“冠攣縮性狭心症”で心肺停止 医療ライターが体験した「ブレーカーがバチッと落ちたような“無”の世界」
■医療情報をまとめたポーチが“命綱”に
作業療法士や理学療法士らのチームが一丸となってのリハビリを経て、やがて車いすを降り、年明けの’20年1月27日、緊急搬送されてからおよそ70日後に退院。
在宅リハビリを続けながら、ちょうどコロナ禍が始まるころでもあり、猫互助会(鍵を託し合い出張や急病などのときに猫の世話をする仲間)のリモート打ち合わせなども徐々に再開して、2カ月ほどが過ぎたときだった。
スーパーの帰り道、胸に違和感を覚え急いで帰宅。狭心症発作の再発かと焦り、#7119(救急相談センター)に電話をする。10分後に救急隊が駆けつけるが、熊本さんは胸の痛みや嘔吐の苦しみでまともな会話ができない。そんなとき、彼女は隊員らに枕元の横に置いてあるカバンを指さした。その中には、医療情報をまとめたポーチが入っていたのだ。
即座に隊員に“医療ポーチ”で心疾患の持病などの情報が共有され、熊本さんは速やかにかかりつけ医院に搬送された。
検査の結果、今回は心臓ではなく軽い胆石の発作とわかり、適切な処置で落ち着きを取り戻すことができた。
「山手線で倒れたときは、健康保険証なども所持しておらず、スマホもロックがかかっていて使い物になりませんでした。