2019年5月17日 11:00
「細かい計画は立てない」女性脳外科医語る強靭メンタルの作り方
朝になれば、朝やるべきことをやる。夜になれば、夜やるべきことをやる。そう考えています」
人生にこうあるべしという細かな計画で自分を縛ると、つまずいたときに立ち往生してしまう。そのときの目の前の課題に真摯に向き合うことが、結果的に後悔のない人生につながってきたという。
■「トラブルは起こるもの」と想定しておく
人生への考え方とは一転し、加藤先生は、手術前の徹底的なシミュレーションを欠かさない。
「脳動脈瘤と血管の間に挟むクリップは、約160種類もあります。これを患者さんの動脈瘤のできている場所、血管の状態で使い分けますが、開頭してみて、さあ、どれを使おうかでは遅すぎます。症状が術前の予想と違うことも頭に入れ、最低でも10パターン以上を想定して手術に臨むようにしています。
それが平常心を失わずに手術を進めるための心がけです」
手術中は思いがけないトラブルも多い。これもすべて起きるものと想定していれば、その場で慌てることはない。
「もちろん、さまざまなケースを想定することは一朝一夕にはできません。毎回の手術に精いっぱい向き合う中で学んできたものです」
私たちの身の回りのトラブルにも、日ごろから対処法を想定しておくことでスムーズに解決できることが多い。