フェンディ(FENDI)は、2017年春夏コレクションを2016年9月22日(木)、イタリア・ミラノで発表した。今季フェンディは、「モダン・ロココ」に挑む。パニエで大きく広げたスカートライン、隙間ないほど並べたリボンやレースの装飾。宮殿が似合う‟プリンセススタイル”に、現代という名のスパイスを振りかけて、新しい姿を提案する。ランウェイに登場したのは、「ロココ」の名残を受けるルック。キュッと絞ったウエストライン、そして繭のように膨らんだアームラインとふわりと広がったヘムラインが対峙するように存在する。デコレーションを見ても、立体的なフラワー、幾重にも重ねられたリボン、エンボス加工で仕上げたボタニカルモチーフ…と、どこをとっても可愛らしいのオンパレードだ。パニエから着想を得たのだろうか、スカートの下で活躍していたランジェリーたちが飛び出し、主役級の存在感を放っている。ジャケットとシャツに合わせたのは、アンダーウェア風のパンツ、またシースルースカートの下に隠れているのはレオタード風ワンピースやビキニだ。ロングスカートに見えるものもエプロン状になっていて、後ろから覗くとランジェリーを覗かせている。プレイフルなシルエットや華やかな装飾、奇想天外なレイヤード、アプリコットやペールミントといったシャーベットカラー。こういったお姫様を形作る要素は、ロング丈のジャケットやクロップドパンツにも落とし込まれ、ストリート・トレンドといったものを咀嚼した現代に添う形にアレンジされている。注目のアクセサリーラインからは、キャンディカラーのスタッズやリボンで彩られたニューバックが誕生。また、付け替えてコーディネートが楽しめるストラップ「ストラップ ユー」にも新作が加わっているようだ。
2016年09月25日マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)が2017年春夏ウィメンズコレクションを発表した。今シーズンは、ゴシック様式を提案した2016年秋冬シーズンに倣うかのようなデザインを取り入れながらも色鮮やか。力強さを誇張するより、女性の優しさや艶やかさをほのめかせた。スタイリングは、セクシュアルでありフェミニン。そして時に、クールである。コンパクトなホットパンツやミニスカート、カクテルドレスが多用された。一方、強力なショルダーを飾ったジャケットをペアで提案することで、両端のシルエットを構築。シルバーレザーのモータージャケットには前シーズンを踏襲するかのごとく、袖部分に毛皮をあしらった。2016年秋冬シーズンと相反的に示されたディテールも散見される。黒い羽根は白い羽へ、ビックシルエットのアウターはスパンコールでカラフルに彩られている。ボウタイブラウスのリボンは控えめに、フェミニンなポイントとなり軽やかに揺れる。フリルのディテールも象徴的なもののひとつで、クロップド丈のブルゾン、シアーなミニワンピース、サテンのタイトドレスなどあらゆる局面で重要な役割を担っている。それだけでなく、散りばめられた刺繍、レザーのパッチワークといった“カラフル”を構築するあらゆる要素が集合体となりワードローブを作り上げている。ゴシック的要素だけでなく今回はオリエンタルなムードも取り入れたようだ。いちょうの葉が舞うワンピース、チャイナドレスを模したワンピースもそう。ディテールにおいても、帯のようなウエストベルト、着物のような重ねが取り入れられている。また、アーティストのジュリー・バーホーベンのポップなグラフィックイラストがさらなるアクセントとなった。彼女の描くキャラクターたちが、パッチワークや刺繍となって幾度となく登場している。ヘアドライヤー、電気コンセント、城、カエル、虹色の歯……。そのモダンな図像は、バックパックやメッセンジャーバッグとしても提案され、ランウェイの序盤に披露したものとは異なる新たな“フェミニン”を確立させた。
2016年09月25日ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)の2017年春夏コレクションは、様々な素材の響きあいを楽しめるワードローブを披露。ベーシックでクラシカルなテキストタイルは、全くもって新しい趣のウェアへと昇華されている。アイテムごとの統一感というよりも、アイテムそれぞれがストーリーをもち、アイディアをまとう。共通して存在するのは、英国らしい美しいテーラリング。ユニセックスという捉え方が普及してきた昨今を象徴するように、メンズライクなアイテムをウィメンズのアイテムとして落とし込んでいる。肩やウェストはゆったり目で、着込むというよりも柔らかく羽織るという印象。襟の高いマスキュリンなシャツと合わせセットアップで魅せるものもあれば、発色の良いグリーンとブルーのファブリックと組み合わせたスカートをぶつけることで、女性性をより引き立てているものもある。メンズのスーツに用いられるようなネイビーのストライプの生地は、クールなドレスへと変貌。スーツのディテールを思わせる前合わせや袖のボタンはあるものの、長めに取られたスリットや広めに開いた胸元によってバランスが保たれている。
2016年09月25日ポール・スミス(Paul Smith)の2017年春夏ウィメンズコレクションが発表された。今季はブランドのデザインの原点に登場するモチーフのひとつ「花」をフィーチャーし、友情や親交の証としての花や儀式的な用途に用いられる花飾りからインスピレーションを得た。フォトグラフィックのフローラルプリントは手描き風の表現や生地でワンピースに織り込まれ、コレクションの中で上品な華やかさを演出。クレヨンで描いたようなチューリッププリントは、細やかな手仕事によってドレスの上で生き生きと咲き誇る。フェミニンなドレスやセットアップを優美に彩るカラーパレットは、スウェーデン出身の女性画家、ヒルマ・アフ・クリントの作品の色合いに影響を受けている。柔らかな印象のオレンジ、イエロー、ピンクはしなやかなドレープの表情をより豊穣なものに。ソフトに仕立てられたシルエットは、女性の身体に沿った自然なラインを生み出す。テーラードジャケットはしなやかな直線、トラウザーズは緩やかな曲線でルーズに。ネクタイをウエスト部分にさりげなくあしらい、マスキュリンな印象をプラスしパワーバランスを整える。マイルドなシルエットやカラーのスタイリングを引き締めるように、足元は黒ベースにビビッドなストライプが施されたサンダルが。これはポール・スミスが表現主義のアーティストたちの作品にみられる色使いに影響を受け、新しく生んだ「アーティストストライプ」である。これはまた、自由と個性の精神を表現するメンズウェアコレクションのフィーリングを加えている。穏やかで上品だが、意志の強さや力強さも忘れない、リアルでカジュアルな女性の姿を投影していた。
2016年09月25日J.W.アンダーソンJ.W.Anderson)の2017年春夏コレクションは、縦の流線に絞りや膨らみを組み合わせたドレスやアウターが存在感を発揮。鮮やかなカラーを取り入れながらも落ち着きのあるパレットにあらゆるデザインが載せられていく。ファーストルックを飾ったのは、袖のリボンが立体感を感じさせるホワイトのブルゾン。ボンバージャケットをベースのデザインに、フリンジやボンディング、ベルトを加えボリューム感をもたらしてる。それとは対照的にアシンメトリーのスカートはドレープ感が美しい。ブーツの青との対比も不思議な溶け合いを見せている。小物の使い方が巧みなルックも紹介しよう。ブラックのパイピングがデザインにメリハリを加えているイエローのドレスには、タータンチェックの短靴をプラス。手元にはレッドのレザーバッグを合わせ、色彩と素材感の両面からコーディネートに深みを与えている。ネックと袖、裾に捲り上げたような丸い膨らみのあるニットは、フェミニンな柔らかみを象徴するような美しさ。ボディのストライプと呼応するように、スカートは縦の布の組み合わせで、同系色ながら、異素材の風合いの違いが程よく共鳴している。落ち着いた色味の中から溢れ出る女性らしい色気は、時折現れるヴィヴィッドなカラーに後押しされ、今季のJ.W.アンダーソンが描く世界が映し出された。
2016年09月25日ロベルト カヴァリ(roberto cavalli)は、ミラノ・ファッション・ウィーク初日2016年9月21日(水)に、2017年春夏ウィメンズコレクションを発表した。今季のロベルト カヴァリは、旅のスピリットに満々ている。ブランドが得意とするグラムロックスタイル、そこに和テイストやエジプトテキスタイル、ヴィクトリアン調、アフリカから着想を得たジャカード地などを盛り込み、異文化をぎゅっと凝縮。ランウェイには、カウボーイを想起させるレザ―ジャケットやベスト、着物風の刺繍入りガウン、煌びやかなデコレーションを施したミリタリージャケットなどが飛び交い、デザイナーのピーター・デュンダスが求める、開拓者のムードが視覚的に表現されている。キーシルエットは、昨シーズンから引き続きロングライン。キャミソールドレスやブラウス、マントコートなど、多くのウェアが縦に長く伸びている。また、フリンジ装飾やストライプ模様、ロングチョーカーといった、デコレーションやアクセサリーも縦の線をアシスト。一方で、旅の雰囲気は小物にも落とし込まれた。色味を抑えたヌーディメイクと、トライバル調のアクセサリーは相性抜群。また、ぎっちりとモチーフの敷き詰めたヴィクトリアンテイストのバッグ、ウッドソールのプラットフォームシューズといった、民族的なアイテムがウェアを引き立てている。
2016年09月25日ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)の2017年春夏ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク3日目の2016年9月23日(金)に発表された。通常エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)も同期間にショーを開催しているが、今季は舞台をパリへ移すため、デザイナーのジョルジオ・アルマーニの新作にミラノで出会えるのは、この機会だけである。「CHARMANI」と名付けられた今シーズンは、幻想的で魅惑的だった。何といってもテキスタイルの美しさが際立っている。ブルーやパープルを使って描かれた模様は、ストライプにもボタニカル模様にもトライバル調にも捉えられる、曖昧なモチーフだ。全体的に朝靄に包まれたかのように白みがかっていて、輪郭がぼやけている。それらを時にオーガンザで包み込み、時にラメネイルを重ねたようにキラキラと輝かせて、高貴なものへと昇華させている。装いは、多様性に富んでいる。膝小僧が見えるほどのショートパンツ、レースを重ねてレングスを伸ばしたテーラードジャケット、パジャマ風のセットアップ、フレアに広げたノーカラージャケットなど。どれもエレガンスを保ちながらも、女性らしさを誇張せず、肩ひじを張らないいい塩梅の抜け感がある。意外性を感じたのは、ロマンチックドレスの登場だ。丸みを帯びたパフスリーブ、ベビードールのように広がったフレアライン、胸元を包みこむサテンのリボン。シルエットもディテールも、おとぎ話に出てくるプリンセスさながらのフェミニンさに溢れている。シューズラインからは、グラディエーターサンダル風の新作フットウェア、また、フラットなスリッパが展開され、時流をきっちりと掴んでいる姿が確認できた。
2016年09月25日ヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)の2017年春夏ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク初日2016年9月21日(水)に発表された。今季は、あらゆる要素を一つにギュッとまとめた印象を受ける。ファーストルックからラストにかけて何度も登場するレースドレスは、ウエストからふわりと広がったラインにメッシュ地やメタリック素材が重ねられている。丈感もまちまちで、左右の均等も保たれていない。足元を飾るプラットフォームサンダルも同様に、カジュアルに仕上げたいのかフェミニンに仕立てたいのか判別できない。スニーカーのような機能性ヒールの上に、リボンやパール、レースアップストラップが乗り、曖昧な表情を作り出している。コーディネートも異なる要素が混在し、かなり複雑だ。女性らしいワンピースにマッチさせたのは、ザ・アウトドアといった感じのウエストバッグ。また、蛍光ラインのフルジップトップスやフーディーアウターといったスポーツテイストも織り込まれ、隙間がないほど様々なエッセンスが、ランウェイに散らばっている。ニュース性を取り上げるのであれば、メンズモデルの起用がある。レディースモデル同様に、キーファブリックはレースとフラワーモチーフの生地。それらが、シャツやジャケットなど、男性のフォーマルウェアへと姿を変えている。アクセサリーラインには‟超がつくほど大きい”バックパックが登場している。
2016年09月25日アルベルタ フェレッティ(ALBERTA FERRETTI) の2017年春夏ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク初日2016年9月21日(水)に発表された。2016年パリ オートクチュール期間中に「デミ・クチュールライン」という名の新作を発表したアルベルタ フェレッティ。会場入り口では、針子の女性たちが出迎えてくれ、オートクチュールコレクションの余波を感じさせた。新作ピースは潔さを感じさせるほどフェミニン。昨シーズンみせた直線的なシルエットは姿を消し、フレアなラインが会場を包み込む。空気感のあるテキスタイルで作られたドレスは、フリル、ラッフル、ギャザーがあしらわれ、思い切り可憐な印象だ。また、肩からたなびくリボン、胸元に飾られた花刺繍も、女性らしさに磨きをかけている。しかし、スタイル全体に目を向ければ、エレガンスとは異なる、カジュアル・リラックスといったムードが存在している。まずパレットは、パープルやターコイブルー、レッドといった宝石のような力強い色彩が主役。また着こなしもユニークで、総柄のドレスの下にはブラックシャツを忍ばせ、フリルスカートにはコットン素材のノースリーブトップスや、レザ―ベルトを何重にもあしらった。ピンヒールシューズには真っ赤なソックスをマッチさせ、ドレスにはアクセサリーではなく、レザ―のウエストバッグを組み合わせている。ブラトップやレース地のガウンコートなどランジェリーライクなウェアも登場し、スリッパ風フラットシューズとコーディネートして、自宅にいるかのような心地よさと開放感を与えている。
2016年09月25日アレキサンダー ワン(ALEXANDER WANG)は、2017春夏コレクションの一部の販売を伊勢丹新宿店と青山店限定で開始。なお去る9月には、ショーに出ていないアパレルも合わせて、全30アイテムをいち早くプレオーダーできるイベントも開催した。2016年9月10日(土)にアメリカ・ニューヨークで開催されたランウェイショーでは、アディダス オリジナルス(adidas Originals)とのコラボレーションウェアの発表に加え、17年春夏とリゾートという異なるシーズンのコレクションをミックスして提案し、注目を浴びた。今回販売されるのは、ショーで発表されたダメージデニムパンツ&ジャケットのほか、ショーに出ていないデニム全8型。さらに今回、ブランド初となるデニム地のキャンバストートが、青山店限定で登場する。【詳細】ALEXANDER WANG 17SS RUNWAY アイテム販売発売日:2016年10月10日(月)販売場所:■アレキサンダー ワン 伊勢丹新宿店場所:伊勢丹新宿店本館3階=センターパーク/ザ・ステージ#3住所:東京都新宿区新宿3-14-1時間:10:30〜20:00TEL:03-3357-1900■アレキサンダー ワン 青山店住所:東京都港区南青山5-3-18時間:12:00〜20:00TEL:03-6418-5174<アイテム例>デニムジャケット 76,000円+税デニムパンツ 57,000円+税
2016年09月24日ラグ&ボーン(rag & bone)が9月12日、ニューヨークで17春夏ウィメンズコレクションを発表した。
2016年09月23日ジル・サンダー(JIL SANDER)は、2017年春夏コレクションを2016年9月24日(土)イタリア・ミラノで発表した。インスピレーションを与えたのは、80年代の強い女性たちだ。今シーズンのジル・サンダーは、とにかくビッグだ。肩パットをいれたかのような真四角なシルエットがシーズンスタイルのようで、ジャケットにもドレスにもコートにも採り入れられている。テロンとしたソフト&スムーズな素材さえも、この‟ロボットフォルム”に調理。また、力こぶのような丸みのあるアームラインも特徴的で、フェミニンなプリーツ地で構成されている。装飾は、無機質なまでにそぎ落とされていて、ぱっと見メンズがウィメンズかもわからないほど。ポケットも非常に大きいし、ボトムスからは股上の深いボクシングパンツのようなものが提案されている。それらのビックアイテムに、袖口にカッティングを入れたり、バックスタイルにフリルをあしらったりするのだが、そのアクションがウィメンズコレクションであることを再認識させてくれ、安心材料を担っている。特に、スリットの採り入れ方はユニークで、メゾンの中心の担うマニッシュなシャツやミドル丈のドレス、レザーブルゾンなどに思いがけない動きを与え、エレガンスを添えている。装いはパワーウーマンそのもの。しかし、アクセサリーやシューズは華奢でエレガントである。足元はどれもミュール型のサンダルで、耳元には揺れ動くほど大きなピアスをセット。ラストに向けては、装いにもキラキラとしたラメコーティングを採り入れて、花を持たせている。
2016年09月23日グッチ(GUCCI)は、ミラノ・ファッション・ウィーク初日の2016年9月21日(水)、2017年春夏ウィメンズコレクションを発表した。2017年よりメンズ・ウィメンズ統合ショーを行うこと、また舞台を新社屋に移すことがアナウンスされたため、ここ数シーズンに渡ってミケーレのクリエーションを見守ってきたこの地での披露は最後となる予定だ。会場に足を踏み入れると、スモークが焚かれた場内にミラーパーツが輝いていた。ミケーレが度々キーカラーの一つとして選んできた‟ピンク”色のピースは、250,000を超えるほど飾られ、人々の動き・空気の流れによって揺れ、神秘的な空間を演出。ランウェイは迷路のように入り組んだ作りで、うねうねとした動線を導くように、アイコン‟ウェブ”ストライプとスターモチーフがあしらわれていた。重低音と管弦楽、そして女性のささやきがミックスされた、独特のサウンドにのせて、今季は始まる。ピンクのチェック模様をのせたジャケットに、長く垂れ流れたスカーフ、‟ドデカイ”サングラスを合わせた、ミケーレ色の強いルックからのスタートだ。ボトムスはクロップド丈のフレアパンツ、アクセサリーは、フルーツとパールのW付けネックレス。その後も、リュクスとストリート、エレガントとガーリー、マスキュリンとフェミニン、過剰と質素…相反するものが交差。カジュアルもフォーマル・ドレスも全て足し算され、異空間が構成されていく。パフスリーブやフリルを飾ったプリンセスドレスには、レギンスをマッチさせたり、グリッターカラーをデコレーション。さらに、バッグは首から通して後ろ前に背負わせ、さらにビッグトートを持たせた。スーツスタイルは、ジャケットとパンツでちぐはぐのカラーを合わせたり、上半身はぶかぶか下半身はタイトとサイズで遊んだリ、コーディネートで面白みを与える。ファーコートやマキシ丈ドレスには、しまうまやクラゲ、パイナップルを描いて、動植物を尊重する独自の世界観を強化させていく。一つ一つのピースに異なる要素を融合させているため、どれも独立した存在として映る。一つ一貫している要素を上げれば、ヘッドアクセサリーでの遊びだ。乗馬ハットを想起させるもの、折りたたんだ海賊風ハット、ファーストルックから登場したスカーフ、そしてデコラティブなサングラスが今季を象徴するアイコンとして鎮座している。
2016年09月23日エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)の2017年春夏コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィークで発表された。「ジャージ:軽くて伸縮性があり、シワにならない。」私たちの身近な存在である、このファブリックが今シーズンの主役である。エミリオ・プッチとジャージの繋がりは古く、エミリオ自身が生み出したのでは…という一説もあるほど。あのマリリン・モンローが好んで着用していたのも、エミリオ・プッチのジャージドレスだ。ワントーンのIラインドレスとロンパースで幕を開けたショー。一見シフォンのように見えるものも、チュールを重ねたように見えるものも、全てジャージで出来ている。ソックスを合わせたようなシューズもジャージ製だ。細かく編み込まれた生地は、しっとりとしていて肌に寄り添うように柔らかい。薄手で細かく編まれたものは、肌色を映し出すほど透明感を持ち、レイヤードスタイルに最適だ。ランウェイでは、エレガントなドレスルックに、ビーチを想起させるスイムウェアやロンパース、ブルマが合わせられている。また、クリエイティブ・ディレクターのマッシモ・ジョルジェッティの興味は、アーカイブプリントにまで及んだ。ショーが進むにつれて登場する模様は、全て60年代のアーカイブへのオマージュだ。かつて時代の女神たちを彩ってきたであろう「Bersaglio」と「Labirinto」の2つのパターンは、イエローやオレンジ、パープルといったエネルギッシュな色合いで現代に蘇っている。一つの色柄で統一されてコーディネートされているため、気付きにくいが、一つひとつのピースに個性をもたらすように、加工や装飾でアレンジが加えられている。ノット(結び目)で左右不均衡にさせたり、ツヤを持たせたコーティングをしたり、スパンコールを並べたりして。また、マッシモが連続してアナウンスしていてビックサイズは、少し控えめな形へと変化。シャツ型のたっぷりとした身幅のコートもウエストマークして華奢にみせ、手首を覆うほどのロングスリーブもきゅきゅっと手元でまとめて身を隠している。プレコレクションから続き、顔を覆うほどのハットが登場しているのも興味深い。
2016年09月23日暑かった夏もだんだん落ち着き、涼しい風が吹く日も多くなってきましたね。各ブランドからは秋コスメが登場し始めましたが、今季のトレンドリップはもうご存知ですか?今回は一つあるだけで秋らしくなるオススメリップを厳選してお届けします。主役になる赤リップは要チェックリップも季節によって流行が変わりますが、今季はどんなカラーに注目が集まっているのでしょうか。発売されたばかりの新色をチェックしてみると、多くのブランドから存在感のある主役級の赤リップが登場しているのです。1.かわいらしさとかっこよさを融合イヴ・サンローラン・ボーテ ルージュ ピュールクチュール No.72 ルージュ ヴィニル出典:@cosme新色として2016/09/21に発売されたばかりのピンク甘辛レッド。可愛らしさを残しつつもクールな女性を演出してくれる万能カラーです。洗練されたデザインなのでバッグに忍ばせておくだけで大人の女性に近づけそうです。2.肌に透明感を演出してくれるピュアレッドKANEBO カネボウ モイスチャールージュ04 Pure Red/3,500円(税抜)出典:@cosmeKANEBOから2016/09/15に発売されるルージュは、肌のトーンをアップしてくれる鮮やかなピュアレッドです。くすみのない明るさが元気な印象を与えてくれます。3.”ふっくら”ボリュームを与えてくれる赤リップリンメル マシュマロルック リップスティック1,300円(税抜)出典:@cosmeリンメルの赤リップはキュートな限定デザインが登場しています。しっとりと伸びの良いテクスチャーが唇にしっかりとフィットし、長時間きれいな発色を楽しめます。ヒアルロン酸・シアバターが配合されているので乾燥から守り、まるでマシュマロのようなふっくら唇を演出してくれます。4.ダークレッドでシックな秋メイクを満喫キャンメイク リップ&チーク ジェル No.06 ダークプラムシュガー600円(税抜)出典:@cosmeキャンメイクからは人気シリーズのリップ&チークに新色が登場しました。ダークな深みが印象的なレッドで、派手になりすぎず使いやすいカラーです。とっても手頃な価格で購入することができるので、秋メイクを簡単に取り入れられるアイテムです。いかがでしたか?赤リップは女性らしさをより引き出してくれる魅力的なカラーなので、1つは持っておきたい秋の必須アイテムです。赤にも明るさやツヤ感など色々な種類があるので、自分好みのものを見つけてみてくださいね。
2016年09月23日ネ・ネット(Né-net)の2017年春夏コレクションは「リラックス」をテーマに日常の何気ない風景を取り込んだデザインを提案。そらのいろ、とりのこえ、パンのみみ…。人それぞれに異なる“リラックス”のかたちをワードローブに落とし込んでいく。“リラックス”のかたちを語る上で、まず登場するのはネ・ネットの定番をアレンジした服。緩いスカート、カットワンピース、デニムパンツなど…そこには、絵本の中から飛び出してきたようにユニークな、フクロウやネコの姿が現れている。続いて、おじさんのリラックススタイルを提案。ラペルを取り外せばカーディガンになるヘリンボーンのジャケットや、ウエストがゴムになったパンツを組み合わせて、おじさんを表現している。一方、淑女をイメージしたというアイテムは、コットン素材をメインにした柔らかな肌あたり。ワンピースやブラウスの裾に配したカット刺繍が、のんびり1日を暮らす彼女たちの面影を思わせる。そして、旅のひと時を連想させるのは動物たち。芝生で戯れる彼らが、刺繍やプリントとなって現れる。シャツにはしっかり居座っているのに、コートは裏地でさりげなく。袖や裾、襟がひらりと返ったとき、彼らの存在に初めて気づく。部屋で過ごすリラックス空間も、多様に表現されている。あたたかな昼の時間は、キッチンで料理を嗜む場面を。アクセサリーとして散りばめた目玉やき、カットソーにめいっぱい配された食パンもそう。和やかな食卓の風景がファッションへと取り込まれていく。みんなの“おやすみの時間”を想定した服は一段とリラックスムードに包まれた。パジャマを想起させる縦じまのアイテムに組み合わせた「おやすみなさいボトム」には、まくらやルームウェア、一緒に寝るぬいぐるみを描いた可愛らしい柄が施されている。そして、「カーテンT」も“おやすみの時間”を上手く表した1着。胸元の切り替えはカーテンのようになっていて、開けばお風呂やベッドがちらり。こうして1日の中で、ゆったりと過ぎていく時間。いろんな人のリラックスタイムを垣間見れば、そこには新たな発見が感じられる。
2016年09月22日クラネ(CLANE)の2017年春夏コレクションは、「PAINTING CLOTHES」をテーマに繰り広げる。絵になるようなイメージで作り上げたという服には、ディテールを巧みに操ることで女性らしさを目いっぱいに引き出しつつ、デザインの根源には大胆なアートピースを置いている。ペインティングアートを取り入れた柄は、今シーズンの象徴。風にそよぐ滑らかな生地に、優しくのせられている。また、刺繍に立体的にあしらわれた花の刺繍もアートを思わせる部分だろう。デニムという力強さに繊細さを加味するものもあれば、揺れ動くアシンメトリーなワンピースのなかで、いきいきと咲き誇るものもある。テクスチャーへの強弱、そしてレイヤードやミックステイストによる抑揚によってアーティスティックな演出を施している。随所に施されたプリーツは、ブラウスやパンツのバックで揺らぎ、上品さの余韻を残していく。フレアよりもはるかに躍動的。それはまた、軽量感ある素材のチョイスにも同様のことが言える。フラットな部分と両立させることで、360度どこから見ても違った表情を見せてくれる。差し色には、油絵のようなピンクやレッド、濃厚なブルー、グリーンを選んだ。インパクトある色使いがあるがゆえ、対比的な自然の花、爽やかな素材感をより活き活きと感じられる。単色使いのいたってシンプルなワンピースでさえ、構築的なフォルムで洗練された女性像を確信へと変えていく。
2016年09月21日モスキーノ(MOSCHINO)の2017年春夏コレクションが2016年9月22日(木)に発表された。ミラノ・ファッション・ウィークの中で最も熱い夜がやって来た。モスキーノのコレクション発表時には、街全体がザワザワとし「MOSCHINO」ロゴのウェアに身を包んだファンが溢れ返る。これまでアメリカンコミックやファーストフードなど、日常のあらゆるものをファッションデザインへと変化させてきたジェレミー・スコット。‟今季はどんなサプライズが待っているのかしら…”。ファンが胸をワクワクさせている頃、薬(のようなもの)の入った小瓶が届いた。中身を見てみると、ドクター・モスキーノからの処方箋も同封。私(招待客)は病気にかかった患者となっていて、(ショーの)時間と場所が完結に記されていた。そう、インビテーションの送付から、ジェレミーのコレクションはスタートするのだ。会場を訪れると、ギラギラと輝いた「MOSCHINO」の文字が赤カーテンの上に飾られていた。洗車場の機械や廃墟のセッティングなど、ここ数シーズン作り込んだランウェイが続いていたので、レッドカーペットが敷かれた‟だけの”シンプルな作りに驚かされた。ざわつく会場の中に流れる女性のアナウンス。その声が続くほどに、観客たちは口を留めランウェイに目を移す。場内の視線が一つに集まったところでショーはスタート。ファーストルックはスイムウェアだ。無駄のないシンプルなブラックビキニで、足元は華奢なパンプス。ゴールドのカーリーヘアと大振りなピアスがレトロなムードを醸し出し、片手にはクラッチバッグを抱えている。いい意味で‟普通”なスタートダッシュと思いきや、何かがおかしい。モデルが通りすぎる頃には気付かされる、側面はマチがなく平らであることに。先に述べた装いは全て白い下地にペイントで描かれていて、アドバルーンのような不規則な動きをしている。続く、ミニスカートもボディコンシャスなドレスもドッド柄ワンピースにも、ベルトやネックレスが組み合わせられていると思いきや、すべてプリントで描かれた偽物だ。ショーが進むごとに、このウィットに富んだ演出は加速。本物のモデルは腕を出していないのに、腰に手を当てたりバッグを持ったり。マリリン・モンローのように風を受けて広がったドレスもすべて作りもの。モデルたちは着せ替え人形というより塗り絵に近い存在で、ブランドのアイコンであるテディベアやライダースバッグも、パネルのような平たいもので描かれ貼り付けられている。肩や肘からは、テープのような白いものが飛び出していて、ますますおもちゃのような印象を受ける。ラストを飾るドレスルックまで、ずーっとプリントによるフェイクの繰り返しだ。その中で‟きちんと”形作られているのは、ビックサイズTシャツやスウェットパーカー、フィット素材のパンツといった日常的に着られるもの。また、バッグやジュエリーがテープ留めされたような今季らしい模様も、ジャケットやタイトミニスカートなど、ストリートに落とし込みやすいものばかりに投影されている。「See Now, Buy Now」、メンズとウィメンズの統合など、コレクション発表そのものに大きなムーブメントが起きている現在。ジェレミーは何を思うのか。繊細な形を作るのではなくプリントで表現し、ギミックな演出にこだわる、クリエーションの姿勢そのものに、皆の興味と感心が湧いたのではないだろうか。
2016年09月21日マルベリー(MULBERRY)が2017年春夏コレクションを、日本時間の2016年9月18日(日)0:00にイギリス・ロンドンで発表。ショーの模様は、ファッションプレスでも生中継する。先シーズンより新たなクリエイティブ・ディレクター、ジョニー・コカを迎えたマルベリー。2016年秋冬コレクションでは、シェイクスピア作品からインスパイアされた鮮やかなローズプリントと、彼によって新たに解釈されたクラッシックな英国を象徴する生地やテーラリングが注目を浴びた。今季も彼の作り出すポエティックな世界観に期待が高まる。【詳細】マルベリー 2017年春夏コレクション日本時間:2016年9月18日(日)0:00 / 現地時間:2016年9月18日(日)16:00
2016年09月19日3.1 フィリップ リム(3.1 Phillip Lim)の2017年春夏コレクションが、アメリカ・ニューヨークで発表された。「今のカルチャーのムードに対する僕の解釈。」、デザイナーのフィリップ・リムがそう評する今季は、街中で見かけるスタイルがたしかに多く存在している。例えば、足元を飾るプラットフォームサンダル。数年前までなかなか目にしなかったアイテムであるが、アメリカから離れたここ日本でも近年多く見かけるものだ。ボンバージャケット、ダメージデニム、クロップドパンツといった装いは、私たちのクローゼットに潜む身近な存在であろう。ランウェイでは斬新に映るが、フリルスカートとデニムジャケットの組み合わせや、テーラードジャケットをショートパンツで着崩すことも、ストリートに落とせばそう珍しいことではない。ただ、フィリップ・リムの着眼点に白旗を上げてしまうのは、「スイムウェア」風アイテムの使い方だ。ジャケットから覗くビキニ、ワンピースのように着こなすスーパータイトなオールインワン、スイムパンツと見まがうマイクロミニパンツ。街行く女性が着ていればハッとさせられそうな挑発的な装いが、カジュアルウェアと共存し、モードを創り出している。一方で、フラワー模様も今季らしい要素。ピンクやイエローなど鮮やかなパレットで描かれたモチーフが、スカートやワンピース、ブラウスの上で花を咲かせている。ヴィクトリアン・ロマンチシズムもキーワードに上がり、スポーティーなシルエットに柔らかさをプラス。ショルダーラインが大きく開き、フェミニンからは遠い存在であるワンピースも、胸元のフリルデコレーションにより、可憐な印象に映る。
2016年09月18日ブルマリン(Blumarine)の2017年春夏コレクションが、2016年9月24日(土)イタリア・ミラノで発表された。ショーの舞台となったのは、ミラノ市内の高校。部屋と部屋を繋ぐドアを開放し、学校空間全体がランウェイとなっている。場内には大きなシャンデリア、ゴールドで縁取られた鏡などが並び、学校とは思えないほど煌びやか。歴史的な美しさが感じられた。ブルマリンのニュールックは、秋冬のタイトなシルエットから解放され、春の息吹が感じられるほど軽やかだ。ベースとなるのはコットンレースやシースルー素材で、フリルをあしらったドレスやミニスカート、肩を落として着るブラウスなどが作られている。袖は風船のように膨らんだバルーン型、身丈はウエストが出るほど短め丈がムードだ。そこに、カット刺繍による繊細な花々やフラワープリントがのせられている。まろやかで流線的に、またふわりと舞うように動くドレスやスカートに混じり、スイムウェアのインスピレーションが存在している。ビキニトップスやピタっとフィットしたホットパンツが、夏が待ちきれないかの如く陽気な一面をみせている。繰り返し登場したツバ広のハットも同様に、サマーシーズンを彩るパフォーマーだ。
2016年09月18日カレンウォーカー(KAREN WALKER)が、2017年春夏コレクションを発表した。インスピレーションを与えたのは、画家サルバドール・ダリが愛したペットのオセロットだ。ネコ科の生き物・オセロットはBabouと名付けられ、都会の人々を楽しませながら誰にも属さず生きていた。その飄々とした姿をデザインに落とし込み、現代に生きる私たちに愉しみを届けていく。スウェットトップスに配されたキャットプリントは、牙を持ち少し毒っ気のある表情。花柄や幾何学模様など様々な柄がパッチワークされ、ユーモラスに描かれている。また、黒地にイエローで表現された猫のイラストは、Tシャツの中央に配置され、ボタニカルプリントのアウターを飾り、ロックな雰囲気を醸し出す。一方、ブランドのアイコンであるドレスは、フリルやラッフルをあしらっていつもより柔らかな印象に。袖はふわりと広がり2重にフリルがデコレーションされ、胸元には細かなギャザーが寄せられている。色鮮やかなブルーの鳥プリントも自由なムードを吹き込んでいる。その女性らしい世界観に、ボリュームあるタッセルピアスや民族調の飾り付きベルトがリズミカルなアクセントを差し込んでいる。また、マスキュリンなテーラードジャケットやウォッシュドデニムといったウェアを合わせることで、甘さだけではない、野生的な側面や大胆さを表現している。
2016年09月15日トリー バーチ(TORY BURCH)の2017年春夏コレクションが、アメリカ・ニューヨークで発表された。「East Coast meets West Coast.」と名付けられた今季、トリー バーチは、ファッションを通じて、アメリカ東海岸から西海岸への旅へと誘う。ショーのスタートは、シックなロングドレススタイルや洗練されたプレッピースタイルから。ブラウスとセーターのコンビネーションや、プリーツスカート、トムボーイブレザーに、ピンクやグリーン、ブルーといった鮮やかなパレット、庭園を想起させる模様をのせて、クラシックと洗練さを合わせもつ東海岸の物語を綴る。シルエットは構築的に仕立てられたものが多く、ショルダーラインをきっちり形作ったジャケット、高貴さを表すエンパイアウエストのドレスといったものが旅の味方だ。歩みを進めるうちに見えてくるのは、風にたなびくドレスや、陽の光を感じさせるシトラスカラーのワンピース。波のようなウェーブプリントやヨットのモチーフも入り乱れ、対岸の海が近づいてくることを想起させる。アクセサリーにも旅の高揚感やリラックスしたムードは落とし込まれ、パールが施されたサンダル、ラッフル付きスニーカーといったフットウェアが足元を飾る。ジュエリーには魚モチーフ、装いには貝のチャームをあしらって、海からのインスピレーションを優雅に描いている。
2016年09月15日サポートサーフェス(support surface)の2017年春夏コレクションが2016年9月6日(火)、東京・御成門で発表された。デザイナーの研壁が描き出した今シーズンの世界観は、“作り込まれたさりげなさ”によってもたらされる、フェミニニティとエレガンスが迸るもの。そこには奥ゆかしさがあり、余裕がある。モデル達の表情や歩く速度にも現れるその気配は、無機質でアーキテクチュアルな会場に漂っていた。土色のようなオレンジや抹茶のようなグリーンなど、和の要素を感じさせるカラーを織り交ぜながら、基本的には落ちついたパレット。そこに彩度の高い赤やピンクを加えることで、心地よいメリハリを演出する。色合いが引き立てるのは、それぞれの布地が持つデザイン。遠くからは見えずとも、ウェアが纏う気配には大きな影響を与えている。表面には現れないディテール。人工スエードやコットンなど、様々な素材にパンチングなどの加工を施し、物量感のある布地にも透け感や透明感を加えている。季節感を反映させることと、歩を進めた時に“風が見える”こと。その二点が、全体のゴージャスさにも繋がっている。洋服を見る際、知らず知らずのうちに注目しているのは、胸や膝、顔がある“前側”だろう。しかしこのコレクションでは、前後でどちらも主役になりうるような全く違うデザインを施しているウェアが多数登場する。座る際や屈む際など、負担がかかるのは洋服の後ろ側。実際に使用されるシーンを想定し、生地自体やそのパターンなどを選びぬいた、こだわりの結晶としてワードローブは完成した。
2016年09月09日ニードルズ(NEEDLES)が、2017年春夏コレクションを発表した。原点回帰。そんな言葉を思わせる今シーズンのニードルズは、過去のアーカイブに由来したワードローブを披露。ミリタリーとワークを融合させ、ニードル独特のオリエンタルな要素を含ませている。過去のデザインに基づいたものと言えば、ジャカードのセットアップ。春夏らしからぬ深い色味と主張し過ぎない光沢から、奥行のある柄が生まれている。ピークドラペルのシャープなジャケット、襟を大きく設定したブルゾン、そして程よくカジュアルなスラックスなど、あらゆるコーディネートで再提案している。独特のオリエンタルを表したのは、チャイニーズボタンをあしらったワイドなシャツや、ラフに羽織れるチェック柄のガウン。あるいは、着物のような前合わせのデニムジャケットもそうだろう。ボトムスは相変わらず緩いムードが漂う、ジャージパンツやワークパンツで構成されている。また、足元にもこだわりが光る。サンダルは、ソール部分にきめ細い木目の桐を採用。肌あたりが優しく、軽量がゆえに毎日履きたくなる1足に仕上げた。しかし、実はそれがサンダルにとっても最適の環境。履けば履くほど、ワードローブに深みを与えるシューズになってくれるだろう。
2016年09月07日FWK バイ エンジニアド ガーメンツ(FWK by ENGINEERED GARMENTS)の2017年春夏コレクションのテーマは「原点回帰」。素直でベーシックなアイテムを中心とした、楽しげなスタイリングを披露した。チェックやボーダーといった定番の柄をデニムやコットンなどのアイテムに合わせ、調律のとれたコーディネートを構築しながら、花柄などのパターンを組み込んでいる。例えば、ネイビーの軽やかなジャケットの下に、鮮やかな配色のロングシャツをレイヤード。裾にリボンがついたクロップドパンツ、インナーにネックの広いブラックのカットソーを合わせることで、適度な抜け感を演出している。胸ポケット白い花が全身の統一感を生んでいるのも、真似したいテクニックの一つだ。また、ドクターマーチン(Dr.Martens)の別注ブーツは、メンズと同様今季の注目アイテム。左右対象ではなく、左右“同じ”デザインに作られたアッパーは、上から見るとどちらが右足で左足なのかわからなくなるが、横から見た時に、全く別の表情を同時に見ることができ、新しいブーツのあり方が楽しめる。スエードの展開もあり、スタイリングに合わせたシューズを選びたくなるラインナップだ。ホワイトやライトグレーといった淡いパレットではあるものの、彩度の高いアイテムやネイビーのような明度の低いアイテムを織り交ぜることで、メリハリのあるワードローブを構成。春先から夏真っ盛りまで、それぞれのシーンに来てみたくなるような、情景すらまとったコレクションが提案された。
2016年09月07日ハナエモリ マニュスクリ(Hanae Mori manuscrit)の2017年春夏コレクションが、東京・紀尾井町で、2016年9月1日(木)に発表された。これまでブランドは、東京コレクションに参加してきたが、今季は「Amazon Fashion Week TOKYO 2017 S/S」公式スケジュールより1か月以上前倒し、最新ルックを披露する。会場となった赤坂プリンス クラシックハウスは、2016年7月にオープンした新施設。高層ビルと自然が入り混じった環境にひっそりと構えた洋館だ。中庭がステージになっていて、吹き抜けからのぞく澄んだ青空が心地よかった。管弦楽の音色とともに現れたファーストルック。真っ白なノースリーブドレスで、細みのシルエットと膝下丈のレングスがポイント。モデルのアイブロウもホワイトに染められていて、天使のようにふわふわとした印象だ。その品のよさと反して、響き渡る‟カサカサ”とした音。みれば、胸下からびっちりと透明のプラスチックパーツが付いている。相反するものの共存によるひっかかり。これはショーを通して繰り返されていた。ドレスの中に混じるクロップドパンツやボンバー風ジャケット、デフォルメされ大きすぎるクラッチバッグ。足元を飾るのは、一部分をカットしたようなサンダル風シューズで、エレガンスの中に軽さを投じている。今季のキーワードといえば透明感。シースルー素材が多用されていて、ジャケットやドレスの一部分が透けている。また、江戸切子からもインスピレーションを得たようで、透明の硝子部分を削って色をみせる手法を、洋服やスタイリングに起用。プリントドレスの上からシースルースカートを重ねたレイヤードが顕著に表現している。ブランドのアイコン蝶は透明パーツとなりワンピースをデコレーション。また、花々のモチーフも、デザイナー天津憂が撮影した写真とレントゲン写真を組み合わせ、独自のプリントとなって登場する。ショー終了後、デザイナー天津憂は来季よりディレクターとなることを公表。ビジネス面も含め、より包括的にブランドと向き合っていく姿勢を見せた。なお、東京コレクションでは、ウェディングを中心とした別の形のショーを予定しているそうだ。
2016年09月04日ヤストシ エズミ(Yasutoshi Ezumi)の2017年春夏コレクションが、2016年8月30日(火)東京・青山で発表された。インスピレーションを与えたのは、イタリア人建築家カルロ・スカルパの作品。その多くは、歴史的建築物の修復によるもので、創造的な改修を加えることで、新たな価値を見出している。その手法は「レスタウロ」と呼ばれ、建築界に大きな影響を与えた。そして、デザイナー江角泰俊による今季のクリエーションテーマもまた「レスタウロ」と名付けられている。江角は、既存の服を材料の一部として扱い、新たなものへと昇華させている。例えば、フォーマルを代表するシャツは、本来男性的なエッセンスが強い。そこに、ボタンでのアレンジを加える。前身頃同様に、バックスタイルにも、アームラインにも、ボタンを並べて、開閉機能を持たせた。ボタンを開ければ色気を纏えるし、キュッと締めればかっちりとし、また違った印象になる。シルエットもAラインに整えられていて、女性らしさを持ち合わせている。カジュアルの代名詞デニムは、フォルム・ディテールの遊びで、モダンさを加えた。デニムジャケットはふわりとしたフォルムへ変形させ、ジップを斜めに配置。またデニムスカートには、ロングスリットを入れて、隙間からプリーツを覗かせた。ひと手間加えた装いは、コーディネートすることで、より新たな一面が顔を出す。ベーシックなカーディガンも、前・後身頃にあしらったボタンを一つずつ開け、肩を落として着こなせば、とたんに‟旬”になるし、デニムウェア同士も濃淡で差をつけ重ねれば、モードなスタイルへと変化する。また今季のニュースは、堤隼人が出掛ける日本ブランド「AIRA」を招き、コラボレーションアクセサリーを提案していることだ。
2016年09月02日ディウカ(divka)の2017年春夏コレクションを紹介する。苦手なモノや嫌いなものなど、これまで避けてきた道を選ぶことで新たな創作を開拓したという今シーズン。「to whom」というテーマを掲げ、あえて目を向けてこなかった素材や色彩、フォルムを選択肢として取り入れ、もっとたくさんの女性に似合う服の提案を試みたという。例えば、ペールトーンの色彩。まるで風を纏うような爽やかなグリーンのワンピースは、今季の象徴的なアイテムのひとつ。さりげない肌の見せ方や、ひねり、結びのディテールを細やかに散りばめるなど、たくさんの仕掛けを眠らせて淡い色彩を奥深いものへ昇華した。ストライプ柄のシリーズは、よこ縞をあえて縦に用いたもの。だからこそ洋服の動きが面白くなる。タックやドレープを織り交ぜれば、さらに立体的かつ優しく体に沿うようなフォルムが構築されていく。シルク100%のデニムシリーズは、その素材ゆえ肌への感触はソフトに。ジャンプスーツに施された足元の大きなスリット、ウエストマークの大きなリボンに繊細な動きが加わるのはその特質を生かしたからこそだろう。また、ほとんどのアイテムに言えることだが、いくつかのパターンで着られるものが多々見受けられた。特にボタンを用いたデザインがその好例。ひとつふたつと空けることで、違った景色が見えてくる。ハリのある黒のドレスには、アシンメトリーに流れる生地を、より官能的に見せるギミックとして採用されている。
2016年08月31日インプロセス(IN-PROCESS)の2017年春夏コレクションを紹介する。太古のモチーフやデザインをモダン化した今シーズン。メソポタミアやエジプトなどの古代文明のデザインを、ボタニカル柄や幾何学柄に変えて多用。それを素材やシルエットによって、フェミニンかつ洗練されたものへと変貌させた。また、今季は女性のライフスタイルに寄り添うようなワードローブを想定。例えば、オフィスで着られるような、コンサバティブなパンツやブラウス、あるいはリゾート感を出したリラクシングなパーカー、デートシーンに最適なコクーンシルエットのワンピースなど。洋服のひとつひとつに女性の日常にあるワンシーンが感じられる。首元にパールを添えたり、ヘムの一部分に精緻な花柄の刺繍を乗せたりと、エッジをプラスすることも忘れていない。インディゴ染のニットには、リボンを一緒に編み込んで、ツヤ感と愛らしさを加味している。異素材の切り替えからなるデザインも、上質なムードを作る要素。四角や三角を並べて古代的な柄をさりげなく表現したレースを、カットソーのバックに切り替えて配置。一方で、ハイウエストのパーカーの裾には、コットンシルクの素材をペプラムのようにあしらって、柔らかく揺れるように仕立てている。ジャカードは表裏を逆にすることで立体的な柄へ。気の利いた遊び心が加わることで、より洗練された女性像が明確になっていく。
2016年08月31日