髪を好きになったら、自分も好きになれた。“私なんか”が“私でも”に変わるまで
メイクと違って、髪だけだったら、私でも今よりおしゃれにできるかもしれない。そんなことを考え始めたのだ。
例えばメイクには「目指すべき顔」のようなものがあると感じる。いろんなメイクページを見てきたけれど、「二重を一重に見せましょう」とか、「顔を大きく見せましょう」とか、そういう企画はなかったような気がする。
二重が、高い鼻が、小顔が“正解”。正解という言葉は強すぎるかもしれないけれど、多くの人は「目指すべき美人顔」に向かって自分の顔をメイクしているように感じる。
それに比べて、髪には正解がない。上下関係もない。
ロングヘアのほうが偉いわけでもないし、ショートヘアがいいわけでもない。その人にとって似合う髪と似合わない髪があるだけ。上下がないということは、人と比べなくていいということでもある。当時の私には、それがすごく救いに思えた。
そこで私は、それまで何もしゃべらずおまかせしていた美容院で、初めて「こんな髪型にしたいんです」と雑誌の切り抜き写真を渡してみた。切り終わったあとの私の髪は、なんだかいつもよりちょっといいような気がして、少し気分があがった。
■「かわいいですね」の一言をきっかけに、人生が大きく変わった
その数日後、私の人生を変える出来事が起こる。