世田谷区を中心に、様々な得意分野を持ったお母さんたちが集まった、 デザイン・編集チーム。「楽しい」「心に届く」を大切に、デザイン、 編集、撮影を請負い、自ら出版、商品制作、情報発信もします。子育て、食、暮らし、旅、女性の生き方など様々なテーマの書籍や紙媒体の編集制作、記事執筆を行っています。
手ぬぐいを始めとしたオリジナルのものづくり・販売サイト「iichi」も展開中。
iichi : https://www.iichi.com/people/machitoco
子どもが宿題や習い事の練習をさぼったり、成績がふるわなかった時、つい強く叱りすぎてしまったり、時には罰を与えてしまったり…。もしかしたらそれは「教育虐待」かもしれません。『追いつめる親』『習い事狂騒曲』の著者であり、教育ジャーナリストのおおたとしまささんにお話をうかがいました。
認知度が上がり、世間の理解が深まりつつある、発達障害。ですが、まだまだネガティブな受け取り方をされることが多いように思えます。誤解されやすい発達障害の人たちを、独特なスタイルをもつ「少数派の種族」と評する信州大学医学部付属病院で子どものこころ診療部部長・診療教授である本田秀夫先生。そんな本田先生に、発達障害とは? 療育の本当の意味は? をおうかがいしました。
世の中は空前の片づけブームですが、いろいろなメソッドを試してみたものの、うまくいかないという人も多いのでは? そこで、ASD(自閉症スペクトラム)当事者であり『発達障害の人の「片づけスキル」を伸ばす本』の著者でもある言語聴覚士の村上由美さんに、少しの工夫で苦手な人でもできる「片づけのコツ」について、3回にわたってお話をうかがいました。。
NHK総合テレビ「あさイチ」の“スーパー主婦”シリーズで、“片づけの達人”として大人気の井田典子さん。「だ(出す)」「わ(分ける)」「へ(減らす)」「し(しまう)」というシンプルなルールで、数々の片づけが苦手な主婦の悩みを解決してきました。そんな井田さんに、「家の中のモノを数える」ことから始めるすっきりしたくらし、今からできる「年末年始の大掃除法」、「片づけを通して子どもに学んでほしいこと」についてうかがいました。
ママ友のオチのない長話に付き合わされたり、子育てに口をはさむ両親にうんざりしたり…。実はそれ、人間関係の「バウンダリー・オーバー(境界線越え)」が起こっている状態です。自分と他人の「境界線」をうまく引いたりコントロールできるようになれば、人間関係でストレスを感じるケースがぐっと減るのではないでしょうか。心理カウンセラー・おのころ心平さんに、心が軽くなる“人と自分の境界線の引き方”についてうかがいました。
バイリンガルの英語系YouTuberとして人気のリサティ―さんが、共働きでも預けられると話題のバイリンガル幼児園、 Kids Duo International(キッズデュオインターナショナル、以下KDI) のセンター南園に潜入取材! 海外で育ち、自身のお子さんにもバイリンガル子育てを実践中のリサティ―さんが、英語教育はもちろん、運動、知育など幅広く力を入れているKDIをレポートします! KDIの英語教育の秘密は? 子どもたちの英語力に驚き…! 取材にお邪魔したのは、卒園間近の年長さんの英語クラス。実際にKDIで身につけた英語力を見せてもらえる絶好の機会です。 KDIのジェイク先生のレッスンでは、子どもたちが英語で1人ずつ発表する「Show&Tell」が行われていました。思い出の品などを見せながら、園生活で楽しかったことを1人ずつ発表していて、 流暢な英語はもちろん、聞いている人の目を見ながら堂々と発表する姿 に驚かされます。 スポーツデイやサマーフェスティバル、クリスマスイベントなど園生活の楽しかった思い出を堂々と発表。 英語を話せるだけじゃない 最大限に広がった子どもたちの可能性 発表の後は、聞いていた子どもたちからのクエスチョンタイム。もちろん、質問も回答もすべて英語で、 レッスン中は一切日本語を話さずに行われています。 友だちの話に関心を持って聞き、的確な質問ができるのも、「聞く力」と「自分で考える力」が身についているからこそ。 リサティ―さんも子どもたちに交ざって質問タイム KDIの英語教育の特徴は、 勉強として英語を学ぶのではなく、使いながら学ぶこと。 着替えやランチタイム、おやつの時間などでも常に英語に触れ、1日の半分は英語に浸れる環境です。 言語の習得には2000時間が必要という研究がある中、 KDIで4年間過ごすと倍近くの3840時間以上英語に触れられ、一生ものの英語耳を育てます。 KDIで過ごすだけで英語が習得できるなら、英語に苦手意識を持つパパやママも、「英語をどうやって身につけさせよう」という悩みから解放されますね。 ゲームもすべて英語で。楽しみながら自然と英語が学べる環境 リサティーさんがジェイク先生に質問! 英語を習得する上で、ジェイク先生が心がけていることは何ですか? 「英語を楽しいと子どもたちが思うこと」 、そして 「安心して挑戦できる環境」 を大切にしています。英語が母国語でない子どもたちが、安心して英語を学べるように、教室ではどんどん間違えてOKという雰囲気づくりを心がけ、子どもたちの挑戦を応援しています。 安心な環境で、「聞く」「読む」「書く」「話す」の英語4技能を15種類のプログラムを通して学ぶこどもたち。卒園時には英検®準2級程度(高校中級レベル)のリスニング力・スピーキング力が身につくのです。 実際にレッスンを受けていた子どもたちも、リスニングはもちろん、自分の思ったことを難なく英語で表現していました。 通ってみてどうだった? 保護者のリアルな声 実際に通わせてみてどうだったのか、保護者の皆さんのリアルな声を聞きました。 英語の上達はもちろん、多くの方がそれ以外のメリットも挙げていたのが印象的です。子どもたちの園生活を振り返ると、あらゆる面での成長が見えてきました。 ーーKDIにお子さんが通って良かったと思う点を教えてください。 ・子どもの好奇心がぐんと広がりました。先生方は、英米だけでなくいろいろな国の出身の方がいます。KDIで生活する中で、娘は「将来、世界中に行ってみたい」と言い出しました。 英語を入り口に世界中の人とつながれることをKDIが教えてくれました。 ・「English Topic」の時間に、英語で動物や宇宙などさまざまなテーマに触れ、娘は宇宙に興味を持ちました。 好奇心を育ててもらいました。 ・KDIは、チャレンジ精神を育てる環境が整っています。英検やスピーチコンテストなど英語だけでなく、 英語以外でも「チャレンジしよう」と前向きになりました。 ステップが見える化され、「ここまであとちょっと」と目標を持って進めるカリキュラムがすごいです。 ・幼稚園は休みが多い印象がですが、KDIは最大限預かってもらうことができ、 共働きの私たちには本当に助かりました。 小学校受験対策や習い事も園舎で完結するから、親も子どもも負担が少ないです。担任の先生と課外レッスンの先生も連携して、子どもの成長を見守ってくださいました。 海外育ちYouTuberのリサティーさんのリアルな感想は? ところで、海外で教育を受けてきたリサティ―さんには、KDIはどのように映ったのでしょうか? リサティー :「英語」というより「楽しい」にフォーカスしているレッスンが印象的でした! 子どもたちから日本語で話しかけられることは常になく、どの子も英語で話しかけてくれた ので、みんな英語脳ができていることに驚きました。英語のシャワーを浴びせるKDIの環境に、確固たる一貫性を感じるとともに、私の子育てとの共通性も発見しました。 私も、娘たちと英語で話すことを徹底しています。子どもがわからないと、助けたいという気持ちにもなりますが、 それを乗り越えたときに、子どもの自信につながります。 そして、 英語脳のスポンジに英語の表現が吸収され、同じようなシチュエーションに出会ったときに、次は言えるようになります。 特に印象に残ったのは、「Show&Tell」で子どもたちが見せたプレゼンテーションスキル。物怖じせず、アイコンタクトをしながら自分たちの言葉で話している姿を見て、 日本の教育では難しいスキルを身につけている と感心しました。 子どもたちの将来の選択肢を増やしたいという思いで、バイリンガル育児に挑戦している という点では、KDIとの多くの共通点を感じたのと同時に、私自身もバイリンガル子育てに確信が持てました。 >>最寄りのKids Duo Internationalを検索する 英語は3本柱の1つ! これからを生き抜く「自分力」が身につく 英語教育のほかに知能教育、運動指導が実践されているKDIでは、「子どもの発育・発達」の研究に基づいて段階的に指導され、脳神経がもっとも発達するといわれている「ゴールデンエイジ」に子どもが遊びながら学べるプログラムが特徴です。 これからの時代に必要な、自分で考えて、決めて、自ら行動する「自分力」を大切にしていることが、英語のレッスンでも垣間見られました。 KDIの魅力は英語だけじゃない! 運動・知能教育も KDIの知能教育は「目的を持ったあそび」。でもただのあそびではなく、脳神経が最も発達するゴールデンエイジである幼児期に、24の知能因子を偏りなく刺激し、脳の器を広げます。子どもによって得意な因子、苦手な因子があるので、脳がやわらかいうちにまんべんなく刺激することに着目しています。 ■運動指導は忍者気分で楽しく 運動指導では忍者風ジャージ「忍ジャージ」を着て、4年間で300種類の忍者あそびプログラムを実施。東京大学名誉教授および日本女子体育大学 学長の深代千之氏の監修で考案されたカリキュラムは、どんなスポーツにも必要な9つの基本動作を段階的に習得し、運動能力を向上させます。 ■学習だけじゃない! トイトレから集団行動までライフスキルも KDIでは、トイレトレーニングからコミュニケーション力まで、月齢・年齢に合わせた指導を行っています。異年齢のお友だちと関わる経験や、「やり抜く力、目標に向かって頑張る力、自制心、自己肯定感、他者への配慮、コミュニケーション能力」など、社会で必要な力の習得を目指しています。 園内にある「ラーニング・ステーション」では、銀行、スーパー、パン工場など、20種類以上の職業体験を通して、造る・勤める・商うなどを学び、社会の仕組みを英語で学ぶことができます。また、日本文化も大切にし、着替えや食事のマナー、持ち物の整理、行儀など、日本の教育のいいところも採り入れているのは「バイリンガル幼児園」ならではです。 習い事の送迎不要! 共働きにやさしい環境 最後に、 「共働き家庭だから」と保育園以外は無理だと考えていませんか? KDIは、そんな心配はいりません。なぜならば、これだけのクオリティの英語や運動をKDI以外の場所で習わせるには、送迎の負担が大きくなってしまいますが、KDIなら朝バスに乗せて登園させるだけでOK。 しかも、幼保無償化対象園だから金額面での負担も軽減されます。保育園に通って、あちらこちらに習い事に行かせるより、はるかにコスパやタイパもよいのです。 英語・知育・運動・ライフスキルといったバランスの良い教育が受けられるKids Duo International。各園で行われる入園説明会に、一度参加してみませんか? Kids Duo International >>説明会に参加する >>最寄りのKids Duo Internationalを検索する ▼リサティーさんのYouTubeチャンネルでも今回の取材内容を公開中! 実際に子どもたちが英語を話している姿をぜひチェックしてください! PR:Kids Duo International 文・写真/まちとこ
2024年05月10日伸び盛りの幼児期に、子どもの可能性を広げてあげたいと考えるママやパパが注目しているのが、今、話題の 「バイリンガル幼児園」 Kids Duo International(キッズデュオインターナショナル 略称KDI) 。 共働き家庭も通える幼児園のKDIは、英語教育はもちろん、運動、知能教育などに幅広く力を入れている、新しいタイプの園。 一体どんなところなのか、入園説明会に潜入してきました! 英語は4つの柱の1つ! これからを生き抜く「自分力」が身につく 今回参加したのは、神奈川県にあるセンター南園舎内で行われた説明会。「バイリンガル幼児園」であるKDIでは英語教育に力を入れており、卒園までに英語での日常会話ができるようになると評判です。 英語はもちろん、これからの時代に必要とされる、自分で考えて、自分で決めて、自ら行動する 「自分力」を身につけるための4本の柱の一つとして、英語教育があり、そのほかに知能教育、運動指導、ライフスキル教育が実践 されています。 それらのすべてが「子どもの発育・発達」の研究に基づいて段階的に指導され、脳神経がもっとも発達するといわれている幼児期に子どもが遊びながら楽しく学べるプログラムとなっています。 休み時間や食事中も英語で。 日常的に英語を使う「イマージョン教育」 KDIの英語教育の特徴は、勉強として英語を学ぶのではなく、使いながら学ぶこと。休み時間や食事中などでも英語に触れられ、登園している間の半分以上の時間を英語環境で過ごすことができます。 言語の習得には2,000時間が必要という研究がある中、 KDIで4年間過ごすと倍近くの3840時間以上、英語に触れることができるそう。 そして、ただ日常会話に触れているというのではなく、「聞く」「読む」「書く」「話す」の英語4技能を強化する15の細分化したプログラムに基づいているのも安心です。 日中KDIで過ごすだけで英語が習得できるなら、英語に苦手意識を持つパパやママも、「英語をどうやって身につけさせよう」という悩みから解放されますね。 英語のカリキュラムはアメリカやイギリスのカリキュラムを基にしており、年齢に合わせたテキストが使われています。 苦手な分野を刺激して「脳の器を拡げる」知能教育 続いて説明されたのが知能教育。説明会では、実際に授業で使っているパターンブロックという図形ブロックを体験し、制限時間内にブロックを組み合わせて指定の図形を作ってみました。 パターンブロックを使ったあそびの中から分数の概念も学べる。実際にパターンブロックを試してみると、なかなか難しくて参加した保護者も夢中に。 知能教育というと勉強のような響きがありますが、実際には「目的を持ったあそび」だということです。でも、ただのあそびではありません。 脳細胞がもっとも発達するゴールデンエイジである幼児期に、「脳の器を拡げること」に主眼がおかれ、24の知能因子を偏りなく刺激することで、脳の器を拡げます。 説明会では、「子どもによって得意な因子、苦手な因子がある。寝ているこびとはほっておくと、起きてこなくなってしまう。脳がやわらかいうちにまんべんなく刺激し、こびとを起こすことが大事」と知能因子をこびとに例え、わかりやすく説明されました。 KDIに4年間在籍することでIQもアップし、 一般的には100のIQがKDIの年長児には平均142.9を超えた実績がある というので、説得力があります。 説明会で行われたブロック。これが完成形! >>最寄りのKids Duo Internationalを検索する Kids Duo International >>説明会に参加する 運動指導は忍者気分で楽しく 運動指導では、KDIオリジナルの忍者風ジャージ「忍ジャージ」を着た先生が登場。KDIでは、あそびの感覚で運動を好きになってほしいという考えのもと、 4年間で300種類の忍者あそびプログラムをゲーム感覚で楽しみながら行います。 投げる、走る、跳ぶ、バランスなど、どんなスポーツにも必要な9つの基本動作を段階的に習得 するので、将来どのスポーツをやることになっても役立つ運動能力が身につくというのが、うれしいポイント。 東京大学名誉教授および日本女子体育大学 学長の深代千之氏の監修の下、幼児期に必要な運動を科学的に分析し、子どもたち一人ひとりの運動能力を最大限に引き出すことを目的としたカリキュラムを実施し、動画とレポートカードで保護者に年に1度フィードバックしてくれるので、わが子の成長や成果がはっきりと視覚化されます。 運動指導は、忍者になった気分を味わえる忍ジャージを着てゲーム感覚で楽しめる。カラフルで扱いやすい用具も。 学習だけじゃない! トイトレから集団行動までライフスキルも 勉強や運動だけでなく、社会生活を順調に送るスキルもやっぱり大切ですよね。KDIではトイレトレーニングからコミュニケーション力まで、月齢・年齢に合わせて指導してくれるそう。 生活習慣を築くだけでなく、集団生活の中で、同年齢のお友だちや縦割りの行動で異年齢のお友だちと関わる経験から 「やり抜く力、目標に向かって頑張る力、自制心、自己肯定感、他者への配慮、コミュニケーション能力」 などさまざまな、社会で必要な力の習得を目指しています。 また、「バイリンガル幼児園」として日本文化も大切にし、あいさつや着替え、食事のマナー、持ち物の整理、行儀など、日本の教育のいいところも重視されています。子どもたちの大好きな園内にある「ラーニング・ステーション」では、銀行、スーパー、パン工場などの職業体験を行います。そこでは、造る・勤める・商うなどの各体験をすべて英語で行う事により、英語を身につけながら、社会の仕組みを学びます。 習い事の送迎不要! 共働きにやさしい環境 共働き家庭だから保育園しか選択肢がないと考えていませんか?でも、実はKDIは、 「子どもの可能性をできるだけ広げてあげたい」という働くママ&パパにピッタリの環境。 これだけのクオリティの英語や運動をKDI以外の場所で習い事として習得させるためには、親が複数の習い事に送迎する必要がありますが、KDIはバス通園が可能です。 朝、バスに乗せて登園すれば、 園内でプログラミング教育の「HALLO」、そろばんの仕組みを暗算に応用した学習方法「そろタッチ」、小学校受験指導を課外授業(有料)で受けることができます。 実際、最近は小学校受験をする在園生も増えてきているそう。 「でも、これだけ充実していたら、お値段もそれなりなのでは?」そんな疑問も頭に浮かんできますが、 幼児教育無償化対象園だから金額面での負担も軽減 されます。 保育園に通いながら、あちらこちらに習い事に行かせるより、コスパやタイパも良いのは確実です。 ※実施している課外授業は、園によって異なります。 参加者の声 説明会に参加していたほかの方にも話を聞いてみると、とても園に好感を持った保護者の方たちの声が届きました。 ・とても理想的な園だと思いました。子どもの可能性を広げてくれるカリキュラムがたくさんあり、 子どもが興味を持った分野を追求できる環境が素晴らしい。 これからの時代を生きていくために必要なものを身につけていけそうで、ぜひ入園したいと思っています。入園が決まったら引っ越しも検討しています。 ・先生たちが生き生きしているのが印象的でした。毎日楽しく通えそうです。 また、受動的な教育スタイルとは違って、自分の意志を持ち、それを伝える力が高まりそう。 ・説明を聞いて、身体と脳は密接につながっていることがよくわかりました。 この園ではどちらも成長させてくれると感じました。 「子どもの可能性を幼児期に広げてあげたい。でも、共働きでなかなか時間がとれない」と悩んでいるご家庭でも、英語・知育・運動・ライフスキルといったバランスの良い教育が受けられるKids Duo International。各園で行われる入園説明会に、一度参加してみてみませんか? >>最寄りのKids Duo Internationalを検索する Kids Duo International >>説明会に参加する ※幼児園=保育園と同じ保育時間、幼稚園以上のカリキュラムを提供する園 PR:Kids Duo International イラスト/ユキミ
2023年08月16日大切な幼児期に子どもの可能性を広げてあげたい。そうは思っていても共働きだったり、きょうだいがいたりで、なかなか習い事や課外授業の送迎まで手が回らないのが現実。そこで気になるのが、 「バイリンガル幼児園」として話題の「Kids Duo International(キッズデュオインターナショナル、略称KDI)」。 いったいどんな場所なのか行ってみることに! 英語だけじゃない、「自分力」を育てる4つの柱 「バイリンガル幼児園」と聞くと、まずは英語教育に注目しがちですよね。でも、KDIは語学だけではありません。「自分力」と呼ばれる、 「自分で考えて、自分で決めて、自ら行動する力」を育てる ことにも力を入れています。未来の見通しが立ちにくい時代を生き抜くために、「自分力」は大きな武器になりそう。 それを身につけるための 4本の柱として、英語教育、知能教育、運動指導、ライフスキル教育が実践されています 。すべて「子どもの発育・発達」の研究に基づいた段階指導のプログラムで、子どもが遊びながら楽しく学べるのが特徴です。また、多彩なカリキュラムを通して、園児一人ひとりの中にキラリと輝く宝石をさがすことを大切にしていると聞くと、親でも気づかないわが子のよいところも育ててくれそうで、興味がわきます。 さっそく園内の見学をスタート! 1日のカリキュラムは? 子どもたちは、どんな1日を過ごしているのでしょうか。充実のカリキュラムはこちら。 10:30と15:00はスナックタイムがあります バスでの登園から始まり、前述の通り四本の柱で実践されるカリキュラム。次は各項目ごとにその魅力を詳しく見ていきましょう。 【英語教育】 幼少期からのバイリンガル教育で一生ものの「英語耳」を作る 英語教育の特徴は、「幼児向けイマージョン教育」。「イマージョン」とは英語で「浸る」という意味。英語を教科として学ぶのではなく手段として使い、たくさんの機会に「浸る」ことで、自然と身につくのが特徴です。 言語の習得には2,000時間が必要とされるという研究がある中、KDIでは4年間過ごすと3,840時間も英語に触れられるそう。 英語を学ぶ時間はもちろん、着替えや昼食、おやつの時間も英語に触れられます。 大量のインプットとアウトプットを日常的に繰り返すことで、一生ものの英語耳ができるそう。 英検準2級を合格した園児の実績もあるそうです。 すでに通っている年中の保護者からのリアルな感想からも、子どもの英語力がKDIに通うことでぐんぐんと伸びていくことがわかります。 毎日英語に触れていることで、自然と先生が英語で何を言っているのかを聞きとることができています。我が家は恥ずかしながら両親ともに英語が苦手なため自宅学習はほとんどできなかったにも関わらず、英検のリスニングが好成績。教えてもらっていることが習得できているんだなと驚いてしまいました。(保護者の声) 家庭で教えなくても自然と英語力が身につくなんて、英語スキルがどんどん求められるこれからの時代にうれしいですね。 また、単に英語を身につけるだけではなく、英語圏の文化と日本の文化に触れられるのが「バイリンガル幼児園」の強み。英語や外国人への抵抗感をなくし、様々な知識や広い視野、英語で考え英語で発信する力などと一緒に、自国の文化にも親しむことで、子どもの頃から国際人の土台を築けそうです。 【知能教育】 「できた!」「おもしろい!」を引き出し才能を最大限に! 次に見たのは知能教育のクラス。お勉強をするのかと思ったら、子どもたちはなんだか楽しそう。それもそのはず、KDIの知能教育には「あそび」の中に 24 の知能因子を刺激する要素がこっそり潜んでいます。 おもちゃのように見える知育教材を使って「目的をもったあそび」を体験し、子どもたちの「できた!」「おもしろい!」を引き出すのです。 一般的に、IQは100が平均※と言われていますが、KDIの年長クラスは平均145.3の記録を打ち出しています。 ※IQは知能年齢を実年齢で割って100をかけたもので、100が一般的な平均値。 その要因の一つは、KDI知能教育が、 脳細胞がもっとも発達するゴールデンエイジである幼児期に「脳の器を拡げる」ことに主眼をおいているから。 脳にある24種類の知能因子は、誰でも得意、不得意な因子ができてくるけれど、幼児期にまんべんなく刺激することで多くの能力を吸収できる脳を育みます。 バランスよく脳の発達を促し、才能の開花に導いてくれるカリキュラムは、KDIならではですね。 >>Kids Duo International 説明会に参加する 【運動指導】 学習だけじゃない! 運動神経の礎を築く専門家監修のカリキュラム 続けて、運動指導のクラス。ここでは、忍者になった気分を味わえる「忍ジャージ」を着て忍者あそびをしながら運動能力を育みます。東京大学名誉教授および日本女子体育大学 学長の深代千之氏の監修の下、 幼児期に必要な運動を科学的に分析し、子どもたち一人ひとりの運動能力を最大限に引き出すことを目的としたカリキュラムだそう。 走る・跳ぶ・投げる・打つなどすべてのスポーツに対応できる 9つの基本動作を段階的に習得し、将来どんなスポーツをする場合にも役立つ、いわば運動神経の礎が身につく そうだから、心強いですね。 卒園時には小学校3年生レベルの身体能力を身につけている園児も。 ゲーム感覚で楽しみながらスポーツに必要な身体の使い方を習得していきます。身につくのは運動神経だけでなく、自信を持ち、何事にもチャレンジできる心身。卒園した保護者のリアルな感想も気になります。 卒園後、小学校にあがって、投げる、走るが特によくできるのは、KDIのおかげだと思います。授業参観や運動会でも、子どもが楽しく理解し、やる気を持って練習に取り組めるよう、いつも工夫をこらした説明、指導が素晴らしいです。子ども達の笑い声も多くて、本当に楽しんでいる様子が微笑ましいです。(保護者の声) 【ライフスキル教育】 トイトレからコミュニケーション力まで学年に合わせた指導 日々行われる充実したカリキュラム。それらを通して、目に見える能力だけでなく、これからの時代に必要と注目されている非認知能力も育まれます。 集団生活の中で同年齢のお友だちと様々な形で関わる経験から「やり抜く力、目標に向かって頑張る力、自制心、自己肯定感、他者への配慮、コミュニケーション能力」等も育つそう。 日本文化も大切にバランスをとって下さっているので、着替えや食事のマナー、持ち物の整理、トイレトレーニングなど、お行儀やご指導の質にとても安心感があります。イングリッシュスピーカーの楽しいカジュアルな雰囲気と、日本的な礼儀のバランスがよく、生活の中で学べて、感謝しています。(保護者の声) また、年少に通わせている保護者のリアルな声には、日中のKDIでの教育方針が日常生活でもプラスに動いていることが伝わります。 「KDIで諦めない事を教わっているのか、息子が難しい出来事に直面した際に、諦めない!頑張れ自分!と自分を奮い立たせており微笑ましく感じました。これも先生方が熱心に指導に取り組まれているからと伝わってきます それだけでなく、園内には銀行・パン工場・スーパーマーケットなどの部屋があり、「造る」「勤める」「商う」などを学べる「職業体験」も。楽しみながら、基本的な社会体験をすることもできます。 習い事は平日に園舎内で! 土日はゆったり家族の時間 大切な幼児期に、いろいろな経験を子どもにさせてあげたいのは、誰しも同じはず。でも平日夜や週末に習い事を詰め込むと、親子ともに疲れてしまいスケジュールをこなすだけでいっぱいいっぱいになりそう。幼児期は親子や家族のふれあいもやっぱり大切にしたいですよね。 KDIなら平日の日中にさまざまな教育を実施するから、週末に習い事に通わせる負担が減るのも魅力的 。土日は家族で今でしかできないおでかけや団らんができるのもうれしいですね。 さらにそれだけでなく、ゲーム感覚で本格的に学べると評判の プログラミング教育の「HALLO」 や そろばんの仕組みを暗算に応用した学習方法「そろタッチ」 などSTEM教育の課外授業も希望する子どもは受けることができます。 小学校受験を考える場合も、サポートはバッチリ。指導多数の実績に基づく豊富な情報をもとに、専門スタッフが徹底分析したカリキュラムと希望者には志望校別の個別対策もあるというから、受験対策も任せられそうです。 充実した平日を過ごせるから、家族が揃う土日は、大切な家族の時間をゆったり過ごすことができそうですね。 忙しいママ・パパにも嬉しい「バス送迎」や「延長保育」 そして、毎日の送り迎えも忙しい親にとっては意外と大変。 KDIではバスの送迎や延長保育も実施されている から、「お迎えに行かなきゃ」という気持ちの負担がちょっと軽くなりそうです。「こんなに充実していて、費用は…!?」と心配になりそうだけど、幼保無償化対象園でもあるから、金額面での負担も軽減されるのもうれしいですね。 「子どもの可能性、広げてあげたいけれど、共働きでなかなか時間がとれない」なんて思っていた家庭でも、 英語・知育・運動・ライフスキルといったバランスの良い教育が受けられるKids Duo International 。各園で行われる入園説明会に、一度参加してみてみませんか? >>Kids Duo International 説明会に参加する ※幼児園=保育園と同じ保育時間、幼稚園以上のカリキュラムを提供する園 PR:Kids Duo International イラスト/チッチママ
2022年08月01日変化が早く 「どのように子どもを育てたらいいか」 正解が見えにくい時代。小学校では2020年度、中学校では2021年度、高校では2022年度から新学習指導要領が実施される教育改革のさなか、感染症による想定外のパンデミックも…と子どもを取り巻く環境にさらに大きな変化が起きています。 そのような中、幼児保育も 「『保育園』か『幼稚園』の二択」だけではなく、選択肢が増えてきています。 英語教育はもちろん、それ以外でもさまざまな新しい試みで注目されている 「バイリンガル幼児園」 Kids Duo International (キッズデュオ インターナショナル)。 新しく開園する国立園の入園説明会に、3歳の次女を保育園に通わせている市来理恵さんが参加してきました! 今回参加したのは、来春開園を予定している国立園の説明会。公園が点在する緑豊かな住宅街に天然の芝と人工芝の2つの園庭を備えた園が開園します。 ■英語だけじゃない、「自分力」を育てる4つの柱 「バイリンガル幼児園」と聞くと、英語教育に注目しがちですが、KDIが力を入れているのは、 「自分で考えて、自分で決めて、自ら行動する『自分力』を育てる」 こと、そして園児一人ひとりの中にきらりと輝く宝石をさがすことを大切にしています。未来の見通しが立ちにくい時代を生き抜くために、 「自分力」 は大きな武器となりそうです。「自分力」を身につけるための柱は、 英語教育、知能教育、運動指導、ライフスキル教育の4本。 共通しているのは、子どもがあそびながら楽しく学べること、 「子どもの発育・発達」 の研究に基づいた段階指導のプログラムであることです。 英語教育の特色は、 「イマージョン教育」。 教科として学ぶのではなく、英語を手段として用いるので、自然と身につくのが特徴です。言語の習得には2000時間が必要とされるという研究がある中、KDIでは 4年間過ごすと3840時間 も英語に触れられるそう。英語を学ぶ時間はもちろん、着替えや昼食、おやつの時間も英語に触れられます。 パン屋さんや消防士などの仕事を体験できて子どもに人気の職業体験プログラムも、英語で行われるので、英語力を伸ばしながら仕事への興味を育めます。どのプログラムでも、スピーキングは大切にされ、 自分のことばで伝える力 を磨きます。 また、教室内には 「インタラクティブボード」 と呼ばれる、書き込んだりさまざまな機能を持つ電子黒板が備わっており、子どもたちが楽しく学べる環境が整っています。 知能教育は脳細胞がもっとも発達するゴールデンエイジである幼児期に 「脳の器を拡げる」 ことに主眼をおいているそう。脳には24種類の知能因子があり、一般的にその中で得意、不得意なものができてくるが、まんべんなく刺激することで多くの能力を吸収できる脳を育むというもの。そう聞くと、詰め込む勉強を想像しがちですが実際は 「目的をもったあそび」 という位置づけ。楽しんで手や体を動かしながら、考える力を育てます。 ■親の運動能力は遺伝しない! 運動指導の説明では、 「親の運動神経は子どもに『遺伝』する?」 といきなり興味深い問い。運動が苦手な親は「子どもも苦手でも仕方がない」とあきらめがちですが、 「運動能力は遺伝しない。環境によって育むことができる」 と心強い言葉が。 運動指導では、忍者になった気分を味わえる「忍ジャージ」を着て忍者あそびをしながらゲーム感覚で運動能力を育みます。運動では、 走る・跳ぶ・投げる・打つなどすべてのスポーツに対応できる9つの基本動作を段階的に指導 し、理想的な身体の使い方を体得します。 ■これからの時代に必須のライフスキルの習得も 4本目の柱のライフスキル。親としては、英語が流暢に話せ国際的に活躍する子どもに育ってくれたらうれしいけれど、それだけでなく生活する力や社会で生きる力もやっぱり身につけてほしいもの。 KDIでは学年ごとに目標を持ち、「片づけ」や「箸の使い方」などの生活習慣や、集団生活を通して社会性を身につけることも大切にしています。 Kids Duo Internationalの詳細を見る ■満席の説明会では親もプログラムを体験 説明会では、説明を聞くだけでなく実際に子どもたちが受けているプログラムの一部を体験できました。まずは、運動指導を体験。「パーの手を出して、胸元に持っていくときはグーにして交互に入れ替えます」。簡単と思っていたら、もう一段階複雑になると混乱。自分の脳で思い描いた通りに身体を動かす能力を培う、ということを実体験できました。 次に、知育プログラムを体験。園で使っているパターンブロックで、時間内に見本と同じ図形を作ります。パターンブロックはさまざまな形や色のあるブロック。このブロックで、色や数だけでなく図形や分数についても学べます。 ■「実際は?」在園生ママのリアルな感想を聞いてみました 通っている家庭はどのように感じているのか、気になるところ。保育園から転園し、三鷹園の年長クラスに長男を通わせている内野さんにお話しを聞いてみました。 「習い事はさせたかったのですが、 習い事で土日の予定が埋まってしまい、余裕のない生活を送っていたので、預けている間にさまざまな体験ができることが転園の決め手 となりました」と話す内野さん。平日の活動が充実することで、週末に余裕ができたそうです。入園前は「座ってしっかり勉強する園」というイメージを持っていたけれど、実際は体を動かす楽しい活動が多いことに驚いたそう。 「どの活動も先生がしっかりコミュニケーションをとってくれるところがとてもいいです。 英語を習得するだけでなく、視野を広く持ち、自分の考えを伝えて行動できる子ども に育ってほしいと思っています」。世界地図を見て、「ここの人ってどんな言葉を話すんだろう」と聞いてきたりするなど視野の広がりを実感しているそう。「もちろん、聞く・話す・読む・書くを楽しみながら学んでいる英語も大好きで、出てくる英語の発音の良さには最初驚きました」。 Kids Duo Internationalの詳細を見る ■KDIに通うことで親子でゆっくりコミュニケーションを取れる時間が増える 説明会を終えて、市来さんに感想を聞いてみました。 ── 説明会に参加していかがでした? 市来さん: 「充実していて、私が通いたかった(笑)。さまざまなプログラムで子どもの力を伸ばしてくれるのがとてもいいですね! 親としては頼りたくなります」 ── 特に魅かれた点は? 市来さん: 「平日は子どもを預けている間に子どもの可能性を伸ばしてもらい、休日は家族と一緒に過ごせる時間を確保できて、親も子どもも生活スタイルに余裕が持てそうなところですね。やっぱり休日は家族と過ごしたいです」 ── 子育てで悩んでいることはありますか? 市来さん: 「日々ゆとりを持って子どもに接することができないことですね。子どもの『やりたい』という気持ちをゆっくりと見守りたいと思いつつ、仕事を終えて帰宅してからだと難しいのが現実です。でもKDIだと、子どもの『好き』を見つけるきっかけをたくさんもらえそうです。共働きだと親が教えてあげるのにも時間的な限界があるので、いろいろ教えてもらえて全部楽しみながらできるのが魅力的ですね。送迎バス、延長保育、そして給食とそろっているのも忙しい親にはありがたいです」。 共働きのご家庭でも、英語・知育・運動・ライフスキルといったバランスの良い教育が受けられるKids Duo International。各園で行われる入園説明会に参加してみてはいかがでしょうか? 入園説明会に参加する ※幼児園=保育園と同じ保育時間、幼稚園以上のカリキュラムを提供する園 PR:Kids Duo International
2021年08月02日ラグビーワールドカップではたくさんの外国人が訪日し盛り上がりましたが、次はいよいよ2020年東京オリンピック。これからますます外国人の来日が増えてくると予想されます。外国人をお家に呼ぶコツを知っておけば、親子で外国人と交流する機会があっても安心。 世界中から 日本にやってくる旅行者を家に招き、おうちごはんを一緒に食べながら2~3時間交流 をする、 ホームビジット の取り組みを普及してきた特定非営利活動法人NAGOMI VISITの代表理事、楠めぐみさんにコツをお聞きしました。 ■「ホームビジット」はメリットたくさん、子どもと一緒に国際交流 ──NAGOMI VISITでは子どもがいる家庭が、外国人を受け入れるホストに多いと聞きました。 楠めぐみさん(以下 楠さん):全国で登録している約1200世帯のホストのうち、6~7割が未就学児や小中学生のいるご家庭です。「子どもにはグローバルな視点を養ってほしい」「世界にはいろいろな人がいるということを知ってほしい」という理由が多いです。 お子さんがいると、独身のときのように海外旅行にたくさん行けないから、自宅に来てもらえるのは一石二鳥とおっしゃる方もいます。 ──親子で外国人を招くと、どのようなメリットがあるのでしょうか? 楠さん:親が外国人との交流を楽しんでいる姿を子どもに見せると、外国人にあまり接したことのないお子さんでも、抵抗感がなくなり、交流に積極的になる傾向があります。 ──子どもが国際交流に興味を持つかどうかは親の影響が強いんですね。 楠さん:英語が苦手だと、つい「私は料理しているから」といって子どもに「交流してきなさい」と押しつけてしまう親御さんもいますが、そうすると子どもも、外国人の方もどうしていいかわからずシーンとなってしまいます。せっかくの外国人との交流の機会を活かせず、子どもも国際交流に興味を失ってしまいます。 ── そういう方にはどのようなアドバイスをするのですか? 楠さん:まずは大人が自ら積極的に行動してみることをすすめています。大人が楽しんで、「楽しいよ」ということに子どもを巻き込んでいけば、子どもも自然と楽しめます。 ■英語が苦手でも大丈夫! 大事なのは親からの働きかけ ── でもやはり英語が苦手だと躊躇する方も多いのでは? 楠さん:「英語が苦手」とみなさんおっしゃるのですが、初対面同志で2~3時間一緒に食事をして過ごすだけなので、複雑な話はそれほどしません。 中学卒業程度の英語力があれば十分 だと思います。「こういうことが好き」「普段は何を食べていますか」といった、自分自身の紹介やお互いの普段の生活について会話ができれば、まずは交流を楽しめます。 「日本の茶道とは何かを説明しなければ」などと思いこんで、「やっぱりできない」と考え、国際交流を楽しむ機会を逃すのはもったいないと思います。 ── 「きちんと英語を話さなければ」と身構えすぎる必要はないんですね。 楠さん:今はインターネットで言い回しや単語など簡単に調べられます。日本食のレシピも英語で載っているので、作る料理の英文レシピや使いそうな単語など、事前にちょっと準備しておくだけで、会話もスムーズになります。 もし、お料理が好きな人を家に招くのであれば、食事の前に一緒にスーパーを見てみるなど、相手の好みに合わせてあまり言葉がいらないことを計画するのもおすすめです。 ── ちょっとした準備で英語力をフォローできるんですね? 楠さん:お子さんについてもそうですね。事前に親から上手に働きかけをすることで、外国人とあまり接する機会のないお子さんでも当日の国際交流を楽しめます。 「こういう国から来るからどこにあるか地図で調べてみようか」とか「こういうことを聞いてみる?」などといって事前に子どもに働きかけをしたご家庭は、ホームビジットを体験して「また子どもがやりたいって言っていました」という感想を多くいただきます。 また、言葉を使わない楽しい交流方法もたくさんあるので、そういう遊びも用意しておくといいかもしれません。例えば、折り紙や百人一首での坊主めくりも、簡単で日本らしい遊びなので喜ばれます。 ■何を作ればいい? 手軽なおもてなし料理のアイディア ── ところで、料理は一体何を作ればいいのでしょうか? 楠さん:海外から来る方は、普段の生活を見たいので、普段食べているものなら何でも。ルーで作るカレーも日本独特なのでいいと思います。ただ「ラザニア」などあえてすごく洋風なものを作るよりは、少し日本っぽいものが喜ばれますね。 ただし、懐石料理をがんばって作る必要はありません。美味しい懐石料理やお寿司はお店でお金を払えば食べられるので、海外の方はそういうものを日本の家庭での食事に期待しているわけではないからです。 ── すき焼きとか鍋はどうですか? 楠さん:鍋を囲む系は、食のスタイル自体が日本の家庭という感じがして喜ばれます。お好み焼きやタコ焼きも、受け入れる側も準備が楽だし、「一緒に作る」という体験ができるので人気です。一緒に作業することで、仲良くなるし、盛り上がれます。 ── 些細なことですが、じか箸でもOKですか? 楠さん:それは日本人でも人によりますよね。説明すればいいと思います。「うちはこうやっているのよ」と言ったら外国の方も受け取り方はさまざま。「そういうものかな」という人もいるだろし、外国人だからこう、というものでもないと思います。 ■質問は「仲良くしたい」という意図を伝えてから ── そのほかに、家に招くときに大事なことはありますか? 楠さん:日本人同士も同様ですが食事をするのであれば、事前に食べられないものは聞いておくと安心ですね。アレルギー、宗教上、好き嫌い、ベジタリアンなどの信条等さまざまな理由で食べられないものがあるかもしれません。 ── 納豆や和菓子など苦手かもしれないものはどうですか? 楠さん:出されたものを食べたらあんまり、ということはあり得ます。出すもの全てが喜ばれるわけではないので、「日本の和菓子ってこういうものなのね。自分の好みではないな」と思われるかもしれません。ただ、それも含めておもてなしだと思います。 ── 不安なことは全部聞けばいいですか? 楠さん:文化的背景が違う者同士なので、日本人同士だったらあえて聞かないことも確認します。その際に、「お互いに居心地よく過ごしたいから教えてね」「あなたと仲良くなりたいから教えてね」と質問の意図をしっかり伝えることが大切だと思います。 ── 聞いてはいけない質問もありますか? 年齢や宗教は? 楠さん:日本人同士でも同様ですが、「あなたいくつなの? 」「宗教は何? 」と矢継ぎ早に質問するのは失礼ですよね。だけど、「友だちになりたいのであなたのことを知りたいんです」と伝わっていれば、「私は〇歳なんだけど、あなたは何年生まれ?」とか「これ食べられないって言っていたけれど、宗教上の理由?」など聞いてもいいと思います。 逆にあまりにも忖度して質問しないでいると「この人コミュニケーションをとりたくないんだな」と思われてしまいます。質問の際には「私のことも知ってほしい」と自分の情報を伝え、自己開示することも大切です。 ── 最後に、トラブルを回避するために気をつけた方がいいことを教えてください。 楠さん:NAGOMI VISITではほとんどトラブルがないのですが、最初の頃は、「待ち合わせの時間に外国の方がすごく遅れてくる」というのがありました。慣れない土地での移動で、電車の乗り換えを間違えたりしてしまうようです。ですので、会う前にしっかり行き方などの連絡を取り合っておくことをおすすめしています。 あとは、NAGOMI VISITでは、会う前には住所を伝えず、最寄りの駅で待ち合わせるというルールを設定しています。初めての方を家に招く場合のリスク管理としています。 ──ありがとうございました。海外旅行に行く機会がなくても、日本でも工夫次第で外国人との交流を親子で楽しめる時代。せっかくだから、親も楽しんで、子どもも国際感覚を身に着けたいですね。 ●楠めぐみ(特定非営利活動法人NAGOMI VISIT代表理事) 大学の観光学部卒業後、訪日外国人旅行者向けウェブサイトにてインバウンドプロモーションの企画・提案に携わる。2011年に「世界中の旅人と食卓を囲むホームビジット」事業をNAGOMI VISITでスタート。ホームビジットは、その積み重ねによって日本全体を多文化共生社会へと動かす「てこ」になると確信し活動を続ける3歳の娘のママ。動画で国際交流を学べる『はじめよう! 親子で国際交流』も2019年に開始。 参考: 『はじめよう! 親子で国際交流』 特定非営利活動法人NAGOMI VISIT 執筆・ まちとこ出版社 石塚由香子
2019年12月13日2020年の教育改革で、子ども達の教育環境が大きく変わります。その中で、子どもたちが求められるものの1つが英語力。「聞く」「読む」「書く」「話す」の4技能を身につけ、それらを使って表現する力が重視されます。そんな中で、 未来の教育を考える新しい選択肢 として注目されているのが「バイリンガル幼児園※1」です。 「バイリンガル幼児園ってどんなところ?」と、3歳のせなちゃんとママが「Kids Duo International(KDI)」の体験説明会に参加してみました! ■いるだけで楽しい! 子どもゴコロをわしづかみの園内 訪れたのは、青葉台園舎。東急田園都市線青葉台駅から徒歩約5分の立地にあります。スタイリッシュな建物とロゴがどことなく海外の学校のような雰囲気。 階段を上がると待っているのは、明るい青空模様の天井と大きな木のオブジェ。その周りには「BAKERY」「DEPARTMENT STORE」「CLINIC」とかわいらしいお店や施設が並ぶ職業体験コーナー(ラーニングステーション)があり、まるでテーマパークのようです。ここは職業体験を通して、子ども達の将来の選択肢を広げる目的を持っているスペースであり、その体験を通して両親への感謝の気持ちが芽生えるきっかけ作りの場所となっています。 初めての場所にまだちょっと緊張していたせなちゃんもこのスペースを見て目を輝かせます。 ■楽しんでいるうちに英語を習得! 英語レッスンを体験 「頭がやわらかく、外国の方をこわがるような先入観を持たないうちに英語や外国の方に触れる機会を持ちたい」というのもせなちゃんママがKDIに興味を持った理由の一つ。 言葉の習得には2000時間必要 と言われているそうだけど、2歳からKDIに通うとその2倍に近い 3800時間以上英語に触れる時間がある という説明にも興味深く聞き入ります。 英語を「勉強する」のではなく、絵本の読み聞かせを聞いたり、歌を歌ったり、工作をしたりと、ネイティブやバイリンガルの先生の英語に日常的に触れることで、英語を習得していけることです。 この日は、年少を受け持つMaddi先生による英語のミニレッスンを体験しました。 その内容は歌や絵本の読み聞かせ、クイズなど盛りだくさん。大型絵本やスクリーンを使用して子どもが楽しく受けられるように工夫されており、「お勉強」という感じはありません。 外国の方には今まであまり接したことがなく最初はちょっと緊張気味だったせなちゃんも、明るく優しいMaddi先生に少しずつ表情もやわらぎます。「What is this? 」という質問にも「Apple!」と元気に答えてママもビックリ。「まだ心がやわらかいうちに外国の方と触れあうことのよさを実感しました」とせなちゃんママ。 レッスンの終わりには、先生と笑顔でハイタッチ。毎日これだけ外国の方と英語で触れ合えたら、これからのグローバル時代も乗りきれそう。実際KDIに通わせている保護者の中には 「園外で躊躇なく外国の方に英語で話しかけるわが子の姿に驚いた」 という経験をする方も少なくないそう。 「英語が話せるようになるのはいいけれど、日本語は大丈夫?」 という心配も出てきそうですが、そこは「バイリンガル幼児園」。英語に浸る時間もたくさんあるけれど、もちろん知能教育の時間など日本語だけの時間もあり、日本語や日本文化も大切にし、二言語を伸ばす 「バイリンガル」 教育を目指しています。 カリキュラムの詳細はこちら! ■英語だけじゃない! 忍者遊びで運動能力も小学校3年生程度を目指す!? KDIは英語教育だけでなく、運動指導、知能教育にも力を入れているというから驚きます。やみくもに体力や筋力を鍛えるのではなく、 「幼児期の神経の発達を考慮した、脳の成長にも、運動能力の発達にも考慮したプログラム」 を科学的な研究に基づいて実施しています。 説明会ではためしに、グーとパーにした手を交互に入れかえる動作をみんなでしながら、「幼児期に発達させたい、体をコントロールする能力」を実体験しました。 Ninja遊びも、幼児期に必要な運動を科学的に分析して作られたカリキュラムで、卒園時に小学校3年生程度の運動能力を身につけることを目標としているものだそうです。 年に1回、園児1人1人の動作を動画撮影し、それを解析してフィードバックしてくれる、というのも子どもの成長を具体的に把握できてうれしいサービスです。 この日は、園のお友だちがやっているクラスを見学しました。「科学的なカリキュラム」というとなんだか難しそうに聞こえるけれど、実際に見てみるとみんな遊び感覚で、英語のクラスと同様、子どもたちは「楽しく遊んでいる」うちに習得していくようです。 ■知能教育も充実! 脳の黄金期にしっかり刺激 日本語で行われる知能教育は、脳が急激に成長する幼児期に脳の様々な部分を刺激し、活性化させることで、脳の器を拡げることを目的としています。ノートに書く勉強が中心ではなく、有名私立小学校などでも使われているパターンブロックなどで手指を動かし、遊びながら楽しんで算数好きを育てるのが特徴のようです。年中、年長のときにはIQテストの幼児期版を実施し、得意な分野とまだ経験が少なく今後伸ばすべき分野を1人1人にフィードバックしてくれるのも、わが子の強み、弱みを理解でき、心強いサービスですね。 ■子どもたちが大好きな職業体験が園でできる! 子どもたちに大人気なのが、パン工房、デパート、工房、クリニックが並んだラーニングステーション。 働くことの楽しさや大変さを経験し、社会の仕組みを学ぶ場所 だそうですが、本格的な内装と、かわいい衣装は職業体験テーマパーク顔負けです。 せなちゃんも体験コーナーには興味津々。のぞいていると、その場にいた優しい先生が特別にちょっとだけ体験させてくれました。体験させてもらったのは、工房でのレーシングカーのおもちゃの組み立て作業。カラフルな海外製のレーシングカーを先生の説明を聞きながら組み立てます。おもちゃの電動ドリルでネジをしめる作業が楽しく、夢中になって最後まで組み立てました。 ■子どもたちの笑顔と積極的なコミュニケーションが印象的 園の様子を見て回った後、最後にせなちゃんママに感想を聞きました。 「今、体操を習っていて、英語も習わせたいなと考えています。そう考えると、 習い事に通わなくても英語、運動、知能教育を通園させるだけで受けられる のは魅力的ですね。送迎バスがあり、5時まで預かってくれるのは、働いているママは助かる方が多いかなと思います。小学校受験の対策もしてもらえるのもいいですね」 「何より、2歳からの子どもがいるのに、泣いたりぐずったりしている子がいなくて、本当にみんな楽しそうだったのに驚きました。園長先生を始め、先生方も皆さん熱心で、子どもをたくさんほめたり励ましたりしていて、手厚い印象も受けました。日頃から自主的な子どもに育ってほしいと思っているので、 『自分らしく幸せに生きる力、自分力をつける』 という理念もいいなと思います」 未来に生き抜く力が身につくKids Duo International。幼稚園でもなく、保育園でもなく、新たな幼児教育の選択肢として気になったら、ぜひ説明会に行ってみてください。 説明会の予約はこちらから! ※1:保育園と同じ保育時間、幼稚園以上のカリキュラムを提供する園 ※一部特別に体験させて頂いたプログラムがあります。 PR:Kids Duo International
2019年09月06日ばい菌が繁殖しやすいジメジメした梅雨は、食中毒も発生しやすく心配。元気に過ごしてもらうためにも「子どもがもっときちんと手を洗ってくれればいいのに」と感じているお母さんも多いのではないでしょうか? でも、毎日「手を洗いなさい」と子どもに口うるさく言ってもなかなか習慣は変わらず、注意する方も疲れてしまいますよね。 そんな時、「 手洗いをしたくなる仕組み を子どもが自分で考えて、それを楽しく形にする プログラミングワークショップ 」が開催されると聞き取材に行ってきました! 「手洗い」x「プログラミング」!? 開催場所は、東京・お台場にある、「光」「音」「エンターテインメント」を科学する体験型科学館『ソニー・エクスプローラサイエンス』。ソニー株式会社が運営する同館と、ハンドソープ 『キレイキレイ』 を販売するライオン株式会社による初のコラボレーション。 ワークショップ当日の6月15日、事前に申し込んだ小学3年生~6年生の親子が集まりました。 教えてくれたのはソニーの科学館『ソニー・エクスプローラサイエンス』でプログラミングのワークショップを担当する講師陣。子どもが楽しく理解できるように、質問を混ぜながらやさしく話してくれました。 ワークショップで使ったソニー株式会社のプログラミングブロック 「MESH™」 は、「ライト」「ボタン」「人や物の動きを感知する」「明るさを感知する」など様々な機能を持った7種類のブロック。オリジナルアプリで、絵と絵をつなげるなどのシンプルな操作をするだけで、無線でつながっているブロックに指示を出せます。このブロックを使えば、子どもでも手軽にプログラミング気分を味わえます。 タブレット上でスマホのように簡単な操作をするだけなので、子どもたちはあっという間に慣れ、操作に夢中に。試しにみんなで作ってみたのは、飲もうとすると「飲まないで~」と叫ぶコップ。動きを感知するブロックをセロテープでコップに貼りつけて、タブレット上のアプリで「ブロックの角度を変えると『飲まないで~』と音を出す」という指示を入れます。 みんなどんどん作業を楽しそうに進めます。特に「飲まないで~」という言葉を自分の声で録音する時は大盛り上がり。 まずは正しい手洗いを学ぶ そのあとは、正しい手洗いについて学ぶ時間。やみくもに作るのではなく、「何を作りたいか」をしっかり考えるためにも正しい知識が大切なんですね。 登場したのは手洗い先生役のライオン社員。 ばい菌から手肌を守るための手洗いの大切さ、正しい手洗いの方法を、時にはクイズを織り交ぜながら楽しくお話してくれました。「洗い残しが多いのは、指先、指の間、手首」という話にも、子どもたちはみな真剣に耳を傾けています。 「いつ洗わない?」「どうして洗わない?」「どうやったら楽しく洗う?」の3段論法 次は、自分の普段の手洗いとじっくり向き合う時間。 どんな手洗いシステムだったらもっと楽しく手洗いができる? それを明確にするためには、「いつ手を洗わないか」をそれぞれで思い出し、ふせんに書き出していきました。 参加者のひとり、とっちぃ君は「けんかしたとき」「おこっているとき」「いそいでいるとき」「疲れているとき」と自分が手を洗わない日常のシーンを次々と書き出します。 「どうしてその時に洗わないのか」を考えますが、「おこっているから」「やるひまがないから」「とにかく休みたいから」…。じっくり考えていくと、その中で共通する理由も見つかります。 「ついつい忘れるんだよね…。そうだ! アラームが鳴ればいいんだ!」 そんな思いつきが生まれます。 さくらちゃんが手を洗わないと書き出したのは、「友だちの家に行ったとき」「夜トイレに行ったとき」など。「場所がわからないから」「夜こわいから」など、子どもらしい理由にほっこりします。そして、「こわくないように、トイレをかざる」など対策を考えました。 いよいよ「自分だけの手洗い装置」を制作開始! どんな手洗い装置を作りたいかイメージができたら、いよいよプログラミング作業スタート。 鏡、グラス、ボックスなど色とりどりの小物がずらりと並ぶテーブルで、みんな思い思いのものを手に取ります。帽子やメガネなど一見手洗いに無関係そうなものも、想像力を働かせれば楽しく使えそうです。 あとは真剣に作業。すんなりとは進まないので、講師やスタッフにわからないことを聞きつつ、失敗を繰り返しながら、一つずつ課題をクリアし、理想の形を目指して作業します。 「音はどういう音がいいかな? 」などと、とっちぃ君が考えられるように問いかけながら優しく見守るお父さん。つい手を出したいところをぐっとがまんして、自由に制作させてあげていた姿が印象的でした。 成果発表タイムはアイデアを重視 最後は今日の成果を発表する時間。 制限時間内で思い通りに作れなかったケースもありましたが、大切なのはうまく機能できたかどうかよりも「どんなものを作ろうとしたか」というアイデア。子どもたちはそれぞれ作品を見せながら、自分のアイデアを誇らしげに発表しました。 砂時計の砂の動きも利用した、かなり複雑な装置を考えたとっちぃ君。「手を洗わないのは疲れたとき」と考え、「手を洗え~」と自分の声を録音し、人を感知すると「手を洗え~」と注意してくれる装置を考えました。 組み合わせは無限大! 作りたいものを自由に作る醍醐味 参加親子にワークショップの感想を聞いてみました。 キラキラのモールをつけた鮮やかな装置を作ったとっちぃ君は、「いつも家では、もう決まっているキットを使っているけど、自分で作りたいものを自分の頭で考えて作れたのが楽しかった!」と大満足の様子。確かに、使う小物類、ブロックに出す指示の組み合わせで、可能性は無限大。どんなものでも作れそうです。 プログラミングは解決したいテーマがあってこそ 最後に、共催したライオン株式会社の「キレイキレイ」担当者さんにこのワークショップにかける思いをうかがいました。子どもの成長を応援したいという共通の思いで、社会貢献として科学教育活動を長年行ってきたソニー株式会社と異色タッグを組んだ今回の企画。「ちょっとプログラミングのやり方を教わっただけであれだけのものを子どもたちが作るので、本当に子どもの創造性の豊かさに驚かされました」と話します。 「このワークショップはプログラミングに向き合う時間でもあり、手洗いに向き合う時間でもありました。子どもが自分で考え、手洗い習慣が身につくことで、お父さんやお母さんがハッピーになればうれしいですね」。 「手を洗いなさい!」というよりも「どうすれば手を洗う?」と聞いてみる? 2020年から学校の教育にも取り入れられるプログラミング。よくわからないと思っていたけれど、日常の問題を解決する仕組みを作ることで、アイデアが大切と知り、ちょっとプログラミングを身近に感じました。 2時間手洗いと向き合い、自由な発想で楽しんでいた子どもたちの姿を見て、「手洗いって楽しくなるものなんだ」と再認識。家に「MESH」はないけれど、「手を洗いなさい」と口酸っぱく言うより、「洗面所をどんな風にしたら、手を洗う?」と子どもに聞いてみようかな、と思いました。 次回開催決定! ぜひみなさんも体験してみてください 次回以降のコラボレーションは、2019年7月20日(土)、21日(日)、8月3日(土)、4日(日)、26日(月)の合計5日間実施されます。ぜひ参加してみてください! ★イベントの詳細はソニー・エクスプローラサイエンスのホームページで6月末に公開予定 ※8月26日(月)は平日のため「科学実験ショー サイエンスバトラー」の実施はありません キレイキレイ 薬用泡ハンドソープ きちんと殺菌し、バイ菌から手肌を守る、泡で出るタイプのハンドソープ。みなさまに選ばれて売り上げNo.1 ※2018年1月~12月シリーズ累計販売金額インテージSRIハンドソープ市場(ボディー用石鹸除く) バイ菌を増やさない抗菌(※1)ポンプヘッド採用! 抗菌ポンプヘッドの抗菌効果は、SIAA基準に適合しマーク認証されています。※1 ポンプヘッド表面の菌の増殖を抑制すること これまでと変わらない、“泡切れのよさ”と”すすぎの早さ” 1. “泡切れがよく”、“すすぎが早い”ので、洗いあがりがぬるつきません 2. 「殺菌成分(IPMP※2)」配合で、きちんと殺菌し、バイ菌から手肌を守ります ※2 イソプロピルメチルフェノール 3. きめ細かな泡がすみずみの汚れまで捉え、しっかりと落とします 4. 内容量(液面)が外から分かる「ウインドウストライプ」入りボトル 5. バイ菌を増やさない抗菌ポンプヘッド 「キレイキレイ」の詳細はこちら! PR:ライオン株式会社
2019年06月28日時に、コミュニケーション障害と言われることもある、発達障害。「空気が読めない」「相手の気持ちがわかりにくい」などの特性は、人づきあいでのトラブルを招きやすく、「愛想が悪い」「気が利かない」など、性格の問題にされてしまうことも少なくありません。 また、発達障害は男性に多いとされてきましたが、実は、大人になってから発達障害が表面化する女性は少なくありません。発達障害のこうした特性は、男性よりも女性同士のつきあいに重視されがちだからです。 女性のコミュニティは、より「空気を読みあう」ことで成り立っていることが多いため、子どもの頃から女同士の友だちつきあいがうまくいかず、ずっと悩んできたという女性も多いそうです。 女性の発達障害特有の生きづらさとは? どうしたら少しでも楽に生きられるのでしょうか? 発達障害当事者であり、言語聴覚士として支援者でもある村上由美さんに、発達障害の女性特有のコミュニケーションにおける苦労や悩み、周囲とうまくつきあっていくためのポイントをうかがいました。 お話をうかがったのは… 村上由美(むらかみ・ゆみ)さん 言語聴覚士。上智大学文学部心理学科、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院(現・国立障害者リハビリテーションセンター学院)聴能言語専門職員養成課卒業。重症心身障害児施設や自治体などで発達障害児、肢体不自由児の言語聴覚療法や発達相談業務に従事。著書に『アスペルガーの館』(講談社)、『声と話し方のトレーニング』(平凡社新書)、『ことばの発達が気になる子どもの相談室』(明石書店)、『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本』(翔泳社)などがある。 ■女性の発達障害「就職、結婚、子育て…」人生の転機に生きづらさが表面化 ――今まで、発達障害は男の子が圧倒的に多いと言われてきました。実際、私が息子の療育センターに通っていた頃も(息子は自閉スペクトラム症)、グループのお友だちは男の子ばかりでしたが…。 村上由美さん(以下、村上さん):発達障害は男の子の方が発生率が高いとされ、療育センターなどに通う子も、男の子の方が圧倒的に多いのは事実です。その理由は、男の子に表れる発達障害の特性の方が見えやすく、問題視されやすい傾向にあるからです。 例えば、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の男の子の場合は、「多動性」や「衝動性」が目立ちます。教室で立ち歩いたり、衝動的に暴力をふるったり、周囲に迷惑をかける行動が多いので、早めに気づかれるケースが多いのです。 ――これが女の子だと、どう表れるのでしょう? 村上さん:同じADHDでも、女の子の場合は「不注意」が目立ちます。ミスが多かったり不器用だったり、本人はできないことを悩むのですが、周囲に迷惑をかけるようなことが少ないので、問題が表面化しにくいのです。 また、最近になって、そもそも発達障害の診断基準が少し男性寄りにできているのではないか? という議論も出てきています。男性と違って、女性の発達障害の場合は「受動型」の特性が多いので、現在の診断基準となる症状に当てはまりにくいのではないか、と。 最近は変わりつつありますが、少し前の教育では、女性は控えめであることが美徳とされていました。「受動型」という女性に多い発達障害の特性と、社会が求める理想の女性像が重なり、さらに見えにくくなってしまった面もあると思います。 そのため、発達障害の女性はひとりで悩みを抱えたまま、大人になってしまうケースも多いのです。 ――幼い頃から感じてきた違和感が、明らかな生きづらさとして表面化するのは、いつ頃なのでしょう? 村上さん:就職、結婚、子育てなどの時期です。それまでの学校生活は、ある程度の枠組みが用意されていて、先生に言われた課題をこなしていれば、そこそこうまくやっていけるのですよ。 でも、自分の意思を持って主体的に行動しなければならないライフステージにくると、うまくいかないことが増えてきます。 また、特に女性は、結婚などのライフステージの変化によって役割が増大します。妻として家事をこなし、夫のサポートをし、義理家族と良好な関係を維持し、仕事をし、母親として子育てをし、園の父母会や学校のPTAの役割をこなし、ママ友やご近所づきあいもそつなくこなす…。 さらに、介護まで加わってくるケースも! つまり、女性はものすごいマルチプレーヤーになることを求められるわけです。 ――確かに、結婚後、男性に比べると、女性は求められる役割の幅が広がる気がします。 村上さん:でも、そもそも発達障害の特性として、複数の作業を並行して行うマルチタスクは苦手なのです。 また、一般的に女性は「愛想がいい」「気が利く」「何でもそつなくこなす」ということがよしとされている風潮があり、家庭でも職場でも、煩雑で細かい仕事を任されるのは女性の方が多い傾向にあります。しかも、それをにこやかに、周囲へ気を配りながら行うことが評価されます。 ですが、発達障害の特性はこれらとも真逆。男性よりも女性の方が、この特性が問題視されてしまうのです。不公平だと思いますが、残念ながら、ジェンダーの差があるのが現実なのです。 ――社会が求める、いわゆる「女性らしさ」が、発達障害の女性をますます苦しめているのですね。 村上さん:さらに、男性より女性に対しては、生活のこと(家事全般)ができて当たり前という期待値が高いのです。それもまた、発達障害の特性とは真逆なのに…。 加えて、日本の家事レベルはものすごくハイレベルですよね。子どものお弁当ひとつとっても、栄養のバランスを整えて、彩りもきれいに、さらに子どもが喜ぶように…と。さらに、おやつも園グッズも手作りで、などなど…! 最近は、家事代行サービスを利用する方も増えてきましたが、ひと昔前は「そんなの子どもがかわいそう! 手抜きはダメよ!」というような風潮がありました。 発達障害の方は基本とてもまじめなので、周囲の言葉通りに「全部やらなければ」と追い込まれてしまいます。でも、うまくできず、燃え尽きてしまうのです。 ■「できないこと」より「できること」 苦手から逃げる勇気 ――ちょっとマイナスな面ばかりうかがってしまいましたが、プラスの面はありますか? 村上さん:見方を変えれば、その特性が良い方向に向かうこともたくさんあります。例えば、「空気を読まない発言が多い」ということも、「慣習にとらわれず、世の中の動きにあった提案ができる」というふうにとらえることもできます。 もし今、生きづらさを感じている方がいたら、できないことではなく、できることに目を向けてください。もし、周囲にあなたを責めたり攻撃したりしてくるような人がいるなら、そういう人とは距離を置くのもひとつの手段です。 また、自分を知ることもとても大切です。発達障害の人は、自分への信頼がとても低いという傾向があります。ですから、「自分がどれくらいできるか」という見積もりを、社会が求めている尺度では考えないこと。 「がんばればできる」という見積もりは、実はすごく危険です。がんばり続けたら、たいていの人は燃え尽きてしまいますから。特に発達障害の人は、「がんばらなくてもできる」「がんばらなくても続けられる」というところを探っていくという発想が必要になります。 ――専門家などの相談機関とつながっておくことも大切でしょうか? 村上さん:相談機関とつながりを持つことは心強いと思います。お子さんが小学生なら学校のスクールカウンセラー、就学前なら保健センターなど、身の回りに専門機関はたくさんありますから、上手に人を頼りましょう。 最近では、「自己責任論」がよく取り沙汰されるので、福祉などに頼るのは恥ずかしいことと思ってしまう方もいるかもしれません。でも、もともと人間はひとりでは生きられない生き物なのですから。 診断を受けて合理的配慮を得るには、自分の障害を開示しなければならないので、抵抗がある方もいるかもしれません。しかし、それを上回るメリットはあると思います。 まず、自分が楽に生きられることを探しましょう。診断を受けるのも、合理的配慮を受けるのも、自分が楽に生きるため。最近、楽に生きると言うと「なまけているんじゃないか?」などと非難される風潮もありますが、人生は修行ではないのですから。 もちろん、がんばることは悪いことではありませんが、そもそも何のためにがんばっているのか? それは自分にとって大事なことなのか? そこをしっかり考えることも大切なのだと思います。 ■「生きづらい…」苦手が多いママ、3つのケースと対応法 ――村上さんが支援現場で、ママからよく聞く悩みはなんですか? また、それぞれ上手な伝え方や対応法を教えてください。 村上さん:ママ友、子ども、夫、それぞれに対して、よく聞くお悩みを3つあげてみました。「これならできそうかな?」と思うものから、少しずつ無理ない範囲で試してみてください。 ケース1:ママ友との雑談が苦手。何を話したらいいのかわからなく、その場にいるのが苦痛…。 村上さんの回答:発達障害当事者にとって、実は一番難しいのが雑談です。話が飛んで主語がなく、時系列も変わる会話を文脈に落とすのは、定型発達の方には想像がつかないくらい、非常にハイレベルな作業なのです。 これはもう、自分がどのくらいそこに参加したい状況なのかを見極めることが大切。社交辞令レベルの関係なら、ヘンなことを口走るよりも、黙っていた方が無難な場合も少なくありません。 むしろ、人間観察のつもりで参加していても良いかもしれません。そのうちに、中には自分のつきあいやすい人が見つかるかもしれませんよ。 ケース2:仕事や家事や学校の雑用が山積みで…。いつも余裕がなく子どもにあたってしまう。 村上さんの回答:子育てにかかる手間は、以前よりずっと増えていると感じています。課されていることのすべてを完璧にするのは、まず無理と心得ること。得意と苦手を把握し、苦手なことには目をつむり、赤点ギリギリでいいと割り切りましょう。 もし、子どもを相手に感情がエスカレートするようなら、トイレにこもる、近所を一周散歩するなど、クールダウンする方法を決めておきましょう。自分だけが背負い込まず、夫やほかの家族に頼り、周囲に助けてもらうことも大切です。 ケース3:夫に対してつい感情的になって、いつも夫婦ゲンカに。自分の感情をうまくコントロールできない。 村上さんの回答:感情的になるには、たいていステップ(段階)と一定のパターンがあります。家事がたまっている時、仕事が忙しい時など、自分がどういう状況で感情的になりやすいのかのフローチャートを作ってみると良いでしょう。 そして、甘いものを食べるなど、自分がイライラした時に感情をうまく逃せる方法を、日頃からリストアップしておいてはいかがでしょうか。イライラしたときこそ、切り替えることを意識して。 また、もともと夫婦は他人なので、気持ちをわかりあうのはとても難しいものだと思った方が気楽です。 「自分を知ること」「できることに目を向けること」、これらは発達障害の取材をしていると、必ず言われる言葉です。そして、これは自分自身に対してだけではなく、他人を見る時も同じなのだ、と。 「いろいろあるけど、でも、あの人のここはすごい」というふうに、常に人の得意なところ、良いところを見つける姿勢は大切だと感じるインタビューでした。 次回は、もし身の回りに発達障害傾向のママがいた場合、どう対応するのが、自分のためにも相手のためにもベストなのか? お互いを尊重して生活していくための対応法についてうかがいます。 参考図書: 『発達障害の女性のための人づきあいの「困った!」を解消できる本』 (PHP研究所) 発達障害当事者である著者が、発達障害を持つ女性特有のコミュニケーションにおける苦労や悩み、問題の原因を解説し、周囲とうまくつきあっていくためのポイントを場面別に紹介。著者が医療や福祉、発達相談の現場などで相談を受けた中で、特に多かった日常の場面を取り上げ、うまくいかない原因と上手な伝え方や切り抜け方のポイントを掲載し、発達障害を持つ方の支援者や家族に知っておいてほしいことについて解説。 ※本記事は、発達障害と診断された方を前提とした記事であり、登場する例に当てはまる方がすべて発達障害とするものではありません。 取材・文/まちとこ出版社N
2019年06月22日先行き不透明なこの時代、子どもの将来に不安を感じる親が、わが子になるべくたくさんの教育をほどこそうとする風潮があります。 ですが、中には子どもが大きな負担を強いられているようなケースや、課題をさぼったり期待通りの成果を出さない時に、つい強く叱りすぎてしまったり、時には罰を与えてしまったり…。そんな話を聞くことも決して少なくはありません。 どこまでが教育で、どこからが虐待なのか? 何が親をそこまで駆り立ててしまうのか? 『追いつめる親』『習い事狂騒曲』の著者であり、教育ジャーナリストのおおたとしまささんにインタビュー。第3回は、おおたさんが考える「これからの時代に必要な力」についておうかがいします。 お話をうかがったのは… おおたとしまささん 教育ジャーナリスト。麻布中高卒業、東京外国語大学中退、上智大学卒業後、リクルートにて雑誌編集。独立後、多数の育児・教育関連媒体の編集・企画に関わる。学校や塾などの教育現場を丹念に取材し、斬新な切り口で考察する筆致に定評がある。しつけから中学受験、夫婦関係までをテーマに、講演・メディア出演も多数。中高教育の資格、カウンセラーの資格。小学校教育の経験もある。『ルポ塾歴社会』『名門校とは何か?』『受験と進学の新常識』『中学受験「必笑法」』など著書は50冊以上。 『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』 の改訂版が2019年7月に出版予定。 ■あれもこれもの器用さはいらない! たった1本のナイフを磨き鍛えること ――これからのグローバル時代を、子どもに「たくましく生き抜いてほしい」と願う親御さんは多いと思うのですが、どんな力が必要になるとお考えですか? おおたさん:私は、真のグローバル教育というのは、例えば、手元には1本のナイフしかないけど、これを使って森の中でどう生き延びるか? というようなことを考える訓練をつむことだと思っています。 よくグローバルな人になるためには、英語やらディベート力やらあれこれ必要だと言われますが、大切なのはどれだけ多くのツールを持っているかではなく、自分の中の個性的なナイフをどれだけ鍛えておくことができるかだと思います。 あれもこれもとツールを与えすぎることは、逆に子どもたちが本来持っているナイフをさびつかせてしまうことになりかねません。 ――たくさんの道具を与えるのではなく、本来子どもが持っている「1本のナイフ」を鍛えることが大事なのですね。 おおたさん:親が与えすぎると、子どもは自分で選ぶことも考えることもできなくなります。それでは、よく言われる「指示待ち人間」になってしまいますよね。「指示待ち人間」ではこれからの世の中生きていけないということは、もう親御さんはとっくにわかっているはずです。 ――確かに。…そのはずなのに、気が付けばつい与えすぎてしまう。いったいなぜ!? おおたさん:親自身が与えられる以外の生き方を知らないからでしょう。必要な武器を自分で考えて、自分で手に入れて、自分で磨くという経験がないから、不安で怖い。だから、子どもにあれもこれも与えようとしてしまうのです。 周囲に、「自分の道は自分が選ぶ」と言える大人がどれだけいるでしょうか? 大人たちが自分で自分の道を選んでいくことができていないから、無意識のうちに子どもたちにも自分の道を選ばせまいと仕向けてしまうのです。 ■ボーっとする時間…「余白」が子どもを育てる おおたさん:もちろん、子どもにたくさんの機会を与えてあげたい、いろいろな能力を伸ばしてあげたいという親の気持ちは間違っていませんし、よくわかります。 例えば、習い事をつめこんでしまうのも、どこにどんな才能があるかわからないから、いろいろなことをやらせて引き出してあげたいという気持ちからだと思います。 ですが、そもそも子どもというのは、ボーっとしている時間に一番育つのです。そういう時間を奪ってしまったら、育つものも育たなくなってしまいますよ。 ――ボーっとしている時間に育つものとは? おおたさん:子どもは暇な時間があれば、それをどう使おうか考えて、そこで自発性が芽生えます。 例えば、暇な時間があって、本を読んでも絵を描いてもつまらない。で、今度は庭に出て虫を取ってみたら、「あ!これ、すっごく楽しい!」と時間を忘れて取り組めたとします。 そうすると、自分が何を好きで、何をしている時が幸せで、何を欲しているのかを感じ、自分自身を知ることができます。それが、「人生の羅針盤」を作るのです。 幼児期は、その羅針盤に気づいて、それを使いこなす訓練をたくさんしなければならない。そのために必要なのが、ボーっとする時間なのです。 常に予定を埋められて、ボーっとする時間を奪われると、人生の羅針盤を使いこなせない人になってしまいます。主体性なく、なんとなく世間的に良いと言われる方向を向いて生きるしかなくなった状態で、いくら高学歴や仕事スキルを得ても何の意味があるのでしょうか? ――暇な時間に自ら考えて動いているうちに「人生の羅針盤」を築いていくのですね。 おおたさん:親が子どもにいろいろなことを与えるのは、例えるなら、スマホに使うのか使わないのかよくわからないようなアプリを、とにかく大量に入れるようなものです。 特に、今の親御さんは、正解がわからないといわれているこれからの時代に向けて、使えそうなアプリを全部入れておかなければという発想になって、インストールすることにばかり時間を費やしてしまっているように思います。 でも、本当にやらなければならないのは、スマホ自体の性能をあげることです。OS(基本ソフト)やCPU(中央演算処理装置)をアップデートして、将来、アプリをサクッとダウンロードできるような本体にしてくことが大事なわけです。 そもそもの優先順位が間違ってしまっているのです。 ■習い事は何のため? 結果を求めすぎて奪われる「3つの時間」 おおたさん:また、私は、習い事はスキルを身につけることが目的ではないと思っていて。習い事の目的は、「夢中」になって「達成」して「挫折」して「克服」する、この4つのサイクルを経験し人間的に成長することだと思っています。 ――具体的には、どういうことでしょうか? おおたさん:例えば、子どもが水泳に夢中になって、25メートルが泳げるようになったり、何か目標を達成したりするとします。でも、がんばればがんばるほど、思うようにタイムが伸びなかったり、必ずどこかで壁にぶちあたる時がきます。 そこで、子どもが「もう辞める」とくじける。でも、それでもがんばってみようと乗り越えた時に、ネガティブな部分を克服するというすばらしい経験をすることができるのです。こうした経験は、勉強やほかの体験にも応用が効きます。 ――なるほど…。でも、習い事にスキルの獲得を求めてしまっている親御さんも多いように感じます。 おおたさん:「ボーっとする子どもの時間を奪っていないこと」「子どもの基本的な成長に必要な時間を奪っていないこと」「家族の時間を奪っていないこと」、その3つの時間が確保できるうえなら、スキルを獲得するためでも良いと思いますよ。でも、少しでも空き時間があると「もったいないから」とつめこむのは大きな間違いです。 ――話はちょっと変わりますが、一時期、幼児教育ブームが起こり、本を数千冊読んだり高い飛び箱を飛んだりという園の教育がメディアで称賛されていましたが、おおたさんはどう思われましたか? おおたさん:サーカス団に入れれば、クマだって玉乗りするしライオンだって火の輪をくぐりますよね? それと同じで、子どもだって鍛えればできるようになるかもしれません。 でも、「それに何の意味があるのですか?」ってことなのですよ。本は数千冊読んだからすごいのでしょうか。1冊の本にこだわって何度も読み返すことだって大事ですよね。 実際、子どもは気に入った絵本を何度でも読みたがります。子どもには子どもの物差しがあるのに、大人が子どものことを知らないから、大人の価値観で「数千冊も読むのはすごいこと」と決めつけてしまう。 逆に、数千冊読むことで損ねていることもある。そういう視点も持ってほしいと思います。 ■「親は無力である」その自覚が子どもの励ましになることも おおたさん:子どもが育つうえで、親の影響力は絶大です。ですが、結局のところ、親は実は無力なのです。 親になると、子どものためにあれもこれもしてあげようという気持ちにかられます。でも、それがそのまま親の期待通りの成果をもたらすとは限りません。むしろそうならないことの方が圧倒的に多いですよね。 ――確かに。それに、子どもに期待通りの結果を望むのは親のエゴですよね…。 おおたさん:親ができることは、子どもを励まし見守ることだけ。「生まれてきてよかったね」「ひとりぼっちじゃないよ」と言ってもらえ、「あなたの人生はあなたしか歩めない」と認めてあげることだけなのです。 でも、無力であることは、決して悪いことではありません。たとえ、子どもと一緒にオロオロすることしかできなくても、それが子どもにとって生きる支えになるのです。むしろ、親が子どもにしてあげる、最高の励ましであることも多いのです。 同時に、親は子どもの人生を支えることだけに依存せず、自分の道を自分で選ぶような生き方を常に実践していかなければなりません。「自分の道を自分で選ぶ生き方」の手本を示すことができれば、それが親にできる最高の教育であると私は思っています。 親は自分の理想を子に押しつけるのではなく、ありのままの子どもを認めてあげればいい。そうすれば、子どもはまぶしいくらいに輝きはじめます。そして、不安な気持ちでいっぱいになりながら、子どもの背中を見守るしかないというのが子育ての本質であり、そのこと自体がこのうえなく幸せなことなのではないでしょうか。 生まれたばかりの頃は、ただ健康で元気に育ってくれればそれで良かった。なのに、いつから、親はわが子に「もっともっと」と求めてしまうようになるのでしょう? 「教育虐待」の話を聞いていて、いつの間にか子育ての原点に立ち帰らせられた、そんな取材でした。 まちとこ出版社N
2019年05月30日先行き不透明なこの時代、子どもの将来に不安を感じる親が、わが子になるべくたくさんの教育をほどこそうとする風潮があります。 ですが中には、子どもが大きな負担を強いられているようなケースや、課題をさぼったり期待通りの成果を出さない時に、つい強く叱りすぎてしまったり、時には罰を与えてしまったり…。そんな話を聞くことも決して少なくはありません。 どこまでが教育で、どこからが虐待なのか? 何が親をそこまで駆り立ててしまうのか? 『追いつめる親』『習い事狂騒曲』の著者であり、教育ジャーナリストのおおたとしまささんにインタビュー。第2回は、「教育」と「虐待」の境目についておうかがいします。 お話をうかがったのは… おおたとしまささん 教育ジャーナリスト。麻布中高卒業、東京外国語大学中退、上智大学卒業後、リクルートにて雑誌編集。独立後、多数の育児・教育関連媒体の編集・企画に関わる。学校や塾などの教育現場を丹念に取材し、斬新な切り口で考察する筆致に定評がある。しつけから中学受験、夫婦関係までをテーマに、講演・メディア出演も多数。中高教育の資格、カウンセラーの資格。小学校教育の経験もある。『ルポ塾歴社会』『名門校とは何か?』『受験と進学の新常識』『中学受験「必笑法」』など著書は50冊以上。 『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』 の改訂版が2019年7月に出版予定。 ■教育と虐待、その境い目の見極め方法 ――明確な線引きは難しいと思うのですが、「教育的指導」と「虐待」の境目をきちんと知っておきたいです。 おおたとしまささん(以下、おおたさん):概念的な線引きとしては、「子どもの人権を尊重しているか」というところです。子どもを親の所有物ではなく、自分と同じひとりの人間だと思うことができているかどうか、それが「教育的指導」と「虐待」の境目だと思います。 ――具体的な目安はありますか? おおたさん:例えば、1日5時間勉強させても全然平気な子もいるのですが、普通の子にさせたら大抵はつぶれてしまいます。それと同じで、負荷はその子にとっての相対的なものである、ということがまず大前提です。 そして、その相対的な負荷が子どもの受忍限度を超えていることに気づくには、なんらかの負荷(勉強や習い事など)をかけた後の子どもの表情を見ればわかると思います。 例えば、勉強が終わった後、「つらかったけどやっと終わったぜー!」というふうに晴ればれとした明るい表情になっているのか。それとも宿題が終わった後も「また明日もあるのか…」というふうに全然表情が輝かないのか。 それが、ひとつの判断材料になると思います。負荷が終わった後にショボンとしているようでしたら、それは明らかに「これ以上やったらマズイ」というサインです。 ■「どうしてできないの?」「約束したでしょう?」2つの言葉が子どもを追いつめる ――教育熱心すぎる親がやってしまいがちなNG対応はありますか? おおたさん:2つのパターンがあります。1つは、「どうしてできないの?」という言い方。そう言われても、わからないものはわからないのだからどうしようもないですよね。 追いつめられれば追いつめられるほど、子どもの頭は真っ白になってしまいますし、「こんな問題ができないあなたはバカ」という含意が子どもを直撃します。 ――確かに…。ですが、親がつい言ってしまいがちな言葉です…。 おおたさん:もう1つは「約束」です。 例えば、テストで悪い点を取ると、教育熱心な親御さんは「どうしてこうなったのか?」「これからどうするか?」と冷静に原因と対策について話します。そして、「じゃあ具体的にどうするんだ?」と問いつめます。 ヘビににらまれたカエル状態の子どもは、「これからはゲームの時間を減らして毎日勉強する」などと言わざるを得ません。ほとんど誘導尋問なのですが、こうして子どもは約束させられるわけです。 でも、約束した時は本気でも、人間はそんなに強くありませんし、ましてや子どもです。ですが、約束が破られた時、「やるって約束したのに! 約束を破ったのか!」と親は理論武装して責め、子どもは言い逃れができず、追いつめられてしまうのです。 ――身に覚えがあるような…(苦笑)。 おおたさん:実は、むやみに怒鳴ったりたたいたりする親御さんは少数で。最近の多くの親御さんは、こうして子どもを叱るに十分な理由をみつけてから、その正論を振りかざして、子どもを追いつめるのです。 でも、たとえ、そこに正論があったとしても、相手を傷つけすぎて良いわけがないのです。親がやるべきことは、どうしたら子どもが悪かったと理解してくれるのか、次から改善してくれるのかを考えること。 なのに、目的が自分のネガティブな感情を全部吐き出して、子どもにぶつけることに変わってしまっているのです。 ■体罰は愛ではない! 指導者としての未熟さが原因 ――「時には、ビシッと親の力を見せつけてやらないとなめられる」という厳しい親の意見も耳にしますが、どう思われますか? おおたさん:家庭において、親は絶対的な強者で子どもは弱者です。親という圧倒的に強い立場を利用して、逃げ場がない子どもを追い込むのは、穴に落ちた犬に石を投げるような卑怯(ひきょう)なことだと思いますけどね。 以前、北海道で、親がしつけと称して山中に7歳の子どもを置き去りにした事件(※)がありましたよね? 当時も「親の行為はしつけか、虐待か?」と話題になりましたが、山中に幼い子どもを置いていくなどということがしつけのわけがない。 あれは命に関わるような暴力的な行為で、たとえどんな理由があっても絶対にやってはいけないのです。 ――当時、「似たようなことをやってしまったことがある」という親御さんも少なくなかったですよね。 おおたさん:中には、しつけと称して、愛があればたたいていいと体罰を容認する人もいますが、私は、体罰を生むのは愛ではなく、指導者としての未熟さだと思っています。言葉や態度による罵倒も同じです。 スパルタ的な指導で子どもが伸びるという人もいますが、罰による成長は一時的なものであり、本質的な成長にはなりません。人は変えられる(外的動機づけ)のではなく、自ら変わる(内的動機づけ)のですから。 ■子どもの言動にイラッ「どうしても怒りが抑えられない時は?」 ――でも、親も未熟で、怒りの感情が抑えられない時もあります。そんな時はどうしたらよいのでしょう? おおたさん:ひとつ提案があります。子どもの言動にイラッとしてしまった時は、「今、自分は溺れかけているんだ」と考えてみてください。溺れている時、あなたはまず何をしますか? まず、口を閉じますよね? 次に、ジタバタするのをやめますよね? そうやって溺れた時と同じようにふるまったうえで、自分の感じていることをただ言葉にするのではなく、どうやったら子どもが前向きな気持ちで、自らの行動を改めようと思えるようになるか、翻訳するひと手間を考えましょう。 いい翻訳が思いつかない時は、そのまま口を閉じていることが最善の策であることも少なくありません。 ――すでにやってしまった(手を出してしまったり暴言を吐いてしまったり)場合、親はどうやってリカバリーしたらいいのでしょう? おおたさん:間違いに気づいた瞬間から、親子関係をどうつくっていくのか、どんな親になりたいのか、それを考えればいいと思います。 大切なことは、起きてしまったことを否定するのではなく、それを糧にするにはどうしたらいいかを考えること。望ましくないことが生じてしまった時、それを今後の糧にすることができるかどうかが、その人の強さだと思います。 親も強くならなければいけないし、子どもにもその強さを学んでもらわなければならない。親も子どもも成長しています。親子関係も修復可能です。取り返しがつかないなんてことはないのですから。 友人や仕事関係の相手にはきちんと配慮できるのに、わが子となると遠慮なく追いつめてしまう。子どもなら許されると思ってしまう。 そこには、どんなに傷つけても結局、子どもは親以外には頼れない、という親のおごりや甘えがあるのかもしれません。 でも、おおたさんが言うように、「たとえ、正論だとして相手を傷つけすぎて良いわけがない」のです。怒りが抑えられない時は、せめて「口を閉じる」こと。心に留めておきたいと思いました。 次回は、おおたさんが考える「これからの時代に必要な力」についてうかがいます。 ※2016年、北海道の山中で、親が子どもをしつけのために車から降ろし、置き去りにした事件。7日後、子どもは無事発見された。 取材・文/まちとこ出版社N
2019年05月29日先行き不透明なこの時代、子どもの将来に不安を感じる親が、わが子になるべくたくさんの教育をほどこそうとする風潮があります。著者の周囲でも、幼児期から塾に通ったり、毎日が習い事で埋まっているという話はざらです。 もちろん、子どもが楽しんでいるなら良いのですが、中には、大きな負担を強いられているようなケースも見受けられます。 さらに、子どもが宿題や習い事の練習をさぼったり、成績がふるわなかった時、つい強く叱りすぎてしまったり、時には罰を与えてしまったり…。そんな話を聞くことも、決して少なくはありません。 そんな時に知ったのが、「教育虐待」という言葉でした。教育虐待とは、「子どもの受忍限度を超えて勉強させること」、「親の所得格差が子どもの学習権に大きく影響する」状態も教育虐待とされています。 もし、上記の話に少しでも引っかかる方がいたら、一度立ち止まって考えてほしい。そんな思いで、『追いつめる親』『習い事狂騒曲』の著者であり、教育ジャーナリストのおおたとしまささんにお話をうかがってきました。 著書には、驚くような悲惨な教育虐待のケースも紹介されていますが、それは決してひとごとではありません。本書を読んでいくと、この問題が親個人の問題ではないこと、そして程度の差こそあれ、親であれば誰もが陥る危険性があることがよくわかります。 どこまでが教育で、どこからが虐待なのか? 何が親をそこまで駆り立ててしまうのでしょうか? お話をうかがったのは… おおたとしまささん 教育ジャーナリスト。麻布中高卒業、東京外国語大学中退、上智大学卒業後、リクルートにて雑誌編集。独立後、多数の育児・教育関連媒体の編集・企画に関わる。学校や塾などの教育現場を丹念に取材し、斬新な切り口で考察する筆致に定評がある。しつけから中学受験、夫婦関係までをテーマに、講演・メディア出演も多数。中高教育の資格、カウンセラーの資格。小学校教育の経験もある。『ルポ塾歴社会』『名門校とは何か?』『受験と進学の新常識』『中学受験「必笑法」』など著書は50冊以上。 『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』 の改訂版が2019年7月に出版予定。 ■「子どもをスーパーマンに」求め過ぎる親たち おおたとしまささん(以下、おおたさん):教育熱心な親が子どもを追い詰めてしまうのは、今にはじまったことではありません。教育虐待という言葉ができる前の1970年代から、教育虐待に関する事件は起きています。ただ、昨今の教育虐待の状況は、以前とは少し変わってきたところがあると感じています。 ――どこらへんが変わってきているのでしょうか? おおたさん:高度経済成長期はテストで良い点がとれる子を育て、「高学歴」というパッケージ商品さえ手にすれば、それで親は満足でした。いい大学にさえ入れば、そこから先の将来は良い会社に入って終身雇用というレールができていたからです。 ですが昨今、高学歴はもう役に立たないと言われるようになりました。とはいえ、学歴が要らなくなったというわけではなく、高学歴があることはもう大前提。 それプラス、スポーツも音楽もといった、ほかのオプションもできなくてはいけないという、まるでスーパーマンのような人間を育てなければならないという、ある種の暴走が社会にはびこっているように感じます。 それを真に受けてしまった親御さんが、幼児期からいろいろな習い事をさせたり、何かの役に立ちそうなスキルを身に着けさせたりと、躍起になっている傾向があります。 ――求められるハードルがどんどん上がっているのですね。 おおたさん:子どもの特技や強みを伸ばすための習い事ならまだ良いのですが、例えば、英語やプログラミングの場合は、将来の職業スキルとして、幼児期からやらせているわけですよね? 「このスキルを身につけておかないと、将来仕事に就けない」というふうに。そういう面が目立ってきているように感じます。 ■「教育」とは何? 「人材育成」との混同が引き起こす虐待 ――子どもの将来に対する、親の不安が押しつけられてしまっているのでしょうか? おおたさん:現在の教育虐待の構造の前提として、教育そのものがビジネスの原理に汚染されている、というところがあります。 そもそも、教育とビジネスというのは、全く違う力学として働くものですが、経済至上主義的な現在の価値観で、教育がビジネス的な論理に当てはめて語られるようになってしまったのです。 ――具体的に、どういうことなのでしょう? おおたさん:「教育」と「人材育成」がごっちゃになっているのですよ。そもそも教育とは、子どもの持つ能力を、その子らしく最大化して自己実現し、かつ、余った力を社会に還元してより良い社会を作ること。つまり、「教育はまずその子ありき」なのです。 一方で、人材育成というのは、なんらかの目的に合致した人を育てることです。例えば、「わが社にはプログラムができる人材が必要」というふうに。つまり、「人材は目的ありき」なのです。 本来「教育」とは、「どうしたらこの子が輝けるよう育つのだろう?」と、その子を見て考えるべきものなのに、その子を見ずに「これからの時代はこんな人材が求められているから、そういう人材にするためにどうしたらいいのか?」と、型にはめていく発想になってしまっているわけです。 ■子どもだけではない「追いつめられる親」 ――時代に求められる「型」に、親が子どもをはめようと躍起になってしまう。その焦りや不安が教育虐待の引き金になっていくのですね? おおたさん:それ以外にも、親が脅迫概念にかられる背景がもうひとつあります。それは、「子どものできは親次第」という社会的通念があることです。 例えば、東大に子どもを合格させた親がメディアでチヤホヤされるなど。子育てにおける成功事例は、その子、その親、その関係性があったうえで、その場限りのものでしかないのに、たまたまうまくいった例をあたかも親の手柄のようにいう風潮がおかしいのです。 逆に、子どもがひきこもりやニートになってしまった親が「自分の子育てが間違っていたのではないか?」と自分を責めてしまったり、周囲から非難されたり…。 本来、親の関わり方と子どもの人生の在り方とは、直線的因果律(結果が生じるには、ある特定された原因が存在するという考え方)で結びつけることはできないのですが。これは、マスメディアの責任も大きいと思います。 ――確かに、核家族で子育てしていると、子どもの責任が全部親の肩にかかってくるような、そんなプレッシャーは感じます。 おおたさん:現代の子育てでは親の責任が大きすぎて、親の方に力が入りすぎているのかもしれません。親こそが、すでに追い詰められているのかもしれません。だとすれば、教育虐待は単なる親の人格的な問題として片づけることはできないのです。 「教育」と「人材育成」は似て非なるもの。「本来の意味での教育が、虐待に直結することはありえず、教育虐待のように見えるものの本質は、『人材育成虐待』なのではないか?」とおおさたんは言います。 自分が子どもにしているのは、本当に教育なのか? それとも、人材育成なのか? 非常に考えさせられるお話でした。 次回 は、「教育」と「虐待」の境い目についておうかがいします。 取材・文/まちとこ出版社N
2019年05月28日認知度が上がり、世間の理解が深まりつつある、発達障害。ですが、まだまだネガティブな受け取り方をされることが多く、発達障害の子を持つ親として、ちょっとだけ残念な思いを抱いていました。 そんなモヤモヤを解決してくれたのが、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授である本田秀夫先生の著書 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 でした。 第2回のインタビューでは、本田先生が考える「療育の本当の意味とは?」についておうかがいします。 お話をうかがったのは… 本田秀夫(ほんだ・ひでお)先生 信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授 特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事 精神科医師。医学博士。1988年、東京大学医学部医学科を卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院を経て、横浜市総合リハビリテーションセンターで20年にわたり発達障害の臨床と研究に従事。発達障害に関する学術論文多数。英国で発行されている自閉症の学術専門誌『Autism』の編集委員。2011年、山梨県立こころの発達総合支援センターの初代所長に就任。2014年より現職。日本自閉症協会理事、日本自閉症スペクトラム学会常任理事、日本児童青年精神医学会代議員。 ■発達障害「早期発見・早期療育は子どもではなく親のため?」 ―― 前回 、親が早期に子どもの特性を知っておくことの重要性を教えてもらいましたが、早期発見は早期療育の効果へとつながるのでしょうか? よく、療育を始めるのは早ければ早いほど良いなどと言われますが…。 本田秀夫先生(以下、本田先生):僕は、絶対そういうことは言わないようにしています。 ――なんと…(驚)。そういったお話も聞いたことがありますが、臨床の現場で約30年、幼児期から成人期まで一貫して診てきた先生がそうおっしゃるのは、また違った重みを感じます。 本田先生:そもそも早期に発見される子の方が、大人になった時の障害は重いのですよ。なぜなら、症状が重い子の方が早く発見されるから。症状が軽くて、知的障害がない発達障害の場合は、就学時健診でもわからないことも多いのです。 ですから、早く発見された人ほど良くなるというのは正確ではありません。 ――確かに…。 本田先生:でも、僕は早期発見・早期療育を推進しています。理由はただ一つ、親御さんの認識を変え、親御さんが学ぶチャンスが早くなる、ということです。 実は僕、子どもを療育しているフリをして、親の認識を変えることこそが療育だと思っていますから。つまり、子どもをどうこう療育するというより、親がコペルニクス的に認識を変えられるかどうかが非常に大事なのです。 ――深いお話…。 本田先生:早期に親御さんがわが子の特性を知れば、対処法を学ぶこともできます。例えば、たびたびパニックを起こすようなお子さんだと、親御さんは疲弊してしまいますよね。でも、これを防ぐのは意外と簡単で、パニックを起こしたくなるような刺激を与えなければいいのです。 例えば、子どもが好きなことをやっている最中に止めさせようとするとパニックを起こすということがわかれば、大好きなことはある程度切りのよいところまでやらせて次の活動に切り替えさせればよいわけです。 ほかの子が近づくとたたいてしまう場合は、ほかの子が近くにきたら、その間に親御さんがスッと割って入って、その子の手が届かないようにすればいい。 知っていれば未然に防げるけれど、知らないと結局、親子ともども嫌な思いを重ねることになってしまいます。 ■「療育でグレーは白にならない」子どもファーストの環境を ――親への効果はよくわかりましたが、子どもにとっては本当に効果がないのでしょうか? 本田先生:私たちの療育では、基本的に子どもファーストで考えてプログラムを組みます。 例えば、一般の子育てなら、2歳の子どもに箸を使う練習はさせませんよね? 2歳くらいならスプーンを使ったり、大人がフォローしてあげればいいわけです。 それが、成長につれて箸を使うようになったり、だんだん変わっていくのですが、そのペースが発達障害の子たちはほかの子と違います。ですから、今何を教えたらその子に身につくのかということを、一人ひとり厳密に考えていきます。 そうして子どもに合った環境やプログラムを整えてあげれば、情緒的に安定して、活動に意欲的に取り組め、子どもも伸びると思いますよ。 ――ということは…? と、親はつい期待してしまいますが。 本田先生:ただし、ここで一つ注意が必要です。親御さんは「療育で子どもが良くなった! このままいけば治るのでは…?」と思ってしまいがちですが、子どもが良い状態にあるのは、こちら側が相当に配慮した環境だからであり、環境が変われば元の木阿弥です。 前回も言いましたが、「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」ですから。特性そのものは消えません。ですから、そこまで伝えるために、僕たちの療育では親御さんにも時々参加してもらって、どういう状態だったら子どもが落ち着いた良い状態になるのかを学んでもらうようにしています。 ■発達障害「どのような大人になるかは、親の育て方次第」 ――いかに子どもを取り巻く環境が大事か、ということなのですね。 本田先生:そうです。発達障害というのは、もともともの原因は育て方のせいでなるわけではないのですが、「どのような大人になるのかは、育て方次第」と僕は思っています。 例えば、背が低いことで悩んでいる人がいるとして、「別にいいじゃん」と言ってもらえるのと、「このままじゃヤバいよ! 早くなんとかしないと!」と言われるのでは、本人の受け取る印象はずいぶん変わってきますよね。 それと同じで、親御さんがなんとか子どもの苦手を克服させたい、平均にそろえたいと思えば思うほど、克服できない部分が残った時に、子どもは親の期待に応えられない自分を責めてしまうのです。 否定的な雰囲気の中で育つと、自己肯定感も低くなりますし、さらに責めたてられるような雰囲気の中で育つと、抑うつ的になってしまったり、逆に、自己防衛する意味で攻撃的な性格になってしまう危険性があります。 ――確かに…。でも、親は、わが子に対して「こう育ってほしい」という理想を持ってしまうものなのかもしれません。良かれと思って、つい…(苦笑)。 本田先生:申し訳ないけれど、いかに親の価値観や考え方をリセットできるかが大事なのです。難しいかもしれませんが、先に理念を変えるというより、実践しながらの方が価値観は変わりやすいと思いますよ。 どんな時に子どもが情緒的に不安定になって、どんな時に落ち着いているのか、その両方の状況の違いがわかれば、だんだんと親御さんのとらわれが溶けていくと思います。 そのプロセスをなるべく幼児期のうちに通過しておくと、学校に入ってからが楽になると思います。 ――学童期になると、別の難しさが発生するのでしょうか? 本田先生:学校に入ると、親御さんだけではなく先生の中にも「学校ではこういう子どもを育てるべき」という考えを持つ人がいるので、子どもは、家でも学校でも問題児というレッテルを貼られてしまう危険性があります。 子どもがトラブルを起こして、先生に怒られて、親御さんも学校から「家庭のしつけが悪い」などと責められて心が病んでしまったり…。そうなってからですと、非常に対応が難しくなります。 ――確かに…。自由な幼児期と違って、学校では勉強が始まるので、クラスの雰囲気を乱すような子に対して、先生だけはなく保護者の目も厳しくなるように感じます。 本田先生:実際のところ、文部科学省の発表では、通常学級の生徒の中になんらかの発達障害を持つ子が6.5%いるということですからね。クラスに必ず数名はいるということになります。 早いうちに子どもの特性を理解して、周囲にきちんと説明できるような親御さんが増えて、そういう子がいるのがむしろ当たり前、という雰囲気になってきたらよいですよね。そして、学校もそういう子がいるという前提で、活動内容を組み立てるのが、当たり前になってほしいと思います。 社会集団には、個性の凸凹がある程度存在します。「よくある個性」と認める範囲が広い集団では、「少数派」の人がそれほど目立たなくなります。 発達障害の人も、その他のさまざまな個性がある人も、それぞれが自分のことをよく理解し、それが自分の普通だと思って生きていけるような社会が、本来あるべき社会の姿だと、僕は思っています。今回のお話や本を通して、いろいろな普通があることを、多くの人に理解してもらえればと思います。 もし、わが子の発達に不安を感じている方や、すでに子どもが発達障害と診断され悩んでいる方がいたら、ぜひ一度、本田先生の著書を手に取ってほしいと思います。 本を読む前と読んだ後では、きっと発達障害への印象がガラリと変わることでしょう。もちろん、そんな気持ちの部分だけではなく、「発達障害とはどんな障害か」ということもわかりやすく解説し、具体的な環境設定や支援方法まで紹介してあり、発達障害への理解と対応力が一段と深まることと思います。 「どのような大人になるかは育て方次第」――その言葉に改めて、発達障害児の子育てにおける、親の役割の重要さを感じた取材でした。 参考図書: 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 (SBクリエイティブ) 精神科医として30年以上、臨床経験の大半を発達障害の診療に費やし、乳幼児から成人まで、さまざまなライフステージの方たちによりそってきた、本田秀夫医師による著書。発達障害とは、なんらかの機能や能力が劣っているのではなく、「病気」というよりも、「選好性の偏り」と考えるほうが、ずっと当事者の理解に役立つ。そんな視点から発達障害を理解し、発達障害の人の行動や心理、支援の方法までをわかりやすく解説。 まちとこ出版社N
2019年04月02日認知度が上がり、世間の理解が深まりつつある、発達障害。ですが、まだまだネガティブな受け取り方をされることが多いように思えます。 例えば、園や学校の先生から子どもの発達相談を勧められると、「失礼だ」と怒る保護者がいたり、クラスで浮いた子がいると「あの子、発達障害なんじゃない?」などと保護者が陰口のように使ったり。 発達障害の子を持つ親として(著者は2人きょうだいの下の子が自閉症スペクトラム障害)、認知が広まったのは喜ばしいことですが、ちょっとだけ残念な思いを抱いていました。どう伝えたら、こうした考えを変えられるのだろう?と。 それを解決してくれたのが、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授である本田秀夫先生の著書 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 でした。それによると、「発達障害は何かができない「障害者」というよりも、独特のスタイルをもつ「少数派の種族」であり、その間にあるのは「多数派」か「少数派」という「割合の差」である」とのこと。 その解説が非常に腑に落ちて、以来、息子の子育ての指針にしています。もし、同じように子どもの発達に不安を抱えていたり、悩んでいるお母さんがいたら、ぜひこういった考えを知ってほしい――そんな思いで取材を申し込みました。 お話をうかがったのは… 本田秀夫(ほんだ・ひでお)先生 信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授 特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事 精神科医師。医学博士。1988年、東京大学医学部医学科を卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院を経て、横浜市総合リハビリテーションセンターで20年にわたり発達障害の臨床と研究に従事。発達障害に関する学術論文多数。英国で発行されている自閉症の学術専門誌『Autism』の編集委員。2011年、山梨県立こころの発達総合支援センターの初代所長に就任。2014年より現職。日本自閉症協会理事、日本自閉症スペクトラム学会常任理事、日本児童青年精神医学会代議員。 ■「純粋な発達障害」とは? 誤解を生む理由は「二次障害」 ――発達障害はずいぶん世間に認知されるようになりましたが、まだまだネガティブな受け取り方をされることも多いように思えます。そんな中で、先生の本の「発達障害は障害というより『少数派の種族』」というお話は非常に腑に落ちました。 本田秀夫先生(以下、本田先生):発達障害は障害というより、「少数派の種族」と考えると理解しやすいと思います。その両者には優劣の差はなく、その間にあるのは「多数」か「少数」か、という割合の差だけなのです。 でも、割合の差があるからこそ、発達の特性は「少数派」の「選好性(※)」となり、「多数派」の人の理解を得ることが難しくなり、それが生きづらさにもつながってしまうのですよね。 ――単なる「少数派」であり、なんらかの機能や能力が劣っているというわけではないのですね。 本田先生:いきなり関係ないような話をしますが、僕は「X-メン」という映画が大好きでして。あのお話では、普通の家族の中に、時々、遺伝子変異を起こしたミュータントが出現するのです。 「ハリー・ポッター」もそうですが、映画の世界では、主人公が何か特殊な能力を持ってしまうというお話がたくさんありますよね。そこに共通してあるのは、彼らのような特殊能力をもった人たちは、一般の人間から見ると得体が知れず、脅威に思えるということです。 ――確かに。わからないものに対して、怖いという感覚はわかるような気がします。 本田先生:発達障害も似たところがあって、自分たちが慣れ親しんでいる文化や流儀とは違うものを異端視している人たちから見ると、彼らの存在そのものが脅威なのです。もしくは、その脅威を打ち消すために、強烈な差別意識でかぶせているのです。 例えば、「ああいう子にだけはなってほしくない」という思いもそう。そういう価値観を持っている人たちが一部いるのも事実です。 また、実は純粋な発達障害の人というのは、あまり表には出てこなくて、僕のような専門家と本人や家族しか知らないのですよ。そこが、発達障害が誤解される一番のポイントかもしれませんね。 ――どういう意味でしょうか? 本田先生:メディアに出演してカミングアウトしている方の多くは、どこかで傷ついた人たちなので、すでに二次障害をともなっているからです。 例えば、会社でよく「困った人」と言われる発達障害の人たちは、だいたいみんなと協調できないことが多いのですが、実は、僕が幼児期からずっと診ている発達障害の人たちのほとんどが、まじめで素直な良い人たちなのです。 つまり今、会社で「困った人」と言われる発達障害の人たちの多くは、適切な環境で育てられなかったために、すでに二次障害をともなっていて、それをメディアで発達障害と紹介してしまっているわけです。 ――なるほど…。 本田先生:二次障害をともなわない、純粋な発達障害の特性だけが残っている人というのは、比較的順調に生活しているので、メディアに出演して主張するモチベーションもないのです。ですから、一般の人たちはあまり知る機会がないと思いますよ。 今、残念ながら発達障害というと、二次障害をともない複雑になってしまった人たちばかりがクローズアップされているので、このような形で啓発するだけでは、あまり溝が埋まらないのでは? という思いはありますね。 ■発達障害「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」 ――では、発達障害の特性そのものだけであれば、もう少し順調に生きられると? 本田先生:もちろん、純粋な発達障害の人も、「多数派」向けに作られた社会で生きていこうとしたら多少は苦労しますよ。はじめにお話したように、「多数派」と「少数派」という割合の差があるからこそ、発達の特性である「少数派」の「選好性」は、「多数派」の理解を得ることが難しくなるので。 また、知的障害や学習障害などがある場合は、能力の凸凹問題は残りますので、自信がないと感じることもありますし、一般の会社勤めが難しくて、就労支援に通っている方も大勢いらっしゃいます。 ですが、そうやって生活しながら、その人なりに楽しく暮らしている方も大勢いるわけです。 ――自分に合った生き方や環境が選べれば良いのですね。 本田先生:発達障害の特性が、致命的な弱点になるのは、その特性を本人やまわりの人が理解できず、無理を重ねて失敗や衝突を繰り返し、本人の自尊心やまわりの人との人間関係などが傷ついてしまった時です。 ですから、発達障害の人は、いかに自分の特性を認めてもらえるような生き方や苦労しなくてすむ環境を選べるかが重要なのです。 ――その生き方や環境を選べるようになるために、必要なことは何でしょう? 本田先生:自分の特性を知ることがすごく大事になってきます。苦手なことは克服しようとせず、堂々と逃げた方がいいですよ。 苦手なことを努力で克服することを強いられて育つと、「ここまで努力してでもできない自分は人としておかしいのではないか?」という価値観を身につけて、二次障害になりやすいので。 いかにラクして人生を送るか、ということだけを考えて生き続けることが結局、一番成功するのですよ。 ――そうなると、子どもの場合は、早期に親が特性を知っておくことが大事になりますね。 本田先生:非常に大事だと思います。ただ、よく「早期に発見して療育を受ければグレーが白になる(発達障害が治る)」と思っている親御さんもいるのですが、グレーというのは絶対に白にはなりません。 それを広めるために僕、川柳を作ったのですよ、「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」と。 ――特性は一生消えないのですね? 本田先生:グレーならグレーな大人になればいいのです。白にならないで生きていく方法を探せばよいのです。 中には、診断を下されるのを恐れる親御さんもいますが、これも受け取り方次第ではないでしょうか? 例えば、遠くの字が見えない人に「あなたは近視です」と診断したとしても、「まぁそうだよね」って思うだけですよね。 要するに、近視の人は、別に医者に診断されなくても、遠くの字が読めないことはわかっているわけです。そこに診断名がついたからといって、その日から何かが変わるわけではありません。 ■発達障害「〇〇が苦手」ではなく「〇〇より△△を優先」ととらえる意識 ――私自身も昔、子どもが診断を受けた時は重みを感じました。スッキリしたと同時に「覚悟を決めねば」という思いが交錯して(苦笑)。 本田先生:医者の伝え方も大事かもしれませんね。 例えば、「自閉スペクトラム症です」と伝えるより、「この子には『空気を読むのが苦手』とか『こだわりやすい』という特徴があって、こういう特徴が大人になっても残ります」というふうに説明すると、納得してくれる親御さんが多いです。 僕も、親御さんによって伝え方を工夫しています。…でも、診断名を過剰に恐れるのは、発達障害を何か悪い病気だと誤解しているのかもしれませんね。 ――その通りですね。私自身、発達障害のことをきちんと知る前は、何かが欠陥した障害のように誤解していました。だからこそ、もし同じように悩んでいるお母さんがいたら、先生のようなお考えを広く伝えていきたいです。 本田先生:はじめにお話したように、発達障害は障害というより、「少数派の種族」のようなものですから。発達障害の人は自分の「選好性」をきちんと理解し、身近な人にも理解してもらい、「多数派」向けに組み立てられている生活を「少数派」向けに調整すれば、きっと生きづらさは軽減するはずです。 親御さんにはぜひ、この「選好性」という視点から、お子さんの特性をとらえてみていただきたいと思っています。発達障害の特性を「~が苦手」というように、なんらかの機能の欠損としてとらえるのではなく、「~よりも~を優先する」というふうに考えてみてください。 例えば、「雑談が苦手」というとらえ方を「雑談よりも内容重視の会話をしたがる」というふうに。その方が、より発達の特性を適切に理解できると思います。 「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」――。 特性が薄いほど、親は障害に気づかず、とかく「白」に近づけようと努力を強いてしまいがちですが、それは、むしろ逆効果。グレーのまま生きやすい環境調整をすることこそが親の重要な役目なのだと、教えていただきました。 次回 は、本田先生が考える「療育の本当の意味」についておうかがいします。 ※ここでいう「選好性」とは、好き嫌いの「嗜好性」ではなく、心が特定の方向に向かうという「志向性」のこと。 参考図書: 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 (SBクリエイティブ) 精神科医として30年以上、臨床経験の大半を発達障害の診療に費やし、乳幼児から成人まで、さまざまなライフステージの方たちによりそってきた、本田秀夫医師による著書。発達障害とは、なんらかの機能や能力が劣っているのではなく、「病気」というよりも、「選好性の偏り」と考えるほうが、ずっと当事者の理解に役立つ。そんな視点から発達障害を理解し、発達障害の人の行動や心理、支援の方法までをわかりやすく解説。 まちとこ出版社N
2019年04月01日『発達障害の人の「片づけスキル」を伸ばす本』 の著者・村上由美さんは、実はASD(自閉症スペクトラム障害)を持つ発達障害当事者。発達障害の特性としてよくあげられるように、以前は、本当に片づけが苦手だったそうです。 本書では、そんな発達障害当事者ならではの工夫によって編み出された片づけのコツがつまっています。第3回インタビューでは、「片づけが苦手な夫や子どもへの対処法」についてうかがっていきます。 お話をうかがったのは… 村上由美(むらかみ・ゆみ)さん 言語聴覚士。上智大学文学部心理学科、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院(現・国立障害者リハビリテーションセンター学院)聴能言語専門職員養成課卒業。重症心身障害児施設や自治体などで発達障害児、肢体不自由児の言語聴覚療法や発達相談業務に従事。著書に『アスペルガーの館』(講談社)、『声と話し方のトレーニング』(平凡社新書)、『ことばの発達が気になる子どもの相談室』(明石書店)、『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本』(翔泳社)などがある。 ■「片づけなさい!」子どもに通じないのは、どうして? ――今までは、自分の片づけについてでしたが、今回は「片づけが苦手な家族(夫や子ども)についての対処法」をうかがいます。人の片づけに口をはさむのは、非常に難しいことだと思うのですが、まず何から手をつけたら良いのでしょうか…? 村上由美さん(今、村上さん):まず、片づけが苦手な夫や子どもが、片づけのどのステップでつまずいているのかを見極めることが大切です。 例えば、モノを大量に買ってきて貯め込んでしまうタイプなのか、捨てられないタイプなのか、使ったモノを戻さないタイプなのか…などですね。 ――子どもの場合は「使ったモノを戻さない」タイプなんかが多そうです。 村上さん:子どもの片づけには、まずは、親が環境設定してあげる必要があります。具体的な方法としては、引き出しや棚に何が入っているか、一目でわかるような写真や絵のラベルを貼ったり、所有者がはっきりするように、きょうだい別にマークや色で分けたりですね。 ちなみに、片づいている状態を写真に撮り、子どもに「これと同じにしてね」と伝えるようにしたら片づけられるようになった、という方もいましたよ。 ――確かに、「これと同じにしてね」と写真で教えてあげれば一目瞭然ですね。 村上さん:しまう「場所」のサイズにも工夫しましょう。子どもが小さいうちは、おもちゃのサイズも大きいので、何でも大きい箱に片づけがちですが、成長にともなって小さなおもちゃが増えてからも大きな箱にまとめてしまっていたら、モノが埋もれて探せなくなってしまいますよね。 子どもが使っているモノのサイズによって、大きいモノは大きい箱に、小さいモノは小さい箱にしまえるよう、親が見極めて「場所」を設定してあげることが大事です。 ――子どもの使っているモノに合わせて、随時、しまう「場所」の見直しすることが大事なのですね。 村上さん:今までと同様で、子どもの片づけのコツもやはり、最初に「場所」を決めることです。子どもの生活パターンを観察していると、だいたいどこで何をしているかがわかってくると思います。 例えば、おやつを食べる場所はこのあたり、おもちゃで遊ぶ場所はあのあたり、勉強するのはこのあたり…というふうに。それがわかったら、遊んでいる場所のすぐそばにおもちゃを入れる箱を置いたり、勉強をする場所のすぐそばに文房具など勉強道具をしまうトレーを置いたり、モノをしまいやすいように「場所」を決めます。 そして、 連載第1回 でもご紹介したように、「場所」が決まったら、次に「量」、そして「入れ方」の順で決めるのです。 ――「使う場所のすぐそばに」というのがポイントなのですね? 村上さん:そうです。なぜなら、子どもは使い終わった瞬間、モノが意識の中から消えてしまうから(笑)。なので、子どもが作業していて、「〇〇がない」と言ったら、まずは近くにある箱やトレーなどの中を探させる習慣をつけましょう。 そうすると、だんだんそこに自分の必要なモノが入っていることがわかってきて、使い終わったら元に戻すようになると思います。 ――「使い終わった瞬間、モノが意識から消える」は、まさにあるあるですね(笑)。 村上さん:伝え方にもポイントがあります。子どもに「片づけなさい」という言葉は通じにくいのです。なぜなら、「片づける」という言葉には、「集める、分ける、捨てる、しまう」など、いろいろな意味がまとまって入っているから。 そのときの状況や前後の文脈によって、「片づけなさい」の意味が変化するので、子どもはどうしたらいいかわからなくなるんですね。つい便利だから、まとめて「片づけなさい」と言ってしまいがちですが、いかに漠然とした言葉を使っているかということを、親が自覚することも大事だと思います。 ■「誰かが片づけてくれる」丸投げ夫にはどう対処する? ――片づけが苦手な夫の場合は、どう対処したら良いでしょう? 村上さん:ウチの夫も片づけがやや苦手で…(笑)。夫は、ASDに加えてADHD(注意欠如・多動性障害)やLD(読み書きの学習障害)の傾向があり、しまった場所も忘れてしまうし、どこに片づけるというルールも忘れてしまうのです。 だから、わが家では、先ほどお話しした写真ラベルを貼って対応しています。こうすると、中には「子ども扱いするな」と機嫌をそこねる夫もいるかもしれませんが、「あなたじゃなくて、子どものためよ」と、しらんぷりしておけばいいのです(笑)。 ――そもそも、夫が片づけの意味を感じていなかったり、結局、最後は誰か(妻)がやってくれると甘えている場合もありそうです。 村上さん:以前の私ですね(笑)。片づけって、少し先の未来ですから。少し先の未来と今とを天秤にかけて「どっちを選びます?」という話で、片づいた状態の心地良さが少し先の未来にあることがわかっているからこそ、目の前の面倒臭い片づけを乗り越えていくことができるのです。そこがつながっていないと、目先の楽しさを優先してしまいますよね。 特に、子どもは基本、快楽主義者ですし、ADHD傾向が強い子などは、特にそうでしょう。これは、勉強でも同じですよね。「今ちょっとがんばって勉強する」と「そうすれば成績が上がる」ということがつながっていればがんばれますが、そこがつながらない限り、目先の快楽に流されてしまうのではないでしょうか。それは、子どもに限りません。 ――では、どうしたら、頭の中でそこが「つながる」のでしょう? 村上さん:まず、スモールステップで、少し先の未来の状態を体験させてあげることです。 例えば、財布や引き出しなどの小さなスペースで、「片づくとこんなに快適なんだ!」という成功体験を少しずつ積み重ねてあげる。そのために、最初の一歩は本人に合わせたハードル設定が必要です。そこからスモールステップで少しずつ引き上げる…まさに、子育てと一緒ですよね。 村上さんの片づけメソッドは、ASD当事者ならではの視点と工夫で、同じように片づけが苦手な人のために、片づけのステップを非常に具体的な行動に落とし込んでいました。これだけ具体的に提示された方法なら、さまざまな片づけ術で挫折してきた方でも、片づけができるようになるでしょう。 また、片づけができない原因を本人に求めるのではなく、環境設定を見直したり、本人に合わせたハードル設定をしたり、スモールステップで対応する…。そんなやり方に、村上さんの本業である、発達支援でご活躍される様子も透けて見えるのでした。 参考図書: 『発達障害の人の「片づけスキル」を伸ばす本』 (講談社) 片づけや整理整頓についての本を読んでその通りにやってみたけれど、どうもうまくいかなかったという人、現状を変えたいけれど、どこから手をつければいいのかわからないという人へ。アスペルガー症候群の当事者である著者ならではの工夫によってできあがった、挫折しない「片づけのしくみ」を作るコツがつまった一冊。 取材・文/まちとこ出版社N
2019年03月02日『発達障害の人の「片づけスキル」を伸ばす本』 の著者・村上由美さんは、実はASD(自閉症スペクトラム障害)を持つ発達障害当事者。発達障害の特性としてよくあげられるように、以前は、本当に片づけが苦手だったそうです。 本書では、そんな発達障害当事者ならではの工夫によって編み出された片づけのコツがつまっています。第2回インタビューでは、「片づけが苦手な人は、どこから手をつけたら良いのか?」をテーマに、具体的な片づけ方法についてうかがっていきます。 お話をうかがったのは… 村上由美(むらかみ・ゆみ)さん 言語聴覚士。上智大学文学部心理学科、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院(現・国立障害者リハビリテーションセンター学院)聴能言語専門職員養成課卒業。重症心身障害児施設や自治体などで発達障害児、肢体不自由児の言語聴覚療法や発達相談業務に従事。著書に『アスペルガーの館』(講談社)、『声と話し方のトレーニング』(平凡社新書)、『ことばの発達が気になる子どもの相談室』(明石書店)、『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本』(翔泳社)などがある。 ■片づけ下手「一番最初に手をつけるのは“財布の中身”から」 ――片づけが苦手な人は、まず、どこから手をつけたら良いのでしょうか? 村上由美さん(以下、村上さん):最初に手をつけるべきところは、財布です。なぜなら財布は、お札やカードなど、入れるモノのサイズがだいたい決まっていて整理しやすいから。 ほかにも、スペースが小さいので早く整理が終わって達成感が得やすいというメリットや、毎日使うモノだからこそ、片づけの効果を感じやすいというメリットもあります。 ――財布って、意外と私の中ではブラックボックスで…。領収書やスタンプなどがどんどんたまってしまい、すぐ散らかってしまうのですが(苦笑)。 村上さん:財布の中身は、定期的に見直す必要があります。レシート類などは、最低でも週2回見直したいですね。買い物に行く曜日は、たいていの方がだいたい決まっているものなので、「○曜日と△曜日にやる」というふうに、あらかじめスケジュールに組み込んでしまうと良いですよ。 ――財布の中身を整理する時のポイントは何でしょう? 村上さん:使用頻度を見極めることです。一度、財布の中身を全部出してみて、使用頻度ごとに分けてみましょう。「毎日から週に数回」「週1回~月数回」「1~2カ月に1回」「それ以下」というふうに。そして、使用頻度の高いモノは財布にしまい、それほど使用頻度の高くないモノは財布とは別管理にします。 ちなみに、私の財布は、現金と最低限のカード類のみでコンパクトに。保険証や診察券といった、それほど頻繁には使わないカード類は、財布とは違うカード入れで管理しています。カード入れは、1枚ずつ入れられる仕切りがついているものが、探しやすく便利ですよ。 ――なるほど。使用頻度によって、別管理にしているのですね。 村上さん:中身を整理すると、自分にとって選ぶべき財布は、次の3つのどれかになると思います。 1. 現金と必要最低限のカード類だけが入るコンパクトな財布。 2.現金とカード類のほか、一時的に保管するレシートやクーポン券を入れるポケットがついている財布。 3.1.のコンパクトな財布と、頻繁には使わないカード類を入れるカード入れの組み合わせ。 ちなみに、私は3.なのですが、どれが正解というのではなく、大切なのは、どれが自分にとって心地良いかを見つけることです。 ■「財布が終わったら次は?」片づけステップの順番を知る ――財布が整理できたら、次はどこでしょうか? 村上さん:財布の次は、ポーチです。ポーチは財布と違って、入れるモノのバリエーションが幅広いので、まずは、中に何を入れるかを見極めることから始めます。 ポイントは、ポーチの用途を明確にすることです。化粧品だけ入れるのか、化粧品+よく使う小物を入れたいのか、というふうに。ポーチの用途が明確になりにくい場合は、ポーチをバッグから取り出すのはどんな時で、その時何を使っているかを具体的に思い返すと良いでしょう。 ――モノが決まったら、しまうワケですが、しまい方のポイントは? 村上さん:縦に入れることがポイントです。原則的に、モノは立てて入れたほうが中身が見えやすく、出し入れしやすくなります。ですから、内側に仕切りがついているモノがおすすめです。 そして、ポーチの次はバッグというふうに、小さなステップアップの積み重ねで、だんだんと片づけの範囲を広げていきましょう。 ――ちなみに、私はよくバッグの中をごちゃごちゃにしてしまい、すぐに必要なモノが取り出せずに焦ってしまうことが多いのですが…。 村上さん:それは、モノの定位置(入れる「場所」)が決まっていないからです。これを解決するために、バッグの中身はまず大きいモノから入れて、モノの定位置を決めましょう。 例えば、ノートPCやタブレットを入れれば、自然とバッグの中が2つのゾーンに仕切れますよね? また、小さいモノは、バッグインバッグのような小分けの仕切りを利用して、モノが動かないように入れることがポイント。 こうすることで、バッグの中でモノが行方不明になることを防げます。また、入れ方はポーチの時と同様に、立てて入れること。モノが見やすくなり、出し入れもしやすくなります。 ■家の片づけ「引き出し、棚、箱など小スペース」からスタート ――これらの片づけを、家の片づけに応用するにはどうしたらいいのでしょう? 村上さん:家に応用する時も、すぐ完結できるような小さなスペースから始めましょう。例えば、引き出しや棚、小さな箱の中、などがおすすめ。「できた!」の達成感を積み上げることが大切です。 ――引き出し以外に、片づけやすい場所はありますか? 村上さん:人にもよりますが…例えば、食品は賞味期限があり捨てる基準が明確なので、片づけやすいかもしれません。でも、食品庫や冷蔵庫全体とするとハードルが高すぎるので、「まずは食品庫のこの棚だけ」とか「冷蔵庫のドアポケットだけ」というふうに、範囲を限定しましょう。そして、だんだんと広げていきます。 ――小スペースから広げること以外に、片づけにおいて気をつけるべきことはありますか? 村上さん:片づけは1回で終わることではない、ということです。よく、片づけが苦手な人は1回片づければそれで全部終わる、と思いがちですが、片づけはずっと続くことなので、むしろ片づいた状態を維持する方が大変です。 最初にお話しした財布の整理のように、「場所、量、入れ方」の3つの片づけステップを、いかに日々の生活のルーチンに組み込めるか。片づけ成功の秘訣は、そこにかかっているのだと思います。 確かに、どんなにキレイに片づけても、家は片づいたそばから、どんどんと散らかっていくもの。まずは、無理ない小さなスペースから始め、それを日々のルーチンに組み込んで、片づいた状態を維持してみる。そして、少しずつ範囲を広げていくことが大切なのだと教えていただきました。 次回は、「片づけが苦手な家族の対処法」ついておうかがいします。 参考図書: 『発達障害の人の「片づけスキル」を伸ばす本』 (講談社) 片づけや整理整頓についての本を読んでその通りにやってみたけれど、どうもうまくいかなかったという人、現状を変えたいけれど、どこから手をつければいいのかわからないという人へ。アスペルガー症候群の当事者である著者ならではの工夫によってできあがった、挫折しない「片づけのしくみ」を作るコツがつまった一冊。 取材・文/まちとこ出版社N
2019年03月01日最近、さまざまな片づけのメソッドが巷にあふれています。「断捨離」に「ときめき」、「ミニマリスト」など…日本の片づけメソッドは、アメリカで一大ブームを引き起こすほどにもなっています。 しかし一方で、いろいろなメソッドを試してみたものの、うまくいかなかったという人も多いのではないでしょうか? そんな方におすすめしたいのが、 『発達障害の人の「片づけスキル」を伸ばす本』 。実は、著者の村上由美さんは片づけの専門家ではありません。本業は言語聴覚士で、主として発達障害や知的障害を持つ子どもたちやその家族を対象に、発達支援の仕事に20年近く従事しています。 そんな村上さんもASD(自閉症スペクトラム障害)を持つ発達障害当事者で、発達障害の特性としてよくあげられるように、以前は、本当に片づけが苦手だったそうです。本書には、そんな発達障害当事者ならではの工夫によって編み出された片づけのコツがつまっています。 一体どんな方法なのでしょうか? お話をうかがってきました。 お話をうかがったのは… 村上由美(むらかみ・ゆみ)さん 言語聴覚士。上智大学文学部心理学科、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院(現・国立障害者リハビリテーションセンター学院)聴能言語専門職員養成課卒業。重症心身障害児施設や自治体などで発達障害児、肢体不自由児の言語聴覚療法や発達相談業務に従事。著書に『アスペルガーの館』(講談社)、『声と話し方のトレーニング』(平凡社新書)、『ことばの発達が気になる子どもの相談室』(明石書店)、『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本』(翔泳社)などがある。 ■「片付けはしないとダメ?」片付けるメリット、片付けないデメリット ――以前の村上さんは、本当に片づけが苦手だったそうですが、どんなことがきっかけで片づけに目覚めたのでしょう? 村上由美さん(以下、村上さん): 私は30歳くらいまでは、片づけが大嫌いでした。実家で暮らしていた頃は、床一面にモノを散らかしていて、母によく「片づけなさい!」と怒られましたね(苦笑)。なぜ片づけなかったかと聞かれれば、そもそも、私自身が片づけの必要性を感じていなかったのです。 ――散らかっている状態でも、村上さん自身には、特に支障はなかったのですね? 村上さん:「片づけなさい」と怒られて、嫌な気持ちになることばかりに気をとられてしまって…。でも、さすがに自分自身も薄々わかっているのです。いつかは片づけなくてはならないということは。 それで部屋がどうにもならない状況になってから、年に2回くらい重い腰をあげて片づけるワケですが、そういう状況になってからの片づけはものすごく大変で…。とにかく、片づけに対して、ネガティブなイメージしか持てなかったのです。 ――でも、「このままではマズイ」と、ある時気づいたのですよね? 村上さん:私の場合、私が片づけないことで、職場のほかの人が困る事態が発生して…。上司から注意を受けたことがきっかけでした。自分ひとりの問題ならともかく、他人の迷惑になるとわかった時点で、「こりゃ、片づけないとまずいぞ!」となったワケです。 ――以前の村上さんのように、片づけが苦手な人には、「そもそも、その必要性を感じていない」という人も意外と多いように思います。 村上さん:そういう場合は、本人が我に返らないとなかなか難しいと思います。私もそれまで、「片づけ」は自分の好きなことができる時間を犠牲にしてやらなければならないこと、と思っていましたから。まるで、良いことと嫌なことをトレードオフするようなイメージ。 で、片づけで得られるメリットと、片づけないままのメリットを比べた時、片づけないままでいるメリットの方が、私の中では大きかったのです。でも、それが一気に逆転して、デメリットが増えてしまったワケ(苦笑)。 また、最近よく思うのは、片づけって結局、他人との円滑なコミュニケーションのためでもあると思うのです。 ――どういう意味でしょうか? 村上さん:きちんと片づけていれば、他人に用事を頼めるんですよ。 例えば将来、私に介護が必要になった時、ヘルパーさんに「〇〇は△△に入っているからお願いします」と頼めます。ですが、もし家の中が、自分でも何がどこにあるのかわからない状態だったら伝えられませんよね? よく「なんで片づけしなくちゃいけないの?」と嘆く人もいるのですが、片づけって、ゆくゆくは自分のためになるのです。結局、コミュニケーションのためのインフラなのです。 ■片づけ下手はまず最初に「しまい場所決め」から手をつける ――村上さんは片づけの必要性に目覚めたわけですが、30年ほど片づけをしていなかった(?)状態から、どうやって一気に巻き返したのでしょう? 村上さん:いったんスイッチが入ると、ASDならではのモノごとをとことん突き詰める特性が発揮されたのだと思います。まず、「片づけとはどういうことか?」を考え、次に片づけに必要な行動を分析し、「自分がどこでつまずいているからうまくいかないのか?」を洗い出しました。 ――そこで洗い出された、つまずきとは? 村上さん:私がつまずいていたのは、次の3つでした。 1.モノの出し入れを面倒に感じていること。 2.片づけが苦手なのに「その気になればすぐできる」と自分の能力を過大評価していたこと。 3.「そもそも何のために片づけをするのか」をよく理解していなかったこと。 いろいろ調べるうちに、自分が片づけをする目的は「仕事と家庭の両立のために、家の中を使いやすくすること」と明確になりました。理由がわかったので、次は具体的な行動に落とし込むスキルを研究しました。 ――そこで、この本で紹介されている3つのステップを編み出したワケですね? 村上さん:片づけに必要なのは、次の3つのステップです。 1.場所:目的にあったしまい「場所」を決める。 2.量:しまい場所に入りきる「量」を決める。 3.しまい方:しまい場所に合った「入れ方」を決める。 まず、一番最初に決めるべきは、モノのしまい「場所」です。すぐ出せる場所、簡単にしまえる場所を決めることで、使いやすく散らかりにくくなるからです。 次に、「量」を決めます。すでに「場所」が決まっているので、そこに入るだけの量に減らします。最後は、「入れ方」。どう入れると出し入れしやすいか考えます。 ――まず、はじめに「場所」を決めるのですね? よく言われる「量」の方ではなく? 村上さん:まず量を減らそうとすると、モノの「要・不要」を決めることになり、片づけが苦手な人にとっては、なかなかむずかしいのです。判断に迷うばかりで、挫折してしまいがちです。 例えば、量を決めるにしても、決められた場所に入りきる量、というような目に見える尺度に沿って進めていく方が、片づけが苦手な人にはわかりやすいのです。ですから、最初に場所を決めることが大事。 ――村上さんは、この3つのステップで、長年苦手だった片づけが得意になっていったのですね? 村上さん:片づけができるようになってから、モノが思った通りの場所にあり、やりたいことがすぐできる生活はなんて快適なんだろう! と感動したくらいです。逆に、「今までの私はどんだけ損していたんだ!? と後悔しきりでしたね(笑)。 もちろん、どちらの生活を選ぶかは個人の自由ですが、どちらも経験している私からすると、もう以前の生活には戻りたくない、というのが素直な実感ですね。 村上さんに、「片づけはコミュニケーションのためのインフラ」と言われて、妙に納得してしまいました。確かに、介護までは想像できなくても、例えば、自分が病気で寝込んだ時、家の中が片づいていれば親やヘルパーさんに手伝ってもらいやすいですね。 さらに、わかりやすくラベリングされていれば、熱に浮かされながら、いちいち人にモノの場所を説明せずにすみそうです。 次回は、「片づけが苦手な人はまず何からはじめるべきか?」をテーマに、具体的な片づけ方法をうかがっていきます。 参考図書: 『発達障害の人の「片づけスキル」を伸ばす本』 (講談社) 片づけや整理整頓についての本を読んでその通りにやってみたけれど、どうもうまくいかなかったという人、現状を変えたいけれど、どこから手をつければいいのかわからないという人へ。アスペルガー症候群の当事者である著者ならではの工夫によってできあがった、挫折しない「片づけのしくみ」を作るコツがつまった一冊。 取材・文/まちとこ出版社N
2019年02月28日小さな子どもは、大人が当たり前と思っていることに対しても、一つ一つ「なぜ? どうして?」と聞いてくるもの。でも、子どもの好奇心には丁寧に向き合ってあげたいものの、「なんで? なんで?」の質問責めを、時には面倒に感じてしまったり、適当にあしらってしまったり…そうしてしまうことも少なくないのでは? 「ここできちんと、子どもの『なぜ? どうして?』に向き合うことはとても大事なのです」と力説するのは、国立大学法人お茶の水女子大学附属小学校の藤枝真奈先生。 「子どもの好奇心をしっかり受け止めることで、考える力や学ぶ力をグンと伸ばすことができるのです」(藤枝先生) そんなお茶の水女子大学附属小学校の先生たちが、子どもの好奇心に徹底的に寄り添う視点で、百科事典のような児童書 『頭のいい子を育てる なぜ? どうして? ふしぎ366』 (主婦の友社)を監修しました。掲載項目は、生活の中からわいてきた身近な疑問がいっぱいで、なかには、答えがないような問いも。 そこで、藤枝先生に、この本に込めた思いをうかがって来ました。 国立大学法人お茶の水女子大学附属小学校 「自主協同」の精神を養い、自分で判断し、他者と関わり合って主体的に学んでいく子どもを育てている。公共性を育む「シティズンシップ教育」や、人間性・道徳性や思考力を育む新教科「てつがく」など、今日的な教育課程に対応したカリキュラムを編成。140年に及ぶ長い歴史と伝統とともに、未来へ拓かれる最先端の教育実践の場は、毎年行われる「教育実際指導研究会」などで、全国の多くの先生方に公開されている。 ■「答えは一つではない!」全国の子どもたちから集めた「なぜ? どうして?」 ――この本に掲載されている「なぜ?」の疑問は、「どうしてパンツをはかなくちゃならないの?」や「サッカーボールはどうやってまるくなっているの?」など、子どもたちの目線に近い疑問が多いように感じましたが、そこは意識して作られたのでしょうか? 藤枝真奈先生(以下、藤枝先生):多くの子どもたちは年齢が上がるにつれて、「勉強しなくちゃ!」というシーンが増えてくると思うのですが、低年齢のうちは、そういった気持ちにとらわれることなく、普段の生活の中から関心事を見つけて、没頭できる時期だと思います。 この本は、子どもたちが生活している日常での「ふとした疑問の声」を拾い上げて作られています。掲載疑問は、全国の子どもたちから編集部に寄せられたアンケート回答のなかから、声の多かったものを中心に構成されています。 ――なかには、「友だちって何?」というような答えが一つではない疑問や、「死んだら何も残らないの?」というような、大人でもちょっと答えにつまってしまうような疑問もあります。こういった疑問を入れた意図は、どんなところにあるのでしょう? 藤枝先生:答えが一つではない問いや正解のない問いは、世の中にたくさんありますよね? 自分が思う答えと他者の思う答えは違ったり、似ているところがあったり…そういった経験を繰り返すことで、子どもはいろいろな発見をして自分の考えを作り、自己を見出していくのだと思います。 正解のない問いについて、この本には、考えるヒントがちりばめられています。「あなたはどう思う?」「お母さんはこう思うよ」などと対話を楽しみながら、子どもと一緒にページをめくってもらえればと思います。 ■「本っておもしろい?」子ども発信の疑問を話し合う「てつがく科」 ――他者の意見との相違を学びながら、自分の考えを作り出していくのですね。 藤枝先生:そういった学びのために、当校には「てつがく科」という教科があります。この時間では、子ども自身が問いを作り、みんなが輪になって顔が見えるように座り、発言者は次の発言者を指名して、対話をつないでいろいろな意見を出していきます。 そして、お互いの意見の違いを学んだり、違う意見をすり合わせたりして自分の意見を作っていきます。 ――例えば、どんなことを話し合うのでしょう? 藤枝先生:私は今、3年生の担任をしていますが、この本にも掲載している「友だちって何?」という問いで話し合ったことがあります。この問いに関しても、「友だちといると楽しい」「いろいろ相談できる」「大切」という意見から、「いなくてもなんとかなる」「一人でも平気」というような意見まで、さまざまな答えが出ました。 また、「友だちっていなくちゃいけないの? 一人じゃダメなの?」という新しい問いも展開していき、非常におもしろい授業となりましたよ。 ――公立の小学校でいえば、道徳の授業のようなものでしょうか? 藤枝先生:道徳の授業との違いは二つあります。一つは、道徳には教科書がありますが、「てつがく科」は子どもたちが問いを作る点です。もう一つは、道徳は落としどころがあって、教師が子どもたちをそこに導くものですが、「てつがく科」では落としどころは決めていないという点です。 ただし、単に「みんな違ってみんないい」で終わるのではなく、「私が考えていることと〇〇さんが考えていることはここが一緒だ」などと他者との共通点を探したり、考え方の違いについて話し合ったりすることで、異なる意見を自分の中に受け入れた上で自分の意見を持つこと、自分の中に多角的な見方を持つことをとても大事にしています。 ――ただ自分の意見を言って終わるのではなく、他者の意見を受け入れたうえで、改めて自分の意見を考えるのですね。 藤枝先生:「本って、そんなにおもしろい?」という疑問を持っている子がいて、「本はおもしろくない!」という意見からはじまったこともありました。 「どうしておもしろくないの?」と、みんなが聞き出していくのです。この時大切なのは、否定するのではなく、まず問いを立てること。なぜなら、社会の中で他者と共存して、答えのない問いに関して自分が働きかけていくには、最初は「問う」ということがとても大切ですからです。 ――確かに、「そんなことないよ。本はおもしろいよ」とただ否定するだけでは、その子には何も響かないでしょうし、こちら側も、なぜつまらないと思っているのかわからないままで、そこからは何も広がりませんよね。 藤枝先生:いろいろ聞いていくうちに、その子は「本の中に、わからない言葉があるとおもしろくない」と言いました。 そこで、今度は「わからない言葉があったらどうしたらいいか?」という話になり、ある子は「だいたいの話がわかれば、わからない言葉は飛ばしてしまってもOK」という意見を出し、ある子は「お母さんに聞く」という意見を出しました。 そして最終的に、「本がおもしろくない」と言った子は、対話しながら読み方や考え方の選択肢が増えたのか、以来、本当に本が好きになったのですよ。 ――この姿勢は、学校の授業だけでなく、家庭でも同じですね。 藤枝先生:もちろんです。子どもの考えに対して親が「それ、違うんじゃない?」と否定してしまうと、それで終わってしまいますけれど、「どうしてそう思ったの?」と一言引き出してあげると、ぜんぜん違う方向に広がっていくと思います。 私自身は、これからの世の中に大切な力は、自分の頭で考えて、他者と対話することができる力だと思っています。そして、子どもたちのその力は、きっと、より良い社会を作る力につながっていくと思います。 親としてできることは、親自身が自分の頭で考えて、より良い社会を作っていく姿勢を見せることだと思っています。難しいことではなく、身近なことで良いのです。 例えば、落とし物が落ちていたら、だまって見過ごすのではなくて、きちんと警察や駅の係の人に届けるなど、ごく普通のことで。そういった姿を子どもに見せることが大事なのだと思います。そういう当たり前のことに気づくヒントも、この本の「こころ」のジャンルにたくさん紹介されています。 ■子どもの言葉や疑問「まずは全部受け止めて」 ――一般的に、大きくなるにつれて、物事に対しての純粋な疑問は減っていくことが多いように思いますが、それを損なわないために、親としてできることは何でしょう? 藤枝先生:子どもって、小さいうちは思った通りのことを言いますよね? 例えば、小さい子が丸い月を見て「お皿!」と言った時に、お母さんが「月がお皿のワケないでしょう?」と返してしまったら、その子は二度とそんなことを言わなくなると思うのです。 でも反対に、「本当だ。お月さま、丸くてお皿みたいだね」と返してあげれば、子どもは自分が言ったことを受け止めてもらえたうれしさと、「本物じゃない時は『〇〇みたい』」と言えばいいんだ」というふうに適切な表現を学ぶこともできます。 そうやって子どもが感じたこと、表現したことを、親が一つ一つきちんと受け止めてあげることがとても大事だと思います。 ――ここでも、否定はNGということですね。 藤枝先生:少し大きくなると、知りたいことや疑問に思うことを、子どもの方からどんどん聞いてくるようになると思います。その時に「どうしてだろうね」と受け止めて、「私も知りたいから調べてみようか」と一緒に考えたり調べたりすることを手伝ってあげたらいいと思います。 そこで親が調べる姿を見て、子どもは、「何か調べる時は図鑑や本の目次や索引で探せばいいのか」などと学ぶこともできるでしょう。そんな時に、この本を役立ててもらえればうれしいですね。 他者の意見が自分と違う時に、単に否定するのではなく、なぜそう思うのか問う姿勢。一見当たり前で簡単なことのように思えますが、本当にそれができている大人って、意外と少ないのではないでしょうか? 子どもが感じたこと、表現したことをきちんと受け止め、それを大人が広げてあげることの大切さを、改めて学ばせていただいた取材でした。 参考図書: 『頭のいい子を育てる なぜ? どうして? ふしぎ366』 (主婦の友社) お子さんからの「なぜ?どうして?」に毎日ひとつずつこたえることで、好奇心を育て、モノの考え方や見方など、学ぶ力をグングン伸ばす。「ことば」(国語)、「かず」(算数)、「しぜんかがく」(理科)、「よのなか」(社会)、「おんがく」(音楽)、「アート」(図工)、「せいかつ」(家庭科)、「からだ」(体育)、「せかいのことば」(外国語)、「こころ」(道徳)と、小学校での学びのきっかけになるコンテンツが満載!写真やイラストが満載で、ひと目でわかりやすい構成。 取材・文/まちとこ出版社N
2019年01月17日年長 のお子さまをもつママは、年が明ければ卒園式までカウントダウン。そして、その先には 小学校入学 が控えています。園から小学校に上がると生活に大きな変化がありますが、それに加えて2020年に施行される 新学習指導要領 で、 大きくシフトチェンジ があるのが気になるところです。 「一体何がどう変わるの?」「普通に勉強をしているだけではだめなの!?」などと不安を抱くママも多いのではないでしょうか。 そこで、 教育市場動向 や 入試傾向 にも詳しい、Z会 幼小事業部『みらい思考力ワーク』開発責任者の田中多恵子さんに、2020年に向けてどのように備えればいいのか、お話を伺いました。 ◆Z会 幼小事業部 みらい思考力ワーク開発責任者 田中多恵子(たなか・たえこ)さん 1986年入社。長きにわたり、Z会小学生コース 国語の教材開発を担当。 <Z会小学生向けコース> コースやレベル、教科の選択など柔軟なシステムで、お子さまの未来を拓く教材を提供。1・2年生向けには、親子での学びをとおして知性と感性を育む「小学生コース」がある。 新一年生のママたちへ、2020年に向けて専門家からアドバイス! Q.2020年度には何が変わるのでしょうか? 田中さん: 2020年度から小学校では 「新学習指導要領」 が施行されます。この年度には大学入試制度も大きく変わり 「大学入試センター試験」が廃止 されますので、日本の教育界全体で大きな変化があると言えます。 大学入試では、単なる知識力だけではなく、その知識を使いこなす力、自分で問題を発見して答えや新しい価値を生み出す力が問われるようになります。その流れで小学校でも広い視野をもち、 知識を活用できる力 を身につけることが求められます。 Q. 具体的には、各教科の学習内容も変わりますか? 田中さん: 小学校の学習でもっとも変化があるのが、 英語(外国語活動) です。3年生から対話中心の英語(外国語活動)の授業が 必修化 され、 5年生からは成績がつき 、 「聞く」「話す」「読む」「書く」 の4技能の育成がこれまで以上に重視されます。この対話を重視した活動は英語に限らず、すべての教科で重視されるようになります。さらに、知識を身につけることが中心だった従来の学習から、知識を活用していく力が求められるようになります。 Z会ではその変化に対応し、小学生コース1・2年の国語では、通信教育ではめずらしい 「はなす」 というカリキュラムを設けています。対話によって、 コミュニケーション能力 を高め、 表現力を豊か にするための取り組みです。 また、理科・社会へつながるZ会オリジナル教科「経験学習」では、経験するための材料を揃えるところからはじまり、工夫したり考えたりしながら体験。実際に五感を使って感じるなかで、身近な事象に対する興味・関心を広げ、意欲的に学ぶ姿勢を身につけます。 一生使える「考える力」を養うための “6つの力” とは Q. 「考える力」は、どのように勉強したら身につきますか? 田中さん: これからの社会で求められているのは、何かを教わるだけではなく、自分で考え、他者を動かし、一緒に行動することができる力です。単に問題を早く多く解くというのではなく、 わかるまで考える 、どうしてこの答えになるのか納得する、ということが大切になります。 Z会では2019年4月に 『みらい思考力ワーク』 が開講します。この講座では子どもたちの「考える力」を伸ばすために、まずは 6つの力 を身につけます。 1)論理的判断力 2)情報整理力 3)試行錯誤力 4)連想力 5)注意力 6)推理力 教科の枠を超え、教科の知識や日常生活で習得した知識を組み合わせて解く問題で「知識の活用の仕方」を学べます。あれこれ試行錯誤したり、ひらめいたり。将来の受験でも社会生活でも役立つ、 粘り強く考えぬく力 を養います。 考える力を育む『みらい思考力ワーク』の問題例をみる 「年長の冬」から、徐々に勉強へ移行しよう Q. 小学校のスタートで “つまずかない” ための準備とは? 田中さん: 小学校入学の時期は、通う場所も友だちも変わるため、お子さまにとっては大人が考える以上に大きな変化を経験します。入学前は、まずは「1年生になることが楽しみ」と思えるように準備をしてあげてください。ひらがなや数字などは入学後も取り組む時間はとれるので、あせらず おおらかな気持ち で接してあげてください。 逆に、勉強が進んでいるお子さまの場合、すでに知っていることだと学校の授業がつまらなくなってしまう場合もあります。そして、気がついたら授業が先に進んでいた…ということがないように 注意 が必要です。 Z会の幼児コースでは、小学校入学にそなえて徐々に国語や算数の教科的な取り組みを行っていきます。これまでとは違う 「勉強する」という雰囲気 に慣れておけます。正解しなければいけないものではないので、親子で楽しみながら取り組んでいただくことで、入学後の学習が スムーズ になります。 Q. 子どもの勉強はどうやってサポートしたらよい? 田中さん: 保護者も仕事や家事で忙しい時代。勉強中ずっとそばに付きそう必要はありません。Z会を受講されているご家庭では、 朝の時間帯 を活用したり、家事をしながらお子さまを見守っていたりするご家庭も多いです。忙しいときは、お子さまが取り組んだものを後で○をつけてあげるだけでもよいでしょう。大切なのは 認めてあげる こと。出来不出来に関わらず、がんばりをほめてあげましょう。 Z会の幼児コース、小学1・2年コースでは、 親子で学ぶこと を大切にしていますが、教えることが負担にならないよう、 「サポートブック(保護者用指導書)」 を用意しています。大人にとって教えるのが難しい問題でも、ほめながら正答へ導く方法を掲載しているので、お子さまのやる気をそがずに楽しく教えられます。お子さまのがんばりを目に見える形で表すシールやスタンプも用意していますので、 継続の原動力 になります。 小学生コース1年生の「おためし教材」(無料)はこちらから 年長さん親子がZ会の「おためし教材」を体験! そんなZ会の 『みらい思考力ワーク』 のおためし教材を、来春、新1年生になる 「まちちゃん」 親子に体験してもらいました。 早生まれのまちちゃん。お母さんは「何でもゆっくりで心配」と話しますが、教材を開くと、楽しそうにさっそく 「まちがいさがし」 の問題から取り組み始めます。遊びの延長で取り組めそうな問題ですが、実は思考力の中の6つの力のひとつ、 「注意力」 を育てる問題です。 日常生活での知識をもとにおかしいところを探します。 「ここがヘン!」 まちちゃんの楽しそうな声が響きます。 右ページの「影」の問題は、光と影の理科的な知識がなくても解けるのでしょうか? 「むずかしいから、おうちのひとといっしょにさがそう」と書いてあるので、まちちゃんもお母さんと一緒に取り組みます。「注意力」は全体や部分を比べて発見する力なので、影の法則を知らなくても、注意深く見比べることで、違いを発見できそうです。 字を覚えたてのまちちゃんが次に挑戦したのが 「文字の入れ替え」 問題。ひらがなを入れ替えて、違う生き物の名前を作る問題です。4文字の「くろしま」は「しろくまだ!」とすんなり思いついたまちちゃんですが、5文字、6文字となるとちょっと苦戦。 お母さんも「ただ答えを教えるのではなく、どうやったら考える力を伸ばせるかな」と少し迷います。そこで付属の 「サポートリーフレット(保護者用指導書)」 を参考にしていただきました。 ママもサポート!「教え方アドバイス」も充実 Z会の「サポートリーフレット(保護者用指導書)」には、正解だけでなく、その時期の子どもがつまずきやすいのはどこか、どのようにアドバイスをしてあげるとよいのか、 「間違えたときの接し方」 が載っています。 「理由を確認して、お子さまの考えを認めてあげてください」というアドバイスに、“間違えたときこそ学びの大きなチャンスがある” ことに気づかされます。「ほめ方や子どものひらめきを応援する 声かけ例 が載っているのはとても心強いですね」とまちちゃんママ。 まちちゃんが体験した「文字の入れ替え」問題で問われているのは 「試行錯誤力」 で、解決にはいくつかのアプローチがあるそう。まちちゃんママも「『て』のつく言葉を考えてみる?」と、「て」がつく5文字の生き物の名前を考えてみることを提案します。 まちちゃんのご家庭では、すでに兄妹とも塾通いや通信教育を経験しているそうですが、「どんどん解いてあっという間に終わってしまうような教材よりも、ちょっと難しいけれどきちんと考えるようにできていて、やりごたえがある」と、考える力を伸ばすZ会のおためし教材にも納得の様子。早生まれのまちちゃんも、お母さんの心配をよそに粘り強く問題に取り組み、「楽しかった」と笑顔を見せてくれました。 小1・小2コースが大幅リニューアル! 「プログラミング学習」もスタート それぞれの「おためし教材」を見たまちちゃんのお母さんは、「思考力が鍛えられて力がつきそう。以前から子どもには 『書く力』 をつけてもらいたいと考えていました。添削問題もあるし、教材も書くものが多く、これなら『書く力』も養えそうですね」とも話します。 2020年度の新学習指導要領の施行に対応し、Z会では教材を大幅にリニューアル。子どもたちの主体的な取り組みを促す国語・算数・経験学習の教材に加えて、家庭にある機器で手軽に取り組める プログラミング学習 も追加料金なしで学ぶことができます。 「プログラミング学習 Z-pro」は年4回配信。2019年度の小学生コース1・2年生を受講した方には、標準サービスとしてついています。 プログラミング学習では 「論理的思考力」「問題解決力」「創造力」 の3つの力が鍛えられ、「プログラミング的思考」を伸ばす土台が作られていきます。「プログラミングってどんなことを学べばいいのかわからなかったからよかった」と、まちちゃんママも安心した様子でした。 変化の速い現代社会。子どもにどんな力をつけさせたらいいのか、と不安なママが多いのではないでしょうか。親としては、学校の成績や受験だけでなく、 一生役立つ「考える力」 を伸ばしてあげたいですね。 ずっと使える「考える力」を身につけよう! 【新1年生の学習スタートに、Z会がピッタリの6つの理由】 1) 将来の可能性を広げる “考える力” が身につく『みらい思考力ワーク』 ※『みらい思考力ワーク』なしのご受講も可能です ※『みらい思考力ワーク』に提出課題はありません 2) 「保護者用指導書」で、保護者も 効果的な学習支援 ができる 3) 1日10~15分で、 無理なく学習習慣 が身につく 4) 毎回同じ担任の先生から、 一人ひとりに合った アドバイスがもらえる 5) プログラミング学習 も追加料金なし 6) 努力賞プレゼントで、 モチベーション もアップ Z会小学生コースについて 詳しくはこちら PR: Z会 取材・執筆・撮影:まちとこ出版社
2018年12月20日NHK総合テレビ「あさイチ」の“スーパー主婦”シリーズで、“片づけの達人”として大人気の井田典子さん。 「だ(出す)」「わ(分ける)」「へ(減らす)」「し(しまう)」というシンプルなルールで、数々の片づけが苦手な主婦の悩みを解決してきました。そんな井田さんに今回は、片づけを通して子どもに学んでほしいことについてうかがいました。 井田典子(いだのりこ)さん プロフィール 整理収納アドバイザー1級・相模友の会(婦人之友の会読者の会)所属。モノの整理が心を整えることを実感して、片づけ依頼を受けるようになった。NHK総合テレビ「あさイチ」などで“片づけの達人”“スーパー主婦”として活躍。うかがうお宅の住人に寄り添った、ていねいな片づけアドバイスに人気が集まっている。 ■「片づけって楽しいね」ママの気持ちが子どもに伝染 ――子どもが片づけない! と困っているお母さんは多いと思うのですが、子どもが自分から片づけてくれるような上手なコツはありますか? 井田典子さん(以下、井田さん):お母さんが片づけをして、「あ~! すっきりして気持ちいい!」というオーラを出すことです。子どもって、言ったようにはしないけど、見たようにはするもの。だから、「お母さん、片づけして楽しそうだな」と子どもが感じ取ると、子どもも同じようにするようになりますよ。 ――確かに、お母さんがイライラして片づけていたら、なんだか嫌なことをしているように思えてしまいますよね。「片づけ=お母さんがイライラ」のと「片づけ=お母さんが楽しそう」では、受ける印象がぜんぜん違います。 井田さん:これは、私も子どもに気づかされたのですよ。 息子が思春期の頃、夜なかなか帰ってこない彼を待ちながら、たまたま引き出しをひとつ片づけていたのです。子どもはなかなか変わってくれないけど、引き出しは小さいスペースなので、目に見えてきれいに変わってくれて、私は知らないうちに癒されていました。 そうしたら、それを見ていた一番下の子が「ママ、片づけていると楽しそうだね」と。それで初めて気がついたのです。 ■片づけへの第一歩は「分ける」訓練から ――確かに、お母さんが楽しんでいることは、子どももやってみたくなりますよね。…ただ、それでもなかなか重い腰をあげてくれない子には、どんな声がけをしたらよいのでしょう? 井田さん:「片づけなさい」という言葉は、実は、子どもにはわかりにくいのです。 よく「机の上を片づけなさい」と言うと、子どもって片側にザザーッと寄せて余白を出そうする(笑)。で、「引き出しを整理しなさい」と言うと、今度は並べ替えをする(笑)。 でも、それでは片づけになりません。片づけるということは、「分ける」ことですから。 ――確かに! ザザッーと寄せて「はい、終わり!」というのは男子に多いパターンです(笑) 井田さん:子どもに片づけを身につけさせるのに、良い方法があります。まず、机の上にひもを1本置き、使っているモノをひもの右に、使わないモノを左に置きます(右利きの子の場合。左利きの子の場合は左右反対になる)。これは、モノを分ける訓練になるのです。 例えば、引き出しの整理では、まずはモノを全部出します。全部出すことで、自分がどんなモノを持っていたか気づくことができます。 その後、ひも1本で先ほどと同じように左右に分けます。分け終わったら、選んだモノをしまっていきます。使わないと判断したモノは違う箱に入れてお母さんが預かるなり、時を見て処分するなりしましょう。 これは、私が提唱している「だ(出す)」「わ(分ける)」「へ(減らす)」「し(しまう)」の方法です。 ――「分ける(選ぶ)」って大人でも難しい気がしますが、子どもだけに任せてできるのでしょうか? 井田さん:片づけでは、親が「枠」を用意して、その中に入れるものは、子どもに選ばせることが大事です。 今の子どもに大切なのは、選ぶ力。選択肢も情報もあふれている世の中で、今、自分にとって何が大事か? ということをしっかり選べる子にならないと、将来、自分の進路にも迷ってしまうことでしょう。 そのためにも、片づけはとても良いトレーニング。片づけを「やらなくてはいけないこと」と考えず、子どもを鍛えるチャンスだと思って大事にしてほしいです。 ――義務ではなく、チャンスなのですね。 井田さん:年末年始の長期休みは、とても良いチャンスです。わが家では、長期休みは書類整理をすると決めていて、親は親の書類、子どもは学期でたまったプリント類を、一緒に整理することにしています。 子どものたまったテストやノートなどを改めて見返すことによって、子どものがんばりや成長を感じることができますし、普段あまり見ていないお父さんが見れば、きっとお母さんとは違った角度から子どもをほめてくれるでしょう。 家族一緒にやると、すごく良いコミュニケーションになりますよ。本来、片づけは、こうしたとても豊かな時間なのです。ぜひ、長期休暇に家族みんなでやってみてくださいね。 ■「お母さんは万能じゃありません!」時には夫・子どもに頼ってみよう ――「片づけが家族の豊かな時間になる」というのは目からウロコでした。…ただ、こうして片づけの良さばかりが強調されると、片づけ下手なお母さんはプレッシャーを感じてしまいそうですが、どうしたらよいのでしょう…? 井田さん:片づけには、上手も下手もないのですよ。片づけは「常に更新すること」ですから、昨日より便利になればそれでいいのです。 自分は片づけ下手などと決めつけず、わからない&できない時は、家族にSOSを出してみてはどうでしょうか?「お母さん、ここをどう片づけたらいいのかわからないんだけど、いいアイディアある?」というふうに。 頼られれば子どもも張り切って考えるので、子どもの考える力を養うこともできますよ。 ――自分だけでなんとかしようと思うのではなく、家族を頼るのですね。 井田さん:お母さんは万能じゃありませんし、万能である必要もありません。逆に、頼って任せるということは、子どもの成長を促す、とても大事なことですから。 また、子どもが中高生くらいの難しい時期になったら、スマートフォンで片づけ前の状態を撮って子どもに見せ、「きれいなアフター写真撮って送ってよ」などと誘うと、うまくいくことが多いですよ。写真は客観的に見られるので、気づいていなかった状態もわかるのでおすすめです。 ――では、逆に、片づけ魔のお母さんはどうでしょう? 子どもの片づけに満足できなかったり、旦那に高度な片づけレベルを要求してしまったりしそうですが…? 井田さん:心地よい片づけのラインは、みんな違います。お母さんが完璧な片づけの価値観を家族に押しつけてしまったら、家族は息苦しいのでは? こういう場合は、それぞれテリトリーの責任者をはっきりさせ、自分以外のテリトリーにはあまり口出ししないようにすることが大事。 例えば、おもちゃ箱を子どものテリトリーと決めたら、多少お母さんが気に入らない片づけ方をしていても目をつぶる。でも、箱からおもちゃがあふれて共有スペースであるリビングに侵入してきたら、きちんと子どもに箱にしまってもらう、などというふうにしてみてはどうでしょう? ――それぞれのテリトリーを決めたら、後はあまり口を出さないというのは、井田さんが繰り返し言われている、「枠」を決めて後は「任せる」ということですね。 井田さん:モノを選ぶということは生活の根本で、時間の使い方、お金の使い方、そして心まですべてにつながっています。子どもには、片づけを通して、絶えず自分のことを見直すことで、「今、一番大事なものは何か?」ということを選び取れる人に育ってほしいと思っています。 まずは、見えるところを整えることから少しずつ、親子で始めてもらえればうれしいですね。 3回にわたり井田さんのお話をうかがってきて、不思議と、未練いっぱいだったヒール靴やクローゼットを占拠していたコート類などを、すっと手放せる気持ちになりました。それは、井田さんが、単に片づけのノウハウだけを教えるのではなく、「私にとって本当に大事なモノは何か?」という心の整理をしてくれたからだと思います。 また、「お母さんは万能でなくて当たり前。周囲をどんどん頼りましょう!」という井田さんの言葉には、ホッと肩の力が抜けたような気がしました。いつの間にか私は、子育ても仕事も何もかも…しっかりこなせる強い母でありたい、という価値観に縛られ過ぎてしまっていたような気がします。 頼ることでお母さんが楽になり、頼られることで子どもの自立が促される、そんなすてきなサイクルを、ぜひわが家でも作りたいと思いました。 参考図書: 『片づけられない人はまずは玄関の靴を数えましょう』 (主婦の友社) 井田典子/著 1200円(税別) NHK総合テレビ「あさイチ」でスーパー主婦として活躍中の片づけ達人・井田典子さんが、「モノと時間と心の整理」をテーマに、人生を豊かにするヒントを綴った1冊。 まちとこ出版社N
2018年12月16日NHK総合テレビ「あさイチ」の“スーパー主婦”シリーズで、“片づけの達人”として大人気の井田典子さん。 「だ(出す)」「わ(分ける)」「へ(減らす)」「し(しまう)」というシンプルなルールで、数々の片づけが苦手な主婦の悩みを解決してきました。そんな井田さんに今回は、差し迫った年末年始に、今からできる最低限の大掃除法について教えていただきました。 井田典子(いだのりこ)さん プロフィール 整理収納アドバイザー1級・相模友の会(婦人之友の会読者の会)所属。モノの整理が心を整えることを実感して、片づけ依頼を受けるようになった。NHK総合テレビ「あさイチ」などで“片づけの達人”“スーパー主婦”として活躍。うかがうお宅の住人に寄り添った、ていねいな片づけアドバイスに人気が集まっている。 ■年末は「ほどほど掃除」で十分、その理由は? ――気がつけば、師走…。年末年始が差し迫ってきましたが、「今から間に合う大掃除法」などという都合の良いアイディアはないものでしょうか…? 井田典子さん(以下、井田さん):その前に、そもそも、なぜ大掃除は一年で一番寒くて忙しいこの時期にやるのだと思いますか? ――新年という節目をきれいにして迎えるべき! だからでしょうか…? 井田さん:確かに日本ではそうですが、欧米では大掃除といえば春に行うものなのです。もともと、冬の暖房器具ですすけた部屋を掃除したのがはじまりだそうで、春の明るい日差しのもとで掃除した方がどれくらいきれいになったかよく見えるし、暖かいほうが汚れも落ちやすいというわけです。 確かに、節目である新年は気持ちよく迎えたいものですが、年末年始は多くのお母さんにとって一年で一番忙しい時期。家中すべて大掃除しなくても、ポイントだけ決めて掃除すれば、それで十分だと思います。 ちなみに、わが家では、大掃除をできるだけ夏場にシフトしているのですよ。 ――真逆の季節に!? 大掃除を夏場にシフトした理由は何ですか? 井田さん:季節によって、おすすめの掃除があるからです。 例えば、油汚れの掃除は、夏がおすすめ。夏の暑い気温を利用して、プラスチックのカードや要らなくなったヘラなどで油汚れをスーッとそぐと、お湯など使わなくても簡単に油がこそげます。 換気扇の掃除などは、夏だと冬の半分以下の時間でできるので、わが家では、毎年「海の日」にやると決めています。逆に、これを冬にやろうとすると、寒さで油がカチカチに固まっているので取り除くのが大変なのです。 また、水回りの掃除は、秋がおすすめです。なぜなら、秋は一番乾燥した季節だから。みなさん、冬が一番乾燥した季節だと思いがちですが、実は季節で一番カビが生えるのは冬なのです。暖房を家の中でガンガンたくため、結露してしまうから。 秋は、クローゼットの奥や押入れの内壁などを、しっかりしぼった雑巾で拭きあげておくと、カビ対策になるのでおすすめします。 ■年末の掃除はたったこれだけ「窓ガラス、玄関、冷蔵庫」 ――では、年末のこの時期に、押さえておくべき掃除ポイントってどこなのでしょう? 井田さん:玄関と窓ガラスです。お客様の出入りが多い季節なので、玄関はきれいにしておきたいですし、冬の日差しは低いので、窓ガラスの汚れが目立つからです。大掃除がまだの方はあまり詰め込まず、この2か所に絞っても良いのではないでしょうか? ただ、理想を言えば、これら「住」関係の掃除は本格的に寒くなる11月中にすませておくことをおすすめします。そして、12月は「食」の片づけで冷蔵庫を空にしてリセットし、新たにお正月の準備を入れましょう。 これらは、遅くてもクリスマスの飾りつけをする前のタイミングで行いたいものですね。 ――確かに、そのスケジュール感で進行すれば、年末がゆっくり過ごせそうですね。 井田さん:やることがいっぱい残っていると、「大晦日までにやらなくては!」と気持ちが焦ってしまいますよね。でも、早めに終わらせておけば、12月にやることが減ってくるので、ゆったりした気持ちで年末年始が迎えられます。 ちなみに、わが家では、大晦日は家族で映画を見に行くと決めています。最後にご褒美が待っていると、大掃除も家族みんなでがんばれますよね。 ■ママが完璧なほど、夫・子どもの家事力は弱体化? ――井田さんのお家では、家族みんなで大掃除を分担していたそうですが、家族に上手に協力してもらうためのコツはありますか? 井田さん:コツは、「選ばせる」ことです。まず、最初に、お母さんがやるべき掃除の項目を書き出します(写真参照)。そして、「どれがやりたい?」と家族に選ばせます。 この時、「これをやってよ」という言葉はNG。押しつけられると主体的に取り組めなくなってしまいますが、自ら選ぶと主体的に取り組めるようになります。 そして、自分の担当場所に自分の色のシールを貼り、できたら日付を入れます。この表は、みんなで共有することが大事なので、リビングなど見える場所に貼っておきましょう。 ――お掃除表を見ていると、旦那さまもずいぶん担当していますね? 初めからこんなに協力的だったのでしょうか? 井田さん:いいえ、全然(笑)。夫はもともと、掃除も料理も家事はぜんぜんできなかったのですよ。洗濯物ひとつにしても、ピンチに1カ所ずつ吊るすだけの状態で、まともに干すことができず(苦笑)。 料理も、最初は刻んだ肉、刻んだ野菜、ソースというふうに炒める順番に並べ、フライパンを置き、「この順番に炒めたら焼きそばができるから、お昼になったら子どもに食べさせてね」と。そこからはじまったのですよ。 ――そんな旦那さまがどうやってここまで成長を!? 井田さん:どんなにひどいやり方でも、まず、やってくれたことに「ありがとう」と感謝しました。 そして、「でも、こういう干し方だと、洗濯物全部にアイロンをかけなければならなくなるから、せめて2点をピンチで止めて干してくれたらうれしいんだけど…」と、「こうしてくれたらうれしい」と具体的に伝えて、少しずつ階段を上ってもらったのです。 ――階段を上ってもらうのに、上手なコツはありますか? 井田さん:コツは、だんだん手を引くことです。例えば、先ほどの料理の例なら、次は刻むところも任せるなど、だんだんと相手に任せる範囲を広げていくのです。そうしているうちに、夫は冷蔵庫の中身を見て料理を作れるほどになり、今では、週末のお昼の料理を担当しているのですよ。 ――すごいですね! そしてこれは、夫だけでなく子どもに対しても同様ですね? 井田さん:お母さんがぜんぶ家事を巻き取っていては、いつまでたってもお母さんはしんどいままですし、夫も子どもも成長してくれません。それに、全部やってあげるのは親切ではなく、相手を弱体化させるだけ。知らず知らずに、相手を何もできない人にしてしまうだけなのです。 本来、「できる」ということはとても楽しいことのはず。家事は100点も0点もなく、昨日の自分より上手にできたということが楽しいのですから、もっと楽しんでほしいと思います。片づけを通して、家族みんなが少しずつ家事力をつけてもらえばうれしいですね。 「全部やってあげるのは、親切ではなく、相手を弱体化させるだけ」。井田さんのこのお言葉は、2人目出産後、旦那に車の運転を頼りきりになって以来、まったく運転できなくなってしまった、わが身のことと痛感しました。 ちなみに、わが家では、ほぼ100%家事は私の担当。このまま夫の弱体化が進んだら…? と想像すると、ちょっと怖い未来が見えてきたので、ここでしっかり変えていこうと誓いました。 次回は、片づけを通して子どもに学んでほしいことについておうかがいします。 参考図書: 『片づけられない人はまずは玄関の靴を数えましょう』 (主婦の友社) 井田典子/著 1200円(税別) NHK総合テレビ「あさイチ」でスーパー主婦として活躍中の片づけ達人・井田典子さんが、「モノと時間と心の整理」をテーマに、人生を豊かにするヒントを綴った1冊。 まちとこ出版社N
2018年12月15日NHK総合テレビ「あさイチ」の“スーパー主婦”シリーズで、“片づけの達人”として大人気の井田典子さん。 「だ(出す)」「わ(分ける)」「へ(減らす)」「し(しまう)」というシンプルなルールで、数々の片づけが苦手な主婦の悩みを解決してきました。さらに、井田さんは自身の経験から、片づけが時間・お金・さらに心の整理にまでつながることを実感。著書 「片づけられない人はまずは玄関の靴を数えましょう」 (主婦の友社)では、モノと心を整えるアイデアを一冊にまとめました。 心が整った、すっきりとした暮らしを送るためには、まず「家の中のモノを数えることが大切」と言います。いったいどういうことなのでしょうか? お話をうかがってきました。 井田典子(いだのりこ)さん プロフィール 整理収納アドバイザー1級・相模友の会(婦人之友の会読者の会)所属。モノの整理が心を整えることを実感して、片づけ依頼を受けるようになった。NHK総合テレビ「あさイチ」などで“片づけの達人”“スーパー主婦”として活躍。うかがうお宅の住人に寄り添った、ていねいな片づけアドバイスに人気が集まっている。 ■自分の靴の数、すぐに答えられますか? ――最新刊「片づけられない人はまずは玄関の靴を数えましょう」の題名にならって、私も玄関の靴の数を数えてみました。そうしたら、私の分だけで24足もあって…。自分ではもっと少ないつもりだったので、この数には驚きでした。 井田典子さん(以下、井田さん):お仕事柄、靴がたくさん必要な方もいるでしょうし、何足にするのが正しい、という正解はありません。片づけは、その人の暮らしにより合うサイズを見つけていく作業。なので、その人、その家族ではないと、必要な数はわかりません。 まずは、自分が持っているモノの量を、なんとなくではなく、はっきり数で知ることは大事です。なぜなら、生活はすべてモノと数でできあがっているから。 すてきな暮らしがしたいというイメージがあっても、「あなたにとって、すてきな暮らしとは何ですか?」と聞かれた時に、きちっと答えられる人はなかなかいません。それと同じで、「靴、何足で暮らしたいですか?」と聞かれると、みなさん意外とわからないものなのですよ。 ――「靴、何足で暮らしたいか?」を考えた時、私の答えは12足でした。なのになぜこんな大量に? と見直したら、3年以上はいていない靴が5足、1年以上はいてない靴が4足もありました(苦笑)。 井田さん:その12足が、あなたにとってのレギュラーということなのです。そのレギュラーは、玄関のすぐ出せるところに並んでいることが大事。 迷わない、探さない、すぐ戻せる、管理ができる、という気持ち良さを毎日繰り返し確認できることは、自己肯定感を上げることにもつながります。 反対に、毎回探しモノをしたり、せっかく良い靴を持っていてもはかないでいることは、小さなことですけど自分を傷つけてしまいます。日々の生活で自分を傷つける要素は、少しでも減らしてほしいですね。 ■処分は罪悪感との戦い…「捨てる」ではなく「手放す」 ――ただ、そのモノを「減らす」作業って意外と難しいですよね…。「高かったから」とか「きっとまた、いつかはく日がくるから」と未練いっぱいでなかなか捨てられない(苦笑)。いさぎよく「減らす」ためのコツはありますか? 井田さん:私もそうだったので、お気持ちよくわかりますよ。でも、モノは勝手に腐ってはくれません。どんなに小さくても、勝手に消えてくれないのです。 だから、いつか誰かが処分しない限り、ずっとそのまま残ってしまいます。自分のモノは自分の代で処分していかないと、結局いつか、子どもや孫や誰かに迷惑をかけることになるのです。 また、たくさんモノがあるということは、それらを管理するエネルギーも自分にかかってくるということ。日々、「これ、ぜんぜん使ってないな」などと、使ってあげられないモノたちのことをチクチク気にしながらくらすのは、なんだか心苦しいですよね。 ――確かに、モノは使ってあげてこそ幸せ、ですよね。 井田さん:使わないとわかったら、そのモノはできるだけ早く手放しましょう。この時、「捨てる」とは考えないで「手放す」と考えることがポイント。少しでも価値があるうちに、自分の手から手放して、ほかに生かせる場所に移すと考えるのです。 これは、よく難しいと言われる実家の片づけでも同じように使えます。私たちの親世代は、特にモノを捨てられない世代ですが、「これ誰かにゆずってもいい?」と言うと、意外と素直に手放せる方が多いようです。 ――確かに、「捨てる」というと罪悪感がわいてきてしまうけれど、「手放す」だとそう感じませんし、誰かの役に立つと考えればうれしいですよね。 井田さん:最初から処分を考えるのは難しいので、まずは「選ぶ」ということをしてみてください。 靴の話に戻るなら、「昔、何万円も出して買ったから…」と過去にしばられるのではなく、「今、お金を払ってでもその靴を買いたいか?」と「今からはく靴を選ぶ」という基準で判断するのです。そう考えると、判断つきやすくなると思いますよ。 それでも手放せない場合は、とりあえず場所を移してみてください。玄関の靴箱を一軍だけにして暮らしてみると、二軍三軍のことはあっという間に忘れてしまいますから。そうすると、もう一軍の場所に戻す気にはならないはずですよ。 ■「枠」を決めて、管理は家族それぞれに「任せる」 ――自分のモノを減らすだけでも大変なのに、主人や子どもにもモノを減らしてほしい場合はどうしたらよいのでしょう? 井田さん:わが家にも、本好きの夫が毎週のように本を買ってきて本が増える一方だった時期がありました。そこで、まず本を収納する「枠」を決めて、そこからはみ出さないというルールを作りました。 そして、家族の誰かが読んでいる間は置いておくけれど、みんなが読み終わった本については、「もう一度この本を読むか?」が具体的に思い浮かばなかったら手放すという基準も作りました。 いったん「枠」を決めてしまえば、モノが際限なく広がることはなくなるので、とても楽になりますよ。 ――モノの管理には、まずは「枠」を決めることが大事。そして、その「枠」に入らない分はためこまず、常に見直す、ということですね? 井田さん:本棚やげた箱のような家族みんなが使う場所では、家族別の「枠」を作ります。例えば、「私はこの2段、夫はこの2段、子どもはこの1段」というふうに。 この時、「あなたの分はここだけにおさめて」と言うのではなく、「ここはあなたに任せるね」と言うのがポイント。任されるとうれしいものですから、本人にも管理する気持ちが生まれます。 ――確かに、言い方ひとつで全然印象が違いますね。また、これは、主人だけでなく子どもに対しても同じですね? 井田さん:そうです。「〇〇して」と言われると、誰でもやらされ気分になり反発心が生まれてしまいますが、「任せるよ」と言うと、子どもも張り切りますよ。そして、「何を入れるのか? どれくらい入るのか?」など、自ら考えるようになります。 子どもは、最初は筆箱やランドセルの中など、小さな範囲から任せると良いと思います。そして、その子なりに工夫して片づけられたら、行動や工夫を具体的にほめてあげましょう。 また、まだ小さいうちは、片づけるという言葉自体が難しいので、「戻してね」と伝えるとわかりやすいと思います。そうすると、「最初にどこにあったかな?」と子どもなりに一生懸命考えます。わかりやすいように、棚や引き出しに絵や写真を貼り、ざっくりグループ分けして片づける練習からはじめてみると良いでしょう。 家族片づけのコツは、「枠」だけ提供して、後は家族それぞれに「任せる」こと。夫や子どもが「枠」の中をそれぞれ自分で管理してくれるようになると、お母さんはきっとすごく楽になれるはずですよ。 「枠」を与えて後は「任せる」――。主人や子どもと、家の中で縄張り争いをしている場合ではないと実感(苦笑)。上手な片づけには、上手なコミュニケーションも必要なのだと思い知りました。 次回は、差し迫った年末の大掃除についておうかがいします。 参考図書: 『片づけられない人はまずは玄関の靴を数えましょう』 (主婦の友社) 井田典子/著 1200円(税別) NHK総合テレビ「あさイチ」でスーパー主婦として活躍中の片づけ達人・井田典子さんが、「モノと時間と心の整理」をテーマに、人生を豊かにするヒントを綴った1冊。 まちとこ出版社N
2018年12月14日平成最後の福袋シーズンが到来! 11月初めから各百貨店サイトでの販売がすでに始まっていますが、11月中旬からはいよいよ本格化。ファッション、コスメ、グルメなど、お得度の高い福袋が続々と登場予定です。 そこで、人気サイト 「福袋カレンダー」 を毎日更新しているMOMOTAさんに、今年の傾向と対策、おすすめの福袋をお聞きしました。 ■2019福袋はこうなる!「4つの傾向と対策」 平成最後、消費税値上げ前最後となる2019年の福袋。まずはその傾向を知っておきましょう。 2019福袋 傾向と対策その1:中身が固定「ファッション福袋」 一時期流行った“中身が選べる福袋”は過去のものとなりつつあります。2019年のメインは、中身が固定された福袋。中身のほとんどは通常商品ではなく、福袋用に製作された商品の詰め合わせとなっています。 2019福袋 傾向と対策その2:福袋の花形「アウトドア&スポーツ福袋」 アウトドアファッションの福袋は、今や福袋の花形! ふだんはなかなか買う機会がないアウトドアブランドも、福袋なら気軽に試せます。スポーツ系もお得な福袋が多いのですが、なかでも最近進化しているのがゴルフ系の福袋。デザインが良く、コスパにも優れたものが増えています。 2019福袋 傾向と対策その3:ハズレなし「グルメ福袋」 お菓子やワイン、調味料など食品系の福袋は、元の値段がはっきりしていることからハズレなしでお得感抜群。自宅用としてはもちろん、贈答用にも使えます。最近はレトルトや缶詰など、災害時にも使える内容の福袋が充実。日持ちがする食品を、福袋でそろえておくのもおすすめです。 渋谷東急百貨店でお正月から販売される、お天気キャスターの森田正光さんがセレクトした「ご自宅防災アドバイス&防災グッズ福袋」もおすすめ。 2019福袋 傾向と対策その4:愛用ブランドをまとめ買い「コスメ福袋」 百貨店やコスメブランドのサイトで販売されているコスメ福袋は、毎年大人気。ふだん愛用しているコスメブランドを狙えば、ハズレがなく安心です。クリスマスコフレと福袋の内容がほとんど同じ、という場合も多いので、内容をよく確認しましょう。 ■2019福袋「狙い目ジャンル別 おすすめ福袋12選」 2019福袋の「傾向と対策」で紹介した「ファッション」「アウトドア&スポーツ」「グルメ」「コスメ」の4ジャンルに絞り、人気のブランド・メーカーの福袋の内容や販売スケジュールをご紹介します(2018年11月13日現在)。 ファッション福袋 アーノルドパーマー タイムレス 品質の良さが評判で、毎年福袋を買うリピーター多数。レディースとメンズがありますが、とくにレディースは一瞬で完売するほどの人気です。公式サイトでは12月5日より販売スタート。レナウンが扱うその他のブランドも、同じサイトで同日に発売開始となります。 UNTITLED(アンタイトル)/INDIVI(インディヴィ)/aquagirl(アクアガール)など 通勤やおでかけなど、幅広いファッションを扱うワールドの各ブランド。公式サイト 「ワールドオンラインストア」 での販売時期は12月初旬と告知されています。ほかに、各百貨店などでもブランドにより販売されます。 INED(イネド)/ef-de(エフデ)/CLEAR IMPRESSION(クリアインプレッション)など 上品で着回ししやすいアイテムがそろうフランドルの各ブランド。2018年の販売時期は未定ですが、例年12月上旬から予約受付となっているので要チェック。公式サイトに加えて各百貨店や楽天市場でも販売予定です。 OFUON(オフオン)/a.v.v(アー・ヴェ・ヴェ)、ELLE(エル)など きれいめファッションがそろうイトキンの各ブランド。公式サイトでの販売時期は未定ですが、昨年は11月下旬から開始されました。ほかに各百貨店や各ファッションサイト、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどでも取り扱いが予定されています。 イーザッカマニアストアーズ 季節を問わず、ナチュラル系コーディネートが楽しめる福袋を販売。公式サイトのほか、楽天市場やYahoo!ショッピングでも購入できます。お正月の福袋は例年、元旦0時から販売されていますが今年は未定です。 ナチュラン 着心地のいいナチュラル&カジュアルファッションのセレクトショップ。福袋は通年販売されていますが、なかでもD*g*y(ディージーワイ)やRIMLAND(リムランド)は、発売後すぐに売り切れることが多い人気ブランド。2019年お正月の福袋は、今年も12月に開催されそうです。 russet(ラシット) モノグラム柄のバッグが根強い人気で、年末に売り出される“3点SET”が福袋にあたります。公式サイト「パルクローゼット」に加え、 ZOZOTOWN でも販売される可能性あり。販売時期は未定ですが、昨年、一昨年ともに12月1日なのでこの日が有力。 アウトドア&スポーツ福袋 AIGLE(エーグル) 洗練されたデザインが人気のアウトドアブランド。福袋は公式サイトに加えて多くの百貨店サイトでも購入できますが、どこでも即完売するほどの人気を誇っています。今年の日程は未定ですが、例年12月中旬に販売。 adidas(アディダス) スポーツファッションの定番で、“ハズレ”が少ないことで有名。公式サイトでは随時割引クーポンが配られているので、タイミングが合えばお得です。今年の販売日程は未定ですが、公式サイトに加えて楽天市場やYahoo!ショッピング、スポーツショップ等でも販売予定。 グルメ福袋 八天堂 クリームパンで人気の店。今年は例年よりも1カ月早く“歳末セット”として福袋を開始。早めに注文すると年内に配送してもらえるので、お正月に家族で楽しむのもおすすめです。 コスメ福袋 ニールズヤード レメディーズ 高級オーガニックコスメのブランド。11月3日から東急百貨店で販売が始まりましたが、こちらはすでに完売。今後は公式サイトのほか、各百貨店でも販売予定となっています。昨年は公式サイトでメルマガ会員先行予約を行ったので、購入を考えている人は早めに登録しておきましょう ロクシタン 固定ファンが多く、毎年店舗には福袋を求める長い行列ができます。中身はスキンケア、ヘアケア、ボディケアなどかなり豪華。今年の販売時期は未定ですが、昨年は11月下旬よりLINEとメルマガ会員の先行予約が行われました。 お得な福袋を上手に活用すると、節約にもつながりますね。計画的に買い物をして、気持ちよく新年を迎えましょう。 MOMOTAさん プロフィール 元タレントで、365日更新している「福袋カレンダー」の管理人。 福袋購入歴40年を超えるが、8年前、子どものために「ダディオダディ」の福袋を購入したことがきっかけで福袋サイトをスタート。 ・福袋カレンダー
2018年11月15日たらちね助産院院長、大坪三保子先生にお話を聞く連載。 小さなママ・コミュニティの大事さをうかがった 第1回 、情報に振り回され過ぎない子育てをうかがった 第2回 に続き、最終回は育児に忙しいお母さんが無理なくできて、自分を癒せるセルフケアについてうかがいました。 お話をうかがったのは… 大坪三保子先生(たらちね助産院院長) 久留米大学看護専門学校、熊本大学医療技術専門短期大学助産学科卒業。たらちね助産院院長、助産師・看護師。子育て支援グループamigo顧問。母と子のウェルネス研究会幹事。『はじめてのベビーマッサージ』(保健同人社)、『安産のための体と心をつくるHappyマタニティ・ヨガDVD付』『キレイで元気なママになるHappy産後ヨガDVD付』(共に高橋書店)など著書多数。 ・たらちね助産院 ■育児のコリ・ストレス・緊張「タオル1枚でときほぐす」 マタニティ、産後ヨガクラスを長年開催している大坪先生。出産したばかりのママ、子育て中のママのセルフケアには、ヨガの呼吸法や動き、心の持ち方を取り入れています。 大坪三保子先生(以下大坪先生):お母さんたちにはよく「脈をとってみましょう」と言っています。ちょっとやってみましょうか? 左手首の親指側に右手の人差し指、中指、薬指3本を置いて、自分の脈を感じてみてください。自分の脈を感じているときって呼吸はどうなりますか? 吸う息と吐く息、どちらを意識するようになりますか? ──ゆっくりになりますね。そして特に吐く息を意識しているように思います。 大坪先生:そうですね。脈をとるというのは、自分の身体を感じようとしていることなんですけど、呼吸がゆっくりになります。そして、呼吸がゆっくりになると、自分の身体や心を感じて穏やかな気持ちになります。 そうすると、「自分自身の身体と心の穏やかな状態のなかで、生きるための判断ができるようになる」という自分の芯の部分とつながれる感覚が芽生えると言われています。ヨガでは、それを理知と呼んでいるそうです。 ──久しぶりに自分の脈を感じました。自分の体を感じることで、わかることがあるんですね。 大坪先生:日々の生活で、自分が「ここにある」という感覚になるのはなかなか難しいと思うのですが、そういう感覚になるために、ヨガではポーズをとったり瞑想をしたりしますよね。 瞑想すると呼吸がゆっくりになって、自分の心を止めることはできないんですけど、穏やかになる。そうすると、自分が今なすべきこと、なさざるべきことが見えてくると言われています。 そのために脈をとることをご紹介しましたが、それ以外に少し感じにくいところを感じてみる方法もあります。どこにでもあるふつうのタオルを使ってできますよ。 ──フェイスタオルを使うんですね。 大坪先生:例えば、背中ってふだん、あまり感じないですよね。ちょっと仰向けになって、肩甲骨のあたりにタオルを入れるんです。肩甲骨の下に入れると胸が広がるので、授乳や日常の作業で前かがみになりがちな方にいいですよ。 ちょっとタオルを置いただけで体の感覚が変わりませんか? ──タオルを置いた部分を意識しますね。そして、なんだか眠くなりました。 大坪先生:あとは、正座をしてみてください。頭の上にタオルを置いてみますね。タオルを置かれると「タオルを落としたくないな」と姿勢が変わりますよね。これだけでも感覚が変わるんです。鼻がだんだん抜けてきて、呼吸が楽になる。腹筋もしゃきっとしますよね。 ──タオル一枚で、できるのがいいですね。 大坪先生:妊婦さんにもするんですけれど、足首の下に置いたり、おなかの緊張をとりたい方は膝下に置いてもいいと思います。腱鞘炎になっている方は、ひじの下に入れるとすごく楽になります。 ふだん、よく使っている関節のところに置くのがいいと思います。関節って筋肉がついているところとついていないところの接点なので、重力の影響を受けているところにタオルをあてがってあげるんですね。 ■たった5分で忙しい心をリセット ──時間はどのくらいがいいのですか? 大坪先生:3分から5分くらいでも十分ですよ。あまり長くやると昼間は反って眠気が強くなったりするので、10分程度でも十分です。もちろんそのまま夜は寝てしまっても大丈夫ですよ。 赤ちゃんがいる忙しい生活の中で、5分という時間だけでも、リセットできると思います。緊張がとれて気持ちも楽になるという方もいます。 5分間、楽にしたいなというところにタオルをおいていただくだけなので、ぜひ試してみてください。 ■寝る前に安らかな気持ちになることも大事 大坪先生:それから、夜はできるだけ安らかな気持ちで眠りにつくことは大事だと思います。 明治生まれの祖母が「夫婦げんかは夜してはだめ。日中に話し合うこと」とよく言っていました。夫婦でいると話し合うことはもちろん必要ですが、いつも気持ちが通じ合うことは難しいかもしれません。 ですが、夜に興奮しすぎてしまうと気持ちが収まりにくくなります。交感神経がたかぶることで眠れなくなりますし、自律神経のバランスを崩してしまいます。寝る前は穏やかな気持ちで寝たほうがいいですよね。 ──そのためにはどうしたらいいですか? 大坪先生:パートナーとお互いに寝る前のルール―を決めるというのはどうでしょうか。お互い穏やかな気持ちで眠りにつくために、「けんかをしていても『おやすみなさい』は言おうね」とか、寝る前にパートナーに何かひとつでもいいから褒めてもらうとか、優しく「おやすみ」と言ってもらうだけでもいいと思います。 ──あいさつだけでもいいんですね。 大坪先生:「おはようございます」「ありがとう」「おやすみなさい」は魔法の言葉ではないでしょうか。 さまざま出来事があっても、そこで仕切り直しができる言葉です。何か魔法の言葉をひとつ決めておく、もしくはふるまいを決めておくと、これだけは守るというルールになっていいと思います。肩をさするなどスキンシップをして寝るのでもいいですね。 ──家族間のコミュニケーションが大切ということですね。 大坪先生:家族という単位で、さまざまなことを乗り越えていかれると思いますが、そこでのストレスを軽減して家族の絆を深めていただきたいです。 そういうストレスは、弱いところに影響が出てしまいがちです。「親しき仲にも礼儀あり」ではないけれど、話し合い折り合いをつけ、相手を思いやって関係性を培っていく働きかけを、お互いが心がけていく。 その中で、子どもとの関係も育っていくのではないでしょうか。元気な朝を迎えるために、眠りにつくときは安らかな気持ちになる儀式をつくるといいですね。 シングルマザーの方も、赤ちゃんと二人きりで頑張りすぎず、家族や友人、地域の支援者とのコミュニケーションをとられることをおすすめしてます。 「子どもを育てるには村が必要」と言われていますが、誰かと気持ちをわかち合うことで、子育てがぐっと楽になると思います。 全3回の取材をさせていただいた中で印象に残ったのは、忙しい中でも自分の気持ちを理解しながら子育てをする大切さでした。そして、自分の気持ちを理解するためには、家族をはじめ、身近な方とのコミュニケーションが大切ということ。 そういえば、忙しい日々の中で自分の気持ちや家族の気持ちが置いてけぼりになってしまうことが、当たり前のようになりがちだな…とそんなことを考えました。もうかなり大きくなった小中学生のわが子への向き合う気持ちも、少しだけ変えようと思えた取材でした。 取材協力: ・NPO法人子育て支援グループamigo 世田谷区松原を拠点に 2001年から「産前産後」に特化して活動、2014年5月より特定非営利活動法人に。“一緒に楽しく子育てしようよ!”を合言葉に、助産師や保育士と連携しながら、生まれてくる子どもたちとその親が、地域の温かい人間関係の中で支えられ、すこやかに成長していくことができるよう、出産・育児を支援。大坪三保子先生のお話やベビーヨガ、ベビーマッサージが掲載されている冊子をホームページで販売。
2018年11月08日お金をかけずにセンスのいい子ども服をたくさんそろえたい! そんなママたちの思いに応えてくれるのが、人気子ども服ブランドの福袋です。今年も11月から、ネット販売がスタート! 一部では早くも品切れの商品が出てきています。 そこで、この道40年の 「福袋カレンダー」 管理人・MOMOTAさんに、福袋選びのコツをリサーチ! 人気子ども服ブランドの最新販売状況も教えてくれました。 ■福袋2019「お得な子ども服福袋を手に入れる必勝3カ条」 人気の福袋は、毎年激戦! 欲しい福袋を手に入れるにはどうしたらいいのでしょうか。まずはそのコツを押さえておきましょう。 2019福袋必勝 その1:店頭よりもネット通販を優先! 欲しいブランドが決まっているなら、まずはネット通販サイトを探しましょう。ブランドの公式サイト以外にも、百貨店の公式サイトや ZOZOTOWN 、 楽天市場 、 Yahoo!ショッピング などでも多くのブランドを扱っています。 「メーカーの方やブランドの方にお話をうかがうと、福袋の販売実数は店頭よりも通販の方が圧倒的に多いんですよ(MOMOTAさん)」。 店頭に並んで福袋を購入するのは、ネット通販で売り切れてしまい、どうしても手に入らなかった場合のみ、と考えましょう。 2019福袋必勝 その2:入手困難なブランドは百貨店を狙え! その1でご紹介したように、年内のネット通販でお目当ての人気ブランドが売り切れてしまっていたら…あきらめるのはまだ早いです! 年が明けたらすぐ、百貨店の初売りに足を運んでみましょう。 「年内には入手困難だった福袋が、百貨店の初売りで大量に投入されることがよくあります(MOMOTAさん)」。 百貨店の広告や公式サイト、「福袋カレンダー」などの情報サイトで、情報をチェックしておくのがおすすめです。 2019福袋必勝 その3:アウター一点勝負でハズレを回避! ファッションブランド福袋の場合、多くは既製品ではなく福袋専用の商品が詰め込まれています。すべての商品が気にいる“パーフェクト”な福袋に出会うのはなかなか難しいもの。 購入を迷ったときは、好きなアウターが入っているものを選べば、ハズレ福袋のリスクを回避できます。 「アウターは製作にお金がかかっているので、とくに価値が高い商品ですから(MOMOTAさん)」。 そのほかの自分の趣味ではないな…という商品は、友人に譲るかフリマアプリに出品するといいでしょう。 ■福袋カレンダー「人気子ども服ブランド9選」福袋カレンダー MOMOTAさん運営のサイト「福袋カレンダー」でとくに反響の大きい、子ども服をピッックアップ! それぞれの販売スケジュールをご紹介します。 販売中 ミキハウス/ダブルB(ダブルビー) 定番人気のブランドで、福袋にはお得感あり。11月1日より、公式サイト「ミキハウス」や楽天市場内の公式ショップでの販売がスタートしています。ミキハウス、ダブルBともに男の子用・女の子用に分かれており、1万円・2万円・3万円・5万円の4種類(いずれも税別)。サイズは80〜150cmまで展開されていますが、80〜100cmは早く売り切れる傾向があります。 メゾ ピアノ ジュニア/クレードスコープ/X-girl Stages(エックスガールステージス)など 子ども服を多く扱うナルミヤ・インターナショナルのブランド。未就学児から小学校高学年まで幅広い年代の子どもに人気で、男の子用・女の子用に分かれています。価格は8000円〜1万2000円(税別)まで用意されています。中身がすべて公開されているので、失敗するリスクがなく安心。公式サイト「ナルミヤ・オンライン」で10月1日から第1次、10月31日から第2次販売がスタートしています。 組曲KIDS 大人顔負けのデザインがおしゃれな女の子に人気。10月後半から近鉄百貨店、東急百貨店、京王百貨店、小田急百貨店、西武そごう百貨店等の各公式サイトで販売が始まっています。ジャケットやワンピースなど5点が入り1万円(税別)で、100〜160cmのサイズ展開。カラーはサックスとピンクの2色から選べます。公式サイト「オンワード・クローゼット」での販売日時は未定ですが、昨年は12月7日よりスタートしているので、今年も要チェックです。 OJICO(オジコ) 電車や車をデザインしたユニークなTシャツでおなじみのブランド。価格は男の子・女の子ともに1万円(税別)で、メンズ・レディースサイズもあります。福袋専売品ではなく、過去に売られていたアイテム数点+新作Tシャツ1枚が入っているのが特徴。10月18日より公式サイト「OJICO」で販売されていますが、各サイズともに残りわずか。加えて、東急百貨店、髙島屋百貨店、伊勢丹百貨店、三越百貨店、京王百貨店の各公式サイトでは別内容の福袋を販売中です。 CHEEK ROOM(チークルーム) 「みて、さわって、かんがえて」をコンセプトにした知育服を提案。新幹線や働く乗り物がモチーフになったセットと、ハンバーガーやポテトをデザインしたセットの2種類があり、どちらも4点で4000円(税別)、サイズは80〜110cm。公式サイトの「ベビールーム」では取り扱いがなく、楽天市場内やYahoo!ショッピング内の小売店でのみ販売しています。 Daddy Oh Daddy(ダディオダディ) 毎年、発売後即完売となる人気の福袋。今年は男女ともにコートやトレーナーなど7アイテムの1万円と5アイテムの5000円(共に税別)があり、サイズは80〜140cm。11月6日18時より、直販店の 「こどもの森e-shop」 に加えて、楽天市場およびYahoo!ショッピングの公式ショップで販売が始まりました。また、楽天市場やYahoo!ショッピングの一般小売店では、ひと足早く10月下旬から販売中。 11月12日(月)12時スタート F.O.KIDS(エフ・オー・キッズ) 最近、「福袋カレンダー」でのアクセスがぐんと伸びているブランド。男の子用・女の子用に分かれており、どちらもウエア5点+バッグ1点で7000円(税別)。サイズは80〜140cmまで用意されています。公式サイト 「F.O.Online Store」 で11月12日から販売スタート。楽天市場内の「チロル」「にんじゃかKIDS」などでは、同じ商品が11月1日よりすでに販売されていますが、一部サイズは完売となっています。 11月17日(土)スタート KP(ケーピー) 品質の良さで百貨店での取り扱いも多く、人気急上昇中のブランド。男女ともに価格は1万円(税別)。女の子はアウターの色をサックスブルーとラベンダーの2色から選べる5点セットで90〜150cm、男の子はブルー1色の5点セットで90〜140cmとなっています。公式サイトの 「KPニットプランナー」 に加え、楽天市場・ZOZOTOWN内の公式ショップ、京王百貨店公式、小田急百貨店公式でも同日からスタートします。 開始時期未定 BEBE(べべ)/WASK(ワスク) 着心地の良さとファッション性の高さで、男女ともに人気のBeBeとWASK。公式オンラインショップ 「BEBE MALL」 での販売開始時期は未定ですが、昨年は10月下旬より開始となっていました。なお、BeBeは小田急百貨店公式や楽天市場内の小売店にて、11月1日から販売スタートしています。 ここで紹介した福袋はどれも人気なので、迷ったら早めの購入がおすすめ。お得度の高い福袋を上手に使って、親子でおしゃれを楽しみましょう。 MOMOTAさん プロフィール 元タレントで、365日更新している「福袋カレンダー」の管理人。 福袋購入歴40年を超えるが、8年前、子どものために「ダディオダディ」の福袋を購入したことがきっかけで福袋サイトをスタート。 ・福袋カレンダー
2018年11月07日たらちね助産院院長、大坪三保子先生にお話を聞く連載。 第1回 は、乳児を育てているママたちには、小さなママ・コミュニティが大きな助けになるという話をうかがいました。 第2回は、大坪先生が取材中に何度も口にされた「腑(ふ)に落ちる」子育てについて考えます。 お話をうかがったのは… 大坪三保子先生(たらちね助産院院長) 久留米大学看護専門学校、熊本大学医療技術専門短期大学助産学科卒業。たらちね助産院院長、助産師・看護師。子育て支援グループamigo顧問。母と子のウェルネス研究会幹事。『はじめてのベビーマッサージ』(保健同人社)、『安産のための体と心をつくるHappyマタニティ・ヨガDVD付』『キレイで元気なママになるHappy産後ヨガDVD付』(共に高橋書店)など著書多数。 ・たらちね助産院 ■「自分はなにがしたい?」あふれる子育て情報の取捨選択 ──第2回はいろいろな子育て情報があふれているなかで、どうやって子育てをしたらいいかを中心におうかがいます。 大坪三保子先生(以下大坪先生):人間は不安なことがあると、最悪の事態を考えがちです。不安なことや危険なことを調べるのはいいのですが、ネットで世界中から情報が入るので、深く掘りすぎてしまう傾向はあると思います。 ──不安を助長させる傾向があるということですね? 大坪先生:センセーショナルではない平凡な情報はかき消されていきますよね。わりと極端な情報がいつまでも残る傾向はあると思います。 例えば、「完全母乳」という言葉も、育児に「完全」や「不完全」があるわけではなく、学術的な調査研究の世界で、人工乳の期間を分けなくてはいけないので「母乳だけの期間(Excluseive breastfeeding)」というような使い方を最初はされていました。それが、言葉を短くした造語もできて、「私カンポじゃないんです」などと使われるようになりました。 ──「完全母乳」がもともと学術用語だったとは知りませんでした。 大坪先生:その言葉が一人歩きをして、時にはお母さんたちが自分自身を責めてしまうこともあるようです。母乳で育てたい母親を支援する NPO法人ラ・レーチェ・リーグ日本 では「使いません『完全母乳(完母)』という言葉~一人ひとりの子育てに寄り添って~」という声明を出しています。( 参照) ──言葉の影響が時に大きいということですね。 大坪先生:赤ちゃんは、お母さんが穏やかなやさしい気持ちでいてくれていることで、赤ちゃん自身もうれしいみたいです。赤ちゃん自身を見つめて微笑んでもらったり、やさしい言葉かけやなでてもらう時間や抱っこの時間が度々あったりすることで落ち着いていられます。 そのためには、情報をなにかと比べたり責めたりすることではなく、気持ちを整理することに使うとよろしいのではないでしょうか。自分が腑に落ちているかモヤモヤしているのか、まずは感じることがその後につながるのではないでしょうか。 知り得た情報を誰かと共有し気持ちを分かち合うことができれば、なお納得することに役立つのではないかと思います。 ──気持ちを受けとめてもらうのは、LINEなどのSNSを通してでもいいのですか? 大坪先生:文字情報は、自分が読みたいように読む、切り取りたいように切り取る、という傾向があるので、そのことも含めて使用することが必要かもしれません。 人間はコミュニケーションをとる時、相手のジェスチャーや顔色、目などのボディランゲージを見ながら会話を成り立たせているので、やはり誰かと直接話すことは大事じゃないかしらと思います。第1回目で話したような集まりを利用するのもいいし、家族に自分の気持ちを話すなども有用だと思います。 ──身近な存在である家族とコミュニケーションをとれればいいですね。 大坪先生:仲が良かった夫婦でも産後に仲が悪くなったと話す方もいますが、「あなたがやらないからじゃない」など方法を言い合って責めてもつらいですね。相手の気持ちはどうなのかと注目するだけでも理解がすすむこともあるようです。 ■授乳や排せつの回数・量「大切なのは“記録より五感”」 ──育児アプリなどについてはどのように考えていらっしゃいますか? 大坪先生:育児アプリ使用されている方が増えていますね。授乳の度に記録をずっとつけていらっしゃるかたもありますね。 ──授乳の回数や量、排せつなどの記録はつけた方がいいですか? 大坪先生:お子さんが病気の場合や、医師や医療従事者から「しばらく情報共有したいので」と依頼されていたらその期間は必要です。 そうではない場合は、記録よりはお母さんの感覚もとても大切だと思います。授乳の回数、時間よりは、母乳ならお母さんの飲み取られている感覚、ウンチのいつもの様子とかですね。回数や時間にとらわれていると、その事柄自体がよく見えていないことってありますよね。「どんなウンチでした?」と聞かれると答えられないとか…。 ──確かに、オムツなどよく見ないでさっさと交換していました。 大坪先生:「紙オムツにしているおしっこ、どんな感じでした?」と聞くとみなさん「え?」って答えますよ。「おしっこは出ているようだけど、おむつは乾いていました」など、回数よりもぬれ心地とか、赤ちゃんの表情が大事な情報なんですね。だから、五感で感じてください、とよくお母さんにお話しています。 ──目で見る以外にどうすればいいのでしょうか? 大坪先生:目でみるだけではなく、肌で感じてください。においも感じてください。赤ちゃんを五感で感じてくださいね。時々、「目の情報が多すぎるなと思ったら目を閉じてください」とお話しています。目を閉じて赤ちゃんのおなかに触れてみる、汚れたおむつのぬれ具合を触ってみるなどをしてみると、感覚がぐっと上がってきます。 ──手で触れる感覚が大事だと考えて、先生はベビーマッサージをすすめられているのですか? 大坪先生:手の感覚は大事ですね。お母さんが体で感じることが大事だと思います。抱っこも縦抱きや横抱きしなければいけないわけではなく、赤ちゃんが穏やかで気持ちよさそうににこにこっとしてくれればいいのです。そういった赤ちゃんが心地いい抱き方って、お母さんが緊張をゆるめて手で感じないとなかなかできないですよね。 ──初めての育児だと、なにが正解かまるで分からない状態ですが、やはり自分の五感で培っていくしかないということですね? そうすると、情報としてはどんな情報を得ていけばいいのでしょうか? 大坪先生:お母さん自身が穏やかでいれば、必要な情報が見えてきて、聞こえてくるのではないでしょうか? 極端な情報ばかり追いかけることもなくなるかと思います。 ──母親が穏やかな気持ちでいることが大事なんですね。 大坪先生:自分の心と相談する。ゆっくり深呼吸してみてもいいかもしれません。そのために、誰かに気持ちを聞いてもらい、相談する。そして、自分が情報にとらわれ過ぎて赤ちゃんの表情が読めなくなったら、しばらくスマホやパソコンから離れてみるのも必要かもしれませんね。 ■「ハイハイしないけど大丈夫?」赤ちゃん自身の成長する力を信じる ──それでもついつい「より良い発達・発育」を求めて情報検索をしてしまいがちです。 大坪先生:赤ちゃんには「成長しよう」という欲求があります。今、NHKの番組『みんなで筋肉体操』が流行っているそうですが、そこで紹介されている体操は赤ちゃんの動きにそっくりなものも多いんです。 スクワットが良い例ですね。つかまり立ちを始めた赤ちゃんってずっとスクワットみたいな動作をしていることがあるでしょう? 赤ちゃんの自然な欲求として、次の発達に結びつく動作を自発的にするんです。 ──赤ちゃん自身が自分になにが必要かを知っているということですか? 大坪先生:ハイハイをしないお子さんもいるので、「ハイハイしないといけないですか?」と聞かれることもあります。でも、ハイハイしないで立てるようになり、歩く方法を自分で身につけていくお子さんもいます。子どもの発達は自分のやりやすいところからやるので、それを無理に妨げる必要はないと思います。 ──「ハイハイしなければいけない」などと情報に振り回され過ぎず、まずはわが子を穏やかに気持ちで見守るといいのですね。今日はありがとうございました。 大坪先生が頻繁に使われている「腑(ふ)に落ちる」という言葉を辞書で調べると、腑とは、「1.はらわた。内臓。胃 2.心。心根。性根」をさし、腑に落ちるとは、「納得がいく、合点がいく」( 小学館 デジタル大辞泉 より)という意味を持っています。 先生がこの言葉を使われているのは、頭だけではなく、肝の部分から自分で納得していくことが、忙しく情報の多い現代社会の子育てで大切なことと伝えるためだと感じました。 最終回は、忙しいママでもできる1日5分のセルフケアについておうかがいします。
2018年11月02日世の中では「子育て支援」がうたわれているけれど、まだまだ産後の子育てに四苦八苦しているママはたくさんいるのではないでしょうか。 ベビーマッサージや産後ヨガの著作も多数ある、たらちね助産院院長の大坪三保子先生は、子育て中のママやパパと日々向き合って支えています。 そんな大坪先生に、乳児を育てるママが少しでも快適に過ごすためのお話をうかがいました。 お話をうかがったのは… 大坪三保子先生(たらちね助産院院長) 久留米大学看護専門学校、熊本大学医療技術専門短期大学助産学科卒業。たらちね助産院院長、助産師・看護師。子育て支援グループamigo顧問。母と子のウェルネス研究会幹事。『はじめてのベビーマッサージ』(保健同人社)、『安産のための体と心をつくるHappyマタニティ・ヨガDVD付』『キレイで元気なママになるHappy産後ヨガDVD付』(共に高橋書店)など著書多数。 ・たらちね助産院 ■ママの悩み「自分の時間がない」を解消する3つの“間” ──乳児を育児中のママには5~10人程度の小さなママ・コミュニティに参加するのがおすすめとうかがいました。 大坪三保子先生(以下:大坪先生):子育ての孤独感を癒すには、ピアサポートと呼ばれる、同じような課題に直面する人同士が互いに支えあうことが大切と言われています。 さらに、少人数のグループであれば、相手の話が聞きやすく自分も話しやすいので、お互いの支え合う力が引き出されやすいようです。 子育て支援では「時間、空間、仲間の三間(さんま)」が大切と言われるのですが、時間、空間を共有する仲間ができると、自分の気持ちを吐き出せたり、自分自身を見つめ直したりできます。 子どもを生むと「自分が自分でなくなる」「自分の時間がない」とストレスに感じる方もあるようですが、同じように子育てに悩む母親の話や気持ちを聞いたり話したりするうちに、共感しあうことで穏やかな気持ちになれるようです。 ──ママ一人だとなかなか難しいということですか? 大坪先生:一人でいてはダメということではないのですが、考えが広がりにくく、不安要素が強い時などは視野がそこに集中しがちです。 例えば、赤ちゃんの泣き声って救急車のサイレンよりも心拍数を上げ、人をドキドキさせると言われていますが、赤ちゃんが泣いていると「なにかしてあげなくちゃ」と不安になりますよね。 でも、それが誰か知り合いと一緒にいる時だったら、不安は薄まりませんか? むしろ、ずっと泣いていた赤ちゃんが泣き止んだら、その場にいる人がみんな「あーよかった」と共感し連帯感が生まれたりしますよね。 ──仲間といれば、赤ちゃんが泣いても、不安ではなく共感が生まれることがあるということですね。それでは具体的に、どのような場所に出かけたら、ママ・コミュニティに参加できるのでしょうか。 大坪先生:やはり子育て中は地元の集まりがおすすめです。ご近所に知り合いができると、災害時の安心や防犯にもつながります。 2回、3回と同じ人と会えば親しく感じることができるので、できれば同じところに2、3回以上通えればなおいいと思います。 ■ママの集まり「小さなコミュニティ“2つのメリット”」 ──小さなコミュニティがおすすめの理由はほかにもありますか? 大坪先生:出産すると生活が大きく変わり、今まで経験したことのないことが次から次へと起こります。戸惑いや不安からネット情報収集に走ってしまいがちになる方も多いのではないでしょうか。 そのようにとまどいながら日常生活を送っている中で、遠方への外出やたくさんの人とのかかわりは疲れないでしょうか。また、赤ちゃん自身もママとのコミュニケーションを高めているところなので、5~6人程度から多くても10人程度が集まる場所の方が疲れないと思います。 行政も子育て支援に力を入れていて、そういった母親同士が集えて安心して話せる居場所作りをサポートしているところも増えてきています。子育て支援の窓口や保健センターで相談してみられると良いと思います。 ──同じような境遇のママ同士が集まることもメリットがありますか? 大坪先生:ママ・コミュニティの場合は、赤ちゃんを育てている方たちが集まりますよね。みなさん赤ちゃんを通じて家族の健康や幸せを願う気持ちが高まっていらっしゃるので気持ちが分かり合え、励まし合って情報を共有されています。そのことが孤独感を癒し、子育てを続ける元気につながっていかれるようです。 ■人見知りママ「産後の今だからコミュニケーション力アップ」 ──人見知りのママは、どうすればいいのでしょうか? 初めてなにかに参加する時はハードルが高そうです。 大坪先生:私が開催しているものでも、参加者の人数や年齢などの問い合わせがあります。年齢が高い方や、逆に若い方も気がひけることがあるようです。でも、参加前はいろいろ気にしていた方も、実際にいらっしゃると赤ちゃんを通してつながっていきますよ。 ──お互いの年齢が異なっても仲良くなれるんですね。 大坪先生:お母さんになったら、みんなスタートは一緒だ、と思われるみたいですよ。そして、赤ちゃんが仲間を作ってくれます。「子はかすがい」と言いますが、お母さんが無理に話さなくても、赤ちゃんがほかのお母さんを見つめてくれたりすると、そこで会話が生まれます。 ──赤ちゃんがいることで場が和むのですね。 大坪先生:赤ちゃんって笑顔を引き出すのが上手なので、こちらのリアクションに赤ちゃんが笑顔を返してくれるだけで、こちらも笑顔になります。場に安心感が生まれ、その場にいるみなさんも自然と笑顔になります。 ──さらに、産後のお母さんはホルモンのおかげでコミュニケーションが上手になると聞きました。 大坪先生:オキシトシンというホルモンがあるんですけど、それが人の社会性に働きかける、と言われています。 オキシトシンは、お産の時に子宮を収縮させたり、おっぱいを押し出す働きがありますが、子どもを抱っこしたりして触れ合うとオキシトシンの分泌スイッチが入りやすくなるそうです。 産後は特にオキシトシンへの感受性が高まり、お母さんの社会性に働きかけるので、コミュニケーション力が高まるのではないでしょうか。 ──ホルモンがお母さんのコミュニケーションを助けてくれるんですね。それでもなにを話したらいいかと心配な場合はどうすればいいですか? 大坪先生:「なにか話さなければ」と思う必要はありません。人の話を「ふんふん」って聞いていればいいんですよ。しかも、赤ちゃんは日々成長するので、話題には事欠かないですよね。一人ひとりの性格もいろいろですし、親の関わり方もいろいろで多様性もありますし。 ──ママ・コミュニティでは、いろいろな子育ての話も聞くことができるのですね。 大坪先生:子育てしている方は自分の中に「理想の母親像」を持ち、「私がママじゃなかったら、この子はもっと幸せになれたのに」と自分で自分を責めがちになることもあるようです。 当事者同士の集まりのいいところは、専門家が「こうした方がいい」と話すわけではないので、それぞれの子育てが責められたり評価されたりというような気持ちになりにくいようです。 いろいろな人が自分の経験を話しても、その中で欲しい情報だけを持って帰ればいいので、「私はやっていない。できない」などと自分を責めなくてすみますよね。 ──ママ同士の話の中には「こうしなければいけない」というものはないということですね? 大坪先生:そうです。生活ってそうですよね? お風呂ひとつとっても、髪の毛から洗う人もいれば、足から洗う人もいます。どれが正解というわけではなく、その人自身がやりやすく快適に過ごせていければ、スムーズでストレスも少なくてすみますよね。 ■「思っていたのとは違った…」合わない集まりに参加してしまったら? ──とはいえ、自分が乳児を育てていた頃を振り返ると、すごくきちんとなにかやっている方がいると影響を受けた気がします。 大坪先生:引っぱられますよね。そういう時に2人きりで「絶対あなたこうした方がいい」と言われると影響を受けるでしょう? だけど、3人以上いればグループ・ダイナミックス(集団における人の行動や思考の特性、集団力学)によって、それぞれが役割を担うみたいですよ。わーっと意見を押しつける人もいれば、それに対してえーっという人も出てきます。だからこそグループで話して、いろいろな意見を聞くのが大切だと思います。 ──合わない集まりに出てしまったら、どうすればいいですか? 大坪先生:子どもをダシにするわけではないですけど、必要以上にふみこんでくる方がいたり、楽しめない集まりだとしたら、「この子がもう退屈しているみたいだから帰りますね」と言えばいいのではないでしょうか。自分が嫌だなと思ったら、つらいことを我慢する必要はありません。 ──無理につきあわず、さっと引いていいのですね。 大坪先生:あとは、人を招いたりすることも苦手だったらしなくてもいいと思います。負担になるようなことは無理をしないでも大丈夫ではないでしょうか。 ──つきあい方も自分で調整すればいいのでしょうか? 大坪先生:距離間は人それぞれなので、自分を守ることも必要だと思います。話していく中で話しやすい人を見つけられればいいですね。 あとは、私が顧問をしている子育て支援グループamigoのように、子育て支援者が案内役を務めてくれる場所もいいかもしれません。なかなか自分に合った集まりがないと思ったら、自分で作るのもひとつの手です。必ずしも誰かにやってもらわなくても、自分たちでも作れます。 乳児ママは、情報収集やガス抜きという意味でも、10人以下ぐらいのコンパクトなママ・コミュニティに無理のない範囲で参加することをおすすめする大坪先生。 次回は、あふれる情報にまどわされない子育てについてうかがいたいと思います。
2018年10月29日「発達障害の子に手がかかって、きょうだいに我慢を強いているのではないか?」「障害のあるなしに関わらず、きょうだいで平等に扱わなければいけないのに、それができてない」など。発達障害児と健常児のきょうだいを持つお母さんで、健常児のきょうだいとの関係に悩んでいるお話を時々耳に挟みます。 発達障害児の子育てでは、発達障害児とお母さんにスポットが当たることが多いのですが、最も近しい存在である、発達障害児のきょうだいはどう感じているのか? また、きょうだいへの対応はどうしたらいいのか? きょうだい児(=病気や障害を持った子のきょうだいのこと)について考えるべく、法人マーブル代表・国沢真弓さんにお話をうかがいました。国沢さんは、健常児の娘と自閉症の息子、2人のお子さんのお母さんでもあり、ご自身の経験やさまざまな相談事例をもとにお話してくださいました。 ■発達障害児よりも難しい?「きょうだい児の対応」 ――今回は、発達障害児への対応法ではなく、発達障害児をきょうだいに持つ、きょうだい児の対応法についてお伺いしたいと思います。 国沢真弓さん(以下、国沢さん):発達障害児については、その子の特性がわかれば、ある程度、接し方のコツを学ぶこともできるのですが、きょうだい児の場合はそう簡単にはいきません。 きょうだい児のタイプ、発達障害児のタイプ、きょうだい児の性別・順序・年齢差・人数、友人関係、両親の性格、家庭環境などで対応もガラリと変わるので、むしろ、発達障害児への対応よりも難しさがあるかもしれません。どんなお子さんにも効く「魔法の杖」のような回答はないという前提で、私の経験や相談事例などをもとにお話させていただければと思います。 ――本当、その通りだと思います。ただ、それでも、きょうだい児について共通に浮かび上がってくる課題のようなものがあるようにも感じます。例えば、私の周囲では「発達障害児に手がかかり、きょうだい児に我慢を強いてしまっているのでは?」と、お母さんがきょうだい児に罪悪感を持ってしまうことが多いように感じています。 国沢さん:そのように感じてしまうお母さんは多いと思います。こういうお悩みは、きっと専門家に相談すると、「きょうだい児とだけの時間を持つようにしてください」とか「きょうだい児に『あなたのこともちゃんと見ているよ』というメッセージをしっかり伝えてください」などとアドバイスをされると思います。 もちろん、そのアドバイスは正しいですし、私も同じように思います。ただ、お母さんの立場を考えると、少し心配な思いもあります。 ――心配な思いというのは? 国沢さん:お母さんの課題がどんどん山積みになってしまうという点です。発達障害児の子育てだけでも、専門家などから「こうした方が良い」という課題で日々大変なのに、きょうだい児の子育てまで専門家からアドバイスをもらうことで、山積みの課題を前に疲れ果ててしまう…。 「そうした方が良い」と頭ではわかっていても、お母さんも一日24時間しかない。 これは私も経験ずみなのでよくわかるのですが(苦笑)、「あれもやらなくちゃ、これもやらなくちゃ」と奮闘し過ぎて、燃え尽きてしまうお母さんも少なくないのです。 ――確かに、日々の忙しい暮らしの中で、専門家のアドバイスを忠実に実践していくのはなかなか簡単ではありませんよね。 国沢さん:たとえ時間が取れなくても、「あなたの〇〇なところがすごい良いと思うよ」とか「いつも〇〇してくれてありがとう。すごく助かっているよ」などと、きょうだい児の存在意義や感謝の気持ちを言葉や態度で伝えることだけでもずいぶん違ってくると思います。 また、「ママが時間とれたらどこに行きたい?」と、きょうだい児の希望を3つくらい聞いて書きとめておき、時間がある時に実践するのもおすすめです。この時、書きとめておく姿をきょうだい児に見せることがポイント。お母さんは聞き流さず、ちゃんと気にしていることが伝わると思います。 そして、お母さんの「時間」と「気力」と「経済面」などがすべてOKになった時に、「ずっと待たせてごめんね! 今日この3つの中で〇〇だったら行けるかも!」と誘ってみてはどうでしょう? ――課題の山に追いたてられるのではなく、「時間がある時に実践する」くらいのゆるさが必要ということですね? 国沢さん:きょうだい児のケアはもちろん必要ですが、お母さんが余裕のないなか無理して時間を取ると、敏感なきょうだい児は「お母さん、本当に楽しんでいるのかな?」「休みたいんじゃないのかな?」と気にしてしまう子もいるようです。 きょうだい児のケアと同じく、お母さん自身も「自分の時間」をとって、自分をケアし、ねぎらってあげることも必要です。そして、そのことに罪悪感を持たないこと! 頑張っている自分にご褒美をあげるつもりでいいと思いますよ(笑)。 また、最初は難しいかもしれませんが、障害がわかってから何年か経っていくと、専門家や周囲のアドバイスのいいとこ取りができるようになり、自然ときょうだい児との時間も取りやすくなってくると思います。 そして、きょうだい児もいろいろな意味で成長して、また違った関係性になっていくのだと思います。 ■きょうだいの発達障害「友だちにからかわれた」親はどうする? ――国沢さんは自閉症の息子さんの5歳上に健常のお姉さん(現在は成人)がいますが、お姉さんが子どもの頃はどんな風に感じていたのでしょう? 国沢さん:今回、きょうだい児の取材を受けるうえで、娘の意見も聞いてみました。娘によると、そもそも「きょうだい児に我慢させている」なんて思わないでほしいとのこと。そう思われるのは、自分の存在が負担になっているようでイヤだと言われました。 ――お母さんが罪悪感を持つこと自体が、子どもにとって負担になるということですね? 国沢さん:娘が8歳の頃、よその人から「お姉ちゃんは弟君に障害があって大変だね。お姉ちゃんはいっぱい我慢していてえらいね」と言われたことがあります。その時、娘は「我慢しているとか、そういう言い方はしないでください。私はかわいそうな子じゃないから」と言って、相手をドン引きさせたことがあります(汗)。 きっと、相手は親切心から言ってくださったのだと思いますが、娘にとって、こういった言われ方は、自分が哀れに思われているようで、イヤだったそうです。 ――頼もしいですね(笑)。そんなしっかり者のお姉ちゃんでも、つらかった時はあったのでしょうか? 国沢さん:娘が子どもの頃、一番つらかったのは、弟がパニックになっている時だったそうです。お父さんとお母さんが弟のパニックをおさめるために集中していて、周囲の人が冷たい目で見ているのに、自分はなにもできずに傍観者となっている時。成長して、一緒に弟のパニックを抑える側になってからは、楽になったと言っていました。 ちなみに、娘の方が息子のパニックを収めるのは、私より上手かもしれません(笑)。社会人になった娘は今、「弟のおかげで、私はリスク管理能力が半端ないほど身についた」と自負していましたよ。強い…(笑)。 ――自分が協力者側になってから、つらい思いがなくなったのですね? 国沢さん:きょうだい児について、たくさんの相談を受けてきた中で感じたことがあります。きょうだい児には、私の娘と同様、気持ちが強いタイプと、ナイーブなタイプと、2パターンあるということです。 ナイーブなお子さんの場合、例えば、発達障害児のきょうだいのことを、お友だちにからかわれたことがきっかけになり、学校に行きづらくなったり…。あるいは、「お母さんに甘えたい」という思いを伝えられず悩んでいたことが、あとでわかる…といった相談もよく聞きます。 ――発達障害児のきょうだいのことをお友だちにからかわれてしまった時などは、親はどう対処したらいいのでしょう? 国沢さん:娘も、学校でお友だちに弟のことをからかわれて、泣いて帰ってきたことがあります。入学式のシーンとした状況で、弟が大きな声で歌ってしまって、お友だちから「おまえの弟うるさかった」と言われてしまって。 私の場合は、その日の夕方、娘の担任の先生にお話しに行きました。先生への伝え方で気をつけたのは、まず、お友だちが言ったことは事実なので、その子を責めるつもりではないということ。 ただ、セレモニーなどで緊張すると大きな声を出してしまう子がいるということ、また、たとえ事実だとしても指摘されるときょうだい児は悲しく思うこともある、ということをわかってもらえたら…と伝えました。 ――わが子を守るためと思うと、親はついヒートアップしてしまいがちですが、非常に冷静であたたかい対応ですね。 国沢さん:余談ですが、娘が泣いたのは、言い返せなかった自分に腹が立ったからだそうです。その後も、同じ学校の支援学級にいる弟のことで、時々からかわれることがあったようですが、たくましく言い返していましたよ(笑)。 ――頼もしいですね(笑)。でも、お姉ちゃんのように言い返すことができない子はどうしたらいいのでしょう? 国沢さん:ひとつの方法として、「きょうだい児の会(きょうだい児を支援するための団体)」に参加してみることをおすすめします。同じような立場のきょうだい児と出会って話をすることで、なんらかの解決法が見えてくるかもしれません。 「自分だけじゃない」と孤立感を減らしたり、「自分の気持ちを素直に言っていいんだ」と思えるようになったり、そういった経験の中で「感情表現」のスキルを磨いたり、日常生活の工夫を学んだり…そうしているうちにプクプクと浮上してくる子もいます。 また、障害児がいると普段は行きにくいようなアミューズメントパークなどに連れて行ってもらうなど、きょうだい児の体験不足を補う活動をしているところもあります。 ■発達障害児のこと「きょうだい児になんと説明したらいい?」 ――きょうだい児が小学生くらいになると、自分のきょうだい(発達障害児)について疑問に思うことも出てくると思うのですが、親はどう説明したらいいのでしょう? 国沢さん:わが家には子ども向けの専門書もたくさんあったのですが、そういった学説が文字で書かれたものより、娘は、『光とともに…』(自閉症児の育児を描いた漫画。全15巻。戸部けいこ著/秋田書店)という漫画が一番わかりやすかったと言っていました。 ヒカル君という人物像や日常生活での困りごと、パニック時の突飛な行動、お父さんとお母さんの苦労、周囲の人たちの言動など、発達障害の特徴を抽出して説明するような専門書と違い、発達障害児を取り巻く生活全般がつかめて、すごくわかりやすかったみたいです。 また、小さい頃は、発達障害児の苦手な部分だけではなく、得意な部分とセットで伝えていくと、悪いイメージだけに引っ張られないと思います。ついでに、「あなたもここは得意だけど、ここはちょっと苦手だよね」などと、みんな同じように凸凹があるということを認識してもらう。 そして、「その困りごとを少なくするために、今、療育で練習しているんだよ」と、なにもしてないわけではないことも伝えると、「お母さんも、〇〇も頑張っているんだな」と感じてもらえると思います。 ――程度の差はあれど、誰もが凹凸を抱えていることは知っておいてほしいですね。 国沢さん:きょうだいに発達障害児がいるのは、大変なことも多いかもしれません。ですが、娘を見ていると、大変なことだけではなく、良い面もあると感じています。 きょうだい児は親よりずっと小さい頃から、発達障害児と一緒に育ちます。きっと親以上に、多様な「価値観」や「対処の力」が育まれるでしょう。また、障害にとらわれずに人を見ることができたり、自分のきょうだいだけでなく、ほかの障害を持つ人たちにも寛容な心が育ったり…。 それは「効率」や「生産性」ばかりが優先されがちの今の世の中で、とても大切なことだと思います。 わが家にも、国沢さんと同じきょうだい構成の、きょうだい児がいます。娘が成長していく中で、弟の障害をどう受け止め、自分との関係を整理し対応していくか、そして困難をプラスに変えていける心を育てるために、親として家族として何ができるか、模索し続けたいと思います。 国沢真弓さん プロフィール フリーアナウンサー、自閉症スペクトラム支援士、一般社団法人 「発達障がいファミリーサポートMarble」 代表理事 <役職>ペアレント・メンター、三鷹市相談支援事業「ママサロン」相談員 、三鷹市知的障害者相談員、三鷹市発達障害児親の会「モンブランの会」会長、社会福祉法人「清陽会」評議員、社会福祉法人「みたか福祉会」評議員、児童発達支援施設「すこっぷ」家族支援アドバイザー、「三鷹市教育支援推進委員会」委員、「三鷹市社会福祉協議会」地域支援部会長。 <経歴>都立新宿高校、聖心女子大学文学部歴史社会学科を卒業。富士通株式会社を3年勤務後、アナウンサーに転向。NHKテレビ「きょうの料理」「婦人百科」等の進行を約10年務めたほか、多数のテレビ・ラジオ番組に出演。海外特派員、番組企画構成も担当。ナレーション・司会は各500回以上務め、厚生労働省主催「世界自閉症啓発デイシンポジウム」の総合司会を毎春担当。「3歳までの子育ての裏ワザ」「こんな時どうする?子どもの友達・親同士」(PHP出版)など共著多数。 <現在の活動>一般社団法人「発達障がいファミリーサポートMarble」代表理事として、「発達障害」や「伝える力UP」といったテーマでの講演を、全国で行っている。また、「ペアレントメンター」として保護者や支援者の相談に応じるほか、障害児の家族が気軽に参加できるイベントやお喋り会の開催等を行い、家族の元気を応援している。(詳しくはホームページをご覧ください)。 取材・文/まちとこ出版社N
2018年10月02日「世界一の朝食」が評判のカフェbillsでも人気メニューとなり、海外在住経験者やトレンドに敏感な人からジワジワと注目され始めている「パブロバ」。 オーストラリアやニュージランドでよく食べられているこのスイーツは、卵白を使ったメレンゲ菓子の仲間。好きな形に焼いて好みのフルーツやトッピングをのせれば完成するので、親子で楽しく作るのにピッタリです。日本で初めて「パブロバ」を丸一冊テーマにしたレシピ本を出版した太田さちかさんに、親子でパブロバを作るコツをうかがいました。 お話をうかがったのは… 太田さちかさん パリサンジェルマン・デ・プレで過ごし、エコール・ド・リッツ・エスコフィエスなどで製菓を、京都造形芸術大学大学院で芸術について学ぶ。ケーキデザイナーとして企業やウエディングなど、パーティー用のオーダーメイドケーキやお菓子を製作するほか、独自の世界観あふれるレシピを雑誌・ウェブなどで披露。また芸術教育士という一面も持ち、子どもとママのための製菓クラスやワークショップを展開する 「My little days」 を主宰している。9歳、7歳、4歳の3児のママ。ウーマンエキサイト公式ブロガーとして製作したケーキや日々のくらしを発信中。 ■パブロバってどんなお菓子? パブロバは、低温のオーブンでゆっくりと焼いたメレンゲの土台にホイップクリームと季節のフルーツを盛りつけたスイーツ。「瀕死の白鳥」で有名な20世紀初頭のロシア人バレリーナ、アンナ・パブロバが愛したことが名前の由来となっています。 「必要な材料は卵、砂糖とひとつまみの塩だけ。この3つは大体どのご家庭にもいつもありますよね? ケーキ作りの定番材料である小麦粉もバターも必要なくお財布にもやさしいお菓子です。 焼き型も使わず自由な形に作って、好きなものをトッピングして楽しめます。幅広くアレンジが効くので、パブロバなどメレンゲ菓子を作れるようになると、手作りお菓子の幅が一気に広がります」(太田さん) 親子で楽しく作るのにもピッタリだそうです。 ■簡単3ステップ! 子どもとパブロバを作ってみよう! 材料もシンプルなパブロバは作り方もシンプルで、生地を作る、焼く、飾るの3ステップだけ。生地作りもハンドミキサーがあればなんと5分ほどで完成するそうです(ブレンダ―や手作業でも労力はかかるけれど作れます)。 注意したいポイントは砂糖(グラニュー糖)を分けて入れるタイミングと、生地がしっかり角が立つまで泡立てることだけ。その2点だけ注意すれば失敗知らずに作れます。 それでは3ステップを太田さんにご紹介いただきましょう。 <材料> 卵白 2個分 グラニュー糖 100g 塩 ひとつまみ <作り方> 1、生地を作る 卵白に塩ひとつまみを入れて、ハンドミキサーで泡立て、グラニュー糖を3回に分けて加えます。小さな子どもにハンドミキサーを持たせる時は、重そうだったら一緒に持ってあげたり、器具の扱いに注意してあげましょう。 ポイント1:グラニュー糖を入れる3回の目安 全体が白っぽくなってきた時に小さじ1杯(画像左)、泡がきめ細かくなってつやが出てきたら50gを加えてさらに泡立てる(画像真ん中)、生地がハンドミキサーにからみつくくらいのかたさになったら残り全部(画像右)。 ポイント2:生地のかたさ 角がしっかり立つまで、さらに泡立てる。 2、焼く オーブンシートをしいた天板の上に生地を好きな形に落とし、100℃に予熱をしたオーブンで約2時間焼きます。この時に、子どもが自分で形を決めて好きなように作ったら、工作気分でワクワク間違いなしです。 「焼くというよりは水分を飛ばす感じなので、焼き上がりにすぐにオーブンから取り出す必要はなく、しばらく入れっぱなしでも大丈夫です。本当に気楽に作れるお菓子なんです」(太田さん) 3、飾る 焼きあがったメレンゲにたっぷりのホイップクリームと好みのフルーツをのせたら出来上がり! ここでも子どもの好きなフルーツを自由に選び、飾りつけも子どもに任せたら、子どもは思い思いに作ります。 「パブロバは『こうしなくてはいけない』と決まったルールはないので自由に楽しみながら作ってほしいですね」(太田さん) ■夏の自由研究にも! いろいろ広がるパブロバ ところで、子どもに料理などのワークショップを通してアートを教える「芸術教育士」としても活躍している太田さん。日頃ワークショップでは、子どもがじっくり観察してそれを言葉で表現することを大切にしているそう。 「そのお子さんならではの個性を感じる表現がワークショップではたくさん出ます。自分が作っているものをよく観察して、それを言葉で表現する力を育んでいます」。そんな太田さんならではのパブロバの楽しみ方も教えていただきました。 1) 工作のように自由に楽しむ メレンゲ土台の形、クリームの塗り方、トッピングの種類など、パブロバは自由な発想で工作のように創作できます。子どもの豊かな発想で「世界でただ一つのパブロバを作ってみましょう! 最初に「こんなパブロバを作りたい!」とデザイン画を描いてみるのもおすすめです。 2) 色を楽しむ パブロバの魅力はなんといっても、メレンゲ土台の真っ白な色。この美しい白に、素材感の異なるホイップクリームの白を重ねて色を観察したり、カラフルなソースを作って色の重なりを楽しむこともできます。 「パブロバ作りのもうひとつの目的は『色を楽しむこと』だと思っています」と太田さんが話すように、食材でいろいろな色を作りだして楽しめます。 3) 自由研究にも最適! パブロバを科学する 「料理って科学なんですよね」と話すように、液体である卵白を泡立てて砂糖を入れると、色も白っぽくなってきて、かたくなっていきます。このように状態が変化するのを観察して、お菓子作りに科学的要素を足し、バージョンアップした自由研究もできます。 簡単に作れて、おいしいだけでなく、いろいろ学べてしまうパブロバ。最後に太田さんにインスタ映え写真を撮るコツを聞いたところ、「映える写真にするポイントはソースのタレ感」だそうです。 ぜひ親子で「世界で一つのパブロバ作り」に挑戦してみてはいかがでしょうか? 参考図書: 「メレンゲのお菓子 パブロバ」 (立東舎) 著者 太田さちか 1,512円(税込) スタンダードなフルーツパブロバから、目にも鮮やかなカラフルパブロバ、誕生日など特別な日をお祝いするスペシャルパブロバなど、メレンゲのお菓子37種とフルーツソースなどのおまけレシピをたっぷり掲載。パブロバをテーマにしたレシピ本は日本初。 撮影/福尾美雪 スタイリング/中里真理子 イラスト/太田さちか (著者提供写真以外すべて) 取材・文/まちとこ出版社 石塚由香子
2018年08月16日「家事育児に非協力的」「イラッとする余計な一言が多い」など、日々の暮らしで、夫に対するイライラをつのらせている妻は多いよう。離婚するほど深刻ではないけれど、だったらなおさら、この先の夫との長い生活に、少しでもストレスなく暮らしたいものです。 そこで、夫に対するイライラの原因&解消法ついて、「HaRuカウンセリングオフィス」代表、夫婦問題カウンセラー・高草木陽光さんにお話をうかがって来ました。 お話をうかがったのは… 高草木 陽光(たかくさぎ はるみ)さん 「HaRuカウンセリングオフィス」代表、夫婦問題カウンセラー。7年間で約7,000人のカウンセリングを行い、夫婦問題・家族問題で悩む人の心に寄り添いながら解決に向けてのお手伝いをしている。美容師、育毛カウンセラーを経て、その後結婚して専業主婦となったが、夫の束縛や価値観の押しつけに違和感を覚え、「結婚生活とは何か」ということを深く考え始める。その後、「離婚カウンセラー」という職業があることを知り、自分たち夫婦のため、夫婦関係で悩んでいる人たちのために必ず役に立つと確信し、2009年に「NPO法人日本家族問題相談連盟」の認定資格を取得し、夫婦問題カウンセラーとなる。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌など幅広いメディアで活躍中。 ■プチモラハラ系夫の対処法1:「子どもだけでなく夫も?」ほめて伸ばすが基本 ――第2回は、 前回 に続き多かった、「プチモラハラ系の夫」に対する悩みです。深刻なモラハラとまでいかなくても、「イラッとするいやみが多い」とか「家事は妻がやって当然だと思っている」など、不満の声が多数集まりました。下記に一例を紹介しますが、そもそも、こういう男性の意識を変えるのは難しいのでしょうか? ・「〇〇さんの奥さんは一流企業で働いてて、超稼いでるのに、家事も完璧なんだってよ」などと、よその奥さんと比較する発言は、中小企業で働く私へのいやみ!? としか思えない。(40歳・子ども2人) ・そもそも、旦那が「家事を手伝う」と表現すること自体にムカつくし、ごくたまに手伝う時は、えらそうなドヤ顔。共働きだというのに!(38歳・子ども1人) ・自分には甘いくせに、人の失敗にうるさい夫。私がちょっとでもミスると、「それでよく仕事できるよな~」とか「社会人としてありえなくない?」とか、いちいちうるさい。(39歳・子ども3人) ・2人目を生んで間もない頃、私がやっとの思いで夕飯の準備を終えた時、晩酌しようとした夫が、のんきに「ん? ワイングラスがくもってるな~」とボソリ。じゃあ、自分でふけ!(33歳・子ども2人) 高草木陽光さん(以下、高草木さん):女性の社会進出が進んでも、男性の家事育児に対する協力の意識はなかなか追いついていないですよね。こういうタイプの夫は、いくら言っても聞く耳を持たないでしょうから、家事育児に少しずつ参加させたりして、どんどんこちらのペースに巻き込み、自然に意識を変えていくしかないと思います。 ――上手な巻き込み方はありますか? 高草木さん:全部任せるのではなく、一部を手伝ってもらったり、妻と一緒に協力してやってもらったり。そして、夫が何かしてくれたら、もう大げさなくらいにほめることがポイントです。 たとえ、心の中では「この程度のことで…」とか「やって当然でしょ?」と思っていても、そこは顔に出さず。今まで何もしなかった夫がようやくここまで進歩したと思って、「すごく助かった! 本当にありがとう!」などというふうに盛大にほめてあげましょう。もう、このタイプの夫は、調子に乗せてしまうに限りますよ。 ■プチモラハラ系夫の対処法2:「イライラする…」夫婦ケンカのパターンを知る ――「夫を調子にのせるなんてムカつく」という声も聞こえてきそうですが…? 高草木さん:私が受けてきた相談事例でも、妻のそういった声はとても多いですよ。でも、妻の最終的な目的は、夫の行動を変えることですよね? だったら、小さなプライドは捨てることです。 それでも、どうしてもプライドが許さない場合は、ゲーム感覚にして挑んでみてはどうでしょうか? 例えば、夫がイラッとするひと言をしかけてきたら、「あ、挑発してきてる。なるほどね~、そう来たか。でも、私はあんたの誘いにはのらないよ」というふうに。夫と同じ土俵にのってはいけないのです。 ――なるほど、ゲーム感覚で。 高草木さん:例えば、この「一流企業で働いて、稼いでて、家事も完璧の〇〇さんの妻はすごいな~」という夫の発言について。私だったら、「へ~そうなんだ」といったん受け止めて、その後「すごいね! その旦那さん!」って返しますね。 ――なぜ、相手の夫を? 高草木さん:「だって、夫が妻に感謝したり、しっかりサポートしてくれているから、妻がそれだけ頑張れるわけでしょう? 私ももっとサポートしてもらえれば、もっと頑張っちゃうんだけどな~と。「完璧な妻を求めるなら、あなたも完璧に妻をサポートしなさいよ」とやんわり夫に伝えますね。 ――なるほど…! 私だったら、「はぁ? なにが言いたいわけ?」って言い返しちゃいそうなところ、ステキな切り返しです。 高草木さん:夫婦ケンカは、否定的な言葉を返すなど、最初のひと言でぶつかり合ってしまうパターンが多いので、まずは、いったん受け取るクセをつけると良いと思います。その後は、何も言わなくてもいいし、何か言い返したいなら、 前回 ご紹介した「YOU」メッセージではなく、「I」メッセージで伝えるのがポイントです。「夫にそう言われてイラッとするのはなんでだろう? 私はどうしたいんだろう?」と考えて、「あ、そう言われて私は悲しいんだ」と思ったら、その気持ちを素直に伝えればいいのです。 長年夫婦をやっていると、ケンカが勃発するようなパターンって、もうなんとなくわかると思うんですよね。言い返してスッキリしたいのだったら、それでもいいですけど、それでは進歩ないと思いませんか? 同じパターンを繰り返すのはもうイヤだなと思ったら、自分が工夫するしかないわけです。 ――確かに、ケンカになるパターンはいつも同じような気がします。 高草木さん:夫婦問題は突きつめると、すべてコミュニケーション問題なんです。みんな「自分は間違っていない」とか「なんで私が変わらなくちゃいけないの? 悪いのは夫なのに!」と思いがちだけど、その考えを一度ストップしましょう。だって、自分の伝え方を変えることによって、自分の望みがかなえられる確率が高くなってくるのですから。そうすればムダなケンカやストレスが減って、結果、自分にとってお得なワケですよね? 小さなイザコザで夫を言い負かせて、ちょっとスッキリするけど何も変わらない生活を選ぶか、最終的に夫が変わってくれるという生活を選ぶか、どちらの生活を選ぶかは、実はあなた次第なのです。 ■プチモラハラ系夫の対処法3:「いざという時“酸素マスク”は自分から」 高草木さん:また「いちいち細かいことにうるさい夫」、もう、これはスルーでしょうね。先のお母さんたちの不満事例にもありましたが、ワイングラスがくもっているのが気になるなら、「じゃあ、次からあなたが洗ってね」とサラっと返しちゃえばいい。こういうことに、過剰反応してキレて、エネルギーを注ぐことの方がもったいないと思いますよ。 ――スルーできずにキレてしまうのは、妻がそれだけ追い込まれた状態にいるのかもしれませんね。 高草木さん:本当に、まず自分に余裕をもたせておくことが第一。 例えば、お母さんと子どもが飛行機に乗っていて、酸素マスクが出てくるような状況になった時、先にお母さんが酸素マスクをつけてから、その後に子どものマスクをつける、という決まりがありますよね? これは、お母さんが気を失ってしまう危険性があり、そうすると親子とも倒れになってしまうから。 まずは、自分がしっかりした状態でないと、子どもを助けることはできないというわけです。 ――確かに…。まずは自分を第一に。 高草木さん:今の時代、大事なのは「いかに頑張るか」ではなくて、「いかに手をぬくか」だと思いますよ。ただでさえ、女性はさまざまな役割を求められて大変なのですから。常に、自分の心の栄養を補充できる方法を用意しておきましょう。お友だちとのおしゃべりでもいいし、スポーツでも何でもいいんです。 よく「忙しくてそんなことしている余裕ない」という方もいるのですが、まず「できない」と決めつけないこと。決めつけてしまうと、すべてのことに余裕がなくなってしまい、抜け出せなくなりますから。 今の時代、ベビーシッターや家事代行のハードルがだいぶ低くなってきましたから、そういうのを上手に利用するなどして、自分のための時間を確保しましょう。 ――そばにいる夫は、妻の限界に気づかないものなのですかね…? 高草木さん:残念ながら、夫は妻がそこまで限界になっていることに気づいていないことも多いです。妻が倒れてから、平気で「早く言ってよ」とか「言われればやったのに」とか言いますから。 何度も言いますが、「私がこんなに大変なのに察してよ」と夫に期待するのはダメ。男性は、察することはできない生き物だから、しっかり伝えましょう。そして、伝える時はYOUメッセージで「あなたもやってよ!」と責めるのではなく、Iメッセージで「私もう限界だから助けて」などと伝えましょう。 もしそれでも、「は? それはおまえの仕事だろ?」などと言うような夫だったら、もう実家に帰ってしまって良いと思いますよ。 ――本当に(笑)。 高草木さん:相手に感謝する気持ちは大切ですが、妻の方も、古い価値観にしばられたり、「私は夫より稼いでないから…」などとヘンな遠慮をする必要はありませんよ。夫婦は、ともに協力してひとつの家庭を築き、子どもを育てあげていくもので、どっちがえらいなどという問題ではないのですから。 そして、最後に私がみなさんに伝えたいのは、もしあなたが今の生活に変化を求めているなら、「知っている」だけではなにも変わらないということ。「実行」に移して、「継続」していくことで、初めて夫婦でともに成長できるのだと感じています。 夫をどうにかしたいと思ったら、まず自分を変えるのが、一番の近道なのかもしれません。 ※なお、この記事で扱っているのは、あくまで軽いレベルのもので、悪質で重度のモラルハラスメントには別の対処方法が必要となります。 参考図書: 「なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか」 (左右社) 高草木 陽光著 1,836円(税込) 夫婦問題カウンセリング7000件の実績をもつ著者が、これまでの相談内容から導き出した解決方法を紹介。具体的な事例をあげ、「夫と妻の考え方の違い」「夫と妻の受け取り方の違い」「問題になりやすい事柄」「改善策につながるヒント」「考え方のポイント」を、家事、育児、会話など38のテーマ別にアドバイス。何らかの問題を抱えている夫婦にも、ひとり頭を抱えて悩んでいる夫・妻にも、「うちは問題ない」と思っている人にも役立つ一冊。 取材・文/まちとこ出版社N
2018年08月12日「家事育児に非協力的」「イラッとする余計な一言が多い」など、日々の暮らしで、夫に対するイライラをつのらせている妻は多いよう。離婚するほど深刻ではないけれど、だったらなおさら、この先の夫との長い生活に少しでもストレスなく暮らしたいものです。 好きで結婚したはずの夫が、なぜいるだけでムカつく人になってしまったのか? そんな夫ともう一度楽しく暮らせるようになるためには? そこで、夫に対するイライラの原因&解消法について、「HaRuカウンセリングオフィス」代表、夫婦問題カウンセラー・高草木陽光さんにお話をうかがってきました。 高草木さんは、今までに約7,000人のカウンセリングを行い、夫婦問題・家族問題を解決してきた、夫婦問題解決のプロフェッショナル。著書の 「なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか」 は、今まで高草木さんが受けてきた夫婦の相談事例から導き出した、具体的かつ実践的な解決法が満載です。 お話をうかがったのは… 高草木 陽光(たかくさぎ はるみ)さん 「HaRuカウンセリングオフィス」代表、夫婦問題カウンセラー。7年間で約7,000人のカウンセリングを行い、夫婦問題・家族問題で悩む人の心に寄り添いながら解決に向けてのお手伝いをしている。美容師、育毛カウンセラーを経て、その後結婚して専業主婦となったが、夫の束縛や価値観の押しつけに違和感を覚え、「結婚生活とは何か」ということを深く考え始める。その後、「離婚カウンセラー」という職業があることを知り、自分たち夫婦のため、夫婦関係で悩んでいる人たちのために必ず役に立つと確信し、2009年に「NPO法人日本家族問題相談連盟」の認定資格を取得し、夫婦問題カウンセラーとなる。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌など幅広いメディアで活躍中。 ■なにもしないのはどうして? そもそも夫にはない「察する」機能 ――このテーマで妻たちの声を集めたところ、非常にたくさんの不満をいただきました。特に多かったのは、「家事育児に非協力的」「いつも自分のことばかり優先」という声でした。下記に一例を紹介していますが、高草木さんのところにも、こういった相談は多く寄せられますか? ・子どもが生まれてから私の生活は激変したというのに、夫は相変わらず夜は飲み会、休日も自分の趣味優先で、何も変えようとしてくれない。こんなの不平等じゃない?(31歳・子ども1人) ・「今日体調悪いから夕ごはん作れない」とLINEしたら、「じゃあ、俺は外で食べてくるからいいよ」と返信が。自分じゃなくて、子ども(と私)のごはんの心配してよ!(37歳・子ども2人) ・私は朝から晩まで、家事や仕事、子どものお世話でフル回転だというのに、旦那は家にいると、いつもスマホをいじったり、ソファでゴロゴロしてばかり。私が「少しは手伝ってよ!」と言うと口答えしたり、しぶしぶやるという感じで…。共働きなんだし、もっと積極的に協力するべきでは?(38歳・子ども3人) ・子連れで外食する時は、いつも夫は自分が食べたいものを頼んで、私が子どもとシェアできるものを選ぶはめに…。私だって、たまには外で好きな物を食べたいのに!(35歳・子ども1人) 高草木陽光さん(以下:高草木さん):こういった「私はこんなに大変なのに、なんでわかってくれないのよ!」と、妻が夫に対してイライラをつのらせるケースはとても多いですよ。 こういう不満に対して、まず私が妻側に伝えたいのは、夫に対して「察して」という期待は捨てた方がいいということです。女性は想像力が豊かなのに対して、男性は非常に想像力に欠けるのです。もう、夫とは脳が違うと思った方がいい。これって、冷蔵庫にお湯を沸かしてほしいと求めるのと同じようなものなのですよ。 ――どういうことでしょうか? 高草木さん:冷蔵庫は食品を冷蔵・冷凍保存するもので、お湯を沸かす機能はありませんよね? それと同じくらい、夫に「なんで察してくれないの? と求めるのはムダということです。 ――なるほど(笑)。 高草木さん:イライラしてしまうのは、相手に期待して、期待が裏切られた時なのです。だから、まず期待しないこと。夫から理想通りのこたえが返ってくるなんて、まずありえないと思った方がいいです。 ただ、ここでいう「期待しない」というのは、「この人には何を言ってもムダ」という悲観的なものではなく、「夫のことは信頼しているけど期待しない」という感じ。夫に対して、期待のハードルを下げるだけでも、ずっと楽に生きられると思いますよ。 ■なにもしない夫が動く「主語を変える伝え方」 ――では、夫に察してもらうのは無理なので、妻がしっかり言葉で伝えていかなければならない、というわけですね? 高草木さん:伝え方にも工夫が必要です。ひとつのポイントは、言葉を省略しないで、具体的に伝えること。例えば「リビングをちょっと片づけておいてね」ではなく、「リビングに散らかっているおもちゃを全部棚にしまったら、掃除機をかけて、床にモップをかけておいてね」などと具体的に言わないと、夫には通じません。 「そんな細かく説明するのは面倒くさい」と思う方もいるかもしれません。でも、それを面倒くさがって省いてしまうと、自分の望みはかなえられません。夫に、自分が望む通りに動いてほしいなら、具体的に細かく伝えることが大事なのです。 ――なるほど。でも、「頼みごとをすると夫が不機嫌になってムカつく」という声もあったのですが、夫がご機嫌に動いてくれるようなうまい伝え方はありますか? 高草木さん:多分、夫が不機嫌になるのは、「〇〇やってよ」というような「YOU」メッセージで伝えているからだと思いますよ。 ――どういうことでしょうか? 高草木さん:YOUメッセージとは、「あなた」が主語になる言い方のことで、「あなたが〇〇やってよ」というふうに、どうしても相手を責めるようなキツイ言い方になってしまうのです。男性にこういう言い方をすると、責められていると思ってシャットアウトしたり、つい反論したくなっちゃうので逆効果なんですよ。 ――では、どういう言い方に変えたら? 高草木さん:「I」メッセージ、つまり「私」を主語にして伝えましょう。例えば、「早く帰ってきてよ!」(=YOUメッセージ)ではなくて、「私は、あなたが早く帰ってきてくれると助かるんだけどな」(=Iメッセージ)というふうに。相手の行動を責めるのではなく、自分の気持ちを伝えればいいのです。 人って、自分のことを責められると、つい反論したくなるけど、相手の気持ちについては反論しにくいから、聞き入れてもらいやすくなるんです。たとえ夫婦間に何の問題がなくても、ふだんからYOUメッセージではなく、Iメッセージを心がけてコミュニケーションをとると、夫婦関係が円滑になると思います。 そして、これは夫だけではなく、子どもに対しても同じ。お子さんに「早く宿題をしなさい」とか「早く片づけなさい」などという言い方をしていませんか? 子どもにYOUメッセージで伝えると、「今やろうと思ってたのに! お母さんが余計なこと言うからやる気がなくなった!」などと機嫌を損ねて、ますます宿題が終わるのに時間がかかるのがオチです。 そうではなく、Iメッセージで「早く宿題をすませてくれると、お母さん、ごはんの準備ができて助かるんだけどな」などと気持ちを伝えた方が、子どもも受け止めやすく、結果、スムーズにことが進むのです。 「夫のなににイライラしているのか?」自分の心に聞いてみる 高草木さん:Iメッセージでコミュニケーションをすることには、もうひとつメリットがあります。それは、自分の気持ちに目を向けられるということ。 例えば、先ほど「夫がゴロゴロしていることにイライラする」という声がありましたが、これもYOUメッセージで、「どうして、あなたはいつもゴロゴロしてるのよ!」と夫に言っても、「疲れているんだからしょうがないだろ?」と言い返されて終わってしまいますよね? そこで、Iメッセージで自分の気持ちを伝えるわけですが、そのためには、まず自分自身に「なぜ私は夫がゴロゴロしているとイライラするのか? 私は夫にどうしてほしいのか?」を問うことになります。 ――確かに。すぐ文句を言うのではなく、ひと呼吸置いて、ちょっと考えられそうですね。 高草木さん:夕飯の準備を一緒に手伝ってほしいのか? 夕飯の準備の間に洗たく物を取りこんでたたんでほしいのか? その間に子どもの宿題をすませてほしいのか? イライラの裏側には、いろいろな思いや目的があるはずです。 自分の目的がわかったら、Iメッセージで、「私が夕飯作っている間に、洗たく物を取りこんでたたんでくれると助かるんだけど」などと、具体的に伝えてみてください。自分の気持ちを正しいコミュニケーション方法で細かく伝えれば、さすがの夫も動いてくれるのではないでしょうか? 察しない夫「俺、全然やっていない…」と理解させる“分担の可視化” 高草木さん:また、夫に家事や育児に協力してもらうには、可視化することも効果的です。紙に、夫と妻がそれぞれ担当している家事を、朝から夜まで時間軸で細かく書き出します。 例えば、ゴミ出しひとつにしても、夫はまとまったゴミ袋を外に持っていくことがゴミ出しだと思いがちですが、ゴミ出しには、日々分別したり、家じゅうのゴミ箱からゴミを集めたり、新たにゴミ袋をセットしたりと、いろいろな工程がともなうわけです。そういうことも、細かく全部書き出す。 そうすると、お互いの担っている仕事が一目瞭然になり、夫は「俺ってこんなにやってなかったの?」とビックリするのではないでしょうか? ――ただイライラをぶつけるのではなく、Iメッセージを使ったり、可視化したり、妻側も、夫に伝わりやすい賢いコミュニケーション方法を学ばなければならないのですね? 高草木さん:ただ感情をぶつけるだけでは、「妻が怒っている」ということしか夫には伝わりません。実際、私のところにも、こういった「妻が一体、なにに怒っているかわからない」という男性からの相談はとても多いのですよ。夫は「なんかよくわからないけど、とりあえず大人しくしておこう」と、その場はうまくおさめますが、怒りの本質がわかっていないので、また同じことが繰り返されるだけです。 夫とのコミュニケーションがうまくいかないと思ったら、まず、自分の言動やコミュニケーション方法を見直してみてください。男と女の性質の差を理解して、自分の気持ちや目的を明確にし、行動を意図的に変えれば、きっと夫とムダにぶつからず、今よりずっとストレスなく生活できるはずですよ。 お話をうかがって、自分の伝え方を見直してみると、恥ずかしながらYOUメッセージだらけでした…。「早速今日から、Iメッセージで話しかけてみようと思います」と伝えると、高草木さんは、「きっと、Nさんの夫婦関係も今日から変わるはずですよ」と、にっこり笑うのでした。 次回は、「プチモラハラ系夫にどう対処する?」をご紹介します。 参考図書: 「なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか」 (左右社) 高草木 陽光著 1,836円(税込) 夫婦問題カウンセリング7000件の実績をもつ著者が、これまでの相談内容から導き出した解決方法を紹介。具体的な事例をあげ、「夫と妻の考え方の違い」「夫と妻の受け取り方の違い」「問題になりやすい事柄」「改善策につながるヒント」「考え方のポイント」を、家事、育児、会話など38のテーマ別にアドバイス。何らかの問題を抱えている夫婦にも、ひとり頭を抱えて悩んでいる夫・妻にも、「うちは問題ない」と思っている人にも役立つ一冊。 まちとこ出版社N
2018年08月08日