「衣香」を作り、部屋や着物などに移して楽しんだそうです。その嗜みは和歌と同様知性や感性、ひいては身分や財力までを表すものとして、平安時代の「枕草子」や「源氏物語」にも頻繁に登場しています。
しかし武家時代になると香の嗜好は複雑で妖艶なものから、一種の香木を愛でるというシンプルで清楚なものとなり、それが日本固有の香り文化として、室町時代に「香道」が確立しました。排泄物や死臭など悪臭に満ちていた時代も経るなか、実は自己表現や精神性までを香りに託していたという日本人の歴史があるのです。DRESS世代だからこそ、素のままで良しとはせず、シルエットや素材で下着を選ぶように香りの印象も意識し、さりげなくも芳しい存在感を漂わせたいものです。
2016年3月31日公開
2019年10月26日更新
オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー“吊るして楽しむ”「香水瓶型」ルームフレグランス