子どもたちが毎日たくさん練習することを「サッカーが好きすぎて」「上手くなるために頑張ってる」と目を細める親や指導者もいますが、それって正しいのでしょうか。オーバートレーニングになっているのでは?たくさん練習する=上達じゃないのでは?成長期に運動しすぎることの弊害は?など、今回はサカイク編集部が気になっている疑問を池上さんにぶつけてみました。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、練習しすぎによる心身への影響などを教えてくれました。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<仲間との協力プレーは大事だけど、ドリブルなど個のスキルも不可欠だと思う。U-8年代の指導は何に注力すべきか教えて<編集部からの質問>今回は、コーチからの質問でなく編集部から質問させていただきます。「運動しすぎること」について教えてください。いっぱい練習すること、長時間練習することが上達につながる、と思っている指導者はいまだに多くいるように思います。また、保護者側も同じように思っている方も多く、「毎日練習があるチームの方が上達する」と入団のポイントに挙げていたり、練習以外でもずっとボールを触っていることを「上達するために頑張っている」と目を細める方も少なくないようですが、これってサッカーの「しすぎ」ではないでしょうか。(オーバートレーニング症候群?)疲労回復の面や、成長期に運動しすぎるのは、摂取した栄養より消費カロリーが多そうで、身体を大きくする面でも気になります。先日の弊社イベント、親子サッカーでトレーニング後もずっとサッカーしている子たちがいて、池上さんが「練習しすぎを止めるのも大人の役目」と言ったと聞きました。指導者や親は、子どもの運動量について、どの位を目安にすればいいですか。<池上さんの回答>サカイク編集部から興味深い相談がありました。ありがとうございます。さて、みなさんは「超回復」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?アスリートだった方や、大学などでスポーツを学んだ方はよくご存じかともいます。超回復とは、トレーニングの間にきちん休むことで運動が定着することです。科学的にも証明されています。■筋力アップやスキル習得のためにも休息して「超回復」させることが大事例えば、練習や試合の後に一日、二日と休んだ翌日、トレーニングしたことが定着している、つまり上手くなったような感覚を持つことがあります。その感覚はその後少し薄れるのですが、そうやって運動しては、休みをきちんととることでうまくなっていきます。休息は、大人だけでなく子どものアスリートにとっても非常に重要です。また、超回復というと、筋力アップのためには休みが必要であるという説が有名です。しかし上述したように、スキル習得にも超回復は立証されています。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■サッカーが上手くなるためには、心身の余裕が大事そもそもインプットしたスキルは試合で使えるようにしないと意味がありません。要するにアウトプット、試合で発揮する機会が必要です。ところが、毎日ずっと練習しているとインプットばかりになってしまいます。いや、週末には試合をしていますよ、とおっしゃるかもしれません。が、少年サッカーの試合でコーチがこうしなさい、こう動きなさいと指示ばかりしていれば、それは練習になります。アウトプットし、それをまた自分で振り返る。サッカーが上手くなるには、そのようなこころの余裕が大切になってきます。きちんとお休みをとればリフレッシュできるのです。加えて、小学生年代に来る日も来る日もスポーツ漬けでは、人間形成ができません。もちろんサッカーによって人として成長するのですが、大人になるための学びの機会が必要です。サッカーだけじゃない。長い人生を考えると、友達と遊んだり、家族でどこかに出かけたり、野外活動などサッカー以外の豊かな経験を積んでほしいと思います。■日本の子はオーバートレーニングのリスクにさらされている欧州では、サッカーの間に、他の遊びをします。さまざまなスポーツも体験させます。例えば水泳やバスケットボールなど、他のスポーツの経験が後々サッカーの役に立つこともあります。ことサッカーという競技は、さまざまな運動技能が合わさったものです。ボールを足で扱うわけなので、多くの場面で片足で立っています。つまりバランスの競技です。そのことから、他のスポーツが大いに役に立ちます。日本でも、いくつかの競技を並行して行なう「マルチスポーツ」が注目されるようになりました。一方で、日本の小学生はオーバートレーニングのリスクにさらされています。小学校に紐づけられた少年団などでは朝練を行っているところもあります。そうなると、例えば放課後にサッカースクールに通う子の場合、寝るのは夜11時過ぎなのに翌日は早起きして学校に行かなくてはなりません。しかも、朝練はコーチや親から「やりなさい」言われてやっています。自発的な練習ではありません。■練習を「やればやるほどうまくなる」という根拠はない夏休みも、チームからの「リフティング〇回できるようになろう」という宿題に取り組まなくてはなりません。夏休みはもっと自由に他のことができるはずなのに、人としての成長に必要なことができなくなります。すでに申し上げたように、サッカーでも学べるけれど、他のことに集中することも大事です。そういったことがよくわかる本に『アスレチックスキルモデル才能を適切に発揮させる運動教育』(レネ・ウォンホートほか/金子書房)があります。良かったら手にとってみてください。たくさん練習をすれば上達する、やればやるほどうまくなると皆さん思われていますが、まったく根拠がないことがよくわかるでしょう。■運動しすぎるリスクは身体だけでなく精神面にも。楽しむはずのスポーツに「抑圧」されている運動をし過ぎるリスクは明白です。ジュニア期でオーバートレーニングになると、サッカーであればかかと、足の甲、足首、膝、腰と、下半身を中心にスポーツ障害のリスクが高まります。休まず長時間練習すると、睡眠が足らなくなります。そうすると身長が伸びません。100%、良いことはありません。加えて、精神的にもバーンアウトする恐れがあります。それなのに、大人も子どもも「練習しないと不安だ」という気持ちになっています。楽しくて、子どもの生活を豊かにするはずのスポーツによって、抑圧されています。このことは「毎日真面目に練習しなさい」と子どもに言ってしまう日本人の教育観も関係しています。練習するのは、チームの中で一番になるためです。大人がチームの中で競い合わせています。なぜなら学校の教育が同じ様式だからです。「クラスで一番になりなさい」と言われて育ちます。言われなかったとしても、そのような競争の価値観は刷り込まれています。どんなことにおいても競争、競争なので、運動会で全員手をつないでゴールしようといったことをしても、根本的な策にはなりませんでした。■チームで協力しあうのがサッカーなのに、個人プレーによる自己完結になっている(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)「競わせることが子どもの大きな動機づけになる」という意見もありますが、それではエゴイストが育ちます。チームで協力し合って勝利を目指すのがサッカーなのに、個人が活躍することで自己完結します。チームでどう勝つかといった重要なことが学べません。特に今のような暑い時期に無理にサッカーをする必要はありません。子どもをしっかり休ませましょう。その間、大人も休めます。その時間のなかで新たな学びをぜひ身に付けてください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年08月12日国立大学法人 東海国立大学機構 岐阜大学 高等研究院は、一般財団法人三菱みらい育成財団の助成事業「先端・異能発掘・育成プログラム」の採択を受け、『岐阜大学アントレプレナー育成プログラム ~野心よ集え~』を2022年8月20日(土)に実施いたします。本プログラムでは、野心的な受講生を対象に、視野拡大・意識改革を促す「マインドセットステージ」から、自ら発案した革新的事業アイデアの具現化・事業化・起業化に向けた取組みを行う「社会実践ステージ」までをシームレスに実施し、卓越的起業人材を育成・輩出します。このたび、本プログラムのキックオフシンポジウムを以下の通り開催いたします。キックオフシンポジウムチラシ(1)キックオフシンポジウムチラシ(2)【キックオフシンポジウム開催概要】 <スケジュール等>●タイトル :『岐阜大学アントレプレナー育成プログラム ~野心よ集え~』キックオフシンポジウム●日時 :2022年8月20日(土) 12:30~15:10●場所 :岐阜商工会議所 大ホール+オンライン配信(岐阜商工会議所所在地:〒500-8833 岐阜県岐阜市神田町2丁目2)●対象 :岐阜・愛知・東海地域の大学生・高校生・その他学生・社会人※新型コロナウイルス感染症の影響により、実施方法や来場人数に変更が生じる可能性があります<お申込み方法>●公式サイト: より応募フォームへ<プログラム>●12:35~13:50講演(1):鶴田さん(どんぐりピット社 CEO、大手自動車メーカー エンジニア、MBA)講演(2):長曽我部さん(岐阜大学発認定ベンチャーFiberCraze株式会社 代表取締役社長、岐大院生)講演(3):夏目さん(Artkake代表、岐大生)●13:50~14:05岐阜大学アントレプレナー育成プログラム 概要紹介※オンライン配信はここまで●14:20~15:05起業家8名と来場学生との座談会「起業家と本音で語り合う45分!」●15:10閉会●15:10~16:00来場者交流会(任意参加)<主催・協力>●主催:国立大学法人 東海国立大学機構 岐阜大学 高等研究院●協力:岐阜大学公認 起業部、Tongali(参画18大学)【三菱みらい育成財団の助成事業『先端・異能発掘・育成プログラム』に東大・京大ほかと並び採択】岐阜大学は、一般財団法人三菱みらい育成財団による、未来に向かう子供・若者の応援と、社会の未来を育むことに寄与することを目的とした助成事業「公募カテゴリー3『先端・異能発掘・育成プログラム』」において、「岐阜大学 アントレプレナー育成プログラム ~野心よ集え~」が採択されました。本学は以前よりアントレプレナーシップ教育に力を入れており、起業関連授業(アイデア発案・仮説検証)、ビジネスコンテスト出場支援、学生ベンチャー創設支援等、独自の体系的起業家育成プログラムを構築し進めてきました(令和3年10月7日 学長記者会見にて既報)。今回の採択を受け、岐阜・東海地域の大学生や高校生を対象に本プログラムで取組みの拡充や、内容の充実化を行うことにより、製造業の集積地である東海地域において革新的な事業を創出・持続的に発展させ従来の産業構造を変革し得る「卓越的起業人材」を発掘・育成していきます。なお、カテゴリー3「先端・異能発掘・育成プログラム」の助成金額は、年間1,000~2,000万円程度(岐阜大学は1,600万円/2022年度)で、取組みの定着を目的に原則3か年まで継続助成されます(同規模の助成金額で採択されたのは東大・京大・東北大・早稲田大)。【岐阜大学 アントレプレナー育成プログラムの概要】●名称 : 岐阜大学アントレプレナー育成プログラム ~野心よ集え~●プログラムマネージャー: 岐阜大学 高等研究院 上原 雅行●URL : アントレ育成プログラム概要【岐阜大学概要】●名称 : 国立大学法人 東海国立大学機構 岐阜大学●代表者: 機構長 松尾 清一●所在地: 〒501-1193 岐阜県岐阜市柳戸1-1●URL : *****************************************岐阜大学と名古屋大学は法人統合し令和2年4月1日から国立大学法人 東海国立大学機構となりました。***************************************** 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年08月10日イングランドでタレントを生み出す育成システムの基盤を作ったリチャード・アレン氏が、今シーズン横浜FCのシニアフットボールエグゼクティブ・テクニカルアドバイザーに就任。前編では、リチャード氏が考える日本の課題、日本サッカー発展のために必要な要素を伺いました。後編では、日本で「良い選手が生まれる仕組み」をどう作ればいいのかをお送りします。(取材・文:KEI IMAI)リチャードさんが語る、良い選手を育てるシステムとは<<前編:「日本で最高のアカデミーをつくる」横浜FCアカデミーアドバイザーのリチャード・アレン氏に聞いた日本サッカー発展のヒント■プレミアリーグでは自国人が試合に出られてない、という課題――イングランドは選手育成において、どんな課題があったのでしょうか、その課題をどのように解決してきたのでしょうか。プレミアリーグは世界各国のトップ選手が集まるため、非常にレベルが高いリーグです。イングランド人が試合に出られる割合は28~32%、チャンピオンズリーグになると22%ほどになるというデータがあります。つまり3割以下のイングランドの選手は、よりレベルの低いリーグでプレーしているということになります。この状況を変えるために、まずイングランドDNAというプロジェクトを立ち上げました。ホームグロウンプレイヤー(イングランド出身のトッププレイヤー)を増やすための取り組みです。そのフィロソフィーとして、1.WHO WE ARE 私たちは誰で2.HOW WE PLAY どのようにプレーして3.HOW WE COACH どのようにコーチをして4.将来的なイングランドの選手を5.スポーツ科学を取り入れて、DNAを育むという5つの柱で取り組んでいます。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■自国出身のトッププレイヤーを育てるシステムエリートプレイヤーズパフォーマンスプラン(EPPP)というプレミアリーグと共同で運営しているものがありますが、これもホームグロウンプレイヤー(イングランド出身のトッププレイヤー)を量と質の両面で増やすことが目的です。そしてアカデミーシステムへの投資も行っており、プレミアリーグから評価されアカデミーにはその評価によって異なる助成金が分配されます。分配されたお金は、ホームグロウンプレイヤーの質と量を上げるために、施設や指導者の確保など育成のために使われます。この育成システムを客観的に評価する必要がありますが、これを外部の専門機関に委託しています。育成資料の検証とヒアリング、トレーニング内容や試合の分析を通じて育成組織を評価するシステムが欧州にはあります。チームの「フィロソフィー」や「カリキュラム」「メソッド」「選手評価」などのシステムが幅広く評価、査定されます。これらのシステムが機能しはじめてから、ジェームズ・サンチョ、フィル・フォーデンなどのホームグロウンプレイヤーが出てくるようになりました。マンチェスターシティ、ユナイテッド、チェルシーなど世界のトッププレイヤーが集まる中でプレーできる選手を育成するためにはシステムを変える必要があったのです。■選手育成においては、コーチが子どもたちにオーナーシップを持たせることが重要――育成システムの構築と同時に、指導者のレベルアップも必要になると仰いました。日本の育成年代のコーチへアドバイスをいただけないでしょうか。コーチはとても重要な存在です。デモンストレーションできるスキルがないといけませんし、コーチングの知識も必要です。子どもたちのことを知ることも重要で、学習プロセスもそうですが、何を感じ、何をしようとしているのかもしっかりと把握しなければなりません。そしてなにより、子どもたちが自分達で問題を解決する力を養うことがとても大切なことです。そのために子どもたちにオーナーシップ、権限を持たせてあげてほしいと思います。育成システムが機能する上でコーチが担う役割はとても重要なのです。■横浜FCでのビジョンとエリートプログラムについて――横浜FCでのビジョン、エリートプログラムについてお聞かせください。ビジョンとしてはまず、日本で最高のアカデミーにすることです。質の高いサッカーを体系的に学べる環境をつくりたいと思っています。しかしながら、すべての選手がプロになれるわけではないので、サッカーをコーチングすると同時に、それ以外に一人ひとりの適正を踏まえて最適な道を提案できるようなアカデミーにしたいと思います。エリートプログラム開設の狙いについてですが、世界で活躍するために必要な5つの要素を落とし込んでいきます。・効果的な仕事ができる・高い技術をもっている・理解度に優れている・運動能力に優れている・人間性に優れているこれらを養うために、エリートプログラムでは選手をスカウト、セレクトします。そして世界で戦うために必要なレベルの高いトレーニングを行います。海外遠征にも行きます。国外のチームとの試合経験を重ねながら育成することが非常に重要だからです。選手個々の成長プロセスを定期的に評価し、適切なレベルでのプレー機会を提供することで選手の成長機会を担保していきます。横浜FC「エリートプログラム」開校のご案内>>リチャード・アレン氏プロフィール2005年~2012年トッテナム・ホットスパーFCアカデミー部門採用最高責任者2012年~2014年QPR FC アカデミー統括最高責任者2014年~2017年FA(イングランドサッカー協会)タレントID(才能発掘及び育成)最高責任者2018年~2021年ラフバラ大学フットボール統括ダイレクター2022年~横浜FCシニアフットボールエグゼクティブ テクニカルアドバイザーサッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年08月05日日本代表の久保建英選手を直接指導するなど、世界で活躍するトップ選手にコンサルティングや指導を行い、パリ・サンジェルマンの育成部門でダイレクターを務めたダビッド・エルナンデス氏。10年以上にわたるキャンプやクリニックを通じて日本人選手についても熟知している指導者です。前編では、ダビッド氏が考えるスペインと日本で育成年代の選手において11の違いをお伝えしました。後編では、日本人選手が世界で成功するために必要なトレーニングなどを伺いました。パリサンジェルマンの育成部門でダイレクターを務め、かつては久保建英選手を直接指導していたダビッド・エルナンデスさん<<前編:パリ・サンジェルマンでダイレクターを務めた指導者が語る、スペインと日本で育成年代の選手における11の違いとは?■日本がW杯で優勝するために分析すべきこと――なぜ日本人選手は成功するのが難しいのでしょうか?まずサッカー選手にとって「成功する」とは何を意味するかを定義しなければいけません。もしそれがサッカーをプレーすることを楽しみ、その後の人生において大切な能力や価値を身につけるということを意味するなら、日本人選手は既に成功していると言えると私は考えます。一方で、もし日本代表が世界ランキング上位のチームに勝つことや、ワールドカップで優勝することとするなら、改善すべき点について分析するべきかもしれません。――改善すべき点とはどのようなことでしょうか?前編でもお話したように「率先力」「理解力」「柔軟性」「量」「質」「規律」「努力」「積極性」「順序」「コーディネーション」「評価」これら11の要素があげられます。■日本では正しいとされる会話の「順序」が、スペインやイタリアでは通じないことも――11の要素に含まれている「順序」とはどのようなことでしょうか?どんな国でもトレーニング形式はその国の伝統や文化に影響を受けるものです。日本の場合も同様で、いくつかの場面では日本の伝統や文化がとても良い影響を与えていると考えています。日本のチームが試合後にロッカールームを使用前と同じかむしろ使用前よりも綺麗にしている画像が欧州ではたびたび話題になります。また、日本チームが試合に負けた後、ファンに敬意を払い負けたことを謝ったり、応援してくれたことに感謝したりする写真もよく目にします。しかしこうした影響はいつもポジティブに働くわけではありません。日本人にとっては会話において「順序」を尊重することが大切です。他人の時間や空間を邪魔しないことが正しい振る舞いとされています。こういったことはスペインやイタリアの文化とは大きく異なっています。私たちスペイン人にとっては、ジェスチャーをしたり、話すときに腕を動かし、相手を触ったりするのは普通のことです。相手が話し終える前に遮るように話すことも普通なのです。この「順序」という概念は人生の多くの場面でメリットをもたらしますが、サッカーのトレーニングや試合ではデメリットになると私は考えます。「順序」の概念も、サッカーのトレーニングや試合ではデメリットになるとダビッド氏は語りますサカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■日本人は腕や身体を使ってボールを奪う回数が少ない――それでは日本人がサッカーで成功するためには文化を変えなければいけないのでしょうか?いいえ、そうではありません。選手のプレーの戦術的な面を分析する時、トレーニングのプランニングを考える時、そしてトレーニングや試合中に、この点を考慮しなくてはいけません。正しくあることやルールを守ることは大切です。しかし、個人やチームのプレーにネガティブに働いてしまう慣習は修正しなければいけないということです。――例をあげていただけますか?例としては、ウイングの選手がボールを持ち、クロスを上げようとしています。多くの場合、日本のサイドバックの選手は強くプレスをかけずに相手に自由にプレーさせてしまいます。相手に介入しないのです。相手のプレーを遮るのに時間がかかってしまい、相手に有利な状態でプレーされてしまいます。もうひとつの例はボールを奪う場面で、相手のパスをインターセプトするか、五分五分のボールを奪うことがほとんどです。私の見解では、相手のスペースに入っていき腕や体を使ってボールを奪う回数が日本人選手は極端に少ないように思います。日本人選手は相手のスペースに入って腕や身体を使ってボールを奪うことが極端に少ない印象がある、と語るダビッド氏■日本人が世界で活躍するためにはどのようにトレーニングすべきか――ではどのようにトレーニングすべきなのでしょうか?ここではひとつの例しかあげていませんが、私が思うにこの「順序」という概念がプレーにネガティブな影響を及ぼしている場面はたくさんあります。まずやらなければいけないことは、普遍的な個人戦術(プレー原則)やポジションごとの個人戦術のひとつひとつをパフォーマンスとして発揮できているか分析することです。次に文化的な影響を受けている問題点を補完するための具体的なキーファクターを考えることです。そして最後に、その問題点に選手が直面し、解決方法を見つけるためのトレーニングを準備することです。――ではどのようにトレーニングすべきなのでしょうか?前編の「スペインと日本で育成年代の選手における11の違いとは?」では、それぞれの育成年代の選手の違いを「率先力」という観点から分析しています。近いうちに「日本サッカーと欧州のサッカー 11の違い」というタイトルで本を出版し、これらの要素を(定義、比較分析、事例、メリットとデメリット、指導法など)深掘りしていく予定です。また、エコノメソッドキャンプでは、先程述べた日本人選手の課題を改善するトレーニングを行っていますので皆様の学びになるはずです。<エコノメソッドサマーキャンプ2022 概要>【開催日時・場所】【中学生キャンプ】中学1年生~3年生京都クール8/12(金)-8/13(土)@大谷中学高等学校【小学生キャンプ】小学2年生~6年生奈良クール8/9(火)-8/10(水)@ヤナギフィールド愛知クール8/15(月)-8/16(火)@瀬戸SOLAN小学校千葉クール8/18(木)-8/19(金)@ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA川崎クール8/22(月)-8/23(火)@富士通スタジアム川崎高知クール8/27(土)-8/28(日)@野市ふれあい広場サッカー場対象小学生キャンプ:小学2年生~小学6年生中学生キャンプ:中学1年生~中学3年生基礎技術をしっかり持った中級・上級レベルの方※男女不問その他各種割引あり(友達紹介割引、兄弟割引など)宿泊・通いプランありエコノメソッドキャンプの詳細・お申込みはこちら>>エコノメソッドスクール公式HP>>ダビッドさんのトレーニングも紹介賢いサッカー選手を育てるDVD
2022年08月01日パリ・サンジェルマンの育成部門でダイレクターを務めたダビッド・エルナンデス氏は、かつて日本代表の久保建英選手を直接指導するなど、世界で活躍するトップ選手にコンサルティングや指導を行ってきました。また、10年以上にわたりサッカーキャンプやクリニックなどで来日し指導をしてきた経験があり日本人選手についても熟知しています。ダビッド氏はスペインと日本で育成年代の選手において11の違いがあると考えています。ダビッドさんの指示に真剣に耳を傾ける選手たち<<関連記事:スペイン人指導者が語る日本人選手の良さは「技術」と「練習態度」、一方で世界と比べて欠けているスキルとは?■川崎フロンターレ、鹿島アントラーズ、JFAアカデミーなどで指導したことも――日本とスペインで育成年代の選手への指導経験はどのようなものがありますか?私はスペイン(ヨーロッパ)と日本の育成年代の選手のことをよく知っています。これまでスペイン(RCDエスパニョール、カタルーニャサッカー協会)に加えフランス(パリ・サンジェルマン)とイタリア(サッカー連盟)で指導してきました。この3つの国を挙げたのはこれらの国がこれまでに世界一になったことがあるからです。さらにここ12年間は日本でもエコノメソッドのスクールやキャンプ、川崎フロンターレ、鹿島アントラーズ、奈良クラブ、JFAアカデミーなどで指導する機会に恵まれました。しばらくの間コロナウイルスの影響で海外へ行くことが出来ませんでしたが、ここ最近また日本に帰ってくる機会があり、その時何度も聞かれたのが、「日本とスペインの育成年代の選手は何が違うのか?」ということでした。ダビッドさんの指示に真剣に耳を傾ける選手たち■スペインと日本の育成年代における「11の違い」とは――その違いをいくつか挙げていただけますか?私自身もこの問いについて長い時間考えて、スペインと日本の育成年代について11個の要素において違いがあるという結論に至りました。それが、「率先力」「理解力」「柔軟性」「量」「質」「規律」「努力」「積極性」「順序」「コーディネーション」「評価」です。――これら11個の要素はどのように分類されるのでしょうか?私はこれらの要素は次のように分けられると考えています。「率先力」「柔軟性」「理解力」「積極性」は戦術的な特徴に関するものです。次に「コーディネーション」は身体的な特徴に関するもの、他には「質」「量」「評価」「順序」はトレーニング環境に関するもの、最後に「努力」「規律」はメンタルに関する要素です。11の要素TURNO(順序)、COORDINACIÓN’(コーディネーション)、EVALUACIÓN(評価)、ESFUERZO(努力)、AGRESIVIDAD(積極性)、INICIATIVA(率先力)、COMPRENSIÓN(理解力)、FLEXIBILIDAD(柔軟性)、CANTIDAD(量)、CALIDAD(質)、DISCIPLINA(規律)サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■ドリル形式のトレーニングに慣れると自分でプレーの判断ができない選手になる――どれかひとつを簡単に説明していただけますか?「率先力」は選手たちのプレーの戦術的な面で違いを生む重要な特徴のひとつです。サッカーの試合では、練習した通りでない状況や、様々な理由で個人やチームとしてのゲームプランを実行できない場面に遭遇します。しかしそのような時でもできるだけ早く適切な判断をしなくてはいけません。例えば、自チームのセンターバックがフリーでボールを持っていて、ディフェンスラインの他の選手は相手にマークされているとします。そのときに中盤の選手はうまく連携を取れておらず、全員がボールに近づいてしまいました。その一方でセンターフォワードの選手は疲れているせいか状況を正しく把握していないせいか、前線に残り高い位置でボールを要求しています。そうなるとチームのシステムの真ん中に大きなスペースができており、そこには誰もいない状況になります。通常この中央のスペースはウイングの選手が埋めるべきではありませんが、この場合ウイングのどちらかがこのスペースにサポートに入り、空いたスペースを活かすことが大切です。これが試合の中で選手の「率先力」が重要になるところであり、選手が日頃からトレーニングの中で問題を解決することに慣れていなければいけない理由です。もし判断の必要がなく同じ動きを繰り返すドリル形式のトレーニングに慣れてしまうと、自分自身でプレーの判断ができない選手になってしまいます。逆に、問題のある状況に置かれるようデザインされたトレーニングをメインに行えば、選手は継続的に自分自身で判断せざるを得ず、主体性が養われ、実際の試合でプレーする時に「率先力」を発揮できるようになります。選手の育成段階やクラブのプレーモデルに応じてトレーニングをするため、指導者は選手のプレーを評価できる客観的な指標、トレーニングメニュー、指導法について学ばなくてはいけません。■11の要素を実践するための場がある――この11個の要素についてもっと知るためにはどうすれば良いでしょうか?また、どのように育成年代のトレーニングを改善すれば良いのでしょうか?ここでは「率先力」という1つの要素についてお話ししましたが、読者の方は後編の「日本人選手が成功するために足りないこととは?」(※近日配信)をお読みください。その中では「順序」の要素についてお話しします。また近いうちに「日本サッカーと欧州のサッカー 11の違い」というタイトルで本を出版し、これらの要素を(定義、比較分析、事例、メリットとデメリット、指導法など)深掘りしていく予定です。また、ここで話した考え方を実践する場として、育成年代の選手たちにはエコノメソッドキャンプへ参加することをお勧めします。<エコノメソッドサマーキャンプ2022 概要>【開催日時・場所】【中学生キャンプ】中学1年生~3年生京都クール8/12(金)-8/13(土)@大谷中学高等学校【小学生キャンプ】小学2年生~6年生奈良クール8/9(火)-8/10(水)@ヤナギフィールド愛知クール8/15(月)-8/16(火)@瀬戸SOLAN小学校千葉クール8/18(木)-8/19(金)@ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA川崎クール8/22(月)-8/23(火)@富士通スタジアム川崎高知クール8/27(土)-8/28(日)@野市ふれあい広場サッカー場対象小学生キャンプ:小学2年生~小学6年生中学生キャンプ:中学1年生~中学3年生基礎技術をしっかり持った中級・上級レベルの方※男女不問その他各種割引あり(友達紹介割引、兄弟割引など)宿泊・通いプランありエコノメソッドキャンプの詳細・お申込みはこちら>>エコノメソッドスクール公式HP>>ダビッドさんのトレーニングも紹介賢いサッカー選手を育てるDVD
2022年07月25日日本最大のスポーツ・フィットネス・健康産業総合展「SPORTEC 2022」にRTAが出展未来のパーソナルトレーナーを育成する「REAL WORKOUT TRAINER’S ACADEMY(略称:RTA)」の運営会社、株式会社WORKOUTは2022年7月27日(水)からの3日間、東京ビッグサイトにて開催される、日本最大のスポーツ・フィットネス・健康産業総合展「SPORTEC 2022」に出展いたします。▼SPORTEC2022 公式サイト ■ 「REAL WORKOUT TRAINER’S ACADEMY(略称:RTA)」とはパーソナルジムを全国で75店舗展開するREAL WORKOUTが手がけるパーソナルトレーナー育成スクール「REAL WORKOUT TRAINER’S ACADEMY(略称:RTA)」。未来のパーソナルトレーナーの育成から、一般の方でも本格的な体づくりが学べるアカデミーとして2022年4月に開講いたしました。▼REAL WORKOUT TRAINER’S ACADEMY 公式サイト ■RTA主催セミナー『パーソナルトレーナーが日本をぶち上げる!』in SPORTEC 2022 開催概要「REAL WORKOUT」は日本国内で拡がりを見せるパーソナルトレーナー達の可能性をさらに最大化していくことを目的に活動することで、既存のフィットネス産業における活性化に尽力してまいります。パーソナルトレーナーとしての活動を通しこの世界で暮らす人々の生活を健康面からサポートしていき、一人でも多くの方々の明るく豊かなライフスタイル形成、幸福度の高い社会づくりの実現を目指してまいります。この度、本ブースで開催されるセミナーでは常日頃からREAL WORKOUTで活躍するメンバーにフォーカスし、パーソナルトレーナーとしての働き方の素晴らしさ、やりがいや意義、経済的報酬面なども含め赤裸々に会場の皆様と議論することで、一人でも多くの方々にパーソナルトレーナーとして働くことの魅力に気づいていただけたらと思い開催する決意に至りました。ぜひSPORTEC 2022の会場内でお会いできることをスタッフ一同楽しみにしております。【開催日】2022年7月27日(水)〜 2022年7月29日(金)【会場】東京ビッグサイト 東展示棟 1-3ホール SPORTEC2022会場内ブース【対象者】フィットネス業界、パーソナルトレーナー、体づくりに興味のある方【登壇者】株式会社スタディーズ 代表取締役 榊原 啓 氏株式会社GOAL-B 最高執行責任者 山宮 健太郎 氏RTA 監修・統括トレーナー兼 REAL WORKOUT フランチャイズオーナー 相良 光次郎 氏REAL WORKOUT フランチャイズオーナー 酒井 成徳 氏REAL WORKOUT フランチャイズオーナー 米田 武史 氏REAL WORKOUT 浦和店 トーレナー 中原 大樹 氏株式会社WORKOUT 代表取締役 土屋 耕平 氏株式会社WORKOUT 執行役員 事業部長 出口雄策 氏株式会社WORKOUT 店舗統括マネージャー兼CS担当者 岩田朋之 氏【主催】REAL WORKOUT(株式会社WORKOUT)7/27(水曜) 開催セミナー7/28(木曜) 開催セミナー7/29(金曜) 開催セミナー■ SPORTEC 2022 公式サイト当日のイベント会場の詳細は公式サイトをご覧ください。SPORTEC2022 公式サイト: REAL WORKOUTについてREAL WORKOUTは2018年に誕生して以来、「パーソナルトレーニングを全ての人に!」というコンセプトのもと、全国75店舗を展開。今までダイエットという文脈でしか想起されなかったパーソナルジムのイメージを若者向けには“BODYMAKE”や“ファッション”、中高年層向けには“サステナブルボディ”などというキーワードでサービスづくりを行い、新しい顧客層から支持を集めていす。HP: 会社概要株式会社WORKOUT(WORKOUT INC.)〒141-002東京都品川区東五反田5-22-33 wework TK池田山ビル2F代表取締役CEO土屋耕平・パーソナルジム 「REAL WORKOUT」の運営・トレーナースクール「REAL WORKOUT TRAINER’S ACADEMY」の運営・宅配ダイエット弁当「WORKOUT FOOD」の企画、販売・アパレルウェアの企画、販売設立:2018年2月資本金:4700万円(資本準備金含む)店舗数:75店舗(直営・FC店含む)URL: 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年07月16日特別支援教室のガイドラインが変更に出典 : 東京都では、平成28年度から小学校、平成30年度から中学校の特別支援教室の導入を進めてきました。この導入期に合わせて「特別支援教室の導入ガイドライン」が作成され、ガイドラインに沿って各校で特別支援教室の導入が進められました。そして、令和3年4月に東京都の全ての区市町村立小中学校において特別支援教室の導入が完了しました。それに伴い、令和3年3月に「特別支援教室の運営ガイドライン」が作成されました。このガイドラインには、あらたに指導期間の考え方や指導目標の設定の仕方などが記載されました。東京都教育委員会|「特別支援教室の運営ガイドライン」を作成しました「特別支援教室の運営ガイドライン」は、導入時のガイドラインとどのような点が変わったのでしょうか。東京都教育委員会の教育庁都立学校教育部特別支援教育企画調整担当の方にお話を伺いました。新ガイドラインでは、指導期間や指導目標について明確に。そのねらいとは?出典 : 発達ナビ編集部(以下――)特別支援教室の導入時のガイドラインと、最新の 「特別支援教室の運営ガイドライン」の違いはなんでしょうか?東京都教育委員会:特別支援教室の運営に必要なことだけではなく、特別支援教室での指導以外の場面での役割の重要性など、これまでの導入ガイドラインの内容をさらに充実させています。特に、指導期間の考え方、指導目標の設定(読み書きチェックリストの活用、連携型個別指導計画の作成)の仕方、指導による達成状況の確認、指導目標を達成した後の在籍学級での支援などについても記載を充実するなど、発達障害のある児童・生徒への支援について総合的に記載しています。ーーガイドラインが発表されたことにより、支援者や保護者からどのような声がありましたか。東京都教育委員会:保護者の方や学校の先生方から、指導期間の考え方について教えてほしいといった声などが寄せられました。発達障害のある児童・生徒は、学校生活での多くの時間を通常学級で過ごしています。こうしたことからも、特別支援教室での学びを通じて、学習上や生活上の困難さを低減し、学校生活を有意義に過ごしてほしいと考えています。そのため、一定の指導期間の中で、どの程度、指導目標を達成できたのかを確実に評価すること、その上で、引き続き指導の継続が必要なのか、それとも指導を終了し、通常学級の中での配慮や工夫をしていくことが良いのかなどをしっかりと判断して実践していくことが重要だと考えています。指導期間は、一つの区切り。大切なのは、子どもの困りに着目すること出典 : ーーガイドラインの中の「原則の指導期間 は1年間とする」「延長する場合、再設定する指導期間は最長1年間とする」という指導期間について具体的に教えて下さい。それ以降は在籍できないということなのでしょうか?東京都教育委員会:そのような声が保護者の方や先生方からもありました。期間をはっきり記載したのは、「基本的に1年間しか在籍できません、最長2年間までしか在籍できません」ということではありません。1年、2年というのはあくまでも一つの区切りなので、期間を設けた上で「本当にその子が困っていることは何なのか」「指導法は合っていたのか」などを確認しよう、2年間の指導に対し、指導目標の達成まで至らなかった場合は、改めて適切な支援の在り方から考え直そう、ということです。そこでやはり特別支援教室での指導が必要であれば、再度在籍することもできます。また、特別支援教室を退室したお子さんが、やはり指導が必要だとなれば、改めて特別支援教室で指導を受けることも可能です。ーーありがとうございます。指導期間の考え方についてよく分かりました。最後に子どもたちへのメッセージをお願いします。東京都教育委員会:発達障害による困難さで、さまざまなつまずきを感じているかもしれません。また、うまくいかないなどの経験から自信をなくしてしまうこともあるかもしれません。特別支援教室は、みなさんのスキルを向上するための教室です。発達障害による困難さを少しでも低減することができるよう、先生方が寄り添ってくれます。先生方を信じて頑張ってくださることを願っています。取材協力:東京都教育委員会教育庁都立学校教育部特別支援教育企画調整担当
2022年06月14日選手の約7割は指導者の理論を欲していない では、どう伝える?株式会社カンゼンは、現在、Jリーグ大分トリニータでヘッドコーチを務める歴戦の指導者岩瀬健氏による『サッカー指導者は伝え方で決まる机上は緻密に、現場は柔軟に』を6月7日より発売いたします。『サッカー指導者は伝え方で決まる机上は緻密に、現場は柔軟に』書影内容紹介選手の約7割は指導者の理論を欲していないでは、どう伝える?歴戦のプロ指導者が明かす「ザ・現場」のリアルな手引き書プロサッカー指導者の岩瀬健氏はトップチームからスクールまで様々なカテゴリーのサッカー選手を指導してきました。サッカー指導者は、ピッチ外における「指導者の理論(ロジック)」とピッチ内における「選手の感覚(フィーリング)」に隔たりがあることを自覚しなければならない、と彼は言います。つまり、机上では緻密な理論を持つことは当然として、現場ではその理論を柔軟に伝えなければ選手は躍動してくれない――。トップチーム監督デビューとなった大宮アルディージャでの経験も踏まえながら、試合、戦術、分析、練習、育成、選手など、シチュエーションごとの最良の伝え方をサッカーライターの清水英斗氏とともに考察していきます。サンプルページ第1章ロジックは緻密に、伝え方はポップに第3章ゲーム分析と伝え方第4章練習設計の考え方対談指導者の「伝え方」を考察する岩瀬 健( 大分トリニータヘッドコーチ)×戸田和幸( 元日本代表・解説者・指導者)目次目次①目次②序章「伝える」とは何か?お互いが次に進むために/監督のキャリアに関わるターニングポイント/指導者としていかに「伝える」か1章ロジックは緻密に、伝え方はポップにロジックでは選手に伝わらない/伝えるのは指導者だが伝わる方法は相手によって決まる/ロジックを好む選手との接し方/コーチは選択肢を増やし、監督は決断をする/ズバッと変えられる勇気はあるか?/監督が仲介人を付けるケースが増えている2章サッカーの戦術とは何か?戦術が「窮屈ではない」若い選手が増えつつある/攻撃における3つのキーワード/「スペース」は必ずある、「良いタイミング」は相当な幅がある3章ゲーム分析と伝え方練習設計は敵陣、自陣に分けて考えると落とし込みやすい/相手を分析する上で攻守において目を留めるポイント/試合の「結果」を受けて伝える時に必ず注意すべきこと4章練習設計の考え方指導者は練習のメリットとデメリットを把握したい/前の試合の修正課題を指摘する際に留意すべきこと/次の試合の想定・準備には「余白」を残しておくべき?/「プレービジョンの浸透・増幅」を意識し、無機質な練習になるのを避ける/選手と信頼関係があればどんな練習でもあり5章育成に携わる者としてこれから「変わるもの」「変わらないもの」を想像する/サッカーは3つの要素を奪い合うスポーツ/選手にとって小学6年生という1年間は一生に一度しかない/指導者が「やりたいこと」と「できること」に差が生まれるワケ/依存より自立すること、大人になってから伝わること/「生」で衝撃を受けることが指導の熱量につながる6章個人、グループ、チームの関係性チームと個人の成長のバランスをどう考えるか/指導のメソッドがあるメリットとデメリット対談指導者の「伝え方」を考察する岩瀬健( 大分トリニータヘッドコーチ)×戸田和幸( 元日本代表・解説者・指導者)おわりに書誌情報タイトル:サッカー指導者は伝え方で決まる机上は緻密に、現場は柔軟に著者:岩瀬健構成:清水英斗定価:1,870円(本体1,700円+税)判型:四六判総頁数:208PISBNコード:978-4-86255-644-8発売日:2022年6月7日amazon : Rakutenブックス : 商品情報 : プロフィール岩瀬健(いわせ・けん)1975年7月8日生まれ、千葉県出身。習志野高校から1994年に浦和レッドダイヤモンズに加入。98年シーズン途中に大宮アルディージャへ移籍し、5シーズンプレーしたのち指導者の道へ。浦和のユースコーチなどを経て13年から柏レイソルの育成組織で指導。U-15コーチ、U-15監督、アカデミーダイレクターを歴任し、17年からトップチームのヘッドコーチに昇格。18年のリーグ戦残り2試合を監督として指揮。19年はアカデミーヘッドオブコーチ、2020年は大分トリニータのヘッドコーチ、21年は大宮の監督に就任するも、同年5月に成績不振を理由に解任。22年から再び大分のヘッドコーチを務めている。清水英斗(しみず・ひでと)1979年12月1日生まれ、岐阜県出身。プレーヤー目線で試合の深みを切り取るサッカーライター。著書に『サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点』(東邦出版)、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』(中公新書クラレ)、『サッカー好きほど知らない戦術の常識』(小社)など。【この件に関する問い合わせ先】株式会社カンゼン営業部担当:伊藤真TEL:03-5295-7723MAIL: ito@kanzen.jp 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年06月03日ボランティアで捜索救助犬の育成を行うHDS K9は、捜索救助犬の育成費募集をクラウドファンディングサイト「READYFOR」にて2022年5月30日(月)に開始いたしました。災害での活動「READYFOR」クラウドファンディングサイト ■HDS K9についてHDS K9(エイチディーエス ケーナイン)は警察犬の養成経験を持つ代表の平井 智也と杉原 久依が人命の捜索活動や地域の防災・災害対策意識を高めるとともに犬とのかかわり方を社会に広めることを目的として、2018年11月1日愛知県豊橋市に発足しました。犬との共存・共生の社会を伝えられる捜索救助犬活動チームを目指しています。メンバーは現在8名で普段は会社員など一般的なお仕事をしておりますが、時間を調整しながら捜索救助犬の育成をボランティアで行っております。また災害時には東海地方だけでなく、全国的に広く活動しております。■クラウドファンディングの目的災害の支援活動、行方不明者の捜索など、捜索救助犬の需要は高まっていますが多くの資金、時間、人員などが必要です。特に資金の面では厳しい状況にあり、訓練費用、交通費、設備装備費、施設維持費がかかります。また訓練もさまざまな場所、シュチュエーションで行う必要があります。現在はメンバー間で調整しながら費用を出し合っていますが、常時捜索救助犬がベストなコンディションで稼働できるようにするためには、年間約150万円ほどの費用がかかります。今回はそのうちの50万円をご支援いただき、プロジェクトに近づけていきたいと思っております。■リターンについて3,000円 :・プロジェクト終了時、心を込めて感謝のメールをお送りいたします。・年に1回、年間活動報告をお送りさせていただきます。・HPにお名前を掲載いたします。5,000円 :・プロジェクト終了時、心を込めて感謝のメールをお送りいたします。・年に1回、年間活動報告をお送りさせていただきます。・HPにお名前を掲載いたします。10,000円:・プロジェクト終了時、心を込めて感謝のメールをお送りいたします。・年に1回、年間活動報告をお送りさせていただきます。・HPにお名前を掲載いたします。※活動報告書は毎年、HDS K9が解散しない限り送付させていただきます。■プロジェクト概要プロジェクト名: 捜索救助犬の育成費を集めたい期間 : 2022年5月30日(月)10:00~6月23日(木)23:00URL : 集まった資金は捜索救助犬の育成費用に充てさせていただきます。■会社概要商号 : HDS K9代表者: 代表 平井 智也設立 : 2018年11月URL : 【本件に関するお客様からのお問い合わせ先】HDS K9 お客様相談窓口(担当 山本)TEL:052-211-8740 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年06月02日育成で様々な取り組みをしているサッカー先進国の一つドイツ。実際にブンデスリーガの育成アカデミーでは育成をどのように捉え、それぞれの子どもたちとどのように向き合っているのでしょうか?ブンデスリーガの育成アカデミーではプレー面を担当する監督・コーチのほかにいろんなジャンルの専門家を正規雇用することが義務付けられています。フィットネスコーチ、ビデオ分析、栄養士と並んで興味深いのが「教育担当」スタッフです。育成指導者は数が多いので、ブンデスリーガの育成アカデミーでもみんながみんな正規雇用というわけにはいきません。教育担当スタッフは各クラブの規模にもよりますが、チーフスタッフを含め数名の正規雇用スタッフが重鎮しています。なぜ育成アカデミーに教育担当スタッフが必要なのか、どんな役割を担っているのかについて、丁寧な育成で定評があるマインツ育成アカデミーで「教育担当スタッフチーフ」として日々子供たちと向き合っているヨナス・シュースターさんにお話を伺いました。(取材・文・写真:中野吉之伴)歴代所属選手のユニフォーム■学校が一番大事でサッカーはその次。学校の成績表を提出してもらうシュースター「私たち教育担当スタッフの仕事は多岐にわたります。その中でまず大事なポイントとなるのが学校との関係を最適にすること。子どもたちがサッカーのことだけではなく、学校のことを忘れないようにアプローチすることです。FSVマインツにとって学校が持つ意味はとても大きいんです。それこそ選手には『学校が一番大事。サッカーはその次』とはっきり伝えています。私たちはプロサッカークラブであり、もちろんサッカーのことはとても大切なのですが、学校はそれよりも大事です。プロクラブとして目をつぶってはならないのは、どれだけの選手が将来的にプロ選手になれるのか、という事実から考えることだと思っています。数字として見れば一目瞭然ですが、極めて少ない確率ですよね。だからこそ、選手に対してはサッカーだけではなく、2本目の立ち足を考えることの大切さを常に伝えています。選手には成績表を提出してもらいますし、学校にはマインツと連絡を日々取り合っている担当者がいますので、何かあったらすぐに連絡をしてもらえるようになっています。何が順調で、どこに問題があるのかを日々確認します。例えばある選手がある科目で問題を抱えていたりして補修や家庭教師が必要でしたら、そのためのオーガナイズもします」■U-19までアカデミーに残れても、プロになれるのは毎年1人か2人ブンデスリーガ育成アカデミーでU-19まで残れたとしても、そこからプロ契約がもらえる選手は毎年1人か2人。1人も昇格できない年もあります。セカンドチームでステップアップするチャンスをもらえる選手もいますが、そこからクラブを離れざるを得ない選手のほうが圧倒的に多いわけです。だからといって保険をかけるという消極的な理由で勉強をすることを促すのもよろしくありません。学校で学ぶことと真摯に向き合うことの大切さを伝え、学ぶ喜びを知り、そして自分にポジティブなものをもたらしてくれると実感してもらえるようにアプローチすることが大切になります。そのために重要なスタッフがシュースターさんになるわけです。シュースター「私は元々学校の先生だったんですね。ドイツ語、スポーツ、政治の教員資格を持っています。ギムナジウム(中等教育機関)の先生でした。同時にマインツで長年指導者もやっていたんです。現在トップチーム監督であるボー・スベンソンがU16監督をやっていた時のアシスタントコーチでした。先生として、そして指導者としての経験があるので、このポストにおいて必要な要素を兼ね備えていると思います。私が個人的に彼らの勉強につきあうこともあります」■大切なのは成績が悪くなったときにサポートすることではないそんなシュースターさんが気を配っているのは子どもたちとの距離感や空気感だと言います。「教育担当スタッフ」なんて名前が堅苦しく響いてしまって、「あの人は学校の成績が悪い時だけ話に来る」みたいな捉えられ方をされたら、それはどちらにとっても望ましいことではありません。子どもたちにとって大切なのは成績が悪くなったとか、私生活がうまくいっていないときだけサポートすることではなく、いつ、いかなる時でも子どもたちのそばにいて、受け止めてくれる大人がいること。シュースター「普段からちょっとしたたわいのない話を楽しくするようにしています。学校のことを語るとか、趣味について口にするとか、そんな風に私とコミュニケーションを取るのは『心地いい時間』と思ってもらえるような関係性が大切だと思います。そういった意味でも私がサッカー指導者もやっていたという背景は助けになっていますね。ここでサッカーをする子どもたちは、プロサッカー選手になりたいという夢を持っているわけです。だから頭の中はサッカーのことだけでいっぱいというのが彼らにとっては普通なんです。サッカーのある生活の日常を知らない教育専門家が来たら、それこそ理論だけの関わりになってしまうこともなくはないのです。『サッカーのことなにもしらないくせに』という反感を持たれてしまうことだってあるんです」子どもがサッカーを楽しむことを最優先に考えようサッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」>>■大人の価値観を押し付けるのではなく、子どもの価値観を受け止めること子どもたちに大人の価値観を押し付けるのではなく、彼らの価値観を受け止めてあげることはとても重要です。彼らはサッカーのことを話したいし、知りたい。そこをないがしろにするのは賢明ではないのではないでしょうか。それを受け止めた上で、学校の話とか、私生活の話をしないと彼らには響かないというのを大事にしたいですね。子どもがサッカーを楽しむことを最優先に考えようサッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」>>
2022年05月16日サッカーの指導者の悩みで一番よく聞かれるのが「保護者対応」。最近ではインターネットの記事や動画で情報を得る方も多くなり、サッカーの経験がない親御さんも指導者に「ネットにはこんな指導が良いと書いてあった」「うちの子は●●が得意なので■■選手のようなポジションが合っていると思います」など注文を付けてくる方もいるそうで、頭を悩ませている指導者たちも少なくないようです。サカイクでは指導者たちのリアルな悩みを聞くために、オンライン座談会を実施しました。そこで聞いた現場の声をお届けします。写真は少年サッカーのイメージ子どもが心からサッカーを楽しむために大事にしてほしい親の心得「サカイク10か条」>>■上手い子の親たちが選手起用に意見してくる3、4年生を指導するAコーチのチームでは、学年の担当コーチに対して保護者から練習方法や選手起用について口を出されることが多いのが悩みだそう。チームの結果より自分の子が活躍したかどうかを重視し、勝ちを求めるために試合のメンバーについても「あの子たちと組ませてください」「あの子は外してください」など意見されることも多く、その対応に困っているとのこと。子どもたち同士はうまい下手に関わらず仲良く練習しており、指導者としても小学生年代は楽しむことを一番に、サッカーを嫌いにならないように全員を試合に出したりしているのに、親たちの方が勝利にこだわっており、その結果チームに不満が生じアレコレ言ってくる現実があることに悩んでいると教えてくれました。■わが子のポジションを指定してくるチームを指導して22年のベテラン指導者Bさんも、近年保護者の要求が変わってきたと感じている方の一人です。海外のリーグも気軽に視聴できる環境が整ったり、インターネットの普及もあり情報があふれた最近では、子どもの得意なプレーに照らし合わせて、例えば「うちの子はドリブルが得意なのでメッシ選手のようになれるでしょうか」のように、親から見てプレースタイルが似ていると思う有名選手のようになれるか聞いてくる保護者や、「うちの子はボールコントロールが得意なのでMFが適正だと思います(MFにしてください)」など、わが子のポジションを指定してくる保護者が増えているのだそう。また、試合では「ボールを持ったらドリブルしろ」など直接プレーを指導する保護者や、チームへの要望ではなく自分の子だけに親がやってほしいプレースタイルを指示する方もいるなど「チームスポーツをしているはずなのにまるで個人競技のようになっている」と教えてくれました。わが子の試合よりも、サッカー動画を見ることが多い保護者もいるそうで、動画で切り出されたプレーを見ていることで、サッカーの流れの中でのプレーより一瞬の技術にばかり注目して、それをわが子に求める方も増えつつあることを嘆いていました。■個人偏重は指導者にも原因が?低学年を担当するCコーチは、保護者のサッカーの個人偏重には、サッカーというスポーツの理解によるものではないかと言います。パスが通った、ゴールが決まったなど、結果が見えやすい、分かりやすい部分ばかり評価されることで、サッカー経験のない保護者の方々は結果ばかりに注目してしまう。これはチームとしてのやり方にも問題があると感じる、とCコーチは言います。そこでCコーチは、結果につながる一つ前のプロセスもしっかり褒めるなど、保護者に「いいプレーとは何なのか」を理解してもらうように心がけているのだとか。また、いわゆる「お父さんコーチ」として関わる保護者コーチもいるそうで、最初は子どもがサッカーを楽しめばそれでいいと思っていたお父さんコーチが、公式戦などが始まる年代になると「勝たせたい」という思いから勝利重視に変わってしまうことがあることが残念だと教えてくれました。保護者の方が勝ちたい思いが強くて、いつの間にかレギュラーメンバーを固定してしまったりするのだそう。そして、それまでは全員で楽しめればいいと思っていた保護者の方も「勝たせるメンバー選考」に賛同してしまうことが多いのだとか。チームとしては、小学生年代は楽しませることを重視し、中学以降もサッカーを続けてもらいたいので出場時間を平等にするなどの工夫をしていることをいかに理解してもらうか、という部分で苦心していると教えてくれました。■サッカー経験者の保護者が勝利を求めてくる同じく低学年を指導するDコーチも、チームとしてはサッカーを楽しいものと思ってもらいたいという方針で指導育成に当たっているのに、保護者の中でも学生時代にサッカー部だった方(主に父親)が勝利を求めてくることに歯がゆさを感じているのだと言います。試合に勝つためにはこんな風にした方が良いのではないか、といった練習内容や戦術についての提案に留まらず、「あの子たちを出すなんて負けに行くつもりですか?」など、出場メンバーについてほかの保護者がいる前でも心ないことを仰ることに心を痛めているとのこと。もちろん、チームとしての方針があるので全員出す理由を伝えはするものの、そういった保護者の方はなかなか納得してくれず、日々悩んでいるとそのつらい心の内を明かしてくれました。■指導者はアップデートしているのに......学生スポーツのニュースというと、どうしても旧態依然とした厳しい指導や暴力暴言での被害にまつわる記事が多いので、そのようなスパルタ指導者が多いと思う方も多いのかもしれません。ですが、近年サッカーの指導者は、ライセンス更新のタイミングや、様々な「子どもを伸ばす指導」の発信により、かつての指導と同じではいけないと常に情報をアップデートしている方がたくさんいます。逆に親御さんは、学生時代にサッカーを経験していてもそこからいったん離れ、わが子がサッカーをするようになってから再び関わる際に、自分の現役時代と同じ感じで関わってしまうことが多いので、このような指導者と保護者の感覚に乖離が生まれてしまうこともあるようです。今回お伝えしたのはほんの一部ですが、指導者のみなさんが様々な事情で保護者の方への対応に苦慮していることがうかがえました。子どもにいい指導を受けさせたい、と思う親御さんは多いでしょう。しかし、子ども以外の理由で指導者になりたい人が減ってしまったら、いい環境・いい指導者のもとに置くこともできなくなるのです。サカイク10か条では、保護者の心得として「サッカーのことはコーチに任せよう」としていますが、それは「親は一切口を出すな」ということではありません。よくわからないことや疑問に思うことは質問して話し合ったり、子どもたちのために何が一番いいのかを判断して一緒にサポートするということを大事にして、親御さんもわが子のサッカーを思いきり楽しんでください。子どもが心からサッカーを楽しむために大事にしてほしい親の心得「サカイク10か条」>>
2022年04月19日大人気マンガシリーズ、今回は永遠の厄年2人組(@eiennoyakudosi)さんの投稿をご紹介!「SNSの罠で不登校になった話」第7話です。なんと自粛明けに学校に登校するとA梨さんがお兄さんに付きまとわれてると噂になっていた…!生徒指導室出典:instagram間違いないよね?出典:instagram一方的出典:instagram勘違いだろ!!出典:instagram生徒指導室に呼ばれたお兄さん。不自然にメッセージを消されお兄さんが送ったものだけが残っている証拠を突き付けられました。生徒指導の教師から罵倒され怖くなったお兄さんは無理矢理認めてしまいました…。次回の配信もお楽しみに!(lamire編集部)(イラスト/@eiennoyakudosi)本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。"
2022年03月10日大注目!カープ道的のススメ週水曜日深夜に放送中の『カープ道』、今回は育成選手にスポットを当てます。番組内容由宇、大野に暇さえあれば足を運び、カープの2軍選手を細かくチェックするカープ芸人のゴッホ向井ブルーが、今シーズン大注目の若鯉の魅力を熱く語ります。出演者中島尚樹ゴッホ向井ブルー吉弘翔(HOMEアナウンサー)カープを知らない、興味ない、乗っかりたい人必見のカープ学習番組【毎週水曜深夜放送中】番組ホームページはこちら▼ : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年02月14日株式会社CURIOUS WORLDは、学校教育機関向けのグローバル人材育成ソリューション「CURIOUS WORLD for Education」の提供を開始しました。コロナ禍で海外留学が困難な今、多くの教育機関でオンライン国際交流の導入がはじまっています。CURIOUS WORLD for Education「学習×実践」もっと「グローバル」を身近に感じて欲しい。私たちは海外を気軽に体験できる環境づくりをサポートします。[CURIOUS WORLD for Education] ■コロナ禍で留学の見通しが立たない現在…コロナ禍のいま、多くの学校で生徒様の海外留学の見通しが立たない状況が続いています。英語の学習自体は国内でもできるものの、実際に海外現地の人とコミュニケーションを行い、その生活や文化に触れることは留学でしか体験できないものです。そんな中で、いま海外留学の代替策として注目されているのが、オンラインを活用した国際交流です。ビデオチャット、SNS、クラウド、メタバース…オンラインツールが飛躍的に進化する現在、自宅にいながら質の高い国際交流を体験することが可能です。CURIOUS WORLDでは、同社の海外現地とのネットワークを活かした国際交流機会の提供、また、それを実現するためのオンライン環境の導入をサポートします。■CURIOUS WORLDの想いCURIOUS WORLDは、オンラインやVR(仮想空間)上で海外現地の学生や生徒と気軽に国際交流できる環境づくりを実現しました。また、自社で英語講師も抱えておりますので「学習」と「実践」をシームレスに行う事が出来ます。私たちは国境や国籍関係なく「ボーダーレス」に活躍できる人材育成に寄与します。■私たちが提供するプログラム『オンライン語学留学』オンライン上でフィリピン留学を体験。イングリッシュキャンプとしても活用可能。『オンライン国際交流』オンライン上で海外現地の学生や生徒と気軽に交流。PBLやCOIL学習も可能。『VRを活用した学習』VR(仮想空間)上でシチュエーション別に英語を学習したり国際交流を実施。■私たちのソリューションの強み・教員免許保持のスタッフによる徹底サポート。・教育機関や先生の「想い」を実現するためのオーダーメイドプログラム。・大手企業では真似できない最低価格保証の料金体系。・海外現地に根付いた繋がりを活かした企画づくり。・TESOL修了者によるプロフェッショナルな英語レッスン。2022年3月現在の導入実績約41校、教育者の皆様にもご納得いただける内容となっています。■プログラム例・実施期間:5日間・内容 :COIL式SDGsプログラム・費用 :38,500円/1名オリエンテーションからはじまり、現地生徒との国際交流、SDGs授業、国際貢献、発表資料作成、発表までを5日間で実施します。国際交流は、日本人生徒4名、海外現地生徒1~2名、フィリピン人講師1名(ファシリテーター)にて、オンラインを活用して実施します。SDGs授業、発表資料の作成では、クラウドを活用しながら、グループで協働で作成し発表を行います。■利用者インタビュー『至学館高等学校様』「オンライン語学留学」を導入いただいた、愛知県名古屋市の至学館高等学校様に導入の経緯や利用してみた感想をお伺いしました。[記事] 『大阪電気通信大学様』「オンライン国際交流」を導入いただいた、大阪府寝屋川市の大阪電気通信大学様に導入の経緯や利用してみた感想をお伺いしました。[記事] 『英理女子学院高等学校様』「オンライン語学留学」を導入いただいた、神奈川県横浜市の英理女子学院高等学校様に導入の経緯や利用してみた感想をお伺いしました。[記事] 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年02月09日看護師でありシングルマザーでもある、まゆんさんの体験を描いたマンガを紹介します。今回は新人指導中のお話です。緊張している新人社員に指導していると「見ないで欲しいです!」と言われてしまい……。★前回:「あんたがわがままやったんやろ?」冗談付きの患者さんから衝撃のひと言 #看護師でシングルマザーな私の話 1こんにちは。自閉症スペクトラムの息子を持つ、シングルマザーのまゆんです。看護師は患者さんの生命を預かるお仕事。当然ミスがあってはいけませんから、厳しく指導することもあります。頭ごなしに怒るなんてことはありませんが、このときばかりは怒ってしまいそうになりました。そこで頭によぎったのは息子のこと。太郎がどんな職種に就くのかはわかりませんが、ミスをして指導されることもあるでしょう。そのとき彼にそれを乗り越えられるだけの力があるのか……指導者と母の心が交差して心配になってしまいました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。★関連記事:「正直なめてた…」保健所の指示のもと、PCR検査を受けに行ったら… #新型コロナ奮闘記 #五十路日和 36★関連記事:「ついに始まる…」乳がん告知から約1カ月後、術前抗がん剤がスタート #40歳独身で乳がんになりました 11★ウーマンカレンダー連載マンガをもっと読む著者/まゆん(41歳)自閉症スペクトラムの息子をもつシングルマザー。看護師として日々働いている。Instagram:@mayun4311
2022年02月06日東証一部上場企業株式会社内田洋行グループであり、企業研修30余年の実績を持つ株式会社ウチダ人材開発センタは、2022年4月より「DX人材育成コース」を新規開講いたします。“社内業務のデジタル化・自動効率化を推進したいが、DX推進できる人材が社内にいない”という企業の悩みを解決するために、業界業種問わず、1社1名様からご参加いただける新卒社員向けの短期集中コースです。詳細URL: DX人材育成コース株式会社内田洋行グループ 株式会社ウチダ人材開発センタは、製造業や物流業、食品メーカーなど多くの企業様からのご要望を受け、社内のDX化を推進できる新卒社員を育成する『DX人材育成コース』を新規開講します。【『DX人材育成コース』新規開講の背景】株式会社電通デジタルが実施した2020年度のDX調査[※1]によると、「DXに着手している企業は全体の74%である」という数字が出ています。DXに着手済み・着手予定をあわせると、約87%の企業がDX推進を図っておられます。しかし、DX推進をしたいが、思ったように進んでいないと感じている企業様も多いのではないでしょうか。その原因の一つには、社内のITリテラシーの低さやDXに関する知識や経験、スキルが不足しているというご相談が弊社には寄せられてきました。「社内のITリテラシーが乏しく意思疎通が難しい」「情報システム部門だけでは社内変革が進まない」IT情報通信業の企業様では、IT技術やリテラシー能力や関心の高い人材が集まりやすい一方、製造業や物流業、メーカー等、IT業種ではない企業様からは「社員のITリテラシーや意識改革を向上させられないか」「デジタルネイティブ世代の新入社員や若手にDX推進を担って欲しい」というご要望を頂戴しておりました。そこで、株式会社ウチダ人材開発センタは、DX推進や社内変革を担う人材育成に貢献するため、1社1名様からご参加いただける『新卒社員向け・DX人材育成コース』をご提供いたします。本コースでは、テクノロジーがビジネス・業務にどう影響を与えうるのか?これをインプットとともにハンズオンにより体験・体感するコースです。体験学習を組み入れ、“なるほど”の連鎖・積み重ねでカリキュラムを構成しております。2022年4月~5月の受付社数には限りがございます。すでに募集受付を開始しておりますので、ご興味をお持ちいただける企業様は「DX人材育成コース提案希望」と記載の上、お問い合わせください。URL: 【ウチダカレッジ『DX人材育成コース』の概要】・デジタル技術の基礎知識を学ばせたい・DXとは何かを学ばせたい・AI、データをプログラムから利用させたい・DX企画プロジェクトを体験させたい新卒社員様向けの『DX人材育成コース』では、社内のIT技術リテラシーや意識改革など、DX推進の原動力となる基礎知識とスキルを短期集中トレーニングできます。新卒社員に必要なビジネスマナーから始まり、コンピュータ、ネットワーク、クラウド、セキュリティの基礎知識、プログラミングやアルゴリズムを学び、アジャイル方式による模擬プロジェクト開発に取り組みます。<DX人材育成コース概要>日程:5/19(木)~6/17(金)[22日間]価格:500,000円(税抜)、550,000円(税込)・ICT基礎 [7日間]・Pythonプログラミング [3日間]・DX技術ハンズオン [3日間]・DXプロジェクト企画 [3日間]・DXプロジェクト開発 [6日間]DX推進を求められる日本全国の企業様のお役に立てるカリキュラムです一社一社様ごとのご要望に合わせたカスタマイズ、オーダーメイドも可能です。まずは、「DX人材育成コース提案希望」とお問い合わせください。URL: 認証ラベル※株式会社ウチダ人材開発センタが提供する新入社員研修「ウチダカレッジ」は、DX人材育成コースを含め、すべてのコースで独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開した「iコンピテンシ ディクショナリ」(iCD)認定をiCD協会より取得しております。※厚生労働省が実施している「人材開発支援助成金特定訓練コース」の「若年人材育成訓練【Off-JTのみ】」「特定分野認定実習併用職業訓練【Off-JT+OJT】」2種類の助成金が活用できます。申請までのお手続きに関してもご相談をお受けしています。[※1] 出典:日本における企業のデジタルトランスフォーメーション調査(2020年度)/株式会社電通デジタル■会社概要商号 : 株式会社ウチダ人材開発センタ所在地 : 【本社】〒130-0015 東京都墨田区横網1丁目6番1号国際ファッションセンタービル7F(受付・研修室)8F(研修室)9F(研修室)TEL : 03-6658-5260FAX : 03-5608-2701代表 : 冨田 伸一郎設立日 : 1996年(平成8年)4月12日株主 : 株式会社内田洋行(100%出資)売上高 : 30億7000万円(2021年7月期実績)事業内容: ・一般労働者派遣事業・有料職業紹介事業・ヒューマンスキル教育、IT技術者教育・eラーニング事業・アウトソーシング受託URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年01月07日「大人になってから学ぶサッカーの本質とは」を運営し、育成年代のサッカーの本質を伝える活動をしているKEI IMAIさん。育成年代の指導現場の問題を提起する記事を出すと、それを読んだ若い子からTwitterや、Instagram、Facebookで相談が来るそうです。相談内容は、指導者、監督の暴言、理不尽な練習がほとんどなのですが、このような内容は事実確認が難しいため、実際にオンラインで話を聞いて詳細をヒアリングすることもあるのだとか。実際に話を聞いてみると、今の時代に信じがたいような指導を受けているという内容が実に多いのだそうです。今回は、2つほど例として実際に相談にきた学生の話を紹介します。(構成・文:KEI IMAI)【関連記事】子どもたちにサッカーを「教える」ことよりも、大切にしなければならないこと■都内の強豪高校サッカー部の生徒の話「突然のメッセージ失礼いたします。◯◯高校サッカー部の◯◯と申します。noteを拝見してご連絡させていただきました。 自分がモヤっと感じていることがとても鮮明に書かれていてお話を聞いてみたいと思いご連絡しました。自分が今置かれている状況をご相談させていただけないでしょうか」高校生からくるメッセージの中では、とてもしっかりとした文章だったのが印象的で、一度オンラインで話を聞いてみることにしました。実際に話を聞いてみると、ジュニアユース時代は、Jクラブの下部組織で世代別代表にも選ばれた経験のある実績がある子で、受け答えもしっかりとしていました。以下に、彼から聞いた話を紹介します。※コメントはzoom録画の内容を要約しています■指導者に感じる違和感「常に一方的な指示というか命令で、言われた通りにやらないと罰走になるか干されます。試合に出してもらえないどころか、練習でも無視されます。心を入れ替えてやる気を見せろということだと思います。自分が一度干された時、やっぱり試合に出ないと成長しないので、言うことを聞いて練習も必死にやりました。それでまた試合に出るチャンスはもらえたのですが、ずっと違和感というか納得がいかなくて胸に何か引っかかったままずっとプレーしています。ジュニアユース時代の指導者は、一人ひとりと向き合って、どこをどう伸ばせば良いか常に対話して成長する実感を感じながらトレーニングできたので、その頃受けた指導とのギャップがすごくて、とても納得いかないというか...」監督とコーチに考えていることを伝えたの?と聞くと、「あまりにも機械的で固定的なプレースタイルに選手が適応できていないので、もう少し選手たちの特徴を活かしたプレースタイルができないかと選手個々の性格や特徴を伝えました。あと、試合前の明らかに過度な練習でパフォーマンスが落ちていたので、その調整をしてほしいと伝えました」そしたらどんな反応だったの?「お前たちが考えてることはどうでもいい、プレースタイルは俺たちが決めること。試合に出るために必要な情報は伝えている。それについてこれないから結果がついてこない。とにかく必死に練習しろと。試合でパフォーマンスが出せない理由は過度なトレーニングではなくお前らの弱さであるということを言われました。話しても意味がないと思いましたし、優れた選手の何人かはサッカー部を辞めていきました」この話を聞いて、私は単純にチームのプレースタイルに合わないという結論で片付けてはいけないと思いました。少なくとも、育成年代の指導者であるならば、選手と向き合って対話をするスタンスが必要だと思います。一方的過ぎますし、こんな理由でサッカー部を辞めてしまうというのはあまりにも理不尽だと思います。彼は、このような相談ができる人が身近にいないと言っていました。■連帯責任でサッカーがトラウマになったマネージャーの話また、半年ほど前こんなDMが届きました。本人の許諾を得てダイレクトメールの画面を掲載させていただいております。「お前のせいで罰走だよ。まじふざけんなよ」これがきっかけでいじめとか普通にはじまります、と某高校のサッカー部の子が言ってました。「連帯責任」的なものを設計する指導者は"いじめ"を生み出している可能性を自覚してほしい。出典:Twitter:KEI IMAIさんのTwitter投稿よりサッカー部のマネージャーが連帯責任によるいじめを受けたなんて信じられないことですし、そして死にたいと思わせてしまった指導者、チームに猛烈な怒りを感じました。このチームの指導者は当然許せないのですが、部員もあまりにもサッカー以前の大事な感覚が欠如しているように思います。誰も助けてくれなかった......。このいじめを目の当たりにしていた部員が助けられない、感じることができない、おかしなことだと声をあげられない。そんなチームが良いサッカーができるわけがありません。仲間と助け合い、ともに成長していくというベースの繋がりが育まれなければサッカーにはならないのです。連帯責任による罰がいじめを助長するというのは、考えてみれば当然の話です。連帯責任文化は早く終わらせるべきだと思います。そしてなにより問題なのは、管理者である先生や監督、コーチが問題の起点になっていて相談できない、相談しても聞いてもらえないことだと思います。今回の2件は、いずれも指導者として、いや大人として当然ケアしなければならない問題だと思います。このマネージャーの話は以前noteにも書きました。該当記事はこちら>>このnoteにも、たくさんの反響がありました。連帯責任によるいじめを受けたという子や、いじめられた子の親御さんからも複数件連絡をいただきました。同じような話は全国にあるということです。少しでもこのようなことで苦しむ子を減らしていかないといけないと思います。JFAの相談窓口もありますので、苦しんでいる子は一度相談してみてください。暴力等根絶相談窓口
2021年11月18日一般社団法人国際こども日本語教育協会(団体所在地:東京都中央区 代表理事:平井 千晴、以下当協会)は、2022年2月、日本初「こども」に特化した「こども日本語指導者養成講座」を開講いたします。外国語としての日本語教育への需要に応え、講義と模擬授業、認定試験により即戦力が身につく充実したカリキュラムです。既に日本語教師として活躍されている方のスキルアップや日本語未経験者の方の資格取得として、また子育て世代の家庭内での教育、ボランティアなど、様々なシーンで活用いただけます。日本初「こども日本語指導者養成講座」を2022年2月に開催一般社団法人国際こども日本語教育協会URL: ■こども日本語教育のプロフェッショナルを育てる当協会は日本語を第二、第三言語として学ぶこどもが対象の日本語教育を推進しています。高まる世界的需要に応えるため、継承語、そして外国語としての日本語教育カリキュラム作成、教材開発、人材育成に取り組み、日本語習得をめざすこどもたちと、世界で活躍する日本語指導者を支援しています。代表理事・平井は2013年に台湾台北市で政府認可の幼児・児童教育施設を設立。長年にわたり、こどもを対象とした日本語教育を実践した経験を踏まえ、2019年に当協会を設立。そのノウハウを基に「こども日本語教育」の教材及び教授法を確立しました。これまでの2年で育成したこども日本語指導者は100人を超え、現在、世界19か国で活躍中です。海外補習校、バイリンガル幼稚園、教室開業、また、日本のインターナショナルスクール、外国人児童生徒支援のためのボランティア教室など、卒業生の活躍の場は多岐にわたっています。■高まる需要と人材不足に応える外国語としての日本語教育の知識を持ちながら、幼児・児童教育にも明るい人材は不足しています。420時間の日本語教師養成講座を修了し、大人への日本語教授経験のある教師でも、幼児の教授法は全く異なるスキルが必要です。また国語の教員免許があっても「国語教育」と「外国語としての日本語教育」は異なります。このように「こども日本語教育」に必要な知識と経験値を持ち合わせた人材は不足しており、需要と供給のギャップを目の当たりにし、求められる人材の育成とカリキュラム・教材の開発に取り組みました。■カリキュラムや教科書をゼロから作成外国人幼児・児童のための日本語教科書、継承語として学ぶこどものための系統的なカリキュラムや日本語教科書は存在しませんでした。経験と知識、こどもの教育、日本語教育、国語教育、異文化コミュニケーションなどを専門とする人材を総動員し、体系的なカリキュラムと教材開発に着手。教育現場での試行錯誤を繰り返し、教材開発を進めるのと同時に、こどもの言語形成理論にのっとった指導法を確立いたしました。更にこどもは興味関心がなければ学習意欲が湧かないため、親しみやすいオリジナルキャラクターと、現代にあったデザインを創作し、好評を得ています。このように独自開発の教材と指導法を実践した授業で実績を重ね、2019年より「こども日本語指導者養成講座」を開講しております。独自開発の教材(左)と指導風景■今後の展望グローバル化に伴い、海外在住の日本にルーツを持つこどもや日本在住の外国にルーツを持つこどもなどを対象とした日本語教育の需要が高まっています。例えば海外では日本にルーツを持つこどもが親子間のコミュニケーションやアイデンティティクライシスなどの問題に頭を悩ませているご家庭が多いようです。その一方、日本では外国人労働者の増加に伴い、公立学校で学ぶ外国人児童生徒数も増加していますが日本語の学習支援が足りていないのが現状です。当協会認定の「こども日本語指導者」はどちらのケースにも効果的な支援が可能です。私たちが育成した継承語教育の指導者がご家庭に支援を行い、親子関係の改善や、日本にルーツを持つこどもたちが、そのルーツを肯定的に受け入れ、クライシスを乗り越えるための一助となることも今後の目標の一つです。■代表理事:平井 千晴 プロフィール東京音楽大学声楽科卒業。サンフランシスコに留学中より幼児教育に従事。日本に帰国後国際結婚を機に台湾へ移住。自宅でこども日本語クラス及びリトミッククラスを開校する傍ら、日本、アメリカ、イタリアでの様々な研修や実践を通して、幼児教育の専門家としての知識と経験を蓄積。2013年Smiley Rhythm(微笑音符)を設立。近年世界で注目を集めるレッジョ・エミリア・アプローチを採用し、語学、芸術、音楽に特化した幼児教育を実践。台湾台北市に微笑音符幼兒園、微笑音符托嬰中心、微笑音符音樂語文補習班など複数の拠点を展開。2019年一般社団法人国際こども日本語教育協会設立。代表理事:平井 千晴■こども日本語指導者養成講座概要<認定こども日本語指導者コース:201,300円(税込)>外国語、継承語として日本語を学ぶこどもを対象に、プロとして日本語指導に当たる教師を養成するコース。こどもの発達特性や指導法、授業計画についての講義と、講義内容を実践、応用する模擬授業の演習を二部構成で実施。一対一の実技指導で、確実に実力と経験値が上がります。<準認定こども日本語指導者コース:169,800円(税込)>外国語、継承語としての日本語をこどもに教える基礎知識を身につけ、ボランティアや家庭内で教えたい方向けのコース。こどもの発達段階を踏まえた効果的な指導計画の立て方、直接法による日本語教授法、積み重ね学習の実践法などを講義やワークショップを通して学びます。※どちらのコースも、スターター教材セット(10セット)付<スケジュール>12月11日(土):2月講座説明会 9:00/19:00 ※オンライン開催1月12日(水) :2月講座申込締め切り2月12日(土) :講座開始参加資格 : 日本語未経験者、既に日本語教師として活躍されている方まで経験不問開催期間 : 2022年2月12日(土)~4月12日(火)講義2日(各日3時間)/模擬授業演習6回(各回1時間30分)認定試験 : 4月23日(土)もしくは4月26日(火)/9時~12時30分※詳細スケジュールは説明会にて説明会申込方法: 下記HPのお問合せより「説明会の申込希望」と書いて送信くださいHP : ■団体概要名称 : 一般社団法人国際こども日本語教育協会(AJLC)所在地 : 東京都中央区日本橋2丁目1-17 丹生ビル2 階代表理事: 平井 千晴設立 : 2019年12月HP : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年11月12日新型コロナウイルスの影響で外出を控える人が増え、健康維持のために自宅で運動するようになった人もいることでしょう。ウクライナに住むある家族も、自宅でトレーニングができるように運動器具などをそろえたといいます。この家族は、全員がスポーツ好きなのだそう。その中にはスコティッシュフォールドのロッキーも含まれます。ロッキーは、家族の誰かがトレーニングを始めると、積極的に参加してくるのだとか。しかし、ロッキー自身が運動をするのではありません。では、ロッキーはどのようにしてトレーニングに加わっているのでしょうか。その様子がこちらです。「いいぞ、その調子だ。もっと頭を床に近付けるニャ!」ロッキーは厳しいトレーナーだった!腕立て伏せをする飼い主さんの頭を触って、指導しているように見えるロッキー。この動画を見た人たちは大笑いし、たくさんのコメントが寄せられています。・かわいすぎて笑った!この猫に励まされたら、やる気が出そう。・最高のパーソナルトレーナーだ!・ロックダウン中にこのトレーナーがいたら、俺は絶対に太らないだろう。飼い主さんいわく、ロッキーは動画のように、トレーニングをしている人の動きをコントロールしようとするのだそう。していることはまさに、パーソナルトレーナーのようです。家にこんなにかわいいトレーナーがいたら、モチベーションが上がって、毎日しっかり運動を続けられそうですね![文・構成/grape編集部]
2021年09月01日8人制サッカーが全日本少年サッカー大会(現:全日本U-12サッカー選手権大会)に導入され、今年で10年になる。日々、子どもたちの指導にあたる指導者は、8人制のメリットやジュニアサッカーの変遷について、どのように感じているのだろうか?全日本少年サッカー大会で優勝経験のある、センアーノ神戸の大木宏之監督に、COACH UNITED ACADEMYユーザーからの質問に答えてもらった。(取材・文:鈴木智之)ジュニアサッカーの専門指導者を育成「8人制サッカー指導者資格」はこちら>>■主導権を握ってサッカーをするチームが増えてきたQ:11人制から8人制に移行し、現状をどう見ていますか?11人制のときは50m×80mの中に22人の選手が入り乱れていて、いま思うとかなりごちゃごちゃしていましたよね。ゴールキーパーがボールを持っても、人がいるところを省いて、ロングキックを蹴るチームがほとんどでした。ディフェンスラインではボールをつなぐリスクを負わず、大きく前に蹴って、球際のしのぎ合いをがんばるチームが、試合に勝ちやすかった印象があります。最後はドリブル勝負みたいなところがあって、相手の人数が多い中で1人、2人と剥がせる力を持った選手がいると、得点になるという。それが8人制になり、選手一人あたりのプレースペースが増えた結果、選手の判断を大事にして、主導権を握ってサッカーをするチームが増えてきたと感じます。Q:8人制になったことで、指導に変化は生まれましたか?かつてはドリブルなどの技術を中心に教えていましたが、8人制になったことで、ドリブルでの個の突破部分も大切にしながらオフ・ザ・ボールの動きも重視するようになりました。相手チームがボールを保持して攻めてくる中で、どう守備をすればいいかなどのトレーニングも増えました。ほかには、どのポジションの選手であっても、攻撃も守備も求めるようになりましたね。8人制の場合、守備の選手がゴール前に攻め上がることも、攻撃の選手が自陣ゴール前で守備をすることもあります。その影響からか、攻守にいろんなことができる選手が増えてきた印象があります。■オフ・ザ・ボールの動きの指導についてQ:COACH UNITED ACADEMYユーザーから、「攻撃面のオフ・ザ・ボールの動きを、どう指導すればいいでしょうか?」という質問が多くありました。アドバイスをいただけますか。私の場合、低学年と高学年に分けて考えています。小学2、3年生であれば、2対2などを通じて「まずは、自分のことをマークしている相手を、どうすれば攻略できるかを考えよう」と言います。自分のマーカーを見て、その選手を外すことを考えさせるのです。具体的には「マーカーから隠れるポジションをとること」を指導していきます。相手の背後に隠れることや、相手の動き、目線を見て、ボール保持者に近づいてパスを受けた方がいいのか、相手の背後のスペースで受けた方がいいのかなど、マーカーに対して駆け引きをするようにアドバイスをします。低学年の場合、最初は手でボールを投げるところから始めてもいいので、相手を見てプレーすることを意識させます。Q:5、6年生になると、どのように指導が変化していくのでしょうか?味方がどこにいて、相手がどこにいて、ゴールがどこにあるのかといった空間認知の部分や、ゴールまでの道筋を2つ、3つ持ちながら、チームメイトの動きを意識する部分に働きかけていきます。そのためには、オフ・ザ・ボールのポジショニングが大切です。練習中は、ゲームの中でフリーズをすることもあります。子どもたちの考えを否定せず、できるだけアイデアを聞いてあげて、その中で「こういうやりかたもあるよ」と提案をしながら、ゴールへの道筋を複数持てるようにしていきます。●センアーノ神戸のオフ・ザ・ボールのトレーニングはこちら>>■サッカーで大切なのは相手を観察することQ:守備の指導では、「プレスのかけ方」と「カバーリング」について難しさを感じている指導者が多くいました。この2点において、注意すべきことはなんでしょうか?低学年の場合は、ボール保持者に対して積極的にチャレンジさせます。当然、失敗することもあります。相手の方が技術的に上であったり、スピードがある場合、何も考えずに向かって行くとかわされるので、フリーズを入れながら「相手に抜かれちゃったけど、どうしてだろう?」などの問いかけを通じて、子どもたちに考えさせます。サッカーで大切なのは相手を観察することなので、相手の様子を見て、どのぐらいの距離で守るのかなどを、体験しながら身につけていきます。自分がマークしている選手が、いま何を考えてるのかを想像しながら距離を詰めることや、相手と駆け引きをすることにもアプローチします。Q:高学年には、どのような指導をしますか?高学年になると、相手を誘導して、味方同士で挟み込んで奪うといったように、グループでの守備を意識させます。ピッチのどこで相手がボールを保持しているのか、点差はどうなのかなど、状況によって守備の仕方が変わってくるので、試合の流れを見ながら守備をすることの大切さも教えています。そして、選手の判断で「ボールを奪いに行ける!」と思うのであれば、積極的にトライさせます。そのかわり「抜かれたら、必死に戻るんだ!!」と言います(笑)。■指導者が学びチャレンジし続けることが大事Q:8人制サッカーについて、大木監督はポジティブにとらえていますか?圧倒的にポジティブに受け止めています。2年前にヨーロッパに行かせてもらって、スペインの7人制、ドイツの5人制を経験しました。同世代の子たちと試合をしたところ、彼らの方が戦術眼に優れていました。少人数の中でプレーの原理原則、攻守の関わりなどを身につけているのだと思います。私が小学生年代で重視してるのが、サッカー脳を鍛えることです。プレーの原理原則をベースに、クリエイティブな発想を具現化できる技術を持たせてあげたい。それがあれば、8人制から11人制に変わっても、困ることはないはずです。8人制サッカーの指導者資格ができましたけど、育成に携わる人たちが、同じ方向性のもとに指導ができることは、大きな発展だと思います。A代表やU-24代表を見ても、日本にも賢い選手が増えてきました。今後も、我々指導者がそこにチャレンジしていくことが、日本サッカーの将来につながっていくのではないかと思っています。ジュニアサッカーの専門指導者を育成「8人制サッカー指導者資格」はこちら>>●センアーノ神戸のオフ・ザ・ボールのトレーニングはこちら>>
2021年07月02日職場での人間関係に悩んだことがある人は少なくありません。いじわるな先輩や上司に『指導』という名目で理不尽な態度を取られ、つらい想いをしてしまうケースも。こうした上下関係を利用したパワーハラスメントは、近年問題視されています。『職場のおつぼね様』川田大智(@daichi_kwd)さんがTwitterに投稿した創作漫画『職場のおつぼね様』をご覧ください。先輩からのいじめを受けて転職をした1人の女性が、新たな職場で出会ったのは…。〈〈〈【職場のおつぼね様】〉〉〉 #仕事探しはスタンバイ pic.twitter.com/IJpQpsudgp — 川田大智 (@daichi_kwd) June 11, 2021 女性の指導係になったのは、本物のお局さま…!『お局さま』というと、気に入らない相手に対して、きついいい方をしたり、意地悪をしたりといったよくない印象があります。しかし、漫画に登場するお局さまは、悪しき習慣を否定し、後輩を励ましてくれる素敵な先輩でした。読者からは「最高の先輩」などの声が寄せられています。・お局さまが超絶かっこいいです!継承すべき伝統と悪習の違いが分かっている。・「そなたの仕事をなされ」って、最高の先輩ですね。こんな人に出会えたら人生が変わると思います。・まさか正真正銘のお局さまが登場するとは…。インパクトが強くて笑っちゃいました!尊敬できるお局さまの下、女性は今度こそ充実した社会人ライフを送ることができるでしょう。漫画に多くの人が、クスッとさせられました。[文・構成/grape編集部]
2021年06月25日「スカートはヒザ丈にすること」「髪色は黒のみ」「男女ともに髪が肩につく長さは禁止」など、学校によっては厳しい規則が定められていることも。校則は風紀の乱れを取り締まるためのもの。しかし、行きすぎた校則は成長途中の若者に悪影響を与えるとして、問題視され始めています。『厳しすぎる生徒指導』漫画家の川田大智(@daichi_kwd)さんが描いたのは、新米教師が主人公の創作漫画。主任の鬼瓦先生は、厳しい生徒指導を行うことで有名です。鬼瓦先生が女子生徒の髪にハサミを入れるのを目にし、新米教師は胸を痛めますが…。〈〈〈【厳しすぎる生徒指導】〉〉〉 #仕事探しはスタンバイ pic.twitter.com/ds6b1SHQV9 — 川田大智 (@daichi_kwd) May 14, 2021 女子生徒のだらしなく伸びた前髪を、散髪用のハサミで見事にイメチェンさせた鬼瓦先生。強面な外見の持ち主の彼ですが、繊細な手つきで生徒たちのヘアスタイルをよりよいものにしてあげたのです!鬼瓦先生の凄まじいギャップに、漫画を読んだ多くの人が一瞬で心を奪われてしまいました。・こんなにも素晴らしい頭髪検査なら、喜んで受けます!・最高にかっこいい先生…。鬼瓦先生のような大人になりたい。・自分の学校は校則が『拘束』になってたなあ。こんな先生がいればよかった。「自分の学校にもこんな先生がいたらいいのに」という言葉が数多く寄せられた、今回の作品。きっと鬼瓦先生は伝説の教師として、たくさんの生徒の未来を明るくしていくことでしょう…![文・構成/grape編集部]
2021年05月15日私は中学生のころ、ある件がきっかけで「生理=恥ずかしいこと」「生理だということは周りに知られてはならないこと」という認識を持つようになりました。私が中学生のころに経験した出来事についてお話しします。 放課後に呼び出された女子生徒中学1年生の秋ごろのことでした。帰りのホームルームが終わる直前、担任の教師が女子生徒たちに向かって「女子はホームルームが終わったら、体育館へ行くように」と伝えたのです。それだけではなく、男子生徒たちに向かって「体育館に近づかないように」と告げました。 怒られるようなことをした覚えはありません。クラスメイト全員が疑問符を浮かべたまま解散。男子生徒は部活へ行く者と帰る者に分かれ、女子生徒は荷物を持って体育館へ移動しました。 女性教師による生理指導私が到着したころはすでに数十人集まっており、1年生の女子のみが集められていました。教師の指示で、女子生徒はクラス毎に整列し、ほかの生徒や教師の到着を待つこと、数分……。 全員が集合したあと、私は教師を含め、この場にいる全員が女性であることに気が付いたのです。「何の話をするのだろう」「長引くのは嫌だな」と呑気に考え事をしていると、教師の1人が未使用のナプキンを取り出しました。 生理指導は1時間以上教師によると、先日1年生のクラスが並ぶ階の女子トイレにあるサニタリーボックスに捨てられていた使用済ナプキンが小さくまとめられていないままだったとのこと。そのナプキンは経血が丸見えの状態だったため、指導が必要だということになったのでしょう。指導のなかでは、「経血が見えてしまうのは恥ずかしいこと」「隠さなければいけない」と聞かされ続けました。 その後、1人ひとりに未使用のナプキンが配られ、開封し小さくまとめる練習が始まりました。きれいにできない子やできたけれど粘着力が甘く開いてしまった子は教師から指導が入り、まとめ直す練習に入るのです。じょうずにできた子から帰されましたが、できなかった子はなんと長時間練習をさせられたようでした。 しかし、この指導で私に印象に残ったのは、経血が丸見えにならないように生理用品のまとめられるようになることではありませんでした。指導にあった言葉から、「生理は恥ずかしいことなんだ、隠さなければいけないものなんだ」ということが胸に刻まれてしまったのです。 その後しばらくは、生理=恥ずかしいものという考えが私の心に根付いてしまっていました。今思えば、あの指導で教師たちが伝えたかったのは、「生理のマナー」だったのだと理解できます。しかし、あの指導方法で、私の心に残ったことは、残念ながらそのことではありませんでした。生理についての大切な指導も、伝え方次第では違ったものになってしまうのだなと残念に思う出来事でした。 ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように! 監修/助産師REIKO--------著者/佐藤里桜
2021年04月28日ジュニア年代の指導ではドリブルとパス、どちらを先に教えたらいい?保護者も子どもたちもドリブル軍団が勝利を収める場面を見て移籍したくなるようだ。サッカーの最小局面は2対1という考えで指導しているけど、保護者や子どもたちのそんな姿を見ていると、指導が不安になる。ジュニア年代で優先的に伝えるのはドリブル?パス?というご相談。みなさんはどんな風に教えていますか?これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、お父さんコーチの悩みにアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<監督の顔を潰さずチーム外自主トレでできることは?<お父さんコーチからの質問>池上さん初めまして。私は普段は専属で街クラブのジュニアチームで指導しています。指導年齢は未就学児から小6までです。早速ですが質問です。ジュニアの育成年代に伝えて行くべき優先順位はパスですか?ドリブルですか?ドリブルに特化したスクールや動画の配信が子ども達を夢中にさせているのを目の当たりにします。またドリブルに特化したチームが有利にゲームを運び勝利する場面も多々見かけます。私としては「サッカー」を教えたいのでサッカーの最小局面は2対1という考えの元で指導しています。ただ保護者や子ども達はドリブル軍団が勝利を収める場面を見ると移籍したくなるようです。正直私も不安になる事があります。池上さんの育成に関する優先順位、勝手に前提を作って恐縮ですが、ドリブルかパスかの考えをもとにご教授いただけると幸いです。<池上さんのアドバイス>ご相談、ありがとうございます。これまでも拙書でも何度か取り上げてきましたが、ドリブルかパスかという議論は、日本ではまだ見かける議論です。そのうえ数年前から「ドリブルデザイナー」といった肩書を名乗る方も現れました。■ドリブルよりパスを教えることが難しいと思う指導者も少なくないドリブルやリフティングは、目に見えて成長がわかりやすい技術で、しかも「個人」に絞って技術の程度を評価できます。一方の「パス」は、ひとりだけの技術ではありません。受け手がボールを受けやすいスペースに現れて初めて、出し手はパスを出せます。その点では、ドリブルが個人のスキルであるのに対し、パスはチーム(組織)のスキルと言えます。その点で、指導者のみなさんはパスを教えることを難しく感じられているようです。■止める、蹴るの技術を取り出して教えるのは後でいい例えばパスのスキルというと、まずは「止めて蹴る」から教え始めます。「ボールを止められなかったり、しっかり蹴れなければパスはできない」という考えの方は多いと思います。ある指導者と話をしたときのことです。私が「うまく動くことを教えれば、サッカーは楽しくなりますよ。(止める、蹴るの)技術を取り出して教えるのは後でいいのではないか」と話したら、「ボールを蹴れない子どもに動き方を教えても仕方がないだろう」とおっしゃいました。「まさしくおっしゃる通りです。でも、キックの練習から入ると、このキックはいつ使うのかがわからないのでは?ゲームの中で、向かい合って蹴ったりするパスは使いませんよね。まず最初に、『ここに動いてボールをもらえばシュートを打てる』ということを理解できれば、子どもは『じゃあ、そのときにうまく蹴るためにキックの練習をしよう』となりませんか?」そう話しました。キックやボールコントロールを何のためにやるのか、それがわかったほうが技術練習は断然楽しくなるはずです。その指導者の方は「なるほど」と納得してくださいました。■どちらが先ではない。パスもドリブルも一緒に教えないといけない対するドリブルも、実は同じことが言えます。「こういうときにドリブルできるとどう?向こうの人にパスしやすくなるよね」とか「この密集を抜け出すためにはドリブルができるといいね」と、使いどころを一緒に探してあげてください。要するに、パスもドリブルも一緒に教えないといけません。どちらが先ということはないと私は考えます。では、その先にあるものはなにか。ご相談者様が書かれているように「2対1」がそのひとつです。さまざまな局面で、ドリブルをしたほうがいいか、パスしたほうがいいかを判断する力を養うためにも、2対1をしてもらいます。2対1から始める意味は「2人で協力すると簡単に点が取れるよね」ということを伝えるのが一番のポイントです。例えば、味方のほうにちょっとボール向けると、前が空く可能性があります。そうすると、そこでパスもできるし、自分でドリブルしてシュートも打てます。どっちもできる。「そこで何を選びますか?」といったプロセスをたどることが大事です。指導者が「そこでパスを選べ」とか「ドリブルで勝負しろ」と命じるものではありません。■ドリブルがうまくなった子にパスを教えるのは難しい加えて、これは私の経験上わかっていることですが、ドリブルが上手くなった子に、「じゃあ、次はパスができるようになろう」とパスを教えるのは難しい。ひとりでドリブルで相手を抜けてしまう子は、なかなかパスを出そうとしません。逆に、ドリブルもパスも一緒にトレーニングした子どもがゲームの中で自分の前にスペースがあるのにパスを探していたら「ここ、空いてるじゃん。ドリブルしてごらんよ」とアドバイスすると、その子は変わってきます。変化しやすいのです。パスもドリブルも、選択肢が両方ある。もっといえば、どこにパスを出すか、どんなドリブルで場面を変えるかというようにそれぞれに選択肢があることが重要です。場面場面でどれだけたくさんの情報を持てるか。そして、その情報を瞬時に整理して選べるかがいい選手の条件です。この認知、判断の次に「行動」がきます。正確に出てきたパスをコントロールし、次にパスやドリブルを選べるか。それができるプレーヤーになるためのベースをつくるのが、私たち育成年代を教える指導者の大きな仕事なのです。■サッカーに必要な認知、判断力は「大人になったら理解できる」ものではないしたがって、情報を入れるトレーニングを早くからやったほうがいい。対面パスやジグザグドリブルのようなクローズドスキルだけでは、子どもは考えなくて済みます。日本のジュニアは足元の技術が素晴らしいと言われますが、それだけをやってしまうと頭で考える力がついてきません。近年、この認知能力は、世界のサッカーが見られるようになったおかげで推進されているかもしれません。「個の力を育てないといけないのでは」という意見があります。おっしゃる通り欧州でも「個の力が重要」と言われています。抜きんでた個の技術は、メッシなどスーパーな選手がひとつのお手本でしょう。ところが、欧州の指導者は、すべての子どもたちをメッシになるように育てなきゃいけないとは思っていません。対する日本人はことさら「個の力は大切だ。メッシのような選手を育てなくては」と思ってしまうのかもしれません。ディフェンダー、ミッドフィルダー、フォワードと、ポジションの違いもありますが、共通して持たなくてはいけないのはサッカーをどう認知して判断するかという力です。このベースがあっての話が「個の力」の追求になるのですが、そこが抜けていないでしょうか。この能力は「大人になったら理解できる」というものでもありません。小さいときから、何を選びますか?何を考えますか?と、自分で考えて認知し行動する習慣をつけておく必要があります。無論、2対1の局面でもドリブルしたほうがいい場合もあります。でも、そこは「君が選べばいいんだよ」と伝える。そんな育て方をしてほしいと思います。池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>次ページ:ドリブル軍団を見て移籍したくなる理由■ドリブル軍団を見て移籍したくなる理由(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)「ドリブル軍団が勝利を収める場面を見ると移籍したくなるようだ」と書かれていますが、移籍する人たちはドリブルを指導してほしいわけではないと思います。シンプルに「強いチームに行きたい」と親子とも思っているのではないでしょうか。そこを変えない限り、日本の育成は変わらないと思います。「じゃあ、ドリブル軍団に勝つように頑張ろう」では時間がかかります。保護者や子どもたちがサッカーの本質を理解していないから、目に見えて成果がわかりやすいところに行きたくなる。そこに理解を求めたり、一緒に学ぶ姿勢を持てるといいと思います。2対1など、あなたがなさっていることは間違っていません。ご自分の指導にぜひ自信をもって、学びながら進めていってください。池池上正さんの指導DVDプレゼント!詳しくはこちら【4月限定】>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2021年04月16日猫から前脚で叩かれる『猫パンチ』。猫を飼っていない人でも、猫パンチというワードを聞いたことがある人もいるほど、知られています。パンチをするのは、猫の狩猟本能の1つ。猫ならば習わずとも、本能で猫パンチを繰り出すことができるようです。しかし、保護猫のクウちゃんは、『猫パンチ講座』を開いて講習をしていたのだとか。飼い主さん(@kunyan_kainyan)が撮った写真がこちらです。「猫パンチは、脇を『ギュッ!』と縮めてから…」「『パッ!』と出す」猫パンチは脇をギュッ!と縮めて〜パッ!と出す pic.twitter.com/wU0HJ9jN6U — クウとカイ (@kunyan_kainyan) April 13, 2021 ボクシングジムのコーチのように気合の入った顔で、猫パンチ講習を行うクウちゃん。一緒に暮らしている猫のカイちゃんも、クウちゃんに猫パンチを夜な夜な教わっていたのかもしれません。投稿は反響が上がり、さまざまな声が寄せられていました。・漫画『あしたのジョー』ならぬ『あしたのネコ』ですかね。・面白すぎる!パンチの時に爪も出すんですね。・熱血指導をされていますね。とても人間味がある猫ちゃん!指導に熱が入るクウちゃん。これからの猫パンチは、より強烈なものになっているかもしれませんね![文・構成/grape編集部]
2021年04月15日30年近くに渡るスペインでの指導経験を通じて、育成の大切さ、指導者が変わることの重要性を痛感したと話す、佐伯夕利子さん。インタビュー最終回では、ビジャレアルアカデミー所属時の育成改革の話から、保護者、指導者ができることについて話をうかがいました。(取材・文鈴木智之)ビジャレアルが行った育成改革改革のおかげで、これまで選手をジャッジして来たことに気付いたと佐伯さんは語ります(写真はサッカー少年のイメージ)<<第3回:「ひどい指導者がいる」と批判するだけでは何も変わらない、佐伯夕利子さんが日本の指導現場に提言■少しずつでも前進、進化することが大事――2014年に始まったビジャレアルの育成改革から6年が経ちました。佐伯さんはクラブを離れて一時帰国中に日本で活動されていますが、進み具合はどのように感じていますか?もともと、8年から10年スパンで結果が出るものと考えていました。これは改革が始まってから気がついたのですが、フットボール界は指導者やスタッフの入れ替わりが激しく、毎年のように変わります。ですので、3歩進んだと思ったら2歩下がるような状態です。ビジャレアルに指導者が120人いると、どうしても学びの浸透度に差が出てきてしまいます。足並みをそろえている間にシーズンが終わり、また人が入れ替わる...といったことが起きるので、すごく難しい状況だと感じています。そのため、思ったようなスピードで前進できるものではないというのが、正直な感想です。ただ、クラブとして継続して取り組むことで文化になりますし、求めているスピード感で物事が変わらなくても、一歩一歩前進し、進化することが大切だと思っています。――2014年に育成改革がスタートし、2020年で6年になります。当時15歳の選手が、現在のU-23にいるわけですね。いまのU-23の監督は改革初期にいなかった人なのですが、ご自身がこれまで見てきたチームや選手との違いを、明確に感じたそうです。彼は「今年のU-23の選手たちは、これまで自分が見てきた選手と違う。常に選手同士でフットボールについて会話をしているし、練習への取り組み方、レクチャーを聞く姿勢などは、これまでの指導人生で関わってきた選手たちと違う」と言っていたので、少しずつではありますが、何かが変わってきているように感じています。■選手の育成は数値化できるものではない――育成が難しいのは、「これをやったからこうなりました」と、結果がすぐに、明確に出るわけではないことです。はい。選手の成長は可視化、数値化できるものではないので、ビジャレアルが育成の方針を変えたことに対して、選手の学びにどのような変化が生まれているのかは、本人さえもわからないことがあります。クラブとしても、選手の成長率が何%伸びました、偏差値がいくつ上がりましたと、わかりやすく成果を表すものはないという結論に達しました。その中で私達が「間違いない」と確信を持って取り組むことが、どれだけ効果があるのかはわかりませんが、取り組みを続けることで、選手自身が人として豊かになっていき、その結果、サッカー選手として成長し、選手としての価値も高まっていくと考えています。こうすればいいという正解はありませんが、自分たちが信じて、良いと思うことに取り組むこと、そしてそれに誇りを持つことが、何よりも大切なのではないかと思っています。■より良い選手になってほしいなら...。堅苦しくないようゲーム感覚で――サカイクはサッカーをする子どもを持つ、保護者の方々がたくさん読んでくれています。保護者の立場から、子どもたちとどのように接すればいいのでしょうか?保護者であれ、指導者であれ、選手や子どもに関わる大人は、より良い人間、より良い選手になってほしいと思っているものですよね。ただし、そのためのアプローチを間違っていたり、わかっていなかったり、勘違いしている大人がたくさんいます。指導者レベルでは、かつての私もそうでした。保護者のみなさんは、子どもとより深いところでつながっているので、俯瞰して見るのは難しいことかもしれませんが、私達がやったような、映像を使って......というような堅苦しいやり方ではなく、ゲームのような感覚でやってみるといいのかなと思います。――具体的にはどのようなことでしょうか?うちの息子に自立して欲しい、自分でものを考えて、積極的に取り組むような人間になってほしいと思うのであれば、親である自分自身が、そうなるような取り組みをしているのだろうかと、紙に書き出してみるのもいいと思います。試合のユニフォームやスパイクを、親である自分が用意してはいないだろうかと、ご自身の行動を「子どもが自立する」という視点で考えたときに、どこへ向いているのかをゲーム感覚で確認するのもいいかもしれません。■サッカーに必要なものを子ども自身が考えることが自立につながる――サッカークラブは子どもたちに自立してほしいと考え、そのための取り組みをしているのに、保護者が過保護になってしまっているというのは、指導現場でもよく見聞きします。「明日のサッカーに必要なものはなんだろう?」と、子ども自身が考えて準備することも、自立する上では大切なことですよね。「明日の試合に、お弁当はいりますか?」と、親がコーチに聞いてしまっては、お子さんはお弁当がいるかどうかを気にすることはありません。「今日から、お弁当がいるかどうかはお母さんは聞かないから、自分でコーチに聞きなさい」と言うのも、ひとつの方法です。自分のお子さんにこうなってほしいという最終像があって、それに向かってプラスになることを、自分がやっているのか。そこに意識を向けてみるといいと思います。――子どもの自立のために、クラブと保護者が同じ方向を向くのが理想ですね。子どもは成長の途中なので、良いときもあれば悪いときもあります。指導者や保護者は、彼らと伴走しながらサポートしていくものです。練習中に「なぜ彼はふてくされるんだろう?」という場面があったとして、その裏側には必ず何か理由があります。そこに目を向けず「ふてくされて態度が悪い、○○くん」とダメ出しやネガティブフィードバックをしたり、「そんな態度では試合には出さない」と言って、週末の試合から干したりすることを、私達指導者は繰り返してきました。でもそうではなくて、人間にはいろいろなコンテキスト(前後関係)があり、ファクター(事実)があります。そこに理解を示し、歩み寄り、選手のバックグラウンドを知ろうとすることは、とても大切なことだと思います。罰するのは、その後からでも遅くないからです。■これまでと違う日本人が育っている。大人も進化し続けないと指導の質が上がらない――時代の流れとともに、求められる指導者像や選手へのアプローチは変わってきていると感じますか?はい。時代の流れは早いので、指導者は敏感に感じ取り、変化していく必要があると思っています。フットボール界だけ、指導現場だけで物事は測れません。社会の潮流や教育現場の流れなども鑑みることが大切です。近年、日本は教育方針が大幅に変わりました。いまの子どもたちが大人になる10年、20年後は、これまで私達が知っている日本人とは違ったタイプが育っているでしょう。しかし、それに対応する我々上の世代は、昭和の教育を受けている人が大半です。これまでとは違う日本人が育っているのに、育てる側の人間がついていけないと誤差が生じます。――前提条件が違う人達同士、ミスマッチが生じるわけですね。だからこそ我々上の世代、つまり大人が敏感になること。進化することに貪欲に、エネルギーを注ぐ努力をする必要があります。そうしないと、指導現場の質も上がらないと思います。子どもたち、青少年はその時代に沿った人格形成をされています。いまの子どもたちの価値観を、昭和に戻すのは無理な話です。そうであるにも関わらず、指導者が選手に圧力をかけ、恐怖心で抑え込んできた事実が、スポーツ現場にはあります。そこに対して、どう意識を変えていくか。お話してきたビジャレアルの育成改革もそうですが、勇気を持って、我々大人が取り組むべきだと思います。<<第3回を読む佐伯夕利子(さえき・ゆりこ)1973 年10月6日生まれ/イラン生まれ92 年にスペインに移住し、93 年から指導者の道を歩み始める。レアル・マドリードのスクールをはじめ、スペイン男子3 部リーグ、アトレティコ・マドリッド女子チームなどで監督経験を積む。08 年からビジャレアルに在籍し、男子U19のコーチ、レディースの監督、女子部統括責任者などを歴任。18 年に公益社団法人日本プロサッカーリーグの特任理事(非常勤)に選任され、2020年3月からJリーグ常勤理事。
2021年02月22日20年以上に渡ってスペインで指導者として現場に立ち、アトレティコ・マドリードやビジャレアルのアカデミーなどで活動してきた、佐伯夕利子さん。なかでも2014年にビジャレアルのアカデミーが実行した「育成改革」には、指導者人生を揺るがすほどの影響を受けたと言います。インタビュー第3回では、佐伯さん自身の変化について、話をうかがいました。(取材・文鈴木智之)ビジャレアルが行った育成改革改革のおかげで、これまで選手をジャッジして来たことに気付いたと佐伯さんは語ります(写真はサッカー少年のイメージ)<<第2回:そのコーチングは「指導者が考える正解」では?ビジャレアルが将来を見据えて行った指導者改革■「これまで選手をジャッジし続けてきた」と気づいた――ビジャレアルの育成改革では指導風景を撮影し、映像をもとに指導者間でディスカッションしたとおっしゃっていましたが、佐伯さん自身フィードバックを受けて、どのような変化があったのでしょうか?まず、選手に対するアプローチの仕方が、ガラリと変わりました。なかでも強く感じたのが「私はこれまで、選手をジャッジし続けてきたんだ」ということです。たとえば、「この選手は良い選手」「この選手はそうでもない」というのもジャッジです。誰しも指導者にはお気に入りの選手がいて、どんな状態でもピッチにいてほしい。説明のつかない信頼感を寄せている選手がいます。その子に対するジャッジは、文句なしに「良い選手」です。でもいま振り返ると、それは思い込みだったのではないだろうかと。もしかすると、良い選手であるという先入観のもと、ラベリングをしていたのかもしれません。――ご自身の考えを、客観的に見られるようになったのですね。他に変わったのが、口から出る言葉です。人間は無意識のうちに、習慣化した言葉を使っています。指導中にも、頻繁に口をついて出ます。ビジャレアルの育成改革ではメソッド部門のメンタルコーチたちが、私の近くに影のように寄り添い、練習中にカメラを回し、メモをとりながら「佐伯コーチは練習中、何を言っているのか?」を記録しました。そして、私の口から出てくる言葉を全部「仕分け」してくれるんです。ポジティブな言葉とネガティブな言葉を分け、選手に対してポジティブなフィードバックが多かったのか、ネガティブなフィードバックが多かったのかに分けます。■言葉を可視化したことで、選手が自分の言葉をどう感じるかに気付けた――どんな言葉をかけているか、可視化されるわけですね。そうなんです。たとえば、90分の練習でA君に18回、B君に8回、C君に2回、声をかけたとします。「この数字を見て、佐伯コーチは何を感じますか?」と質問をされます。そこで私は「A君に18回も声をかけている。すごく執着しているな」とわかるわけです。次に、A君にかけたポジティブな言葉とネガティブな言葉を仕分けされた表を見せられます。すると、18回のうち15回がネガティブで、3回がポジティブなワードを使っていたことがわかりました。――A君に対して、ネガティブに執着していたわけですね。そこで私は自分の考えを正当化するんです。「でも、あの子には、これまで何度も注意しているんですよ。それなのに、状況を見ないでボールを受けてしまって、それから何をしようかを考えるから、ボールを奪われることが多くて。何度言っても改善されないんです」というように。指導者というのは自分を正当化させたら天下一品で、いくらでも言葉が出てきます。でも、はたして本当にそうなんだろうか? というところを、メソッド部のコーチが掘り下げてくれるんです。一つひとつ踏み込んで、「この言葉は、A君に対してどのように伝わってったと思う?」「このように言われたら、A君はどのように思ったと思う?」と、あえて指摘せず、質問を投げかけることで私自身にその答えを出させるのです。それを繰り返すことによって、「こんな言葉を使ってしまった」「こんな言い方をしてしまった」「A君は、いまどう思っただろう?」という意識が芽生えるようになりました。自分の指導を俯瞰できるようになったというと、おおげさに聞こえるかもしれませんが、いままでそんなことは思ったことがなかったので、一番の成長だと思います。――すごいアプローチですね。例えば同じシチュエーションで同じミスをした時に「また?」と指導者が言ったとします。その「また?」が、言われた選手に与えるインパクトは、どのようなものがあるだろうか?「また?」と言われた次のアクションで、結局あなたが望むプレーをA君はできた?と聞かれるわけです。同じミスをしたときに、指導者に「また?」と言われたら、次から身体が縮こまってしまい、より良いアクションは起こせないですよね。メソッド部門の人たちはそのような対話を通じて、私を変えてくれました。■スペインでは勘違い指導者の居場所がなくなりつつある――キャリアのある指導者を変えるのは、大変なことだと思います。変える方も、変わる方も。私だけでなく、スペイン国内の大多数の指導者は、多くの勘違いのもとに指導をしてきたのだと思います。幸運なことに、私はそれに気がつくことができました。さらに申し上げると、スペイン国内では指導者のプロファイルが変わってきていると感じています。これまではパフォーマンス系の指導者、例えば吠えるタイプの指導者やミスをした選手がいたら、ピッチサイドで地面にペットボトルを投げつけてみたり、審判に食ってかかったりするような指導者が多くいました。審判にプレッシャーをかけることイコール、チームへのプラスになるという変な信仰があったり。まだまだそのような指導者は少なくありませんが、流れが変わってきて、徐々にそういった指導者の居場所がなくなってきていると感じています。■知識があっても現代のやり方に合わない指導者は求められていない――そのような指導者はかつては「熱心な指導者」と言われていましたが、世の中が変わってきた中で、求められる指導者像も変化してきたのでしょうか?そう思います。先日、スペインの有名なスポーツダイレクターと話をしたのですが、同じことをおっしゃっていました。「○○監督はフットボールの知識があって、4-3-3について語らせたら、自分がいままで出会ってきた中でナンバーワンだ。だけどスポーツダイレクターの立場から考えると、彼を監督して招聘するのはありえない。なぜならもうそういう時代じゃないし、彼のやり方は求められていないんだよね」と言っていました。選手とのコミュニケーション方法やチームの作り方、自分の知識の伝え方など、時代とともに求められるやり方も変わってきているのだと思います。――オールドスタイルの指導者の居場所がなくなってきているのですね。はい。スペインで言うと、1980年代、90年代の指導スタイルから、進化していない人達の居場所がなくなってきているように感じます。そういう人達は、海外に居場所を求めています。なぜならばアフリカやアジアなどは、ヨーロッパと比べて人権への意識が低い地域もあるので、そのような指導がまだ認められるからです。もちろん、アフリカやアジアで仕事をしている指導者全員がそうだと言っているのではありません。そこは誤解なさらないようにしてほしいです。中には実力が認められて、海を渡った指導者もいます。でも、そうでない人がいるのも事実です。■過去にもてはやされた手法をなぞることがイケてると勘違いしていた――日本のスポーツ界にも、指導者のパワハラは根強く残っています。ハラスメント系の指導者というのが、一昔前はイケている指導者だった時期がありましたよね。「あの監督は情熱がある」といったように、色々な言葉で正当化されてきたんです。私もそう思っていた時期もありました。例えば、「メンバーリストは相手のチームよりも後に出せ」とか、色々なことを教えられました。でも時代は変わり、指導者がメンバーリストをいつ出すかに気を取られている間に、そのエネルギーを選手に向けて、選手のことを考える時間に当てたほうがよっぽど良いですよね。――そう思います。試合前というのは、選手が試合に向けてどのような気持ちでいるか。それに指導者は寄り添っていなければいけないはずなのに、つまらない信仰のようなものを、私達はたくさん作り上げてきてしまいました。それをなぞることが、イケている指導者だと勘違いし、そのような指導者をスペインのサッカー界は大量生産してしまったのです。しかし現在、先進的なクラブは、そのようなプロファイルの指導者は求めていません。ビジャレアルが2014年に改革しようとしたのは、まさにその部分で、それが遅かったのか、早かったのかはわかりませんが、私に多くの影響を与えてくれました。■ひどい指導者たちを批判するだけでは何も変わらない。指導環境改善のためにできること――過去の誤った振る舞いに気がついたとき、どのように感じたのでしょうか?私はメソッド部門のコーチに「いままでの自分はひどい指導者だったんだと、恥ずかしく思う」と言いました。すると、「いいんだよ。キミに非があるわけではないんだから。キミは、そのやり方しか知らなかっただけなんだ。それが正しいと思っていただけなんだ」と。さらに、こう言われました。「キミがやってきたことと、違ったアプローチがあることも知ってほしい。こういうやり方もあるんだと知ることで、指導者として豊かになれるはず。指導者をそのように育ててきた、スペインのスポーツ文化にも責任はある。人間は知っていることしか見えない。キミたちはひとつのやり方しか教わってきていないから、見えるものも見えなくなっているんだ。知ることによって、見えるものも変わるはずだから、『知る』を増やそう」と。――深い言葉ですね。日本のスポーツ界には未だにハラスメントがあり、子どものスポーツに対して、ひどい指導をしている人も多いと聞きます。でもそこで、「ここにひどい指導者がいる」「あそこにもいるぞ」と批判を繰り返すだけでは、何も変わりません。なぜならばそのような指導者達は、言い訳でなく、他のやり方を知らないんです。そして、いままではそのやり方で試合に勝ったり、大会に優勝したりと、機能してきてしまったのです。なので、その部分に対する『学びくずし』と言うか、そこに取り組むためのきっかけや、サポートする人がいない限り、指導者は変わることができない。私の経験上、そう思います。(第4回に続く)<<第2回を読む佐伯夕利子(さえき・ゆりこ)1973 年10月6日生まれ/イラン生まれ92 年にスペインに移住し、93 年から指導者の道を歩み始める。レアル・マドリードのスクールをはじめ、スペイン男子3 部リーグ、アトレティコ・マドリッド女子チームなどで監督経験を積む。08 年からビジャレアルに在籍し、男子U19のコーチ、レディースの監督、女子部統括責任者などを歴任。18 年に公益社団法人日本プロサッカーリーグの特任理事(非常勤)に選任され、2020年3月からJリーグ常勤理事。
2021年02月16日30年近くに渡ってスペインで活動し、サッカー指導の現場で奮闘してきた佐伯夕利子さん。スペインの指導ライセンスレベル3(日本のS級に相当)を取得し、アトレティコ・マドリードの女子チームやビジャレアルのアカデミーで指導を行ってきました。2020年よりJリーグの常勤理事となり、現在は日本を拠点に活動(11/30-2/1まで一時帰国中)しています。選手の育成について多くの知見を持つ佐伯さんに「子どもたちを伸ばすために、指導者が変わらなければいけない理由」をテーマにインタビューを行いました。第2回はビジャレアルが行った育成改革の内容に迫っていきます。(取材・文鈴木智之)ビジャレアルが行った育成改革改革の第一歩は、指導者が自分を知ることから始まったそう(写真はサッカー少年のイメージ)<<第1回:1人ひとりの個性を見て個別最適化がチーム強化に。スペインの名門ビジャレアルが育成改革に取り組んだキッカケ■育成はすぐに結果が出るものではない。「今」だけ見ていて良いのか――サカイクでは、「子どもを変えるには、大人が変わらなければいけない」というメッセージを打ち出しています。ビジャレアルの育成改革は、まさに大人(指導者)が変わることで、子どもたちの変革をうながしたそうですが、どのような取り組みをしたのでしょうか?それまでの私達はサッカークラブの指導者なので、普段からサッカーの話ばかりをしていました。どんなシステムがいいのか、サイドバックの選手に求める要素は...といった形です。あるとき、ビジャレアルの育成改革を推進したコーチに「そんな話を何十年もしてきて、これから先の何十年も続けていくのか?」と言われたときに、はっとしたのです。指導者として、それはあまりにも貧しいのではないか。そうではなくて、もっと広い視野で選手を育てるべきなのではないかと。ご存知のとおり、育成はすぐに結果が出るものではありません。目の前にいる選手が8年後、10年後にこうなっていてほしいという理想像に向かって、進んでいかなくてはなりません。8年後、10年後に、今いるコーチが引き続き、ビジャレアルにいるとは限りませんが、選手たちの将来にとってプラスになるのであれば、より良いアプローチを模索するべきだということで、まずは指導者に対して様々な取り組みが行われました。■選手には「自分で考える」を求めていたのに、指導者が具体的に指示しすぎていた――どのようなことが行われたのでしょうか?改革の第一歩は、指導者が自分を知ることから始まりました。「理想の選手を育成するにあたって、それに適した指導を、私達指導者が行っているか」に目を向けました。ビジャレアルアカデミーが掲げる理想の選手像は、自ら積極的に考えて、判断して実行できる選手であり、試合中、変わっていく状況に対して適応できる能力を備えた選手です。そう言っている割には、攻撃パターンを3つぐらい作って、それをただ繰り返すドリルのようなトレーニングをさせていたり、「自分で考えてプレーしよう」と言いながら、指導者が「右に蹴れ、左に蹴れ、いまのは違うだろ」と言い続けていました。――多くの指導者にとって、耳の痛い話ですね。ビジャレアルアカデミーでは、私達指導者がどのような振る舞いをしているのか、それを自分たちの目で確かめるところから始めました。具体的には、アクションカメラの「Go Pro」をつけて指導の現場に立ち、いつもどおりトレーニングをします。「Go Pro」は自分の目線と同じなので、選手の反応が撮影されています。その映像を見ると、多くの発見がありました。練習前後に選手を集めて、指導者がトレーニングについての話をするのですが、いつもうなずいて聞いているように見えたA君が、実は聞いている素振りをしているだけだったり、聞いていなさそうに見えたB君が、話を理解しようとしていたりと、指導者が持つ印象と映像に映っている事実が異なっていました。その理由は、指導者が選手にするラベリングにあります。指導者のレッテルや主観が、事実を違うように映していたのです。――映像で見るからこそ、多くの情報を客観的に得ることができるわけですね。もう一つはハンディカムで指導者自身を映し、トレーニング中や試合中にどのような指示出し、振る舞いをしているかを、コーチングスタッフ全員でチェックし、ディスカッションをする場を設けました。これは週に1回、2時間の学びの場なのですが、自分の指導の様子がみんなの前で映し出され、選手とどのようなコミュニケーションをとっているか、どのような言葉を使っているかなどにフォーカスし、ディベートをしました。■そのコーチングは指導者が考える「正解」では?――そこでは、どのようなディスカションがなされるのでしょうか?映像には試合の様子は映っておらず、指導者の姿だけが収められています。そこで試合中、私が選手のあるプレーに対して「いまのはパスじゃなくて、ロングキックでしょ!」と言ったとします。すると進行役が映像を止めて、「いまのコミュニケーションについて、他の指導者はどう思う?」と意見を聞いていきます。そうやって、指導者の振る舞いを一つひとつ検証していくのです。――指導者からするとハードな学びの場ですね。はい。たとえば他のコーチから「この前のスタッフミーティングで、『自主的に物事を考えられる選手になってほしい』という話をしたよね。でも『ロングキックでしょ!』というコーチングは指導者であるあなたが考える正解であって、パスをした選手の判断や選択肢を否定することになっている。結局、あなたが言うとおりのプレーをしないと、ネガティブなフィードバックをされる。つまり、ダメな選手と評価されるわけだ。それは私達の目指す方向性ではないし、言っている事とやっている事が違うよね」といったフィードバックを受けます。それを1年間繰り返しました。■20年の指導歴で初めて自分が成長できる機会だった――指導者のみなさんは、そのフィードバックをすんなりと受け入れることができたのでしょうか?大人になると、誰しも自分をさらけ出すのは嫌ですよね。自分の指導の様子を撮影されて、みんなの前でフィードバックを受けるのは居心地が悪く、怒りや恥ずかしさなど、いろいろな感情が混ざり合います。私達にとっては、すごく難しい時間であり空間でしたが、その経験をしたことで、「使用前、使用後」と呼べるような変化がありました。中にはふてくされて、自分の殻に閉じこもってしまった人もいて、学びという面では残念なことではありますが、そこまで踏み込んで、指導者を改革しようとしてくれたビジャレアルというクラブは勇気があるなと感じました。――佐伯さんご自身は、それらの取り組みによる変化をどのように感じたのでしょうか?ビジャレアルの育成改革がスタートしたのが、2014年です。私はそれまで、20年ほど指導者をしていましたが、これまでの20年間、何をしていたのだろうと思うぐらい、使用前と使用後の変化を感じました。「選手を育成する」ということについて、間違えてとらえていたのだと気がつくことができたのです。時間が経てば経つほどその想いが強くなり、自分の中で整理できなかった思考が、緩やかなスピードではありますが固まってきました。それまで、選手に対するアプローチに違和感を覚えたことはありませんでした。自分のやっていることに間違いはないと思っていましたし、周りから疑問を投げかけられることもありませんでした。つまり20年以上の指導歴で、自分が成長する機会は一度もなかったのです。(第3回に続く)<<第1回を読む佐伯夕利子(さえき・ゆりこ)1973 年10月6日生まれ/イラン生まれ92 年にスペインに移住し、93 年から指導者の道を歩み始める。レアル・マドリードのスクールをはじめ、スペイン男子3 部リーグ、アトレティコ・マドリッド女子チームなどで監督経験を積む。08 年からビジャレアルに在籍し、男子U19のコーチ、レディースの監督、女子部統括責任者などを歴任。18 年に公益社団法人日本プロサッカーリーグの特任理事(非常勤)に選任され、2020年3月からJリーグ常勤理事。
2021年02月09日1992年よりスペインで暮らし、サッカー指導の現場で奮闘してきた佐伯夕利子さん。2003年には日本人女性初となる、スペインの指導ライセンスレベル3(日本のS級に相当)を取得。アトレティコ・マドリードの女子チームやビジャレアルのアカデミーで指導を行ってきました。2018年にJリーグの特任理事に選任されると、2020年に常勤理事となり、スペインより(11/30~2/1まで一時帰国中)帰国することになりました。育成について多くの知見を持つ佐伯さんに「子どもたちを伸ばすために、指導者が変わらなければいけない理由」をテーマにインタビューを行いました。ビジャレアルの育成改革を中心とした、濃密なインタビューを4回に渡ってお届けします。(取材・文鈴木智之)育成の名門ビジャレアルが「ピッチ外」という育成で一番大変な面に目を向けるようになったキッカケとは(写真はサッカー少年のイメージ)■小中学生で親元を離れるのは良いことなのか――佐伯さんが所属していたビジャレアルは、育成に定評のあるクラブです。スペインの年代別代表に選手を輩出し、トップチームにも多数の選手を送り込んでいます。育成に実績のあるクラブが、なぜ改革をしようと決断したのでしょうか?私が所属していたビジャレアルが、アカデミーの指導改革を行ったのが、2014年です。ビジャレアルはご存知のとおり、育成に特化してクラブを運営してきました。アカデミーからトップチームへと選手が昇格し、クラブとしても欧州チャンピオンズリーグなどで上位に食い込む中で、国内外から評価を得るようになりました。ビジャレアルはスペイン全土から選手をスカウトし、寮に入れて育成していきます。一番下は小学6年生です。小学生、中学生という多感な時期に、親元を離れて生活するのが良いことなのか。まずそこに葛藤がありました。スペインは地域性が色濃い国です。ビジャレアルはバレンシア州にあるのですが「バレンシア語」といって、使う言葉も違います。――別の地域から来た子どもは、馴染むのが大変ですね。そうなんです。遠方から来た子達を地元の学校に入れても、授業がバレンシア語なので、何を言っているかわからない。そのため、学校に馴染むことができないといった問題がありました。そのような経緯があり、(小学生年代で越境させる子はほとんどいなくなりました)。やはり、多感な時期は親元で生活するのがいいだろうという結論に達したのです。このように様々なトライアンドエラーを繰り返しながら、選手の育成をしてきました。寮生活をしている子は100人ほどいますが、それだけの数がいると、人間性の部分での指導、アプローチが行き届かないこともあります。そこであるとき、気がついたのです。「私達はプロクラブの指導者と名乗っておきながら、グラウンドの中で行われることだけを指導しているのではないか」と。やれ4-4-2だ4-3-3だという話ばかりで、グラウンドを一歩離れた選手の姿に、どれだけ関心を持って指導していたのだろうかと省みたのです。■アカデミー生の90%以上はプロになれない――ヨーロッパのトップクラブのアカデミーが、そのような観点を持ったことは、非常に興味深いです。ビジャレアルのアカデミー生は"フットボールバブル"と呼ぶべき、恵まれた環境でサッカーに取り組んでいます。全額クラブ負担で衣食住のケアがされていて、寮には栄養士もランドリーサービスもあります。Tシャツにさえ、アイロンをかけてもらえる環境です。学費はクラブが負担し、サッカーをすることで報酬も得ています。一般の中高生ではありえない環境ですが、その状態で長く育ってしまうと、いつしかそれが普通になってしまいます。そして18歳になると高級車を買ったり、iPhoneの最新版を持ったり、ブランド品を身につけたりという感覚になってしまうわけです。――まさにバブルですね。普通の中高生の感覚からかけ離れた状態をクラブが作っておきながら、彼ら全員がプロ選手になれるわけではありません。プロとして契約書にサインできる選手が、アカデミーの中で何人いるかと考えた時に、ビジャレアルのようなエリートアカデミー選手でも6~7%という数字が出てきました。つまりアカデミーの93%の選手は、プロとして生計を立てて行くことができないわけです。クラブもそれを理解しながら、選手に投資をしています。プロになった1%の子だけに目を向けて、その他の 99%の子達に責任を持たなくていいのでしょうか。「トップチームに何人昇格した」「他のクラブに高額で移籍させることができた」というのが私達の勲章ではなく、いま面倒を見ているアカデミーの選手達が、サッカー選手ではなくなった時、もっと言うとビジャレアルというバックグラウンドがなくなった時の姿に責任を持つことが、私達指導者の責務ではないかという反省が、改革のきっかけになりました。■ピッチ外という一番大変な面に向き合うようになったキッカケ――非常に考えさせられますね。ごくまれに、ユース出身の選手が犯罪を犯したというニュースを耳にします。でも、その段階ではもう自分たちのクラブの選手ではないので、大抵が知らん顔をします。「何年か前に、そんな選手いたよね」「ひどい人生を送っているね」と話をするだけで、彼らがビジャレアルのアカデミーにいた時、つまり成長段階で彼らの周りにいたのは、他ならぬ私達です。アカデミーを巣立っていった選手が、そのような状況になっていることに対して、「私達は責任を感じなくていいのだろうか?」といったことを指導者間でディベートし、内省を行いました。――責任感あふれる行動だと思います。指導者として勇気を持って、一番大変でエネルギーを吸い取られるところに、あえて向き合っていく。それがプロフェッショナルクラブの指導者と言えるのではないか。指導者とはそういう仕事なのではないかという考えに基づいて、改革をしました。たとえばAという選手がいたとして、彼は学校では生徒会長であり、彼女の前では恋人であり、クラブではおとなしいキャラクターだけど、親の前ではよく喋る子だったりと、様々な側面をもっています。しかし、私達は「サッカークラブにいるA君」という面でしか見ておらず、判断していませんでした。105m☓68mのグラウンドの中にいるときのA君に対してしか、アプローチしていなかったのです。――サッカー選手としてだけでなく、ひとりの人間として包括的に見ることの大切さに目を向けたのですね。サッカー選手としての価値を高めていくことが、最終的なクラブの目標としてはあるけれども、「価値とは何だろう?」と考えた時に、ボールを上手に扱えることなのか、速く走れることなのか、デュエルでたくさんボールを奪うことができることなのか......。そうではなく、もっと壮大なものではないだろうかという結論に達しました。つまり「人として豊かになれば、ピッチ上でのパフォーマンスにもプラスに現れてくるのではないか」ということです。なぜならばフットボールは、スピードやパワー、持久力など数値で測れるものを競う競技ではなく、様々なファクターの中から瞬時に判断し、たくさんの選択肢を持った中から、最適な行動を自分で選び取ることが必要なスポーツだからです。そこにスキルが加わり、クオリティの高いパフォーマンスに変わっていきます。■学校と連携して選手の日常を知る取り組み――どのようにして、サッカー以外の部分に目を向けていったのでしょうか?ひとつは学校との連携です。勉強に対してどのように取り組んでいるのか、学校ではどのような生徒なのか、先生との関係性はどうかなど、学校に対してクラブの指導者が積極的に関わるようになりました。いまでは学校の職員会議に、ビジャレアルのスタッフが参加する関係性です。さらに「Google Drive」というITソフトを使い、その選手に関わる多くの人と情報を共有し合う仕組みを作りました。Aという選手には、サッカーの指導者、寮の生活指導スタッフ、勉強を担当する先生、掃除や洗濯など身の回りのケアをする人など、たくさんの人が関わっています。そこで「Google Drive」の中に、Aという選手のファイルを作り、その日にあった特筆事項などを共有します。――現代的な仕組みですね。たとえば、学校の先生が「A君は同級生のB君と激しい言い争いをして、気が立っているので、寮に戻ったときの態度が悪いかもしれません」と記入しておけば、寮の生活指導の先生も「なんだこいつは。態度悪いな」となるのではなく、A君を取り巻く環境を理解することで対応も変わり、コミュニケーションも豊かになります。コーチはA君の身に起きた出来事を知っているので、練習場に来る時はふてくされているだろうなと、前もってイメージすることができます。そうすると、A君と接するときの指導者の態度も変わってきます。■一人ひとりが豊かになることがチームの強化につながる――それをチーム全員分するというのは、時間もエネルギーも相当かかりませんか?はい。チームに選手が20人いるとして、それぞれの人格や置かれている状況、バックボーンは全員違います。そうであるにも関わらず、私達はチーム全体にメッセージを発したり、フィードバックを行ってきました。それらの意味のなさに気がつき、すごく反省しました。個々にアプローチをし、個別に最適化を図ること。その結果として、選手一人ひとりが豊かになることが、チームの競技力や強化につながるのではないかと、考えが変わりました。そのような取り組みを行い、一つひとつ改革をしていきました。(第2回に続く)佐伯夕利子(さえき・ゆりこ)1973 年10月6日生まれ/イラン生まれ92 年にスペインに移住し、93 年から指導者の道を歩み始める。レアル・マドリードのスクールをはじめ、スペイン男子3 部リーグ、アトレティコ・マドリッド女子チームなどで監督経験を積む。08 年からビジャレアルに在籍し、男子U19のコーチ、レディースの監督、女子部統括責任者などを歴任。18 年に公益社団法人日本プロサッカーリーグの特任理事(非常勤)に選任され、2020年3月からJリーグ常勤理事。
2021年02月02日2020年11月29日、タレントの武井壮さんはTwitterを投稿。その内容が反響を呼んでいます。武井さんは、スポーツ競技の指導者が、試合に負けた選手に『しがちな対応』について、苦言を呈しました。試合に負けた罰に『グランド10周走ってこい』なんてのは指導じゃねえ。。試合に負けたら各選手に必要な能力を分析して、それを獲得するのに必要で有効なトレーニングや技術練習を与えて、栄養補給の知識を与えて、休養時のデータを取らせて、体を育てつつ技術を上げ、自分は戦術を学ぶもんじゃないか?— 武井壮 (@sosotakei) November 28, 2020 部活動などで試合に負けた際、指導者が選手に「グラウンドを10周走らせる」といった行為はよく聞かれます。武井さんはこれを批判し、指導者がすべきなのは「分析と戦術を学ぶこと」だと話しました。ネット上では、投稿に賛同する声が相次いでいます。・正論に拍手。いまだに根性論がまかり通っている。息子の部活顧問にアナウンスしたいくらいです。・罰を受けるべきは指導者です。そもそも『負けた罰』という意味がよく分かりませんね。・本当にその通り。負けたら指導者の力不足。勝利は選手の頑張りです。・負けると罰が待っているとなると、「罰を受けないために失敗しちゃいけない」と思ってスポーツを楽しめなくなる。負けた選手を責めるのでなく、次の時のためにしっかり対策をすることの大切さを述べた武井さん。スポーツだけでなく、さまざまな分野でいえることかもしれませんね。[文・構成/grape編集部]
2020年11月30日