慶應義塾大学は6月25日、脂質異常症の治療薬として使用されるスタチン製剤に卵巣がんの発生や進行を抑制する効果があることを確認したと発表した。同成果は同大学医学部産婦人科学教室の小林佑介 特任助教と米Johns Hopkins大学医学部病理学教室のTian-Li Wang 准教授、Ie-Ming Shih 教授らの研究グループによるもので、6月24日付(現地時間)の米科学誌「Clinical Cancer Research」に掲載された。スタチン製剤はコレステロールの合成を阻害することから脂質異常症の治療薬として用いられている。近年、同剤ががんの発生を抑える可能性が注目されているが、卵巣がんではその効果が証明されていなかった。同研究では、卵巣がんが自然に発生するマウスにスタチン製剤を投与した。このマウスは通常、生後5週からがんが出現するが、スタチン製剤を投与したマウスではその発生や進展が抑えられていた。ヒトの卵巣がん細胞を移植したマウスでも同様に、スタチン製剤の投与によって腫瘍の発生や進行が抑えられることが確認された。また、腎機能や肝機能への影響は認められなかった。さらに、ヒトの卵巣がん細胞にスタチン製剤を添加して培養すると、増殖が抑制されるとともに、細胞が膨化したり細胞内に空胞ができることから、アポトーシスやオートファジーといったプログラム細胞死が関与していることが示唆された。実際、同剤の投与により、アポトーシスやオートファジーに関与するタンパク質の発現が細胞レベルでも腫瘍レベルでも高くなっていたという。同研究グループは「今後は本研究の結果をもとに、至適用量やその適応を十分に考慮した上で、ヒトの卵巣癌の発生や進行を実際に抑制しうるか検討が行われることを期待します。」とコメントしている。
2015年06月25日今年もそろそろ“熱中症”に注意が必要な季節になってきた。総務省消防庁のまとめによると、2010年以降、6月~9月にかけて熱中症で救急搬送された人の数は、2013年の5万8,729人を筆頭に、毎年4万5,000人から5万5,000人前後で推移している。2014年は若干低くなったものの、約4万人が救急搬送されている。○熱中症の原因は?そもそも熱中症とは、高温の環境下で体内の水分や、ナトリウムやマグネシウムといったミネラルのバランスが崩れたり、体内の調整機能が低下するなどにより発症する障害の総称。最悪の場合には死に至る可能性もあり、体温調節機能が未発達な乳幼児や、体温調節や発汗機能が低下している高齢者は特に注意が必要とされる。熱中症が起こる主原因は、体内のミネラル分の不足。夏場は、気温とともに体温も上昇することから、人間の身体では発汗と血液を皮膚に集めることで、体外に熱を放出して体温を下げようとする機能が働く。しかし、その際に汗に含まれるミネラルが大量に失われてしまうことから、体は体内のミネラルの濃度を一定に保つために水分を減らすように働くため、血液量が減り、血液による脳への酸素供給が不十分となった結果、めまいやふらつきを引き起こすのだ。ミネラルは人間の体内では生成できない成分。それゆえ、飲食に補給する必要がある。水分だけでなく、ミネラル不足を補うために、スポーツ飲料が飲まれることが多いが、乳幼児から高齢者まで年齢を問わず誰でも手軽にミネラル補給ができる飲み物として、「ミネラル入りむぎ茶」を勧めるのは漢方専門医でノザキクリニック院長の野崎 豊先生だ。「体内で発生した熱は、血液によって皮膚に集めることで、その熱を体外に放出して血液の温度を下げて、体内に戻していくことで、体内の熱を下げます。そのため、水分やミネラルが不足していて、血液がドロドロ状態になると、血液の流れが悪いため、皮膚に血液を集めることができずに熱を放出しづらくなり、熱が体内にこもり熱中症にかかってしまいます。そのため、熱中症対策には、“血液さらさら効果”のあるミネラル入りむぎ茶を飲むことオススメします」と野崎先生。ほか、「血液がドロドロしていると、血液中にかたまりができてしまうこともあり、このかたまりが血管壁を傷つけたり、血管を詰まらせたりすると全身の器官や臓器の機能低下を招いて心筋梗塞や脳梗塞などの症状を発症させる恐れもありますので、"血液さらさら効果"は、それらの予防にも効果的だと言えるでしょう」と付け加えた。○ミネラル入りむぎ茶の知られざる効果ミネラル入りむぎ茶の“血液さらさら効果"は、2003の「第11回日本ヘモレオロジー学会」で、伊藤園、赤穂化成、ノザキクリニックの共同研究成果として発表されている。健常な男性22~23人がミネラル入りむぎ茶と2種類の一般的なむぎ茶を飲んだ後に、一定量の血液が流れる時間を測定すると、ミネラル入りむぎ茶が最も血液流動性が高い結果が示されたとのことだ。また、野崎先生によると、ミネラル入りむぎ茶には“体温下降効果”もあるという。健常な男性4人がミネラル入りむぎ茶とミネラルウォーターを飲用する前と飲用30分後の体温変化をサーモトレーサー(赤外線熱画像カメラ)で測定する実験では、ミネラル入りむぎ茶を飲んだ被験者の腹部・胸部の体温は1.7℃下がったが、ミネラルウォーターを飲んだ被験者の体温は逆に0.6℃上昇するという結果が得られたそうだ。「人は体内で発生した熱を血液によって皮膚に集めることで、その熱を体外に放出するほかに、汗の蒸発により体の熱を奪うことで体温を下げています。しかし、湿度が75%を超すと、汗は蒸発することができなくなります。すると、ダラダラと汗が出るだけで熱を奪うことができず脱水状態となり、熱中症につながります。でも、体温下降効果のあるミネラル入りむぎ茶は、体の余分な熱を奪い、体の内部体温を低下させるので、熱中症対策に効果的と言えます。日本の夏は湿度が高いため熱中症になりやすい環境。ミネラル入りむぎ茶は、刺激物であるカフェインも含まず、お子様から高齢者、冷え性の方、妊婦の方にも安心な飲料です」と野崎先生は説明する。また、熱中症対策にはミネラルの定期的な補給が必須とのこと。野崎先生は「ミネラルの補給は、血液内に吸収されたときにしか効果がありません。一時にまとめて補給を行うよりも少しずつ毎日継続的に飲むことが大切です。意外に知られていないことですが、熱中症は発生した当日の水分不足から起こるのではなく、数日前からの水分とミネラル不足が原因で発生するのです。ですから、常日頃から十分なミネラルの補給を心がけてほしいと思います」と話し、熱中症への耐性獲得には2~3カ月ほど掛かることを付け加えたうえで、日常的なミネラルの補給の必要性を強調した。毎日飲むという点でも、お茶は飽きが来づらい現実的な飲み物。熱中症対策として、今年の夏はミネラル入りむぎ茶を常用しておきたい。
2015年05月13日昼間、仕事中に異常な眠気に悩まされている方、疲れがたまっていませんか?今はただの疲れでも、進行するとある病気になる可能性もあります。健康を害し、仕事に支障が出てしまう前に、ちょっとチェックしてみましょう!日中に異常な眠気がある方へ朝起きてもなんだかスッキリ目覚められない、全身がだるくて起き上がりたくない。仕事もすぐに疲れてしまい、異常な眠気が襲ってくる。そんな状態になっていたら、あなたはただの「お疲れぎみ」ではなさそうです。特に、しっかり休みは取っているのに疲れがとれなかったり、日中、極度の眠気に襲われる、もしくは、夜は寝付けず眠りも浅い感じがするといった状態が起きていたりするのであれば、ある症候群が疑われます。「慢性疲労症候群」とは?それは、「慢性疲労症候群」。全身が重く、体を動かせなくなるほどの疲労が半年以上の長期間に及ぶもので、日常生活に支障が出る病気です。しかし、血液検査や内臓の検査をしても一向に異常が見つからないのが特徴で、実際、特に大きな疾患は見られないようです。自分ではただ体調が悪い、疲れ気味と感じているかもしれません。この「慢性疲労症候群」の原因は不明といわれており、日本人のうち約0.3%の人が患っていると推定されています。疲れが改善しないことから、仕事への意欲が低下するなど、精神的にも不調になるといわれています。「慢性疲労症候群」の症状を知ろう慢性疲労症候群の症状としては、微熱や悪寒、のどの痛み、頸部やワキの腫れ、筋力低下、筋肉痛、全身の倦怠感、頭痛、関節痛、集中力・思考力の低下、抑うつ、物忘れ、過眠や不眠などの睡眠障害などがあります。これらの症状が6ヶ月以上続き、全身の検査でも異常が見つからないのであれば、慢性疲労症候群を疑われるといわれています。もし似たような症状があるという方は、早めにお医者さんに相談しましょう。日中に異常な眠気が襲ってくるのは、仕事にも差し障ることなので、できるだけ早めに対処したいものですね。【参考】総合南東北病院「何とかしたいこの疲れ~慢性疲労症候群~CFS」林鍼灸院「慢性疲労症候群と中国鍼灸治療」東京脳神経センター「完治された患者の体験記:慢性疲労症候群が治り日常生活へ復帰」
2015年01月29日仕事中の異常な眠気。今寝てはいけないと分かっていても、どうしてもタイミング悪く眠気が襲ってくることはあるものです。大事な会議中などに寝てしまわないように、日頃からどのような対策をすればいいのでしょうか。それにはまず、その異常な眠気の程度を知ることが必要です。仕事中の異常な眠気病気の可能性は?昼間の異常な眠気には、病気が潜んでいることがあります。しかし、「ただの寝不足だろう」と特に重大なことと捉えていない方も多いのではないでしょうか。そこで、もっと自分の眠気を客観的に知ることのできる方法を紹介します。それは、眠りに関する尺度を利用することです。簡単にいえば、眠りや生活習慣についての簡単な問いに答えていき、その合計点数によって自分の眠気の程度を把握するというものです。過眠症をはかる尺度エップワース眠気尺度眠気をはかる尺度としては、エップワース眠気尺度と、スタンフォード眠気尺度が挙げられます。エップワース眠気尺度とは眠気について調査するもので、8つの設問に対して、「ない」は0点、「時々ある」は1点、「よくある」は2点、「いつもそうだ」は3点と、点数をつけていき、合計します。問いは、読書やテレビ、映画館、会議中、車の中、人と話しているとき、昼食後などに眠ってしまうかどうかを問う内容になっています。合計点数が11点以上の場合、何かの病気が疑われます。しかし、自分ではなかなか判断ができないので、家族に協力して評価してもらうのがいいようです。スタンフォード眠気尺度とは?一方、スタンフォード大学で作成されたという眠気の自己評価尺度であるスタンフォード眠気尺度は、次の7つの状態のうち、どれがもっとも自分の眠気に近いかを選ぶことで、自分の状態が分かるというものです。・やる気があり、活発で、頭がさえていて、眠くない感じ【点数1】・最高とはいえないまでも、頭の働きが活発、集中していられる【点数2】・くつろいで起きているが、どちらかというと少し頭がぼんやりし反応が悪い【点数3】・すこしぼんやりしていて、何かしたいと思わない【点数4】・ぼんやりしている、集中していられない、起きているのが困難【点数5】・眠いので横になりたい、ぼうっとしている【点数6】・まどろんでいる、起きていられない、すぐに眠ってしまいそうだ【点数7】点数が日中、慢性的に3点以上のときがある場合、過眠症の可能性も考えられます。1~2点であれば覚醒状態は良好、2点以上は睡眠不足を抱えている指標になるようです。これらの眠気尺度を試してみて、ちょっと異常な数値だと思ったら、早めにお医者さんに相談しましょう。Photo by 19melissa68
2014年11月22日日中、頭がぼーっとして仕事にならないということはありませんか?異常な眠気を伴うときは、脳疲労の可能性があります。この脳疲労の原因やメカニズムを知れば、自らの対策に役立てることができます。異常な眠気、頭がぼーっとする原因は?仕事中に襲われる異常な眠気。どう対処していますか?眠気がそれほど強くないときも、頭がぼーっとしてしまうことってありますよね。そんなとき、脳はある状態に陥っている可能性があります。それは、脳疲労。過剰なストレスが長時間続くと、脳の働きが低下するといわれているのです。この脳疲労の原因といわれているのがアンモニアです。脳は酷使し続けると、アンモニアが大量に発生し、脳にどんどんたまってしまうのだそうです。アンモニアは、脳を酷使するだけでなく、イライラすることによってもたまってしまうそう。アンモニアは体にとって毒です。それがどんどんたまっていくなんて、想像しただけで恐ろしいものですね。アンモニアでやる気が下がる!?脳にアンモニアがたまるとどうなるのでしょうか。本来、アンモニアは有毒なので、肝臓で無毒化されてから最終的には尿素として体外へ排出されます。しかし、大量発生した毒であるアンモニアに対して危険を察知した脳は、アンモニアをこれ以上増やさないために、脳を疲れさせることでやる気を低下させるのだそうです。なんだかぼーっとする、やる気が起きないというときはアンモニアがたまっているのかもしれないですね。また、血糖値が下がり、脳にエネルギーが足りないときにも脳疲労は起こります。その他、眠気や生あくびが多くなる場合は、酸欠状態が疑われます。脳疲労の対策は?脳疲労には色々な原因がありますが、中でもアンモニアがたまっていることが疑われる場合、どのような対策があるのでしょうか。アンモニアをグルタミンというものに変換して解毒してくれるのは、アミノ酸のグルタミン酸だといわれています。このグルタミン酸を供給するのが、BCAAと呼ばれる分岐鎖アミノ酸。肉や魚、卵、大豆製品、乳製品に多く含まれているそうです。また、アンモニアが無毒化されて体外へ排出されるのを助けるアルギニンというアミノ酸も大事です。肉や魚、大豆製品などに多く含まれているので、意識的に摂取してみてください。また脳の機能を復活させるために必要な、エネルギーの源であるビタミンB群を補給するのも忘れずに。脳疲労が疑われる人は、ぜひトライしてみてはいかがでしょうか。Photo by UGL_UIUC
2014年09月21日東京大学は4月3日、運動による脂質代謝改善に関わる新たな分子機構を明らかにしたと発表した。成果は、東大大学院 農学生命科学研究科の佐藤隆一郎教授らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、3月18日付けで「American Journal of Physiology Endocrinology and Metabolism」に掲載された。メタボリックシンドロームの発症には、影響として運動習慣の有無が大きい。特に運動による脂質代謝改善においては、骨格筋で「リポタンパク質リパーゼ(LPL:Lipoprotein lipase)」発現が上昇することが重要だとされる。LPLは運動により発現上昇した後に血中に分泌され、「キロミクロン」や「VLDL」などのリポタンパク質中に含まれる「トリグリセリド」を分解。その後、分解産物である脂肪酸を骨格筋細胞が積極的に取り込むことで脂質代謝が改善する仕組みだ。しかし運動後の骨格筋でなぜLPL発現が上昇するのか、分子レベルで明確にはわかっていなかった。そうした中、近年、運動による代謝改善効果を担う因子として「エネルギーセンサタンパク質(AMPK:AMP-activated protein kinase)」が注目されている。AMPKは運動によって生じる細胞内エネルギー枯渇を感知し、その回復に努める機能分子だ。今回の研究では、AMPKが核内受容体「PPAR(peroxisome proliferator-activated receptor)γ1」の発現亢進を介してLPLの発現上昇を誘導することが新たに見出され、さらにAMPKによるPPARγ1の発現亢進の一部は、mRNAの安定化という一風変わった機構により調節されていることが明らかにされた(画像1・2)。今回の研究では、斜度10°のトレッドミルを用い、マウスに対して毎分15mの速度で30分の走行運動を週5回、4週間にわたる負荷がかけられた。その結果、非運動群のマウスに比べ、運動群マウスでは骨格筋におけるPPARγ1およびLPLのメッセンジャーRNA(mRNA)量が有意に上昇することが認められたという。核内受容体であるPPARファミリーはα、β/δ、γの3種類のサブタイプが存在し、さまざまなエネルギー代謝に関わることが知られている。骨格筋においてはPPARファミリー中のPPARα、およびPPARβ/δが脂肪酸代謝関連遺伝子の発現を調節する機能を持つ。一方、PPARγは脂肪細胞において重要な働きをしているが、骨格筋における発現量は脂肪組織の10%以下であることから、その機能については不明な点が多く残されていた。そこで筋細胞におけるPPARγ1の機能を明らかにするため、培養筋管細胞「C2C12」にPPARγ1を過剰発現させ、種々の遺伝子発現応答の追跡が実施されたのである。その結果、LPL mRNAおよびタンパク質の突出した上昇が確認されたことから、PPARγ1がLPL発現を調節する因子であることが明らかになった。さらに研究チームは、運動時にPPARγ1発現を上昇させる上流因子の同定を試みることにし、そこで着目した因子が運動により活性化するAMPKというわけだ。C2C12をAMPK活性化剤である「AICAR」や「メトフォルミン」、AMPKを間接的に活性化する「H2O2」を含む培地で培養すると、PPARγ1mRNAならびにタンパク質の上昇が確認された。この上昇は、同時にAMPK阻害剤を培地に加えると解除されたことから、AMPK活性化によりPPARγ1mRNAが上昇することが明らかになったのである。さらにマウスに対して3日間にわたるAICARの投与が行われたところ、やはり骨格筋においてPPARγ1、LPL mRNAの有意な上昇が確認された。以上の結果より、運動→AMPK活性化→PPARγ1増加→LPL上昇の分子機構が明らかにされたのである。運動刺激により骨格筋はLPL分泌を上昇させ、エネルギー源となる遊離脂肪酸を細胞内に積極的に取り込む適応をしていると考えることができるという。続いて、AMPK活性化によるPPARγ1発現上昇の分子機構の解析が行われた。その結果として興味深いことに、PPARγ1mRNAは通常およそ4時間の半減期で分解するのに対し、AMPKを活性化することで半減期が12時間程度まで延伸することが判明。ここで見られたmRNA安定化は、AMPK阻害剤により抑制された形だ。PPARγ1mRNAの「3’非翻訳領域」には、半減期の短いmRNAに特徴的な「AU-rich配列」が5カ所存在し、いずれもヒト、マウス、ラットで保存されている。この結果は、AMPKがAU-rich配列を介したmRNAの分解機構を抑制する作用を持つことを示唆しているという。今回の成果により、骨格筋における、運動→AMPK活性化→PPARγ1増加→LPL上昇の分子機構が明らかとなった。AMPKは、運動のみならず食品に含まれる種々のポリフェノールなどによっても活性化されることが知られている。来るべき高齢社会において、運動が十分にできない高齢者の健康維持に、AMPK活性化能を持つ食品が活用されることが期待されるとした。
2014年04月07日国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は2月24日、神経難病である「多発性硬化症」の患者を対象とする新規治療薬「免疫修飾薬OCH(糖脂質アルファ・ガラクトシルセラミド類似体)」を開発し、同センター病院において多発性硬化症患者を対象とした医師主導治験を開始することをと発表した。成果は、NCNP 神経研究所 免疫研究部の山村隆部長らの研究チームによるもの。多発性硬化症は主に20~30歳代で発病し、視力障害、運動麻痺、感覚障害などの症状が再発と回復を繰り返す慢性疾患だ。大脳、脳幹、脊髄、視神経など、中枢神経のさまざまな場所に、炎症性の神経組織破壊が繰り返して起こり、徐々に神経変性が進んでいくという疾患だ。遺伝子解析の結果などから、多発性硬化症は関節リウマチや1型糖尿病、シェーグレン症候群などと同様に、自己に反応するリンパ球(T細胞やB細胞)が関係する自己免疫疾患であると考えられ、異常な免疫反応を制御する薬剤の開発が求められている状況だったのである。免疫は、ご存じの通り、本来は細菌やウイルスなどの病原体や、悪性腫瘍などを排除する仕組みだが、誤って自分の体の成分に反応して組織障害を起こすことがあり、そのような病態を「自己免疫」といい、それによって起こる疾患のことを自己免疫疾患という。自己免疫疾患では、体のタンパク成分に反応するリンパ球が組織に入って炎症を誘導する。このような病気を誘導するリンパ球に対して、その活動を押さえつけようとする仕組みが「免疫制御機構」であり、免疫制御機構の一翼を担うリンパ球の1つがNKT細胞というわけだ。山村部長らは多発性硬化症患者の血液中のNKT細胞が著明に減少していることを明らかにし、NKT細胞に作用する薬剤が多発性硬化症の病態を改善する可能性を検討してきた。NKT細胞は抗原提示分子である「CD1d」に結合した糖脂質を認識するユニークなリンパ球で、抗原受容体から刺激が入ると、即座に大量の「サイトカイン」や「ケモカイン」など生理活性物質を産生するのが特徴だ。NKT細胞の産生するサイトカインには大別して、「インターフェロンγ(IFN-γ)」や「TNFα」などの炎症を促進する炎症性サイトカインと、「インターロイキン(IL)-4」、「IL-5」、「IL-13」などの炎症を抑制する抗炎症性サイトカインのがある。NKT細胞は、状況に応じて炎症性サイトカインまたは抗炎症性サイトカインを産生することによって、リンパ球相互の平衡状態維持や、過剰な免疫・炎症反応にブレーキをかける役割を担い、自己免疫疾患、アレルギー疾患、臓器移植、感染免疫などの広い分野において鍵になるリンパ球というわけだ。NKT細胞を刺激する糖脂質として最初に同定された物質が、「α-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)」で、NKT細胞から炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインの両方を産生させることが可能である。一方、山村部長らによって現在開発が進められている治療薬のOCHは、α-GalCerの構造に修飾を加えた形で、NKT細胞に抗炎症性サイトカインの優先的な産生を促す活性があり、また経口吸収がよいことから、炎症性疾患の治療薬の候補として注目されてきた。OCHは特定の分子を阻害するのではなく、体内に本来備わった免疫制御機構を促進する作用機序があると推定されるという。従来の行政区域単位での特区でなく、テーマ重視の特区(複合体拠点の研究者をネットワークで結んだ複合体)として、「医療スーパー特区」がある。平成20(2008)年度より第1弾として「先端医療開発特区」が創設され、最先端の再生医療、医薬品・医療機器の開発・実用化が促進されており、現在国内の24施設が指定されており、NCNPもその内の1つだ。NCNPでは、平成21(2009)年度よりの医療スーパー特区関連事業として、OCHの医師主導治験の準備を開始。非臨床試験を終了した後、平成24(2012)年11月から平成25(2013)年6月まで「ファーストインヒューマン試験」(第1相試験に相当)として、健常成人がOCHを1回だけ服用する試験(経口単回投与試験)が同センター病院において実施された。同試験では5グループの被験者(1グループ3名)にそれぞれ異なる量のOCHが投与され、安全性、体内動態、免疫系の変化、治療効果を示すバイオマーカーの検討が行われた形だ。その結果、治療が必要になるような重篤な有害事象は認められなかったという。また多発性硬化症の発症に関係するT細胞や、炎症に関係する遺伝子の発現が低下するなどの所見が認められたとしている。多発性硬化症患者で減少している血液中のNKT細胞を刺激して増殖させれば、多発性硬化症が改善するのではないかというアイデアを基に、山村部長らは2000年から多発性硬化症の動物実験モデルである「実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)発症マウス」を使って基礎的な研究を行ってきた。最初にα-GalCerがEAE発症マウスに投与されて治療効果が調べられたが、病気の改善は見られなかったという。解析の結果、α-GalCerで刺激するとNKT細胞は、抗炎症性サイトカインであるIL-4を産生するが、同時に炎症性サイトカインであるIFN-γを産生し、それがIL-4のEAE抑制効果を打ち消すことが判明した野のである(画像1)。このような背景から山村部長らは、α-GalCerの構造を一部変えた化合物を複数合成し、治療薬として有望な化合物のスクリーニングを実施した。その結果、脂肪鎖が短い改変体OCHは、NKT細胞のIL-4産生を誘導する活性を保持しながら、IFN-γ産生をほとんど産生させない作用を持ち、α-GalCerよりも治療薬として優れている可能性が推測されたのである。治療実験ではOCHを投与されたマウスでEAEの発症が抑制され、その抑制はNKT細胞の糖脂質による活性化を介するものであることが明らかなった(画像2)。なお、この時の研究成果は2001年にNatureに発表されている。今回、同センター病院において、健常成人を対象とした本治療薬の医師主導治験を終えたため、次のステップとして患者を対象とした医師主導治験を実施することとなった形だ。同センター病院では3月上旬より、同治療薬を約3ヶ月にわたって3つのグループ(1グループ3名の多発性硬化症患者)に反復投与する治験を開始する予定である。
2014年02月25日(画像はプレスリリースより)花粉症に効くアロマオイル(株)マインが展開する、国産のナチュラルコスメブランドの「ゼミド」は、これからの季節、花粉症に効く、オリジナルのブレンドアロマオイルの「ノーズレスト」を販売しています。ノーズレストは花粉症だけでなく、咳にも有効だということです。4種類の香りノーズレストには鼻づまりや、咳に効く「ユーカリ」だけでなく、頭をすっきりさせる「ペパーミント」、免疫力アップが期待できる「ティーツリー」、リラックス効果で知られる「ラベンダー」の4つの香りを配合しています。花粉症対策としてのアロマオイル最近では、花粉症対策としてアロマオイルを使用することが一般的に知られるようになりました。「ノーズレスト」以外にも、目がかゆいとき、鼻づまりを押さえるとき、頭が重いときなど用途にわけでアロマオイルを使い分けると有効なようです。また、使用方法もマスクに数滴たらす、お風呂に数滴入れるなどさまざまです。ゼミドではさまざまアロマオイルが販売されています。用途に合わせて、試してみるのもいいかもしれませんね。【参考サイト】▼美容Press▼国産ナチュラルコスメケアブランド ゼミド
2014年02月13日レディー・ガガが、フルヌード写真を公開し、それに続いて過食症と拒食症の過去を告白するために下着姿の写真も披露した。先日来、激太りしたと報道されているガガだが、今回まず、手にタバコを持って足を組みつつも全裸でトイレに座った姿を自身のウェブサイト「littlemonsters.com」に公開している。写真集「レディー・ガガ×テリー・リチャードソン」でタッグを組んだテリーが撮影したものだそうで、写真と共に「レディー・ガガ、無修正#2」という意味深なキャプションを載せている。最近25ポンド(約11キロ)太ったと語っているガガは、続いて同サイトに激太りへの批判に反論する形で、下着姿の写真も公開。「私は15歳のときから過食症と拒食症に同時に苦しんでいるの」と綴っている。また、フランスで同性婚が合法化される見通しとの報道を受け、自身も同性婚を支持するとガガは訴えている。「同性婚は普通にありえることだと思うの。だから認められるべきよ。なかなか平等っていうわけにはいかないけど、でも、もし私たち全員が自由に愛し合うことが可能になれば、平等が達成されると思うわ」。さらに、ローマ教皇ベネディクト16世が同性婚のことを欠陥があり社会にとって悪影響があると批判したことに対しては、クリスチャンではない視点からガガは「教皇の発言は全クリスチャンが信じていることと同じではないと思うわ。教皇本人だけの見解よ」と批判している。(text:cinemacafe.net)■関連作品:マチェーテ・キルズ 2014年3月1日より新宿バルト新宿バルト9ほか全国にて公開(C) 2012 Vrelonovama LTD
2012年09月27日キリンMCダノンウォーターズは、4~10歳の子どもと母親400組に対し、「子どもの体温異常に関する調査」を実施した。調査の結果、約4割の子どもが体温異常を抱えており、睡眠や便通などの生活習慣が乱れている子が半数近くいることが明らかとなった。調査は、4月14日~16日・18日・19日・21日に、イオン大宮店 ファンタジーキッズーナに来店した親子(4歳~10歳の子ども、ならびにその保護者400組)を対象に直接回答方式で実施した。アンケート実施時の子どもの体温は、36℃未満の子どもが18%、37℃以上の子どもが19%。調査を行った時間帯(昼過ぎから夕方まで)の子どもの適性体温は36~37℃であるため、実に4割近くが何らかの体温異常を抱えていることがわかった。また、子どもの運動頻度・運動時間と体温との相関関係についても調査。その結果、運動している子どもほど高体温になりにくい傾向があることもわかった。特に1回の運動時間が1時間以上・3時間未満の子どもは標準体温である割合が高く、体温異常を防ぐには適度な運動が有効と考えられる。さらに、水分摂取させる頻度が多い(1日に9回以上)子どもほど体温異常になる割合が低い傾向にあることもわかった。特に、1日11回以上水分を摂取している子どもは、体温異常を抱えている割合が27.3%と、全体平均よりも10ポイント程度低い。水分補給の回数は子どもの健康を守る上で大切であると考えられる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月31日花粉症の方は対策をしたり、ケアを進めている方は多いのではないでしょうか。花粉症は、2~5月の間に発症されると言われていますね。スギやひのきなど植物の花粉が原因のアレルギー性の病気です。去年までは大丈夫だったのに、突然発症することも。鼻水や鼻づまり、くしゃみや目のかゆみ、肌荒れ、充血など体の粘膜の部分に現れるものでとってもつらいもの。マスクや眼鏡をして万全にしていてもなかなか効き目がなかったり、せっかくメイクをしてもいつの間にかカピカピな状態でメイク自体することが苦痛でもありますよね。■花粉症に効くテクニックとは?そこで花粉自体を取り込まないケアをすることももちろん大切ですが、他にも花粉症の症状を抑える方法があるのです。そこでみなさんがいつも行っている「入浴」が大切なポイントになるのです。花粉症は免疫の機能ととても大きな関わりがあって免疫が低下して、体の中に花粉という異物が入ってくると過剰な反応が起こってしまってアレルギーが発生しやすくなります。そこで免疫力を上げるポイントなのが体の体温を上げたときに生まれるタンパク質です。この特殊なタンパク質は「ヒートショックプロテイン」といわれるものなのですが、熱から体を守るため発生するといわれています。このタンパク質は体の弱っている細胞を治そうとしたり、疲れを回復させてくれる役割をもっているのです。したがって花粉と戦うためにもこのタンパク質を生み出すことがポイントなのですね。それには毎日お風呂につかり体の奥にある深部体温を38度くらいに上げ、体の芯から温めることでこのタンパク質は生み出されます。したがって毎日の入浴を楽しみながら、体の芯から温まり花粉症をしっかり撃退しましょうね!
2012年03月19日