お腹のガス張りの犯人は「腸のカビ」発酵食品も食べ過ぎると危険
「食後、ガスがたまったように異常におなかが張る。一晩寝ても疲れが取れない。その原因は『腸のカビ』の増殖かもしれません」
こう話すのは『おなかのカビが病気の原因だった』(マキノ出版)の著書がある「葉子クリニック」(北九州市)の院長、内山葉子先生だ。
栄養の消化や吸収だけでなく、人の腸には、数千種類ともいわれる多彩な性質を持つ100兆個もの細菌が生息し、健康維持や免疫など重要な働きをしていることはよく知られている。
そんな腸にカビが繁殖するとは、どういう意味だろう?
「腸の中の微生物は腸内細菌が圧倒的に多いのですが、真菌(カビ)の仲間『カンジダ』という“腸カビ”も存在しています。この腸カビの“勢力”は、腸内細菌によって抑えられ、健康な人で1%前後ほどです。ところが、腸カビが増殖する隙を与えてしまうと、有害物質や炭酸ガスを発生させながら、まるでツタが壁に張り付いてのびるように腸壁に勢力を拡大。腸の炎症を引き起こし、さまざまな症状を招くのです」(内山先生・以下同)
おなかで腸カビが増え続けることで便秘や下痢、腹痛、さらには慢性的な皮膚トラブルや頭痛、関節痛や記憶力の低下、倦怠感などの症状があらわれるという。
体の免疫の7~8割が集まっている腸がダメージを受けるため、免疫力が低下するというリスクも伴う。
■抗生物質の乱用は危険
そんな恐ろしい腸カビが増える、主な原因を解説してもらった。
「まずは抗生物質の乱用です。病原性細菌を殺すために服用する抗生物質は、腸内細菌も死滅させてしまう作用が。抗生物質では死なない腸カビは生き残り、増殖していくのです。また、甘いものや糖質は腸カビの大好物。腸の働きが弱っていたり、腸内環境が乱れていたりするときに甘いものが入ってくると、腸カビが爆発的に増加してしまうのです。糖質がカビに横取りされることで血糖値が下がった状態になってしまいます。
腸カビはどん欲に糖を求めますから、脳を乗っ取ったように、知らないうちに甘いものへの欲求が強くなっていくのです」
買い物に行くと無意識に甘いものやパンなどを買ってしまう、食後に甘いデザートを食べるのが我慢できないという人は要注意。自分自身の意思ではなく、腸カビが甘いものを欲している可能性がある。意外なのは、発酵食品の影響だ。体によいイメージがあるが……。
「適量なら問題ありませんが、過剰に発酵食品をとってしまうと、腸カビの増殖を加速させます。たとえば、おなかの張りを解消しようと、甘酒を毎日頑張って飲む、なんでも塩麴に漬けるなど過度に発酵食品を摂取すると、おなかにガスがたまってしまい逆効果になることもあるのです。発酵食品をたくさんとっても不調が改善しない場合は、発酵食品との付き合い方を考え直してください」
■豆や野菜など、多くの種類を食べよう
さらに、まもなく3年になる新型コロナウイルスの感染禍はカビの増殖を促進させるという。
「不安やストレスがあると唾液や胃液などの分泌が減ります。
唾液や胃液があればブロックされる外から入ってきたカビや口腔内のカビが腸まで行ってしまい、そこで増えるのです。外出自粛の巣ごもり生活による運動不足やアルコール量が増えることに加え、加工品や添加物などをとる機会が増えれば腸内の善玉菌も激減。その隙間に腸カビが増殖していくのです」
なかでも怖いのが、この腸カビが腸の壁を破壊することだという。
「腸壁には、細胞同士が結合して、一定以上の大きさのものは通さないフィルターが備わっています。ところが腸カビによって腸壁の細胞が破壊され、微細な穴が開いて、そこから細菌や毒素、未消化物などが血液中に漏れ出す『リーキーガット症候群』が起こります。ぜんそくやアトピーなどのアレルギー性疾患の原因になるだけでなく、自己免疫性疾患やがんを増悪させるのです」
まずは、チェックリスト(下記参照)で、自分の腸にカビが増えていないかどうか確認してみよう。
【「おなかのカビ」危険度チェックリスト】
カビの増殖が疑わしい場合はどうすればいいのだろうか?
「カビがすみにくい環境を作ることです。カビの“領地”を増やしてしまう抗生物質は、風邪でも処方されることがあります。
本当に必要かどうか医師に確認することも重要です。またカビが増えていると感じたら、甘いものを控えたり、炭水化物を減らしたりすることも有効な手段。遺伝子組み換え食品も極力控えましょう。遺伝子組み換え食品は、抗生物質のような働きをして、善玉の腸内細菌を殺してしまいます」
たとえ腸内カビが増殖したとしても、食事改善を行うことで、その勢力をとどめることは可能だ。
「多彩な細菌がバランスよく生きている腸内環境ではカビの増殖が防げます。旬の野菜、肉類、魚介類、豆類などバリエーション豊富に食べること。腸内細菌のえさである食物繊維が多い野菜、穀類、海藻やきのこなどを意識してとることがポイントです。またにんにく、オレガノ、ローズマリー、シナモンなど抗菌・抗カビ効果のある食品やハーブを活用してもいいでしょう」
カビを増やさない腸づくり。
今からはじめよう!
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