女性にイライラを引き起こすホルモンバランスと脳の関係
「今日もまた、気づいたらイラついて家族に当たり散らしてしまいました。家の中が殺伐とした雰囲気になって……あとから自己嫌悪に陥り、涙が止まらないこともよくあります」
そう切実に語るのは主婦のY子さん(48歳)。彼女と同じく、自分の意思とは裏腹に起こる“イライラ”症状に人知れず悩んでいる女性は多い。気分が高ぶり冷静な行動がとれない、攻撃的になり周囲の人にきつく当たってしまうなど、日常生活に支障をきたすケースも珍しくはないのだ。
“そんなつもり”は毛頭なく、心穏やかに過ごしたいのに、なぜ私たちはイライラしやすく、なぜイライラを抑えられないのだろうか。女性の心と体の悩みに詳しい、産婦人科医の池下育子先生に話をうかがった。
「イライラの原因は、もちろん人それぞれです。そのときの精神状態によっても異なりますから。
ただ、本人の意思ではどうにもならないタイプのものであれば、女性の場合はやはり、ホルモンバランスの影響が大きいといえるでしょう。女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、心身を落ち着かせる作用がありますが、生理前から生理中にはその分泌量が減少します。そのため、ささいなことを敏感に感じ取ってしまったり、精神的に不安になってしまうなどの症状が表れやすくなるのです」