髪を好きになったら、自分も好きになれた。“私なんか”が“私でも”に変わるまで
■お前は器量が悪いのだから……
物心ついてから、ずっとクラスの男子に「ブス、ブス」と言われて育った。親戚には、「あんたは器量が悪いのだから、一生結婚できなくても食べていけるように、手に職をつけないとダメだ」と言われていた。学生時代はアスリートだったので、髪型は猿のようなショートカット。女子トイレに入ったら「ここ、女子トイレですよ」と注意されるくらい、女に見えない姿だった。
そんな私が、何の因果かファッション誌のライターになってしまった。まわりはみんなおしゃれで輝いているように見えた。それでも「ブサイクな私が見た目に気をつかっているなんて、逆に恥ずかしい」という変な自意識過剰ぶりで、わざとすっぴんで撮影現場に行ったり、変な服ばかり着ていたりしていた。
あの頃は、「このアイシャドウで一気に美人顔♡」と原稿を書くたびに「おいおい、お前みたいなブスが書くなよ」と自分ツッコミを入れながら仕事をしていた。
今、振り返れば相当こじらせていた。
■髪には上下関係がない
あれはたしかライターになって半年くらい、25歳の頃だったと思う。
その頃私はヘアページを何度か担当し「髪の影響力ってすごいかも」と思い始めていた。