肌に重ねる、冬の遊戯。ジョー マローン ロンドンふたつの香り。
と考えるのが無意識な日課なのだけれど、奇遇にもあの夜と変わらずに、私が心掛けているのは、服の上からではなく(できれば全裸で)肌の上に直接つけるということ。
当時は単に「こっそり香水を使ったことがバレてしまったら、バツが悪いな」と考えていただけだったけれど、結果としてそれは正解だった。服の上に吹きかけるのと肌の上に馴染ませるのでは、香り方は全くと言って良いほど変わってくるし、肌自身が持つ香りや体温と混ざり合うことでより一層キャラクターが生きてくる。
特に重要なのは、一度に纏う量。匂いの強弱やオーデコロンとオードトワレ、オードパルファムといった種類によっても変わってくるものの、一度に吹き付ける量は10〜15プッシュ。そうなると、必然的に「何を選ぶか」だけではなく「どう使うか」だって、少なからず重要になってくるように思う。「香害」なんて言葉もあるように、服の上からつけるのでは、どうしてもわざとらしく、そして過剰になってしまう。
そういった点でも、冬は冒険も実験もしやすい季節。
ふんわり柔らかなコートやざっくりと編まれたセーター。その下に潜む肌のくびれの部分や、内腿、膝の下、くるぶし。首筋や、腕の内側、手首。