一般人の放射線治療の知識は不十分も、メリットの理解は進む 乳がん患者、放射線治療の正しい知識は不十分ではあるが、生活の質は高く満足度も高い
(千葉県 46歳 会社員)
・この治療でがんが死滅するのなら、絶対にやるべき。(広島県 51歳 専業主婦)
〈今回のアンケート調査結果から〉
■東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授
中川恵一
放射線治療は、臓器の形態や機能を温存できることが最大の特徴です。
また、体への負担も少ないため、通院が原則です。費用も99%近くのケースで健康保険が利きますから、高額な自己負担は不要です。手術と放射線治療が同等の治療効果を示すがんは少なくありませんが、日本では欧米ほど行われていません。アメリカでは新規のがん患者の約半数が放射線治療を受けていますが、日本ではその半分程度と考えられています。公益社団法人 日本放射線腫瘍学会では、昨年度に引き続き一般人を対象に、がん治療に関する知識や放射線治療に関するイメージについてアンケート調査を実施しました。その結果、まだまだ、誤解が多いことが分かりましたが、全体的なイメージとしては、前年よりも肯定的となり、特に、50代、60代では、有意なイメージの改善が見られました。
放射線治療の個別のイメージについては、『治療後も生活の質が保たれる』が34.3%から44.4%と10.1ポイントも上昇しました。