“冠攣縮性狭心症”で心肺停止 医療ライターが体験した「ブレーカーがバチッと落ちたような“無”の世界」
ふだんの生活にも変化が。
「私は子供もいない独り身ですから、ご近所との関係は大切だと思い直しました。マンションの理事会にも参加するようになると、下の階に住む93歳の、やはり独居の女性と親しくなり、いざというときは助け合う関係ができただけでなく、偶然2人とも宝塚ファンで、一緒に円盤(DVD等)鑑賞を楽しんだりしてます(笑)」
現在も3カ月に1度の定期検査を受けながら、医療ライターとして自らの体験をつづった『山手線で心肺停止!』(講談社)を出版したり、AED講習会などでの講演に声がかかることもあるという。
「今日と同じ明日が来ることは、実は奇跡のようなもの。けっして当たり前ではありません。自分はまわりの人によって生かされているんだと蘇り体験で気づき、私も社会に対して何か恩返しをしたいという思いが芽生えました。
今は電車や道端で具合の悪そうな方を見かけると、思わず声をかけてしまいます。また、何か世の中の役に立てればと習いはじめた手話は4年目になりました」
当面の目標は、来年秋に東京で開催されるデフリンピックでの通訳ボランティア。
「神様にもらったアディショナルタイム」との思いで、できることを先延ばしせずにやっていきたいという。
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