【名城大学】スイゼンジノリがつくる紫外線吸収物質を発見 ~天然由来の美容成分として化粧品分野への応用に期待~
この問題を解決する方法として、私たちはサクリピンの光異性化反応 注8) を 発見しました。この反応では、サクリピン A に光を照射することでサクリピン B に変換することができます(図5)。乾燥スイゼンジノリにはサクリピン A が9割程度と多く含まれています。今回発見した光異性化反応により、スイゼンジノリ中に含まれるサクリピン A に適当な光照射処理を施すことで、サクリピン A とサクリピン B を好みの割合に調節することができます。
【用語解説】
注1
スイゼンジノリ
日本固有種のラン藻。江戸時代から高級食材として珍重され、秋月藩に献上された。環境省のレッドリストで絶滅の危機に瀕している種として「絶滅危惧 I 類」に分類されている。スイゼンジノリがつくる多糖類「サクラン」は、優れた吸水性を示し、化粧品などの産業分野で注目されており、応用利用されている。
注2
ラン藻(シアノバクテリア)
酸素発生型光合成を行うバクテリア。植物の葉緑体の祖先となったと考えられている。水域、陸域を問わず、地球上に多種多様なラン藻が広く分布している。
注3
マイコスポリン様アミノ酸( Mycosporine like amino acid, MAAラン藻、微細藻類、海藻などがつくる天然のサンスクリーン剤。