ってくれたりする、信頼できる友達がいることは心の救いになります。家庭で辛いことがあっても、家庭の外には自分を必要としてくれる人がいます。また友達への感謝や大切に思う気持ちを友達同士で通じ合わせることも、大切な心のはたらきです。また学校の先生、カウンセラー、親戚、その他の信頼できる大人は、大きな助けになってくれます。薬物乱用・性的虐待・身体的虐待など非常に危険な状態に陥っている時は、すぐさまそのような大人を信頼して話をしてみてください。最後は希望を捨てないことです。本当に苦しい時、辛い時は希望を見失ってしまったり、諦めてしまったりしまいがちです。ですが、そういう時こそが生まれ変わるチャンスです。どうせ諦めてしまうのならば、状況を変えられるように誰かに話す・相談するといった思い切りを持ってほしいと思います。「自分を変えたい」と思った時はどうしたらいい?出典 : 虐待がある家庭で生まれ育った子どもは、大人になってから自分の子どもへと虐待を繰り返すといった虐待の連鎖があるといわれています。そのため、機能不全家族で育った子どもは「自分も機能不全の家庭を築くのでは?」という漠然とした不安を抱えている方が多いのです。しかし、機能不全家族で育ったからといって、その人が必ずしも機能不全家族を築いていくとは限りませんし、その人自身の家庭がどうなっていくのかは、誰にも分かりません。機能不全になった原因や傾向などを知ることによって、少しずつ自分自身を知ることができます。そうすることで機能不全家族になった原因がなんであったのか、自分が生きづらさを抱えながらも、最終的にはどうありたいのかという姿を想像できるかもしれません。知識や経験は強力な味方になってくれます。また一人で悩んでいるばかりでは、自分の変え方は分からないかもしれません。そんな時はカウンセラーなどに相談することも手段の一つだと思います。◇自分を変える3つのポイント1.機能不全家族にまつわる本を読んで知識を得ること機能不全家族にまつわる本や文献を読んで、どのような環境で自分が育ってきたのかを客観的に知ることが大切です。さらにそのような本の中には、経験談などが含まれている場合もあります。知識は力になりますので、そういった生き抜く上でのヒントを本から探してみるのもよいでしょう。2.カウンセラーなどに相談すること知識を得たところから、一歩踏み出してカウンセラーなどの専門家に相談してみることをおすすめします。人に危害を加えてしまうことがある、また対人関係が上手くいかないなどの具体的な悩みごとがあれば、その旨をしっかり伝えるとよいでしょう。とはいえ、カウンセリングに一度行ったからと言って、すぐに自分が変われるというわけではありません。あなたが抱えている困りごとは風邪のように病院に行けば治るようなものとは違って、長い年月の積み重ねによって発症している疾患のようなものです。ですから、ゆっくり治療していく必要があります。3.実践していくこと本で得た知識や、カウンセリングでの気づきなどは、実生活で少しずつ、できることから実践していくようにしましょう。たとえば対人関係が上手くいくコツなどは、はじめのうちはぎこちないかもしれませんが、いずれはスムーズに行うことができるようになるでしょう。はじめのうちは恥ずかしさや、照れがあるかもしれません。ですがそれらを一歩一歩乗り越えて頑張っていきましょう。自分の心の限界・命の危険を感じたら一人で抱えこまず相談を出典 : もし命の危険や家族のことが原因で自分の心の限界を感じたら、支援を受けたり、一時的に家族から離れたりすることが必要な場合もあります。自分のことはもちろん、自分のきょうだいが困っているなどの場合も相談することができます。もしもの時のためにブックマークしておくといいかもしれません。ちょっとでも気になっていることや、悩みがあれば、一人で抱えこまずに、限界が来る前に相談をしておきましょう。次の相談先リストを参考にしてみてください。家族や恋人からの暴力や性的な接触、重い病気にかかっても病院に連れて行ってもらえないなどの困りごとは、我慢せずに思い切って相談してみてください。◇児童相談所※18歳未満の方はこちらに連絡してください児童相談所全国共通ダイヤル189番最寄りの児童相談所につながります。相談した内容について、秘密は守られます。名前や連絡先を言いたくない場合は匿名でも相談できます。◇全国児童相談所一覧◇女性相談センター※女性で、かつ18歳以上の方はこちらに連絡してください全国女性相談センター(婦人相談所)一覧妊娠しているかもしれない、妊娠しているけど事情があって病院に行っていないという場合や、家族や友人に話せないで悩んでいる性の悩みがある場合には、福祉事務所に気軽に相談してみてください。◇福祉事務所全国の福祉事務所一覧自分の性的な画像や動画を無断でインターネットに載せられてしまった、ネットトラブルに巻き込まれて脅されている…などの困りごとは以下に相談してみてください。◇警視庁インターネット安全・安心相談警視庁インターネット安全・安心相談◇各都道府県の警察本部のサイバー犯罪相談窓口一覧各都道府県の警察本部のサイバー犯罪相談窓口一覧家族または自分の薬・アルコールの依存症に悩んでいる、こころの悩みを抱えているといった方は以下に相談してみてください。◇こころの健康相談統一ダイヤルこころの健康相談統一ダイヤル◇精神保健福祉センター精神保健福祉センター一覧やむを得ない事情があって住むところがなかったり、仕事を探していたりなどの悩みは以下を参考に、相談してみてください。生活困窮者支援制度(厚生労働省)◇生活相談・仕事相談チャレンジネットまとめ出典 : 今回は主に親が子どもに対して身体的・精神的なダメージを与えるケースを中心に対応などを紹介していきました。他にも、祖父母やきょうだいから身体的・精神的ダメージを受けるケースもあります。「家族のことで他人に相談するなんて…」「家族から逃げるなんて…」などと躊躇してしまうかもしれませんが、自分が機能不全家族にいるのではないか、そう感じたら、まず第一に、自分の心身の安全を守ることが最優先です。そのために、信頼できる相談先を見つけ支援を受けることは、自分のみならず、家族にとっても助けとなる場合もあります。さまざまなケースがありますが、ダメージを与える側も、振り返ればダメージを受ける側だった過去があるかもしれないということも問題を複雑にしているからです。ダメージを与えている側も、隠れた理由や背景があるのかもしれません。暴力やネグレクトは許せるものではありませんが、その苦しみや悩みが言動に表れている可能性も少なくはないということなのです。そのように一人ひとり事情があり、苦しんでいるかもしれず、ダメージを与えている側も援助を必要としている可能性を考えることも、機能不全家族の問題を解決する上で大切なポイントです。一時的に家族と離れたとしても、自分で自分を身体的にも精神的にも救えるような余裕ができれば、しだいに自分にダメージを与えた人に対しても何かしらの手を差し伸べることができるかもしれません。そうして健全に機能する家族が成り立てば、結果的に自分自身や家族を救うことにもつながる可能性もあるのです。
2017年07月07日仕事の現場で女性の活躍が目立つようになってきましたが、女性の管理職はまだまだ少ないというのが現状です。なぜ管理職に就く女性が少ないのでしょうか?男性社会であるということだけでなく、女性自身が管理職を希望しないことが多いというのも要因になっているようです。管理職のメリットとデメリットについて知り、自身のキャリアについて考える上での参考にしてみてください。国の目標、「2030」って知ってる?「2030」という言葉はご存知でしょうか?政府により2003年に設定された、「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」、つまり女性の管理職の割合を全体の3割にするという目標です。日本で仕事に就いている女性の割合は諸外国と比べてもそれほど差はありませんが、管理職に就いている女性の割合となると11.1%(アメリカは42.7%、イギリスは34.2%国際労働機関(ILO)報告書より)と、先進国の中ではかなり低い方になります。また、政府は1.2%という低い女性役員の割合も向上させる方針を発表しています。なぜ多くの女性は管理職志向がないの?プレジデントオンラインが行った調査によると、女性一般社員の82%が「管理職になりたくない」と回答しています。理由としては、「拘束時間が長くなる」、「残業が増えそう」など家庭やプライベートとの両立を望む女性にとっては時間的な負担がマイナス要因になっているようです。「そもそも出世に興味がない」という意見も多く、仕事よりも自分の時間を大切にしたいという人にとっては管理職は責任や時間的な拘束が増えるだけでメリットがないと感じるのかもしれません。それ以外にも、能力や適正に自信がないという人も多いようで、男性中心で女性の先輩管理職が少ないために自分が管理職となることがイメージがしにくくなっていることも影響しているのかもしれません。女性管理職ってどんなメリット・デメリットがあるの?管理職のメリットとデメリットを整理してみましょう。メリット収入が増える業界や会社によって差はありますが、一般的には管理職になると基本給が上がり管理職手当がつくようになることが多いです。平成27年の厚生労働省による「賃金構造基本統計調査」の役職別賃金の調査結果を見ると役職が上がるにつれて賃金も上がっているようです。女性の管理職別賃金も以下のようにかなり差があります。収入がこれだけ増えるのは大きなメリットと言えますね。部長級・・・約65万円課長級・・・約46万円係長級・・・約35万円非役職社員・・・約21万円仕事で自由がきくようになる実際に管理職についている友人からは、「管理職になって、自分のペースで仕事を進められるようになった」、「部下やまわりの人に仕事が頼めるようになったので自分のすべきことに集中できるようになった」という感想を聞きました。今までは上司の指示に振り回されていたという人も、管理職になると仕事のスケジュールや割り振りを自分で決められるようになるので、仕事での自由度が増えるというのもメリットの一つです。デメリット時間的、体力的な負担が増える2014年、リクナビNEXTがインターネット上で行った「管理職実態調査」によると、「管理職になって犠牲にしたものはあるか?」という問いに、女性管理職の54.0%が「犠牲にしたものがある」と回答しています。犠牲にしたものとして具体的には、1位が「趣味に費やす時間」、2位が「健康」、3位が「食生活」という結果に。4位以下も、友人と過ごす時間や家族や配偶者と過ごす時間など、「時間」を犠牲にしたという回答が目立ちます。自分の時間や大切な人と過ごす時間が減ってしまうため、管理職になるのを躊躇する人も多いのでしょうね。精神的な負担が増える責任が増すことで精神的な負担が増します。さらに上司とのコミュニケーションや部下のマネジメントなどでストレスが増える人も多いようです。また、仕事で高い結果を出すように求められるためプレッシャーも大きくなります。管理職になると、ストレスとプレッシャーという精神的な負担が増えることは避けられないのでうまく対処する術を身につける必要がありそうです。責任が増える、大変そう、というデメリットのイメージが強い管理職というポシション。しかし責任が増える分、仕事のやりがいや達成感は大きくなります。管理職にマイナスイメージがある方はプラスの部分にも目を向けてみて、チャンスがあればチャレンジしてみてください。
2016年10月30日IDC Japanは3月14日、国内オフィスプリント環境の導入判断者に対して、プリント管理およびドキュメント管理の実態、MPS(Managed Print Services)の導入状況、モバイル/クラウドプリントの導入状況に関する調査結果を発表した。同調査は、2015年11月にオフィスプリント環境の導入判断に関係する800人に対してWebアンケートによって実施されたもの。同調査結果を総合して国内のプリント/ドキュメント管理の成熟度を、同社独自の評価指標「IDC MaturiyScape」に基づいて分析している。これにより、特定のIT環境について、まったく導入していない場合を「レベル0(未導入)」とし、導入後のユーザー企業の成熟度を、「レベル1(個人依存)」、「レベル2(限定的導入)」、「レベル3(標準基盤化)」、「レベル4(定量的管理)」、「レベル5(継続的革新)」までの5段階で評価した。調査結果によると、国内ユーザ企業の約半数が、5段階中下から2番目のレベル2(限定的導入)の成熟度にあることがわかったという。多くの企業において、プリント/ドキュメント管理に関する技術導入は進めたものの、その技術を活用するための社内教育や管理プロセス構築への対応が遅れていると、同社は述べている。「IDC プリント/ドキュメント管理 MaturityScape」では、ユーザ企業の成熟度を、意思統一、技術、人員、プロセスの4つの視点から総合的に評価しているという。その結果、国内ユーザ企業においては、レベル1の成熟度を持つ企業が24.5%、レベル2が48.0%、レベル3が20.6%、レベル4が6.5%、レベル5が0.4%であるとした。この結果は、2014年10月に実施した調査とほぼ同じ(2014年の調査ではレベル2が48.2%)であり、この1年で国内市場におけるプリント/ドキュメント管理の成熟度には大きな変化がなかったという結果に。また、プリント/ドキュメント管理において財務的成果を出している企業(リーダー企業)と、そうでない企業(フォロワー企業)の成熟度の比較も実施したところ、これらの企業の差は、人員およびプロセスの尺度において特に顕著だったという。プリント/ドキュメント管理において具体的な成果を上げるためには、人員/プロセスの分野において全社的な具体的目標を設定し、統一ルールに基づいて活動することが重要であると、同社は分析している。
2016年03月14日横河電機は2月26日、プラントで使用されている大量の監視制御用機器や製造装置の情報を集中管理する統合機器管理ソフトウェアパッケージ「PRM(Plant Resource Manager) R3.30」を開発し、同月29日に発売開始すると発表した。現行製品「PRM R3.20」をバージョンアップしたPRM R3.30は、HART規格(ART通信協会が推進する制御用フィールドネットワークの通信規格で、HART5、HART6、HART7のバージョンがある。最新版はHART7)に準拠した機器の管理機能とナビゲーション機能を強化。機能強化の特長として、2015年11月に発売した安全計装システム「ProSafe-RS(プロセーフ・アールエス) R4.01.00」のフィールドI/O装置「N-IO(Network-IO)」とPRMを組み合わせることでHART規格に対応した機器に関し、起動・停止・故障などの状態を示す情報を迅速に把握できるようになった。また、機器の状態を表示するナビゲーション画面に機器の重要度を示すアイコンが表示できるようになり、機器の自己診断情報とアイコンを参照しながら対処する優先順位を迅速に判断することができる。万が一異常が発生した際の作業員の迅速で適切な対処を支援するという。さらに、PRMには統合生産制御システムのCENTUM(センタム)シリーズに機器の異常を通知するメンテナンスアラーム機能を有する。これまでは、PRMが管理している機器と接続されているCENTUMシリーズすべてのヒューマン・インタフェース・ステーション(HIS)に対し、HISに発信するように指定したアラームを通知していたが、今回の機能強化でアラームの元となる設備ごとに送信先のHISの指定が可能となった。なお、主な市場は石油・天然ガス、石油化学、化学、鉄鋼、紙パルプ、電力、水処理など製造業全般を想定している。
2016年02月26日日本オラクルは1月27日、exciteなどのポータルサイトを手掛けるエキサイトが、予算実績管理システム構築のため、オラクルのクラウド型経営管理ソリューション「Oracle Planning and Budgeting Cloud Service(PBCS)」を採用したと発表した。PBCSは、管理会計・予算管理で必要となるデータ入力・データ連携から各種計算処理、レポート・分析までをトータルで実現するアプリケーション。複数年度の組織階層をもち、また新旧組織を保持することができるため複雑な年度比較に対応できる。また、レポートの出力年月を動的なパラメータで変更できるため、対象年月の帳票を自動的に出力することが可能。科目や組織の変更があった際も配賦計算や持分計算のロジックを毎回再設定する必要はく、メンテナンスにかかる負荷を削減できる。エキサイトは今後、部署別だけでなく、収益の詳細管理の実現やローリングフォーキャストの実施し、部署をまたがるサービスごとの管理会計まで対象範囲を広げて活用していく予定としている。なお、今回のプロジェクトは、テクノスジャパンが実機を利用した要件確認・設計手法により、2.5カ月でシステム導入を実現した。
2016年01月28日アイルは1月12日、スタッフ情報・派遣先情報やスタッフ向けマイページを、低価格なクラウドシステムで一元管理できる人材派遣会社向けスタッフ管理クラウドシステム「CROSS STAFF(クロススタッフ)」の提供を開始した。同システムは、中小企業にも導入しやすい、低価格(基本料金は3万円/月、初期設定費用は無料)なクラウドシステムで提供される。「スタッフ向けマイページ」では、スマートフォン・タブレットに最適化された、Web給与明細、資料ダウンロード、スタッフへの情報発信などの機能が搭載されている。また、スタッフ情報管理(スタッフの基本情報・対応履歴などの登録、スタッフ検索)、派遣先情報管理(派遣先の基本情報・対応履歴などの登録、派遣先ごとの稼働スタッフ検索)も可能。さらに、オプション機能により、法改正に伴い義務化されたストレスチェックやスキルチェック、マイナンバー収集・管理も可能となり、今後はセキュリティ保管にも対応する予定。
2016年01月13日東京大学や科学技術振興機構などは1月5日、血液中のタンパク質・AIMが急性腎不全の治癒に役立つ可能性を示唆した研究成果が得られたことを明らかにした。腎臓は血液中の老廃物をろ過し、尿として排せつする役割を持つ。その機能が低下すると血液中に老廃物がたまり、身体のさまざまな臓器の働きに支障をきたす。一方で、出血による腎臓の虚血や細菌感染、薬剤などの原因により、急速に腎機能が低下する状況を急性腎不全と呼ぶ。急性腎不全は自然に改善する場合もあるが、致死率も高く、これまでに確実な治療法が確立されていなかった。東京大学大学院医学系研究科の宮崎徹教授らの研究グループは今回、血液中のタンパク質・AIMが直接腎臓に働きかけ、急性腎不全を治癒させることを明らかにした。急性腎不全が生じると、腎臓の中の尿細管に細胞の死骸が詰まり、この詰まりが腎機能の低下を招く引き金となる。通常、AIMは血液中に存在するが、腎臓の機能が低下すると尿中に移行し細胞の死骸に付着。この付着したAIMが"目印"となって、周囲の細胞が一斉に細胞の死骸を掃除することで、迅速に詰まりが解消され、結果的に腎機能が速やかに改善される仕組みとのこと。研究グループは、マウスでの比較実験を実施。AIMを持たないマウスが急性腎不全になると、細胞の死骸が掃除されずに死んでしまったことや、AIMを正常に持っているマウスでも、重度の急性腎不全が起きた場合は、腎臓内の詰まりが解消されないまま、その多くが死んでしまうことも発見した。ただ、いずれの場合でも、AIMを静脈注射することで、尿細管の詰まりは劇的に解消され、腎機能が速やかに改善。致死率が著しく低下することを見いだしたという。腎機能低下時の血中AIMの尿中への移行および細胞の死骸への付着は、ヒト急性腎不全患者でも同様に観察される。そのため、研究グループは「マウスだけでなくヒト急性腎不全患者においても、AIMによる治療は有効であると考えられる」としている。なお、同研究成果は、「Nature Medicine」オンライン版にて公開されている。
2016年01月06日ゾーホージャパンは10月30日、クライアント管理ソフトウェア「ManageEngine Desktop Central(Desktop Central)」の正式版をリリースした。同ソフトは、WindowsやMac、Linuxに対応したデスクトップ端末の統合管理ソフトウェアで、PC、ワークステーションなど、サポート対象OS搭載のあらゆる端末を一元管理できる。2005年より北米やヨーロッパなどで販売を開始し、6月時点で全世界1万社の導入実績を持つ。同社では、多くの企業がセキュリティ強化への関心を高めていることや、企業システムのクライアント環境もWindowsとMacの混在環境が増えていることから、日本での製品展開を決めたという。パッチ管理機能では、OSやサードパーティ・アプリケーションのパッチを自動的に適用し、クライアント端末をセキュリティ脅威から守り、ソフトウェア管理機能では、複数の端末に一括でソフトウェアを配布したり、ソフトウェアのアンインストールを簡単に実行したりできる。そのほか、USBデバイス制御やIT資産管理、リモートコントロール、サービスパックのインストール、Active Directory関連のレポート、電源管理などの機能を備えている。価格は、管理対象のクライアント端末の台数による課金体系に基づいており、年間1端末当たり1821円~3960円(最小ライセンスは50端末)となる。
2015年11月02日京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は9月30日、連結経営管理ソリューション「GreenOffice Profit Management」に予算管理機能と原価管理機能を追加した新バージョン(Ver.1.8)を10月1日より提供を開始すると発表した。同ソリューションは、ERPなどの基幹システムから日々の実績データを取り込み、事業経営に必要な経営情報の見える化を行うことで、マネジメントサイクルを確立する管理会計ソリューション。新バージョンでは、「予算管理機能」と「原価管理機能」が追加された。追加された主な機能の特徴として、「予算管理機能」では、売上・経費・原価などの各種予算を策定でき、トップダウンとボトムアップの両アプローチで予算策定することが可能な点が挙げられている。また、予算シミュレーション機能により、複数のシナリオから最適なシナリオを選択し、正式な予算として採用することができるほか、期初に立てた予算を適切なタイミングで、経営環境の変化や直近の実績に応じて見直すローリング予算にも対応しているという。「原価管理機能」では、標準原価や見積原価と実際原価の差異をさまざまな切り口から分析でき、工場・工程・品種の切り口や改善活動の責任単位である部門切り口で差異分析することを可能としている。また、予算管理や業績管理と連動しており、会社業績と連動した形で原価低減活動を行うことができるほか、間接費の配賦にも対応しており、部門別・品目別での配賦が可能で、配賦基準も細かく設定することができるとしている。同ソリューションの価格は、20ユーザーで840万円(税別)~となっている。別途、導入費用・保守費用・ハードウェア費用などが発生する。同社は初年度でインテグレーション含め、2億円の販売目標を掲げている。
2015年10月01日国立循環器病研究センター(国循)は9月9日、開心手術が困難な重症僧帽弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療の国内第一症例治験に成功したと発表した。僧帽弁閉鎖不全症とは、左心房と左心室の間にある僧帽弁の閉鎖機能が悪くなり、本来の血液の流れとは逆に、左心室から左心房に血液が逆流してしまう状態のことで、進行すると左心室の動きが悪くなり心不全につながってしまう。心不全の状態になると、弁逆流を治療する手術の必要性が高くなるが、左心室の動きが悪い中での手術は危険性が高く治療が困難である場合があった。今回、僧帽弁閉鎖不全症で心不全を繰り返す開心手術が困難な80代男性に対して、同センターのハートチームが、AVJ-514というカテーテルによる治療を実施。僧帽弁逆流の程度を重度から軽度に改善することに成功した。AVJ-514は、カテーテルを使って足の静脈から僧房弁に到達し、「クリップ」で弁をつかんで引き合わせることにより、逆流量を減らす治療法。体にかかる負担が少ないため、年齢や合併症などのために、手術を断念せざるを得ない症例に対しても治療が可能となる。同治療法は近年、欧州などで外科的手術が困難な症例に対し使用されており、海外での試験では開胸手術と同等の弁逆流および心不全の改善が得られたと報告されている。
2015年09月10日Facebookは7月30日、アカウントのセキュリティ管理ツール「Facebookでのセキュリティを強化」を発表した。セキュリティ管理ツールは、Facebookの利用者がアカウントのセキュリティを強化する方法をまとめたツール。利用者は管理ツールの指示に従い、自分で設定を行う。具体的には、Facebookにログインした状態で1カ月以上使用していないデバイスがあれば、まとめてログアウトできる。管理ツールではログインしているデバイスの台数が管理され、デバイスの台数を確認し、不要と感じたら即ログアウトできる。次に、自分のアカウントを他人がログインした場合に自動通知を出す「ログインアラート」機能の設定だ。アラートを有効にすると、万一他人にアカウントを乗っ取られた場合、登録したメールアドレスなどに通知できる。もう一つが、パスワードの保護だ。他人にパスワードを見破られないためのヒントを紹介している。保護画面から新しいパスワードへの変更もできる。Facebookのデスクトップ版はヘルプセンターにアクセスすればすぐに管理ツールを利用できる。モバイルアプリ版は近日中の公開を予定している。
2015年08月03日クラウド型出張・経費管理サービスを提供するConcur Technologiesの日本法人であるコンカーは7月27日に、世界各地におけるリスク情報を企業の管理部門が把握し、主に海外へ渡航する従業員の所在管理や、迅速な情報共有で、現地従業員の安全確保のための対応を支援する「Risk Messaging(リスクメッセージング)」の日本市場での提供開始を発表した。○リスク管理の実態経済のグローバル化が進む中、海外への出張はもはや当たり前のように行われている。にもかかわらず、従業員がどういった交通機関を利用して、どこにどれぐらい滞在しているのかなどの情報を、きちんと把握できている企業は多くない。コンカー 代表取締役社長の三村真宗氏は、安全配慮義務を取り巻く状況の変化について、次のように解説した。「90年代までと比較して、現在は政治リスクなどの予見が困難になっている。例えば、ヨーロッパの街で突然テロが起こる、といった状況が発生している。また、出張予約の仕方も、インターネットの普及に伴って、予約方法が多様化している。以前は企業が旅行代理店経由で手配を行っていたが、現在は従業員が自ら予約を行うケースが多く、企業側での管理が困難な状況となっている」(三村氏)三村氏によると、この従業員自身が予約を行う"勝手予約"が、企業の中で2~3割程度を占めているという。これでは、危機が発生した際に、企業は情報収集にタイムラグが発生し、最終的には旅行会社頼みにならざるを得ない状況となる。○従業員の旅程情報を一元化する仕組み「Risk Messaging」は、RISKLINE社が提供する世界中のリスク情報や各国のリスクレベル情報を取り込むとともに、コンカーが提供している出張予約ツール「Concur Travel」や、航空券・ホテルなどの予約・発券システムであるGDS(Global Distribution System)と連携し、従業員の出張旅程情報を一元化するという。従業員が勝手予約を行ったサービスに対しては、予約メールをコンカーに転送することによってコンテキスト解析され、あらゆる情報を一元化できる仕組みとなっている。「『Risk Messaging』では、企業ごとに設定したリスクルールによって、RISKLINE社が提供するリスク情報を、従業員の所在地に応じて動的にリスク情報を提供する。また、企業の管理部門は、リスク発生付近にいる従業員に、リアルタイムに安否確認のメールを送信することも可能だ」(三村氏)○世界中の状況を可視化記者発表会では、実際に「Risk Messaging」のデモンストレーションが行われた。管理画面にはマップが表示され、従業員の所在地や滞在していた場所には黒いアイコンが、リスクが発生している地点は青い丸が表示される。リスクレベルを5段階に分けて、国ごとに色分けされている。リスク情報は事件や災害、交通事故などさまざまな情報が警告される。日本国内のリスク情報としてはこれまで、国会周辺で行われたデモや御嶽山の噴火などが表示されたという。米国コンカーでは、2015年5月12日21時23分に発生した、フィラデルフィアでのAmtrak脱線事故の際に、同サービスを利用して、翌13日の朝8時5分までに、脱線事故現場周辺にいる19人の従業員の存在をつきとめ、安否確認メールを送信し、同日9時25分までに19人全員の安否を確認したという。リスク情報確認と安否確認の両方を兼ね備えた「Risk Messaging」を、同社は8月3日から日本で販売を開始する。初年度の販売目標は20社となっており、3年間で合計100社の導入を目標として掲げている。
2015年07月28日○ハードウェアとソフトウェアの「購入」の意味は大きく異なる前々回よりIT資産管理の中でも重要な位置を占めるソフトウェア管理について紹介しているが、今回はその締めくくりとして、ソフトウェアのライセンス管理の重要性について解説を試みたい。まず最初に抑えておきたいのは、ハードウェアを購入することとソフトウェアを購入することの間に存在する大きな差異についてだ。ハードウェアの場合は、購入するのはその「所有権」であるため、一度対価を支払えば自分たちのものとなると考えていい。これは、私達にとって馴染み深い通常の買い物と同じである。ところがソフトウェアの場合には、購入するのはあくまで「使用する権利」に過ぎない。このため対価を払っても自分のものとはならず、ベンダーが定めた使用許諾条件に従うことが義務付けられているのである。そしてソフトェアに関わる権利には、著作権と特許権がある。購入後もこれらの保護下にあるため、勝手に複製を行ったりプログラムを無断使用したりすることは許されない。にもかかわらず、ソフトウェアはその特性から複製が容易だ。そこで不正なコピーを防ぐなど予め使用範囲を決めておくために、ソフトウェア購入の際にはソフトウェア使用許諾契約書に基づいてメーカーと契約を交わすようになっている。使用許諾の方法としては、パッケージのシールを剥がしたり、インストーラの「同意する」ボタンを押したりするだけで締結されるものも多い。しかしこの使用許諾契約書、ほとんどが細かい文字が延々と羅列されているため、どのような内容が書かれているのか理解している人は非常に少ないのではなかろうか。しかし、契約は契約。認められていないかたちで利用すれば、契約違反扱いされてしまう危険がある。では、契約違反が露見した場合、どのような罰則が適用されるのか──例えば1台のPCにしかインストールできない使用許諾契約にもかかわらず10台のPCにソフトウェアをインストールしていた場合、「使用許諾契約書違反」、「知的財産権の侵害」、「著作権法の違反」といったように二重、三重もの罪に問われてしまう可能性がある。たとえ故意ではなくとも、違反金や賠償金などの制裁は免れないだろう。○利用者がインストールしたプログラム、5本に1本は違法コピー!?このようなソフトウェアの購入と使用に伴うリスクを低減するために企業に求められているのが、ソフトウェアのライセンス管理ないしはSAM(Software Asset Management:ソフトウェア資産管理)である。SAMとは、組織内のソフトウェア資産の有効な管理、制御及び保護のために、ライフサイクル全般にわたってソフトウェアの使用・保有状況などを管理する仕組みである。つまり、ソフトウェアを資産として適切に管理することが必要になるのだ。普及が進むクラウド環境であっても、SAM適用の必要性に変わりはない。ここでライセンス管理をめぐる国内の現状を見てみよう。最近の調査によると、日本におけるソフトウェア違法コピー率は減少傾向にあるという。また、ソフトウェアの権利保護支援や啓発活動を行っている団体では、組織内部の不正コピー通報窓口等が設けられているケースもあり、これにより組織内の違法コピー利用実態が露呈する場合もある。さらにはソフトウェアメーカーからのライセンス調査依頼に応じなかった、虚偽の報告をした場合、証拠隠滅の可能性を考慮し裁判所から証拠保全を実施されるケースもあるのだ。もしそうなれば通常業務はストップし、企業が受ける影響は計り知れない。ライセンス調査とは、ソフトウェアメーカーが製品ユーザーを対象に行う自社製品利用状況の調査依頼のことであり、基本的に断ることはできない。調査内容はインストール数、バージョン、エディション、インストールしているハードウェアなど非常に多岐にわたる。ライセンス調査依頼を受けた企業は、調査票に記されているこれらの細かい項目に正確に回答しなければならないのである。しかし、インストール済みのソフトウェアの情報や、ソフトウェアの保有を証明するためのメディア、ライセンス証書、パッケージの箱といった関連部材、それにプロダクトキーの情報など、どれも1回インストールしてしまえば普段は見直さないようなものばかりなのが実に悩ましい。だからといって正しい情報を記さずに調査票を提出すれば、内容に矛盾がなくなるまで再調査を求められ、修正を続けなければならない。実際、ライセンス調査の対応が終了するまで半年以上かかった企業の例もある。○複雑極まるライセンス管理はツールの活用をライセンス調査に対応できるようなライセンス管理を行うには、全PCが管理対象になっているか、PCの購入履歴/使用実態を収集できているか、ソフトウェアの購入履歴/使用実態を収集できているかなど、いくつかのポイントに注意しなければならない。インストール済みソフトウェアの棚卸し(実態把握)を定期的に行うことも大切だが、ライセンスにはさまざまな形態があるので、単に数の突き合わせだけでは不十分。例えば契約情報(ライセンス約款)に基づくライセンス管理を行うのであれば、アップグレードライセンスの場合、元のライセンスと現在使用しているもののライセンスの2つを紐付けて初めてライセンスの正当性が証明できることになる。つまりそれぞれのライセンス約款に基づく実態との突き合わせ管理が必要となるのだ。そこで、こうした複雑極まるライセンス管理を正確かつ容易に行えるように支援するのが、IT資産管理ツールである。一般的なIT資産管理ツールを使えば、各PCから収集したインベントリ情報からライセンス数と照らし合わせることが可能となる。ただし、前述のようにライセンス数とインストール数が合致していたとしても、ライセンス違反となるケースもある。加えて現在のインベントリ情報だけでは、アップグレードやダウングレードして使用しているソフトウェアライセンスの経緯を追うことはできない。そこで、ライセンスの契約内容まで管理することで、企業のソフトウェア利用の実態に合わせた正確なライセンス管理を行えるようなIT資産管理ツールも存在している。クオリティソフトが提供している「QND」の場合、88,000種を超える「ソフトウェア辞書」により、PCにインストールされた多種多様なソフトウェア情報を判別して名寄せを行うとともに、7,500種類以上の「約款辞書」で、アップグレード/ダウングレードライセンスやプリインストールライセンスなど、複雑なライセンス形態に対応できるようになっている。これによりコンプライアンスリスクを低減するだけでなく、ライセンスを効率的に利用することでコスト削減にもつなげることが可能だ。次回はスマートデバイス管理についてIT資産管理の視点から考えてみたい。
2015年06月15日NECは5月13日、アパレル業界特有の商品管理や取引形態に対応したクラウド型の販売管理サービス「アパレル業向け N-town(エヌタウン)販売管理」を発売した。月額利用料は1IDあたり1万3,000円から(税別)。今後3年間で1,000社への販売を目標とする。新サービスは、色・サイズ別の商品管理機能や、店舗での売上・在庫情報をタブレット端末に入力することで、アパレル業界に多い取引形態である消化取引を含めた本部でのリアルタイムな情報把握を可能とする店頭情報管理機能などを提供するもの。中堅中小企業向けに各種のクラウド・サービスやコンサルティング・サービスをワンストップで提供する同社のクラウド型ビジネスプレイス「N-town」の販売管理サービスを基に、オーシーシー情報センター(OCC)と共同開発した。同サービスは、アパレル業界特有の色・サイズ別の商品管理機能や、入荷商品を得意先・店舗別に振り分ける出荷振分け機能を装備。また、各店舗での売上情報や在庫情報を販売員がWebブラウザに対応した端末から入力することで、消化取引を含めて本部でのリアルタイムな情報把握を可能とする店頭情報管理機能を提供する。これらにより、店舗での正確な在庫情報に基づいた接客対応や、売れ筋商品のタイムリーな店舗間移動による在庫適正化、販売機会ロスの防止などを実現するという。月額料金のクラウド・サービスのため、初期投資の抑制や、事業拡大に応じた柔軟かつ迅速なシステム拡張、費用最適化が可能としている。また、インターネット上のN-townポータルから会員登録することで、同サービスの契約や利用を簡単な操作で実施可能とのことだ。同サービスの第1号ユーザーとして、婦人靴の企画販売などを行う大阪市のハヤシゴに提供するという。同社は、全国の百貨店や総合スーパーなどに展開する61の直営店において、販売員にタブレット端末を配布。同サービスを利用して売上情報や在庫情報を店舗内で入力することで、従来は各店舗から1日1回送信するFAXを基に本部で行っていた入力業務が不要になると共に、本部での迅速な情報把握を実現するとしている。また、従来は手作業で行っていた出荷振り分け業務を同サービスで自動化することなどにより、販売管理業務に要する時間・工数を従来比で1/3程度、削減を見込んでいるという。NECはハヤシゴへの提供実績を活かし、OCCを始めとする同社の販売店と連携して同サービスを拡販すると共に、同サービスへの日報機能などの追加を予定している。また、建設・資材向けなど、今後もN-townの販売管理サービスを基にした特定業種向けサービスの発売を検討しているという。
2015年05月13日○狙われやすいソフトウェアの脆弱性前回 はIT資産管理におけるソフトウェア管理の位置付けについて説明するとともに、ソフトウェア管理の中でもアプリケーションの種類の管理と制御について紹介した。第五回目となる今回は、ソフトウェア管理における脆弱性の管理について詳しく解説することにしよう。まずソフトウェアの脆弱性管理の基本となるのが、OSやミドルウェア、アプリケーション、それにウイルス定義ファイル等を常に最新の状態にしておくことである。なぜその必要があるのかというと、ウイルスやサイバー攻撃の手法として圧倒的に多いのが、ソフトウェアの脆弱性を悪用したものだからだ。セキュリティベンダーなどにより一般に公開された脆弱性というのは、攻撃者にとって最も狙いやすいもの。だからこそ、脆弱性を解消するセキュリティパッチが配布されたらいち早く適用しなければならないのである。そして数あるソフトウェアのなかでも特に注意が必要なのが、JavaやAdobe Reader、Adobe Flash Playerといった基本的なソフトウェアとブラウザ類である。脆弱性というとまず思い浮かぶのはOSかもしれないが、実はOSの脆弱性については過去の数々の教訓から対策が進んだこともあり、以前ほどは狙われにくくなっていると言われている。とはいえ、アップデートを確実に実施する必要があることは言うまでもないが……。一方、JavaやAdobe Reader、Adobe Flash Playerなどの場合、大抵のPCにインストールされているにもかかわらず、OSほどには更新やパッチ適用が迅速に行われずセキュリティ対策が進んでいないのではないだろうか。そのため攻撃者側からも、攻撃成功率の高い"格好の標的"とみなされていると思われる。それゆえ、IT管理者としては、社内のユーザーに対して各自のクライアントPCに入っているソフトウェアのアップデートを必ず行うよう呼びかけることになるわけだが、実際のところすべての社員にそれを守らせるというのは非常に難しい。忙しい業務の最中、PCの画面に「いますぐ更新してください」というアラートが出現した際に、そのままキャンセルしてしまったという経験は誰にでもあるはずだ。さらに、ほとんどの社員がしっかりと決まりを守ったとしても、1人でも守らない社員がいれば、その人のPCがウイルスなどに感染して社内全体に拡がってしまうことになりかねない。「最低のセキュリティレベルが全体のセキュリティレベルを決める」というのは、セキュリティの基本中の基本なのだ。そうなってくると、IT管理者が社内のPCのパッチ適用状況を把握せねばならなくなる。しかし、すべてのPCを1台ずつ手作業で確認していたら途方もない時間と手間がかかってしまうことだろう。それに人手で確認する以上、うっかり見逃してしまうといったミスはどうしても避けられない。○社内のPCの脆弱性を自動的に把握するツールも登場そこで求められるのが、IT資産管理ツールである。IT資産管理ツールを使えば、社内のどのPCに何のソフトウェアのどのバージョンが入っているかといった情報を自動的に集約し、一覧として確認することができるようになるのだ。ニュースなどで深刻度の高い脆弱性が報告されていたら、対象となるソフトウェアを検索してバージョンを確認する。そこで脆弱性のあるバージョンのソフトウェアが使われていることが判明した場合には、最新のパッチ等が配布されているかを調べ、配布されていれば急遽、全社にアップデートを呼びかけるようにするのである。これだけでも、IT資産管理ツールを使わなかった頃の状況と比べ格段に全社のセキュリティレベルが向上するはずである。しかし昨今の脅威の動向を鑑みれば、IT資産管理ツールを活用する際にもう1つ気をつけておきたいことがある。前回も説明したように、企業のPC1台には平均して2000以上ものソフトウェアが存在していると言われている。それに伴い、脆弱性の有無を確認しなければならないソフトウェアの種類も日に日に増えているのだ。さらに、これに関連して、脆弱性が報告される頻度も高くなってきている。例えばIPA(情報処理推進機構)が発表している脆弱性対策情報を見れば、ほぼ毎日のように何らかのソフトウェアの脆弱性が警告されていることがわかるはずだ。これだけ煩雑な状況になってくると、IT資産管理ツールで情報を把握しつつも、ソフトウェアの脆弱性を自動的に発見して最新のパッチ適用を支援してくれるようなツールもまた欲しいところだ。既にそうしたソリューションは提供されており、クライアントの脆弱性を自動で検出するクラウドサービスを提供するクオリティソフトの「ISM CloudOne」が該当する。「ISM CloudOne」は、毎日更新される「セキュリティ辞書」にもとづいて、セキュリティパッチの未適用など脆弱性のある端末をリストアップし、レポートを生成する。またグローバル企業では海外の拠点ごとに異なるウイルス対策ソフトを使用しているケースが多いが、「セキュリティ辞書」は多数のウイルス対策ソフトに対応しており、しかも同一製品であっても検知エンジンのバージョンや言語の種類まで含めて脆弱性の自動診断が可能となっている。攻撃手法がますます複雑化、高度化していくなか、これからの企業のセキュリティのあり方を考えるならば、「ISM CloudOne」のようなIT資産管理ツールを選択することが最適解となると言っていいだろう。そして煩雑な作業から解放されたIT管理者には、より戦略的なIT活用にリソースを注いでもらいたい。今回は、ソフトウェア管理におけるソフトウェアの脆弱性管理について紹介した。次回は、ソフトウェアのライセンス管理の重要性について言及することとしたい。
2015年04月27日エムオーテックス(MOTEX)は4月13日、ソフトウェア資産管理の支援を行う「SAM診断サービス」のメニューを拡張し、「ソフトウェア資産管理(SAM)ソリューション」としてリリースしたと発表した。このソリューションでは、従来の3つのメニューに、新たに9つのメニューを追加。これまでの「ソフトウェアの利用実態把握」だけでなく、ISO/IEC 19770-1を基準としたレベルでの「SAM体制構築」「ライセンス監査・調査対応」「現状把握・リスク診断」「ソフトウェアに関する教育」の4つの支援が可能となる。これにより、顧客のライセンス調達から管理、運用において、ソフトウェア資産管理(SAM)の課題解決をトータルで支援していくという。
2015年04月14日○ソフトウェア管理が必要なワケ第二回、第三回では、PCに接続する外部メディアやPCの操作ログといった、どちらかと言うとハードウェア寄りのIT資産管理について説明してきた。しかし当然ながら、OSやアプリケーションなど企業内で使われているソフトウェア資産を適切に管理することもIT資産管理における重要なテーマである。そこで今回は、IT資産管理の中でもソフトウェア管理にフォーカスして解説したい。まずソフトウェア管理の基本となるのが、企業にとってリスクとなるソフトウェアの存在を発見し、その起動を制御することである。例えばファイル共有ソフトやメッセンジャーソフトなどが各社員の手で勝手に端末へインストールされてしまうと、情報漏えいリスクが増大することになる。これとは逆に、なくてはならないソフトウェアが正しくインストールされ、かつ適切に動作しているかを監視することも、ソフトウェア管理の大事な要素だ。例えばウイルス対策ソフトが許可なくアンインストールされていたり、動作を止められたりしていたとしたら、マルウェアに対して無防備な、極めて危険な状態となってしまう。実際、そうしたケースは多いと言われている。また、アプリケーションやOS自体は許可されているものだとしても、最新のセキュリティパッチが適用されていなかった場合にもやはり、脆弱性のリスクが生じてしまうことになる。ウイルス対策ソフトの定義ファイルについても同様で、最新の状態を保っておくことが欠かせない。このように、ソフトウェア管理では脆弱性を管理することも必要となるのである。さらに、コンプライアンス違反を防止するためのライセンス管理も、広義でのソフトウェア管理に含まれる。もしも企業内でライセンス違反のアプリケーションが使われていた場合には、違反金や賠償金が課されるなどして社会的信用の失墜にもつながりかねない。また、それぞれの機器に、どのようなソフトウェアがインストールされているかだけでなく、そのソフトウェアのバージョンやライセンス形態まで把握することで、無駄なソフトウェアの購入を未然に防ぎ、最適なタイミングで一括してライセンス更新を行うことも可能になる。○1台のPCには2000以上のアプリケーションが──どう管理すべきかソフトウェア管理における、ソフトウェアの種類の管理と起動制御、脆弱性の管理、それにライセンス管理は、それぞれ密接につながった関係にあるが、このうち脆弱性の管理とライセンス管理については次回以降に詳しく解説することにして、ここではソフトウェアの種類の管理と起動制御について説明することとしよう。ソフトウェア管理がハードウェアの管理と大きく異なるのが、管理対象となる”数”だ。企業のクライアントPC1台には平均して2000以上もの実行ファイル(EXEファイル)が存在していると言われている。つまり、500台のPCを使用している企業の場合、のべ100万にもおよぶ実行ファイルを管理しなければならないのである。ソフトウェアの数については、例えば、社内で使用を許可していたメールアプリケーションがバージョンアップによりチャット機能などが加わった場合に、企業によっては情報漏えい防止のため使用自体を禁止しなければならなくなる、というようなケースが発生することは想像に難くない。同じアプリケーションであっても、バージョンの変化で異なる挙動を行うケースまで想定すると、単にソフトウェア名称による管理というのは、いささか心許ないと言える。このように、ソフトウェア管理を徹底しようとした場合、従来の方法では工数が天井知らずに膨れ上がっていく可能性をはらむ。だからといって、誰がどのPCでどんなアプリケーションを使っているかすら把握できていなければ、とてもではないがアプリケーションの起動を一括して制御することなど不可能だ。そのため、実際的なソフトウェア管理を行うには、IT資産管理ツールが必須となる。IT資産管理ツールは、社内のネットワークに接続されたすべての機器のインベントリ情報を自動的に収集し、資産情報として一元管理できるが、PCにインストールされているアプリケーションについても、インベントリの収集が自動で行えるようになっている。通常、インベントリは日々更新されるため、勝手にインストールされたアプリケーションがあれば速やかに発見することが可能だ。そしてアプリケーションの制御機能によって、あらかじめ設定したアプリケーションは起動させないようにできるのである。こうした資産管理ツールの中には、クオリティソフト社の「QND Advance」のように、76000種以上を網羅した独自の「ソフトウェア辞書」を用いて、製品名、バージョン、エディション等、PCにインストールされた多種多様なソフトウェア情報の名寄せを行い、カテゴリー分けを支援するものもある。ただし、IT資産管理ツールを使って企業内のPCに存在するソフトウェアのインベントリが収集できたとしても、どのアプリケーションが危険なのかをいちいち判断して使用禁止の設定をするとなると、それなりの知識と工数が必要になる。また、管理者が危険なアプリケーションだと見抜けずに使用を許可してしまう恐れもある。そうした管理者の時間と知識を補うものとしては、先述の「QND Advance」が備える「グレイネットアプリケーション起動制御用アプリケーションDB」がある。これは、グレイネットアプリケーション(=情報流出のおそれがあるアプリケーション)をリストアップした辞書ファイルの中から、管理者が許可しないアプリケーションをまとめて指定することで、簡単に危険なアプリケーションの利用を禁止することができるものだ。辞書ファイルにはアプリケーションの種類とバージョンを含めて3000件を超える情報が収められており、クオリティソフト社により定期的に更新・提供がなされるため、常にプロの知見と最新の情報に基づいたアプリケーションコントロールが可能となる。また、同じアプリケーションであっても、社員によって、または部門によって使用可否を使い分ける運用も想定される。そのような際には、端末1台ごともしくは端末グループごとにアプリケーションの起動を制御できるIT資産管理ツールを選ぶようにしたい。今回は、ソフトウェア管理全般について、またその中でもアプリケーションの種類の管理と制御について紹介した。次回は、ソフトウェア管理における脆弱性の管理について詳しく解説する予定だ。
2015年04月13日社会での女性の活躍が叫ばれていますが、自分自身の働き方についてはどんな風に考えていますか。管理職になってバリバリ働きたい人もいる一方、あまり興味がないという人もいるかも。ただ、実際に管理職として働いている人とそうでない人では何か違いがあるのか、気になるところですよね。求人情報サイト、 リクナビNEXT が、女性ビジネスパーソンに対する調査の結果を見ると、30代と20代でのビジネスに関わる時間と費用の想像以上に顕著な変化がわかります。まず、勤務時間や残業時間に関しては、20代から30代にかけて増加する人が多かったものの、30代管理職と30代非管理職で差はないという結果が出ました。けれども、勤務時間以外で「社内の人との付き合いにかける時間」と「社外の人との付き合いにかける時間」においては、大きな差が見られました。「社内の人との付き合いにかける時間」は、30代管理職が週に2.88時間であるのに対し、30代非管理職は1.25時間、20代は1.73時間と1時間以上の違いが。「社外の人との付き合いにかける時間」も、倍近い差がつきました。社内外での人間関係は仕事をするうえで重要なことを感じている人もいるかも。そこに時間をかけて人脈を築けるかどうかが、30代からのキャリアアップに大きな影響を及ぼすのですね。次に、現在ビジネスに関わることでかけている費用をたずねたところ、ビジネススクールへの参加やビジネス書籍購入、社内の人との付き合いにかける費用、社外の人との付き合いにかける費用、いずれにおいても、30代管理職は、20代、30代非管理職を大きく引き離す結果となりました。特に、ビジネススクールへの参加費用については、30代管理職の9,900円に対し、30代非管理職は700円と約14倍の差がついており、20代非管理職も1,200円と、大きな差が生じています。もし20代に戻れるとしたら、今の自分のために最も時間をかけたいことをたずねたところ、30代管理職の24.0%が、「ビジネススキルをあげるためにビジネススクールへ参加する」と回答。他にも「社内の人との付き合いを深める」「ビジネススキルを上げるためにビジネス書を読む」「もっと仕事量を増やす」などの項目で30代非管理職より3ポイント以上の差がつきました。30代で管理職になった人は、20代からスキルアップをしておけばよかったと感じる人が多いようですね。今回のアンケートに回答した30代管理職のうち、52.0%が「仕事が楽しい」と答えているのに対し、「仕事が楽しい」と答えた30代非管理職は28.7%と管理職の約半分。仕事を楽しく続けたいなら、スキルアップをして、管理職をめざすのもひとつの方法なのかも。20代の頃は、なかなか30代のことはなかなか想像しにくいですよね。けれども、30代になって後悔しないように、そして可能性をより大きなものにしておくためにも、自分自身の働き方について改めて考えてみるのもよさそうです。・リクナビNEXT 公式サイト
2014年07月17日ネットで使える資金管理ツールをご紹介する連載コラム「上手に活用して”快適”マネーライフ! 『お金の管理』便利ツール」。第17回では、オンライン口座管理サービス『みんなの口座管理』を取り上げます。「みんなの口座管理」は、銀行や証券会社といった複数の金融機関の口座情報などを、インターネット上の1つの画面で確認することができる口座管理サービスです。1つのIDとパスワードのみで、登録している金融機関すべてのサイトへログインすることが可能です。また、金融機関以外にポイントやマイル、公共料金、インターネットショッピングといったサイトも登録することにできます。登録サイト数は、銀行が25社、証券会社が18社、FX会社が14社、クレジットカード会社が18社、ポイントやインターネットショッピングなどの「その他」が31社の合計106社(2012年9月30日現在)。NTTドコモの「My docomo」や楽天市場の「my Rakuten」、確定拠出年金インターネットサービスの「JIS&T」なども登録が行えるようになっており、家計簿代わりに使用することも可能です。それでは、早速使用方法を見ていきましょう。「みんなの口座管理」は、セブン銀行が運営していますが、同行の口座を持っていない人でも無料で利用することができます。まず、新規ユーザー登録ページにて必要情報を入力して仮登録した後、メールによる認証を経て本登録を行います。本登録が終わると、「金融機関の追加」画面にて、使用中の「銀行」「証券」「FX」「クレジットカード」「その他」の情報(口座番号やパスワードなど)を登録します。登録した金融機関の情報は、「資産一覧」ページにて一覧で表示されるようになります。このページでは、それぞれの金融機関情報のほかに、すべての資産の合計概算を示す「資産合計概算(銀行・証券・FX-カード)」や、電子マネー情報を示す「資産合計概算(その他)」などをチェックすることができます。また、ページ上部には「みんなの口座管理」からの通知も表示されるようになっています。もちろん、登録内容の詳細を確認することも可能です。「資産明細」画面では、金融機関の口座残高やカード利用明細といった詳細情報の確認が行えます。このうち、証券やFXの「資産明細」画面では、「時価単価」など登録した金融資産の時価を一括で確認することができるので、非常に便利です。「銀行等の入出金明細一覧」画面では、登録した銀行や証券、FX、その他(電子マネー)の入出金明細をまとめて表示。表示項目は、「日付」「金融機関名」「店名(口座番号)」「取引種別」「引出金額」「預入金額」「取引内容」「備考」の8項目となっています。「証券等の売買履歴一覧」画面では、登録した証券およびFXの売買履歴の一覧をチェックすることができます。表示項目は、「約定日」「受渡日」「金融機関名」「店名」「取引種別」「銘柄名」「数量」「単価」「清算」「金額」「備考」の12項目です。「クレジットカード利用明細一覧」では、登録したクレジットカードの利用履歴を閲覧することが可能です。表示項目は、「利用日」「カード名」「名義人」「支払月」「取引種別」「利用店名」「利用金額」「支払回数」「備考」の10項目となります。いくつかの表示項目に関しては、表示順序を昇順、降順に並び替えることができます。また、登録した金融機関情報を更新したい場合は、各金融機関の「更新」ボタンをクリック、すべての金融機関の情報を最新にしたい時は、「全てを更新」ボタンをクリックすると、情報が更新されるようになっています。なお、それぞれの明細・履歴の表示期間は最大3カ月ですが、サイトによりそれ以下の場合があるので注意して下さい。「オートログイン」機能を使うと、「みんなの口座管理」に登録したログイン情報を使用して、対象の金融機関に自動的にログインすることができます。ただし、オートログインに対応していないサイトについては、「ログイン」ボタンをクリックすると金融機関のログイン画面が表示されるようになっており、そこで各金融機関のログイン情報を入力してログインする必要があります。さて、みなさんの中には、口座情報などの重要情報を登録することについて不安を感じる人もいるかもしれません。しかし、「みんなの口座管理」では万全のセキュリティ対策を講じて、利用者の情報を守っています。登録の際には、SSLによる暗号化通信で個人情報を保護すると同時に、登録した情報は、複数のファイアーウォール(ハッカーからの不正アクセスを防止するための装置)によりガード。さらに、情報を格納するデータベースシステムは、セキュリティの堅牢なデータセンターに置かれ24時間365日監視されているため、安全に利用することができます。複数の金融機関情報をまとめて管理できる「みんなの口座管理」で、わずらわしいパスワード管理から解放されてみませんか? 【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月03日ネットで使える資金管理ツールをご紹介する連載コラム「上手に活用して”快適”マネーライフ! 『お金の管理』便利ツール」。第9回では、マネー情報の総合サイト、MSNマネーのオンラインサービス『My Money』を取り上げます。「My Money」は、銀行・証券・クレジットカードの残高を一覧できる残高照会サービスや、株価・投資信託・為替などを登録するポートフォリオ管理機能を利用できるオンラインサービスです。料金は無料ですが、一部機能を利用する場合は「Windows Live ID」の登録が必要となります。まずは、主な機能の1つ「残高照会(MoneyLook)」ツールについて見ていきましょう。同ツールは、複数の口座の情報一元管理(アカウント アグリゲーション)を行うサービスです。同ツールを利用することで、ユーザーが持っている銀行やクレジットカード会社、証券会社の口座残高や取引明細など、複数の口座情報をインターネット上で一括表示することができます。これにより、複数サイトのIDやパスワード管理が簡単に行えるようになるほか、登録した口座に自動でログインすることも可能になるという大変便利なツールなのです。対応金融機関およびサービスサイトは、業界トップクラスの700以上。もちろん公共料金の管理もできます。資産や負債の状況を一括管理することも可能です。例えば、複数の銀行口座を持っている場合、現在の収支を正確に把握するのは難しいものですよね。でも同ツールを使うと、収支をグラフ化して一目で確認が行えるようになるのです。また、まとめて管理することで、家計管理に費やす時間を減らすこともできます。さて、読者の皆さんの中には「口座情報を登録するのは心配…」と不安に感じている人もいるかと思いますが、同ツールはセキュリティ面にもしっかり配慮。金融機関のIDやパスワードといったログイン情報を、利用者自身のパソコンに暗号化して保存する方式を採用し、安全に利用することができます。なお、この暗号化し保存する役割を「ログイン管理マネージャー」という専用アプリケーションが果たしており、利用時にあらかじめパソコンにインストールする必要があります。次に、株式や為替などの管理を行う「ポートフォリオ」管理機能について紹介しましょう。同機能を利用すると、株式、為替、外貨、投資信託といった資産をまとめて管理することが可能になります。日本国内だけでなく、世界の株式、投資信託も網羅。通貨に関しては、日本円をはじめ、ユーロやスイスフランなど7種類に対応しています。また、同サイトのポートフォリオ管理機能は口座別に管理が行えるのが特徴。どの口座でどの金融商品を購入したか忘れてしまっても、すぐに確認することが可能です。さらに、登録時に購入日時を入力することで、今までの値動きをチェックすることもできます。使い方は、最初に「Windows Live ID」を登録します。登録後、ポートフォリオページ左上の「取引の追加」ボタンをクリックすると、ポップアップ画面が表示されます。ここで株式などのコード、購入した日付、取引方法、数量などを入力します。なお、株式コードは「株式検索」からワンクリックで追加することもできます。こちらは後で説明します。口座情報は「口座の追加」ボタンから入力します。また、「設定の変更」ボタンからはポートフォリオの合計を計算する項目について設定が行えます。自分が所有していない金融商品の動きもチェックしたいという人には「ウォッチリスト」機能がお勧め。購入を考えている2つ以上の金融商品を並べて、実際の動きを見ながら検討することが可能です。また、ポートフォリオと並べて見ることもできるので、現在所有している資産に追加した際のシミュレーションも行えます。なお、こちらの機能も「Windows Live ID」の登録が必要となります。最後に「株価検索」について説明します。同機能では、世界12カ国の株価や企業情報を検索、閲覧することが可能です。使い方は、検索する株式またはファンド名を入力し、国と銘柄の種類を選択します。銘柄名を完全に入力する必要はなく、一部を入力するだけでも検索が行えます。検索ボタンをクリックすると、結果ページにジャンプし、このページから、「ポートフォリオ」「ウォッチリスト」への追加もできます。このほか「MSNマネー」では、経済ニュースやお金に関するコラム、ユーザーアンケートなど様々な情報を提供。パーソナルファイナンスに役立つ情報を収集することができるようになっています。資産を一括管理できる上、家計管理に費やす時間を節約できるMSNマネーの「My Money」は、まさにインターネット時代の資産管理に適したツールといえるでしょう。皆さんも「My Money」で資産を有効活用してみませんか? 【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月08日