当時女性たちは“絵に描いた平等”と“実質保護”との不当な交換、と見なして反対しました。保護規定撤廃を歓迎したのは一部のエリート女性だけ。多くの女性にとっては労働環境に変化はないのに、残業や深夜勤など労働強化をもたらしただけの結果に終わりました」
女性だけに認められる生理休暇は、配慮か差別か。女性の社会進出が進んだ今、その論争自体がナンセンスだと上野さんは言う。
「まだ日本での月経休暇取得率が高かった頃、アメリカの女性研究者は『なぜ、日本女性は月経休暇を取るのか。アメリカの女性は月経休暇ではなく病気休暇を使う』と話していました。そもそも、月経休暇の取得と引き換えに、月経周期という極めてプライベートなことを上司に把握されなければならないのはおかしいですよね。月経休暇の取得率を上げるよりも、男女問わず体調が悪い時は病休を使って休むことができる社会を目指す。
それこそが、真の男女平等ではないかと思うのです」
生理休暇の取得率推移
- 1965年┈26.2%
- 1985年┈9.2%
- 2003年┈1.6%
- 2014年┈0.9%
※厚生労働省「平成27年度雇用均等基本調査」